説明

免疫増強剤としてのTAM受容体阻害剤の使用および免疫抑制剤としてのTAM活性化剤の使用

本開示は、免疫増強および/または免疫抑制のための組成物および方法に関する。ある実施形態において、本開示は、免疫増強に(例えば、ワクチンアジュバントとして)、敗血症の治療に、または免疫低下状態の対象の治療にTAM受容体阻害剤を使用する方法に関する。免疫増強剤をスクリーニングする方法も開示される。他の実施形態において、本開示は、免疫抑制に(例えば、自己免疫障害の治療として)、アレルギーの治療に、または対象の移植片対宿主病の治療に、TAM受容体作動薬を使用する方法に関する。免疫抑制剤をスクリーニングする方法も開示される。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の免疫応答を増強する方法であって、
免疫増強を必要とする対象に治療的有効量のTAM受容体阻害剤を投与し、それによって前記対象の前記免疫応答を増強する工程
を含む方法。
【請求項2】
対象の免疫応答を抑制する方法であって、
免疫抑制を必要とする対象に治療的有効量のTAM受容体作動薬を投与し、それによって前記対象の前記免疫応答を抑制する工程
を含む方法。
【請求項3】
前記TAM受容体が、Tyro3、Axl、またはMerである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記TAM受容体阻害剤が約50μM未満のIC50を有するか、または前記TAM作動薬が約50μM未満のEC50を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記TAM受容体阻害剤が約1pM〜約5μMのIC50を有するか、または前記TAM作動薬が約1pM〜約5μMのEC50を有する、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記TAM受容体阻害剤が、Tyro3、Axl、またはMerの細胞内ATP結合部位に結合する、請求項1または3〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記TAM受容体阻害剤が、MP470、SGI-AXL-277、AXL-1、AXL-2、AXL-3、AXL-4、AXL-5、AXL-6、AXL-7、AXL-8、AXL-9、またはこれらの誘導体である、請求項1または3〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記TAM受容体阻害剤が、以下の化学構造を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法:
【化1】

(ここで、Rは水素またはメチル基である。)
【請求項9】
前記TAM受容体阻害剤が、前記TAM受容体の細胞外ドメインまたはTAM受容体リガンドに結合する、請求項1または3〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記TAM受容体阻害剤が、小分子阻害剤、モノクローナル抗体、またはsiRNAである、請求項1、3〜6、または8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記TAM受容体阻害剤がGas6またはプロテインSに結合し、Gas6もしくはプロテインSの前記TAM受容体の前記細胞外ドメインへの結合および/または前記TAM受容体の活性化を妨害する、請求項1、3〜5、または9〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記方法が、
対象に治療的有効量のワクチンを投与し、それによって前記ワクチンに対する免疫応答を増強する工程をさらに含む
請求項1または3〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記TAM受容体阻害剤が、前記ワクチンと実質的に同時に前記対象に投与される、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記ワクチンが、前記対象の腫瘍に対して活性化された樹状細胞(DC)を含む、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記方法が、前記対象の腫瘍を治療する方法、免疫抑制の疾患を治療する方法、または敗血症を治療する方法である、請求項1または3〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記対象が、重症敗血症、敗血症性ショック、SIRS、または重症SIRSを有する、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記方法が、感染症の治療を必要とする対象の感染症を治療する方法である、請求項1、3〜13、または15〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記対象が、免疫低下状態または免疫抑制状態である、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記TAM受容体作動薬が、GAS6、プロテインS、アミノ末端切断型GAS6、アミノ末端切断型プロテインS、前記TAM受容体の細胞外ドメインに結合し、前記TAM受容体を架橋し、TAM受容体二量体となって前記TAM受容体を活性化することができる抗体、または前記TAM受容体の細胞外ドメインに結合し、前記TAM受容体を活性化することができる小分子である、請求項2〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記TAM受容体作動薬が、1つのGlaドメインまたはEGFドメインも有さず、前記TAM受容体を活性化することができるGas6タンパク質またはプロテインSタンパク質である、請求項2〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記方法が、
前記対象に治療的有効量の免疫抑制剤を投与し、それによって前記対象の前記免疫応答を抑制する工程をさらに含む
請求項2〜5または19〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記TAM受容体作動薬が、前記免疫抑制剤と実質的に同時に前記対象に投与される、請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記方法が、自己免疫疾患、アレルギー、移植片対宿主(GVH)病、または移植片拒絶反応を治療または予防する方法である、請求項2〜5または19〜22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記自己免疫疾患が、関節リウマチ、橋本甲状腺炎、悪性貧血、クローン病、潰瘍性大腸炎、乾癬、腎線維症、肺線維症、肝線維症、アジソン病、I型糖尿病、全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎、シェーグレン症候群、多発性硬化症、重症筋無力症、ライター症候群、またはグレーブス病である、請求項23記載の方法。
【請求項25】
免疫調整剤をスクリーニングする方法であって、
TAM受容体を発現する細胞を試験薬剤と接触させる工程、および
(a)前記試験薬剤がTAM受容体活性を変化させるかどうか、または
(b)前記試験薬剤がリガンドのTAM受容体への結合を阻害するかどうか
を決定する工程であって、TAM受容体活性を増大させるかまたはリガンドのTAM受容体への結合を増強する試験薬剤が免疫抑制剤として同定され、かつTAM受容体活性を阻害するかまたはリガンドのTAM受容体への結合を低下させるもしくは阻害する試験薬剤が免疫増強剤として同定される工程
を含む方法。
【請求項26】
前記TAM受容体が、Tyro3、Axl、またはMerである、請求項25記載の方法。
【請求項27】
さらなる解析のために免疫増強剤または免疫抑制剤であることが示される試験薬剤を選択する工程をさらに含む、請求項25〜26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
細胞が実験用哺乳動物のものであり、前記細胞を前記試験薬剤と接触させる工程が前記試験薬剤を前記哺乳動物に投与する工程を含む、請求項25〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記方法が、免疫増強剤をスクリーニングする方法であり、前記試験薬剤がTAM受容体活性を阻害するかどうかを決定する工程が
前記細胞を前記試験薬剤と接触させる工程、ならびに
前記細胞を前記試験薬剤と接触させる工程が
i.対照と比較した場合にTAM自己リン酸化を変化させるかどうか(ここで前記対照と比較して、前記試験薬剤の存在下でのTAM自己リン酸化の低下は、前記試験薬剤がTAM受容体活性を阻害することを示す)、
ii.対照と比較した場合にTLR誘導性のサイトカイン産生を変化させるかどうか(ここで対照と比較して、前記試験薬剤の存在下での前記TLR誘導性のサイトカイン産生の増大は、前記試験薬剤がTAM受容体活性を阻害することを示す)、
iii.対照と比較した場合にTLR誘導性のMAPキナーゼ活性化刺激を変化させるかどうか(ここで前記対照と比較して、前記試験薬剤の存在下でのTLR誘導性のMAPキナーゼ活性化刺激の増大は、前記試験薬剤がTAM受容体活性を阻害することを示す)、および/または
iv.対照と比較した場合にTLR誘導性のNFκB活性化を変化させるかどうか(ここで前記対照と比較して、前記試験薬剤の存在下でのTLR誘導性のNFκB活性化の増大は、前記試験薬剤がTAM受容体活性を阻害することを示す)
を決定する工程を含む
請求項25〜28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記方法が、免疫抑制剤をスクリーニングする方法であり、前記試験薬剤がTAM受容体活性を増大させるかどうかを決定する工程が
前記細胞を前記試験薬剤と接触させる工程、ならびに
前記細胞を前記試験薬剤と接触させる工程が
i.TAM自己リン酸化の対照レベルと比較した場合にTAM自己リン酸化を変化させるかどうか(ここで前記対照と比較して、前記試験薬剤の存在下でのTAM自己リン酸化の増大は、前記試験薬剤がTAM受容体活性を増大させることを示す)、
ii.対照と比較した場合にTLR誘導性のサイトカイン産生を変化させるかどうか(ここで前記対照と比較して、前記試験薬剤の存在下でのTLR誘導性のサイトカイン産生の減少は、前記試験薬剤がTAM受容体活性を増大させることを示す)、
iii.対照と比較した場合にTLR誘導性のMAPキナーゼ活性化刺激を変化させるかどうか(ここで前記対照と比較して、前記試験薬剤の存在下でのTLR誘導性のMAPキナーゼ活性化刺激の減少は、前記試験薬剤がTAM受容体活性を増大させることを示す)、および/または
iv.対照と比較した場合にTLR誘導性のNFκB活性化を変化させるかどうか(ここで前記対照と比較して、前記試験薬剤の存在下でのTLR誘導性のNFκB活性化の減少は、前記試験薬剤がTAM受容体活性を増大させることを示す)
を決定する工程を含む
請求項25〜28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記対照が、前記試験薬剤と接触していない細胞について得られる値であるかまたは参照値である、請求項29〜30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記試験薬剤がTAM受容体活性を変化させるかどうかを決定する工程が
(a)前記細胞を前記試験薬剤と接触させる前にSOCS1発現とSOCS3発現の対照レベルを測定する工程、
(b)前記細胞を前記試験薬剤と接触させる工程、および
(c)前記細胞を前記試験薬剤と接触させる工程が、SOCS1発現とSOCS3発現の前記対照レベルと比較した場合にSOCS1発現とSOCS3発現を変化させるかどうかを決定する工程であって、前記対照レベルと比較して、前記試験薬剤の存在下でのSOCS1発現とSOCS3発現の低下が、前記試験薬剤がTAM受容体活性を阻害し、このような試験薬剤が免疫増強剤として同定されるということを示し、前記対照レベルと比較して、前記試験薬剤の存在下でのSOCS1発現とSOCS3発現の増大が、前記試験薬剤がTAM受容体活性を増大させ、このような試験薬剤が免疫抑制剤として同定されるということを示す工程を含む
請求項25〜28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記方法が、免疫抑制剤をスクリーニングする方法であり、前記TAM受容体を発現する細胞を前記試験薬剤と接触させる工程が、前記細胞をTAM受容体作動薬の存在下で前記試験薬剤と接触させる工程を含む、請求項25〜28、または30〜32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記TAM受容体作動薬が、Gas6、アミノ末端切断型Gas6、プロテインS、またはアミノ末端切断型プロテインSである、請求項33記載の方法。
【請求項35】
前記TAM受容体作動薬が、前記TAM受容体の前記細胞外ドメインに結合し、前記TAM受容体を架橋し、TAM受容体二量体となって前記TAM受容体を活性化する抗体である、請求項34記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図1F】
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【図1G】
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【図1H】
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【図1I】
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【図1J】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図4F】
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【図4G】
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【図4H】
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【図4I】
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【図4J】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2011−514881(P2011−514881A)
【公表日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−533305(P2010−533305)
【出願日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【国際出願番号】PCT/US2008/082911
【国際公開番号】WO2010/008411
【国際公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(510126542)ザ ソルク インスティテュート フォー バイオロジカル スタディーズ (1)
【Fターム(参考)】