説明

全反射蛍光X線分析装置

【課題】 マッピング測定を行う全反射蛍光X線分析装置において、十分正確な測定強度の分布を短時間で求められるものを提供する。
【解決手段】 以下のように動作する制御手段24Aを備える。基準試料9について、測定点32ごとに適切なステージ角度を補正ステージ角度φとして記憶しておき、分析対象試料1については、各測定点32で、その測定点32に対応させて記憶した補正ステージ角度φに調整し、その状態での基準X線5aの強度を基準点31での基準強度と比較して、補正ステージ角度φに調整することが適切でないと判断される場合にのみ、改めて適切なステージ角度に調整して、蛍光X線5bの強度を測定し、測定強度の分布を求める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、いわゆるマッピング測定を行う全反射蛍光X線分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばシリコンウエハ表面の汚染状況を調べるために、マッピング測定を行う全反射蛍光X線分析装置があり、図2に示すように、試料台2に載置された試料1の移動および傾き調整が可能なステージ18(上部のXYステージ12よりも下の部分を破断して省略している)を備え、試料表面1aの複数の測定点に例えば0.05度程度の微小な入射角度θ(図示と理解の容易のため、図2では誇大に表す)で1次X線3を入射させて、全反射したX線4が検出器6に入射しないように図面右方向へ逃がしつつ、試料1から発生する蛍光X線5bなどの2次X線5の強度を検出器6で測定し、測定強度の分布ひいては測定強度に基づく付着量などの分析値の分布を自動的に求める。
【0003】
入射角度θは、0度よりも大きく全反射の臨界角よりも小さい範囲内で、分析においてS/N比が良好となるような適切な角度である必要がある。この適切な角度の値はあらかじめ求めておくことができ、試料1ごとにステージ18の角度を調整して入射角度θを適切な角度に設定するための公知の方法としては、例えば特許文献1に従来の技術として記載されている半割り法、光学変位センサ法、蛍光X線強度モニタ法などがある。ここで、正確な分析のためには、試料1をXYステージ12などで移動させて測定点を変えても1次X線3の入射角度θは不変であるべきだが、実際には、移動時のXYステージ12の機械的な精度や試料1自体のたわみなどの影響があるため、最初に調整した試料1の傾きつまりステージ18の角度を維持したままでは、測定点ごとに1次X線3の入射角度θが変化するおそれがある。
【0004】
そこで、例えば特許文献1に実施形態として記載されている装置では、試料表面の中心部分を基準として、光学変位センサ法をそのまままたは改善して用いて1次X線の入射角度が適切になるようにステージ角度を調整するとともに、試料表面から均一に発生して基準となる蛍光X線(例えばシリコンウエハ表面から発生するSi −Kα線)の測定強度を基準強度として記憶しておき、各測定点で前記基準となる蛍光X線の測定強度が前記基準強度と合致するようにステージ角度を調整している。
【特許文献1】特許第2978460号公報(段落0003〜0007、0026〜0032、0034〜0036)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、近年、大径のウエハなどについて詳細なマッピング測定のために測定点を多数指定することが望まれるのに対し、この従来の装置では、すべての測定点で、基準となる蛍光X線の強度を測定し、それが前記基準強度と合致するようにステージ角度を調整するので、測定強度の分布を求めるのに長時間を要する。例えば、290の測定点が指定された直径300mmのウエハでは、1枚の測定に約2時間〜2時間40分を要する。かといって、各測定点でステージ角度を調整せずに維持したままでは、測定時間は短縮できるものの、前述したように、測定点ごとに1次X線の入射角度が変化するおそれがあり、十分正確な分析ができない。
【0006】
本発明は前記従来の問題に鑑みてなされたもので、マッピング測定を行う全反射蛍光X線分析装置において、十分正確な測定強度の分布を短時間で求められるものを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明の第1構成は、試料の移動および傾き調整が可能なステージを備え、試料表面の複数の測定点に微小な入射角度で1次X線を入射させて、発生する蛍光X線の強度を測定し、測定強度の分布を求める全反射蛍光X線分析装置において、以下の制御手段を備えたことを特徴とする。
【0008】
前記制御手段は、まず、基準試料について、試料表面から均一に発生する基準X線の強度を基準となるステージ位置(試料表面で基準となる基準点に対応する。以下同様)で1次X線の入射角度が適切になるようにステージ角度を調整して基準強度として測定し、各測定点に対応するステージ位置で前記基準X線の測定強度が前記基準強度と合致するようにステージ角度を調整して補正ステージ角度として記憶する。
【0009】
次に、分析対象試料について、前記基準強度を測定する。そして、前記各測定点に対応するステージ位置で前記補正ステージ角度に調整して、前記基準X線の強度を測定し、その基準X線の測定強度が前記基準強度と合致している場合には、前記補正ステージ角度で測定した蛍光X線の強度を測定強度として採用し、合致していない場合には、合致するようにステージ角度を調整して測定した蛍光X線の強度を測定強度として採用し、測定強度の分布を求めるとともに、最新の調整前後のステージ角度に基づいて前記補正ステージ角度を更新する。
【0010】
本願発明者は、寸法形状などが近似する一群の試料を同一の装置でマッピング測定する場合には、基準となるステージ位置での適切なステージ角度に対する、各測定点に対応するステージ位置での適切なステージ角度のずれも近似することを見出し、本発明をなした。
【0011】
つまり、第1構成の装置では、基準試料について、測定点ごとに適切なステージ角度を補正ステージ角度として記憶しておき、分析対象試料については、すべての測定点で新たに適切なステージ角度を求めて調整するのではなく、まずその測定点に対応させて記憶した補正ステージ角度に調整し、その状態での基準X線の強度を基準点での基準強度と比較して、補正ステージ角度に調整することが適切でないと判断される場合にのみ、改めて適切なステージ角度に調整するので、測定点全体については適切なステージ角度に短時間で調整できる。したがって、十分正確な測定強度の分布を短時間で求めることができる。
【0012】
しかも、最新の調整前後のステージ角度に基づいて前記補正ステージ角度を更新するので、基準試料および分析対象試料のたわみ具合にばらつきがあるような場合、最初の数個の分析対象試料については、ステージ角度を調整し直す測定点がかなり発生するため、その分測定時間が長くなるが、補正ステージ角度が前記ばらつきを平均化した値に更新され、その後の分析対象試料については、各測定点において、補正ステージ角度が適切なステージ角度により近くなり、ステージ角度を調整し直す頻度も減少する。したがって、多数の分析対象試料全体については、より正確な測定強度の分布をより短時間で求めることができる。
【0013】
本発明の第2構成は、試料の移動および傾き調整が可能なステージを備え、試料表面の複数の測定点に微小な入射角度で1次X線を入射させて、発生する蛍光X線の強度を測定し、測定強度の分布を求める全反射蛍光X線分析装置において、以下の制御手段を備えたことを特徴とする。
【0014】
前記制御手段は、まず、基準試料について、試料表面から均一に発生する基準X線の強度を基準となるステージ位置で1次X線の入射角度が適切になるようにステージ角度を調整して基準強度として測定し、各測定点に対応するステージ位置で前記基準X線の測定強度が前記基準強度と合致するようにステージ角度を調整して補正ステージ角度として記憶する。
【0015】
次に、分析対象試料について、前記基準強度を測定する。そして、前記各測定点に対応するステージ位置で前記補正ステージ角度に調整して、蛍光X線および前記基準X線の強度を測定し、その基準X線の測定強度の前記基準強度に対する比で除することにより蛍光X線の測定強度を補正して、補正後の測定強度の分布を求める。
【0016】
前記第1構成の装置では、各測定点で補正ステージ角度に調整することが適切か否か判断して、適切でないと判断される場合に改めてステージ角度を調整する。これに対し、第2構成の装置では、1次X線の入射角度が適切な角度の近傍であれば、試料表面の同じ点から発生する2次X線の強度はいずれの波長についても入射角度とほぼ比例関係にあることに基づいて、各測定点で補正ステージ角度に調整したままで、基準X線の測定強度について基準点と対比することにより、蛍光X線の測定強度を1次X線の入射角度が適切である場合の強度に補正する。
【0017】
つまり、各測定点において補正ステージ角度からさらにステージ角度を調整することを行わず、その分測定時間が第1構成の装置よりもさらに短くなるとともに、蛍光X線の測定強度を演算で補正することで、適切なステージ角度に調整するのと近似した効果が得られる。したがって、第2構成の装置によっても、十分正確な測定強度の分布を短時間で求めることができる。
【0018】
本発明の第3構成は、試料の移動および傾き調整が可能なステージを備え、試料表面の複数の測定点に微小な入射角度で1次X線を入射させて、発生する蛍光X線の強度を測定し、測定強度の分布を求める全反射蛍光X線分析装置において、以下の制御手段を備えたことを特徴とする。
【0019】
前記制御手段は、まず、基準試料について、試料表面から均一に発生する基準X線の強度を基準となるステージ位置で1次X線の入射角度が適切になるようにステージ角度を調整して基準強度として測定し、各測定点に対応するステージ位置で前記基準X線の測定強度が前記基準強度と合致するようにステージ角度を調整して補正ステージ角度として記憶する。
【0020】
次に、分析対象試料について、前記各測定点に対応するステージ位置で前記補正ステージ角度に調整して、蛍光X線の強度を測定し、測定強度の分布を求める。
【0021】
第3構成の装置では、各測定点で補正ステージ角度に調整したままで、蛍光X線の測定強度を補正することもしない。つまり、分析対象試料ごとに基準強度を測定しないので、その分測定時間が第2構成の装置よりもさらに短くなるとともに、蛍光X線の測定強度の正確さは、補正を行う第2構成の装置と比べて大きな差異はない。したがって、第3構成の装置によっても、十分正確な測定強度の分布を短時間で求めることができる。
【0022】
第1〜3構成の装置では、基準試料について、基準となるステージ位置で1次X線の入射角度が適切になるようにステージ角度を調整した状態で基準X線の強度を基準強度として測定しておき、各測定点に対応するステージ位置では、基準X線の測定強度が前記基準強度と合致するようにステージ角度を調整することにより1次X線の入射角度が適切になるようにし、そのステージ角度を補正ステージ角度として記憶している。しかし、本発明では、制御手段が基準試料の各測定点に対応するステージ位置で補正ステージ角度を記憶するにあたり、そのような動作に限定されない。
【0023】
そこで、第1〜3構成の装置において、制御手段が基準試料の各測定点に対応するステージ位置で補正ステージ角度を記憶する際の動作を、「基準試料について、各測定点に対応するステージ位置で1次X線の入射角度が適切になるようにステージ角度を調整して補正ステージ角度として記憶し、」に拡張して置き換えたものを、本発明の第4〜6構成の装置とする。つまり、第4〜6構成の装置では、制御手段が基準試料の各測定点に対応するステージ位置で1次X線の入射角度が適切になるようにステージ角度を調整する動作は特に限定されず、前述した公知の半割り法、光学変位センサ法、蛍光X線強度モニタ法なども適用できる。第4〜6構成の装置によれば、それぞれ第1〜3構成の装置と同様の効果が得られる。
【0024】
第1〜第6構成の装置においては、前記分析対象試料の測定点として前記基準試料の測定点とは対応するステージ位置が合致しない基準外測定点が指定された場合に、前記制御手段が、前記基準外測定点の補正ステージ角度として、前記基準外測定点の近傍で前記基準試料の測定点と対応するステージ位置が合致する測定点の前記補正ステージ角度に基づいて補間したステージ角度を用いることが好ましい。
【0025】
この好ましい構成によれば、分析対象試料で指定される測定点のうち、適切に分布させた一部についてのみ、基準試料を用いて補正ステージ角度を求めて記憶しておけばよいので、簡便に、分析対象試料のすべての測定点について補正ステージ角度を求めて記憶するのと近似した効果が得られる。
【0026】
本発明の第7構成は、試料の移動および傾き調整が可能なステージを備え、試料表面の複数の測定点に微小な入射角度で1次X線を入射させて、発生する蛍光X線の強度を測定し、測定強度の分布を求める全反射蛍光X線分析装置において、以下の制御手段を備えたことを特徴とする。
【0027】
前記制御手段は、分析対象試料について、試料表面から均一に発生する基準X線の強度を基準となるステージ位置で1次X線の入射角度が適切になるようにステージ角度を調整して基準強度として測定する。そして、その調整したステージ角度を維持して、各測定点に対応するステージ位置で蛍光X線および前記基準X線の強度を測定し、その基準X線の測定強度の前記基準強度に対する比で除することにより蛍光X線の測定強度を補正して、補正後の測定強度の分布を求める。
【0028】
第7構成の装置は、第2構成または第5構成の装置を簡略化したもので、補正ステージ角度を用いず、それに代えて、各分析対象試料の基準点で基準強度を測定したときの適切なステージ角度を各測定点で用いる。つまり、そのステージ角度を維持したままで、各測定点において補正ステージ角度に調整することも行わず、その分測定時間が第2構成、第5構成の装置よりもさらに短くなるとともに、各測定点において、蛍光X線の測定強度を補正する程度はやや大きくなるものの、やはり、適切なステージ角度に調整するのと近似した効果が得られる。したがって、第7構成の装置によっても、十分正確な測定強度の分布を短時間で求めることができる。
【0029】
本発明の第8構成は、試料の移動および傾き調整が可能なステージを備え、試料表面の複数の測定点に微小な入射角度で1次X線を入射させて、発生する蛍光X線の強度を測定し、測定強度の分布を求める全反射蛍光X線分析装置において、以下の制御手段を備えたことを特徴とする。
【0030】
前記制御手段は、まず、基準試料について、試料表面から均一に発生する基準X線の強度を基準となるステージ位置で1次X線の入射角度が適切になるようにステージ角度を調整して基準強度として測定する。
【0031】
次に、分析対象試料について、前記基準試料で調整されたステージ角度を維持して、各測定点に対応するステージ位置で蛍光X線および前記基準X線の強度を測定し、その基準X線の測定強度の前記基準強度に対する比で除することにより蛍光X線の測定強度を補正して、補正後の測定強度の分布を求める。
【0032】
第8構成の装置は、第7構成の装置をさらに簡略化したもので、分析対象試料ごとに基準点でステージ角度を適切に調整して基準強度を測定することを行わず、それに代えて、基準試料の基準点で適切に調整したステージ角度と測定した基準強度を用いる。つまり、基準試料の基準点で調整したステージ角度を維持したままで、各分析対象試料の基準点でステージ角度を調整することも行わず、その分測定時間が第7構成の装置よりもさらに短くなるとともに、各測定点において、蛍光X線の測定強度を補正する程度はやや大きくなるものの、やはり、適切なステージ角度に調整するのと近似した効果が得られる。したがって、第8構成の装置によっても、十分正確な測定強度の分布を短時間で求めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の第1実施形態の全反射蛍光X線分析装置について、図にしたがって説明する。この装置は、図1に示すように、試料台2に載置された試料1,9の移動および傾き調整が可能なステージ18を備え、X線管などのX線源17から試料表面1a,9aの複数の測定点32(図3)に例えば0.05度程度の微小な入射角度θ(図2)で1次X線3を入射させて、試料1から発生する蛍光X線5bなどの2次X線5の強度をSSDなどの検出器6で測定し、測定強度の分布ひいては測定強度に基づく付着量などの分析値の分布を求める全反射蛍光X線分析装置である。
【0034】
試料1,9には、通常複数の分析対象試料1と、分析対象試料1の各測定点でのステージ角度の調整や蛍光X線の測定強度の補正の基準とするための単一の基準試料9とがあり、この実施形態においては、分析対象試料1と基準試料9は、同種で寸法形状が合致する。例えば、図3に示すように、基準試料9がシリコンウエハであれば、それを利用して分析する分析対象試料1は、膜(酸化膜や付着させた膜)の有無、膜があるならばその成分と厚さにおいて同じシリコンウエハであり(同種)、直径と厚さ、オリフラ1b,9bやノッチの有無などにおいても同じである(寸法形状の合致)。ただし、基準試料9に対し、分析対象試料1が別種である場合や、同じ形状で寸法が小さい場合などにも、本発明を適用して、同種で寸法形状が合致する場合に近似した効果を得ることができる。また、分析対象試料1および基準試料9として、液晶パネルのような矩形のものも考えられる。
【0035】
後述するように、ステージ18におけるXYステージ12(図1)により、試料表面1a,9aの任意の位置(測定点32)に1次X線3を照射させるよう試料1,9を移動させることができるが、その移動に関して基準(原点)となるステージの位置があり、そのステージ位置は、試料表面1a,9aでの基準となる基準点31に対応する。
【0036】
基準点31は単一であり、測定点32は通常複数であるが、分析対象試料1は、基準点31の位置および測定点32の位置も基準試料9と同じで、試料1,9がウエハの場合、通常、基準点31の位置は、オリフラ1b,9bやノッチを無視すれば円形とみなせる試料表面1a,9aの中心になるように、試料1,9が試料台2を介してステージ18(図1)に載置され、基準点31を原点として、測定点32が、例えば、X方向およびY方向に等間隔に設定される(基準点31近傍の1つの測定点32Aにのみ符号を記している)。ここでは、オリフラ1b,9bに直交する方向をY方向としている。なお、通常、基準点31も測定点32に含まれるが、実施形態によっては、分析対象試料1において基準点31が不要な場合や測定点32が基準試料9と全く合致しなくてよい場合もある。また、基準試料9は分析対象試料1としても扱うことが可能であるが、実施形態によっては、基準試料9が不要な場合もある。
【0037】
図1に示すように、ステージ18は、以下のXYステージ12、高さ調整手段13およびスイベルステージ14で構成される。まず、試料台2が、その下のXYステージ(平行移動手段)12の上部12aに固定されている。XYステージ上部12aは、中部12bに対して紙面垂直方向Yに移動自在に設置され、XYステージ中部12bは、その下のXYステージ下部12cに対し、この図1の状態では紙面左右方向Xに移動自在に設置されている。XYステージ下部12cは、その下の高さ調整手段13の上部13aに固定されている。すなわち、XYステージ12の調整により、試料表面1a,9aの任意の位置に1次X線3を照射させるよう試料台2を移動させることができる。
【0038】
高さ調整手段13の上部13aは、下部13bに対してこの図1の状態では軸Z方向に移動自在に設置され、下部13bは、その下のスイベルステージなどの入射角度調整手段14の上部14aに固定されている。すなわち、高さ調整手段13により、試料表面1aの1次X線3に対する高さの調整ができる。
【0039】
スイベルステージの上部14aは、下部14bに対して試料表面1a,9aの測定部分を中心とする円弧に沿って移動自在に設置され、下部14bは、その下の床などに固定されている。すなわち、スイベルステージ14により、ステージ18の傾きの角度すなわちステージ角度を調整して、試料表面1a,9aへの1次X線3の入射角度θ(図2)を変化させることができる。
【0040】
なお、入射角度調整手段は、スイベルステージ14に限らず、試料台2の1次X線3に対する傾斜角度を変化させる機構であればよく、試料台2を載せた長い板の端をジャッキで押し上げるような構造であってもよい。ステージ角度の調整にいわゆる光学変位センサ法を適用する場合には、検出器6の右方に変位センサを備え、スイベルステージ14と床などとの間に、検出器6と変位センサの下方で試料台2およびステージ18を移動させるための水平移動手段が介在する。
【0041】
第1実施形態の装置は、プログラムによって以下の制御手段24Aとして機能するコンピュータを備えたことを特徴とする。制御手段24Aは、まず、例えばシリコンウエハである基準試料9について、試料表面9aから均一に発生する基準X線5aであるSi −Kα線の強度を基準となるステージ位置(試料表面9aの基準点31(図3)に対応する)で1次X線3の入射角度θ(図2)が適切になるようにステージ角度を調整して基準強度として測定する。そして、各測定点32A,…(図3)に対応するステージ位置で前記基準X線5aの測定強度が前記基準強度と合致するように、具体的には前記基準強度と比較して所定の範囲内に収まるように、ステージ角度を調整して補正ステージ角度として記憶する。
【0042】
補正ステージ角度φは、例えばスイベルステージ14の上部14aを傾斜させるためのφ軸を、例えば上部14aが水平の状態からモータで回転させる角度であるが、前述したように、XYステージ12の機械的な精度や試料1自体のたわみなどの影響があるため、所望の一定角度である入射角度θとは、ずれている。そこで、各測定点の補正ステージ角度φそのものを記憶してもよいが、ここでは、各測定点で入射角度θと比較してのずれ分を、次式(1)のように補正テーブル値φtableとして、テーブルの形で記憶する。
【0043】
φ=θ−φtable …(1)
【0044】
なお、基準点31(図3)で1次X線3の入射角度θ(図2)が適切になるようにステージ角度を調整するには、前述した公知の光学変位センサ法などを適用できるが、前記特許文献1の段落0013に記載のように、光学変位センサ法を改善した方法を適用するのが好ましい。つまり、変位センサの下方と検出器6の下方とにおける試料台2の中心部分(試料1,9の基準点31に相当する)の傾斜の変化量をあらかじめ求めておき、その変化量を打ち消す分も含めて傾斜させて、ステージ角度を調整するのが好ましい。また、試料表面9aから均一に発生する基準X線5aとしては、基板に均一に分布する元素からの蛍光X線に限らず、膜に均一に分布する元素からの蛍光X線や、試料表面から均一に発生する散乱線を用いることもできる。
【0045】
さらに、制御手段24が基準試料9の各測定点32A,…(図3)で1次X線3の入射角度θ(図2)が適切になるようにステージ角度を調整する動作は、特に限定されない。例えば、基準試料9のすべての測定点32A,…(図3)に、前述した公知の半割り法、光学変位センサ法、蛍光X線強度モニタ法などを適用してもよい。この点を含め、制御手段24が基準試料9について各測定点32A,…(図3)の補正ステージ角度を記憶するまでの動作は、後述する第2、第3実施形態の装置でも同様である。
【0046】
制御手段24Aは、次に、分析対象試料1について、前記基準強度を測定する。つまり、分析対象試料1についても基準試料9と同様に、前記基準X線5aであるSi −Kα線の強度を基準となるステージ位置(試料表面1aの基準点31(図3)に対応する)で1次X線3の入射角度θ(図2)が適切になるようにステージ角度を調整して基準強度として測定する。
【0047】
そして、各測定点32A,…(図3)に対応するステージ位置で前記テーブルに基づいて補正ステージ角度φに調整して、前記基準X線5aの強度を測定し、その基準X線5aの測定強度が前記基準強度と合致している場合には、前記補正ステージ角度φで測定した蛍光X線5bの強度を測定強度として採用し、合致していない場合には、合致するようにステージ角度を調整して測定した蛍光X線5bの強度を測定強度として採用する。
【0048】
具体的には、以下のような手順による。まず、各測定点32A,…(図3)で前記テーブルを読み込んで補正テーブル値φtableから補正ステージ角度φを算出してその角度φに調整し、SSDである検出器6で、基準X線5aの強度および分析対象の単数または複数の蛍光X線5bの強度を同時に測定する。そして、その基準X線5aの測定強度が前記基準強度と比較して所定の範囲内である場合には、前記補正ステージ角度φで測定した蛍光X線5bの強度をその蛍光X線5bの測定強度として採用し、所定の範囲外である場合には、所定の範囲内に収まるまで、ステージ角度を微調整して基準X線5aの強度および蛍光X線5bの強度を測定することを繰り返す。微調整を繰り返す前のもとの補正ステージ角度をφm(OLD)とし、所定の範囲内に収まったときのステージ角度をφm(NEW)とする。
【0049】
最後に、制御手段24Aは、このようにして得られた蛍光X線5bの測定強度の試料表面1aにおける分布、ひいては測定強度に基づく付着量などの分析値の試料表面1aにおける分布を求めるとともに、最新の調整前後のステージ角度φm(OLD),φm(NEW)に基づいて前記補正ステージ角度φを更新する。
【0050】
具体的には補正テーブル値φtableのテーブルを更新するのであるが、この更新は、分析対象試料1ごとに、基準X線5aの測定強度が前記基準強度と比較して所定の範囲外であった測定点32が1つでもあれば行う。更新に用いる補正値Δφは、次式(2)で表される。
【0051】
Δφ=φm(NEW)−φm(OLD) …(2)
【0052】
この補正値Δφ、更新前(テーブルの更新回数N)の補正テーブル値φtable(N)を用いて、更新後(テーブルの更新回数N+1)の補正テーブル値φtable(N+1)は、次式(3)で表される。更新前の補正テーブル値φtable(N)には、それまでの更新回数N分の重み付けがされる。
【0053】
φtable(N+1)=(Δφ+φtable(N)×N)÷(N+1) …(3)
【0054】
つまり、制御手段24Aが記憶するテーブルは、テーブルの更新回数と更新後の各測定点の補正テーブル値で構成される。
【0055】
さて、前述したように、寸法形状などが近似する一群の試料を同一の装置でマッピング測定する場合には、基準となるステージ位置での適切なステージ角度に対する、各測定点に対応するステージ位置での適切なステージ角度のずれも近似することを見出している。
【0056】
これに基づいて、第1実施形態の装置では、基準試料9について、測定点32ごとに適切なステージ角度を補正ステージ角度φとして記憶しておき、分析対象試料1については、すべての測定点32で新たに適切なステージ角度を求めて調整するのではなく、まずその測定点32に対応させて記憶した補正ステージ角度φに調整し、その状態での基準X線5aの強度を基準点31での基準強度と比較して、補正ステージ角度φに調整することが適切でないと判断される場合にのみ、改めて適切なステージ角度に調整するので、測定点32全体については適切なステージ角度に短時間で調整できる。したがって、十分正確な測定強度の分布を短時間で求めることができる。
【0057】
しかも、最新の調整前後のステージ角度φm(OLD),φm(NEW)に基づいて前記補正ステージ角度φを更新するので、基準試料9および分析対象試料1のたわみ具合にばらつきがあるような場合、最初の数個の分析対象試料1については、ステージ角度を調整し直す測定点32がかなり発生するため、その分測定時間が長くなるが、補正ステージ角度φが前記ばらつきを平均化した値に更新され、その後の分析対象試料1については、各測定点32において、補正ステージ角度φが適切なステージ角度により近くなり、ステージ角度を調整し直す頻度も減少する。したがって、多数の分析対象試料1全体については、より正確な測定強度の分布をより短時間で求めることができる。
【0058】
次に、本発明の第2実施形態の全反射蛍光X線分析装置について説明する。この装置は、制御手段24Bの動作の一部のみが以下のように前記第1実施形態の装置と異なるが、その他の点については同様であるので説明を省略する。
【0059】
第2実施形態の装置の制御手段24Bは、前記第1実施形態の装置の制御手段24Aと同様に、基準試料9を用いて補正ステージ角度φを求めて記憶しておき、分析対象試料1について基準強度を測定する。そして、各測定点32に対応するステージ位置で前記補正ステージ角度φに調整して、蛍光X線5bおよび基準X線5aの強度を測定し、その基準X線5aの測定強度の前記基準強度に対する比で除することにより蛍光X線5bの測定強度を補正して、補正後の測定強度の分布を求める。
【0060】
前記第1実施形態の装置では、各測定点32で補正ステージ角度φに調整することが適切か否か判断して、適切でないと判断される場合に改めてステージ角度を調整する。これに対し、第2実施形態の装置では、1次X線3の入射角度θが適切な角度の近傍であれば、試料表面1a,9aの同じ点から発生する2次X線5の強度はいずれの波長についても入射角度θとほぼ比例関係にあることに基づいて、各測定点32で補正ステージ角度φに調整したままで、基準X線5aの測定強度について基準点31と対比することにより、蛍光X線5bの測定強度を1次X線3の入射角度θが適切である場合の強度に補正する。
【0061】
つまり、各測定点32において補正ステージ角度φからさらにステージ角度を調整することを行わず、その分測定時間が第1実施形態の装置よりもさらに短くなるとともに、蛍光X線5bの測定強度を演算で補正することで、適切なステージ角度に調整するのと近似した効果が得られる。したがって、第2実施形態の装置によっても、十分正確な測定強度の分布を短時間で求めることができる。
【0062】
次に、本発明の第3実施形態の全反射蛍光X線分析装置について説明する。この装置は、制御手段24Cの動作の一部のみが以下のように前記第2実施形態の装置と異なるが、その他の点については同様であるので説明を省略する。
【0063】
第3実施形態の装置の制御手段24Cは、前記第2実施形態の装置の制御手段24Bと同様に、基準試料9を用いて補正ステージ角度φを求めて記憶しておく。次に、分析対象試料1について、各測定点32に対応するステージ位置で前記補正ステージ角度φに調整して、蛍光X線5bの強度を測定し、測定強度の分布を求める。
【0064】
第3実施形態の装置では、各測定点32で補正ステージ角度φに調整したままで、蛍光X線5bの測定強度を補正することもしない。つまり、分析対象試料1ごとに基準強度を測定しないので、その分測定時間が第2実施形態の装置よりもさらに短くなるとともに、蛍光X線5bの測定強度の正確さは、補正を行う第2実施形態の装置と比べて大きな差異はない。したがって、第3実施形態の装置によっても、十分正確な測定強度の分布を短時間で求めることができる。
【0065】
第1〜第3実施形態の装置においては、図4に示す分析対象試料1の測定点32,33(それぞれ、基準点31近傍の1つの測定点32A,33Aにのみ符号を記している)として、図3に示した基準試料9の測定点32とは位置(対応するステージ位置)が合致しない基準外測定点33が指定された場合に、制御手段24A,24B,24Cが、基準外測定点33の補正ステージ角度として、その基準外測定点33の近傍で基準試料9の測定点32と位置(対応するステージ位置)が合致する測定点32の補正ステージ角度φに基づいて補間したステージ角度φを用いることが好ましい。
【0066】
例えば、基準点31が測定点32に含まれる場合、図4の基準外測定点33Aの近傍には、基準試料9の測定点32と位置(対応するステージ位置)が合致する測定点32として、測定点31と測定点32Aがあり、両測定点31,32Aのちょうど中間に基準外測定点33Aが位置するから、基準外測定点33Aの補正ステージ角度φm(33A)として、測定点31の補正ステージ角度φm(31)と測定点32Aの補正ステージ角度φm(32A)の平均(φm(31)+φm(32A))/2を用いることができる。
【0067】
この好ましい構成によれば、分析対象試料1で指定される測定点32,33のうち、適切に分布させた一部32についてのみ、基準試料9を用いて補正ステージ角度φを求めて記憶しておけばよいので、簡便に、分析対象試料1のすべての測定点32,33について補正ステージ角度φを求めて記憶するのと近似した効果が得られる。
【0068】
次に、本発明の第4実施形態の全反射蛍光X線分析装置について説明する。この装置は、制御手段24Dの動作が以下のように前記第2実施形態の装置と異なるが、その他の点については同様であるので説明を省略する。
【0069】
第4実施形態の装置の制御手段24Dは、分析対象試料1について、試料表面1aから均一に発生する基準X線5aの強度を基準となるステージ位置(試料表面1aの基準点31に対応する)で1次X線3の入射角度θが適切になるようにステージ角度を調整して基準強度として測定する。そして、その調整したステージ角度を維持して、各測定点32に対応するステージ位置で蛍光X線5bおよび基準X線5aの強度を測定し、その基準X線5aの測定強度の前記基準強度に対する比で除することにより蛍光X線5bの測定強度を補正して、補正後の測定強度の分布を求める。
【0070】
第4実施形態の装置は、第2実施形態の装置を簡略化したもので、補正ステージ角度を用いず、それに代えて、各分析対象試料1の基準点31で基準強度を測定したときの適切なステージ角度を各測定点32で用いる。つまり、そのステージ角度を維持したままで、各測定点32において補正ステージ角度に調整することも行わず、その分測定時間が第2実施形態の装置よりもさらに短くなるとともに、各測定点32において、蛍光X線5aの測定強度を補正する程度はやや大きくなるものの、やはり、適切なステージ角度に調整するのと近似した効果が得られる。したがって、第4実施形態の装置によっても、十分正確な測定強度の分布を短時間で求めることができる。
【0071】
次に、本発明の第5実施形態の全反射蛍光X線分析装置について説明する。この装置は、制御手段24Eの動作が以下のように前記第4実施形態の装置と異なるが、その他の点については同様であるので説明を省略する。
【0072】
第5実施形態の装置の制御手段24Eは、まず、基準試料9について、試料表面9aから均一に発生する基準X線5aの強度を基準となるステージ位置(試料表面9aの基準点31に対応する)で1次X線3の入射角度θが適切になるようにステージ角度を調整して基準強度として測定する。次に、分析対象試料1について、基準試料9で調整されたステージ角度を維持して、各測定点32に対応するステージ位置で蛍光X線5bおよび基準X線5aの強度を測定し、その基準X線5aの測定強度の前記基準強度に対する比で除することにより蛍光X線5bの測定強度を補正して、補正後の測定強度の分布を求める。
【0073】
第5実施形態の装置は、第4実施形態の装置をさらに簡略化したもので、分析対象試料1ごとに基準点31でステージ角度を適切に調整して基準強度を測定することを行わず、それに代えて、基準試料9の基準点31で適切に調整したステージ角度と測定した基準強度を用いる。つまり、基準試料9の基準点31で調整したステージ角度を維持したままで、各分析対象試料1の基準点31でステージ角度を調整することも行わず、その分測定時間が第4実施形態の装置よりもさらに短くなるとともに、各測定点32において、蛍光X線5bの測定強度を補正する程度はやや大きくなるものの、やはり、適切なステージ角度に調整するのと近似した効果が得られる。したがって、第5実施形態の装置によっても、十分正確な測定強度の分布を短時間で求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の第1〜第5実施形態の全反射蛍光X線分析装置を示す概略図である。
【図2】全反射蛍光X線分析の原理を説明する図である。
【図3】基準試料および分析対象試料の一例を示す図である。
【図4】分析対象試料の別の例を示す図である。
【符号の説明】
【0075】
1 分析対象試料
1a 分析対象試料の表面
3 1次X線
5a 基準X線
5b 蛍光X線
9 基準試料
9a 基準試料の表面
18 ステージ
24 制御手段
31 基準点
32 測定点
33 基準外測定点
θ 試料への1次X線の入射角度
φ 補正ステージ角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料の移動および傾き調整が可能なステージを備え、試料表面の複数の測定点に微小な入射角度で1次X線を入射させて、発生する蛍光X線の強度を測定し、測定強度の分布を求める全反射蛍光X線分析装置において、
基準試料について、試料表面から均一に発生する基準X線の強度を基準となるステージ位置で1次X線の入射角度が適切になるようにステージ角度を調整して基準強度として測定し、各測定点に対応するステージ位置で前記基準X線の測定強度が前記基準強度と合致するようにステージ角度を調整して補正ステージ角度として記憶し、
分析対象試料について、前記基準強度を測定し、
前記各測定点に対応するステージ位置で前記補正ステージ角度に調整して、前記基準X線の強度を測定し、
その基準X線の測定強度が前記基準強度と合致している場合には、前記補正ステージ角度で測定した蛍光X線の強度を測定強度として採用し、合致していない場合には、合致するようにステージ角度を調整して測定した蛍光X線の強度を測定強度として採用し、
測定強度の分布を求めるとともに、最新の調整前後のステージ角度に基づいて前記補正ステージ角度を更新する制御手段を備えたことを特徴とする全反射蛍光X線分析装置。
【請求項2】
試料の移動および傾き調整が可能なステージを備え、試料表面の複数の測定点に微小な入射角度で1次X線を入射させて、発生する蛍光X線の強度を測定し、測定強度の分布を求める全反射蛍光X線分析装置において、
基準試料について、試料表面から均一に発生する基準X線の強度を基準となるステージ位置で1次X線の入射角度が適切になるようにステージ角度を調整して基準強度として測定し、各測定点に対応するステージ位置で前記基準X線の測定強度が前記基準強度と合致するようにステージ角度を調整して補正ステージ角度として記憶し、
分析対象試料について、前記基準強度を測定し、
前記各測定点に対応するステージ位置で前記補正ステージ角度に調整して、蛍光X線および前記基準X線の強度を測定し、その基準X線の測定強度の前記基準強度に対する比で除することにより蛍光X線の測定強度を補正して、補正後の測定強度の分布を求める制御手段を備えたことを特徴とする全反射蛍光X線分析装置。
【請求項3】
試料の移動および傾き調整が可能なステージを備え、試料表面の複数の測定点に微小な入射角度で1次X線を入射させて、発生する蛍光X線の強度を測定し、測定強度の分布を求める全反射蛍光X線分析装置において、
基準試料について、試料表面から均一に発生する基準X線の強度を基準となるステージ位置で1次X線の入射角度が適切になるようにステージ角度を調整して基準強度として測定し、各測定点に対応するステージ位置で前記基準X線の測定強度が前記基準強度と合致するようにステージ角度を調整して補正ステージ角度として記憶し、
分析対象試料について、前記各測定点に対応するステージ位置で前記補正ステージ角度に調整して、蛍光X線の強度を測定し、測定強度の分布を求める制御手段を備えたことを特徴とする全反射蛍光X線分析装置。
【請求項4】
試料の移動および傾き調整が可能なステージを備え、試料表面の複数の測定点に微小な入射角度で1次X線を入射させて、発生する蛍光X線の強度を測定し、測定強度の分布を求める全反射蛍光X線分析装置において、
基準試料について、各測定点に対応するステージ位置で1次X線の入射角度が適切になるようにステージ角度を調整して補正ステージ角度として記憶し、
分析対象試料について、試料表面から均一に発生する基準X線の強度を基準となるステージ位置で1次X線の入射角度が適切になるようにステージ角度を調整して基準強度として測定し、
前記各測定点に対応するステージ位置で前記補正ステージ角度に調整して、前記基準X線の強度を測定し、
その基準X線の測定強度が前記基準強度と合致している場合には、前記補正ステージ角度で測定した蛍光X線の強度を測定強度として採用し、合致していない場合には、合致するようにステージ角度を調整して測定した蛍光X線の強度を測定強度として採用し、
測定強度の分布を求めるとともに、最新の調整前後のステージ角度に基づいて前記補正ステージ角度を更新する制御手段を備えたことを特徴とする全反射蛍光X線分析装置。
【請求項5】
試料の移動および傾き調整が可能なステージを備え、試料表面の複数の測定点に微小な入射角度で1次X線を入射させて、発生する蛍光X線の強度を測定し、測定強度の分布を求める全反射蛍光X線分析装置において、
基準試料について、各測定点に対応するステージ位置で1次X線の入射角度が適切になるようにステージ角度を調整して補正ステージ角度として記憶し、
分析対象試料について、試料表面から均一に発生する基準X線の強度を基準となるステージ位置で1次X線の入射角度が適切になるようにステージ角度を調整して基準強度として測定し、
前記各測定点に対応するステージ位置で前記補正ステージ角度に調整して、蛍光X線および前記基準X線の強度を測定し、その基準X線の測定強度の前記基準強度に対する比で除することにより蛍光X線の測定強度を補正して、補正後の測定強度の分布を求める制御手段を備えたことを特徴とする全反射蛍光X線分析装置。
【請求項6】
試料の移動および傾き調整が可能なステージを備え、試料表面の複数の測定点に微小な入射角度で1次X線を入射させて、発生する蛍光X線の強度を測定し、測定強度の分布を求める全反射蛍光X線分析装置において、
基準試料について、各測定点に対応するステージ位置で1次X線の入射角度が適切になるようにステージ角度を調整して補正ステージ角度として記憶し、
分析対象試料について、前記各測定点に対応するステージ位置で前記補正ステージ角度に調整して、蛍光X線の強度を測定し、測定強度の分布を求める制御手段を備えたことを特徴とする全反射蛍光X線分析装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項において、
前記分析対象試料の測定点として前記基準試料の測定点とは対応するステージ位置が合致しない基準外測定点が指定された場合に、前記制御手段が、前記基準外測定点の補正ステージ角度として、前記基準外測定点の近傍で前記基準試料の測定点と対応するステージ位置が合致する測定点の前記補正ステージ角度に基づいて補間したステージ角度を用いる全反射蛍光X線分析装置。
【請求項8】
試料の移動および傾き調整が可能なステージを備え、試料表面の複数の測定点に微小な入射角度で1次X線を入射させて、発生する蛍光X線の強度を測定し、測定強度の分布を求める全反射蛍光X線分析装置において、
分析対象試料について、試料表面から均一に発生する基準X線の強度を基準となるステージ位置で1次X線の入射角度が適切になるようにステージ角度を調整して基準強度として測定し、その調整したステージ角度を維持して、各測定点に対応するステージ位置で蛍光X線および前記基準X線の強度を測定し、その基準X線の測定強度の前記基準強度に対する比で除することにより蛍光X線の測定強度を補正して、補正後の測定強度の分布を求める制御手段を備えたことを特徴とする全反射蛍光X線分析装置。
【請求項9】
試料の移動および傾き調整が可能なステージを備え、試料表面の複数の測定点に微小な入射角度で1次X線を入射させて、発生する蛍光X線の強度を測定し、測定強度の分布を求める全反射蛍光X線分析装置において、
基準試料について、試料表面から均一に発生する基準X線の強度を基準となるステージ位置で1次X線の入射角度が適切になるようにステージ角度を調整して基準強度として測定し、
分析対象試料について、前記基準試料で調整されたステージ角度を維持して、各測定点に対応するステージ位置で蛍光X線および前記基準X線の強度を測定し、その基準X線の測定強度の前記基準強度に対する比で除することにより蛍光X線の測定強度を補正して、補正後の測定強度の分布を求める制御手段を備えたことを特徴とする全反射蛍光X線分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−214868(P2006−214868A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−27960(P2005−27960)
【出願日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(000111096)シルトロニック・ジャパン株式会社 (23)
【出願人】(000250351)理学電機工業株式会社 (44)
【Fターム(参考)】