説明

内燃機関の可変ノズル式過給機

【課題】内燃機関の排気に供給された燃料が、可変ノズル式過給機内における、ノズルベーンの開度制御に係る駆動部品の摺動部に侵入することを抑制し、ノズルベーンの開度制御の性能が劣化することを抑制する。
【解決手段】ハウジング23の外部に設けられたアクチュエータの駆動力を、レバーユニット255によってリンク機構に伝達することで、可変ノズル装置を作動させる可変ノズル式過給機を対象としている。そして、ハウジング23内に設けられレバーユニット255の回動軸255aと、回動軸255aを回動可能に支持するブッシュ257との間のクリアランスC3に、燃料が供給されていない排気を連通管27を介して導入することで、クリアランスC3に燃料を含んだ排気がリンク室256側から侵入しづらくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は内燃機関の過給機において、ノズルベーンの開度を変更可能な可変ノズル式過給機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両に搭載された内燃機関の出力を向上させるために用いられる過給機では、排気通路にタービンハウジングが設けられるとともに吸気通路にはコンプレッサハウジングが設けられる。そして、タービンハウジング内に設けられたタービンホイールとコンプレッサハウジング内に設けられたコンプレッサホイールとが、ロータシャフトによって一体回転可能に連結されている。
【0003】
そして、内燃機関の排気通路を流れる排気は、タービンハウジング内に流入すると、タービンホイールの周りのタービンスクロールを通過した後、タービンホイールに吹付けられる。この排気の吹付けによりタービンホイールが回転すると、その回転はロータシャフトを介してコンプレッサホイールに伝達され、コンプレッサホイールが回転する。このコンプレッサホイールの回転によって内燃機関に導入される空気が過給される。
【0004】
また、上記の過給機としては、ノズルベーンの翼角を機関出力(機関負荷)によって変化せしめる可変ノズル装置を装備した可変ノズル式過給機が広く用いられている。この可変ノズル式過給機においては、アクチュエータの駆動力をレバーユニットを介してユニゾンリング、アーム及び、ノズルプレートとアームとを連結するノズルベーン軸を含むリンク機構に伝達する。そして、このリンク機構を用いてノズルプレートに回動可能に支持されたノズルベーンに駆動力をさらに伝達し、該ノズルベーンの翼角を機関出力(機関負荷)に応じて変化させる。
【0005】
このような可変ノズル装置においては、ハウジング内でリンク機構が格納されるリンク室と、ノズルベーンが設けられたタービンスクロール内の排気流路とは、ノズルベーン軸を回動可能に支持するベーン軸受部とノズルベーン軸の間の隙間や、ハウジングとノズルプレートの間の隙間を介して連通している。また、リンク室とハウジングの外部とは、レバーユニットを回動可能に支持する軸受部とレバーユニットとの間の隙間を介して連通している。
【0006】
ここで、タービンスクロール内の排気流路には、燃料供給手段から燃料が供給されて燃料を含んだ排気が通過する機会が多く、また通常高圧の状態となっている。
【0007】
そうすると、タービンスクロール内の排気流路を通過する燃料を含んだ排気が、ベーン軸受部とノズルベーン軸の間の隙間や、ハウジングとノズルプレートの間の隙間を介してリンク室に侵入するおそれがある。さらに、レバーユニットを回動可能に支持する軸受部とレバーユニットとの間の隙間に侵入するおそれがある。そうすると、特にレバーユニットの軸受部は比較的低温であるために、軸受部に侵入した燃料が凝縮炭化してコーキングし、レバーユニットの作動を阻害するおそれがあった。その結果、ノズルベーンの開度制御の精度が低下したり、ノズルベーンの作動が正常に行われなくなったりするおそれがあった。
【0008】
これに関連し、排気ガスタービン用の可変ノズル装置において、タービン入口圧力よりも高い圧力のシール用空気を供給するシール用空気供給源をタービン側に設け、シール用空気供給源と可変ノズル装置の摺動部との間にシール用空気通路を設ける技術が提案され
ている(特許文献1参照。)。
【0009】
また、排気ブレーキの作動時にハウジング内のノズル室と該ハウジング内に形成されてリンク組立品が収納されるリンク室との間に圧力差を生成して、該圧力差によりノズルベーンをノズル室の一方側の側壁に押し付ける差圧生成手段を備えた技術が提案されている(特許文献2参照。)。
【特許文献1】実開平01−166726号公報
【特許文献2】特開2006−144715号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的とするところは、内燃機関の排気に供給された燃料が、可変ノズル式過給機内における、ノズルベーンの開度制御に係る駆動部品の摺動部に侵入することを抑制し、ノズルベーンの開度制御の性能が劣化することを抑制できる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための本発明は、ハウジングの外部に設けられたアクチュエータの駆動力を、伝達機構によってリンク機構に伝達することで、可変ノズル装置を作動させる可変ノズル式過給機を対象としている。そして、前記ハウジング内に設けられ伝達機構の一部を回動可能に支持する軸受部と回動する伝達機構の一部との間の隙間部分に、燃料が供給されていない排気を導入することで、該隙間部分に燃料を含んだ排気が侵入しづらくすることを最大の特徴とする。
【0012】
より具体的には、内燃機関の吸気通路上に配設されたコンプレッサホイールと、
内燃機関の排気通路上に配設され前記コンプレッサホイールと回転軸を共有するタービンホイールと、
前記タービンホイール近傍に配され、開度が変更可能な複数のノズルベーン及び該ノズルベーンの開度を変更させるリンク機構を有する可変ノズル装置と、
前記コンプレッサホイール及び前記タービンホイール及び前記可変ノズル装置を内部に収納するハウジングと、
前記ハウジングの外部に設けられたアクチュエータの駆動力を前記リンク機構に伝達して前記可変ノズル装置を作動させる伝達機構と、
前記内燃機関の排気に燃料を供給する燃料供給手段と、を備え、
前記ハウジング内には、
前記可変ノズル装置のリンク機構を格納するリンク室と、
前記伝達機構によって前記アクチュエータの駆動力を前記リンク機構に伝達するために、前記ハウジングの外部とリンク室とを連通するとともに前記伝達機構の一部を回動可能に支持する軸受部と、が設けられた内燃機関の可変ノズル式過給機であって、
前記軸受部と該軸受部に回動可能に支持された前記伝達機構の一部との間の隙間部分に、前記燃料供給手段によって燃料が供給されていない排気を導入する排気導入手段をさらに備えることを特徴とする。
【0013】
これによれば、ハウジング内に設けられた軸受部と、該軸受部に回動可能に支持された前記伝達機構の一部との間の隙間部分に対し、供給燃料が含まれていない排気を優先的に導入することができる。そうすると、導入された排気の圧力によって、燃料を含んだ排気が前記隙間部分に侵入することを抑制できる。
【0014】
その結果、軸受部と、伝達機構の回動する部分との隙間部分に燃料が侵入し、凝固炭化することでコーキングし、伝達機構の作動が悪化することを抑制できる。よって、隙間部
分に侵入した燃料によって可変ノズルの開度制御の精度が低下したり、可変ノズルの作動が正常に行われなくなったりすることを抑制できる。
【0015】
また、本発明においては、前記燃料供給手段は、前記排気通路中に設けられた燃料添加弁であり、
前記排気導入手段は、
前記排気通路における前記燃料添加弁の上流側の部分と前記隙間部分とを連通する連通管と、
該連通管の開通及び閉鎖を制御可能な連通弁と、
を有するようにしてもよい。
【0016】
これによれば、燃料添加弁の上流側を流れる排気を前記隙間部分に導入するので、より確実に、燃料が供給されていない排気を前記隙間部分に導入することができる。
【0017】
また、本発明においては、前記燃料供給手段は、前記内燃機関の燃焼室において燃料の主噴射に加えて燃料の副噴射を実施させる副噴射装置であり、
前記排気導入手段は、
前記排気通路における前記副噴射が実施されない気筒の直下流部分と前記隙間部分とを連通する連通管と、
該連通管の開通及び閉鎖を制御可能な連通弁と、
を有するようにしてもよい。
【0018】
これによれば、ポスト噴射などの副噴射によって排気に燃料が供給される場合において、副噴射により供給された燃料が含まれていない排気を選択的に前記隙間部分に導入するので、より確実に、燃料が供給されていない排気を前記隙間部分に導入することができる。
【0019】
なお、本発明における課題を解決するための手段は、可能な限り組み合わせて使用することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明にあっては、内燃機関の排気に供給された燃料が、可変ノズル式過給機内における、ノズルベーンの開度制御に係る駆動部品の摺動部に侵入することを抑制でき、ノズルベーンの開度制御の性能が劣化することを抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための最良の形態を例示的に詳しく説明する。
【実施例1】
【0022】
図1は、本実施例に係る内燃機関及び吸排気系、制御系の概略構成を示す図である。図1に示す内燃機関1は4つの気筒2を有している。内燃機関1には、吸気枝管8が接続されており、この吸気枝管8の上流側は吸気管9と接続されている。さらに吸気管9は、ターボチャージャ20のコンプレッサハウジング21に接続されている。一方、内燃機関1には、排気枝管18が接続され、この排気枝管18は、ターボチャージャ20のタービンハウジング22と接続されている。
【0023】
また、タービンハウジング22は排気通路としての排気管19と接続されている。この排気管19は、その下流にて図示しないマフラーに接続されている。この排気管19には、排気中の微粒子物質やNOxを浄化する排気浄化装置30が備えられている。また、排
気枝管18における枝管の集合部には、排気浄化装置30の排気浄化能力の再生処理において排気中に還元剤としての燃料を供給する燃料供給手段としての燃料添加弁5が備えられている。なお、排気枝管18には連通管27が接続されている。また、連通管27には、この連通管27の開通、遮断を制御可能な連通弁28が設けられている。この連通管27及び連通弁28の働きについては後に説明する。
【0024】
以上のような内燃機関1には、該内燃機関1を制御するための電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)35が併設されている。このECU35は、内燃機関1
の運転条件や運転者の要求に応じて内燃機関1の運転状態等を制御するユニットである。
【0025】
ECU35には、図示しないエアフローメータ、アクセルポジションセンサ、クランクポジションセンサなどのセンサ類が電気配線を介して接続され、出力信号がECU35に入力されるようになっている。一方、ECU35には、図示しない燃料噴射弁などの他、燃料添加弁5や、後述する可変ノズル機構を作動させるアクチュエータ、後述の連通弁28が電気配線を介して接続され、ECU35によって制御されるようになっている。
【0026】
ここで、本実施例のターボチャージャ20は、ノズルベーンの開度を制御可能な可変ノズルターボチャージャである。図2の断面図及び図3を用いて、一般的な構造の可変ノズルターボチャージャについて詳しく説明する。なお、この説明においては一般的な可変ノズルターボチャージャについて詳述するが、本実施例のターボチャージャ20と共通の構成については同じ符号を用いて説明する。
【0027】
この種のターボチャージャのハウジングにおいては、例えば図2に示すように、センターハウジング23の両側にコンプレッサハウジング21とタービンハウジング22とが設けられている。タービンハウジング22の内部には、タービンホイール220に排気を流入させるタービンスクロールとしてのスクロール通路221が形成されている。このスクロール通路221は巻き始めから巻き終りにかけて流路面積が徐々に小さくなり、タービンホイール220に圧縮された排気を吹き付けることが可能な構成となっている。なお、本実施例においては、センターハウジング23の両側にコンプレッサハウジング21とタービンハウジング22とが設けられることによりハウジング全体が形成されている。
【0028】
ここで、可変ノズルターボチャージャ20は、上述したビンホイール220と、吸気通路9に配置され、かつロータシャフト230を介してタービンホイール220に一体回転可能に連結されたコンプレッサホイール210とを備えている。可変ノズルターボチャージャ20では、排気が吹付けられてタービンホイール220が回転する。この回転は、ロータシャフト230を介してコンプレッサホイール210に伝達される。その結果、内燃機関1では、ピストンの移動に伴い気筒2内に発生する負圧によって空気が気筒2に取込まれるだけでなく、その空気がコンプレッサホイール210の回転によって強制的に気筒2内に送り込まれる(過給される)。このようにして、燃焼室への空気の充填効率が高められる。
【0029】
また、可変ノズルターボチャージャ20においては可変ノズル装置25が設けられている。この可変ノズル装置25によってスクロール通路221の流通面積が変更され、タービンホイール220に吹付けられる排気の流速を可変とする。このことにより、タービンホイール220の回転速度が調整され、気筒2に強制的に送り込まれる空気の量及び圧力(過給圧)が調整される。
【0030】
また、可変ノズル装置25は、図2及び図3に示すように、タービンホイール220への排気の流入部に配置された複数のノズルベーン250を有している。また、ノズルベーン250を軸251を介して揺動可能に保持するノズルプレート252、各軸251の端
部に固定されたアーム253を介して軸251を回転させるユニゾンリング254などからなる。ユニゾンリング254が回転されると、ユニゾンリング254と係合しているアーム253が軸251を中心にして揺動され、軸251の回動によってノズルベーン250の開度が変わる。ここで、ノズルプレート252、軸251、アーム253及びユニゾンリング254を含んでリンク機構が構成されている。また、リンク機構は、タービンハウジング22またはセンターハウジング23の内部のリンク室256に収納されている。
【0031】
ここで、ユニゾンリング254は、伝達機構としてのレバーユニット255を介してタービンハウジング22のまたはセンターハウジング23の外部から回転させられる。レバーユニット255の回動軸255aの端部に固定されたレバーアーム255bを最終的に揺動させることで、レバーアーム255bと係合するユニゾンリング254を回転させることができる。
【0032】
ここで、図3の(a)は図2中左方より可変ノズル装置25を見た図であり、図3(b)は図2中右方より可変ノズル装置25を見た図である。例えば、図3に示されるように、レバーユニット255を矢印に示すように駆動してレバーアーム255bを揺動させると、これに伴ってユニゾンリング254は矢印に示すように(図3(a)では反時計回り、図3(b)では時計回り)回転する。さらに、このユニゾンリング254の回転によって、各軸251が矢印に示すように(図3(a)では反時計回り、図3(b)では時計回り)回転される。このようにすると、ノズルベーン250の開度は閉じ側に制御される。
【0033】
ここで、図1における排気浄化装置30のPM再生処理またはSOx再生処理の際には
、燃料添加弁5から還元剤としての燃料が排気中に添加される。そうすると、このような燃料を含んだ排気は、スクロール通路221を通過した後、軸251とノズルプレート252の間のクリアランスC1または、ノズルプレート252とタービンハウジング22との間のクリアランスC2に侵入し、リンク室256に侵入する場合がある。
【0034】
また、その後、燃料を含んだ排気は軸受部としてのブッシュ257と回動軸255aの間のクリアランスC3に侵入し、タービンハウジング22の外部に漏洩する。このクリアランスC3近傍の温度は、クリアランスC1、C2近傍の温度と比較すると低温であるために、この部分を通過する排気中の燃料が凝縮炭化して回動軸255aの回動を阻害するおそれがあった。そうすると、ノズルベーン250の開度制御の精度が低下するおそれがあった。
【0035】
これに対し本発明においては、図1に示すとおり、内燃機関1の排気系において燃料添加弁5の上流側である排気枝管18と、クリアランスC3とを連通管27で連通することとした。これにより、クリアランスC3に対して、添加燃料を含まない排気を導入し、リンク室256側から燃料を含んだ排気がクリアランスC3に侵入しないようにした。
【0036】
そうすれば、クリアランスC3において燃料が凝固炭化する不都合を抑制することができ、ノズルベーン250の開度制御を高精度に維持することが可能となる。
【0037】
図4には、この場合のクリアランスC3付近の詳細な断面図を示す。本実施例においては、連通管27はセンターハウジング23に設けられた接続孔258に接続されている。また、ブッシュ257には、ブッシュ257の外側面と内側面を連通する排気導入孔257aが複数設けられている。
【0038】
従って、クリアランスC3における排気の圧力は、リンク室256における排気の圧力と同等以上となるので、燃料を含んだ排気がリンク室256からクリアランスC3に侵入することを抑制できる。
【0039】
図5には、本実施例におけるクリアランスC3付近の第2の態様についての詳細な断面図を示す。本実施例においては、このように、センターハウジング23におけるブッシュ257の外側面の周囲にチューブ状の貯気槽258aをさらに設けるようにしてもよい。そうすれば、ブッシュ257に設けられた複数の排気導入孔257aに添加燃料を含まない排気がより均等に、且つ効率的に導入されるようになる。その結果、より確実にクリアランスC3への燃料を含んだ排気の侵入を抑制することができる。
【0040】
図6には、本実施例におけるクリアランスC3付近の第3の態様についての詳細な断面図を示す。本実施例においては、このように、ブッシュ257の外側面にチューブ状のブッシュ貯気槽258bを設けるようにしてもよい。これによっても、ブッシュ257に設けられた複数の排気導入孔257aに添加燃料を含まない排気がより均等に、且つ効率的に導入されるようにすることができる。
【0041】
なお、本実施例においては、排気浄化装置30のPM再生処理またはSOx再生処理の
実行中にのみ、連通路27の連通弁28を開弁し、その他の期間においては連通弁28を閉弁するようにしてもよい。
【0042】
そうすれば、排気中に燃料添加弁5から燃料が添加される、排気浄化装置30のPM再生処理またはSOx再生処理の実行中にのみ、排気の一部を連通弁28を経由してクリア
ランスC3に導入することができる。換言すると、排気浄化装置30のPM再生処理またはSOx再生処理の実行中以外の期間、すなわち、排気中に燃料添加弁5から燃料が添加
されていない期間においては、全ての排気をタービンハウジング22に導入することができ、内燃機関1の過給効率を可及的に向上させることができる。
【0043】
なお、本実施例において、連通路27及び連通弁28は、排気導入手段を構成する。
【実施例2】
【0044】
次に、本発明の実施例2について説明する。本実施例においては、燃料添加弁が排気枝管の集合部より上流側に設置されている場合について説明する。
【0045】
本実施例に係る内燃機関及び吸排気系、制御系の概略構成を図7に示す。本実施例においては、図に示すように、燃料添加弁15は、排気枝管18の分岐部における図中左端部に配置されている。また、本実施例における連通管29は、排気枝管18の分岐部における燃料添加弁15とは反対側の右端部において排気枝管18と接続されている。これによれば、燃料添加弁15が排気枝管18の分岐部に配置されている場合でも、連通管29と排気枝管18との接続部が燃料添加弁15から可及的に離れた部分に設けられることとなる。従って、燃料添加弁15から添加された燃料が連通管29に導入されることが抑制され、クリアランスC3に、添加燃料を含まない排気をより確実に導入することができる。
【実施例3】
【0046】
次に、本発明における実施例3について図8を用いて説明する。本実施例においては、燃料供給手段として内燃機関1の排気系に燃料添加弁を備えるのではなく、内燃機関におけるポスト噴射などの副噴射によって燃料を排気に供給する場合について説明する。
【0047】
本実施例においては、排気浄化装置30のPM再生処理またはSOx再生処理において
は、図8に示す気筒2a〜2cまでの3つの気筒においてポスト噴射を実行する。しかし、気筒2dにおいては、ポスト噴射は実行しないこととする。そして、連通管32は、気筒2dの排気ポートに接続された枝管の近傍において排気枝管18と接続させることとした。
【0048】
そうすれば、ポスト噴射により排気に供給された燃料が連通管32に導入されることをより確実に抑制することができるので、クリアランスC3に、供給燃料を含まない排気をより確実に導入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施例1における内燃機関の吸排気系及び制御系の概略構成を示す図である。
【図2】従来の可変ノズルターボチャージャの概略構成について示す断面図である。
【図3】従来の可変ノズル装置の概略構成について説明するための図である。
【図4】本発明の実施例1におけるレバーユニットの回動軸付近の概略構成について示す断面図である。
【図5】本発明の実施例1におけるレバーユニットの回動軸付近の概略構成に係る第2の態様について示す断面図である。
【図6】本発明の実施例1におけるレバーユニットの回動軸付近の概略構成に係る第3の態様について示す断面図である。
【図7】本発明の実施例2における内燃機関の吸排気系及び制御系の概略構成を示す図である。
【図8】本発明の実施例3における内燃機関の吸排気系及び制御系の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
1・・・内燃機関
2(2a〜2d)・・・気筒
5、15・・・燃料添加弁
8・・・吸気枝管
9・・・吸気管
18・・・排気枝管
19・・・排気管
20・・・ターボチャージャ
21・・・コンプレッサハウジング
22・・・タービンハウジング
23・・・センターハウジング
27、29、32・・・連通管
28、31、33・・・連通弁
30・・・排気浄化装置
35・・・ECU
250・・・ノズルベーン
251・・・軸
252・・・ノズルプレート
253・・・アーム
254・・・ユニゾンリング
255・・・レバーユニット
255a・・・回動軸
256・・・リンク室
257・・・ブッシュ
257a・・・排気導入孔
258・・・接続孔
258a・・・貯気槽
258b・・・ブッシュ貯気槽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の吸気通路上に配設されたコンプレッサホイールと、
内燃機関の排気通路上に配設され前記コンプレッサホイールと回転軸を共有するタービンホイールと、
前記タービンホイール近傍に配され、開度が変更可能な複数のノズルベーン及び該ノズルベーンの開度を変更させるリンク機構を有する可変ノズル装置と、
前記コンプレッサホイール及び前記タービンホイール及び前記可変ノズル装置を内部に収納するハウジングと、
前記ハウジングの外部に設けられたアクチュエータの駆動力を前記リンク機構に伝達して前記可変ノズル装置を作動させる伝達機構と、
前記内燃機関の排気に燃料を供給する燃料供給手段と、を備え、
前記ハウジング内には、
前記可変ノズル装置のリンク機構を格納するリンク室と、
前記伝達機構によって前記アクチュエータの駆動力を前記リンク機構に伝達するために、前記ハウジングの外部とリンク室とを連通するとともに前記伝達機構の一部を回動可能に支持する軸受部と、が設けられた内燃機関の可変ノズル式過給機であって、
前記軸受部と該軸受部に回動可能に支持された前記伝達機構の一部との間の隙間部分に、前記燃料供給手段によって燃料が供給されていない排気を導入する排気導入手段をさらに備えることを特徴とする内燃機関の可変ノズル式過給機。
【請求項2】
前記燃料供給手段は、前記排気通路中に設けられた燃料添加弁であり、
前記排気導入手段は、
前記排気通路における前記燃料添加弁の上流側の部分と前記隙間部分とを連通する連通管と、
該連通管の開通及び閉鎖を制御可能な連通弁と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の可変ノズル式過給機。
【請求項3】
前記燃料供給手段は、前記内燃機関の燃焼室において燃料の主噴射に加えて燃料の副噴射を実施させる副噴射装置であり、
前記排気導入手段は、
前記排気通路における前記副噴射が実施されない気筒の直下流部分と前記隙間部分とを連通する連通管と、
該連通管の開通及び閉鎖を制御可能な連通弁と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の可変ノズル式過給機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−68375(P2009−68375A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−235638(P2007−235638)
【出願日】平成19年9月11日(2007.9.11)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】