説明

内燃機関の吸気制御装置

【課題】 吸気渦流発生装置のモータへの通電の有無によらず、TCVの実バルブ開度を精度良く検出することを課題とする。
【解決手段】 吸気渦流発生装置のモータのコイルに電力を供給している時に、バルブ開度センサの出力信号のAD取込タイミングを、Hブリッジ回路に与えるPWM信号のPWM周期におけるモータへの通電開始タイミングと同期させ、PWM周期における通電OFF期間中にのみバルブ開度センサの出力信号を取り込むようにしている。したがって、ホールICを有するバルブ開度センサの出力変動が少ない、PWM周期における通電OFF期間中に取り込んだバルブ開度センサの出力信号のA/D変換値からTCVの実バルブ開度を検出(算出)しているので、モータのコイルへの通電の有無によらず、TCVの実バルブ開度を精度良く検出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の燃焼室に連通する吸気通路を開閉する吸気通路開閉装置を備えた内燃機関の吸気制御装置に関するもので、特に内燃機関の燃焼室内において吸気渦流を発生させる吸気渦流発生装置を備えた内燃機関の吸気制御装置に係わる。
【背景技術】
【0002】
[従来の技術]
従来より、内燃機関の吸気制御装置として、内燃機関(エンジン)の燃焼室に連通する吸気通路の通路断面積を絞ることで、エンジンの燃焼室内に混合気のスワール流やタンブル流等の旋回流(吸気渦流)を発生させて燃焼効率の向上を図るようにした吸気渦流発生装置が公知である(例えば、特許文献1及び2参照)。この吸気渦流発生装置は、エンジンの吸気通路を形成するダクトと、エンジンの吸気通路を開閉する吸気流制御弁(SCVまたはTGV)と、この吸気流制御弁の弁体(バルブ)を支持する回転軸とを備えている。
【0003】
この吸気流制御弁には、バルブの回転軸を駆動するモータが連結されている。そして、モータは、制御ユニットによって吸入空気量、機関回転数、スロットルバルブ開度等のエンジンの運転状況および吸気流制御バルブ開度に基づいて通電制御されるように構成されている。
ここで、吸気渦流発生装置は、一般的に、エンジン始動時やアイドル運転時に、バルブ開度が、吸気流制御弁のバルブを全閉した全閉開度の状態となるようにモータを通電制御して、エンジンの燃焼室内において旋回流(タンブル流、スワール流)を発生させ、エンジンの通常運転時には、バルブ開度が、吸気流制御弁のバルブを全開した全開開度の状態となるようにモータを通電制御して、吸入空気を吸気通路内においてストレートに通過させ、旋回流の発生を停止するように吸気制御を行っている。
【0004】
また、イグニッションスイッチのオン(IG・ON)時に、スロットルバルブを全閉位置(ストッパ)に突き当てて、そのときのスロットル開度センサの出力信号から全閉位置を基準位置として学習し、エンジン運転中に、全閉位置を基準にして、実スロットル開度をアクセル開度等に基づいて設定された目標スロットル開度に一致させるように直流(DC)モータの駆動デューティ比をPID制御等によって制御するようにした内燃機関の電子スロットル制御装置が公知である(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
このような電子スロットル制御装置においては、個体差や誤組付によってスロットル開度センサの全閉学習値が実際の全閉位置よりも閉じ側にズレることがある。この場合、目標スロットル開度を全閉位置に設定すると、スロットルバルブが全閉位置に突き当たった後も、PID制御等によってスロットルバルブを閉じ側に駆動し続けることになる。
しかし、スロットルバルブが全閉位置に突き当たった後は、スロットルバルブを閉じ側に駆動し続けても、実スロットル開度と目標スロットル開度との偏差がそれ以上縮まらないため、モータの駆動デューティ比が最大デューティ比(100%デューティ比)まで急増し、モータの巻線が焼損する可能性がある。
このモータの故障を防止するという目的で、モータの駆動デューティ比が、100%の状態が所定時間以上継続したときに、異常と判断するようにしている。
【0006】
[従来の技術の不具合]
ところが、特許文献1及び2に記載の吸気渦流発生装置においては、SCVまたはTGVのバルブが、エンジンのピストンの昇降および吸気バルブの開閉に伴って大きな吸気負圧と小さな大気圧とが繰り返し作用する吸気通路内に設置されている。すなわち、吸気通路内に設置されたSCVまたはTGVのバルブには、エンジンのピストンの昇降および吸気バルブの開閉に伴う吸気脈動トルクが作用する。
【0007】
例えばバルブ全閉時に、SCVまたはTGVのバルブに吸気負圧が作用すると、SCVまたはTGVのバルブの回転軸を中心とする開弁作動方向への負荷トルク(曲げモーメント)が加わり、SCVまたはTGVのバルブが全閉開度の状態を維持できない。また、例えばバルブ全開時に、SCVまたはTGVのバルブに吸気脈動が作用すると、SCVまたはTGVのバルブの回転軸を中心とする閉弁作動方向への負荷トルク(曲げモーメント)が加わり、SCVまたはTGVのバルブが全開開度の状態を維持できない。
この状態は、回転軸がバルブ中央部よりもバルブ面方向の一方側にズレた片持ち式のバルブの場合に、回転軸がバルブ中央部に設置される両持ち式のバルブと比べてより顕著に表れる。
【0008】
そこで、エンジンの運転中にバルブの全閉開度の状態または全開開度の状態を維持するという目的で、バルブを全開位置および全閉位置に回転させた後もモータを低トルクで駆動して、バルブの回転軸を確実に全開位置および全閉位置に保持する保持制御を行う吸気渦流発生装置が提案されている(例えば、特許文献4参照)。この吸気渦流発生装置においては、バルブの全閉状態を保持する全閉保持制御、バルブの全開状態を保持する全開保持制御を行うために、バルブの回転角度(開度)を検出するようにしている。
【0009】
ここで、バルブ開度センサを有する内燃機関の吸気制御装置として、図14に示したように、内部にエンジンの吸気通路101が形成されたケーシング(吸気管)102と、エンジンの吸気通路101の通路断面積を絞ることでエンジンの燃焼室内にタンブル流を発生させる吸気流制御弁(TCV)と、このTCVのバルブ103を支持する回転軸104と、このシャフト104を介してバルブ103を駆動するアクチュエータとを備えた吸気渦流発生装置が知られている(例えば、特許文献5参照)。
【0010】
この特許文献5に記載のアクチュエータは、モータ105、ウォームギヤ111、ヘリカルギヤ112、弾性部材113、出力用スパーギヤ114および入力用スパーギヤ115等によって構成されている。また、アクチュエータには、TCVのバルブ開度を検出する非接触式のバルブ開度センサ(磁気センサ)が搭載されている。
このバルブ開度センサは、入力用スパーギヤ115に保持固定されたマグネット116、このマグネット116に対向配置されて、マグネット116の磁力により磁化される一対のヨーク、およびこれらのヨークの対向部間に形成される磁気検出ギャップに配置されたホールIC117等を有している。なお、119は、全開ストッパである。
【0011】
ところが、特許文献4及び5に記載の吸気渦流発生装置においては、バルブ103を全開位置および全閉位置に回転させた後もモータ105を通電することにより、バルブ開度センサ(ホールIC117)の周辺磁場が変化し、バルブ開度センサの出力が変動する。このため、バルブ開度センサの検出精度が悪化する。
これにより、特許文献3に記載の基準位置学習(全閉位置学習)を特許文献4及び5に記載の吸気渦流発生装置に採用した場合には、目標バルブ開度を全閉位置に設定すると、TCVのバルブが全閉位置に突き当たった後も、モータの駆動力によってバルブを閉じ側に駆動し続けることになる。
そして、モータへの駆動デューティ比が100%デューティ比まで急増し、この状態が所定時間以上継続することになるので、バルブ開度センサが異常(故障)であると誤検出(誤診断)してしまうという可能性がある。
【特許文献1】特開2000ー073843号公報
【特許文献2】特開2001ー329848号公報
【特許文献3】特許第3562938号公報
【特許文献4】特開2002ー266647号公報
【特許文献5】特開2007ー068378号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、モータへの通電の有無によらず、バルブの開度を精度良く検出することのできる内燃機関の吸気制御装置を提供することにある。また、制御上の基準位置の誤学習を防止することのできる内燃機関の吸気制御装置を提供することにある。また、正常なセンサを異常(故障)と誤診断してしまうことを未然に防止することのできる内燃機関の吸気制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、モータに電力を供給している時に、センサの出力の取込タイミングをモータへの通電開始タイミングの整数倍近傍に設定し、パルス信号の発生周期における通電オフ期間中にのみセンサの出力を取り込むようにしている。
したがって、非接触式の磁気検出素子を有するセンサの出力変動が少ない、パルス信号の発生周期における通電オフ期間中に取り込んだセンサの出力からバルブの開度を検出しているので、モータへの通電の有無によらず、バルブの開度を精度良く検出することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、センサの出力の取込タイミングをモータへの通電開始タイミングの整数倍近傍に設定するとは、センサの出力の取込タイミングをモータへの通電開始タイミングと同期させることである。すなわち、制御ユニットは、センサの出力の取込タイミングをモータへの通電開始タイミングと同期させると共に、パルス信号の発生周期における通電オフ期間中にのみセンサの出力を取り込むことを特徴としている。
請求項3に記載の発明によれば、センサの出力の取込タイミングをモータへの通電開始タイミングの整数倍近傍に設定するとは、モータへの通電開始タイミングの直前でセンサの出力を取り込むことである。すなわち、制御ユニットは、モータへの通電開始タイミングの直前で、しかもパルス信号の発生周期における通電オフ期間中にのみセンサの出力を取り込むことを特徴としている。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、制御ユニットは、センサの出力を所定の周期で取り込むサンプリング手段、このサンプリング手段で取り込んだセンサの出力からバルブの実開度を算出するバルブ開度演算手段、所定のデューティ比のパルス信号を所定の周期で発生するパルス信号発生手段、およびバルブの実開度と目標開度との偏差に基づいて、パルス信号のデューティ比を設定するデューティ比設定手段等によって構成されている。
ここで、目標開度は、例えばアクセル開度、吸気温度、機関温度、クランク角度、エンジン回転速度等の内燃機関の運転状態(運転状況)に対応して設定される。
請求項5に記載の発明によれば、サンプリング手段は、センサの出力をアナログ信号からデジタル信号に変換するためにサンプリングする周期(サンプリング周期)が、パルス信号の発生周期の整数倍近傍に設定されている、あるいはパルス信号の発生周期と同期している。また、サンプリング手段は、パルス信号の発生周期における通電オフ期間中にのみセンサの出力を取り込むようにサンプリング周期が設定されている。
【0016】
請求項6に記載の発明によれば、制御ユニットは、バルブが基準位置にあるときのセンサの出力から制御上の基準位置を求め、この制御上の基準位置を基準位置学習値として記憶する基準位置学習を行う学習制御手段、および基準位置学習値に基づいてバルブの開度を制御するバルブ開度制御手段等によって構成されている。
これによって、パルス信号の発生周期における通電オフ期間中にのみ取り込んだセンサの出力に基づいて基準位置学習を実行することができるので、制御上の基準位置の誤学習を防止することができる。
請求項7に記載の発明によれば、制御ユニットは、センサが異常であるか否かを判定するセンサ故障診断を行うセンサ異常判定手段等によって構成されている。
これによって、パルス信号の発生周期における通電オフ期間中にのみ取り込んだセンサの出力に基づいてセンサ故障診断を実行することができるので、正常なセンサを異常(故障)と誤診断してしまうことを未然に防止することができる。
【0017】
請求項8に記載の発明によれば、モータに電力を供給している時に、パルス信号の発生周期における通電オン期間中に取り込んだセンサの出力を無視するようにしている。
これにより、バルブを基準位置まで駆動した後も継続してモータを通電することにより、非接触式の磁気検出素子を有するセンサの周辺磁場が変化し、センサの出力が変動した場合でも、パルス信号の発生周期における通電オン期間中に取り込んだセンサの出力を無視する(例えば基準位置学習およびセンサ故障診断に使用しない)。
したがって、センサの出力変動が少ない、パルス信号の発生周期における通電オフ期間中に取り込んだセンサの出力からバルブの開度を検出しているので、モータへの通電の有無によらず、バルブの開度を精度良く検出することができる。
【0018】
請求項9に記載の発明によれば、バルブをその作動可能範囲の限界位置(例えば基準位置または全閉位置または全開位置)に突き当てるように、モータに電力を供給してモータに駆動力を発生させる。これにより、バルブがその作動可能範囲の限界位置(例えば基準位置または全閉位置または全開位置)にあるときのセンサの出力から制御上の限界位置を求め、この制御上の限界位置を限界位置学習値として記憶する限界位置学習を実行することができる。
請求項10に記載の発明によれば、制御ユニットは、センサの出力を所定の周期で取り込むサンプリング手段、このサンプリング手段で取り込んだセンサの出力からバルブの実開度を算出するバルブ開度演算手段、所定のデューティ比のパルス信号を所定の周期で発生するパルス信号発生手段、およびバルブの実開度と目標開度との偏差に基づいて、パルス信号のデューティ比を設定するデューティ比設定手段等によって構成されている。
ここで、目標開度は、例えばアクセル開度、吸気温度、機関温度、クランク角度、エンジン回転速度等の内燃機関の運転状態(運転状況)に対応して設定される。
【0019】
請求項11に記載の発明によれば、制御ユニットは、バルブが基準位置にあるときのセンサの出力から制御上の基準位置を求め、この制御上の基準位置を基準位置学習値として記憶する基準位置学習を行う学習制御手段、および基準位置学習値に基づいてバルブの開度を制御するバルブ開度制御手段等によって構成されている。
ここで、パルス信号の発生周期における通電オン期間中に取り込んだセンサの出力を無視するとは、パルス信号の発生周期における通電オン期間中に取り込んだセンサの出力に基づく基準位置学習の実行を禁止することである。
そして、パルス信号の発生周期における通電オン期間中に取り込んだセンサの出力に基づく基準位置学習の実行を禁止することで、パルス信号の発生周期における通電オフ期間中にのみ取り込んだセンサの出力に基づいて基準位置学習を実行することができる。これにより、制御上の基準位置の誤学習を防止することができる。
【0020】
請求項12に記載の発明によれば、制御ユニットは、センサが異常であるか否かを判定するセンサ故障診断を行うセンサ異常判定手段等によって構成されている。
ここで、パルス信号の発生周期における通電オン期間中に取り込んだセンサの出力を無視するとは、パルス信号の発生周期における通電オン期間中に取り込んだセンサの出力に基づくセンサ故障診断の実行を禁止することである。
そして、パルス信号の発生周期における通電オン期間中に取り込んだセンサの出力に基づくセンサ故障診断の実行を禁止することで、パルス信号の発生周期における通電オフ期間中にのみ取り込んだセンサの出力に基づいてセンサ故障診断を実行することができる。これにより、正常なセンサを異常(故障)と誤診断してしまうことを未然に防止することができる。
【0021】
請求項13に記載の発明によれば、制御ユニットは、モータに対してHブリッジ型に接続された4つのスイッチング素子を有するHブリッジ回路、所定のデューティ比のパルス幅変調信号を所定の周期で発生するパルス幅変調信号発生手段、センサの出力を所定の周期で取り込むサンプリング手段、このサンプリング手段で取り込んだセンサの出力からバルブの実開度を算出するバルブ開度演算手段、およびバルブの開度が目標開度になるように、パルス幅変調信号のデューティ比を設定するデューティ比設定手段等によって構成されている。
【0022】
請求項14に記載の発明によれば、バルブとして、内燃機関の燃焼室内に吸気渦流を発生させる吸気渦流発生装置の弁体である吸気流制御バルブを採用している。なお、バルブとして、内燃機関の吸気通路を開閉する吸気通路開閉装置の弁体である吸気制御バルブ、あるいは内燃機関の燃焼室に供給するための吸入空気の流量を制御する電子スロットル制御装置のスロットルバルブを用いても良い。
請求項15に記載の発明によれば、バルブとして、回転軸がバルブの板厚方向に対して垂直なバルブ面方向の一方側に偏った片持ち式のバルブを採用している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明を実施するための最良の形態は、モータへの通電の有無によらず、バルブの開度を精度良く検出するという目的を、センサの出力変動が少ない、パルス信号の発生周期における通電オフ期間中に取り込んだセンサの出力を使用してバルブの開度を検出(算出)することで実現した。
【実施例1】
【0024】
[実施例1の構成]
図1ないし図12は本発明の実施例1を示したもので、図1は内燃機関の吸気制御装置を示し図で、図2(a)は吸気流制御バルブの全閉位置を示した図で、図2(b)は吸気流制御バルブの全開位置を示した図で、図3はバルブユニット(カートリッジ)を示した図で、図4は吸気渦流発生装置を示した図で、図5はエンジン制御システムを示した図で、図6はHブリッジ回路およびマイクロコンピュータを示した図である。
【0025】
本実施例の内燃機関の制御装置(エンジン制御システム)は、複数の気筒を有する内燃機関(例えば4気筒ガソリンエンジン:以下エンジンと言う)の各気筒毎の燃焼室に吸入空気(吸気)を供給するための吸気通路を開閉する内燃機関の吸気制御装置(吸気通路開閉装置)として使用されるものである。
そして、内燃機関の吸気制御装置(吸気通路開閉装置)は、エンジンの各気筒毎の燃焼室内に供給される吸入空気の流量(吸入空気量)を制御する電子スロットル制御装置と、エンジンの各気筒毎の燃焼室内において混合気の燃焼を促進させるための吸気渦流を生成する吸気渦流発生装置とを備えている。
【0026】
ここで、エンジンは、エアクリーナのフィルタエレメント13で濾過された清浄な吸入空気とインジェクタ(電磁式燃料噴射弁)14より噴射された燃料との混合気を燃焼室内で燃焼させて得られる熱エネルギーにより出力を発生するもので、吸気行程、圧縮行程、膨張(燃焼)行程、排気行程の4つの行程(ストローク)を周期(サイクル)として繰り返す4サイクルエンジンが採用されている。エンジンは、インテークマニホールド1の下流端に気密的に結合されるシリンダヘッド、およびこのシリンダヘッドとの間に燃焼室を形成するシリンダブロック等によって構成されている。
インテークマニホールド1の下流部(またはシリンダヘッド)には、エンジンの各気筒毎の吸気ポート内に最適なタイミングで燃料を噴射するインジェクタ14が取り付けられている。
また、シリンダヘッドには、先端部が各気筒毎の燃焼室内に露出するようにスパークプラグ15が取り付けられている。
【0027】
そして、シリンダヘッドの一方側に形成される複数のインテークポート(吸気ポート)16は、ポペット型のインテークバルブ(吸気バルブ)17によって開閉され、また、シリンダヘッドの他方側に形成される複数のエキゾーストポート(排気ポート)18は、ポペット型のエキゾーストバルブ(排気バルブ)19によって開閉される。
そして、シリンダヘッドの内部に形成されるシリンダボア内には、連接棒を介して、クランクシャフトに連結されたピストン20が摺動自在に支持されている。また、シリンダブロックには、エンジンのウォータジャケット21に循環供給されるエンジン冷却水の温度(冷却水温)を検出する冷却水温センサ22が搭載されている。
【0028】
エンジンの吸気管は、エンジンの各気筒毎の燃焼室に吸入空気を供給するための吸気通路が形成されたケーシング(インテークダクト、吸気導入ダクト)である。
また、本実施例の吸気管には、エンジンの各気筒毎の燃焼室に吸い込まれる吸入空気量を検出するエアフローメータ23が搭載されている。なお、インテークマニホールド1よりも吸気流方向の上流側の吸気管の内部には、エンジンの各気筒毎の燃焼室に連通する1つの共通吸気通路(内燃機関の吸気通路)24が形成されている。
エンジンの排気管は、エンジンの各気筒毎の燃焼室より流出する排気ガスを排気浄化装置25を経由して外部に排出するための排気通路を形成するケーシング(エキゾーストダクト、排気導出ダクト)である。本実施例では、排気浄化装置25として、例えば排気ガス中のCO、HC、NOx等を浄化する三元触媒等の触媒が採用されている。
また、本実施例の排気管には、排気ガスセンサ26が搭載されている。
【0029】
ここで、本実施例の電子スロットル制御装置は、スロットルバルブ2のバルブ開度に相当するスロットル開度に応じて、エンジンの各気筒毎の燃焼室内に吸い込まれる吸入空気の流量(吸入空気量)を可変制御するシステムである。
電子スロットル制御装置は、エンジンの吸気管の途中に設置されたスロットルボディ、吸気管の内部(共通吸気通路24)を流れる吸入空気量を可変するバタフライ型のスロットルバルブ2、およびこのスロットルバルブ2を閉弁作動方向(または開弁作動方向)に付勢するリターンスプリング(またはデフォルトスプリング)等によって構成されている。
【0030】
また、スロットルボディには、スロットルバルブ2を支持固定するシャフト(回転軸)を開弁作動方向(または閉弁作動方向)に駆動するアクチュエータが搭載されている。このアクチュエータは、電力の供給を受けると駆動力を発生するモータ(第1モータ)11、およびこのモータ11の駆動力をスロットルバルブ2のシャフトに伝達する動力伝達機構(例えば歯車減速機構)等を有している。
ここで、スロットルバルブ2を駆動するモータ11は、エンジン制御ユニット(エンジン制御装置:以下ECUと言う)6によって電子制御されるモータ駆動回路を介して、自動車等の車両に搭載されたバッテリに電気的に接続されている。
【0031】
ここで、本実施例の吸気渦流発生装置は、自動車等の車両のエンジンルームに設置されて、エンジンの各気筒毎の燃焼室に連通する複数の第1、第2吸気通路31、32の通路断面積を絞ることで、エンジンの各気筒毎の燃焼室内において縦方向の旋回流(吸気渦流、タンブル流)を発生させるシステムである。
この吸気渦流発生装置は、電子スロットル制御装置と共に、エンジンの吸気系統に組み込まれている。そして、吸気渦流発生装置は、バルブユニットを、インテークマニホールド1の内部(ハウジング格納室)にピンロッド(回転軸、シャフト)4の軸線方向(回転軸方向)に一定の間隔で並列的に複数配置した多連一体型の吸気通路開閉装置(バルブ開閉装置)である。
【0032】
また、吸気渦流発生装置は、エンジンの吸気管のスロットルボディおよびサージタンクよりも吸気流方向の下流側に結合されたインテークマニホールド1と、このインテークマニホールド1の内部(複数の第1、第2吸気通路31、32)を流れる吸入空気を制御する吸気制御弁としての複数の吸気流制御弁(タンブル制御弁、バルブユニット:以下TCVと呼ぶ)と、これらのTCVの弁体である吸気流制御バルブ3の内部に圧入嵌合されたピンロッド4と、このピンロッド4を介して、複数のTCVのバルブ開度(回転角度)を一括変更することが可能なアクチュエータと、TCVのバルブ開度を、電子スロットル制御装置、点火装置、燃料噴射装置等の各システムと関連して制御するECU6とによって構成されている。
【0033】
本実施例のインテークマニホールド1は、エンジンの各気筒毎の燃焼室に連通する複数の第1吸気通路(分岐吸気通路)31を形成するケーシング(吸気導入ダクト)である。 このインテークマニホールド1の内部には、断面方形状の第1吸気通路31および断面方形状のハウジング格納室33が気筒数に対応した個数形成されている。各第1吸気通路31は、シリンダヘッドの各吸気ポート16に互いに独立して接続されている。各ハウジング格納室33の内部には、それぞれ対応したTCV(バルブユニット)、特にハウジング35が嵌合保持されている。
【0034】
また、複数のTCVは、インテークマニホールド1のハウジング格納室33内に格納さたハウジング35、およびこのハウジング35の内部(第2吸気通路32)に開閉自在に設置された吸気流制御バルブ3等によって構成されている。なお、本実施例では、ハウジング35と吸気流制御バルブ3とによって、インテークマニホールド1のハウジング格納室33内に嵌合保持されるバルブユニット(カートリッジ)を構成する。また、インテークマニホールド1、複数の吸気流制御バルブ3および複数のハウジング35は、樹脂材料によって一体的に形成されている。
【0035】
ここで、複数のバルブユニットは、複数のハウジング35毎に、インテークマニホールド1の各第1吸気通路31に対応して接続され、且つシリンダヘッドの各吸気ポート16に対応して接続される複数の第2吸気通路32を有している。すなわち、各ハウジング35の内部には、断面方形状の第2吸気通路32がそれぞれ形成されている。これらの第2吸気通路32は、インテークマニホールド1の各第1吸気通路31よりも吸気流方向の下流側に配設されて、シリンダヘッドの各吸気ポート16を介して、エンジンの各気筒毎の燃焼室に互いに独立して接続されている。
各ハウジング35は、各吸気流制御バルブ3を開閉自在に収容している。
【0036】
複数の吸気流制御バルブ3は、各ハウジング35の軸線方向(吸気流方向)に対して直交する方向に回転中心軸線を有し、1本のピンロッド4に串刺し状態となるように結合された回転型のバルブである。これらの吸気流制御バルブ3は、各第2吸気通路32の開口面積が最大となる全開位置から、各第2吸気通路32の開口面積が最小となる全閉位置に至るまでのバルブ作動範囲にて回転角度(バルブ開度)が変更されることで、各ハウジング35に対して相対回転して各第2吸気通路32を開閉する。つまり各第2吸気通路32の通路断面積を絞る。
【0037】
ここで、複数の吸気流制御バルブ3は、エンジンが冷えている時、あるいは吸入空気量が少なくて良い時に、図2(a)に示したように、アクチュエータ、特にモータの駆動力を利用して全閉される。すなわち、複数のTCVのバルブ開度が、全閉開度の状態(全閉位置)となるように制御される。
なお、吸気流制御バルブ3の全閉位置とは、吸気流制御バルブ3(または第2吸気通路32)を全閉した全閉開度の状態のことである。そして、全閉位置は、吸気流制御バルブ3の作動可能範囲の他方側の限界位置、つまりジョイントシャフト43の外周に嵌合固定されたストッパレバー45の全閉ストッパ部が全閉ストッパ(図示せず)に突き当たって、これ以上の吸気流制御バルブ3の全閉作動が規制される全閉側規制位置である。
【0038】
また、複数の吸気流制御バルブ3は、エンジンの中・高速回転領域または中・高負荷領域の時に、図2(b)に示したように、モータの駆動力を利用して全開される。すなわち、複数のTCVのバルブ開度が、全開開度の状態(全開位置)となるように制御される。 なお、吸気流制御バルブ3の全開位置とは、吸気流制御バルブ3(または第2吸気通路32)を全開した全開開度の状態のことである。そして、全開位置は、吸気流制御バルブ3の作動可能範囲の一方側の限界位置、つまりストッパレバー45の全開ストッパ部が全開ストッパに突き当たって、これ以上の吸気流制御バルブ3の全開作動が規制される全開側規制位置である。
また、複数の吸気流制御バルブ3は、エンジン停止時にモータへの電力の供給が停止されると、例えばスプリング等の付勢力によって全開位置(または全開位置より僅かに閉じた中間開度の状態(中間位置))に戻される。
【0039】
ここで、複数のバルブユニットは、複数の吸気流制御バルブ3毎に、ピンロッド4の回転軸方向に貫通する多角穴(四角穴)を有している。また、複数の吸気流制御バルブ3は、ピンロッド4の周囲を取り囲むように配設された円筒状の回転軸(バルブ軸)41を有し、このバルブ軸41から回転軸方向に対して垂直な半径方向の一方側(片側)に向けて延ばされた板状弁体(バルブ体)である。
また、複数の吸気流制御バルブ3は、その回転中心を成すバルブ軸41が、吸気流制御バルブ3のバルブ中心部よりも、吸気流制御バルブ3の板厚方向に対して垂直なバルブ面方向の片側(図示下方側)に偏った位置に設置されている。したがって、吸気流制御バルブ3は、片持ち式のバルブを構成している。
また、本実施例では、吸気流制御バルブ3のバルブ上端面の一部(中央部)、つまりバルブ軸側に対して反対側のバルブ上端面を切り欠くことで、エンジンの各気筒毎の燃焼室内においてタンブル流を発生させるための長方形状の開口部(切欠き部、スリット)42を形成している。なお、この開口部42は設けなくても良い。また、本実施例では、吸気流制御バルブ3のバルブ左右側面の一部を切り欠くことで、開口部(主開口部)42よりも開口面積が小さい副開口部を形成しても良い。
【0040】
ここで、本実施例のピンロッド4は、圧入嵌合によって複数の吸気流制御バルブ3毎に形成される各多角穴の内部に挿入されている。このピンロッド4は、複数の吸気流制御バルブ3の各バルブ軸41を串刺し状態となるように結合することで、全ての吸気流制御バルブ3を連動可能に連結する1本の駆動軸である。また、ピンロッド4は、複数のTCVのバルブ開度を変更する回転軸であって、複数の吸気流制御バルブ3毎に設けられる各多角穴の内周に圧入固定されている。
また、ピンロッド4は、その回転軸方向に垂直な断面が多角形状(例えば四角形状)に形成された多角断面シャフト(角形鋼製シャフト)であって、金属材料によって一体的に形成されている。
【0041】
ここで、本実施例のピンロッド4の回転軸方向の他端側(アクチュエータ側)の外周には、円筒形状のジョイントシャフト43が嵌合保持されている。このジョイントシャフト43は、その回転軸方向に垂直な断面が円筒形状に形成された円筒断面シャフトであって、金属材料によって一体的に形成されている。
本実施例のジョイントシャフト43は、ピンロッド4の外周に嵌合保持されて、アクチュエータの最終減速ギヤ44およびこの最終減速ギヤ44を保持固定するストッパレバー45をピンロッド4に連結する部品である。
【0042】
本実施例のアクチュエータは、電力の供給を受けて駆動力を発生するモータ(第2モータ)12と、このモータ12のモータシャフト(モータ軸、出力軸)の回転運動をピンロッド4に伝達するための動力伝達機構と、モータ12および動力伝達機構を内蔵するアクチュエータ本体5とを備えた電動式アクチュエータによって構成されている。
動力伝達機構は、モータ12の回転速度を所定の減速比となるように減速すると共に、モータ12の駆動力(モータトルク)を増大させる歯車減速機構によって構成されている。
この歯車減速機構は、モータ12のモータシャフトに固定されたモータギヤ、このモータギヤに噛み合う中間減速ギヤ、およびこの中間減速ギヤに噛み合う最終減速ギヤ44を有している。これらの各ギヤは、アクチュエータ本体5、特にアクチュエータケースの内部に回転自在に収容されている。ここで、ピンロッド4または最終減速ギヤ44に、全ての吸気流制御バルブ3を開弁作動方向または閉弁作動方向に付勢するスプリングを組み付けても良い。
【0043】
最終減速ギヤ44は、樹脂材料によって円弧状に一体的に形成されている。この最終減速ギヤ44の内部には、インテークマニホールド1に支持固定された全開ストッパ(全開ストッパスクリュー)または全閉ストッパ(全閉ストッパスクリュー)に選択的に係止されるストッパレバー45がインサート成形されている。そのストッパレバー45は、L字状に折り曲げられた折り曲げ部46を有している。
ストッパレバー45の折り曲げ部46の回転方向の一方側(開弁作動方向)には、全開ストッパに係止される全開ストッパ部が設けられている。これにより、ストッパレバー45の全開ストッパ部が全開ストッパに突き当たると、TCVのバルブ開度が全開開度の状態(全開位置)となるように規制される。
また、ストッパレバー45の折り曲げ部46の回転方向の他方側(閉弁作動方向)には、全閉ストッパに係止される全閉ストッパ部が設けられている。これにより、ストッパレバー45の全閉ストッパ部が全閉ストッパに突き当たると、TCVのバルブ開度が全閉開度の状態(全閉位置)となるように規制される。
【0044】
モータ12は、ECU6によって電子制御されるHブリッジ回路47を介して、自動車等の車両に搭載されたバッテリに電気的に接続されている。このモータ12は、そのモータシャフトに一体化されたロータ(アーマチャ)、およびこのロータの外周側に対向配置されたステータ(フィールド)等によって構成されたブラシ付きの直流(DC)モータである。
そして、モータ12のロータは、コイルが巻装されたコアを有している。また、モータ12のステータは、内周に複数の永久磁石(マグネット)を保持したモータヨーク(磁性体)またはモータフレームを有している。
なお、ブラシ付きのDCモータの代わりに、ブラシレスDCモータや、誘導電動機または同期電動機等の交流(AC)モータを用いても良い。
【0045】
ここで、例えばロータのコイルが電力の供給を受けると、ピンロッド4を介して吸気流制御バルブ3を駆動する駆動力を発生するモータ12は、Hブリッジ回路47を介して、ECU6によって通電制御(駆動)されるように構成されている。このECU6には、Hブリッジ回路47、A/D変換回路48、入出力回路(I/Oポート)49およびマイクロコンピュータ50が設けられている。
なお、Hブリッジ回路47は、4つのMOS−FET(以下第1〜第4半導体スイッチング素子と言う)51〜54をブリッジ接続して構成されている。そして、第1、第3半導体スイッチング素子51、53のドレインは、バッテリの+側に接続されている。また、第2、第4半導体スイッチング素子52、54のソースは、接地(バッテリの−側に接続)されている。また、第1半導体スイッチング素子51のソースと第2半導体スイッチング素子52のドレインとを結ぶ第1導電線(結線)の中点と、第3半導体スイッチング素子53のソースと第4半導体スイッチング素子54のドレインとを結ぶ第2導電線(結線)の中点とを接続する電流路の途中にモータ12のコイルが接続されている。
【0046】
また、ECU6は、イグニッションスイッチがオン(IG・ON)されると、マイクロコンピュータ50のメモリ内に格納された制御プログラムまたは制御ロジックに基づいて、電子スロットル制御装置のモータ11および吸気渦流発生装置のモータ12を電子制御する。また、ECU6は、イグニッションスイッチがオフ(IG・OFF)されると、マイクロコンピュータ50のメモリ内に格納された制御プログラムまたは制御ロジックに基づく各エンジン制御が強制的に終了されるように構成されている。なお、エンジン停止時に、吸気渦流発生装置のモータ12の駆動力またはスプリング等の付勢力を利用して、複数の吸気流制御バルブ3が全開位置(または全閉位置)より僅かに閉弁作動方向(または開弁作動方向)に閉じた(または開いた)中間開度の状態(中間位置)に保持された状態で停止するようにしても良い。
【0047】
また、ECU6は、TCVのバルブ開度(またはバルブ位置)を検出するバルブ開度センサ7、エンジンを冷却する冷却水の温度(冷却水温、内燃機関の機関温度)を検出する冷却水温センサ22、エンジンの各気筒の燃焼室に吸い込まれる吸入空気の流量を検出するエアフローメータ23、エンジンの各気筒毎の燃焼室より流出した排気ガスの状態(空燃比等)を検出する排気ガスセンサ(空燃比センサ、酸素センサ)26等の各種センサからのセンサ信号が、A/D変換回路48によってA/D変換された後に、I/Oポート49を経てマイクロコンピュータ50に入力されるように構成されている。
【0048】
また、ECU6は、エンジンのクランクシャフトの回転角度を検出するクランク角度センサ61、アクセルペダルの踏み込み量(アクセル開度)を検出するアクセル開度センサ62、スロットルバルブ2のバルブ開度(スロットル開度)を検出するスロットル開度センサ63、エンジンの各気筒の燃焼室に吸い込まれる吸入空気の温度(吸気温)を検出する吸気温センサ64、モータ11、12の電源電圧であるバッテリの電圧値(バッテリ電圧)を検出するバッテリ電圧センサ、および自動車等の車両の走行速度(車速)を検出する車速センサ等の各種センサからのセンサ信号が、A/D変換回路48によってA/D変換された後に、I/Oポート49を経てマイクロコンピュータ50に入力されるように構成されている。
【0049】
これらの冷却水温センサ22、エアフローメータ23、クランク角度センサ61、アクセル開度センサ62、スロットル開度センサ63、吸気温センサ64、バッテリ電圧センサおよび車速センサ等によって、エンジンの運転状態を検出する運転状態検出手段、モータ12の周囲環境変動(例えば温度の変化、電源電圧(バッテリ)の変動等)を検出する環境変動検出手段、自動車等の車両の走行状態を検出する走行状態検出手段が構成される。
そして、これらの冷却水温センサ22、エアフローメータ23、クランク角度センサ61、アクセル開度センサ62、スロットル開度センサ63、吸気温センサ64、バッテリ電圧センサおよび車速センサ等の各種センサからのセンサ信号は、マイクロコンピュータ50のメモリに格納された制御プログラムまたは制御ロジックの制御周期毎に繰り返し読み込まれる。
なお、クランク角度センサ61は、エンジンのクランクシャフトの回転角度を電気信号に変換するピックアップコイルよりなり、例えば30°CA(クランク角度)毎にNEパルス信号が出力される。
【0050】
バルブ開度センサ7は、ピンロッド4の回転軸方向の他端部に固定された磁石(以下マグネットと呼ぶ)71と、このマグネット71より放出される磁束を検出する非接触式の磁気検出素子を有するホールIC72と、マグネット71より出た磁束をホールIC72に集中させるための分割型ヨーク(図示せず)とを備え、ピンロッド4、特にマグネット71の回転角度に対するホールIC72の出力変化特性を利用してTCVのバルブ開度を検出する非接触式の回転角度検出装置である。すなわち、バルブ開度センサ7は、一対の分割型ヨーク(磁性体)の対向部間に形成される磁束検出ギャップ、つまりホールIC72を通過する磁束密度の変化に基づいてTCVのバルブ開度を検出する。
【0051】
マグネット71は、長期間磁力を安定して発生し続ける永久磁石であって、ホールIC72および分割型ヨークに向かって磁束を放出する。このマグネット71は、アクチュエータケースおよびホールIC72に対して相対回転するマグネットロータ73に接着剤等の固定手段を用いて保持固定されている。また、マグネット71を保持したマグネットロータ73は、樹脂材料によって一体的に形成されており、センサ固定レバー74をインサート成形している。
【0052】
そして、マグネット71およびこのマグネット71を保持するマグネットロータ73は、検出対象物としての複数の吸気流制御バルブ3およびピンロッド4の回転に伴って回転するように、ピンロッド4の回転軸方向の他端部に嵌合保持されたセンサ固定レバー74に保持固定されている。なお、マグネット71の代わりに、電力の供給を受けると磁力を発生する電磁石を用いても良い。また、マグネット71を保持したマグネットロータ73をストッパレバー45に取り付けても良い。
【0053】
ホールIC72は、一対の分割型ヨーク(磁性体)の対向部間に形成される磁束検出ギャップに配置されて、マグネット71と共に磁気回路を形成する。このホールIC72は、アクチュエータ本体5、特にアクチュエータケースのセンサ搭載部に保持固定されている。また、ホールIC72は、磁束検出ギャップを通過する磁束密度(ホールIC72を鎖交する磁束密度)に応じた出力が変化する非接触式の磁気検出素子を構成するホール素子と、このホール素子の出力を増幅する増幅回路とを一体化したIC(集積回路)であって、磁束検出ギャップを通過する磁束密度に対応した電圧信号を出力する。これにより、ホールIC72からは、ECU6に向けてセンサ出力電圧が出力される。
そして、ホールIC72からの出力信号(バルブ開度信号、アナログ信号)は、後述する所定のサンプリング周期毎に繰り返しA/D変換回路48を介して取り込まれる。
【0054】
また、ECU6は、バルブ開度センサ7より出力されたバルブ開度信号に基づいて、吸気流制御バルブ3の現在位置を計測するバルブ位置検出手段として機能する。なお、バルブ開度センサ7の代わりに、モータ12のロータ位置を検出するロータ位置検出手段を設けても良い。
また、ECU6は、吸気渦流発生装置のモータ12を流れるモータ駆動電流の電流値を検出する電流検出手段としての機能を有している。また、ECU6の電流検出手段の代わりに、モータ12を流れるモータ駆動電流の電流値を検出する電流センサを設けても良い。
【0055】
A/D変換回路48は、バルブ開度センサ7より出力されたバルブ開度信号(バルブ開度センサ7の出力信号)を所定のサンプリング周期で取り込むサンプリング手段である。このA/D変換回路48は、バルブ開度センサ7の出力信号のAD取込タイミングを、後述するPWM信号の発生周期(PWM周期)におけるモータ12への通電開始タイミングの整数倍(1倍、2倍、3倍以上の整数倍等)に設定し、且つPWM周期における通電OFF期間中にのみバルブ開度センサ7より出力されたバルブ開度信号を取り込むようにしている。
【0056】
ここで、本実施例では、バルブ開度センサ7の出力信号のAD取込タイミングを、モータ12への通電開始タイミングの整数倍に設定するために、バルブ開度センサ7の出力信号のAD取込タイミングを、PWM周期におけるモータ12への通電開始タイミングと同期させている。
また、A/D変換回路48は、バルブ開度センサ7の出力信号であるアナログ信号からデジタル信号に変換(A/D変換)するためにサンプリングする周期(サンプリング周期)が、PWM周期の整数倍(1倍、2倍、3倍以上の整数倍等)に設定されている。本実施例では、サンプリング周期が、PWM周期と同期している。そして、通電OFF期間中にのみバルブ開度センサ7より出力されたバルブ開度信号を取り込むようにしている。
【0057】
マイクロコンピュータ50は、制御処理や演算処理を行うCPU、制御プログラムまたは制御ロジックや各種データを保存する記憶装置(SRAM、DRAM等の揮発性メモリ、EPROM、EEPROMまたはフラッシュメモリ等の不揮発性メモリ)、電源回路、タイマー等の機能を含んで構成される周知の構造を備えている。
また、マイクロコンピュータ50は、クランク角度センサ61より出力されたNEパルス信号の間隔時間を計測することによってエンジン回転速度(エンジン回転数:NE)を検出するための回転速度検出手段として機能する。
【0058】
また、マイクロコンピュータ50は、Hブリッジ回路47を駆動制御するモータ制御装置であって、所定のサンプリングタイミング毎にA/D変換回路48より取り込んだバルブ開度センサ7の出力信号のA/D変換値からTCVの実バルブ開度を算出するバルブ開度演算手段と、所定のデューティ比のPWM信号を所定の周期(PWM周期)で発生するPWM信号発生手段(パルス信号発生手段)と、TCVの実バルブ開度と目標バルブ開度との偏差に基づいて、PWM信号のデューティ比を設定するデューティ比設定手段と、複数の吸気流制御バルブ3が基準位置にあるときのバルブ開度センサ7より出力されたバルブ開度信号から制御上の基準位置を求め、この制御上の基準位置を基準位置学習値として記憶する基準位置学習を行う学習制御手段と、基準位置学習値に基づいてTCVのバルブ開度を制御するバルブ開度制御手段と、バルブ開度センサ7等が異常であるか否かを判定するセンサ故障診断を行うセンサ異常判定手段とを備えている。
【0059】
[実施例1の制御方法]
次に、本実施例の内燃機関の吸気制御装置(吸気渦流発生装置)の制御方法を図1ないし図12に基づいて簡単に説明する。ここで、図7ないし図9はECU(マイクロコンピュータ)によるHブリッジ回路の駆動制御を示したフローチャートで、図10はモータへの通電パターンおよびバルブ開度センサの出力信号のAD取込タイミングを示したタイミングチャートである。
【0060】
図7の制御ルーチンが起動するタイミングになると、先ず、イグニッションスイッチがオン(IG・ON)されているか否かを判定する(ステップS1)。この判定結果がNOの場合には、図7の制御ルーチンを終了する。
このステップS1の判定結果がYESの場合には、基準位置学習が完了していることを表す学習完了フラグがONしているか否かを判定する(ステップS2)。この判定結果がNOの場合には、図7の制御ルーチンを終了する。
また、ステップS2の判定結果がYESの場合には、バルブ開度センサ7のホールIC72より出力されるバルブ開度信号(以下バルブ開度センサ7の出力信号と言う)をA/D変換のためにサンプリングする周期(サンプリング周期:バルブ開度センサ7の出力信号のAD取込タイミング)になっているか否かを判定する(ステップS3)。この判定結果がNOの場合には、図7の制御ルーチンを終了する。
【0061】
ここで、本実施例では、図10(a)、(b)に示したように、バルブ開度センサ7の出力信号のサンプリング周期とパルス信号(PWM信号:パルス幅変調信号)の発生周期(PWM周期)とが同期している。すなわち、PWM周期におけるモータ12への通電開始タイミングとバルブ開度センサ7の出力信号のAD取込タイミングとを同期させ、且つ通電OFF期間中にのみバルブ開度センサ7の出力信号を取り込むようにしている。
なお、サンプリング周期は、100%デューティ比時には使えないが、できるだけ高デューティ比でも使えるタイミングにバルブ開度センサ7の出力信号のAD取込タイミングを設定する。
例えばPWM周期が10×α(msec)の場合に、PWM周期におけるモータ12への通電開始タイミングからカウンターを作動させて、9カウントした時(通電開始タイミングから所定時間9×α(msec)が経過した時)に、バルブ開度センサ7の出力信号をA/D変換回路48に取り込むようにしても良い。あるいは、バルブ開度センサ7の出力信号のAD取込タイミングを、次回のPWM周期におけるモータ12への通電開始タイミングの直前に設定しても良い。
【0062】
また、ステップS3の判定結果がYESの場合には、バルブ開度センサ7の出力信号をA/D変換回路48に取り込む(ステップS4)。次に、A/D変換回路48でアナログ信号からデジタル信号に変換された、バルブ開度センサ7の出力信号のA/D変換値に基づいてTCVの実バルブ開度を検出(算出)する(バルブ開度演算手段:ステップS5)。
次に、アクセルペダルが踏み込まれているか否かを判定する。すなわち、アクセル開度センサ62より出力されるアクセル開度信号から算出したアクセル開度が所定値以下であるか否かを判定する(ステップS6)。この判定結果がYESの場合には、図8の制御ルーチンに進んで、マイクロコンピュータ50のメモリに格納されている基準位置学習値(全閉位置学習値)を制御上の全閉ポイントとして読み込む(ステップS11)。
【0063】
次に、TCVの実バルブ開度が制御上の全閉ポイントであるか否かを判定する(ステップS12)。この判定結果がNOの場合には、各種センサより出力される出力信号に基づいてエンジンの運転状況(運転状態)を検出(算出)する(ステップS13)。次に、エンジンの運転状況に基づいてTCVの目標バルブ開度を算出する(ステップS14)。ここで、エンジンが冷えており、吸入空気量が少なくても良い時、つまりエンジン始動時またはアイドル運転時には、制御上の全閉ポイントを目標バルブ開度として設定する。
次に、TCVの実バルブ開度と目標バルブ開度(制御上の全閉ポイント)との偏差に基づいて、Hブリッジ回路47(特に第3半導体スイッチング素子53のベース)に与える、パルス信号(PWM信号:パルス幅変調信号)のデューティ比を設定する。つまり複数の吸気流制御バルブ3を閉弁作動方向に動作させる駆動デューティ比(DUTY比)を設定(算出)する(ステップS15)。
【0064】
次に、算出されたDUTY比に対応したパルス信号(PWM信号:パルス幅変調信号)を、Hブリッジ回路47(特に第3半導体スイッチング素子53のベース)に与える(パルス信号発生手段:ステップS16)。その後、ステップS12の判定処理を繰り返す。 このとき、マイクロコンピュータ50のPWM信号発生手段では、TCVの実バルブ開度と目標バルブ開度(制御上の全閉ポイント)との偏差に基づいて制御された所定のデューティ比のPWM信号を所定の周期で発生する(パルス信号発生手段)。
【0065】
なお、Hブリッジ回路47(特に第3半導体スイッチング素子53のベース)に与えるPWM信号のデューティ比とは、図10(a)、(b)に示したように、TCVの実バルブ開度が目標バルブ開度(制御上の全閉ポイント)になるように、PWM信号の発生周期(以下PWM周期と言う)における、モータ12のコイルを通電する通電オン(ON)期間とモータ12のコイルへの通電を停止する通電オフ(OFF)期間との比率(ON/OFF比)のことである。
【0066】
また、マイクロコンピュータ50からHブリッジ回路47(特に第3半導体スイッチング素子53のベース)に出力されるPWM信号のデューティ比が増加する程、モータ12のコイルを流れるモータ駆動電流も増加する。
なお、図10(a)は、PWM周期におけるPWM信号のデューティ比が低DUTY比時を示し、また、図10(b)は、PWM周期におけるPWM信号のデューティ比が高DUTY比時を示す。これらの低DUTY比、高DUTY比は、車種やエンジン毎に適合させる固定値である。
【0067】
ここで、複数の吸気流制御バルブ3の全閉作動時には、第1半導体スイッチング素子51をONし、第2半導体スイッチング素子52をOFFし、第3半導体スイッチング素子53をOFF/ONし、第4半導体スイッチング素子54をON/OFFする。これにより、Hブリッジ回路47の第3、第4半導体スイッチング素子53、54がPWM制御される。
特に、Hブリッジ回路47の第3半導体スイッチング素子53のベースには、TCVの実バルブ開度と目標バルブ開度(制御上の全閉ポイント)との偏差に基づいてPWM制御されたPWM信号が入力される。これにより、吸気渦流発生装置のモータ12のコイルにPWM信号のデューティ比に対応したモータ印加電圧が印加され、モータ12のコイルに閉弁作動方向(正方向)のモータ駆動電流が流れる。
【0068】
また、ステップS12の判定結果がYESの場合には、複数の吸気流制御バルブ3が、第2吸気通路32を全閉する全閉開度の状態(全閉位置)で停止状態に保持される。すなわち、複数の吸気流制御バルブ3は、モータ12の駆動力を利用して全閉位置に保持される。このとき、吸気渦流発生装置のモータ12のコイルにPWM信号のデューティ比に対応した全閉保持電流が流れる(ステップS17)。その後、図8の制御ルーチンを終了する。
【0069】
これによって、複数の吸気流制御バルブ3が、モータ12の駆動力を利用して全閉位置に停止状態で保持される。この場合には、複数の第1吸気通路31から複数の第2吸気通路32に流入した吸気流は、殆どハウジング35のハウジング上壁部の通路壁面と吸気流制御バルブ3のバルブ上端面との間の隙間(開口部42)を通過して、複数の第2吸気通路32の出口部から吸気ポート16の上層部内に導入され、吸気ポート16の上層部の天壁面に沿って流れる。
そして、吸気ポート16の上層部の天壁面に沿って流れる吸気流は、吸気ポート16のポート開口部から燃焼室内に供給される。このとき、エンジンの各気筒毎の燃焼室内においてタンブル流が発生するため、エンジン始動時またはアイドル運転時における燃焼室内での燃焼効率が向上し、燃費やエミッション(例えばHC低減効果)等が改善される。
【0070】
また、ステップS6の判定結果がNOの場合には、図9の制御ルーチンに進んで、マイクロコンピュータ50のメモリに格納されている基準位置学習値(全開位置学習値)を制御上の全開ポイントとして読み込む(ステップS21)。次に、TCVの実バルブ開度が制御上の全開ポイントであるか否かを判定する(ステップS22)。この判定結果がNOの場合には、各種センサより出力される出力信号に基づいてエンジンの運転状況(運転状態)を検出(算出)する(ステップS23)。次に、エンジンの運転状況に基づいてTCVの目標バルブ開度を算出する(ステップS24)。ここで、エンジンの通常運転時には、制御上の全開ポイントを目標バルブ開度として設定する。
次に、TCVの実バルブ開度と目標バルブ開度(制御上の全開ポイント)との偏差に基づいて、Hブリッジ回路47(特に第2半導体スイッチング素子52のベース)に与える、PWM信号のデューティ比を設定する。つまり複数の吸気流制御バルブ3を開弁作動方向に動作させる駆動デューティ比(DUTY比)を設定(算出)する(ステップS25)。
【0071】
次に、算出されたDUTY比に対応したPWM信号を、Hブリッジ回路47(特に第2半導体スイッチング素子52のベース)に与える(パルス信号発生手段:ステップS26)。その後、ステップS22の判定処理を繰り返す。
このとき、マイクロコンピュータ50のPWM信号発生手段では、TCVの実バルブ開度と目標バルブ開度(制御上の全開ポイント)との偏差に基づいて制御された所定のデューティ比のPWM信号を所定の周期で発生する(パルス信号発生手段)。
【0072】
なお、Hブリッジ回路47(特に第2半導体スイッチング素子52のベース)に与えるPWM信号のデューティ比とは、TCVの実バルブ開度が目標バルブ開度(制御上の全開ポイント)になるように、PWM周期における、モータ12のコイルを通電する通電オン(ON)期間とモータ12のコイルへの通電を停止する通電オフ(OFF)期間との比率(ON/OFF比)のことである。
また、マイクロコンピュータ50からHブリッジ回路47(特に第2半導体スイッチング素子52のベース)に出力されるPWM信号のデューティ比が増加する程、モータ12のコイルを流れるモータ駆動電流も増加する。
【0073】
ここで、複数の吸気流制御バルブ3の全開作動時には、第1半導体スイッチング素子51をONし、第2半導体スイッチング素子52をON/OFFし、第3半導体スイッチング素子53をOFF/ONし、第4半導体スイッチング素子54をOFFする。これにより、Hブリッジ回路47の第2、第3半導体スイッチング素子52、53がPWM制御される。
特に、Hブリッジ回路47の第2半導体スイッチング素子52のベースには、TCVの実バルブ開度と目標バルブ開度(制御上の全開ポイント)との偏差に基づいてPWM制御されたPWM信号が入力される。これにより、吸気渦流発生装置のモータ12のコイルにPWM信号のデューティ比に対応したモータ印加電圧が印加され、モータ12のコイルに開弁作動方向(閉弁作動方向に対して逆方向)のモータ駆動電流が流れる。
【0074】
また、ステップS22の判定結果がYESの場合には、複数の吸気流制御バルブ3が、第2吸気通路32を全開する全開開度の状態(全開位置)で停止状態に保持される。すなわち、複数の吸気流制御バルブ3は、モータ12の駆動力を利用して全開位置に保持される。このとき、吸気渦流発生装置のモータ12のコイルにPWM信号のデューティ比に対応した全開保持電流が流れる(ステップS27)。その後、図9の制御ルーチンを終了する。
【0075】
これによって、複数の吸気流制御バルブ3が、モータ12の駆動力を利用して全開位置に停止状態で保持される。この場合には、複数の第1吸気通路31から複数の第2吸気通路32に流入した吸気流は、複数の第2吸気通路32をストレートに通過して、複数の第2吸気通路32の出口部から吸気ポート16内に導入される。
そして、吸気ポート16を通過した吸気流は、吸気ポート16のポート開口部から燃焼室内に供給される。このとき、エンジンの各気筒毎の燃焼室内において縦方向の吸気渦流(タンブル流)は発生しない。
【0076】
次に、図11および図12はECU(マイクロコンピュータ)による基準位置学習を示したフローチャートである。
先ず、イグニッションスイッチがオン(IG・ON)されているか否かを判定する(ステップS31)。この判定結果がNOの場合には、図11の制御ルーチンを終了する。
【0077】
また、ステップS31の判定結果がYESの場合には、基準位置学習が完了していることを表す学習完了フラグがONしているか否かを判定する(ステップS32)。この判定結果がYESの場合には、図11の制御ルーチンを終了する。
また、ステップS32の判定結果がNOの場合には、アクセルペダルが踏み込まれているか否かを判定する。すなわち、アクセル開度センサ62より出力されるアクセル開度信号から算出したアクセル開度が所定値以下であるか否かを判定する(ステップS33)。この判定結果がNOの場合には、図11の制御ルーチンを終了する。
【0078】
また、ステップS33の判定結果がYESの場合には、複数の吸気流制御バルブ3をその作動可能範囲の限界位置(全閉位置)に突き当てるように、すなわち、ジョイントシャフト43を介して、ピンロッド4の外周に保持固定されたストッパレバー45の全閉ストッパ部を全閉ストッパに突き当てるように、吸気渦流発生装置のモータ12に駆動力を発生させる。すなわち、マイクロコンピュータ50は、複数の吸気流制御バルブ3を閉弁作動方向に動作させる駆動デューティ比(DUTY比)を設定(算出)する(ステップS34)。
【0079】
そして、マイクロコンピュータ50は、算出されたDUTY比に対応したPWM信号を、Hブリッジ回路47に与える。複数の吸気流制御バルブ3の全閉作動時には、第1半導体スイッチング素子51をONし、第2半導体スイッチング素子52をOFFし、第3半導体スイッチング素子53をOFF/ONし、第4半導体スイッチング素子54をON/OFFする。これにより、Hブリッジ回路47の第3、第4半導体スイッチング素子53、54がPWM制御される(ステップS35)。
次に、モータ12のコイルへの通電開始タイミングから所定時間が経過しているか否かを判定する(ステップS36)。この判定結果がNOの場合には、ステップS36の判定処理を繰り返す。
【0080】
また、ステップS36の判定結果がYESの場合には、図12の制御ルーチンに進んで、複数の吸気流制御バルブ3がその作動可能範囲の限界位置(全閉位置)に突き当てられている、つまり全閉位置に到達していると判断して、バルブ開度センサ7の出力信号をA/D変換のためにサンプリングする周期(バルブ開度センサ7の出力信号のAD取込タイミング)になっているか否かを判定する(ステップS41)。この判定結果がNOの場合には、ステップS41の判定処理を繰り返す。
また、ステップS41の判定結果がYESの場合には、バルブ開度センサ7の出力信号をA/D変換回路48に取り込む(ステップS42)。次に、A/D変換回路48でアナログ信号からデジタル信号に変換された、バルブ開度センサ7の出力信号のA/D変換値に基づいてTCVの実バルブ開度を検出(算出)する(バルブ開度演算手段:ステップS43)。
【0081】
次に、ステップS36の判定結果がYESであり複数の吸気流制御バルブ3がその作動可能範囲の限界位置(全閉位置)に突き当てられている、つまり全閉位置に到達していると判断できるので、TCVの実バルブ開度(現在のバルブ開度)を基準位置とする。すなわち、複数の吸気流制御バルブ3が基準位置(全閉位置)にあるときのバルブ開度センサ7の出力信号から制御上の基準位置(制御上の全閉ポイント)が求められる。そして、この制御上の全閉ポイントを基準位置学習値(全閉位置学習値)としてマイクロコンピュータ50のメモリに記憶する(学習制御手段:ステップS44)。
次に、学習完了フラグをONする(ステップS45)。その後、図12の制御ルーチンを終了する。なお、学習完了フラグは、一旦イグニッションスイッチがオフ(IG・OFF)されると、OFFされる。
【0082】
ここで、基準位置学習として全開位置学習を実行する場合には、上記のPWM制御とは異なり、複数の吸気流制御バルブ3をその作動可能範囲の限界位置(全開位置)に突き当てるように、吸気渦流発生装置のモータ12に駆動力を発生させる。すなわち、マイクロコンピュータ50は、複数の吸気流制御バルブ3を開弁作動方向に動作させる駆動デューティ比(DUTY比)を算出する。
そして、マイクロコンピュータ50は、算出されたDUTY比に対応したPWM信号を、Hブリッジ回路47に与える。複数の吸気流制御バルブ3の全開作動時には、第1半導体スイッチング素子51をOFF/ONし、第2半導体スイッチング素子52をON/OFFし、第3半導体スイッチング素子53をONし、第4半導体スイッチング素子54をOFFする。これにより、Hブリッジ回路47の第1、第2半導体スイッチング素子51、52がPWM制御される。
【0083】
次に、複数の吸気流制御バルブ3が基準位置(全開位置)にあるときのバルブ開度センサ7の出力信号から制御上の基準位置(制御上の全開ポイント)が求められる。そして、この制御上の全開ポイントを基準位置学習値(全開位置学習値)としてマイクロコンピュータ50のメモリに記憶する(学習制御手段)。
ここで、吸気渦流発生装置において、バルブ開度センサ7のホールIC72の個体差や誤組付によってバルブ開度センサ7の出力信号に基づく基準位置学習値(全閉位置学習値または全開位置学習値)が実際の基準位置(全閉位置または全開位置)よりも閉じ側または開き側にズレることがある。この場合、エンジン運転中のバルブ開度制御において目標バルブ開度を制御上の全閉ポイントまたは制御上の全開ポイントに設定すると、ストッパレバー45の全閉ストッパ部または全開ストッパ部が全閉ストッパまたは全開ストッパに突き当たった後も、バルブ開度制御手段によって複数の吸気流制御バルブ3を閉じ側または開き側に駆動し続けることになる。
【0084】
しかし、ストッパレバー45の全閉ストッパ部または全開ストッパ部が全閉ストッパまたは全開ストッパに突き当たった後、複数の吸気流制御バルブ3を閉じ側または開き側に駆動し続けても、TCVの実バルブ開度と目標バルブ開度との偏差がそれ以上縮まらないため、定常ではモータ12の駆動デューティ比が10%〜40%程度であるものが、モータ12の駆動デューティ比が100%デューティ比まで急増し、モータ12のコイルが焼損する可能性がある。
そこで、マイクロコンピュータ50は、吸気渦流発生装置のモータ12の故障を防止するという目的で、モータ12のDUTY比が、100%の状態が所定時間以上継続したときに、センサ異常ダイアグフラグ(FDIAG)をONし、バルブ開度センサ7の異常(故障)をマイクロコンピュータ50のメモリに記憶したり、インジケータランプ等の警告灯を点灯したり、音声等で知らせたりするダイアグ出力を発信するように構成されている。
【0085】
[実施例1の効果]
以上のように、本実施例の内燃機関の吸気制御装置(吸気渦流発生装置)においては、複数の吸気流制御バルブ3として片持ち式のバルブを採用している。そして、ECU6は、第1、第2吸気通路31、32内の吸気脈動トルクに対抗するため、複数の吸気流制御バルブ3をその作動可能範囲の限界位置(全閉位置または全開位置)に突き当てた状態で保持することが可能なモータ印加電圧またはモータ駆動電流をモータ12のコイルに供給している。このとき、図10(a)、(b)に示したように、バルブ開度センサ7の出力信号のAD取込タイミングを、Hブリッジ回路47(特に第3半導体スイッチング素子53のベース)に与えるPWM信号のPWM周期におけるモータ12への通電開始タイミングの整数倍に設定し、且つPWM周期における通電OFF期間中にのみバルブ開度センサ7より出力されたバルブ開度信号を取り込むようにしている。
【0086】
ここで、本実施例では、バルブ開度センサ7の出力信号のAD取込タイミングを、モータ12への通電開始タイミングの整数倍に設定するために、バルブ開度センサ7の出力信号のAD取込タイミングを、PWM周期におけるモータ12への通電開始タイミングと同期させている。
また、バルブ開度センサ7の出力信号をA/D変換するためにサンプリング周期が、PWM周期の整数倍に設定されている。本実施例では、サンプリング周期が、PWM周期と同期している。そして、PWM周期における通電OFF期間中にのみバルブ開度センサ7より出力されたバルブ開度信号を取り込むようにしている。
【0087】
したがって、ホールIC72を有するバルブ開度センサ7の出力変動が少ない、PWM周期における通電OFF期間中に取り込んだバルブ開度センサ7の出力信号のA/D変換値からTCVの実バルブ開度を検出(算出)しているので、モータ12のコイルへの通電の有無によらず、TCVの実バルブ開度を精度良く検出することができる。
これによって、PWM周期における通電OFF期間中に取り込んだバルブ開度センサ7の出力信号のA/D変換値に基づいて基準位置学習(全閉位置学習または全開位置学習)を実行することができるので、制御上の基準位置(制御上の全閉ポイントまたは制御上の全開ポイント)の誤学習を防止することができる。
また、PWM周期における通電OFF期間中にのみ取り込んだバルブ開度センサ7の出力信号のA/D変換値に基づいてセンサ故障診断を実行することができるので、正常なバルブ開度センサ7、特にホールIC72を異常(故障)と誤診断してセンサ異常ダイアグフラグ(FDIAG)をONしてしまうことを未然に防止することができる。
【実施例2】
【0088】
図13は本発明の実施例2を示したもので、ECU(マイクロコンピュータ)による基準位置学習を示したフローチャートである。この図13の制御ルーチンは、図11の制御ルーチンのステップS36の判定結果がYESの場合に実行される。
【0089】
図11の制御ルーチンのステップS36の判定結果がYESの場合には、バルブ開度センサ7の出力信号をA/D変換のためにサンプリング周期(バルブ開度センサ7の出力信号のAD取込タイミング)になっているか否かを判定する(ステップS51)。この判定結果がNOの場合には、ステップS51の判定処理を繰り返す。
また、ステップS51の判定結果がYESの場合には、バルブ開度センサ7の出力信号をA/D変換回路48に取り込む(ステップS52)。次に、A/D変換回路48でアナログ信号からデジタル信号に変換された、バルブ開度センサ7の出力信号のA/D変換値に基づいてTCVの実バルブ開度を検出(算出)する(バルブ開度演算手段:ステップS53)。
【0090】
次に、Hブリッジ回路47(特に第3半導体スイッチング素子53のベース)に与えるPWM信号のPWM周期における通電ON期間中であるか否かを判定する(ステップS54)。この判定結果がYESの場合には、PWM周期における通電ON期間中に取り込んだバルブ開度センサ7の出力信号のA/D変換値に基づく基準位置学習およびセンサ故障診断の実行を禁止する(ステップS55)。その後に、図13の制御ルーチンを終了する。したがって、マイクロコンピュータ50のメモリへの基準位置学習値(全閉位置学習値)の記憶は成されず、学習完了フラグもONされず、OFFのままとなる。
また、ステップS54の判定結果がNOの場合には、PWM周期における通電OFF期間中に取り込んだバルブ開度センサ7の出力信号のA/D変換値に基づく基準位置学習およびセンサ故障診断の実行を許可する(ステップS56)。
【0091】
次に、図11の制御ルーチンのステップS36の判定結果がYESであり複数の吸気流制御バルブ3がその作動可能範囲の限界位置(全閉位置)に突き当てられている、つまり全閉位置に到達していると判断できるので、TCVの実バルブ開度(現在のバルブ開度)を基準位置とする。すなわち、複数の吸気流制御バルブ3が基準位置(全閉位置)にあるときのバルブ開度センサ7の出力信号から制御上の基準位置(制御上の全閉ポイント)が求められる。そして、この制御上の全閉ポイントを基準位置学習値(全閉位置学習値)としてマイクロコンピュータ50のメモリに記憶する(学習制御手段:ステップS57)。 次に、学習完了フラグをONする(ステップS58)。その後、図13の制御ルーチンを終了する。なお、学習完了フラグは、一旦イグニッションスイッチがオフ(IG・OFF)されると、OFFされる。
【0092】
以上のように、本実施例の内燃機関の吸気制御装置(吸気渦流発生装置)においては、複数の吸気流制御バルブ3をその作動可能範囲の限界位置(全閉位置または全開位置)に突き当てた状態で保持することが可能なモータ印加電圧またはモータ駆動電流をモータ12のコイルに供給している時に、Hブリッジ回路47(特に第3半導体スイッチング素子53のベース)に与えるPWM信号のPWM周期における通電ON期間中に取り込んだバルブ開度センサ7の出力信号のA/D変換値を無視するようにしている。
これによって、複数の吸気流制御バルブ3を基準位置(全閉位置または全開位置)まで駆動した後も継続してモータ12を通電することにより、ホールIC72を有するバルブ開度センサ7の周辺磁場が変化し、バルブ開度センサ7の出力変動が生じた場合でも、PWM周期における通電ON期間中に取り込んだバルブ開度センサ7の出力信号のA/D変換値を無視する。
したがって、バルブ開度センサ7の出力変動が少ない、PWM周期における通電OFF期間中に取り込んだバルブ開度センサ7の出力信号のA/D変換値からTCVの実バルブ開度を検出(算出)しているので、モータ12のコイルへの通電の有無によらず、TCVの実バルブ開度を精度良く検出することができる。
【0093】
ここで、PWM周期における通電ON期間中に取り込んだバルブ開度センサ7の出力信号のA/D変換値を無視するとは、PWM周期における通電ON期間中に取り込んだバルブ開度センサ7の出力信号のA/D変換値に基づく基準位置学習の実行を禁止することである。この場合には、PWM周期における通電OFF期間中に取り込んだバルブ開度センサ7の出力信号のA/D変換値に基づく基準位置学習の実行のみを許可することで、制御上の基準位置の誤学習を防止することができる。
また、PWM周期における通電ON期間中に取り込んだバルブ開度センサ7の出力信号のA/D変換値を無視するとは、PWM周期における通電ON期間中に取り込んだバルブ開度センサ7の出力信号のA/D変換値に基づくセンサ故障診断の実行を禁止することである。この場合には、PWM周期における通電OFF期間中に取り込んだバルブ開度センサ7の出力信号のA/D変換値に基づくセンサ故障診断の実行のみを許可することで、正常なバルブ開度センサ7を異常(故障)と誤診断してしまうことを未然に防止することができる。
【0094】
[変形例]
本実施例では、内燃機関の吸気制御装置を、吸気渦流発生装置を備えた内燃機関の吸気制御装置に適用しているが、内燃機関の吸気制御装置を、内燃機関の吸気通路を開閉して吸入空気の流量を制御する内燃機関の電子スロットル制御装置、内燃機関の吸気通路を開閉して吸気通路の通路長や通路断面積を変更する内燃機関の可変吸気制御装置に適用しても良い。
【0095】
本実施例では、吸気渦流発生装置を、エンジンの各気筒毎の燃焼室内にて混合気の燃焼を促進させるための縦方向の吸気渦流(タンブル流)の生成が可能となるように構成したが、吸気渦流発生装置を、エンジンの各気筒毎の燃焼室内にて混合気の燃焼を促進させるための横方向の吸気渦流(スワール流)の生成が可能となるように構成しても良い。また、吸気渦流発生装置を、エンジンの燃焼を促進させるためのスキッシュ渦の生成が可能となるように構成しても良い。
【0096】
本実施例では、吸気流制御バルブ3のバルブ軸41を駆動するアクチュエータを、モータ12および動力伝達機構(例えば歯車減速機構等)によって構成したが、バルブの軸を駆動するアクチュエータを、モータのみによって構成しても良い。また、ピンロッド4を介することなく、直接バルブの軸を駆動しても良い。なお、バルブを開弁作動方向または閉弁作動方向に付勢するスプリング等のバルブ付勢手段を設置しても設置しなくても構わない。
【0097】
また、吸気管またはインテークマニホールド等のケーシング内部に形成される吸気通路に設置されたバルブを有し、内燃機関の燃焼室に吸い込まれる吸入空気(吸気)を制御する吸気制御弁として、本実施例のTCV(タンブル流制御弁)の代わりに、スロットルボディ内部に形成される吸気通路に設置されたスロットルバルブを有し、内燃機関の燃焼室に吸い込まれる吸入空気(吸気)の流量を制御する吸気流量制御弁、ハウジング内部に形成される吸気通路に設置されたアイドル回転速度制御バルブを有し、スロットルバルブを迂回する吸入空気(吸気)の流量を制御する吸気流量制御弁等を用いても良い。
【0098】
また、ケーシング(またはハウジング)と吸気制御バルブとによって構成される吸気制御弁として、吸気流制御弁または吸気流量制御弁の代わりに、吸気通路開閉弁、吸気通路切替弁、吸気圧力制御弁を用いても良い。また、吸気制御弁を、タンブル制御弁やスワール制御弁等の吸気流制御弁、吸気通路の通路長や通路断面積を変更する吸気可変弁等に適用しても良い。また、回転型のバルブの代わりに、ポペット型のバルブを用いても良い。この場合には、アクチュエータに運動方向変換機構が設けられる。また、内燃機関として、ディーゼルエンジンを用いても良い。また、内燃機関として、多気筒エンジンだけでなく、単気筒エンジンを用いても良い。
【0099】
本実施例では、1個のハウジング35の内部に1個の吸気流制御バルブ3を開閉自在に組み込んだバルブユニット(カートリッジ)を、ケーシングとしてのインテークマニホールド1の内部にピンロッド4の回転軸方向に一定の間隔で複数配置した多連一体型のバルブ開閉装置(吸気通路開閉装置)を採用しているが、ケーシング(その他の吸気管またはエンジンヘッドカバーまたはシリンダヘッド)の内部にシャフトの回転軸方向に一定の間隔で複数のバルブを直接配置した多連一体型のバルブ開閉装置(吸気通路開閉装置)を採用しても良い。この場合には、ハウジング35を廃止できる。
【0100】
また、吸気制御バルブは、多連一体型の吸気制御バルブに限定されず、内燃機関の吸気通路に設置されるバルブであれば、1個の吸気制御バルブであっても良い。
また、本実施例では、動力源としてのモータにより駆動される吸気制御バルブとして、その回転中心を成す回転軸(バルブ軸)が、吸気流制御バルブ3の板厚方向に対して垂直なバルブ面方向の片側に設置される片持ち式の吸気流制御バルブ3を採用しているが、動力源としてのモータにより駆動される吸気制御バルブとして、その回転中心を成す回転軸(バルブ軸)が、吸気制御バルブの板厚方向に対して垂直なバルブ面方向の略中央部に設置される両持ち式の吸気制御バルブ(バタフライ型バルブ)を採用しても良い。
【0101】
ここで、モータ12の駆動デューティ比またはPWM信号のデューティ比を、モータ12を含む吸気渦流発生装置(システム)の周囲の環境変動、すなわち、バッテリ電圧センサより出力されるバッテリ電圧信号、および冷却水温センサ22より出力される冷却水温信号(またはモータ12の周囲の環境温度(例えばエンジンルーム温度やモータ12のコイル温度等))に応じて補正されるように構成しても良い。この場合には、バッテリ電圧が高くなる程、モータ12の駆動デューティ比またはPWM信号のデューティ比が大きな値に設定(補正)される。また、冷却水温(またはモータ12の周囲の環境温度)が高くなる程、モータ12の駆動デューティ比またはPWM信号のデューティ比が大きな値に設定(補正)される。
【0102】
また、全閉ストッパに対するストッパレバー45の突き当てによる衝撃音を低減するという目的で、複数の吸気流制御バルブ3を全閉作動させる際に、基準位置学習で学習した制御上の基準位置(制御上の全閉ポイント)の直前のある中間位置に到達した段階で、複数の吸気流制御バルブ3の作動速度を減速する減速制御を実行するようにしても良い。
また、全開ストッパに対するストッパレバー45の突き当てによる衝撃音を低減するという目的で、複数の吸気流制御バルブ3を全開作動させる際に、基準位置学習で学習した制御上の基準位置(制御上の全開ポイント)の直前のある中間位置に到達した段階で、複数の吸気流制御バルブ3の作動速度を減速する減速制御を実行するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】内燃機関の吸気制御装置を示した概略図である(実施例1)。
【図2】(a)は吸気流制御バルブの全閉位置を示した断面図で、(b)は吸気流制御バルブの全開位置を示した断面図である(実施例1)。
【図3】バルブユニット(カートリッジ)を示した斜視図である(実施例1)。
【図4】吸気渦流発生装置を示した断面図である(実施例1)。
【図5】エンジン制御システムを示したブロック図である(実施例1)。
【図6】Hブリッジ回路およびマイクロコンピュータを示したブロック図である(実施例1)。
【図7】ECU(マイクロコンピュータ)によるHブリッジ回路の駆動制御を示したフローチャートである(実施例1)。
【図8】ECU(マイクロコンピュータ)によるHブリッジ回路の駆動制御を示したフローチャートである(実施例1)。
【図9】ECU(マイクロコンピュータ)によるHブリッジ回路の駆動制御を示したフローチャートである(実施例1)。
【図10】(a)、(b)はモータへの通電パターンおよびバルブ開度センサの出力信号のAD取込タイミングを示したタイミングチャートである(実施例1)。
【図11】ECU(マイクロコンピュータ)による基準位置学習を示したフローチャートである(実施例1)。
【図12】ECU(マイクロコンピュータ)による基準位置学習を示したフローチャートである(実施例1)。
【図13】ECU(マイクロコンピュータ)による基準位置学習を示したフローチャートである(実施例2)。
【図14】吸気渦流発生装置を示した概略図である(従来の技術)。
【符号の説明】
【0104】
1 インテークマニホールド(ダクト)
2 スロットルバルブ
3 吸気流制御バルブ
4 ピンロッド(バルブの回転軸、シャフト)
5 アクチュエータ本体
6 ECU(エンジン制御ユニット)
7 バルブ開度センサ
11 電子スロットル制御装置のモータ
12 吸気渦流発生装置のモータ
31 インテークマニホールドの第1吸気通路
32 ハウジングの第2吸気通路
47 Hブリッジ回路
48 A/D変換回路(サンプリング手段)
50 マイクロコンピュータ
51 第1半導体スイッチング素子(スイッチング素子)
52 第2半導体スイッチング素子(スイッチング素子)
53 第3半導体スイッチング素子(スイッチング素子)
54 第4半導体スイッチング素子(スイッチング素子)
71 マグネット(磁石)
72 非接触式の磁気検出素子を有するホールIC

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)内燃機関の燃焼室に連通する吸気通路を形成するダクトと、
(b)前記内燃機関の吸気通路に設置されたバルブと、
(c)電力の供給を受けると、前記バルブの回転軸を駆動する駆動力を発生するモータと、
(d)前記バルブの回転軸に固定された磁石より放出される磁束を検出する非接触式の磁気検出素子を有し、前記バルブの開度に対応して出力を発生するセンサと、
(e)このセンサの出力を取り込んで前記バルブの開度を検出し、
前記バルブの開度が目標開度になるように、パルス信号の発生周期における、前記モータを通電する通電オン期間と前記モータへの通電を停止する通電オフ期間との比率を変更して、前記モータへの供給電力を可変制御する制御ユニットと
を備えた内燃機関の吸気制御装置において、
前記制御ユニットは、前記センサの出力の取込タイミングを前記モータへの通電開始タイミングの整数倍近傍に設定すると共に、前記通電オフ期間中にのみ前記センサの出力を取り込むことを特徴とする内燃機関の吸気制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の内燃機関の吸気制御装置において、
前記センサの出力の取込タイミングを前記モータへの通電開始タイミングの整数倍近傍に設定するとは、前記センサの出力の取込タイミングを前記モータへの通電開始タイミングと同期させることであることを特徴とする内燃機関の吸気制御装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の内燃機関の吸気制御装置において、
前記センサの出力の取込タイミングを前記モータへの通電開始タイミングの整数倍近傍に設定するとは、前記モータへの通電開始タイミングの直前で前記センサの出力を取り込むことであることを特徴とする内燃機関の吸気制御装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1つに記載の内燃機関の吸気制御装置において、
前記制御ユニットは、
前記センサの出力を所定の周期で取り込むサンプリング手段、
このサンプリング手段で取り込んだ前記センサの出力から前記バルブの実開度を算出するバルブ開度演算手段、
所定のデューティ比のパルス信号を所定の周期で発生するパルス信号発生手段、
および前記バルブの実開度と前記目標開度との偏差に基づいて、前記パルス信号のデューティ比を設定するデューティ比設定手段
を有していることを特徴とする内燃機関の吸気制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の内燃機関の吸気制御装置において、
前記サンプリング手段は、前記センサの出力をアナログ信号からデジタル信号に変換するためにサンプリングする周期が、前記パルス信号の発生周期の整数倍近傍に設定されている、あるいは前記パルス信号の発生周期と同期していることを特徴とする内燃機関の吸気制御装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のうちのいずれか1つに記載の内燃機関の吸気制御装置において、
前記制御ユニットは、前記バルブが基準位置にあるときの前記センサの出力から制御上の基準位置を求め、この制御上の基準位置を基準位置学習値として記憶する基準位置学習を行う学習制御手段、および前記基準位置学習値に基づいて前記バルブの開度を制御するバルブ開度制御手段を有していることを特徴とする内燃機関の吸気制御装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のうちのいずれか1つに記載の内燃機関の吸気制御装置において、
前記制御ユニットは、前記センサが異常であるか否かを判定するセンサ故障診断を行うセンサ異常判定手段を有していることを特徴とする内燃機関の吸気制御装置。
【請求項8】
(a)内燃機関の燃焼室に連通する吸気通路を形成するダクトと、
(b)前記内燃機関の吸気通路に設置されたバルブと、
(c)電力の供給を受けると、前記バルブの回転軸を駆動する駆動力を発生するモータと、
(d)前記バルブの回転軸に固定された磁石より放出される磁束を検出する非接触式の磁気検出素子を有し、前記バルブの開度に対応した出力を発生するセンサと、
(e)このセンサの出力を取り込んで前記バルブの開度を検出し、
前記バルブの開度が目標開度になるように、パルス信号の発生周期における、前記モータを通電する通電オン期間と前記モータへの通電を停止する通電オフ期間との比率を変更して、前記モータへの供給電力を可変制御する制御ユニットと
を備えた内燃機関の吸気制御装置において、
前記制御ユニットは、前記通電オン期間中に取り込んだ前記センサの出力を無視することを特徴とする内燃機関の吸気制御装置。
【請求項9】
請求項8に記載の内燃機関の吸気制御装置において、
前記制御ユニットは、前記バルブをその作動可能範囲の限界位置に突き当てるように、前記モータに駆動力を発生させることを特徴とする内燃機関の吸気制御装置。
【請求項10】
請求項8または請求項9に記載の内燃機関の吸気制御装置において、
前記制御ユニットは、
前記センサの出力を所定の周期で取り込むサンプリング手段、
このサンプリング手段で取り込んだ前記センサの出力から前記バルブの実開度を算出するバルブ開度演算手段、
所定のデューティ比のパルス信号を所定の周期で発生するパルス信号発生手段、
および前記バルブの実開度と前記目標開度との偏差に基づいて、前記パルス信号のデューティ比を設定するデューティ比設定手段
を有していることを特徴とする内燃機関の吸気制御装置。
【請求項11】
請求項8ないし請求項10のうちのいずれか1つに記載の内燃機関の吸気制御装置において、
前記制御ユニットは、前記バルブが基準位置にあるときの前記センサの出力から制御上の基準位置を求め、この制御上の基準位置を基準位置学習値として記憶する基準位置学習を行う学習制御手段、および前記基準位置学習値に基づいて前記バルブの開度を制御するバルブ開度制御手段を有し、
前記通電オン期間中に取り込んだ前記センサの出力を無視するとは、前記通電オン期間中に取り込んだ前記センサの出力に基づく前記基準位置学習の実行を禁止することであることを特徴とする内燃機関の吸気制御装置。
【請求項12】
請求項8ないし請求項11のうちのいずれか1つに記載の内燃機関の吸気制御装置において、
前記制御ユニットは、前記センサが異常であるか否かを判定するセンサ故障診断を行うセンサ異常判定手段を有し、
前記通電オン期間中に取り込んだ前記センサの出力を無視するとは、前記通電オン期間中に取り込んだ前記センサの出力に基づく前記センサ故障診断の実行を禁止することであることを特徴とする内燃機関の吸気制御装置。
【請求項13】
請求項1ないし請求項12のうちのいずれか1つに記載の内燃機関の吸気制御装置において、
前記制御ユニットは、
前記モータに対してHブリッジ型に接続された4つのスイッチング素子を有するHブリッジ回路、
所定のデューティ比のパルス幅変調信号を所定の周期で発生するパルス幅変調信号発生手段、
前記センサの出力を所定の周期で取り込むサンプリング手段、
このサンプリング手段で取り込んだ前記センサの出力から前記バルブの実開度を算出するバルブ開度演算手段、
および前記バルブの開度が目標開度になるように、前記パルス幅変調信号のデューティ比を設定するデューティ比設定手段を有していることを特徴とする内燃機関の吸気制御装置。
【請求項14】
請求項1ないし請求項13のうちのいずれか1つに記載の内燃機関の吸気制御装置において、
前記バルブは、前記内燃機関の燃焼室内に吸気渦流を発生させる吸気流制御バルブであることを特徴とする内燃機関の吸気制御装置。
【請求項15】
請求項1ないし請求項14のうちのいずれか1つに記載の内燃機関の吸気制御装置において、
前記バルブは、前記回転軸が、前記バルブの板厚方向に対して垂直なバルブ面方向の一方側に偏った片持ち式のバルブであることを特徴とする内燃機関の吸気制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−150326(P2009−150326A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−329572(P2007−329572)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】