説明

内燃機関の燃料性状判定装置

【課題】内燃機関の燃料性状判定装置において、EGR弁に異常が生じた場合であっても、燃料性状を精度良く判定する技術を提供する。
【解決手段】EGR通路と、EGR弁と、を備え、内燃機関に吸入する吸気圧力センサの出力値に基づいてEGR弁の異常を判定し、内燃機関のノッキングを回避する内燃機関のノック点火時期に基づいて燃料性状を判定する内燃機関の燃料性状判定装置において、EGR弁が異常であると判定された場合には、燃料性状を判定させる前に、内燃機関の動作線を高負荷側に変更し、内燃機関の運転状態を、燃料性状判定がEGRガスの影響を受け難い状態へ制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の燃料性状判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内燃機関のノッキングを検出したときに点火時期を遅角させ、内燃機関のノッキングを検出しないときには点火時期を進角復帰させるKCS(ノックコントロールシステム)を行い、このKCSにおける遅角量の大小に基づき、ハイオク/レギュラーの燃料性状を判定する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−164962号公報
【特許文献2】特開平6−200833号公報
【特許文献3】特開平11−182356号公報
【特許文献4】特開2004−28061号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、内燃機関の排気通路の排気の一部をEGRガスとして内燃機関の吸気通路に還流させるEGR通路と、当該EGR通路に設けられるEGR弁と、を備える場合がある。EGR通路から内燃機関に供給されるEGRガスは、内燃機関のノッキングの発生度合いを変化させる。ここで、EGR弁に異常が生じていると、EGRガス量が目標量から外れる場合がある。この場合には、EGRガス量が目標量から外れることに伴い内燃機関のノッキングを検出する点火時期が、EGRガス量が目標量である場合の正しい値からずれてしまう。そうすると、特許文献1のような技術において、内燃機関のノッキングを検出したときに点火時期を遅角させる遅角量も正しい量ではなくなり、ハイオク/レギュラーの燃料性状を判定することが困難になってしまう場合がある。
【0004】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、内燃機関の燃料性状判定装置において、EGR弁に異常が生じた場合であっても、燃料性状を精度良く判定する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明にあっては、以下の構成を採用する。すなわち、本発明は、
内燃機関の排気通路から排気の一部をEGRガスとして取り込み、前記内燃機関の吸気通路へ当該EGRガスを還流させるEGR通路と、
前記EGR通路に配置され、EGRガス量を制御するEGR弁と、
前記内燃機関に吸入する吸気の圧力に基づいて前記EGR弁の異常を判定するEGR弁異常判定手段と、
前記内燃機関のノッキングを回避するノック点火時期に基づいて燃料性状を判定する燃料性状判定手段と、
前記EGR弁異常判定手段によって前記EGR弁が異常であると判定された場合には、前記燃料性状判定手段によって燃料性状を判定させる前に、前記内燃機関の運転状態を、燃料性状判定がEGRガスの影響を受け難い状態へ制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする内燃機関の燃料性状判定装置である。
【0006】
一般に、内燃機関のノッキングが検出される手前まで内燃機関の点火時期を進角し、内燃機関のノッキングが検出されなくなるまで内燃機関の点火時期を遅角し、ノッキングを回避しつつ内燃機関の出力効率の向上を図るKCS(ノックコントロールシステム)が内燃機関において作動している。KCSで設定された、内燃機関のノッキングを回避する点
火時期をノック点火時期という。そして、ノック点火時期に基づいて、内燃機関に供給される燃料の性状を判定することが行われている。例えば、ノック点火時期が低オクタン価判定値よりも遅角側であると、内燃機関に使用されている燃料が低オクタン価燃料(レギュラー)であると判定する。また、ノック点火時期が高オクタン価判定値よりも進角側であると、内燃機関に使用されている燃料が高オクタン価燃料(ハイオク)であると判定する。
【0007】
ここで、内燃機関の排気通路の排気の一部をEGRガスとして内燃機関の吸気通路に還流させるEGR通路と、当該EGR通路に設けられるEGR弁と、を備える場合がある。EGR通路から内燃機関に供給されるEGRガスは、内燃機関のノッキングの発生度合いを変化させる。すなわち、EGRガス量に応じてノック点火時期が変化する。例えば、EGRガス量が多い程、EGRガスによって内燃機関での燃焼が緩慢になるので、ノック点火時期は進角される。そして、EGR弁に異常が生じていると、EGRガス量が目標量から外れる場合がある。この場合には、EGRガス量が目標量から外れることに伴い内燃機関のノック点火時期が、EGRガス量が目標量である場合の正しい値からずれてしまう。そうすると、ノック点火時期に基づいて、内燃機関に供給される燃料の性状、すなわちハイオク/レギュラーの燃料性状を判定することが困難になってしまう場合がある。
【0008】
そこで、本発明では、EGR弁異常判定手段によってEGR弁が異常であると判定された場合には、燃料性状判定手段によって燃料性状を判定させる前に、内燃機関の運転状態を、燃料性状判定がEGRガスの影響を受け難い状態へ制御する。
【0009】
本発明によると、内燃機関の運転状態を燃料性状判定がEGRガスの影響を受け難い状態へ制御した後に、燃料性状判定手段によって燃料性状を判定させる。したがって、EGR弁に異常が生じた場合であっても、燃料性状を精度良く判定することができる。
【0010】
前記制御手段は、前記内燃機関の動作線を高負荷側に変更し、前記内燃機関の運転状態を、燃料性状判定がEGRガスの影響を受け難い状態へ制御するとよい。
【0011】
内燃機関の動作線を高負荷側に変更すると、吸気量が増加して、吸気の圧力が上昇する。すると、内燃機関の吸気通路内の吸気の圧力が排気通路内の排気の圧力に近づき圧力差が小さくなる。このように当該圧力差が小さいために、排気通路から吸気通路へ還流するEGR通路では、流通するEGRガス量が少なくなる。よって、内燃機関の動作線を高負荷側に変更した後は、EGRガス量が少なくなり、内燃機関の運転状態を燃料性状判定がEGRガスの影響を受け難い状態へ制御できる。
【0012】
前記EGR弁異常判定手段として、前記吸気の圧力が開異常判定値よりも高いと、前記EGR弁が開異常であり、目標量よりも多いEGRガス量が前記内燃機関に供給されていると判定するEGR弁開異常判定手段を備え、
前記燃料性状判定手段として、前記ノック点火時期が低オクタン価判定値よりも遅角側であると、前記内燃機関に使用されている燃料が低オクタン価燃料であると判定する低オクタン価判定手段を備え、
前記EGR弁開異常判定手段によって前記EGR弁が開異常であると判定された場合には、前記低オクタン価判定手段によって前記内燃機関に使用されている燃料が低オクタン価燃料であるか否かを判定するとよい。
【0013】
本発明によると、EGR弁開異常判定手段によってEGR弁が開異常であると判定され、目標量よりも多いEGRガス量が内燃機関に供給されていたことが分かる。しかし、内燃機関の運転状態が、燃料性状判定がEGRガスの影響を受け難い状態へ制御された後なので、EGRガス量が削減される等して、ノック点火時期は遅角される。しかしながら、
EGRガスが内燃機関に完全に供給されなくなった訳ではなく、幾分かのEGRガスはまだ内燃機関に供給されており、ノック点火時期はEGRガスの影響により幾分進角されている。このため、このようにEGRガスの影響を受けて幾分進角されているノック点火時期が低オクタン価判定値よりも遅角側であれば、確実に、内燃機関に使用されている燃料が低オクタン価燃料であると判定することができる。
【0014】
前記燃料性状判定手段として、前記ノック点火時期が高オクタン価判定値よりも進角側であると、前記内燃機関に使用されている燃料が高オクタン価燃料であると判定する高オクタン価判定手段を備え、
前記EGR弁開異常判定手段によって前記EGR弁が開異常であると判定され、前記低オクタン価判定手段によって前記内燃機関に使用されている燃料が低オクタン価燃料ではないと判定された場合には、前記吸気の圧力が所定領域内にあるときに限り、前記高オクタン価判定手段によって前記内燃機関に使用されている燃料が高オクタン価燃料であるか否かを判定するとよい。
【0015】
ここで、所定領域とは、内燃機関にノッキングが発生する運転領域内、且つ、EGRガスを内燃機関に供給するEGR使用領域内において、EGR弁が正常である場合に、内燃機関の運転状態が、燃料性状判定がEGRガスの影響を受け難い状態へ制御されると、吸気の圧力がEGRガスを供給できなくなる圧力となる領域である。
【0016】
本発明によると、吸気の圧力が所定領域内にあるときは、内燃機関の運転状態が、燃料性状判定がEGRガスの影響を受け難い状態へ制御されると、EGRガスが内燃機関に供給されなくなる。ここで、EGRガスが供給されないと、ノック点火時期は遅角される。このため、このようにEGRガスが内燃機関に供給されない状態で、ノック点火時期が高オクタン価判定値よりも進角側であれば、確実に、内燃機関に使用されている燃料が高オクタン価燃料であると判定することができる。
【0017】
前記EGR弁開異常判定手段によって前記EGR弁が開異常であると判定され、前記低オクタン価判定手段によって前記内燃機関に使用されている燃料が低オクタン価燃料ではないと判定され、前記吸気の圧力が所定領域内にない場合には、前記内燃機関の点火時期を進角するとよい。
【0018】
本発明によると、吸気の圧力が所定領域内にないので、内燃機関の運転状態が、燃料性状判定がEGRガスの影響を受け難い状態へ制御されても、EGRガスが内燃機関にある程度供給されている。このため、このようにEGRガスが内燃機関にある程度供給されている状態では、ノック点火時期が高オクタン価判定値よりも進角側であっても、EGRガスが内燃機関に供給されているために進角している可能性もあるので、内燃機関に使用されている燃料が高オクタン価燃料であると判定することができなくなる。一方で、EGRガスが内燃機関に供給されているので、内燃機関の点火時期を進角して内燃機関の燃焼状態を安定させることとしている。
【0019】
前記EGR弁異常判定手段として、前記吸気の圧力が閉異常判定値よりも低いと、前記EGR弁が閉異常であり、目標量よりも少ないEGRガス量が前記内燃機関に供給されていると判定するEGR弁閉異常判定手段を備え、
前記燃料性状判定手段として、前記ノック点火時期が高オクタン価判定値よりも進角側であると、前記内燃機関に使用されている燃料が高オクタン価燃料であると判定する高オクタン価判定手段を備え、
前記EGR弁閉異常判定手段によって前記EGR弁が閉異常であると判定された場合には、前記高オクタン価判定手段によって前記内燃機関に使用されている燃料が高オクタン価燃料であるか否かを判定するとよい。
【0020】
本発明によると、EGR弁閉異常判定手段によってEGR弁が閉異常であると判定され、目標量よりも少ないEGRガス量が内燃機関に供給されていたことが分かる。このため、EGRガスの影響を比較的受けず、ノック点火時期は比較的遅角側に存在する。そして、内燃機関の運転状態が、燃料性状判定がEGRガスの影響を受け難い状態へ制御されると、EGRガス量が削減される等して、ノック点火時期はさらに遅角される。このため、このようにEGRガスの影響を比較的受けなく遅角され易い状態でのノック点火時期が高オクタン価判定値よりも進角側であれば、確実に、内燃機関に使用されている燃料が高オクタン価燃料であると判定することができる。
【0021】
前記燃料性状判定手段として、前記ノック点火時期が低オクタン価判定値よりも遅角側であると、前記内燃機関に使用されている燃料が低オクタン価燃料であると判定する低オクタン価判定手段を備え、
前記EGR弁閉異常判定手段によって前記EGR弁が閉異常であると判定され、前記高オクタン価判定手段によって前記内燃機関に使用されている燃料が高オクタン価燃料ではないと判定された場合には、前記EGR弁を全閉にした後に、前記低オクタン価判定手段によって前記内燃機関に使用されている燃料が低オクタン価燃料であるか否かを判定するとよい。
【0022】
本発明によると、EGR弁が全閉にされるので、EGRガスが内燃機関に供給されなくなり、ノック点火時期はEGRガスの影響を受けなくなり遅角される。このため、このようにEGRガスが内燃機関に供給されない状態で、ノック点火時期が低オクタン価判定値よりも遅角側であれば、確実に、内燃機関に使用されている燃料が低オクタン価燃料であると判定することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によると、内燃機関の燃料性状判定装置において、EGR弁に異常が生じた場合であっても、燃料性状を精度良く判定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に本発明の具体的な実施例を説明する。
【0025】
<実施例1>
図1は、本実施例に係る内燃機関の燃料性状判定装置を適用する内燃機関及びその吸気系・排気系の概略構成を示す図である。図1に示す内燃機関1は、4つの気筒2を有する水冷式の4ストロークサイクル・ガソリンエンジンである。内燃機関1は車両に搭載されている。
【0026】
内燃機関1の各気筒2には、吸気通路3が接続されている。吸気通路3の途中には、該吸気通路3内を流通する吸気(新気)の流量に応じた信号を出力するエアフローメータ4が配置されている。このエアフローメータ4により、内燃機関1に吸入される吸入空気量(吸気量(新気量))が測定される。また、吸気通路3の途中には、該吸気通路3内を流通する吸気(新気)の圧力に応じた信号を出力する吸気圧力センサ5が配置されている。この吸気圧力センサ5により、内燃機関1に吸入される吸気の圧力が検出される。吸気通路3及び吸気通路3に配置される上記機器が内燃機関1の吸気系を構成している。
【0027】
一方、内燃機関1には、排気通路6が接続されている。排気通路6が内燃機関1の排気系を構成している。
【0028】
そして、内燃機関1には、排気通路6内を流通する排気の一部を吸気通路3へ還流(再
循環)させるEGR(Exhaust Gas Recirculation)通路7が備えられている。本実施例
では、EGR通路7によって還流される排気をEGRガスと称している。EGR通路7は、排気通路6と、吸気通路3とを接続している。このEGR通路7を通って、排気の一部がEGRガスとして高圧で内燃機関1へ送り込まれる。
【0029】
EGR通路7の途中には、EGR通路7の通路断面積を調整することにより、該EGR通路7を流通するEGRガスの量を制御するEGR弁8が配置される。EGR弁8は、電動アクチュエータにより開閉される。
【0030】
内燃機関1の各気筒2には、該気筒2内に吸入された吸気及び燃料を混合させた混合気を着火させる点火プラグ9が設けられている。点火プラグ9は、点火時期を変更可能である。
【0031】
内燃機関1には、各気筒2に発生するノッキングを検出するノックセンサ10が設けられている。
【0032】
以上述べたように構成された内燃機関1には、該内燃機関1を制御するための電子制御ユニットであるECU11が併設されている。このECU11は、内燃機関1の運転条件や運転者の要求に応じて内燃機関1の運転状態を制御するユニットである。
【0033】
ECU11には、エアフローメータ4や吸気圧力センサ5、ノックセンサ10の他に、アクセルペダルの踏み込み量に応じた電気信号を出力するアクセル開度センサ12、及び内燃機関1の機関回転数を検出するクランクポジションセンサ13が電気配線を介して接続され、これら各種センサの出力信号がECU11に入力される。
【0034】
一方、ECU11には、EGR弁8の電動アクチュエータ及び点火プラグ9が電気配線を介して接続されており、該ECU11によりこれらの機器が制御される。
【0035】
そして、内燃機関1においては、ノッキングを回避しつつ内燃機関1の出力効率の向上を図るKCS(ノックコントロールシステム)が作動している。KCSでは、内燃機関1のノッキングがノックセンサ10で検出される手前まで点火プラグ9によって内燃機関1の点火時期を進角する。またKCSでは、内燃機関1のノッキングがノックセンサ10で検出されなくなるまで点火プラグ9によって内燃機関1の点火時期を遅角する。このようにしてKCSで設定された、内燃機関1のノッキングを回避する点火時期をノック点火時期という。
【0036】
そして、ノック点火時期に基づいて、内燃機関1に供給される燃料の性状を判定することが行われている。例えば、ノック点火時期が低オクタン価判定値よりも遅角側であると、内燃機関1に使用されている燃料が低オクタン価燃料(レギュラー)であると判定する。また、ノック点火時期が高オクタン価判定値よりも進角側であると、内燃機関1に使用されている燃料が高オクタン価燃料(ハイオク)であると判定する。
【0037】
ここで、本実施例では、EGR通路7と、当該EGR通路7に設けられるEGR弁8と、を備える。EGR通路7から内燃機関1に供給されるEGRガスは、内燃機関1のノッキングの発生度合いを変化させる。すなわち、EGRガス量に応じてノック点火時期が変化する。例えば、EGRガス量が多い程、EGRガスによって内燃機関1での燃焼が緩慢になるので、ノック点火時期は進角される。
【0038】
そして、EGR弁8に異常が生じていると、EGRガス量が目標量から外れる場合がある。この場合には、EGRガス量が目標量から外れることに伴い内燃機関1のノック点火
時期が、EGRガス量が目標量である場合の正しい値からずれてしまう。そうすると、ノック点火時期に基づいて、内燃機関1に供給される燃料の性状、すなわちハイオク/レギュラーの燃料性状を判定することが困難になってしまう場合がある。
【0039】
そこで、本実施例では、EGR弁8が異常であると判定された場合には、燃料性状を判定させる前に、図2の実線に示すように内燃機関1の動作線を高負荷側に変更し、内燃機関1の運転状態を、燃料性状判定がEGRガスの影響を受け難い状態へ制御するようにした。図2は、内燃機関1の動作線を示しており、実線は、EGR弁8が異常である時の高負荷側に変更された動作線を示している。破線は、EGR弁8が正常である通常時の動作線を示している。
【0040】
ここで、内燃機関1の動作線を高負荷側に変更することで、内燃機関1の出力が変化してしまう。よって、車両に搭載された内燃機関1にあっては、例えばハイブリッドシステムの電動モータや発電機によって車両の速度を一定に維持したり、トランスミッションの入力と出力との比(減速比)を変更して車両の速度を一定に維持したりする。
【0041】
図2の実線に示すように内燃機関1の動作線を高負荷側に変更すると、吸気量が増加して、吸気の圧力が上昇する。すると、内燃機関1の吸気通路3内の吸気の圧力が排気通路6内の排気の圧力に近づき圧力差が小さくなる。このように当該圧力差が小さいために、排気通路6から吸気通路3へ還流するEGR通路7では、流通するEGRガス量が少なくなる。よって、内燃機関1の動作線を高負荷側に変更した後は、EGRガス量が少なくなり、内燃機関1の運転状態を燃料性状判定がEGRガスの影響を受け難い状態へ制御できる。
【0042】
そして、内燃機関1の運転状態を燃料性状判定がEGRガスの影響を受け難い状態へ制御した後に、燃料性状を判定させる。したがって、EGR弁8に異常が生じた場合であっても、燃料性状を精度良く判定することができる。
【0043】
次に、本実施例による燃料性状判定制御ルーチンについて説明する。図3は、本実施例による燃料性状判定制御ルーチンを示したフローチャートである。本ルーチンは、所定の時間毎に繰り返しECU11により実行される。
【0044】
ステップS101では、EGR弁異常判定領域であるか否かを判別する。EGR弁異常判定領域は、内燃機関1の運転状態に基づきEGRガスが供給される領域である。
【0045】
ステップS101において、EGR弁異常判定領域であると肯定判定された場合には、ステップS102へ移行する。ステップS101において、EGR弁異常判定領域ではないと否定判定された場合には、本ルーチンを一旦終了する。
【0046】
ステップS102では、EGR弁異常判定制御をサブルーチンにて行う。ここで、EGR弁異常判定制御サブルーチンについて説明する。図4は、EGR弁異常判定制御サブルーチンを示したフローチャートである。本サブルーチンは、ECU11により実行される。
【0047】
ステップS201では、吸気圧力センサ5の出力値Ptが閉異常判定値Cajよりも小さいか否かを判別する。本ステップを実行するECU11が本発明のEGR弁閉異常判定手段に相当し、広義にはEGR弁異常判定手段に相当する。
【0048】
ステップS201において、吸気圧力センサ5の出力値Ptが閉異常判定値Cajよりも小さいと肯定判定された場合には、ステップS202へ移行する。ステップS201に
おいて、吸気圧力センサ5の出力値Ptが閉異常判定値Cajよりも小さくはないと否定判定された場合には、ステップS203へ移行する。
【0049】
ステップS202では、EGR弁8が閉異常であると判定する。ここで、EGR弁8が閉異常とは、目標量よりも少ないEGRガス量が内燃機関1に供給されていると判定するものである。そして、燃料性状判定制御ルーチンに戻る。
【0050】
一方、ステップS203では、吸気圧力センサ5の出力値Ptが開異常判定値Oajよりも大きいか否かを判別する。本ステップを実行するECU11が本発明のEGR弁開異常判定手段に相当し、広義にはEGR弁異常判定手段に相当する。
【0051】
ステップS203において、吸気圧力センサ5の出力値Ptが開異常判定値Oajよりも大きいと肯定判定された場合には、ステップS204へ移行する。ステップS203において、吸気圧力センサ5の出力値Ptが開異常判定値Oajよりも大きくはないと否定判定された場合には、ステップS205へ移行する。
【0052】
ステップS204では、EGR弁8が開異常であると判定する。ここで、EGR弁8が開異常とは、目標量よりも多いEGRガス量が内燃機関1に供給されていると判定するものである。そして、燃料性状判定制御ルーチンに戻る。
【0053】
一方、ステップS205では、EGR弁8は正常と判定する。そして、燃料性状判定制御ルーチンに戻る。
【0054】
ステップS102に続くステップS103では、燃料性状判定領域であるか否かを判別する。燃料性状判定領域は、内燃機関1の運転状態及びノック点火時期により燃料性状を判定可能な領域である。
【0055】
ステップS103において、燃料性状判定領域であると肯定判定された場合には、ステップS104へ移行する。ステップS103において、燃料性状判定領域ではないと否定判定された場合には、本ルーチンを一旦終了する。
【0056】
ステップS104では、EGR弁8が正常であるか否かを判別する。EGR弁8が正常であるか否かは、ステップS102でのEGR弁異常判定制御サブルーチンによって求められている。
【0057】
ステップS104において、EGR弁8が正常であると肯定判定された場合には、ステップS105へ移行する。ステップS104において、EGR弁8が正常ではないと否定判定された場合には、ステップS106へ移行する。
【0058】
ステップS105では、EGR弁正常時燃料性状判定制御をサブルーチンにて行う。ここで、EGR弁正常時燃料性状判定制御サブルーチンについて説明する。図5は、EGR弁正常時燃料性状判定制御サブルーチンを示したフローチャートである。本サブルーチンは、ECU11により実行される。
【0059】
ステップS301では、ノック点火時期Kiが高オクタン価判定値Hojよりも進角されているか否かを判別する。本ステップを実行するECU11が本発明の高オクタン価判定手段に相当し、広義には燃料性状判定手段に相当する。
【0060】
ステップS301において、ノック点火時期Kiが高オクタン価判定値Hojよりも進角されていると肯定判定された場合には、ステップS302へ移行する。ステップS30
1において、ノック点火時期Kiが高オクタン価判定値Hojよりも進角されていないと否定判定された場合には、ステップS303へ移行する。
【0061】
ステップS302では、高オクタン価燃料(ハイオク)であると判定する。この場合には、高オクタン価燃料用の点火時期のマップを選択する。そして、燃料性状判定制御ルーチンに戻る。
【0062】
一方、ステップS303では、ノック点火時期Kiが低オクタン価判定値Lojよりも遅角されているか否かを判別する。本ステップを実行するECU11が本発明の低オクタン価判定手段に相当し、広義には燃料性状判定手段に相当する。
【0063】
ステップS303において、ノック点火時期Kiが低オクタン価判定値Lojよりも遅角されていると肯定判定された場合には、ステップS304へ移行する。ステップS303において、ノック点火時期Kiが低オクタン価判定値Lojよりも遅角されていないと否定判定された場合には、本サブルーチンを一旦終了する。
【0064】
ステップS304では、低オクタン価燃料(レギュラー)であると判定する。この場合には、低オクタン価燃料用の点火時期のマップを選択する。そして、燃料性状判定制御ルーチンに戻る。
【0065】
一方、ステップS106では、図2の破線の通常の動作線から実線の高負荷側の動作線へ変更する。これにより、内燃機関1の運転状態を、燃料性状判定がEGRガスの影響を受け難い状態へ制御する。
【0066】
ステップS106に続くステップS107では、EGR弁異常時燃料性状判定制御をサブルーチンにて行う。ここで、EGR弁異常時燃料性状判定制御サブルーチンについて説明する。図6及び図7は、EGR弁異常時燃料性状判定制御サブルーチンを示したフローチャートである。本サブルーチンは、ECU11により実行される。
【0067】
ステップS401では、EGR弁8が開異常であるか否かを判別する。EGR弁8が開異常であるか否かは、ステップS102でのEGR弁異常判定制御サブルーチンによって求められている。
【0068】
ステップS401において、EGR弁8が開異常であると肯定判定された場合には、ステップS402へ移行する。ステップS401において、EGR弁8が開異常ではないと否定判定された場合には、EGR弁8が閉異常であるとして、丸A印から図7に続くステップS408へ移行する。
【0069】
ステップS402では、ノック点火時期Kiが低オクタン価判定値Lojよりも遅角されているか否かを判別する。本ステップを実行するECU11が本発明の低オクタン価判定手段に相当し、広義には燃料性状判定手段に相当する。すなわち、EGR弁8が開異常であると判定された場合には、内燃機関1に使用されている燃料が低オクタン価燃料であるか否かを判定する。
【0070】
本ステップに移行した場合には、EGR弁8が開異常であると判定され、目標量よりも多いEGRガス量が内燃機関1に供給されていたことが分かる。しかし、内燃機関1の動作線を高負荷側へ変更し、内燃機関1の運転状態が、燃料性状判定がEGRガスの影響を受け難い状態へ制御された後なので、EGRガス量が削減され、ノック点火時期Kiは遅角される。しかしながら、EGRガスが内燃機関1に完全に供給されなくなった訳ではなく、幾分かのEGRガスはまだ内燃機関1に供給されており、ノック点火時期KiはEG
Rガスの影響により幾分進角されている。このため、このようにEGRガスの影響を受けて幾分進角されているノック点火時期Kiが低オクタン価判定値Lojよりも遅角側であれば、確実に、内燃機関1に使用されている燃料が低オクタン価燃料であると判定することができる。
【0071】
ステップS402において、ノック点火時期Kiが低オクタン価判定値Lojよりも遅角されていると肯定判定された場合には、ステップS403へ移行する。ステップS402において、ノック点火時期Kiが低オクタン価判定値Lojよりも遅角されていないと否定判定された場合には、ステップS404へ移行する。
【0072】
ステップS403では、低オクタン価燃料(レギュラー)であると判定する。この場合には、低オクタン価燃料用の点火時期のマップを選択する。そして、燃料性状判定制御ルーチンに戻る。
【0073】
一方、ステップS404では、吸気圧力センサ5の出力値Ptが所定領域内にあるか否かを判別する。
【0074】
ここで、所定領域とは、内燃機関1にノッキングが発生する運転領域内、且つ、EGRガスを内燃機関1に供給するEGR使用領域内において、EGR弁8が正常である場合に、内燃機関1の動作線を高負荷側へ変更し、内燃機関1の運転状態が、燃料性状判定がEGRガスの影響を受け難い状態へ制御されると、吸気の圧力がEGRガスを供給できなくなる圧力となる領域である。
【0075】
ステップS404において、吸気圧力センサ5の出力値Ptが所定領域内にあると肯定判定された場合には、ステップS405へ移行する。ステップS404において、吸気圧力センサ5の出力値Ptが所定領域内にないと否定判定された場合には、ステップS407へ移行する。
【0076】
ステップS405では、ノック点火時期Kiが高オクタン価判定値Hojよりも進角されているか否かを判別する。本ステップを実行するECU11が本発明の高オクタン価判定手段に相当し、広義には燃料性状判定手段に相当する。すなわち、EGR弁8が開異常であると判定され、内燃機関1に使用されている燃料が低オクタン価燃料ではないと判定された場合には、吸気圧力センサ5の出力値Ptが所定領域内にあるときに限り、内燃機関1に使用されている燃料が高オクタン価燃料であるか否かを判定する。
【0077】
本ステップに移行した場合には、吸気圧力センサ5の出力値Ptが所定領域内にあるときは、内燃機関1の動作線を高負荷側へ変更し、内燃機関1の運転状態が、燃料性状判定がEGRガスの影響を受け難い状態へ制御されると、EGRガスが内燃機関1に供給されなくなる。ここで、EGRガスが供給されないと、ノック点火時期Kiは遅角される。このため、このようにEGRガスが内燃機関1に供給されない状態で、ノック点火時期Kiが高オクタン価判定値よりも進角側であれば、確実に、内燃機関1に使用されている燃料が高オクタン価燃料であると判定することができる。
【0078】
ステップS405において、ノック点火時期Kiが高オクタン価判定値Hojよりも進角されていると肯定判定された場合には、ステップS406へ移行する。ステップS405において、ノック点火時期Kiが高オクタン価判定値Hojよりも進角されていないと否定判定された場合には、本サブルーチンを一旦終了する。
【0079】
ステップS406では、高オクタン価燃料(ハイオク)であると判定する。この場合には、高オクタン価燃料用の点火時期のマップを選択する。そして、燃料性状判定制御ルー
チンに戻る。
【0080】
一方、ステップS407では、内燃機関1の点火時期を進角する。すなわち、EGR弁8が開異常であると判定され、内燃機関1に使用されている燃料が低オクタン価燃料ではないと判定され、吸気圧力センサ5の出力値Ptが所定領域内にない場合には、内燃機関1の点火時期を進角する。
【0081】
本ステップに移行する場合には、吸気圧力センサ5の出力値Ptが所定領域内にないので、内燃機関1の動作線を高負荷側へ変更し、内燃機関1の運転状態が、燃料性状判定がEGRガスの影響を受け難い状態へ制御されても、EGRガスが内燃機関1にある程度供給されている。このため、このようにEGRガスが内燃機関1にある程度供給されている状態では、ノック点火時期Kiが高オクタン価判定値Hojよりも進角側であっても、EGRガスが内燃機関1に供給されているために進角している可能性もあるので、内燃機関1に使用されている燃料が高オクタン価燃料であると判定することができなくなる。一方で、EGRガスが内燃機関1に供給されているので、内燃機関1の点火時期を進角して内燃機関1の燃焼状態を安定させることとしている。
【0082】
一方、EGR弁8が閉異常である場合の、丸A印から続く図7に示すステップS408では、ノック点火時期Kiが高オクタン価判定値Hojよりも進角されているか否かを判別する。本ステップを実行するECU11が本発明の高オクタン価判定手段に相当し、広義には燃料性状判定手段に相当する。すなわち、EGR弁8が閉異常であると判定された場合には、内燃機関1に使用されている燃料が高オクタン価燃料であるか否かを判定する。
【0083】
本ステップに移行する場合には、EGR弁8が閉異常であると判定され、目標量よりも少ないEGRガス量が内燃機関1に供給されていたことが分かる。このため、EGRガスの影響を比較的受けず、ノック点火時期Kiは比較的遅角側に存在する。そして、内燃機関1の動作線を高負荷側へ変更し、内燃機関1の運転状態が、燃料性状判定がEGRガスの影響を受け難い状態へ制御されると、EGRガス量が削減され、ノック点火時期Kiはさらに遅角される。このため、このようにEGRガスの影響を比較的受けなく遅角され易い状態でのノック点火時期Kiが高オクタン価判定値Hojよりも進角側であれば、確実に、内燃機関1に使用されている燃料が高オクタン価燃料であると判定することができる。
【0084】
ステップS408において、ノック点火時期Kiが高オクタン価判定値Hojよりも進角されていると肯定判定された場合には、ステップS409へ移行する。ステップS408において、ノック点火時期Kiが高オクタン価判定値Hojよりも進角されていないと否定判定された場合には、ステップS410へ移行する。
【0085】
ステップS409では、高オクタン価燃料(ハイオク)であると判定する。この場合には、高オクタン価燃料用の点火時期のマップを選択する。そして、燃料性状判定制御ルーチンに戻る。
【0086】
一方、ステップS410では、EGR弁8を全閉する。
【0087】
ステップS410に続くステップS411では、ノック点火時期Kiが低オクタン価判定値Lojよりも遅角されているか否かを判別する。本ステップを実行するECU11が本発明の低オクタン価判定手段に相当し、広義には燃料性状判定手段に相当する。すなわち、EGR弁8が閉異常であると判定され、内燃機関1に使用されている燃料が高オクタン価燃料ではないと判定された場合には、EGR弁8を全閉にした後に、内燃機関1に使
用されている燃料が低オクタン価燃料であるか否かを判定する。
【0088】
本ステップに移行する場合には、EGR弁8が全閉にされるので、EGRガスが内燃機関1に供給されなくなり、ノック点火時期KiはEGRガスの影響を受けなくなり遅角される。このため、このようにEGRガスが内燃機関1に供給されない状態で、ノック点火時期Kiが低オクタン価判定値よりも遅角側であれば、確実に、内燃機関1に使用されている燃料が低オクタン価燃料であると判定することができる。
【0089】
ステップS411において、ノック点火時期Kiが低オクタン価判定値Lojよりも遅角されていると肯定判定された場合には、ステップS412へ移行する。ステップS411において、ノック点火時期Kiが低オクタン価判定値Lojよりも遅角されていないと否定判定された場合には、本サブルーチンを一旦終了する。
【0090】
ステップS412では、低オクタン価燃料(レギュラー)であると判定する。この場合には、低オクタン価燃料用の点火時期のマップを選択する。そして、燃料性状判定制御ルーチンに戻る。
【0091】
そして、燃料性状判定制御ルーチンでは、ステップS105及びステップS107のサブルーチンの終了後、本ルーチンを一旦終了する。
【0092】
以上説明した本ルーチンによれば、EGR弁8が異常であると判定された場合には、燃料性状を判定させる前に、内燃機関1の動作線を高負荷側に変更し、内燃機関1の運転状態を、燃料性状判定がEGRガスの影響を受け難い状態へ制御できる。したがって、EGR弁8に異常が生じた場合であっても、燃料性状を精度良く判定することができる。
【0093】
本発明に係る内燃機関の燃料性状判定装置は、上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】実施例1に係る内燃機関及びその吸気系・排気系の概略構成を示す図。
【図2】実施例1に係る内燃機関の動作線を示すマップ。
【図3】実施例1に係る燃料性状判定制御ルーチンを示すフローチャート。
【図4】実施例1に係るEGR弁異常判定制御サブルーチンを示すフローチャート。
【図5】実施例1に係るEGR弁正常時燃料性状判定制御サブルーチンを示すフローチャート。
【図6】実施例1に係るEGR弁異常時燃料性状判定制御サブルーチンを示すフローチャート。
【図7】実施例1に係るEGR弁異常時燃料性状判定制御サブルーチンを示すフローチャート。
【符号の説明】
【0095】
1 内燃機関
2 気筒
3 吸気通路
4 エアフローメータ
5 吸気圧力センサ
6 排気通路
7 EGR通路
8 EGR弁
9 点火プラグ
10 ノックセンサ
11 ECU
12 アクセル開度センサ
13 クランクポジションセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気通路から排気の一部をEGRガスとして取り込み、前記内燃機関の吸気通路へ当該EGRガスを還流させるEGR通路と、
前記EGR通路に配置され、EGRガス量を制御するEGR弁と、
前記内燃機関に吸入する吸気の圧力に基づいて前記EGR弁の異常を判定するEGR弁異常判定手段と、
前記内燃機関のノッキングを回避するノック点火時期に基づいて燃料性状を判定する燃料性状判定手段と、
前記EGR弁異常判定手段によって前記EGR弁が異常であると判定された場合には、前記燃料性状判定手段によって燃料性状を判定させる前に、前記内燃機関の運転状態を、燃料性状判定がEGRガスの影響を受け難い状態へ制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする内燃機関の燃料性状判定装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記内燃機関の動作線を高負荷側に変更し、前記内燃機関の運転状態を、燃料性状判定がEGRガスの影響を受け難い状態へ制御することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の燃料性状判定装置。
【請求項3】
前記EGR弁異常判定手段として、前記吸気の圧力が開異常判定値よりも高いと、前記EGR弁が開異常であり、目標量よりも多いEGRガス量が前記内燃機関に供給されていると判定するEGR弁開異常判定手段を備え、
前記燃料性状判定手段として、前記ノック点火時期が低オクタン価判定値よりも遅角側であると、前記内燃機関に使用されている燃料が低オクタン価燃料であると判定する低オクタン価判定手段を備え、
前記EGR弁開異常判定手段によって前記EGR弁が開異常であると判定された場合には、前記低オクタン価判定手段によって前記内燃機関に使用されている燃料が低オクタン価燃料であるか否かを判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の燃料性状判定装置。
【請求項4】
前記燃料性状判定手段として、前記ノック点火時期が高オクタン価判定値よりも進角側であると、前記内燃機関に使用されている燃料が高オクタン価燃料であると判定する高オクタン価判定手段を備え、
前記EGR弁開異常判定手段によって前記EGR弁が開異常であると判定され、前記低オクタン価判定手段によって前記内燃機関に使用されている燃料が低オクタン価燃料ではないと判定された場合には、前記吸気の圧力が所定領域内にあるときに限り、前記高オクタン価判定手段によって前記内燃機関に使用されている燃料が高オクタン価燃料であるか否かを判定することを特徴とする請求項3に記載の内燃機関の燃料性状判定装置。
【請求項5】
前記EGR弁開異常判定手段によって前記EGR弁が開異常であると判定され、前記低オクタン価判定手段によって前記内燃機関に使用されている燃料が低オクタン価燃料ではないと判定され、前記吸気の圧力が所定領域内にない場合には、前記内燃機関の点火時期を進角することを特徴とする請求項3に記載の内燃機関の燃料性状判定装置。
【請求項6】
前記EGR弁異常判定手段として、前記吸気の圧力が閉異常判定値よりも低いと、前記EGR弁が閉異常であり、目標量よりも少ないEGRガス量が前記内燃機関に供給されていると判定するEGR弁閉異常判定手段を備え、
前記燃料性状判定手段として、前記ノック点火時期が高オクタン価判定値よりも進角側であると、前記内燃機関に使用されている燃料が高オクタン価燃料であると判定する高オクタン価判定手段を備え、
前記EGR弁閉異常判定手段によって前記EGR弁が閉異常であると判定された場合に
は、前記高オクタン価判定手段によって前記内燃機関に使用されている燃料が高オクタン価燃料であるか否かを判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の燃料性状判定装置。
【請求項7】
前記燃料性状判定手段として、前記ノック点火時期が低オクタン価判定値よりも遅角側であると、前記内燃機関に使用されている燃料が低オクタン価燃料であると判定する低オクタン価判定手段を備え、
前記EGR弁閉異常判定手段によって前記EGR弁が閉異常であると判定され、前記高オクタン価判定手段によって前記内燃機関に使用されている燃料が高オクタン価燃料ではないと判定された場合には、前記EGR弁を全閉にした後に、前記低オクタン価判定手段によって前記内燃機関に使用されている燃料が低オクタン価燃料であるか否かを判定することを特徴とする請求項6に記載の内燃機関の燃料性状判定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−59852(P2010−59852A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−226105(P2008−226105)
【出願日】平成20年9月3日(2008.9.3)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】