説明

内視鏡及び内視鏡用医療器具並びにその表示方法

【課題】レーザマーキングによって優れたコントラスト、視認性を有する表示を付すこと。
【解決手段】内視鏡3を形成する熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂又はゴムに着色剤を添加し、この着色剤を添加した部位に波長355nm、532nm又は1064nmのYAG又はYVOのパルスレーザ光を照射することにより発色させて形成された文字、記号を含む符号を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に人体の体腔内等の観察、検査、診断及び治療に用いられる内視鏡及び内視鏡用医療器具並びにその表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡は、一般に人体の体腔内等に挿入されて、人体の観察、検査、診断及び治療に用いられる。このような内視鏡には、例えばその挿入部に術者が体腔内等に挿入される長さを判断できるように距離目盛等の指標が付されている。又、内視鏡の操作部には、例えばメーカ名、ロゴ、製品名や、その他にボタン、レバーの機能の表示が付されている。
【0003】
このような内視鏡への表示を付す方法は、一般に、インクを使用し、墨入れ、パット印刷、スクリーン印刷、筆書き等の印刷方法を用いている。インクの種類としては、例えばウレタン系やエポキシ系等のインクが使用されている。例えば、特許文献1は、光硬化型インクを用いる方法が開示されており、特許文献2には、フッ素系インクを用いる方法が開示されている。
【0004】
内視鏡は、一般に、グルタールアルデヒド系の減菌液、過酢酸を含む減菌液、又は過酸化水素を含む減菌液を用いた減菌法、過酸化水素と低温プラズマを使用した減菌法、又はオートクレーブ減菌法により減菌される。これら減菌を繰り返し実施すると、インクによる印刷では、その印刷が変色したり、かすれたり、基材樹脂等から剥離したりして、その印刷された指標、文字等の識別が困難になる問題がある。減菌を行うのに耐性のある基材樹脂の多くは、一般的に接着力に乏しく、インクとの密着性が悪く、インクが容易に剥離してしまう。
【0005】
すなわち、インクを用いた表示方法では、下地がポリオレフィン系の樹脂やフッ素系の樹脂等の難接着材料であり、これら難接着材料へのインクの密着性が弱く、難接着材料への印刷が困難である。又、インクを用いた表示方法では、各種減菌の手法を施すことによりインクによる表示が剥離したり、変色等して表示が見ずらくなる。
【0006】
又、内視鏡は、洗浄の際に擦り洗いされることが多いために、洗浄によって印刷がかすれるという問題もある。
【0007】
さらに、インクの多くは有機溶剤を含んでいるために、環境問題や作業者への安全性に対する問題がある。インクを用いて印刷を行う作業工程では、乾燥室やUV照射器等の付帯設備が必要となること、さらに段取りに時間が掛りること、多数の印刷版を保有しなければならないこと、高速ラインに対応できないこと等の印刷作業上に多数の問題がある。
【0008】
最近の工業製品では、レーザ光を照射して表示を付す方法が採られており、例えばロットナンバー、ID番号の印刷によく使用される。内視鏡用処置具装置では、例えば特許文献3にレーザマーキング等を用いてメーカ名、型番等を印刷することが開示されている。又、特許文献4には、内視鏡用医療器具に対してレーザマーキングを行うことにより劣化を生じにくい発色物を得る方法について開示されている。
【0009】
又、樹脂にレーザ光を照射してマーキングする方法として特許文献5には、樹脂にエネルギー線によって返書の可能な充填剤をプラスチックに混合して印刷することが開示され、特許文献6には、合成物質の表面が染料とケイ素含有無機化合物又はケイ素を含有する表面にレーザ光を曝することによってマーキングすることが開示されている。
【特許文献1】特公昭61−241184号公報
【特許文献2】特開2003−88489号公報
【特許文献3】特開平8−131448号公報
【特許文献4】特開2004−195030号公報
【特許文献5】特公昭62−59663号公報
【特許文献6】特公昭61−41320号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、レーザマーキングを用いて発色物を得る表示方法では、インクを用いた印刷物と比較してコントラスト、視認性の面で大きく劣るものであり、このために表示物が見ずらいという問題がある。
【0011】
そこで、本発明は、レーザマーキングによって優れたコントラスト、視認性を有する表示を付した内視鏡及び内視鏡用医療器具並びに内視鏡類の表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、少なくとも一部が熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂又はゴムにより形成された内視鏡及び内視鏡用医療器具において、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂又はゴムに着色剤・充填剤を添加した部位を有し、当該部位に波長355nm、532nm又は1064nmのYAG又はYVOのパルスレーザ光を照射することにより部位を発色させて形成された文字、記号を含む符号を表示する表示部を備えた内視鏡及び内視鏡用医療器具である。
【0013】
本発明は、少なくとも一部が熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂又はゴムにより形成された内視鏡及び内視鏡用医療器具の表示方法において、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂又はゴムに着色剤・充填剤を添加し、当該着色剤・充填剤を添加した部位に波長355nm、532nm又は1064nmのYAG又はYVOのパルスレーザ光を照射することにより前記部位を発色させて形成された文字、記号を含む符号を表示する内視鏡及び内視鏡用医療器具の表示方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、レーザマーキングによって優れたコントラスト、視認性を有する表示を付した内視鏡及び内視鏡用医療器具並びにその表示方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0016】
図1は内視鏡及び内視鏡用医療器具にレーザマーキングにより表示部を施すためのレーザマーキング装置の概略構成図を示す。Qスイッチパルスレーザ光源(以下、パルスレーザ光源と称する)1は、例えば波長1064nmのパルスレーザ光2を出力するNd:YVOレーザ(以下、YVOレーザと称する)が用いられる。このパルスレーザ光源1は、波長1064nmのパルスレーザ光2を出力するNd:YAGレーザ(以下、YAGレーザと称する)を用いてもよい。このYAGレーザ及びYVOレーザは、半波長変換することにより波長355nm、532nmのパルスレーザ光2を出力することが可能である。
【0017】
なお、YAGレーザは、スキャンスピードによってピーク出力値が大きく変化する。一方、YVOレーザは、スキャンスピードが変化してもピーク出力値に小さな変化しか現れない。又、YAGレーザは、一般にマルチモードであるが、YVOレーザは、シングルモードであり、このシングルモードであれば、レーザマーキングにより得られた表示部のコントラスト及び視認性に有利である。
【0018】
このような事から内視鏡及び内視鏡用医療器具3の表面に文字、記号を含む符号を表示する表示部を付すには、YVOレーザ、YAGレーザともに使用可能であるが、特にシングルモードのYVOレーザを用いるのが好適である。
【0019】
レーザマーキングの対象物である内視鏡及び内視鏡用医療器具3は、少なくとも一部が熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂又はゴムにより形成され、かつこれら熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂又はゴムに着色剤・充填剤を添加した部位がある。
【0020】
内視鏡に使用される樹脂としては、例えば各種エンジニアリングプラスチック、各種スーパーエンジニアリングプラスチック、各種熱可塑性樹脂からなる。具体的には、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリスチレン、ポリオキシメチレンアセタール、ポリアミドナイロン、ポリブチレンテレフタレート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリウレタン、ポリエステル、ノリル、ポリエーテルイミド、ポリエーテルニトリル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリフタルアミド、ポリフェニレンレーテル、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂、熱可塑性ポリウレタン等の熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0021】
着色剤・充填剤としては、例えばカーボンブラック、炭酸カルシウム、黒色鉄酸化物、チタンブラック又は二酸化チタンのうち少なくとも1つが添加されている。
【0022】
熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂又はゴムにレーザマーキングを行う場合、パルスレーザ光源1から出力されるパルスレーザ光2の波長は、1064nm、532nm、355nmのいずれもレーザマーキング可能である。着色剤・充填剤が可視領域、紫外線領域の波長に対して強い吸収帯を有するので、パルスレーザ光2の波長は、低いレーザ出力値で、かつ内視鏡及び内視鏡用医療器具3にダメージを与えずに熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂又はゴムの表面上にレーザマーキング可能な532nm、355nmが好適である。又、さらに波長変換して4分の1波長の266nmのパルスレーザ光を照射することでも、良好な表示組成物を得ることができる。
【0023】
パルスレーザ光源1は、出力ミラー1aと高反射ミラー1bとの間にQスイッチ1cが設けられている。このQスイッチ1cのオン・オフ動作によってパルスレーザ光源1からは、パルスレーザ光2が出力される。
【0024】
XYスキャナ4がパルスレーザ光源1から出力されるパルスレーザ光2の光路上に設けられている。このXYスキャナ4は、X軸スキャナ5及びY軸スキャナ6からなる。このうちY軸スキャナ6は、Y軸スキャンミラー6aを矢印A方向に揺動させることによりパルスレーザ光源1から出力されたパルスレーザ光2をY軸方向にスキャンする。X軸スキャナ5は、X軸スキャンミラー5aを矢印B方向に揺動させることによりY軸スキャナ6によりY軸方向にスキャンされたパルスレーザ光2をX軸方向にスキャンする。
【0025】
fθレンズ7がXYスキャナ4によりXY軸方向にスキャンされたパルスレーザ光2の光路上に設けられている。このfθレンズ7は、XYスキャナ4によりXY軸方向にスキャンされたパルスレーザ光2を内視鏡及び内視鏡用医療器具3の表面上にスポット光として集光する。
【0026】
コントローラ8は、パルスレーザ光源1のレーザ出力動作の開始及びその停止、パルスレーザ光源1のレーザ出力値、Qスイッチ1cのスイッチング動作の制御、XYスキャナにおけるX軸スキャナ5及びY軸スキャナ6の各スキャン動作の制御等を行う。
【0027】
内視鏡及び内視鏡用医療器具3の表面上にレーザマーキングにより付される表示部のコントラスト、視認性を向上させるためには、表示部における塗り潰し部分でのパルスレーザ光2の照射による発色部の密度を高くする必要がある。この発色部の密度は、パルスレーザ光2のスポット径、パルスレーザ光2のハッチング間隔、パルスレーザ光2のQスイッチ周波数、パルスレーザ光2のスキャンスピードに依存する。
【0028】
図2に示すようにパルスレーザ光2を内視鏡及び内視鏡用医療器具3に照射すると、この内視鏡及び内視鏡用医療器具3におけるパルスレーザ光2の照射を受けた部分は、白色系に変色する。この変色した部分が発色部9となる。
【0029】
図3に示すように例えば数字「1」等の文字、記号を含む符号を表示する表示部を付すには、同図拡大図に示すように1パルス毎にパルスレーザ光2をXY軸方向にスキャンし、これら1パルス毎の各パルスレーザ光2による複数の発色部9をXY軸方向に形成する。この場合、各発色部9は、それぞれ隣り合う各発色部9同士と重なり合うことがない。
【0030】
このようなパルスレーザ光2の照射による各発色部9の密度を高くするには、パルスレーザ光2のスポット径r、パルスレーザ光2のハッチング間隔h、パルスレーザ光2のQスイッチ周波数、パルスレーザ光2のスキャンスピード等のマーキング条件を各内視鏡及び内視鏡用医療器具3の材質毎に設定する。
【0031】
次に、マーキング条件の設定について説明する。マーキング条件としてパルスレーザ光2の出力値、パルスレーザ光2のハッチング間隔h、スポット径、rθレンズ7の大きさ、加工数などを設定し、パルスレーザ光2のスキャンスピードとパルスレーザ光2のQスイッチ周波数とをそれぞれ変化させて例えば符号「□」をマーキングした結果を図4及び図5に示す。
【0032】
これらマーキングした結果は、それぞれ内視鏡及び内視鏡用医療器具3を形成する材質が異なる。これら内視鏡及び内視鏡用医療器具3を形成する材質は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂又はゴムと、着色剤・充填剤としての例えばカーボンブラック、炭酸カルシウム、黒色鉄酸化物、チタンブラック又は二酸化チタンのうち少なくとも1つとの組み合わせにより異なる。なお、マーキング結果は、図4及び図5に限らず、マーキング条件及び内視鏡及び内視鏡用医療器具3を形成する材質を変えることにより複数取得できる。
【0033】
これらマーキング結果から分かるようにパルスレーザ光2のスキャンスピードとQスイッチ周波数とを変化させることにより各符号「□」の白発色の濃淡が変化する。これら符号「□」の白発色の濃淡の中からコントラスト、視認性の良否を判別し、一番白発色がよい符号「□」を選択する。しかるに、これらマーキング結果から表示部のコントラスト、視認性を向上させるに最適なマーキング条件が内視鏡及び内視鏡用医療器具3を形成する各材質毎に決定される。例えば、内視鏡及び内視鏡用医療器具3に形成される発色部9とその下地部とのコントラスト値が例えば「3」以上、明度60以上、色相−20〜+20、彩度−10〜+10となるマーキング条件が決定される。
【0034】
この結果、マーキング条件として、例えばパルスレーザ光2のスポット径rが5〜100μm、パルスレーザ光2のハッチング間隔hが1〜80μm、パルスレーザ光2のQスイッチ周波数が0.1〜100kHz、パルスレーザ光2のスキャンスピードが1〜3000mm/secの各範囲で調整するのがよいことが判明した。特に、パルスレーザ光2のスポット径rが40μm以下、パルスレーザ光2のハッチング間隔hが30μm、パルスレーザ光2のQスイッチ周波数が30kHz、パルスレーザ光2のスキャンスピードが2〜3000mm/sec程度に調整するのが好適である。
【0035】
パルスレーザ光2のピーク出力値は、大きい方がよいが、表示部のコントラスト、視認性を向上させるために内視鏡及び内視鏡用医療器具3を形成する材質との関係で0.1〜50Wの範囲内に調整するのがよい。パルスレーザ光2の平均出力は、0.1〜50Wである。
【0036】
内視鏡及び内視鏡用医療器具3の表面上に照射されるパルスレーザ光2のパルス幅は、小さいほど、よりコントラスト、視認性を向上させた表示部を付すことができる。これにより、パルスレーザ光2のパルス幅は、0.1〜200nsの範囲内で調整する。特に、パルスレーザ光2のパルス幅10nsが好適である。
【0037】
しかるに、コントローラ8は、例えばパルスレーザ光2のスポット径r(=5〜100μm)、パルスレーザ光2のハッチング間隔h(=1〜80μm)、パルスレーザ光2のQスイッチ周波数(=0.1〜100kHz)、パルスレーザ光2のスキャンスピード(=1〜3000mm/sec)の各範囲で設定されたマーキング条件でQスイッチ1cのスイッチング動作、XYスキャナにおけるX軸スキャナ5及びY軸スキャナ6の各スキャンスピード、Qスイッチ1cのQスイッチ周波数をそれぞれ制御する。
【0038】
設定部9は、コントローラ8に対して例えばパルスレーザ光2のスポット径r、パルスレーザ光2のハッチング間隔h、パルスレーザ光2のQスイッチ周波数、パルスレーザ光2のスキャンスピードをそれぞれ設定する。
【0039】
次に、上記の如く構成されたレーザマーキング装置を用いてのレーザマーキングについて説明する。
【0040】
設定部9からコントローラ8には、マーキング条件として、例えばパルスレーザ光2のスポット径rが5〜100μm、パルスレーザ光2のハッチング間隔hが1〜80μm、パルスレーザ光2のQスイッチ周波数が0.1〜100kHz、パルスレーザ光2のスキャンスピードが1〜3000mm/secの各範囲でマーキング条件が設定される。特に、パルスレーザ光2のスポット径rが40μm以下、パルスレーザ光2のハッチング間隔hが30μm、パルスレーザ光2のQスイッチ周波数が30kHz、パルスレーザ光2のスキャンスピードが2〜3000mm/sec程度のマーキング条件が設定される。
【0041】
コントローラ8は、設定された、パルスレーザ光2のハッチング間隔h、パルスレーザ光2のQスイッチ周波数、パルスレーザ光2のスキャンスピードでQスイッチ1cのスイッチング動作、XYスキャナにおけるX軸スキャナ5及びY軸スキャナ6の各スキャンスピード、Qスイッチ1cのQスイッチ周波数をそれぞれ制御する。
【0042】
これにより、パルスレーザ光源1から出力されたパルスレーザ光2は、Y軸スキャナ6によりY軸方向にスキャンされ、さらにX軸スキャナ5によりX軸方向にスキャンされてfθレンズ7に入射する。このfθレンズ7に入射したパルスレーザ光2は、スポット光として内視鏡及び内視鏡用医療器具3の表面上にスキャンされる。このときのパルスレーザ光2のスポット径rは、fθレンズ7により集光により5〜100μm、特に40μm以下に形成される。
【0043】
このとき、パルスレーザ光2が内視鏡及び内視鏡用医療器具3の表面上に照射されると、当該内視鏡及び内視鏡用医療器具3におけるパルスレーザ光2の照射を受けた部分は、図2に示すように白色系に変色し、発色部9を形成する。
【0044】
これと共に、パルスレーザ光2は、1パルス毎にXY軸方向にスキャンされるので、図3に示すように複数の発色部9がそれぞれ隣り合う各発色部9同士と重なり合うことなくXY軸方向に形成される。このとき、パルスレーザ光2の照射による各発色部9の密度を高くするために、図3に示すようにパルスレーザ光2のハッチング間隔hが1〜80μm、特にパルスレーザ光2のスポット径rが40μm以下、パルスレーザ光2のハッチング間隔hが30μmで複数の発色部9が形成される。この結果、内視鏡及び内視鏡用医療器具3の表面上に文字、記号を含む符号の表示部が付される。
【0045】
図6は内視鏡10の外観図を示す。この内視鏡10は、挿入部11と、操作部12と、コネクタ部13と、操作部ーコネクタ部接続管14とを有する。このうち挿入部11は、先端部11aと、湾曲部11bと、軟性部11cとを有する。操作部12は、UD(アップ、ダウン)アングルノブやUDアングル解除ノブ、RL(右方向、左方向)アングルノブ、RLアングル解除ノブ、吸引ボタン、送気・送水ボタンなどを有する。
【0046】
このような内視鏡10には、例えば挿入部11と、操作部12と、コネクタ部13とにそれぞれ各表示部15〜20が上記レーザマーキングにより付される。挿入部11には、白線指標を表示する表示部16が付されると共に、そのロゴタイプを表示する表示部15が付される。白線指標は、挿入部11の体腔内への挿入深さを計測するために付される。
【0047】
操作部12には、例えば当該内視鏡10の機種名やロゴタイプを表示する表示部17と、UDアングルノブやUDアングル解除ノブ、RLアングルノブ、RLアングル解除ノブなどの各アングルを表示する表示部18と、吸引ボタン、送気・送水ボタンなどの各ボタンを表示する表示部19とが付される。
【0048】
コネクタ部13には、例えばメーカ名やロゴタイプを表示する表示部20が付される。
【0049】
図7(a)(b)は本願発明と従来との比較を示すもので、同図(a)は本願発明の内視鏡10に付された表示部15の一例を示し、同図(b)は従来のレーザマーキングにより付された表示部を示す。これら表示部の比較から本願発明の内視鏡10に付された表示部15の方が従来よりもコントラスト、視認性に優れていることが分かる。
【0050】
次に、表1を参照して各実施例1〜6と従来例、比較例とについて説明する。
【表1】

【0051】
各実施例1〜6は、熱可塑性樹脂であるポリエステル樹脂により形成される内視鏡10にレーザマーキングを施した結果を示す。なお、内視鏡10は、熱硬化性樹脂又はゴムにより形成されたものでも同様の効果を得ることができる。
【0052】
樹脂組成物は、ポリエステル樹脂100重量部に対して着色剤・充填剤の量を重量で表示している。各実施例1〜6、比較例は、熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して着色剤・充填剤としてカーボンブラック1重量部、炭酸カルシウム0.1重量部、黒色鉄酸化物0.1重量部、二酸化チタン1重量部を添加し、当該着色剤を添加した熱可塑性ポリエステル樹脂にパルスレーザ光2を照射して白色の表示部を取得した結果を示す。これら実施例1〜6は、パルスレーザ光2の照射条件を変えたときの各結果を示し、比較例は、従来行われているパルスレーザ光2の照射条件での結果を示す。
【0053】
パルスレーザ光2の照射条件は、レーザ種(レーザ光源1)としてYAGレーザ、YVOレーザであり、さらに波長、ハッチング間隔h、スポット径r、ピーク出力値、平均出力、パルス幅、Qスイッチ周波数、スキャンスピードである。
【0054】
従来例は、白色の熱硬化性ウレタン系インクを用いて黒色の熱可塑性ポリエステル樹脂に白色の表示を施した結果を示す。
【0055】
この表からコントラスト及び視認性の評価結果が得られる。コントラストは輝度計により測定された結果であり、視認性はインクによる印刷と比較した目視による評価結果である。コントラストは、各実施例1〜6とも「3」以上が得られている。これに対して従来例のコントラストは、「3」以上となり、比較例のコントラストは「2」である。
【0056】
視認性は、例えば4段階「1」〜「4」で評価を行っている。段階「1」はインクに比べて遜色ない白発色性、極めて良好な視認性を有する。段階「2」はインクに比べて白発色性にやや劣るが、良好な視認性を有する。段階「3」はインクに比べて白発色性に劣り、不良な視認性を有する。段階「4」はほとんど識別できず、不良な視認性を有する。
【0057】
又、この表に、各従来例、比較例、実施例1〜6の色をコニカミノルタ製色彩分光計にてJIS Z8729に記されている手法であるL表色計で明度L、色相a、彩度bを測色した結果を示す。L値が大きく、a、bが小さいほど白色である。この測定によると、従来例のインクは、L値が大きく白色に優れており、実施例1〜6ともL値が60以上を有しており、良好な視認性を有している。
【0058】
以上の評価結果から実施例1〜6の各パルスレーザ光2の照射条件であれば、いずれも良好なコントラスト、視認性を有しており、インクによる印刷物と比較しても遜色ないレーザマーキングによる表示を得ることができる。これに対して従来のパルスレーザ光の照射条件(比較例)であれば、コントラストに劣り、不良な視認性であり、本願発明(実施例1〜6)の方が優れていることが分かる。
【0059】
このように上記一実施の形態によれば、内視鏡3を形成する熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂又はゴムに着色剤を添加し、この着色剤を添加した部位に波長355nm、532nm又は1064nmのYAG又はYVOのパルスレーザ光を照射することにより発色させて形成された文字、記号を含む符号を表示するので、コントラスト「3」以上で、かつインクによる印刷物に比べて遜色ない白発色性、極めて良好な視認性を有する各表示部15〜20を内視鏡10の表面に付すことができる。
【0060】
内視鏡10は、一般に、グルタールアルデヒド系の減菌液、過酢酸を含む減菌液、又は過酸化水素を含む減菌液を用いた減菌法、過酸化水素と低温プラズマを使用した減菌法、又はオートクレーブ減菌法により減菌が施されるが、これら減菌により内視鏡10に付した各表示部15〜20が剥離したり、変色して見ずらくなることはない。
【0061】
又、洗浄において擦り洗いされることが多いが、この洗浄によって各表示部15〜20がかすれることもない。
【0062】
さらに、レーザマーキングにより内視鏡10に各表示部15〜20を付す方法であれば、有機溶剤を含むインクを使用することはなく、環境に影響を与えることなく、かつ作業者への安全性を向上できる。
【0063】
レーザマーキングは、内視鏡10に対して高速で各表示部15〜20を付すことができるので、内視鏡10を製造する高速ラインに設置することが可能である。
【0064】
内視鏡10の例えば挿入部11、操作部12及びコネクタ部13などの人体の観察、検査、診断及び治療に用いたときに術者や体腔内等との接触の機会が多いところに各表示部15〜20を付しても、これら表示部15〜20が変色したり、かすれることもない。従って、操作部12におけるUDアングルノブやUDアングル解除ノブ、RLアングルノブ、RLアングル解除ノブなどの各アングルを表示する表示部18や、吸引ボタン、送気・送水ボタンなどの各ボタンを表示する表示部19が明瞭に確認でき、操作性を向上できる。特に挿入部11に付した各表示部15、16は、体腔内等に挿入されることにより体腔内と接触するが、この接触によって変色したり、かすれることなく、明瞭に距離目盛等の白線指標を確認できて、的確に体腔内等に挿入される長さを判断できる。
【0065】
なお、本発明は、上記一実施の形態に限定されるものではなく、次のように変形してもよい。
【0066】
上記一実施の形態では、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂又はゴムにより形成された内視鏡10にレーザマーキングを施した場合について説明したが、これに限らず、例えばステンレス等の金属材料にも明瞭なマーキングを行うことができる。
【0067】
又、上記一実施の形態では、主に内視鏡10に各表示部15〜20を付した場合について説明したが、これに限らず、内視鏡10と共に用いる内視鏡類としての内視鏡用医療器具として例えば生検鉗子、回転クリップ装置、高周波スネアなどの処置具にも熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂又はゴムに着色剤を添加し、この着色剤を添加した部位に波長355nm、532nm又は1064nmのYAG又はYVOのパルスレーザ光を照射することにより発色させて形成された文字、記号を含む符号を表示できる。
【0068】
さらに、本発明は、内視鏡10及び処置具等の内視鏡用医療器具を形成する熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂又はゴムに着色剤を添加し、この着色剤を添加した部位に波長355nm、532nm又は1064nmのYAG又はYVOのパルスレーザ光を照射することにより発色させて形成された文字、記号を含む符号を表示する表示部を付した内視鏡10及び処置具等の内視鏡用医療器具を製造できる。
【0069】
次に、本発明の他の特徴とするところについて説明する。
【0070】
本発明は、少なくとも一部が熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂又はゴムにより形成された内視鏡及び内視鏡用医療器具において、前記熱可塑性樹脂、前記熱硬化性樹脂又は前記ゴムに着色剤・充填剤を添加した部位を有し、当該部位に波長266nmのYAG又はYVOのパルスレーザ光を照射することにより前記部位を発色させて形成された文字、記号を含む符号を表示する表示部を備えたことを特徴とする内視鏡及び内視鏡用医療器具である。
【0071】
本発明は、前記ハッチング間隔を30μmとして形成されたことを特徴とする請求項4記載の内視鏡及び内視鏡用医療器具である。
【0072】
本発明は、前記Qスイッチによるパルス周波数は、30kHzとすることを特徴とする請求項10記載の内視鏡及び内視鏡用医療器具である。
【0073】
本発明は、前記スキャンスピードを2000mm/secとすることを特徴とする請求項11記載の内視鏡及び内視鏡用医療器具である。
【0074】
本発明は、前記ハッチング間隔は、30μmとすることを特徴とする請求項19記載の内視鏡及び内視鏡用医療器具の表示方法である。
【0075】
本発明は、前記Qスイッチによるパルス周波数は、30kHzとすることを特徴とすることを特徴とする請求項25記載の内視鏡及び内視鏡用医療器具の表示方法である。
【0076】
本発明は、前記スキャンスピードは、2000mm/secとすることを特徴とすることを特徴とする請求項26記載の内視鏡及び内視鏡用医療器具の表示方法である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明に係る内視鏡及び内視鏡用医療器具の一実施の形態に用いられるレーザマーキング装置の概略構成図。
【図2】同内視鏡及び内視鏡用医療器具に付される表示部のレーザマーキングによる形成作用を示す模式図。
【図3】同内視鏡及び内視鏡用医療器具に付される表示部を形成するためのパルスレーザ光のスキャンを示す模式図。
【図4】同内視鏡及び内視鏡用医療器具に付される表示部のマーキング条件を設定するためのマーキング結果を示す図。
【図5】同内視鏡及び内視鏡用医療器具に付される表示部のマーキング条件を設定するためのマーキング結果を示す図。
【図6】同内視鏡に付される各表示部を示す外観図。
【図7】同内視鏡及び内視鏡用医療器具に付された表示部と従来との比較を示す図。
【符号の説明】
【0078】
1:Qスイッチパルスレーザ光源、1a:出力ミラー、1b:高反射ミラー、1c:Qスイッチ、2:パルスレーザ光、3:内視鏡及び内視鏡用医療器具、4:XYスキャナ、5:X軸スキャナ、5a:X軸スキャンミラー、6:Y軸スキャナ、6a:Y軸スキャンミラー、7:fθレンズ、8:コントローラ、9:設定部、10:内視鏡、11:挿入部、12:操作部、13:コネクタ部、14:操作部ーコネクタ部接続管、11a:先端部、11b:湾曲部、11c:軟性部、15〜20:表示部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部が熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂又はゴムにより形成された内視鏡及び内視鏡用医療器具において、
前記熱可塑性樹脂、前記熱硬化性樹脂又は前記ゴムに着色剤・充填剤を添加した部位を有し、当該部位に波長355nm、532nm又は1064nmのYAG又はYVOのパルスレーザ光を照射することにより前記部位を発色させて形成された文字、記号を含む符号を表示する表示部を備えた、
ことを特徴とする内視鏡及び内視鏡用医療器具。
【請求項2】
前記着色剤・充填剤は、カーボンブラック、炭酸カルシウム、黒色鉄酸化物、チタンブラック又は二酸化チタンのうち少なくとも1つを有することを特徴とする請求項1記載の内視鏡及び内視鏡用医療器具。
【請求項3】
前記表示部は、内視鏡本体における挿入部、操作部、コネクタ部に形成されることを特徴とする請求項1記載の内視鏡及び内視鏡用医療器具。
【請求項4】
前記表示部は、前記パルスレーザ光をスキャンしながら繰り返し前記部位に照射したときのハッチング間隔を1〜80μmとして形成されたことを特徴とする請求項1記載の内視鏡及び内視鏡用医療器具。
【請求項5】
前記表示部は、前記パルスレーザ光を前記部位に照射したときの前記パルスレーザ光のスポット径を5〜100μmとして前記部位に照射して形成されたことを特徴とする請求項1記載の内視鏡及び内視鏡用医療器具。
【請求項6】
前記パルスレーザ光のスポット径を40μm以下として前記部位に照射して形成されたことを特徴とする請求項5記載の内視鏡及び内視鏡用医療器具。
【請求項7】
前記表示部は、前記パルスレーザ光のピーク出力を0.1〜100kW、平均出力を
0.1〜50Wとして前記部位に照射して形成されたことを特徴とする請求項1記載の内視鏡及び内視鏡用医療器具。
【請求項8】
前記表示部は、前記パルスレーザ光のパルス幅を0.1〜200nsとして前記部位に照射して形成されたことを特徴とする請求項1記載の内視鏡及び内視鏡用医療器具。
【請求項9】
前記パルスレーザ光のパルス幅を10ns以下として前記部位に照射して形成されたことを特徴とする請求項8記載の内視鏡及び内視鏡用医療器具。
【請求項10】
前記表示部は、Qスイッチによるパルス周波数0.1〜100kHzの前記パルスレーザ光を前記部位に照射して形成されたことを特徴とする請求項1記載の内視鏡及び内視鏡用医療器具。
【請求項11】
前記表示部は、前記パルスレーザ光をスキャンしながら前記部位に照射したときの前記スキャンスピードを1〜3000mm/secとして前記部位に照射して形成されたことを特徴とする請求項1記載の内視鏡及び内視鏡用医療器具。
【請求項12】
前記表示部は、前記熱可塑性樹脂、前記熱硬化性樹脂又は前記ゴムに着色剤・充填剤を添加した部位を下地とした場合、当該下地と前記パルスレーザ光を照射することにより発色した前記部位とは、3以上のコントラストを有することを特徴とする請求項1記載の内視鏡及び内視鏡用医療器具。
【請求項13】
前記表示部は、前記熱可塑性樹脂、前記熱硬化性樹脂又は前記ゴムに前記着色剤・充填剤を添加した前記部位を下地とした場合、当該下地に前記パルスレーザ光を照射することにより発色した前記部位が60以上の明度、−2〜+2の色相、−10〜+10の彩度を有することを特徴とする請求項1記載の内視鏡及び内視鏡用医療器具。
【請求項14】
少なくとも一部が熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂又はゴムにより形成された内視鏡及び内視鏡用医療器具において、
前記熱可塑性樹脂、前記熱硬化性樹脂又は前記ゴムにカーボンブラックを添加した部位を有し、当該部位に波長532nmのYVOのパルスレーザ光を照射することにより前記部位を発色させて形成された文字、記号を含む符号を表示する表示部を備えた、
ことを特徴とする内視鏡及び内視鏡用医療器具。
【請求項15】
少なくとも一部が熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂又はゴムにより形成された内視鏡及び内視鏡用医療器具において、
前記熱可塑性樹脂、前記熱硬化性樹脂又は前記ゴムにカーボンブラックを添加した部位を有し、当該部位に波長355nmのYVOのパルスレーザ光を照射することにより前記部位を発色させて形成された文字、記号を含む符号を表示する表示部を備えた、
ことを特徴とする内視鏡及び内視鏡用医療器具。
【請求項16】
少なくとも一部が熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂又はゴムにより形成された内視鏡及び内視鏡用医療器具の表示方法において、
前記熱可塑性樹脂、前記熱硬化性樹脂又は前記ゴムに着色剤・充填剤を添加し、当該着色剤・充填剤を添加した部位に波長355nm、532nm又は1064nmのYAG又はYVOのパルスレーザ光を照射することにより前記部位を発色させて形成された文字、記号を含む符号を表示する、
ことを特徴とする内視鏡及び内視鏡用医療器具の表示方法。
【請求項17】
前記着色剤・充填剤は、カーボンブラック、炭酸カルシウム、黒色鉄酸化物、チタンブラック又は二酸化チタンのうち少なくとも1つを有することを特徴とする請求項16記載の内視鏡及び内視鏡用医療器具の表示方法。
【請求項18】
前記内視鏡本体における挿入部、操作部、コネクタ部に前記文字、前記記号を含む前記符号を表示することを特徴とする請求項16記載の内視鏡及び内視鏡用医療器具の表示方法。
【請求項19】
前記パルスレーザ光をスキャンしながら繰り返し前記部位に照射するときのハッチング間隔を1〜80μmに設定することを特徴とする請求項16記載の内視鏡及び内視鏡用医療器具の表示方法。
【請求項20】
前記パルスレーザ光を前記部位に照射したときの前記パルスレーザ光のスポット径を5〜100μmとして前記部位に照射することを特徴とする請求項19記載の内視鏡及び内視鏡用医療器具の表示方法。
【請求項21】
前記パルスレーザ光のスポット径は、40μm以下とすることを特徴とする請求項20記載の内視鏡及び内視鏡用医療器具の表示方法。
【請求項22】
前記パルスレーザ光のピーク出力を0.1〜100kW、平均出力を0.1〜50Wとすることを特徴とする請求項16記載の内視鏡及び内視鏡用医療器具の表示方法。
【請求項23】
前記パルスレーザ光のパルス幅を0.1〜200nsとすることを特徴とする請求項16記載の内視鏡及び内視鏡用医療器具の表示方法。
【請求項24】
前記パルスレーザ光のパルス幅を10ns以下とすることを特徴とする請求項23記載の内視鏡及び内視鏡用医療器具の表示方法。
【請求項25】
Qスイッチによりパルス周波数0.1〜100kHzの前記パルスレーザ光として前記部位に照射することを特徴とする請求項16記載の内視鏡及び内視鏡用医療器具の表示方法。
【請求項26】
前記パルスレーザ光をスキャンしながら前記部位に照射したときの前記スキャンスピードを1〜3000mm/secとすることを特徴とする請求項16記載の内視鏡及び内視鏡用医療器具の表示方法。
【請求項27】
前記熱可塑性樹脂、前記熱硬化性樹脂又は前記ゴムに前記着色剤・充填剤を添加した前記部位を下地とした場合、当該下地に前記パルスレーザ光を照射することにより発色した前記部位は、60以上の明度、−2〜+2の色相、−10〜+10の彩度を有することを特徴とする請求項16記載の内視鏡及び内視鏡用医療器具の表示方法。
【請求項28】
少なくとも一部が熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂又はゴムにより形成された内視鏡及び内視鏡用医療器具の表示方法において、
前記熱可塑性樹脂、前記熱硬化性樹脂又は前記ゴムに着色剤・充填剤を添加し、当該着色剤・充填剤を添加した部位に波長532nmのYVOのパルスレーザ光を照射することにより前記部位を発色させて形成された文字、記号を含む符号を表示する、
ことを特徴とする内視鏡及び内視鏡用医療器具の表示方法。
【請求項29】
少なくとも一部が熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂又はゴムにより形成された内視鏡及び内視鏡用医療器具の表示方法において、
前記熱可塑性樹脂、前記熱硬化性樹脂又は前記ゴムに着色剤・充填剤を添加し、当該着色剤・充填剤を添加した部位に波長355nmのYVOのパルスレーザ光を照射することにより前記部位を発色させて形成された文字、記号を含む符号を表示する、
ことを特徴とする内視鏡及び内視鏡用医療器具の表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−306944(P2007−306944A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−14292(P2005−14292)
【出願日】平成17年1月21日(2005.1.21)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】