説明

円盤状基板の製造方法および円盤状基板の載置治具

【課題】ワークの外周面を研磨する工程において、ワークを金属シャフトに挿入するときに、ワークに傷を付けにくく、また破損させにくい円盤状基板の製造方法等を提供する。
【解決手段】ワークの内周面を研磨する工程と、金属シャフト71の一方の端部に配され少なくとも表面が樹脂で形成された保護キャップ72が取り付けられた金属シャフト71に内周面が研磨されたワークを順次挿入して積層する工程と、積層されたワークの外周面を研磨する工程とを有することを特徴とする円盤状基板の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば磁気記録媒体用ガラス基板などの円盤状基板の製造方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、記録メディアとしての需要の高まりを受け、磁気ディスク等の情報記録媒体の製造が活発化している。ここで磁気ディスク用の基板として用いられる円盤状基板としては、アルミ基板とガラス基板とが広く用いられている。このアルミ基板は加工性も高く安価である点に特長があり、一方のガラス基板は強度、表面の平滑性、平坦性に優れている点に特長がある。特に最近ではディスク基板の小型化と高密度化の要求が著しく高くなり、基板の表面の粗さが小さく高密度化を図ることが可能なガラス基板の注目度が高まっている。
【0003】
ここで、特許文献1には、ガラス基板を約350〜400枚重ねた状態で保持する一対のワークシャフトと、ガラス基板ワークの一対の束の双方に、夫々当接してガラス基板ワークの束の外周端面及び面取り面を研磨する一対の回転ナイロンブラシとから成る外周端面研磨機により、ガラス基板ワークの外周端を研磨する方法が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−123931号公報
【0005】
しかしながら、ガラス基板ワークをワークシャフトに保持するためには、ガラス基板ワークをその中心部にあけられた円孔を通してワークシャフトに挿入して重ねる必要がある。この際に、ワークシャフトは、金属等の硬質の材料にて作成されていることから、ガラス基板ワークに傷を付けたり、破損させやすいという問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上のような技術的課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、ワークの外周面を研磨する工程において、ワークを金属シャフトに挿入するときに、ワークに傷を付けにくく、また破損させにくい円盤状基板の製造方法等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するために、本発明の円盤状基板の製造方法は、円盤状基板の内周面を研磨する工程と、内周面が研磨された円盤状基板を先端部を樹脂で被覆した金属シャフトに順次挿入して積層する工程と、積層された円盤状基板の外周面を研磨する工程とを有することを特徴とする。
【0008】
ここで、積層する工程の後に被覆された樹脂を金属シャフトの先端部から取り外す工程と、取り外された樹脂に代えて積層された円盤状基板を固定する固定部材を金属シャフトの先端部に取り付ける工程とを更に備えたことが好ましく、金属シャフトの軸方向に更に樹脂部材を埋設し、樹脂部材に円盤状基板の内周面が当接するようになしたことが更に好ましい。
【0009】
また、本発明の円盤状基板の載置治具は、円盤状基板を製造する際に円盤状基板の外周面を研磨するために円盤状基板を積層して載置する治具であって、軸方向に第1の樹脂部材が埋設され円盤状基板の開孔部を通して円盤状基板を挿入するための金属シャフトと、金属シャフトの一方の端部に配され少なくとも表面が樹脂で形成された第2の樹脂部材と、金属シャフトの他方の端部に配され円盤状基板を載置する載置台とを備えることを特徴とする。
【0010】
ここで、第2の樹脂部材は、金属シャフトの端部から取り外すことができることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
以上のように構成された本発明によれば、これらの構成を採用しない場合に比べて、歩留まりが高い円盤状基板の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1−1(a)〜(d)、図1−2(e)〜(h)は、本実施の形態が適用される円盤状基板(ディスク基板)の製造工程を示した図である。
【0013】
(1次ラップ工程)
図1−1(a)は1次ラップ工程を示している。この工程でまず、ラッピングマシン40により1回目のラッピングを行い、円盤状基板としてのワーク10の表面11を平滑に研削する。
ここで図2は、ラッピングマシン40の構造を説明した図である。
図2に示したラッピングマシン40は、ワーク10を載置する下定盤21aと、ワーク10を上部から押えつけラッピングを行うために必要な圧力を加えるための上定盤21bとを備えている。
ここで、下定盤21aの外周部には歯部42が設けられ、下定盤21aの中央部には太陽歯車44が設けられている、さらに下定盤21aには、ラッピングが行われる際にワーク10を位置決めする円盤状のキャリア30が設置されている。
キャリア30は、図2に示すラッピングマシン40では、5個設置されている。キャリア30の外周部には歯部32が備えられ、下定盤21aの歯部42および太陽歯車44の双方に噛合している。また下定盤21aおよび上定盤21bには、これらを回転させるための回転軸46a,46bがそれぞれ中心部に設置されている。
【0014】
この1次ラップ工程においては、まずラッピングマシン40の下定盤21aにキャリア30を利用してワーク10の載置を行う。
図3は、キャリア30を更に詳しく説明した図である。図3に示したキャリア30には、上述の通り、外周部に歯部32が備えられている。また、ラッピングを行う際にワーク10が内部に載置される円形形状の孔部34が複数開けられている。この孔部34の直径は、ワーク10の直径よりわずかに大きく開けられる。このようにすることで、ラッピングを行う際にワーク10の外周端の一部に余分な応力がかかるのを抑制することができるため、ワーク10の外周端が損傷しにくくなる。本実施の形態において、孔部34の直径はワーク10の直径より、例えば、約1mm大きくなっている。また孔部34は、ほぼ等間隔で並んでおり、本実施の形態の場合、孔部34は、例えば、35個開けられている。
【0015】
キャリア30の材料としては、例えば、アラミド繊維やガラス繊維を混入することで強化されたエポキシ樹脂を使用することができる。またキャリア30の厚さは、本工程において、ラッピングを行う際に、上定盤21bに接触し、ラッピングを阻害しないために、本工程におけるワーク10の仕上げ厚さより薄く作成されている。例えば、ワーク10の仕上げ厚さが1mmであるとすると、キャリア30の厚さは、それより0.2mm〜0.6mm薄くなっている。
【0016】
キャリア30の孔部34にワーク10を載置した後は、上定盤21bをワーク10に接触するまで移動させ、ラッピングマシン40を稼働させる。
この際のラッピングマシン40の動作を図2を用いて説明する。ラッピングマシン40を稼働する際には、図の上方の回転軸46bを一方向に回転させ、上定盤21bを、同様な一方向に回転させる。また、図の下方の回転軸46aを、回転軸46bの回転とは逆方向に回転させ、下定盤21aを回転軸46aと同様な方向に回転させる。これにより下定盤21aの歯部42も回転軸46aと同様な方向に回転する。また中央部の太陽歯車44も、回転軸46aと同様な方向に回転する。
このように上定盤21b、下定盤21a、太陽歯車44を回転させることにより、これらの歯車に噛み合うキャリア30は自転運動と、公転運動が組み合わされたいわゆる遊星運動を行う。同様に、キャリア30にはめ込まれたワーク10も遊星運動を行う。このようにすることによりワーク10のラッピングをより精度よく、また迅速に行うことができる。
【0017】
本実施の形態において、ラッピングは、研削剤を用いて行うことができる。研削剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、アルミナやダイヤモンドからなる研削剤をスラリー化して使用することができる。または、上定盤21bや下定盤21aにこれらの研削剤が分散して含んだ砥石を使用してもよい。
【0018】
(内外周研削工程)
図1−1(b)は内外周研削工程を示している。この工程では、ワーク10の開孔12の内周面および外周13の外周面の荒削りである研削を行う。また本実施の形態では、内周面と外周面の研削を同時に行う。具体的には、ワーク10の中心に設けられた開孔12を内周砥石22によって研削し、ワーク10の外周13を外周砥石23によって研削する。このとき、内周砥石22と外周砥石23でワーク10の内周面と外周面を挟み込んで同時加工する。これにより内径と外径の同心度を確保し易くすることができる。
本実施の形態において、内周砥石22および外周砥石23は、波状の表面を有している。そのため、ワーク10の開孔12の内周面および外周13の外周面を研削することができるだけでなく、開孔12および外周13における縁部の面取りを併せて行うことが可能となる。
【0019】
(内周研磨工程)
図1−1(c)は内周研磨工程を示している。この工程では、図1−1(b)に示した内外周研削工程において、荒削りである研削を行ったワーク10の開孔(開口部)12の内周面を更に平滑にする研磨を行う。
具体的には、まずワーク10を積層し、図示しないホルダにセットする。そして、このホルダにセットされたワーク10の開孔12の中心にブラシ24を挿入する。そして研磨液をワーク10の開孔12に流し込みながら、ブラシ24を高速で回転させることで、ワーク10の内周面を研磨する。本実施の形態では、研磨に際してブラシ24を使用しているので、ワーク10の内周面を研磨すると共に、上述した内外周研削工程において行った開孔12の縁部の面取りした部分も同様に研磨することができる。なお研磨液としては、例えば酸化セリウム砥粒を水に分散してスラリー化したものを用いることができる。
【0020】
図4は、内周研磨工程において使用するブラシ24の一例を示した図である。このブラシ24は、毛先が螺旋状に配列して形成されるブラシ部61と、このブラシ部61の両端部に連続して形成され、一端と他端とを形成する軸62とを備えている。ワーク10の開孔12として例えば0.85インチ等の小径ディスクの内周面を研磨するような場合は、ブラシ24の芯を細くする必要がある。その場合、本実施の形態では、例えば、複数本のワイヤ(材質:例えば、軟鋼線材(SWRM)、硬鋼線材(SWRH)、ステンレス線材(SUSW)、黄銅線(BSW)など、加工性、剛性などから適宜選定できる)の間に、ブラシの毛(材質:例えばナイロン(デュポン社の商品名))を挟み込み、この毛が挟み込まれたワイヤをねじることで、ブラシ部61を形成している。このワイヤをねじってブラシ部61を形成することで、ブラシ部61に形成されるブラシ毛先を螺旋状とすることができ、挿入されているワーク10の開孔12にて、研磨液を軸方向に流すことが可能となる。そのため研磨液の搬送を良好に行うことができる。
【0021】
(2次ラップ工程)
図1−1(d)は2次ラップ工程を示している。この工程では、図1−1(a)に示した1次ラップ工程において、ラッピングを行ったワーク10の表面11を再度ラッピングを行うことにより更に平滑に研削する。
2次ラップ工程において、ラッピングを行う装置としては、図1−1(a)に示したラッピングマシン40を使用することができる。またラッピングの方法、条件等は、図1−1(a)で説明した場合と同様に行うことができる。
【0022】
(外周研磨工程)
図1−2(e)は外周研磨工程を示している。この工程では、図1−1(b)に示した内外周研削工程において、荒削りである研削を行ったワーク10の外周13の外周面を更に平滑にする研磨を行う。
具体的には、まずワーク10の開孔12の部分に治具25を通して積層させ、ワーク10を治具25にセットする。そして研磨液をワーク10の外周13の箇所に流し込みながら、ブラシ26を積層したワーク10に接触させ、高速で回転させる。これにより、ワーク10の外周面を研磨することができる。本実施の形態では、研磨に際してブラシ26を使用しているので、ワーク10の外周面を研磨すると共に、上述した内外周研削工程において行った外周13の縁部の面取りした部分も同様に研磨することができる。なお研磨液としては、内周研磨工程の場合と同様に、例えば酸化セリウム砥粒を水に分散してスラリー化したものを用いることができる。
【0023】
(1次ポリッシュ工程)
図1−2(f)は1次ポリッシュ工程を示している。この工程では、図1−1(d)に示した2次ラップ工程において、ラッピングを行ったワーク10の表面11を、ポリッシングマシン50を用いてポリッシングを行うことで更に研磨し、更に平滑度を上げていく。このポリッシングマシン50は、上述したラッピングマシン40とほぼ同様な構成を有するが、下記に示すように研磨に使用する材料等が一部異なる。
本実施の形態において、ポリッシングを行うに際し、例えばウレタンにより形成された硬質研磨布を用い、酸化セリウム砥粒を水に分散してスラリー化したものを研磨材として用いることができる。
【0024】
(2次ポリッシュ工程)
図1−2(g)は2次ポリッシュ工程を示している。この工程では、図1−2(f)に示した1次ポリッシュ工程において、ポリッシングを行ったワーク10の表面11を、精密ポリッシングを行うことで更に研磨し、表面11の最終的な仕上げを行う。
本実施の形態において、このポリッシングを行うに際し、例えばスエード状の軟質研磨布を用い、酸化セリウム砥粒若しくはコロイダルシリカを水等の溶媒に分散してスラリー化したものを研磨材として用いることができる。
【0025】
(最終洗浄・検査工程)
図1−2(h)は最終洗浄・検査工程を示している。最終洗浄では、上述した一連の工程において、使用した研磨剤等の汚れの除去を行う。洗浄には超音波を併用した洗剤(薬品)による化学的洗浄などの方法を用いることができる。
また、検査工程においては、例えばレーザを用いた光学式検査器により、ワーク10の表面の傷やひずみの有無等の検査が行われる。
【0026】
ここで、上記2次ラップ工程から外周研磨工程に移行する際には、ラッピングマシン40からワーク10を取り外し、治具25に積層してセットする必要がある。
【0027】
図5(a)〜(c)は、本実施の形態が適用される治具25を説明した図である。
図5(a)に示すように治具25は、開孔12を通してワーク10を挿入し、積層してセットする金属シャフト71と、金属シャフト71の一方の端部に配され、少なくとも表面が樹脂で形成された保護キャップ72(第2の樹脂部材)を備えている。また、金属シャフト71の他方の端部に配され、ワーク10を金属シャフト71にセットする際にワーク10を載置する載置台73と、金属シャフト71の軸方向に埋設される樹脂部材74(第1の樹脂部材)とを備えている。更に、金属シャフト71の両端部、保護キャップ72の金属シャフト71との結合部、および載置台73の金属シャフト71との結合部は、ねじ切りが施されており、図5(b)に示すように、ねじ切りが施されている部分を互いに接合させることで、金属シャフト71、保護キャップ72、および載置台73は互いに結合し、治具25となる。
【0028】
また、図5(c)は、図5(a)における治具25のB−B断面図である。上述したように樹脂部材74は、金属シャフト71の軸方向に埋設されて配されるが、樹脂部材74は、円形形状の金属シャフト71の円周部分から突出するように形成される。本実施の形態では、樹脂部材74は、金属シャフト71の円周方向に対し、3つ以上の複数箇所(図では4箇所)に取り付けられる。
【0029】
次に、ラッピングマシン40から取り外したワーク10を、上述した治具25に積層してセットする工程について説明する。
図6(a)〜(c)は、ワーク10を、治具25に積層してセットする工程を説明した図である。
まず図6(a)に示すようにワーク10を開孔12(図1参照)を通して、治具25の金属シャフト71に順次、挿入し積層させる。ここで、ワーク10は、例えば150枚積層する。このとき保護キャップ72が金属シャフト71の先端部に取り付けられているため、作業者がワーク10を金属シャフト71に挿入する際にワーク10の内周面に傷を付けたり、破損させたりしにくい。即ち、金属シャフト71の先端部はステンレス等の金属であり、硬質であることから、保護キャップ72が取り付けられていないと、ワーク10の内周面にダメージを与えやすい。一方、本実施の形態では、軟質の材料である樹脂で形成される保護キャップ72が取り付けてあるためにワーク10の内周面にダメージを与えにくくなる。
【0030】
次に、図6(b)に示すように保護キャップ72を取り外す。これにより金属シャフト71の先端部のねじ切りを施した部分が露出する。
【0031】
次に、図6(c)に示すように、固定ナット75を金属シャフト71の先端部に取り付ける。この固定ナット75の内部には金属シャフト71の先端部に合うようにねじ切りが施してあり、ねじ込みを行うことにより金属シャフト71と固定ナット75とは結合する。この固定ナット75は、次の外周研磨工程において、ワーク10を押えつけ固定するための固定部材である。即ち、図1−2(e)において説明を行った外周研磨工程において、この固定ナット75によりワーク10を固定し、ワーク10のぶれをなくすことで精度の高い研磨を行うことができる。
【0032】
なお本実施の形態では、金属シャフト71の先端部には、金属シャフト71とは別の部材として保護キャップ72を用意して取り付けていたが、先端部を樹脂で被覆した金属シャフト71を用いることも可能である。但し、この場合、上述の図6(b)の工程で説明したように被覆された樹脂を取り外すことができることが好ましい。
【0033】
また、図5(a)〜(b)および図6(a)において、保護キャップ72は、上部を絞り形状とした円柱形状で、この絞り形状の部分は直線状としたもの例示したが、これに限られるものではない。
図7(a)〜(c)は、保護キャップ72の形状について、3通りの例を示して説明した図である。
図7(a)に挙げた保護キャップ72aは、図5(a)等で例示した保護キャップ72に対し、上部の絞り形状の部分を下部まで拡大した例である。また図7(b)に挙げた保護キャップ72bは、先端部を曲面により構成した弾丸形状とした例である。更に図7(c)に挙げた保護キャップ72cは、先端部を鋭角的にした紡錘形状とした例である。
以上挙げた例の保護キャップ72,72a,72b,72cは、作業性の観点やワーク10の内周面の保護等の観点から適宜選択することができる。
【0034】
また、本実施の形態で樹脂部材74は、金属シャフト71に埋設して取り付けられていたが、これに限るものではなく、樹脂部材74にワーク10の内周面が当接するように構成すれば、その形態は問わない。即ちワーク10と金属シャフト71とが直接接触しないように樹脂部材74が取り付けられていればよい。また、本実施の形態では、樹脂部材74を金属シャフト71とは別の部材として樹脂部材74を用意し取り付けていたが、別の部材とする必要は特になく、金属シャフト71の表面が樹脂により被覆され、一体化していてもよい。よって、例えば、熱軟化性の樹脂を加熱して軟化させ、それを金属シャフト71の表面に塗布した後で冷却を行い、金属シャフト71の表面に樹脂の被膜を形成するような形態でもよい。
【0035】
更に、図5(a)〜(c)、図6(a)〜(b)に挙げた例では、樹脂部材74は直方体形状をしていたがこれに限られるものではない。
図8(a)は、樹脂部材74の他の形状について、例示した図である。
図8(a)に挙げた樹脂部材74では、樹脂部材74の上方の端部にテーパー状の斜面741を形成した例である。ワーク10を挿入する側をこのような形状にすることで、ワーク10を金属シャフト71に挿入する際にワーク10の内周面をより傷つけにくくすることができる。またワーク10の内周面をより傷つけにくくするという観点からは、保護キャップ72と樹脂部材74の係合径を合わせるようにしてもよい。
図8(b)は、保護キャップ72と樹脂部材74の係合径を合わせた場合を説明した図である。図8(b)からわかるように、この場合保護キャップ72と樹脂部材74との間の段差が生じなくなる。そのため、ワーク10を金属シャフト71に挿入する際に樹脂部材74の上部にワーク10の内周面が引っかかることを抑制することができる。そのためワーク10の内周面がより傷つけにくくなるばかりでなく、よりスムーズにワーク10を金属シャフト71に挿入することができる。即ち、作業性の向上の観点からも有効である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1−1】(a)〜(d)は、本実施の形態が適用される円盤状基板(ディスク基板)の製造工程を示した図である。
【図1−2】(e)〜(h)は、本実施の形態が適用される円盤状基板(ディスク基板)の製造工程を示した図である。
【図2】ラッピングマシンの構造を説明した図である。
【図3】キャリアを更に詳しく説明した図である。
【図4】内周研磨工程において使用するブラシの一例を示した図である。
【図5】(a)〜(c)は、本実施の形態が適用される治具を説明した図である。
【図6】(a)〜(c)は、ワークを、治具に積層してセットする工程を説明した図である。
【図7】(a)〜(c)は、保護キャップの形状について、3通りの例を示して説明した図である。
【図8】(a)は、樹脂部材の他の形状について、例示した図である。(b)は、保護キャップと樹脂部材の係合径を合わせた場合を説明した図である。
【符号の説明】
【0037】
10…ワーク、11…表面、12…開孔、13…外周、25…治具、30…キャリア、40…ラッピングマシン、50…ポリッシングマシン、71…金属シャフト、72,72a,72b,72c…樹脂キャップ、73…載置台、74…樹脂部材、75…固定ナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円盤状基板の製造方法であって、
前記円盤状基板の内周面を研磨する工程と、
前記内周面が研磨された前記円盤状基板を、先端部を樹脂で被覆した金属シャフトに順次、挿入して積層する工程と、
積層された前記円盤状基板の外周面を研磨する工程と
を有することを特徴とする円盤状基板の製造方法。
【請求項2】
前記積層する工程の後に前記被覆された樹脂を前記金属シャフトの前記先端部から取り外す工程と、
取り外された前記樹脂に代えて前記積層された円盤状基板を固定する固定部材を前記金属シャフトの前記先端部に取り付ける工程と
を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の円盤状基板の製造方法。
【請求項3】
前記金属シャフトの軸方向に更に樹脂部材を埋設し、当該樹脂部材に前記円盤状基板の内周面が当接するようになしたことを特徴とする請求項1または2に記載の円盤状基板の製造方法。
【請求項4】
円盤状基板を製造する際に、当該円盤状基板の外周面を研磨するために当該円盤状基板を積層して載置する治具であって、
軸方向に第1の樹脂部材が埋設され、前記円盤状基板の開孔部を通して当該円盤状基板を挿入するための金属シャフトと、
前記金属シャフトの一方の端部に配され、少なくとも表面が樹脂で形成された第2の樹脂部材と、
前記金属シャフトの他方の端部に配され、円盤状基板を載置する載置台と
を備えることを特徴とする円盤状基板の載置治具。
【請求項5】
前記第2の樹脂部材は、前記金属シャフトの端部から取り外すことができることを特徴とする請求項4に記載の円盤状基板の載置治具。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−214532(P2010−214532A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−64597(P2009−64597)
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【出願人】(000124362)シチズンセイミツ株式会社 (120)
【Fターム(参考)】