説明

再狭窄の予防のためのガンマ−トコフェロールの治療

ステントが埋め込まれる血管壁またはその他の管腔壁に沿っての再狭窄を低減するように、トコフェロール薬剤、そして特にデス−メチルトコフェロール薬剤、そしてさらに有益なものとしてガンマ−トコフェロール薬剤の送達と組み合わせて、ステントを提供する。特定の適用において当該ステントは管腔内ステントであり、より具体的な有益な適用は血管内ステントであり、そしてガンマ−トコフェロールは、ステントとカップルしたコーティングまたは担体から溶出する。ステント留置したまたは再疎通した領域に沿っての組織に相乗作用的有益性を提供するため、デス−メチル−トコフェロールまたはフィチルで置換されたクロマノール、例えばガンマ−トコフェロールを、付加的な薬剤、例えば再狭窄抑制薬剤、例えばシロリムス、タクロリムス、エベロリムス、またはパクリタキセルと結び合わせた、ある種の組合せを提供する。トコフェロールもしくはトコトリエノール、または他のフィチルで置換されたクロマノール、およびその他の化合物、例えばパーム油の他の形もまた、再狭窄の治療に使用するものとして意図する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連する出願に対する相互参照)
[0002]本出願は、2003年10月21日に提出された仮特許出願第60/513,299号に対する優先権を主張し、その全内容を当明細書にてそれを参照として援用する。
【0002】
(国の補助を受けた研究または開発に関する事項)
[0003]適用なし。
(コンパクトディスクでの提出物の参照による援用)
[0004]適用なし。
【0003】
(発明の背景)
1.発明の技術分野
[0005]本発明は、医学用デバイスの埋め込みと生体活性(bioactive)薬剤の送達とを結び合わせる装置および関連する製造法および使用である。より具体的には本発明は、埋め込み可能なステント装置および関連する使用法である。なおより具体的には、埋め込み可能なステントにガンマ−トコフェロール薬剤の送達を組み合わせて含む装置である。
【背景技術】
【0004】
2.関連する技術分野の説明
[0006]埋め込み可能なステントは10年以上の間に顕著な発達を遂げ、特定の血管、そしてより具体的には冠動脈および末梢の動脈を含む、体の管腔を保持するためのメカニカルな枠組みの提供においての使用のため、多くの異なるデザインが研究され、市販にて入手できるようになった。ステントがその使用について開示されているその他の体の管腔は、肺静脈、胃腸管、胆管、卵管、および精管を含む。なおさらに、例えばシャントおよび経心筋的血行再建術のような、体内の人工的な交通または輸送を提供するための人為的な工夫で、体内に人工的な管腔が作成されており、ステントはさらにこれらの管腔での使用も意図して開示されてきた。
【0005】
[0007]血管ステントは一般に、回転軸を取り囲む壁を形成する統合したストラット(支柱)の網状組織を形成するように相互に連結されている、構造的なストラットの格子から形成される管状の構成要素である。この統合されたストラットの格子は典型的には、ステント壁内の内側の管腔軸と、ステント壁周囲の外側領域がそれを通して交通することのできるストラット間の間隙を含む。このことは、例えば主管腔、例えば動脈の長さに沿ってステントの埋め込みを設置する上で有益であり、その場合側枝はステント壁の間隙を通して有益なことに主管腔から流れを受け取ることが可能である。
【0006】
[0008]市販にて入手可能なステントの大半は、円周方向ならびに縦方向の双方に統合されたストラットの格子に沿って認められる連続性を有する、完全に統合された管状構造を形成する。(管腔の)崩壊した状態および拡張した状態の間で適応できるようにするため、そのようなステントは一般にストラットに関して波打つような形状を組み込んでいるが、この形状はステントの長さに沿って最小の縦方向の変化で最大の半径の拡張ができるように形を調整することを意図している。この形状は、例えば再び開通させなければならない局所的な疾患領域(例えば閉塞)の所望の長さに沿って、ステントの繰り返すことの可能な、予測可能な設置を達成し、同様に拡張しているバルーンを覆ってバルーンの両末端までステントのカバーを維持するために、一般に望ましい。そうでなければバルーンの拡張時に実質的に長さの足りないステントでは、インターベンション完了後に長期間これらの領域を開通して保持するためのステントの枠組みとしての有益性を伴うことなく、バルーン両末端の局在する血管壁の傷害に、バルーンの両末端を暴露することになる。
【0007】
[0009]今述べた先行するステントのタイプの普及にもかかわらず、そのような一般的な構造をさらに修飾する、または基本的なデザインからさらにはずれるかのいずれかとする他のデザインもまた開示された。例えばステントの1つの付加的にタイプは、円周方向には継続していないが、ストラットの格子から形成される1枚のシートに沿って2つの向かい合う両端を有する壁を形成する。このシートは、一方の端から他方にステントを巻くことにより崩壊した状態に適応させる。埋め込み部位でこのステントが巻かれた状態が緩んで、管腔壁をそして実質的には管腔内側の周りを半径方向に固定する構造的な壁を形成する。最終的にステントは管腔より小さめのサイズであり、向かい合う両端が重なるため、管腔壁から管腔内にはみ出す埋め込み材の厚さは2倍になる。もう1つの例において、埋め込まれた時に脈管壁に沿ってらせん構造を形成するステントが開示されており、このアプローチは、軸方向または縦方向の運動のストレス時のよじれに対する耐性のため、末梢の脈管 例えば浅大腿動脈(SFA)埋め込みの有益な処置として特に促進されてきた。
【0008】
[0010]ステントは、バルーン血管形成のような方法、またはアテローム切除 例えば回転式アテローム切除のデバイスおよび方法に随伴してのインターベンションの再疎通術において最も頻繁に使用される。“バルーン拡張型”のステントは一般に、収縮したバルーンの外側表面上に乗って崩壊した状態に送達されるための十分な延性があり、その後バルーンを膨らませることにより拡張された状態まで被験者の管腔壁に接して拡張させることができ、その後のバルーンの収縮にも埋め込みとして拡張された状態で実質的に保持される基材、例えばステンレスまたはコバルト・クロム合金から構成される。“自己拡張型”ステントは一般に、弾性、超弾性、または形状記憶の基材、例えばニッケル・チタン合金を含む特定の金属合金で構成される。これらの基材は典型的には拡張した状態の記憶を有するが、崩壊した状態の埋め込み部位まで適当な送達用の形で送達される。一度適所に送達されると、ステントは放出されて、その後埋め込みとして留まる管腔壁に接して形状回復または“自己拡張”する。
【0009】
[0011]ステントは典型的には開通性を維持することが意図されているが、それ以外の使用も開示された。例えばいくつかのステントは、ステントが埋め込まれる被験者の管腔を閉塞する目的で開示された。そのようなステントの例は、フィブリンでコーティングしたステントを含み、そしてステントに関するそのような閉塞的使用の例は、卵管の結紮および動脈瘤の閉鎖を含む。
【0010】
[0012]ステントはさらにその他の構造、例えば“ステントグラフト”を形成するグラフトとの組み立て品(assemblies)に含まれる。これらの組み立て品は一般に、織物またはシートの基材のタイプの構造から形成されるようなグラフト材に固定されたステント構造を組み込む。ステントグラフトとして開示された使用の例は、例えば特に腹部大動脈壁に沿っての、例えば動脈瘤の単離を含む。
【0011】
[0013]血管ステント留置の特定の設定において、ステントは再疎通術に続発する “再狭窄”の発症に、多大な影響を与えてきた。“再狭窄”は、典型的にはインターベンション後3-6ヶ月以内に起こる、急激に再疎通された遮断部の再閉塞であり、一般に再疎通術自体が原因となる血管壁の傷害に対するメカニカルな応答および生理学的応答の組み合わされたものである。1点において再狭窄は、例えばバルーン血管形成時の壁の拡張に続発する、拡張された血管壁の弾性的反動から、少なくとも部分的には起こり得る。傷害に対する生理学的応答に関しては、再疎通に由来する脈管壁の内膜、中膜、および時には動脈血管外膜の層への傷害が、壁内部の平滑筋細胞に侵略的有糸分裂および過剰増殖、分割および脈管管腔内への遊走を起こさせ、脈管管腔を閉塞する“瘢痕”を形成する原因となることが、一般に観察された。ステント留置の出現以前には血管形成術およびその他の再疎通インターベンションは、およそ30%−50%の再狭窄率に至らせたが、ステント留置は一般にこの比率を約20%−30%に低減し、この低減は少なくとも部分的には、血管の反動のメカニカルに防いだ結果であると考えられている。
【0012】
[0014]血管ステント留置における最近の工夫は、再狭窄の発症をさらに低減するため、ステント留置に随伴する付加的な治療を組み合わせることを意図してきた。例えばいくつかの工夫は、例えばステントの枠組み自体の中またはその上に放射性材料を組み込むことによるものを含む、ステントの留置に付随して、脈管壁に放射性物質の治療用量を局所的に送達することを意図した。しかしこれらの工夫は、その材料を取り扱い、廃棄することにおいて手術前後にかなりの負荷をかけることになり、結果的に医学関係者の実質的な部分に強要することをなお考えなければならない。さらに放射性のステントを介してのような局所的なエネルギーの送達は、留置後に拡散、流出、およびその他の活性な輸送のメカニズムを受ける、ステントからの材料及び化合物の局所的な溶出による送達とは実質的に異なる。
【0013】
[0015]より最近、再狭窄を遅延および予防するためのステント留置した病変に特定しての局所的薬剤送達を組み込むため、実質的な産業上の工夫が進められてきた。分子的なアプローチは、再狭窄の問題への非常に有益な解決法であると考えられている(Sousa et al. Circ 2003; 107: 2274-2279)。例えば様々な局所的送達デバイスが開示されて、例えば拡張可能なバルーンの外側の皮膚上に組み込まれた微細針を介して、傷害された壁内への再狭窄抑制材料の非常に局所的な注入が提供された。
【0014】
[0016]しかしより実質的な工夫は、埋め込み後の予測される期間にわたりステントが脈管壁内に薬剤を溶出するような様式、あるいは薬剤溶出ステント(“DES”)として知られている様式で、ステント自体の表面または内部に再狭窄抑制薬を組み込むことであった。この使用を意図したデバイスの例は、薬剤を保持および溶出する外側のコーティングを伴うステント構造を提供する、コーティングしたステントを含む。
【0015】
[0017]DESデバイスに使用するために開示されたコーティングの最も一般に使用されている形は、例えばある特定の市販用の態様における、薬剤を保持する1層、および延長された期間にわたり薬剤の放出を提供するための溶出を遅延させるもう1層を有する、またはコーティング下のステントの金属への接着を提供する1層、および薬剤を保持および溶出する他の層を有する、2層ポリマーコーティングのようなポリマーを含む。DESコーティングのその他の例は、セラミック、ヒドロゲル、生合成された材料、およびメタルドラッグマトリックスのコーティングを含む。
【0016】
[0018]DES法を介してのような再狭窄抑制に使用するために研究されてきた薬剤の例は、有糸分裂阻害薬、増殖抑制薬、抗炎症薬、および遊走を制御する化合物を含む。DESのデバイスおよび方法での使用として先に開示された化合物のさらなる例は以下:アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、アンジオテンシン受容体拮抗薬、アンチセンスの材料、抗血栓薬、血小板凝集阻害薬、鉄キレート剤(例えばエキソケリン(exochelin))、エバロリムス、タクロリムス、血管拡張薬、一酸化窒素、および一酸化窒素亢進薬または促進薬、を含む。
【0017】
[0019]DESデバイスに関する実質的に臨床研究が行われてきた2つのより具体的な化合物は、シロリムスおよびパクリタキセルを含む。これらのDESの工夫は再狭窄率を、ステント留置した病巣の典型的な比率の約20%から約35%より、全体としては約10%に、または母集団によってはそれ以下の可能性にまで低減された比率へと低減する、実質的な大きな1歩となった。
【0018】
[0020]しかし、最近のシロリムスおよびパクリタキセルのDESの臨床的経験を考慮して予測されると思われる実質的な改善にもかかわらず、これらおよび先にに開示された他のDESの工夫に関して、様々な懸念がなお残されており、様々な必要性もまたなお残されている。例えば経験した低減された再狭窄率は、なおより有効な効能を持つ薬剤を用いてより低下させられるかもしれない。さらに、平滑筋細胞のサイクルの側面を遮断するインターベンションの薬剤アプローチの、可能性ある他の有害な影響、例えば毒性、血管内層を弱めること、遠隔期内腔損失、陰性リモデリング、および可能性ある動脈瘤の形成に関して、懸念が残されている。
【0019】
[0021]1つの点においてある種の薬剤は、ステントが埋め込まれる管腔の傷害された領域の内皮細胞の再増殖の促進をしばしば伴う、それらの“前もって回復させる(pro-healing)”生体活性の効力による再狭窄の予防におけるそのような使用が促進されてきた。より具体的には血管内のステント設置時に、再狭窄のサイクルのイベントのカスケードを典型的には開始する血管の傷害は、血管内層に沿っての内皮細胞の露出を含む。内皮細胞は血管壁の内層を形成し、特に血管壁の平滑筋細胞の内層と、管腔内の血液のよどみの中の様々な因子との間のバリアーを提供する。内皮細胞が一度はがされると、内皮細胞および中膜/外膜間の弾性のある薄膜のバリアーの破壊もまたしばしば伴うことになり、これらの血液中の因子が平滑筋細胞に暴露され、血管内への有糸分裂、遊走、および過剰な増殖へと再狭窄のカスケードを開始することになる。したがって、内皮細胞の再増殖を促進すること、そしてそれによる血液のよどみからの再狭窄を推し進める因子に対するバリアーを再度定着させることが、再狭窄の予防への生存能のある、外傷性のより低い、そして非常に有利なアプローチとして促進されてきた。さらに急速な内皮細胞の再増殖による回復を介して増殖を防ぐことにより、例えば血管壁を弱めること、陰性リモデリング、および可能性ある動脈瘤形成を含む、様々な細胞毒性またはその他の“増殖抑制”の薬剤のアプローチに付随する多くの副作用が回避される。
【0020】
[0022]再狭窄を治療することを意図した“前もって回復させる”アプローチの1つの例は、傷害された脈管壁の内皮細胞増殖を促進する増殖因子としてVEGfを送達することを含む。ステントを覆う内皮細胞の再増殖を促進することを意図した“前もって回復させる”アプローチのもう1つの例は、内皮細胞の接着を誘引することを意図したステント表面上の抗体を提供している。これらのアプローチのいずれも、再狭窄を予防するための十分な安全性および効能を提供して、広範な市場での使用へと前進させることについては、まだ示していない。ステント留置した脈管の“内皮細胞の再増殖”を促進するためのその他のアプローチも、患者および一般的な健康管理に実質的な有益性を提供することだろう。
【0021】
[0023]プレイオトロフィン(PTN)は、血管形成の促進について先に研究されてきたもう1つの増殖因子であるが、この物質はまた、“外傷の回復”への適応に有用であると考えられている、自己停止組織の増殖を促進するための効能あるものとして、そして特に内皮細胞において観察されてきた。血管の回復のためにこの増殖因子をステント留置術およびその他の手技と組み合わせること、例えば壁の傷害を回復させ再狭窄を予防するための、血管またはその他の管腔の内層の内皮細胞増殖は、実質的に有益であると考えられる。
【0022】
[0024] 広範な多様な化合物が、再狭窄の治療/予防に関してこれまでにまたは現在も研究されているにもかかわらず、現在認可されている再狭窄を予防するための薬剤は、一般に毒性化合物と考えられる。各薬剤は、それらの局所的送達により得られる有益性の他に、ある種の望ましくない影響の実質的なリスクを示す。ステントの送達を介しての再狭窄予防の実質的な目標は、特にできるだけ低用量で再狭窄の応答を予防すると同時に、その他の有害な影響、例えば血管のリモデリング、血栓症、炎症、アレルギー反応、細胞のアポトーシス等も予防することである。この点において、より前もって回復させるアプローチおよび関連する化合物が、実質的な研究のトピックとなってきたが、医学の主流において未だに承認または使用されていない。もう1つの点において、“カクテル”製剤中に複数の化合物を併用しての送達もまた、研究の興味深いトピックとなってきた。特にある種の抗炎症剤は、他の効能ある増殖抑制化合物または有糸分裂阻害化合物と組合せた形でのステントからの溶出について研究されてきた。
【0023】
[0025]ビタミンEは、創傷の回復、そして特にケロイド瘢痕、すなわち血管の再狭窄とある種の生化学的類似性を共有する傷害への過剰な増殖応答に関連して、過去に様々に開示されてきた化合物である。ビタミンEは極めて安全であり、“一般に安全とみなされる(generally regarded as safe)”または“GRAS”である化合物のクラスに分類される。ビタミンEは、それらの間で多様な活性を示すいくつかの形で利用することができる。アルファ−トコフェロールは治療への使用について広く研究されてきたが、最近までガンマ−トコフェロール(“デス−メチルトコフェロール”の一形態)は科学においてはあまり注目されて来なかった。しかしガンマ−トコフェロールは、様々な考察においてアルファ−トコフェロールを上回る多様な有益な利点を示す。1つの特定の点においてガンマ−トコフェロールは、はるかに効能のある抗酸化特性を呈し、その結果アルファ−トコフェロールとは共有しない独特の抗炎症活性を持つに至ると特徴づけられた。加えてガンマ−トコフェロールは、ある種の他の生体活性な物質または医薬品と併用すると、治療の結果を高めると考えられている。これらの有益な特徴にもかかわらず、ガンマ−トコフェロールはhん明細書以前にステントを介してまたは用いての送達用の再狭窄またはその他を治療するための治療薬剤として、単剤でまたは他の生体活性薬剤と組合せてのいずれかでの使用に関して開示されてはいない。
【0024】
[0026]異常な管腔壁の状態を治療するための、安全で有効な抗炎症薬剤および回復させる薬剤の局所送達に関する必要性は残されている。
[0027]特に、例えば再疎通またはステントの埋め込みのインターベンションに伴う、傷害に応答しての血管およびその他の管腔の創傷の回復を促進させるような、そのような化合物の局所的送達に関する必要性は残されている。
【0025】
[0028]増悪する管腔壁の状態に局所治療を提供するために、管腔内ステントの埋め込みまたはその他の手技に続発する傷害された管腔壁に、ガンマ−トコフェロール、またはその前駆体、類似体、もしくは誘導体、またはガンマ−トコフェロールと類似の特徴を共有する別の化合物を送達することにより、多くの有益性が提供されると思われる。
【発明の開示】
【0026】
(発明の簡単な概要)
[0029]したがって本発明の1つの側面は、管腔壁の傷害された領域の回復を促進するために、同領域にガンマ−トコフェロールまたはその類似体もしくは誘導体を送達する方法である。
【0027】
[0030]本発明のもう1つの側面は、管腔壁の傷害された領域の再狭窄を実質的に予防するために、同領域にガンマ−トコフェロールまたはその類似体もしくは誘導体を送達する方法である。
【0028】
[0031]本発明のもう1つの側面は、埋め込み可能なステントを、ガンマ−トコフェロールまたはその類似体もしくは誘導体と組み合わせて含む、医学用デバイス装置である。
[0032]本発明のもう1つの側面は、体の空間領域にステントを送達すること、そしてまたそのステント留置領域にガンマ−トコフェロールまたはその類似体もしくは誘導体を送達することを含む方法である。
【0029】
[0033]本発明のもう1つの側面は、体の管腔の傷害された領域の回復が促進され、体の管腔の実質的な閉塞が予防されるように、その傷害された領域に増殖因子を送達することを含む方法である。
【0030】
[0034]本発明のもう1つの側面は、血管ステントおよびステント留置領域の内皮細胞増殖が促進され、ステント留置した領域の再狭窄が実質的に予防されるように、ステント留置領域にGRAS化合物を送達することを含む方法である。
【0031】
[0035]本発明のもう1つの側面は、血管インターベンションの機器の一部である送達の担体中に生体活性薬剤を含む、血管の創傷の回復を開始または促進するための装置である。特に本装置に関して、生体活性薬剤はデス−メチル−トコフェロール薬剤およびフィチルで置換されたクロマノール薬剤の少なくとも1つを含む。
【0032】
[0036]本側面の1つの方式に従って、血管インターベンションのデバイスは、ガンマ−トコフェロール薬剤を保持および溶出するように適合しているステントを包含する。
[0037]本方式の1つの態様に従って、ステントは生体活性薬剤を含有する送達担体でコーティングまたは吸着されている。もう1つの態様に従って、ステントは生体活性薬剤を溶出するように適合している。
【0033】
[0038]もう1つの方式において、血管インターベンションのデバイスは血管形成バルーンを含む。
[0039]もう1つの方式において、生体活性薬剤は、例えばガンマ−トコフェロールに関するトコフェロールプラスミドを含む。
【0034】
[0040]もう1つの方式において、生体活性薬剤は、例えばガンマ−トコフェロールに関するトコフェロール遺伝子ベクターである、または同ベクターを含む。
[0041]本発明のもう1つの側面は、埋め込み可能な管腔内ステントを、同ステントとカップルした(coupled to the stent、ステントと結合した)一定容量の生体活性ガンマ−トコフェロール薬剤と共に含む、埋め込み可能な管腔内ステント装置である。特に本側面において当該管腔内ステントは、管腔内ステントが患者の体内の管腔に沿って埋め込まれた時に、周辺組織内に一定容量のガンマ−トコフェロールを溶出するように適合している。
【0035】
[0042]本発明のもう1つの側面は、ステントおよび同ステントとカップルした生体活性薬剤を含む、薬剤溶出ステント装置である。当該ステントは、患者の体内の管腔に沿って埋め込まれた時に、周辺の管腔壁組織内に生体活性薬剤を溶出するように適合している。
【0036】
[0043]本発明のもう1つの側面は、送達装置、ならびにデス−メチル−トコフェロール薬剤およびフィチルで置換されたクロマノール薬剤の少なくとも1つを含む生体活性薬剤の医薬的に受容可能な調製剤を含む、管腔壁の治療装置である。当該送達装置は、患者の体内の管腔の管腔壁に沿っての局所に、生体活性薬剤の治療用量を送達するように適合している。
【0037】
[0044]本発明のもう1つの側面は、ステントおよび同ステントとカップルした生体活性薬剤を含む薬剤溶出ステント装置である。当該ステントは患者の体内の管腔に沿って埋め込まれた時に、管腔壁の周辺組織内に生体活性薬剤を溶出するように適合している。生体活性薬剤は、パーム油、またはその前駆体、類似体、もしくは誘導体の医薬的に受容可能な調製剤を含む。
【0038】
[0045]本発明のもう1つの側面は、送達装置、および生体活性なパーム油薬剤、またはその前駆体、類似体、もしくは誘導体の医薬的に受容可能な調製剤を含む、管腔壁の治療装置である。当該送達装置は、生体活性薬剤の治療用量を患者の体内の管腔の管腔壁に沿っての局所に送達するように適合している。
【0039】
[0046]本明細書に記載した様々な側面の1つのさらなる方式に従って、異常な管腔壁組織の状態を治療するために治療用に送達される生体活性薬剤は、デス−メチルトコフェロールの一形態を含む。
【0040】
[0047]これらの側面のもう1つのさらなる方式に従って、生体活性薬剤は特にガンマ−トコフェロール薬剤、またはその前駆体、類似体、もしくは誘導体を含む。
[0048]もう1つのそのようなさらなる方式に従って、生体活性薬剤はデルタ−トコフェロール薬剤、またはその前駆体、類似体、もしくは誘導体を含む。
【0041】
[0049]もう1つのそのようなさらなる方式に従って、生体活性薬剤はフィチルで置換されたクロマノール薬剤を含む。
[0050]もう1つのそのようなさらなる方式に従って、生体活性薬剤はガンマ−トコトリエノール薬剤、またはその前駆体、類似体、もしくは誘導体を含む。
【0042】
[0051]もう1つのそのようなさらなる方式に従って、生体活性薬剤はデルタ−トコトリエノール薬剤、またはその前駆体、類似体、もしくは誘導体を含む。
[0052]もう1つのそのような方式に従って、生体活性薬剤は2つの別個の薬剤の組み合わせを含み、ここでそれらの薬剤の一方はデス−メチルトコフェロール薬剤を包含し、そしてそれらの薬剤の他方はフィチルで置換されたクロマノール薬剤を包含する。
【0043】
[0053]もう1つのそのようなさらなる方式に従って、多孔性金属担体マトリックスもまた提供する。生体活性薬剤は、原則として多孔性金属担体マトリックス中にあり、多孔性金属担体マトリックスと接触する組織内にそこから溶出するように適合している。
【0044】
[0054]本方式の1つの態様において、多孔性金属担体マトリックスは焼結した金属マトリックスを包含する。
[0055]本方式のもう1つの態様において、多孔性金属担体マトリックスはスパッターした金属マトリックスを包含する。
【0045】
[0056]もう1つの態様において、多孔性金属担体マトリックスは電気化学的沈着させたマトリックスを包含する。
[0057]もう1つの態様において、多孔性金属担体マトリックスは、無電解電気化学的沈着させた(electrolessly electrochemically deposited)マトリックスを包含する。
【0046】
[0058]もう1つの方式において、生体活性薬剤は第1の生体活性薬剤を含み、そして当該装置はさらに、第1の薬剤とは異なる第2の生体活性薬剤を含む。第2の生体活性薬剤は、第1の生体活性薬剤と組み合わせて組織内に送達されるように適合している。
【0047】
[0059]本方式の1つの態様に従って第2の生体活性薬剤は、シロリムス、タクロリムス、エベロリムス、ABT−578、パクリタキセル、デキサメタソン、17−ベータ−エストラジオール、ステロイド、デス−アスパラテートアンジオテンシン−I(DAA−1)、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)、アンジオテンシンII受容体遮断薬、タキキニン、シアロキニン、アポシニン、プレイオトロフィン、エキソケリン、鉄キレート剤、VEGF、ヘパリン、コウマジン(coumadin)、クロピドグレル、IIb/IIIa阻害薬、一酸化窒素、一酸化窒素ドナー、eNOS拮抗薬、一酸化窒素合成促進薬、スタチン、またはそれらの前駆体、類似体、もしくは誘導体、またはそれらを組み合わせたものもしくは配合したものの少なくとも1つを包含する。
【0048】
[0060]当明細書の以下の様々な側面のもう1つの方式に従って、生体活性薬剤はレッドパーム油薬剤、またはその前駆体、類似体、もしくは誘導体の医薬的に受容可能な調製剤を含む。
【0049】
[0061]本発明のもう1つの側面は、血管インターベンション術時に引き起こされる血管内壁の傷害の、血管の創傷の回復を刺激または促進するための方法である。本方法は、生体活性なトコフェロール薬剤の医薬的に受容可能な調製剤を、血管内壁の傷害に送達することを含む。特に本方法に従って、生体活性薬剤は血管内壁の傷害に局所的に送達される、または特にデス−メチルトコフェロール薬剤の治療用量が血管内壁の傷害に送達されるかのいずれかとする。いずれの場合も、生体活性薬剤の局所的送達は、血管の創傷の回復を実質的に刺激または促進するための十分な様式で行われる。
【0050】
[0062]本側面の1つの方式に従って血管の創傷の回復は、トコフェロール薬剤を血管内壁の傷害部位に局所的に送達することにより誘発または促進される。
[0063]もう1つの方式に従って血管の創傷の回復は、ガンマ−トコフェロール薬剤、またはその前駆体、類似体、もしくは誘導体の治療用量を、管腔内壁の傷害に送達することにより、誘発または促進される。
【0051】
[0064]もう1つの方式に従ってトコフェロール薬剤は、トコフェロール薬剤、またはその前駆体、類似体もしくは誘導体の産生をコードするDNAプラスミドを包含する。
[0065]もう1つの方式に従って生体活性なトコフェロール薬剤は、そのようなトコフェロール分子の産生をコードするウイルス性または非ウイルス性の遺伝子ベクターを包含する。
【0052】
[0066]もう1つの方式に従って生体活性なトコフェロール薬剤は、ガンマ−トコフェロール、またはその前駆体、類似体、もしくは誘導体を包含する。
[0067]もう1つの方式に従って生体活性なトコフェロール薬剤は、トコフェロール薬剤を保持および放出するステントにより、管腔内壁の傷害部位に送達される。
【0053】
[0068]もう1つの方式においてトコフェロール薬剤は、薬剤溶出血管形成バルーンにより内皮の創傷部位に送達される。
[0069]本発明のもう1つの側面は、管腔内壁の傷害に応答しての再狭窄を低減するための方法であり、体内の他の場所より患者の体内の管腔壁に沿っての局所に、生体活性薬剤のより高い生体活性を、そしてステントの埋め込みに続発する当該局所での再狭窄を低減するための十分量を提供するという様式で、デス−メチルトコフェロール薬剤、フィチルで置換されたクロマノール薬剤、またはパーム油薬剤の少なくとも1つを包含する生体活性薬剤の治療用量を投与することと組み合わせて、当該局所に管腔内ステントを埋め込むことを含む。
【0054】
[0070]本発明のもう1つの側面は、体内の他の場所より患者の体内の管腔壁に沿っての局所に、ガンマ−トコフェロールのより高い生体活性を、そしてステントの埋め込みに続発する当該局所での再狭窄を低減するための十分量を提供するという様式で、一定用量のガンマ−トコフェロールを患者に投与することと組み合わせて、当該局所に管腔内ステントを埋め込むことを含む、管腔内壁の傷害に応答しての再狭窄を低減するための方法である。
【0055】
[0071]本側面の1つの方式は、ガンマ−トコフェロールの投与と組合せて、体内の他の場所より当該局所に、再狭窄抑制薬剤のより高い生体活性を、そしてステントの埋め込みに続発する当該局所での再狭窄を阻害するための十分量を提供するという様式で、一定用量の再狭窄抑制薬剤を投与することを含む。
【0056】
[0072]本方式の1つの態様に従って、送達される再狭窄抑制薬剤は、シロリムス、タクロリムス、エベロリムス、ABT−578、パクリタキセル、デキサメタソン、17−ベータ−エストラジオール、ステロイド、デス−アスパラテートアンジオテンシン−I(DAA−1)、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)、アンジオテンシンII受容体遮断薬、タキキニン、シアロキニン、アポシニン、プレイオトロフィン、エキソケリン、鉄キレート剤、VEGF、ヘパリン、コウマジン、クロピドグレル、IIb/IIIa阻害薬、一酸化窒素、一酸化窒素ドナー、eNOS拮抗薬、一酸化窒素合成促進薬、スタチン、またはそれらの前駆体、類似体、もしくは誘導体、またはそれらを組み合わせたものまたは配合したものの少なくとも1つである。
【0057】
[0073]もう1つの態様に従って、ガンマト−コフェロールおよび再狭窄抑制薬剤の一方は埋め込まれたステントから溶出され、ガンマ−トコフェロールおよび再狭窄抑制薬剤の他方は全身に送達される。
【0058】
[0074]もう1つの態様に従って、ガンマ−トコフェロールおよび再狭窄抑制薬剤の少なくとも一方は、当該局所に局所的に送達される。
[0075]もう1つの態様に従って、ガンマ−トコフェロールおよび再狭窄抑制薬剤の双方が埋め込まれたステントから溶出される。
【0059】
[0076]本発明のもう1つの側面は、デス−メチルトコフェロール薬剤、フィチルで置換されたクロマノール薬剤、およびパーム油薬剤の少なくとも1つを包含する生体活性薬剤を、患者の管腔壁に局所的に送達することにより、患者を治療するための方法である。
【0060】
[0077]本明細書に記載した各々の側面、方式、態様、バリエーション、および特色は、そのような価値が、そのような組み合わせに提供するその能力に由来すると思われる範囲まででさえも、他との組み合わせを必要とすることなく独立して価値があり有益であると考えられる。前述の記載にもかかわらず、本開示およびその他の入手可能な情報の再検討に基づいての当業者に明らかな様々な組み合わせもまた、本明細書の以下に意図する付加的な独立した有益性および価値と考えられる。
【0061】
[0078]本発明のさらなる目的および有利な点は、本明細書の以下の部分で明らかになるだろう、そしてその部分での詳細な説明は、本発明の好ましい態様を限定を設けずに完全に開示するという目的のためのものである。
【0062】
(発明の詳細な説明)
[0083]本開示は、管腔壁の障害に関する強化された医学的治療を、そして特にステントの埋め込みまたはその他の再疎通手技に関連する再狭窄を低減するために提供する、本開示の多様な側面、方式、態様、バリエーション、および特色を提供することと認識されるものとする。特にガンマトコフェロールおよびその他の関連する化合物の、単独でまたは様々な組合せにおいての新規な使用を、様々な有益性および目的を達成するために多様な詳細にて、本明細書に提供する。
【0063】
[0084]一般にトコフェロール類は、多くの異なる適応に対する市販薬の“GRAS(一般的に安全な)”化合物として、重要な研究および臨床的経験のトピックであった。トコフェロールは一般に式1:
【0064】
【化1】

により記載され、
[0085]上記式において本化学構造の多様な相同体が、以下の表1:
【0065】
【表1】

【0066】
に従って様々な“R1−3”の各基にてさらに特徴付けられる。
[0086]天然のトコフェロールは一般に、4つの相同体であるアルファ、ベータ、ガンマ、およびデルタの混合物として存在し−“ミックストコフェロール”として典型的には言われるミックスした製品として入手可能で−これは“ビタミンE”としてしばしば言われる形でもある。しかし他の参考文献によれば、ガンマ−トコフェロールは多くの植物の種子および典型的な米国の食品において“ビタミンE”としてしばしば言われるものの主要な形であり、一方アルファ−トコフェロールは、組織およびサプリメントにおいて“ビタミンE”としてしばしば言われるもののより主たる形である。一般にガンマ−トコフェロールの形態は、相同体のアルファの形態に比して研究および科学の注目を集めてこなかった。しかし最新の試験は、ガンマ−トコフェロールがヒトの健康に重要であると思われ、アルファ−トコフェロールと区別される独特の特色を所有することを示している。ガンマ−トコフェロールは、アルファ−トコフェロールより脂肪親和性親電子分子をより有効に捕らえるようである。加えてガンマ−トコフェロールは十分に吸収され、一部のヒトの組織に有意な程度まで蓄積される;しかしガンマ−トコフェロールは大部分は2,7,8−トリメチル−2−(ベータ−カルボキシエチル)−6−ヒドロキシクロマン(ガンマ−CEHC)に代謝され、これは主に尿中に排泄される。ガンマ−CEHCは、アルファ−トコフェロールから誘導される対応する代謝物にはない、ある種の生理学的重要性が起因していたナトリウム尿排泄亢進活性を有する。ガンマ−トコフェロールおよびガンマ−CEHCの双方とも、シクロオキシゲナーゼ活性を阻害し、したがって実質的な抗炎症特性を有し、および呈示するが、アルファ−トコフェロールにはない。いくつかのヒトおよび動物の試験は、ガンマ−トコフェロールの血漿濃度が心血管疾患および前立腺癌の発症と逆比例の関係にあることを示した。さらに高用量のアルファ−トコフェロールは、ガンマ−トコフェロールの血漿および組織のレベルを涸渇させるが、反対にガンマ−トコフェロールの補給は、ガンマおよびアルファの双方の形態を増加させることが示された。
【0067】
[0087]以下の表2は、トコフェロールの様々な形態のある種の生物学的活性および抗酸化活性に関連する1つの出版物による、ある種のデータのさらなる実例を提供する:
[0088]
【0068】
【表2】

【0069】
[0089]したがって本明細書に記載した様々な特定の有益な態様は、ガンマ−トコフェロール(またはその前駆体、類似体、もしくは誘導体、そして例えば特にガンマ−トコフェロールの代謝物であるガンマ−CEHCを含む)を、再疎通、ステントの埋め込み、またはその他の侵襲的手技に伴う再狭窄を阻害する(例えば予防または低減する)ための、脈管またはその他の管腔の壁への局所的送達用として使用する。様々なより具体的な態様は、以下のさらなる説明で明らかになるだろう。
【0070】
[0090]以下の情報は、本発明のある種の側面、方式、および態様をより理解できるように、ガンマ−トコフェロールまたは他の関連する化合物のいずれかに様々に関連する、ある種の有用な情報を提供する。
【0071】
[0091]ある公開された試験に従って、血管形成術後の再狭窄を低減するアルファ−トコフェロールの能力を、確立されたアテローム硬化症病巣に血管形成術を行ったウサギのモデルにおいて検査した。大腿動脈の局所的乾燥(focal desiccation)後、4週のコレステロールの食餌により誘発された病巣をバルーンで拡張した。血管形成術後3週に、血管造影により決定された最小の管腔の直径は、血管形成術前19日に開始した経口アルファ−トコフェロール治療群(1.38+/−0.29mm;P<0.01)より、未治療群(0.80+/−0.51mm)の方が小さかった。内膜−中膜の断面積は、アルファ−トコフェロール群(0.62+/−0.25mm、P<0.0001)より、未治療群(1.18+/−0.48mm)の方が大きかった。これらの差異は、血管収縮または変化した血漿コレステロールによるものではなかった。したがってアルファ−トコフェロールはこのモデルにおいて血管形成術後の再狭窄を低減した。ウサギの血管平滑筋細胞において、酸化低密度リポタンパク質はDNA合成を刺激した。アルファ−トコフェロール治療は、血清によるではなく酸化低密度リポタンパク質により刺激されるDNA合成を阻害した。この知見は、酸化した脂質は過形成を刺激し得るため、抗酸化物質が、細胞における酸化物質による酸化または増殖の影響のいずれかを阻害することにより過形成を制限すると思われる、という仮説に矛盾しない。
【0072】
[0092]魚油由来のオメガ−3多価不飽和脂肪酸は、アテローム硬化症の病原に影響を及ぼすと考えられる多くの因子を調節することが示された。血管形成術に続発する再狭窄のある種の特色が血管形成の初期の変化の一部によく似ているため、一部の研究者は魚油が血管形成術に続発する再狭窄を予防するかもしれないと示唆した。あるグループが、経皮的内管的(intraluminal)冠動脈形成術(PTCA)に続発する再狭窄率におけるオメガ−3脂肪酸の効果について報告している。より具体的には1989年8月から1992年9月まで、551名の患者に、4.1g エコサペンタエン酸(EPA)および2.8g ドコサヘキサエン酸(DHA)を提供する、80.6% オメガ−3脂肪酸のエチルエステルを含有する10個の1.0gカプセルの栄養補助食品、または同量のコーン油のエチルエステルを、6ヶ月間毎日摂ることを無作為に開始した。リスク因子に十分にマッチする470名の被験者が、本人の冠動脈血管の1つまたは複数の病巣の血管形成術を無事完了し、コホート試験を継続し、PTCA後6ヶ月にその内447名が評価可能であった。再狭窄の基準は、6ヶ月での定量的冠動脈血管造影が、狭窄部位の狭小化において>30%の増大、またはPTCA時に達成された拡張の少なくとも半分の喪失、および残存する管腔直径が<50%の最終的な再狭窄を示すこととした。患者の93%においてエンドポイントは血管造影により決定し、そしてそれら患者の1%を除くすべてにおいて定量的冠状動脈血管造影により決定した。魚油のサプリメントのコンプライアンスは、血漿中のEPAおよびDHA、ならびに赤血球細胞リン脂質の組み合わせによる判定によれば良好であった。分析可能な患者における再狭窄率は、コーン油では46%および魚油では52%であった(P=.37)。試験中のすべての被験者に対する200mg アルファ−トコフェロールの付加は、再狭窄率には影響を与えなかった。
【0073】
[0093]前述の試験は、その公開当時のそのような試みの最大のものであり、8g/日 オメガ−3脂肪酸のサプリメントは、PTCA後の再狭窄の通常の高比率を予防することはできなかった。このオメガ−3脂肪酸の毎日の高用量のサプリメントに起因する可能性のある副作用はなかった。さらに200mg アルファ−トコフェロールの被験者への付加投与も、再狭窄率には影響を与えず、1回の投与のみの経口サプリメントであった。さらにこの試験は、本発明の様々な態様に従って実質的な有益性を提供すると考えられる、ガンマ−トコフェロールの効果については評価していなかった。
【0074】
[0094]もう1つの公開された試験は、アルファ−トコフェロールが経皮経管的冠状動脈血管形成術(PTCA)に続発する再狭窄を予防するかどうかを検査した。この試験に従って、患者を二重盲検、プラセボコントロールの試みに登録した。患者にはPTCAを無事終了後、dl−アルファ−トコフェロールの形のビタミンE 1200IU/日 経口 対 不活性なプラセボの4ヶ月間投与を無作為に行った。患者の血液を、血漿脂質、リポタンパク質、アポリポタンパク質、アルファ−トコフェロール、レチノール、ベータ−カロテン、およびリポペルオキシドの濃度の差異について、ベースラインおよびPTCA後4ヶ月に分析した。100名の患者がプロトコルを完了した。ビタミンE群およびプラセボ群の間でアルファ−トコフェロールレベルを除く、いかなるデータにも有意差は見出されず、コンプライアンスは証明された。フォローアップの心臓のカテーテル法は、プラセボ投与患者の83%、dl−アルファ−トコフェロール投与患者の86%で行われた。タリウムの検査および運動負荷検査を含む、他覚的情報はdl−アルファ−トコフェロールまたはプラセボを投与された事実上すべての患者について得られた。再狭窄は、先に拡張した動脈部分の50%より高いまたは等しい狭窄の病巣の存在として定義し、PTCA前後の動脈の直径、フォローアップ時の血管の直径、および再狭窄率に関して結果を分析した。dl−アルファ−トコフェロール投与患者は35.5%の再狭窄(血管造影による記録)を有していたのに対して、プラセボ投与患者では47.5%の再狭窄であった。異常な血管造影またはタリウム検査または運動負荷検査により定義された再狭窄の全体としての発症は、dl−アルファ−トコフェロール投与患者の34.6%、およびプラセボ投与患者の50%であった。この差異(p=0.06)は有意性には至らず、このイベントにおいてそのような有意差に達すると考えられたのだが、より大きなサンプルサイズでも類似の相対的な結果が得られることになっただろう。
【0075】
[0095]ある種の他のエビデンスは、酸化的ストレスがアテローム硬化症をもたらすイベントの複雑な連鎖の重要な引き金を提供する可能性のあることを示唆している。無作為の臨床的試みは、経口投与された抗酸化剤であるビタミンの有益な効果の決定的なエビデンスを、今日まで提供していない。ビタミンの使用に伴う問題は、それらの可能性ある酸化亢進効果、およびアルファ−トコフェロールのサプリメントに起因する本来のガンマ−トコフェロールの吸収が低減されることを含む。プロブコールおよびアムロジピンは、ビタミンEのある種の形態より強力な脂肪親和性抗酸化物質を提供することが示唆された。それらはまた、有意な酸化亢進特性は有していないようである。プロブコールは、臨床的試みにおいてバルーン血管形成術後の冠動脈の再狭窄を予防することが示された。しかしその高密度リポタンパク質を低下する効果は、冠動脈アテローム硬化症の進行に防御的であることを妨げてしまう。抗酸化剤を用いてのアテローム硬化症のプロセスの遅延または逆行は、血清脂質にニュートラルなまたはプラスの効果を有する強力な脂肪親和性抗酸化剤の使用により、単剤でまたは脂質降下薬剤と組合わせて与える場合に、増大させられるかもしれない。
【0076】
[0096]もう1つの公開は、パーム油のある種の健康への側面に関して、そしてそのトコフェロールとのさらなる関係において以下のように示している。パーム油はその栄養学的有益性および用途の広さのため、食品製造業者にとっての1つの優れた選択となる。この油は、多数の栄養学的試験に記載されている有益な効果の要因である、主要なトリアシルグリセロールのsn2−の位置に主としてオレイン酸を含有する高次構造をとる。油の品質および栄養学的有益性は、トランス脂肪酸を含まないままで直接この油からまたは他の油との配合から製造することのできる様々な食品で保証されてきた。コストの有効性と関連した酸化への安定性は、コレステロールを含まない油の中では類がなく、これらの価値は、多価不飽和の油を配合して延長させ、長期の品質保証を提供することができる。この油を採るヤシは無類の生産性を持つ多年生作物であるため、遺伝子組み換えを含まないパーム油の供給は現在経済的価格で保証されている。多数の試験が、パーム油をオリーブ油と同じくらい健康的なものとする、特にこの油のトリアシルグリセロールの2の位置での高いモノ不飽和の結果として、この油の栄養学的価値を立証している。血中の脂質およびコレステロールの調節への食品の脂肪の寄与は、脂肪の消化、吸収および代謝の結果であることが今日確認されている。主として2の位置にオレイン酸、そして1および3の位置にパルミチン酸およびステアリン酸を含有するパーム油のグリセリドの脂肪分解での加水分解が、2−モノアシルグリセロールの容易な吸収を可能にし、一方フリーの飽和脂肪酸はほとんど吸収されずに残る。
【0077】
[0097]バランスの取れた食餌中の食品としてのパーム油は一般に、血中コレステロール、低密度リポタンパク質(LDL)コレステロール、およびトリグリセリドを低減し、一方高密度リポタンパク質(HDL)コレステロールを高める。改善されたリポタンパク質およびアポ−A1レベルもまたパーム油に富んだ食餌から示された。重要な有益性はまた、多価不飽和の脂肪食品からの結果と比較して、血中トリグリセリドを低下させること(または低減された脂肪の蓄積)にも起因する。強力な抗酸化薬剤および細胞機能の可能性ある調節薬剤であることが示されたトコトリエノールおよびトコフェロールは別として、バージンパーム油もまたカロテンを提供する。これらの化合物は血栓症抑制性があり、プロスタシクリン/トロンボキサン比率の増加の原因となり、再狭窄を低減し、そしてHMG−CoA−還元酵素によるコレステロールの生体内での合成を阻害する(したがって声r捨てロールの生体内での合成を低減する)ことができる。レッドパーム油は特に、アルファ−トコフェロールおよびトコトリエノールと同様にベータカロテンの豊富な食品源である。
【0078】
[0098]ガンマ−トコフェロールは、本発明に従っての特定の関心および有益性の対象であるが、すぐ上に記載したようにある種のパーム油のような化合物、すなわちオメガ−3−脂肪酸のある種の形態、例えばプロブコール等、およびそれらの関連する成分もまた、単剤でまたはガンマ−トコフェロールと組合せて、再疎通またはステント留置術に随伴しての治療的投与において有益性を提供すると思われる。
【0079】
[0099]上に引用した情報に関連する試験および/または公開文献のさらなるより詳細な例は、以下の公開文献に様々に開示されている:
【0080】
【表3−1】

【0081】
【表3−2】

【0082】
[00100]先に引用した公開されている参考文献の開示を、本明細書にそれらの全内容においてそれらを参照として援用する。
【0083】
[00101]様々なこれらの開示は、試験された特定の分子および物質(薬剤)において、ならびに関連する試験のプロトコル、分析、結果、および結論において異なるが、記載されたある種の化合物はアテローム硬化症または再狭窄の治療のための何らかの一般的な有益性を有することは明らかである。その他の開示で失敗に終わっている場合、そのような失敗は試験のデザイン、例えば特定の化合物の投与および送達のモダリティーの結果であるかもしれない。例えばそのような化合物の全身投与(例えば静脈内)または経口投与は、治療化合物を無効にするある種のクリアランス、代謝、または単純な希釈の影響を受けているかもしれない。
【0084】
[00102]したがって1点において本発明は、そのような化合物を新規送達モダリティーに組み込んで、傷害部位、例えば再狭窄に関連する血管の傷害部位で、またはアテローム硬化症の治療設定(例えば傷つきやすいプラークの予防として含む、ただしこれらの先行する試験ではその適応は開示または調査されていない)において、局所的な効能および生体活性を最大とすることにより、そのような短所に答える。局所的投与、例えば針付き注入カテーテル(needle injection catheters)、または局所的な端孔式もしくは側孔式注入カテーテルは、1点におけるアテローム硬化症、またはもう1点における再狭窄の実質的低減(またはもう1点における傷つきやすいプラークの予防または治療)という目標を達成するために、必要な局所的濃度を提供すると思われる。特定の有益性の中で、被験者の管腔内壁内への直接的な局所的溶出のために、そのような化合物を薬剤溶出ステント中またはステント上に組み込むことは、非常に有益な態様と考えられる。さらなる態様において、そのような化合物の全身投与は“プロドラッグ”技術を用いて特定の分子を複合させることにより達成させ、そうすることで所望の生体活性を局所的な標的細胞、例えば傷害された脈管壁内層のみに送達および提供する。
【0085】
[00103]もう1点においてある種の先行する試験は、再狭窄の治療設定におけるアルファ−トコフェロールの効果を観察した。しかし本発明の特定の有益な態様において、ビタミンEの区別される異なる形態としてのガンマ−トコフェロールは、非常に異なる生体活性および代謝の特性を有しており、本明細書に記載した新規方法に従って、代わりに管腔壁に送達される物質である。例えば埋め込み可能なステントと、例えばステントのコーティング、ステント中のウェルまたは細孔、付随する局所的注入等を介してのガンマ−トコフェロールの局所的送達との組み合わせは、特定の有益性があると考えられる。特にこの方法は、GRAS化合物としてのガンマ−トコフェロールの局所的送達または溶出を用いて再狭窄を予防するための、非常に安全で非外傷的なアプローチであると考えられる。
【0086】
[00104]まださらなる点においてガンマ−トコフェロールは、改善された回復治療および安全な治療に関して、他の化合物との顕著な相乗作用効果を有することが観察された。特にある種の態様では、ガンマ−トコフェロールの局所的送達を、その他の増殖抑制化合物、前もって回復させる化合物(例えばある種の増殖因子)、血栓抑制化合物または血小板凝集抑制化合物、または抗炎症化合物と組合せる。それらの化合物のより具体的な例は、シロリムス、タクロリムス、エベロリムス、パクリタキセル、デキサメタソン、17−ベータ−エストラジオール(または他のステロイド)、デス−アスパラテートアンジオテンシン−I、アンジオテンシンII変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)、アンジオテンシンII受容体遮断薬、タキキニン(特に例えばシアロキニンまたは蚊の唾液のタキキニンを含む)、アポシニン、プレイオトロフィン、エキソケリン(または他の鉄キレート剤)、VEGF、ヘパリン、コウマジン、クロピドグレル、IIb/IIIa阻害薬、一酸化窒素、一酸化窒素ドナー、eNOS拮抗薬、スタチン系、またはそれらのプロドラッグもしくは前駆体、またはそれらの類似体もしくは誘導体、またはそれらをさらに組み合わせたものまたは配合したものを含む。
【0087】
[00105]そのような組合せは、より安全なおよび/またはより効能のある結果を伴う治療を提供する有益な相乗作用的結果を準備する様式で提供する。1つの特定の点において例えば、そうでなければ当該領域にある種の局所的毒性を有するかもしれない用量で送達されるそのような増殖抑制化合物、例えばシロリムスまたはパクリタキセルは、特にガンマ−トコフェロールが付加的な非常に安全で有益なGRASタイプを提供する適度、しかしこれに限定されずに、ガンマ−トコフェロールの相乗作用的回復活性により実質的な有益性を獲得するようになるだろう。一般に十分に認められている試験およびプロトコルが公開されており、特定の組合せからそのような有益性を特徴づけ、そして至適化することは周知である。
【0088】
[00106]これらは例えば、組合せ薬剤のサンプルの濃度を変化させての標的細胞(例えば血管平滑筋細胞または内皮細胞)培養における効果を評価するための、IC50細胞培養試験およびそれに伴う分析技術を含む。そのような試験に続いて、意図する治療状態のin vivoの組織の応答を評価する、小さな哺乳動物(例えばラット/ウサギ)および/またはより大きな哺乳動物(例えばブタ)の前臨床試験を行ってよい。その後これらの前臨床動物スクリーニング試験に続いて、コントロールされたヒトの臨床的試みが行われる。開発のそのような代表的な各段階そのものに、開発の標準的なコースの結果を至適化するための複数回の反復を含んでよい。さらに各フェーズで得られた情報を、開発のスクリーニングの次の段階に入るための適当なパラメータを決定するために有効に利用してよい。例えば組織の至適用量をIC50試験で決定する場合、これらの情報を動物の埋め込み試験で評価するためのステント溶出用量の範囲と相関させてよい。さらなる例において、他の薬剤、例えばシロリムスまたはタクロリムスの先行する公開された結果は、IC50の結果から、検査用の初回の範囲を決定する手助けとなるガイドとしての、 “ミリメーター組織当たり”または“ミリメーターステント当たり”の基準で至適化されたステント溶出用量へのある種の相関を提供する。
【0089】
[00107] 局所的な薬剤の送達に関する開発のあるフェーズから別のフェーズへの拡大における、そのような特徴づけおよび至適化の検査、ならびに相関の使用を行って、単一薬剤のプロトコル、同様に組合せ薬剤のプロトコルをさらに特徴づけ、至適化してよい。これらは、例えばガンマ−トコフェロールに関して、単剤で、またはある種の有益な例として本明細書に記載したような他の薬剤と多様に組合せてのいずれかにより行ってよい。
【0090】
[00108]本態様は、例えば冠動脈または末梢動脈における血管の再狭窄の治療に関して特定の有益性があると考えられているが、血管以外の他の脈管または管腔も、本発明の治療的使用を行ってよい体の適応領域として意図する。例として、胆管、膵管、尿道、卵管等を含むが、脈管内層の創傷の回復が、本明細書に記載したガンマ−トコフェロールおよび/またはその他の化合物、ならびに関連する治療および送達のモダリティーにて治療効果がある範囲までとする。
【0091】
[00109]特にさらにステント内再狭窄(ISR)に関して、本開示の目的のためこれらの用語は、ステントのいずれかの末端からはみ出した約5mm以内の再狭窄の瘢痕を含むと一般に考えられる、“対象病変部内 (in-segment)再狭窄”をさらに含むことを意図する。本開示を通して述べてたように、ISRに関する非常に有益な治療(または予防)を、ガンマ−トコフェロール溶出ステントを介して単独の生体活性薬剤として、または他の薬剤、例えば本明細書に記載した説明のための例と組合せてのいずれかにて提供する。
【0092】
[00110]図1は、再狭窄を阻止するために血管の傷害された領域に、ガンマ−トコフェロール、またはその類似体もしくは誘導体を送達することに関する、本発明の1つの態様の流れ図を示す。これは破線で示したステント留置と共に行ってよく、このステント留置は、例えば血管形成術によるアテローム切除または前拡張の後に、ステント留置により傷害が起こるまたは随伴する手技でもよい。
【0093】
[00111]図2は、ステント留置される領域3に沿ってステント10にてステント留置される動脈1の概略図を示す。管腔内の脈管内層2は、典型的にはステント留置した領域3に沿ってはがれてしまう。少なくとも部分的にはガンマ−トコフェロールの当該領域への送達により、ステント10は内皮細胞増殖で被覆され、脈管内層2も内皮細胞増殖で再度被覆されるが、平滑筋細胞の過剰増殖は阻害される。図3の断面図に示した非常に有益な方式において、ガンマ−トコフェロール薬剤28は、ステントストラット22の表面を覆うコーティング26中にて、ステント10の表面上に組み込まれる。あるいはステントストラット内に容器としてウェルを形成してもよい(示していない)、または当業者に明らかなようにその他の方式を使用してもよい。あるいは薬剤の送達は、脈管内の局所的送達を介して、例えば端孔式もしくは側孔式注入カテーテルを通して、または例えばEndobionics 会社により研究され先に開示されたように、針付き注入カテーテルを介して達成してもよい。ステントからのそのような薬剤の溶出を伴う使用のために、様々なコーティングを組み込んでよく、それらには多孔性ポリマー、生体内で分解可能または生体内で侵食可能なコーティング(例えばポリマーまたはヒドロゲルある種のタイプをさらに含む)、多孔性セラミクス、または多孔性金属マトリックス(先に公開されたような例えばニッケル−リンまたはコバルト−リンのナノ多孔性成分の沈着を組み込むような多孔性の無電解電気化学的沈着を含む)を含む。しかしガンマ−トコフェロール、および/または本明細書に記載したような他の関連する化合物をそのような組成物中に組み込むことを、本発明の付加的な有益な態様としてさらに意図する。そのような方法を、生体活性薬剤を溶出する埋め込みの表面としての、ステントまたはその他の使用と結びつけての特定の使用として含む。
【0094】
[00112]以下の発行された米国特許における開示を、本明細書にてそれらの全内容においてそれらを参照として援用する:Regnierらに対する第5,512,595号;:Regnierらに対する第5,627,205号;Lafontらに対する第5,957,975号;Cynshiらに対する第6,103,753号;Agusらに対する第6,221,904号;Agusらに対する第6,262,111号;Agusらに対する第6,420,420号;Cynshiらに対する第6,440,999号;Agusらに対する第6,608,106号。
【0095】
[00113]以下の発行された米国特許における開示もまた、本明細書にてそれらの全内容においてそれらを参照として援用する:Voytに対する第4,144,325号;Scavoneらに対する第4,789,554号;Orfanらに対する第5,132,121号;Barkalowらに対する第5,139,796号;Orfanらに対する第5,200,213号;Barkalowらに対する第5,200,214号;Fosterらに対する第5,270,060号;Wechterに対する第6,048,891号;Wechterに対する第6,242,479号;Hyattに対する第6,262,279号;Hensleyらに対する第6,346,544号;Wechterに対する第6,410,589号;Wechterに対する第6,555,575号;およびKondoらに対する第6,780,886号。
【0096】
[00114]以下の公開された国際PCT特許出願特許における開示もまた、本明細書にてそれらの全内容においてそれらを参照として(そして明記された発明者を参照として)援用する:Van Eenennaamらに対するWO 02/063022;Liらに対するWO 2003/089452;Amesらに対するWO 2004/047732;およびPineda Priegoらに対するWO 2004/081215。
【0097】
[00115]以下の公開された米国特許出願における開示もまた、本明細書にてそれらの全内容においてそれらを参照として援用する: Wechterに対するUS 2001/0031782;Hensleyらに対するUS 2001/0044462;Hensleyらに対するUS 2002/0006954;Wechterに対するUS 2002/165268;Van Eenennaamに対するUS 2003/0166205;Liらに対するUS 2003/0233672;Amesらに対するUS 2004/0102385;Amesらに対するUS 2004/0102421;Wechterに対するUS 2004/0029954;Wechterに対するUS 2004/0058987;およびLiらに対するUS 2004/091990。
【0098】
[00116]上に提供した論説および発行または公開された特許の参考文献のすべての開示を、当明細書にてそれらの全内容においてそれらを参照として援用する。
[00117]ガンマ−トコフェロールを、本発明の非常に有益な側面として本明細書に記載するが、ガンマ−トコフェロールの他の類似体または誘導体を、本発明の多様な側面の意図する範囲内で使用および意図してよい。例えばガンマ−トコフェロールについて知られているのと類似する生体活性を、そのような側面の意図する範囲から離れることなく特定の分子の修飾により達成してもよい。1点において、ガンマ−トコフェロールに伴う活性部位および分子の領域または形等を他の分子鎖に組み込み、本発明のさらなる側面を提供してもよい。前駆体、例えばプロドラッグも意図する。例えばガンマ−トコフェロールの生体活性代謝物としてのガンマ−CEHC(本分野においてLoma Linda Universityの仕事に因んで “LLU−アルファ”とも言う)のような代謝物もまた意図する。
【0099】
[00118]ガンマ−トコフェロールを本明細書での非常に有益な態様に従って記載してきたが、この態様はある種のより広範な側面を説明するものであり、さらに、なおさらなる非常に有益な態様に従ってある種の修飾が行われてもよいことと認識されなければならない。
【0100】
[00119]1点においてガンマ−トコフェロールは、“デス−メチルトコフェロール”のより広範な群の1つの説明のための例である。化合物のこの意図する範囲から、アルファ−トコフェロールは除外するが、例えばトコフェロールの他のデス−メチルの形、そして特に特定の高い抗酸化活性をまた有するデルタ−トコフェロールは含む。
【0101】
[00120]もう1つの点においてガンマ−トコフェロールは、本明細書で意図する化合物のもう1つのより広範な群またはクラスとしての、“フィチルで置換されたクロマノール”の1つの説明のための例である。本群もまたさらなる例として、デルタ−トコフェロール、およびある種のトコトリエノール、例えば特にガンマ−トコトリエノールまたはデルタ−トコトリエノールを含む。トコトリエノールに関して、これらは一般に式2:
【0102】
【化2】

により表される(説明のため“アルファ”の形態について提供した。表1のトコフェロールに関して提供したようにアルファ、ベータ、ガンマ、デルタの各形態に対して、R基の間で類似の置換を有する)
[00121]トコトリエノールは皮膚内への浸透を含め、組織にすばやく浸透し、UVからの損傷と効率的に戦う。トコトリエノールの抗酸化活性はトコフェロールのそれより高いが、正常な生理学的状態のそれらの血中濃度はずっと低い。トコトリエノールは、一部にはそれらがLDLを酸化から保護するため、そして一部にはそれらがコレステロール合成の鍵となる酵素であるfHMG−CoA還元酵素の活性を低減するため、特に心血管疾患において有益な効果を有する。トコフェロール同様、トコトリエノールのデス−メチルの形態、そして特にガンマ−トコトリエノール(デルタ−トコトリエノールと併用して、または代わりにデルタ−トコトリエノールともするが)を、本明細書に記載したデバイス、装置および方法の中に組み込むことは、本発明のさらなる態様に従って特に有益である。そのような態様は単独でも、または他の活性な薬剤と組合せてもよい。
【0103】
[00122]以下の公開されたPCT特許出願を本明細書にてその全内容においてそれを参照として援用する:発明者としてLaneらに対するWO99/25336。
[00123]本明細書に記載した化合物のこれらの様々な群、およびさらにすぐ上に具体的に記載した、例としての具体的なタイプ(およびそれらの類似体または誘導体、そして前駆体であるプロドラッグまたは代謝物を非限定的に含む)を、本明細書のさらなる側面および態様として考える。これは特に、管腔壁の障害の治療における治療的使用を提供することに関する、そしてなおより具体的には薬剤の局所的送達を介しての、そしてなおより具体的には送達のためのステントからの溶出を介しての非常に有益な方式にて行うことを含む再狭窄を治療するための事例である。
【0104】
[00124]本明細書に記載した様々の化合物、例えば特にガンマ−トコフェロールは、一般に購入して入手することができる、または様々な公知の方法を用いてそれとは別に製造する、またはそれとは別に生成もしくは調製してもよい。そのような場合例えば、そのような薬剤を実質的に純粋な形で、または他の薬剤もしくは付加物もしくは製造副生成物と組み合わされた形で、購入または生成することを含んでよく、それを本明細書に記載した態様に従って、後に精製しても、またはそのような組み合わされた形で使用してもよい。
【0105】
[00125]本開示は以下に付け加える公開された特許出願の様々な開示(これらを本明細書にてそれらの全内容においてそれらを参照として援用する)と合わせて読まなければならない:Gertnerらに対するUS 2003/0060873;Wangらに対するUS 2003/0207933;Maierらに対するUS 2004/0057945;Gertnerらに対するWO 2003/045582;Maierらに対するWO 2004/000208;Peacockらに対するWO 2004/028571;Wangらに対するWO 2004/069201。
【0106】
[00126]加えて以下に発行された特許もまた、本明細書にてそれらの全内容においてそれらを参照として援用する:US 5,843,937;6,100,237および6,759,416。
【0107】
[00127]以下の申請中および共同出願の米国特許出願もまた、本明細書にてそれらの全内容においてそれらを参照として(例えば以下の米国特許を参照として)援用する:Kleinらにより2003年11月3日に提出された10/701,262;Peacockらにより2003年11月28日に提出された10/724,453;Larrickに対する2004年9月8日に提出された60/607,884;およびLeeらに対する2004年9月8日に提出された60/607,832。
【0108】
[00128]上の記載文献は多くの明細を含有するが、これらは本発明の範囲を限定するものとしてはでなく、本発明の現在の好ましい態様のいくつかの説明を単に提供するものとして解釈されなければならない。このように本発明の範囲は、添付した請求項およびそれらの法的均等物によって決定されなければならない。したがって本発明の範囲は当該技術分野の当業者に明らかになると思われる他の態様を完全に包括的に含み、本発明の範囲はしたがって添付の請求項以外の何ものにも限定されないものとし、当該請求項における単数形の要素への言及は、明確にそのように記述されてなければ“1つおよび唯一”ではなく、むしろ“1つまたはそれより多く”を意味することを意図することと、認識されるものとする。当該技術分野の当業者に公知である、上に記載した好ましい態様の要素に対するすべての構造的、化学的および機能的な均等物は、本明細書に参照として明確に援用し、本請求項に包括的に含まれることを意図する。さらにデバイスまたは方法について、本発明により解決されることを求められる各々のあらゆる問題を提示する必要はなく、それに関しては本請求項により包含されるものとする。さらに本開示における要素、成分、または方法のステップも、当該要素、成分、または方法のステップが請求項に明確に引用されているかどうかにかかわりなく、公開のみを目的とすることを意図してはいない。本明細書における請求項の要素は、当該要素が“〜に向けて意味する”という語句を用いて明白に引用されていなければ、35U.S.C.112、第6章の仮特許に基づく(under)と解釈されないものとする。
【図面の簡単な説明】
【0109】
[0079]本発明は、説明の目的のみのためである以下の図面を参照することにより、より完全に理解されるだろう:
【図1】[0080]図1は、本発明に従っての1つの態様の流れ図を示す。
【図2】[0081]図2は、例えば図1に示した態様に従って、例として有用な本発明の1つの方式に従っての動脈のステント留置領域を示す。
【図3】[0082]図3は、図1および2に示した態様に従って、例として有用な本発明のもう1つの態様に従って、ガンマ−トコフェロールでコーティグしたステントストラットの断面図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管インターベンション術時に引き起こされる血管内壁の傷害の血管の創傷の回復を刺激または促進するための方法であって、トコフェロール薬剤を包含する生体活性薬剤の医薬的に受容可能な調製物を、血管内壁の傷害に送達することを包含する前記方法であって、
当該生体活性薬剤の送達はさらに以下:生体活性薬剤を血管内壁の傷害に局所的に送達すること、またはデス−メチルトコフェロール薬剤の治療用量を、血管内壁の傷害に送達すること、の少なくとも1つを包含し;そして
当該生体活性薬剤の局所的な送達は、血管の創傷の回復を実質的に刺激または促進するための十分量である、前記方法。
【請求項2】
血管の創傷の回復が、トコフェロール薬剤を血管内壁の傷害部位に局所的に送達することにより誘発または促進される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
血管の創傷の回復が、ガンマ−トコフェロール薬剤、またはその前駆体、類似体、もしくは誘導体の治療用量を血管内壁の傷害に送達することにより誘発または促進される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
トコフェロール薬剤が、トコフェロール薬剤、またはその前駆体、類似体、もしくは誘導体の産生をコードするDNAプラスミドを包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
生物学的に活性なトコフェロール薬剤が、そのようなトコフェロール分子の産生をコードするウイルス性または非ウイルス性の遺伝子ベクターを包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
生物学的に活性なトコフェロール薬剤がガンマ−トコフェロールを包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
生物学的に活性なトコフェロール薬剤が、トコフェロール薬剤を保持および放出するステントにより血管内壁の傷害部位に送達される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
トコフェロール薬剤が、血管形成バルーンにより血管内の創傷部位に送達される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
血管壁の創傷の回復を開始または促進するための装置であって、
血管インターベンションのデバイスの一部である送達担体中の生体活性薬剤を包含し、
当該生体活性薬剤は、デス−メチルトコフェロール薬剤およびフィチルで置換されたクロマノール薬剤のうちの少なくとも1つを包含する、前記装置。
【請求項10】
血管インターベンションのデバイスが、生態活性薬剤を維持および溶出するように適合しているステントを包含する、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
ステントが生体活性薬剤を含有する送達担体でコーティングまたは吸着されている、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
ステントが生体活性薬剤を溶出するように適合している、請求項10に記載の組成物。
【請求項13】
血管インターベンションのデバイスが血管形成バルーンを包含する、請求項9に記載の組成物。
【請求項14】
生体活性薬剤がトコフェロールプラスミドを包含する、請求項9に記載の組成物。
【請求項15】
生体活性薬剤がトコフェロール遺伝子ベクターを包含する、請求項9に記載の組成物。
【請求項16】
管腔内壁の傷害に応答しての再狭窄を低減するための方法であって、
患者の体内の管腔壁に沿っての局所に管腔内ステントを埋め込むこと;および
体内の他の場所より当該局所に生体活性薬剤のより高い生体活性を、そしてステントの埋め込みに続発する当該局所での再狭窄を低減するための十分量を提供するという様式で、デス−メチルトコフェロール薬剤、フィチルで置換されたクロマノール薬剤、またはパーム油薬剤の少なくとも1つを包含する生体活性薬剤の治療用量を投与すること
を包含する前記方法。
【請求項17】
管腔内壁の傷害に応答しての再狭窄を低減するための方法であって、
管腔内ステントを患者の体内の管腔壁に沿っての局所に埋め込むこと;および
体内の他の場所より当該局所にガンマ−トコフェロールのより高い生体活性を、そしてステントの埋め込みに続発する当該局所での再狭窄を低減するための十分量を提供するという様式で、一定用量のガンマ−トコフェロールを患者に投与すること
を包含する前記方法。
【請求項18】
さらに、ガンマ−トコフェロールの投与と組合せて、体内の他の場所より当該局所に再狭窄抑制薬剤のより高い生体活性を、そしてステントの埋め込みに続発する当該局所での再狭窄を阻害するための十分量を提供するという様式で、一定用量の再狭窄抑制薬剤を投与すること
を包含する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
再狭窄抑制薬剤が、シロリムス、タクロリムス、エベロリムス、ABT−578、パクリタキセル、デキサメタソン、17−ベータ−エストラジオール、ステロイド、デス−アスパラテートアンジオテンシン−I(DAA−1)、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)、アンジオテンシンII受容体遮断薬、タキキニン、シアロキニン、アポシニン、プレイオトロフィン、エキソケリン、鉄キレート剤、VEGF、ヘパリン、コウマジン、クロピドグレル、IIb/IIIa阻害薬、一酸化窒素、一酸化窒素ドナー、eNOS拮抗薬、一酸化窒素合成促進薬、スタチン、またはそれらの前駆体、類似体、もしくは誘導体、またはそれらを組み合わせたものまたは配合したものの少なくとも1つを包含する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
ガンマト−コフェロールおよび再狭窄抑制薬剤の一方が埋め込まれたステントから溶出され、そしてここでガンマ−トコフェロールおよび再狭窄抑制薬剤の他方が全身に送達される、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
ガンマ−トコフェロールおよび再狭窄抑制薬剤の少なくとも一方が、当該局所に局所的に送達される、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
ガンマ−トコフェロールおよび再狭窄抑制薬剤の双方が埋め込まれたステントから溶出される、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
埋め込み可能な管腔内ステント;
当該ステントとカップルした、ガンマトコフェロール薬剤、またはその前駆体、類似体、もしくは誘導体を包含する一定容量の生体活性薬剤
を包含する、埋め込み可能な管腔内ステント装置であって、ここで当該管腔内ステントは、管腔内ステントが患者の体内の管腔に沿って埋め込まれた時に、周辺組織内に一定容量のガンマ−トコフェロールを溶出するように適合している、前記装置。
【請求項24】
ステント;
当該ステントとカップルした生体活性薬剤;
を包含する、薬剤溶出ステント装置であって、ここで当該ステントは、患者の体内の管腔に沿って埋め込まれた時に、周辺の管腔壁組織内に生体活性薬剤を溶出するように適合しており;当該生体活性薬剤は、デス−メチル−トコフェロール薬剤およびフィチルで置換されたクロマノール薬剤の少なくとも1つを包含する、前記装置。
【請求項25】
送達装置;
デス−メチル−トコフェロール薬剤およびフィチルで置換されたクロマノール薬剤のうちの少なくとも1つを包含する生体活性薬剤の医薬的に受容可能な調製物
を包含する、管腔壁の治療装置であって、ここで当該送達装置は、患者の体内の管腔の管腔壁に沿っての局所に、生体活性薬剤の治療用量を送達するように適合している、前記装置。
【請求項26】
ステント;
当該ステントとカップルした生体活性薬剤;
を包含する、薬剤溶出ステント装置であって、ここで当該ステントは患者の体内の管腔に沿って埋め込まれた時に、周辺の管腔壁組織内に生体活性薬剤を溶出するように適合しており、当該生体活性薬剤は、パーム油、またはその前駆体、類似体、もしくは誘導体の医薬的に受容可能な調製剤を包含する、前記装置。
【請求項27】
送達装置;
パーム油、またはその前駆体、類似体、もしくは誘導体を包含する生体活性薬剤の医薬的に受容可能な調製物;
を包含する、管腔壁の治療装置であって、ここで当該送達装置は、生体活性薬剤の治療用量を患者の体内の管腔の管腔壁に沿っての局所に送達するように適合している、前記装置。
【請求項28】
生体活性薬剤がデス−メチルトコフェロール薬剤を包含する、請求項9,24,25,26または27に記載の装置。
【請求項29】
生体活性薬剤がガンマ−トコフェロール薬剤、またはその前駆体、類似体、もしくは誘導体を包含する、請求項9,24,25,26または27に記載の装置。
【請求項30】
生体活性薬剤がデルタ−トコフェロール薬剤、またはその前駆体、類似体、もしくは誘導体を包含する、請求項9,23,24,25,26または27に記載の装置。
【請求項31】
生体活性薬剤がフィチルで置換されたクロマノール薬剤を包含する、請求項9,24,25,26または27に記載の装置。
【請求項32】
生体活性薬剤が、ガンマ−トコトリエノール薬剤、またはその前駆体、類似体、もしくは誘導体を包含する、請求項9,23,24,25,26または27に記載の装置。
【請求項33】
生体活性薬剤がデルタ−トコトリエノール薬剤、またはその前駆体、類似体、もしくは誘導体を包含する、請求項9,23,24,25,26または27に記載の装置。
【請求項34】
生体活性薬剤が2つの別個の薬剤の組み合わせを包含し、ここでそれらの薬剤の一方がデス−メチルトコフェロール薬剤を包含し、そしてそれらの薬剤の他方がフィチルで置換されたクロマノール薬剤を包含する、請求項9,23,24,25,26または27に記載の装置。
【請求項35】
多孔性金属担体マトリックスをさらに包含する、請求項9,23,24,25,26または27に記載の装置であって、
ここで当該生体活性薬剤は、原則として多孔性金属担体マトリックス中にあり、多孔性金属担体マトリックスと接触する組織内にそこから溶出するように適合している、前記装置。
【請求項36】
多孔性金属担体マトリックスが焼結した金属マトリックスを包含する、請求項35に記載の装置。
【請求項37】
多孔性金属担体マトリックスがスパッターした金属マトリックスを包含する、請求項35に記載の装置。
【請求項38】
多孔性金属担体マトリックスが電気化学的沈着させたマトリックスを包含する、請求項35に記載の装置。
【請求項39】
多孔性金属担体マトリックスが無電解電気化学的沈着させたマトリックスを包含する、請求項38に記載の装置。
【請求項40】
生体活性薬剤が第1の生体活性薬剤を包含し、
当該装置が、第1の薬剤とは異なる第2の生体活性薬剤をさらに包含し、そして第1の生体活性薬剤と組み合わせて組織内に送達されるように適合している、
請求項9,23,24,25,26または27に記載の装置。
【請求項41】
第2の生体活性薬剤が、シロリムス、タクロリムス、エベロリムス、ABT−578、パクリタキセル、デキサメタソン、17−ベータ−エストラジオール、ステロイド、デス−アスパラテートアンジオテンシン−I(DAA−1)、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)、アンジオテンシンII受容体遮断薬、タキキニン、シアロキニン、アポシニン、プレイオトロフィン、エキソケリン、鉄キレート剤、VEGF、ヘパリン、コウマジン、クロピドグレル、IIb/IIIa阻害薬、一酸化窒素、一酸化窒素ドナー、eNOS拮抗薬、一酸化窒素合成促進薬、スタチン、またはそれらの前駆体、類似体、もしくは誘導体、またはそれらを組み合わせたものもしくは配合したものの少なくとも1つを包含する、請求項40に記載の装置。
【請求項42】
生体活性薬剤がパーム油薬剤、またはその前駆体、類似体、もしくは誘導体を包含する、請求項9,23,24、または25に記載の装置。
【請求項43】
生体活性薬剤がレッドパーム油薬剤、またはその前駆体、類似体、もしくは誘導体の医薬的に受容可能な調製剤を包含する、請求項9,23,24、25,26または27に記載の装置。
【請求項44】
デス−メチルトコフェロール薬剤、フィチルで置換されたクロマノール薬剤、またはパーム油薬剤の少なくとも1つを包含する生体活性薬剤を患者の管腔壁に局所的に送達することを包含する、患者を治療するための方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−509179(P2007−509179A)
【公表日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−536916(P2006−536916)
【出願日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【国際出願番号】PCT/US2004/035361
【国際公開番号】WO2005/039443
【国際公開日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(504206388)メドロジックス・ディバイス・コーポレーション (2)
【Fターム(参考)】