冷却構造及びこの構造を内蔵した電子機器
【課題】半導体基板をヒートシンク又は熱電素子として使用して熱源部を冷却する冷却構造及びこの構造を有する電子機器を提供すること。
【解決手段】間隙をおいて略平行に対向して一方向に配置された複数の半導体基板10と、これらを略垂直に固定した固定用基板18と、半導体基板10と固定用基板とを一体化させるように、半導体基板10の固定部側において間隙に充填された、電気絶縁性及び熱伝導性を有する充填材16とを有し、固定用基板が熱源部22の面に実装され、熱源部が冷却されるように構成される。熱源部からの熱は半導体基板10に伝達され放熱される。また、半導体基板10が一方向に交互に配置され直列接続されたp型Si基板及びn型Si基板であり、ペルチェ素子又はゼーベック素子として駆動される。半導体基板10は充填材により機械的に固定用基板に安定固定され、単純な構成の冷却構造となる。
【解決手段】間隙をおいて略平行に対向して一方向に配置された複数の半導体基板10と、これらを略垂直に固定した固定用基板18と、半導体基板10と固定用基板とを一体化させるように、半導体基板10の固定部側において間隙に充填された、電気絶縁性及び熱伝導性を有する充填材16とを有し、固定用基板が熱源部22の面に実装され、熱源部が冷却されるように構成される。熱源部からの熱は半導体基板10に伝達され放熱される。また、半導体基板10が一方向に交互に配置され直列接続されたp型Si基板及びn型Si基板であり、ペルチェ素子又はゼーベック素子として駆動される。半導体基板10は充填材により機械的に固定用基板に安定固定され、単純な構成の冷却構造となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱源部に実装されて冷却されるように構成された冷却構造に関し、特に、半導体基板によって構成されるヒートシンクによる冷却構造、半導体基板を熱電素子として使用する冷却構造、及び、これらの冷却構造を有する電子機器を提供することにある。
【背景技術】
【0002】
電子機器が複雑化し高性能化すればするほど、電子機器を構成する電子回路からの発熱量が増大するため、電子回路からの放熱性、冷却機構が要求されてくる。
【0003】
従来、電子回路による発熱を冷却する方法として、複数の金属製フィンによって放熱性を高めたヒートシンクを用いる方法、電子回路の近傍に対流を発生させる冷却ファンを用いる方法、ペルチェ効果を利用した熱電素子を用いる方法、ヒートパイプを用いる方法等が知られている。
【0004】
周知のように、Bi−Te系、Fe−Si系、Co−Sb系等の熱電半導体のペルチェ効果又はゼーベック効果を利用した熱電素子は、冷却又は加熱装置や発電素子等として使用されている。熱電素子は、例えば、n型熱電半導体とp型熱電半導体とを交互に直列接続したπ型構造をもつ熱電半導体群に直流電流を流すと、n型熱電半導体からp型熱電半導体に向けて電流が流れる電極(吸熱電極)側では、吸熱を生じ、p型熱電半導体からn型熱電半導体に向けて電流が流れる電極(放熱電極)側では、放熱(発熱)を生じるので、放熱側にヒートシンクや放熱フィンを配置し、冷却すべき物体を熱電素子の吸熱側に配置することによって冷却することができる。また、放熱側と吸熱側の間に温度勾配があるとゼーベック効果によって熱起電力を発生する。
【0005】
以下、電子機器の冷却方法に関する従来技術について説明する。
【0006】
「熱電冷却モジュール及びその製造方法」と題する後記の特許文献1には、以下の記載がある。
【0007】
特許文献1の発明において講じた技術的手段は、吸熱電極と、P型熱電半導体素子と、放熱電極と、N型熱電半導体素子とを前記の順番に複数組電気的に直列接続し、通電することにより前記吸熱電極で吸熱し前記放熱電極で放熱するペルチェ効果を利用して電子部品を冷却する熱電冷却モジュールにおいて、前記熱電冷却モジュールは、放熱側絶縁基板と、前記放熱側絶縁基板に複数個設けられた貫通孔にそれぞれ挿入固定され且つ一端面に放熱用のフィン形状部を有する前記放熱電極と、で構成される放熱部と、吸熱側絶縁基板と、前記吸熱側絶縁基板に複数個設けられた貫通孔にそれぞれ挿入固定され且つ一端面が被冷却体に直接当接された前記吸熱電極と、で構成される吸熱部と、前記放熱部と前記吸熱部との間に交互に配列される前記P型半導体素子と前記N型半導体素子とからなり、通電することにより前記P型半導体素子及び前記N型半導体素子と前記放熱電極との界面において放熱し、前記P型半導体素子及び前記N型半導体素子と前記吸熱電極との界面において吸熱する熱電変換部と、を有することを特徴とする、熱電冷却モジュールとしたことである。
【0008】
「熱電素子とそれを用いた電子部品モジュール及び携帯用電子機器」と題する後記の特許文献2には、以下の記載がある。
【0009】
特許文献2の発明の熱電素子は、N型熱電半導体及びP型熱電半導体を有する熱電半導体群と、前記熱電半導体群の一方の端部に接合された吸熱電極と、前記N型熱電半導体及びP型熱電半導体の少なくとも一部が交互に直列接続されるように、前記熱電半導体群の他方の端部に接合された放熱電極と、前記吸熱電極及び放熱電極のそれぞれに対して一体的に設けられていると共に、冷却媒体と接するように配置され、前記冷却媒体に対して放熱する機能を有する熱伝達部材とを具備することを特徴としている。
【0010】
特許文献2の発明の熱電素子においては、放熱電極のみならず、吸熱電極にも放熱媒体として機能する熱伝達部材が設けられている。吸熱電極に設けられた熱伝達部材は、熱電半導体を介さずに、冷却媒体が存在する放熱空間に配置されている。この熱伝達部材は熱電素子の非稼動時に放熱媒体として機能するため、非稼動時における被冷却物の放熱性を高めることができる。従って、熱電素子の通電稼動時の冷却特性を低下させることなく、非稼動時の被冷却物の冷却特性を維持することが可能となる。
【0011】
「冷却装置及びそれを備えた電子機器」と題する後記の特許文献3には、以下の記載がある。
【0012】
特許文献3の発明にかかる冷却装置は、発熱源(例えば集積回路を有するコンピュータ等の電子機器に設けられたCPU等、冷却対象となる発熱体)から発生する熱を、放熱フィンを通じて放熱するヒートシンクと、空気の流れを発生させて上記ヒートシンクの放熱フィンを強制空冷する発風機構とを備えた冷却装置において、上記発熱源から発生する熱の一部を電力に変換すると共に、残りの熱を上記ヒートシンクに与える熱電変換機構(例えば、ペルチェ素子やダイオード素子等の熱電変換素子)と、上記熱電変換機構により得られた電力によって上記発風機構を駆動する駆動電圧を発生させる駆動電圧発生手段(例えば、パルス電圧発生機能を有する制御回路素子等の回路素子)とを備えると共に、上記発風機構は、弾性を有すると共に、上記放熱フィンに固定された固定端と、自由端とを有する揺動体(例えば、板ばね状の弾性体(発風板))を備え、上記駆動電圧発生手段を通じて、上記熱電変換機構により得られた電力を用いて上記揺動体における自由端を揺動させて空気の流れを発生させることを特徴としている。
【0013】
上記熱電変換機構は、上記発熱源とヒートシンクとに各々接触して設けられており、上記発熱源との接触面の温度と上記ヒートシンクとの接触面の温度との温度差により、上記発熱源から発生する熱の一部を電力に変換することを特徴としている。
【0014】
「熱電変換素子を用いた自己冷却システム」と題する後記の非特許文献1には、以下の記載がある。
【0015】
非特許文献1のゼーベック効果を用いた自己冷却システムは、熱電変換素子と放熱フィン、ファンから構成され、発熱部の冷却を外部からの電源供給なしにまた制御システムなしに行うことができます。自己冷却システムを発熱部に設置すると、熱電変換素子は、熱源部の熱を電気に変換することにより熱源部を冷却します。更に、熱源変換素子で得られた電気でファンを駆動し、ファンの風で熱源部を冷却します。つまり、熱源部は熱電変換素子の吸熱と熱電変換素子で得られた電気で発生した風による放熱促進で、二重の冷却効果を受けます。
【0016】
「半導体スイッチ装置」と題する後記の特許文献4には、以下の記載がある。
【0017】
特許文献4の発明は、絶縁基板上に取り付けられた半導体チップと、ペルチェ効果発生のための起電力の供給を受け、前記半導体チップに形成されたスイッチング素子を冷却するペルチェ素子と、を備えた半導体スイッチ装置において、前記ペルチェ素子に対し前記ペルチェ効果の発生のための起電力を供給するゼーベック素子を備えた、ことを特徴とする。
【0018】
特許文献4の発明によれば、ペルチェ素子に対しペルチェ効果の発生のための起電力を供給するゼーベック素子を備えた構成としたので、ペルチェ素子への電力供給用電源を外部に設けることが不要となり、装置の小型化を可能にしたままで回路構成の簡単化を図り、更に冷却能力の向上を図ることが可能になる。
【0019】
「半導体装置の実装方法」と題する後記の特許文献5には、以下の記載がある。
【0020】
特許文献5の発明は、高密度実装と高放熱冷却効率とを両立させることのできる半導体装置の実装構造を提供することを目的とする。この目的を達成するために、半導体装置の実装構造は、次のように構成する。
【0021】
(1)実装基板に複数個の半導体ベアチップをマウントする半導体装置の実装構造であって、複数個の半導体ベアチップが、実装基板上に、該実装基板に対して垂直に植立されており、隣接する半導体ベアチップ同士は、半導体ベアチップを冷却するための冷却流体が滑らかに通過できる間隔をもって配置されており、各半導体ベアチップと実装基板とが、電気的に接続されているように構成する。
【0022】
(2)実装基板に複数個の半導体ベアチップをマウントする半導体装置の実装構造であって、複数個の半導体ベアチップが、下部実装基板及び上部実装基板の間に、各実装基板に対して垂直に植立されており、隣接する半導体ベアチップ同士は、半導体ベアチップを冷却するための冷却流体が滑らかに通過できる間隔をもって配置されており、各半導体ベアチップと下部実装基板及び/又は上部実装基板とが、電気的に接続されているように構成する。
【0023】
(3)実装基板に複数個の半導体ベアチップをマウントする半導体装置の実装構造であって、複数個の半導体ベアチップが、下部実装基板及び上部実装基板の間に、各実装基板に対して垂直に植立されており、隣接する半導体ベアチップ同士は、半導体ベアチップを冷却するための冷却流体が滑らかに通過できる間隔をもって配置されており、各半導体ベアチップと下部実装基板及び/又は上部実装基板とが、電気的に接続されており、下部実装基板の外周部と上部実装基板の外周部との間に側壁を設け、該側壁の少なくとも2個所に、半導体ベアチップを冷却するための冷却流体を導入又は排出する導入排出口を設けるように構成する。
【0024】
図16は、特許文献5に記載の図1であり、特許文献5に記載の一実施例を示す図であり、図16(a)は要部模式図、図16(b)は全体斜視図である。
【0025】
図16中、111は下部実装基板、112は上部実装基板、113は半導体ベアチップ、114は冷却流体通路、115は側壁、116は冷却流体導入排出口、117はコネクタ接続部である。
【0026】
複数個の半導体ベアチップ113は、下部実装基板111及び上部実装基板112の間に、各実装基板に対して垂直に植立されている。隣接する半導体ベアチップ113同士は、半導体ベアチップ113を冷却するための冷却流体が滑らかに通過できる間隔をもって配置されており、その間隔部は、冷却流体通路114を形成している。
【0027】
各半導体ベアチップ113は、下部実装基板111と、又は下部実装基板111及び上部実装基板112と電気的に接続されている。下部実装基板111の外周部と上部実装基板112の外周部との間に側壁115が設けられており、この側壁115の2個所に、半導体ベアチップ113を冷却するための冷却流体を導入又は排出する冷却流体導入排出口116a、116bが設けられている。更に、側壁115には、外部回路と接続するためのコネクタ接続部117が設けられている。
【0028】
複数個の半導体ベアチップ113は、下部実装基板111及び上部実装基板112の間に、各実装基板に対して垂直に植立されているので、高密度実装が実現される。
【0029】
隣接する半導体ベアチップ113同士の間隔は、半導体ベアチップ113を冷却するための冷却流体が滑らかに通過できる間隔に保たれており、この間隔部を冷却流体通路114として冷却流体(例えば、フロリナート等)を流すことにより直接、半導体ベアチップ113を冷却するようにしている。従って、高放熱冷却効率が実現される。半導体ベアチップ113を冷却するための冷却流体の導入又は排出は、側壁115に設けた2個所の冷却流体導入排出口116a、116bによって行う。
【0030】
複数個の半導体ベアチップ113は、2枚の実装基板、すなわち下部実装基板111及び上部実装基板112の間に、各実装基板に対して垂直に植立されており、下部実装基板111の外周部と上部実装基板112の外周部との間に側壁115を設けているので、冷却流体によるキャビテーション振動の発生を抑制できる。また、実装構造全体の剛性の向上も実現される。
【0031】
実装構造全体の剛性のより一層の向上、及び、放熱冷却効率のより一層の向上は、下部実装基板111の外周部と上部実装基板112の外周部との間に側壁115を設け、この側壁115の2個所に、半導体ベアチップ113を冷却するための冷却流体を導入又は排出する導入排出口116a、116bを設けることによって実現される。
【0032】
【特許文献1】特開平9−97930号公報(段落0005、図1)
【特許文献2】国際公開WO2004/1865号パンフレット(第5頁第17行〜同頁第28行、図1)
【特許文献3】特開2005−26473号公報(段落0026、図1〜図3)
【特許文献4】特開2004−56054号公報(段落0005、段落0041、図1、図3)
【特許文献5】特開平5−183079号公報(段落0006〜0010、段落0015〜0022、図1)
【非特許文献1】東芝レビュー Vol.58、No.12(2003)、第71頁(図3、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0033】
電子機器の高性能化、小型化、高速化に伴い、高集積化された半導体が実装された複雑な電子回路が使用されるようになり、電子回路からの発熱量が増大するため、電子回路の熱暴走や熱劣化を防止するために、優れた放熱性、発熱源に対する小型で簡単な冷却機構が要求されてくる。
【0034】
従来、電子回路による発熱を冷却する方法として、金属製フィンをもったヒートシンク、冷却ファン、発風板、熱伝素子、ヒートパイプ等を用いる方法、また、冷却流体が流される環境に電子回路を配置する等の方法が用いられている。また、高密度実装を行うために複数個の半導体チップを実装基板に対して垂直に実装する方法が行われている。
【0035】
特許文献1に記載の熱電冷却モジュールでは、セラミック製の放熱側絶縁基板に設けられた貫通孔に一部が挿入され接着剤等で固定され、放熱フィン形状部を有する銅製の放熱電極が使用されている(特許文献2の段落0012、図1を参照のこと。)。
【0036】
また、特許文献2に記載の熱電素子では、放熱媒体として機能し、金属材料で構成することが望ましい熱伝達部材が使用されている(特許文献2の第8頁第1行〜第3行、第8頁第27を参照のこと。)。
【0037】
また、特許文献3に記載の冷却装置では、ヒートシンクは、基盤となる熱拡散板上に放熱フィン部と制御回路とが設けられた構成を有し、放熱フィン部は、熱拡散板上に立設けられた複数の放熱フィンと、この放熱フィンの表面に設けられた発風機構を備え、熱拡散板及び放熱フィンは、アルミニウム(Al)や銅(Cu)等の良熱伝導材料からなっている(特許文献3の段落0063〜0066、図1を参照のこと。)。
【0038】
また、特許文献5に記載の半導体装置の実装構造では、(1)実装基板上に複数個の半導体ベアチップを、半導体ベアチップを冷却するための冷却流体が通過できる間隔をもって、実装基板に対して垂直に植立させる構成、(2)下部及び上部実装基板の間に複数個の半導体ベアチップが、半導体ベアチップを冷却するための冷却流体が通過できる間隔をもって、各実装基板に対して垂直に植立させる構成、(3)上記(2)の構成に、下部及び上部実装基板の外周部の間に側壁を設け、この側壁の少なくとも2個所に、半導体ベアチップを冷却するための冷却流体を導入又は排出する導入排出口を設ける構成を有し、上記(1)の実装構造では、平面実装に比べ実装密度を高めることが可能となり、上記(2)の実装構造では、上記間隔に冷却流体を流すことにより直接、半導体ベアチップを冷却するようにするので、放熱器を解する冷却方式よりも放熱冷却効率を高めることが可能となり、実装構造の剛性も高まり、上記(3)の実装構造では、実装構造の剛性のより一層の向上、及び放熱冷却効率のより一層の向上が実現されるとの記載がある(特許文献5の段落0011〜0014、図1を参照のこと。)。
【0039】
しかし、特許文献1に記載の発明では、セラミック製の放熱側絶縁基板と、これに設けられた貫通孔に一部が挿入され、放熱フィン形状部を有する銅製の放熱電極とによって、放熱部が構成されているため、放熱部が複雑な構成を必要とし、放熱機構全体が大きくなるという問題がある。
【0040】
また、特許文献2に記載の発明では、熱電半導体群の一方の端部に接合された吸熱電極と、熱電半導体群の他方の端部に接合された放熱電極のそれぞれに対して一体的に設けられていると共に、冷却媒体と接するように配置され、冷却媒体に対して放熱する機能を有する熱伝達部材とを設けているため、放熱のために複雑な構成を必要とし、放熱機構全体が大きくなるという問題がある。
また、特許文献3に記載の発明では、放熱フィンの表面に発風機構を設け、発風機構のための制御回路を必要とするため、放熱のために複雑な構成を必要とするという問題がある。
【0041】
また、特許文献5に記載の発明の上記した(1)の実装構造では、平面実装に比べ実装密度を高めることが可能となるが、半導体ベアチップを実装基板に対して垂直に植立させる際に、半導体ベアチップを実装基板に機械的に強固に安定して固定することに関しては、十分な配慮がなされていないため、半導体ベアチップの安定な動作、半導体装置全体の信頼性に関して問題がある。また、上記(2)及び(3)の実装構造では、実装構造の剛性は向上するものと考えられるが、実装構造が複雑になるという問題がある。更に、特許文献5に記載の発明では、冷却流体を流す機構を必要とするという問題がある。
【0042】
なお、特許文献4に、2つのゼーベック素子が直列接続され、ペルチェ素子に対して起電力が印加されること(特許文献4の段落0023、図3を参照のこと。)、半導体チップの外面上に通常のゼーベック素子の他にチップ温度検出用ゼーベック素子が配設されること(特許文献4の段落0035、図11を参照のこと。)が記載され、また、非特許文献1に、熱源変換素子で得られた電気でファンを駆動してファンの風で熱源部を冷却することの記載があるが、特許文献4、非特許文献1の何れにも、熱電素子によって発生した熱電流に基づいて熱源部の冷却を制御すること、熱電流を増幅し増幅された電流を熱源部の冷却のために使用することについては、言及されていない。
【0043】
また、従来、放熱媒体としての放熱フィンもったヒートシンクとして、AlやCu等の良熱伝導金属材料が使用されていたが、半導体基板を使用する例については報告されていない。
【0044】
本発明は、上述したような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、直立させた半導体基板によって構成されるヒートシンクを使用すること、熱電素子として半導体基板を使用することによって、単純な構成によって熱源部の冷却を可能とすることができ機械的に安定した冷却構造を提供すること、及び、これらの冷却構造を有する電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0045】
即ち、本発明は、間隙をおいて略平行に対向して一方向に配置された複数の半導体基板と、前記複数の半導体基板を略垂直に固定した固定用基板と、前記複数の半導体基板と前記固定用基板とを一体化させるように、前記半導体基板の固定部の側において前記間隙に充填された、電気絶縁性及び熱伝導性を共に有する充填材とを有し、前記固定用基板が熱源部の面に実装されて、前記熱源部が冷却されるように構成された冷却構造に係るものである。
【0046】
また、本発明は、上記の冷却構造を有する電子機器に係るものである。
【発明の効果】
【0047】
本発明の冷却構造によれば、間隙をおいて略平行に対向して一方向に配置された複数の半導体基板と、前記複数の半導体基板を略垂直に固定した固定用基板と、前記複数の半導体基板と前記固定用基板とを一体化させるように、前記半導体基板の固定部の側において前記間隙に充填された、電気絶縁性及び熱伝導性を共に有する充填材とを有し、前記固定用基板が熱源部の面に実装されて、前記熱源部が冷却されるように構成されるので、前記充填材によって前記複数の半導体基板を機械的に安定して前記固定用基板に固定することができ、熱伝導性を有する前記充填材を通しての伝熱によって、前記熱源部からの放熱が促進され前記熱源部を効率よく冷却することができ、単純な構成によって機械的に安定した冷却構造を提供することができる。
【0048】
また、本発明の電子機器によれば、上記の冷却構造を有するので、機械的に安定し信頼性が高く安定して動作する電子機器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
本発明の冷却構造では、前記熱源部から発生した熱が前記複数の半導体基板に伝達され放熱される構成とするのがよい。前記充填材は良好な熱伝導性を有するので、前記熱源部で発生した熱は、前記充填材を通して前記半導体基板に伝熱されるので、前記熱源部から発生した熱は効率よく前記半導体基板から放熱され、前記熱源部は冷却される。また、前記充填材によって前記半導体基板は機械的に安定して前記固定用基板に固定されるので、単純な構成によって機械的に安定した冷却構造を提供することができる。
【0050】
また、前記半導体基板の面に形成された導体部と、前記固定用基板の面に形成された導体部とが金属によって接続された構成とするのがよい。このような構成によって、前記半導体基板を機械的に安定して前記固定用基板に固定することができると共に、前記半導体基板に受動素子又は/及び能動素子が配置されている場合には、前記受動素子又は/及び能動素子を、前記金属を介して前記固定用基板に形成された信号配線に電気的に接続することができ、更に、前記固定用基板が実装されたチップ等の電子回路基板の信号配線への電気的接続を可能とすることができる。
【0051】
また、前記半導体基板の前記固定用基板に近接して対向する端面と、前記固定用基板の面に形成された導体部とが金属によって接続された構成とするのがよい。このような構成によって、前記半導体基板を機械的に安定して前記固定用基板に固定することができると共に、前記複数の半導体基板を、前記一方向に交互に配置されたp型Si基板及びn型Si基板とする場合には、前記p型Si基板と前記n型Si基板とを電気的に直列に接合された構成とすることがでる。
【0052】
また、前記半導体基板の前記固定用基板に対向する一方又は/及び他方の端面に放熱用シートが接続された構成とするのがよい。また、前記放熱用シートが金属シートである構成とするのがよい。これらの構成によって、前記半導体基板からの放熱の効率を向上させることができ、前記熱源部の冷却を効率よくすることができる。
【0053】
また、前記放熱用シートは金属シートとベースフィルムとが接合されたフレキシブルシートである構成とするのがよい。このような構成によって、前記放熱用シートを蛇腹状にして小さな占有空間で使用することができ、放熱を効率よく行うことができる。また、前記複数の半導体基板を、前記一方向に交互に配置され電気的に直列に接合されたp型Si基板及びn型Si基板とし、これらp型Si基板及びn型Si基板をペルチェ素子又はゼーベック素子として動作させる場合、前記放熱用シートを接続用導体として使用することもでき、この接続用導体を放熱媒体とすることができ、前記熱源部の冷却を効率よくすることができる。
【0054】
また、前記複数の半導体基板が、前記一方向に交互に配置されたp型Si基板及びn型Si基板であり、前記p型Si基板と前記n型Si基板とが電気的に直列に接合された構成とするのがよい。このような構成によって、直列に接合されたp型Si基板及びn型Si基板をペルチェ素子又はゼーベック素子として動作させることができ、効率よく前記熱源部を冷却することができる。
【0055】
また、前記n型Si基板及び前記p型Si基板の前記熱源部に近接して対向する端面側での前記n型Si基板と前記p型Si基板との接合部において、前記n型Si基板から前記p型Si基板に電流が流れるように直流電源が接続される構成とするのがよい。このような構成によって、直列に接合されたp型Si基板及びn型Si基板をペルチェ素子として動作させることができ、効率よく前記熱源部を冷却することができる。
【0056】
また、前記n型Si基板及び前記p型Si基板の前記熱源部に近接して対向する第1の端面側とこれと反対側の第2の端面側との間の温度差によって生じる熱電流に基づいて、前記熱源部が冷却される構成とするのがよい。このような構成によって、直列に接合されたp型Si基板及びn型Si基板をゼーベック素子として動作させることができ、効率よく前記熱源部を冷却することができる。
【0057】
また、前記熱電流によって前記熱源部に実装されたペルチェ素子が駆動され、前記熱源部が冷却される構成とするのがよい。このような構成によって、外部の駆動電源を必要とすることなく、前記ペルチェ素子を駆動することができ、効率よく前記熱源部を冷却することができる。
【0058】
また、前記熱電流によって送風ファンが回転駆動され、前記n型Si基板及び前記p型Si基板の前記第2の端面側が冷却される構成とするのがよい。このような構成によって、前記送風ファンを駆動させるために外部の駆動電源を必要とすることなく、前記送風ファンを駆動することができ、効率よく前記熱源部を冷却することができる。
【0059】
また、前記熱電流を増幅するトランジスタを有し、このトランジスタによって増幅された電流によって、前記送風ファンの回転駆動が制御される構成とするのがよい。このような構成によって、前記熱電流の大きさ、即ち、前記第1の端面側と前記第2の端面側との間の温度差に応じて増幅された電流によって、前記送風ファンの回転駆動を制御することができるので、前記熱源部の発熱状況とこの発熱が放熱(冷却)されている状況に応じて、前記送風ファンを回転駆動ができるので、非常に効率よく前記熱源部を冷却することができる。
【0060】
また、前記半導体基板に受動素子又は/能動素子が配置された構成とするのがよい。このような構成によれば、浮遊容量や配線抵抗の発生要因となる前記受動素子又は/及び能動素子を前記半導体基板に形成して、前記受動素子又は/及び能動素子を前記固定用基板に形成された信号配線に電気的に接続し、更に、前記固定用基板が実装されたチップ等の電子回路基板の信号配線への電気的接続を行うことによって、電子回路基板の信号処理に対する浮遊容量や配線抵抗の影響を低減することができる。また、前記受動素子又は/及び能動素子を前記半導体基板に形成して、電子回路基板で行う信号処理の一部、例えば、フロントエンド処理を行う回路を、前記半導体基板に形成するとによって、電子回路基板で行う信号処理の特性変動を低減することができる。
【0061】
本発明の冷却構造では、略直立させた半導体基板(以下、直立半導体基板ともいう。)をヒートシンク又は熱電素子として使用して熱源部を冷却する。この冷却構造は、間隙をおいて略平行に対向して一方向に配置された複数の直立半導体基板と、これらを略垂直に固定した固定用基板と、直立半導体基板と固定用基板とを一体化させるように、直立半導体基板の固定部側において上記の間隙に充填された、電気絶縁性及び熱伝導性を有する充填材とを有し、固定用基板が熱源部の面に実装され、熱源部が冷却されるように構成される。熱源部からの熱は、熱伝導性の良好な充填材を通して直立半導体基板に伝達され放熱され、複数の直立半導体基板はヒートシンクとして動作する。
【0062】
上記の冷却構造は、複数の直立半導体基板を一方向に交互に配置され電気的に直列に接合されたp型Si基板及びn型Si基板とすることによって、直列に接合されたp型Si基板及びn型Si基板をペルチェ素子又はゼーベック素子として駆動させることもでき、これら素子に基づいて熱源部を効率よく冷却することもできる。
【0063】
本発明の冷却構造では、複数の直立半導体基板は充填材により機械的に固定用基板に安定に固定され、単純な構成を有し、複数の直立半導体基板をヒートシンク又は熱電素子として使用して熱源部を効率よく冷却することができる。
【0064】
本発明の冷却構造は電子部品モジュールに好適に適用することができ、本発明の冷却構造が適用された電子部品モジュールは、各タイプのPC(パーソナルコンピュータ)、携帯電話、ゲーム機器等の携帯用電子機器を始めとして各種の電子機器に使用することができる。高消費電力機器、高周波電子機器では、発熱による実装の信頼性の低下が懸念されることが多く、周辺部品が多数必要とされるが、本発明の冷却構造によれば、比較的低コストで冷却構造を作成することができ、部品を立体的に効率よく配置することができモジュールに多くの周辺部品を取り込むことができるので、電源モジュール、通信系モジュール等の高消費電力系、高周波系ICの実装構造に適用することができる。
【0065】
以下、図面を参照しながら本発明による実施の形態について詳細に説明する。
【0066】
実施の形態
本実施の形態による冷却構造は、略平行に間隔をおいて略直立させて配置され放熱冷却フィンして使用される複数のシリコン(Si)基板(チップ)(以下、直立Si基板ともいう。)は、固定用基板に略垂直に固定され、直立Si基板の固定用基板への固定部側において上記の間隙に充填材(この充填材の電気絶縁性及び熱伝導性は良好である。)が充填され、直立Si基板と固定用基板とが一体化され構成されたヒートシンク(以下では、単にSiヒートシンクという。)の構造である。
【0067】
直立Si基板の一部は充填材によってモールドされるが、充填材として、エポキシ樹脂等の電気絶縁性樹脂とアルミナ、シリカ等のフィラーとの混合物によって形成された熱伝導性に優れた電気絶縁性封止樹脂が使用される。
【0068】
直立Si基板の一部を充填材でモールドするのは、直立Si基板の側面が全て空気中に露出されている場合には、熱源部(発熱部)から発生する熱が、空気の熱伝導率が約0.02から0.03(W/mK)と小さいため、空気中に露出された熱源部から放熱されにくいので、空気の熱伝導率よりも大きな、例えば、熱伝導率が約1〜4(W/mK)、体積抵抗率が1013(Ωcm)以上を有する充填材によって直立Si基板の一部をモールドして、充填材に接する熱源部からの熱を充填材に放熱させて充填材を通して直立Si基板に伝熱させることによって、熱源部の放熱冷却の効率を向上させるためである。
【0069】
充填材によってモールドされる直立Si基板の部分を、直立Si基板の高さの約1/3〜約1/2の部分とするのが、直立Si基板を固定用基板に安定して固定する点、及び、熱源部からの放熱の促進の点から好ましい。
【0070】
各種の電子機器に使用され電子回路チップ、又は、電子回路チップによって構成される電子部品モジュールが冷却されるべき熱源部となるが、この電子回路チップに本発明の冷却構造が適用され、固定用回路基板と電子回路チップとが、電気絶縁性及び熱伝導性が良好な接着剤によって接合され、即ち、固定用基板の面が熱源部に熱的に接合されて、直立Si基板の下部端面が高温側、直立Si基板の上部端面が低温側となるように配置され、電子回路チップで発生した熱は、直立Si基板へ直接伝熱されると共に、充填材を通して直立Si基板へ伝熱され、直立Si基板から放熱され熱源部が冷却される。
【0071】
本実施の形態による冷却構造では、固定用基板として、電気絶縁性及び熱伝導性が良好である樹脂基板やセラミック基板等を使用することができる。直立Si基板の上記固定部側の側面、及び、固定用基板にそれぞれ形成された電極端子(チップ端子)間を、錫(Sn)等の金属バンプによって接合して、直立Si基板と固定用基板とがなす直角部分を金属バンプで埋めるようにして、直立Si基板と固定用基板を一体化させて、直立Si基板を固定用基板に強固に保持させることもできる。
【0072】
また、固定用基板に銅(Cu)等により形成された金属配線の面と、直立Si基板の上記固定部側の端面(下部端面)とを、金属ロウ(Au、Ag、Ni、Ti、Cu、Sn)等によって接合して、直立Si基板と固定用基板を一体化させて、直立Si基板を固定用基板に強固に保持させることもできる。
【0073】
本実施の形態による冷却構造では、直立Si基板には、受動素子(抵抗、容量、インダクタ)、能動素子、SAW(Surface Acoustic Wave)素子やFABR(Film Balk Acoustic Resonator)素子、スイッチ素子、可変キャパシタ素子等のMEMS(Micro Electro Mechanical System)素子、トランジスタ素子、トランジスタ回路等を実装することができる。これらの素子、回路は、直立Si基板の内部、表面に形成すること、又は/及び、単体として製造された素子、回路を直立Si基板に半田等によって電気的に接続して搭載することによって、実装することができる。固定用基板の電極端子の下部には配線層と接続する導体ポストが形成されており、直立Si基板に実装された素子、回路は、上記の金属バンプを介して、固定用基板の内部に形成された配線層(導体配線)に電気的に接続され、更に、電子回路チップの再配線層に形成された信号配線(この信号配線は固定用基板の配線層に接続されている。)に電気的に接続される。
【0074】
本実施の形態による冷却構造は、以下に説明するように冷却能力を変更することができ、熱源部の発熱量に応じた好適な構成とすることができる。また、発電機能を有する構成とすることもできる。
【0075】
(1)直立Si基板の数(即ち、フィン数)を大きくたヒートシンクの構造として、放熱冷却能力を増大させることができる。
【0076】
(2)直立Si基板の上記固定部側の端面(下部端面)、又は/及び、反対側の上部端面に、放熱用シート(単に放熱シートともいう、又は、熱拡散シートともいう。)を電気絶縁性及び熱伝導性が良好な接着剤によって熱的に接合することによって、放熱冷却能力を増大させることができる。放熱用シートとして、熱伝導性に優れたCu、Al等の金属シート、この金属シートを構成要素としてもったフレキシブルシートを使用することができる。
【0077】
(3)複数の直立Si基板として、n型Si基板及びp型Si基板を使用して、隣接する直立Si基板の上部端面同士、下部端面同士をそれぞれ接続用導体によって電気的に接続して、複数の直立Si基板が電気的に直列に接続されるよう直列回路を構成して、この直列回路に外部電源を接続して、直立Si基板の下部端面を冷却側とするように直流電流を流す構成としたペルチェ素子に基づく冷却構造として、固定用基板の面を熱源部に熱的に接合して配置(即ち、直立Si基板の下部端面が高温側、直立Si基板の上部端面が低温側となる。)して、冷却能力を大きくすることができる。隣接する直立Si基板の下部端面同士を接続用導体で電気的に接続し、この接続用導体と固定用基板に形成された金属配線の面とを金属ロウ材によって接合する。直立Si基板及び固定用基板に形成され、両基板を接合、又は、接合し電気的に接続するための金属バンプは、隣接する直立Si基板の金属バンプが交互に配置されるように、また、これらの金属バンプの間に金属配線(固定用基板に形成されている。)が配置されるように、形成される。このように、直立Si基板と固定用基板とを接合することによって、直立Si基板を固定用基板に安定して保持することができる。
【0078】
(4)上記(3)において、直流回路に外部電源を接続しない構成としゼーベック素子に基づく冷却構造として、発生する熱電流に基づいて熱源部を冷却することができる。熱源部は、熱電流の発生による冷却に加えて、熱電流によって別に熱源部に配置されたペルチェ素子、送風ファン等の冷却機構の駆動によって、熱源部を冷却することができる。熱電流を増幅することによって、発生する熱電流に応じて、即ち、熱源部の発熱状況とこの発熱が放熱(冷却)されている状況に応じて、冷却機構の駆動を制御することができるので、非常に効率よく熱源部を冷却することができる。例えば、ペルチェ素子に流される電流、送風ファンの駆動のための電流が、熱電流の増幅によって生成される。
【0079】
(5)上記(1)〜(4)の冷却構造と、熱伝導性に優れたアルミニウム(Al)や銅(Cu)等の金属によって形成されたハニカム構造をもったヒートシンクとを熱的に接合した冷却構造として、放熱冷却能力を増大させることもできる。
【0080】
本実施の形態による冷却構造は、Si基板を使用した冷却構造であるので、半導体関連の製造技術、製造装置を利用することができ、製造工ストを大きくすることなく、冷却構造を実現することができる。Si基板を使用した冷却構造は、WLP(Wafer Level Process)技術を利用することによって、W−CSP(Wafer-level-Chip-Size-Package)の形で容易に実現することができる。
【0081】
また、直立Si基板に、受動素子、能動素子、MEMS素子、トランジスタ素子、トランジスタ回路等を実装して、電子回路チップで行う信号処理の一部、例えば、フロントエンド処理を行う回路を、直立Si基板に形成することによって、太い配線を使用した場合でも、これら素子、回路によって生じる浮遊容量や配線抵抗の電子回路チップの信号処理への影響を低減させることができ、電子回路チップで行う信号処理の特性変動を低減することができる。更に、直立Si基板に素子、回路を実装することによって、この素子、回路と電子回路チップの回路との電気的接続長を、直立Si基板と電子回路チップのなす90°の接合の角度によって低減することができる。
【0082】
また、直立Si基板の面積が1.5mm×1.5mm〜3mm×3mm、厚さが0.4mm〜0.8mmの場合でも、冷却効果を得ることができ、小さな冷却構造を実現することができ、この直立Si基板に大きな特性地をもった受動部品を実装することができる。
【0083】
図1は、本発明の実施の形態における、冷却構造の構成例とその実装例を説明する斜視図である。
【0084】
図1(A)はSiヒートシンクによる冷却構造を示す斜視図、図1(B)は受動素子又は/及び能動素子を実装したSiヒートシンクによる冷却構造を示す斜視図、図1(C)は図1(A)に示す冷却構造の実装例、図1(D)はペルチェ素子による冷却構造を示す斜視図、図1(E)は受動素子又は/及び能動素子を実装したペルチェ素子による冷却構造を示す斜視図、図1(F)は図1(E)に示す冷却構造の実装例を示す斜視図である。
【0085】
図1(A)に示すように、Siヒートシンクは、電気絶縁性及び熱伝導性に優れた固定用樹脂チップ18の上に複数のSiチップ10を直立させ間隙をおいて一方向(x方向)に配置して、Siチップ10の一部(Siチップ10の高さの1/3〜1/2の部分)を電気絶縁性及び熱伝導性に優れた充填材16でモールドして、Siチップ10が固定用樹脂チップ18上に安定して機械的に固定された冷却構造を有している。
【0086】
図1(B)に示すように、複数のSiチップ10の任意のチップに必要に応じて受動素子又は/及び能動素子20の素子、これら素子を含む回路を実装した冷却構造とすることができる。受動素子又は/及び能動素子20の素子、これら素子を含む回路は、Siチップ10のx軸の負又は/及び正方向の面に実装することができる。
【0087】
図1(C)に示すように、図1(A)に示すSiヒートシンクは、電気絶縁性及び熱伝導性に優れた接続(接合)用樹脂(図1(C)に図示せず。)によって熱的に電子回路チップ22に接合されている。所定の信号処理を行う電子回路チップ22から発生する熱は固定用樹脂チップ18を通して、直接、及び、充填材16を通してSiチップ10へ伝熱され、Siチップ10から放熱され電子回路チップ22が冷却される。
【0088】
図1(D)に示すように、Siチップ10として、p型Siチップ12及びn型Siチップ14を交互に配列して、p型Siチップ12及びn型Siチップ14の下端面(z軸の負方向の端面)及び上端面(z軸の正方向の端面)を接続用導体24a、24bによって接続し、複数のp型Siチップ12及びn型Siチップ14を電気的に直列接続して、ペルチェ素子による冷却構造を構成している。図1(E)に示すように、図1(B)と同様に、複数のp型Siチップ12及びn型Siチップ14の任意のチップに必要に応じて受動素子又は/及び能動素子20の素子、これら素子を含む回路を実装した冷却構造とすることができる。
【0089】
図1(F)に示すように、図1(C)と同様にして、図1(E)に示す冷却構造を電子回路チップ22に接合することができ、ペルチェ素子の動作によって電子回路チップ22を冷却することができる。
【0090】
なお、図1(A)から図1(F)に示す構成については、詳細に後述される。
【0091】
図2は、本発明の実施の形態における、Siヒートシンクによる冷却構造の構成例を示す図である。
【0092】
図2(A)は冷却構造の斜視図、図2(B)は冷却構造の平面図、図2(C)は樹脂基板(固定用樹脂チップ8)の平面図、図2(D)はA−A部の断面図、図2(E)はB−B部の断面図、図2(F)はSi基板(Siチップ10)の部分側面図及びC−C部の部分断面図、図2(G)はB−B部の断面図、図2(H)はSi基板(Siチップ10)の部分側面図及びC‘−C’部の部分断面図である。
【0093】
図2(B)、図2(C)に示すように、固定用樹脂チップ18の面にチップ端子30bが形成され、図2(F)に示すように、Siチップ10の下部端面側の側面にチップ端子30aが形成されている。図2(B)に示すように、Siチップ10の両側面側で、チップ端子30a及びチップ端子30bの面がx方向で対応するように、複数個所で、チップ端子30aが直立Si基板の側面に、チップ端子30bが固定用樹脂チップ18上に、形成されている。
【0094】
図2(A)に示すように、Siチップ10の下部端面側の側面に形成されたチップ端子30aと、固定用樹脂チップ18の面に形成されたチップ端子30bとが、バンプ31によって接合される。図2(A)、図2(B)、図2(E)に示すように、バンプ31が、Siチップ10と固定用樹脂チップ18とのなす直角部分の空間を埋めるようにして、複数箇所で両チップが接合され一体化される。バンプ31として、Sn等の金属バンプが使用される。
【0095】
図2(C)に示すように、固定用樹脂チップ18の面には、チップ端子30bの他に、チップ端子30cが形成されており、図2(D)に示すように、チップ端子30cにSiチップ10の下端面が金属ロウ材(Au、Ag、Ni、Ti、Cu、Sn)等によって接合されている。なお、図2(D)に示すA−A部の断面図では、1箇所のSiチップ10に近傍のみの断面を示している。
【0096】
図2(G)、図2(H)に示すように、上述のチップ端子30aに代えて、Siチップ10の下部端面側の側面にチップ端子30a’を形成してもよい。図2(H)に示すように、Siチップ10の側面が部分的にエッチング除去されて形成された傾斜面にチップ端子30a’が形成されており、図2(G)に示すように、バンプ31が、チップ端子30bとチップ端子30a’の両面がなす空間を埋めるようにして、Siチップ10と固定用樹脂チップ18とが接合され一体化される。
【0097】
図3は、本発明の実施の形態における、ペルチェ素子による冷却構造の構成例を示す図である。
【0098】
図3(A)は冷却構造の斜視図、図3(B)は冷却構造の平面図、図3(C)は樹脂基板(固定用樹脂チップ8)の平面図、図3(D)はA−A部の断面図である。
【0099】
図3(A)、図3(B)に示すように、図1、図2に示す複数のSiチップ10に代えて、p型Siチップ12、n型Siチップ14を使用することができ、p型Siチップ12、n型Siチップ14は、図1、図2と同様にして、x方向に配列され、充填材16、チップ端子30a又はチップ端子30a’、チップ端子30b、30c、バンプ31によって、固定用樹脂チップ18に接合され一体化される。
【0100】
図3(A)、図3(B)に示すように、隣接するn型Siチップ14及びp型Siチップ12の上部端面同士、下部端面同士をそれぞれ接続用導体24aで電気的に接続して、複数のn型Siチップ14及びp型Siチップ12が電気的に直列に接続されるよう直列回路を構成する。この直列回路の接続用導体24bに外部電源(図3に図示せず。)を接続して、n型Siチップ14及びp型Siチップ12の下部端面を冷却側とするように直流電流を流す構成としペルチェ素子に基づく冷却構造とすることができる。
【0101】
ペルチェ素子に基づく冷却構造の固定用樹脂チップ18の面を熱源部に熱的に接合して配置(即ち、n型Siチップ14及びp型Siチップ12の下部端面が高温側、上部端面が低温側となる。)して、冷却能力を大きくすることができる。n型Siチップ14及びp型Siチップ12の下部端面の接合部でn型Siチップ14からp型Siチップ12へと電流が流れる。
【0102】
図3(B)、図3(C)、図3(D)に示すように、接続用導体24aは、2つのチップ端子30cの間の部位にx方向に形成されている。
【0103】
図4は、本発明の実施の形態における、受動素子又は/能動素子を実装した冷却構造の構成例とその実装例を説明する図である。
【0104】
図4(A)は受動素子又は/及び能動素子を実装したSiヒートシンクによる冷却構造を示す斜視図、図4(B)は受動素子又は/及び能動素子を実装したペルチェ素子による冷却構造を示す斜視図、図4(C)は図4(A)、図4(B)における図3に示すB−B部に相当する部分断面図、図4(D)は冷却構造に実装される受動素子、能動素子の例を示す平面図及び断面図である。
【0105】
図4に示すように、図1において既に説明したように、Siチップ10、p型Siチップ12、n型Siチップ14の片側又は/両側の側面に受動素子又は/及び能動素子20の素子、これら素子を含む回路を実装することができる。
【0106】
図4(B)、図(C)、図(F)は、ペルチェ素子に基づく冷却構造を構成するp型Siチップ12又は/及びn型Siチップ14の側面に、受動素子又は/及び能動素子20の素子、これら素子を含む回路が実装された構成を示している。
【0107】
図4に示すように、受動素子又は/及び能動素子20の素子、これら素子を含む回路とチップ端子30a(又は30a’)とは導体線路32によって電気的に接続されている。図4(C)に示すように、固定用樹脂チップ18には、チップ端子30bに電気的に接続された導体ポストを含む内部配線33が形成されており、チップ端子30bは、固定用樹脂チップ18が熱的に接合された電子回路チップ22の再配線層の信号配線に電気的に接続されており、受動素子又は/及び能動素子20の素子、これら素子を含む回路は、電子回路チップ22の再配線層の信号配線に電気的に接続されている(図4(E)、図4(F)を参照。)。
【0108】
図4(D)に示すように、(a)導体線路32、電気絶縁層34によって形成されるインダクタ;(b)電極35、誘電体層36によって形成されるキャパシタ;(c)電気抵抗体37によって形成されるレジスタ;(d)npn型トランジスタ(npn型トランジスタでもよい。);等をSiチップ10、p型Siチップ12、n型Siチップ14の片側又は/及び両側の側面に実装することができる。また、これら以外に、SAW素子、FBAR素子等のMEMS素子を、Siチップ10、p型Siチップ12、n型Siチップ14の片側又は/及び両側の側面、又は、上端面に実装することができる。
【0109】
図5は、本発明の実施の形態における、冷却能力を向上させた冷却構造の実装例を示す断面図(図2又は図3におけるA−A部の断面図に相当する。)である。
【0110】
図5(A)は、受動素子又は/及び能動素子を実装したSiヒートシンクによる冷却構造を示す図であり、この冷却構造では、熱源部の温度を約20%低減させることができる(後述する図11を参照。)。
【0111】
図5(B)は、図5(A)に示す構成にヒートシンクを付加した冷却構造を示す図、図5(C)は、図5(B)の変形例を示す図である。図5(B)に示す構造では、放熱シート40aをSiチップ10の上端面に熱的に接合しており、図5(C)に示す構造では、放熱シート40bをSiチップ10の下端面側で固定用樹脂チップ18に熱的に接合している。図5(A)に示すSiヒートシンクにCu製の放熱シート40a、40bを付加した構造を有する、図5(B)、図5(C)に示す冷却構造では、熱源部の温度を約60%低減させることができる(後述する図11を参照。)。
【0112】
図5(D)は、受動素子又は/及び能動素子を実装したペルチェ素子による冷却構造を示す図である。この冷却構造は、n型Siチップ12及びp型Siチップ14の下部端面を冷却側とするように、導電線43、電池42により直流電流を流す構成としたペルチェ素子に基づいている。図5(D)に示す冷却構造(図3を参照。)では、熱源部の温度を約5%〜約20%低減させることができる。
【0113】
図5(E)は、受動素子又は/及び能動素子を実装したゼーベック素子による熱電流の増幅によるファン駆動制御を行う冷却構造を示す図である。
【0114】
図5(E)は、ゼーベック素子に基づく冷却構造を示しており、熱電変換素子としてのn型Siチップ14及びp型Siチップ12、送風ファン44を有し、ゼーベック素子に基づく冷却構造を熱源部(電子回路チップ22)に設けることによって、熱電変換素子によって、熱源部からの熱が熱電流に変換され熱源部が冷却され、更に、熱電流によって送風ファン44が回転駆動され、送風によって熱源部が冷却される。
【0115】
即ち、熱源部は、熱電変換素子による吸熱、及び、熱電流で発生した送風による放熱の促進で、二重の冷却効果を受け冷却される。この時、熱電流はトランジスタ45を用いて増幅され、この増幅された電流によって、送風ファン44の回転駆動が制御され、熱源部の発熱状況に応じて効率よく熱源部が冷却される。
【0116】
図5(E)に示すように、固定用樹脂チップ18に固定されたn型Siチップ14及びp型Siチップ12の下部端面(熱源部に近接して対向する面)側とこれと反対側の上部端面側との間の温度差によって生じる熱電流に基づいて、電気的に直列に接合されたp型Siチップ12及びn型Siチップ14をゼーベック素子として動作させ、熱電流をファン制御トランジスタ45によって増幅してファン44の駆動を制御している。熱電流は、n型Siチップ14及びp型Siチップ12の下部端面の接合部で、p型Siチップ12からn型Siチップ14へと流れる。
【0117】
図5(E)に示す例では、ファン制御トランジスタ45は、導電線43によって接続された電池42によって駆動されるnpn型トランジスタであり、発生された熱電流に応じて増幅された電流を発生させるので、ファン44は増幅された電流によって駆動される。図5(E)に示す冷却構造では、熱源部の温度を約5%〜約20%低減させることができる。
【0118】
なお、図5(E)に示す例では、npn型トランジスタを用いて、熱電流の増幅を行っておるが、図5(E)において、npn型トランジスタに代えてpnn型トランジスタによって熱電流を増幅できることは言うまでもない。
【0119】
また、図5(E)に示す例では、ファン制御トランジスタ45を固定用樹脂チップ18上に形成していない構成であるが、ファン制御トランジスタ45を固定用樹脂チップ18に表面実装した構成とすることもできることは言うまでもない。
【0120】
なお、図5に示す構成において、受動素子又は/及び能動素子20を実装しない構成とすることができることは言うまでもない。
【0121】
図6は、本発明の実施の形態における、冷却構造の実装例を概略寸法と共に示す断面図(図2又は図3におけるA−A部の断面図に相当する。)である。
【0122】
図6(A)は、受動素子又は/及び能動素子を実装したSiヒートシンクによる冷却構造の半導体チップへの実装を示す図である。この冷却構造を構成する固定用樹脂チップ18は熱的に電子回路チップ22に接合されている。
【0123】
図6(B)は、受動素子又は/及び能動素子を実装したSiヒートシンクによる冷却構造のリードフレームパッケージへの実装を示す図、即ち、図6(A)に示す構成をリードフレームパッケージへ実装した図である。電子回路チップ22はリードフレーム47に搭載され、電子回路チップ22の再配線層に形成された信号配線は、ボンディングワイヤ46によって、外部に電気的に接続されている。
【0124】
図6(C)は、受動素子又は/及び能動素子を実装したSiヒートシンクによる冷却構造のW−CSPへの実装を示す図である。電子回路チップ22は、下面にチップ端子30dが形成されたW−CSPであり、Siチップ10に実装された受動素子又は/及び能動素子20は、ビア51を介して電子回路チップ22に電気的に接続されており、金属バンプ等で構成されたチップ端子30dを使用して、電子回路チップ22は実装基板等に実装される。
【0125】
図6(D)は、受動素子又は/及び能動素子を実装しMEMS素子を備えたペルチェ素子による冷却構造の半導体チップへの実装構成のリードフレームパッケージへの実装を示す図である。
【0126】
図6(D)に示すように、ペルチェ素子を構成するp型Siチップ12及びn型Siチップ14の上端面側に接合されるMEMS素子は、実装容器49aの中空部に実装された素子48として構成され、バンプ電極等によって、実装容器の蓋49bに形成された取出し配線に電気的に接続され、実装容器49aの外部に対する信号の入出力がなされ、必要に応じて、Siチップ10に実装された受動素子又は/及び能動素子20、チップ端子30aに電気的に接続される。
【0127】
図6(D)に示す構成と同様にして、MEMS素子を、図6(A)〜図6(C)に示すSiチップ10の上端面側に接合することができることは言うまでもない。
【0128】
なお、図6に示す構成では、熱源部となる電子回路チップ22は固定用樹脂チップ18に熱的に接合され、p型Siチップ12及びn型Siチップ14、又は、Siチップ10に実装された受動素子又は/及び能動素子20は、導体線路32、チップ端子30a、バンプ31、チップ端子30b、導体ポストを含む内部配線33、ビア51によって、電子回路チップ22の再配線層の信号配線に電気的に接続されている。
【0129】
なお、図6に示す構成において、受動素子又は/及び能動素子20を実装しない構成とすることができることは言うまでもない。
【0130】
また、図1〜図6に示した構成の冷却構造を、QFN(Quad Flat No-lead)を始めとする各種タイプのリードフレームパッケージ、BGAパッケージ、フリップチップパッケージ等に適用することによって、これらのパッケージを冷却することができることは言うまでもない。
【0131】
図7は、本発明の実施の形態における、ゼーベック素子による熱電流の増幅によるファン駆動制御を行う冷却構造の実装例を示す図である。図7(A)は斜視図、図7(B)は平面図、図7(C)はD−D部の断面図である。
【0132】
図7に示す構成は、図5(E)と同様の構成を有しているので、相違点について以下に説明する。
【0133】
図7に示すように、ファン取付台54に設けられたファン44は、実装基板52に固定され、固定用樹脂チップ18に固定されたn型Siチップ14及びp型Siチップ12の一部が、実装基板52に形成された開口部56から、実装基板52の外部に露出するように、固定用樹脂チップ18がその面に形成されたバンプ31aによって実装基板52にその下方から電気的に接合され、電子回路チップ22の再配線層に形成された信号配線と実装基板52に形成された信号配線とが電気的に接続されている。ファン制御トランジスタ45によって増幅された熱電流は、導線58a、58bによってファン44に流されている。
【0134】
なお、図7に示す例では、図5(E)に示す導電線43として、放熱面積が大きい接続用導体24bを使用している。また、ファン制御トランジスタ45として、npn又はpnp型トランジスタを使用することができることは言うまでもない。また、後述するフレキシブル配線(図9を参照。)を使用することができることは言うまでもない。
【0135】
また、図7では図示していないが、n型Siチップ14又は/及びp型Siチップ12に素子又は/及び回路を実装することができ、これらの素子、回路を、固定用樹脂チップ18に形成された信号配線を介して実装基板52に形成され信号配線に電気的に接続可能であることは言うまでもない。
【0136】
図8は、本発明の実施の形態における、ゼーベック素子による熱電流の増幅によるファン駆動制御を行う冷却構造の実装例を示す断面図(図2又は図3におけるA−A部の断面図に相当する。)である。
【0137】
図7に示す構成では、固定用樹脂チップ18と分離して配置されたファン制御トランジスタ45を使用しているが、図8に示す構成では、ファン制御トランジスタ45を固定用樹脂チップ18に形成して表面実装している。ファン制御トランジスタとして、コレクタ45a、ベース45b、エミッタ45cによって形成されたpnp型トランジスタを金属端子39と共に固定用樹脂チップ18に形成して、コレクタ45aと電池42との間、ベース45bとp型Siチップ12との間、エミッタ45cとn型Siチップ14との間を電気的に接続している。
【0138】
図8に示すように、黒色の矢印の方向に電流が流れファン44が駆動され、ファン44による送風、及び、高温側(電子回路チップ22近い側)から低温側(電子回路チップ22から遠い側)への熱の流れ(白抜きの矢印によって示されている。)によって、電子回路チップ22が冷却される。
【0139】
なお、図8では、アンダバンプメタル57が形成された電気絶縁層34aを図7に示す固定用樹脂チップ18としており、電子回路チップ22に形成された再配線層の一部として、パッド59、オーバコート層62、回路配線63を示し、電子回路チップ22と電気絶縁層34(固定用樹脂チップ18)とが、電気絶縁性及び熱伝導性に優れた接続(接合)用樹脂61によって熱的に接合されていることを示している。
【0140】
図9は、本発明の実施の形態における、フレキシブル配線(放熱用シート)を用いた冷却構造の構成例を示す図である。
【0141】
図9では、p型Siチップ12及びn型Siチップ14の上端面の近傍におけるフレキシブル配線の部分を示している。また、図9に示す例では、4個のp型Siチップ12及び4個のn型Siチップ14の合計8個からなるSiチップの電気的直列配列体の3個が、並列に電気的に接続された構成を示している。
【0142】
図9(A)はフレキシブル配線の平面図、図9(B)はフレキシブル配線のD−D部の断面図、図9(C)は図9(A)、図9(B)に示す構成にハニカムヒートシンクを実装した場合の平面図、図9(D)は図9(A)、図9(B)に示す構成にハニカムヒートシンクを実装した場合のE−E部の断面図である。
【0143】
複数のp型Siチップ12及びn型Siチップ14を電気的に接続するための接続用導体24a、24bとして、例えば、Cu、Al等の電気伝導性に優れた金属シートを使用して、図9(A)、図9(B)に示すように、p型Siチップ12及びn型Siチップ14に接合される部分が少なくともベースフィルム64(電気絶縁性である。)に接合され保持された構成として、複数のp型Siチップ12及びn型Siチップ14と接続用導体24a、24bとの接続作業を容易なものとすることができる。
【0144】
ベースフィルム64が可撓性を有していれば、接続用導体24a、24bはフレキシブル配線体となるので、限定された空間での配線を容易なものとすることができる。また、接続用導体24bの長さを長くすればするほど、接続用導体24bの面からの放熱を大きくすることができ、熱源部の冷却効率を向上させることができる。
【0145】
なお、フレキシブル配線体は、例えば、厚さ30μmのベースフィルム64に、接続用導体24a、24bとして、厚さ10μmのCu箔を接着(接着層の厚さ10μm)して形成することができ、全体の厚さは50μmである。
【0146】
更に、図9(C)、図9(D)に示すように、複数のp型Siチップ12及びn型Siチップ14の上端面部に、蜂の巣状に多数の細孔を有するハニカムヒートシンク65を実装して、ファン44による送風によって、熱源部の冷却効率を向上させることもできる。
【0147】
図9に示す構成では、複数のp型Siチップ12及びn型Siチップ14によって、ペルチェ素子を構成する冷却構造としているが、複数のp型Siチップ12及びn型Siチップ14によって、ゼーベック素子を構成して熱電流に基づいてファン44を駆動させる冷却構造としてもよい。また、複数のp型Siチップ12及びn型Siチップ14をSiチップ10に代えてSiヒートシンクとする冷却構造とすることもできる。
【0148】
図10は、本発明の実施の形態において、ゼーベック素子による熱電流によるファン駆動を行う冷却構造の実装例と熱輸送経路を示す断面図(図2又は図3におけるA−A部の断面図に相当する。)である。
【0149】
図10に示すように、外部電源を使用することなく、ゼーベック素子による熱電流によって、ファン44を駆動させて送風によって電子回路チップ22を冷却することもできる。この場合、接続用導体24bの一部を、図10中に示す点線部のように、蛇腹状にした導体セット66によって構成して、長い接続用導体24bを使用することによって、導体セット66を放熱シートとして動作させることができ、限定された空間においても放熱性を高めることができる。
【0150】
図10に示すように、黒色の矢印の方向に熱電流が流れファン44が駆動され、ファン44による送風、及び、高温側(熱源部である電子回路チップ22の側)から低温側(電子回路チップ22から遠い側)への熱の流れ(白抜きの矢印によって示されている。)によって、電子回路チップ22が冷却される。
【0151】
図10に示す構成において、図9に関して説明したように、接続用導体24bが可撓性を有するベースフィルム64に接合され保持されている構成とすれば、蛇腹状にした導体セット66を容易に形成することでき、これを放熱シートとして動作させることができ、小さな占有空間であっても、接続用導体24bによる配線を可能とすると共に、放熱シートによって放熱効率を向上させることができる。従って、熱源部の冷却能率を向上させることができる。
【0152】
図10に示す構成において、図5(E)、図7、図8に示したように、ゼーベック素子による熱電流を増幅するトランジスタを使用して、増幅された電流によってファン44を駆動させることができることは言うまでもない。
【0153】
なお、図7〜図10に示す構成において、p型Siチップ12又は/及びn型Siチップ14に受動素子又は/及び能動素子20等の素子、これら素子を含む回路を実装する構成とすることができることは言うまでもない。
【0154】
図11は、本発明の実施の形態における、冷却構造による冷却効果のシミュレーション結果を説明する斜視図である。
【0155】
図11(A)は冷却構造の半導体チップへの実装を示す図、図11(B)は半導体チップの表面の中心部の温度を示す図、図11(C)は冷却構造に放熱用シートを実装した場合の半導体チップの表面の中心部の温度を示す図である。
【0156】
図11(A)に示すように、熱源部は、再配線層23が形成された電子回路チップ22であり、この熱源部に、図1(A)に示す構成を有するSiヒートシンクが冷却構造として、実装される。このSiヒートシンクは、1列に6個のSiチップ10を2列有しており、合計12個のSiチップ10から構成されている。
【0157】
冷却効果のシミュレーションの条件を、以下に説明する。
【0158】
熱応力解析シミュレーションソフト(アンソフト・ジャパン株式会社(Ansoft Japan K.K)、イーフジックス バージョン2(ePhysics Version2))を使用した。
【0159】
再配線層23が形成された電子回路チップ22及び冷却構造を構成するSiチップ10を構成するシリコン(Si)の熱伝導率を140(W/mK)、充填材16の熱伝導率を1(W/mK)、固定用樹脂チップ18の熱伝導率を0.9(W/mK)、電子回路チップ22と固定用樹脂チップ18とを接合する接着剤の熱伝導率を0.4(W/mK)、放熱用シートとして使用する接続用導体24a、24bの熱伝導率を400(W/mK)とした。
【0160】
電子回路チップ22の面積を2.8mm×2.8mm、厚さを0.8mmとし、電子回路チップ22の消費電力を0.1Wとした。Siチップ10の幅を1mm、高さを2mm、厚さを0.5mmとした。12個のSiチップ10によって、Siヒートシンクが構成され、各Siチップ10の下部側の0.5mmが、充填材16によってモールドされているものとした。接続用導体24bによる放熱用シートの幅を2mm、厚さを0.1mm、長さを20mmとした。シミュレーションの対象モデルが、その全周辺温度が無風状態の空気(25℃)中に浮いて置かれた状態とした。
【0161】
以上の条件下でシミュレーションを行って、電子回路チップ22の表面の中心部の温度を求めた。
【0162】
図11(B)に示すように、熱源部に冷却構造を実装しない場合には、電子回路チップ22の表面の中心部の温度は、223℃であるが、熱源部にSiヒートシンクに基づく冷却構造を実装した場合には、電子回路チップ22の表面の中心部の温度は、177℃となり、冷却構造の実装によって、電子回路チップ22の表面の中心部の温度は46℃低下し、即ち、熱源部の温度を約21%低減させている。
【0163】
図11(C)に示すように、熱源部に冷却構造を実装しない場合には、電子回路チップ22の表面の中心部の温度は、223℃であるが、図11(B)に示す冷熱構造に、更に、接続用導体24bを放熱用シートとして有する冷却構造を実装した場合には、電子回路チップ22の表面の中心部の温度は、86℃となり、冷却構造の実装によって、電子回路チップ22の表面の中心部の温度は137℃低下し、即ち、熱源部の温度を約61%低減させている。
【0164】
図11(B)と図11(C)との比較から、Siヒートシンクに放熱用シートを付加した構成を有する冷却構造が、熱源部の温度の低減、即ち、冷却に効果的であることが明らかである。
【0165】
図12は、本発明の実施の形態における、ゼーベック素子による発電を用いた冷却を説明する斜視図である。
【0166】
図12(A)はゼーベック素子による発電を用いた冷却の構成を説明する図、図12(B)は、図12(A)において接続用導体24a、24bを除く部分を樹脂によってモールド(包埋)した構成を示す図である。
【0167】
図12に示す構成は、図11(C)に示す構成において、Siチップ10を、p型Siチップ12及びn型Siチップ14に置き換えて、p型Siチップ12及びn型Siチップ14の合計複数個が交互に配列し電気的に直列接続されるように構成して、p型Siチップ12及びn型Siチップ14をゼーベック素子として動作するように接続して、生成される熱電流(熱起電力)を先に説明したようにトランジスタによって増幅することによって、送風ファン(図12に図示せず。)による送風によって、熱源部を冷却する冷却構造である。
【0168】
図12に示す冷却構造では、6個のSiチップ(p型Siチップ12が3個、n型Siチップ14が3個)をもつ列を4列有し、合計24個のSiチップ(p型Siチップ12が12個、n型Siチップ14が12個)が、電気的に直列接続されているが、図12では、簡略のため半数の2列のみを図示している。
【0169】
また、図12に示す冷却構造の構成は、図11(C)に示す構成と同様に、接続用導体24bを放熱用シートとして有している。
【0170】
ここで、p型Siチップ12及びn型Siチップ14によるゼーベック素子におけるゼーベック係数を、100(μV/K)とし、高温側と低温側の温度差を20℃とすると、上述の合計24個のSiチップ(p型Siチップ12が12個、n型Siチップ14が12個)の図12による構成では、ゼーベック効果によって、100×20×12=24(mV)の熱起電力が得られることになる。使用する送風ファンの最大定格電圧を12Vとする場合、トランジスタの増幅率を500倍とすれば、送風ファンを最大能力までの範囲で制御することができる。即ち、送風ファンを最大限で駆動させて、熱源部を冷却することができる。
【0171】
図12(B)に示す構成では、上述のトランジスタによる増幅を用いた送風ファンの駆動により、電子回路チップ22の表面の中心部の温度を93℃にすることができる。
【0172】
図13は、本発明の実施の形態における、ゼーベック素子とペルチェ素子の組合せによる半導体チップの冷却を説明する図である。
【0173】
図13(A)はゼーベック素子とペルチェ素子の接続を説明する断面図(チップA、B、C、Dの断面図は、図2又は図3におけるA−A部の断面図に相当している。)である。図13(B)はゼーベック素子とペルチェ素子の配置と接続を説明する平面図である。
【0174】
図13に示すチップAは、ペルチェ素子を実装したチップ72であり、複数のp型Siチップ12及びn型Siチップ14がペルチェ素子として動作するように配置され電気的に接続された冷却構造を有しており、チップB、C、Dはゼーベック素子を実装したチップ74であり、複数のp型Siチップ12及びn型Siチップ14がゼーベック素子として動作するように、配置され電気的に接続された構造を有している。
【0175】
図13に示す例は、外部電源を設けることなく、ゼーベック素子を実装したチップ74(電気的に直列接続されたチップB、C、D)において発生された熱電流によって、チップ72(チップA)に実装されたペルチェ素子が駆動され、チップAが冷却されることを示している。
【0176】
図13に示す構成において、p型Siチップ12又は/及びn型Siチップ14に受動素子又は/及び能動素子20の素子、これら素子を含む回路を実装する構成とすることができることは言うまでもない。
【0177】
なお、図5(E)、図7、図8、図10、図12、図13等において、ゼーベック素子による熱電流の増幅に使用されるトランジスタは、送風ファンの駆動に十分な電流を流せるような増幅と耐圧を有することは言うまでもない。また、このトランジスタは、電子回路チップ22に表面実装して配置してもよいし、Siチップ10、Siチップ12、n型Siチップ14に実装して配置、或いは、これらのチップとは別の場所に実装して配置してもよい。
【0178】
図14は、本発明の実施の形態における、冷却構造の製造工程と半導体チップへの実装に関する概要を説明する斜視図である。
【0179】
図14(A)に示すように、電気絶縁性及び熱伝導性に優れた樹脂(接合用樹脂)16aを介して、p型Siウェーハ12a及びn型Siウェーハ14aを交互に所望の数だけx方向に積層し接合させて一体化させた積層体を形成し、次に、この積層体をダイシングして、所望の寸法に個片化する。上記の樹脂16aは、後述するように一部が除去され充填材16を構成する。
【0180】
なお、樹脂16aに代えて、電気絶縁性及び熱伝導性に優れた樹脂基板を使用して、この樹脂基板を介して、p型Siウェーハ12a及びn型Siウェーハ14aを交互に所望の数だけ積層し接合させて一体化させた積層体を得ることもできる。
することもできる。
【0181】
図14(B)に示すように、図14(A)によって得られた、樹脂16aによって挟まれ、p型Siウェーハ12a及びn型Siウェーハ14aが交互にx方向に積層された個片体の構成のうち、樹脂16aの一部を樹脂エッチングによって除去することによって、一方の端面に、充填材16によって交互に挟まれたp型Siチップ12及びn型Siチップ14の端部を有し、他方の端面、空間を置いて配列されたp型Siチップ12及びn型Siチップ14の端部を有する構造体が製造される。
【0182】
図14(C)に示すように、図14(B)において得られた構造体の一方の端面で、p型Siチップ12及びn型Siチップ14の端部面を接続用導体24aによって接合して、p型Siチップ12とn型Siチップ14とを電気的に直列接続する。
【0183】
また、図14(A)によって得られた構造体の他方の端面に、p型Siチップ12及びn型Siチップ14の端部面を接続用導体24aによって接合し、p型Siチップ12とn型Siチップ14とを電気的に直列接続して、両端部のp型Siチップ12及びn型Siチップ14の端部面に、接続用導体24bを接合して電気的に接続する。
【0184】
なお、接続用導体24a、24bとして、図9において説明したフレキシブル配線体を使用することは言うまでもない。
【0185】
次に、上述のようにして得られた、接続用導体24aが接合された構造体の一方の端面を、電気的絶縁性及び熱伝導性に優れた樹脂を用いて、固定用樹脂チップ18に接合して、x方向に交互にp型Siチップ12とn型Siチップ14が配列され電気的に直列接続された冷却構造を得ることができる。なお、固定用樹脂チップ18には、必要に応じて、表面に電極端子(チップ端子)、内部に導体ポスト、内部信号配線、等が形成されている。
【0186】
図14(D)に示すように、図14(C)によって得られた冷却構造は、電子回路チップ22に実装される。即ち、冷却構造の固定用樹脂チップ18は、電子回路チップ22の再配線層23に接合され、固定用樹脂チップ18と再配線層23との間で、所望の電気的接続がなされる。
【0187】
冷却構造は、以下に説明する方法によっても製造することができる。
【0188】
図15は、本発明の実施の形態における、冷却構造の製造工程と半導体チップへの実装に関する概要を説明する斜視図、断面図(図2又は図3におけるA−A部の断面図に相当している。)である。
【0189】
先ず、所望の寸法を有するp型Siチップ12及びn型Siチップ14を、金型にセットして、金型に充填材16を注入する。金型に注入された充填材16を加熱硬化させ、冷却させた後に金型を取外すと、図15(A)に示すように、p型Siチップ12及びn型Siチップ14の一部が充填材16によってモールドされ、p型Siチップ12及びn型Siチップ14の一方の端面側で一体化された構造体(図14(B)に示す構造体に相当する。)が得られる。図15(A)に示す(A1)は、p型Siチップ12及びn型Siチップ14の側から見た構造体の斜視図であり、(A2)は、充填材16の側から見た構造体の斜視図である。
【0190】
なお、図15(A)に示す冷却構造の例では、6個のSiチップ(p型Siチップ12が3個、n型Siチップ14が3個)をもつ列をx方向に2列有し、合計12個のSiチップ(p型Siチップ12が6個、n型Siチップ14が6個)が、充填材16によって、一体化されている。
【0191】
次に、図15(B)に示すように、図15(A)に示す構造体におけるp型Siチップ12及びn型Siチップ14の一方の端面側、これと反対側の他方の端面側をそれぞれ、電気的に接続する。図15(B)に示す(B1)は、充填材16の側から見た構造体の斜視図、(B2)は(B1)に示す点線によって示された平面による切断面の断面図である。図15(B)に示す(B3)は、p型Siチップ12及びn型Siチップ14の側から見た構造体の斜視図、(B4)は、(B3)に示す点線によって示された平面による切断面の断面図である。
【0192】
図15(B)の(B1)及び(B2)に示すように、一方の端面側でp型Siチップ12及びn型Siチップ14の端部面を接続用導体24aによって接合して、p型Siチップ12とn型Siチップ14とを電気的に直列接続する。接続用導体24aとして、図9において説明したフレキシブル配線体を使用することができる。
【0193】
なお、p型Siチップ12及びn型Siチップ14の端部面に、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)等の下地金属層76をメッキ等によって形成して、マスク層を形成して、隣接する下地金属層76の間にCuメッキ層等を形成して接続して、接続用導体24aとすることができる。
【0194】
また、図15(B)の(B3)及び(B4)に示すように、接続用導体24a、24bとして、図9において説明したフレキシブル配線体を使用して、他方の端面側でp型Siチップ12及びn型Siチップ14の端部面を接続用導体24aによって接合して、p型Siチップ12とn型Siチップ14とを電気的に直列接続して、両端部のp型Siチップ12及びn型Siチップ14の端部面に、接続用導体24bを接合して電気的に接続する。なお、p型Siチップ12及びn型Siチップ14の端部面に、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)等の下地金属層76をメッキ等によって形成しておき、下地金属層76に接続用導体24a、24bを接合する。
【0195】
以上のようにして、p型Siチップ12及びn型Siチップ14の一方の端面側の端部面に接続用導体24bが接合され、他方の端面側の端部面に接続用導体24a、24bが接合された構造体を得ることができる。
【0196】
図15(C)は、図15(B)に示す構造体の半導体チップへの実装を説明する図であり、(C1)はp型Siチップ12及びn型Siチップ14の側から見た構造体の斜視図、(C2)は、(C1)に示す点線によって示された平面による切断面の断面図である。
【0197】
次に、上述の構造体の、接続用導体24aが接合された一方の端面を、固定用樹脂チップ18に接合して、x方向に交互にp型Siチップ12とn型Siチップ14が配列され電気的に直列接続された冷却構造を得ることができる。なお、固定用樹脂チップ18には、必要に応じて、表面に電極端子(バンプ31a)、内部に導体ポスト、内部信号配線、等が形成されている。また、固定用樹脂チップ18を樹脂エッチングして、固定用樹脂チップ18の内部に形成されている内部に導体ポスト、内部信号配線を露出させ、これらに接続用の電極端子を形成してもよい。
【0198】
上記の冷却構造は、電子回路チップ22が多数形成されたウェーハに貼り合わされて、各電子回路チップ22に実装される。即ち、冷却構造の固定用樹脂チップ18は、電子回路チップ22の再配線層23に接合され、固定用樹脂チップ18と再配線層23との間で、所望の電気的接続がなされる。なお、上記の冷却構造は、個片化されている電子回路チップ22に接合して実装してもよい。
【0199】
次に、多数の冷却構造が実装されたウェーハはダイシングによって個片化され、図15(C)に示すように、冷却構造が実装された電子回路チップ22を得ることができる。図15(C)に示す例では、冷却構造の一方の端面の接続用導体24aは、固定用樹脂チップ18の内部に埋め込まれるように、上述の構造体は固定用樹脂チップ18に接合されているが、充填材16と固定用樹脂チップ18とが強固に接合されていれば、接続用導体24aが固定用樹脂チップ18の表面に接合される構成としてもよい。なお、上記の冷却構造は、既に個片化されている電子回路チップ22にも、実装できることは言うまでもない。
【0200】
なお、上述の構造体を、その一方の端面の接続用導体24aを、接合樹脂を用いて直接電子回路チップ22の再配線層23に接合することもできる。
【0201】
また、図15(B)の(B1)及び(B2)に示した接続用導体24aの接合の後に、図15(B)の(B3)及び(B4)に示した接続用導体24a、24bの接合をせずに、接続用導体24aが接合された冷却構造を得て、この冷却構造が電子回路チップ22に実装された後に、図15(B)の(B1)及び(B2)に示す接続用導体24aの接合を行うこともできる。
【0202】
なお、図14、図15を用いて説明した構成において、電気的に直列に接続されたp型Siチップ12又は/及びn型Siチップ14は、ペルチェ素子又はゼーベック素子として動作させることができ、p型Siチップ12又は/及びn型Siチップ14に受動素子又は/及び能動素子20の素子、これら素子を含む回路を実装する構成とすることができることは言うまでもない。
【0203】
また、図14、図15を用いて説明した構成において、p型Siチップ12及びn型Siチップ14を、Siチップ10として、Siヒートシンクを構成できることは言うまでもない。このSiヒートシンクを構成する場合には、接続用導体2a、24bは不要である。更に、Siチップ10に、受動素子又は/及び能動素子20の素子、これら素子を含む回路を実装する構成とすることができることは言うまでもない。
【0204】
また、p型Siチップ12又は/及びn型Siチップ14、或いは、Siチップ10に実装された受動素子又は/及び能動素子20の素子、これら素子を含む回路と、固定用樹脂チップ18又は/及び電子回路チップ22との間を、冷却構造を電子回路チップ22に接合して実装する際に、物理的な結合と同時に電気的に接続されるような構成としてもよいし、物理的に結合した後に、フレキシブル配線シート等を用いて、電気的に接続する構成とすることもできる。
【0205】
以上説明したように、本発明によれば、携帯用電子機器を始めとして各種の電子機器に使用される電子回路チップ、電子部品モジュール、特に消費電力の大きな電子回路チップ、電子部品モジュールに好適に適用することができ、安価に製造可能な冷却構造を実現することができる。
【0206】
以上、本発明を実施の形態について説明したが、本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。例えば、冷却構造の構成、大きさ、冷却構造を実装する対象、部位等は、冷却目標に応じて任意に変更して適切に設定することができる。冷却構造は、電子回路チップに設ける他に、実装基板に実装された素子、回路モジュール等に設けることもできることは言うまでもない。
【0207】
また、冷却構造を構成する直立半導体基板の材質、大きさ、数は、熱源部を冷却する冷却目標に応じて、その目標性能を満たすように必要に応じて任意に適切に設定することができる。直立半導体基板は、直立Si基板に限定されないことは言うまでもない。p型Siチップ、n型Siチップに代えて、他の半導体材料によるp型チップ、n型チップを使用することができ、ペルチェ素子、ゼーベック素子を構成するために電気的に接続されるこれらp型チップ、n型チップの材質、大きさ、数は、目的に応じて適宜任意に設定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0208】
以上説明したように、本発明によれば、携帯用電子機器を始めとして各種の電子機器に使用される電子部品モジュールに好適に適用することができる冷却構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0209】
【図1】本発明の実施の形態における、冷却構造の構成例とその実装例を説明する斜視図である。
【図2】同上、Siヒートシンクによる冷却構造の構成例を示す図である。
【図3】同上、ペルチェ素子による冷却構造の構成例を示す図である。
【図4】同上、受動素子又は/能動素子を実装した冷却構造の構成例とその実装例を説明する図である。
【図5】同上、冷却能力を向上させた冷却構造の実装例を示す断面図である。
【図6】同上、冷却構造の実装例を示す断面図である。
【図7】同上、ゼーベック素子による熱電流の増幅によるファン駆動制御を行う冷却構造の実装例を示す図である。
【図8】同上、ゼーベック素子による熱電流の増幅によるファン駆動制御を行う冷却構造の実装例を示す断面図である。
【図9】同上、フレキシブル配線(放熱用シート)を用いた冷却構造の構成例を示す図である。
【図10】同上、ゼーベック素子による熱電流によるファン駆動を行う冷却構造の実装例を示す断面図である。
【図11】同上、冷却構造による冷却効果のシミュレーション結果を説明する斜視図である。
【図12】同上、ゼーベック素子による発電を用いた冷却を説明する斜視図である。
【図13】同上、ゼーベック素子とペルチェ素子の組合せによる半導体チップの冷却を説明する図である。
【図14】同上、冷却構造の製造工程と半導体チップへの実装を説明する斜視図である。
【図15】同上、図15は、冷却構造の製造工程と半導体チップへの実装を説明する斜視図である。
【図16】従来技術における半導体装置の実装構造を説明する図である。
【符号の説明】
【0210】
10…Siチップ、12…p型Siチップ、12a…p型Siウェーハ、
14…n型Siチップ、14a…n型Siウェーハ、16…充填材、16a…樹脂、
18…固定用樹脂チップ、22…電子回路チップ、20…受動素子又は/及び能動素子、
23…再配線層、24a、24b…接続用導体、31、31a…バンプ、
30a、30a’、30b、30c、30d…チップ端子、32…導体線路、
33…内部配線、34…電気絶縁層、35…電極、36…誘電体層、37…電気抵抗体、
39…金属端子、40a、40b…放熱用シート、42…電池、43…導電線、
44…ファン、45…ファン制御トランジスタ、45a…コレクタ、45b…ベース、
45c…エミッタ、46…ボンディングワイヤ、47…リードフレーム、
48…中空部に実装された素子、49a…実装容器、49b…蓋、51…ビア、
52…実装基板、54…ファン取付台、56…開口部、58a、58b…導線、
57…アンダバンプメタル、59…パッド、61…接続用樹脂、62…オーバコート層、
63…回路配線、64…ベースフィルム、65…ハニカムヒートシンク、
66…導体セット、68…Siチップを包埋する樹脂、76…下地金属、
72…ペルチェ素子を実装したチップ、74…ゼーベック素子を実装したチップ
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱源部に実装されて冷却されるように構成された冷却構造に関し、特に、半導体基板によって構成されるヒートシンクによる冷却構造、半導体基板を熱電素子として使用する冷却構造、及び、これらの冷却構造を有する電子機器を提供することにある。
【背景技術】
【0002】
電子機器が複雑化し高性能化すればするほど、電子機器を構成する電子回路からの発熱量が増大するため、電子回路からの放熱性、冷却機構が要求されてくる。
【0003】
従来、電子回路による発熱を冷却する方法として、複数の金属製フィンによって放熱性を高めたヒートシンクを用いる方法、電子回路の近傍に対流を発生させる冷却ファンを用いる方法、ペルチェ効果を利用した熱電素子を用いる方法、ヒートパイプを用いる方法等が知られている。
【0004】
周知のように、Bi−Te系、Fe−Si系、Co−Sb系等の熱電半導体のペルチェ効果又はゼーベック効果を利用した熱電素子は、冷却又は加熱装置や発電素子等として使用されている。熱電素子は、例えば、n型熱電半導体とp型熱電半導体とを交互に直列接続したπ型構造をもつ熱電半導体群に直流電流を流すと、n型熱電半導体からp型熱電半導体に向けて電流が流れる電極(吸熱電極)側では、吸熱を生じ、p型熱電半導体からn型熱電半導体に向けて電流が流れる電極(放熱電極)側では、放熱(発熱)を生じるので、放熱側にヒートシンクや放熱フィンを配置し、冷却すべき物体を熱電素子の吸熱側に配置することによって冷却することができる。また、放熱側と吸熱側の間に温度勾配があるとゼーベック効果によって熱起電力を発生する。
【0005】
以下、電子機器の冷却方法に関する従来技術について説明する。
【0006】
「熱電冷却モジュール及びその製造方法」と題する後記の特許文献1には、以下の記載がある。
【0007】
特許文献1の発明において講じた技術的手段は、吸熱電極と、P型熱電半導体素子と、放熱電極と、N型熱電半導体素子とを前記の順番に複数組電気的に直列接続し、通電することにより前記吸熱電極で吸熱し前記放熱電極で放熱するペルチェ効果を利用して電子部品を冷却する熱電冷却モジュールにおいて、前記熱電冷却モジュールは、放熱側絶縁基板と、前記放熱側絶縁基板に複数個設けられた貫通孔にそれぞれ挿入固定され且つ一端面に放熱用のフィン形状部を有する前記放熱電極と、で構成される放熱部と、吸熱側絶縁基板と、前記吸熱側絶縁基板に複数個設けられた貫通孔にそれぞれ挿入固定され且つ一端面が被冷却体に直接当接された前記吸熱電極と、で構成される吸熱部と、前記放熱部と前記吸熱部との間に交互に配列される前記P型半導体素子と前記N型半導体素子とからなり、通電することにより前記P型半導体素子及び前記N型半導体素子と前記放熱電極との界面において放熱し、前記P型半導体素子及び前記N型半導体素子と前記吸熱電極との界面において吸熱する熱電変換部と、を有することを特徴とする、熱電冷却モジュールとしたことである。
【0008】
「熱電素子とそれを用いた電子部品モジュール及び携帯用電子機器」と題する後記の特許文献2には、以下の記載がある。
【0009】
特許文献2の発明の熱電素子は、N型熱電半導体及びP型熱電半導体を有する熱電半導体群と、前記熱電半導体群の一方の端部に接合された吸熱電極と、前記N型熱電半導体及びP型熱電半導体の少なくとも一部が交互に直列接続されるように、前記熱電半導体群の他方の端部に接合された放熱電極と、前記吸熱電極及び放熱電極のそれぞれに対して一体的に設けられていると共に、冷却媒体と接するように配置され、前記冷却媒体に対して放熱する機能を有する熱伝達部材とを具備することを特徴としている。
【0010】
特許文献2の発明の熱電素子においては、放熱電極のみならず、吸熱電極にも放熱媒体として機能する熱伝達部材が設けられている。吸熱電極に設けられた熱伝達部材は、熱電半導体を介さずに、冷却媒体が存在する放熱空間に配置されている。この熱伝達部材は熱電素子の非稼動時に放熱媒体として機能するため、非稼動時における被冷却物の放熱性を高めることができる。従って、熱電素子の通電稼動時の冷却特性を低下させることなく、非稼動時の被冷却物の冷却特性を維持することが可能となる。
【0011】
「冷却装置及びそれを備えた電子機器」と題する後記の特許文献3には、以下の記載がある。
【0012】
特許文献3の発明にかかる冷却装置は、発熱源(例えば集積回路を有するコンピュータ等の電子機器に設けられたCPU等、冷却対象となる発熱体)から発生する熱を、放熱フィンを通じて放熱するヒートシンクと、空気の流れを発生させて上記ヒートシンクの放熱フィンを強制空冷する発風機構とを備えた冷却装置において、上記発熱源から発生する熱の一部を電力に変換すると共に、残りの熱を上記ヒートシンクに与える熱電変換機構(例えば、ペルチェ素子やダイオード素子等の熱電変換素子)と、上記熱電変換機構により得られた電力によって上記発風機構を駆動する駆動電圧を発生させる駆動電圧発生手段(例えば、パルス電圧発生機能を有する制御回路素子等の回路素子)とを備えると共に、上記発風機構は、弾性を有すると共に、上記放熱フィンに固定された固定端と、自由端とを有する揺動体(例えば、板ばね状の弾性体(発風板))を備え、上記駆動電圧発生手段を通じて、上記熱電変換機構により得られた電力を用いて上記揺動体における自由端を揺動させて空気の流れを発生させることを特徴としている。
【0013】
上記熱電変換機構は、上記発熱源とヒートシンクとに各々接触して設けられており、上記発熱源との接触面の温度と上記ヒートシンクとの接触面の温度との温度差により、上記発熱源から発生する熱の一部を電力に変換することを特徴としている。
【0014】
「熱電変換素子を用いた自己冷却システム」と題する後記の非特許文献1には、以下の記載がある。
【0015】
非特許文献1のゼーベック効果を用いた自己冷却システムは、熱電変換素子と放熱フィン、ファンから構成され、発熱部の冷却を外部からの電源供給なしにまた制御システムなしに行うことができます。自己冷却システムを発熱部に設置すると、熱電変換素子は、熱源部の熱を電気に変換することにより熱源部を冷却します。更に、熱源変換素子で得られた電気でファンを駆動し、ファンの風で熱源部を冷却します。つまり、熱源部は熱電変換素子の吸熱と熱電変換素子で得られた電気で発生した風による放熱促進で、二重の冷却効果を受けます。
【0016】
「半導体スイッチ装置」と題する後記の特許文献4には、以下の記載がある。
【0017】
特許文献4の発明は、絶縁基板上に取り付けられた半導体チップと、ペルチェ効果発生のための起電力の供給を受け、前記半導体チップに形成されたスイッチング素子を冷却するペルチェ素子と、を備えた半導体スイッチ装置において、前記ペルチェ素子に対し前記ペルチェ効果の発生のための起電力を供給するゼーベック素子を備えた、ことを特徴とする。
【0018】
特許文献4の発明によれば、ペルチェ素子に対しペルチェ効果の発生のための起電力を供給するゼーベック素子を備えた構成としたので、ペルチェ素子への電力供給用電源を外部に設けることが不要となり、装置の小型化を可能にしたままで回路構成の簡単化を図り、更に冷却能力の向上を図ることが可能になる。
【0019】
「半導体装置の実装方法」と題する後記の特許文献5には、以下の記載がある。
【0020】
特許文献5の発明は、高密度実装と高放熱冷却効率とを両立させることのできる半導体装置の実装構造を提供することを目的とする。この目的を達成するために、半導体装置の実装構造は、次のように構成する。
【0021】
(1)実装基板に複数個の半導体ベアチップをマウントする半導体装置の実装構造であって、複数個の半導体ベアチップが、実装基板上に、該実装基板に対して垂直に植立されており、隣接する半導体ベアチップ同士は、半導体ベアチップを冷却するための冷却流体が滑らかに通過できる間隔をもって配置されており、各半導体ベアチップと実装基板とが、電気的に接続されているように構成する。
【0022】
(2)実装基板に複数個の半導体ベアチップをマウントする半導体装置の実装構造であって、複数個の半導体ベアチップが、下部実装基板及び上部実装基板の間に、各実装基板に対して垂直に植立されており、隣接する半導体ベアチップ同士は、半導体ベアチップを冷却するための冷却流体が滑らかに通過できる間隔をもって配置されており、各半導体ベアチップと下部実装基板及び/又は上部実装基板とが、電気的に接続されているように構成する。
【0023】
(3)実装基板に複数個の半導体ベアチップをマウントする半導体装置の実装構造であって、複数個の半導体ベアチップが、下部実装基板及び上部実装基板の間に、各実装基板に対して垂直に植立されており、隣接する半導体ベアチップ同士は、半導体ベアチップを冷却するための冷却流体が滑らかに通過できる間隔をもって配置されており、各半導体ベアチップと下部実装基板及び/又は上部実装基板とが、電気的に接続されており、下部実装基板の外周部と上部実装基板の外周部との間に側壁を設け、該側壁の少なくとも2個所に、半導体ベアチップを冷却するための冷却流体を導入又は排出する導入排出口を設けるように構成する。
【0024】
図16は、特許文献5に記載の図1であり、特許文献5に記載の一実施例を示す図であり、図16(a)は要部模式図、図16(b)は全体斜視図である。
【0025】
図16中、111は下部実装基板、112は上部実装基板、113は半導体ベアチップ、114は冷却流体通路、115は側壁、116は冷却流体導入排出口、117はコネクタ接続部である。
【0026】
複数個の半導体ベアチップ113は、下部実装基板111及び上部実装基板112の間に、各実装基板に対して垂直に植立されている。隣接する半導体ベアチップ113同士は、半導体ベアチップ113を冷却するための冷却流体が滑らかに通過できる間隔をもって配置されており、その間隔部は、冷却流体通路114を形成している。
【0027】
各半導体ベアチップ113は、下部実装基板111と、又は下部実装基板111及び上部実装基板112と電気的に接続されている。下部実装基板111の外周部と上部実装基板112の外周部との間に側壁115が設けられており、この側壁115の2個所に、半導体ベアチップ113を冷却するための冷却流体を導入又は排出する冷却流体導入排出口116a、116bが設けられている。更に、側壁115には、外部回路と接続するためのコネクタ接続部117が設けられている。
【0028】
複数個の半導体ベアチップ113は、下部実装基板111及び上部実装基板112の間に、各実装基板に対して垂直に植立されているので、高密度実装が実現される。
【0029】
隣接する半導体ベアチップ113同士の間隔は、半導体ベアチップ113を冷却するための冷却流体が滑らかに通過できる間隔に保たれており、この間隔部を冷却流体通路114として冷却流体(例えば、フロリナート等)を流すことにより直接、半導体ベアチップ113を冷却するようにしている。従って、高放熱冷却効率が実現される。半導体ベアチップ113を冷却するための冷却流体の導入又は排出は、側壁115に設けた2個所の冷却流体導入排出口116a、116bによって行う。
【0030】
複数個の半導体ベアチップ113は、2枚の実装基板、すなわち下部実装基板111及び上部実装基板112の間に、各実装基板に対して垂直に植立されており、下部実装基板111の外周部と上部実装基板112の外周部との間に側壁115を設けているので、冷却流体によるキャビテーション振動の発生を抑制できる。また、実装構造全体の剛性の向上も実現される。
【0031】
実装構造全体の剛性のより一層の向上、及び、放熱冷却効率のより一層の向上は、下部実装基板111の外周部と上部実装基板112の外周部との間に側壁115を設け、この側壁115の2個所に、半導体ベアチップ113を冷却するための冷却流体を導入又は排出する導入排出口116a、116bを設けることによって実現される。
【0032】
【特許文献1】特開平9−97930号公報(段落0005、図1)
【特許文献2】国際公開WO2004/1865号パンフレット(第5頁第17行〜同頁第28行、図1)
【特許文献3】特開2005−26473号公報(段落0026、図1〜図3)
【特許文献4】特開2004−56054号公報(段落0005、段落0041、図1、図3)
【特許文献5】特開平5−183079号公報(段落0006〜0010、段落0015〜0022、図1)
【非特許文献1】東芝レビュー Vol.58、No.12(2003)、第71頁(図3、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0033】
電子機器の高性能化、小型化、高速化に伴い、高集積化された半導体が実装された複雑な電子回路が使用されるようになり、電子回路からの発熱量が増大するため、電子回路の熱暴走や熱劣化を防止するために、優れた放熱性、発熱源に対する小型で簡単な冷却機構が要求されてくる。
【0034】
従来、電子回路による発熱を冷却する方法として、金属製フィンをもったヒートシンク、冷却ファン、発風板、熱伝素子、ヒートパイプ等を用いる方法、また、冷却流体が流される環境に電子回路を配置する等の方法が用いられている。また、高密度実装を行うために複数個の半導体チップを実装基板に対して垂直に実装する方法が行われている。
【0035】
特許文献1に記載の熱電冷却モジュールでは、セラミック製の放熱側絶縁基板に設けられた貫通孔に一部が挿入され接着剤等で固定され、放熱フィン形状部を有する銅製の放熱電極が使用されている(特許文献2の段落0012、図1を参照のこと。)。
【0036】
また、特許文献2に記載の熱電素子では、放熱媒体として機能し、金属材料で構成することが望ましい熱伝達部材が使用されている(特許文献2の第8頁第1行〜第3行、第8頁第27を参照のこと。)。
【0037】
また、特許文献3に記載の冷却装置では、ヒートシンクは、基盤となる熱拡散板上に放熱フィン部と制御回路とが設けられた構成を有し、放熱フィン部は、熱拡散板上に立設けられた複数の放熱フィンと、この放熱フィンの表面に設けられた発風機構を備え、熱拡散板及び放熱フィンは、アルミニウム(Al)や銅(Cu)等の良熱伝導材料からなっている(特許文献3の段落0063〜0066、図1を参照のこと。)。
【0038】
また、特許文献5に記載の半導体装置の実装構造では、(1)実装基板上に複数個の半導体ベアチップを、半導体ベアチップを冷却するための冷却流体が通過できる間隔をもって、実装基板に対して垂直に植立させる構成、(2)下部及び上部実装基板の間に複数個の半導体ベアチップが、半導体ベアチップを冷却するための冷却流体が通過できる間隔をもって、各実装基板に対して垂直に植立させる構成、(3)上記(2)の構成に、下部及び上部実装基板の外周部の間に側壁を設け、この側壁の少なくとも2個所に、半導体ベアチップを冷却するための冷却流体を導入又は排出する導入排出口を設ける構成を有し、上記(1)の実装構造では、平面実装に比べ実装密度を高めることが可能となり、上記(2)の実装構造では、上記間隔に冷却流体を流すことにより直接、半導体ベアチップを冷却するようにするので、放熱器を解する冷却方式よりも放熱冷却効率を高めることが可能となり、実装構造の剛性も高まり、上記(3)の実装構造では、実装構造の剛性のより一層の向上、及び放熱冷却効率のより一層の向上が実現されるとの記載がある(特許文献5の段落0011〜0014、図1を参照のこと。)。
【0039】
しかし、特許文献1に記載の発明では、セラミック製の放熱側絶縁基板と、これに設けられた貫通孔に一部が挿入され、放熱フィン形状部を有する銅製の放熱電極とによって、放熱部が構成されているため、放熱部が複雑な構成を必要とし、放熱機構全体が大きくなるという問題がある。
【0040】
また、特許文献2に記載の発明では、熱電半導体群の一方の端部に接合された吸熱電極と、熱電半導体群の他方の端部に接合された放熱電極のそれぞれに対して一体的に設けられていると共に、冷却媒体と接するように配置され、冷却媒体に対して放熱する機能を有する熱伝達部材とを設けているため、放熱のために複雑な構成を必要とし、放熱機構全体が大きくなるという問題がある。
また、特許文献3に記載の発明では、放熱フィンの表面に発風機構を設け、発風機構のための制御回路を必要とするため、放熱のために複雑な構成を必要とするという問題がある。
【0041】
また、特許文献5に記載の発明の上記した(1)の実装構造では、平面実装に比べ実装密度を高めることが可能となるが、半導体ベアチップを実装基板に対して垂直に植立させる際に、半導体ベアチップを実装基板に機械的に強固に安定して固定することに関しては、十分な配慮がなされていないため、半導体ベアチップの安定な動作、半導体装置全体の信頼性に関して問題がある。また、上記(2)及び(3)の実装構造では、実装構造の剛性は向上するものと考えられるが、実装構造が複雑になるという問題がある。更に、特許文献5に記載の発明では、冷却流体を流す機構を必要とするという問題がある。
【0042】
なお、特許文献4に、2つのゼーベック素子が直列接続され、ペルチェ素子に対して起電力が印加されること(特許文献4の段落0023、図3を参照のこと。)、半導体チップの外面上に通常のゼーベック素子の他にチップ温度検出用ゼーベック素子が配設されること(特許文献4の段落0035、図11を参照のこと。)が記載され、また、非特許文献1に、熱源変換素子で得られた電気でファンを駆動してファンの風で熱源部を冷却することの記載があるが、特許文献4、非特許文献1の何れにも、熱電素子によって発生した熱電流に基づいて熱源部の冷却を制御すること、熱電流を増幅し増幅された電流を熱源部の冷却のために使用することについては、言及されていない。
【0043】
また、従来、放熱媒体としての放熱フィンもったヒートシンクとして、AlやCu等の良熱伝導金属材料が使用されていたが、半導体基板を使用する例については報告されていない。
【0044】
本発明は、上述したような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、直立させた半導体基板によって構成されるヒートシンクを使用すること、熱電素子として半導体基板を使用することによって、単純な構成によって熱源部の冷却を可能とすることができ機械的に安定した冷却構造を提供すること、及び、これらの冷却構造を有する電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0045】
即ち、本発明は、間隙をおいて略平行に対向して一方向に配置された複数の半導体基板と、前記複数の半導体基板を略垂直に固定した固定用基板と、前記複数の半導体基板と前記固定用基板とを一体化させるように、前記半導体基板の固定部の側において前記間隙に充填された、電気絶縁性及び熱伝導性を共に有する充填材とを有し、前記固定用基板が熱源部の面に実装されて、前記熱源部が冷却されるように構成された冷却構造に係るものである。
【0046】
また、本発明は、上記の冷却構造を有する電子機器に係るものである。
【発明の効果】
【0047】
本発明の冷却構造によれば、間隙をおいて略平行に対向して一方向に配置された複数の半導体基板と、前記複数の半導体基板を略垂直に固定した固定用基板と、前記複数の半導体基板と前記固定用基板とを一体化させるように、前記半導体基板の固定部の側において前記間隙に充填された、電気絶縁性及び熱伝導性を共に有する充填材とを有し、前記固定用基板が熱源部の面に実装されて、前記熱源部が冷却されるように構成されるので、前記充填材によって前記複数の半導体基板を機械的に安定して前記固定用基板に固定することができ、熱伝導性を有する前記充填材を通しての伝熱によって、前記熱源部からの放熱が促進され前記熱源部を効率よく冷却することができ、単純な構成によって機械的に安定した冷却構造を提供することができる。
【0048】
また、本発明の電子機器によれば、上記の冷却構造を有するので、機械的に安定し信頼性が高く安定して動作する電子機器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
本発明の冷却構造では、前記熱源部から発生した熱が前記複数の半導体基板に伝達され放熱される構成とするのがよい。前記充填材は良好な熱伝導性を有するので、前記熱源部で発生した熱は、前記充填材を通して前記半導体基板に伝熱されるので、前記熱源部から発生した熱は効率よく前記半導体基板から放熱され、前記熱源部は冷却される。また、前記充填材によって前記半導体基板は機械的に安定して前記固定用基板に固定されるので、単純な構成によって機械的に安定した冷却構造を提供することができる。
【0050】
また、前記半導体基板の面に形成された導体部と、前記固定用基板の面に形成された導体部とが金属によって接続された構成とするのがよい。このような構成によって、前記半導体基板を機械的に安定して前記固定用基板に固定することができると共に、前記半導体基板に受動素子又は/及び能動素子が配置されている場合には、前記受動素子又は/及び能動素子を、前記金属を介して前記固定用基板に形成された信号配線に電気的に接続することができ、更に、前記固定用基板が実装されたチップ等の電子回路基板の信号配線への電気的接続を可能とすることができる。
【0051】
また、前記半導体基板の前記固定用基板に近接して対向する端面と、前記固定用基板の面に形成された導体部とが金属によって接続された構成とするのがよい。このような構成によって、前記半導体基板を機械的に安定して前記固定用基板に固定することができると共に、前記複数の半導体基板を、前記一方向に交互に配置されたp型Si基板及びn型Si基板とする場合には、前記p型Si基板と前記n型Si基板とを電気的に直列に接合された構成とすることがでる。
【0052】
また、前記半導体基板の前記固定用基板に対向する一方又は/及び他方の端面に放熱用シートが接続された構成とするのがよい。また、前記放熱用シートが金属シートである構成とするのがよい。これらの構成によって、前記半導体基板からの放熱の効率を向上させることができ、前記熱源部の冷却を効率よくすることができる。
【0053】
また、前記放熱用シートは金属シートとベースフィルムとが接合されたフレキシブルシートである構成とするのがよい。このような構成によって、前記放熱用シートを蛇腹状にして小さな占有空間で使用することができ、放熱を効率よく行うことができる。また、前記複数の半導体基板を、前記一方向に交互に配置され電気的に直列に接合されたp型Si基板及びn型Si基板とし、これらp型Si基板及びn型Si基板をペルチェ素子又はゼーベック素子として動作させる場合、前記放熱用シートを接続用導体として使用することもでき、この接続用導体を放熱媒体とすることができ、前記熱源部の冷却を効率よくすることができる。
【0054】
また、前記複数の半導体基板が、前記一方向に交互に配置されたp型Si基板及びn型Si基板であり、前記p型Si基板と前記n型Si基板とが電気的に直列に接合された構成とするのがよい。このような構成によって、直列に接合されたp型Si基板及びn型Si基板をペルチェ素子又はゼーベック素子として動作させることができ、効率よく前記熱源部を冷却することができる。
【0055】
また、前記n型Si基板及び前記p型Si基板の前記熱源部に近接して対向する端面側での前記n型Si基板と前記p型Si基板との接合部において、前記n型Si基板から前記p型Si基板に電流が流れるように直流電源が接続される構成とするのがよい。このような構成によって、直列に接合されたp型Si基板及びn型Si基板をペルチェ素子として動作させることができ、効率よく前記熱源部を冷却することができる。
【0056】
また、前記n型Si基板及び前記p型Si基板の前記熱源部に近接して対向する第1の端面側とこれと反対側の第2の端面側との間の温度差によって生じる熱電流に基づいて、前記熱源部が冷却される構成とするのがよい。このような構成によって、直列に接合されたp型Si基板及びn型Si基板をゼーベック素子として動作させることができ、効率よく前記熱源部を冷却することができる。
【0057】
また、前記熱電流によって前記熱源部に実装されたペルチェ素子が駆動され、前記熱源部が冷却される構成とするのがよい。このような構成によって、外部の駆動電源を必要とすることなく、前記ペルチェ素子を駆動することができ、効率よく前記熱源部を冷却することができる。
【0058】
また、前記熱電流によって送風ファンが回転駆動され、前記n型Si基板及び前記p型Si基板の前記第2の端面側が冷却される構成とするのがよい。このような構成によって、前記送風ファンを駆動させるために外部の駆動電源を必要とすることなく、前記送風ファンを駆動することができ、効率よく前記熱源部を冷却することができる。
【0059】
また、前記熱電流を増幅するトランジスタを有し、このトランジスタによって増幅された電流によって、前記送風ファンの回転駆動が制御される構成とするのがよい。このような構成によって、前記熱電流の大きさ、即ち、前記第1の端面側と前記第2の端面側との間の温度差に応じて増幅された電流によって、前記送風ファンの回転駆動を制御することができるので、前記熱源部の発熱状況とこの発熱が放熱(冷却)されている状況に応じて、前記送風ファンを回転駆動ができるので、非常に効率よく前記熱源部を冷却することができる。
【0060】
また、前記半導体基板に受動素子又は/能動素子が配置された構成とするのがよい。このような構成によれば、浮遊容量や配線抵抗の発生要因となる前記受動素子又は/及び能動素子を前記半導体基板に形成して、前記受動素子又は/及び能動素子を前記固定用基板に形成された信号配線に電気的に接続し、更に、前記固定用基板が実装されたチップ等の電子回路基板の信号配線への電気的接続を行うことによって、電子回路基板の信号処理に対する浮遊容量や配線抵抗の影響を低減することができる。また、前記受動素子又は/及び能動素子を前記半導体基板に形成して、電子回路基板で行う信号処理の一部、例えば、フロントエンド処理を行う回路を、前記半導体基板に形成するとによって、電子回路基板で行う信号処理の特性変動を低減することができる。
【0061】
本発明の冷却構造では、略直立させた半導体基板(以下、直立半導体基板ともいう。)をヒートシンク又は熱電素子として使用して熱源部を冷却する。この冷却構造は、間隙をおいて略平行に対向して一方向に配置された複数の直立半導体基板と、これらを略垂直に固定した固定用基板と、直立半導体基板と固定用基板とを一体化させるように、直立半導体基板の固定部側において上記の間隙に充填された、電気絶縁性及び熱伝導性を有する充填材とを有し、固定用基板が熱源部の面に実装され、熱源部が冷却されるように構成される。熱源部からの熱は、熱伝導性の良好な充填材を通して直立半導体基板に伝達され放熱され、複数の直立半導体基板はヒートシンクとして動作する。
【0062】
上記の冷却構造は、複数の直立半導体基板を一方向に交互に配置され電気的に直列に接合されたp型Si基板及びn型Si基板とすることによって、直列に接合されたp型Si基板及びn型Si基板をペルチェ素子又はゼーベック素子として駆動させることもでき、これら素子に基づいて熱源部を効率よく冷却することもできる。
【0063】
本発明の冷却構造では、複数の直立半導体基板は充填材により機械的に固定用基板に安定に固定され、単純な構成を有し、複数の直立半導体基板をヒートシンク又は熱電素子として使用して熱源部を効率よく冷却することができる。
【0064】
本発明の冷却構造は電子部品モジュールに好適に適用することができ、本発明の冷却構造が適用された電子部品モジュールは、各タイプのPC(パーソナルコンピュータ)、携帯電話、ゲーム機器等の携帯用電子機器を始めとして各種の電子機器に使用することができる。高消費電力機器、高周波電子機器では、発熱による実装の信頼性の低下が懸念されることが多く、周辺部品が多数必要とされるが、本発明の冷却構造によれば、比較的低コストで冷却構造を作成することができ、部品を立体的に効率よく配置することができモジュールに多くの周辺部品を取り込むことができるので、電源モジュール、通信系モジュール等の高消費電力系、高周波系ICの実装構造に適用することができる。
【0065】
以下、図面を参照しながら本発明による実施の形態について詳細に説明する。
【0066】
実施の形態
本実施の形態による冷却構造は、略平行に間隔をおいて略直立させて配置され放熱冷却フィンして使用される複数のシリコン(Si)基板(チップ)(以下、直立Si基板ともいう。)は、固定用基板に略垂直に固定され、直立Si基板の固定用基板への固定部側において上記の間隙に充填材(この充填材の電気絶縁性及び熱伝導性は良好である。)が充填され、直立Si基板と固定用基板とが一体化され構成されたヒートシンク(以下では、単にSiヒートシンクという。)の構造である。
【0067】
直立Si基板の一部は充填材によってモールドされるが、充填材として、エポキシ樹脂等の電気絶縁性樹脂とアルミナ、シリカ等のフィラーとの混合物によって形成された熱伝導性に優れた電気絶縁性封止樹脂が使用される。
【0068】
直立Si基板の一部を充填材でモールドするのは、直立Si基板の側面が全て空気中に露出されている場合には、熱源部(発熱部)から発生する熱が、空気の熱伝導率が約0.02から0.03(W/mK)と小さいため、空気中に露出された熱源部から放熱されにくいので、空気の熱伝導率よりも大きな、例えば、熱伝導率が約1〜4(W/mK)、体積抵抗率が1013(Ωcm)以上を有する充填材によって直立Si基板の一部をモールドして、充填材に接する熱源部からの熱を充填材に放熱させて充填材を通して直立Si基板に伝熱させることによって、熱源部の放熱冷却の効率を向上させるためである。
【0069】
充填材によってモールドされる直立Si基板の部分を、直立Si基板の高さの約1/3〜約1/2の部分とするのが、直立Si基板を固定用基板に安定して固定する点、及び、熱源部からの放熱の促進の点から好ましい。
【0070】
各種の電子機器に使用され電子回路チップ、又は、電子回路チップによって構成される電子部品モジュールが冷却されるべき熱源部となるが、この電子回路チップに本発明の冷却構造が適用され、固定用回路基板と電子回路チップとが、電気絶縁性及び熱伝導性が良好な接着剤によって接合され、即ち、固定用基板の面が熱源部に熱的に接合されて、直立Si基板の下部端面が高温側、直立Si基板の上部端面が低温側となるように配置され、電子回路チップで発生した熱は、直立Si基板へ直接伝熱されると共に、充填材を通して直立Si基板へ伝熱され、直立Si基板から放熱され熱源部が冷却される。
【0071】
本実施の形態による冷却構造では、固定用基板として、電気絶縁性及び熱伝導性が良好である樹脂基板やセラミック基板等を使用することができる。直立Si基板の上記固定部側の側面、及び、固定用基板にそれぞれ形成された電極端子(チップ端子)間を、錫(Sn)等の金属バンプによって接合して、直立Si基板と固定用基板とがなす直角部分を金属バンプで埋めるようにして、直立Si基板と固定用基板を一体化させて、直立Si基板を固定用基板に強固に保持させることもできる。
【0072】
また、固定用基板に銅(Cu)等により形成された金属配線の面と、直立Si基板の上記固定部側の端面(下部端面)とを、金属ロウ(Au、Ag、Ni、Ti、Cu、Sn)等によって接合して、直立Si基板と固定用基板を一体化させて、直立Si基板を固定用基板に強固に保持させることもできる。
【0073】
本実施の形態による冷却構造では、直立Si基板には、受動素子(抵抗、容量、インダクタ)、能動素子、SAW(Surface Acoustic Wave)素子やFABR(Film Balk Acoustic Resonator)素子、スイッチ素子、可変キャパシタ素子等のMEMS(Micro Electro Mechanical System)素子、トランジスタ素子、トランジスタ回路等を実装することができる。これらの素子、回路は、直立Si基板の内部、表面に形成すること、又は/及び、単体として製造された素子、回路を直立Si基板に半田等によって電気的に接続して搭載することによって、実装することができる。固定用基板の電極端子の下部には配線層と接続する導体ポストが形成されており、直立Si基板に実装された素子、回路は、上記の金属バンプを介して、固定用基板の内部に形成された配線層(導体配線)に電気的に接続され、更に、電子回路チップの再配線層に形成された信号配線(この信号配線は固定用基板の配線層に接続されている。)に電気的に接続される。
【0074】
本実施の形態による冷却構造は、以下に説明するように冷却能力を変更することができ、熱源部の発熱量に応じた好適な構成とすることができる。また、発電機能を有する構成とすることもできる。
【0075】
(1)直立Si基板の数(即ち、フィン数)を大きくたヒートシンクの構造として、放熱冷却能力を増大させることができる。
【0076】
(2)直立Si基板の上記固定部側の端面(下部端面)、又は/及び、反対側の上部端面に、放熱用シート(単に放熱シートともいう、又は、熱拡散シートともいう。)を電気絶縁性及び熱伝導性が良好な接着剤によって熱的に接合することによって、放熱冷却能力を増大させることができる。放熱用シートとして、熱伝導性に優れたCu、Al等の金属シート、この金属シートを構成要素としてもったフレキシブルシートを使用することができる。
【0077】
(3)複数の直立Si基板として、n型Si基板及びp型Si基板を使用して、隣接する直立Si基板の上部端面同士、下部端面同士をそれぞれ接続用導体によって電気的に接続して、複数の直立Si基板が電気的に直列に接続されるよう直列回路を構成して、この直列回路に外部電源を接続して、直立Si基板の下部端面を冷却側とするように直流電流を流す構成としたペルチェ素子に基づく冷却構造として、固定用基板の面を熱源部に熱的に接合して配置(即ち、直立Si基板の下部端面が高温側、直立Si基板の上部端面が低温側となる。)して、冷却能力を大きくすることができる。隣接する直立Si基板の下部端面同士を接続用導体で電気的に接続し、この接続用導体と固定用基板に形成された金属配線の面とを金属ロウ材によって接合する。直立Si基板及び固定用基板に形成され、両基板を接合、又は、接合し電気的に接続するための金属バンプは、隣接する直立Si基板の金属バンプが交互に配置されるように、また、これらの金属バンプの間に金属配線(固定用基板に形成されている。)が配置されるように、形成される。このように、直立Si基板と固定用基板とを接合することによって、直立Si基板を固定用基板に安定して保持することができる。
【0078】
(4)上記(3)において、直流回路に外部電源を接続しない構成としゼーベック素子に基づく冷却構造として、発生する熱電流に基づいて熱源部を冷却することができる。熱源部は、熱電流の発生による冷却に加えて、熱電流によって別に熱源部に配置されたペルチェ素子、送風ファン等の冷却機構の駆動によって、熱源部を冷却することができる。熱電流を増幅することによって、発生する熱電流に応じて、即ち、熱源部の発熱状況とこの発熱が放熱(冷却)されている状況に応じて、冷却機構の駆動を制御することができるので、非常に効率よく熱源部を冷却することができる。例えば、ペルチェ素子に流される電流、送風ファンの駆動のための電流が、熱電流の増幅によって生成される。
【0079】
(5)上記(1)〜(4)の冷却構造と、熱伝導性に優れたアルミニウム(Al)や銅(Cu)等の金属によって形成されたハニカム構造をもったヒートシンクとを熱的に接合した冷却構造として、放熱冷却能力を増大させることもできる。
【0080】
本実施の形態による冷却構造は、Si基板を使用した冷却構造であるので、半導体関連の製造技術、製造装置を利用することができ、製造工ストを大きくすることなく、冷却構造を実現することができる。Si基板を使用した冷却構造は、WLP(Wafer Level Process)技術を利用することによって、W−CSP(Wafer-level-Chip-Size-Package)の形で容易に実現することができる。
【0081】
また、直立Si基板に、受動素子、能動素子、MEMS素子、トランジスタ素子、トランジスタ回路等を実装して、電子回路チップで行う信号処理の一部、例えば、フロントエンド処理を行う回路を、直立Si基板に形成することによって、太い配線を使用した場合でも、これら素子、回路によって生じる浮遊容量や配線抵抗の電子回路チップの信号処理への影響を低減させることができ、電子回路チップで行う信号処理の特性変動を低減することができる。更に、直立Si基板に素子、回路を実装することによって、この素子、回路と電子回路チップの回路との電気的接続長を、直立Si基板と電子回路チップのなす90°の接合の角度によって低減することができる。
【0082】
また、直立Si基板の面積が1.5mm×1.5mm〜3mm×3mm、厚さが0.4mm〜0.8mmの場合でも、冷却効果を得ることができ、小さな冷却構造を実現することができ、この直立Si基板に大きな特性地をもった受動部品を実装することができる。
【0083】
図1は、本発明の実施の形態における、冷却構造の構成例とその実装例を説明する斜視図である。
【0084】
図1(A)はSiヒートシンクによる冷却構造を示す斜視図、図1(B)は受動素子又は/及び能動素子を実装したSiヒートシンクによる冷却構造を示す斜視図、図1(C)は図1(A)に示す冷却構造の実装例、図1(D)はペルチェ素子による冷却構造を示す斜視図、図1(E)は受動素子又は/及び能動素子を実装したペルチェ素子による冷却構造を示す斜視図、図1(F)は図1(E)に示す冷却構造の実装例を示す斜視図である。
【0085】
図1(A)に示すように、Siヒートシンクは、電気絶縁性及び熱伝導性に優れた固定用樹脂チップ18の上に複数のSiチップ10を直立させ間隙をおいて一方向(x方向)に配置して、Siチップ10の一部(Siチップ10の高さの1/3〜1/2の部分)を電気絶縁性及び熱伝導性に優れた充填材16でモールドして、Siチップ10が固定用樹脂チップ18上に安定して機械的に固定された冷却構造を有している。
【0086】
図1(B)に示すように、複数のSiチップ10の任意のチップに必要に応じて受動素子又は/及び能動素子20の素子、これら素子を含む回路を実装した冷却構造とすることができる。受動素子又は/及び能動素子20の素子、これら素子を含む回路は、Siチップ10のx軸の負又は/及び正方向の面に実装することができる。
【0087】
図1(C)に示すように、図1(A)に示すSiヒートシンクは、電気絶縁性及び熱伝導性に優れた接続(接合)用樹脂(図1(C)に図示せず。)によって熱的に電子回路チップ22に接合されている。所定の信号処理を行う電子回路チップ22から発生する熱は固定用樹脂チップ18を通して、直接、及び、充填材16を通してSiチップ10へ伝熱され、Siチップ10から放熱され電子回路チップ22が冷却される。
【0088】
図1(D)に示すように、Siチップ10として、p型Siチップ12及びn型Siチップ14を交互に配列して、p型Siチップ12及びn型Siチップ14の下端面(z軸の負方向の端面)及び上端面(z軸の正方向の端面)を接続用導体24a、24bによって接続し、複数のp型Siチップ12及びn型Siチップ14を電気的に直列接続して、ペルチェ素子による冷却構造を構成している。図1(E)に示すように、図1(B)と同様に、複数のp型Siチップ12及びn型Siチップ14の任意のチップに必要に応じて受動素子又は/及び能動素子20の素子、これら素子を含む回路を実装した冷却構造とすることができる。
【0089】
図1(F)に示すように、図1(C)と同様にして、図1(E)に示す冷却構造を電子回路チップ22に接合することができ、ペルチェ素子の動作によって電子回路チップ22を冷却することができる。
【0090】
なお、図1(A)から図1(F)に示す構成については、詳細に後述される。
【0091】
図2は、本発明の実施の形態における、Siヒートシンクによる冷却構造の構成例を示す図である。
【0092】
図2(A)は冷却構造の斜視図、図2(B)は冷却構造の平面図、図2(C)は樹脂基板(固定用樹脂チップ8)の平面図、図2(D)はA−A部の断面図、図2(E)はB−B部の断面図、図2(F)はSi基板(Siチップ10)の部分側面図及びC−C部の部分断面図、図2(G)はB−B部の断面図、図2(H)はSi基板(Siチップ10)の部分側面図及びC‘−C’部の部分断面図である。
【0093】
図2(B)、図2(C)に示すように、固定用樹脂チップ18の面にチップ端子30bが形成され、図2(F)に示すように、Siチップ10の下部端面側の側面にチップ端子30aが形成されている。図2(B)に示すように、Siチップ10の両側面側で、チップ端子30a及びチップ端子30bの面がx方向で対応するように、複数個所で、チップ端子30aが直立Si基板の側面に、チップ端子30bが固定用樹脂チップ18上に、形成されている。
【0094】
図2(A)に示すように、Siチップ10の下部端面側の側面に形成されたチップ端子30aと、固定用樹脂チップ18の面に形成されたチップ端子30bとが、バンプ31によって接合される。図2(A)、図2(B)、図2(E)に示すように、バンプ31が、Siチップ10と固定用樹脂チップ18とのなす直角部分の空間を埋めるようにして、複数箇所で両チップが接合され一体化される。バンプ31として、Sn等の金属バンプが使用される。
【0095】
図2(C)に示すように、固定用樹脂チップ18の面には、チップ端子30bの他に、チップ端子30cが形成されており、図2(D)に示すように、チップ端子30cにSiチップ10の下端面が金属ロウ材(Au、Ag、Ni、Ti、Cu、Sn)等によって接合されている。なお、図2(D)に示すA−A部の断面図では、1箇所のSiチップ10に近傍のみの断面を示している。
【0096】
図2(G)、図2(H)に示すように、上述のチップ端子30aに代えて、Siチップ10の下部端面側の側面にチップ端子30a’を形成してもよい。図2(H)に示すように、Siチップ10の側面が部分的にエッチング除去されて形成された傾斜面にチップ端子30a’が形成されており、図2(G)に示すように、バンプ31が、チップ端子30bとチップ端子30a’の両面がなす空間を埋めるようにして、Siチップ10と固定用樹脂チップ18とが接合され一体化される。
【0097】
図3は、本発明の実施の形態における、ペルチェ素子による冷却構造の構成例を示す図である。
【0098】
図3(A)は冷却構造の斜視図、図3(B)は冷却構造の平面図、図3(C)は樹脂基板(固定用樹脂チップ8)の平面図、図3(D)はA−A部の断面図である。
【0099】
図3(A)、図3(B)に示すように、図1、図2に示す複数のSiチップ10に代えて、p型Siチップ12、n型Siチップ14を使用することができ、p型Siチップ12、n型Siチップ14は、図1、図2と同様にして、x方向に配列され、充填材16、チップ端子30a又はチップ端子30a’、チップ端子30b、30c、バンプ31によって、固定用樹脂チップ18に接合され一体化される。
【0100】
図3(A)、図3(B)に示すように、隣接するn型Siチップ14及びp型Siチップ12の上部端面同士、下部端面同士をそれぞれ接続用導体24aで電気的に接続して、複数のn型Siチップ14及びp型Siチップ12が電気的に直列に接続されるよう直列回路を構成する。この直列回路の接続用導体24bに外部電源(図3に図示せず。)を接続して、n型Siチップ14及びp型Siチップ12の下部端面を冷却側とするように直流電流を流す構成としペルチェ素子に基づく冷却構造とすることができる。
【0101】
ペルチェ素子に基づく冷却構造の固定用樹脂チップ18の面を熱源部に熱的に接合して配置(即ち、n型Siチップ14及びp型Siチップ12の下部端面が高温側、上部端面が低温側となる。)して、冷却能力を大きくすることができる。n型Siチップ14及びp型Siチップ12の下部端面の接合部でn型Siチップ14からp型Siチップ12へと電流が流れる。
【0102】
図3(B)、図3(C)、図3(D)に示すように、接続用導体24aは、2つのチップ端子30cの間の部位にx方向に形成されている。
【0103】
図4は、本発明の実施の形態における、受動素子又は/能動素子を実装した冷却構造の構成例とその実装例を説明する図である。
【0104】
図4(A)は受動素子又は/及び能動素子を実装したSiヒートシンクによる冷却構造を示す斜視図、図4(B)は受動素子又は/及び能動素子を実装したペルチェ素子による冷却構造を示す斜視図、図4(C)は図4(A)、図4(B)における図3に示すB−B部に相当する部分断面図、図4(D)は冷却構造に実装される受動素子、能動素子の例を示す平面図及び断面図である。
【0105】
図4に示すように、図1において既に説明したように、Siチップ10、p型Siチップ12、n型Siチップ14の片側又は/両側の側面に受動素子又は/及び能動素子20の素子、これら素子を含む回路を実装することができる。
【0106】
図4(B)、図(C)、図(F)は、ペルチェ素子に基づく冷却構造を構成するp型Siチップ12又は/及びn型Siチップ14の側面に、受動素子又は/及び能動素子20の素子、これら素子を含む回路が実装された構成を示している。
【0107】
図4に示すように、受動素子又は/及び能動素子20の素子、これら素子を含む回路とチップ端子30a(又は30a’)とは導体線路32によって電気的に接続されている。図4(C)に示すように、固定用樹脂チップ18には、チップ端子30bに電気的に接続された導体ポストを含む内部配線33が形成されており、チップ端子30bは、固定用樹脂チップ18が熱的に接合された電子回路チップ22の再配線層の信号配線に電気的に接続されており、受動素子又は/及び能動素子20の素子、これら素子を含む回路は、電子回路チップ22の再配線層の信号配線に電気的に接続されている(図4(E)、図4(F)を参照。)。
【0108】
図4(D)に示すように、(a)導体線路32、電気絶縁層34によって形成されるインダクタ;(b)電極35、誘電体層36によって形成されるキャパシタ;(c)電気抵抗体37によって形成されるレジスタ;(d)npn型トランジスタ(npn型トランジスタでもよい。);等をSiチップ10、p型Siチップ12、n型Siチップ14の片側又は/及び両側の側面に実装することができる。また、これら以外に、SAW素子、FBAR素子等のMEMS素子を、Siチップ10、p型Siチップ12、n型Siチップ14の片側又は/及び両側の側面、又は、上端面に実装することができる。
【0109】
図5は、本発明の実施の形態における、冷却能力を向上させた冷却構造の実装例を示す断面図(図2又は図3におけるA−A部の断面図に相当する。)である。
【0110】
図5(A)は、受動素子又は/及び能動素子を実装したSiヒートシンクによる冷却構造を示す図であり、この冷却構造では、熱源部の温度を約20%低減させることができる(後述する図11を参照。)。
【0111】
図5(B)は、図5(A)に示す構成にヒートシンクを付加した冷却構造を示す図、図5(C)は、図5(B)の変形例を示す図である。図5(B)に示す構造では、放熱シート40aをSiチップ10の上端面に熱的に接合しており、図5(C)に示す構造では、放熱シート40bをSiチップ10の下端面側で固定用樹脂チップ18に熱的に接合している。図5(A)に示すSiヒートシンクにCu製の放熱シート40a、40bを付加した構造を有する、図5(B)、図5(C)に示す冷却構造では、熱源部の温度を約60%低減させることができる(後述する図11を参照。)。
【0112】
図5(D)は、受動素子又は/及び能動素子を実装したペルチェ素子による冷却構造を示す図である。この冷却構造は、n型Siチップ12及びp型Siチップ14の下部端面を冷却側とするように、導電線43、電池42により直流電流を流す構成としたペルチェ素子に基づいている。図5(D)に示す冷却構造(図3を参照。)では、熱源部の温度を約5%〜約20%低減させることができる。
【0113】
図5(E)は、受動素子又は/及び能動素子を実装したゼーベック素子による熱電流の増幅によるファン駆動制御を行う冷却構造を示す図である。
【0114】
図5(E)は、ゼーベック素子に基づく冷却構造を示しており、熱電変換素子としてのn型Siチップ14及びp型Siチップ12、送風ファン44を有し、ゼーベック素子に基づく冷却構造を熱源部(電子回路チップ22)に設けることによって、熱電変換素子によって、熱源部からの熱が熱電流に変換され熱源部が冷却され、更に、熱電流によって送風ファン44が回転駆動され、送風によって熱源部が冷却される。
【0115】
即ち、熱源部は、熱電変換素子による吸熱、及び、熱電流で発生した送風による放熱の促進で、二重の冷却効果を受け冷却される。この時、熱電流はトランジスタ45を用いて増幅され、この増幅された電流によって、送風ファン44の回転駆動が制御され、熱源部の発熱状況に応じて効率よく熱源部が冷却される。
【0116】
図5(E)に示すように、固定用樹脂チップ18に固定されたn型Siチップ14及びp型Siチップ12の下部端面(熱源部に近接して対向する面)側とこれと反対側の上部端面側との間の温度差によって生じる熱電流に基づいて、電気的に直列に接合されたp型Siチップ12及びn型Siチップ14をゼーベック素子として動作させ、熱電流をファン制御トランジスタ45によって増幅してファン44の駆動を制御している。熱電流は、n型Siチップ14及びp型Siチップ12の下部端面の接合部で、p型Siチップ12からn型Siチップ14へと流れる。
【0117】
図5(E)に示す例では、ファン制御トランジスタ45は、導電線43によって接続された電池42によって駆動されるnpn型トランジスタであり、発生された熱電流に応じて増幅された電流を発生させるので、ファン44は増幅された電流によって駆動される。図5(E)に示す冷却構造では、熱源部の温度を約5%〜約20%低減させることができる。
【0118】
なお、図5(E)に示す例では、npn型トランジスタを用いて、熱電流の増幅を行っておるが、図5(E)において、npn型トランジスタに代えてpnn型トランジスタによって熱電流を増幅できることは言うまでもない。
【0119】
また、図5(E)に示す例では、ファン制御トランジスタ45を固定用樹脂チップ18上に形成していない構成であるが、ファン制御トランジスタ45を固定用樹脂チップ18に表面実装した構成とすることもできることは言うまでもない。
【0120】
なお、図5に示す構成において、受動素子又は/及び能動素子20を実装しない構成とすることができることは言うまでもない。
【0121】
図6は、本発明の実施の形態における、冷却構造の実装例を概略寸法と共に示す断面図(図2又は図3におけるA−A部の断面図に相当する。)である。
【0122】
図6(A)は、受動素子又は/及び能動素子を実装したSiヒートシンクによる冷却構造の半導体チップへの実装を示す図である。この冷却構造を構成する固定用樹脂チップ18は熱的に電子回路チップ22に接合されている。
【0123】
図6(B)は、受動素子又は/及び能動素子を実装したSiヒートシンクによる冷却構造のリードフレームパッケージへの実装を示す図、即ち、図6(A)に示す構成をリードフレームパッケージへ実装した図である。電子回路チップ22はリードフレーム47に搭載され、電子回路チップ22の再配線層に形成された信号配線は、ボンディングワイヤ46によって、外部に電気的に接続されている。
【0124】
図6(C)は、受動素子又は/及び能動素子を実装したSiヒートシンクによる冷却構造のW−CSPへの実装を示す図である。電子回路チップ22は、下面にチップ端子30dが形成されたW−CSPであり、Siチップ10に実装された受動素子又は/及び能動素子20は、ビア51を介して電子回路チップ22に電気的に接続されており、金属バンプ等で構成されたチップ端子30dを使用して、電子回路チップ22は実装基板等に実装される。
【0125】
図6(D)は、受動素子又は/及び能動素子を実装しMEMS素子を備えたペルチェ素子による冷却構造の半導体チップへの実装構成のリードフレームパッケージへの実装を示す図である。
【0126】
図6(D)に示すように、ペルチェ素子を構成するp型Siチップ12及びn型Siチップ14の上端面側に接合されるMEMS素子は、実装容器49aの中空部に実装された素子48として構成され、バンプ電極等によって、実装容器の蓋49bに形成された取出し配線に電気的に接続され、実装容器49aの外部に対する信号の入出力がなされ、必要に応じて、Siチップ10に実装された受動素子又は/及び能動素子20、チップ端子30aに電気的に接続される。
【0127】
図6(D)に示す構成と同様にして、MEMS素子を、図6(A)〜図6(C)に示すSiチップ10の上端面側に接合することができることは言うまでもない。
【0128】
なお、図6に示す構成では、熱源部となる電子回路チップ22は固定用樹脂チップ18に熱的に接合され、p型Siチップ12及びn型Siチップ14、又は、Siチップ10に実装された受動素子又は/及び能動素子20は、導体線路32、チップ端子30a、バンプ31、チップ端子30b、導体ポストを含む内部配線33、ビア51によって、電子回路チップ22の再配線層の信号配線に電気的に接続されている。
【0129】
なお、図6に示す構成において、受動素子又は/及び能動素子20を実装しない構成とすることができることは言うまでもない。
【0130】
また、図1〜図6に示した構成の冷却構造を、QFN(Quad Flat No-lead)を始めとする各種タイプのリードフレームパッケージ、BGAパッケージ、フリップチップパッケージ等に適用することによって、これらのパッケージを冷却することができることは言うまでもない。
【0131】
図7は、本発明の実施の形態における、ゼーベック素子による熱電流の増幅によるファン駆動制御を行う冷却構造の実装例を示す図である。図7(A)は斜視図、図7(B)は平面図、図7(C)はD−D部の断面図である。
【0132】
図7に示す構成は、図5(E)と同様の構成を有しているので、相違点について以下に説明する。
【0133】
図7に示すように、ファン取付台54に設けられたファン44は、実装基板52に固定され、固定用樹脂チップ18に固定されたn型Siチップ14及びp型Siチップ12の一部が、実装基板52に形成された開口部56から、実装基板52の外部に露出するように、固定用樹脂チップ18がその面に形成されたバンプ31aによって実装基板52にその下方から電気的に接合され、電子回路チップ22の再配線層に形成された信号配線と実装基板52に形成された信号配線とが電気的に接続されている。ファン制御トランジスタ45によって増幅された熱電流は、導線58a、58bによってファン44に流されている。
【0134】
なお、図7に示す例では、図5(E)に示す導電線43として、放熱面積が大きい接続用導体24bを使用している。また、ファン制御トランジスタ45として、npn又はpnp型トランジスタを使用することができることは言うまでもない。また、後述するフレキシブル配線(図9を参照。)を使用することができることは言うまでもない。
【0135】
また、図7では図示していないが、n型Siチップ14又は/及びp型Siチップ12に素子又は/及び回路を実装することができ、これらの素子、回路を、固定用樹脂チップ18に形成された信号配線を介して実装基板52に形成され信号配線に電気的に接続可能であることは言うまでもない。
【0136】
図8は、本発明の実施の形態における、ゼーベック素子による熱電流の増幅によるファン駆動制御を行う冷却構造の実装例を示す断面図(図2又は図3におけるA−A部の断面図に相当する。)である。
【0137】
図7に示す構成では、固定用樹脂チップ18と分離して配置されたファン制御トランジスタ45を使用しているが、図8に示す構成では、ファン制御トランジスタ45を固定用樹脂チップ18に形成して表面実装している。ファン制御トランジスタとして、コレクタ45a、ベース45b、エミッタ45cによって形成されたpnp型トランジスタを金属端子39と共に固定用樹脂チップ18に形成して、コレクタ45aと電池42との間、ベース45bとp型Siチップ12との間、エミッタ45cとn型Siチップ14との間を電気的に接続している。
【0138】
図8に示すように、黒色の矢印の方向に電流が流れファン44が駆動され、ファン44による送風、及び、高温側(電子回路チップ22近い側)から低温側(電子回路チップ22から遠い側)への熱の流れ(白抜きの矢印によって示されている。)によって、電子回路チップ22が冷却される。
【0139】
なお、図8では、アンダバンプメタル57が形成された電気絶縁層34aを図7に示す固定用樹脂チップ18としており、電子回路チップ22に形成された再配線層の一部として、パッド59、オーバコート層62、回路配線63を示し、電子回路チップ22と電気絶縁層34(固定用樹脂チップ18)とが、電気絶縁性及び熱伝導性に優れた接続(接合)用樹脂61によって熱的に接合されていることを示している。
【0140】
図9は、本発明の実施の形態における、フレキシブル配線(放熱用シート)を用いた冷却構造の構成例を示す図である。
【0141】
図9では、p型Siチップ12及びn型Siチップ14の上端面の近傍におけるフレキシブル配線の部分を示している。また、図9に示す例では、4個のp型Siチップ12及び4個のn型Siチップ14の合計8個からなるSiチップの電気的直列配列体の3個が、並列に電気的に接続された構成を示している。
【0142】
図9(A)はフレキシブル配線の平面図、図9(B)はフレキシブル配線のD−D部の断面図、図9(C)は図9(A)、図9(B)に示す構成にハニカムヒートシンクを実装した場合の平面図、図9(D)は図9(A)、図9(B)に示す構成にハニカムヒートシンクを実装した場合のE−E部の断面図である。
【0143】
複数のp型Siチップ12及びn型Siチップ14を電気的に接続するための接続用導体24a、24bとして、例えば、Cu、Al等の電気伝導性に優れた金属シートを使用して、図9(A)、図9(B)に示すように、p型Siチップ12及びn型Siチップ14に接合される部分が少なくともベースフィルム64(電気絶縁性である。)に接合され保持された構成として、複数のp型Siチップ12及びn型Siチップ14と接続用導体24a、24bとの接続作業を容易なものとすることができる。
【0144】
ベースフィルム64が可撓性を有していれば、接続用導体24a、24bはフレキシブル配線体となるので、限定された空間での配線を容易なものとすることができる。また、接続用導体24bの長さを長くすればするほど、接続用導体24bの面からの放熱を大きくすることができ、熱源部の冷却効率を向上させることができる。
【0145】
なお、フレキシブル配線体は、例えば、厚さ30μmのベースフィルム64に、接続用導体24a、24bとして、厚さ10μmのCu箔を接着(接着層の厚さ10μm)して形成することができ、全体の厚さは50μmである。
【0146】
更に、図9(C)、図9(D)に示すように、複数のp型Siチップ12及びn型Siチップ14の上端面部に、蜂の巣状に多数の細孔を有するハニカムヒートシンク65を実装して、ファン44による送風によって、熱源部の冷却効率を向上させることもできる。
【0147】
図9に示す構成では、複数のp型Siチップ12及びn型Siチップ14によって、ペルチェ素子を構成する冷却構造としているが、複数のp型Siチップ12及びn型Siチップ14によって、ゼーベック素子を構成して熱電流に基づいてファン44を駆動させる冷却構造としてもよい。また、複数のp型Siチップ12及びn型Siチップ14をSiチップ10に代えてSiヒートシンクとする冷却構造とすることもできる。
【0148】
図10は、本発明の実施の形態において、ゼーベック素子による熱電流によるファン駆動を行う冷却構造の実装例と熱輸送経路を示す断面図(図2又は図3におけるA−A部の断面図に相当する。)である。
【0149】
図10に示すように、外部電源を使用することなく、ゼーベック素子による熱電流によって、ファン44を駆動させて送風によって電子回路チップ22を冷却することもできる。この場合、接続用導体24bの一部を、図10中に示す点線部のように、蛇腹状にした導体セット66によって構成して、長い接続用導体24bを使用することによって、導体セット66を放熱シートとして動作させることができ、限定された空間においても放熱性を高めることができる。
【0150】
図10に示すように、黒色の矢印の方向に熱電流が流れファン44が駆動され、ファン44による送風、及び、高温側(熱源部である電子回路チップ22の側)から低温側(電子回路チップ22から遠い側)への熱の流れ(白抜きの矢印によって示されている。)によって、電子回路チップ22が冷却される。
【0151】
図10に示す構成において、図9に関して説明したように、接続用導体24bが可撓性を有するベースフィルム64に接合され保持されている構成とすれば、蛇腹状にした導体セット66を容易に形成することでき、これを放熱シートとして動作させることができ、小さな占有空間であっても、接続用導体24bによる配線を可能とすると共に、放熱シートによって放熱効率を向上させることができる。従って、熱源部の冷却能率を向上させることができる。
【0152】
図10に示す構成において、図5(E)、図7、図8に示したように、ゼーベック素子による熱電流を増幅するトランジスタを使用して、増幅された電流によってファン44を駆動させることができることは言うまでもない。
【0153】
なお、図7〜図10に示す構成において、p型Siチップ12又は/及びn型Siチップ14に受動素子又は/及び能動素子20等の素子、これら素子を含む回路を実装する構成とすることができることは言うまでもない。
【0154】
図11は、本発明の実施の形態における、冷却構造による冷却効果のシミュレーション結果を説明する斜視図である。
【0155】
図11(A)は冷却構造の半導体チップへの実装を示す図、図11(B)は半導体チップの表面の中心部の温度を示す図、図11(C)は冷却構造に放熱用シートを実装した場合の半導体チップの表面の中心部の温度を示す図である。
【0156】
図11(A)に示すように、熱源部は、再配線層23が形成された電子回路チップ22であり、この熱源部に、図1(A)に示す構成を有するSiヒートシンクが冷却構造として、実装される。このSiヒートシンクは、1列に6個のSiチップ10を2列有しており、合計12個のSiチップ10から構成されている。
【0157】
冷却効果のシミュレーションの条件を、以下に説明する。
【0158】
熱応力解析シミュレーションソフト(アンソフト・ジャパン株式会社(Ansoft Japan K.K)、イーフジックス バージョン2(ePhysics Version2))を使用した。
【0159】
再配線層23が形成された電子回路チップ22及び冷却構造を構成するSiチップ10を構成するシリコン(Si)の熱伝導率を140(W/mK)、充填材16の熱伝導率を1(W/mK)、固定用樹脂チップ18の熱伝導率を0.9(W/mK)、電子回路チップ22と固定用樹脂チップ18とを接合する接着剤の熱伝導率を0.4(W/mK)、放熱用シートとして使用する接続用導体24a、24bの熱伝導率を400(W/mK)とした。
【0160】
電子回路チップ22の面積を2.8mm×2.8mm、厚さを0.8mmとし、電子回路チップ22の消費電力を0.1Wとした。Siチップ10の幅を1mm、高さを2mm、厚さを0.5mmとした。12個のSiチップ10によって、Siヒートシンクが構成され、各Siチップ10の下部側の0.5mmが、充填材16によってモールドされているものとした。接続用導体24bによる放熱用シートの幅を2mm、厚さを0.1mm、長さを20mmとした。シミュレーションの対象モデルが、その全周辺温度が無風状態の空気(25℃)中に浮いて置かれた状態とした。
【0161】
以上の条件下でシミュレーションを行って、電子回路チップ22の表面の中心部の温度を求めた。
【0162】
図11(B)に示すように、熱源部に冷却構造を実装しない場合には、電子回路チップ22の表面の中心部の温度は、223℃であるが、熱源部にSiヒートシンクに基づく冷却構造を実装した場合には、電子回路チップ22の表面の中心部の温度は、177℃となり、冷却構造の実装によって、電子回路チップ22の表面の中心部の温度は46℃低下し、即ち、熱源部の温度を約21%低減させている。
【0163】
図11(C)に示すように、熱源部に冷却構造を実装しない場合には、電子回路チップ22の表面の中心部の温度は、223℃であるが、図11(B)に示す冷熱構造に、更に、接続用導体24bを放熱用シートとして有する冷却構造を実装した場合には、電子回路チップ22の表面の中心部の温度は、86℃となり、冷却構造の実装によって、電子回路チップ22の表面の中心部の温度は137℃低下し、即ち、熱源部の温度を約61%低減させている。
【0164】
図11(B)と図11(C)との比較から、Siヒートシンクに放熱用シートを付加した構成を有する冷却構造が、熱源部の温度の低減、即ち、冷却に効果的であることが明らかである。
【0165】
図12は、本発明の実施の形態における、ゼーベック素子による発電を用いた冷却を説明する斜視図である。
【0166】
図12(A)はゼーベック素子による発電を用いた冷却の構成を説明する図、図12(B)は、図12(A)において接続用導体24a、24bを除く部分を樹脂によってモールド(包埋)した構成を示す図である。
【0167】
図12に示す構成は、図11(C)に示す構成において、Siチップ10を、p型Siチップ12及びn型Siチップ14に置き換えて、p型Siチップ12及びn型Siチップ14の合計複数個が交互に配列し電気的に直列接続されるように構成して、p型Siチップ12及びn型Siチップ14をゼーベック素子として動作するように接続して、生成される熱電流(熱起電力)を先に説明したようにトランジスタによって増幅することによって、送風ファン(図12に図示せず。)による送風によって、熱源部を冷却する冷却構造である。
【0168】
図12に示す冷却構造では、6個のSiチップ(p型Siチップ12が3個、n型Siチップ14が3個)をもつ列を4列有し、合計24個のSiチップ(p型Siチップ12が12個、n型Siチップ14が12個)が、電気的に直列接続されているが、図12では、簡略のため半数の2列のみを図示している。
【0169】
また、図12に示す冷却構造の構成は、図11(C)に示す構成と同様に、接続用導体24bを放熱用シートとして有している。
【0170】
ここで、p型Siチップ12及びn型Siチップ14によるゼーベック素子におけるゼーベック係数を、100(μV/K)とし、高温側と低温側の温度差を20℃とすると、上述の合計24個のSiチップ(p型Siチップ12が12個、n型Siチップ14が12個)の図12による構成では、ゼーベック効果によって、100×20×12=24(mV)の熱起電力が得られることになる。使用する送風ファンの最大定格電圧を12Vとする場合、トランジスタの増幅率を500倍とすれば、送風ファンを最大能力までの範囲で制御することができる。即ち、送風ファンを最大限で駆動させて、熱源部を冷却することができる。
【0171】
図12(B)に示す構成では、上述のトランジスタによる増幅を用いた送風ファンの駆動により、電子回路チップ22の表面の中心部の温度を93℃にすることができる。
【0172】
図13は、本発明の実施の形態における、ゼーベック素子とペルチェ素子の組合せによる半導体チップの冷却を説明する図である。
【0173】
図13(A)はゼーベック素子とペルチェ素子の接続を説明する断面図(チップA、B、C、Dの断面図は、図2又は図3におけるA−A部の断面図に相当している。)である。図13(B)はゼーベック素子とペルチェ素子の配置と接続を説明する平面図である。
【0174】
図13に示すチップAは、ペルチェ素子を実装したチップ72であり、複数のp型Siチップ12及びn型Siチップ14がペルチェ素子として動作するように配置され電気的に接続された冷却構造を有しており、チップB、C、Dはゼーベック素子を実装したチップ74であり、複数のp型Siチップ12及びn型Siチップ14がゼーベック素子として動作するように、配置され電気的に接続された構造を有している。
【0175】
図13に示す例は、外部電源を設けることなく、ゼーベック素子を実装したチップ74(電気的に直列接続されたチップB、C、D)において発生された熱電流によって、チップ72(チップA)に実装されたペルチェ素子が駆動され、チップAが冷却されることを示している。
【0176】
図13に示す構成において、p型Siチップ12又は/及びn型Siチップ14に受動素子又は/及び能動素子20の素子、これら素子を含む回路を実装する構成とすることができることは言うまでもない。
【0177】
なお、図5(E)、図7、図8、図10、図12、図13等において、ゼーベック素子による熱電流の増幅に使用されるトランジスタは、送風ファンの駆動に十分な電流を流せるような増幅と耐圧を有することは言うまでもない。また、このトランジスタは、電子回路チップ22に表面実装して配置してもよいし、Siチップ10、Siチップ12、n型Siチップ14に実装して配置、或いは、これらのチップとは別の場所に実装して配置してもよい。
【0178】
図14は、本発明の実施の形態における、冷却構造の製造工程と半導体チップへの実装に関する概要を説明する斜視図である。
【0179】
図14(A)に示すように、電気絶縁性及び熱伝導性に優れた樹脂(接合用樹脂)16aを介して、p型Siウェーハ12a及びn型Siウェーハ14aを交互に所望の数だけx方向に積層し接合させて一体化させた積層体を形成し、次に、この積層体をダイシングして、所望の寸法に個片化する。上記の樹脂16aは、後述するように一部が除去され充填材16を構成する。
【0180】
なお、樹脂16aに代えて、電気絶縁性及び熱伝導性に優れた樹脂基板を使用して、この樹脂基板を介して、p型Siウェーハ12a及びn型Siウェーハ14aを交互に所望の数だけ積層し接合させて一体化させた積層体を得ることもできる。
することもできる。
【0181】
図14(B)に示すように、図14(A)によって得られた、樹脂16aによって挟まれ、p型Siウェーハ12a及びn型Siウェーハ14aが交互にx方向に積層された個片体の構成のうち、樹脂16aの一部を樹脂エッチングによって除去することによって、一方の端面に、充填材16によって交互に挟まれたp型Siチップ12及びn型Siチップ14の端部を有し、他方の端面、空間を置いて配列されたp型Siチップ12及びn型Siチップ14の端部を有する構造体が製造される。
【0182】
図14(C)に示すように、図14(B)において得られた構造体の一方の端面で、p型Siチップ12及びn型Siチップ14の端部面を接続用導体24aによって接合して、p型Siチップ12とn型Siチップ14とを電気的に直列接続する。
【0183】
また、図14(A)によって得られた構造体の他方の端面に、p型Siチップ12及びn型Siチップ14の端部面を接続用導体24aによって接合し、p型Siチップ12とn型Siチップ14とを電気的に直列接続して、両端部のp型Siチップ12及びn型Siチップ14の端部面に、接続用導体24bを接合して電気的に接続する。
【0184】
なお、接続用導体24a、24bとして、図9において説明したフレキシブル配線体を使用することは言うまでもない。
【0185】
次に、上述のようにして得られた、接続用導体24aが接合された構造体の一方の端面を、電気的絶縁性及び熱伝導性に優れた樹脂を用いて、固定用樹脂チップ18に接合して、x方向に交互にp型Siチップ12とn型Siチップ14が配列され電気的に直列接続された冷却構造を得ることができる。なお、固定用樹脂チップ18には、必要に応じて、表面に電極端子(チップ端子)、内部に導体ポスト、内部信号配線、等が形成されている。
【0186】
図14(D)に示すように、図14(C)によって得られた冷却構造は、電子回路チップ22に実装される。即ち、冷却構造の固定用樹脂チップ18は、電子回路チップ22の再配線層23に接合され、固定用樹脂チップ18と再配線層23との間で、所望の電気的接続がなされる。
【0187】
冷却構造は、以下に説明する方法によっても製造することができる。
【0188】
図15は、本発明の実施の形態における、冷却構造の製造工程と半導体チップへの実装に関する概要を説明する斜視図、断面図(図2又は図3におけるA−A部の断面図に相当している。)である。
【0189】
先ず、所望の寸法を有するp型Siチップ12及びn型Siチップ14を、金型にセットして、金型に充填材16を注入する。金型に注入された充填材16を加熱硬化させ、冷却させた後に金型を取外すと、図15(A)に示すように、p型Siチップ12及びn型Siチップ14の一部が充填材16によってモールドされ、p型Siチップ12及びn型Siチップ14の一方の端面側で一体化された構造体(図14(B)に示す構造体に相当する。)が得られる。図15(A)に示す(A1)は、p型Siチップ12及びn型Siチップ14の側から見た構造体の斜視図であり、(A2)は、充填材16の側から見た構造体の斜視図である。
【0190】
なお、図15(A)に示す冷却構造の例では、6個のSiチップ(p型Siチップ12が3個、n型Siチップ14が3個)をもつ列をx方向に2列有し、合計12個のSiチップ(p型Siチップ12が6個、n型Siチップ14が6個)が、充填材16によって、一体化されている。
【0191】
次に、図15(B)に示すように、図15(A)に示す構造体におけるp型Siチップ12及びn型Siチップ14の一方の端面側、これと反対側の他方の端面側をそれぞれ、電気的に接続する。図15(B)に示す(B1)は、充填材16の側から見た構造体の斜視図、(B2)は(B1)に示す点線によって示された平面による切断面の断面図である。図15(B)に示す(B3)は、p型Siチップ12及びn型Siチップ14の側から見た構造体の斜視図、(B4)は、(B3)に示す点線によって示された平面による切断面の断面図である。
【0192】
図15(B)の(B1)及び(B2)に示すように、一方の端面側でp型Siチップ12及びn型Siチップ14の端部面を接続用導体24aによって接合して、p型Siチップ12とn型Siチップ14とを電気的に直列接続する。接続用導体24aとして、図9において説明したフレキシブル配線体を使用することができる。
【0193】
なお、p型Siチップ12及びn型Siチップ14の端部面に、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)等の下地金属層76をメッキ等によって形成して、マスク層を形成して、隣接する下地金属層76の間にCuメッキ層等を形成して接続して、接続用導体24aとすることができる。
【0194】
また、図15(B)の(B3)及び(B4)に示すように、接続用導体24a、24bとして、図9において説明したフレキシブル配線体を使用して、他方の端面側でp型Siチップ12及びn型Siチップ14の端部面を接続用導体24aによって接合して、p型Siチップ12とn型Siチップ14とを電気的に直列接続して、両端部のp型Siチップ12及びn型Siチップ14の端部面に、接続用導体24bを接合して電気的に接続する。なお、p型Siチップ12及びn型Siチップ14の端部面に、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)等の下地金属層76をメッキ等によって形成しておき、下地金属層76に接続用導体24a、24bを接合する。
【0195】
以上のようにして、p型Siチップ12及びn型Siチップ14の一方の端面側の端部面に接続用導体24bが接合され、他方の端面側の端部面に接続用導体24a、24bが接合された構造体を得ることができる。
【0196】
図15(C)は、図15(B)に示す構造体の半導体チップへの実装を説明する図であり、(C1)はp型Siチップ12及びn型Siチップ14の側から見た構造体の斜視図、(C2)は、(C1)に示す点線によって示された平面による切断面の断面図である。
【0197】
次に、上述の構造体の、接続用導体24aが接合された一方の端面を、固定用樹脂チップ18に接合して、x方向に交互にp型Siチップ12とn型Siチップ14が配列され電気的に直列接続された冷却構造を得ることができる。なお、固定用樹脂チップ18には、必要に応じて、表面に電極端子(バンプ31a)、内部に導体ポスト、内部信号配線、等が形成されている。また、固定用樹脂チップ18を樹脂エッチングして、固定用樹脂チップ18の内部に形成されている内部に導体ポスト、内部信号配線を露出させ、これらに接続用の電極端子を形成してもよい。
【0198】
上記の冷却構造は、電子回路チップ22が多数形成されたウェーハに貼り合わされて、各電子回路チップ22に実装される。即ち、冷却構造の固定用樹脂チップ18は、電子回路チップ22の再配線層23に接合され、固定用樹脂チップ18と再配線層23との間で、所望の電気的接続がなされる。なお、上記の冷却構造は、個片化されている電子回路チップ22に接合して実装してもよい。
【0199】
次に、多数の冷却構造が実装されたウェーハはダイシングによって個片化され、図15(C)に示すように、冷却構造が実装された電子回路チップ22を得ることができる。図15(C)に示す例では、冷却構造の一方の端面の接続用導体24aは、固定用樹脂チップ18の内部に埋め込まれるように、上述の構造体は固定用樹脂チップ18に接合されているが、充填材16と固定用樹脂チップ18とが強固に接合されていれば、接続用導体24aが固定用樹脂チップ18の表面に接合される構成としてもよい。なお、上記の冷却構造は、既に個片化されている電子回路チップ22にも、実装できることは言うまでもない。
【0200】
なお、上述の構造体を、その一方の端面の接続用導体24aを、接合樹脂を用いて直接電子回路チップ22の再配線層23に接合することもできる。
【0201】
また、図15(B)の(B1)及び(B2)に示した接続用導体24aの接合の後に、図15(B)の(B3)及び(B4)に示した接続用導体24a、24bの接合をせずに、接続用導体24aが接合された冷却構造を得て、この冷却構造が電子回路チップ22に実装された後に、図15(B)の(B1)及び(B2)に示す接続用導体24aの接合を行うこともできる。
【0202】
なお、図14、図15を用いて説明した構成において、電気的に直列に接続されたp型Siチップ12又は/及びn型Siチップ14は、ペルチェ素子又はゼーベック素子として動作させることができ、p型Siチップ12又は/及びn型Siチップ14に受動素子又は/及び能動素子20の素子、これら素子を含む回路を実装する構成とすることができることは言うまでもない。
【0203】
また、図14、図15を用いて説明した構成において、p型Siチップ12及びn型Siチップ14を、Siチップ10として、Siヒートシンクを構成できることは言うまでもない。このSiヒートシンクを構成する場合には、接続用導体2a、24bは不要である。更に、Siチップ10に、受動素子又は/及び能動素子20の素子、これら素子を含む回路を実装する構成とすることができることは言うまでもない。
【0204】
また、p型Siチップ12又は/及びn型Siチップ14、或いは、Siチップ10に実装された受動素子又は/及び能動素子20の素子、これら素子を含む回路と、固定用樹脂チップ18又は/及び電子回路チップ22との間を、冷却構造を電子回路チップ22に接合して実装する際に、物理的な結合と同時に電気的に接続されるような構成としてもよいし、物理的に結合した後に、フレキシブル配線シート等を用いて、電気的に接続する構成とすることもできる。
【0205】
以上説明したように、本発明によれば、携帯用電子機器を始めとして各種の電子機器に使用される電子回路チップ、電子部品モジュール、特に消費電力の大きな電子回路チップ、電子部品モジュールに好適に適用することができ、安価に製造可能な冷却構造を実現することができる。
【0206】
以上、本発明を実施の形態について説明したが、本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。例えば、冷却構造の構成、大きさ、冷却構造を実装する対象、部位等は、冷却目標に応じて任意に変更して適切に設定することができる。冷却構造は、電子回路チップに設ける他に、実装基板に実装された素子、回路モジュール等に設けることもできることは言うまでもない。
【0207】
また、冷却構造を構成する直立半導体基板の材質、大きさ、数は、熱源部を冷却する冷却目標に応じて、その目標性能を満たすように必要に応じて任意に適切に設定することができる。直立半導体基板は、直立Si基板に限定されないことは言うまでもない。p型Siチップ、n型Siチップに代えて、他の半導体材料によるp型チップ、n型チップを使用することができ、ペルチェ素子、ゼーベック素子を構成するために電気的に接続されるこれらp型チップ、n型チップの材質、大きさ、数は、目的に応じて適宜任意に設定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0208】
以上説明したように、本発明によれば、携帯用電子機器を始めとして各種の電子機器に使用される電子部品モジュールに好適に適用することができる冷却構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0209】
【図1】本発明の実施の形態における、冷却構造の構成例とその実装例を説明する斜視図である。
【図2】同上、Siヒートシンクによる冷却構造の構成例を示す図である。
【図3】同上、ペルチェ素子による冷却構造の構成例を示す図である。
【図4】同上、受動素子又は/能動素子を実装した冷却構造の構成例とその実装例を説明する図である。
【図5】同上、冷却能力を向上させた冷却構造の実装例を示す断面図である。
【図6】同上、冷却構造の実装例を示す断面図である。
【図7】同上、ゼーベック素子による熱電流の増幅によるファン駆動制御を行う冷却構造の実装例を示す図である。
【図8】同上、ゼーベック素子による熱電流の増幅によるファン駆動制御を行う冷却構造の実装例を示す断面図である。
【図9】同上、フレキシブル配線(放熱用シート)を用いた冷却構造の構成例を示す図である。
【図10】同上、ゼーベック素子による熱電流によるファン駆動を行う冷却構造の実装例を示す断面図である。
【図11】同上、冷却構造による冷却効果のシミュレーション結果を説明する斜視図である。
【図12】同上、ゼーベック素子による発電を用いた冷却を説明する斜視図である。
【図13】同上、ゼーベック素子とペルチェ素子の組合せによる半導体チップの冷却を説明する図である。
【図14】同上、冷却構造の製造工程と半導体チップへの実装を説明する斜視図である。
【図15】同上、図15は、冷却構造の製造工程と半導体チップへの実装を説明する斜視図である。
【図16】従来技術における半導体装置の実装構造を説明する図である。
【符号の説明】
【0210】
10…Siチップ、12…p型Siチップ、12a…p型Siウェーハ、
14…n型Siチップ、14a…n型Siウェーハ、16…充填材、16a…樹脂、
18…固定用樹脂チップ、22…電子回路チップ、20…受動素子又は/及び能動素子、
23…再配線層、24a、24b…接続用導体、31、31a…バンプ、
30a、30a’、30b、30c、30d…チップ端子、32…導体線路、
33…内部配線、34…電気絶縁層、35…電極、36…誘電体層、37…電気抵抗体、
39…金属端子、40a、40b…放熱用シート、42…電池、43…導電線、
44…ファン、45…ファン制御トランジスタ、45a…コレクタ、45b…ベース、
45c…エミッタ、46…ボンディングワイヤ、47…リードフレーム、
48…中空部に実装された素子、49a…実装容器、49b…蓋、51…ビア、
52…実装基板、54…ファン取付台、56…開口部、58a、58b…導線、
57…アンダバンプメタル、59…パッド、61…接続用樹脂、62…オーバコート層、
63…回路配線、64…ベースフィルム、65…ハニカムヒートシンク、
66…導体セット、68…Siチップを包埋する樹脂、76…下地金属、
72…ペルチェ素子を実装したチップ、74…ゼーベック素子を実装したチップ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
間隙をおいて略平行に対向して一方向に配置された複数の半導体基板と、
前記複数の半導体基板を略垂直に固定した固定用基板と、
前記複数の半導体基板と前記固定用基板とを一体化させるように、前記半導体基板の
固定部の側において前記間隙に充填された、電気絶縁性及び熱伝導性を共に有する充填
材と
を有し、前記固定用基板が熱源部の面に実装されて、前記熱源部が冷却されるように構成された冷却構造。
【請求項2】
前記熱源部から発生した熱が前記複数の半導体基板に伝達され放熱される、請求項1に記載の冷却構造。
【請求項3】
前記半導体基板の面に形成された導体部と、前記固定用基板の面に形成された導体部とが金属によって接続された、請求項1に記載の冷却構造。
【請求項4】
前記半導体基板の前記固定用基板に近接して対向する端面と、前記固定用基板の面に形成された導体部とが金属によって接続された、請求項1に記載の冷却構造。
【請求項5】
前記半導体基板の前記固定用基板に対向する一方又は/及び他方の端面に放熱用シートが接続された、請求項2に記載の冷却構造。
【請求項6】
前記放熱用シートが金属シートである、請求項5に記載の冷却構造。
【請求項7】
前記放熱用シートは金属シートとベースフィルムとが接合されたフレキシブルシートである、請求項5に記載の冷却構造。
【請求項8】
前記複数の半導体基板が、前記一方向に交互に配置されたp型Si基板及びn型Si基板であり、前記p型Si基板と前記n型Si基板とが電気的に直列に接合された、請求項1に記載の冷却構造。
【請求項9】
前記n型Si基板及び前記p型Si基板の前記熱源部に近接して対向する端面側での前記n型Si基板と前記p型Si基板との接合部において、前記n型Si基板から前記p型Si基板に電流が流れるように直流電源が接続される、請求項8に記載の冷却構造。
【請求項10】
前記n型Si基板及び前記p型Si基板の前記熱源部に近接して対向する第1の端面側とこれと反対側の第2の端面側との間の温度差によって生じる熱電流に基づいて、前記熱源部が冷却される、請求項8に記載の冷却構造。
【請求項11】
前記熱電流によって前記熱源部に実装されたペルチェ素子が駆動され、前記熱源部が冷却される、請求項10に記載の冷却構造。
【請求項12】
前記熱電流によって送風ファンが回転駆動され、前記n型Si基板及び前記p型Si基板の前記第2の端面側が冷却される、請求項10に記載の冷却構造。
【請求項13】
前記熱電流を増幅するトランジスタを有し、このトランジスタによって増幅された電流によって、前記送風ファンの回転駆動が制御される、請求項12に記載の冷却構造。
【請求項14】
前記半導体基板に受動素子又は/能動素子が配置された、請求項1に記載の冷却構造。
【請求項15】
請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の冷却構造を有する電子機器。
【請求項1】
間隙をおいて略平行に対向して一方向に配置された複数の半導体基板と、
前記複数の半導体基板を略垂直に固定した固定用基板と、
前記複数の半導体基板と前記固定用基板とを一体化させるように、前記半導体基板の
固定部の側において前記間隙に充填された、電気絶縁性及び熱伝導性を共に有する充填
材と
を有し、前記固定用基板が熱源部の面に実装されて、前記熱源部が冷却されるように構成された冷却構造。
【請求項2】
前記熱源部から発生した熱が前記複数の半導体基板に伝達され放熱される、請求項1に記載の冷却構造。
【請求項3】
前記半導体基板の面に形成された導体部と、前記固定用基板の面に形成された導体部とが金属によって接続された、請求項1に記載の冷却構造。
【請求項4】
前記半導体基板の前記固定用基板に近接して対向する端面と、前記固定用基板の面に形成された導体部とが金属によって接続された、請求項1に記載の冷却構造。
【請求項5】
前記半導体基板の前記固定用基板に対向する一方又は/及び他方の端面に放熱用シートが接続された、請求項2に記載の冷却構造。
【請求項6】
前記放熱用シートが金属シートである、請求項5に記載の冷却構造。
【請求項7】
前記放熱用シートは金属シートとベースフィルムとが接合されたフレキシブルシートである、請求項5に記載の冷却構造。
【請求項8】
前記複数の半導体基板が、前記一方向に交互に配置されたp型Si基板及びn型Si基板であり、前記p型Si基板と前記n型Si基板とが電気的に直列に接合された、請求項1に記載の冷却構造。
【請求項9】
前記n型Si基板及び前記p型Si基板の前記熱源部に近接して対向する端面側での前記n型Si基板と前記p型Si基板との接合部において、前記n型Si基板から前記p型Si基板に電流が流れるように直流電源が接続される、請求項8に記載の冷却構造。
【請求項10】
前記n型Si基板及び前記p型Si基板の前記熱源部に近接して対向する第1の端面側とこれと反対側の第2の端面側との間の温度差によって生じる熱電流に基づいて、前記熱源部が冷却される、請求項8に記載の冷却構造。
【請求項11】
前記熱電流によって前記熱源部に実装されたペルチェ素子が駆動され、前記熱源部が冷却される、請求項10に記載の冷却構造。
【請求項12】
前記熱電流によって送風ファンが回転駆動され、前記n型Si基板及び前記p型Si基板の前記第2の端面側が冷却される、請求項10に記載の冷却構造。
【請求項13】
前記熱電流を増幅するトランジスタを有し、このトランジスタによって増幅された電流によって、前記送風ファンの回転駆動が制御される、請求項12に記載の冷却構造。
【請求項14】
前記半導体基板に受動素子又は/能動素子が配置された、請求項1に記載の冷却構造。
【請求項15】
請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の冷却構造を有する電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2008−198928(P2008−198928A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−34864(P2007−34864)
【出願日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]