説明

処理作業装置または処理作業方法あるいは表示基板モジュール組立ライン

【課題】
搭載部品位置ズレ検査作業のみの処理時間が不要な、または搭載部品位置ズレ検査作業を行なう専用の処理作業装置が不要な搭載部品位置ズレ検査ユニットを有する処理作業装置または処理作業方法あるいは表示基板モジュール組立ラインを提供することである。
【解決手段】
搬送手段によって搬送される表示基板の辺に複数存在する処理作業箇所に第1の本圧着処理作業で貼付けられた搭載部品の位置ズレを検査する搭載部品位置ズレ検査ユニットし、前記検査以外の処理作業も行なう装置であって、前記搭載部品位置ズレ検査ユニットは、前記処理作業箇所に存在し前記検査に必要な撮像部を撮像する撮像手段と、前記撮像手段を前記撮像部に沿って移動させる撮像移動手段と、及び前記撮像結果を処理し検査する画像処理手段とを有し、特に前記検査を前記処理作業と並行して行なうことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶やプラズマなどのFPD(=Flat Panel Display)の表示基板の周辺への駆動ICの搭載やCOF(Chip on Film)、FPC(Flexible Printed Circuits)などのいわゆるTAB(=Tape Automated Bonding)接続および周辺基板(PCB=Printed Circuit Board)を実装する処理作業装置及びそれ等から構成される表示基板モジュール組立ラインに関するものである。より具体的には、搭載したTABやICの位置ズレを検査する検査ユニットを有する処理作業装置及び処理作業方法並びに検査ユニットまたは検査結果に基づいて構成される表示基板モジュール組立ラインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
表示基板モジュール組立ラインは、液晶、プラズマなどのFPDの表示基板(以下、基本的には単に基板と略し、その他の基板、例えばPCBの場合はPCB基板と明記する)に、複数の処理作業工程を順次行なうことで、該基板の周辺に、駆動IC、TABおよびPCB基板などを実装する装置である。
【0003】
例えば、処理工程の一例としては、(1)基板端部のTAB貼付け部を清掃する端子クリーニング工程、(2)清掃後の基板端部に異方性導電フィルム(ACF、Anisotropic Conductive Film)を貼付けるACF工程、(3)基板のACFを貼付けた位置に、TABやIC等の搭載部品を位置決めして搭載する搭載工程、(4)搭載したTABやICを加熱圧着(本圧着)することで、ACFにより固定する圧着工程からなるOLB(Outer Lead Bonding)工程と、(5)TABの基板側と反対側に、予めACFをPCB基板に貼り付けるACF工程と、(6)PCB基板を基板に本圧着された搭載基板に貼付け搭載するPCB本圧着工程などからなるPCB工程とからなる。なお、ACFは接合する部材のどちらか一方に予め貼り付けられていれば良く、OLB工程においても上記の処理工程の別な例として、ACFをTABやICの側に予め貼付けする構成も可能である。さらには、処理する基板の辺の数や処理するTABやICの数などで各処理装置の数や基板を回転する処理ユニットなどが必要となる。
【0004】
このような一連の工程を経ることによって、基板上の電極とTABやIC等に設けた電極との間を熱圧着し、ACF内部の導電性粒子を介して電気的な接続がなされる。なお、このとき同時に、ACF基材樹脂の硬化により、基板と搭載基板またはPCB基板が機械的にも接着される。
【0005】
前記ACFを加熱圧着する際に、ACFやIC、TABの膨張、あるいはそれらを圧着する時にわずかに横方向に移動し、搭載部品の位置ズレが発生する。そのため、その位置ズレ量が適正範囲に収まっているか検査する必要がある。特にOLB工程においては、コストダウンを目的とした部材の高密度実装要求に伴い接続部の密度が高くなりその要求は高い。従来は、特許文献1に開示されているように、基板を隣接位置に搬送し、停止させて検査していた。また、特許文献2には、ACFを加熱圧着する処理作業装置の中で、前記位置ズレを検査することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−114812号公報
【特許文献2】特開平2007−234966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1に記載された従来技術は、基板の寸法に応じた検査場所を必要とし、表示基板モジュール組立ラインが長くなる課題があった。また、上記従来技術は、検査のみの時間を必要とし、ライン全体の処理時間であるタクトが長くなる課題があった。特に、前記2つの課題は、基板の大型化に伴い顕著になってくる。
【0008】
また、特許文献2に記載された従来技術は、ACFを加熱圧着する処理作業装置の中で、前記位置ズレを検査することが記載されているものの、具体的にどのように検査するのか不明である。
【0009】
そこで、本発明の第1の目的は、搭載部品位置ズレ検査作業を行なう専用の処理作業装置が不要な搭載部品位置ズレ検査ユニットを有する処理作業装置及び処理作業方法を提供することにある。
また、本発明の第2の目的は、搭載部品位置ズレ検査作業のみの処理時間が不要な処理作業装置及び処理作業方法を提供することにある。
【0010】
さらに、本発明の第3の目的は、ライン長の短い、または、表示基板モジュール組立のタクト時間を短縮できる表示基板モジュール組立ラインを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の第1又は第2の目的を達成するために、搬送手段によって搬送される表示基板の辺に複数存在する処理作業箇所に第1の本圧着処理作業で貼付けられた搭載部品の位置ズレを検査する搭載部品位置ズレ検査ユニットを有する処理作業装置において、前記処理作業装置は前記検査以外の処理作業も行なう装置であって、前記搭載部品位置ズレ検査ユニットは、前記処理作業箇所に存在し前記検査に必要な撮像部を撮像する撮像手段と、前記撮像手段を前記撮像部に沿って移動させる撮像移動手段と、及び前記撮像結果を処理し検査する画像処理手段とを有することを第1の特徴とする。
【0012】
また、上記第1又は第2の目的を達成するために、第1の特徴に加え、前記処理作業装置は、搭載部品にPCB基板を実装する前記処理作業を行なうことを第2の特徴とする。
さらに、上記第1又は第2の目的を達成するために、第2の特徴に加え、前記検査を前記処理作業と並行して又は前記処理作業中に行なうことを第3の特徴とする。
また、上記第1又は第2の目的を達成するために、第3の特徴に加え、前記検査を前記処理作業のうち前記PCB基板を前記搭載部品に本圧着する第2の本圧着処理作業と並行して行なうことを第4の特徴とする。
【0013】
さらに、上記第1の目的を達成するために、第1の特徴に加え、前記処理作業装置は、前記第1の本圧着処理作業である前記処理作業を行なうことを第5の特徴とする。
また、上記第1の目的を達成するために、第5の特徴に加え、前記検査は、前記第1の本圧着処理作業後、前記搭載部品と前記第1の本圧着処理作業の作業位置とを相対的に離間して行なうことを第6の特徴とする。
さらに、上記第1の目的を達成するために、第6の特徴に加え、前記離間は前記搭載部品を移動させて行なうことを第7の特徴とする。
【0014】
また、上記の第1又は第2の目的を達成するために、第2または第5の特徴に加え、前記撮像移動手段は、前記作業箇所に設けられた下刃と前記搬送手段の前記表示基板を保持する基板保持手段との間を、前記撮像手段を前記撮像部に並行な前記下刃に沿って移動させる手段であることを第8の特徴とする。
さらに、上記の第1又は第2の目的を達成するために、第1の特徴に加え、前記処理作業装置は、前記第1の本圧着処理作業する処理作業装置が構成するラインから前記表示基板を搬出する搬出作業である前記処理作業を行なう処理作業装置であることを第9の特徴とする。
【0015】
また、上記の第1又は第2の目的を達成するために、第8の特徴に加え、前記撮像移動手段は、前記搬送手段の前記表示基板を保持する基板保持手段に沿って撮像手段を移動させる手段であることを第10の特徴とする。
さらに、上記の第1又は第2の目的を達成するために、第1乃至第10の特徴のいずれかに加え、前記撮像部は前記処理作業箇所に設けられたアライメントマークまたはダミーリードであることを第11の特徴とする。
また、上記第1又は第2の目的を達成するために、第1乃至第10のいずれかの特徴に加え、前記表示基板に設けられた基板位置合せマークを撮像する他の撮像手段を有し、前記他の撮像手段は前記撮像手段を兼用することを第12の特徴とする。
さらに、上記の第1又は第2の目的を達成するために、第1乃至第10のいずれかの特徴に加え、前記表示基板に設けられた基板位置合せマークを撮像する他の撮像手段を有し、前記他の撮像手段は前記撮像手段より、より搬送手段側に設けられていることを第13の特徴とする。
また、上記第1又は第2の目的を達成するために、搬送手段によって搬送される表示基板の辺に複数存在する処理作業箇所に第1の本圧着処理作業で貼付けられた搭載部品の位置ズレを検査する処理作業方法において、前記処理作業箇所に存在し前記検査に必要な撮像部を順次撮像し、前記検査をする検査ステップと、前記搭載部品にPCB基板を実装する実装ステップとを有し、前記実装ステップと並行して又は前記実装ステップ中に前記検査ステップを行なうことを第14の特徴とする。
【0016】
さらに、上記第1又は第2の目的を達成するために、第14の特徴に加え、前記検査ステップを前記実装ステップのうち前記PCB基板を前記搭載部品に本圧着する第2の本圧着処理作業と並行して又は前記第2の本圧着処理作業中に行なうことを第15の特徴とする。
また、上記の第1の目的を達成するために、搬送手段によって搬送される表示基板の辺に複数存在する処理作業箇所に本圧着作業で貼付けられた搭載部品の位置ズレを検査する処理作業方法において、前記本圧着処理作業後、前記搭載部品と前記本圧着処理作業の作業位置とを相対的に離間し、前記処理作業箇所に存在し前記検査に必要な撮像部を順次撮像し、前記検査をすることを第16の特徴とする。
【0017】
さらに、上記の第1の目的を達成するために、第16の特徴に加え、前記離間は前記搭載部品を移動させて行なうことを第17の特徴とする。
【0018】
また、上記第1又は第2の目的を達成するために、搬送手段によって搬送される表示基板の辺に複数存在する処理作業箇所に本圧着作業で貼付けられた搭載部品の位置ズレを検査する処理作業方法において、前記第1の本圧着処理作業する処理作業装置が構成するラインから前記表示基板を搬出する搬出作業である前記処理作業を行なう前の待機時間に、前記処理作業箇所に存在し前記検査に必要な撮像部を順次撮像し、前記検査をすることを第18の特徴とする。
さらに、上記の第3の目的を達成するために、表示基板の辺に複数存在する処理作業箇所に搭載部品を本圧着する本圧着処理作業装置と前記搭載部品にPCB基板を実装するPCB実装処理作業装置と、前記表示基板を本圧着処理作業装置からPCB実装処理作業装置へ搬送する搬送装置とを有する表示基板モジュール組立ラインにおいて、前記PCB実装処理作業装置は前記本圧着処理作業装置で前記表記基板に本圧着された前記搭載部品の位置ズレを検査する搭載部品位置ズレ検査ユニットを有し、前記搭載部品位置ズレ検査ユニットは、前記処理作業箇所に存在し前記検査に必要な撮像部を撮像する撮像手段と、前記撮像手段を前記撮像部に沿って移動させる撮像移動手段と、及び前記撮像結果を処理し検査する画像処理手段とを有することを第19の特徴とする。
【0019】
最後に、上記の第3の目的を達成するために、表示基板の辺に複数存在する処理作業箇所に搭載部品を本圧着する本圧着処理作業装置を有し、前記搭載部品の位置ズレ検査する表示基板モジュール組立ラインにおいて、特徴1乃至13のいずれかに記載の処理作業装置を有することを第20の特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、搭載部品位置ズレ検査作業を行なう専用の処理作業装置が不要な搭載部品位置ズレユニットを有する処理作業装置及び処理作業方法を提供することができる。
また、本発明によれば、搭載部品ズレ検査作業のみの処理時間が不要な処理作業装置及び処理作業方法を提供することができる。
さらに、本発明によれば、ライン長の短い、または、表示基板モジュール組立のタクト時間を短縮できる表示基板モジュール組立ライン及び表示基板モジュール組立方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施形態である表示基板モジュール組立ラインを示す図である。
【図2】本発明の実施形態である基板の搬送装置の基本構成と動作説明図である
【図3】本発明の第1の実施形態であるPCB実装処理作業装置を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態である搭載部品ズレ検査ユニットの構成を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施形態である搭載部品を説明する図である。
【図6】本発明の第1の実施形態である搭載部品位置合せ用のアライメントマークによる搭載部品ズレ検査原理と判定方法を示した図である。
【図7】本発明の実施形態のダミーリードによる搭載部品ズレ検査原理と判定方法を示した図である。
【図8】本発明の第2の実施形態である搭載部品ズレ検査ユニットの構成を示す図である。
【図9】本発明の第3の実施形態である搭載部品ズレ検査ユニットの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態を図1から図6を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態である表示基板モジュール組立ライン1を、図2は、その基板の搬送装置の基本構成2を示した図である。
【0023】
図1の装置は、基板Pを保持する基板保持手段12とその基板を隣接する処理作業装置の位置まで搬送するための基板搬送手段11からなる搬送装置によって、図中左から右に向かって基板を順次搬送しながら、基板の周辺部に各種処理作業を行って、ICやTABなどの実装組立作業を行なう装置である。図1で示す表示基板モジュール組立ライン1は、(1)基板端部のTAB貼付け部を清掃する端子クリーニング工程、(2)清掃後の基板端部に異方性導電フィルム(ACF)を貼付けるACF貼付工程、(3)ACFを貼付けた位置の基板配線にTABやICを位置決めして搭載する搭載工程,(4)搭載したTABやICなどの搭載部品を加熱圧着(本圧着)することで、ACFにより固定する圧着工程を順次行なうOLB工程と、さらに(5)OLB工程の次に、周辺基板であるPCB基板を実装するPCB工程の処理作業を行なうように構成されている。
【0024】
図中の14〜19は、それぞれ、端子クリーニング処理作業装置14、ACF貼付処理作業装置15、TAB/IC搭載処理作業装置16,本圧着処理作業装置17、PCB実装処理作業装置18及び基板を搬出するアンローダユニット19を示している。
【0025】
図2は基板Pの搬送方向であるX方向から見たA−A断面図であり、搭載部品4(TAB/IC基板)を加熱圧着する本圧着処理作業装置17の本圧着ヘッド部17Aと搬送装置2を示した図である。本圧着ヘッド部17Aは、TAB/IC搭載処理作業装置16から搬送されてきたACFが貼り付けてある基板Pの処理作業箇所を本圧着する。本圧着ヘッド部17Aには、本圧着する上刃17Aa、上刃を昇降するシリンダ17Ab、シリンダを駆動するシリンダ駆動部17Ac、本圧着時に基板Pを挟み下支えする下刃17Adが設けてある。
【0026】
一方、搬送装置2は、搬送アーム手段11と基板保持手段12を有している。基板保持手段12は、図1に示すように基板両側に設けた両側保持部12Aと両側保持部を連結し処理作業装置側に設けられた連結保持部12Bを有する。基板の処理作業箇所に基板Pが搬送されてくると、前記両側保持部12Aと連結保持部12Bは、基板の撓みを減少して基板Pを載置することができる。一方、基板搬送手段11は、図2(a)、図2(b)に示すように搬送アーム11Aを搬送(X)方向に移動させるX移動部11B、搬送方向と直行(Y)方向に移動させるY移動部11C、昇降(Z)方向に移動させる昇降部11D及びXY平面において回転させるθ回転部11Eを有する。さらに、X移動部11Bは搬送ガイドレール11Baと搬送スライダ11Bbを、Y移動部11CはYガイドレール11CaとYスライダ11Cbとを有する。
【0027】
このような構造における搬送方法を、図1に示す基板PをTAB/IC搭載処理作業装置16から本圧着処理作業装置17に搬送する場合を例に説明する。基板搬送手段11は、TAB/IC搭載処理作業装置16の場所で、図2(a)に示すように基板Pを搬送アーム11Aにより保持し、昇降部11Cにより上昇させ、基板Pを両側保持部12A、連結保持部12Bから離間させる。その後、基板Pを上昇保持したままで、搬送スライダ11Bbにより基板Pを本圧着処理作業装置17の位置まで搬送する。その後基板アライメントカメラ17Bにより基板Pの姿勢を検出し、X移動部11B、Y移動部11C及びθ回転部11Eより基板Pの姿勢を補正する。そして、基板Pを本圧着処理作業装置17の下刃17dの位置までY方向に移動させ、さらにZ方向に下降させ下刃17dと基板保持手段12とに載置(図2(b))する。そして、本圧着処理作業装置17は基板Pの長辺側における本圧着処理作業を行なう。
長辺側における本圧着処理作業後、短辺側本圧着処理作業を行なうために、搬送アーム11Aを再度上昇させて基板Pを基板保持手段12から離間させ、基板Pを90度回転させて、その後、長辺側と同様なステップを踏み、基板Pを基板保持手段12に載置する。その後、搬送アーム11Aをさらに下降させて基板Pから再度離間させる。そして、本圧着処理作業装置17は短辺側の本圧着処理作業を行なう。この処理作業中に、搬送アーム11Aは、基板を保持していない姿勢を保持し、次の基板を搬送するためにTAB/IC搭載処理作業装置16まで戻る。上記一連動作は、組立ライン1に作業中のすべての基板Pに対して同期して行なわれ、全ての作業が同期して搬送され、処理が行なわれることになる。
【0028】
図1、図2に示す表示基板モジュール組立ライン、TAB/IC搭載処理作業装置及び搬送装置は一実施形態であって、特に、どのような実装処理作業装置を連ねる必要があるかは、組立作業を行なう表示基板モジュール構成に依存することは言うまでもない。
【0029】
以下、本発明の最も特徴とする搭載部品位置ズレ検査ユニット20を有する処理作業装置と処理作業方法を説明する。
まず、第1の実施形態として、搭載部品位置ズレ検査ユニット20を有するPCB実装処理作業装置18を説明する。本第1実施形態に基本的な考え方は、PCB実装処理作業装置18においてPCB実装処理作業、特にPCB本圧着処理作業と並行してあるいは作業中にOLB工程で本圧着した搭載部品4の搭載部品位置ズレを検査することである。
【0030】
図3は本実施形態におけるPCB実装処理作業装置18の構成を示した図である。以下、図3を用いてPCB実装処理作業装置18の構成とともに、処理フローも合せて説明する。
【0031】
PCB実装処理作業装置18では、まず、ACF側搬送ロボット18Cが複数のPCB基板5を有するPCB供給ユニット18AからPCB基板5を吸着し、ACF貼付ユニット18Bへ搬送する。ACF貼付ユニット18BでPCB基板5にACFを貼付けた後、ACF付きPCB基板5をACF側搬送ロボット18Cより中継機能を有するPCB搬送ユニット18Dへ搬送する。その後、本圧着側搬送ロボット18EによりACF付きPCB基板5をPCB本圧着ユニット18Fに搬送する。このとき、PCB本圧着ユニット18Fには、本圧着された搭載部品4を有する基板Pが搬送装置2により搬送されてきている。そこで、図2で説明したOLB工程の本圧着作業と同様に、後述する図4に示すように基板の両端に設けられた2台の基板位置合せカメラ18Ffで基板Pの両端に設けられた基板位置合せマークAMを撮像し、基板Pの位置を検出し、PCB基板5と搭載部品4とを位置合せし、PCB基板5の本圧着を行なう。この本圧着処理作業と並行して、PCB実装処理作業装置18に設けられた搭載部品位置ズレ検査ユニット20はOLB工程で本圧着した搭載部品4の搭載部品位置ズレ検査を行なう。
【0032】
図4は搭載部品位置ズレ検査ユニット20、PCB本圧着ユニット18Fの下刃18Fe、搬送手段2のガイドレール11Ba及びPCB実装処理作業装置18の制御装置18Gを示した図である。また、下刃18FeにACFを貼り付けられたPCB基板5が搭載された後に、前述した基板位置合せカメラ18Ffによる位置合せした搭載部品4が搬送アーム11AによりPCB本圧着ユニット18Fの方向、即ちY方向に移動し、PCB基板5上に載置され、PCB本圧着ユニット18Fが本圧着処理作業を処理する。図4はその状態を示している。
【0033】
搭載部品位置ズレ検査ユニット20は、搭載部品4の位置ズレ検出するために搭載部品4と基板Pとの搭載用のアライメントマークMを撮像するカメラと照明からなる撮像手段21、撮像手段を複数の搭載部品に沿って移動させる撮像移動手段22、撮像結果を処理し、搭載部品4の位置ズレ量を検出する画像処理手段23及び搬送手段2からの位置情報2Sに基づき画像処理手段23を制御し、画像処理手段からの情報を取り込む制御装置18G内に設けた検査制御部24を有する。撮像移動手段22は、例えばボールネジで構成された撮像手段走行レール22a、撮像手段に固定されたナット(図示せず)、ボールネジを駆動するモータ22b及位置エンコーダ22cで構成される。なお、18Ffは前述した基板位置合せカメラである。
【0034】
基板Pの辺に複数存在する処理作業箇所には搭載部品4がそれぞれ設けられており(図4の例では5箇所)、図5はその処理作業箇所に設けられた太線円B内に示す搭載部品4の拡大図を示す。図5に示すように基板Pと搭載部品4には、搭載用のアライメントマークMがあり、基板Pに設けた基板アライメントマークMPと搭載部品4に設けた搭載部品アライメントマークMTがある。そこで、位置エンコーダ22cにより位置を認識しながら撮像手段21を移動させ、順次破線で示す搭載部品位置合せ用アライメントマークMを含む撮像エリアHを撮像し、両アライメントマークを撮像して、そのズレ量、例えば図6(a)に示す両アライメントマークの中心を示すプラスのクロス位置MPc、MTcのズレ量を求め、そのズレ量が所定の範囲にあれば合格と判定する。極端な例ではあるが、図6(a)はズレ量が大きい不合格の例を、図6(b)はクロス位置が一致した合格の例を示したものである。
【0035】
なお、搭載部品の位置ズレを検査する箇所としては、上述の搭載部品や基板に設けられたアライメントマークの他、両者に設けられたダミーリードDを用いることもある。図7(a)は、図4に示す搭載部品4と、搭載部品4対応する基板Pの処理作業箇所とにおけるダミーリードDと実際に使用される実リードRを示した図である。ダミーリードDには、基板Pに基板ダミーリードDPが、搭載部品4には搭載部品ダミーリードDTがある。それぞれダミーリードDP、DTは、それぞれ実際に使用されるリードRP、RTの端部にも設けられている。ダミーリードには、図7(b)に示すように基板ダミーリードDPが2箇所に分かれる離別タイプと、図7(c)に示すように基板ダミーリードDPが搭載部品ダミーリードDTより幅広の幅広タイプとがある。図7(d)は離別タイプの、図7(e)は幅広タイプにおける、合格、不合格の例を示した図である。
【0036】
以下の説明では、アライメントマークによる検査例を代表して説明する。
【0037】
上記では、長辺側における搭載部品位置ズレ検査を説明した。図4では、短辺側には搭載部品が搭載されていないが、搭載されている場合は、図2で説明したように基板Pを90度回転させて、長辺側の場合と同様に、短辺側のPCB基板7の本圧着処理作業中あるいは並行して搭載部品位置ズレ検査を行なう。
また、本実施形態では、撮像手段21を基板位置合せカメラ18Ffとは別に設けたが、どちらか一方の撮像手段あるいはカメラで兼用し、その撮像手段あるいはカメラを撮像手段走行レール22a上に設けて移動させてもよい。その場合には、例えば、次の二通りが考えられる。第1には、基板の姿勢を検出し、その後本圧着位置まで基板を移動させて、本圧着と搭載部品位置ズレ検査を行なう方法である。その場合には、一般的には一直線上にある基板位置合せ用マークAMと搭載用のアライメントマークMをシフトして設けて行なう。第2には、最初から本圧着位置に基板を移動させ、基板位置合せ用マークAMで基板姿勢を検出し姿勢を制御し,その後、本圧着と搭載部品位置ズレ検査を行なう方法である。
【0038】
上記説明したように、本実施形態によれば、PCB本圧着ユニットにおいて、搭載部品位置ズレ検査作業をPCB本圧着処理作業と並行して行なうので、搭載部品位置ズレ検査作業のみの処理時間が不要な、並びに搭載部品位置ズレ検査作業のために基板Pの寸法に応じた処理作業スペースが不要な、または基板Pの寸法に応じた専用の搭載部品位置ズレ検査装置が不要な、搭載部品位置ズレ検査が可能な処理作業装置または処理作業方法を提供することができる。
また、本実施形態によれば、表示基板モジュール組立のタクト時間を短縮できる、またはライン長の短い表示基板モジュール組立ラインを提供することができる。
【0039】
次に本発明の第2の実施形態を図8を用いて説明する。第2の実施形態の基本的な考え方は、OLB工程における本圧着処理作業装置17において、搭載部品4の本圧着処理作業後に、本圧着処理作業装置17内において搭載部品位置ズレ検査することである。
【0040】
図8は搭載部品位置ズレ検査ユニット20、本圧着処理作業装置17の下刃17Ad、搬送手段2のガイドレール11Ba及び本圧着処理作業装置17の制御装置17Gを示した図である。
【0041】
搭載部品位置ズレ検査ユニット20の基本的構成は、第1の実施形態と同様である。本圧着処理作業位置では、図2に示すように、基板位置合せカメラ17Bは下刃17Feよって視界が遮られるので、本圧着位置にある搭載用のアライメントマークMを撮像できない。なお、基板位置合せカメラ17Bを上側に配置しても上刃17Aaによって遮られる。そこで、図8に示す実施例では、本圧着処理作業後に、本圧着作業位置26から基板Pを図2に示す搬送手段2によりY方向に移動し、搭載部品検査位置27の位置まで移動させる。その結果、搭載用のアライメントマークMの撮像が可能となり、第1の実施形態と同様に、撮像手段21を移動させて、搭載用の各アライメントマークMを順次撮像し、搭載部品の位置ズレ検査を行なうことが可能となる。
【0042】
なお、上記実施形態では、基板Pを移動させて搭載用のアライメントマークMかの撮像を可能としたが、下刃17eまたは上刃17aを移動させ撮像可能としてもよい。
本実施形態においても第1の実施形態と同様に、撮像手段21を基板位置合せカメラ17Bとは別に設けたが、どちらか一方の撮像手段あるいはカメラで兼用することは可能である。
【0043】
以上、第2の実施形態によれば、本圧着処理作業装置17内において、処理搭載部品位置ズレ検査作業を行なうので、搭載部品位置ズレ検査作業のために基板Pの寸法に応じた処理作業スペースが不要な、または基板Pの寸法に応じた専用の搭載部品位置ズレ検査装置が不要な実装処理作業装置または搭載部品位置ズレ検査方法を提供することができる。
また、本実施形態によれば、表示基板モジュール組立ライン長の短い表示基板モジュール組立ラインを提供することができる。
【0044】
最後に、本発明の第3の実施形態を図9を用いて説明する。第3の実施形態の基本的な考え方は、全処理作業が終了し、全処理作業を構成するラインから基板Pを搬出するアンローダユニット19において、搬出するまでの待機時間を利用して搭載部品位置ズレ検査することである。
【0045】
図9は搭載部品位置ズレ検査ユニット20、搬送手段2のガイドレール11Ba及びアンローダユニット19の制御装置19Gを示した図である。
【0046】
搭載部品位置ズレ検査ユニット20の基本的構成は、第1の実施形態と同様である。アンローダユニット19は前段等の処理作業装置とは異なり、搬出するという処理作業を行なうための待機場所であるから搭載部品位置ズレ検査ユニット20以外の構成要素はない。従って、基板Pが搬送されてきた状態で、搭載用のアライメントマークMの撮像が可能となり、第1の実施形態と同様に、撮像手段21を移動させて、搭載用の各アライメントマークMを順次撮像し、搭載部品の位置ズレ検査を行なうことが可能となる。
【0047】
以上、第3の実施形態によれば、アンローダユニット19内において、搬出するまでの待機時間に処理搭載部品位置ズレ検査作業を行なうので、搭載部品位置ズレ検査作業のみの処理時間が不要な、並びに搭載部品位置ズレ検査作業のために基板Pの寸法に応じた処理作業スペースが不要な、または基板Pの寸法に応じた専用の搭載部品位置ズレ検査装置が不要な、搭載部品位置ズレ検査が可能な処理作業装置または処理作業方法を提供することができる。
また、本第3の実施形態によれば、表示基板モジュール組立のタクト時間を短縮できる、またはライン長の短い表示基板モジュール組立ラインを提供することができる。
【符号の説明】
【0048】
1:表示基板モジュール組立ライン 2:搬送手段
2S:搬送位置情報ーダ 11:基板搬送手段
11A:搬送アーム 12:基板保持手段
17:本圧着処理作業装置 18:PCB実装処理作業装置
19:アンローダユニット 20:搭載部品位置ズレ検査ユニット
21:撮像手段 22:撮像移動手段
23:画像処理手段 24:検査制御手段
M:搭載用のアライメントマーク MP:基板アライメントマーク
MT:アライメントマーク P:基板(表示基板)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送手段によって搬送される表示基板の辺に複数存在する処理作業箇所に第1の本圧着処理作業で貼付けられた搭載部品の位置ズレを検査する搭載部品位置ズレ検査ユニットを有する処理作業装置において、
前記処理作業装置は前記検査以外の処理作業も行なう装置であって、前記搭載部品位置ズレ検査ユニットは、前記処理作業箇所に存在し前記検査に必要な撮像部を撮像する撮像手段と、前記撮像手段を前記撮像部に沿って移動させる撮像移動手段と、及び前記撮像結果を処理し検査する画像処理手段とを有することを特徴とする処理作業装置。
【請求項2】
前記処理作業装置は、搭載部品にPCB基板を実装する前記処理作業を行なうことを特徴とする請求項1に記載の処理作業装置。
【請求項3】
前記検査を前記処理作業と並行して又は前記処理作業中に行なうことを特徴とする請求項2に記載の処理作業装置。
【請求項4】
前記検査を前記処理作業のうち前記PCB基板を前記搭載部品に本圧着する第2の本圧着処理作業と並行して行なうことを特徴とする請求項3に記載の処理作業装置。
【請求項5】
前記処理作業装置は、前記第1の本圧着処理作業である前記処理作業を行なうことを特徴とする請求項1に記載の処理作業装置。
【請求項6】
前記検査は、前記第1の本圧着処理作業後、前記搭載部品と前記第1の本圧着処理作業の作業位置とを相対的に離間して行なうことを特徴とする請求項7に記載の処理作業装置。
【請求項7】
前記離間は前記搭載部品を移動させて行なうことを特徴とする請求項6に記載の処理作業装置。
【請求項8】
前記撮像移動手段は、前記作業箇所に設けられた下刃と前記搬送手段の前記表示基板を保持する基板保持手段との間を、前記撮像手段を前記撮像部に並行な前記下刃に沿って移動させる手段であることを特徴とする請求項2または5に記載の処理作業装置。
【請求項9】
前記処理作業装置は、前記第1の本圧着処理作業する処理作業装置が構成するラインから前記表示基板を搬出する搬出作業である前記処理作業を行なう処理作業装置であることを特徴とする請求項1に記載の処理作業装置。
【請求項10】
前記撮像移動手段は、前記搬送手段の前記表示基板を保持する基板保持手段に沿って撮像手段を移動させる手段であることを特徴とする請求項8に記載の処理作業装置。
【請求項11】
前記撮像部は前記処理作業箇所に設けられたアライメントマークまたはダミーリードであることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の処理作業装置。
【請求項12】
前記表示基板に設けられた基板位置合せマークを撮像する他の撮像手段を有し、前記他の撮像手段は前記撮像手段を兼用することを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の処理作業装置。
【請求項13】
前記表示基板に設けられた基板位置合せマークを撮像する他の撮像手段を有し、前記他の撮像手段は前記撮像手段より、より搬送手段側に設けられていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の処理作業装置。
【請求項14】
搬送手段によって搬送される表示基板の辺に複数存在する処理作業箇所に第1の本圧着処理作業で貼付けられた搭載部品の位置ズレを検査する処理作業方法において、
前記処理作業箇所に存在し前記検査に必要な撮像部を順次撮像し、前記検査をする検査ステップと、前記搭載部品にPCB基板を実装する実装ステップとを有し、前記実装ステップと並行して又は前記実装ステップ中に前記検査ステップを行なうことを特徴とする処理作業方法。
【請求項15】
前記検査ステップを前記実装ステップのうち前記PCB基板を前記搭載部品に本圧着する第2の本圧着処理作業と並行して又は前記第2の本圧着処理作業中に行なうことを特徴とする請求項14に記載の処理作業方法。
【請求項16】
搬送手段によって搬送される表示基板の辺に複数存在する処理作業箇所に本圧着作業で貼付けられた搭載部品の位置ズレを検査する処理作業方法において、
前記本圧着処理作業後、前記搭載部品と前記本圧着処理作業の作業位置とを相対的に離間し、前記処理作業箇所に存在し前記検査に必要な撮像部を順次撮像し、前記検査をすることを特徴とする処理作業方法。
【請求項17】
前記離間は前記搭載部品を移動させて行なうことを特徴とする請求項16に記載の処理作業方法。
【請求項18】
搬送手段によって搬送される表示基板の辺に複数存在する処理作業箇所に本圧着作業で貼付けられた搭載部品の位置ズレを検査する処理作業方法において、
前記第1の本圧着処理作業する処理作業装置が構成するラインから前記表示基板を搬出する搬出作業である前記処理作業を行なう前の待機時間に、前記処理作業箇所に存在し前記検査に必要な撮像部を順次撮像し、前記検査をすることを特徴とする処理作業方法。
【請求項19】
表示基板の辺に複数存在する処理作業箇所に搭載部品を本圧着する本圧着処理作業装置と前記搭載部品にPCB基板を実装するPCB実装処理作業装置と、前記表示基板を本圧着処理作業装置からPCB実装処理作業装置へ搬送する搬送装置とを有する表示基板モジュール組立ラインにおいて、
前記PCB実装処理作業装置は前記本圧着処理作業装置で前記表記基板に本圧着された
前記搭載部品の位置ズレを検査する搭載部品位置ズレ検査ユニットを有し、前記搭載部品位置ズレ検査ユニットは、前記処理作業箇所に存在し前記検査に必要な撮像部を撮像する撮像手段と、前記撮像手段を前記撮像部に沿って移動させる撮像移動手段と、及び前記撮像結果を処理し検査する画像処理手段とを有することを特徴とする表示基板モジュール組立ライン。
【請求項20】
表示基板の辺に複数存在する処理作業箇所に搭載部品を本圧着する本圧着処理作業装置と、前記搭載部品の位置ズレ検査する表示基板モジュール組立ラインにおいて、
請求項1乃至13のいずれかに記載の処理作業装置を有することを特徴とする表示基板モジュール組立ライン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−278304(P2010−278304A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−130594(P2009−130594)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】