説明

処理装置

【課題】処理装置内を真空にしても載置台が傾くことのない処理装置を提供すること。
【解決手段】チャンバー内に処理ガスを導入するとともに高周波電力を印加してプラズマを形成し,被処理体にプラズマ処理などの所定の処理を行うプラズマ処理装置に,被処理体を載置する載置台と,載置台を保持する載置台固定部とを設け,載置台固定部は載置台固定部の上下にそれぞれベローズを配置し,載置台がチャンバーに対して水平に支持されるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,例えば被処理体に対して所定の処理を行う処理装置にかかり,特に被処理体を載置する載置台を備えた処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の処理装置としては,例えば半導体素子などの製造過程において用いられるマイクロ波プラズマ処理装置がある。マイクロ波プラズマ処理装置においては,プラズマ着火時とプロセス時では,アンテナ(電極)と被処理体の載置台との距離が異なるため,あるいは,処理条件によってその距離を変える必要があるため,載置台は上下移動が可能なように構成されている。
【0003】
図6は,従来のプラズマ処理装置1の構成を示す概略断面図である。図6に示すように,プラズマ処理装置1は,上部が開口している略円筒形状のチャンバー10を有している。チャンバー10は,例えばアルミニウム,ステンレススチール等の導体部材で形成されている。
【0004】
チャンバー10の上部開口には,平板状に形成された誘電体板4が水平に配置されている。誘電体板4は,例えば厚さ20〜30mm程度の石英またはセラミックなどが用いられる。チャンバー10と誘電体板4との間は,オーリング等のシール材(図示せず)を介在させて,気密性を保持できるようになっている。
【0005】
誘電体板4の上部には,例えばスロットアンテナの1つであるラジアルアンテナ55が設置されている。ラジアルアンテナ55は,同軸線路,矩形同軸変換器および矩形導波路(共に図示せず)を介してマイクロ波発生器(図示せず)に接続されている。マイクロ波発生器は300MHz〜30GHZ,例えば2.45GHzのマイクロ波を発生する。また,矩形導波路の途中にインピーダンスのマッチングを行うマッチング回路(図示せず)を設けて,電力の使用効率を向上させるように構成することができる。
【0006】
マイクロ波発生器は,ラジアルアンテナ55の上面中央部に接続されるようになっており,ラジアル導波路(図示せず)内にマイクロ波の電磁界を導入し,ラジアルアンテナ55下面をなす導体板(図示せず)から誘電体板4を介してチャンバー10内にマイクロ波の電磁界を放射する。
【0007】
チャンバー10の底部には,例えばロータリーポンプ(図示せず),ターボポンプ(図示せず)などが配置されており,チャンバー10内を所望の真空度にすることができる。また,チャンバー10の側壁には,各種処理ガスなどを導入するガスインジェクタ6が設けられている。
【0008】
チャンバー10の内部には,被処理体となる例えば半導体ウエハW等を載置する載置台8が上下動可能に設けられている。載置台8の内部には,発熱抵抗体(図示せず)が埋設され,発熱体に電力を印加して載置台8を加熱し,ウエハを加熱する構造になっている。載置台8の材質は,AlN,Al等のセラミックである。
【0009】
載置台8の下部周縁部には,図示しないウエハピン駆動部により上下動可能する例えば3本のリフタピン14が設けられている。このリフタピン14は,ウエハWを載置台8に載置する際には下方に移動し,搬出の際には上方に移動して,ウエハの移動を補助するようになっている。なお,載置台8の周りには,環状のバッフルプレート50が設けられている。このバッフルプレート50はバッフルプレート支持棒52を介して後述の載置台固定部24に固定されている。載置台固定部24が上下動すると,載置台8とともにバッフルプレート50も上下動する。
【0010】
上記載置台8は,支持体16を介して載置台固定部24により支持されている。載置台固定部24は,上記ガイド36およびガイドレール38により,チャンバー10の下部に上下動可能に接続されている。具体的には,載置台固定部24の下部には,縁部近傍にチャンバー10の底部を突抜けてガイドレール38が形成されている。チャンバー10の底部には,上記ガイドレール38の上下動を案内するガイド36が設けられている。ガイド36は,支持部材34によりチャンバー10の底部に固定されている。ガイド36の上端部と載置台固定部24の底部には,ガイドレースを内装して載置台固定部24を気密に保持するためのベローズ20が設けられている。
【0011】
ガイド36およびガイドレール38により載置台固定部24が上下されると,この載置台固定部24に支持された載置台8は連動して上下する。載置台固定部24の上下動に伴い,ベローズ20は伸縮する。このように,ベローズ20は,ガイド36およびガイドレール38と共に,載置台固定部24を介して,載置台8を支持している。こうして,プラズマ処理装置1は,載置台8の下部に備えられた載置台固定部24によって載置台8を支持すると共に真空が保つことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら,このようなプラズマ処理装置1においては,載置台固定部24はその下部に中心部よりもずれた縁部近傍に設けられたベローズ20,ガイド36およびガイドレール38によりチャンバー10に固定されるという,片持ち構造である。
【0013】
このため,ベローズ20,ガイド36およびガイドレール38の部分で少しでも傾くと,載置台固定部24を介して支持されている載置台8では大きな傾きになってしまう。また,動作時に振動が起こりやすいという問題があった。
【0014】
さらに,プラズマ処理装置1の内部が真空になったときに,載置台8を支持し,かつ上下移動する上下駆動部が外部の大気圧で押されたり,載置台8に加えられた熱歪や,載置台8そのものの重量により上下駆動部自体が傾き,そして載置台8が傾いてしまい,載置台8の水平調整や,リフタピン14などの位置合わせを頻繁に行う必要があり,被処理体に均一な処理が行えないという問題があった。
【0015】
本発明は,このような問題点に鑑みてなされたものであり,本発明の目的は,処理装置内を真空にしても載置台が傾くことのない,新規かつ改良された処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、処理容器内で被処理体に所定の処理を行う処理装置であって,前記処理容器内に配置され,前記被処理体を載置する載置台と,前記載置台に接続され,前記載置台を支持する載置台支持体と,前記載置台支持体を支持し,前記処理容器内で前記載置台を上下動自在に支持する載置台固定部と,前記載置台支持体の下部と前記載置台固定部の上部との間に配置され,前記載置台支持体と前記載置台固定部との間の熱の移動を抑制する支持固定部と,前記載置台固定部の上下にそれぞれ気密に配置され,前記載置台の傾きを吸収して前記載置台の水平状態を保持するものであり,伸縮可能な蛇腹状の円筒形状に形成されたベローズである水平保持部材と,前記載置台固定部に連結され,前記載置台固定部を上下動させる載置台駆動機構と,前記各水平保持部材それぞれの内部空間である中空部と,前記載置台固定部の下方に設けられ,前記処理容器を排気するための排気口および当該排気口に連通されたラフ引き排気口を含む下部排気口フランジと,前記載置台固定部内部に形成され,前記各水平保持部材の中空部を連通させ前記処理容器内を排気するための連通孔と,を備え,前記載置台駆動機構は,リニアレールと,前記リニアレールに沿って前記載置台固定部を支持して上下方向に案内する案内部材と,前記案内部材を介して前記載置台固定部を上下方向に駆動させるためのモータと,を有し,前記載置台固定部は,前記載置台固定部を固定する案内部材をリニアレールに沿って上下駆動させる前記載置台駆動機構と,前記処理容器に固定されたスライド棒に沿って上下にスライド可能なスライド支持機構と,を有し,前記載置台固定部の側面は,前記案内部材により支持されており,前記処理容器と前記載置台固定部との間および前記載置台固定部と前記下部排気口フランジとの間に位置する前記水平保持部材の中空部と,前記載置台固定部の連通孔と,を介して前記処理容器内の排気を行い,前記載置台固定部の内部および前記載置台支持体の内部には,大気開放された空間が形成されている処理装置が提供される。
【0017】
前記処理装置に対して,さらに,前記載置台固定部を支持して前記載置台固定部の移動を補助する移動補助部を設けてもよい。
【0018】
前記連通孔は,前記処理容器内を均一に排気するように均等に複数形成されていてもよい。
【0019】
前記載置台固定部には,前記処理装置の外部から冷却水を導入するための冷却水路が形成されていてもよい。
【0020】
前記載置台固定部には,水平断面が円形形状の大気開放された空間が形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように,本発明によれば,載置台を固定するブロックの上下にベローズを設けたので,処理室内の真空度にかかわらず,被処理体の載置台を安定して保持することが可能であり,頻繁に微調節する必要がないという点でメンテナンス性に優れ,均一および安定したプラズマ処理が可能な処理装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかるプラズマ処理装置を示す概略断面構成図である。
【図2】支持体および載置台固定部を示す断面図である。
【図3】図2に示す載置台固定部の断面図であり,同図(a)はA−A断面図,同図(b)はB−B断面図である。
【図4】載置台駆動機構を示す断面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態にかかるプラズマ処理装置を示す概略断面構成図である。
【図6】従来のプラズマ処理装置を示す概略断面構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に添付図面を参照しながら,本発明にかかるプラズマ処理装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお,本明細書及び図面において,実質的に同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0024】
(第1の実施の形態)
図1は,本発明の1実施の形態にかかるプラズマ処理装置100を示す概略断面構成図である。図1に示すように,プラズマ処理装置100は,チャンバー110を有している。チャンバー110は,上部が開口している円筒形状の処理容器であり,例えばアルミニウム,ステンレススチール等の金属或はその合金からなる導体部材で形成されている。
【0025】
チャンバー110の上部開口部には,平板状に形成された誘電体板104が水平に配置されている。誘電体板104は,例えば厚さ20〜30mm程度の石英またはセラミック,例えばAlN,Al,サファイヤなどにより形成される。チャンバー110と誘電体板104との間は,オーリング等のシール材(図示せず)を介在させて,気密性を保持できるようになっている。
【0026】
誘電体板104の上部には,例えばスロットアンテナの1つであるラジアルアンテナ102が設置されている。ラジアルアンテナ102は,放射面を構成する第1の導体板(下部導体板)151と,導体板151に対して上方に対向配置された第2の導体板(上部導体板)153と,導体板151,153の外周部を接続して両導体板間をシールドするリング部材155とにより構成される。
【0027】
ラジアルアンテナ102は,同軸線路,矩形同軸変換器および矩形導波路を介してマイクロ波発生器(図示せず)に接続されている。マイクロ波発生器は300MHz〜30GHZ,例えば2.45GHzのマイクロ波を発生し,ラジアル導波路159へ導入される。
また,矩形導波路の途中にインピーダンスのマッチングを行うマッチング回路(図示せず)を設けて,電力の使用効率を向上させるように構成することができる。
【0028】
マイクロ波発生器は,ラジアルアンテナ102上面をなす導体板153の中央部に接続されるようになっており,2枚の導体板151,153によって構成されるラジアル導波路159内にマイクロ波の電磁界を導入する。
【0029】
ラジアルアンテナ102の下面をなす導体板151は,誘電体板104と平行に配置されている。導体板151には多数のスロット157が,例えば径方向のピッチPで同心円上に形成されている。この同心円の半径は,等差数列的に増加している。ピッチPは,導体板151の法線方向すなわち垂直方向に対して傾斜する方向に電磁界を放射するように設定される。以上の構成により,マイクロ波の電磁界は,導体板151から誘電体板104を介してチャンバー110内に放射される。
【0030】
ラジアル導波路159内を伝搬する電磁界の波長(以下,管内波長という)が,λgであるとき,2枚の導体板151,153の間隔はλg/2未満に設定される。例えば周波数が2.45GHzの高周波を使用する場合,ラジアル導波路159内の比誘電率εvが1であれば,2枚の導体板151,153の間隔は6cm未満となる。この間隔をλg/2未満とすることにより,導体板151,153間に定在波が形成されることを防止できる。ただし,導体板151および153間の放電を防止するため,上記間隔は,0.5/(εv)1/2cm以上とすることが好ましい。
【0031】
上記導体板151,153およびリング部材155は,銅,アルミニウム,SUS,ニッケル,又はこれらそれぞれの合金等の導体により形成される。なお,導体板151,153間,すなわちラジアル導波路159内に,セラミックなどの誘電体部材(比誘電率>1)を配置してもよい。また,ラジアルアンテナ102は誘電体板104によりチャンバー110から隔離されて保護されており,プラズマに曝されることはない。
【0032】
円筒形状のシールド部材161は,誘電体板104およびラジアルアンテナ102の周囲を覆っている。シールド部材161は,例えばアルミニウム,SUS,ニッケル,銅,又はこれらそれぞれの合金等の金属で形成されている。ラジアルアンテナ102から放射された電磁界はこのシールド部材161により遮断されるので,プラズマ処理装置100の外部に漏れることはない。
【0033】
チャンバー110の底部の略中央には排気用の孔が設けられ,チャンバー110内は,この孔から後述するベローズ120,122を通って,さらに下方に設けた下部フランジ166へ向けて排気される。
【0034】
下部排気口フランジ166には,例えば排気口171が形成されている。下部排気口フランジ166の下部には,バルブ143を介してターボポンプ142が接続されている。バルブ143は,例えばシャットオフバルブ(ハイバックバルブ)とAPC(Auto Pressure Controller)バルブのような圧力制御バルブとから構成される。
【0035】
下部排気口フランジ166には排気口171と連通するラフ引き排気口173が設けられ,このラフ引き排気口173には,電磁バルブ139を介して接続したラフ引きライン140が図示しない真空ポンプに接続されている。
【0036】
チャンバー110内を排気する際には,バルブ143を閉にし,電磁バルブ139を開にして,上記排気口171からラフ引き排気口173,ラフ引きライン140を介してロータリーポンプ(図示せず)で所定の真空度まで粗引きする。その後,電磁バルブ139を閉にし,バルブ143を開にして排気口171に接続されたターボポンプ142により,排気出口141から排気する。これにより,チャンバー110内を所望の真空度にすることができる。
【0037】
チャンバー110の側壁には,載置台108の被処理体載置面より上方側に,各種処理ガスなどを導入するガスインジェクタ106が設けられている。ガスインジェクタ106には,例えば環状に形成するノズル部が設けられ,そのノズル部に形成された複数の孔より処理ガスを供給するように構成されている。なお,ガスインジェクタは,チャンバー110内の均等の位置に複数のノズルを設けて構成してもよいし,またシャワー状に形成されていてもよい。
【0038】
チャンバー110の内部には,載置台108が設けられている。載置台108は,被処理体としての例えば半導体ウエハ(図示せず)等を載置する台であり,上下動可能に構成されている。載置台108上面(載置面)には,半導体ウエハの外径より少し外側まで,例えば0.5〜1mm程度深さの凹部が形成され,その凹部内に半導体ウエハが載置されて,載置位置がずれるのを防いでいる。
【0039】
なお,載置台108の載置面に静電チャックを設けてもよい。この場合には,半導体ウエハは静電チャックにより静電吸着されるので,載置台108の載置面に凹部を形成しなくても,載置位置がずれることはない。
【0040】
載置台108の内部には,発熱抵抗体(図示せず)が埋設されている。発熱抵抗体に配線177を介して電源(図示せず)により電力を印加して載置台108を加熱し,ウエハを加熱するようになっている。また,配線175に接続された温度測定部材(図示せず),例えば熱電対等が設けられている。温度測定部材は,載置台108の温度をモニタし,その測定値を用いて半導体ウエハの温度を均一に加熱,制御する。載置台108の材質は,AlN,Al等のセラミックで形成される。このうち,AlNは熱伝導が良い点で,このAlNにより形成することが好ましい。
【0041】
さらに,載置台108内の表面側に下部電極が埋設されている。なお,この下部電極に,マッチングボックス(図示せず)を介して高周波電源(図示せず)を接続してもよい。この場合,高周波電源は例えば450kHz〜13.65MHzの高周波を印加して高周波バイアスをかけられるようにしてもよく,また,直流電源を接続して,連続バイアスをかけるようにしてもよい。
【0042】
チャンバー110の下側には,載置台108を上下動可能に保持する機構を備える。チャンバー110の底部下面には,チャンバー110の底部の孔と略同径の孔を有する上部フランジ134が設けられている。上部フランジ134と下部排気口フランジ166との間には載置台108を支持する載置台固定部124が上下動可能に保持されている。
【0043】
載置台固定部124は,載置台支持体116を介して載置台108を支持している。載置台固定部124は例えばAl等の金属で形成され,載置台支持体116は例えばAlN等のセラミックで形成される。載置台固定部124は,上部フランジ134と下部排気口フランジ166との間に,上述したベローズ120,122により支持され,スライド保持機構240と載置台駆動機構220により上下方向に移動可能に取付けられている。載置台固定部124が上下されると,連動して載置台108が上下するように構成されている。
【0044】
ここで,上記載置台固定部124の詳細な構成について,図1,図2,図3を参照しながら説明する。図2は,載置台固定部124の空間191をその開口部に沿って切断した場合の断面図である。図3(a)は図2に示すA−A断面図,図3(b)は図2に示すBB断面図である。
【0045】
図1に示すように,載置台固定部124の上下には,本発明の特徴である,載置台108を水平保持可能な水平保持部材として例えばベローズ120,122が気密に配置されている。ベローズ120,122についての詳細は後述する。載置台固定部124は,上側ベローズ120の中空部と下側ベローズ122の中空部とを連通する連通孔(排気口)126が複数設けられている。上側ベローズ120の中空部は,チャンバー110内の空間(処理空間)に連通しており,下側ベローズ122の中空部は下方のフランジ166に設けられた排気口171に連通している。またフランジ166の排気口171は,ラフ引きライン140およびターボポンプ142と,チャンバー110との間を連通させている。このように,チャンバー110内の空間は,チャンバー110の底部略中央に形成した孔より,均一に排気する構成になっているので,上側ベローズ120の中空部,載置台固定部124の連通孔126,下側ベローズ122の中空部を介して下方の排気口171に連通されて,排気口171からチャンバー110内の排気を均一に行うことができる。
【0046】
載置台固定部124の排気口126は,例えば図3(a),(b)に示すように均等に分割されて設けられている。排気口126は,載置台固定部124の中心C1に対してほぼ点対称に形成され,処理室内の排気が均等に行われ,かつ載置台固定部124にかかる圧力が均等になるように考慮されている。このように,水平保持部材をベローズ120,122のような中空部を有する部材とし,このベローズ120,122を介して載置台固定部124をチャンバー110から排気口171の間を連通するように設けることにより,排気口171からチャンバー110の吸引を効率よく均一に行うことができる。
【0047】
また,載置台固定部124には,中央部から側部へ向けて開口した空間191が設けられている。この空間191は,開口部191aを介して大気と連通している。空間191は,載置台支持体116内の空間193と連通しており,共に大気開放されている。
【0048】
載置台固定部124の空間には,載置台108内に設けられた発熱抵抗体(図示せず)へ電力を供給する配線177,および載置台108の温度を測定制御する熱電対の配線175などの内容物が配設されている。上記配線177,熱電対の配線175などは,載置台支持体116内の空間193,および載置台固定部124内を経て,大気側の空間191からプラズマ処理装置100の外部へ引き出されているのでメンテナンス等を容易に行うことができる。
【0049】
さらに載置台固定部124下部には,図2,図3(a)に示すように冷却水路183が埋設され,プラズマ処理装置100外部から冷却水を導入できるようになっている。冷却水は,載置台108の熱が載置台支持体116を経て載置台固定部124の温度を上昇させるのを防止する。
【0050】
載置台108と載置台支持体116は一体成形,またはロー付け等で接合されており,真空シールおよび固定用のネジが不要な構造となっている。載置台108と載置台支持体116は,例えばALNなどの同一材料で形成される。載置台支持体116の下部は,例えAlなどの断熱材又はセラミック等の絶縁材からなる支持固定部181の上側に,Al等の金属又は合金からなる固定リング180を介してネジなどにより固定され,載置台支持体116からの熱の移動を抑制している。載置台支持体116と支持固定部181は,Oリング179等により気密にシールされている。また,支持固定部181は,載置台固定部124にOリング等で気密に固定される。
【0051】
載置台固定部124に気密に接続するベローズは,例えば載置台固定部124の上部に設けられた上側ベローズ120と,載置台固定部124の下部に設けられた下側ベローズ122からなる。ベローズ120,122は,伸縮可能な蛇腹状の略円筒形状に形成され,チャンバー110内を真空に減圧した後,載置台108が傾くのを吸収して水平に保持する。
【0052】
上側ベローズ120の上部は,上部フランジ134に形成された孔の下側縁部にフランジ部120aを介して接続されている。上側ベローズ120の下部はフランジ部120bを介して載置台固定部124の上部に接続されている。下側ベローズ122の上部はフランジ部122aを介して載置台固定部124の下部に接続されており,下側ベローズ122の下部はフランジ部122bを介して下部排気口フランジ166の上部に接続されている。
【0053】
このようにベローズ120,122を介して載置台固定部124を上部フランジ134と下部排気口フランジ166との間に設けることにより,載置台固定部124を介して載置台108を水平に安定して保持することができる。なお,水平保持部材は,載置台108を水平に保持可能なものであれば,ベローズには限られない。本実施の形態では,水平保持部材をベローズ120,122としたことにより,載置台108の移動と共に伸縮させることができるので,可動する載置台108に適用できる点で有利である。
【0054】
チャンバー110内には,図1に示すリフタピン114を上下させるリフタ駆動機構(図示しない)が設けられている。リフタピン114は,半導体ウエハを載置する際にはリフタ駆動機構により降下して半導体ウエハを載置台108に降下させ,搬出する際にリフタ駆動機構により上昇して半導体ウエハを載置台108から押し上げる。半導体ウエハは,図1に示すウエハ搬出入口105,ゲートバルブ107を介して搬入または搬出される。
【0055】
次に本実施の形態にかかるプラズマ処理装置100によりエッチング処理を行う場合の作用について説明する。まず,位置dにある載置台108上に被処理体を搬入し,リフタ駆動機構(図示せず)によりリフタピン114を下降させ,被処理体搬入出口(図示せず)より搬入された被処理体を載置台108に載置する。そして,静電チャックをオンにし,被処理体を保持する。このとき,被処理体の温度を例えば−20℃〜20℃に制御する。なお,載置台には高周波電力を印加してバイアスをかけられるようにしてもよい。
【0056】
続いてまずラフ引きライン140から排気を行う。その後一定の真空度に達した後はターボポンプ142によって,チャンバー110内を例えば1〜133.3Paの所定の真空度にまで排気する。この真空度を維持した状態で,ガスインジェクタ106より,例えば,Ar,CF,C等のプラズマガスおよび処理ガスを流量制御しながら導入する。
【0057】
次に,チャンバー110内にプラズマガスおよび処理ガスが導入された状態で,例えば載置台108を位置uに移動させ,その後,ラジアルアンテナ102にマイクロ波電磁界を供給する。ラジアルアンテナ102に供給された電磁界は,導体板151,および153によって構成されるラジアル導波路159の中央部から外周部に向かって放射状に伝搬して行き,導体板151に形成された多数のスロット157から放射される。
【0058】
この高周波の電磁界は,誘電体板104を透過してチャンバー110内に導入される。高周波の電磁界は,チャンバー110に電界を形成してArを電離させ,半導体ウエハの上部空間にプラズマを生成させる。この後,エッチング処理に最適な例えば位置cに載置台108を移動し,半導体ウエハにエッチング処理を行う。
【0059】
プラズマ処理装置100においては,載置台108に負電位をバイアスすることにより生成されたプラズマからイオンが引き出されて,半導体ウエハ表面に衝突することでエッチング処理が行われる。
【0060】
エッチング処理が終了すると再び載置台108は位置dに降下される。そして,静電チャックをオフにする。半導体ウエハは,リフタピン114が押し上げられることにより,載置台108から離間して移動可能となり,チャンバー110外へ搬出される。
【0061】
次に,載置台を上下に駆動する機構の構成を,図1,図4を参照しながら説明する。図4は,図1に示す載置台固定部近傍の部分拡大図である。載置台108は上述したように,載置台固定部124に支持されてともに移動する。上記載置台固定部124は,載置台駆動機構220と,他方の側面を支持するスライド保持機構240とにより支持されている。
【0062】
先ず,載置台駆動機構220の構成を説明する。上部フランジ134の端部下側には,保持部材222が設けられ,この保持部材222にリニアレール224とモータ226が取付けられている。リニアレール224は,保持部材222の内側に固定部材224a,224bを介して上下方向にわたるように固定されている。リニアレール224には,案内部材228がリニアレール224に沿って移動可能に取付けられている。この案内部材228には載置台固定部124の端部の側面が固定されており,載置台固定部124は案内部材228を介してリニアレール224に沿って上下動可能となっている。このリニアレール224と案内部材228により移動補助部材を構成してもよい。
【0063】
モータ226は,保持部材222の外側に設けられている。モータ226は,電源供給部226aを介して図示しない電源から電力が供給される。モータ226の下方には,プーリ230が設けられている。このモータ226側のプーリ230は,ベルト232を介してリニアレール224側のプーリ234に接続されている。リニアレール224内にはプーリ234の回転運動を案内部材228のスライド運動に変換する図示しない変換機構が設けられている。
【0064】
上記変換機構としては,例えば案内部材228に設けたねじ孔に螺合してなるボールねじで構成してもよい。これによれば,モータ226を駆動すると,プーリ230,ベルト232を介してプーリ234が回転してボールねじが回転することにより,載置台固定部124は案内部材228を介してリニアレール224に沿って上下し,高速かつ精度よく可動される。
【0065】
次に,スライド保持機構240について説明する。上部フランジ134の下面と下部排気口フランジ166の上面との間にスライド棒242が設けられている。スライド棒242は,上部支持棒244と下部支持棒246の間にそれぞれストッパ244a,246aを介して固定されている。上記載置台固定部124の端部には上記スライド棒242にスライド可能に挿入される貫通孔250が設けられている。載置台固定部124は,上記端部がスライド棒242に沿ってスライドすることによって上下方向に案内される。
【0066】
なお,スライド保持機構240は,載置台固定部124における載置台駆動機構220が設けられた端部とは反対側の端部に設けることが好ましい。これにより,載置台108を載置台固定部124により上下動する際に,より安定して水平を保持させることができ,上下移動をよりスムーズに行うことができる。また,スライド保持機構240は複数設けてもよい。本実施の形態ではスライド保持機構240が2つ設けられており,そのうちの1つを図1,図4に示している。これにより,載置台を上下動する際の水平安定性を高めることができる。このスライド保持機構240により移動補助部材を構成してもよい。
【0067】
このように,載置台固定部124は,その端部が載置台駆動機構220,スライド保持機構240により支えられるとともに,その下部がベローズ122により支えられる。これにより,半導体ウエハの処理動作の間,載置台108は,位置u,cまたはdのどの位置にあっても,載置台固定部124およびベローズ122に支えられて水平かつ安定に保持される。
【0068】
以上,詳細に説明したように,本実施の形態にかかるプラズマ処理装置100においては,載置台108を固定する載置台固定部124の下部にもベローズ122を設けて,載置台固定部124の安定性を高めることができる構成になっている。すなわち,ベローズ120,122は気密を保持すると共に,載置台108を水平に安定して保持するように構成されている。
【0069】
このため,従来のプラズマ処理装置のようにベローズ122がなく,載置台固定ブロックが気密を保持するように穴のない構成では,載置台固定ブロックは載置台保持機構によって片側のみ保持されることになり,チャンバー内の真空度が高くなって外部からの気圧がかかるようになると,傾斜が生じて半導体ウエハに均一な処理が行えなかったが,これを改善する効果がある。
【0070】
また,載置台108が傾くことで,リフタピン114の微調整が必要になることがあったが,この調整が不用となり,メンテナンス面での機能向上の効果がある。また,処理装置はチャンバー110内の底部の中央に排気口を設けて,チャンバー110内を均一に排気する構成をとっており,本発明の載置台固定方法は,気密性,上下駆動の安定性,メンテナンス性を効果的に改善することができる。
【0071】
なお,載置台固定部124は,その側部が載置台駆動機構220,スライド保持機構240により支えられるとともに,その上下部がそれぞれベローズ120,122により気密に接続される。
【0072】
(第2の実施の形態)
図5は,第2の実施の形態にかかるプラズマ処理装置300を示す概略断面図である。図5に示すように,プラズマ処理装置300は,上部が開口している円筒形状のチャンバー310を有している。チャンバー310は,例えばアルミニウム,ステンレススチール等の金属又はその合金からなる導体部材で形成されている。
【0073】
チャンバー310の上部開口部には,平板状に形成された誘電体板304が水平に配置されている。誘電体板304は,例えば厚さ20〜30mm程度の石英またはセラミックなどが用いられる。チャンバー310と誘電体板304との間は,オーリング等のシール材(図示せず)を介在させて,気密性を保持できるようになっている。
【0074】
誘電体板304の上部には,例えばスロットアンテナの1つであるラジアルアンテナ350が設置されている。ラジアルアンテナ350は,導波管352,同軸導波変換器353および矩形導波管354で構成された導波路359を介して,マイクロ波発生電源部356に接続されている。マイクロ波発生器は300M〜30GHZ,例えば2.45GHzのマイクロ波を発生する。ラジアルアンテナ350上部には,導電体355で覆われて,その上に冷却ジャケット357を備えたクリーニングプレートが配置されている。これにより,ラジアルアンテナ350,誘電体板304を効率よく冷却することができる。また,矩形導波路の途中にインピーダンスのマッチングを行うマッチング回路(図示せず)を設けて,電力の使用効率を向上させるように構成することができる。
【0075】
導波管352の内部には,導電性材料よりなる軸部351がラジアルアンテナ350上面中央部に接続される。これにより導波管352は同軸導波管として構成され,誘電体板304を介してチャンバー310内に高周波の電磁界を放射する。ラジアルアンテナ350は誘電体板304によりチャンバー310から隔離されて保護される。このためラジアルアンテナ350は,プラズマに曝されることがない。
【0076】
チャンバー310の下部には,中空のフランジ管375,377が気密に設けられている。フランジ管377の底面には,排気口371が形成されている。このフランジ管377の下部には,バルブ343を介してターボポンプ342が接続されている。バルブ343は例えばハイバックバルブとAPCバルブのような圧力制御バルブから構成される。また,フランジ管377の下部側面には,チャンバー310内をラフ引きするラフ引き排気口373が設けられ,このラフ引き排気口373には,電磁バルブ339を介して接続したラフ引きライン340を介して図示しない真空ポンプが設けられ,この真空ポンプにターボポンプ342の排気ライン341が接続している。
【0077】
上記ラフ引きライン340,ターボポンプ342を介して排気することで,チャンバー310内を所望の真空度にすることができる。また,チャンバー310の側壁には,各種処理ガスなどを導入するガスインジェクタ306が例えばノズル状又は均一に供給されるシャワー状にチャンバー310の上部に設けられている。
【0078】
チャンバー310の内部には,被処理体となる例えば半導体ウエハ(図示せず)等を載置する載置台308が設けられている。載置台308上面には,半導体ウエハの外径より少し外側まで,例えば0.5〜1mm程度深さの凹部が形成され,半導体ウエハの載置する位置がずれるのを防いでいる。なお,例えば静電チャックを設けた場合には,静電力で保持されるので,凹部の溝はなくてもよい。
【0079】
上記載置台308の内部には,発熱抵抗体(図示せず)が埋設されている。発熱抵抗体に電力を印加して載置台308を加熱し,ウエハを加熱する構造になっている。載置台308の材質は,AlN,Al等のセラミックである。
【0080】
また載置台308内に下部電極が埋設されている。この下部電極に,マッチングボックス(図示せず)を介して高周波電源(図示せず)を接続してもよい。この場合,高周波電源は例えば450kHz〜13.65MHzの高周波を印加して高周波バイアスをかけられるようにしてもよく,また,直流電源を接続して,連続バイアスをかけるようにしてもよい。
【0081】
載置台固定部324は,支持体316等を介して載置台308を支持している。載置台固定部324は例えばAlなどの金属又はその合金で形成され,載置台支持体316は例えばAlN等のセラミックで形成される。載置台308と支持体316は一体,またはロー付け等で接合されており,真空シールおよび固定用のネジが不要な構造となっている。
【0082】
載置台支持体316の下部は,例えAlなどの金属又はその合金からなる支持固定部381に,Al等の金属又は合金からなる固定リング380を介してネジなどにより固定され,載置台308面上と誘電体板304とのギャップの調整が可能である。また載置台支持体316と支持固定部381は,図示しないOリング等により気密にシールされている。また,支持固定部381は,載置台固定部324に図示しないOリング等で気密に固定される。
【0083】
載置台固定部324は,フランジ管377の側面にネジ等により図示しないOリング等で気密に固定されている。具体的には載置台固定部324の側部が,フランジ管377の内側面に接続されている。また載置台固定部324の下部は,メンテナンスなどの組立時に載置台308を載置台固定部324を介して水平に位置決めする位置決め部材の機能を有する固定部材384により支持されている。この固定部材384はフランジ管377に設けた固定孔に外側から気密に挿入されて,フランジ管377に固定される。固定部材384の端部には,載置台固定部324がその下部に設けられた係止部材328を介して載置台を容易に水平にできるように取付けられている。
【0084】
上記固定部材384は位置決め部材としても機能する。上記載置台308は,載置台固定部324の下部が係止部材328を介して固定部材384の端部に予め設けられた係止部に係止されることにより位置決めされる。例えば図5に示すように固定部材384の端部上側に係止部として凹部を設け,この凹部に係止部材328の下部に形成された凸部が挿入されることにより,係止されるようにしてもよい。この場合,係止部材328は,固定部材384の係止部にネジやボルトで固定してもよい。また,図示はしないが,固定部材384の端部に位置決め部材の係止部として孔部を設け,この孔部に載置台固定部324の下部が差込まれるようにしてもよい。
【0085】
また,上記載置台固定部324の内部には,フランジ管377の側壁へ向けて開口した空間391及び載置台固定部324と連通する開孔が設けられており,この空間391はフランジ管377の側面に設けられた開口部371aを介して大気と連通している。また空間391は,支持固定部381内の空間392を介して,載置台支持体316内の空間394と連通しており,共に大気開放されている。
【0086】
載置台固定部324の空間には,載置台308内に設けられた発熱抵抗体(図示せず)へ電力を供給する配線,および載置台308の温度を測定制御する熱電対の配線などの内容物が配設されている。なお,上記配線などの内容物は,図2に点線で示すものと同様であるため,図5では省略している。上記内容物は,載置台支持体316内の空間394,載置台固定部324の空間391を経て,フランジ管375の開口部371aからプラズマ処理装置300の外部へ引き出されている。
【0087】
さらに載置台固定部324下部には冷却水路383が埋設され,プラズマ処理装置300外部から冷却水を導入できるようになっている。冷却水は,載置台308の熱が載置台支持体316を経て載置台固定部324の温度を上昇させるのを防止する。
【0088】
このように,プラズマ処理装置300においては,載置台308はフランジ管377に複数箇所で固定されている。例えば本実施の形態では,載置台308は,載置台308が取付けられる載置台固定部324の側部と底部の2箇所で固定されている。載置台固定部324の底部は,係止部材328と固定部材384を介してフランジ管377に固定される。載置台固定部324の側部は,フランジ管377の内側面に固定されている。つまり,載置台308は,2箇所の固定部によってフランジ管377に固定されることにより,チャンバー310に対して固定されている。また,メンテナンスを行う際に,載置台308,載置台支持体316,支持固定部381,載置台固定部324等は,固定部材384の端部に形成された凹部に,係止部材328の凸部が指し込まれることにより位置決めされるため,容易にかつ水平に取付することができる。
【0089】
なお,チャンバー310内には,コンタミネーション(汚染)防止のために,上記載置台308の周囲を囲むようにバッフルプレート310aを設けてもよい。バッフルプレート310aはバッフルプレート支持部材310bにより,支持されている。またチャンバー310の内壁には,内壁を保護するライナー310cを設けてもよい。このように,チャンバー310内をシールドプレートでシールドすることでクリーンな環境を形成することができる。
【0090】
次に本実施の形態にかかるプラズマ処理装置300による成膜処理動作の1例として,MIS型半導体装置における,ゲート酸化膜例えばSiO,SiON膜又はSiN膜等をウエハ上に形成する場合について説明する。プラズマ処理装置300では,誘電体板304と載置台308の距離は,予め固定されているので,まず,ゲートバルブ307を開いてウエハ搬出入口305より載置台308上に半導体ウエハを搬入する。このとき半導体ウエハには,予め希フッ酸溶液(1%HF)等によりクリーンなSi面を形成する。半導体ウエハが搬入されると,リフタピン314を下降させて,搬入された半導体ウエハを載置台308に載置する。
【0091】
続いてまずラフ引きライン340から排気を行う。その後一定の真空度に達した後はターボポンプ342によって,チャンバー310内を例えば1〜133.3Paの所定の真空度まで排気する。この真空度を維持した状態で,ガスインジェクタ306より,処理ガスを流量制御しながら均一に導入する。
【0092】
次に,チャンバー310内にプラズマガスおよび処理ガスが導入された状態で,ラジアルアンテナ350にマイクロ波発生電源部356より導波路359を介して例えば2.45GHzの高周波電磁界を供給する。この高周波の電磁界は,矩形導波管354内を矩形モードで伝送し,同軸導波変換器353にて矩形モードから円形モードに変換され,円形モードで円形同軸の導波管352を伝送し,さらにラジアルアンテナ350のスロットより放射される。さらに,高周波の電磁界は誘電体板304を透過してチャンバー310内に導入され,チャンバー310に電界を形成して処理ガスを電離させることにより,半導体ウエハの上部空間にプラズマを生成させ,半導体ウエハに所定の処理が施される。
【0093】
Si基板上に直接絶縁膜(SiON膜)を形成する場合は,載置台308を加熱して半導体ウエハの温度を例えば400℃に加熱する。その状態で,ガスインジェクタ306より処理ガスとして,例えばXeガス/Nガス/Hガス/Oガスをそれぞれ500sccm/25sccm/15sccm/1sccm(=Xeガス/Nガス/Hガス/Oガス)の流量比で導入する。なお,上記処理ガスは,Xeガスの代りにArガスを含んでもよい。上記処理ガスのプラズマを形成して酸化窒化処理することにより,Si基板上にSiON膜を形成する。なお,SiO膜を形成する場合は,Nガスを除いた処理ガスを用いる。また,SiN膜を形成する場合は,Oガスを除いた処理ガスを用いる。
【0094】
このような成膜処理が終了すると,リフタピン314が押し上げられることにより,載置台308に静電チャックなどにより固定されていた半導体ウエハは押し上げられて移動可能となり,ウエハ搬出入口305より搬出される。
【0095】
上記成膜処理動作の間,載置台308を支持する載置台固定部324は,固定部材384の端部に形成された凹部に,係止部材328の凸部が指し込まれることにより,位置決めおよび固定されている。さらに,載置台308は,載置台固定部324により,チャンバー310下部のフランジ管377に固定されているので,傾くことはない。
【0096】
以上,詳述したように,本実施の形態にかかるプラズマ処理装置300においては,載置台308を固定する載置台固定部324がフランジ管375,377および固定部材384によりチャンバー310等に固定されているので,載置台固定部324および載置台308の安定性を高めることができる構成になっている。
【0097】
このため,従来のプラズマ処理装置では,載置台が傾くことで,半導体ウエハに均一な処理が行えなかったが,これを改善し,載置台を水平に保持できる効果がある。また,半導体ウエハの載置台308への載置を補助するリフタピンの微調整が必要になることがあったが,この調整が不用となり,メンテナンス性の向上に効果がある。
【0098】
以上,添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが,本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された範疇内において,各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0099】
例えば,本実施の形態においては処理装置として,エッチング装置および成膜装置を例にして説明したが,必ずしもこれに限定されるものではなく,処理容器内を所定の真空度にして処理を行う処理装置であって,被処理体の載置台を上下動可能に設置する処理装置であれば,本発明は適用が可能である。例えば,平行平板型プラズマ処理装置,ヘリコン波プラズマ処理装置、誘導結合型プラズマ処理装置等,様々な処理装置に適用してもよい。
【0100】
また,半導体装置製造用のプラズマ処理装置のみでなく,液晶表示装置用基板の製造に用いるプラズマ処理装置にも適用が可能である。その場合には,被処理体の形状に合わせて処理容器の形状が矩形筒状であれば,ベローズも矩形筒状のものを採用することは本発明の範囲である。真空処理装置で被処理体を載置する載置台を有する場合,又は処理装置の中央より排気する場合にはより有効である。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明は処理装置に利用可能であり,特に被処理体を載置する載置台を備えた処理装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0102】
100 プラズマ処理装置
102 ラジアルアンテナ
104 誘導体板
106 ガスインジェクタ
108 載置台
110 チャンバー
116 載置台支持体
120 上側ベローズ
122 下側ベローズ
124 載置台固定部
126 排気口
134 上部フランジ
140 ラフ引きライン
142 ターボポンプ
159 ラジアル導波路
166 下部排気口フランジ
171 排気口
173 ラフ引き排気口
220 載置台駆動機構
224 リニアレール
226 モータ
228 案内部材
240 スライド保持機構
242 スライド棒
242 スライド棒
300 プラズマ処理装置
308 載置台
310 チャンバー
316 載置台支持体
324 載置台固定部
328 係止部材
340 ラフ引きライン
342 ターボポンプ
350 ラジアルアンテナ
356 マイクロ波発生電源部
371 排気口
373 ラフ引き排気口
375 フランジ管
377 フランジ管
384 固定部材
W 半導体ウエハ
P ピッチ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理容器内で被処理体に所定の処理を行う処理装置であって,
前記処理容器内に配置され,前記被処理体を載置する載置台と,
前記載置台に接続され,前記載置台を支持する載置台支持体と,
前記載置台支持体を支持し,前記処理容器内で前記載置台を上下動自在に支持する載置台固定部と,
前記載置台支持体の下部と前記載置台固定部の上部との間に配置され,前記載置台支持体と前記載置台固定部との間の熱の移動を抑制する支持固定部と,
前記載置台固定部の上下にそれぞれ気密に配置され,前記載置台の傾きを吸収して前記載置台の水平状態を保持するものであり,伸縮可能な蛇腹状の円筒形状に形成されたベローズである水平保持部材と,
前記載置台固定部に連結され,前記載置台固定部を上下動させる載置台駆動機構と,
前記各水平保持部材それぞれの内部空間である中空部と,
前記載置台固定部の下方に設けられ,前記処理容器を排気するための排気口および当該排気口に連通されたラフ引き排気口を含む下部排気口フランジと,
前記載置台固定部内部に形成され,前記各水平保持部材の中空部を連通させ前記処理容器内を排気するための連通孔と,
を備え,
前記載置台駆動機構は,リニアレールと,前記リニアレールに沿って前記載置台固定部を支持して上下方向に案内する案内部材と,前記案内部材を介して前記載置台固定部を上下方向に駆動させるためのモータと,を有し,
前記載置台固定部は,前記載置台固定部を固定する案内部材をリニアレールに沿って上下駆動させる前記載置台駆動機構と,前記処理容器に固定されたスライド棒に沿って上下にスライド可能なスライド支持機構と,を有し,前記載置台固定部の側面は,前記案内部材により支持されており,
前記処理容器と前記載置台固定部との間および前記載置台固定部と前記下部排気口フランジとの間に位置する前記水平保持部材の中空部と,前記載置台固定部の連通孔と,を介して前記処理容器内の排気を行い,
前記載置台固定部の内部および前記載置台支持体の内部には,大気開放された空間が形成されていることを特徴とする処理装置。
【請求項2】
さらに,前記載置台固定部を支持して前記載置台固定部の移動を補助する移動補助部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記連通孔は,前記処理容器内を均一に排気するように均等に複数形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の処理装置。
【請求項4】
前記載置台固定部には,前記処理装置の外部から冷却水を導入するための冷却水路が形成されていることを特徴とする,請求項1〜3のいずれか一項に記載の処理装置。
【請求項5】
前記載置台固定部には,水平断面が円形形状の大気開放された空間が形成されていることを特徴とする,請求項1〜4のいずれか一項に記載の処理装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−245564(P2010−245564A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−163101(P2010−163101)
【出願日】平成22年7月20日(2010.7.20)
【分割の表示】特願2003−560971(P2003−560971)の分割
【原出願日】平成15年1月10日(2003.1.10)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】