説明

出力回路及びデータドライバ及び表示装置

【課題】高速動作に対応可能とし、消費電力を抑制可能とし面積も抑制可能とする出力回路の提供。
【解決手段】出力回路は、差動入力段10と出力増幅段20と増幅加速回路70を備え、増幅加速回路70は、入力対が入力端子1と出力端子2に夫々接続された差動対171、172と、第5の電源端子E5と前記差動対の出力対間にそれぞれ接続された負荷素子対174、175を備え、差動対171、172の入力電位差によって、差動入力段10の第2のカレントミラー40の入力が接続する第4のノードN4への電流供給を制御する第1の電流源回路176と、差動入力段10の第1のカレントミラー30の出力が接続する第1のノードN1への電流供給を制御する第2の電流源回路178を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出力回路とそれを用いたデータドライバ及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、表示装置は、薄型、軽量、低消費電力を特徴とする液晶表示装置(LCD)が幅広く普及し、ノートPCやモニターだけでなく、大画面液晶テレビや多機能携帯電話機、タブレット型高機能情報端末などに用途が広がっている。これらの液晶表示装置としては、高精細表示が可能なアクティブマトリクス駆動方式の液晶表示装置が多く利用されている。また液晶表示装置に次ぐ薄型表示装置として、自発光型で鮮明な画質を特長とする有機発光ダイオード(Organic light−emitting diode:OLED)を用いたアクティブマトリクス駆動方式の表示装置の開発も進んでいる。
【0003】
図12を参照して、アクティブマトリクス駆動方式の薄型表示装置(液晶表示装置及び有機発光ダイオード表示装置)の典型的な構成について概説しておく。なお、図12(A)には、薄型表示装置の要部構成がブロック図にて示され、図12(B)には、液晶表示装置の表示パネルの単位画素の要部構成、図12(C)には、有機発光ダイオード表示装置の表示パネルの単位画素の要部構成がそれぞれ示されている。図12(B)、及び図12(C)の単位画素は、模式的な等価回路で示す。
【0004】
図12(A)を参照すると、一般に、アクティブマトリクス駆動方式の薄型表示装置は、電源回路940、表示コントローラー950、表示パネル960、ゲートドライバ970、データドライバ980で構成される。表示パネル960は、画素スイッチ964と表示素子963を含む単位画素がマトリクス状に配置され(例えばカラーSXGA(Super eXtended Graphics Array)パネルの場合、1280×3画素列×1024画素行)、各単位画素にゲートドライバ970から出力される走査信号を送る走査線961と、データドライバ980から出力される階調電圧信号を送るデータ線962とが格子状に配線される。なお、ゲートドライバ970及びデータドライバ980は、表示コントローラー950によって制御され、それぞれ必要なクロックCLK、制御信号等が表示コントローラー950より供給され、映像データは、デジタル信号にてデータドライバ980に供給される。電源回路940は、ゲートドライバ970、データドライバ980に必要な電源を供給する。表示パネル960は、半導体基板で構成され、特に大画面表示装置ではガラス基板やプラスチック基板等の絶縁性基板上に薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)で画素スイッチ等を形成した半導体基板が広く使われている。
【0005】
上記表示装置は、画素スイッチ964のオン・オフを走査信号により制御し、画素スイッチ964がオンとなるときに、映像データに対応した階調電圧信号が表示素子963に印加され、該階調電圧信号に応じて表示素子963の輝度が変化することで画像を表示するものである。
【0006】
1画面分のデータの書き換えは、1フレーム期間(60Hz駆動時は通常、約0.017秒)で行われ、各走査線961で1画素行毎(ライン毎)、順次、選択(画素スイッチ964がオン)され、選択期間内に、各データ線962より階調電圧信号が画素スイッチ964を介して表示素子963に供給される。なお、複数画素行を対応する複数の走査線で同時に選択したり、動画特性を向上させるため、120Hz駆動やそれより高いフレーム周波数で駆動される場合もある。
【0007】
液晶表示装置の場合、図12(A)及び図12(B)を参照すると、表示パネル960は、単位画素として画素スイッチ964と透明な画素電極973をマトリクス状に配置した半導体基板と、面全体に1つの透明な電極974を形成した対向基板と、これら2枚の基板を対向させて間に液晶を封入した構造からなる。なお単位画素を構成する表示素子963は、画素電極973、対向基板電極974、液晶容量971及び補助容量972を備えている。また表示パネルの背面に光源としてバックライトを備えている。
【0008】
走査線961からの走査信号により画素スイッチ964がオン(導通)となるときに、データ線962からの階調電圧信号が画素電極973に印加され、各画素電極973と対向基板電極974との間の電位差により液晶を透過するバックライトからの光の透過率が変化し、画素スイッチ964がオフ(非導通)とされた後も、該電位差を液晶容量971及び補助容量972で一定期間保持することで表示が行われる。
【0009】
なお、液晶表示装置の駆動では液晶の劣化を防ぐため、対向基板電極974のコモン電圧に対して画素電極973の電圧極性(正又は負)を通常1フレーム周期で切替える駆動(反転駆動)が行われる。代表的な駆動として、隣接画素間で異なる電圧極性となるようなドット反転駆動や隣接画素列間で異なる電圧極性となるようなカラム反転駆動がある。1つのデータ線には、ドット反転駆動では1選択期間(1データ期間)毎に異なる電圧極性の階調電圧信号が出力され、カラム反転駆動では1フレーム期間内の各選択期間(データ期間)は同じ電圧極性で、1フレーム期間毎に異なる電圧極性の階調電圧信号が出力される。
【0010】
有機発光ダイオード表示装置の場合、図12(A)及び図12(C)を参照すると、表示パネル960は、単位画素として、画素スイッチ964、及び、2つの薄膜電極層に挟まれた有機膜からなる有機発光ダイオード982、有機発光ダイオード982に供給する電流を制御する薄膜トランジスタ(TFT)981をマトリクス状に配置した半導体基板からなる。TFT981と有機発光ダイオード982は、異なる電源電圧が供給される電源端子984と電源端子985(カソード電極)の間に直列形態で接続されており、TFT981の制御端子電圧を保持する補助容量983を更に備える。なお、1画素に対応した表示素子963は、TFT981、有機発光ダイオード982、電源端子984、985及び補助容量983で構成される。
【0011】
走査線961からの走査信号により画素スイッチ964がオン(導通)となるときに、データ線962からの階調電圧信号がTFT981の制御端子に印加され、該階調電圧信号に対応した電流が、TFT981により有機発光ダイオード982に供給され、電流に応じた輝度で有機発光ダイオード982が発光することで表示が行われる。画素スイッチ964がオフ(非導通)とされた後も、TFT981の制御端子に印加された該階調電圧信号を補助容量983で一定期間保持することで発光が保持される。なお画素スイッチ964、TFT981はnチャネル型トランジスタの例を示すが、pチャネル型トランジスタで構成することも可能である。また有機発光ダイオードは電源端子984側に接続される構成も可能である。また、有機発光ダイオード表示装置の駆動では、液晶表示装置のような反転駆動は必要なく、データ線962には1選択期間(1データ期間)毎に画素に対応した階調電圧信号が出力される。
【0012】
なお、有機発光ダイオード表示装置は、上記に説明したデータ線962からの階調電圧信号に対応して表示を行う構成とは別に、データドライバから出力された階調電流信号を受けて表示を行う構成もあるが、本明細書ではデータドライバから出力された階調電圧信号を受けて表示を行う構成に限定して説明する。
【0013】
図12(A)において、ゲートドライバ970は、少なくとも2値の走査信号を供給すればよいのに対し、データドライバ980は、各データ線962を階調数に応じた多値レベルの階調電圧信号で駆動することが必要とされる。このため、データドライバ980は、映像データに対応した階調電圧信号をデータ線962に増幅出力する出力回路を備えている。
【0014】
薄型表示装置を有するハイエンド用途のモバイル機器、ノートPC、モニタ、TV等においては高画質化の需要が求められる。具体的には、RGB各8ビット映像データ(約1680万色)以上の多色化(多階調化)や、動画特性向上や3次元表示対応のためフレーム周波数(1画面を書き換える駆動周波数)を120Hzや更にそれ以上高くする要求も出始めている。フレーム周波数がN倍となると、1データ出力期間はおよそ1/Nとなる。
【0015】
表示装置のデータドライバは、多階調化に対応した高精度な電圧出力とともに、データ線の高速駆動が求められるようになってきている。そのため、データドライバ980の出力回路は、データ線容量を高速に充放電するために高駆動能力が求められる。また、表示素子への階調電圧信号の書込みの均一化を図るために、充電時及び放電時のデータ線駆動波形のスルーレートの対称性も求められる。しかし、出力回路は、その高駆動能力化により消費電流が増加する。このため、出力回路では、消費電力の増加や発熱の問題も新たに生じている。
【0016】
次に、図11を参照して、表示用データドライバの出力レンジについて説明する。なお、図11は、関連技術の問題点を説明するために本願発明者により作成された図面である。図11(A)は、LCDドライバの出力レンジを表す。VDD、VSSはそれぞれ高位側電源電圧、低位側電源電圧を表す(VSSは一般にグランド電位=0V)。LCDドライバは、電源電圧VDD及びVSSの中間付近の対抗基板電極のコモン電圧COMに対して正極(高電位側)と負極(低電位側)の極性反転駆動を行う。
【0017】
図11(B)は、アクティブマトリクス駆動(電圧プログラム型)のOLEDドライバの出力レンジを表す。OLEDドライバには、LCDのような極性反転駆動はない。図11(B)では、出力レンジが、(VSS+Vdif)〜VDDである例が示されている。電位差Vdifは、表示パネルに形成されたOLED素子が発光するのに必要な電極間電位差や、OLED素子に供給する電流を制御する表示パネル上のトランジスタの閾値電圧による。
【0018】
表示装置のデータ線を高速駆動する関連技術の一例を以下に説明する。図13は、非特許文献1(SID 10 DIGEST pp.74−76 :6.6LのFig.3)から引用した図である。図13には、表示用データドライバ(大型LCDドライバ)の出力バッファとして、スルーレート(slew rate)をブーストし、セットリング時間の短縮を図るとともに低消費電力化を図る出力バッファが開示されている。図13において、差動増幅器700(SBC710を除く)と、入力電圧と出力電圧の差に応じてスルーレートをブーストするスルーレート加速回路(SBC:Slew Boosting Circuit)710を備えて構成される。なお、図13の差動増幅器700は、特許文献1(特開平6−326529号公報)に基づく構成である。
【0019】
図13を参照すると、差動増幅器700は、
低電位側電源端子(GND端子)に一端が接続された電流源IN1と、
ソースが電流源IN1の他端に共通接続され、ゲートが入力端子INPと出力端子OUTにそれぞれ接続され、Nch差動対を構成する、Nchトランジスタ(N1、N2)と、
高電位側電源端子(電源端子)に一端が接続された電流源IP1と、
ソースが接続され電流源IP1の他端に共通接続され、ゲートが入力端子INPと出力端子OUTにそれぞれ接続され、Pch差動対を構成するPchトランジスタ(P1、P2)と、
ソースが電源端子に接続され、ゲート同士が接続されたPchトランジスタ(P3、P4)と、Pchトランジスタ(P3、P4)のドレインにソースがそれぞれ接続され、ゲート同士が接続されたPchトランジスタ(P5、P6)からなり、Pchトランジスタ(P3、P4)の共通ゲートがPchトランジスタP5のドレインに接続され、PchトランジスタP3とP5の接続点と、PchトランジスタP4とP6の接続点が、Nchトランジスタ(N1、N2)のドレインにそれぞれ接続されたPchカスコードカレントミラー(P3〜P6)と、
ソースがGND端子に接続され、ゲート同士が接続されたNchトランジスタ(N3、N4)と、Nchトランジスタ(N3、N4)のドレインにソースがそれぞれ接続され、ゲート同士が接続されたNchトランジスタ(N5、N6)からなり、Nchトランジスタ(N3、N4)の共通ゲートがNchトランジスタN5のドレインに接続され、NchトランジスタN3とN5の接続点と、NchトランジスタN4とN6の接続点が、Pchトランジスタ(P1、P2)のドレインにそれぞれ接続されたNchカスコードカレントミラー(N3〜N6)と、
PchトランジスタP5のドレイン(Pchカスコードカレントミラー(P3〜P6)の入力ノード)と、NchトランジスタN5のドレイン(Nchカスコードカレントミラー(N3〜N6)の入力ノード)との間に接続された連絡回路V1(電圧源)と、
PchトランジスタP6のドレイン(Pchカスコードカレントミラー(P3〜P6)の出力ノード)と、NchトランジスタN6のドレイン(Nchカスコードカレントミラー(N3〜N6)の出力ノード)との間に接続された連絡回路V2(電圧源)と、
を備える。出力段として、
ソースが電源端子に接続され、ドレインが出力端子OUTに接続され、Pchカスコードカレントミラー(P3〜P6)の出力(P6のドレイン)と連絡回路V2との接続ノードにゲートが接続されたPchトランジスタP0と、
ソースがGND端子に接続され、ドレインが出力端子OUTに接続され、Nchカスコードカレントミラー(N3〜N6)の出力(P6のドレイン)と連絡回路V2との接続ノードにゲートが接続されたNchトランジスタN0と、を備えている。図13の差動増幅器700は、高位側電源とGND間のほぼ全電圧範囲でボルテージフォロワ動作可能なRail−to−Rail差動増幅器である。
【0020】
スルーレート加速回路(SBC)710は、
一端がGND端子に接続された電流源IN11と、
ソースが電流源IN11の他端に共通接続され、ゲートが入力端子INPと出力端子OUTにそれぞれ接続され、Nch差動対をなすNchトランジスタ(N11、N12)と、
一端が電源端子に接続された電流源IP11と、
ソースが電流源IN11の他端に共通接続され、ゲートが入力端子INPと出力端子OUTに接続され、Pch差動対をなすPchトランジスタ(P11、P12)と、
Nchトランジスタ(N11、N12)のドレイン(Nch差動対の出力対)と電源端子間に接続され、ゲートにバイアス電圧VP1を受けるPchトランジスタ(P13、P14)と、
ソースが電源端子に接続され、ゲートがPchトランジスタ(P13、P14)のゲートに接続されたPchトランジスタP15と、
ソースがPchトランジスタP15のドレインに接続され、PchトランジスタP13のドレインとNchトランジスタN11のドレインの接続点にゲートが接続され、Nchカスコードカレントミラーの入力ノード(N5のドレイン)と連絡回路V1との接続ノードPIにドレインが接続されたPchトランジスタP16と、
Pchトランジスタ(P11、P12)のドレイン(Pch差動対の出力対)とGND端子間に接続され、ゲートにバイアス電圧VN1を受けるNchトランジスタ(N13、N14)と、
ソースがGND端子に接続され、ゲートがNchトランジスタ(N13、N14)のゲートに接続されたNchトランジスタN15と、
ソースがNchトランジスタN15のドレインに接続され、NchトランジスタN13のドレインとPchトランジスタP11のドレインの接続点にゲートが接続され、Pchカスコードカレントミラーの入力ノード(P5のドレイン)と連絡回路V1との接続ノードNIにドレインが接続されたNchトランジスタN16と、
を備えている。
【0021】
ゲートにバイアス電圧VP1を受けるトランジスタP13、P14、P15、及び、ゲートにバイアス電圧VN1を受けるトランジスタN13、N14、N15はそれぞれ電流源を構成する。トランジスタP16、N16はそれぞれスイッチを構成する。
【0022】
スルーレート加速回路(SBC)710の作用について以下に説明する。
【0023】
入力端子INPの電圧が出力端子OUTの電圧より高くなるとき、スルーレート加速回路(SBC)710のNch差動対を構成するNchトランジスタN11、N12のドレイン電流は、それぞれ、増加、減少する。そして、NchトランジスタN11のドレイン電流がPchトランジスタP13で設定される電流よりも大きくなると、NchトランジスタN11とPchトランジスタP13の接続ノードの電位が低下する。その結果、PchトランジスタP16がオンとなり、PchトランジスタP15で設定される電流が、ノードPIに供給される。これにより、差動増幅器700のNchカスコードカレントミラー(N3〜N6)の入力電流(N3、N5のドレイン電流)、出力電流(N4、N6のドレイン電流)が共に増加し、出力段トランジスタP0とN0のゲート電位の引き下げ作用が加速される。
【0024】
このように、差動増幅器700の増幅作用にスルーレート加速回路(SBC)710の作用が加わることで、出力端子OUTの充電動作が加速される。なお、出力端子OUTの電圧が入力端子INPの電圧に近づくと、NchトランジスタN11のドレイン電流が減少し、PchトランジスタP16がオフとなり、PchトランジスタP15からPIへの電流の供給は停止される。スルーレート加速回路(SBC)710の作用は停止し、出力端子OUTの電圧変化は、差動増幅器700の増幅作用のみで行われる。
【0025】
また、入力端子INPの電圧が出力端子OUTの電圧より高くなるとき、スルーレート加速回路(SBC)710のPch差動対を構成するPchトランジスタP11、P12のドレイン電流(絶対値)がそれぞれ、減少、増加する。しかし、PchトランジスタP11とNchトランジスタN13の接続ノードは、電位の引き下げ作用を受けるため、NchトランジスタN16はオフのままとされ、差動増幅器700の増幅作用に影響を与えない。
【0026】
一方、入力端子INPの電圧が出力端子OUTの電圧より低くなるとき、スルーレート加速回路(SBC)710のPch差動対を構成するPchトランジスタP11、P12のドレイン電流(絶対値)が、それぞれ増加、減少する。
【0027】
そして、PchトランジスタP11のドレイン電流(絶対値)がNchトランジスタN13で設定される電流よりも大きくなると、NchトランジスタN16がオンとなり、NchトランジスタN15で設定される電流がノードNIに供給される。
【0028】
これにより、差動増幅器700のPchカスコードカレントミラーの入力電流(P3、P5のドレイン電流(絶対値))、出力電流(P4、P6のドレイン電流(絶対値))が共に増加し、出力段トランジスタP0、N0のゲート電位の引き上げ作用が加速される。したがって、差動増幅器700の増幅作用に、スルーレート加速回路(SBC)710の作用が加わることで、出力端子OUTの放電動作が加速される。
【0029】
なお、出力端子OUTの電圧が入力端子INPの電圧に近づくと、PchトランジスタP11のドレイン電流が減少し、NchトランジスタN16がオフとなり、NchトランジスタN15からノードNIへの電流の供給は停止される。スルーレート加速回路(SBC)710の作用は停止し、出力端子OUTの電圧変化は、差動増幅器700の増幅作用のみで行われる。また、入力端子INPの電圧が出力端子OUTの電圧よりも低くなるとき、スルーレート加速回路(SBC)710のNch差動対を構成するNchトランジスタN11、N12のドレイン電流(絶対値)がそれぞれ減少、増加する。しかし、このときPchトランジスタP16は、オフ(非導通)のままとされ、差動増幅器700の増幅作用に影響を与えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0030】
【特許文献1】特開平06−326529号公報
【非特許文献】
【0031】
【非特許文献1】6.6L:Late-News Paper: A Low Quiescent Current and Fast Settling Output Buffer with Boosting Slew-rate Scheme for Large LCD driver, II Kwon Chang et al., SID 10 DIGEST pp.74-76, 2010
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0032】
以下に関連技術の分析を与える。
【0033】
図13に示す回路においては、差動増幅器700に加えて、スルーレート加速回路(SBC)710の2組の差動対(N11、N12)、(P11、P12)、電流源を構成する8個のトランジスタ(IN11、IP11、P13〜P15、N11〜N15)、スイッチを構成する2個のトランジスタ(P16、N16)が追加されるため、面積が大幅に増加する、という問題がある。
【0034】
したがって、本発明の目的は、高速動作に対応可能とし、消費電力及び面積を抑制可能とした出力回路、及び該出力回路を備えたデータドライバ、及び表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0035】
本発明によれば、特にこれらに制限されるものでないが、概略以下の構成とされる。なお、各要素の括弧内の参照符号は、あくまで本発明の理解を容易とするために、図面に対応させて付したものであり、本発明を限定するためのものとして解釈すべきものでないことは勿論である。
【0036】
本発明によれば、差動入力段(10)と、出力増幅段(20)と、増幅加速回路(70)と、入力端子(1)と、出力端子(2)と、第1乃至第5の電源端子(E1〜E5)と、を備えた出力回路であって、前記差動入力段(10)は、
前記入力端子の入力信号と、前記出力端子の出力信号とを差動入力するトランジスタ対を備えた第1の差動対(11)と、
前記第1の差動対を駆動する第1の電流源(113)と、
前記第1の電源端子(E1)と、第1及び第2のノード(N1、N2)間に接続され、前記第1の差動対の出力電流を受ける、第1導電型のトランジスタ対(131、132)を含む第1のカレントミラー(30)と、
前記第2の電源端子(E2)と第3及び第4のノード(N3、N4)間に接続された第2導電型のトランジスタ対を含む第2のカレントミラー(40)と、
前記第1のカレントミラー(30)の入力が接続された前記第2のノード(N2)と、前記第2のカレントミラー(40)の入力が接続された前記第4のノード(N4)間に接続された第1の浮遊電流源回路(50)と、
前記第1のカレントミラー(30)の出力が接続された前記第1のノード(N1)と前記第2のカレントミラー(40)の出力が接続された前記第3のノード(N3)間に接続された第2の浮遊電流源回路(60)と、
を備え、
前記出力増幅段(20)は、
前記第3の電源端子(E3)と前記出力端子(2)との間に接続され、制御端子が前記第1のノードに接続された第1導電型の第1のトランジスタ(121)と、
前記第4の電源端子(E4)と前記出力端子(2)との間に接続され、制御端子が前記第3のノードに接続された第2導電型の第2のトランジスタ(122)と、
を備え、
前記増幅加速回路(70)は、
前記入力端子の入力信号と、前記出力端子の出力信号とを差動入力するトランジスタ対を備えた第2の差動対(171、172)と、
前記第5の電源端子(E5)に接続される第2及び第3の電流源(176、178)とを有し、
前記出力端子(2)の出力電圧(VO)と前記第5の電源端子(E5)の電圧との電圧差が、前記入力端子(1)の入力電圧(VI)と前記第5の電源端子の電圧との電圧差に比べて、予め定められた第1の値より大きいときに、前記第2の差動対のうち前記出力端子に入力が接続される前記トランジスタ対の一方の出力に応じて前記第3の電流源(178)を非活性化し、前記第2の差動対のうち前記入力端子に入力が接続される前記トランジスタ対の他方の出力に応じて前記第2の電流源(176)を活性化させて、前記第2の電流源からの電流を、前記第1の浮遊電流源回路(50)へ入力される側の電流、又は前記第1の浮遊電流源回路(50)から出力される側の電流の一方の電流に結合させ、
前記入力端子(1)の入力電圧(VI)と前記第5の電源端子(E)の電圧との電圧差が、前記出力端子(2)の出力電圧(VO)と前記第5の電源端子の電圧との電圧差に比べて、予め定められた第2の値よりも大きいときに、前記第2の差動対のうち前記入力端子に入力が接続される前記トランジスタ対の前記他方の出力に応じて前記第2の電流源(176)を非活性化し、前記第2の差動対のうち前記出力端子に入力が接続される前記トランジスタ対の前記一方の出力に応じて前記第3の電流源(178)を活性化させて、前記第3の電流源(178)からの電流を、前記第2の浮遊電流源回路(60)へ入力される側の電流又は前記第2の浮遊電流源回路から出力される側の電流の一方の電流に結合させ、
前記出力端子(2)の出力電圧(VO)と前記第5の電源端子(E5)の電圧との電圧差が、前記入力端子(1)の入力電圧(VI)と前記第5の電源端子(E5)の電圧との電圧差に比べて、前記第1の値以下であり、且つ、前記入力端子(1)の入力電圧(VI)と前記第5の電源端子の電圧との電圧差が、前記出力端子の出力電圧と前記第2の電源端子の電圧との電圧差に比べて、前記第2の値以下であるとき、前記第2及び第3の電流源(176、178)を共に非活性化する、ように切替制御する出力回路が提供される。
【0037】
本発明によれば、該出力回路を含む表示装置のデータドライバ、該データドライバを備えた表示装置が提供される。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、高速動作に対応可能とし、消費電力を抑制可能としている。また、本発明によれば、出力回路の面積も抑制可能としている。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の第1の実施形態の構成を示す図である。
【図2】本発明の第2の実施形態の構成を示す図である。
【図3】本発明の第3の実施形態の構成を示す図である。
【図4】本発明の第4の実施形態の構成を示す図である。
【図5】本発明の第5の実施形態の構成を示す図である。
【図6】本発明の第6の実施形態の構成を示す図である。
【図7】本発明の第7の実施形態の構成を示す図である。
【図8】本発明の第8の実施形態の構成を示す図である。
【図9】本発明の第9の実施形態の構成を示す図である。
【図10】表示装置のデータドライバの構成を示す図である。
【図11】(A)はLCDドライバの出力レンジ、(B)はOLEDディスプレイドライバの出力レンジを説明する図である。
【図12】(A)は表示装置の構成を示す図であり、(B)はLCDの画素、(C)はOLEDの画素を等価回路で示す図である。
【図13】非特許文献1のFig.3を引用した図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明の実施形態について図面を参照して以下に説明する。本発明の好ましい態様(MODES)の一つにおいて、例えば図1を参照すると、出力回路は、電圧信号を入力する入力端子(1)と、電圧信号を出力する出力端子(2)と、差動入力段(10)と、出力増幅段(20)と、増幅加速回路(70)を備えている。
【0041】
差動入力段(10)は、入力端子(1)の入力信号(VI)と出力端子(2)の出力信号(VO)を差動で入力する第1の差動段(11)と、
第1電源端子(E1)と、第1及び第2のノード(N1、N2)間にそれぞれ接続された第1導電型(P型)の二つのトランジスタを有し、第1及び第2のノード(N1、N2)に第1の差動段(11)の出力対の出力電流を受ける第1のカレントミラー(30)と、
第2電源端子(E2)と、第3及び第4のノード(N3、N4)間にそれぞれ接続された第2導電型(N型)の二つのトランジスタを有する第2のカレントミラー(40)と、
第1のカレントミラー(30)の入力が接続された第2のノード(N2)と第2のカレントミラー(40)の入力が接続された第4のノード(N4)間に接続された第1の浮遊電流源回路(50)と、
第1のカレントミラー(30)の出力が接続された第1のノード(N1)と第2のカレントミラー(40)の出力が接続された第3のノード(N3)間に接続された第2の浮遊電流源回路(60)と、を備える。
【0042】
出力増幅段(20)は、第3電源端子(E3)と出力端子(2)間に接続され、制御端子が第1のノード(N1)に接続された第1導電型(P型)の第1のトランジスタ(121)と、第4電源端子(E4)と出力端子(2)間に接続され、制御端子が第3のノード(N3)に接続された第2導電型(N型)の第2のトランジスタ(122)と、を備える。
【0043】
増幅加速回路(70)は、入力端子(1)の入力信号(VI)と出力端子(2)の出力信号(VO)を差動で入力する第2の差動段(差動対171、172と電流源173)と、
第5電源端子(E5)と第2の差動段の出力対との間に接続された第1の負荷素子対(174、175)と、
第5電源端子(E5)と、第2のカレントミラーの入力側の予め定められたノード(ノードN4又はN4に第2端子(ドレイン端子)が接続するトランジスタ(143)の第1端子(ソース端子))間に直列形態で接続された、第2の電流源(176)及び第3のトランジスタ(177)と、
第5電源端子(E5)と第1のカレントミラーの出力側の予め定められたノード(ノードN1)間に直列形態で接続された第3の電流源(178)及び第4のトランジスタ(179)と、を備えている。第3のトランジスタ(177)の制御端子(ゲート端子)は、第2の差動段の出力対の一つ(171のドレイン)と第1の負荷素子対の一つ(174)との接続点(3)に接続されている。第4のトランジスタ(179)の制御端子(ゲート端子)は、第2の差動段の出力対の他方(172のドレイン)と第1の負荷素子対の他方(175)との接続点(4)に接続されている。
【0044】
あるいは、増幅加速回路(70)は、例えば図4を参照すると、入力端子(1)の入力信号(VI)と出力端子(2)の出力信号(VO)を差動で入力する第2の差動段(差動対171、172、電流源173)と、
第5電源端子(E5)と第2の差動段の出力対との間に接続された第1の負荷素子対(174、175)と、
第5電源端子(E5)と、第1のカレントミラーの入力側の予め定められたノード(ノードN2又はN2に第2端子(ドレイン端子)が接続するトランジスタ(133)の第1端子(ソース端子))間に直列形態で接続された第2の電流源(176)及び第3のトランジスタ(177)と、
第5電源端子(E5)と第1のカレントミラーの出力側の予め定められたノード(ノードN1)間に直列形態で接続された第3の電流源(178)及び第4のトランジスタ(179)と、
を備えている。第3のトランジスタ(177)の制御端子(ゲート端子)及び第4のトランジスタ(179)の制御端子(ゲート端子)は、第2の差動段の出力対と第1の負荷素子対(174、175)との接続点対(3、4)に接続されている。以下、いくつかの実施形態に即して説明する。
【0045】
<実施形態1>
図1は、本発明の第1の実施形態の出力回路100Aの構成を示す図である。本実施形態において、出力回路100Aは、配線負荷を駆動する。PchMOSトランジスタ、NchMOSトランジスタを「Pchトランジスタ」、「Nchトランジスタ」と略記する。例えば図1の出力端子2には、表示装置のデータ線(図12(A)の962)が接続される。図1に示すように、出力回路100Aは、入力端子1の入力電圧VIと出力端子2の出力電圧VOを差動で受ける差動入力段10と、差動入力段10の第1及び第2の出力(ノードN1、N3)を受け、プッシュプル動作で入力電圧VIに応じた出力電圧VOを出力端子2より出力する出力増幅段20と、入力電圧VIと出力電圧VOとの電位差を検出して、該電位差に応じて差動入力段10と出力増幅段20の増幅動作を加速させる増幅加速回路70とを備える。
【0046】
本実施形態において、出力端子2が、差動入力段10の反転入力端子に帰還され、出力電圧VOが、差動入力段10の非反転入力端子の入力電圧VIに同相で追従変化するボルテージフォロワとして構成されている(以下の各実施形態も同様とされる)。
【0047】
差動入力段10は、第1の差動段11と、第1のカレントミラー(Pchカレントミラー)30と、第2のカレントミラー(Nchカレントミラー)40と、第1及び第2の浮遊電流源回路50、60を備える。
【0048】
第1の差動段11は、ソースが結合され、入力電圧VIが供給される入力端子1と、出力電圧VOが出力される出力端子2にゲートがそれぞれ接続され、Nch差動トランジスタ対を構成するNchトランジスタ(111、112)と、一端が低位側電源電圧を与える第6の電源端子(E6)に接続され、他端がNch差動対(111、112)の結合されたソースに接続された電流源113を備えている。
【0049】
第1のカレントミラー30は、高位側の電源電圧を与える第1の電源端子E1にソースが共通接続され、ドレインが第1ノードN1、第2ノードN2にそれぞれ接続されたPchトランジスタ対(131、132)を備えている。Pchトランジスタ対(131、132)はゲートが共通接続され、該共通接続されたゲートはPchトランジスタ131のドレインノードであるノードN2に接続されている。第1、第2ノードN1、N2は、それぞれ、カレントミラー30の出力ノードと入力ノードとされる。Nch差動トランジスタ対(111、112)のドレインノード(差動対の出力対)は第1、第2ノードN1、N2にそれぞれ接続されている。
【0050】
第2のカレントミラー40は、低位側電源電圧を与える第2の電源端子E2にソースが共通接続され、ドレインが第3ノードN3、第4ノードN4にそれぞれ接続されたNchトランジスタ対(142、141)を備えている。Nchトランジスタ対(142、141)はゲートが共通接続され、該共通接続されたゲートはNchトランジスタ141のドレインノードである第4ノードN4に接続されている。ノード対(N3、N4)は、それぞれNchカレントミラー40の出力と入力とされる。
【0051】
第1の浮遊電流源回路50は、第1のカレントミラー30の入力ノードであるノードN2と、第2のカレントミラー40の入力ノードであるノードN4の間に接続された浮遊電流源150を備えている。
【0052】
第2の浮遊電流源回路60は、第1のカレントミラー30の出力ノードであるノードN1と、第2のカレントミラー40の出力ノードであるノードN3との間に、並列に接続されたPchトランジスタ161及びNchトランジスタ162を備えている。Pchトランジスタ161のゲートとNchトランジスタ162のゲートには、バイアス電圧BP2とBN2がそれぞれ供給される。
【0053】
第1の浮遊電流源回路50は、例えば、第2の浮遊電流源回路60と同様に、並列に接続されたPchトランジスタ及びNchトランジスタよりなる浮遊電流源で構成してもよい。あるいは、それぞれのゲートにバイアス電圧が供給され、カレントミラー30、40の入力ノード(ノードN2、N4)間に直列に接続されるNchトランジスタとPchトランジスタよりなる浮遊電流源で構成してもよい。後者の構成の場合、カレントミラー30、40の入力ノード(ノードN2、N4)間の電流は、ほぼ定電流に制御される。
【0054】
出力増幅段20は、出力用の高位側電源電圧を与える第3の電源端子E3と出力端子2間に接続され、ゲートが差動入力段のノードN1に接続されたPchトランジスタ121と、出力用の低位側電源電圧を与える第4の電源端子E4と出力端子2間に接続され、ゲートが差動入力段のノードN3に接続されたNchトランジスタ122と、を有する。なお、E1とE3が共通の電源(VDD)に接続され、E2とE4は共通の電源(VSS)等に接続された構成としてもよい。
【0055】
増幅加速回路70は、ソースが結合され、入力電圧VIが供給される入力端子1と出力電圧VOが出力される出力端子2にゲートがそれぞれ接続され、Nch差動対を構成するNchトランジスタ対(171、172)と、
一端が低位側電源電圧を与える第7の電源端子(E7)に接続され、他端がNchトランジスタ対(171、172)の結合されたソースに接続された電流源173と、
Nch差動トランジスタ対(171、172)の出力対と高位側電源電圧を与える第5の電源端子E5との間に接続された、負荷素子対として電流源174、175と、
第5の電源端子E5と差動入力段10のノードN4との間に直列形態で接続された電流源176及びPchトランジスタ177と、
第5の電源端子E5と差動入力段10のノードN1との間に直列形態で接続された電流源178及びPchトランジスタ179と、を備える。なお、E5はE1と共通の電源(VDD)に接続され、E7はE2と共通の電源(VSS)に接続された構成としてもよい。電源については後述される(<電源端子の供給電圧>参照)。
【0056】
Pchトランジスタ177のゲートは、Nchトランジスタ対(171、172)の出力対の一方(Nchトランジスタ171のドレイン)と電流源174との接続点3に接続されている。
【0057】
Pchトランジスタ179のゲートは、Nchトランジスタ対(171、172)の出力対の他方(Nchトランジスタ172のドレイン)と電流源175との接続点4に接続されている。
【0058】
なお、図1において、Pchトランジスタ177のソースを第5の電源端子E5に接続し、電流源177をPchトランジスタ177のドレインとノードN4間に接続する構成としてもよい。Pchトランジスタ179のソースを第5の電源端子E5に接続し、電流源178をPchトランジスタ179のドレインとノードN1間に接続する構成としてもよい。後に説明する実施形態も同様である。
【0059】
あるいは、Pchトランジスタ177、179を削除し、電流源176、178を、それぞれノード3、4の電位を制御信号として入力し、ノード3、4の電位に基づき、その活性化と非活性化(活性化時に電流を出力し、非活性化時に電流出力を停止する)をそれぞれ制御する構成としてもよい。
【0060】
負荷素子対は、電流源に制限されるものでなく、Nch差動トランジスタ対(171、172)の差動出力電流に応じてノード3又は4の電位を変動させ、電流源176、178それぞれの活性化と非活性化の切替え可能な素子であればよい。具体的には、負荷素子対をなす電流源174、175を、抵抗素子(対)や、ダイオード(対)に置き換えた構成としてもよい。
【0061】
図1において、増幅加速回路70は、入力端子1の入力電圧VIが出力端子2の出力電圧VOに対して、所定の電位差を超える電位へ変化するときに動作し、差動入力段10と出力増幅段20の差動増幅動作を加速させるように作用する。増幅加速回路70は、差動入力段10の第2のカレントミラー40の入力側の電流(Nchトランジスタ141のドレイン電流)に、ノードN4から、電流源176の電流I7(ソース電流)を結合して、電流値を増加させることにより、ノードN1、N3の電位の低下を加速させ、出力増幅段20による、出力端子2の充電動作を加速させる。
【0062】
また、増幅加速回路70は、差動入力段10の第1のカレントミラー30の出力側の電流(Pchトランジスタ132のドレイン電流)に、ノードN1から電流源178の電流I8(ソース電流)を結合して、電流値を増加させることにより、ノードN1、N3の電位の上昇を加速させ、出力増幅段20による出力端子2の放電動作を加速させる。
【0063】
図1に示した出力回路100Aの動作について以下に説明する。なお、出力安定状態における電流源113、173、174、175、176、178の電流をI1、I4、I5、I6、I7、I8とし、浮遊電流源150の電流をI2、浮遊電流源(161、162)の合計電流をI3(=I2)とする。また入力電圧VIは、ステップ電圧とする。
【0064】
はじめに、増幅加速回路70以外の出力回路(増幅加速回路70の制御を受けない状態の出力回路)についてその動作を説明し、そのあと、増幅加速回路70の制御を受ける場合の動作を説明する。
【0065】
入力端子1の入力電圧VIが、出力端子2の出力電圧VOに対して、電源端子E1(高電圧)側へ変化したとき、差動入力段10のNch差動トランジスタ対111、112のゲート・ソース間電圧が、それぞれ、拡大、縮小し、出力安定状態時(すなわち出力電圧VO=入力電圧VIで平衡時)に比べ、トランジスタ111、112のドレイン電流は、それぞれ増加、減少する。
【0066】
Nch差動トランジスタ対(111、112)のトランジスタ112のドレイン電流の減少により、ダイオード接続されたPchトランジスタ131のドレイン電流も減少し、それに対応して、Pchトランジスタ131のゲート・ソース間電圧(絶対値)が縮小する。これにより、Pchトランジスタ131とゲートが共通接続されたPchトランジスタ132のドレイン電流(絶対値)も減少する。Nch差動トランジスタ対(111、112)のトランジスタ111のドレイン電流が増加する。このため、ノードN1の電位が低下する。
【0067】
すなわち、Pchトランジスタ132のドレイン電流が減少し、Nchトランジスタ111のドレイン電流が増加すると、ノードN1から第2の浮遊電流源回路60に流れる電流が減少し、例えばPchトランジスタ161のドレイン電流が減少すると、そのゲート・ソース間電圧が減少し、よってノードN1の電圧BP2に対する電圧が下る。
【0068】
ノードN1の電位の低下により、第2の浮遊電流源回路60のPchトランジスタ161(ゲート電圧=電圧BP2)では、そのゲート・ソース間電圧(絶対値)が縮小し、Pchトランジスタ161のドレイン電流(絶対値)は減少する。
【0069】
一方、Nchカレントミラー40の出力電流(Nchトランジスタ142のドレイン電流)は、第1の浮遊電流源50に流れる電流I2を折り返した電流となっており、出力安定状態とほぼ同程度に保持される。この結果、ノードN3の電位が低下する。
【0070】
すなわち、第2の浮遊電流源回路60(Nchトランジスタ161、Pchトランジスタ162からなる)を介して接続されたノードN1、N3は、ノードN1の電位低下に応じて、ノードN3の電位も連動して低下する。なお、それぞれのノードの電位変動量は異なる。
【0071】
ノードN1、N3の電位の低下により、出力増幅段20のPchトランジスタ121における電源端子E3から出力端子2への充電電流が増加し、Nchトランジスタ122における出力端子2から電源端子E4への放電電流は減少する。これにより、出力端子2の出力電圧VOは上昇する。そして、出力電圧VOが入力電圧VI付近に近づくと、Nch差動トランジスタ対111、112の電流値の差は小さくなり、Pchカレントミラー30や第2の浮遊電流源回路60(161、162)の各ノード電位や各トランジスタの電流は平衡状態へと回復していく。そして、出力電圧VOが入力電圧VIに到達すると、出力安定状態となる。
【0072】
一方、入力端子1の入力電圧VIが出力端子2の出力電圧VOに対して電源端子E2又はE6(低電圧)の電源電圧側へ大きく変化したとき、差動入力段10のNch差動トランジスタ対111、112のゲート・ソース間電圧が、それぞれ縮小、拡大し、出力安定状態時に比べ、トランジスタ111、112のドレイン電流は、それぞれ、減少、増加する。
【0073】
Nch差動トランジスタ対(111、112)のトランジスタ112のドレイン電流の増加により、ダイオード接続されたPchトランジスタ131のドレイン電流も増加し、それに対応してPchトランジスタ131のゲート・ソース間電圧(絶対値)が拡大する。これにより、Pchトランジスタ131とゲートが共通接続されたPchトランジスタ132のドレイン電流(絶対値)も増加する。Nch差動トランジスタ対(111、112)のトランジスタ111のドレイン電流が減少するため、ノードN1の電位が上昇する。なお、Pchトランジスタ131と132の共通ゲートに接続されたノードN2の電位は低下する。
【0074】
ノードN1の電位上昇により、第2の浮遊電流源回路60のPchトランジスタ161のゲート・ソース間電圧(絶対値)が拡大し、Pchトランジスタ161のドレイン電流(絶対値)は増加する。一方、Nchカレントミラー40の出力電流(Nchトランジスタ142のドレイン電流)は、第1の浮遊電流源50の電流I2を折り返した電流となっており、出力安定状態とほぼ同程度に保持される。この結果、ノードN3の電位が上昇する。
【0075】
すなわち、第2の浮遊電流源回路60を介して接続されたノードN1とN3は、ノードN1の電位上昇に応じて、ノードN3の電位も連動して上昇する。なお、それぞれのノードの電位変動量は異なる。
【0076】
この結果、ノードN1、N3の電位の上昇により、出力増幅段20のPchトランジスタ121における電源端子E3から出力端子2への放電電流が増加し、Nchトランジスタ122における出力端子2から電源端子E4への充電電流は減少する。これにより、出力端子2の出力電圧VOは低下する。そして、出力電圧VOが入力電圧VI付近に近づくと、Nch差動トランジスタ対111、112の電流値の差は小さくなり、Pchカレントミラー30や第2の浮遊電流源回路60の各ノード電位や各トランジスタの電流は平衡状態へと回復していく。そして、出力電圧VOが入力電圧VIに到達すると、出力安定状態となる。
【0077】
次に、増幅加速回路70の動作を説明する。増幅加速回路70の動作は、増幅加速回路70の制御を受けない通常の差動増幅動作への追加の作用となる。
【0078】
増幅加速回路70の電流源174と175のそれぞれの電流I5とI6は、出力安定状態時(すなわち、出力電圧VO=入力電圧VIで平衡時)において、増幅加速回路70のNch差動トランジスタ対171と172のそれぞれのドレイン電流よりもそれぞれ大きくなるように設定される。したがって、出力安定状態時において、Nchトランジスタ171のドレインと電流源174の接続ノード3、Nchトランジスタ172のドレインと電流源175の接続ノード4は共に、第5の電源端子E5の電源電圧とされ、Pchトランジスタ177と179は共にオフし、電流源176、と78は非活性(電流停止)状態とされている。具体的には、出力安定状態時のNch差動トランジスタ対171、172のドレイン電流をIs71、Is72(但しIs71+Is72=I4)とすると、
電流I5は、電流Is71よりもΔI71(>0)だけ大きい電流値:
I5=Is71+ΔI71
に設定され、
電流I6は、電流Is72よりもΔI72(>0)だけ大きい電流値:
I6=Is72+ΔI72
に設定される。
【0079】
入力電圧VIが出力電圧VOに対して、電源端子E1又はE5(高電圧)側へ変化したとき、増幅加速回路70のNch差動対のトランジスタ171、172のゲート・ソース間電圧がそれぞれ拡大、縮小し、出力安定状態時に比べ、Nch差動トランジスタ対171、172のドレイン電流はそれぞれ増加、減少する。Nchトランジスタ171のドレイン電流が電流源174の電流I5と同じ電流値となるときの、入力電圧VIと出力電圧VOとの電位差を第1の値Vt1とすると、入力電圧VIが出力電圧VOに対して、第1の値Vt1を超えたとき、ノード3の電位が第5の電源端子E5の電圧よりも低下し、Pchトランジスタ177はオンする。すなわち、出力電圧VOと第5の電源端子E5の電圧との電圧差が、入力電圧VIと第5の電源端子E5の電圧との電圧差と比較して、第1の値Vt1を超えたとき(VI−VO>Vt1>0)、Pchトランジスタ177はオンする。
【0080】
これにより、電流源176が活性化され、電流源176の電流I7が、Nchカレントミラー40の入力端(ノードN4)に供給される。
【0081】
このとき、ノード4の電位は、第5の電源端子の電圧に保持され、Pchトランジスタ179はオフのままで、電流源178は非活性とされている。
【0082】
図1の出力回路100Aは、差動入力段10と出力増幅段20による通常の差動増幅動作において、上記で説明したように、入力電圧VIが出力電圧VOに対して、電源端子E1(高電圧)側へ変化すると、ノードN1、N3の電位が引き下げられ、出力増幅段20による出力端子2の充電作用が生じる。このとき、増幅加速回路70の電流源176からの電流I7がノードN4に供給されると、Nchカレントミラー40の入力電流、出力電流(Nchトランジスタ141、142のドレイン電流)が増加する。これにより、ノードN3の電位低下が加速される。さらに、ノードN3を介して浮遊電流源回路(161、162)に流れる電流(放電電流)が増加し、ノードN1の電位低下も加速され、出力増幅段20による出力端子2の充電作用が加速される。
【0083】
なお、出力電圧VOが入力電圧VIに近づき、入力電圧VIと出力電圧VOの電圧差が第1の値Vt1を下回ると(VI−VO<Vt1)、増幅加速回路70のノード3の電位が第5の電源端子E5の電圧まで変化し、Pchトランジスタ177はオフする。これにより、電流源176が非活性となり、増幅加速回路70の電流I7の供給は停止され、増幅加速作用も停止される。
【0084】
この後は、増幅加速回路70の制御を受けない差動入力段10と出力増幅段20による通常の差動増幅動作に移行して、出力端子2の充電動作が行われ、出力電圧VOが入力電圧VIに到達すると、出力安定状態となる。
【0085】
一方、入力電圧VIが出力電圧VOに対して、電源端子E2又はE7(低電圧)側へ大きく変化したとき、増幅加速回路70のNch差動トランジスタ対171、172はゲート・ソース間電圧がそれぞれ縮小、拡大し、出力安定状態時に比べ、Nch差動トランジスタ対171、172のドレイン電流はそれぞれ減少、増加する。トランジスタ172のドレイン電流が電流源175の電流I6と同じ電流値になるときの、入力電圧VIと出力電圧VOとの電位差を第2の値Vt2とすると、入力電圧VIが出力電圧VOに対して、第2の値Vt2を超えたとき、ノード4の電位が第5の電源端子の電圧よりも低下し、Pchトランジスタ179はオンする。すなわち、入力電圧VIと第5の電源端子E5の電圧との電圧差が、出力電圧VOと第5の電源端子E5の電圧との電圧差と比較して、第2の値Vt2を超えたとき(|VI−VO|>|Vt2|>0)、Pchトランジスタ179はオンする。
【0086】
これにより、電流源178が活性化され、電流源178の電流I8が、Pchカレントミラー30の出力端(ノードN1)に供給される。このとき、ノード3の電位は第5の電源端子E5の電圧に保持され、Pchトランジスタ177はオフのままで、電流源176は非活性とされている。
【0087】
図1の出力回路100Aは、差動入力段10と出力増幅段20による通常の差動増幅動作において、上記で説明したように、入力電圧VIが出力電圧VOに対して、電源端子E2又はE7(低電圧)側へ変化すると、ノードN1、N3の電位が引き上げられ、出力増幅段20による出力端子2の放電作用が生じる。このとき増幅加速回路70の電流源178からの電流I8がノードN1に供給されると、ノードN1の電位上昇が加速される。さらにノードN1を介して、第2の浮遊電流源回路60(161、162)に流れる電流(充電電流)が増加し、ノードN3の電位上昇も加速され、出力増幅段20による出力端子2の放電作用が加速される。
【0088】
なお、出力電圧VOが入力電圧VIに近づき、入力電圧VIと出力電圧VOの電圧差が第2の値Vt2を下回ると(|VI−VO|<|Vt2|)、増幅加速回路70のノード4の電位が第5の電源端子の電圧まで変化し、Pchトランジスタ179はオフする。
【0089】
これにより、電流源178が非活性となり、増幅加速回路70の電流I8の供給は停止され、増幅加速作用も停止される。この後は、増幅加速回路70の制御を受けない差動入力段10と出力増幅段20による通常の差動増幅動作に移行して出力端子2の放電動作が行われ、出力電圧VOが入力電圧VIに到達すると、出力安定状態となる。
【0090】
増幅加速回路70の動作及び停止が切り替わる入力電圧VIと出力電圧VOの電位差(第1の値Vt1、第2の値Vt2)は、電流源173、174、175の電流I4、I5、I6(すなわちΔI71、ΔI72)とNch差動トランジスタ対(171、172)のトランジスタ特性の設定により定まる。
【0091】
以上より、増幅加速回路70は、入力電圧VIが変化し、入力電圧VIと出力電圧VOの電圧差が、
出力端子2の充電動作時には、第1の値Vt1より大となるとき、
出力端子2の放電動作時には、第2の値Vt2より大となるときに、
増幅加速動作して、出力端子2の充電動作又は放電動作を加速させる。
【0092】
そして、出力電圧VOが入力電圧VIに近づき、入力電圧VIと出力電圧VOの電圧差が第1の値Vt1、又は、第2の値Vt2未満になると、増幅加速回路70は、自動的に動作を停止する。
【0093】
入力電圧VIの変化が小さく、入力電圧VIと出力信号VOの電圧差が第1の値Vt1又は第2の値Vt2以下のときは、増幅加速回路70は動作しない。なお、増幅加速回路70のNch差動対のトランジスタ171、172は十分小さいサイズとしてよく、入力端子1に接続されているトランジスタ171のゲート寄生容量を小さく抑え、図1の出力回路100Aの入力容量の増加が最小限に抑えられることが好ましい。
【0094】
<放電時と充電時の出力電圧波形の対称性と面積>
次に、本実施形態における、出力電圧波形について説明する。
【0095】
増幅加速回路70による出力端子2の充電加速動作又は放電加速動作は、増幅加速回路70の電流源176、178の電流I7、I8の電流値に依存する。したがって、差動増幅段10と出力増幅段20の通常の差動増幅動作における出力端子2の充電速度と放電速度に差がある場合でも、増幅加速回路70の電流源176、178の電流I7、I8を調整することにより、充電速度と放電速度をほぼ揃えることが可能であり、充電時と放電時の出力電圧波形の対称性を容易に実現することができる。
【0096】
例えば、図1のような単一導電型で構成された差動対を有する差動入力段10と出力増幅段20の差動増幅器(増幅加速回路70を備えない場合)では、充電時と放電時の出力電圧波形の対称性を確保することは、通常では、難しい。増幅加速回路70を付加することにより、充電時と放電時の出力電圧波形の対称性を容易に実現することができる。
【0097】
また、図1に示したように、本実施形態によれば、差動入力段10及び増幅加速回路70のそれぞれの差動対を単一導電型の1つの差動対で構成できることにより、差動増幅器700及びSBC710をそれぞれ異なる導電型の2つの差動対を備えた関連技術の構成(図13)と比較して、差動入力段の素子数が削減され、増幅加速回路70の追加による面積の増加を抑えることができる。
【0098】
<位相補償容量>
次に本実施形態における位相補償容量について説明する。
【0099】
図1に示した実施形態において、帰還接続構成における出力安定性を確保するため、位相補償容量を設けてもよい。図1において、位相補償容量は、例えば、出力端子2と出力増幅段20のPchトランジスタ121と122のゲートの一方(ノードN1又はN3)又は両方のゲート(ノードN1及びN3)との間に設けることができる。
【0100】
位相補償容量の接続に応じて、増幅加速回路70の電流源176、178の電流I7、I8を調整することで、位相補償容量の速やかな充放電を実現し、充電時と放電時の出力電圧波形の対称性を実現することができる。
【0101】
<駆動速度、消費電力>
次に、本実施形態における駆動速度、消費電力について説明する。
【0102】
図1の実施形態において、出力端子2の充電速度と放電速度は、増幅加速回路70の電流源176、178の電流I7、I8の電流値の設定により制御できる。このため、電流源176、178の電流I7、I8以外の電流を小さく設定し、出力安定時における出力回路100Aのアイドリング電流を小さくして静消費電力を抑えることが可能である。このため、図1の出力回路100Aは低消費電力、高速駆動が実現できる。
【0103】
<電源端子の供給電圧>
次に、本実施形態における電源端子の供給電圧の設定について説明する。例えば図1の構成を、図11(B)のOLEDドライバの出力レンジを駆動する出力回路として用いる場合には、
第1、第3、第5の電源端子E1、E3、E5の電源電圧を共に高位側電源電圧VDDとし、
第2、第4、第6、第7の電源端子E2、E4、E6、E7の電源電圧を共に、低位側電源電圧VSSとすることができる。
【0104】
一方、図1の出力回路100Aを、図11(A)のLCDドライバの正極及び負極出力レンジを駆動する出力回路として用いる場合には、OLEDドライバ用出力回路と同様に、
第1、第3、第5の電源端子E1、E3、E5の電源電圧を共に高位側電源電圧VDDとし、
第2、第4、第6、第7の電源端子E2、E4、E6、E7の電源電圧を共に低位側電源電圧VSSとすることができる。
【0105】
また、対向基板電極974(図12(A))のコモン電圧付近の正極出力レンジの下限に対応した中位電源電圧VML、負極出力レンジの上限に対応した中位電源電圧VMHが更に供給される場合もある。このとき、正極出力レンジを駆動する出力回路の場合には、 第1、第3、第5の電源端子E1、E3、E5の電源電圧を共に高位側電源電圧VDDとし、
第4の電源端子E4の電源電圧を中位電源電圧VMLとし、
第6、第7の電源端子E6、E7の電源電圧を低位側電源電圧VSSとし、
第2の電源端子E2の電源電圧を低位側電源電圧VSS又は中位電源電圧VMLとしてもよい。特に、第4の電源端子E4の電源電圧を中位電源電圧VMLとすることで、流れる電流が大きい出力増幅段20の第3、第4の電源端子E3、E4間の電源電圧差を小さくすることで、(電流×電圧)に依存する消費電力を低減し、発熱抑制効果もある。
【0106】
なお、差動入力段10及び増幅加速回路70のそれぞれのNch差動対を駆動する電流源113、173に接続されている第6、第7の電源端子E6、E7の電源電圧に関して、それぞれのNch差動対の動作範囲の下限は、第6、第7の電源端子E6、E7の電源電圧からNch差動トランジスタ対((111、112)、(171、172))の閾値電圧分高い電圧となる。
【0107】
Nch差動トランジスタ対の閾値電圧がある程度大きい場合でも、第6、第7の電源端子E6、E7を、低位側電源電圧VSSとすれば、図11(A)のLCDドライバの正極出力レンジ(VML〜VDD)を駆動する出力回路として、図1の出力回路100Aを用いることに支障はない。
【0108】
なお、Nch差動トランジスタ対((111、112)、(171、172))の閾値電圧がほぼゼロ付近の場合には、Nch差動対の動作範囲の下限が、第6、第7の電源端子E6、E7の電源電圧付近となるため、第1、第3、第5の電源端子E1、E3、E5の電源電圧を共に中位電源電圧VMH、第2、第4、第6、第7の電源端子E2、E4、E6、E7の電源電圧を低位側電源電圧VSSとし、図11(A)のLCDドライバの負極出力レンジ(VSS〜VMH)を駆動する出力回路として、図1の出力回路100Aを用いることも可能である。
【0109】
<本実施形態と関連技術との比較>
以下に、図1の本実施形態の増幅加速回路70と、図13に示した関連技術のスルーレート加速回路(SBC)710とを比較して説明する。
【0110】
図13のスルーレート加速回路(SBC)710では、Nch差動対(N11、N12)とPch差動対(P11、P12)の2組の差動対を備え、Nch差動対(N11、N12)の動作により出力端子の充電加速動作が行われ、Pch差動対(P11、P12)の動作により出力端子の充電加速動作が行われる。また、2組の差動対に対応して、差動対を駆動する電流源及び負荷素子対もそれぞれ2組備える。
【0111】
本実施形態において、図1の増幅加速回路70では、1組の差動対(171、172)のみで、出力端子の充電加速動作と放電加速動作を実現することができる。
【0112】
また増幅加速回路70から差動増幅段に供給される電流I7、I8の接続ノードが、図13のスルーレート加速回路(SBC)とは異なる。
【0113】
さらに、増幅加速回路70では、差動対(171、172)、電流源173、負荷素子対(174、175)は、それぞれ1組で構成できるため、素子数が少なく、面積を小さくできる。
【0114】
さらに、電流源173が1組のみであるため、出力安定時の増幅加速回路70のアイドリング電流も小さく抑えることができる。
【0115】
<実施形態2>
次に本発明の第2の実施形態を説明する。図2は、本発明の第2の実施形態の出力回路100Bの構成を示す図である。図2の出力回路100Bは、図1のカレントミラー30、40を、低電圧カスコード・カレントミラー30’、40’に変更したものである。図2の出力回路も、図1と同様に、入力電圧VIと出力電圧VOを差動で受ける差動入力段10と、差動入力段10の第1及び第2の出力(ノードN1、N3)を受けプッシュプル動作して入力電圧VIに応じた出力電圧VOを出力端子2より出力する出力増幅段20と、入力電圧VIと出力電圧VOとの電位差を検出して、該電位差に応じて出力増幅段20の増幅作用を加速させる増幅加速回路70を備える。カレントミラー30’、40’の構成以外は、図1と同様である。
【0116】
差動入力段10は、第1の差動段11と、Pchのカレントミラー30’と、Nchのカレントミラー40’と、第1、第2の浮遊電流源回路50、60を備える。以下では、カレントミラー30’、40’の構成について説明し、第1の差動段11、第1、第2の浮遊電流源回路50、60、増幅加速回路70の構成の説明は省略する。
【0117】
Pchのカレントミラー30’は、第1の電源端子E1とノード対(N1、N2)間に接続された低電圧カスコード・カレントミラーで構成されている。より具体的には、Pchのカレントミラー30’は、ゲートが共通接続され、ソースが電源端子E3に共通接続された1段目のPchトランジスタ対(132、131)と、ゲートが共通接続されてバイアス電圧BP1を受け、ソースが1段目のPchトランジスタ対(132、131)のドレインにそれぞれ接続され、ドレインがノード対(N1、N2)にそれぞれ接続された2段目のPchトランジスタ対(134、133)と、を備えている。1段目のPchトランジスタ対(132、131)の共通接続ゲートはノードN2に接続されている。ノード対(N1、N2)は、それぞれPchカレントミラー30’の出力ノードと入力ノードとされる。
【0118】
第1の差動段11のNch差動トランジスタ対(111、112)の出力対(トランジスタ111、112のドレイン)は、Pchトランジスタ132、134の接続点(ノードN5)と、Pchトランジスタ131、133の接続点(ノードN6)にそれぞれ接続されている。
【0119】
Nchのカレントミラー40’は、電源端子E4とノード対(N2、N4)間に接続された低電圧カスコード・カレントミラーで構成される。より具体的には、Nchのカレントミラー40’は、ゲートが共通接続され、ソースが電源端子E4に共通接続された1段目のNchトランジスタ対(142、141)と、ゲートが共通接続されてバイアス電圧BN1を受け、ソースが1段目のNchトランジスタ対(142、141)のドレインにそれぞれ接続され、ドレインがノード対(N2、N4)に接続された2段目のNchトランジスタ対(144、143)を備えている。1段目のNchトランジスタ対(142、141)の共通接続ゲートはノードN4に接続されている。ノード対(N2、N4)は、それぞれNchカレントミラー40’の出力ノードと入力ノードとされる。
【0120】
増幅加速回路70の電流源176は、トランジスタ177を介して、Nchカレントミラー40’の入力端(ノードN4)に接続され、電流源178は、トランジスタ179を介してPchカレントミラー30’の出力端(ノードN1)に接続されている。
【0121】
図2に示した出力回路の動作について以下に説明する。まず、増幅加速回路70以外の出力回路の動作を説明する。
【0122】
入力端子1の入力電圧VIが出力端子2の出力電圧VOに対して電源端子E1(高電圧)側へ変化したとき、Nch差動トランジスタ対111、112は、ゲート・ソース間電圧が、それぞれ拡大、縮小し、出力安定状態時に比べ、トランジスタ111、112のドレイン電流はそれぞれ増加、減少する。
【0123】
Nch差動トランジスタ対111、112のトランジスタ112のドレイン電流の減少により、Pchトランジスタ131のドレイン電流(絶対値)は減少する。このため、Pchトランジスタ131のドレイン・ソース間電圧(ノードN6と第1の電源端子E1間の差電圧の絶対値)を小さくする作用を生じるが、Pchトランジスタ133のゲート・ソース間電圧(電圧BP1とノードN6間の差電圧の絶対値)が増加する。このため、Pchトランジスタ133のドレイン(ノードN2)の充電作用が生じる。結果として、Pchトランジスタ131のドレイン電流(絶対値)の減少に対応して、Pchトランジスタ133のドレイン(ノードN2)の電位が上昇する。あるいは、Pchトランジスタ131のドレイン電流(絶対値)の減少はPchトランジスタ131のゲート・ソース間電圧(絶対値)を縮小に対応し、これによりノードN2の電位は上昇する。
【0124】
一方、Pchトランジスタ131と共にゲートがノードN2に共通接続されたPchトランジスタ132のドレイン電流(絶対値)も減少する。また、Nch差動トランジスタ対111、112のトランジスタ111のドレイン電流は増加するため、Pchトランジスタ132、134の接続点(ノードN5)の電位は低下する。これにより、Pchトランジスタ134のゲート・ソース間電圧(絶対値)が縮小し、ノードN1に供給するPchトランジスタ134のドレイン電流(絶対値)が減少する。このため、ノードN1の電位は低下する。
【0125】
図1の前記第1の実施形態の説明と同様に、第2の浮遊電流源回路60(161、162)を介して接続されたノードN1、N3は、一方のノードの電位変動に応じて、他方のノードの電位も連動して同一方向(高電位側又は低電位側)に変化する。したがって、ノードN1の電位低下と連動して、ノードN3の電位も低下する。
【0126】
ノードN1、N3の電位の低下により、出力増幅段20のPchトランジスタ121における電源端子E3から出力端子2への充電電流が増加し、Nchトランジスタ122における出力端子2から電源端子E4への放電電流は減少する。これにより、出力端子2の出力電圧VOは上昇する。
【0127】
そして、出力電圧VOが入力電圧VI付近に近づくと、Nch差動トランジスタ対111、112の電流値の差は、小さくなり、Pchカレントミラー30’や第2の浮遊電流源回路69(161、162)の各ノード電位や各トランジスタの電流は平衡状態へと回復していく。出力電圧VOが入力電圧VIに到達すると、出力安定状態となる。
【0128】
一方、入力端子1の入力電圧VIが出力端子2の出力電圧VOに対して電源端子E2又はE6(低電圧)側へ変化したとき、Nch差動トランジスタ対111、112は、ゲート・ソース間電圧がそれぞれ縮小、拡大し、出力安定状態時に比べ、トランジスタ111、112のドレイン電流はそれぞれ減少、増加する。
【0129】
Nch差動トランジスタ対111、112のトランジスタ112のドレイン電流の増加により、Pchトランジスタ131のドレイン電流(絶対値)は増加する。このため、Pchトランジスタ131のドレイン・ソース間電圧(絶対値)の拡大作用を生じ、Pchトランジスタ133のゲート・ソース間電圧(絶対値)が減少する。このため、Pchトランジスタ133のドレイン(ノードN2)に放電作用が生じる。結果として、Pchトランジスタ131のドレイン電流(絶対値)の増加に対応して、Pchトランジスタ133のドレイン(ノードN2)の電位が低下する。
【0130】
一方、Pchトランジスタ131と共に、ゲートがノードN2に共通接続されたPchトランジスタ132のドレイン電流(絶対値)も増加する。また、Nch差動トランジスタ対111、112のトランジスタ111のドレイン電流(絶対値)は減少するため、Pchトランジスタ132、134の接続点(ノードN5)の電位は上昇する。これにより、Pchトランジスタ134のゲート・ソース間電圧(絶対値)が拡大し、ノードN1に供給するPchトランジスタ134のドレイン電流(絶対値)が増加する。このため、ノードN1の電位は上昇する。また、ノードN1と第2の浮遊電流源回路60(161、162)を介して接続されたノードN3も、ノードN1の電位上昇と連動して上昇する。
【0131】
ノードN1、N3の電位の上昇により、出力増幅段20のPchトランジスタ121における電源端子E3から出力端子2への充電電流が減少し、Nchトランジスタ122における出力端子2から電源端子E4への放電電流は増加する。これにより、出力端子2の出力電圧VOは低下する。出力電圧VOが入力電圧VI付近に近づくと、Nch差動トランジスタ対111、112の電流値の差は小さくなり、Pchカレントミラー30’や浮遊電流源回路(161、162)の各ノード電位や各トランジスタの電流は平衡状態へと回復していく。出力電圧VOが入力電圧VIに到達すると、出力安定状態となる。
【0132】
次に、増幅加速回路70の動作を簡単に説明する。増幅加速回路70の動作は、差動増幅段10と出力増幅段20の通常の差動増幅動作への追加の作用となる。
【0133】
増幅加速回路70の構成及び詳細な動作は、図1の前記第1の実施形態の説明と同様である。すなわち、増幅加速回路70は、入力電圧VIが出力電圧VOに対して電源端子E1又はE5(高電圧)側へ第1の値Vt1を超えて変化したとき、すなわち、出力電圧VOと第5の電源端子E5の電圧との電圧差が、入力電圧VIと第5の電源端子E5の電圧との電圧差と比較して、第1の値Vt1を超えたとき(VI−VO>Vt1>0)、電流源176の電流I7をNchカレントミラー40’の入力端(ノードN4)に供給する。
【0134】
これにより、Nchカレントミラー40’の入力電流(Nchトランジスタ141、143のドレイン電流)が増加し、Nchカレントミラー40’の出力電流(Nchトランジスタ142、144のドレイン電流)も増加するため、ノードN3の電位低下が加速される。また、ノードN3と浮遊電流源回路(161、162)を介して接続されたノードN1も、ノードN3の電位低下と連動して電位低下が加速される。
【0135】
この結果、出力増幅段20のPchトランジスタ121のゲート・ソース間電圧(絶対値)が更に拡大し、出力増幅段20のNchトランジスタ122のゲート・ソース間電圧は速やかに減少し、出力端子2の出力電圧VOの上昇が速くなる。
【0136】
一方、増幅加速回路70は、入力電圧VIが出力電圧VOに対して電源端子E2又はE7(低電圧)側へ第2の値Vt2を超えて変化したとき、すなわち、入力電圧VIと第5の電源端子E5の電圧との電圧差が、出力電圧VOと第5の電源端子E5の電圧との電圧差と比較して、第2の値Vt2を超えたとき(|VI−VO|>|Vt2|>0)、電流源178の電流I8をPchカレントミラー30’の出力端(ノードN1)に供給する。
【0137】
これにより、ノードN1の電位上昇が加速される。また、ノードN1と第2n浮遊電流源回路(161、162)を介して接続されたノードN3も、ノードN1の電位上昇と連動して電位上昇が加速される。
【0138】
この結果、出力増幅段20のPchトランジスタ121のゲート・ソース間電圧(絶対値)が更に減少し、出力増幅段20のNchトランジスタ122のゲート・ソース間電圧は速やかに拡大し、出力端子2の出力電圧VOの低下が速くなる。
【0139】
なお、出力端子2の充電時、放電時ともに、出力電圧VOが入力電圧VIに近づき、入力電圧VIと出力電圧VOの電位差が第1の値Vt1又は第2の値Vt2未満になると(VI−VO<Vt1、又は、|VI−VO|<|Vt2|)、増幅加速回路70のPchトランジスタ177又は179がオフし、電流源176からの電流I7のノードN4又電流源178からの電流I8のノードN1への供給は停止し、出力端子2の充電又は放電の加速作用も停止される。
【0140】
この後は、増幅加速回路70の制御を受けない差動増幅段10と出力増幅段20の通常の差動増幅動作に移行し、出力電圧VOが入力電圧VIに到達すると、出力安定状態となる。
【0141】
以上のように、図2の出力回路100Bにおいても、図1の出力回路100Aと同様の作用を有する。また、図1と同様に、単一導電型で構成された差動対を有する差動入力段10と出力増幅段20の差動増幅器においても、増幅加速回路70の電流源176、178の電流I7、I8を調整することにより、充電速度と放電速度をほぼ揃えることが可能であり、充電時と放電時の出力電圧波形の対称性が容易に実現できる。また、図1と同様に、差動入力段10及び増幅加速回路70のそれぞれの差動対を単一導電型で構成できることにより、差動入力段10の素子数が削減され、増幅加速回路70の追加による面積増加も抑えることができる。
【0142】
図2の出力回路において、帰還接続構成における出力安定性を確保するため、位相補償容量を設けてもよい。
【0143】
図2において、位相補償容量は、例えば、
Pchトランジスタ132、134の接続点(ノードN5)と出力端子2の間、
Nchトランジスタ142、144の接続点(ノードN7)と出力端子2の間
の一方又は両方に設けることができる。あるいは、
出力増幅段20の
Nchトランジスタ121のゲート、
Pchトランジスタ122のゲート
の一方(ノードN1又はN3)又は両方のゲート(ノードN1及びN3)と出力端子2の間に設けてもよい。
【0144】
位相補償容量の接続に応じて、増幅加速回路70の電流源176、178の電流I7、I8を調整することで、位相補償容量の速やかな充放電を実現し、充電時と放電時の出力電圧波形の対称性を実現することができる。
【0145】
さらに、図2の出力回路100Bは、アイドリング電流(差動増幅段10の電流I1、I2、I3、及び、出力増幅段20のPchトランジスタ121、122の電流、及び、増幅加速回路70の電流源173)を小さくして静消費電力を抑えても、増幅加速回路70の作用により高速動作が可能であるため、低消費電力、高速駆動が実現できる。本実施形態において、各電源端子に供給される電源電圧については、図1と同様であり、図1における説明が参照される。
【0146】
<実施形態3>
次に本発明の第3の実施形態を説明する。図3は、本発明の第3の実施形態の出力回路100Cの構成を示す図である。図3の出力回路100Cは、図2の出力回路100Bにおいて増幅加速回路70の電流源176の電流I7の供給先を変更した構成である。図3において、増幅加速回路70の電流源176は、Pchトランジスタ177を介してNchカレントミラー40’のNchトランジスタ141と143の接続点(ノードN8)に接続されている。その他の構成は図2と同様である。
【0147】
図3において、入力電圧VIが出力電圧VOに対して、電源端子E1又はE5(高電圧)側へ第1の値Vt1を超えて変化したとき(出力電圧VOと電源端子E5の電圧との電圧差が、入力電圧VIと電源端子E5の電圧との電圧差と比較して、第1の値Vt1を超えたとき)、差動増幅段10及び出力増幅段20の通常の差動増幅動作(出力端子2の充電動作)に加えて、増幅加速回路70より、電流源176の電流I7がノードN8に供給される。
【0148】
これにより、Nchカレントミラー40’の入力側の電流(Nchトランジスタ141のドレイン電流)が増加する。このとき、Nchトランジスタ141のドレイン・ソース間電圧の拡大作用を生じるが、Nchトランジスタ143のゲート・ソース間電圧が減少するため、Nchトランジスタ143のドレイン(ノードN4)に対して、充電作用が生じ、結果として、Nchトランジスタ141のドレイン電流の増加に対応して、Nchトランジスタ143のドレイン(ノードN4)の電位が上昇する。このため、Nchトランジスタ141とゲートが共通接続されたNchトランジスタ142のドレイン電流も増加し、Nchカレントミラー40’の出力電流(Nchトランジスタ142、144のドレイン電流)が増加する。
【0149】
Nchカレントミラー40’の出力電流の増加作用は、図2において、増幅加速回路70の電流源176の電流I7がノードN4に供給された場合と同じ作用であり、ノードN3、N1の電位低下が促進される。したがって、図2と同様に、出力端子2の充電動作が加速される。
【0150】
なお、図3において、入力電圧VIが出力電圧VOに対して、電源端子E2又はE7(低電圧)側へ第2の値を超えて変化したとき(入力電圧VIと電源端子E5の電圧との電圧差が、出力電圧VOと電源端子E5の電圧との電圧差と比較して、第2の値Vt2を超えたとき)の増幅加速回路70の作用は図2と同じで、電流源178の電流I8がノードN1に供給され、その結果出力端子2の放電動作が加速される。
【0151】
以上より、図3の出力回路100Cは、図2と同等作用であり、図2と同様の特性となる。なお、図2と図3の出力回路は、増幅加速回路70の電流源176からの電流I7をカレントミラー40’の入力側の電流に結合する位置が異なるが、どちらもカレントミラー40’の入力側の電流を増加させる作用により、出力端子2の充電動作の加速を実現している。
<実施形態4>
次に本発明の第4の実施形態を説明する。図4は、本発明の第4の実施形態の出力回路100Dの構成を示す図である。図4の出力回路100Dは、図1の出力回路100Aにおいて、増幅加速回路70の電流源176の電流I7の供給先を変更し、第1の浮遊電流源回路50を変更した構成である。その他の構成は図1と同様である。
【0152】
図4において、増幅加速回路70の電流源176は、Pchトランジスタ177を介してPchカレントミラー30の入力端(ノードN2)に接続されている。図4の第1の浮遊電流源回路50は、ノードN2、N4間に並列接続されたPchトランジスタ151及びNchトランジスタ152よりなり、Pchトランジスタ151とNchトランジスタ152のゲートには、バイアス電圧BP3とBN3がそれぞれ供給される。第1の浮遊電流源回路50(151、152)は、ノードN2又はノードN4の電位変動によりノードN2、N4間の電流が変動する構成とされる。
【0153】
図4の増幅加速回路70は、電流源176の電流I7(ソース電流)を、第1の遊電流源回路50(151、152)へ入力される側の電流に結合し、第1の浮遊電流源回路50(151、152)を介してNchカレントミラー40の入力側の電流(Nchトランジスタ141のドレイン電流)の電流値を増加させることにより、ノードN1、N3の電位低下を加速させ、出力端子2の充電動作を加速させる構成とされる。
【0154】
図4において、入力電圧VIが出力電圧VOに対して、高電圧側へ第1の値Vt1を超えて変化したとき(出力電圧VOと電源端子E5の電圧との電圧差が、入力電圧VIと電源端子E5の電圧との電圧差と比較して、第1の値Vt1を超えたとき)、差動増幅段10及び出力増幅段20の通常の差動増幅動作(出力端子2の充電動作)に加えて、増幅加速回路70より、電流源176の電流I7がノードN2に供給される。
【0155】
これにより、ノードN2の電位が上昇し、第1の浮遊電流源回路50のPchトランジスタ151のゲート・ソース間電圧(絶対値)が拡大し、第1の浮遊電流源回路50のPchトランジスタ151のドレイン電流(絶対値)は増加する。それに応じて、ノードN4の電位も上昇する。すなわち、第1の浮遊電流源回路50(151、152)を介して接続されたノードN2とN4は、ノードN2の電位上昇に応じて、ノードN4の電位も連動して上昇する。
【0156】
そして、電流源176の電流I7は、第1の浮遊電流源回路50(151、152)を介してNchカレントミラー40の入力電流に加算される。
【0157】
Nchカレントミラー40の入力電流に電流源176の電流I7が加算される作用は、図1と同様の作用であり、したがって、出力端子2の充電動作が加速される。
【0158】
なお、図4において、増幅加速回路70の電流源178の電流I8(ソース電流)は図1と同様に、ノードN1に供給されており、入力電圧VIが出力電圧VOに対して、電源端子E2(低電圧)側へ第2の値Vt2を超えて変化したとき(入力電圧VIと電源端子E5の電圧との電圧差が、出力電圧VOと電源端子E5の電圧との電圧差と比較して、第2の値Vt2を超えたとき)の増幅加速回路70の作用は図1と同じで、電流源178の電流I8がノードN1に供給され、その結果出力端子2の放電動作が加速される。作用の詳細は図1の説明が参照される。
【0159】
以上より、図4の出力回路100Dは、図1と同等作用であり、図1と同様の特性となる。なお、図1と図4の出力回路は、増幅加速回路70の電流源176からの電流I7を結合する位置が異なるが、どちらもNchカレントミラー40の入力側の電流を増加させる作用により、出力端子2の充電動作の加速を実現している。
【0160】
<実施形態5>
次に本発明の第5の実施形態を説明する。図5は、本発明の第5の実施形態の出力回路100Eの構成を示す図である。図5の出力回路100Eは、図4のカレントミラー30、40を、それぞれ図2と同様の低電圧カスコード・カレントミラー30’、40’に変更した構成である。増幅加速回路70の電流源176は、Pchトランジスタ177を介してPchカレントミラー30’の入力端(ノードN2)に接続されている。図5の増幅加速回路70は、電流源176の電流I7(ソース電流)を、ノードN2より第1の浮遊電流源回路50(151、152)へ入力される側の電流に結合し、第1の浮遊電流源回路50(151、152)を介してNchカレントミラー40の入力側の電流(Nchトランジスタ141、143のドレイン電流)の電流値を増加させることにより、ノードN1、N3の電位低下を加速させ、出力端子2の充電動作を加速させる構成とされる。したがって、図5の出力回路100Eは、図2の出力回路100Bと増幅加速回路70の電流源176からの電流I7を結合する位置が異なるが、共にカレントミラー40’の入力側の電流を増加させる作用により、出力端子2の充電動作の加速を実現している。
【0161】
なお、図5において、増幅加速回路70の電流源178の電流I8(ソース電流)は図1と同様にノードN1に供給されており、増幅加速回路70の作用は図2と同じで、出力端子2の放電動作の加速が実現される。作用の詳細は図2の説明が参照される。
【0162】
また、図5において、増幅加速回路70の電流源176を、Pchトランジスタ177を介してPchカレントミラー30’のトランジスタ131、133の接続点(ノードN6)に接続してもよい。入力電圧VIが出力電圧VOに対して、高電圧側へ第1の値Vt1を超えて変化したとき、電流源176の電流I7(ソース電流)がノードN6に供給され、ノードN6の電位が上昇する。このとき、Pchトランジスタ133のゲート・ソース間電圧(絶対値)が増加し、Pchトランジスタ133のドレイン電流(絶対値)が増加する。すなわち、電流源176の電流I7が、Pchトランジスタ133、及び第1の浮遊電流源回路50(151、152)を介してNchカレントミラー40の入力側の電流(Nchトランジスタ141、143のドレイン電流)の電流値を増加させ、その結果、出力端子2の充電動作が加速される。
【0163】
<実施形態6>
次に本発明の第6の実施形態を説明する。図6は、本発明の第6の実施形態の出力回路100Fの構成を示す図である。図6の出力回路100Fは、図2の出力回路において、Nchカレントミラー40’(カスコードカレントミラー)を削除し、代わりに、図1に示したNchカレントミラー40を備えた構成である。Nchカレントミラー40’とNchカレントミラー40はどちらも同様の作用を有しており置換が可能である。なお、図3、図5の出力回路においても、Nchカレントミラー40’をNchカレントミラー40に置換することができる。但し、図3の出力回路の場合には、増幅加速回路70の電流源176の電流I7はノードN4に供給される。
【0164】
<実施形態7>
次に本発明の第7の実施形態を説明する。図7は、本発明の第7の実施形態の出力回路200Aの構成を示す図である。図7の出力回路200Aは、図1の出力回路100Aにおいて、Nchトランジスタ対111、112からなる第1の差動段11を、Pchトランジスタ対211、212からなる第3の差動段11’で置き換えたものである。また、図1の増幅加速回は、逆導電型の増幅加速回路70’で置き換えられている。
【0165】
第3の差動段11’は、ソースが共通接続され、ゲートが入力電圧VIが供給される入力端子1と出力電圧VOが出力される出力端子2にそれぞれ接続されたPch差動トランジスタ対(211、212)と、高位側電源電圧を与える第9の電源端子E9とPch差動トランジスタ対(211、212)の共通ソース間に接続された電流源213を備えている。Pch差動トランジスタ対(211、212)の出力対(ドレイン対)はそれぞれノード対(N3、N4)と接続されている。なお第3の差動段11’とカレントミラー30、40、及び、浮遊電流源回路50、60を含む回路を差動入力段10’とする。
【0166】
増幅加速回路70’は、ソースが結合され、ゲートが入力電圧VIが供給される入力端子1と出力電圧VOが出力される出力端子2にそれぞれ接続されたPchトランジスタ対(差動トランジスタ対)(271、272)と、一端が高位側電源電圧を与える第10の電源端子(E10)に接続され、他端がPchトランジスタ対(271、272)の結合されたソースに接続された電流源273を備えている。
【0167】
また、Pch差動トランジスタ対(271、272)の出力対と低位側電源電圧を与える第8の電源端子E8との間に接続された負荷素子対として電流源274、275を有する。
【0168】
さらに、第8の電源端子E8と差動入力段10’のノードN2間に直列形態で接続された電流源276及びNchトランジスタ277を備えている。さらに、第8の電源端子E8と差動入力段10’のノードN3間に直列形態で接続された電流源278及びNchトランジスタ279を備える。
【0169】
Nchトランジスタ277のゲートは、Pchトランジスタ対(271、272)の出力対の一方(Pchトランジスタ271のドレイン)と電流源274の接続点5に接続されている。Nchトランジスタ279のゲートは、Pchトランジスタ対(271、272)の出力対の他方(Pchトランジスタ272のドレイン)と電流源275の接続点6に接続されている。
【0170】
なお、図7において、Nchトランジスタ277のソースを第8の電源端子E8に接続し、電流源277をNchトランジスタ277のドレインとノードN2間に接続する構成としてもよい。Nchトランジスタ279のソースを第8の電源端子E8に接続し、電流源278をNchトランジスタ279のドレインとノードN3間に接続する構成としてもよい。
【0171】
あるいは、Nchトランジスタ277、279を削除し、電流源276、278を、それぞれノード5、6の電位を制御信号として、その活性、非活性化(活性化時電流出力、非活性化時、電流停止)を制御する構成としてもよい。
【0172】
なお、負荷素子対は、電流源に制限されるものでなく、Pch差動トランジスタ対(271、272)の差動出力電流に応じてノード5又は6の電位を変動させ、電流源276、278それぞれの活性化と非活性化の切替え可能な素子であればよい。具体的には、負荷素子対をなす電流源274、275は、抵抗素子(対)やダイオード(対)に置き換えてもよい。
【0173】
図7の出力回路200Aは、差動入力段10’の差動段11’、及び増幅加速回路70’の差動対の作用が図1の出力回路100AのNch差動対からPch差動対の作用に変わり、出力端子2の充電作用と放電作用も入れ換わる。出力回路200Aは、図1と作用が入れ換わっているだけで、実質、同様である。したがって、図1の出力回路と同様の性能を有する。
【0174】
具体的には、差動入力段10’及び出力増幅段20は、入力電圧VIが出力電圧VOに対して、低電圧側へ変化したとき、差動入力段10’のPch差動トランジスタ対211、212のゲート・ソース間電圧が、それぞれ、拡大、縮小し、出力安定状態時に比べ、トランジスタ211、212のドレイン電流は、それぞれ増加、減少する。これにより、Nchカレントミラー40の入力電流(Nchトランジスタ141のドレイン電流)及び出力電流(Nchトランジスタ142のドレイン電流)が減少し、ノードN1、N3の電位は上昇して、出力増幅段20による出力端子2の放電作用が生じる。
【0175】
増幅加速回路70’は、入力電圧VIが出力電圧VOに対して、低電圧側へ第3の値Vt3を超えて変化したとき(出力電圧VOと第8の電源端子E8との電圧差が、入力電圧VIと第8の電源端子E8との電圧差と比較して、第3の値Vt3を超えたとき)、Pch差動対のトランジスタ271のドレイン電流(絶対値)が増加し、ノード5の電位が上昇し、電流源276が活性化される。これにより、電流源276の電流I17がノードN2に供給され、Pchカレントミラー30の入力電流(Pchトランジスタ131のドレイン電流(絶対値))及び出力電流(Pchトランジスタ132のドレイン電流(絶対値))が増加し、ノードN1、N3の電位の上昇を加速させ、出力増幅段20による出力端子2の放電作用が加速される。
【0176】
また、差動入力段10’及び出力増幅段20は、入力電圧VIが出力電圧VOに対して、高電圧側へ変化したとき、差動入力段10’のPch差動トランジスタ対211、212のゲート・ソース間電圧が、それぞれ、縮小、拡大し、出力安定状態時に比べ、トランジスタ211、212のドレイン電流は、それぞれ減少、増加する。これにより、Nchカレントミラー40の入力電流(Nchトランジスタ141のドレイン電流)及び出力電流(Nchトランジスタ142のドレイン電流)が増加し、ノードN1、N3の電位は低下して、出力増幅段20による出力端子2の充電作用が生じる。
【0177】
増幅加速回路70’は、入力電圧VIが出力電圧VOに対して、高電圧側へ第4の値Vt4を超えて変化したとき(入力電圧VIと第8の電源端子E8との電圧差が、出力電圧VOと第8の電源端子E8との電圧差と比較して、第4の値Vt4を超えたとき)、Pch差動対のトランジスタ272のドレイン電流(絶対値)が増加し、ノード6の電位が上昇し、電流源278が活性化される。これにより、電流源278の電流I18がノードN3に供給され、ノードN1、N3の電位の低下を加速させ、出力増幅段20による出力端子2の充電作用が加速される。
【0178】
なお、図7の出力回路200Aにおける電源端子の供給電圧について説明する。例えば図7の構成を、図11(A)のLCDドライバの負極出力レンジを駆動する出力回路として用いる場合には、
第1、第3、第9、第10の電源端子E1、E3、E9、E10の電源電圧は共に高位側電源電圧VDDとし、
第2、第4、第8の電源端子E2、E4、E8の電源電圧は共に低位側電源電圧VSSとすることができる。
【0179】
また、負極出力レンジを駆動する出力回路として用いる場合で、コモン電圧(COM)付近の負極出力レンジの上限に対応した電源電圧VMHが供給される場合には、
第2、第4、第8の電源端子E2、E4、E8の電源電圧は共に低位側電源電圧VSS、
第3の電源端子E3の電源電圧は中位電源電圧VMH、
第9、第10の電源端子E9、E10の電源電圧は高位側電源電圧VDD、
第1の電源端子E1の電源電圧は高位側電源電圧VDD又は中位電源電圧VMHとしてもよい。
【0180】
特に、第3の電源端子E3の電源電圧を中位電源電圧VMHとすることで、流れる電流が大きい出力増幅段20の第3、第4の電源端子E3、E4間の電源電圧差を小さくすることで、(電流×電圧)に依存する消費電力が低減され、発熱抑制効果もある。
【0181】
なお、差動入力段10’及び増幅加速回路70’のそれぞれのPch差動対を駆動する電流源213、273に接続されている第9、第10の電源端子E9、E10の電源電圧に関して、それぞれのPch差動対の動作範囲上限は、第9、第10の電源端子E9、E10の電源電圧からPch差動トランジスタ対((211、212)、(271、272))の閾値電圧(絶対値)分低い電圧となる。
【0182】
Pch差動トランジスタ対の閾値電圧(絶対値)がある程度大きい場合でも、第9、第10の電源端子E9、E10を高位側電源電圧VDDとすることで、図11(A)のLCDドライバの負極出力レンジ(VSS〜VMH)を駆動する出力回路として、図7の出力回路200Aを用いることに支障はない。
【0183】
なお、図2乃至図6に示した第2乃至第6の実施形態の変形例として、第7の実施形態と同様、差動入力段10及び増幅加速回路70を差動入力段10’及び増幅加速回路70’に置き換え、差動対の導電型を変更することが可能である。
【0184】
また増幅加速回路70’の電流源276、278の電流I17、I18の供給先はそれぞれ、第2及び第6の実施形態の変形例ではノードN2、N3へ変更され、第3の実施形態の変形例ではノードN6、N3へ変更され、第4及び第5の実施形態の変形例ではノードN4、N3へ変更される。
【0185】
<実施形態8>
次に本発明の第8の実施形態を説明する。図8は、本発明の第8の実施形態の出力回路200Bの構成を示す図である。図8の出力回路200Bは、図7の出力回路200Aにおいて、図7のカレントミラー30、40を、図2の低電圧カスコード・カレントミラー30’、40’に変更したものである。
【0186】
カレントミラー30、40と低電圧カスコード・カレントミラー30’、40’は同等の機能を有しており、出力回路200Bは出力回路200Aと同等の作用を有する。
【0187】
<実施形態9>
次に本発明の第9の実施形態を説明する。図9は、本発明の第9の実施形態の出力回路300Aの構成を示す図である。図9の出力回路300Aは、図1の出力回路100Aにおいて、増幅加速回路70を、図7の増幅加速回路70’に置き換えた構成である。
増幅加速回路70’の電流源276、278の電流I17、I18の供給先はそれぞれノードN2、N3へ供給される。図9の出力回路300Aように、それぞれの差動対の導電型が異なる差動入力段10と増幅加速回路70’の組み合わせも可能である。同様に、差動入力段10’と増幅加速回路70の組み合わせも可能である。
【0188】
<実施形態10>
図10は、本発明の第10の実施形態の表示装置のデータドライバの要部構成を示す図である。図10を参照すると、例えば図12(A)のデータドライバ980に対応している。図10を参照すると、このデータドライバは、シフトレジスタ801と、データレジスタ/ラッチ802と、レベルシフタ群803と、参照電圧発生回路804と、デコーダ回路群805と、出力回路群806と、を含んで構成される。
【0189】
出力回路群806の各出力回路は、図1乃至図9を参照して説明した各実施形態の出力回路を用いることができる。出力回路群806は、出力数に対応して、出力回路を複数個備えている。
【0190】
シフトレジスタ801は、スタートパルスとクロック信号CLKに基づき、データラッチのタイミングを決定する。データレジスタ/ラッチ802は、シフトレジスタ801で決定されたタイミングに基づいて、入力された映像デジタルデータを各出力単位のデジタルデータ信号に展開し、所定の出力数毎ラッチし、制御信号に応じて、レベルシフトタ群803に出力する。
【0191】
レベルシフタ群803は、データレジスタ/ラッチ802から出力される各出力単位のデジタルデータ信号を低振幅信号から高振幅信号にレベル変換して、デコーダ回路群805に出力する。
【0192】
デコーダ回路群805は、各出力毎に、参照電圧発生回路804で生成された参照電圧群から、レベル変換されたデジタルデータ信号に応じた1つ又は複数の参照電圧を選択する。出力回路群806は、各出力毎に、デコーダ回路群805の対応するデコーダで選択された一つ又は複数の参照電圧を入力し、その参照電圧に対応した階調信号を増幅出力する。出力回路群806の出力端子群は表示装置のデータ線に接続されている。
【0193】
シフトレジスタ801及びデータレジスタ/ラッチ802はロジック回からなり、一般に低電圧(例えば0V〜3.3Vの電源電圧で動作)で構成され、対応する電源電圧が供給されている。レベルシフタ群803、デコーダ回路群805、及び、出力回路群806は、一般に表示素子を駆動するのに必要な高電圧(例えば0V(VSS)〜18V(VDD))で構成され、対応する電源電圧が供給されている。
【0194】
図1乃至図9を参照して説明した各実施形態、実施形態の出力回路は、出力回路の出力端子に接続するデータ線の充電動作及び放電動作が加速され、充電時及び放電時の波形対称性が実現可能とされており、さらに面積、消費電力の縮減に好適とされるため、表示装置のデータドライバの出力回路群806の各出力回路として好適な構成とされている。
【0195】
本実施形態によれば、低消費電力で高速駆動が可能なデータドライバ、表示装置を実現可能としている。
【0196】
なお、上記の特許文献、非特許文献の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせないし選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0197】
1 入力端子
2 出力端子
3、4 ノード(接続点)
10、10’ 差動入力段
11 第1の差動段
11’ 第3の差動段
20 出力増幅段
30、30’ 第1のカレントミラー
40、40’ 第2のカレントミラー
50 第1の浮遊電流源回路
60 第2の浮遊電流源回路
70、70’ 増幅加速回路
111、112、122、141、142、162、171、172 Nchトランジスタ
120 増幅加速回路
121、131、132、161、177、179 Pchトランジスタ
113、150、174−178 電流源
801 シフトレジスタ
802 データレジスタ/ラッチ
803 レベルシフタ群
804 参照電圧発生回路
805 デコーダ回路群
806 出力回路群
940 電源回路
950 表示コントローラー
960 表示パネル
961 走査線
962 データ線
963 表示素子
964 画素スイッチ(薄膜トランジスタ:TFT)
965 液晶容量
966 補助容量
967 対向基板電極
969 表示素子
970 ゲートドライバ
971 液晶容量
972 補助容量
973 画素電極
974 対向基板電極
980 データドライバ
981 薄膜トランジスタ(TFT)
982 有機発光ダイオード
983 補助容量
984 電源端子
985 カソード電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
差動入力段と、出力増幅段と、増幅加速回路と、入力端子と、出力端子と、第1乃至第5の電源端子と、を備えた出力回路であって、
前記差動入力段は、
前記入力端子の入力信号と、前記出力端子の出力信号とを差動入力するトランジスタ対を備えた第1の差動対と、
前記第1の差動対を駆動する第1の電流源と、
前記第1の電源端子と、第1及び第2のノード間に接続され、前記第1の差動対の出力電流を受ける、第1導電型のトランジスタ対を含む第1のカレントミラーと、
前記第2の電源端子と第3及び第4のノード間に接続された第2導電型のトランジスタ対を含む第2のカレントミラーと、
前記第1のカレントミラーの入力が接続された前記第2のノードと、前記第2のカレントミラーの入力が接続された前記第4のノード間に接続された第1の浮遊電流源回路と、
前記第1のカレントミラーの出力が接続された前記第1のノードと前記第2のカレントミラーの出力が接続された前記第3のノード間に接続された第2の浮遊電流源回路と、
を備え、
前記出力増幅段は、
前記第3の電源端子と前記出力端子との間に接続され、制御端子が前記第1のノードに接続された第1導電型の第1のトランジスタと、
前記第4の電源端子と前記出力端子との間に接続され、制御端子が前記第3のノードに接続された第2導電型の第2のトランジスタと、
を備え、
前記増幅加速回路は、
前記入力端子の入力信号と、前記出力端子の出力信号とを差動入力するトランジスタ対を備えた第2の差動対と、
前記第5の電源端子に接続される第2及び第3の電流源と、
を有し、
前記出力端子の出力電圧と前記第5の電源端子の電圧との電圧差が、前記入力端子の入力電圧と前記第5の電源端子の電圧との電圧差に比べて、予め定められた第1の値より大きいときに、前記第2の差動対のうち前記出力端子に入力が接続される前記トランジスタ対の一方の出力に応じて前記第3の電流源を非活性化し、前記第2の差動対のうち前記入力端子に入力が接続される前記トランジスタ対の他方の出力に応じて前記第2の電流源を活性化させて、前記第2の電流源からの電流を、前記第1の浮遊電流源回路へ入力される側の電流、又は前記第1の浮遊電流源回路から出力される側の電流の一方の電流に結合させ、
前記入力端子の入力電圧と前記第5の電源端子の電圧との電圧差が、前記出力端子の出力電圧と前記第5の電源端子の電圧との電圧差に比べて、予め定められた第2の値よりも大きいときに、前記第2の差動対のうち前記入力端子に入力が接続される前記トランジスタ対の前記他方の出力に応じて前記第2の電流源を非活性化し、前記第2の差動対のうち前記出力端子に入力が接続される前記トランジスタ対の前記一方の出力に応じて前記第3の電流源を活性化させて、前記第3の電流源からの電流を、前記第2の浮遊電流源回路へ入力される側の電流又は前記第2の浮遊電流源回路から出力される側の電流の一方の電流に結合させ、
前記出力端子の出力電圧と前記第5の電源端子の電圧との電圧差が、前記入力端子の入力電圧と前記第5の電源端子の電圧との電圧差に比べて、前記第1の値以下であり、且つ、前記入力端子の入力電圧と前記第5の電源端子の電圧との電圧差が、前記出力端子の出力電圧と前記第2の電源端子の電圧との電圧差に比べて、前記第2の値以下であるとき、前記第2及び第3の電流源を共に非活性化する、
ように切替制御する出力回路。
【請求項2】
差動入力段と、出力増幅段と、増幅加速回路と、入力端子と、出力端子と、第1乃至第5の電源端子と、を備えた出力回路であって、
前記差動入力段は、
第1の電流源で駆動され、入力対が前記入力端子と前記出力端子にそれぞれ接続されたトランジスタ対からなる第1の差動対と、
前記第1の電源端子と前記第1の差動対の出力対間に接続された第1導電型のトランジスタ対を含む第1のカレントミラーと、
前記第2の電源端子に接続された第2導電型のトランジスタ対を含む第2のカレントミラーと、
前記第1と第2のカレントミラーの入力がそれぞれ接続される第2と第4のノード間に接続された第1の浮遊電流源回路と、
前記第1と第2のカレントミラーの出力がそれぞれ接続される第1と第3のノード間に接続された第2の浮遊電流源回路と、
を含み、
前記出力増幅段は、
前記第3の電源端子と前記出力端子間に接続され、制御端子が前記第1のノードに接続された第1導電型の出力トランジスタと、第4の電源端子と前記出力端子間に接続され、制御端子が前記第3のノードにそれぞれ接続された第2導電型の出力トランジスタと、を含み、
前記増幅加速回路は、
第4の電流源で駆動され、入力対が前記入力端子と前記出力端子にそれぞれ接続された第2導電型のトランジスタ対からなる第2の差動対と、前記第5の電源端子と前記第2の差動対の出力対間にそれぞれ接続された負荷素子対を備え、さらに、
前記第4のノード、前記第2のノード、前記第2のカレントミラーの前記第2導電型のトランジスタ対の入力側のトランジスタの前記第2の電源端子と反対側の端子のうち予め定められたいずれか1つのノードと、前記第5の電源端子との間に接続され、前記第2の差動対のうち前記入力端子に入力が接続する前記第2導電型トランジスタの出力の電圧に応じて活性化が制御され、前記1つのノードへの電流供給を制御する第1の電流源回路と、
前記第5の電源端子と前記第1のノード間に接続され、前記第2の差動対のうち前記出力端子に入力が接続する前記第2導電型のトランジスタの出力の電圧に応じて活性化が制御され、前記第1のノードへの電流供給を制御する第2の電流源回路と、
を含む出力回路。
【請求項3】
差動入力段と、出力増幅段と、増幅加速回路と、入力端子と、出力端子と、第1乃至第5の電源端子と、を備えた出力回路であって、
前記差動入力段は、
第1の電流源で駆動され、入力対が前記入力端子と前記出力端子にそれぞれ接続されたトランジスタ対からなる第1の差動対と、
前記第1の電源端子と前記第1の差動対の出力対間に接続された第1導電型のトランジスタ対を含む第1のカレントミラーと、
前記第2の電源端子に接続された第2導電型のトランジスタ対を含む第2のカレントミラーと、
前記第1と第2のカレントミラーの入力がそれぞれ接続される第2と第4のノード間に接続された第1の浮遊電流源回路と、
前記第1と第2のカレントミラーの出力がそれぞれ接続される第1と第3のノード間に接続された第2の浮遊電流源回路と、
を含み、
前記出力増幅段は、
前記第3の電源端子と前記出力端子間に接続され、制御端子が前記第1のノードに接続された第1導電型の出力トランジスタと、第4の電源端子と前記出力端子間に接続され、制御端子が前記第3のノードにそれぞれ接続された第2導電型の出力トランジスタと、を含み、
前記増幅加速回路は、
第4の電流源で駆動され、入力対が前記入力端子と前記出力端子にそれぞれ接続された第1導電型のトランジスタ対からなる第2の差動対と、前記第5の電源端子と前記第2の差動対の出力対間にそれぞれ接続された負荷素子対を備え、
前記第2のノードと前記第5の電源端子との間に接続され、前記第2の差動対のうち前記入力端子に入力が接続する前記第1導電型トランジスタの出力の電圧に応じて活性化が制御され、前記第2のノードへの電流供給を制御する第1の電流源回路と、
前記第5の電源端子と前記第3のノードとの間に接続され、前記第2の差動対のうち前記出力端子に入力が接続する前記第1導電型のトランジスタの出力の電圧に応じて活性化が制御され、前記第3のノードへの電流供給を制御する第2の電流源回路と、
を含む出力回路。
【請求項4】
前記増幅加速回路が、
前記第5の電源端子と前記第2のカレントミラーの入力側の所定のノードとの間に接続される前記第2の電流源を有し、
前記出力電圧と前記第5の電源端子の電圧との電圧差が、前記入力電圧と前記第5の電源端子の電圧との電圧差に比べて、前記第1の値より大きいときに、
前記第2の差動対のうち前記出力端子に入力が接続される前記トランジスタ対の前記一方の出力に応じて前記第3の電流源が非活性化され、前記第2の差動対のうち前記入力端子に入力が接続される前記トランジスタ対の前記他方の出力に応じて前記第2の電流源を活性化させて、前記第2の電流源からの電流を前記第2のカレントミラーの入力側の電流に結合させ、
前記第5の電源端子と前記第1のノード間に接続される前記第3の電流源を有し、前記入力電圧と前記第5の電源端子の電圧との電圧差が、前記出力電圧と前記第5の電源端子の電圧との電圧差に比べて、前記第2の値より大きいときに、
前記第2の差動対のうち前記入力端子に入力が接続される前記トランジスタ対の前記他方の出力に応じて前記第2の電流源が非活性化され、前記第2の差動対のうち前記出力端子に入力が接続される前記トランジスタ対の前記一方の出力に応じて前記第3の電流源を活性化させて前記第3の電流源からの電流を、前記第1のカレントミラーの出力電流に結合させ、
前記出力電圧と前記第5の電源端子の電圧との電圧差が、前記入力電圧と前記第5の電源端子の電圧との電圧差に比べて、前記第1の値以下、且つ、前記入力電圧と前記第5の電源端子の電圧との電圧差が、前記出力電圧と前記第5の電源端子の電圧との電圧差に比べて、前記第2の値以下のとき、
前記第2及び第3の電流源が共に非活性化される、
ように切替制御する、ことを特徴とする請求項1記載の出力回路。
【請求項5】
前記増幅加速回路が、
前記第5の電源端子と前記第2のカレントミラーの入力側の所定のノードとの間に直列形態に接続される前記第2の電流源と第1のスイッチを備え、
前記第5の電源端子と前記第1のノードとの間に直列形態に接続される前記第3の電流源と第2のスイッチを備え、
前記第1のスイッチは、前記出力電圧と前記第5の電源端子の電圧との電圧差が、前記入力電圧と前記第5の電源端子の電圧との電圧差に比べて、前記第1の値より大きいときにオンに設定され、
前記第2のスイッチは、前記入力電圧と前記第5の電源端子の電圧との電圧差が、前記出力電圧と前記第5の電源端子の電圧との電圧差に比べて、前記第2の値より大きいときにオンに設定され、
前記第1及び第2のスイッチは、前記出力電圧と前記第5の電源端子の電圧との電圧差が、前記入力電圧と前記第5の電源端子の電圧との電圧差に比べて、前記第1の値以下、且つ、前記入力電圧と前記第5の電源端子の電圧との電圧差が、前記出力電圧と前記第5の電源端子の電圧との電圧差に比べて、前記第2の値以下のときに、共にオフに設定される、ことを特徴とする請求項4記載の出力回路。
【請求項6】
前記増幅加速回路が、
前記第5の電源端子に一端がそれぞれ共通に接続された第1及び第2の負荷素子及び前記第2及び第3の電流源と、
前記入力端子の前記入力信号と前記出力端子の前記出力信号を差動で入力し、出力対が前記第1及び第2の負荷素子のそれぞれの他端に接続されるトランジスタ対を備えた前記第2の差動対と、
前記第2の差動対を駆動する第4の電流源と、
前記第2の電流源の他端に接続された第1端子と、前記第2のカレントミラーの入力側の予め定められたノードに接続された第2端子と、前記第1の負荷素子の他端と前記第2の差動対の出力対の一方との接続点に接続された制御端子とを有する第1導電型の第4のトランジスタと、
前記第3の電流源の他端に接続された第1端子と、前記第1のノードに接続された第2端子と、前記第2の負荷素子の他端と前記第2の差動対の出力対の他方との接続点に接続された制御端子とを有する第1導電型の第5のトランジスタと、
を備えている、ことを特徴とする請求項4記載の出力回路。
【請求項7】
前記増幅加速回路が、
前記第5の電源端子と前記第1のカレントミラーの入力側の所定のノードとの間に接続される前記第2の電流源を有し、前記出力電圧と前記第5の電源端子の電圧との電圧差が、前記入力電圧と前記第5の電源端子の電圧との電圧差に比べて、前記第1の値より大きいときに、
前記第2の差動対のうち前記出力端子に入力が接続される前記トランジスタ対の前記一方の出力に応じて前記第3の電流源が非活性化され、前記第2の差動対のうち前記入力端子に入力が接続される前記トランジスタ対の前記他方の出力に応じて前記第2の電流源を活性化させて前記第2の電流源からの電流を前記第1のカレントミラーの入力側の電流に結合させ、
前記第5の電源端子と前記第1のノード間に接続される前記第3の電流源を有し、前記入力電圧と前記第5の電源端子の電圧との電圧差が、前記出力電圧と前記第5の電源端子の電圧との電圧差に比べて、前記第2の値より大きいときに、
前記第2の差動対のうち前記入力端子に入力が接続される前記トランジスタ対の前記他方の出力に応じて前記第2の電流源が非活性化され、前記第2の差動対のうち前記出力端子に入力が接続される前記トランジスタ対の前記一方の出力に応じて前記第3の電流源を活性化させて前記第3の電流源からの電流を、前記第1のカレントミラーの出力電流に結合させ、
前記出力電圧と前記第5の電源端子の電圧との電圧差が、前記入力電圧と前記第5の電源端子の電圧との電圧差に比べて、前記第1の値以下、且つ、前記入力電圧と前記第5の電源端子の電圧との電圧差が、前記出力電圧と前記第5の電源端子の電圧との電圧差に比べて、前記第2の値以下のとき、
前記第2及び第3の電流源が共に非活性化される、
ように切替制御する、ことを特徴とする請求項1記載の出力回路。
【請求項8】
前記増幅加速回路が、
前記第5の電源端子と前記第1のカレントミラーの入力側の所定のノードとの間に直列形態に接続される前記第2の電流源と第1のスイッチを備え、
前記第5の電源端子と前記第1のノードとの間に直列形態に接続される前記第3の電流源と第2のスイッチを備え、
前記第1のスイッチは、前記出力電圧と前記第5の電源端子の電圧との電圧差が、前記入力電圧と前記第5の電源端子の電圧との電圧差に比べて、前記第1の値より大きいときにオンに設定され、
前記第2のスイッチは、前記入力電圧と前記第5の電源端子の電圧との電圧差が、前記出力電圧と前記第5の電源端子の電圧との電圧差に比べて、前記第2の値より大きいときにオンに設定され、
前記第1及び第2のスイッチは、前記出力電圧と前記第5の電源端子の電圧との電圧差が、前記入力電圧と前記第5の電源端子の電圧との電圧差に比べて、前記第1の値以下、且つ、前記入力電圧と前記第5の電源端子の電圧との電圧差が、前記出力電圧と前記第5の電源端子の電圧との電圧差に比べて、前記第2の値以下のときに、共にオフに設定される、ことを特徴とする請求項7記載の出力回路。
【請求項9】
前記増幅加速回路が、
前記第5の電源端子に一端がそれぞれ共通に接続された、第1及び第2の負荷素子、及び、前記第2及び第3の電流源と、
前記入力端子の前記入力信号と前記出力端子の前記出力信号を差動で入力し、出力対が前記第1及び第2の負荷素子のそれぞれの他端に接続されるトランジスタ対を備えた前記第2の差動対と、
前記第2の差動対を駆動する第4の電流源と、
前記第2の電流源の他端に接続された第1端子と、前記第1のカレントミラーの入力側の予め定められたノードに接続された第2端子と、前記第1の負荷素子の他端と前記第2の差動対の出力対の一方との接続点に接続された制御端子とを有する第1導電型の第4のトランジスタと、
前記第3の電流源の他端に接続された第1端子と、前記第1のノードに接続された第2端子と、前記第2の負荷素子の他端と前記第2の差動対の出力対の他方との接続点に接続された制御端子とを有する第1導電型の第5のトランジスタと、
を備えている、ことを特徴とする請求項7記載の出力回路。
【請求項10】
前記増幅加速回路が、
前記第5の電源端子と前記第1のカレントミラーの入力側の所定のノードとの間に接続される前記第2の電流源を有し、前記出力電圧と前記第5の電源端子の電圧との電圧差が、前記入力電圧と前記第5の電源端子の電圧との電圧差に比べて、前記第1の値より大きいときに、
前記第2の差動対のうち前記出力端子に入力が接続される前記トランジスタ対の前記一方の出力に応じて前記第3の電流源が非活性化され、前記第2の差動対のうち前記入力端子に入力が接続される前記トランジスタ対の前記他方の出力に応じて前記第2の電流源を活性化させて前記第2の電流源からの電流を前記第1のカレントミラーの入力側の電流に結合させ、
前記第5の電源端子と前記第3のノード間に接続される前記第3の電流源を有し、前記入力電圧と前記第5の電源端子の電圧との電圧差が、前記出力電圧と前記第5の電源端子の電圧との電圧差に比べて、前記第2の値より大きいときに、
前記第2の差動対のうち前記入力端子に入力が接続される前記トランジスタ対の前記他方の出力に応じて前記第2の電流源が非活性化され、前記第2の差動対のうち前記出力端子に入力が接続される前記トランジスタ対の前記一方の出力に応じて前記第3の電流源を活性化させて前記第3の電流源からの電流を、前記第2のカレントミラーの出力電流に結合させ、
前記出力電圧と前記第5の電源端子の電圧との電圧差が、前記入力電圧と前記第5の電源端子の電圧との電圧差に比べて、前記第1の値以下、且つ、前記入力電圧と前記第5の電源端子の電圧との電圧差が、前記出力電圧と前記第5の電源端子の電圧との電圧差に比べて、前記第2の値以下のとき、
前記第2及び第3の電流源が共に非活性化される、
ように切替制御する、ことを特徴とする請求項1記載の出力回路。
【請求項11】
前記増幅加速回路が、
前記第5の電源端子と前記第1のカレントミラーの入力側の所定のノードとの間に直列形態に接続される前記第2の電流源と第1のスイッチを備え、
前記第5の電源端子と前記第3のノードとの間に直列形態に接続される前記第3の電流源と第2のスイッチを備え、
前記第1のスイッチは、前記出力電圧と前記第5の電源端子の電圧との電圧差が、前記入力電圧と前記第5の電源端子の電圧との電圧差に比べて、前記第1の値より大きいときにオンに設定され、
前記第2のスイッチは、前記入力電圧と前記第5の電源端子の電圧との電圧差が、前記出力電圧と前記第5の電源端子の電圧との電圧差に比べて、前記第2の値より大きいときにオンに設定され、
前記第1及び第2のスイッチは、前記出力電圧と前記第5の電源端子の電圧との電圧差が、前記入力電圧と前記第5の電源端子の電圧との電圧差に比べて、前記第1の値以下、且つ、前記入力電圧と前記第5の電源端子の電圧との電圧差が、前記出力電圧と前記第5の電源端子の電圧との電圧差に比べて、前記第2の値以下のときに、共にオフに設定される、ことを特徴とする請求項10記載の出力回路。
【請求項12】
前記増幅加速回路が、
前記第5の電源端子に一端がそれぞれ共通に接続された第1及び第2の負荷素子及び前記第2及び第3の電流源と、
前記入力端子の前記入力信号と前記出力端子の前記出力信号を差動で入力し、出力対が前記第1及び第2の負荷素子のそれぞれの他端に接続されるトランジスタ対を備えた前記第2の差動対と、
前記第2の差動対を駆動する第4の電流源と、
前記第2の電流源の他端に接続された第1端子と、前記第1のカレントミラーの入力側の予め定められたノードに接続された第2端子と、前記第1の負荷素子の他端と前記第2の差動対の出力対の一方との接続点に接続された制御端子とを有する第2導電型の第4のトランジスタと、
前記第3の電流源の他端に接続された第1端子と、前記第3のノードに接続された第2端子と、前記第2の負荷素子の他端と前記第2の差動対の出力対の他方との接続点に接続された制御端子とを有する第2導電型の第5のトランジスタと、
を備えている、ことを特徴とする請求項10記載の出力回路。
【請求項13】
前記第1のカレントミラーが、
前記第1導電型のトランジスタ対として、
前記第1の電源端子に第1端子が共通に接続され、制御端子同士が接続された第1導電型の1段目のトランジスタ対と、
第1導電型の前記1段目のトランジスタ対の第2端子に第1端子がそれぞれ接続され、第2端子が前記第1のノードと前記第2のノードとにそれぞれ接続され、制御端子同士が接続された第1導電型の2段目のトランジスタ対と、
を備え、
前記第2のノードに接続する第1導電型の前記2段目のトランジスタ対の一方のトランジスタの第2端子は、第1導電型の前記1段目トランジスタ対の制御端子に接続され、
前記第1の差動対の出力対は、第1導電型の前記1段目のトランジスタ対と前記2段目のトランジスタ対の接続点対にそれぞれ接続されている、ことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の出力回路。
【請求項14】
前記第2のカレントミラーが、
前記第2導電型のトランジスタ対として、
前記第2の電源端子に第1端子が共通に接続され、制御端子同士が接続された第2導電型の1段目トランジスタ対と、
第2導電型の前記1段目のトランジスタ対の第2端子に第1端子がそれぞれ接続され、第2端子が前記第3のノードと前記第4のノードとにそれぞれ接続され、制御端子同士が接続された第2導電型の2段目のトランジスタ対と、
備え、
前記第4のノードに接続する前記第2導電型の前記2段目のトランジスタ対の一方のトランジスタの第2端子は、前記第2導電型の前記1段目のトランジスタ対の制御端子に接続されている、ことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の出力回路。
【請求項15】
前記第1導電型の第4のトランジスタの第2端子が、前記第2のカレントミラーの入力が接続する前記第4のノードに接続されている、ことを特徴とする請求項6又は9に記載の出力回路。
【請求項16】
前記第2のカレントミラーが、
前記第2導電型のトランジスタ対として、
前記第2の電源端子に第1端子が共通に接続され、制御端子同士が接続された第2導電型の1段目トランジスタ対と、
第2導電型の前記1段目のトランジスタ対の第2端子に第1端子がそれぞれ接続され、第2端子が前記第3のノードと前記第4のノードとにそれぞれ接続され、制御端子同士が接続された第2導電型の2段目のトランジスタ対と、
備え、
前記第4のノードに接続する前記第2導電型の前記2段目のトランジスタ対の一方のトランジスタの第2端子は、前記第2導電型の前記1段目のトランジスタ対の制御端子に接続され、
前記第1導電型の第4のトランジスタの第2端子が、前記第4のノードに接続する第2導電型の前記2段目のトランジスタ対の一方のトランジスタの第1端子に接続されている、ことを特徴とする請求項6記載の出力回路。
【請求項17】
前記第1導電型の第4のトランジスタの第2端子が、前記第1のカレントミラーの入力が接続する前記第2のノードに接続されている、ことを特徴とする請求項8に記載の出力回路。
【請求項18】
前記第2導電型の第4のトランジスタの第2端子が、前記第1のカレントミラーの入力が接続する前記第2のノードに接続されている、ことを特徴とする請求項12に記載の出力回路。
【請求項19】
前記第1の浮遊電流源回路が、電流源を備え、
前記第2の浮遊電流源回路が、
前記第1のノードと前記第3のノード間に接続され制御端子に第1のバイアス電圧を受ける第1導電型のトランジスタと、
前記第1のノードと前記第3のノード間に接続され制御端子に第2のバイアス電圧を受ける第2導電型のトランジスタと、
を備えている、ことを特徴とする請求項1乃至7、11乃至13のいずれか1項に記載の出力回路。
【請求項20】
前記第1の浮遊電流源回路が、
前記第2のノードと前記第4のノード間に接続され制御端子に第1のバイアス電圧を受ける第1導電型のトランジスタと、
前記第2のノードと前記第4のノード間に接続され制御端子に第2のバイアス電圧を受ける第2導電型のトランジスタと、
を備え、
前記第2の浮遊電流源回路が、
前記第1のノードと前記第3のノード間に接続され制御端子に第3のバイアス電圧を受ける第1導電型のトランジスタと、
前記第1のノードと前記第3のノード間に接続され制御端子に第4のバイアス電圧を受ける第2導電型のトランジスタと、
を備えている、ことを特徴とする請求項4、8、9、8、10のいずれか1項に記載の出力回路。
【請求項21】
参照電圧を受け、入力された映像データをデコードして前記映像データに対応する電圧を出力するデコーダと、
前記デコーダの出力電圧を入力端子より受け、出力端子がデータ線に接続される出力回路であって、請求項1乃至20のいずれか1項に記載の出力回路と、
を備えたデータドライバ。
【請求項22】
請求項21記載のデータドライバを備えた表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−85080(P2013−85080A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−222978(P2011−222978)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】