説明

分析装置、および反応容器

【課題】分析処理の処理効率を向上することができるうえ、分析処理にかかるコストを削減することができるだけでなく、装置自体を小型化すること。
【解決手段】分析装置100は、送出手段160と、分注手段110と、測定手段150と、を備える。送出手段160は、直線上に位置する吐出位置、測定位置、および排出位置を通過するように、複数の反応容器201を所定数ごとに送出させる。分注手段110は、所定数の反応容器201のそれぞれに対して、検体容器121から吸入した検体を吐出する。また、分注手段110は、所定数の反応容器201のそれぞれに対して、試薬容器131から吸入した試薬を吐出する。測定手段150は、試薬が吐出された検体の状態変化を測定位置にて所定数の反応容器201のそれぞれに対して並行して測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体と試薬との反応物を分析する分析装置、および当該分析装置に用いられる反応容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、たとえば、臨床検査において、血液などの検体に対して試薬を分注することによって化学反応液を生成し、生成された化学反応液を分析することができる分析装置が用いられている(たとえば、下記特許文献1参照。)。たとえば、血液凝固検査においては、このような分析装置を用いて、血液凝固剤を患者から抽出した血液に吐出することによって血液を凝固させ、凝固した血液を分析することによって、血液の凝固作用の正否を特定することができる。
【0003】
【特許文献1】特開平6−174730号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来技術にあっては、反応容器を円盤状の反応ディスクの円周上に並設する構成となっているため、反応ディスク上に設置可能な反応容器の数に制限が生じていた。このため、反応液の測定が終了した反応容器については、あるタイミングで反応ディスク上から回収して、洗浄、再利用または廃棄する必要があり、結果的に、分析装置による分析処理の処理効率が低下するだけでなく、分析装置にかかるコストが増加するといった問題が生じていた。また、反応ディスク上に設置可能な反応容器の数を増やすことによって、処理効率を向上させることができるものとされているが、この場合、反応ディスクを大型化する必要があり、結果的に、分析装置が大型化するといった問題が生じていた。
【0005】
本発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、分析処理の処理効率を向上することができるうえ、分析処理にかかるコストを削減することができるだけでなく、装置自体を小型化することができる分析装置、および反応容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明にかかる分析装置は、直線上に位置する吐出位置、測定位置、および排出位置を通過するように、反応容器を送出させる送出手段と、前記吐出位置および測定位置と複数の吸入位置との間で回動自在なアームと、当該アームの先端に設けられ、複数の前記吸入位置のうちの一つにおいて吸入された検体を前記吐出位置または前記測定位置にて吐出し、複数の前記吸入位置のうちの他の一つにおいて吸入された試薬を前記測定位置にて吐出する分注ノズルと、を有する分注手段と、前記試薬が吐出された前記検体の状態変化を前記測定位置にて測定する測定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、この発明にかかる分析装置は、直線上に位置する吐出位置、測定位置、および排出位置を通過するように、複数の反応容器を所定数ごとに送出させる送出手段と、前記吐出位置および測定位置と複数の吸入位置との間で回動および伸縮自在なアームと、当該アームの先端に設けられ、複数の前記吸入位置のうちの一つにおいて吸入された検体を前記吐出位置にて前記所定数の反応容器のそれぞれに対して吐出し、複数の前記吸入位置のうちの別の一つにおいて吸入された試薬を前記測定位置にて前記所定数の反応容器のそれぞれに対して吐出する分注ノズルと、を有する分注手段と、前記試薬が吐出された前記検体の状態変化を前記測定位置にて前記所定数の反応容器のそれぞれに対して並行して測定する測定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、この発明にかかる分析装置は、上記に記載の発明において、前記送出手段は、前記測定手段によって測定された複数の反応容器を前記所定数ごとに前記排出位置に排出すると同時に、前記検体および前記試薬が吐出された複数の反応容器を前記所定数ごとに前記測定位置に送出し、新たな複数の反応容器を前記所定数ごとに前記吐出位置に送出することを特徴とする。
【0009】
また、この発明にかかる分析装置は、上記に記載の発明において、前記測定手段による前記所定数の反応容器のそれぞれに対する前記試薬が吐出された前記検体の状態変化の測定と、前記分注手段による前記所定数の反応容器のそれぞれに対する前記検体の前記吐出と、を並行しておこなうことを特徴とする。
【0010】
また、この発明にかかる分析装置は、上記に記載の発明において、前記反応容器は、直線状のテープに連続して成型され、前記分注手段によって前記検体および前記試薬が吐出される凹状の収容部からなることを特徴とする。
【0011】
また、この発明にかかる分析装置は、上記に記載の発明において、軸部を有し、当該軸部に多重に巻きつけられた前記テープを、当該テープの先端から、前記送出手段に対して供給する供給手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0012】
また、この発明にかかる分析装置は、上記に記載の発明において、前記検体として血液が用いられ、前記試薬として血液凝固剤が用いられる、血液凝固検査に用いられる分析装置であって、前記測定手段は、前記血液凝固剤が前記血液に吐出されたときからの、前記血液の反射光量の変化を継続して測定することを特徴とする。
【0013】
また、この発明にかかる反応容器は、反応容器を直線状に送出させる送出手段と、検体および試薬を吐出する分注手段とを備えた分析装置に用いられる反応容器であって、直線状のテープに連続して成型され、前記分注手段によって吐出された前記検体および前記試薬を収容する凹状の収容部からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明にかかる分析装置、および反応容器によれば、分析処理の処理効率を向上することができるうえ、分析処理にかかるコストを削減することができるだけでなく、装置自体を小型化することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる分析装置、および反応容器の好適な実施の形態を血液凝固検査への利用を一例として詳細に説明する。なお、本発明にかかる分析装置は、血液凝固検査への利用に限らず、たとえばマルチアレルゲン検査など、検体に試薬を吐出したうえ、検体の状態および状態変化を測定・分析する検査であればどのような検査であっても利用することができる。
【0016】
(分析装置100の構成)
まず、この発明の実施の形態にかかる分析装置100の構成について図1を用いて説明する。図1は、この発明の実施の形態にかかる分析装置100の外観を示す平面図である。
【0017】
図1において、分析装置100は、検体(血液)に試薬(血液凝固剤)を吐出することによって化学反応をおこさせ、そのうえで検体に対して光を照射することによって、検体の状態変化を測定・分析する装置であって、基盤101と、分注手段110と、検体テーブル120と、試薬テーブル130と、洗浄テーブル140と、測定手段150と、送出手段160と、テープリール170と、キーボード180と、プリンタ190と、を備えて構成されている。
【0018】
分注手段110は、送出手段160によって直線状に吐出位置に送出された所定数の反応容器201のそれぞれに対して、検体容器121から吸入した検体を吐出する。また、分注手段110は、送出手段160によって直線状に測定位置に送出された所定数の反応容器201のそれぞれに対して、試薬容器131から吸入した試薬を吐出する。
【0019】
分注手段110は、軸部111と、分注アーム112と、分注ノズル113とによって構成されており、図示を省略するコンピュータに制御された駆動機構(たとえばモータ、油圧シリンダなど)の駆動によって所定の方向(図1に示す方向Aおよび方向B)へ回動自在であり、所定の方向(図1に示す方向Cおよび方向D)へ伸縮自在であり、さらに昇降自在である。
【0020】
このうち、軸部111は、分注アーム112を軸支する基盤101の上部に回動および昇降自在に立設されており、駆動機構の駆動により分注アーム112を回動および昇降させる。また、分注アーム112は、軸部111によって軸支される。これにより、分注アーム112は、駆動機構の駆動によって軸部111とともに回動および昇降する。また、分注アーム112は、駆動機構の駆動によって伸縮する。
【0021】
分注アーム112の先端には、分注ノズル113が把持される。分注ノズル113は、図示を省略するシリンジポンプユニットが作動することによって、その内部に正または負の圧力が生じ、この正または負の圧力を利用して先端から検体および試薬を吸入・吐出することができる。
【0022】
このように構成された分注手段110は、分注アーム112を回動、伸縮、および昇降することによって、分注ノズル113を各所定の位置(検体の吸入位置、試薬の吸入位置、吐出位置、測定位置、および洗浄位置)へ移動させることができる。
【0023】
たとえば、分注手段110は、分注アーム112を回動および伸縮させることによって、分注ノズル113を試薬テーブル130に配置されている試薬容器131上に移動させることができる。そして、分注アーム112を降下させることによって、分注ノズル113の先端を試薬容器131に注入されている試薬へ挿入することができる。この状態から、シリンジポンプユニットが作動することによって、分注ノズル113内に負の圧力が生じ、分注ノズル113は、この負の圧力を利用して試薬を吸入することができる。
【0024】
検体テーブル120は、図示を省略するコンピュータに制御された駆動機構(たとえばモータ、油圧シリンダなど)の駆動によって回動自在な円盤状であり、複数の検体容器121が並設される。ここで、検体テーブル120に並設される検体容器121は、上部から検体を吸入させることができるように上部が開放されており、検体があらかじめ注入されている。なお、検体テーブル120は、回動自在な円盤状に限らず、たとえば、検体容器121が碁盤目状に配置されるものであってもよい。また、たとえば、反応容器201と同様に、検体容器121が直線状に配置されるものであってもよい。
【0025】
試薬テーブル130には、複数の試薬容器131が並設される。ここで試薬容器131は、たとえば図1に示したように、試薬テーブル130上であって、分注手段110の回動軸(軸部111)を中心とした、二つの同心円の円周上に2列に並設される。また、試薬テーブル130に並設される試薬容器131は、上部から試薬を吸入させることができるように上部が開放されており、試薬があらかじめ注入されている。なお、試薬テーブル130は、試薬容器131が二つの同心円の円周上に2列に並設されるものに限らず、たとえば、試薬容器131が碁盤目状に配置されるものであってもよい。また、たとえば、反応容器201と同様に、試薬容器131が直線状に配置されるものであってもよい。
【0026】
洗浄テーブル140には、一つまたは複数の洗浄容器141が設置される。洗浄テーブル140に設置される洗浄容器141は、上部から分注ノズル113を挿入させることができるように上部が開放されており、分注ノズル113を洗浄するための洗浄剤があらかじめ注入されている。
【0027】
測定手段150は、送出手段160によって直線状に測定位置に送出された所定数の反応容器201のそれぞれに対して、試薬が吐出された検体の状態変化の測定をおこなう。また、測定手段150は、多チャンネル化されており、それぞれのチャンネルが、他のチャンネルから独立して、上記測定をおこなうことができる。これにより、同時に所定数の反応容器201に対して、上記測定をおこなうことができる。
【0028】
送出手段160は、直線上に位置する吐出位置、測定位置、および排出位置を通過するように、複数の反応容器201を所定数ごとに送出させる。たとえば、送出手段160は、テープ200に成形された所定数の反応容器201を、テープリール170から所定の送出方向に向かって直線状に連続して送出することによって、吐出位置に並設させる。
【0029】
また、送出手段160は、たとえば、吐出位置において検体が吐出された所定数の反応容器201を、所定の送出方向に向かってさらに送出することによって、測定位置に並設させる。同時に、送出手段160は、所定数の新たな反応容器201を、テープリール170から所定の送出方向に向かって直線状に連続して送出することによって、吐出位置に並設させる。
【0030】
さらに、送出手段160は、たとえば、測定位置において検体が測定された所定数の反応容器201を、所定の送出方向に向かってさらに送出することによって、排出位置に排出する。同時に、送出手段160は、吐出位置において検体が吐出された所定数の反応容器201を、所定の送出方向に向かってさらに送出することによって、測定位置に並設させ、所定数の新たな反応容器201を、テープリール170から所定の送出方向に向かって直線状に連続して送出することによって、吐出位置に並設させる。
【0031】
テープリール170は、軸部171を有し、当該軸部171に多重に巻きつけられたテープ200を、当該テープ200の先端から、送出手段160に対して供給する供給手段として機能する。キーボード180は、ユーザによる、処理開始、処理内容の選択、処理終了など、各種入力を受け付ける。プリンタ190は、各種処理結果を印刷する。
【0032】
(テープ200の構成)
つぎに、テープ200の構成について説明する。図2は、この発明の実施の形態にかかるテープ200の外観を示す斜視図である。
【0033】
図2に示すように、テープ200は、分注手段110によって吐出された検体および試薬を収容する複数の反応容器(凹状の収容部)201が、直線状に連続して成形されている。
【0034】
ここで、テープ200には、切欠部202が形成されており、この切欠部202と、送出手段160に設けられ、コンピュータに制御された駆動機構の駆動によって回転する送出ギヤ(図示省略)とが係合することによって、送出手段160によるテープ200の送出が可能な構成となっている。なお、送出手段160による送出方法は、送出ギヤ以外のもの(たとえば送出ローラ)を用いた送出方法であってもよく、この場合は、テープ200に切欠部202を設けない構成とすることもできる。
【0035】
また、テープ200に成形された反応容器201は、測定手段150から発せされた光およびその反射光が透過することができるように透過性を有する。このテープ200には、たとえば、プレス成形、圧空成形、真空成形などによって反応容器201が成形された比較的安価な使い捨てのエンボスキャリアテープなどを用いることができる。
【0036】
本実施の形態においては、厚さ(図2に示すW1)が0.4(mm)、幅(図2に示すW2)が12(mm)のテープ200を用いているが、このサイズのものに限ったものではない。また、各反応容器201のサイズは、縦幅(図2に示すW3)が6(mm)、横幅(図2に示すW4)が6(mm)、深さ(図2に示すW5)が5(mm)であるが、同様に、このサイズのものに限ったものではない。
【0037】
なお、テープ200としては、本実施の形態で用いたように無数の反応容器201が成形された無端状のものを用いるようにしてもよいし、所定数の反応容器201ごとにあらかじめ切断されているものを複数枚用いるようにしてもよい。
【0038】
(測定手段150による測定処理の概要)
つぎに、測定手段150による測定処理の概要について説明する。図3は、測定手段150による測定処理の概要を示す説明図である。
【0039】
図3に示すように測定手段150は、一例として5つのチャンネル(ch1〜ch5)に多チャンネル化されており、それぞれのチャンネルにおいて、発光素子151と、受光素子152とが設けられている。このうち、LED(発光ダイオード)などの発光素子151は、測光ブロック300における、テープ200に成形された反応容器201の深さ方向であって、テープ200の送出方向(図3に示す方向E)と直交する方向において、他のチャンネルの発光素子151と並設される。
【0040】
そして、発光素子151は、反応容器201の底部から、測光ブロック300における測定位置に位置した反応容器201内部の検体に向けて光を発光する。この発光素子151にLEDを採用する場合、たとえば、波長が470nmの青色光LEDや、波長が670nmの赤色光LEDなどを用いることができる。
【0041】
また、受光素子152は、測光ブロック300における、反応容器201の横幅方向であって、テープ200の送出方向(図3に示す方向E)と直交する方向において、他のチャンネルの受光素子152と並設される。
【0042】
そして、受光素子152は、反応容器201内部の検体からの光の反射光または透過光を受光して、受光した反射光または透過光の受光量に応じた電気信号を出力する。受光素子152から出力された電気信号は、たとえば、図示を省略する制御装置などに送信され、分析される。
【0043】
ここで、測定手段150は、コンピュータ制御によってそれぞれのチャンネルを独立して動作させることができる。これにより、測定手段150による測定処理の並列化を可能としている。なお、図3に示した発光素子151と受光素子152との位置関係は、隣接する反応容器201への光学的干渉の防止を考慮したものであるが、これに限ったものではない。
【0044】
このように構成された測定手段150は、反応容器201ごとに、分注手段110によって試薬が検体に吐出された直後からの検体の状態変化を継続して測定する。
【0045】
(反応容器201が吐出位置に位置したときの分析装置100の状態)
つぎに、反応容器201が吐出位置に位置したときの分析装置100の状態について説明する。図4は、反応容器201が吐出位置に位置したときの分析装置100の状態の概要を示す平面図である。
【0046】
図4に示す分析装置100は、送出手段160によって、テープ200に成形された反応容器201a〜201fが、テープリール170(図1参照)から送出され、それぞれ吐出位置に位置した状態を示す。
【0047】
(反応容器201に検体が吐出されたときの分析装置100の状態)
つぎに、反応容器201に検体が吐出されたときの分析装置100の状態について説明する。図5は、反応容器201に検体が吐出されたときの分析装置100の状態の概要を示す平面図である。
【0048】
図5に示す分析装置100は、図4に示した分析装置100の状態(反応容器201a〜201fがそれぞれ吐出位置に位置した状態)から、分注手段110によって、検体容器121(図1参照)から吸入された検体が、反応容器201a〜201fのそれぞれに吐出された状態を示す。
【0049】
ここで、分注手段110は、検体容器121から検体を吸入した後に、回動することによって円周方向における搬送位置の位置決めをおこなう。そして、伸縮することによって、直径方向における搬送位置の位置決めをおこなう。これにより、分注手段110は、検体容器121から吸入された検体を上記各反応容器201a〜201f上まで搬送することができる。なお、分注手段110は、搬送時間短縮のため、上記回動動作と上記伸縮動作を同時におこなうようにしてもよい。
【0050】
(反応容器201が測定位置に位置したときの分析装置100の状態)
つぎに、反応容器201が測定位置に位置したときの分析装置100の状態について説明する。図6は、反応容器201が測定位置に位置したときの分析装置100の状態の概要を示す平面図である。
【0051】
図6に示す分析装置100は、図5に示した分析装置100の状態(反応容器201a〜201fのそれぞれに検体が吐出されたときの状態)から、送出手段160によって、反応容器201a〜201fがさらに送出され、それぞれ測定位置に位置した状態を示す。
【0052】
また、同時に、テープ200に反応容器201a〜201fと連続して成形された反応容器201A〜201Fが、テープリール170(図1参照)から送出され、それぞれ吐出位置に位置した状態にある。
【0053】
(反応容器201に試薬が吐出されたときの分析装置100の状態)
つぎに、反応容器201に試薬が吐出されたときの分析装置100の状態について説明する。図7は、反応容器201に試薬が吐出されたときの分析装置100の状態の概要を示す平面図である。
【0054】
図7に示す分析装置100は、図6に示した分析装置100の状態(反応容器201a〜201fがそれぞれ測定位置に位置した状態)から、分注手段110によって、試薬容器131(図1参照)から吸入された試薬が、反応容器201a〜201fのそれぞれに吐出された状態を示す。
【0055】
ここで、分注手段110は、検体を搬送するときと同様に、試薬容器131から試薬を吸入した後に、回動することによって円周方向における搬送位置の位置決めをおこなう。そして、伸縮することによって、直径方向における搬送位置の位置決めをおこなう。これにより、分注手段110は、試薬容器131から吸入された試薬を上記各反応容器201a〜201f上まで搬送することができる。この場合においても、分注手段110は、搬送時間短縮のため、上記回動動作と上記伸縮動作を同時におこなう、すなわち、伸縮しながら回動するようにしてもよい。
【0056】
そして、試薬が吐出された反応容器201a〜201fにおいては、その直後から、検体と試薬との化学反応(検体の状態変化)が始まる。たとえば、血液凝固検査の場合は、血液と試薬との血液凝固反応が始まる。ここで、化学反応の開始から終了までの反応時間は、検査内容によってそれぞれではあるが、たとえば血液凝固検査の場合は、2分程度の反応時間を要する。
【0057】
(反応容器201内の検体の状態変化が測定されたときの分析装置100の状態)
つぎに、反応容器201内の検体の状態変化が測定されたときの分析装置100の状態について説明する。図8は、反応容器201内の検体の状態変化が測定されたときの分析装置100の状態の概要を示す平面図である。
【0058】
図8に示す分析装置100は、図7に示した分析装置100の状態(反応容器201a〜201fのそれぞれに試薬が吐出されたときの状態)から、測定手段150によって、反応容器201a〜201fのそれぞれに対して、検体の状態変化が測定されたときの状態を示す。
【0059】
ここで、測定手段150は、図3を用いて上述したように多チャンネル(図8に示す測定手段150においては6チャンネル)化されており、それぞれのチャンネルが、他のチャンネルから独立して、反応容器201a〜201fのそれぞれに対して、状態変化の測定をおこなうことができる。またそれぞれのチャンネルにおいては、図7を用いて上述したように試薬が吐出され、検体の状態変化が始まった直後から継続して状態変化が測定される。
【0060】
また、図8に示す分析装置100においては、測定手段150による検体の状態変化の測定がおこなわれている間の時間を利用して、すなわち、測定手段150による検体の状態変化の測定と並行して、分注手段110によって、図5を用いて上述した動作と同様の動作がおこなわれたことによって、検体容器121(図1参照)から吸入された検体が、反応容器201A〜201Fのそれぞれに吐出されている。
【0061】
(反応容器201が排出位置に排出されたときの分析装置100の状態)
つぎに、反応容器201が排出位置に排出されたときの分析装置100の状態について説明する。図9は、反応容器201が排出位置に排出されたときの分析装置100の状態の概要を示す平面図である。
【0062】
図9に示す分析装置100は、図8に示した分析装置100の状態(反応容器201a〜201fのそれぞれに対して検体の測定がおこなわれたときの状態)から、送出手段160によって、反応容器201a〜201fがさらに送出され、それぞれ排出位置に排出された状態を示す。
【0063】
また、同時に、反応容器201A〜201Fが、吐出位置からさらに送出され、それぞれ測定位置に位置した状態にある。
【0064】
さらに、同時に、テープ200に反応容器201A〜201Fと連続して成形された複数の新たな反応容器201が、テープリール170(図1参照)から送出され、それぞれ吐出位置に位置した状態にある。
【0065】
(分析装置100による分析処理の手順)
つぎに、この発明の実施の形態にかかる分析装置100による分析処理の手順について図10を用いて説明する。図10は、この発明の実施の形態にかかる分析装置100による分析処理の手順の一例を示すシーケンス図である。
【0066】
(1)まず、送出手段160によって、反応容器201a〜201fが、テープリール170から送出される。これにより、分析装置100は、図4に示した状態(反応容器201a〜201fが、それぞれ吐出位置に位置した状態)となる。
【0067】
(2)つぎに、分注手段110によって、検体容器121から吸入された検体が、反応容器201a〜201fのそれぞれに吐出される。これにより、分析装置100は、図5に示した状態(反応容器201a〜201fのそれぞれに検体が吐出されたときの状態)となる。ここで、分注手段110は、検体を反応容器201a〜201fのそれぞれに吐出する度、洗浄テーブル140において洗浄される。
【0068】
(3)つぎに、送出手段160によって、反応容器201a〜201fが、吐出位置からさらに送出される。このとき、同時に、反応容器201A〜201Fが、テープリール170から送出される。これにより、分析装置100は、図6に示した状態(反応容器201a〜201fが、それぞれ測定位置に位置し、反応容器201A〜201Fが、それぞれ吐出位置に位置した状態)となる。
【0069】
(4)つぎに、分注手段110によって、試薬容器131から吸入された試薬が、反応容器201a〜201fのそれぞれに吐出される。これにより、分析装置100は、図7に示した状態(反応容器201a〜201fのそれぞれに試薬が吐出されたときの状態)となる。ここで、分注手段110は、検体を反応容器201a〜201fのそれぞれに吐出した後、洗浄テーブル140において洗浄される。
【0070】
(5)〜(10)つぎに、測定手段150の各チャンネル(ch1〜ch6)によって、反応容器201a〜201fのそれぞれに対する、検体の状態変化の測定がおこなわれる。
【0071】
(11)また、同時に、分注手段110によって、検体容器121から吸入された検体が、反応容器201A〜201Fのそれぞれに吐出される。これにより、分析装置100は、図8に示した状態(反応容器201a〜201fのそれぞれに対して検体の測定がおこなわれ、反応容器201A〜201Fのそれぞれに検体が吐出されたときの状態)となる。
【0072】
(12)つぎに、送出手段160によって、反応容器201a〜201fが、測定位置からさらに送出される。このとき、同時に、反応容器201A〜201Fが、吐出位置からさらに送出される。さらに、同時に、複数の新たな反応容器201が、テープリール170から送出される。これにより、分析装置100は、図9に示した状態(反応容器201a〜201fが、それぞれ排出位置に排出され、反応容器201A〜201Fが、それぞれ測定位置に位置し、複数の新たな反応容器201が、それぞれ吐出位置に位置した状態)となる。
【0073】
そして、分析装置100は、以降においても、上記(1)〜(12)と同様の処理を繰り返しおこなうことによって、分析処理を連続しておこなうことができる。
【0074】
以上説明したように、本実施の形態における分析装置100によれば、吐出位置、測定位置、および排出位置を直線上に設け、送出手段160によって、複数の反応容器201を、直線状に連続して吐出位置、測定位置、および排出位置に送出する構成とした。
【0075】
これにより、複数の反応容器201を、単純に直線状に連続して移動させるだけで、複数の反応容器201に対する、分析処理(分注手段110による検体および試薬の吐出、測定手段150による、検体の状態変化の測定、反応容器201の排出)を連続しておこなうことができる。
【0076】
また、反応ディスクを用いていないため、分析装置100の装置構成を単純化することができるうえ、反応容器201の数の制限を受けることなく、複数の反応容器201に対する、分析処理(吐出処理、測定処理、および排出処理)を連続しておこなうことができる。この結果、分析装置100の処理効率を向上することができるうえ、分析処理にかかるコストを削減することができるだけでなく、装置自体を小型化することができる。
【0077】
また、回動および伸縮自在な分注手段110を用いて、吐出位置および測定位置において直線上に並設された複数の反応容器201のそれぞれに対して検体および試薬を吐出する構成とした。
【0078】
これにより、分注手段110を回動および伸縮させるだけといった単純な動作によって、検体容器121から吸入した検体および試薬容器131から吸入した試薬を、吐出位置および測定位置に位置する複数の反応容器201上へ搬送することができる。また、検体容器121の設置位置、試薬容器131の設置位置、吐出位置、および測定位置が一円周上に制限されることがないため、分析装置100のレイアウトの自由度を高めることができるだけでなく、吸入した検体や試薬が搬送中に飛散して他の容器内に混入しないような搬送路(すなわち、他の容器の直上を通過しない搬送路)とすることができる。
【0079】
そして、複雑な搬送機構を用いていないため、分析装置100の装置構成を単純化することができるうえ、搬送時間を短時間化することができる。この結果、分析装置100の処理効率を向上することができるうえ、分析処理にかかるコストを削減することができるだけでなく、装置自体を小型化することができる。
【0080】
また、複数の反応容器201が直線状に連続して成形された比較的安価な使い捨てのテープ200を、あらかじめ軸部171に多重に巻きつけておき、送出部160によって、複数の反応容器201を、直線状に連続して吐出位置、測定位置、および排出位置に送出する構成とした。これにより、テープ200を所定の送出方向に送出するだけといった単純な動作によって、複数の反応容器201を、直線状に連続して吐出位置、測定位置、および排出位置に送出することができる。
【0081】
また、複雑な搬送機構を用いていないため、分析装置100の装置構成を単純化することができる。この結果、分析装置100の処理効率を向上することができるうえ、分析処理にかかるコストを削減することができるだけでなく、装置自体を小型化することができる。
【0082】
また、多チャンネル化された送出手段160によって、それぞれのチャンネルが、他のチャンネルから独立して、測定位置に並設された複数の反応容器201に対して、検体の測定処理をおこなう構成とした。これにより、複数の反応容器201に対する測定処理を並行しておこなうことができる。
【0083】
また、それぞれのチャンネルが、他のチャンネルにおいて生じた遅延などの影響をうけることなく測定処理をおこなうことができる。また、複雑な測定機構を用いていないため、分析装置100の装置構成を単純化することができる。この結果、分析装置100の処理効率を向上することができるうえ、分析処理にかかるコストを削減することができるだけでなく、装置自体を小型化することができる。
【0084】
また、送出手段160によって、測定位置において検体の測定がおこなわれた複数の反応容器201を排出位置に排出すると同時に、吐出位置において検体が吐出された複数の反応容器201を測定位置に送出し、新たな複数の反応容器201を、吐出位置に送出する構成とした。
【0085】
これにより、測定手段150による測定位置における検体の状態変化の測定と、分注手段110による吐出位置における検体の吐出と、を並行しておこなうことができる。この結果、分析装置100の処理効率を向上することができるうえ、分析処理にかかるコストを削減することができるだけでなく、装置自体を小型化することができる。
【0086】
なお、本実施の形態においては、1種類の試薬を検体に吐出するケースを一例として説明したが、これに限らず、本発明にかかる分析装置は、2種類以上の試薬を検体に吐出するケースにも用いることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0087】
以上のように、本発明にかかる分析装置、および反応容器は、病院や臨床検査機関などでおこなわれる臨床検査などに利用可能であり、特に、分析処理にかかる処理時間の短時間化およびコストの低コスト化が要求される臨床検査などへの利用に適している。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】この発明の実施の形態にかかる分析装置の外観を示す平面図である。
【図2】この発明の実施の形態にかかるテープの外観を示す斜視図である。
【図3】測定手段による測定処理の概要を示す説明図である。
【図4】反応容器が吐出位置に位置したときの分析装置の状態の概要を示す平面図である。
【図5】反応容器に検体が吐出されたときの分析装置の状態の概要を示す平面図である。
【図6】反応容器が測定位置に位置したときの分析装置の状態の概要を示す平面図である。
【図7】反応容器に試薬が吐出されたときの分析装置の状態の概要を示す平面図である。
【図8】反応容器内の検体の状態変化が測定されたときの分析装置の状態の概要を示す平面図である。
【図9】反応容器が排出位置に排出されたときの分析装置の状態の概要を示す平面図である。
【図10】この発明の実施の形態にかかる分析装置による分析処理の手順の一例を示すシーケンス図である。
【符号の説明】
【0089】
100 分析装置
101 基盤
110 分注手段
111 軸部
112 分注アーム
113 分注ノズル
120 検体テーブル
121 検体容器
130 試薬テーブル
131 試薬容器
140 洗浄テーブル
150 測定手段
151 発光素子
152 受光素子
160 送出手段
170 テープリール
180 キーボード
190 プリンタ
200 テープ
201 反応容器
202 切欠部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線上に位置する吐出位置、測定位置、および排出位置を通過するように、反応容器を送出させる送出手段と、
前記吐出位置および測定位置と複数の吸入位置との間で回動自在なアームと、当該アームの先端に設けられ、複数の前記吸入位置のうちの一つにおいて吸入された検体を前記吐出位置または前記測定位置にて吐出し、複数の前記吸入位置のうちの他の一つにおいて吸入された試薬を前記測定位置にて吐出する分注ノズルと、を有する分注手段と、
前記試薬が吐出された前記検体の状態変化を前記測定位置にて測定する測定手段と、
を備えたことを特徴とする分析装置。
【請求項2】
直線上に位置する吐出位置、測定位置、および排出位置を通過するように、複数の反応容器を所定数ごとに送出させる送出手段と、
前記吐出位置および測定位置と複数の吸入位置との間で回動および伸縮自在なアームと、当該アームの先端に設けられ、複数の前記吸入位置のうちの一つにおいて吸入された検体を前記吐出位置にて前記所定数の反応容器のそれぞれに対して吐出し、複数の前記吸入位置のうちの別の一つにおいて吸入された試薬を前記測定位置にて前記所定数の反応容器のそれぞれに対して吐出する分注ノズルと、を有する分注手段と、
前記試薬が吐出された前記検体の状態変化を前記測定位置にて前記所定数の反応容器のそれぞれに対して並行して測定する測定手段と、
を備えたことを特徴とする分析装置。
【請求項3】
前記送出手段は、
前記測定手段によって測定された複数の反応容器を前記所定数ごとに前記排出位置に排出すると同時に、前記検体および前記試薬が吐出された複数の反応容器を前記所定数ごとに前記測定位置に送出し、新たな複数の反応容器を前記所定数ごとに前記吐出位置に送出することを特徴とする請求項2に記載の分析装置。
【請求項4】
前記測定手段による前記所定数の反応容器のそれぞれに対する前記試薬が吐出された前記検体の状態変化の測定と、前記分注手段による前記所定数の反応容器のそれぞれに対する前記検体の前記吐出と、を並行しておこなうことを特徴とする請求項3に記載の分析装置。
【請求項5】
前記反応容器は、直線状のテープに連続して成型され、前記分注手段によって前記検体および前記試薬が吐出される凹状の収容部からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の分析装置。
【請求項6】
軸部を有し、当該軸部に多重に巻きつけられた前記テープを、当該テープの先端から、前記送出手段に対して供給する供給手段をさらに備えたことを特徴とする請求項5に記載の分析装置。
【請求項7】
前記検体として血液が用いられ、前記試薬として血液凝固剤が用いられる、血液凝固検査に用いられる分析装置であって、
前記測定手段は、
前記血液凝固剤が前記血液に吐出されたときからの、前記血液の反射光量の変化を継続して測定することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の分析装置。
【請求項8】
反応容器を直線状に送出させる送出手段と、検体および試薬を吐出する分注手段とを備えた分析装置に用いられる反応容器であって、
直線状のテープに連続して成型され、前記分注手段によって吐出された前記検体および前記試薬を収容する凹状の収容部からなることを特徴とする反応容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−89406(P2008−89406A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−270633(P2006−270633)
【出願日】平成18年10月2日(2006.10.2)
【出願人】(591258484)株式会社エイアンドティー (23)
【Fターム(参考)】