説明

分析装置

【課題】煩雑な処理を行なうことなく発生した異常を適切に表示できる分析装置を提供すること。
【解決手段】この発明にかかる分析装置1は、操作可能領域と、当該分析装置におけるアラームを表示する警告表示領域とが表示領域内に設けられた表示部38と、表示部38におけるアラームの表示を制御する表示制御部32と、警告表示領域に表示予定であるアラームを一時的に保持するアラームエリア用バッファ33と、既に発生した警告情報を記憶する記憶部35と、記憶部35に記憶された所定のアラームの一覧表示を指示する入力部36と、を備え、表示制御部32は、入力部36によって一覧表示が指示された場合、アラームエリア用バッファ33から一時的に保持されたアラームを消去し、表示部38に対して警告表示領域から表示中のアラームを消去させるとともにアラームリストを操作可能領域内に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、分析装置に発生した異常を示す警告情報を表示する表示処理に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血液や体液等の検体を自動的に分析する装置として、試薬が分注された反応容器に検体を加え、反応容器内の試薬と検体の間で生じた反応を光学的に検出する分析装置が知られている。このような分析装置では、検体を収容した反応容器に光を照射後、反応容器内の液体を通過した所定波長の光の光量をもとに検体の分析を行っている。
【0003】
このような分析装置においては、分析装置に発生した異常を示す警告をさまざまな方法で表示出力することによって、分析装置の操作者に分析装置に異常が発生した旨を報知している。たとえば、従来においては、異常発生時に警告を表示したウィンドウを自動的に表示させる分析装置、画面上の固定位置に警告表示専用の警告表示領域を設けた分析装置および異常発生時には発生した全異常を示す警告一覧表を表示させる分析装置が提案されている(たとえば、特許文献1および特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平8−271518号公報
【特許文献2】特開平8−262031号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、異常発生時に警告を表示したウィンドウを自動的に表示させる分析装置においては、操作者による画面操作中に警告を表示したウィンドウが表示された場合、操作者による操作処理が阻害されてしまう場合がある。さらに、この分析装置においては、複数の異常が発生した場合には各異常ごとにウィンドウが開くため、操作者は、緊急度の低い異常を示すウィンドウを閉じる処理などによって、緊急度の高い異常に対する処理を中断させられる場合がある。
【0006】
また、画面上の固定位置に警告表示専用の警告表示領域を設けた分析装置においては、警告表示領域が限られるため、複数の異常が発生した場合には、前のアラームが次々と上書きされてしまい操作者が各異常の確認を十分に行なえない場合があった。また、この分析装置においては、操作者は次の警告を表示させるために表示中の警告をクリアするクリア処理を行なう必要があり、大量の異常が発生した場合には全異常を確認するために各警告ごとにクリア処理を繰り返すという煩雑な処理を行なわなければならない場合があった。また、この分析装置においては、警告表示領域をスクロールして複数の警告を順次表示させた場合、スクロールによって前の警告が隠れてしまい、操作者は発生した全異常を同時に把握することができない場合があった。
【0007】
また、異常発生時には発生した全異常を示す警告一覧表を表示させる分析装置においては、分析装置に発生した異常が一つだけであった場合にも常に画面に大きく警告一覧表が表示されるため、操作者は、これまで行なっていた操作を一度中断せざるを得ないという問題があった。
【0008】
本発明は、上記した従来技術の欠点に鑑みてなされたものであり、煩雑な処理を行なうことなく発生した異常を適切に表示できる分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明にかかる分析装置は、検体を分析する分析装置において、操作可能領域と、当該分析装置に発生した異常を示す警告情報を表示する警告表示領域とが表示領域内に設けられた表示手段と、前記表示手段における前記警告情報の表示を制御する表示制御手段と、前記警告表示領域に表示予定である前記警告情報を一時的に保持する保持手段と、既に発生した異常に対する前記警告情報を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された所定の前記警告情報の一覧表示を指示する指示手段と、を備え、前記表示制御手段は、前記指示手段によって前記一覧表示が指示された場合、前記保持手段から一時的に保持された警告情報を消去し、前記表示手段に対して前記警告表示領域から表示中の前記警告情報を消去させるとともに前記指示手段によって指示された前記警告情報の一覧を前記操作可能領域内に表示させることを特徴とする。
【0010】
また、この発明にかかる分析装置は、前記警告表示領域に表示される前記警告情報の消去を選択する選択手段をさらに備え、前記表示制御手段は、前記選択手段によって前記警告情報の消去を選択された場合、前記表示手段に対して、前記警告表示領域から表示中の前記警告情報を消去させるとともに前記保持手段に保持される警告情報のうち次に表示予定である警告情報を前記警告表示領域に表示させることを特徴とする。
【0011】
また、この発明にかかる分析装置は、前記表示制御手段は、複数の警告が発生した場合、前記表示手段の表示画面上に設けられた警告一覧ボタンを点滅表示させることを特徴とする。
【0012】
また、この発明にかかる分析装置は、前記表示手段および前記指示手段は、表示画面を押圧することで情報入力可能なタッチパネルであり、前記タッチパネルは、警告一覧ボタンを有し、前記警告一覧ボタンが押圧された場合に前記記憶手段に記憶された所定の警告情報の一覧表示を指示する一覧指示情報を前記表示制御手段に入力し、前記表示制御手段は、前記一覧指示情報が入力された場合に、前記保持手段から一時的に保持された警告情報を消去し、前記表示手段に対して前記警告表示領域から表示中の前記警告情報を消去させるとともに前記一覧指示情報によって指示された前記警告情報の一覧を前記操作可能領域内に表示させることを特徴とする。
【0013】
また、この発明にかかる分析装置は、前記表示制御手段は、複数の警告が発生した場合、前記タッチパネルにおける前記警告一覧ボタンを点滅表示させることを特徴とする。
【0014】
また、この発明にかかる分析装置は、前記タッチパネルは、警告消去ボタンを有し、前記警告消去ボタンが押圧された場合に前記警告表示領域に表示される前記警告情報の消去を指示する消去指示情報を前記表示制御手段に入力し、前記表示制御手段は、前記消去指示情報が入力された場合、前記表示手段に対して、前記警告表示領域から表示中の前記警告情報を消去させるとともに前記保持手段に保持される警告情報のうち次に表示予定である警告情報を前記警告表示領域に表示させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、警告情報の一覧表示を一度指示するだけで、保持手段内に一時的に保持された警告情報の消去、警告表示領域に表示中の警告情報の消去、および、警告情報の一覧の操作可能領域内への表示が自動的に行なわれるため、煩雑な処理を行なうことなく発生した異常を適切に表示できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態である分析装置について、液体である検体の吸光度をもとに検体を分析する分析装置を例に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付している。
【0017】
図1は、本実施の形態にかかる分析装置1の構成を示す模式図である。図1に示すように、分析装置1は、分析対象である検体および試薬を反応容器21にそれぞれ分注し、分注した反応容器21内で生じる反応を光学的に測定する測定機構2と、測定機構2を含む分析装置1全体の制御を行うとともに測定機構2における測定結果の分析を行う制御機構3とを備える。分析装置1は、これらの二つの機構が連携することによって複数の検体の生化学分析を自動的に行う。
【0018】
測定機構2は、大別して検体移送部11、検体分注機構12、反応テーブル13、試薬庫14、読取部16、試薬分注機構17、攪拌部18、測光部19および洗浄部20を備える。
【0019】
検体移送部11は、血液や尿等、液体である検体を収容した複数の検体容器11aを保持し、図中の矢印方向に順次移送する複数の検体ラック11bを備える。検体移送部11上の所定位置に移送された検体容器11a内の検体は、検体分注機構12によって、反応テーブル13上に配列して搬送される反応容器21に分注される。
【0020】
検体分注機構12は、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行うアーム12aを備える。このアーム12aの先端部には、検体の吸引および吐出を行うプローブが取り付けられている。検体分注機構12は、図示しない吸排シリンジまたは圧電素子を用いた吸排機構を備える。検体分注機構12は、上述した検体移送部11上の所定位置に移送された検体容器11aの中からプローブによって検体を吸引し、アーム12aを図中時計回りに旋回させ、反応容器21に検体を吐出して分注を行う。
【0021】
反応テーブル13は、反応容器21への検体や試薬の分注、反応容器21の攪拌、洗浄または測光を行うために反応容器21を所定の位置まで移送する。この反応テーブル13は、制御部31の制御のもと、図示しない駆動機構が駆動することによって、反応テーブル13の中心を通る鉛直線を回転軸として回動自在である。反応テーブル13の上方と下方には、図示しない開閉自在な蓋と恒温槽がそれぞれ設けられている。
【0022】
試薬庫14は、反応容器21内に分注される試薬が収容された試薬容器15を複数収納できる。試薬庫14には、複数の収納室が等間隔で配置されており、各収納室には試薬容器15が着脱自在に収納される。試薬庫14は、制御部31の制御のもと、図示しない駆動機構が駆動することによって、試薬庫14の中心を通る鉛直線を回転軸として時計回りまたは反時計回りに回動自在であり、所望の試薬容器15を試薬分注機構17による試薬吸引位置まで移送する。試薬庫14の上方には、開閉自在な蓋(図示せず)が設けられている。また、試薬庫14の下方には、恒温槽が設けられている。このため、試薬庫14内に試薬容器15が収納され、蓋が閉じられたときに、試薬容器15内に収容された試薬を恒温状態に保ち、試薬容器15内に収容された試薬の蒸発や変性を抑制することができる。
【0023】
試薬容器15の側面部には、試薬容器15に収容された試薬に関する試薬情報が記録された記録媒体が付されている。記録媒体は、符号化された各種の情報を表示しており、光学的に読み取られる。試薬庫14の外周部には、この記録媒体を光学的に読み取る読取部16が設けられている。読取部16は、記録媒体に対して赤外光または可視光を発し、記録媒体からの反射光を処理することによって、記録媒体の情報を読み取る。また、読取部16は、記録媒体を撮像処理し、撮像処理によって得られた画像情報を解読して、記録媒体の情報を取得してもよい。
【0024】
試薬分注機構17は、検体分注機構12と同様に、試薬の吸引および吐出を行うプローブが先端部に取り付けられたアーム17aを備える。アーム17aは、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行う。試薬分注機構17は、試薬庫14上の所定位置に移動された試薬容器15内の試薬をプローブによって吸引し、アーム17aを図中時計回りに旋回させ、反応テーブル13上の所定位置に搬送された反応容器21に分注する。攪拌部18は、反応容器21に分注された検体と試薬との攪拌を行い、反応を促進させる。
【0025】
測光部19は、所定の測光位置に搬送された反応容器21に光を照射し、反応容器21内の液体を透過した光を受光して分光強度測定を行い、液体の吸光度を測定する。この測光部19による測定結果は、制御部31に出力され、分析部34において分析される。
【0026】
洗浄部20は、図示しないノズルによって、測光部19による測定が終了した反応容器21内の混合液を吸引して排出するとともに、洗剤や洗浄水等の洗浄液を注入および吸引することで洗浄を行う。この洗浄した反応容器21は再利用されるが、検査内容によっては1回の測定終了後に反応容器21を廃棄してもよい。
【0027】
つぎに、制御機構3について説明する。制御機構3は、制御部31、分析部34、記憶部35、入力部36、出力部37および送受信部39を備える。測定機構2および制御機構3が備えるこれらの各部は、制御部31に電気的に接続されている。
【0028】
制御部31は、CPU等を用いて構成され、分析装置1の各部の処理および動作を制御する。制御部31は、これらの各構成部位に入出力される情報について所定の入出力制御を行い、かつ、この情報に対して所定の情報処理を行なう。制御部31には、分析装置1の各部において発生した異常に対するアラームが各部から入力される。制御部31は、表示制御部32と、アラームエリア用バッファ33を備える。なお、アラームは、特許請求の範囲における分析装置1に発生した異常を示す警告情報に対応する。
【0029】
表示制御部32は、後述する表示部38の表示処理を制御する。表示制御部32は、表示部38におけるアラームの表示を制御する。アラームエリア用バッファ33は、後述する表示部38におけるアラームエリアに表示予定であるアラームを一時的に保持する。表示制御部32は、アラームエリア用バッファ33内へのアラームの入力およびアラームエリア用バッファ33が保持するアラームの消去を行なう。
【0030】
分析部34は、測光部19から取得した吸光度測定結果に基づいて検体の成分分析等を行う。記憶部35は、情報を磁気的に記憶するハードディスクと、分析装置1が処理を実行する際にその処理にかかわる各種プログラムをハードディスクからロードして電気的に記憶するメモリとを用いて構成され、検体の分析結果等を含む諸情報を記憶する。記憶部35は、分析装置1において既に発生した異常に対するアラームをアラーム発生日時等に対応させて記憶する。記憶部35は、CD−ROM、DVD−ROM、PCカード等の記憶媒体に記憶された情報を読み取ることができる補助記憶装置を備えてもよい。
【0031】
入力部36は、キーボード、マウス等を用いて構成され、検体の分析に必要な諸情報や分析動作の指示情報等を外部から取得する。出力部37は、ディスプレイによって構成された表示部38を有するとともに、プリンタ、スピーカー等を用いて構成され、検体の分析結果を含む諸情報を出力する。表示部38は、後述するように、操作エリアと、当該分析装置1に発生した異常を示すアラームを表示するアラームエリアとが表示領域内に設けられている。
【0032】
表示部38は、検体の分析に関する情報および分析装置1に発生した異常を示すアラームを表示出力する。表示部38は、表示領域内に、操作可能領域である操作エリアと、分析装置1に発生した異常を示すアラームを表示する警告表示領域であるアラームエリアとが設けられる。入力部36は、特許請求における指示手段として機能し、記憶部35に記憶された所定のアラームの一覧であるアラームリストの表示を指示する。表示制御部32は、入力部36によって所定のアラームの一覧であるアラームリストの表示が指示された場合、アラームエリア用バッファ33から一時的に保持されたアラームを消去し、表示部38に対して後述するアラームエリアから表示中のアラームを消去させるとともに入力部36によって指示されたアラームリストを後述する操作エリア内に表示させる。ここで、実施の形態においては、入力部36および表示部38とは、表示画面を押圧することで情報を入力可能であるタッチパネルを備えた場合を例に説明する。また、入力部36は、特許請求の範囲における選択手段として機能し、アラームエリアに表示されるアラームの消去の選択を指示する消去指示情報を制御部31に入力する。送受信部39は、図示しない通信ネットワークを介して所定の形式にしたがった情報の送受信を行うインターフェースとしての機能を有する。
【0033】
以上のように構成された分析装置1では、列をなして順次搬送される複数の反応容器21に対して、検体分注機構12が検体容器11a中の検体を分注し、試薬分注機構17が試薬容器15中の試薬を分注した後、測光部19が検体と試薬とを反応させた状態の試料の分光強度測定を行い、この測定結果を分析部34が分析することで、検体の成分分析等が自動的に行われる。また、洗浄部20が測光部19による測定が終了した後に搬送される反応容器21を搬送させながら洗浄することで、一連の分析動作が連続して繰り返し行われる。
【0034】
つぎに、図1に示す分析装置におけるアラームの表示処理方法について説明する。まず、図2を参照して、入力部36および表示部38を構成するタッチパネル画面について説明する。図2は、分析装置1におけるタッチパネルの表示画面の内容を示し、ウィンドウSとして表示される。ウィンドウSには、大きくは、操作エリアSW、アラームエリアSa、クリアボタンPc、アラームリストボタンPtが固定して設けられている。
【0035】
操作エリアSWは、図示しない操作項目を選択することによって、選択された操作項目に対応する操作メニューが表示される。操作者は、入力部36を構成するマウスやキーボードを操作し、操作エリアSW内に表示された操作メニュー内の各選択欄への情報の入力などを行なう。この結果、入力部36から各種指示情報が制御部31に入力され、制御部31は、入力された各種指示情報にもとづいて分析装置1における各構成部位を制御する。操作エリアSWは、各操作メニューを表示可能であるようにウィンドウS内の上部領域を大きく占めるように設定されている。また、この操作エリアSWには、各操作メニューのほか、分析装置1において発生した異常に関するアラームの一覧がアラームリストとして表示される。
【0036】
アラームエリアSaは、ウィンドウS内における操作エリアSWの下方左側に設けられ、分析装置1に発生した異常を示すアラームを表示出力する。アラームエリアSaには、アラームエリア用バッファ33に一時的に保持されるアラームのうち異常発生日時が古い一つのアラームが表示される。なお、アラームエリアSaに表示されたアラームは、表示制御部32によってアラームエリア用バッファ33から消去される。
【0037】
クリアボタンPcは、アラームエリアSaの右方向に設けられる。クリアボタンPcは、クリアボタンPcが押圧された場合にアラームエリアSaに表示されるアラーム表示の消去、すなわちアラーム表示のクリアを指示するアラームクリア指示情報を表示制御部32に入力する。表示制御部32は、アラームクリア指示情報が入力された場合、アラームエリアSaから表示中のアラームを消去させるとともにアラームエリア用バッファ33に保持されるアラームのうち次に表示予定であるアラームをアラームエリアSaに表示させる。
【0038】
アラームリストボタンPtは、クリアボタンPcの右方向に設けられる。アラームリストボタンPtは、アラームリストボタンPtが押圧された場合に記憶部35に記憶された所定のアラームをそれぞれ示すアラームリスト表示を指示するアラームリスト指示情報を表示制御部32に入力する。表示制御部32は、アラームリスト指示情報が入力された場合に、アラームエリア用バッファ33から一時的に保持されたアラームを消去し、表示部38に対してアラームエリアSaから表示中のアラームを消去させるとともに、アラームリスト指示情報によって指示されたアラームリストを操作エリアSW内に表示させる。また、表示制御部32は、複数の異常が発生した場合、アラームリストボタンPtを点滅表示させる。
【0039】
まず、図3を参照して、制御部31にアラームが入力された場合における処理について説明する。図3に示すように、制御部31は、分析装置1の各部からアラームを受信するまで、アラームを受信したか否かを判断する(ステップS12)。制御部31は、アラームを受信するまでステップS12の判断を繰り返し、制御部31がアラームを受信したと判断した場合(ステップS12:Yes)、表示制御部32は、表示部38においてアラームエリアSaにアラームが表示中であるか否かを判断する(ステップS14)。そして、表示制御部32は、アラームエリアSaにアラームが表示中であると判断した場合(ステップS14:Yes)、新たに受信したアラームを表示予定であるアラームとしてアラームエリア用バッファ33内に蓄積する(ステップS16)。また、表示制御部32は、アラームエリアSaにアラームが表示中でないと判断した場合(ステップS14:No)、表示部38に対し、アラームエリアSaに受信したアラームを表示させる(ステップS18)。この結果、図4に示すように、アラームエリアSa内に、受信したアラームが異常発生時間とともに表示される。
【0040】
つぎに、図5を参照して、アラームエリアSaに表示されたアラームがクリアされる処理について説明する。図5に示すように、表示制御部32は、クリアボタンPcの押圧によって入力されるアラームクリア指示情報をもとに、アラームクリアの指示があるか否かを判断する(ステップS22)。表示制御部32は、アラームクリアの指示があると判断するまでステップS22の判断を繰り返し、アラームクリアの指示があると判断した場合(ステップS22:Yes)、アラームエリアSaにアラームが表示中であるか否かを判断する(ステップS24)。表示制御部32は、アラームエリアSaにアラームが表示中でないと判断した場合(ステップS24:No)、アラームエリアSa内にクリア対象であるアラームがないため、このままアラームクリア処理を終了する。
【0041】
これに対し、表示制御部32は、アラームエリアSaにアラームが表示中であると判断した場合(ステップS24:Yes)、表示部38に対し、アラームエリアSaから表示中のアラームを消去させる(ステップS28)。つぎに、表示制御部32は、アラームエリア用バッファ33に表示予定であるアラームがあるか否かを判断する(ステップS30)。表示制御部32は、アラームエリア用バッファ33に表示予定であるアラームがないと判断した場合(ステップS30:No)、アラームエリアSa内に表示させるアラームがないため、このままアラームクリア処理を終了する。
【0042】
一方、表示制御部32は、アラームエリア用バッファ33に表示予定であるアラームがあると判断した場合(ステップS30:Yes)、表示部38に対し、アラームエリア用バッファ33内のアラームのうち次に表示予定である異常発生日時が古い一のアラームをアラームエリアSaに表示させ(ステップS32)、アラームクリア処理を終了する。
【0043】
この結果、分析装置1においては、アラームクリアボタンPcが押圧されるごとにアラームエリアSa内に順次アラームが表示されることとなり、分析装置の操作者は、アラームボタンPcを順次押圧して異常発生順に各アラームを確認することができる。
【0044】
つぎに、図6を参照して、操作エリアSW内にアラームリストを表示させる処理について説明する。まず、表示制御部32は、アラームリストボタンPtの押圧によって入力されるアラームリスト指示情報をもとに、アラームリストの表示指示があるか否かを判断する(ステップS42)。表示制御部32は、アラームリストの表示指示があると判断するまでステップS42の判断を繰り返し、アラームリストの表示指示があると判断した場合(ステップS42:Yes)、アラームエリアSaにアラームが表示中であるか否かを判断する(ステップS44)。表示制御部32は、アラームエリアSaにアラームが表示中であると判断した場合(ステップS44:Yes)、表示部38に対し、アラームエリアSaから表示中のアラームを消去させる(ステップS46)。つぎに、表示制御部32は、アラームエリア用バッファ33に表示予定であるアラームがあるか否かを判断する(ステップS48)。表示制御部32は、アラームエリア用バッファ33に表示予定であるアラームがあると判断した場合(ステップS48:Yes)、アラームエリア用バッファ33内から一時的に保持されたアラームを消去する(ステップS50)。
【0045】
そして、表示制御部32は、アラームエリアSaにアラームが表示中でないと判断した場合(ステップS44:No)、アラームエリア用バッファ33に表示予定であるアラームがないと判断した場合(ステップS48:No)またはステップS50によるアラームエリア用バッファ33内のアラーム消去処理が終了した場合、記憶部35からアラームリスト情報としてアラームリスト内に表示される各アラームの情報をそれぞれ取得する(ステップS52)。そして、表示制御部32は、取得したアラームリスト情報をもとに、表示部38に対して、操作エリアSW内にアラームリスト指示情報によって指示されたアラームリストを表示させる(ステップS54)。
【0046】
具体的には、図7に示すように、操作エリアSW内には、異常が発生した日時、アラーム内容およびアラーム番号をそれぞれ対応づけて、上から発生日時が新しい順に各アラームが示されたアラームリストが表示される。このため、アラームリスト内には、新たに発生した異常に関するアラームも含まれることとなる。したがって、アラームエリア用バッファ33に保持されていたアラームであってステップS50において消去されアラームエリアSa内に未表示であるアラームも操作エリアSa内におけるアラームリスト内に示されることとなる。このように、分析装置1においては、アラームリストボタンPtが操作者によって一度押圧されるだけで、アラームエリア用バッファ33内に一時的に保持されたアラームの消去、アラームエリアSaに表示中のアラームの消去、および、アラームリストの操作エリアSW内への表示が自動的に行なわれる。なお、アラームリストに表示されるアラームの内容は、予め設定されるほか、所定の設定メニューを呼び出して設定することもできる。また、アラームリストには、たとえば、発生日時が新しい順に所定数のアラームが表示され、または、最も新しく発生した異常と同一または類似する異常の所定数のアラームが発生日時の新しい順に表示される。
【0047】
このように、実施の形態にかかる分析装置1においては、表示領域内にアラームが順次表示されるアラームエリアSaが固定して設けられている。この分析装置1においては、操作者による操作処理はアラームエリアSaとは別に固定して設けられている操作エリアSW内で専ら行なわれるため、操作者による画面操作中にアラームが表示される場合であっても、操作者によるたとえば緊急度の高い異常に対する画面操作処理などを阻害することがない。なお、分析装置1においては、分析装置に発生した異常が一つだけであった場合にはもちろんアラームエリアSa内に表示されるため、操作者は、これまで行なっていた画面操作を中断することなく発生したアラームを把握することができる。
【0048】
そして、分析装置1においては、複数の異常が発生した場合には、アラームリストボタンPtが点滅表示するため、操作者は、分析装置1において複数の異常が発生した旨を迅速に認識することができる。
【0049】
そして、分析装置1においては、アラームリスト表示を一度指示するだけで、アラームエリア用バッファ33内に一時的に保持されたアラームの消去、アラームエリアSaに表示中のアラームの消去、および、アラームリストの操作エリアSa内への表示が自動的に行なわれる。言い換えると、分析装置1においては、操作者は、たとえばアラームリストボタンPtが点滅表示した場合において、発生した複数のアラームを確認したい場合には、アラームリストボタンPtを一度押圧するだけで、アラームリストの操作エリアSa内への表示とともにアラームエリア用バッファ33内に一時的に保持されたアラームの消去およびアラームエリアSaに表示中のアラームの消去が自動的に行なわれる。このため、分析装置1においては、新たに発生したアラームを含むアラームリストを煩雑な処理を行なうことなく適切に表示でき、操作者による操作性を高めることが可能になる。
【0050】
したがって、分析装置1においては、複数の異常が発生した場合であっても、アラームリストボタンPtを一度押圧するだけで発生した複数の異常に対するアラームを含むとともに前のアラームも含まれるアラームリストを操作エリアSW内に大きく表示させることができるため、操作者は、各異常の確認を十分に行なうことが可能になる。また、分析装置1においては、操作者がアラームリストボタンPtを一度押圧だけでアラームエリア用バッファ33内に一時的に保持されたアラームの消去およびアラームエリアSaに表示中のアラームの消去が自動的に行なわれるため、大量の異常が発生した場合であっても、従来必要であった各警告ごとにクリア処理を繰り返すという煩雑な処理を行なう必要がない。さらに、分析装置1においては、アラームリストボタンPtを一度押圧するだけで発生した複数の異常に対するアラームを含むアラームリストを操作エリアSW内に大きく表示させることができるため、操作者は、表示されたアラームリストを確認することによって発生した全異常を同時に把握することが可能になり、各異常に対する対応を円滑に進めることができる。
【0051】
なお、分析装置1においては、図7に示すアラームリストボタンPtを再度押圧することによって、図6に示す各処理手順が行なわれ、操作エリアSW内のアラームリストが更新される。このため、新たに異常が発生した後にアラームリストボタンPtを再度押圧した場合、この新たに発生した異常に対するアラームを含んだ状態でアラームリストが更新表示される。また、分析装置1においては、アラームリストボタンPtを再度押圧されることによってアラームリストを更新表示するほか、図8に示すように、アラームリストに対する更新ボタンPrを個別に設け、この更新ボタンPrが操作者によって押圧された場合には、図6に示す処理手順を行なって新たなアラームを含んだアラームリストを更新表示してもよい。このように、分析装置1によれば、更新されたアラームリストを表示させるには、操作者がアラームリストボタンPtまたは更新ボタンPrを一度押圧するだけで足りる。
【0052】
また、アラームエリアSaには、アラームエリア用バッファ33に一時的に保持されるアラームのうち異常発生日時が古い一のアラームが表示される場合について説明したが、もちろんこれに限らず、アラームエリア用バッファ33に一時的に保持されるアラームのうち異常発生日時が古い二以上のアラームが表示されてもよい。
【0053】
また、本実施の形態においては、入力部36および表示部38としてタッチパネルを備えた場合について説明したが、もちろんこれに限らない。タッチパネル形式ではないディスプレイを表示部38として備え、入力部36を構成するマウスおよびキーボードを用いて、ディスプレイの表示領域に設けられたクリアボタンPc、アラームリストボタンPtおよび更新ボタンPrを選択することによって、入力部36から制御部31にアラームクリア指示情報、アラームリスト指示情報が入力されてもよい。また、表示制御部36は、複数のアラームが発生した場合、ディスプレイ画面上におけるアラームリストボタンPtの表示領域を点滅表示させてもよい。
【0054】
また、上記実施の形態で説明した分析装置1は、あらかじめ用意されたプログラムをコンピュータシステムで実行することによって実現することができる。このコンピュータシステムは、所定の記録媒体に記録されたプログラムを読み出して実行することで分析装置の処理動作を実現する。ここで、所定の記録媒体とは、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MOディスク、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」の他に、コンピュータシステムの内外に備えられるハードディスクドライブ(HDD)などのように、プログラムの送信に際して短期にプログラムを保持する「通信媒体」など、コンピュータシステムによって読み取り可能なプログラムを記録する、あらゆる記録媒体を含むものである。また、このコンピュータシステムは、ネットワーク回線を介して接続した管理サーバや他のコンピュータシステムからプログラムを取得し、取得したプログラムを実行することで分析装置の処理動作を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】実施の形態にかかる分析装置の要部構成を示す模式図である。
【図2】図1に示す表示部における表示画面の内容を示す図である。
【図3】図1に示す制御部にアラームが入力された場合の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】図1に示す表示部における表示画面の一例を示す図である。
【図5】図2に示すアラームエリアに表示されたアラームがクリアされる処理手順を示すフローチャートである。
【図6】図2に示す操作エリア内にアラームリストを表示させる処理手順を示すフローチャートである。
【図7】図1に示す表示部における表示画面の一例を示す図である。
【図8】図1に示す表示部における表示画面の内容の他の例を示す図である。
【符号の説明】
【0056】
1 分析装置
2 測定機構
3 制御機構
11 検体移送部
11a 検体容器
11b 検体ラック
12 検体分注機構
12a,17a アーム
13 反応テーブル
14 試薬庫
15 試薬容器
16 読取部
17 試薬分注機構
18 攪拌部
19 測光部
20 洗浄部
21 反応容器
31 制御部
32 表示制御部
33 アラームエリア用バッファ
34 分析部
35 記憶部
36 入力部
37 出力部
38 表示部
39 送受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体を分析する分析装置において、
操作可能領域と、当該分析装置に発生した異常を示す警告情報を表示する警告表示領域とが表示領域内に設けられた表示手段と、
前記表示手段における前記警告情報の表示を制御する表示制御手段と、
前記警告表示領域に表示予定である前記警告情報を一時的に保持する保持手段と、
既に発生した異常に対する前記警告情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された所定の前記警告情報の一覧表示を指示する指示手段と、
を備え、
前記表示制御手段は、前記指示手段によって前記一覧表示が指示された場合、前記保持手段から一時的に保持された警告情報を消去し、前記表示手段に対して前記警告表示領域から表示中の前記警告情報を消去させるとともに前記指示手段によって指示された前記警告情報の一覧を前記操作可能領域内に表示させることを特徴とする分析装置。
【請求項2】
前記警告表示領域に表示される前記警告情報の消去を選択する選択手段をさらに備え、
前記表示制御手段は、前記選択手段によって前記警告情報の消去を選択された場合、前記表示手段に対して、前記警告表示領域から表示中の前記警告情報を消去させるとともに前記保持手段に保持される警告情報のうち次に表示予定である警告情報を前記警告表示領域に表示させることを特徴とする請求項1に記載の分析装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、複数の警告が発生した場合、前記表示手段の表示画面上に設けられた警告一覧ボタンを点滅表示させることを特徴とする請求項1または2に記載の分析装置。
【請求項4】
前記表示手段および前記指示手段は、表示画面を押圧することで情報入力可能なタッチパネルであり、
前記タッチパネルは、警告一覧ボタンを有し、前記警告一覧ボタンが押圧された場合に前記記憶手段に記憶された所定の警告情報の一覧表示を指示する一覧指示情報を前記表示制御手段に入力し、
前記表示制御手段は、前記一覧指示情報が入力された場合に、前記保持手段から一時的に保持された警告情報を消去し、前記表示手段に対して前記警告表示領域から表示中の前記警告情報を消去させるとともに前記一覧指示情報によって指示された前記警告情報の一覧を前記操作可能領域内に表示させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の分析装置。
【請求項5】
前記表示制御手段は、複数の警告が発生した場合、前記タッチパネルにおける前記警告一覧ボタンを点滅表示させることを特徴とする請求項4に記載の分析装置。
【請求項6】
前記タッチパネルは、警告消去ボタンを有し、前記警告消去ボタンが押圧された場合に前記警告表示領域に表示される前記警告情報の消去を指示する消去指示情報を前記表示制御手段に入力し、
前記表示制御手段は、前記消去指示情報が入力された場合、前記表示手段に対して、前記警告表示領域から表示中の前記警告情報を消去させるとともに前記保持手段に保持される警告情報のうち次に表示予定である警告情報を前記警告表示領域に表示させることを特徴とする請求項4または5に記載の分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−191092(P2008−191092A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−28106(P2007−28106)
【出願日】平成19年2月7日(2007.2.7)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】