説明

制御された雰囲気を有する電気機械的システム及びこのシステムを製造する方法

【課題】機械的構造体の適切な、向上した及び/又は最適な動作のための制御された又は制御可能な環境を含むMEMSを提供する。
【解決手段】機械的構造体の少なくとも一部の上に犠牲層を堆積させ、該犠牲層の上に第1の封止層を堆積させ、犠牲層の少なくとも一部を露出させるように第1の封止層を貫通して少なくとも1つのベントを形成し、犠牲層の少なくとも一部を除去してチャンバを形成し、少なくとも1つの比較的安定したガスをチャンバに導入し、少なくとも1つのベント上又は少なくとも1つのベント内に第2の封止層を堆積させ、これにより、チャンバをシールし、この場合、前記第2の封止層が、半導体材料である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機械的システム及び、マイクロ電気機械的及びナノ電気機械的システムを製造するための技術;特に、1つの態様において、例えばマイクロ構造体の所定の、所望の及び/又は選択された機械的減衰を提供するために比較的安定した制御された圧力環境内に封止されたマイクロ構造体を有するマイクロ電気機械的及びナノ電気機械的システムを製造することに関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ電気機械的システム("MEMS")、例えばジャイロスコープ、共振器及び加速度計は、機械的構成部材をほぼマイクロエレクトロニクスに匹敵するスケールに減じるために微細加工技術(すなわち、リソグラフィ技術及びその他の精密製造技術)を使用する。MEMSは、通常、例えば微細加工技術を使用してシリコン基板から又はシリコン基板上に製造された機械的構造体を有する。
【0003】
繊細な機械的構造体を保護するために、MEMSは、通常、例えば密閉してシールされた金属容器(例えば、TO−8"缶"、例えば米国特許第6307815号明細書参照)内にパッケージングされるか、又は機械的構造体を収容、収納又は被覆するためのチャンバを有する半導体又はガラス状基板に接着される(例えば、米国特許第6146917号明細書;第6352935号明細書;第6477901号明細書;及び第6507082号明細書参照)。これに関して、密閉してシールされた金属容器に関し、その内部又はその表面に機械的構造体が配置された基板は、金属容器内に配置されておりかつ金属容器に固定されている。対照的に、半導体又はガラス状基板パッケージング技術に関して、機械的構造体の基板は別の基板に接着され、これにより、接着された基板がチャンバを形成し、このチャンバ内に機械的構造体が配置されている。この形式では、機械的構造体の動作環境は制御され、構造体自体は例えば不都合な接触から保護される。
【0004】
このような慣用のパッケージング技術を使用する場合、完成したMEMSは主にパッケージングの要求又は制限によりかなり大きくなる傾向がある。これに関して、慣用のMEMSパッケージング技術は、しばしば、小さな機械的構造体に対してかなり大きな完成した装置を製造する。金属容器内にパッケージングすることに関して、このことは、容器自体の寸法による。なぜならば、容器は機械的構造体と比較してかなり大きいからである。MEMSが基板パッケージング技術を使用する場合、その表面又は内部に機械的構造体が配置された基板は、例えば、エポキシ、融着、ガラスフリット又は陽極技術を使用して2つの基板が接着されることを可能にする又は容易にするために、十分な縁部を有していなければならない。この縁部は、最終的なMEMSの寸法を著しく増大させる傾向がある。
【0005】
MEMSの動作は、ある程度、機械的構造体が収容されかつ動作しようとする環境(例えば、金属容器内の圧力)に依存する。加速度計等のMEMSは高い減衰環境においてより効果的に動作する傾向があるのに対し、ジャイロスコープ及び共振器は低い減衰環境においてより効果的に動作する傾向がある。したがって、加速度計を含む機械的構造体はしばしば高圧環境内にパッケージングされる。これに対して、ジャイロスコープ及び共振器を含む機械的構造体は、しばしば低圧環境内にパッケージング及び維持される。例えば、ジャイロスコープ及び共振器が金属容器内にパッケージングされる場合、容器内の圧力は減じられ、シール前にしばしば周囲ガスが実質的に排気される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6307815号明細書
【特許文献2】米国特許第6146917号明細書
【特許文献3】米国特許第6352935号明細書
【特許文献4】米国特許第6477901号明細書
【特許文献5】米国特許第6507082号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
(1)慣用のパッケージング技術の欠点の1つ、幾つか又は全てを克服し、(2)機械的構造体の適切な、向上した及び/又は最適な動作のための制御された又は制御可能な環境を含むMEMS(例えば、ジャイロスコープ、共振器、温度センサ及び/又は加速度計)が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書には多くの発明が説明及び例示されている。第1の原理的側面において、本発明は、機械的構造体を有する電気機械的装置(例えば、マイクロ電気機械的又はナノ電気機械的装置)のチャンバをシールする方法であり、この場合、機械的構造体はチャンバ内に配置されており、チャンバは、機械的構造体のための機械的減衰を提供することができる流体を有している。本発明のこの態様の方法は、機械的構造体の少なくとも一部の上に配置された犠牲層上に第1の封止層を堆積させることを含む。犠牲層の少なくとも一部を露出させるために封止層を貫通して少なくとも1つのベントが形成され、犠牲層の少なくとも一部が除去され、チャンバが形成される。この方法はさらに、ベント上又はベント内に第2の封止層を堆積させながらチャンバ内に少なくとも1つの比較的安定したガスを導入することを含み、チャンバ内の流体は比較的安定したガスを含む。
【0009】
1つの実施形態において、比較的安定したガスは、ヘリウム、窒素、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン及び/又は過フルオロ化ハイドロフルオロカーボン(例えば、CF及びC)及び/又はそれらの組合せであってよい。有利な実施形態において、比較的安定したガスは低い拡散率を有する。
【0010】
本発明のこの態様の別の実施形態は、第2の封止層は、シリコン含有化合物、例えば、単結晶シリコン、多結晶シリコン、シリコン酸化膜、炭化シリコン、シリサイド、BPSG、PSG又はシリコン窒化膜を含んでよい。第2の封止層は、エピタキシャル又はCVDリアクタを使用して堆積されてよい。
【0011】
別の原理的態様において、本発明は、機械的構造体を有する電気機械的装置(例えば、マイクロ電気機械的又はナノ電気機械的装置)のチャンバをシールする方法であり、この場合、機械的構造体はチャンバ内に配置されており、チャンバは、機械的構造体のための機械的減衰を提供することができる流体を有している。本発明のこの態様の方法は、機械的構造体上に第1の封止層を堆積させ、封止層を貫通して少なくとも1つのベントを形成し、チャンバを形成する。方法は、さらに、少なくとも1つのガス堆積試薬をエピタキシャル又はCVDリアクタに導入することによって第2の封止層を堆積させることを含み、これにより、ベント上又はベント内に第2の封止層を形成し、チャンバをシールする。チャンバ内の流体は、第2の封止層を堆積させることにより生じる少なくとも1つの副産物を含み、流体の圧力は、機械的構造体のための所定の機械的減衰を提供するのに十分である。
【0012】
1つの実施形態において、方法はさらに、ベント上又はベント内に第2の封止層を堆積させながらチャンバ内に少なくとも1つの比較的安定したガスを導入することを含む。チャンバ内の流体は、第2の封止層を堆積させることにより生じた副産物に加えて、比較的安定したガスも含んでいる。1つの実施形態において、比較的安定したガスは、ヘリウム、窒素、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン及び/又は過フルオロ化ハイドロフルオロカーボンである。
【0013】
本発明のこの態様の第2の封止層は、シリコン含有化合物、例えば多結晶シリコン、シリコン酸化膜、炭化シリコン、シリサイド、BPSG、PSG又はシリコン窒化膜を含んでいてよい。第2の封止層は、エピタキシャル又はCVDリアクタを使用して堆積されてよい。実際には、方法は、流体の圧力を所定の圧力範囲内に調整するためにチャンバ内の流体を加熱することも含んでよい。
【0014】
さらに別の原理的態様において、本発明は、その上に第1の封止層が配置されたチャンバを含む電気機械的装置、例えばマイクロ電気機械的又はナノ電気機械的装置である。第1の封止層は少なくとも1つのベントを有する。電気機械的装置は、チャンバ内に配置された機械的構造体も有する。ベント上又はベント内に配置された第2の封止層はチャンバをシールし、チャンバは少なくとも1つの比較的安定したガス(例えば、ヘリウム、窒素、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン又は過フルオロ化ハイドロフルオロカーボン(例えばCF及びC)及び/又はそれらの組合せ)を有する。
【0015】
1つの実施形態において、第2の封止層はエピタキシャル、スパッタリング又はCVDリアクタを使用して堆積される。別の実施形態において、第1の封止層も、エピタキシャル、スパッタリング又はCVDリアクタを使用して堆積される。
【0016】
さらに別の実施形態において、第2の封止層は、シリコン含有化合物、例えば、単結晶シリコン、多結晶シリコン、シリコン酸化膜、BPSG、PSG、シリコン窒化膜、炭化シリコン又はシリサイドである。
【0017】
本発明のこの態様の電気機械的装置は、流体の拡散を減じるために、第2の封止層の上に配置された第3の封止層を有していてよい。1つの実施形態において、第3の封止層は、エピタキシャル、スパッタリング又はCVDリアクタを使用して堆積された、金属(例えば、アルミニウム、クロム、金、銀、モリブデン、プラチナ、パラジウム、タングステン、チタン及び/又は銅)、金属酸化物(例えば酸化アルミニウム、酸化チタン及び/又は酸化インジウム)、金属合金(例えば窒化チタン、チタン−タングステン及び/又はAl−Si−Cu)及び/又は金属シリコン化合物(例えば、タングステンシリサイド、チタンシリサイド及び/又はニッケルシリサイド)(以下では集合的に"金属含有材料"と呼ばれる)である。別の実施形態において、第3の封止層は、単結晶シリコン、多結晶シリコン、シリコン酸化膜、BPSG、PSG、シリコン窒化膜又は炭化シリコンのうちの少なくとも1つである。
【0018】
以下の詳細な説明において添付の図面が参照される。これらの図面は本発明の種々異なる態様を示しており、適切な場合には、種々異なる図面における同様の構造、構成部材、材料及び/又はエレメントを表す参照符号は同じものが付与されている。具体的に示されたもの以外の、構造、構成部材、材料及び/又はエレメントの様々な組合せが考えられかつ本発明の範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】インタフェース回路及びデータ処理エレクトロニクスと関連した、基板上に配置されたマイクロ電気機械的システムのブロック線図である。
【図2】マイクロメカニカル構造体の一部、例えば、又は加速度計の噛み合った又はくし状のフィンガ電極の部分の上面図を示している。
【図3】本発明のある態様に基づく、破線a−aに沿った断面で見た、図2の噛み合った又はくし状のフィンガ電極の部分の断面図を示している。
【図4A】本発明のある態様による、封止プロセスの様々な段階における図3のマイクロ構造体の製造の断面図を示している。
【図4B】本発明のある態様による、封止プロセスの様々な段階における図3のマイクロ構造体の製造の断面図を示している。
【図4C】本発明のある態様による、封止プロセスの様々な段階における図3のマイクロ構造体の製造の断面図を示している。
【図4D】本発明のある態様による、封止プロセスの様々な段階における図3のマイクロ構造体の製造の断面図を示している。
【図4E】本発明のある態様による、封止プロセスの様々な段階における図3のマイクロ構造体の製造の断面図を示している。
【図4F】本発明のある態様による、封止プロセスの様々な段階における図3のマイクロ構造体の製造の断面図を示している。
【図5】第1及び第2の封止層が同じ材料から形成されている本発明の別の態様に基づく、破線a−aに沿った断面で見た、図2の噛み合った又はくし状のフィンガ電極配列の部分の断面図を示している。
【図6】封止層が1つ又は実質的に1つの処理ステップにおいて堆積された層の特性を有するように封止層がアニールされる本発明の別の態様に基づく、破線a−aに沿った断面で見た、図2の噛み合った又はくし状のフィンガ電極の部分の断面図である。
【図7A】封止層が3つ以上の層を含む本発明の別の態様に基づく、破線a−aに沿った断面で見た、図2の噛み合った又はくし状フィンガ電極の製造の部分の断面図を示している。
【図7B】封止層が3つ以上の層を含む本発明の別の態様に基づく、破線a−aに沿った断面で見た、図2の噛み合った又はくし状フィンガ電極の製造の部分の断面図を示している。
【図8A】封止層が3つ以上の層を含む本発明の別の態様に基づく、破線a−aに沿った断面で見た、図2の噛み合った又はくし状フィンガ電極の製造の部分の断面図を示している。
【図8B】封止層が3つ以上の層を含む本発明の別の態様に基づく、破線a−aに沿った断面で見た、図2の噛み合った又はくし状フィンガ電極の製造の部分の断面図を示している。
【図8C】封止層が3つ以上の層を含む本発明の別の態様に基づく、破線a−aに沿った断面で見た、図2の噛み合った又はくし状フィンガ電極の製造の部分の断面図を示している。
【図9】本発明のある態様に基づく、MEMSの基板上に又は基板内にモノリシックに集積された1つ以上の電気機械的システムをそれぞれが有する、複数のマイクロメカニカル構造体の部分の断面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書には多くの発明が説明及び例示されている。1つの態様において、本発明は制御された又は所定の機械的減衰環境において作動する機械的構造を有するMEMSを作製若しくは製造する技術に関する。これに関して、本発明は、MEMSの最終的パッケージング及び/又は完成の前に、チャンバ内に機械的構造体を封止する。機械的構造体を含む及び/又は収納するチャンバ内の環境は、所定の、所望の及び/又は選択された機械的減衰を提供する。封止された流体(例えばガス又はガス蒸気)内において機械的構造体が作動し、この流体のパラメータ(例えば圧力)は、所望の及び/又は所定の作動環境を提供するために制御、選択及び/又は設計される。
【0021】
1つの実施形態において、選択された、所望の及び/又は所定の状態を有する1つ又は2つ以上の比較的安定したガスは、封止プロセス時に導入される。比較的安定したガスは、封止プロセス時に、例えば機械的構造物、機械的構造物を封止するために使用される材料(すなわち堆積試薬)及び/又はプロセス中に製造される(ガス又は固体形式の)製品との反応をほとんど又は全く生じない。このように、機械的構造体を含む及び/又は封止するチャンバが封止プロセスによって"シール"されると、比較的安定したガスがチャンバ内に"捕捉"される。チャンバ内のガスの状態は、機械的構造体の所定の、所望の及び/又は選択された機械的減衰を著しく決定する。
【0022】
この比較的安定したガス、例えば、ヘリウム、窒素、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン及び/又は過フルオロ化ハイドロフルオロカーボン(例えばCF及びC)は、シールされたチャンバ(すなわち封止された機械的構造体を含むチャンバ)内の流体の大部分、全て又は実質的に全てを含む。有利な実施形態において、比較的安定したガスは、封止プロセス中及び封止プロセス後に低い、よく知られた及び/又は制御可能な拡散率を有する。このように、完成したMEMSの作動寿命に亘って及び/又は例えば後続の微細加工プロセシング(例えば高温プロセス)の後に所望の及び/又は所定の環境を提供するように、ガスの状態が制御、選択及び/又は設計されてよい。
【0023】
別の実施形態において、1つ又は2つ以上のガスが、封止プロセスの間に、これらのガスが封止プロセスの間及び/又は後に環境と反応するという予想で導入される。この実施形態において、所定のガスは、封止された機械的構造体を含む"シールされた"チャンバ内に捕捉された(所望の、選択された及び/又は所定の状態を有する)所望の及び/又は所定の流体を提供するために、封止プロセスから生じる又は封止プロセス中に製造されるガス、材料及び/又は副産物と反応及び/又は結合する。このように、選択された、所望の及び/又は所定の状態を有する流体は、機械的構造体を含むチャンバ内に存在する又は維持され、これらの構造体のための所望の、所定の及び/又は選択された機械的減衰を提供する。
【0024】
1つ又は2つ以上のガスは、封止層を形成、成長及び/又は堆積させる場合における一次又は二次試薬であってよい。択一的に、これらのガス(又はこれらのガスに加えて)は、封止層を形成、成長及び/又は堆積する場合に重要ではない付加的なガスであってよい。これに関して、これらの付加的なガスは、封止の後にチャンバ内に捕捉される副産物を製造するために堆積環境における材料(固体及び/又はガス)と反応してよい。
【0025】
捕捉された流体の状態は後続の処理ステップによって調整、修正及び/又は制御されてよい。これに関して、封止直後の流体の状態(例えば圧力)は、後続の微細加工及び/又は集積回路プロセシングによって調整、修正及び/又は制御されてよく、このことは、(1)"捕捉された"流体とチャンバ内の環境の別のエレメント(例えば機械的構造体を包囲する又は含む材料)との付加的な反応及び/又は(2)"捕捉された"流体又はこの流体の副産物の拡散を生ぜしめる又は促進する。このように、ある実施形態において、シールされたチャンバ内に捕捉された流体は封止プロセス中及び/又は封止プロセス後にさらなる変化を受け、これにより、MEMSの完成後に、シールされたチャンバ内の流体の状態は、機械的構造体のための所望の、所定の及び/又は選択された機械的減衰を提供する。したがって、これらの実施形態において、流体の状態は、完成したMEMSの動作寿命に亘って及び/又は後続の微細加工及び/又は集積回路プロセシングの後に所望の及び/又は所定の環境を提供するように調整、修正及び/又は制御されてよい。
【0026】
図1を参照すると、1つの典型的な実施形態において、MEMS10は、基板14、例えば、ドーピングされていない半導体状材料、ガラス状材料又は絶縁体状材料上に堆積された微細加工された機械的構造体12を有している。MEMS10は、微細加工された機械的構造体12によって生ぜしめられた情報を処理及び分析するために、データ処理エレクトロニクス16を有していてもよい。さらに、MEMS10は、微細加工された機械的構造体12及び/又はデータ処理エレクトロニクス16から外部装置(図示せず)、例えばコンピュータ、インジケータ又はセンサに情報を提供するためのインタフェース回路18を有していてもよい。
【0027】
データ処理エレクトロニクス16及び/又はインタフェース回路18は基板14内又は基板14上に集積されていてよい。これに関して、MEMS10は、機械的構造体12と、データ処理エレクトロニクス16と、インタフェース回路18とを含むモノリシック構造であってよい。データ処理エレクトロニクス16及び/又はインタフェース回路18は、製造後に基板14に又は基板14上に接着される別個の個別の基板上に存在してもよい。
【0028】
図2を参照すると、1つの実施形態において、微細加工された機械的構造体12は、基板14上に、基板14の上方に又は基板14内に配置された機械的構造体20a〜dを有している。微細加工された機械的構造体12は、加速度計、ジャイロスコープ又はその他のトランスジューサ(例えば圧力センサ、触覚センサ又は温度センサ)であってよい。微細加工された機械的構造体12は、1つ又は2つ以上の加速度計、ジャイロスコープ、圧力センサ、触覚センサ及び圧力センサを含む複数のトランスジューサ又はセンサの機械的構造体をも含む。微細加工された機械的構造体12が加速度計である場合には、機械的構造体20a〜dは、加速度計の検出特徴を含む、互いに噛み合った又はくし状フィンガ電極配列の部分であってよい(例えば米国特許第6122964号明細書)。
【0029】
図3は、点線a−a′に沿った、機械的構造体20a〜dを含む微細加工された機械的構造体12の断面図を示している。図3を参照すると、1つの実施形態において、機械的構造体20a〜dは流体24を含むチャンバ22内に配置されており、前記流体は、選択された、所望の及び/又は所定の状態を有しており、チャンバ22内に"捕捉"、"シール"及び/又は含有されている。流体24は、所望の、所定の、適切な及び/又は選択された機械的減衰を機械的構造体20a〜dのための環境に提供する。
【0030】
1つ又は2つ以上のトランスジューサ又はセンサ(例えば加速度計、ジャイロスコープ、圧力センサ、触覚センサ及び/又は温度センサ)の機械的構造体が1つのチャンバ内に含まれている又は存在していてよい。この環境において、チャンバ22内の流体24は、1つ又は2つ以上の微細加工された機械的構造体(例えば加速度計、圧力センサ、触覚センサ及び/又は温度センサ)の機械的構造体のための所望の、所定の、適切な及び/又は選択された機械的減衰を提供する。
【0031】
さらに、1つ又は2つ以上のトランスジューサ又はセンサの機械的構造体自体は、垂直方向に積層及び/又は相互接続された多数の層を有する(例えば図9の微細加工された機械的構造体12bを参照)。したがって、この状況において、機械的構造体は、垂直方向積層された又は相互接続された多数の層を提供するために、1つ又は2つ以上の処理ステップを使用して製造される。
【0032】
1つの実施形態において、流体24は主として1つ又は2つ以上の比較的安定したガス(例えば、ヘリウム、窒素、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、及び/又はCF及びC等の過フルオロ化ハイドロフルオロカーボン)である。別の実施形態においては、流体24は、封止プロセス及び/又は1つ又は複数の製造プロセスにおいて使用されるか、これらのプロセスにより生じるか又はこれらのプロセスによって製造される1つ又は2つ以上のガス又はガス/流体製品(例えばSiH+O→SiO+HO+O)である。実際に、流体は、1つ以上の比較的安定したガスと、封止プロセスから生じる又は封止プロセスによって製造される1つ以上のその他のガス又は製品との組合せであってよい。
【0033】
封止層26a及び26bは例えば、半導体、絶縁体又は金属含有材料から成っていてよい。例えば、封止層26a及び26bは、シリコン(例えば、単結晶シリコン、多結晶シリコン又は、ドーピングされた又はされていない非晶質シリコン)、及び/又は窒素(例えばシリコン窒化膜)及び/又は酸素(例えばシリコン酸化膜)を含んでいてよい。その他の材料はチャンバ22を封止又はシールするために適している(例えば、ゲルマニウム、シリコン/ゲルマニウム、炭化シリコン(SiC)及び砒化ガリウム)。実際には、チャンバ22を封止しかつ流体24の拡散に対する十分なバリヤを提供することができる全ての材料が、現在知られていても後で発展されても、本発明の範囲に含まれるものとする。
【0034】
封止層26a及び26bは同じ材料であっても異なる材料であってもよい。封止層26a及び26bは、同じ技術又は異なる技術を用いて堆積、形成又は成長されてよい。例えば封止層26aは減圧化学的気相成長("LPCVD")プロセス又はプラズマCVDプロセス("PECVD")を用いて堆積された多結晶シリコンであってよく、封止層26bは常圧CVDプロセス("APCVD")を用いて堆積された多結晶シリコンであってよい。択一的に、例えば、封止層26aはLPCVDを用いて堆積されたシリコン酸化膜であってよく、封止層26bはPECVDプロセスを使用する、ドーピングされたシリコン酸化膜(例えばPSG(phosphosilicate glass)又はBPSG(borophosphosilicate glass))であってよい。実際には、封止層26aはPECVDを使用する多結晶シリコン又はドーピングされたシリコン酸化膜(例えばPSG又はBPSG)であってよく、封止層26bはLPCVDを使用して堆積されたシリコン酸化膜であってよい。したがって、チャンバ22を封止するための全ての材料及び堆積技術、及びその組合せ(permutation)は、現在知られているか又は後に発展されるかにかかわらず、本発明の範囲に含まれるものとする。
【0035】
封止層26a及び/又は26bは、封止プロセス及び/又は後続の製造プロセスから生じる又はこれらのプロセスによって製造されるガス/流体製品を提供するために、1つ以上の所定のガスの選択に関連して選択されてよい。例えば、SiH+Oを用いることにより、SiOの封止層26bとHO+Oの流体24とが生ぜしめられてよい。別の実施形態において、SiO(CH+Oを用いることにより、SiOの封止層26bと、O+様々な炭素含有副産物の流体24とが製造される。
【0036】
図4Aを参照すると、微細加工された機械的構造体12を製造する典型的な方法が、犠牲層28、例えばシリコン酸化膜上に堆積された機械的構造体20a〜dを含む、部分的に形成された装置を用いて開始してよい。機械的構造体20a〜d及び犠牲層28はよく知られた堆積、リソグラフィ、エッチング及び/又はドーピング技術を使用して形成されてよい。
【0037】
図4B、4C及び4Dを参照すると、機械的構造体20a〜dを形成した後、第2の犠牲層30、例えばシリコン酸化膜又はシリコン窒化膜が堆積され、これにより、後の処理の間機械的構造体20a〜dを固定、離反及び/又は保護する。その後、第1の封止層26aが第2の犠牲層30上に堆積され(図4C参照)、エッチングされ(図4D参照)、これにより、第1及び第2の犠牲層28及び30それぞれの選択された部分のエッチング及び/又は除去を可能にするための通路又はベント32を形成する。
【0038】
図4D及び4Eを参照すると、第1及び第2の犠牲層28及び30はそれぞれ、層28及び30の選択された部分を除去しかつ機械的構造体20a〜dを解放させるためにエッチングされてよい。例えば、第1及び第2の犠牲層28及び30がシリコン酸化膜から成る1つの実施形態において、層28及び30の選択された部分は、よく知られたウェットエッチング技術及び緩衝HF(フッ酸)混合物(すなわち減衰された酸化物エッチング)又は、ガスHFを使用するよく知られたガスエッチング技術を使用して除去/エッチングされてよい。機械的構造体20a〜d及び犠牲層28及び30の適切な設計、及びHFエッチングプロセスパラメータの制御により、犠牲層28は十分にエッチングされ、これにより、機械的エレメント20a〜dの周囲の層28の全て又は実質的に全てを除去し、これにより、機械的エレメント20a〜dを解放させ、MEMS10の適切な動作を可能にする。
【0039】
第1及び第2の犠牲層28及び30がシリコン窒化膜から成る別の実施形態において、層28及び30の選択された部分はリン酸を使用して除去/エッチングされる。やはり、機械的構造体20a〜d及び犠牲層28及び30の適切な設計、及びウェットエッチングプロセスパラメータの制御により、犠牲層28は十分にエッチングされ、機械的エレメント20a〜dの周囲の犠牲層28の全て又は実質的に全てを除去し、このことは機械的エレメント20a〜dを解放させる。
【0040】
(1)層28及び/又は30に適した材料(例えばシリコン酸化膜、シリコン窒化膜、ドーピングされた及びドーピングされていないガラス状材料、例えばPSG、BPSG及び無機系塗布膜(Spin On Glass("SOG"))と、(2)多くの適切な/関連したエッチング剤(例えば、緩衝された酸化物エッチング、リン酸、及び例えばNaOH及びKOH等の水酸化アルカリ)と、(3)犠牲層28及び/又は30を排除、除去及び/又はエッチングするための多くの適切なエッチング技術又は除去技術(例えば、ウェット、プラズマ、ガス又はドライエッチング)が存在する。実際には、層28及び/又は30は以下のような例においては、ドーピングされた又はドーピングされていない半導体(例えばポリシリコン、ゲルマニウム又はシリコン/ゲルマニウム)であってよい。その例は、すなわち、機械的構造体20a〜dがエッチング処理又は除去処理によって影響されない限り機械的構造体20a〜dが同じ又は類似の半導体(すなわち同様に処理、エッチング又は除去された)であるような例(例えば、エッチング又は除去処理の間に構造体20a〜dが"保護されている"例(例えば酸化物層がシリコンベース構造体20a〜dを保護している)、又は構造体20a〜dが、層28及び/又は30のエッチング処理又は除去処理によって影響されないか又は著しく影響されることがない材料から成っている例である。したがって、今知られているか又は後に発展される、排除、除去及び/又はエッチングのための、全ての材料、エッチング剤及びエッチング技術、及びそれらの組合せ(permutation)が、本発明の範囲に含まれるものとする。
【0041】
図4Fを参照すると、機械的エレメント20a〜fを解放させた後、第2の封止層26bが堆積、形成及び/又は成長される。第2の封止層26bは、例えば例えばエピタキシャル、スパッタリング又はCVDベースリアクタ(例えばAPCVD、LPCVD又はPECVD)を使用して堆積されたシリコンベース材料(例えばポリシリコン又はシリコン酸化膜)であってよい。堆積、形成及び/又は成長はコンフォーマルプロセス又はノンコンフォーマルプロセスによるものであってよい。材料は第1の封止層26aと同じでも異なっていてもよい。しかしながら、第1及び第2の封止層26a及び26bを形成するために同じ材料を使用すると有利である(図5参照)。この形式では、熱膨張率が同じであり、層26aと26bとの境界がチャンバ24の"シール"を高める。
【0042】
実施形態の1つのセットにおいて、第2の封止層26bを堆積する間、層26bを形成、堆積及び/又は成長させるために使用されるガス(例えばSiH→Si+2H)に加えて、1つ以上の比較的安定したガス(例えばヘリウム、窒素、ネオン、アルゴン、キセノン及び/又は過フルオロ化ハイドロフルオロカーボン)が所定の圧力及び流量で導入される。これらの比較的安定したガスは、流体24の部分又は全てを形成するために、封止プロセス中に、チャンバ22内に捕捉又は封止される。前述のように、流体24は、所望の、所定の及び/又は選択された機械的減衰を備えた機械的構造体20a〜dの環境を提供する。
【0043】
ある実施形態において、1つ以上の比較的安定したガスは封止プロセス中に反応を有さない又はほとんど生じない。例えば、比較的安定したガスは、機械的構造体20a〜d(例えば構造体20a〜dの側壁)、機械的構造体を封止/シールするために使用されるガス/材料(例えばシリコン、酸素又は窒素)、封止/シールプロセス中に形成、堆積及び/又は成長された第1の封止層26a及び/又は第2の封止層26bと著しく反応することはない。したがって、これらの実施形態において、機械的構造体20a〜dを含有及び/又は封止したチャンバ22が"シール"されると(すなわち第2の封止層26bの堆積の後に)、比較的安定したガスが、チャンバ22内に"捕捉され"、選択された、設計された及び/又は所定の機械的減衰パラメータを備えた機械的構造体20a〜dを提供する(又は例えば環境を最終化する後続の処理ステップの後に提供する)。
【0044】
比較的安定したガスは、例えば、(1)第2の封止層26bの形成、堆積及び/又は成長中に(例えば、プロセスの圧力及び温度において及びそのプロセスの試薬と共に)及び/又は(2)チャンバ22内の環境に関して比較的安定した又は制御可能な(例えば、第1の封止層26a(例えばシリコン酸化膜又はその他のシリコンベース材料)とほとんど又は全く反応を生じない)、あらゆるガス(又はガス化合物)であってよい:。この形式において、1つ以上の比較的安定したガスは、第2の封止層26bの形成、堆積及び/又は成長中に(及び有利にはその後に)、堆積試薬、製品、封止された機械的構造体12及び/又は封止壁部と反応しないか又は最小限にしか反応しない。
【0045】
有利な実施形態において、1つ以上の比較的安定したガスは、ヘリウム、窒素、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン及び/又は過フルオロ化ハイドロフルオロカーボン(例えばCF及びC)であってよい。比較的安定したガスは、チャンバ22をシール又は隔離した後にチャンバ22内の流体24の一部、大部分、全て又は実質的に全てを含んでいてよい。
【0046】
以下に詳細に説明するように、封止プロセス中のガスの状態は、チャンバ22内にシールされる場合にガスのパラメータ(及びMEMS10の機械的減衰パラメータ)を決定してよい。これに関して、封止プロセスの温度及び比較的安定したガスの部分圧力は、封止後に流体24の圧力に著しい影響を有してよい。このように、比較的高い機械的減衰が望まされるような状況(例えば微細加工された機械的構造体12が低い性質係数(Q)を要求する加速度計である状況)において、低い温度及び高い圧力を有する第2の封止層26bを形成、堆積及び/又は成長させるための製造技術を使用すると有利である。この形式では、チャンバ22内の流体24の最終圧力は比較的高くてよい。
【0047】
例えば、第2の封止層26bがシリコン酸化膜(又はその他の絶縁体、例えばシリコン窒化膜)である1つの実施形態において、LPCVDを使用することは、比較的低い温度においてチャンバ22を"シール"することを容易にする。これに関して、LPCVDは、概して、100〜500Paでかつ通常500℃〜600℃の比較的低い温度において行われてよい。別の実施形態において、比較的高い圧力(100〜10kPa)でかつ低い温度(350℃〜400℃)で、ドーピングされた又はドーピングされていない酸化物(例えばBPSG、PSG及び/又はSiO)を堆積させるために、APCVDが使用されてよい。第2の封止層26bがシリコンベース材料(ポリシリコン、炭化シリコン、シリコン酸化膜及び/又はシリコン窒化膜)である実施例において、1〜2気圧の圧力でかつ400℃〜1200℃の温度においてこのような材料を堆積させるために、エピタキシリアクタが使用されてよい。
【0048】
第2の封止層26bを形成、堆積及び/又は成長させるのに適した多くの堆積技術及び材料が存在する。例えば、ドーピングされた及びドーピングされていない酸化物、シリコン窒化膜、炭化シリコン及び/又はポリシリコンを適切な圧力及び温度において堆積させるために、PECVDが使用されてよい。第2の封止層26bを形成、堆積及び/又は成長させるための、全ての材料及び形成、堆積及び成長技術、及びその組合せ(permutation)は、今知られていても後で発展されても、本発明の範囲に含まれるものとする。
【0049】
微細加工された機械的構造体12が付加的な微細加工処理を受ける状況において、低い、よく知られた及び/又は制御可能な拡散率を含む1つ以上の比較的安定したガスを使用すると有利である。例えば、より大きな又はより重い分子を有するガス(例えば、窒素、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン又は過フルオロ化ハイドロフルオロカーボン(例えばCF及びC))は、封止プロセス中及びその後に、第1の封止層26a及び/又は第2の封止層26bを介して(及び/又はそれらの境界において)拡散を受けにくい。この形式では、例えば後続の微細加工処理(例えば高温処理)の後に及び/又は完成したMEMS10の動作寿命に亘って、所望の及び/又は所定の環境を提供するために、流体24の状態が制御、選択及び/又は設計されてよい。このことは、より安定した正確な動作を有するMEMS10を提供してよい。
【0050】
微細加工された機械的構造体12が、チャンバ22内の環境に影響する微細加工を受ける場合、流体24は、封止層26a及び/又は封止層26bを通じて拡散する。この拡散は、選択された、所定の及び/又は所望の圧力範囲よりも低い又はこの圧力範囲外の流体24の"最終的な"周囲圧力(すなわちMEMS10の完成後の流体24の圧力)を生ぜしめる。このように、1つの実施形態において、チャンバ24内に"捕捉"又は"シール"された直後の流体24の周囲圧力は、通常動作中に必要とされる又は望まれる微細加工された機械的構造体12の機械的減衰の選択された、所定の及び/又は所望の範囲よりも大きくなるように選択されていてよい。したがって、流体24のあらゆる拡散の後、付加的な処理の結果、流体24の"最終的な"周囲圧力は、選択された、所定の及び/又は所望の圧力範囲内であってよい。この形式では、"最終的な"流体24の圧力が、微細加工された機械的構造体12の選択された、設計された又は所定の機械的減衰を提供するように、後続の微細加工処理が流体24の圧力の低減を生ぜしめる。
【0051】
第2の封止層26b(及び第1の封止層26a)が高密度な材料から成る状況において、例えば窒素、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン及び/又は過フルオロ化ハイドロフルオロカーボン(例えばCF及びC)に加えて又はこれらの代わりに、水素及び/又はヘリウム等の比較的安定したガスを使用すると有利である。高密度な材料、例えば、炭化シリコン、シリコン窒化膜又は金属含有材料から成る第2の封止層26b(及び第1の封止層26a)は、拡散に対する十分なバリヤを提供してよく、このバリヤは、ひいては小さな分子を有する軽い、比較的安価かつ利用可能な比較的安定したガス、例えば水素及び/又はヘリウムの使用を可能にする。
【0052】
実施形態の別のセットにおいて、第2の封止層26bの堆積、成長及び/又は形成中に、第2の封止層26bを形成、堆積及び/又は成長させるために1つ以上のガス/材料が導入され(例えばSiH→Si+2H)、この場合、第2の封止層26bがチャンバ22を"シール"した後に、(所望の、選択された及び/又は所定の状態を有する)生じる流体を提供するために封止プロセス中にこれらのガスが反応することが予想される。これらの実施形態において、所定のガス/材料は堆積プロセスの一次又は二次試薬であり、第2の封止層26bの形成における主/二次的構成成分であることに加えて、チャンバ22内に"捕捉"された、(所望の、選択された及び/又は所定の状態を有する)流体24をも提供する。この形式では、流体24は、構造体20a〜dのための所望の、所定の及び/又は選択された機械的減衰を提供する。
【0053】
したがって、これらの実施形態において、所定のガス/材料は、封止プロセス中に生ぜしめられるガス、材料及び/又は副産物と反応及び/又は組み合わさるための、堆積プロセスの一次又は二次試薬である。
【0054】
例えば、第2の封止層26bがシリコン酸化膜(例えばSiH+O→SiO+HO+O)である1つの実施形態において、比較的高い圧力(100〜10kPa)及び低い温度(350℃〜400℃)において酸化物を堆積させるためにAPCVDが使用されてよい。残りのHO+O(すなわち流体24)は、比較的高い圧力及び比較的低い温度においてチャンバ22に"捕捉"されてよい。実際には、必要又は望まれる場合には、機械的構造体20a〜dのための所望の、所定の及び/又は選択された機械的減衰を提供するために、後続の処理ステップ中に流体24の圧力は調整又は修正されてよい。
【0055】
別の実施形態において、1〜2気圧の圧力及び400℃〜1200℃の温度において第2の封止層26bを堆積させるためにエピタキシリアクタが使用されてよい(例えば、SiCl(ガス)+2H→Si(固体)+4HCl(ガス))。流体24(すなわち4FCl)は、所望の、所定の及び/又は選択された圧力及び比較的低い温度においてチャンバ22に"捕捉"されてよい。このように、選択された、所望の及び/又は所定の状態を有する流体24は、構造体20a〜dのための所望の、所定の及び/又は選択された機械的減衰を提供してよい。
【0056】
上述のように、第2の封止層26bを形成、堆積及び/又は成長させるのに適した多くの堆積技術及び材料が存在する。例えば、ドーピングされた及びドーピングされていない酸化物(例えば、SiO(CH+O→SiO(封止層26b)+O(流体24)+炭素副産物(流体24))、及び窒化シリコン及び/又はポリシリコンを堆積させるために、CVD技術が使用されてよい。したがって、第2の封止層26bを形成、堆積及び/又は成長させるための、全ての材料、及び形成、堆積及び成長技術、及びそれらの組合せ(permutation)は、今知られていても後で発展されても、本発明の範囲内に含まれるものとする。
【0057】
残留ガスは所望の、所定の及び/又は選択された圧力でチャンバ22内に捕捉されてよい。さらに、捕捉されたガスが所望の、所定の及び/又は選択された"最終的"圧力又はその範囲内でない場合、ガスの圧力は、後続のプロセス(例えば拡散又は別の/継続する反応を生じる高温処理)によって修正、変化及び/又は制御されてよく、これにより、"完成した"MEMS10は、(構造体12のための所望の、所定の及び/又は選択された機械的減衰において又はその範囲において)、適切に減衰される微細加工された機械的構造体12を有する。したがって、封止直後の流体24の状態(例えば流体24の圧力)は、後続の微細加工及び/又は集積回路処理によって調整、修正及び/又は制御されてよい。このように、完成したMEMSの動作寿命に亘って及び/又は後続の微細加工及び/又は集積回路プロセシングの後に所望の及び/又は所定の環境を提供するために、流体24の状態は調整、修正及び/又は制御されてよい。
【0058】
実施形態の別のセットにおいて、チャンバ22が"シール"された後にチャンバ22内に"捕捉"された流体24を提供するために、1つ以上の付加的なガス/材料が環境(例えば、微細加工された機械的構造体12、機械的構造体20a〜d及び/又はチャンバ22内の及び/又はその周囲の固体及び/又はガス)と反応する。しかしながら、これらの実施形態において、1つ以上のガス/材料は、封止層26bを形成、成長及び/又は堆積させる場合に重要な役割を果たすわけではない。これらの実施形態において、所定のガス/材料は、堆積プロセスの一次又は二次試薬に対する付加的なものであり、チャンバ22内に"捕捉"された流体(所望の、選択された及び/又は所定の状態を有する)を提供するために、封止中に環境と反応する。上述のように、流体24は、構造体20a〜dのための所望の、所定の及び/又は選択された機械的減衰を提供する。
【0059】
例えば、第2の封止層26bがシリコン酸化膜である1つの実施形態において(例えば、O+2Si→SiO+2SiO)、比較的高い圧力(100〜10kPa)及び低い温度350℃〜400℃において酸化物を堆積させるためにAPCVDが使用されてよい。残留する2SiO(すなわち流体24)は、比較的高い圧力及び比較的低い温度においてチャンバ22内に"捕捉"されてよい。上述のように、必要又は望ましい場合、機械的構造体20a〜dのための所望の、所定の及び/又は選択された機械的減衰を提供するために、後続の処理ステップの間に流体24の圧力が調整又は修正されてもよい。上述のように、比較的高い機械的減衰が望まれる場合(例えば、微細加工された機械的構造体12が、低いQを必要とする加速度計である場合)、チャンバ22内の流体24の最終圧力が比較的高いと有利である。このように、流体24の比較的高い圧力が望ましい場合、第2の封止層26bを堆積、形成及び/又は成長させるために低温技術を使用すると有利である。これに関して、シール温度が減じられると、作動温度における圧力が、ほぼ絶対温度の比だけ増大する。このように、チャンバ22が"シール"されている場合、より低い"シール"温度は流体24のより高い圧力に貢献してよい。
【0060】
さらに、"シール"されたチャンバ22内に存在する又は"捕捉された"流体24の圧力が比較的高くなるように、流体24を有するガス/材料の部分圧力が比較的高いことも重要である。これに関して、ガス(例えば比較的安定したガス)の部分圧力が封止又はチャンバシールプロセスの間に(例えば第2の封止層26bの堆積、形成及び/又は成長の間に)増大すると、チャンバ22内の流体24の圧力は比例して増大する。このように、流体24の高い最終圧力を有することが望まれる状況において封止プロセス中に他のプロセスガスの流れを最小化又は低減すると有利である。
【0061】
流体24の高い最終圧力が望まれる場合、流体24の最終圧力を高める及び/又は最大化するために、封止プロセス(すなわち第2の封止層26bを堆積、形成及び/又は成長させるプロセス)が、高い、上昇した又は最大の合計圧力において実施されることも有利である。この形式では、微細加工された機械的構造体12の比較的高い機械的減衰が達成されてよい。
【0062】
ある実施形態において、チャンバ22内に流体を"捕捉"及び"シール"する封止層は、封止層26a及び26bが1つ又は実質的に1つの処理ステップの間に堆積、形成及び/又は成長されたかのように機能するために十分にアニールされてよい(図6参照)。このような封止層は、チャンバ22のより優れた"シール"を提供し、これにより、流体24はMEMSの寿命に亘って及び/又は過酷な外部作動環境下で拡散を受けにくい。さらに、チャンバ22の封止プロセスは3つ以上の封止層を含んでいてよい。図7A及び7Bを参照すると、実施形態の別のセットにおいて、第2の封止層26bは堆積、形成及び/又は成長させられてよい。しかしながら、実施形態のこのセットにおいて、第2の封止層26bはチャンバ22を完全に"シール"するわけではない。むしろ、第3の封止層26c(又は後続の層26x)がチャンバ22を"シール"し、チャンバ22内に流体24を"捕捉"する。
【0063】
第2の封止層26bは、例えば、例えばエピタキシャル、スパッタリング又はCVDリアクタ(例えば、APCVD、LPCVD又はPECVD)を使用して堆積された、半導体材料(例えば、単結晶、多結晶シリコン又はゲルマニウム)、絶縁体材料(例えば、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、BPSG又はPSG)又は金属含有材料(例えば、シリサイド又はTiW)であってよい。堆積、形成及び/又は成長は、コンフォーマル又はノンコンフォーマルのプロセスによるものであってよい。封止層26bを含む材料は、第1の封止層26aと同じであっても異なっていてもよい。
【0064】
この後に、第3の封止層26cが、堆積、形成及び/又は成長させられてよい(図7B参照)。第3の封止層26cは、チャンバ22を"シール"又は閉鎖し、チャンバ22内に(選択された、所望の及び/又は所定の状態を有する)流体24を"捕捉"する。
【0065】
第3の封止層26cの堆積、形成及び/又は成長は、封止層26a及び/又は26bのものと同じか、実質的に同じか、又は異なっていてよい。これに関して、第3の封止層26cは、例えば半導体材料、絶縁体材料又は金属含有材料から成っていてよい。第3の封止層26cは、例えば、エピタキシャル、スパッタリング又はCVDベースのリアクタ(例えば、APCVD、LPCVD又はPECVD)を使用して堆積されてよい。堆積、形成及び/又は成長プロセスはコンフォーマル又はノンコンフォーマルであってよい。封止層26cを含む材料は、第1の封止層26a及び/又は第2の封止層26bと同じであっても異なっていてもよい。
【0066】
上述のように、第1及び第2の封止層26a及び26b及び/又は第2及び第3の封止層26b及び26cを形成するために同じ材料を使用すると有利である。この形式では、熱膨張率が同じであり、層26aと26bとの境界がチャンバ24の"シール"を向上させる。
【0067】
図3〜図6に関連した流体24及び/又は流体24に関する上記全ての説明は、この実施形態のセットに完全に適用可能である。短縮するために、それは繰り返されない。
【0068】
図8A及び8Bに関して、別の実施形態のセットにおいて、封止層26c(図8A)及び封止層26d(図8B)は、チャンバ22の"シール"を向上させ、ひいては流体24の拡散に対するバリヤを向上させるように堆積、形成及び/又は成長させられてよい。封止層26c(図8A)及び封止層26d(図8B)は、単独で、又は別の封止層と組み合わされて、チャンバ22内に(選択された、所望の及び/又は所定の状態を有する)流体24を"捕捉"する。
【0069】
封止層26c(図8A)及び封止層26d(図8B)は、例えば、半導体材料(例えば、ポリシリコン、ゲルマニウム又はシリコン/ゲルマニウム)、絶縁体材料(例えば、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、BPSG、PSG又はSOG)又は金属含有材料(例えば、シリサイド)であってよい。封止層26c(図8A)及び封止層26d(図8B)は、例えば、エピタキシャル、スパッタリング又はCVDベースのリアクタ(例えばAPCVD、LPCVD又はPECVD)を使用して堆積、形成又は成長させられてよい。堆積、形成及び/又は成長はコンフォーマルプロセス又はノンコンフォーマルプロセスによるものであってよい。封止層26c(図8A)及び封止層26d(図8B)を含む材料は、他の封止層と同じ又は異なっていてよい。
【0070】
図3〜図6に関連した流体24及び/又は流体24に関する上記説明は、この実施形態のセットに完全に適用可能である。短縮のために、それは繰り返されない。
【0071】
封止層26b(図8A)及び封止層26c(図8B)は、流体24の拡散に対するバリヤを提供することに加えて又はその代わりに、通路又はベント32(例えば、図4E、4F、7A及び7B参照)及びチャンバ22を包囲する又は"シール"する場合に示されるあらゆるステップカバレッジ問題を低減、最小化及び/又は排除するために使用されてよい。これに関して、封止層26b(図8A)及び封止層26c(図8B)は、例えばCVDベースのリアクタ(例えばAPCVD、LPCVD又はPECVD)を使用して堆積された、良好な、高められた、十分な及び/又は十分なステップカバレッジを提供する形式で堆積、形成及び/又は成長させられた材料、例えばBPSG、PSG、又はSOGであってよい。この形式では、封止層26b(図8A)及び封止層26c(図8B)は、十分に及び/又は実質的に平坦な表面を提供してよい又は必要ならば提供するようにさらに処理されてよい(例えば、リフローステップ)。
【0072】
その後、封止層26c(図8A)及び封止層26d(図8B)は、チャンバ22の十分及び/又は十分な"シール"を提供するために材料及び/又は技術(不十分なステップカバレッジを有する又は提供するものでさも)を使用して堆積、形成及び/又は成長させられてよい。封止層26c(図8A)及び封止層26d(図8B)は、単独で、又は別の封止層と組み合わされて、チャンバ22内に(選択された、所望の及び/又は所定の状態)を有する流体24を"捕捉"する。
【0073】
さらに、図8Cに関して、チャンバ22の"シール"をさらに向上させるために付加的な封止層26dが堆積、形成及び/又は成長させられてよい。この実施形態において、封止層26は流体24の拡散に対する僅かなバリヤを提供するか又はほとんど又は全くバリヤを提供しないのに対し、封止層26dは、流体24の拡散に対する僅かな、大部分の又は実質的に完全なバリヤを提供する。したがって、封止層26dは、単独で又は別の封止層(すなわち封止層26a〜c)と共に、チャンバ22内に流体24を"捕捉"する。
【0074】
さらに、上述のように、封止層26b及び/又は封止層26cは、通路又はベント32を包囲しかつチャンバ22を"シール"することによって提供されるあらゆるステップカバレッジ問題を低減、最小化及び/又は排除するために(単独で又は組み合わせて)使用されてよい。封止層26b及び/又は封止層26cは、十分に及び/又は実質的に平坦な表面を提供し、これにより、封止層26c及び/又は封止層26dは、チャンバ22を"シール"するために及びチャンバ22内に(選択された、所望の及び/又は所定の状態を有する)流体24を"捕捉"するために、広範囲の様々な材料及び堆積、形成及び/又は成長技術を使用して実施されてよい。
【0075】
すなわち、この実施形態のセットにおいて、少なくとも1つの付加的な封止層26dは、流体24の拡散に対する付加的なバリヤを提供するために、完全に封止及び"シール"されたチャンバ22上に堆積、形成及び/又は成長させられる。この形式において、流体24はチャンバ22内に"捕捉"され、機械的構造体12の適切な動作を容易にするために、選択された、所望の及び/又は所定の状態を有している。
【0076】
図8A〜Cに関して、別の実施形態のセットにおいて、流体24の一部、大部分、全て又は実質的に全ては、封止層26c(図8A)及び封止層26d(図8B)を堆積、形成又は成長させながら封止層26b(図8A)及び封止層26c(図8B)を堆積、形成又は成長させた後にチャンバ22内に"捕捉"される(流体24の状態は、選択された、所定の及び/又は所望の圧力範囲内で確立される)。この実施形態のセットにおいて、流体24は、封止層26b(図8A)及び封止層26c(図8B)によって包囲された後にチャンバ22内に拡散されてよい。流体24の状態は、ガスを封止層26b(図8A)及び封止層26c(図8B)に浸透させかつこの層を通過してチャンバ24内へ拡散させるのに十分な圧力で確立されてよい。
【0077】
例えば、ヘリウム等のガス又はガス蒸気は、封止層26c(図8A)及び封止層26d(図8B)が堆積、形成及び/又は成長されながら導入されてよい。このガス又はガス蒸気(例えばヘリウム)は、封止層26b(図8A)及び封止層26c(図8B)を通過してチャンバ22内に拡散するように十分な圧力下であってよい。さらに、封止層26c(図8A)及び封止層26d(図8B)の堆積、形成及び/又は成長の後、ガス又はガス蒸気はチャンバ22内に"捕捉"される。封止層26c(図8A)及び封止層26d(図8B)は、単独で又は他の封止層と組み合わさって、チャンバ22内に(選択された、所望の及び/又は所定の状態を有する)流体24を"捕捉"する。
【0078】
つまり、この実施形態のセットにおいて、流体24は、封止層26a及び/又は封止層26bを通ってチャンバ22内に拡散する。この拡散は、選択された、所定の及び/又は所望の圧力範囲内である流体24の"最終的な"周囲圧力を生ぜしめる(すなわち、MEMS10の完成後及び/又は封止層26c(図8A)及び封止層26d(図8B)の堆積、形成及び/又は成長の後の流体24の圧力)。
【0079】
別の実施形態のセットにおいて、チャンバ24に"捕捉"又は"シール"された直後の流体24の周囲圧力は、通常動作中に必要とされる又は望まれる微細加工された機械的構造体12の機械的減衰の選択された、所定の及び/又は所望の範囲よりも低くなるように選択又は設計されている。封止層26c(図8A)及び封止層26d(図8B)の処理の後、流体24の"最終的な"周囲圧力は、選択された、所定の及び/又は所望の圧力範囲内であってよい。この形式において、後続の微細加工処理は、流体24の"最終的な"圧力が微細加工された機械的構造体12の選択された、設計された又は所定の機械的減衰を提供するように、流体24の圧力を減少させる。
【0080】
これらの実施形態において、封止層26c(図8A)及び封止層26d(図8B)を形成するために金属含有材料(例えばシリサイド)を使用すると有利である。封止層26c(図8A)及び封止層26d(図8B)は、例えば、エピタキシャル、スパッタリング又はCVDベースのリアクタ(例えばAPCVD)を使用して例えば堆積、形成又は成長されてよい。
【0081】
本発明の別の態様において、MEMSは、1つ以上の電気機械的なシステム(例えばジャイロスコープ、共振器、温度センサ及び/又は加速度計)を有する複数のモノリシックに集積された微細加工された機械的構造体を含んでいてよい。微細加工された機械的構造体は、対応するチャンバ内に配置された機械的構造体を含んでいてよく、このチャンバは、機械的構造体のための所望の、所定の、適切な及び/又は選択された機械的減衰を提供する環境(すなわち流体)を含む。
【0082】
図9を参照すると、1つの実施形態において、MEMS10は、基板14上にモノリシックに集積された又は基板14内に配置された複数の微細加工された機械的構造体12a〜cを有している。それぞれの微細加工された機械的構造体12a〜cは、1つ以上の機械的構造体20a〜pを有している(明確にするためにそのうちの一部のみに数字が付けられている)。
【0083】
図3〜8Cに関して上に詳細に説明したように、機械的構造体20は個々のチャンバ24内に存在する(例えば、機械的構造体20a〜20gはチャンバ22a内に配置されている)。チャンバ22は、チャンバ22内に"捕捉"、"シール"及び/又は含有された選択された、所望の及び/又は所定の状態を有する流体24を有している。流体24は、機械的構造体20a〜dのための所望の、所定の、適切な及び/又は選択された機械的減衰を提供する。
【0084】
ある実施形態において、流体24a〜dは、上述のようにチャンバ22a〜dに"捕捉"及び"シール"され、同じ又は実質的に同じ選択された、所望の及び/又は所定の状態で維持及び/又は含有される。このように、これらの実施形態において、流体24a〜dは、機械的構造体20a〜pのための同じ又は実質的に同じ所望の、所定の、適切な及び/又は選択された機械的減衰を提供してよい。
【0085】
別の実施形態において、機械的構造体20a〜pのための種々異なる機械的減衰特性を提供するために、流体24a〜dは上述のようにチャンバ22a〜d内に"捕捉"、"シール"、維持及び/又は含有される。この形式では、構造体12aは例えば共振器(例えば10000のQを必要とする)を含んでいてよく、構造体12dは例えば加速度計(例えば0.6のQを必要とする)を含んでいてよい。したがって、流体24a〜dは、機械的構造体20a〜pのための実質的に異なる所望の、所定の、適切な及び/又は選択された機械的減衰を提供してよい。
【0086】
実際には、少なくとも1つの実施形態において、構造体12cは複数のチャンバ、すなわちチャンバ22c及び22dを有しており、それぞれのチャンバは個々に流体24c及び24dを含んでいる。流体24c及び24dは、同じ又は実質的に同じ選択された、所望の及び/又は所定の状態においてチャンバ22c及び22dに個々に"捕捉"、"シール"、維持及び/又は含有されてよい。このように、この実施形態において、流体24c及び24dは、個々に、機械的構造体20h〜k及び20l〜pのための同じ又は実質的に同じ所望の、所定の、適切な及び/又は選択された機械的減衰を提供してよい。
【0087】
択一的に、少なくとも別の実施形態において、流体24c及び24dは、異なる又は実質的に異なる選択された、所望の及び/又は所定の状態において、チャンバ22c及び22d内に"捕捉"、"シール"、維持及び/又は含有されていてよい。この実施形態において、チャンバ22c及び22dは、種々異なる処理技術、種々異なる処理条件及び/又は種々異なる材料(例えばガス又はガス蒸気)を使用して"シール"されてよい。このように、封止後に、流体24c及び24dは、個々に、機械的構造体20h〜k及び20l〜pのための異なる又は実質的に異なる機械的減衰特性を提供する。この形式において、微細加工された機械的構造体12cは、最適な、所定の、所望の動作のための異なる又は実質的に異なる機械的減衰特性を必要とする、種々異なる電気機械的なシステム(例えば、ジャイロスコープ、共振器、温度センサ及び加速度計)を含んでいてよい。
図9に示された実施形態において、微細加工された機械的構造体12a〜cは、図1〜8Cに示されかつ上に説明された機械的構造体12と同じ特徴、属性、選択肢、材料及び利点を有していてよく、かつ同じ形式で製造されてよい。簡単にするために、これらの特徴、属性、選択肢、材料、技術及び利点はここでは再び述べられない。
【0088】
さらに、図3〜8Bに関連する流体24及び/又は24に関する上記説明は、これらの実施形態のセットに完全に適用可能である。簡単にするために、それは繰り返されない。
【0089】
図9に示された(及び上に説明された)実施形態の特徴、属性、選択肢、材料及び利点並びに製造技術は、図1〜8Cに示されたMEMSに完全かつ等しく適用可能である。例えば、図3の微細加工された機械的構造体12は、同じ、実質的に同じ、異なる又は実質的に異なる選択された、所望の及び/又は所定の状態で流体を維持及び/又は含有するための複数のチャンバを有していてよい(例えば図9の微細加工された機械的構造体12c)。したがって、チャンバ内の流体は、機械的構造体のための同じ、実質的に同じ、異なる又は実質的に異なる機械的減衰特性を提供してよい(例えば、図9の微細加工された機械的構造体12cのチャンバ22c及び22dに"捕捉"、"シール"、維持及び/又は含有された流体24c及び24d)。簡単にするために、これらの特徴、属性、選択肢、材料、技術及び利点はここでは再び述べられない。本明細書には多くの発明が説明及び図示されている。発明のある実施形態、特徴、材料、構成、属性及び利点が説明及び例示されているが、説明、例示及び請求項から明らかである本発明の多くの他の及び種々異なる及び/又は同様の実施形態、特徴、材料、構成、属性、構造及び利点が理解されるべきである。このように、ここに説明及び例示された本発明の実施形態、特徴、材料、構成、属性、構造及び利点は徹底的ではなく、本発明のこのような他の、同様の及び異なる実施形態、特徴、材料、構成、属性、構造及び利点は、本発明の範囲に含まれると理解されるべきである。
【0090】
例えば、標準的タイプのリアクタと両立可能なガス種類を使用すると有利である。この形式では、例えば第2の封止層26bを形成、成長又は堆積させるためのリアクタのあらゆる修正又はカスタマイズは最小化及び/又は排除される。
【0091】
さらに、比較的高価でなく、リアクタ/製造設備に利用可能なガス種類を使用すると有利である。この形式では、MEMS10のコストは最小化及び/又は低減される。
【0092】
用語"堆積"は、特に、例えばリアクタ(例えば、エピタキシャル、スパッタリング又はCVDベースのリアクタ(例えばAPCVD、LPCVD又はPECVD))を使用して材料の層を堆積、発生、形成及び/又は成長させることを意味する。
【0093】
最後に、本発明は、マイクロメカニカル構造体又はエレメントを含むマイクロ電気機械的システムに関して説明されたが、本発明はこれに限定されない。むしろ、個々に説明された発明は、例えば電気機械的でないシステムを含む他の電気機械的システムに適用可能である。したがって、本発明は、機械的エレメントを概してマイクロエレクトロニクスに匹敵するスケールに減じるリソグラフィ技術及びその他の精密製造技術等の製造技術に基づき形成された電気機械的システム、例えばジャイロスコープ、共振器、温度センサ及び/又は加速度計に関する。
【符号の説明】
【0094】
10 MEMS、 12 機械的構造体、 14 基板、 16 データ処理エレクトロニクス、 18 インタフェース回路、 20a〜d 機械的構造体、 22 チャンバ、 24 流体、 26a,26b 封止層、 28 犠牲層、 30 第2の犠牲層、 32 通路又はベント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械的構造体を有する電気機械的装置のチャンバをシールする方法において、前記機械的構造体がチャンバ内に配置されており、該チャンバが、機械的構造体のための機械的減衰を提供することができる流体を含んでおり、該流体が、少なくとも1つの比較的安定したガスを含んでおり、前記方法が、
機械的構造体の少なくとも一部の上に犠牲層を堆積させ、
該犠牲層の上に第1の封止層を堆積させ、
犠牲層の少なくとも一部を露出させるように第1の封止層を貫通して少なくとも1つのベントを形成し、
犠牲層の少なくとも一部を除去してチャンバを形成し、
少なくとも1つの比較的安定したガスをチャンバに導入し、
少なくとも1つのベント上又は少なくとも1つのベント内に第2の封止層を堆積させ、これにより、チャンバをシールし、この場合、前記第2の封止層が、半導体材料であることを特徴とする、機械的構造体を有する電気機械的装置のチャンバをシールする方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの比較的安定したガスが、ヘリウム、窒素、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン又は過フルオロ化ハイドロフルオロカーボンである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記電気機械的装置が、マイクロ電気機械的装置である、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記電気機械的装置が、ナノ電気機械的装置である、請求項2記載の方法。
【請求項5】
前記第2の封止層が、(a)シリコン含有化合物を含んでいるか又は(b)ゲルマニウム又は砒化ガリウムのうちの1つである、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記第2の封止層が、単結晶シリコン、多結晶シリコン、非晶質シリコン、又はシリコン/ゲルマニウムのうちの少なくとも1つである、請求項1記載の方法。
【請求項7】
第2の封止層を堆積させることが、エピタキシャル又はCVDリアクタを使用することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
比較的安定したガスが、低い拡散率を有している、請求項1記載の方法。
【請求項9】
流体の圧力を所定の圧力範囲内に調節するために、流体をチャンバ内で加熱するか又はガスをチャンバ内に拡散させる、請求項1記載の方法。
【請求項10】
電気機械的装置が加速度計であり、チャンバ内の流体の圧力が、機械的構造体のための十分な機械的減衰を提供するように十分に高い、請求項1記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図4F】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−148402(P2012−148402A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−87867(P2012−87867)
【出願日】平成24年4月6日(2012.4.6)
【分割の表示】特願2004−81289(P2004−81289)の分割
【原出願日】平成16年3月19日(2004.3.19)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】