説明

制振材および制振複合材

【課題】損失係数を向上し制振性が改善された制振材および制振複合材を提供する。
【解決手段】繊維軸方向に直行する断面直径が10〜500nmの全芳香族ポリアミドナノファイバーからなる制振材とする。また、繊維軸方向に直行する断面直径が0.5〜30μmの繊維よりなる織物、編物、乾式不織布、湿式不織布、またはフィルムのうち少なくとも1種からなる基材上に、繊維軸方向に直行する断面直径が10〜500nmの全芳香族ポリアミドナノファイバーを積層してなる制振複合材とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制振材に関するものであり、さらには、振動を減衰させる必要のある音響部材、構造部材などに適用される材料、特にスピーカー用ダンパーに好適に適用される制振材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
振動が伝達しやすい、または振動により障害を受ける機器や部材に対しては、これと同時に振動を抑制する制振材が広く求められており、該制振材は、高性能な顕微鏡などの精密測定機器や、オーディオ機器などの広い分野で適用されている。該制振材は、振動エネルギーを熱エネルギーに変換し、固体表面の振動を小さくものであり、その結果、固体表面から放射される振動を減衰させ、特に振動面の共振点近傍の振動減衰に有効である。
【0003】
制振特性に優れる材料として、6μm以下の断面直径を有するメルトブロー不織布を用いることが報告されている(特許文献1)。
しかしながら、上記引用文献1の実施例に記載されている、平均断面直径が3μmのポリプロピレン繊維では、制振部材を加工する際、例えば樹脂成型加工などの熱圧加工には、適用の限界がある。また、該繊維マイクロメートルオーダーの断面直径であるため、制振性が十分とはいえず、さらに音響部材に用いても十分な性能が得られるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−279570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、損失係数を向上し制振性が改善された制振材および制振複合材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者が鋭意検討したところ、上記課題は、以下に記載する構成とすることにより解決できることを見出した。
すなわち本発明は、繊維軸方向に直行する断面直径が10〜500nmの全芳香族ポリアミドナノファイバーからなるナノファイバーからなる制振材である。
【0007】
さらに本発明においては、上記全芳香族ポリアミドナノファイバーが、下記の式(1)で示される反復構造単位を含む芳香族ポリアミド骨格中に、反復構造の主たる構成単位とは異なる芳香族ジアミン成分、または芳香族ジカルボン酸ハライド成分を、第3成分として芳香族ポリアミド反復構造の全量に対し1〜10mol%となるように共重合させた全芳香族ポリアミドであることが好ましい。
−(NH−Ar1−NH−CO−Ar1−CO)− ・・・式(1)
ここで、Ar1はメタ配位又は並行軸方向以外に結合基を有する2価の芳香族基である。
【0008】
また、本発明は、繊維軸方向に直行する断面直径が0.5〜30μmの繊維よりなる織物、編物、乾式不織布、湿式不織布、またはフィルムのうち少なくとも1種からなる基材上に、繊維軸方向に直行する断面直径が10〜500nmの全芳香族ポリアミドナノファイバーを積層してなる制振複合材である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の制振材は、芳香族ポリアミドナノファイバーからなり、優れた制振性を発現する。また、該制振材は、強度、耐熱性の点でも優れており、多種の加工性に優れた制振材が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の制振材は、繊維軸方向に直行する断面直径が10〜500nmの全芳香族ポリアミドナノファイバーからなることを特徴とする。かかる構成の制振材とすることにより、ナノファイバーの広い比表面積が振動エネルギーをナノファイバー全体、また、これを基材に積層して用いる場合には基材にも、効率的に伝達させることができ、高い制振性を発揮する。また、該制振材は軽量であるため、高能率化を量ることが可能となる。
【0011】
全芳香族ポリアミドナノファイバーの断面直径は、上記のように10〜500nmである必要があり、好ましくは30〜300nmである。ここで断面直径とは、任意にサンプリングした100本のナノファイバーの断面直径の平均値をいう。本発明においては、上記断面直径が10〜500nmに集中しており、該断面直径の範囲内に85%以上存在することが好ましい。断面直径が10nm未満では、繊維が切れやすくなるため、振動を伝達する能力が劣ったり、加工時や使用時に破損しやすくなったりし、一方、ナノファイバーの断面直径が500nmを越えると、比表面積が落ち、ナノファイバー間の接点、ナノファイバーと基材の接点が少なくなるため好ましくない。そのため、上記範囲外のナノファイバーが15%を超えて存在するようになると、目的とする制振性を得難くなる傾向にある。
【0012】
上記の制振材には、織物、編物、乾式不織布、湿式不織布のうち少なくとも1種からなる繊維構造体上に、上記全芳香族ポリアミドナノファイバーを積層してなる制振材であってもよい。上記繊維としては、断面直径が0.5〜10μmであることが好ましい。
【0013】
本発明においては、全芳香族ポリアミドナノファイバーが、下記の式(1)で示される反復構造単位を含む芳香族ポリアミド骨格中に、反復構造の主たる構成単位とは異なる、式(2)〜(5)に示される芳香族ジアミン成分、または芳香族ジカルボン酸ハライド成分を、第3成分として芳香族ポリアミド反復構造の全量に対し1〜10mol%となるように共重合させた芳香族ポリアミドであることを特徴とするナノファイバーであることが好ましい。
−(NH−Ar1−NH−CO−Ar1−CO)− ・・・式(1)
ここで、Ar1はメタ配位又は並行軸方向以外に結合基を有する2価の芳香族基である。
【0014】
また、本発明においては、上記第3成分となる芳香族ジアミンが式(2)または(3)、芳香族ジカルボン酸ハライドが、式(4)または(5)であることが好ましい。
N−Ar−NH ・・・式(2)
N−Ar−Y−Ar−NH ・・・式(3)
XOC−Ar−COX ・・・式(4)
XOC−Ar−Y−Ar−COX ・・・式(5)
ここで、Ar2はAr1とは異なる2価の芳香族基、Ar3はAr1とは異なる2価の芳香族基、Yは酸素原子、硫黄原子、アルキレン基からなる郡から選ばれる少なくとも1種の原子又は官能基であり、Xはハロゲン原子を表す。
【0015】
上記のように第3成分を共重合することにより、紡糸溶液の安定性が向上し、断糸がし難く、成形されるナノファイバーはビーズと呼ばれる節糸状のポリマー塊の発現が少ないため、均一な断面直径を有する長繊維のナノファイバーが得られやすくなる。このため、振動エネルギーを効率的に伝達することが可能となり制振性が向上する傾向にあり、より好ましい。また、紡糸溶液を安定化させるためにアルカリ金属塩などの添加をする方法もあるが、ナノファイバー中に塩の残存することが好ましくない場合もあり、上記のように特定の第3成分を共重合させて均一で断糸の発生のないナノファイバーを用いることの方がより効果的である。
【0016】
第3成分の含有率が1mol%未満であると、紡糸溶液にゲル化が生じるため好ましくなく、また、10mol%を超えると、紡糸溶液の粘度が上昇し、目的の断面直径を有するナノファイバーを得にくく、好ましくない。
【0017】
上記ナノファイバーの集合形態としては、不織布であることが好ましい。このように織物等のように繊維軸方向がそろっていない不織布形態とすることで、ナノファイバーが方向性を生じないため、制振材として適している。
【0018】
上記制振材の目付けは、0.5〜10.0g/mが好ましく、0.8〜3.0g/mがより好ましい。上記目付けが、0.5g/m未満では十分な制振性が得られないだけでなく、取扱いも難しくなり、一方、10.0g/mを超えても制振性の向上効果が大きくなく好ましくない。
【0019】
本発明においては、繊維軸方向に直行する断面直径が0.5〜30μmの繊維よりなる織物、編物、乾式不織布、湿式不織布、あるいはフィルムのうち少なくとも1種からなる基材上に、上記全芳香族ポリアミドナノファイバーを積層してなる制振複合材としてもよい。該基材は使用される制振用途によって選択することができ、例えばスピーカー用ダンパーには、全芳香族ポリアミド繊維、アクリル繊維、綿繊維などの織物を好ましく用いることができる。上記以外にも、織物等に用いる繊維を構成するポリマー、および、フィルムを構成するポリマーとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸などのポリエステル系、ナイロンなどのポリアミド系、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系なども使用することができる。
【0020】
上記基材の目付けは、50〜400g/mが好ましく、100〜300g/mがより好ましい。該目付けが、50g/m未満では強度が低下し、一方、200g/mを超えると、制振性が低下する傾向にある。
【0021】
本発明においては、上記制振複合材においては、ナノファイバーの重量は、基材重量に対して好ましくは0.1〜5重量%、より好ましくは0.3〜5重量%であり、かかる重量比率とすることでこれを音響部材、特にスピーカー用ダンパーとして用いて良好な音響効果(損失係数)が得られる。
【0022】
上記制振複合材においては、全芳香族ポリアミドナノファイバーの一部が溶融または軟化してフィルム状となって基材と接合していてもよい。このような形態を有する制振複合材は、芳香族ポリアミドナノファイバーを基材に積層した後、これに加熱加圧処理を施すことによって得られ、該制振複合材は、芳香族ポリアミドナノファイバーと基材がより密着し、加工性に優れ、使用寿命も向上する。
【0023】
以上に説明した本発明の制振材および制振複合材は、例えば以下の方法により製造することができる。一つの方法としては、全芳香族ポリアミド溶液を、高電圧を印加して、制振材の場合は紙、フィルム、織物等の上に、制振複合材の場合は基材上に、スプレーしてナノファイバーを形成する方法を好ましく例示することができる。また、得られるナノファイバーの断面直径は印加電圧、溶液濃度、スプレーの飛散距離等に依存し、これらの条件を調整することで任意の断面直径とすることができる。溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシドなどを用いることができる。
【0024】
具体的には、全芳香族ポリアミドポリマーと溶媒とを1:99〜16:84の重量比で溶解させたポリマー溶液を調製し、5〜70kVの電圧下で、紡糸距離を5.0〜50cmとし、単位距離あたりの電圧に換算すると0.5〜7.0kv/cmとして電界紡糸を行うことにより前述した断面直径を有する全芳香族ポリアミドナノファイバーを作製することができる。
【0025】
紡糸溶液の供給は、ノズルや口金から押し出す方法や、紡糸溶液中に浸した円盤やドラムに、必要量となるように紡糸溶液を付着させ、連続回転させることにより供給する方法が挙げられる。
【0026】
同様に電界紡糸法によりナノファイバーを成形できる高分子には、ナイロンやポリビニルアルコール等が知られているが、こうした従来のナノファイバーは、実用面において、強度が不十分であったり、高温で加工する場合も溶融しやすかったりする問題があり、制振材に用いるのが不向きであるが、全芳香族ナノファイバーを用いることでこれらの問題を解決することができる。
【0027】
また、上記電界紡糸においては、前述した特定の第3成分を共重合した全芳香族ポリアミドを用いることで、均一で断糸のない全芳香族ポリアミドナノファイバーが得られ、制振特性にすぐれた制振材とすることができる。
【0028】
さらに、前述した芳香族ポリアミドナノファイバーの一部が溶融または軟化してフィルム形状となり基材と接合している部分が存在する制振複合材は、例えば、基材上に芳香族ポリアミドナノファイバーを積層体した後、これに、カレンダー加工装置、エンボス加工装置等により、温度30〜350℃、線圧50〜300kgf/cmとして加熱加圧処理を施すことにより製造することができる。
【0029】
本発明の制振材および制振複合材は、音響部材に適しており、特に本発明の制振複合材は、ピーカー用ダンパーに適している。具体的効果としては、芳香族ポリアミドナノファイバーを積層した制振複合材は、JIS G0602−1993により測定する損失係数を、基材単体に対し10%以上向上させることが可能である。
【0030】
制振性複合材をピーカー用ダンパーに用いる場合、基材、または、基材およびナノファイバーに樹脂が含浸されていてもよい。該樹脂としては、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等を用いることができる。
【0031】
本発明の制振材および制振複合材は、用途に応じて2層以上、好ましくは2〜10層積層して用いてよく、その際上記のように樹脂を含浸し加熱加圧処理を行い、これらを一体化した成形体とするのが好ましい。
【実施例】
【0032】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。なお、実施例中の測定は以下の方法を用いた。
【0033】
(1)断面直径
ナノファイバーを任意に100本サンプリングし、走査型電子顕微鏡JSM6330F(JEOL社製)にて測定し、断面直径の平均値を求めた。なお測定は、30,000倍の倍率で行った。
【0034】
(2)ビーズ数
ナノファイバー表面を任意に10ヶ所サンプリングし、走査型電子顕微鏡JSM6330F(JEOL社製)にて測定し、ビーズの長軸方向について1μmを超えるビーズ数を数え、平均値を算出した。なお測定は、1,000倍の倍率で行い、約90×120μmの視野であった。
【0035】
(3)損失係数および損失係数上昇率
JIS G0602−1993片端固定打撃加振法に準拠して実施した。試験片を10mm×45mmにカットし、任意に測定用サンプルを5枚選んだ。サンプルの片端をサンプル台に固定し、開放されている片端に与えるインパクトによって生じる振幅をCCDレーザー変異計、FFTアナライザに取り込み、解析した。なお、損失係数ηは下記式にて算出した。
Λ=log(X/X)=1/nlog(X/X
Λ:対数減衰率、X:振幅歪、X:n番目の振幅歪
η=Λ/π
制振複合材サンプルおよび基材のみについて上記損失係数を測定、基材のみの損失係数(比較例1)に対する上昇率を下記式から算出した。
損失係数上昇率[%]=(サンプルの損失係数/基材のみの損失係数)×100
【0036】
[実施例1]
帝人テクノプロダクツ(株)製コーネックス紡績糸20番手(単繊維断面直径15μm)からなる目付けが163g/mの織物にフェノール樹脂含浸し、目付けが175g/mの基材を作成した。
一方、特公昭47−10863号公報記載の方法に準じた界面重合法により芳香族ポリアミドポリマーを下記のように製造した。
イソフタル酸ジクロライド25.25g(100mol%)を水分含有率2mg/100mlのテトラヒドロフラン125mlに溶解し、−25℃に冷却した。これを撹拌しながらメタフェニレンジアミン13.52g(100mol%)を、上記テトラヒドロフラン125mlに溶解した溶液を細流として約15分間にわたって添加し、白色の乳濁液(A)を作製した。これとは別に無水炭酸ナトリウム13.25gを水250mlに室温で溶かし、これを撹拌しながら5℃まで冷却して炭酸ナトリウム水和物結晶を析出させ分散液(B)を作製した。上記乳濁液(A)と分散液(B)とを激しく混合した。更に2分間混合を続けた後、200mlの水を加えて希釈し、生成重合体を白色粉末として沈殿させた。重合終了系からろ過、水洗、乾燥して目的とするポリマーを得た。得られたポリマーについて測定した固有粘度IVは1.68であった。
【0037】
エレクトロスピニングは特開2006−336173号公報記載の方法に準じ、ナノファイバーを製造した。得られたポリマーをN,N−ジメチルアセトアミドに、10重量%となるように溶解させ、1kV/cmとなるように電界を作用させてエレクトロスピニングを実施し、上記基材上にナノファイバーを積層させ積層体を得た。得られた積層体を5枚重ねて、プレス機にて250℃、150kgf/cmにて加熱加圧処理を行い、制振複合材を得た。ナノファイバーの目付けは1.0g/m(基材重量に対して0.57重量%)であった。結果を表1に示す。
また、上記積層体を重ねず1枚のみ用いて同様の条件で加熱加圧処理を行って制振複合材を成形し、得られた制振複合材から直径80mmのスピーカー用ダンパーを切り出し、これを用いてスピーカーを作成し試聴を行ったが、音質は比較例1より明瞭であった。
【0038】
[実施例2]
100mol%のイソフタル酸ジクロライドの代わりに、イソフタル酸ジクロライド25.13g(99mol%)とテレフタル酸ジクロライド0.25g(1mol%)を使用した以外は、実施例1記載の方法と同様にして制振複合材を得た。結果を表1に示す。また、実施例1と同様にスピーカーを作成し試聴を行ったが、音質は比較例1より明瞭であった。
【0039】
[実施例3]
全芳香族ポリアミドナノファイバーを基材両面に積層させ、加熱加圧処理を実施した以外は、実施例2記載の方法と同様にして制振複合材を得た。上記積層体1枚あたりのナノファイバーの目付けは2.0g/m(基材重量に対して1.14重量%)であった。結果を表1に示す。また、実施例1と同様にスピーカーを作成し試聴を行ったが、音質は比較例1より明瞭であった。
【0040】
[実施例4]
全芳香族ポリアミド粉末状体、溶媒N,N−ジメチルアセトアミドを7:93の重量比で溶解させたポリマー溶液を使用した以外は、実施例2と同様にして制振複合材を得た。結果を表1に示す。また、実施例1と同様にスピーカーを作成し試聴を行ったが、音質は比較例1より明瞭であった。
【0041】
[実施例5]
全芳香族ポリアミド粉末状体、溶媒N,N−ジメチルアセトアミドを12:88の重量比で溶解させたポリマー溶液を使用した以外は、実施例2と同様にして制振複合材を得た。結果を表1に示す。また、実施例1と同様にスピーカーを作成し試聴を行ったが、音質は比較例1より明瞭であった。
【0042】
[比較例1]
全芳香族ポリアミドナノファイバーを積層せず、基材のみを用いた以外は、実施例1と同様にして制振材を得た。結果を表1に示す。また、実施例1と同様にスピーカーを作成し試聴を行い、これを基準として実施例1〜5の音質を比較した。
【0043】
[比較例2]
(株)クラレ製ポリビニルアルコール、を17:85の重量比で水に溶解させたポリマー溶液を調製して全芳香族ポリアミドポリマー溶液の代わりに用いた。加熱加圧処理の後、操作型電子顕微鏡にて観察したところ、ナノファイバーが確認できなかったため、評価は実施しなかった。
【0044】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の制振材および制振複合材は、損失係数が格段に向上し、制振性が改善されており、精密測定機器や、オーディオ機器などの広い分野で適用することができる。また、本発明の制振複合材は、音響部材、特にピーカー用ダンパーに好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維軸方向に直行する断面直径が10〜500nmの全芳香族ポリアミドナノファイバーからなる制振材。
【請求項2】
該全芳香族ポリアミドナノファイバーが、下記の式(1)で示される反復構造単位を含む芳香族ポリアミド骨格中に、反復構造の主たる構成単位とは異なる芳香族ジアミン成分、または芳香族ジカルボン酸ハライド成分を、第3成分として芳香族ポリアミド反復構造の全量に対し1〜10mol%となるように共重合させた全芳香族ポリアミドである請求項1記載の制振材。
−(NH−Ar1−NH−CO−Ar1−CO)− ・・・式(1)
ここで、Ar1はメタ配位又は並行軸方向以外に結合基を有する2価の芳香族基である。
【請求項3】
第3成分となる芳香族ジアミンが式(2)または(3)、芳香族ジカルボン酸ハライドが、式(4)または(5)である請求項2記載の芳香族ポリアミドナノファイバーからなる制振材。
N−Ar−NH ・・・式(2)
N−Ar−Y−Ar−NH ・・・式(3)
XOC−Ar−COX ・・・式(4)
XOC−Ar−Y−Ar−COX ・・・式(5)
ここで、Ar2はAr1とは異なる2価の芳香族基、Ar3はAr1とは異なる2価の芳香族基、Yは酸素原子、硫黄原子、アルキレン基からなる郡から選ばれる少なくとも1種の原子又は官能基であり、Xはハロゲン原子を表す。
【請求項4】
繊維軸方向に直行する断面直径が0.5〜30μmの繊維よりなる織物、編物、乾式不織布、湿式不織布、またはフィルムのうち少なくとも1種からなる基材上に、繊維軸方向に直行する断面直径が10〜500nmの全芳香族ポリアミドナノファイバーを積層してなる制振複合材。
【請求項5】
全芳香族ポリアミドナノファイバーの重量が、基材の重量に対して0.1〜5重量%である請求項4記載の制振複合材。
【請求項6】
請求項4または5記載の制振複合材からなるスピーカー用ダンパー。

【公開番号】特開2010−248669(P2010−248669A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−101085(P2009−101085)
【出願日】平成21年4月17日(2009.4.17)
【出願人】(303013268)帝人テクノプロダクツ株式会社 (504)
【Fターム(参考)】