説明

力学量センサの製造方法

【課題】表面粗さやゴミがセンサウェハとパッケージウェハとの接合界面に存在しても、気密信頼性の高い気密空間を形成できる力学量センサの製造方法を提供する。
【解決手段】センサウェハ100にセンシング部1を複数形成するとともに、センサウェハ100とパッケージウェハ200の一方のウェハに凹部2を形成する工程と、凹部2の側面に封止用材料30を配置する工程と、センサウェハ100とパッケージウェハ200とを接合する工程と、封止用材料30を加熱して溶かし、溶けた封止用材料30をセンサウェハ100とパッケージウェハ200の接合界面の端部に流動させる工程と、封止用材料30を硬化させて、接合界面の端部を封止用材料30で覆う工程とを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、力学量を検出する力学量センサの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図22、23に従来の力学量センサの断面図を示す。従来、力学量センサとして、図22、23に示すように、センシング部に隣接した気密空間を有するものがある。
【0003】
図22に示す力学量センサは、加速度センサであり、力学量としての加速度を検出するセンシング部1を有するセンサ基板10と、センシング部1に隣接する気密空間23を形成するための凹部2を有するパッケージ基板20とを備えており、センサ基板10とパッケージ基板20とが接合されることで、凹部2とセンサ基板10との間で気密空間23が形成されている。
【0004】
図23に示す力学量センサは、圧力センサであり、力学量としての圧力を検出するセンシング部1およびこのセンシング部1に隣接する気密空間112を形成するための凹部2を有するセンサ基板110と、凹部2を塞ぐパッケージ基板210とを備えており、センサ基板110とパッケージ基板210とが接合されることで、凹部2とパッケージ基板210との間で気密空間112が形成されている。
【0005】
また、このような力学量センサの製造方法として、特許文献1に開示されているように、センサウェハとパッケージウェハとをウェハレベルでパッケージしたWLP(Wafer Level Packaging)技術を用いた方法がある。
【0006】
特許文献1に記載の方法は、具体的には、センシング部を有するセンサ本体が複数形成されたセンサウェハと、センシング部を気密封止する空間を形成するための凹部が形成されたパッケージウェハとをウェハレベルで接合する際に、互いの対向面においてセンサ本体に対応する領域ごとに多重に設けた複数の枠状封止用接合層の各接合表面を活性化してから常温接合することで、センサウェハと凹部との間に気密空間を形成する。その後、接合したセンサウェハおよびパッケージウェハをチップ毎に分割している。この方法では、枠状封止用接合層を多重に設けることで、気密空間の気密信頼性の向上を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3938198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上述の特許文献1に記載の方法のように枠状封止用接合層を多重に設けても、表面粗さやゴミなどが、枠状封止用接合層の各接合表面に存在すると、接合界面に空間ができる可能性が高く、そこから気密リークが始まる可能性がある。
【0009】
本発明は上記点に鑑みて、表面粗さやゴミがセンサウェハとパッケージウェハとの接合界面に存在しても、気密信頼性の高い気密空間を形成できる力学量センサの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、
センサウェハ(100)にセンシング部(1)を複数形成するとともに、センサウェハ(100)とパッケージウェハ(200)の一方のウェハに気密空間(23、112)を構成する凹部(2)を複数形成する工程と、
センサウェハ(100)とパッケージウェハ(200)のどちらかに対して、センサウェハ(100)とパッケージウェハ(200)との接合界面(3)の端部(3a)を覆って封止するための封止用材料(30)を、封止用材料(30)が溶けて流動したときに接合界面(3)の端部(3a)に到達する部位に配置する工程と、
センサウェハ(100)とパッケージウェハ(200)とを接合し、センサウェハ(100)とパッケージウェハ(200)の一方のウェハに形成された凹部(2)を他方のウェハで塞ぐことで、気密空間(23、112)を形成する工程と、
封止用材料(30)を加熱して溶かし、溶けた封止用材料(30)をセンサウェハ(100)とパッケージウェハ(200)の接合界面(3)の端部(3a)に流動させる工程と、
封止用材料(30)を硬化させて、接合界面(3)の端部(3a)を封止用材料(30)で覆う工程と、
接合したセンサウェハ(100)とパッケージウェハ(200)とをチップ毎に分割する工程とを有することを特徴とする。
【0011】
このように、本発明は、チップに分割する前のウェハ状態の段階で、センサウェハとパッケージウェハの接合界面の端部を封止用材料で覆うようにしている。したがって、本発明によれば、接合界面の端部を封止用材料で覆うので、表面粗さやゴミがセンサウェハとパッケージウェハとの接合界面に存在しても、気密信頼性の高い気密空間を形成することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
センサウェハ(100)とパッケージウェハ(200)とを接合する工程は、重ね合わせたセンサウェハ(100)およびパッケージウェハ(200)に対して熱処理を行うものであり、
封止用材料(30)を配置する工程では、封止用材料(30)として、熱処理の温度で溶けて流動するものを配置し、
封止用材料(30)を加熱して溶かす工程を、センサウェハ(100)とパッケージウェハ(200)とを接合する工程と同時に行うことを特徴としている。
【0013】
このように、封止用材料として、接合工程での熱処理温度で溶けて流動するものを用いれば、接合工程での熱処理によって封止用材料(30)を加熱して溶かすことができる。
【0014】
また、請求項1または2に記載の発明において、封止用材料(30)を配置する工程における封止用材料の配置場所については、例えば、請求項3に記載の発明のように、凹部(2)の少なくとも側面(2a)とすることができる。この場合、封止用材料(30)を加熱して溶かす工程では、センサウェハ(100)とパッケージウェハ(200)のうち凹部(2)が形成された一方のウェハを上とし、他方のウェハを下とした状態とすることで、溶けた封止用材料を接合界面の端部に流動させることができる。
【0015】
さらに、凹部(2)の少なくとも側面(2a)に封止用材料を配置する場合では、例えば、請求項4に記載の発明のように、他方のウェハの表面に対して、溶けた封止用材料(30)を溜めるための溝部(102、202)を形成しておくことが好ましい。これにより、封止用材料(30)を加熱して溶かす工程において、溶けた封止用材料(30)を溝部(102、202)に溜めることで、接合界面(3)の端部(3a)を覆う位置に留めることができる。
【0016】
また、凹部(2)の少なくとも側面(2a)に封止用材料を配置する場合では、例えば、請求項5に記載の発明のように、他方のウェハの表面に対して、溶けた封止用材料(30)を堰き止めるための突出部(103、203)を形成しておくことが好ましい。これにより、封止用材料(30)を加熱して溶かす工程において、溶けた封止用材料(30)を突出部(103、203)で堰き止めることで、接合界面(3)の端部(3a)を覆う位置に封止用材料(30)を留めることができる。
【0017】
また、凹部(2)の少なくとも側面(2a)に封止用材料としての半田を配置する場合では、請求項6に記載の発明のように、他方のウェハの表面に対して、溶けた封止用材料(30)を溜めるための金属膜(104、204)を形成しておくことが好ましい。これにより、封止用材料(30)を加熱して溶かす工程において、溶けた封止用材料(30)を濡れ性が高い金属膜(104、204)の表面上に溜めることで、接合界面(3)の端部(3a)を覆う位置に封止用材料(30)を留めることができる。
【0018】
また、請求項1または2に記載の発明において、封止用材料(30)を配置する工程における封止用材料の配置場所については、例えば、請求項7に記載の発明のように、凹部(2)が形成されていない他方のウェハのうち、センサウェハ(100)とパッケージウェハ(200)とを接合したときに凹部(2)の上端角部(2c)に対向する位置に予め設けておいた溝部(105)の内部とすることができる。この場合、封止用材料(30)を加熱して溶かす工程では、センサウェハ(100)とパッケージウェハ(200)のうち凹部(2)が形成された一方のウェハを下とし、他方のウェハを上とした状態で、封止用材料(30)を溶かすことで、溶けた封止用材料を接合界面の端部に流動させることができる。
【0019】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1実施形態における加速度センサの断面図である。
【図2】第1実施形態における加速度センサの製造工程を示す断面図である。
【図3】第1実施形態における加速度センサの製造工程を示す断面図である。
【図4】第1実施形態における加速度センサの製造工程を示す断面図である。
【図5】第1実施形態における加速度センサの製造工程を示す図であり、(a)、(b)は、それぞれ、接合後のセンサウェハとパッケージウェハの平面図、側面図である。
【図6】接合用熱処理後における図4(b)中の破線で囲まれた領域A2の拡大図である。
【図7】第2実施形態における接合用熱処理時の加速度センサの部分断面図である。
【図8】第3実施形態における接合用熱処理時の加速度センサの部分断面図である。
【図9】第4実施形態における接合用熱処理時の加速度センサの部分断面図である。
【図10】第5実施形態における接合用熱処理時の加速度センサの部分断面図である。
【図11】(a)、(b)は、それぞれ、封止用材料30が溶ける前と後における図10中の破線で囲まれた領域A3の拡大図である。
【図12】第6実施形態における圧力センサの断面図である。
【図13】第6実施形態における加速度センサの製造工程を示す断面図である。
【図14】第6実施形態における加速度センサの製造工程を示す断面図である。
【図15】第6実施形態における加速度センサの製造工程を示す断面図である。
【図16】接合用熱処理時における図15(b)中の破線で囲まれた領域B1の拡大図である。
【図17】第6実施形態の変形例における接合用熱処理時の加速度センサの部分断面図である。
【図18】第6実施形態の変形例における接合用熱処理時の加速度センサの部分断面図である。
【図19】第6実施形態の変形例における接合用熱処理時の加速度センサの部分断面図である。
【図20】第7実施形態における接合用熱処理時の圧力センサの断面図である。
【図21】(a)、(b)は、それぞれ、封止用材料30が溶ける前と後における図20中の破線で囲まれた領域B2の拡大図である。
【図22】従来の力学量センサの断面図である。
【図23】従来の力学量センサの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
【0022】
(第1実施形態)
図1に本実施形態における力学量センサとしての加速度センサの断面図を示す。本実施形態の加速度センサは、図1に示すように、加速度を検出するセンシング部1を有するセンサ基板10と、センシング部1に隣接する気密空間を構成する凹部2を有するパッケージ基板20とを備えている。
【0023】
センサ基板10は、シリコンからなる支持基板11と、支持基板11の表面上に配置されたシリコン酸化膜からなる埋込絶縁膜12と、埋込絶縁膜12を挟んで支持基板11の反対側に配置されたシリコンからなる半導体層13とを有するSOI基板を用いて構成されている。
【0024】
半導体層13には、センシング部1として、加速度の印加に応じて基板面と平行な方向へ変位可能な可動電極14およびこの可動電極14に対向して配置された固定電極15が形成されている。可動電極14と固定電極15とは、半導体層13に形成された溝16によって分離されている。また、埋込絶縁膜12のうち可動電極14、固定電極15に対向する部分が除去されている。
【0025】
パッケージ基板20は、シリコンからなる半導体基板21と、半導体基板21のセンサ基板10側の表面に形成されたシリコン酸化膜からなる絶縁膜22とを備えている。パッケージ基板20は、センサ基板10側の表面に形成された絶縁膜22を介して、センサ基板10の半導体層13と接合されている。
【0026】
凹部2は、パッケージ基板20のセンサ基板10側の表面のうちセンシング部1に対向する位置に形成されている。この凹部2は、半導体基板21に形成された凹部表面に絶縁膜22が形成されることで構成されている。この凹部2とセンサ基板10(支持基板11)とによって真空状態の気密空間23が形成され、センシング部1が気密封止されている。
【0027】
そして、本実施形態では、この凹部2の表面に、センサ基板10とパッケージ基板20との接合界面を覆うための封止用材料30が付着している。この封止用材料30の詳細については後述する。
【0028】
パッケージ基板20には、センサ基板10側の表面からその反対側の表面まで貫通する貫通孔24が形成されている。なお、この貫通孔24の壁面およびパッケージ基板20のセンサ基板10側とは反対側の表面には、絶縁膜25、26が形成されている。そして、貫通孔24の内部およびパッケージ基板20のセンサ基板10側とは反対側の表面上にわたって、センサ基板10と電気的に接続されたAlやCu等からなる金属配線層27が形成されている。なお、金属配線層27は複数形成されており、各金属配線層27はそれぞれ可動電極14、固定電極15等と電気的に接続されている。
【0029】
この加速度センサは、基板面と平行な方向に加速度が印加されたとき、この加速度の印加に伴い可動電極14と固定電極15との距離が変化し、この距離の変化により生じる両電極間の容量変化に基づいて加速度を検出する。
【0030】
次に、本実施形態の加速度センサの製造方法について説明する。
【0031】
図2〜図4に本実施形態の加速度センサの製造工程を示す。図2〜4は、図1中の破線で囲まれた領域A1の部分に相当する。
【0032】
まず、図2(a)〜(e)に示す工程を行うことにより、1枚のセンサウェハ100に対して、センシング部1を有するセンサ基板10を複数形成する。なお、図2(a)〜(e)では、センサウェハ100のうち1つのセンサ基板10に相当する部分のみを示している。
【0033】
具体的には、図2(a)に示すように、センサウェハ100として、支持基板11の表面上に埋込絶縁膜12と半導体層13とが順に積層されたSOI基板を用意する。続いて、図2(b)に示すように、フォトリソグラフィ工程を行い、半導体層13の表面上に所望パターンとされたレジスト41を形成した後、図2(c)に示すように、半導体層13に対するレジスト41をマスクとしたエッチング工程を行い、可動電極14、固定電極15のパターンを画定するように、溝16を形成する。
【0034】
続いて、図2(d)に示すように、埋込絶縁膜12に対する溝16を介したエッチング工程を行うことで、埋込絶縁膜12のうち可動電極14および固定電極15に対向する部分をエッチング除去して空洞部42を形成する。その後、図2(e)に示すように、レジストを除去する。このようして、1枚のセンサウェハ100に対して、センシング部1を有するセンサ基板10を複数形成する。
【0035】
一方、図3(a)〜(h)に示す工程を行うことにより、1枚のパッケージウェハ200に対して、凹部2を有するパッケージ基板20を複数形成する。なお、図3(a)〜(h)では、パッケージウェハ200のうち1つのパッケージ基板20に相当する部分のみを示している。
【0036】
具体的には、図3(a)に示すように、パッケージウェハ200として半導体ウェハ(半導体基板21)を用意する。そして、図3(b)に示すように、フォトリソグラフィ工程を行い、半導体基板21の一面上に所望パターンとされたレジスト43を形成する。続いて、図3(c)に示すように、レジスト43をマスクとしたエッチング工程を行って、半導体基板21の一面側に凹部21aを形成した後、図3(d)に示すように、レジスト43を除去する。続いて、図3(e)に示すように、半導体基板21の表面にCVD法等により絶縁膜22を形成する。これにより、パッケージウェハ200に凹部2が形成される。このとき、半導体基板21の凹部2が形成された表面とは反対側の表面にも絶縁膜26を形成する。
【0037】
続いて、図3(f)に示すように、フォトリソグラフィ工程を行い、凹部2を除くパッケージウェハ200の一面上にレジスト44を形成する。続いて、図3(g)に示すように、凹部2の内部を含むパッケージウェハ200の一面に封止用材料30を塗布もしくは蒸着する。封止用材料30としては、後述する接合用熱処理の温度で溶けて流動するものを用いる。例えば、BPSG、低融点ガラスを用いたり、ビニールや塩化ビニール等の有機物を用いたり、半田等の低融点金属を用いたりすることができる。
【0038】
その後、図3(h)に示すように、凹部2の内部以外に位置する封止用材料30を、レジスト44とともに除去する。これにより、この凹部2の側面2aおよび底面2bに封止用材料30が配置される。このとき、封止用材料30は、凹部2の全ての側面2aに配置されており、側面2aに配置された封止用材料30は環状に連続していると言える。本実施形態では、図3(f)から図3(h)に示す工程が、封止用材料30を配置する工程である。
【0039】
なお、図3(e)に示す工程よりも前において、半導体基板21をエッチングすることで貫通孔24が形成され、図3(e)に示す工程で、貫通孔24の内面に絶縁層25が形成された後、図3(f)に示す工程の前もしくは図3(h)に示す工程後に、金属配線層27が形成される。
【0040】
このようにして、1枚のパッケージウェハ200に対して、凹部2を有するパッケージ基板20を複数形成する。
【0041】
その後、センサウェハ100とパッケージウェハ200とを接合し、パッケージウェハ200に形成された凹部2をセンサウェハ100で塞ぐことで、気密空間23を形成するする工程を行う。
【0042】
具体的には、まず、センサウェハ100のセンシング部1側の表面と、パッケージウェハ200の凹部2側の表面のそれぞれに対して表面活性処理を施しておく。この表面活性処理としては、例えば、プラズマ照射等のエネルギー処理や、化学薬品等の液体に漬けるウェット処理が採用可能である。
【0043】
続いて、図4(a)、(b)に示すように、真空下で、センサウェハ100のセンシング部1とパッケージウェハ200の凹部2とを対向させて、センサウェハ100とパッケージウェハ200とを重ね合わせた後、接合用熱処理を施す。この接合用熱処理では、センサウェハ100が下、パッケージウェハ200が上に位置する状態とする。また、このときの熱処理温度は、パッケージウェハ200に形成された金属配線層27が溶融しないように、金属配線層27の融点よりも低い温度、例えば、300℃とする。
【0044】
この接合用熱処理により、図5(a)、(b)に示すように、センサウェハ100とパッケージウェハ200の表面同士を共有結合させ、センサウェハ100とパッケージウェハ200とを直接接合する。なお、図5(a)、(b)は、それぞれ、センサウェハ100とパッケージウェハ200とを接合した状態の平面図、側面図であり、図5(a)中の破線で囲まれた1つの四角が1つのセンサ基板10および1つのパッケージ基板20に相当する。
【0045】
そして、接合用熱処理を施した後、接合したセンサウェハ100およびパッケージウェハ200を冷却する工程を行う。例えば、接合用熱処理後のセンサウェハ100およびパッケージウェハ200を自然冷却する。
【0046】
その後、接合したセンサウェハ100およびパッケージウェハ200をダイシングしてチップ毎に分割する工程等を経ることで、本実施形態の加速度センサが製造される。なお、センサウェハ100およびパッケージウェハ200からチップ毎に分割された部分がセンサ基板10およびパッケージ基板20を構成する。
【0047】
ここで、図6に、接合用熱処理後における図4(b)中の破線で囲まれた領域A2の拡大図を示す。本実施形態では、封止用材料30として、接合用熱処理時の温度で溶けて粘性流動するものを採用しているので、図6に示すように、接合用熱処理時に、凹部2の側面2aおよび底面2bに塗布しておいた封止用材料30が加熱されて溶け、溶けた封止用材料30がセンサウェハ100とパッケージウェハ200の接合界面3の端部3aに流動する。そして、接合用熱処理後の自然冷却により封止用材料30が硬化し、封止用材料30によって接合界面3の端部3aが覆われた状態となる。
【0048】
このように、本実施形態によれば、凹部2の内部から封止用材料30がセンサウェハ100とパッケージウェハ200の接合界面3の端部3aを覆うので、表面粗さやゴミがセンサウェハ100とパッケージウェハ200との接合界面3に存在しても、気密信頼性の高い気密空間23を形成することができる。
【0049】
なお、本実施形態では、センサウェハ100とパッケージウェハ200とを接合する工程が封止用材料30を加熱して溶かす工程を兼ねており、すなわち、センサウェハ100とパッケージウェハ200とを接合する工程と同時に、封止用材料30を加熱して溶かす工程を行っている。また、接合したセンサウェハ100およびパッケージウェハ200を冷却する工程が封止用材料30を硬化させる工程に相当する。
【0050】
(第2実施形態)
図7に本実施形態における接合用熱処理時の加速度センサの部分断面図を示す。図7は、図6に対応する図である。以下では、第1実施形態との相違点のみを説明する。
【0051】
本実施形態では、センサウェハ100のパッケージウェハ200側の表面101に対して、接合用熱処理時に溶けた封止用材料30を溜めるための溝部102を予め設けている。
【0052】
この溝部102は、センサウェハ100とパッケージウェハ200の接合界面3の端部3aに隣接しており、センサウェハ100の表面101においてパッケージウェハ200との接合界面3の端部3aを内側から取り囲むように環状に連続して配置されている。
【0053】
また、溝部102は、センサウェハ100とパッケージウェハ200とを接合する工程の前に形成される。例えば、図2(b)、(c)に示す工程での半導体層13のエッチングにより、溝16とともに溝部102を形成することができる。
【0054】
本実施形態によれば、接合用熱処理時において、溶けた封止用材料30を溝102に溜めることで、センサウェハ100とパッケージウェハ200の接合界面3の端部3aを覆う位置に封止用材料30を確実に留めることができる。また、溶けた封止用材料30がセンシング部1に付着してセンシング部1に悪影響を及ぼすことを防止することができる。
【0055】
(第3実施形態)
図8に本実施形態における接合用熱処理時の加速度センサの部分断面図を示す。図8は、図6に対応する図である。以下では、第1実施形態との相違点のみを説明する。
【0056】
本実施形態では、第2実施形態の溝部102の代わりに、センサウェハ100のパッケージウェハ200側の表面101に対して、接合用熱処理時に溶けた封止用材料30を堰き止めるための突出部103を設けている。
【0057】
この突出部103は、突出部103以外の領域と比較して、センサウェハ100の表面101から突出した部分であり、センサウェハ100とパッケージウェハ200の接合界面3の端部3aよりも内側に間をあけて位置し、センサウェハ100の表面101においてパッケージウェハ200との接合界面3の端部3aを内側から取り囲むように環状に連続して配置されている。
【0058】
また、突出部103は、センサウェハ100とパッケージウェハ200とを接合する工程の前に形成される。例えば、図2(e)に示す工程でレジスト41を除去した後に、半導体、金属、絶縁体を堆積して突出部103を形成したり、突出部103の形成予定領域以外をエッチング除去することで突出部103を形成したりすることができる。
【0059】
本実施形態によれば、接合用熱処理時において、溶けた封止用材料30を突出部103により堰き止めることで、センサウェハ100とパッケージウェハ200の接合界面3の端部3aを覆う位置に封止用材料30を確実に留めることができる。また、溶けた封止用材料30がセンシング部1に付着してセンシング部1に悪影響を及ぼすことを防止することができる。
【0060】
なお、本実施形態では、第2実施形態の溝部102の代わりに、突出部103を設けたが、図8において破線で示すように、第2実施形態の溝部102と、突出部103との両方をセンサウェハ100の表面101に設けても良い。
【0061】
(第4実施形態)
図9に本実施形態における接合用熱処理時の加速度センサの部分断面図を示す。図9は、図6に対応する図である。以下では、第1実施形態との相違点のみを説明する。
【0062】
本実施形態では、封止用材料30として半田を用いるとともに、第2実施形態の溝部102の代わりに、センサウェハ100のパッケージウェハ200側の表面101に対して、接合用熱処理時に溶けた半田を溜めるための金属膜104を設けている。
【0063】
この金属膜104は、センサウェハ100とパッケージウェハ200の接合界面3の端部3aよりも内側(図9では左側)に位置し、センサウェハ100の表面101においてパッケージウェハ200との接合界面3の端部3aを内側から取り囲むように環状に連続して配置されている。
【0064】
また、金属膜104は、センサウェハ100とパッケージウェハ200とを接合する工程の前に形成される。例えば、図2(e)に示す工程でレジスト41を除去した後に、スパッタリング法、CVD法等により金属膜104を形成することができる。
【0065】
本実施形態によれば、センサウェハ100のパッケージウェハ200側の表面101に、センサウェハ100の表面よりも半田の濡れ性が高い金属膜104を設けているので、接合用熱処理時において、溶けた半田30を金属膜104の表面上に溜めることができ、センサウェハ100とパッケージウェハ200の接合界面3の端部3aを覆う位置に封止用材料30を確実に留めることができる。また、溶けた封止用材料30がセンシング部1に付着してセンシング部1に悪影響を及ぼすことを防止することができる。
【0066】
なお、本実施形態では、第2実施形態の溝部102の代わりに、金属膜104を設けたが、第2実施形態の溝部102をセンサウェハ100の表面101に設け、さらに、その溝部102の表面に金属膜104を設けても良い。また、第3実施形態の突出部103をセンサウェハ100の表面101に設け、さらに、その突出部103の表面から接合界面3の端部3aまでの間に金属膜104を設けても良い。また、第2実施形態の溝部102と第3実施形態の突出部103との両方をセンサウェハ100の表面101に設け、突出部103の表面から接合界面3の端部3aまでの間に金属膜104を設けても良い。
【0067】
(第5実施形態)
図10に本実施形態における接合用熱処理時の力学量センサの断面図を示し、図11(a)、(b)に図10中の破線で囲まれた領域A3の拡大図を示す。なお、図11(a)、(b)は、それぞれ、封止用材料30が溶ける前と後の状態を示している。
【0068】
本実施形態では、図10に示すように、接合用熱処理時に、センサウェハ100が上、パッケージウェハ200が下に位置する状態とする。
【0069】
このとき、図11(a)に示すように、センサウェハ100のパッケージウェハ200側の表面101に、封止用材料30を配置しておくための溝部105を予め設けており、この溝部105に封止用材料30を予め配置している。
【0070】
この溝部105は、センサウェハ100とパッケージウェハ200とを接合したときに、パッケージウェハ200の凹部2の上端角部2cに対向する位置に配置されている。より詳細に言うと、溝部105の外側(図11中の右側)の側面は、凹部2の側面2bよりも外側に位置し、溝部105の内側(図11中の左側)の側面は、凹部2の側面2bよりも内側に位置している。このように、溝部105がパッケージウェハ200に完全に塞がれず、凹部2に連なる隙間が形成されるように、センサウェハ100の表面に平行な方向で、溝部105は上端角部2cを跨いで配置されている。
【0071】
溝部105の外側の側面の位置によって、センサウェハ100とパッケージウェハ200との接合界面3の端部3aの位置が決まる。なお、溝部105の内側の側面を、凹部2の側面2bよりも内側に位置させて、隙間を形成するのは、溶けた封止用材料30を流動させるためである。ただし、溶けた封止用材料30が隙間から垂れないように、隙間はできるだけ小さいことが好ましい。
【0072】
溝部105は、センサウェハ100とパッケージウェハ200とを接合したときに、凹部2を囲むように環状に連続して配置されている。
【0073】
また、この溝部105は、センサウェハ100とパッケージウェハ200とを接合する工程の前に形成される。例えば、図2(e)に示す工程でレジスト41を除去した後に、半導体層13をエッチングすることにより、溝部105が形成され、その後、この溝部105に封止用材料30が塗布される。本実施形態では、この溝部105を形成した後、封止用材料30を塗布する工程が、封止用材料30を配置する工程である。
【0074】
そして、図11(b)に示すように、接合用熱処理の際では、溝部105に配置しておいた封止用材料30が加熱されて溶け、溶けた封止用材料30がセンサウェハ100とパッケージウェハ200の接合界面3の端部3aに流動する。接合用熱処理後の自然冷却により封止用材料30が硬化し、封止用材料30によって接合界面3の端部3aが覆われた状態となる。
【0075】
したがって、本実施形態においても、封止用材料30によって接合界面3の端部3aを覆うので、第1実施形態と同様に、気密信頼性の高い気密空間23を形成することができる。
【0076】
(第6実施形態)
図12に本実施形態における力学量センサとしての圧力センサの断面図を示す。本実施形態の圧力センサは、図12に示すように、圧力を検出するセンシング部1とセンシング部1に隣接する気密空間112を構成する凹部2とを有するセンサ基板110と、センサ基板110に接合されて凹部2を塞ぐパッケージ基板210とを備えている。
【0077】
センサ基板110は、一面とその反対側の他面とを有するシリコンからなる半導体基板であり、その他面側(パッケージ基板210側の表面)に設けられた凹部2によって、一面側(パッケージ基板210側とは反対側の表面)にダイアフラム111が形成されている。
【0078】
このダイアフラム111には、図示しないが、ダイアフラム111の歪みに基づく電気信号を発生するゲージ拡散抵抗(歪みゲージ)が、ブリッジ回路を構成するように形成されている。ダイアフラム111とパッケージ基板210との間の空間112は気密に封止されており、例えば、基準圧力室としての真空室として構成されている。
【0079】
そして、本実施形態では、第1実施形態と同様に、この凹部2の側面2aおよび底面2bに、センサ基板110とパッケージ基板210との接合界面を覆うための封止用材料30が付着している。
【0080】
パッケージ基板210は、シリコンからなる半導体基板211で構成され、半導体基板211の一面(センサ基板110側の表面)に形成されたシリコン酸化膜からなる絶縁膜212を介して、半導体基板211がセンサ基板110に接合されている。なお、本実施形態では、半導体基板211の一面だけでなく、他面(センサ基板110側とは反対側の表面)および側面にも絶縁膜212が形成されているが、他面および側面に絶縁膜212が形成されていなくても良い。
【0081】
この圧力センサにおいては、ダイアフラム111の表面側から圧力が印加されると、ダイアフラム111が歪み、このダイアフラム111の歪みに基づいてゲージ拡散抵抗の抵抗値が変化し、ブリッジ回路における電圧値が変化する。この変化した電圧値に基づいて、印加圧力が検出されるようになっている。本実施形態の圧力センサにおいては、ダイアフラム111の表面にかかる圧力と真空室112内との圧力差、すなわち、絶対圧が検出される。
【0082】
次に、本実施形態の圧力センサの製造方法について説明する。
【0083】
図13〜図15に本実施形態の圧力センサの製造工程を示す。
【0084】
まず、図13(a)〜(e)に示す工程を行うことにより、1枚のセンサウェハ100に対して、センシング部1を有するセンサ基板110を複数形成する。なお、図13(a)〜(e)では、センサウェハ100のうち1つのセンサ基板110に相当する部分のみを示している。
【0085】
具体的には、図13(a)に示すように、シリコンからなるセンサウェハ100を用意する。このセンサウェハ100には、センサウェハ100の一面(図3中の下面)側におけるダイアフラム111の形成予定位置にゲージ拡散抵抗等が形成されている。
【0086】
そして、図13(b)に示すように、フォトリソグラフィ工程を行い、センサウェハ100の他面(図13中の上面)に所望パターンとされたレジスト51を形成する。続いて、図13(c)に示すように、レジスト51をマスクとしたエッチング工程を行い、センサウェハ100の他面に凹部2を形成する。これにより、凹部2の底部としてダイアフラム111が形成される。
【0087】
続いて、図13(d)に示すように、第1実施形態と同様に、凹部2の内部を含むセンサウェハ100の他面に封止用材料30を塗布する。その後、図13(e)に示すように、凹部2の内部以外に位置する封止用材料30を、レジスト51とともに除去する。これにより、この凹部2の側面2aおよび底面2bに封止用材料30が設けられる。本実施形態では、図13(d)、(e)に示す工程が、封止用材料30を配置する工程である。
【0088】
このようして、1枚のセンサウェハ100に対して、センシング部1および気密空間112を構成する凹部2を有するセンサ基板110を複数形成する。
【0089】
一方、図14(a)に示すように、シリコンからなるパッケージウェハ200(半導体基板211)を用意し、図14(b)に示すように、半導体基板211の表面に絶縁膜212を形成する。これにより、1枚のパッケージウェハ200に対して、パッケージ基板210を複数形成する。
【0090】
その後、センサウェハ100とパッケージウェハ200とを接合し、センサウェハ100に形成された凹部2をパッケージウェハ200で塞ぐことで、気密空間112を形成する工程を行う。
【0091】
具体的には、まず、センサウェハ100の凹部2側の表面と、パッケージウェハ200の表面のそれぞれに対して第1実施形態と同様に表面活性処理を施しておく。続いて、図15(a)、(b)に示すように、真空下で、センサウェハ100の凹部2とパッケージウェハ200とを対向させて、センサウェハ100とパッケージウェハ200とを重ね合わせた後、第1実施形態と同様に、接合用熱処理を施す。このとき、センサウェハ100が上、パッケージウェハ200が下に位置する状態とする。これにより、センサウェハ100とパッケージウェハ200とを直接接合する。
【0092】
その後、接合したセンサウェハ100およびパッケージウェハ200を冷却する工程を行い、チップ毎にダイシングする工程を経ることで、本実施形態の圧力センサが製造される。
【0093】
ここで、図16に、接合用熱処理時における図15(b)中の破線で囲まれた領域B1の拡大図を示す。本実施形態においても、図16に示すように、接合用熱処理時に、凹部2の側面2aに塗布しておいた封止用材料30が加熱されて溶け、溶けた封止用材料30がセンサウェハ100とパッケージウェハ200の接合界面3の端部3aに流動する。そして、接合用熱処理後の自然冷却により封止用材料30が硬化し、封止用材料30によって接合界面3の端部3aが覆われた状態となる。
【0094】
したがって、本実施形態によっても、凹部2の内部から封止用材料30がセンサウェハ100とパッケージウェハ200の接合界面3を覆うので、表面粗さやゴミがセンサウェハ100とパッケージウェハ200との接合界面3に存在しても、気密信頼性の高い気密空間112を形成することができる。
【0095】
なお、本実施形態では、センサウェハ100とパッケージウェハ200とを接合する工程が封止用材料30を加熱して溶かす工程を兼ねており、接合したセンサウェハ100およびパッケージウェハ200を冷却する工程が封止用材料30を硬化させる工程に相当する。
【0096】
また、本実施形態に対して、下記の通り、第2〜第4実施形態を組み合わせることも可能である。図17〜図19に、それぞれ、本実施形態の変形例を示す。
【0097】
図17に示すように、パッケージウェハ200のセンサウェハ100側の表面201に対して、第2実施形態と同様に、溶けた封止用材料30を溜めるための溝部202を設けておくこともできる。この溝部202は、第2実施形態の溝部102と同様のものである。
【0098】
また、図18に示すように、パッケージウェハ200のセンサウェハ100側の表面201に対して、第3実施形態と同様に、溶けた封止用材料30を堰き止めるための突出部203を設けておくことができる。この突出部203は、第3実施形態の突出部103と同様のものである。なお、図18において破線で示すように、溝部202と突出部203の両方をパッケージウェハ200の表面201に設けても良い。
【0099】
また、封止用材料30として半田を用いる場合では、図19に示すように、パッケージウェハ200のセンサウェハ100側の表面201に対して、第4実施形態と同様に、半田の濡れ性を高めるために金属膜204を設けておくことができる。この金属膜204は、第4実施形態の金属膜104と同様のものである。なお、図17に示すように溝部202を設け、溝部202の表面に金属膜204を設けたり、図18に示すように、突出部203を設け、突出部203の表面から接合界面3の端部3aまでの間に金属膜204を設けたり、図18において破線で示すように溝部202と突出部203との両方を設け、突出部203の表面から接合界面3の端部3aまでの間に金属膜204を設けても良い。
【0100】
このようにすることで、センサウェハ100とパッケージウェハ200の接合界面3の端部3aを覆う位置に封止用材料30を確実に留めることができる。
【0101】
(第7実施形態)
図20に本実施形態における接合用熱処理時の圧力センサの断面図を示し、図21(a)、(b)に図20中の破線で囲まれた領域B2の拡大図を示す。なお、図11(a)、(b)は、それぞれ、封止用材料30が溶ける前と後の状態を示している。
【0102】
本実施形態では、図20に示すように、接合用熱処理時に、センサウェハ100が下、パッケージウェハ200が上に位置する状態とする。
【0103】
このとき、図21(a)に示すように、パッケージウェハ200のセンサウェハ100側の表面201に、封止用材料30を配置しておくための溝部205を予め設けており、この溝部205に封止用材料30を予め塗布している。
【0104】
この溝部205は、第5実施形態の溝部105に相当するものであり、第5実施形態と同様に、センサウェハ100とパッケージウェハ200とを接合したときに、センサウェハ100の凹部2の上端角部2cに対向する位置に配置されている。
【0105】
また、この溝部205は、センサウェハ100とパッケージウェハ200とを接合する工程の前に形成される。例えば、図14(b)に示す工程で絶縁膜212が形成された後に、半導体基板211および絶縁膜212がエッチングされることにより、溝部205が形成され、その後、この溝部205に封止用材料30が塗布される。本実施形態では、この溝部205を形成した後、封止用材料30を塗布する工程が、封止用材料30を配置する工程である。
【0106】
そして、図21(b)に示すように、接合用熱処理の際では、溝部205に配置しておいた封止用材料30が加熱されて溶け、溶けた封止用材料30がセンサウェハ100とパッケージウェハ200の接合界面3の端部3aに流動する。接合用熱処理後の自然冷却により封止用材料30が硬化し、封止用材料30によって接合界面3の端部3aが覆われた状態となる。
【0107】
したがって、本実施形態においても、封止用材料30によって接合界面3の端部3aを覆うので、第6実施形態と同様に、気密信頼性の高い気密空間112を形成することができる。
【0108】
ところで、第6、第7実施形態のように、センサウェハ100に凹部2を設ける場合では、第6実施形態よりも本実施形態が好ましい。この理由は次の通りである。第6実施形態では、図12に示すように、封止用材料30をセンサウェハ100の凹部2に配置するため、センシング部1に封止用材料30が付着する。センシング部1に封止用材料30が付着していても圧力検出は可能であるが、センシング部1に封止用材料30が付着していない場合と比較して、検出精度が低下する恐れがある。これに対して、本実施形態によれば、封止用材料30をパッケージウェハ200に配置するため、センシング部1に封止用材料30が付着しないようにできる。
【0109】
(他の実施形態)
(1)第1〜第4、第6実施形態では、凹部2の側面2aおよび底面2bに封止用材料30を配置したが、凹部2の側面2aおよび底面2bのうち側面2aのみに配置しても良い。
【0110】
また、第5、第7実施形態では、封止用材料30が配置される溝部105、205を、凹部2の上端角部2cに対向する位置に配置することにより、凹部2に隣接させていたが、溝部105、205を凹部2から離れた位置に配置しても良い。すなわち、封止用材料30を凹部2から離れた位置に配置しても良い。このとき、溝部105、205を、ダイシングされて形成されたチップの端面よりもチップの内側に位置させれば、チップの内側から凹部2を気密封止することができる。
【0111】
要するに、封止用部材30については、センサウェハ100とパッケージウェハ200のどちらかに対し、センサウェハ100とパッケージウェハ200の接合界面3の端部3aから離れた部位であって、封止用材料30が溶けて流動したときに接合界面3の端部3aに到達する部位、すなわち、センサウェハ100とパッケージウェハ200との接合界面3に連続する面に配置していれば良い。
【0112】
(2)上述の各実施形態では、接合用熱処理温度を300℃としたが、他の温度に変更することも可能である。
【0113】
例えば、センサウェハ100とパッケージウェハ200との接合工程を行う際に、センサウェハ100およびパッケージウェハ200に金属配線層が形成されていない場合等では、接合用熱処理温度を300℃よりも高温とすることができる。この場合、封止用材料30としては、この熱処理温度で溶ける材料を用いれば良い。
【0114】
また、特許文献1のように、センサウェハ100とパッケージウェハ200とを常温接合しても良い。この場合、センサウェハ100とパッケージウェハ200との接合工程および冷却工程とは別に、封止用材料30を溶かす工程と封止用材料30を硬化させる工程とを行う。このように、接合工程と、封止用材料30を溶かす工程とを別々に行うこともできる。
【0115】
(3)第1〜第5実施形態では加速度センサの製造方法に本発明を適用し、第6、7実施形態では圧力センサの製造方法に本発明を適用したが、角速度センサ等の他の力学量センサの製造方法においても本発明の適用が可能である。
【0116】
また、上述の各実施形態では、センサウェハ100の半導体層と、パッケージウェハ200の絶縁膜とを接合していたが、センサウェハ100とパッケージウェハ200のそれぞれの接合面を構成する材料については任意に変更可能である。例えば、センサウェハ100とパッケージウェハ200のそれぞれの表面に形成された金属膜同士を接合しても良い。また、半導体層としてSi(単結晶、多結晶バルク)等を採用したり、絶縁膜としてSiO、SiN等を採用したり、金属膜としてAl、Cu、Fe、W、Ti等を採用したりすることができる。
【0117】
また、上述の各実施形態では、気密空間23、112を真空としていたが、気密であれば、気密空間23、112を真空としなくても良く、気密空間23、112を常圧、陽圧としても良い。
【符号の説明】
【0118】
1 センシング部
2 凹部
2c 凹部の上端角部
3 接合界面
3a 接合界面の端部
10 センサ基板
20 パッケージ基板
23 気密空間
30 封止用材料
100 センサウェハ
110 センサ基板
112 気密空間
200 パッケージウェハ
210 パッケージ基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
力学量を検出するセンシング部(1)と、
前記センシング部(1)に隣接する気密空間(23、112)とを備える力学量センサの製造方法において、
前記センサウェハ(100)に前記センシング部(1)を複数形成するとともに、前記センサウェハ(100)とパッケージウェハ(200)の一方のウェハに前記気密空間(23、112)を構成する凹部(2)を複数形成する工程と、
前記センサウェハ(100)と前記パッケージウェハ(200)のどちらかに対して、前記センサウェハ(100)と前記パッケージウェハ(200)との接合界面(3)の端部(3a)を覆って封止するための封止用材料(30)を、前記封止用材料(30)が溶けて流動したときに前記接合界面(3)の端部(3a)に到達する部位に配置する工程と、
前記センサウェハ(100)と前記パッケージウェハ(200)とを接合し、前記センサウェハ(100)と前記パッケージウェハ(200)の前記一方のウェハに形成された前記凹部(2)を他方のウェハで塞ぐことで、前記気密空間(23、112)を形成する工程と、
前記封止用材料(30)を加熱して溶かし、溶けた封止用材料(30)を前記センサウェハ(100)と前記パッケージウェハ(200)の接合界面(3)の端部(3a)に流動させる工程と、
前記封止用材料(30)を硬化させて、前記接合界面(3)の端部(3a)を前記封止用材料(30)で覆う工程と、
接合した前記センサウェハ(100)と前記パッケージウェハ(200)とをチップ毎に分割する工程とを有することを特徴とする力学量センサの製造方法。
【請求項2】
前記センサウェハ(100)と前記パッケージウェハ(200)とを接合する工程は、重ね合わせた前記センサウェハ(100)および前記パッケージウェハ(200)に対して熱処理を行うものであり、
前記封止用材料(30)を配置する工程では、前記封止用材料(30)として、前記熱処理の温度で溶けて流動するものを配置し、
前記封止用材料(30)を加熱して溶かす工程を、前記センサウェハ(100)と前記パッケージウェハ(200)とを接合する工程と同時に行うことを特徴とする請求項1に記載の力学量センサの製造方法。
【請求項3】
前記封止用材料(30)を配置する工程では、前記凹部(2)の少なくとも側面(2a)に前記封止用材料(30)を配置し、
前記封止用材料(30)を加熱して溶かす工程では、前記センサウェハ(100)と前記パッケージウェハ(200)のうち前記凹部(2)が形成された一方のウェハを上とし、他方のウェハを下とした状態で、前記封止用材料(30)を溶かすことを特徴とする請求項1または2に記載の力学量センサの製造方法。
【請求項4】
前記センサウェハ(100)と前記パッケージウェハ(200)とを接合する工程の前に、前記他方のウェハの表面に対して、溶けた前記封止用材料(30)を溜めるための溝部(102、202)を形成する工程を有し、
前記封止用材料(30)を加熱して溶かす工程では、溶けた前記封止用材料(30)を前記溝部(102、202)に溜めることで、前記接合界面(3)の端部(3a)を覆う位置に留めることを特徴とする請求項3に記載の力学量センサの製造方法。
【請求項5】
前記センサウェハ(100)と前記パッケージウェハ(200)とを接合する工程の前に、前記他方のウェハの表面に対して、溶けた前記封止用材料(30)を堰き止めるための突出部(103、203)を形成する工程を有し、
前記封止用材料(30)を加熱して溶かす工程では、溶けた前記封止用材料(30)を前記突出部(103、203)で堰き止めることで、前記接合界面(3)の端部(3a)を覆う位置に前記封止用材料(30)を留めることを特徴とする請求項3または4に記載の力学量センサの製造方法。
【請求項6】
前記封止用材料(30)として半田を用い、
前記センサウェハ(100)と前記パッケージウェハ(200)とを接合する工程の前に、前記他方のウェハの表面に対して、溶けた前記封止用材料(30)を溜めるための金属膜(104、204)を形成する工程を有し、
前記封止用材料(30)を加熱して溶かす工程では、溶けた前記封止用材料(30)を前記金属膜(104、204)の表面上に溜めることで、前記接合界面(3)の端部(3a)を覆う位置に前記封止用材料(30)を留めることを特徴とする請求項3ないし5のいずれか1つに記載の力学量センサの製造方法。
【請求項7】
前記封止用材料(30)を配置する工程では、前記センサウェハ(100)と前記パッケージウェハ(200)とのうち前記凹部(2)が形成されていない他方のウェハに対して、前記センサウェハ(100)と前記パッケージウェハ(200)とを接合したときに前記凹部(2)の上端角部(2c)に対向する位置に予め設けておいた溝部(105)の内部に前記封止用材料(30)を配置し、
前記封止用材料(30)を加熱して溶かす工程では、前記センサウェハ(100)と前記パッケージウェハ(200)のうち前記凹部(2)が形成された一方のウェハを下とし、前記他方のウェハを上とした状態で、前記封止用材料(30)を溶かすことを特徴とする請求項1または2に記載の力学量センサの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2013−64698(P2013−64698A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204722(P2011−204722)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】