説明

加熱調理器

【課題】加熱調理器本体の前面から加熱調理中の被加熱物の様子を見やすくし、使い勝手を向上させるとともに、加熱調理中に加熱調理器の前面から加熱室全体を見たとき、まるで炭火で調理しているかのような印象を持たせ、加熱調理中の雰囲気を向上させる。
【解決手段】筐体35内に設けられ、被加熱物4を収納する加熱室2と、加熱室2の後板51の背面側であって筐体35との間に形成された空間52とを備えた加熱調理器において、後板51に設けられた複数の孔51a,51b,51cと、空間52内であって、これらの孔51a,51b,51cを介して加熱室2の底面を照らす位置に設けられ、少なくとも波長0.4〜0.8μmの可視光線を発する光源12と、前記空間52内であって、この光源12より上方に配置され、該光源12からの光を反射させ、前記孔51a,51b,51cを介して反射光を加熱室2の前面に向けて照射する反射手段を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気式の加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の加熱調理器においては、加熱室に収納した被加熱物の加熱状態を見やすくするために、加熱室内を照らす照明手段を設けている。
【0003】
一般的に照明手段は加熱室の側面外側に設けられ、照明手段が配置されている加熱室の壁面には光の通過と電磁波の遮蔽をするための孔を設けている。
【0004】
ここで、照明手段としては消費電力10〜30Wの小型の電球が庫内灯として多く用いられており、庫内灯は加熱室側面上部に配置され、加熱室内に載置された被加熱物の上方から光を照射している。
【0005】
そのため、加熱室の明るさは庫内灯に近い側面側が最も明るく、庫内灯から離れるにしたがって徐々に暗くなっていた。
【0006】
そこで、特許文献1に示すように、調理室の上方にハロゲンランプよりなる発光手段を設置し、該発光手段からの直接光を効率良く上方から被加熱物に照射する構造が提案されている。
【0007】
また、この特許文献1は、発光手段が加熱手段を兼ねており、発光手段の輻射熱で調理対象物を加熱調理することができる構造として提案されている。
【0008】
また、従来一般的に照明手段として使われている庫内灯は小型の白熱電球であり、照射光の色や強度を変えることが出来ないため、加熱調理器の外部から内部の被加熱物を見た場合、被加熱物の色が実際と違って見え、見にくいという問題があった。
【0009】
そこで、特許文献2に示すように、照明手段を加熱室の側面に配置し、加熱室に照射する光の色か強度を変化させることにより、食品の調理状況を確認しやすいようにした加熱調理器が提案されている。
【0010】
一方、この種の加熱調理器においては、筐体内に被加熱物を加熱するための加熱手段を備えている。
【0011】
そして、熱風により被加熱物の加熱を行う加熱装置においては、熱風の温度差による加熱ムラを防止するために、特許文献3に示すように、オーブン庫の背面にヒータを設け、背面下部にファンを設けたものが一般的である。
【0012】
また、水蒸気を更に過熱した過熱水蒸気を利用して加熱調理を行う加熱調理装置においては、対流熱伝達によって蒸気を過熱すると大きな伝熱面積が必要になるため、蒸気過熱器が大きくなってしまうという問題があった。
【0013】
そこで特許文献4に示すように、2.5 〜3μmの波長の遠赤外線を中心に輻射する遠赤外線発生手段を持った蒸気過熱器を加熱庫に連ねた加熱調理装置が提案されている。
【0014】
【特許文献1】特開2001−272046号公報
【特許文献2】特開2006−17390号公報
【特許文献3】特開平8−121774号公報
【特許文献4】特開平8−49854号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、上記した従来の加熱調理器では、加熱室の内部が暗く、加熱調理中の被加熱物の仕上がり状態がうまく確認できないことがあった。
【0016】
また、炭火や薪火などの火を用いた調理に比べて加熱調理中に視覚的に火力の強さが感じられず、火に比べて加熱調理のパワーが弱い印象があった。
【0017】
また、加熱室を照らす照明手段を加熱室の上面や側面上方に設置して被加熱物に上方から光を照射するようにしていたため、被加熱物の上面を見やすいが、下面は見ることができなかった。
【0018】
また、照明手段により照明と加熱を兼ねた場合、上方からの加熱では上面にのみ焦げ目をつけることはできたが、下面に焦げ目をつけることは難しかった。
【0019】
例えば、特許文献1に示すように、調理室の上面に透過孔を設け、透過孔の上部に発光手段を設けた場合、調理対象物には上方から光を当てることになり、調理対象物の上面は明るく見やすいが、下面は暗くなって見ることができない。
【0020】
また、発光手段によって調理対象物の上面は加熱することができるが、下面は加熱できない。
【0021】
また、調理室に孔が存在するため、加熱調理中に調理対象物から水分や油分が孔から外部に飛び跳ねて発光手段を汚すことがある。
【0022】
特に、調理室の上面に孔を設けた場合には、加熱調理時の上昇気流などにより調理対象物からの水分や油脂分などが飛び散る可能性が高く、飛び散った調理対象物が孔を通過して孔の外部に流出することや、発光手段に付着することが懸念される。
【0023】
また、孔の外部に調理対象物が流出した場合には、清掃が困難であり、混入物を取り除きにくい。
【0024】
さらに、調理対象物が孔の外部や発光手段に付着したままでは、異物の付着によって照明の明るさが暗くなることや、発光手段の寿命を短くすることがある。
【0025】
また、調理室の上面に孔があることで、上面の清掃がしにくくなり、使い勝手が悪くなる。
【0026】
また、例えば、加熱室の暗さと色再現性を改良するために、特許文献2に示すように照明の色温度を設定すると、照明手段の温度は低くなり、照明手段から照射される赤外線の量が少なくなるため、照明手段を用いた加熱能力は低くなる。
【0027】
また、照明手段から照射される光の色と強度を変化させても、照明手段の位置が側面にあるため、被加熱物の裏面は見ることができない。
【0028】
さらに、特許文献3に示すように、オーブン庫の背面にヒータを設けた加熱装置においては、そのヒータとして一般的にシーズヒータが使用されており、このシーズヒータでは可視光線を照射することができないため、照明手段として用いることはできなかった。
【0029】
また、従来使用されているシーズヒータや石英管ヒータは、立ち上がりに時間がかかるため、被加熱物の加熱調理に時間がかかってしまうという問題があった。
【0030】
また、石英管ヒータでは電気を入れた瞬間には明るくならないため照明手段として用いることが難しかった。
【0031】
さらに、加熱室内の被加熱物を対流加熱だけでなく、輻射加熱で加熱調理する場合、加熱手段が加熱室の上方に設置されていると被加熱物の上面だけが輻射加熱で加熱され、下面は対流加熱でしか加熱されないため、被加熱物の上面と下面を均一に仕上げることは難しかった。
【0032】
また、特許文献4に示すように、2.5〜3μm の遠赤外線を中心に放射する遠赤外線発生手段を用いた加熱調理装置の場合、0.8μm 以下の可視光線の放射がほとんどないため、照明手段として用いることが難しかった。
【0033】
本発明は、上記の課題のうち少なくとも一つを解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0034】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、請求項1では、筐体内に設けられ、被加熱物を収納する加熱室と、該加熱室の後板の背面側であって前記筐体との間に形成された空間とを備えた加熱調理器において、前記後板に設けられた複数の孔と、前記空間内であって複数の孔を介して加熱室の底面を照らす位置に設けられた波長0.4〜0.8μm の可視光線を発する光源と、前記空間内であってこの光源より上方に配置され、該光源からの光を反射させ、前記孔を介して反射光を加熱室の前面に向けて照射する反射手段を設けたものである。
【0035】
請求項2によれば、前記孔は、光源からの直接光が加熱室前面に向かう位置に開口しているものである。
【0036】
請求項3によれば、前記光源は、加熱室を背面下部から照射する照明手段と、被加熱物を加熱調理する加熱手段を兼ねているものである。
【0037】
請求項4によれば、前記光源をハロゲンヒータとしたものである。
【0038】
請求項5によれば、筐体内に設けられ、被加熱物を収納する加熱室と、該加熱室の後板の背面側であって前記筐体との間に形成された空間とを備えた加熱調理器において、前記後板に設けられた複数の孔と、前記空間内であって複数の孔を介して加熱室の底面を照らす位置に設けられ、波長0.8〜2.0μmの近赤外線を中心に放射する照明手段と加熱手段を兼ね備えたハロゲンヒータと、このハロゲンヒータより上方に配置され、該ハロゲンヒータからの光を反射させ、前記孔を介して反射光を加熱室正面に照射する反射手段と、前記ハロゲンヒータと、加熱室に空気流を循環させる送風手段とを覆うダクトで構成される熱風ユニットとを備え、前記ダクト内において前記ハロゲンヒータによって空気流を加熱し、高温の空気流を加熱室内に供給するものである。
【0039】
請求項6によれば、水蒸気を発生する蒸気発生手段を備え、前記ダクト内で前記ハロゲンヒータが前記水蒸気を過熱することで過熱水蒸気を発生させるものである。
【0040】
請求項7によれば、被加熱物の質量を検出する質量検出手段と、被加熱物への加熱量を調節する制御手段とを備え、質量検出手段の検出値に基づいて制御手段によってハロゲンヒータから供給される加熱量を制御するものである。
【0041】
請求項8によれば、加熱室の底面に設置されて被加熱物を載置する回転しないテーブルと、該テーブルを支持するようにテーブル下面に設置されて被加熱物の質量を検出する複数個の質量検出手段と、加熱室内に供給する水蒸気量を調節する制御手段を備え、複数個の質量検出手段の総和によってテーブル上の被加熱物の質量を検出し、該検出値に基づいて制御手段によって蒸気発生手段から供給される水蒸気量を制御し、被加熱物の調理内容に応じた適量の水蒸気を加熱室内に供給するものである。
【0042】
請求項9によれば、光源を覆い光源からの光を拡散する拡散手段を有するものである。
【0043】
請求項10によれば、光源及び拡散手段を管状としたものである。
【0044】
請求項11によれば、ハロゲンヒータを覆いハロゲンヒータからの光と熱とを拡散する拡散手段を有するものである。
【0045】
請求項12によれば、ハロゲンヒータを覆いハロゲンヒータからの光と熱とを拡散する拡散手段と、ダクト内に水蒸気を噴き出す噴出口を有する蒸気発生手段とを有し、拡散手段によって光源から放射される熱及び光を拡散させ、蒸気発生手段で生成した水蒸気を高温の過熱水蒸気とし、該過熱水蒸気を加熱室内に供給するものである。
【発明の効果】
【0046】
本発明の請求項1によれば、加熱室の背面下方から光源の光が照射されるため、例えば載置台の上に足の高い焼き網を載せてその上に被加熱物を載せることにより、従来のオーブンでは見ることが出来なかった被加熱物の下面の焼け具合をドア越しに容易に見ることができる。
【0047】
また、載置台に直接被加熱物を載置した場合でも、光源からの光が被加熱物の表面や側面を従来よりも明るく照らすため、ドア越しに被加熱物の加熱調理の状況を容易に見ることができる。
【0048】
請求項2によれば、光源からの直接光が加熱室の前面に向かう位置に開口しているため、加熱調理時に加熱室の背面下方から加熱室に向かって光源からの明るい直接光が照射され、背面上方から反射板によるやや暗い反射光が照射され、これによって、加熱室の下部が最も明るく、下部から中部がやや明るく、中部から上部が薄暗くなり、調理時にあたかも暖炉の火や炭火で調理しているかのような印象を与え、楽しく快適に調理ができる加熱調理器を提供できる。
【0049】
請求項3によれば、光源が照明手段と加熱手段とを兼ねていることから、従来のオーブンでは調理が難しかった被加熱物の下面も光源による輻射熱で加熱することができる加熱調理器を提供できる。
【0050】
また、照明手段と加熱手段を光源1つで兼ねることから、部品の数を増やすことなく、コンパクト・低コストで前記した効果を実現できる。
【0051】
請求項4によれば、前記光源が立ち上がりの早いハロゲンヒータであることから、被加熱物を素早く加熱できるとともに、該光源から近赤外線を多く照射するため、該光源は空気を介した対流加熱だけでなく被加熱物を直接加熱する輻射加熱も可能であり、より効率の良い加熱調理を可能にすることができる。
【0052】
また、被加熱物の上面だけではなく、下面も輻射加熱による加熱調理が可能であり、被加熱物の上面と下面をより均一に加熱することができる。
【0053】
請求項5によれば、照明手段と加熱手段を兼ねたハロゲンヒータと、このハロゲンヒータからの光を加熱室に照射する反射板と、加熱室に空気流を循環させる送風手段を覆うダクトで構成される熱風ユニットを設けたので、ハロゲンヒータからの光による輻射加熱によって被加熱物を直接加熱調理するとともに、加熱室内の空気を送風手段によって熱風ユニットに吸い込み、熱風ユニット内でハロゲンヒータによって高温に加熱した後、加熱室内に供給し、高温の熱風を攪拌しながら対流加熱で被加熱物を加熱調理することができ、従来よりも高い加熱効率での加熱調理とムラのない素早い加熱が可能となる。
【0054】
また、ハロゲンヒータは、0.8〜2.0μmの近赤外線を中心に放射するため、可視光線を中心に放射する照明手段と比べて水分を輻射加熱しやすい赤外線波長の光を多く含んでおり、水分を加熱する力が大きいため、食品などの水分を多く含む被加熱物を加熱する場合に加熱効率が良い。
【0055】
請求項6によれば、蒸気発生手段を備えて飽和水蒸気や過熱水蒸気を発生させ、これらの水蒸気を加熱室に供給することにより、加熱調理できる料理の幅を広げるとともに、水蒸気なしで加熱するよりも更に大きなエネルギーを被加熱物に供給して表面はカリッと内部はジューシーな加熱調理を行うことができる。
【0056】
請求項7によれば、被加熱物の質量に応じて水蒸気を発生させ、該水蒸気を被加熱物に適切に供給して加熱調理を行うため、被加熱物の量に応じた最良の加熱調理が実現できる。
【0057】
請求項8によれば、被加熱物を載置した回転しないテーブルを持つターンテーブルレスオーブンレンジにおいても前項と同様の効果を得ることができるとともに、テーブルの下面に複数の重量検出手段を設けることにより、被加熱物の総重量と載置位置を計測することが可能であり、被加熱物を重量と載置位置に応じて更に効率良く加熱することができる。
【0058】
請求項9によれば、光源を覆う拡散手段を有するので、光及び熱を照射する表面積が増加し、発光熱源から発する光及び熱を周囲に広く効率良く拡散させることができる。
【0059】
請求項10によれば、光源及び拡散手段が管状であるので、幅広く光及び熱を周囲に拡散することができる。
【0060】
請求項11によれば、ハロゲンヒータを覆う拡散手段を有することで、発光熱源として立ち上がりの早いハロゲンヒータが放射する光及び熱を素早く周囲に拡散することができる。
【0061】
請求項12によれば、ハロゲンヒータを覆う拡散手段と、ダクト内に水蒸気を噴き出す噴出口を有する蒸気発生手段とを有することで、発光熱源として立ち上がりの早いハロゲンヒータが放射する光及び熱を素早く周囲に拡散することができ、これによって、ダクト内を通過する高温の水蒸気と加熱室に載置した被調理物をより早く、かつ効率良く加熱することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0062】
以下、本発明の加熱調理器を、マグネトロンなどで構成される高周波加熱手段を有する電気式オーブンレンジを例にとって説明する。尚、本発明は、オーブン,電子レンジなどの単機能加熱調理器にも適用できる。
【実施例1】
【0063】
本発明による第1の実施例である加熱調理器を図1から図3を参照して説明する。
【0064】
図1は本発明の加熱調理器である電気式オーブンレンジによって被加熱物4を加熱している状態の側面断面図である。
【0065】
図2は同オーブンレンジのドアを外して加熱室の内部を前面側から見た正面図である。
【0066】
図3は同オーブンレンジの熱風ユニットの斜視図である。
【0067】
オーブンレンジの本体1は、外郭を構成する筐体35,筐体35内に配置され、加熱調理する食品等の被加熱物4を収納する加熱室2,該加熱室2の下方に設けられた被加熱物4を載置するテーブル3,加熱室2に高温の空気を循環させる熱風ユニット5,マイクロ波を発生させてレンジ調理を行うマグネトロン6,マイクロ波を導く導波管(図示せず)、加熱室2にマイクロ波を照射する回転アンテナ8及びアンテナを回転させるアンテナモータ9等で構成されている。
【0068】
被加熱物4の加熱調理を行う場合、電子レンジによる調理の際にはマグネトロン6によって発生したマイクロ波は、導波管を通って回転アンテナ8から加熱室2に照射される。
【0069】
その際、アンテナモータ9を駆動して回転アンテナ8を回転させながらマイクロ波を加熱室2内に放射することにより、マイクロ波は加熱室2内に均一に放射され、加熱ムラを防止できる。
【0070】
オーブン調理に使われる前記熱風ユニット5は、熱風供給手段を構成するもので、ダクト5aと、このダクト5a内のほぼ中央に回転自在に設けられたファン等の送風手段10、この送風手段10の下方で空気流の流出側に設けられた光源12、ダクト5aに取り付けられ送風手段10を駆動するファンモータ11等で構成され、加熱室2の背面板を構成する後板51の背面側に配置されている。
【0071】
ここで、本実施例における光源12は、可視光線を照射する照明手段と、赤外線を放射する加熱手段を兼ねたものであり、詳細は後記するが、この光源12によって加熱室2に可視光線を照射して被加熱物4の調理の具合を見やすくするとともに、被加熱物4の加熱効率を高めるものである。
【0072】
以下にその詳細な構成と効果について述べる。
【0073】
筐体35と加熱室2の後板51の背面側との間には空間52が存在し、空間52の中に前記した熱風ユニット5が配置されている。
【0074】
図2に示すように、後板51には上孔51a,中孔51b,下孔51cなどの複数の小さな孔が略横方向に間欠的又は連続して複数段づつ設けられ、その後方の熱風ユニット5内に配置した送風手段10を駆動することにより、加熱室2から中孔51bを介して熱風ユニット5に吸込流2aによる空気を吸い込み、その空気を熱風ユニット5内で加熱手段を兼ねた光源12によって加熱し、高温になった空気を上孔51a及び下孔51cから吹出流2bとして加熱室2に吹き出す動作を繰り返すことで、加熱室2内の空気の温度を上げ、被加熱物4をムラなく加熱調理することを可能にしている。
【0075】
送風手段10は、加熱室2の高さ方向のほぼ中心に配置しており、ダクト5a内の空気の攪拌はもちろんのこと、加熱室2全体の空気をムラなく攪拌することが出来るようになっている。
【0076】
中孔51bは、送風手段10から送風される熱風を加熱室2に送り込むために送風手段10と略同一高さに位置しており、図2に示すように後板51の中心部分に設けられており、その他の上孔51aは中孔51bの上方、下孔51cは中孔51bの下方にそれぞれ設けられている。
【0077】
ここで、光源12は、波長が約0.4〜0.8μmの可視光線を加熱室2内に照射して加熱室2の内部を明るくする照明手段であり、また、循環する空気を加熱する加熱手段も兼ねている。
【0078】
光源12としては、波長0.4〜0.8μmの可視光線を照射できるものであれば、どんなランプやヒータでも良い。
【0079】
また、光源12の中心波長帯は可視光線の範囲内になくても良く、光源12が放射する光の一部が可視光線の波長範囲内にあれば良い。
【0080】
本実施例において、光源12は、図1から図3に示すように細長い管形状の照明手段を横長に1本配置している。但し、その形状は本実施例に示したような細長い管形状に限らず、球状に近い小型のランプ形状でも良く、また、その数は1個に限らず、複数個でも良い。例えば、本実施例に示すような1本の長い管形状の光源12の代わりに、小型球状の照明手段を横方向に複数個並べて配置することによっても、本発明と同様の効果が得られる。
【0081】
ここで、光源12は、熱風ユニット5の高さの中心(送風手段10と略同一高さ)より下方に配置されており、光源12の上方に反射板5bを備えている。該反射板5bは、光源12から照射された光を反射する反射手段である。
【0082】
反射板5bが正面と対向する位置の後板51には上孔51aが設けられているため、光源12から照射され反射板5bによって反射された反射光12aは前記上孔51aから加熱室2の前面に向かって照射される。
【0083】
光源12が加熱室2の前面と対向する位置の後板51には下孔51cが設けられており、光源12から照射される直接光12bは加熱室2の前面に向かって照射される。
【0084】
光源12は、後板51に設けられた下孔51cを通して被加熱物の載置台であるテーブル3に光を照射するため、光源12から照射されテーブル3によって反射された底面反射光12cは、加熱室2の前面に向かって照射される。
【0085】
こうして、光源12から照射され、熱風ユニット5内の反射板5bによって反射された反射光12aは後板51の上方に設けられた上孔51aから、光源12から直接照射された直接光12bは後板51の下方に設けられた下孔51cから、また光源12から照射され、テーブル3によって反射された底面反射光12cはテーブル3からそれぞれ加熱室2の前面のドア開口部37に向かって照射される。
【0086】
ここで、図1に示すように、テーブル3の上に光が通過可能な足の高い焼き網3aを設置し、その上に被加熱物4を載置して加熱調理を行う場合、反射光12aは加熱室2全体を、直接光12bは被加熱物4の上面を、底面反射光12cは被加熱物4の下面を明るく照らすため、被加熱物4の表面に加えて従来は見ることが難しかった裏面の両方の焼け具合や加熱調理の仕上がり状態を確認することができる。そのため、従来の裏面の焼け具合を確認できなかったオーブンに比べて使い勝手が良い。
【0087】
また、加熱室2の背面に設けられた光源12だけではなく、従来から加熱室2の側面上方に配置されている庫内灯(図示せず)を併用して使用した場合には、被加熱物4の表面に多くの光を照射できることになるので、更に明るく見やすい加熱室2を提供できる。
【0088】
また、光源12は被加熱物4を加熱する加熱手段も兼ねているため、照明手段を増やすことなくより低コストで明るく見やすく使いやすい加熱室2を提供できる。
【0089】
また、光源12が熱風ユニット5内の空気を加熱し、送風手段10とファンモータ11によって熱風が加熱室2内に供給されることから、被加熱物4を対流加熱で加熱することが可能である。
【0090】
また、前述したように、光源12によって照射された光は反射板5bやテーブル3によって反射され、直接光12bに加えて反射光51aや底面反射光51cとして被加熱物4の周囲に届くため、本実施例のように光源12が加熱手段を兼ねている場合には被加熱物4の全方向から輻射加熱で加熱することが可能である。
【0091】
そのため、被加熱物4の加熱調理を行う場合、被加熱物4の全方向から対流加熱と輻射加熱で加熱調理することができるため、対流加熱だけの加熱や輻射加熱だけの加熱に比べてムラなく効率の良い加熱調理が可能である。
【0092】
また、光源12が被加熱物4を加熱する加熱手段を兼ねていることから、熱風ユニット5内で加熱した高温の空気を送風手段10によって加熱室2内に送り込むとともに、光源12から照射される光によって被加熱物4の全面からの加熱調理ができるため、従来よりも効率の良い加熱調理が可能である。
【0093】
例えば、図1に示すように、テーブル3の上に光が通過可能で足の高い焼き網3aを設置し、その上に被加熱物4を載置して加熱調理を行う場合、反射光12aが加熱室2内の空気を、直接光12bは被加熱物4の表面を、底面反射光12cが被加熱物4の裏面をそれぞれ輻射加熱することにより被加熱物4の全面から輻射加熱が可能である上に、更に熱風ユニット5から送風手段10によって供給される高温の空気によっても被加熱物4の全面から対流加熱も可能であるため、従来よりも高い効率で加熱調理が可能である。
【0094】
また、ここで、光源12からの直接光12bが加熱室2の前面に向かう位置に開口していることから、加熱調理を行っている加熱室2内を本体1の外側からドア開口部37を通して見た場合、直接光12bは光源12から照射される光が直接ドア側に届くために非常に明るく、反射板5bによって反射された反射光12aは直接光12bよりもやや暗く見える。
【0095】
よって、全体的に直接光12bが多く届く加熱室2の下方は明るく、反射光12aが多く届く上方はやや暗く見え、加熱室2下面のテーブルは底面反射光12aによって明るく光っているように見える。
【0096】
そのため、加熱室2内に被加熱物4を載置して調理を行う場合、被加熱物4の下方から暖炉や炭火のような直火で調理をしているような印象を与えることができる。
【0097】
ここで、図4に一般的な暖炉の模式図を示す。
【0098】
暖炉101は、該暖炉101内の一定空間102の下部で薪112などの燃料を燃やすことによって、部屋を温めるものであり、薪112から炎が上がり、その周囲空間を明るく照らすものである。
【0099】
図4に示すように、正面から暖炉101を見た場合の明るさを比較すると、薪112の近くの下炎102cが最も明るく、次に102bの中炎が明るく、102aの上炎は更に暗く、熱源からの距離が離れるに従って徐々に暗くなっていく。
【0100】
ここで、図1,図2に示すオーブンレンジと図4に示す暖炉を比較すると、下孔51cから照射される直接光12bが図4の下炎102cに相当し、上孔51aから照射される反射光12aが図4の上炎102aに相当し、本実施例によるオーブンレンジにおいても暖炉と同様に下方は明るく、上方に行くに従って暗くなっていることから、図4に示す暖炉101と図2に示すオーブンレンジでは正面から見たときの印象が近い。
【0101】
特に、光源12が赤やオレンジといった炎の色に近い暖色の可視光線を照射する照明手段で、加熱室2の内部側面や後板51表面が黒色に近い色の場合、真っ暗な空間内に火が燃えている暖炉と同じように見える。
【0102】
電気式オーブンレンジは、一般的に直火よりも火力が弱く、うまく調理できないような印象を与えることが多いが、本実施例によるオーブンレンジでは、炭火や暖炉といった火力の強い印象を与えながら加熱調理を行うことができるため、使用者にとって加熱調理中の印象が良い。
【0103】
また、光源12が照射する光によって、熱風ユニット5内の空気だけではなく、加熱室2内の空気も直接加熱する事ができるため、加熱室2内の空気温度を維持しやすい。
【0104】
以下に、本実施例による加熱調理器を用いて調理する過程を示す。
【0105】
まず、ドア36を開けてテーブル3の上に載置した焼き網3a上に被加熱物4を載置し、ドア36を閉める。
【0106】
次に、正面に設置された操作パネル(図示せず)により調理内容を指示する。
【0107】
操作パネル上のスタートボタン等によって調理開始を指示した瞬間に制御手段27によって光源12が点灯し、光源12からの直接光12bによって被加熱物4の上面を、底面反射光12cによって被加熱物4の下面を、それぞれ照明手段として可視光を照射するとともに、加熱手段として赤外線を発し輻射加熱により加熱する。
【0108】
また、制御手段27によってファンモータ11が駆動され、送風手段10による吸込流2aによって加熱室2内の空気が熱風ユニット5内に吸い込まれ、吹出流2bによって空気が熱風ユニット5内から加熱室2内へ吹き出される。
【0109】
さらに、光源12が熱風ユニット5のダクト5a内の空気を加熱するので、高温の空気が加熱室2内に吹き出されることで、対流加熱により被加熱物4を全面から加熱する。
【0110】
このようにして、照明手段と加熱手段を兼ねた光源12を用いることにより、使いやすく、加熱効率の良い加熱調理器を提供できる。
【0111】
尚、本実施例においては、テーブル3が回転しないターンテーブルレス式オーブンレンジについて示したが、テーブル3を回転させたターンテーブル式オーブンレンジについても同様の効果が得られる。
【0112】
ここで、図5は図1のオーブンレンジにおいて、テーブル3上に直接被加熱物4を載置して被加熱物4を加熱している状態の側面断面図である。
【0113】
この図5に示すように、テーブル3の上に直接被加熱物4を載置して加熱調理を行う場合でも、上記で述べたような焼き網3aを用いて被加熱物4を加熱調理する場合とほぼ同様の効果が得られる。
【0114】
すなわち、被加熱物4の上面や側面は光源12の直接光12bと底面反射光12cによって明るく照射されるため、加熱調理の状況が見やすく使いやすい。
【0115】
また、光源12の直接光12bによる輻射加熱と熱風による対流加熱によって被加熱物4を効率良く加熱することができる。
【0116】
また、テーブル3も光源12の直接光によって従来よりも高温に加熱されるため、テーブル3からの伝達熱によって被加熱物4を加熱する効果も大きい。
【0117】
さらに、加熱室2の下方は直接光12bによって明るく、上方は反射光12aによってやや暗く見えるため、炭火や暖炉のような火力が強いイメージで加熱調理を行うことができる。
【0118】
また、送風手段10を持たない単機能レンジや、マグネトロン6を持たない単機能オーブンなど、加熱室2を備えた加熱調理器であれば本実施例が適用可能である。
【実施例2】
【0119】
本発明による第2の実施例である加熱調理器を図6及び図7を参照して説明する。
【0120】
図6は、本実施例によるオーブンレンジの側面断面図である。
【0121】
本実施例では、照明手段と加熱手段を兼ねた照明として、0.8〜2.0μmの近赤外線波長を中心に放射するハロゲンヒータ12hを設けたことを特徴としている。
【0122】
図7は本実施例によるハロゲンヒータ12hの波長と放射照度の関係を表したグラフである。
【0123】
ここで、放射照度とは、放射される光に含まれる特定波長の光の強さを示すものであり、面積当たりのエネルギーで表される。
【0124】
つまり、本実施例によるハロゲンヒータ12hでは、図7に示すように波長が0.8〜2.0μm の近赤外線領域において照度がピーク値を持ち、0.4〜0.8μmの可視光線を含む光を照射していることから、可視光線及び近赤外線領域波長の光を放射する。
【0125】
また、0.4〜0.8μmの可視光線領域においては、0.8μm での放射照度が一番大きく、波長が短くなるに従って放射照度が小さくなるため、ハロゲンヒータ12hが照射する光は、可視光線の中でも波長の最も長い赤色が強い色味の光である。
【0126】
図6の構造において、図7に示すような放射照度を持つハロゲンヒータ12hを用いることで、加熱調理を行っている加熱室2内を本体1の外側からドア開口部37を通して見た場合、直接光12bはハロゲンヒータ12hから照射される光が直接ドア側に届くために非常に赤く明るく見え、反射板5bによって反射された反射光12aやテーブル3によって反射された底面反射光12cは、特にテーブル3の色が白色に近い場合において、赤く輝いて見える。
【0127】
そのため、加熱室2全体がまるで暖炉のように見え、下方から直火で加熱調理をしているかのような印象がより強くなる。
【0128】
特に、加熱室2の壁面や後板51などが黒色の場合では、ハロゲンヒータ12hが消灯していると加熱室2内は真っ暗に見えるが、ハロゲンヒータ12hが点灯すると黒い加熱室2内にハロゲンヒータ12hからの赤やオレンジの光が照射され、炭火で調理をしているような印象が非常に強くなる。
【0129】
また、ハロゲンヒータ12hは、立ち上がりが早く電源を入れた瞬間に光を放射するため、加熱調理をスタートした瞬間に真っ暗な加熱室2が暖炉のように明るくなり、調理を開始したことと加熱調理中であることがはっきり認識できる。
【0130】
また、加熱室2内の空気温度を調節するために、ハロゲンヒータ12hは加熱調理中に電源ON/OFFの切り替えをすることがあるが、電源が入っている時はハロゲンヒータ12hが瞬時に点灯し、電源が入っていないときは瞬時に消灯することにより、ハロゲンヒータ12hに電源が入っているかどうかの確認が目視で容易に可能であり、極細やかに制御をしていることを使用者にはっきり印象付けることができる。
【0131】
従って、ハロゲンヒータ12hを用いることによって、加熱調理の視覚的印象を良くすることができる。
【0132】
また、従来加熱室2の照明手段として多く使われていた白熱電球では電力10〜30Wで明るさ100〜200lmであるのに対して、本実施例によるハロゲンヒータ12hは加熱手段も兼ねているため、電力100〜1000Wで明るさは少なくとも500lm以上、場合によっては明るさ5000lm以上も可能であり、白熱電球に比べて本実施例の照明手段であるハロゲンヒータ12hは点灯したときに非常に明るい。
【0133】
ここで、特にハロゲンヒータ12hは、被加熱物4や空気を十分に加熱するために、また、他の加熱手段と同時加熱を行う場合などの電力の兼ね合いから500〜900Wが望ましい。
【0134】
以上のことから、本実施例では被加熱物4には白熱電球に比べて非常に明るいハロゲンヒータ12hからの光が照射されるため、被加熱物4に照射される光も非常に明るく、加熱調理中に本体1の外部からドア36を通じて加熱室2を見た場合に、被加熱物4の加熱調理の様子がより見やすい。
【0135】
また、テーブル3上の焼き網3a上に被加熱物4を載置して加熱調理を行う場合、被加熱物4の上面には直接光12bが、下面には底面反射光12cがそれぞれ照射されるため、上面だけではなく下面も明るく見やすい。
【0136】
また、ハロゲンヒータ12hは電源を入れたときの立ち上がりが非常に早いため、調理開始直後から急速に空気や被加熱物4を加熱することができる。
【0137】
また、本実施例による光源12のハロゲンヒータは、図7に示すように0.8〜2.0
μmの近赤外線波長の光を中心に照射しているため、0.4〜0.8μm波長の可視光線の光だけを照射する照明手段に比べて、被加熱物4を輻射加熱する力が強く、また、光源
12によって照射された光は、反射板5bやテーブル3によって反射され、直接光12bに加えて反射光12aや底面反射光12cとして被加熱物4の周囲に届くため、被加熱物4の全方向から輻射加熱で加熱することが可能である。
【0138】
そのため、被加熱物4の加熱調理を行う場合、被加熱物4の全方向から対流加熱と輻射加熱で加熱調理することが可能であり、空気を介した対流加熱だけの加熱や輻射加熱だけの加熱と比較して被加熱物4の加熱効率が高い。
【0139】
また、波長0.8〜2.0μmの範囲において最も放射照度が大きい光を放射するため、0.4〜0.8μmの可視光線にピークを持つ光と比べて、水や蒸気が輻射エネルギーを受けやすい赤外線波長の光を多く含んでおり、水を加熱する力が大きいため、例えば食品のように水分を多く含む被加熱物4を加熱する場合に効率が良い。
【0140】
よって、上記図1に示す第1実施例のように、背面下方にハロゲンヒータ12hを設置し、焼き網3aに被加熱物4を載置して加熱調理をした場合、ハロゲンヒータ12hから直接光12bが被加熱物4の表面を直接加熱し、反射板5bによって反射された反射光
12aが空気を介して被加熱物4を加熱し、テーブル3によって反射された底面反射光
12cが被加熱物4の裏面を加熱し、更に加熱された高温の空気が送風手段10とファンモータ11によって加熱室2全体に送風されるため、被加熱物4の全体を効率良く加熱することができる。
【実施例3】
【0141】
本発明による第3の実施例を図8を参照して説明する。
【0142】
図8は、熱風ユニット5の背面上方に蒸気発生手段13を備えたもので、加熱室2に水蒸気を供給しての加熱調理が可能な加熱調理器である。
【0143】
この実施例によれば、蒸気発生手段13で生成する飽和水蒸気を直接加熱室2に供給するだけではなく、蒸気発生手段13で生成する飽和水蒸気を送風手段10によって粒子を細かく破砕し、ハロゲンヒータ12hで更に過熱することにより、熱風ユニット5内で
100〜300℃の過熱水蒸気を生成して加熱室2に供給することが可能である。
【0144】
そのため、蒸気を使用せずに上ヒータ38と熱風ユニット5から供給される熱風だけで加熱調理を行う場合に比べて、幅広い加熱調理が可能となる。
【0145】
例えば、飽和水蒸気を用いて水分を与えながら加熱調理を行うことで、肉まんやシュウマイなどの蒸し料理が可能となる。
【0146】
また、過熱水蒸気を用いて加熱調理を行うことで、熱風よりも大きなエネルギーを被加熱物4に与えることができるため、被加熱物4の外側をしっかり焼いて、内部をジューシーに仕上げる加熱調理が可能となる。
【0147】
また、ハロゲンヒータ12hを背面下部に配置し、その上方に反射板5bを配置していることから、ハロゲンヒータ12hによる直接光12bと反射光12aと底面反射光12cによって被加熱物4を効率良く加熱することが出来るとともに、蒸気発生手段13から生成される蒸気と熱風ユニット5内の空気、また加熱室2内の空気も直接加熱することができる。
【0148】
従って、加熱室2内に供給された後の蒸気でも、ハロゲンヒータ12hの輻射熱によって加熱状態を保持することができるため、微細な蒸気の状態で長時間維持することができる。
【0149】
特に、ハロゲンヒータ12hは立ち上がりが早いため、被加熱物4と空気を急速加熱することが可能である。
【0150】
本実施例によるオーブンレンジを用いた調理例を以下に示す。
【0151】
まず、本体1のドア36を開け、加熱室2内のテーブル3上に焼き網3aを設置する。
【0152】
焼き網3aの上に被加熱物4を載置し、ドア36を閉め、操作パネル(図示せず)を用いて調理内容を指示する。
【0153】
使用者の指示によって加熱調理を開始すると、まず制御手段27によってハロゲンヒータ12hが点灯され、熱風ユニット5内の空気を加熱する。
【0154】
同時に、ハロゲンヒータ12hから照射される直接光12b,反射光12a,底面反射光12cと一緒に輻射熱が伝わり、被加熱物4が加熱される。
【0155】
制御手段27によってハロゲンヒータ12hの点灯と同時にファンモータ11が駆動され、送風手段10が回転して加熱室2から中孔51bを通して吸込流2aが熱風ユニット5に流れ、逆に熱風ユニット5から上孔51aと下孔51cを通して吹出流2bが加熱室2に流れる。
【0156】
よって熱風ユニット5内でハロゲンヒータ12hによって加熱された空気が加熱室2内に供給されることにより、加熱室2内の温度が高くなり、被加熱物4を加熱する。
【0157】
その後、水を貯めたタンク(図示せず)から水が蒸気発生手段13に送水され、蒸気発生手段13によって飽和水蒸気が生成される。
【0158】
この時、ハロゲンヒータ12hを消灯して飽和水蒸気を生成した場合は、飽和水蒸気が送風手段10によって直接加熱室2内に供給される。
【0159】
こうして、被加熱物4を蒸し調理することができる。
【0160】
また、蒸気発生手段13によって飽和水蒸気が生成されたとき、ハロゲンヒータ12hを点灯していると、蒸気発生手段13から生成された飽和水蒸気が熱風ユニット内で更に過熱され、熱風ユニット5内で過熱水蒸気が生成される。
【0161】
よって、ファンモータ11と送風手段10により過熱水蒸気が加熱室2内に供給される。
【0162】
こうして、被加熱物4を過熱水蒸気を用いて加熱調理することができる。
【0163】
以上のように、蒸気発生手段13と、照明手段と加熱手段を兼ねたハロゲンヒータ12hを背面に配置したオーブンレンジにおいて、使いやすく、加熱効率が高く、蒸気を用いた加熱調理を行うことができる加熱調理器を提供できる。
【0164】
また、本実施例の構成を用いることで、実施例1や実施例2に示したオーブンレンジにおいても、同様の効果が得られる。
【実施例4】
【0165】
本発明による第4の実施例を図9を参照して説明する。
【0166】
図9は、本発明による第4実施例で、送風手段を持たない単機能電子レンジの側面断面図である。
【0167】
被加熱物4を収納する加熱室2,マグネトロン6,回転アンテナ8,アンテナモータ9などから構成され、加熱室2の後板51と筐体35に囲まれた空間52に光源12とその上部に反射板5bを配置している。
【0168】
後板51には光を透過させる孔が設けられているので、光源12から照射された直接光12b、反射板5bによって反射された反射光12a,テーブル3によって反射された底面反射光12cが加熱室2内に照射されるため、焼き網3a上に載置した被加熱物4の全面から光を照射することができるため、被加熱物4の加熱調理の様子を見やすく、使いやすい加熱調理器を提供できる。
【0169】
また、加熱室2の下方は赤く明るく、上の方はやや暗く光が照射されるため、暖炉や炭火のような直火で加熱調理をしているかのような印象を与える加熱調理器を提供できる。
【0170】
ここで、光源12が照明手段と加熱手段を兼ねている場合は、光を加熱室2内に照射するとともに、被加熱物4を輻射加熱によって加熱調理することが可能である。
【0171】
また、本実施例による単機能電子レンジ以外にも、上下にヒータを備えて送風手段を持たないオーブンレンジでも、後板51と筐体35に挟まれた空間52内に光源12を配置し、後板51に光源12の直接光12bが通過できる孔を配置することによって、本実施例の適用が可能であり、同様の効果が得られる。
【0172】
また同様に、加熱ムラを低減するためにテーブル3が回転するターンテーブル式電子レンジにおいても本実施例の適用が可能である。
【0173】
また同様に、単機能オーブンなどの加熱室2を持つ加熱調理器全般に適用が可能である。
【実施例5】
【0174】
本発明の第5の実施例を図10を用いて説明する。
【0175】
図10は本実施例によるオーブンレンジの側面断面図で、制御手段27によって処理される制御信号の様子を示したものである。
【0176】
本実施例の加熱調理器は、ターンテーブルレス方式のオーブンレンジであるが、加熱室2の底面に置かれたテーブル3が加熱室2とは分離されて加熱室2から着脱自在であり、テーブル3の下に被加熱物4の重さを測る質量検出手段22を設置していることが大きな相違点である。
【0177】
本構成によれば、質量検出手段22によってテーブル3上の被加熱物4の重さを検出し、該検出値に基づいて制御手段27によってハロゲンヒータ12hの加熱量や、蒸気発生手段13から供給される水蒸気量を制御し、被加熱物4の調理内容に応じた適量の過熱水蒸気を加熱室2内に供給できる。
【0178】
また、本実施例では、被加熱物4をテーブル3に直に載置せず、テーブル3上の焼き網3aに載置する調理構成としており、熱風ユニット5から照射される光源12の直接光
12bが被加熱物4の表面に、底面反射光12cが被加熱物4の裏面に、反射光12aが加熱室に、それぞれ当たることにより、被加熱物4を全面から加熱が可能であり、更に熱風ユニット5から供給される過熱水蒸気20も被加熱物4の全面に当たることにより、効率良く加熱することができる。
【0179】
また、この図10において、質量検出手段22から制御手段27に出ている信号線が質量検出信号23,制御手段27から回転アンテナ9に出ている信号線がアンテナ制御信号24,制御手段27から熱風ユニット5に取り付けられた蒸気発生手段13に出ている信号線が蒸気量制御信号25,制御手段27からマグネトロン6に出ている信号線がマイクロ波制御信号26,制御手段27から光源12に出ている信号線が光源制御信号40である。なお、ここに示した検出信号、制御信号以外の信号線や動力線は省略している。
【0180】
次に、図10に示す質量検出手段22と熱風ユニット5を有するターンテーブルレス式オーブンレンジにおいて自動で加熱調理する調理方法を以下に具体的に説明する。
【0181】
まず、ドア36を開けて焼き網3aをテーブル3上に載置し、焼き網3aの上に被加熱物4を載置し、ドア36を閉める。そして、被加熱物4の種類や調理メニュー内容を操作パネル(図示せず)により指示する。なお、被加熱物等を自動認識できる調理機器においては、該操作は省略可能である。
【0182】
次に、使用者により調理開始を指示すると、制御手段27が指示を出して、質量検出手段22によって被加熱物4の質量検出を自動的に行う。
【0183】
使用者が指示した調理内容と、被加熱物4の重量から制御手段27によって最適な加熱パターンが計算され、制御手段27がマイクロ波制御信号26でマグネトロン6を、光源制御信号40で光源12をそれぞれ駆動することによって、重量や載置位置に適した加熱調理を行うことができる。
【0184】
つまり、本実施例のオーブンレンジでは、被加熱物4の重さは自動検出されるので、ユーザが手入力で被加熱物4の重さ情報(重さ何グラムや、何人前,何人分等)を入力する必要がなくなり、ユーザが事前に被加熱物4の重さを測ったり、重さ情報を手入力するなどの手を煩わすことがない。
【0185】
ここで、重量検出手段22の数は1つ以上であればいくつでも良いが、複数の重量検出手段22を備えている場合は、複数の重量検出手段22によって検出されるそれぞれの重量を比較することによって、被加熱物4の載置位置も検出することが可能である。
【0186】
また、本実施例のように蒸気を使った加熱調理では、前記被加熱物4の種類や調理メニュー、被加熱物4の重さ、加熱時間をもとに蒸気発生量を自動的に算出し、決定する。蒸気発生量の制御は、例えば制御手段27によって蒸気発生手段13に供給される供給水量を制御することにより行うことができる。なお、熱風や蒸気の温度制御は、ハロゲンヒータ12hにより行われる。
【0187】
前記諸々量の算出と決定は自動的にほぼ瞬時に行われ、その後、蒸気を使った加熱調理が自動的にスタートする。調理中の蒸気発生量は、被加熱物4の種類,調理メニュー,質量等の情報に応じて、制御手段27で適正に制御される。蒸気発生手段13から蒸気を連続的に発生させる調理もあれば、間欠的に発生させる調理もあるし、蒸気発生量が5cc/分程度でよい調理もあるし、20cc/分程度必要な調理もある。また、熱風温度も、オーブン調理に適した温度、例えば、200℃から300℃程度に制御される。
【0188】
なお、高温熱風が必要なオーブン調理でない場合(例えばレンジ調理)は、熱風ユニット5を構成する光源12はOFFで、送風手段10のみをONすればよく、その場合でも、送風手段10が破砕手段の役目を果たし、水蒸気の細分化、微細化が行われる。
【0189】
これら、被加熱物4の種類,調理メニュー,質量等の情報と、蒸気発生量や熱風温度等の制御諸量との関係は、あらかじめオーブンレンジの制御手段27等に記憶されている情報と、それをもとにした計算から算出できる。
【0190】
そして、所定時間(加熱時間)経過すると調理が終了し、ユーザに終了を知らせる。
【0191】
また、以上で説明した調理のフローは手入力で行ってもよい。つまり、被加熱物4の重さ,加熱時間,蒸気量を、ダイヤルやボタン等により手入力するものである。
【0192】
尚、本実施例での質量検出手段22は、静電容量式や歪式や光学式センサ等のどんな方法であっても差し支えない。
【0193】
本実施例では、被加熱物4を全面から加熱して加熱効率を高め、全面から光を照射して被加熱物4を外部から見やすくするために、焼き網3aを用いた調理を示したが、焼き網3aを使用せずにテーブル3上に直接被加熱物4を載置した場合でも本実施例の構成は適用できる。
【0194】
また、本実施例ではテーブル3が回転しないテーブルであるターンテーブルレス式構造のオーブンレンジを例として示したが、テーブルが回転するターンテーブル式オーブンレンジにおいても本構成は適用できる。
【実施例6】
【0195】
次に、本発明の他の実施例を説明する。本実施例では加熱調理器を、マグネトロンなどで構成される高周波加熱手段を有する電気式オーブンレンジを例にとって説明する。なお、本実施例は、電気オーブン,電子レンジなどの加熱調理器にも適用できる。
【0196】
本実施例において、従前の図面に示された構成とその構成に付された符号を援用する。図11において、本実施例では、送風手段10の下方で空気流の流出側に光源を設け、その光源は発光する加熱手段である。この光と熱を発する発光熱源12eは、発光熱源12eの外周を覆う透明または略透明な発光熱源の拡散手段12fを備える。他の実施例と同様に送風手段10の種類は、ラジアルファンでなくても良く、クロスフローファンやシロッコファン、ターボファン等の送風機であっても差し支えない。
【0197】
また、加熱室2の背面壁には、多数のパンチング孔よりなる吸込孔である中孔51b,吹き出し孔である上孔51a,下孔51cが設けられており、中孔51bは送風手段10の略中心部、すなわち空気流の中孔51bに対向した位置に設けられ、上孔51a,下孔51cは送風手段10の上下位置にそれぞれ設けられている。
【0198】
この発光熱源12eとしては、明るい光を放つハロゲンヒータなどのガラス管ヒータが適している。このガラス管ヒータは、従来広く利用されている金属管に絶縁物を介して抵抗線を封入したシーズヒータに比べて光出力や放射効率が大きい特徴があり、空気を介して被調理物4を加熱する対流加熱だけでなく、被調理物4を直接輻射加熱する加熱効率が高い。特にフィラメントの周りに不活性ガスを封入したハロゲンヒータは、放射効率が大きく、また絶縁物等を介在しないため昇温特性が速く、通電とともに大きな発光を伴ってヒータ発熱が生じ、ヒータ外周に大きな発光量と放射熱量を供給することができ、さらに高い熱感度であるため加熱の制御性も良好である。もちろん、石英管の内部に抵抗発熱線を設けた石英管ヒータや赤外線ヒータでもハロゲンヒータと同様に、シーズヒータに比べて大きな発光量と放射熱量を発することができ、構造が簡単且つ安価な発光熱源12eを構成できる。
【0199】
また、発光熱源12eがハロゲンヒータであるため、発光熱源12eの立ち上がりが早く、発光熱源12eが放射する光及び熱を素早く周囲に拡散することができ、これによって、ダクト5a内を通過する高温の水蒸気と加熱室に載置した被調理物をより早く、かつ効率良く加熱することができる。
【0200】
また、発光熱源12eの中心波長が0.8〜2.0μmの近赤外線ハロゲンヒータであり、水分に吸収されやすい近赤外線を中心に放射するため、水分を多く含む食品などの被調理物を加熱する場合の加熱効率が高い。
【0201】
さらに、ハロゲンヒータは可視光線も放射するため、加熱室を明るく照らすことが可能である。
【0202】
ここで、図16により本実施例の発光熱源12eと、それを覆う拡散手段12fの構造について説明する。図16の左側は発光熱源12eの長さ方向に切断した場合の側面断面図、右側は発光熱源12eの長さ方向に垂直に切断した場合の断面図である。
【0203】
図16に示した発光熱源12eは、ガラス管内部に不活性ガスであるハロゲンと、フィラメント121を封入しているハロゲンヒータの例である。電源とフィラメント121の短絡防止のため、不導体である磁器製のガイシ122を両端に配置して内部の部品を固定しており、その外側に配置された端子123から電源を供給することで、フィラメント
121が発光及び発熱する。発光熱源12eを本体1に取り付ける際は、ガイシ122部分を熱風ユニット5のダクト5aに固定することで、ダクト5aと絶縁した状態を保持して安定的に固定することができる。
【0204】
また、発光熱源12eと拡散手段12fの間は両端のガイシ122によって密閉されており、外部の空気が容易に入り込めない構造になっている。このため、ダクト5a内に放射される水蒸気などの水分や、水に含まれるミネラル分からなるスケール、その他の異物は拡散手段12fの内部に入らず、発光熱源12eへの水分や異物の付着を防止できる。また、発光熱源12eは水分や異物の付着によって劣化することがないため、長期間安定した性能を保持することができる。
【0205】
このように、発光熱源12eと拡散手段12fとは、棒状のハロゲンヒータである発光熱源12eと、それを覆う拡散手段12fとによって二重管構造となっており、拡散手段12fは発光熱源12eのガイシ122によって支持され、発光熱源12eと一体化構造となっている。
【0206】
図16において、右の断面図に示す実施例では、発光熱源12eと拡散手段12fの中心軸を偏心させているが、もちろん中心軸を一致させて同心円状配置であってもよい。
【0207】
拡散手段12fは、発光熱源12eから発射された直接光12bを集光・拡散して通過させるものであり、発光熱源12e単体の場合に比べて光や熱を放射する表面積を大きくするとともに、光や熱を拡散することにより、さらに効率良く空気や被調理物4を加熱することができる。
【0208】
ここで、拡散手段12fは、耐熱温度が高く、透明か透明度の高い略透明の石英ガラスや結晶化ガラスなどで構成されるのが最も望ましい。拡散手段12fが透明または略透明であるため、発光熱源が発する可視光線の透過率が高くなり、更に加熱室内を明るく照らすことができる。また、発光熱源が照射する光がそのままの色で加熱室外に届くため、発光熱源が動作しているかどうかを使用者が目視で確認でき、使い勝手の良い加熱調理器を提供できる。
【0209】
特に、石英ガラスは広い波長範囲の光を透過し放射することができるため、可視光線や赤外線を拡散放射して被調理物4や空気の加熱効率を高めることができる。
【0210】
本実施例の構成では熱風ユニット5のダクト5aが蒸気発生手段13より供給される水蒸気19により高温多湿化するため、水分や水に含まれるアルカリ成分が拡散手段12fに付着することがあるが、高温でも異物の付着による化学反応が起こりにくい。結晶化ガラスに比べると耐熱性はやや劣るものの、広範囲波長の光透過性が高いため、発光熱源が発する赤外線から紫外線までの光の多くを加熱室内に効率良く拡散することができる。このため、結晶化ガラスの耐熱温度よりも低い温度で使用する場合には石英ガラスを利用することが可能となり、本実施例の効果を得られる。
【0211】
また、可視光や熱の透過性の良好な結晶化ガラスを用いた場合には、また、耐熱衝撃性が非常に高く、高温でも化学反応を起こしにくいため、発光熱源拡散手段が高温に加熱された場合や、表面に異物が付着した場合でも、劣化が起こりにくく、破損を防止できる。この結晶化ガラスは熱膨張係数が非常に小さいため、加熱と冷却を繰り返しても破損することが少なく、長期間の安定使用が可能となる。そのため、拡散手段12fとして特に適している。
【0212】
なお、この拡散手段12fは、図16に示すように発光熱源12eと一体で構成すれば、熱風ユニット5への取り付けが容易となるが、ダクト5a内で発光熱源12eに直接空気が衝突しない構成であれば別途配置してもよい。
【0213】
図16に示すように、発光熱源12eを発光量や放射熱量の大きいハロゲンヒータで構成し、ハロゲンヒータの外周を拡散手段12fである結晶化ガラス管で覆う構成とした場合には、図14に示すように可視光(波長が約380〜800ナノメートル)も放つ発光熱源12eにより、拡散手段12fを介して拡散した直接光12bがダクト5a内で反射し、発光熱源12eの配置されたダクト5aの下方側から蒸気発生手段13の配置されたダクト5a上方の隅々まで光が届き、ダクト5a内を直接光12bで照らすことができる。
【0214】
従って、熱風ユニット5のダクト5a内を通過する水蒸気と混合した高温空気は、直に拡散手段12fの表面で加熱されるとともに、直接光12bによる熱放射で水蒸気を加熱することができ、被調理物4の加熱に有効な高温の水蒸気を加熱室2に供給することができる。
【0215】
また、この発光熱源12eから出る直接光12bは、拡散手段12fを介して隅々まで広がり、高温水蒸気を吹き出す加熱室2の上孔51a,下孔51c(パンチングメタル穴)から加熱室2の被調理物4を明るく照らすとともに、高温水蒸気の微細化を加熱室2で長く維持させることができる。
【0216】
また、熱風ユニット5内に設けられた発光熱源12eを覆う拡散手段12fによって、発光熱源12eから照射される直接光12bが拡散して、上孔51a,中孔51b,下孔51cを通じて直接光12b及び反射光12aが加熱室2の壁面全体を照らすので、加熱室2に載置した被調理物4を多方面から加熱する。また直接光12b及び反射光12aは、蒸気供給手段13よりダクト5a内の吹出口18から放出され加熱室2に充満した高温の微細水蒸気20を高温に維持し、被調理物4の加熱に有効な高温の水蒸気を加熱室2に安定して供給・保持することができる。
【0217】
蒸気の吹出口18は、蒸気発生手段13に接続されている。蒸気発生手段13は基本的にダクト5a内の吹出口18以外に蒸気を吹き出す出口をもたない半ば密閉状態にある。そして吹出口18の先端は、送風手段10から流出する空気流に向けて吹き付けるように開口している。図13においては、送風手段10からの気流に対して横から蒸気流が吹き付けられるが、斜めに吹き付けるようにしても構わない。最も望ましくは、送風手段10から流出した直後の空気流に向けて吹き付け、該空気流に衝突させるように開口させるのがよい。また、吹出口18の口径の大きさと数は水蒸気の噴出速度を制御するパラメータとなるもので、本実施例においては、口径は1〜3mmで、個数は2〜4個が望ましい。
【0218】
また、図16では、発光熱源12eの中心軸と、その外周の拡散手段12fの中心軸を偏心して設けた。これにより、発光熱源12eの照射する熱源からの光である直接光12bの外周方向の光量分布や放熱分布を自在に調節、設定することができ、よりダクト5a内の水蒸気を過熱し易い熱の向きや、加熱室2に照射し易い光の向きに光拡散量を調整し、被調理物4の加熱調理に有効な高温の微細水蒸気20をさらに効率良く生成できる。もちろん、発光熱源12eの中心軸と拡散手段12fの中心軸は同軸でも良く、その場合は発光熱源12eの周囲に照射する光量は、ほぼ均一な分布となる。
【0219】
ここで、本実施例では、熱風ユニット5の背面側となるダクト5aの外側であって、送風手段10の上方に蒸気発生手段13が設置され、ダクト5aの内側であって、送風手段10の下方に発光熱源12eが設置され、ダクト5aにおいて送風手段10を挟んだ上下の位置関係に対向するように、蒸気発生手段13と拡散手段12fで覆われた発光熱源
12eがそれぞれ配置されている。
【0220】
すなわち、蒸気発生手段13の吹出口18から供給される水蒸気19が万一、拡散手段12fに直接接触した場合、水の含有成分によっては拡散手段12fの表面で析出し、スケールとして残存する場合がある。このため、本実施例では、拡散手段12fで覆われた発光熱源12eと蒸気発生手段13を、送風手段10を挟むようにできる限り離して配置する。
【0221】
このように、本実施例において、蒸気発生手段13を熱風ユニット5の上方に、拡散手段12fで覆われた発光熱源12eを熱風ユニット5の下方に、それぞれ送風手段10を挟んだ位置関係に配置して、熱風ユニット5内において送風手段10から外周方向に向かって吹き出る流れに対し、拡散手段12fと蒸気発生手段13がそれぞれ略反対向きの位置関係とする。これにより、蒸気発生手段13の吹出口から吹き出した水蒸気19は、拡散手段12fに直接接触せず拡散手段12fの表面でスケールとして析出し難いといった効果がある。
【0222】
また、本実施例では発光熱源12eを拡散手段12fで覆い、二重管構成としたものであるため、拡散手段12fが水蒸気等から発光熱源12eを守る役目を果たしている。よって、万一、長期間使用後に高温蒸気により拡散手段12fが破損したとしても、その内部の発光熱源12eが同時に破損することがなく、発光熱源12eの封入ガスが抜けることや、フィラメント121や抵抗線など素線がダクト5aに接触する漏電や感電などが生じ難くなり、発光熱源12eの長寿命化を達成できる。
【0223】
さらに、ダクト5aの外側に設けた蒸気発生手段13と発光熱源12eを、送風手段
10を挟む位置関係に分離して設けるので、熱風ユニット5のコンパクト化と低コスト化に繋げることができる。特に、加熱調理器本体1の奥行き方向の寸法を小さく抑えることが可能となる。
【0224】
つまり、図15に示すように、送風手段10からの流出風17の流れの向きが略反対向きとなる位置に配置することで、スケール等による破損や劣化などを抑制し、拡散手段
12fで覆われた光熱源手段12の寿命を著しく延ばすことができ、長期間安定した加熱調理を行うことができる。
【0225】
また、過熱された水蒸気は水分子同士が結合状態にあるものが少なくなるため軽量化し、周囲の部材が熱せられて加熱空間となっている熱風ユニット5のダクト5a上方に滞留し易い。そのため、蒸気発生手段13に対し発光熱源12eを、送風手段10を挟んでダクト5aの下方に配置することで、蒸気加熱を行った後で熱風ユニット5内に残留する蒸気があっても発光熱源12eの表面で結露などが生じ難くなる。
【0226】
加熱室2においては、高温空気及び高温水蒸気によりその天井面側の空気温度が高くなり易いため、発光熱源12eから直接加熱された空気が加熱室2の下側の吹出孔である下孔51cから吹き出す流れを加熱室2に与え、その内部の空気を攪拌することによって加熱室2内の温度分布を小さく抑え、加熱ムラを抑えて被調理物4を調理できるといった効果が期待できる。また加熱ムラを抑えるために、ダクト5a内には導風板5cを設け、上孔51a、下孔51cの後板51における分布に合わせて、気流を加熱室2内に導くようにしてもよい。
【0227】
また、発光熱源12eは熱と光を放射することによって、被調理物4や空気とともに、加熱室2の左右壁面,上壁面,背面壁,テーブル3を加熱する。そのため、発光熱源12eの放射エネルギーが加熱室2の内壁に吸収され、各壁面を急速に高温化して壁面からの放射熱量を増加することができるので、各壁面から照射される放射熱量により、被調理物4をより効率良く加熱調理できる。また、加熱室2内へ供給された水蒸気の温度低下を防ぐことができる。
【0228】
さらに、加熱室2を構成する内壁(左右壁面,上壁面,背面壁面,テーブル3)の一部に熱放射性能を向上させるように高輻射粒子を混入した塗料を塗布することにより、放射性能が高められた加熱室2の内壁温度を急速に高め、加熱室2に載置した被調理物4を直接光12bと反射光12aによる熱放射と、加熱室2の内壁による熱放射により加熱し、さらに加熱室2に充満した高温の微細水蒸気に大きな放射熱量を与え続け、高温水蒸気の微細化を加熱室で長く維持させることができる。
【0229】
このように熱風ユニット5において、蒸気発生手段13と拡散手段12fで覆われた発光熱源12eを、送風手段10を挟んで離して配置すると、蒸気発生手段13から供給されたほぼ飽和の水蒸気が発光熱源12eを覆う拡散手段12fに効率良く当たらず、過熱水蒸気がうまくできないことが懸念されるが、前記熱風ユニット5の中孔51b,上孔
51a,下孔51cが循環する空気流の流れ抵抗となっているので、蒸気発生手段13から供給された水蒸気は送風手段10の旋回流などの高速流によって熱風ユニット5内で攪拌され、離れた位置にある発光熱源12eに激しく吹き付けられ、さらに高温に過熱された過熱水蒸気を生成することが可能である。
【0230】
また、発光熱源12eによって過熱された微細水蒸気20を含んだ高温熱風の温度は、100℃から350℃程度にすることもできるが、本実施例においてオーブン調理を考えた場合、望ましくは200℃から300℃程度がよく、より好ましくは230℃から270℃程度(250±20℃)がよい。生成された微細水蒸気20は、加熱室2内の被調理物4に吹き付けられて、次のような効果が得られる。
【0231】
一つは、微細水蒸気20は、被調理物4の表面内層、さらには内部にまで浸透して行き、該被調理物4に水分を補給することによって加湿や保湿を行う。一方、もう一つは、被調理物4の表面に接触したり付着した微細水蒸気20が、温度が低い被調理物4の表面で凝縮することで大きな加熱エネルギーを発生し、効率良い加熱を行う。つまり、微細水蒸気20が凝縮水滴になることによって発生する凝縮潜熱によって被調理物4を効率良く加熱調理していく。さらに、過熱された水蒸気が被調理物4に吹き付けられるときに電磁波加熱(レンジ加熱)を組み合わせて被調理物4の内部温度を高めることで、相乗的効果を得ることができる。
【0232】
なお、本実施例のように、熱風ユニット5の上方に蒸気発生手段13を、送風手段10を挟んで下方に発光熱源12eを配置した構成でなく、例えば逆に、熱風ユニット5の上方に発光熱源12eを、送風手段10を挟んで下方に蒸気発生手段13を配置した構成であってもよい(図18で後述する)し、別の実施例として、発光熱源12eと蒸気発生手段13を、送風手段10を挟んで左右に離して配置した構成であってもよい。要は、発光熱源12eと蒸気発生手段13の位置を離すべく、送風手段10の同じ側に配置されなければよい。
【0233】
図11及び図12の電気式オーブンレンジの本体1は、加熱室2の下部中央に回転するテーブルがなく、略固定されたテーブル3が備わった、いわゆるターンテーブルレス式オーブンレンジと言われるものであるが、本実施例は、テーブルが回転する方式のターンテーブル式オーブンレンジにも適用できる。
【0234】
また、熱風ユニット5のダクト5aの外側に配置されている蒸気発生手段13は、他の蒸気発生手段13を備える実施例と同様であるが、水が供給される容器13aと、該容器13aを加熱するヒータ13b,サーミスタ等の温度検出器(図示せず)等から構成される。
【0235】
ここで、容器13aはアルミダイキャスト等のアルミニウム材やステンレス材等の錆び難い金属材料で構成され、ヒータ13bは容器13aの肉部に埋め込まれたシーズヒータ等で構成されている。但し、容器13a,ヒータ13bともこれらの構成に限る必要はなく、容器13aは、昇温時間を短くするために熱容量を小さくすることが好ましく、より望ましくは容器13aの質量が100g〜200g程度がよい。また、ヒータ13bは、同じように昇温時間を短くするために、望ましくは100V電圧において、消費電力を
500W〜1000W程度にするのがよい。
【0236】
このように、質量や消費電力を上記の数値にすることにより、蒸気発生手段13の所定温度までの昇温時間を30秒〜1分程度、もしくはそれ以下にすることができる。
【0237】
もちろん、容器13aとヒータ13bは、この仕様や数値に限定する必要はないし、容器13aやヒータ13bはそれぞれ複数個に分割されていてもよい。また、蒸気発生手段13の外壁を断熱材で覆い、周囲への放熱を抑制すると、昇温時間が短縮されたり、加熱効率の向上/省エネに繋がる。
【0238】
容器13aへの水の供給は、本体1内に設けられた水タンク14から水ポンプ15と水配管34を介して行われる。ここで、水としては、衛生面を考えると、塩素成分を若干含む水道水等が望ましい。また、水タンク14や水ポンプ15,水配管34は、図11及び図12に示す位置に限る必要はない。特に、水タンク14は、本体1の前方から容易に取り出しやすい位置がよく、本体1の前方から見えるように、該本体1の底面か上面、又は側面がよい。
【0239】
なお、本実施例では、被調理物4をテーブル3に直に載置せず、テーブル3上の焼き網3aに載置する調理構成としているため、熱風ユニット5から吹き出される微細な過熱水蒸気20が被調理物4の上面以外にも側面,下面など全面に広く当たることにより、効率よく被調理物4を加熱することができる。
【0240】
ここで、被調理物4は図11のようにテーブル3上の焼き網3aの上に載置するだけではなく、図17のようにテーブル3に直接載置した場合においても、本実施例は適用できる。
【0241】
図18は本実施例に関し、図11の電気式オーブンレンジの熱風ユニット5における蒸気発生手段13と拡散手段12fで覆われた発光熱源12eの位置を入れ換えたものである。熱風ユニット5のダクト5aにおいて、送風手段10を挟んで上方に発光熱源12eを、下方に蒸気発生手段13を配置してある。
【0242】
図18において、拡散手段12fを介して発光熱源12eにより直接光12bが加熱室2上方の上孔51aから照射され、加熱室内壁面,被調理物4及びテーブル3など加熱室2内全体に照射される。
【0243】
このため、加熱室2内の被調理物4を放射熱で加熱するとともに、熱風ユニット5を介して循環して供給される高温の微細水蒸気20を加熱することができる。
【0244】
よって、加熱室2では微細化されて吹き出された高温水蒸気20を、微細化された状態で長時間維持し、安定した微細水蒸気を被調理物4に供給して効率よく調理することができる。
【0245】
また、加熱室2の背面上方に発光熱源12eが配置されるため、加熱室2の被調理物4を上方から明るく照らし、被調理物4の焼き色や調理過程をより把握しやすくなる。
【0246】
本実施例の構成によれば、蒸気発生手段を備えた加熱調理器において、加熱手段を発光熱源とそれを覆う発光熱源拡散手段により構成したので、光及び熱を照射する表面積が増加し、発光熱源から発する光及び熱を周囲に広く効率良く拡散し、熱風ユニットのダクト内部で乱反射して加熱室内を明るく照らすとともに、ダクトの隅々まで放射エネルギーを運べるので、ダクト内を通過する水蒸気に効率よく熱放射して水蒸気を微細化・維持し、被調理物の加熱に有効な高温の微細水蒸気を加熱室に安定して供給することができる。
【0247】
また、これらの拡散した放射エネルギーは、熱風ユニットから加熱室に向けて放射されるので、加熱室に載置した被調理物を効率よく加熱するとともに、加熱室に充満した高温の微細水蒸気も加熱することができる。
【0248】
さらに、発光熱源拡散手段によって発光熱源を覆うため、加熱室から熱風ユニットのダクト内に混入する水蒸気や油等が発光熱源へ直接接触するのを防止することができ、発光熱源の劣化を防止し、長期間の安定使用が可能となる。
【0249】
従来のこの種の加熱調理器において、特開2004−316999号公報に示すように、循環風を発生させるコンベクションファンとコンベクションヒータとを有するコンベクション室と、該コンベクション室と加熱室の境界壁に設けられた吸込口及び吹出口と、加熱室内に供給する蒸気を生成する蒸気生成容器とを備え、該蒸気生成容器を吸込口の近傍に設けたものがある。
【0250】
この公知文献では、蒸気を発生させる蒸気生成容器とコンベクションファン及びコンベクションヒータをコンベクション室内に設けていることから、蒸気生成容器から発生する蒸気などの水分,水に含まれるミネラル分であるスケールなどがコンベクションヒータに付着しやすく、コンベクションヒータの寿命を縮めることがあった。
【0251】
また、蒸気生成容器とコンベクションヒータの設置位置が近いため、飛散した水滴や蒸気がコンベクションヒータに付着し易く、ヒータにスケールが付着しやすい。
【0252】
そのため、水分やスケールの付着によって劣化しやすいヒータをコンベクションヒータとして用いると、使用に影響がでることがあった。
【0253】
また、コンベクションヒータに水分やスケールが付着しないように蒸気生成容器とコンベクションヒータの距離を離して設置すると、コンベクション室の容積が大きくなり、コンパクト性を阻害することになる。
【0254】
さらに、蒸気生成容器とコンベクションヒータの位置関係が蒸気の流れ上流と下流の配置となるため、コンベクションヒータにスケールが付着し易く、ヒータの異常加熱や断線などの原因になり易く、故障しやすい。
【0255】
また、特開2004−028578号公報に示すように、加熱室内に電波を照射する高周波発生手段と、蒸気を発生させる蒸発装置と、蒸発装置に水を供給する給水部と、給水を制御する制御手段等を備え、制御手段により加熱調理毎の必要給水量をあらかじめ設定して高周波及び蒸気により加熱調理を行う構成としたものもある。
【0256】
この公知文献では、循環ファンを有する部屋の下部に蒸気を発生させる蒸発装置を設け、その蒸発装置によって発生した蒸気を循環ファンの空気流入側に導いているため、蒸気の大きさに変化を与えることが難しい。
【0257】
また、蒸発装置によって発生した飽和水蒸気を加熱室内に供給する構造であるため、過熱した過熱水蒸気を生成して加熱室に供給することができない。
【0258】
また、加熱手段であるヒータやマグネトロンに水分やスケールが付着して劣化を引き起こすことがある。
【0259】
さらに、循環ファン上での結露による水滴飛散や空気流の通路抵抗増大、循環ファンを組み込む部屋のコンパクト性阻害といった問題等が発生する可能性があった。
【0260】
本実施例は、これらの公知文献における課題の少なくとも一つを解決するものである。
【図面の簡単な説明】
【0261】
【図1】本発明の第1の実施例によるオーブンレンジの側面断面図。
【図2】同実施例によるオーブンレンジの加熱室の正面図。
【図3】同一実施例によるオーブンレンジの熱風ユニット図。
【図4】暖炉の模式図である。
【図5】本発明の第1の実施例によるオーブンレンジにおいて、テーブルに直接被加熱物を載置して加熱調理を行う場合の側面断面図。
【図6】本発明の第2の実施例によるオーブンレンジの側面断面図。
【図7】同実施例によるハロゲンヒータの照射する光の波長と放射照度の関係を表す図。
【図8】本発明の第3の実施例によるオーブンレンジの側面断面図。
【図9】本発明の第4の実施例によるオーブンレンジの側面断面図。
【図10】本発明の第5の実施例によるオーブンレンジの側面断面図。
【図11】本発明の第6の実施例による電気式オーブンレンジの側面断面図。
【図12】図1の電気式オーブンレンジを背面から見た斜視図。
【図13】図11の熱風ユニットの斜視図。
【図14】図13の熱風ユニットの熱源光の進行方向を示す側面断面図。
【図15】図13の熱風ユニットの水蒸気の流れ向きを示す側面断面図。
【図16】発光熱源12eと発光熱源拡散手段を示す側面断面図。
【図17】第6実施例で調理網を使用しない調理時の側面断面図。
【図18】第6実施例の他の実施形態における電気式オーブンレンジの側面断面図。
【符号の説明】
【0262】
1…本体、2…加熱室、2a…吸込流、2b…吹出流、3…テーブル、5…熱風ユニット、5a…ダクト、5b…反射板、6…マグネトロン、10…送風手段、12…光源、
35…筐体、51…後板、51a…上孔、51b…中孔、51c…下孔、52…空間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に設けられ、被加熱物を収納する加熱室と、該加熱室の後板の背面側に前記筐体との間に設けられた空間と、を備えた加熱調理器において、前記後板に設けられた複数の孔と、前記空間内であって複数の孔を介して加熱室の底面を照らす位置に設けられた波長0.4〜0.8μmの可視光線を発する光源と、前記空間内であってこの光源より上方に配置され、前記孔を介して該光源からの光の反射光を前記加熱室の前面に向けて照射する反射手段とを設けたことを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
前記孔は、光源からの直接光が加熱室前面に向かう位置に開口していることを特徴とする請求項1記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記光源は、加熱室を背面下部から照射する照明手段と、被加熱物を加熱調理する加熱手段を兼ねていることを特徴とする請求項1ないし2記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記光源は、ハロゲンヒータであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の加熱調理器。
【請求項5】
筐体内に設けられ、被加熱物を収納する加熱室と、該加熱室の後板に設けられた複数の孔と、前記後板の後方に前記複数の孔を介して前記加熱室の底面を照らす位置に設けられ、波長0.8〜2.0μmの近赤外線を中心に放射するハロゲンヒータと、このハロゲンヒータより上方に配置され、前記加熱室の後板に設けられた他の複数の孔を介して該ハロゲンヒータからの反射光を前記加熱室の正面に照射する反射手段と、前記加熱室に空気流を循環させる送風手段と、この送風手段と前記ハロゲンヒータとを覆うダクトとを備え、前記ダクト内で前記ハロゲンヒータによって加熱された空気流を前記加熱室内に供給する加熱調理器。
【請求項6】
請求項5記載の加熱調理器において、前記ダクト内に噴き出す水蒸気を発生する蒸気発生手段を備え、前記ダクト内で前記ハロゲンヒータが前記水蒸気を過熱して過熱水蒸気を発生させる請求項5記載の加熱調理器。
【請求項7】
請求項5若しくは6に記載の加熱調理器において、被加熱物の質量を検出する質量検出手段と、前記質量検出手段の検出値に基づいて被加熱物への前記ハロゲンヒータからの加熱量を調節する制御手段と、を有する加熱調理器。
【請求項8】
加熱室の底面に設置されて被加熱物を載置する回転しないテーブルと、該テーブルを支持するようにテーブル下面に設置されて被加熱物の質量を検出する複数個の質量検出手段と、加熱室内に供給する水蒸気量を調節する制御手段を備え、複数個の質量検出手段の総和によってテーブル上の被加熱物の質量を検出し、該検出値に基づいて制御手段によって蒸気発生手段から供給される水蒸気量を制御し、被加熱物の調理内容に応じた適量の水蒸気を加熱室内に供給することを特徴とする請求項7記載の加熱調理器。
【請求項9】
請求項1に記載の加熱調理器において、前記光源を覆う拡散手段を有することを特徴とする加熱調理器。
【請求項10】
請求項9記載の加熱調理器において、前記光源及び前記拡散手段が管状であることを特徴とする加熱調理器。
【請求項11】
請求項5記載の加熱調理器において、前記ハロゲンヒータを覆う拡散手段を有することを特徴とする加熱調理器。
【請求項12】
請求項5記載の加熱調理器において、前記ハロゲンヒータを覆う拡散手段と、前記ダクト内に水蒸気を噴き出す噴出口を有する蒸気発生手段とを有し、前記拡散手段によって前記光源から放射される熱及び光を拡散させ、前記蒸気発生手段で生成した水蒸気を高温の過熱水蒸気とし、該過熱水蒸気を加熱室内に供給することを特徴とする加熱調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2007−327676(P2007−327676A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−157972(P2006−157972)
【出願日】平成18年6月7日(2006.6.7)
【出願人】(399048917)日立アプライアンス株式会社 (3,043)
【Fターム(参考)】