説明

加熱調理器

【課題】感熱棒を有する温度調節部を本体ケースから分離するとともに、本体ケース装着時にはその外周を本体ケースの外周に沿う形状にすることにより、見栄えを向上し、更には安全性を向上してなるグリル鍋を提供すること。
【解決手段】本体ケースと、該本体ケース内に収納配置される遮熱板と、該遮熱板内に配置される加熱源と、該加熱源の上方に載置される調理鍋と、温度調節部とを備えたグリル鍋において、前記温度調節部は、前記本体ケースに対し分離され、前記温度調節部を前記本体ケースに装着した際、前記温度調節部の外周は前記本体ケースの外周に沿う構成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、本体ケースと、温度調節用つまみ及び感熱棒等を有する温度調節部とを分離した加熱調理器、特に、グリル鍋に関する。
【0002】
加熱調理器の一種であるグリル鍋は、外郭を構成し底部に脚を有する本体ケースと、本体ケースの内側に収納され、ヒーターからの熱が本体ケースに伝わるのを防止するためのほぼ皿形状の遮熱板と、その遮熱板の内側に配置されるヒーターと、そのヒーターの上方にセットされる調理物を調理するための深鍋等の調理鍋と、温度調節部等を有し、温度調節部で温度を設定しヒーターに通電することにより、調理鍋内の調理物を加熱調理するものである。
【0003】
ところで、グリル鍋は、調理物を長時間加熱するための機器として広く利用されており、安全性の観点から温度ヒューズの設置が一般的であり、温度ヒューズが取り付けられていると配線上の制約等もあり、その多くは本体ケースに温度調節部が一体に形成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ところが、グリル鍋は、調理時に調理鍋の煮汁が吹きこぼれることがあり、吹きこぼれるとその煮汁は鍋の外周を伝って遮熱板に落下することがあるため、そのような場合には調理後に遮熱板を水で洗浄する等の手入れが必要になる。しかし従来のグリル鍋は、温度調節部が本体ケースに一体に形成されており、遮熱板を本体ケースから取り外すことができにくい構造であったため、遮熱板の手入れが容易でないという問題を有していた。
【0005】
ところで、グリル鍋と同じ加熱調理器としてホットプレートが知られている。このホットプレートは、グリル鍋に比べ調理時間が比較的短いこともあり温度ヒューズを取り付けることまでしておらず、配線が容易になる等の理由から温度調節器を本体ケースから分離し、更に遮熱板を本体ケースから簡単に取り外すことができるようにし、遮熱板及び本体ケースの手入れを容易にしている。
【0006】
従来のホットプレートを図19に示す。ホットプレート1は、本体ケース2、この本体ケース2内に収納される遮熱板3、ヒータ4、前記本体ケース2の上面に載る料理プレート5を有する。そして、遮熱板3の側壁には、温度調節器受け6が設けられ、この温度調節器受け6には、先端に感熱棒8を有する温度調節器7が着脱自在に取り付けられるとともに、温度調節器受け6より温度調節器7を離脱することにより、遮熱板3を本体ケース2より取り外すことが可能であり、上記グリル鍋に比べ手入れが容易であるという利点を有している(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
しかしながら、従来のホットプレートは、温度調節器受け6から外方に大きく突き出る形態で温度調節器7が着脱自在に取り付けられており、見栄えが悪いとともに、突き出た温度調節器7に手が当たったり等して思わぬ怪我をする場合が生じる。
【0008】
また、従来のホットプレートの温度調節器7は、本体ケースから取り外した場合、感熱棒が床に着かないような自立構造となっていないために、取り外した温度調節器7を床に置くと感熱棒8が床に当たり、感熱棒が高温状態であれば床が焼ける等の恐れが生じる。
【特許文献1】特開2000−41860(図2)
【特許文献2】特開2002−209755
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本願発明は、感熱棒を有する温度調節部を本体ケースから分離するとともに、本体ケース装着時にはその外周を本体ケースの外周に沿う形状にすることにより見栄えを向上し、更には安全性を向上してなる加熱調理器を提供することを目的にするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本願発明は以下の構成を採用する。
【0011】
請求項1に係る発明では、本体ケースと、該本体ケース内に収納配置される遮熱板と、該遮熱板内に配置される加熱源と、該加熱源の上方に載置される調理鍋と、温度調節部とを備えた加熱調理器において、前記温度調節部は、前記本体ケースに対し分離され、前記温度調節部を前記本体ケースに装着した際、前記温度調節部の外周は前記本体ケースの外周に沿う構成。そしてこの構成により、遮熱板及び本体ケース等の水洗い等による手入れが容易になる。また、温度調節部を本体ケースに装着した際、両部材の外周は連続するため全体の見栄えがよくなるとともに、温度調節部が突き出ることがないため手が当たり思わぬ怪我をする恐れもない。
【0012】
請求項2に係る発明では、請求項1の構成に加え、前記温度調節部の天面には、前記温度調節部を前記本体ケースに着脱する際、指の掛かり部としての凹部を有する構成。そしてこの構成により、請求項1に係る発明の作用に加え、温度調節部の着脱が容易になる。
【0013】
請求項3に係る発明では、請求項1、2の構成に加え、前記温度調節部は、底部両側に脚部を有し、前記脚部で単独で自立する構成。そしてこの構成により、請求項1、2に係る発明の作用に加え、例え感熱棒が高温であったとしても感熱棒が床に当たり床が焼ける等の弊害がなくなる。
【0014】
請求項4に係る発明では、請求項3の構成に加え、前記温度調節部は、プラグ受けが設けられるとともに、該プラグ受けが前記脚部の一側を形成する構成。そしてこの構成により、請求項3に係る発明の作用に加え、温度調節部の重心が下がり広い面積の脚部が確保されるため、温度調節部の自立がより安定する。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明では、温度調節部と本体ケースとを分離するとともに、温度調節部を本体ケースに装着した際、温度調節部の外周を本体ケースの外周と連続的に沿う形状にすることにより、温度調節部を本体ケースより離脱し、その後遮熱板を本体ケースより取り外すことができるようになるため、遮熱板及び本体ケース等の水洗い等による手入れを容易に行うことができるようになる。また、温度調節部を本体ケースに装着した際の見栄えを向上することができるとともに、温度調節部が本体ケースから外方に突き出ることがないため温度調節部に手が当たり思わぬ怪我をする恐れをなくすことができ、それだけグリル鍋の安全性を高めることができる。
【0016】
請求項2に係る発明では、温度調節部の天面に指を掛けるための凹部を設けることにより、請求項1に係る発明の効果に加え、温度調節部の着脱を容易且つより確実に行うことができ、それだけ利便性を高めることができる。
【0017】
請求項3に係る発明では、温度調節部の底部の両側に脚部を設け、温度調節部を本体ケースより取り外した後、脚部で単独で自立させることにより、請求項1、2に係る発明の効果に加え、温度調節部を本体ケースから取り外した際、例え感熱棒が高温状態にあったとしても感熱棒を水平状態に維持することができるため、感熱棒が床に当たり床が焼ける等の恐れをなくすことができる。
【0018】
請求項4に係る発明では、温度調節部にプラグ受けを設け、該プラグ受けを脚部の一側とすることにより、請求項3に係る発明の効果に加え、温度調節部の重心を下げることができ、且つ広い面積の脚部とすることができるため、温度調節部の自立をより安定化することができる。
【実施例】
【0019】
以下、添付の図面を参照して、本願発明の実施の形態について詳述する。
【0020】
図1に本願発明の加熱調理器の一種であるグリル鍋の全体斜視図を示し、図2に温度調節部を取り外したケースユニットの全体斜視図を示し、図3〜5に遮熱板、本体ケース及びヒータの斜視図を示し、図6〜10に温度調節部を種々の角度から見た図を示し、図11〜13に温度調節部の3カバーの斜視図を示し、図14に温度調節部の中カバーとターミナルユニット等の組み合わせ斜視図を示し、図15に温度調節部のターミナルユニットの平面図を示し、図16に温度調節部のサーモエレメントユニットの斜視図を示す。
【0021】
以下においてはグリル鍋を用いて説明する。グリル鍋Hは、外郭を構成する本体ケース10と、遮熱板20と、その遮熱板20の上方に載置される調理鍋30と、遮熱板20の内側に配置される加熱源としてのヒーター35と、該ヒーター35への通電を制御するための温度調節部50等からなる。
【0022】
本体ケース10を図4に示す。本体ケース10は、グリル鍋Hの外郭を構成する皿状で且つ平面視円形の樹脂成形部材であり、側壁11及び底壁12を有し、上方には遮熱板20が収納される上部開口13を有する。側壁11は、縦方向の断面が逆U字状の2重壁からなり、後記温度調節部50が装着されるための側部開口14が上端部14aを残した形態で設けられており、上端部14aを除いたその全体は略C字状を呈する。なお、上部開口13は、上端部14aにより連続した円形となっている。
【0023】
前記底壁12の中央には、下部開口15を有し、下部開口15を囲むように下方に突出する脚16が複数個、実際には5個底壁12の裏面に一体に設けられている。5個の脚16のうち、3個には凹み17が形成され、後記遮熱板20の3個の脚部23aが挿入する。また、底壁12の側部開口14付近には、1個のすり鉢状の係止溝18を有する。この係止溝18は下方にへこんだ円形の溝であり、後記温度調節部50が取り付けられた際、温度調節部50のケース先端に設けられる下方へ突出した逆円錐状の係合突起61が係合する。
【0024】
遮熱板20を図3に示す。遮熱板20は、金属性の薄板をプレス加工により一体形成されるものであり、全体はほぼ皿状で且つ平面視円形の部材であり、側壁21及び底壁22を有する。底壁22には、3個の凸部23と5個の切欠口24を有する。凸部23は、内方へ突出する円形の部分であり、その外側の円形の凹み部分には脚部23aが挿入されビスにより内側から取り付けられる。この脚部23aは、遮熱板20が本体ケース10内に収納された際(図2の状態)、本体ケース10の3個の凹み17内に位置する。前記切欠口24には、ヒーター保持金具25の直角に折れ曲がった下端部が挿入される。ヒーター保持金具25は、上部にU字状の切欠を有するL字状の平板部材であり、直角に折れ曲がった下端部を前記切欠口24に挿入し、ビス止めすることにより底壁22から立設する形態で取り付けられ、上部のU字状の切欠には図2に示すように後記ヒーター35が圧入され保持される。
【0025】
前記側壁21の本体ケース10の側部開口14に対向する部分には、若干内側に凹んだ窪み部26を有する。この窪み部26には、温度調節部50の感熱棒95が挿入される中央口27と、外側から内側方向を見て左側に位置する左側口27aと、外側から内側方向を見て右側に位置する右側口27bとを有する。図17に示すように、中央口27は左側口27aと右側口27bとの間の中間に位置し、中央口27と左側口27aとは同一水平線上に位置し、右側口27bは中央口27及び左側口27aより高さnだけ下側に位置する。
【0026】
そして、左側口27aには後記ヒーター35の一方の端部に直付けされる直線状の第1電源用接続端子棒36が内側から外側に飛び出る形態で取り付けられ、右側口27bには後記ヒーター35の他方の端部に直付けされる略C字状の電源用接続端子37が内側から外側に飛び出る形態で取り付けられる。また、窪み部26の左右端部より若干左右側の側壁21には後記受けカバー金具40を取り付けるためのT字を横にしたような形状の2個(図3に片方のみ図示)の切欠口28を有する。
【0027】
加熱源であるヒーター35を図5に示す。ヒーター35は、平面視略ハート状からなるシーズヒーターであり、金属パイプの中にコイル状の電熱線を通し、パイプと電熱線間の接触を防ぐためマグネシアなどの耐熱性の無機質絶縁粉末を詰め、金属パイプの両端を密封した構造からなるもので通常インコロイヒーターとも呼ばれるものである。シーズヒーターはこのような構造を有するため金属パイプは絶縁されておりたとえ金属パイプに触れたとしても感電することはない。
【0028】
ヒーター35の一方の端部35aには、直線状の前記第1電源用接続端子棒36が取り付けられ、他方の端部35bには、略C字状の前記電源用接続端子37が取り付けられる。なお、ヒーター35の全体は略水平であるが、略C字状の電源用接続端子37が取り付けられる端部35bは下方に湾曲し、第1電源用接続端子棒36が取り付けられる端部35aより高さnだけ下方に位置する。なお、電源用接続端子37は丸型端子であってもよい。
【0029】
ヒーター35は前記遮熱板20内に取り付けられる。その取り付けは、直線状の第1電源用接続端子棒36を窪み部26の左側口27aより外側に突き出し、略C字状の電源用接続端子37を窪み部26の右側口27bより外側に突き出し、平面視略ハート状の本体部分を遮熱板20内に立設する5個のヒーター保持金具25の上部U字状の切欠に圧入して保持する。
【0030】
ところで、前記遮熱板20の窪み部26の左側口27aの下方には図17で概略的に示すように温度ヒューズ38が取り付けられる。そして、この温度ヒューズ38の一端側はリード線39により略C字状の電源用接続端子37に接続され、温度ヒューズ38の他端側はリード線39により受けカバー金具40に取り付けられる直線状の第2電源用接続端子棒41の後端部に接続される。
【0031】
受けカバー金具40は、遮熱板20の窪み部26に対向して設けられる正面視略矩形状で断面L字状の金属製の部材で、図18に示すように正面壁40a、側壁40b及び底壁40cを有する。正面壁40aには第1電源用接続端子棒36が貫通する第1開口42b、後記温度調節部50の感熱棒95が貫通する略U字状の中央開口42a、第2電源用接続端子棒41が図17に示すように取り付けられる第2開口42c、更には両端部近傍に後記受けカバー45を螺合するためのビス穴42dを有し、側壁40bには、遮熱板20の側壁21に設けられる2個のT字を横にしたような形状の切欠口28に係合するための略キノコ状の係止片43を有し、底壁40cには、受けカバー金具40を遮熱板20の底壁22にビス止めするためのビス穴44を有する。
【0032】
そして、第1開口42b、中央開口42a及び第2開口42cは、同一水平面に設けられる。この場合、上記したように遮熱板20の右側口27bを中央口27及び左側口27aより高さnだけ下側に位置させることにより、本体ケース10の径方向の拡大を抑えることができる。
【0033】
その理由を述べる。即ち、ヒーター35端部の電源用接続端子37とリード線39との接続、並びにヒーター35端部の第2電源用接続端子棒41とリード線39との接続は、それら接続を行うための空間が必要になる。しかし、遮熱板20と受けカバー金具40との間の距離は限られており、遮熱板20の右側口27bが中央口27及び左側口27aと同じ高さであると、同じ高さの位置に設けられる第1開口42b、中央開口42a及び第2開口42cとの間に前記接続を行うための空間を確保することが難しくなり、空間を設けようとすると遮熱板20と受けカバー金具40との間、即ち本体ケース10の径が必然的に拡大することになる。
【0034】
ところで、遮熱板20の側壁21は内側に向かって傾斜しており、遮熱板20の右側口27bを中央口27及び左側口27aより高さnだけ下側に位置させることにより、右側口27bと受けカバー金具40の垂直な正面壁40aとの間の距離が長くなり、前記接続を行うための空間を確保することができるようになる。
【0035】
受けカバー45は、受けカバー金具40正面壁40aに取り付けられる矩形状の樹脂部材であり、第1電源用接続端子棒36が貫通する第1貫通口46b、後記温度調節部50の感熱棒95が貫通する略矩形状の中央貫通口46a及び第2電源用接続端子棒41が貫通する第2貫通口46c、更に両端部にはビスにより受けカバー金具40に取り付けるためのビス穴47aが設けられるフランジ47を有する。
【0036】
前記温度ヒューズ38等の取り付けは次のように行われる。ヒーター35の一方の端部35aに直線状の第1電源用接続端子棒36を取り付け、他方の端部35bに略C字状の電源用接続端子37を取り付けたものを用意し、第1電源用接続端子棒36を遮熱板20の窪み部26の左側口27aより外側に突き出し、電源用接続端子37を右側口27bより外側に突き出し、平面視略ハート状の本体部分を遮熱板20内に立設する5個のヒーター保持金具25の上部U字状切欠に圧入して保持する。
【0037】
また、受けカバー金具40の第2開口42cに第2電源用接続端子棒41を取り付け、更に受けカバー金具40に受けカバー45を取り付けておく。その取り付けは、受けカバー45のフランジ47に形成されるビス穴47aからビスを挿入し、該ビスを受けカバー金具40のビス穴42dに螺合することにより行われ、取り付け後においては、両部材の3個の穴、即ち、中央開口42aと中央貫通口46a、第1開口42bと第1貫通口46b、第2開口42cと第2貫通口46cはそれぞれ一致する。
【0038】
その後、遮熱板20の窪み部26の下方に取り付けられる温度ヒューズ38の一端と略C字状の電源用接続端子37とをリード線39により接続し、温度ヒューズ38の他端と受けカバー金具40の第2開口42cに取り付けられる第2電源用接続端子棒41の後端部とをリード線39により接続する。その後、受けカバー金具40を遮熱板20に取り付ける。その取り付けは、受けカバー金具40の第1開口42bにヒーター35の一方の端部35aに取り付けられる第1電源用接続端子棒36を挿入し、2個の略キノコ状の係止片43を遮熱板20の側壁21に形成される2個のT字を横にしたような形状の切欠口28に係合する。その係合は、2個の係止片43を2個の切欠口28の垂直な部分に挿入し、次いで受けカバー金具40を水平な部分に沿って右側に押し込むことにより行われる。
【0039】
その後、遮熱板20の底壁22の内側よりビスを受けカバー金具40の底壁40cのビス穴44に螺合する。その結果、遮熱板20、ヒーター35、受けカバー金具40及び受けカバー45からなる遮熱板ユニットが完成する。なお、温度ヒューズ38は受けカバー金具40によってカバーされるため煮汁等が掛かる恐れがなくなる。また、温度ヒューズ38には保護用のカバーが設けられる。このようなカバーを設けることにより遮熱板20の手入れ時に温度ヒューズ38が水に濡れる等の弊害が防止できる。
【0040】
そしてこの遮熱板ユニットを本体ケース10に収納する。その収納は、本体ケース10の側部開口14に遮熱板ユニットの受けカバー45が合致するようにして行われる。遮熱板ユニットを本体ケース10に収納すると、遮熱板20の3個の脚部23aは、本体ケース10の3個の凹み17内に位置し、遮熱板ユニットの横移動を防止するとともに、本体ケース10と所定の間隔を維持して安定的に保持される。その結果、図2に示すようなケースユニットYが完成する。
【0041】
調理鍋30は、鍋32及び蓋33からなる。鍋32は、表面にフッ素加工が施されてなる皿状の金属製容器であり、深鍋の他に浅鍋及び底面が波状の浅鍋を有する。図1では深鍋32を示す。深鍋32には左右対象位置に2個の取手31を有するとともに、深鍋32内には前記浅鍋及び底面が波状の浅鍋が収納可能であり、必要に応じていずれかの鍋が使われる。
【0042】
次に、温度調節部50について説明する。温度調節部50は、温度つまみ及び表示器等からなる温度設定部、設定温度に応じてスイッチのオフ時期を変えるスイッチ部及び鍋の温度を検知する感熱棒95等からなる。図6に正面側の斜め上方から見た図を示し、図7に背面側から見た図を示し、図8に上方から見た図を示し、図9に右側面側から見た図を示し、図10に底面側から見た図を示す。温度調節部50は、上カバー51、中カバー65及び底カバー70の3カバーよりなる。
【0043】
図11に上カバー51の背面側の斜め上方から見た図を示す。上カバー51は、正面壁52、上面壁53及び背面壁54を一体成形し、下方開口の中空な樹脂製部材である。正面壁52は、外側に位置する操作面として機能する部分で、下方に向かって若干外方に傾斜し、正面視略矩形状で且つ平面視円弧状を呈する。そして、その正面側には温度つまみ86に連動するレベル支持針90が配置される矩形状の表示窓55を有し、該表示窓55の上方には、例えば0℃、100℃、200℃等の温度表示が付される。
【0044】
前記上面壁53は、正面壁52の上方に水平に連続する部分で、平面視略三日月状を呈し、その上面には下方に窪んだ楕円状の指掛かり部56を有する。この指掛かり部56は、温度調節部50を着脱する際、指を掛ける部分である。また、上面壁53の内側裏面には、底カバー70及び後記ターミナルケース96をビス止めするための円柱状の4個のボス59を有する。なお、温度調節部50を本体ケース10に装着した際、正面壁52は、本体ケース10の側壁11と図1で矢印Qで示すように連続する面を形成し、上面壁53は、本体ケース10の天面と同じく図1で矢印Rで示すように連続する面を形成する。このような形状とすることにより見栄えが向上するとともに、出っ張り部分が生じないため手等が当たり思わぬ怪我をする恐れはない。
【0045】
前記背面壁54は、垂直部分57及び水平部分58を有する。垂直部分57は背面視矩形状で且つ平面視円弧状を呈し、水平部分58は平面視台形状を呈し、更に水平部分58には若干の長さを有するスカート部58bが連続して形成されている。また、垂直部分57には、矩形状の垂直開口57aがかなりの大きさで設けられ、水平部分58には、台形状の水平開口58aがかなりの大きさで設けられている。垂直開口57aと水平開口58aとは連続した開口を形成する。
【0046】
前記スカート部58bには、その左右端近傍に2個の係止溝60、並びに逆円錐状の係合突起61を有する。係止溝60には底カバー70に設けられる係止爪75が係合し、底カバー70を保持する。また、係合突起61は、温度調節部50を本体ケース10に装着した際、本体ケース10の底壁12の係止溝18に係合し、クリック感により装着を知らせるとともに、位置決め作用を奏し、更には装着後に温度調節部50に上部より外力が加わった場合、感熱棒95より先に力を受けることで感熱棒95を保護する役目もする。
【0047】
図12に中カバー65を斜め上方から見た図を示す。中カバー65は、垂直壁66及び水平壁67を有する。垂直壁66は、正面視略矩形状で且つ平面視円弧状を呈し、その中央部には後記ターミナルケース96の外径と同形で若干大きい略矩形状の開口68が設けられる。また、垂直壁66及び水平壁67の全周にわたりクランク状に折れ曲がったリブ69を有する。
【0048】
中カバー65は、上カバー51の下方開口より挿入され、上カバー51の連続した垂直開口57a及び水平開口58aを閉鎖するものであり、中カバー65の垂直壁66及び水平壁67は、上カバー51の垂直開口57a及び水平開口58aのそれぞれより若干小さくされ、中カバー65のリブ69は、上カバー51の垂直開口57a及び水平開口58aのそれぞれより若干大きくされている。そのため、上カバー51内に中カバー65を挿入した際、中カバー65の垂直壁66及び水平壁67は、上カバー51の垂直開口57a及び水平開口58aを封止し、リブ69により上カバー51内に係止される。このリブ69は、吹きこぼれた煮汁等が上カバー51内に浸入しようとした場合、その浸入を防止する機能も有する。
【0049】
図13に底カバー70の正面側の斜め上方から見た図を示す。底カバー70は、水平壁71及びプラグ受け72を有する。水平壁71は、正面側が円弧状で背面側(感熱棒95側)が直線状の概略扇形状を呈し、その正面側の外周端近傍には後記温度つまみ86が摺動するための円弧状のスライド溝72を有し、スライド溝72の左右方向一方端の更に外側の端部には底カバー70を前記上カバー51に固定するための第1ビス穴74を有する第1ボス73が立設する。また、水平壁71の直線状の背面側には2個の係止爪75を有する。この2個の係止爪75は、上カバー51のスカート部58bに設けられる2個の係止溝60に嵌合する。
【0050】
前記水平壁71のボス73とは反対側の端部には、前記プラグ受け72が一体に成形される。このプラグ受け72は、中央に1枚の鉄板72aと、両端の2本の接続ピン72bを有し、図示しないマグネットプラグが接続される。このように温度調節部50にマグネットプラグを用いることにより、電源コードを引っかけたとしてもプラグが容易に外れるので安全性が向上する。なお、プラグ受け72の耐トラッキングのためプラグ受け72も含め底カバー70はフェノール樹脂製とする。
【0051】
プラグ受け72の上面には、前記第1ボス73の第1ビス穴74と対になる第2ビス穴77を有する第2ボス76が形成される。なお、プラグ受け72の下面の第2ビス穴77に対向する位置には第3ビス穴78が設けられ、この第3ビス穴78からドライバーを挿入してビス止めすることになる。
【0052】
プラグ受け72の下面は、水平壁71より長さt下方に延設され、且つ下面形状は図10に示すように略台形状にされ、第1脚部79を形成する。この第1脚部79は底カバー70の略1/4の大面積を占め、他の第2脚部80とともに温度調節部50を安定的に自立させる。また、底カバー70の下面であって、第1脚部79と対向する位置に第2脚部80が形成される。この第2脚部80は、図10に示すように略く字状にされ、前記第1脚部79とともに温度調節部50の脚部を形成する。このように脚部の少なくとも一方にプラグ受け72を利用することで大面積の脚を確保でき温度調節部50の安定感を増すことができる。なお、第1脚部79、第2脚部80の形状は、円、楕円、矩形等どのような形状でもよい。
【0053】
また、第1脚部79及び第2脚部80は、扇形の温度調節部50の両端に半径方向に設けられることになり、より安定性が増す。そして、第1脚部79及び第2脚部80は底カバー70より長さt下方になり、温度調節部50を本体ケース10に着脱する際、底カバー70の裏面にも指を掛けることができるようになる。そのため、指掛かり部56と底カバー70の裏面に指を掛けることにより温度調節部50を片手で容易に着脱することができるようになる。
【0054】
次に、前記上カバー51内に配設されるサーモエレメントユニット85について図14及び図16により説明する。サーモエレメントユニット85は、温度つまみ86、スライダー88、フォーク92、回転ドラム93、スイッチ部94及び感熱棒95等からなる。
【0055】
温度つまみ86は、底カバー70のスライド溝72の下方に配置される部材であり、前方である正面側に突き出た突出部86aを有しており、温度設定時には、突出部86aを指で掴んで温度つまみ86をスライド溝72に沿って図16の矢印(1)で示すように左右に移動する。この温度つまみ86にはスライド溝72から上カバー51内にまで突出する軸87を有し、この軸87は上カバー51内に位置するスライダー88に取り付けられる。なお、温度つまみ86の高さは、底カバー70とプラグ受け72の下面との長さt(図6参照)より短くされ、底カバー70の下面に取り付けられた際、その下端部はプラグ受け72の下面より上方に位置する。
【0056】
スライダー88は、矩形状で且つその全体が円弧状に湾曲した部材であり、温度つまみ86に連動して上カバー51内でスライド溝72に沿って左右動する。このスライダー88の上方にはスライダー88とほぼ同形のレベル板89が平行に取り付けられる。レベル板89の上面にはレベル支持針90が立設される。このレベル支持針90は表示窓55に飛び出す形態で取り付けられ、設定温度を表示する。
【0057】
スライダー88とレベル板89とを連結する一方の軸91には、フォーク92が取り付けられる。フォーク92はU字状の部材でその先端には軸口92aを有し、この軸口92aに前記スライダー88とレベル板89とを連結する一方の軸91が軸支される。このフォーク92の平行な2本の部分の外周端には回転ドラム93の対向する2個のレール状の溝(図示しない)が嵌合し、スライダー88が左右に移動するとフォーク92は図16の矢印(2)で示すように左右に揺動し、その揺動運動により回転ドラム93が図16の矢印(3)で示すように回転する。
【0058】
回転ドラム93は、この回転ドラム93の回動により上下動するカム軸を介してバイメタルからなるスイッチ部94に連動する。回転ドラム93が回動するとカム軸が上下動し、スイッチ部94の閉鎖力を可変する。即ち、スイッチをオフの状態にしたり、例えば鍋の温度が100℃になるとスイッチがオフされるようにしたり、或いは、鍋の温度が200℃になるとスイッチがオフされるように可変する。その温度設定は温度つまみ86を左右に移動することによって行われる。
【0059】
スイッチ部94には感熱棒95が接続されている。この感熱棒95は、先端が円錐状の金属製筒状部材であり、温度調節部50背面側の中央に取り付けられ、温度調節部50が本体ケース10に装着された際には、その先端は遮熱板20内に突出し、遮熱板20内に調理鍋30が載せられると調理鍋30の底面に当接し、調理鍋30の温度を検知する。
【0060】
この感熱棒95の円錐状の端部と反対側の端部近傍を包囲する形態でターミナルケース96が取り付けられる。ターミナルケース96は、ほぼ同形のケースを上下に組み合わせた上下2分割のケースであり図示しないビスにより一体に取り付けられる。図15に感熱棒95に取り付けたターミナルケース96を示す。ターミナルケース96の左右両端部近傍には、図7に示すようにそれぞれ円形の環状口96aを有し、これら環状口96a内にはチューリップ状の電源接続片96bが取り付けられており、環状口96a内に前記第1電源用接続端子棒36及び第2電源用接続端子棒41が挿入されると、これら電源接続片96bは第1電源用接続端子棒36及び第2電源用接続端子棒41と電気的に接続される。
【0061】
ターミナルケース96の感熱棒95方向から見た正面視の形状は、中カバー65の略矩形状の開口68より若干小さい相似形で、その外周にはほぼ全周にリブ96dが設けられる。ターミナルケース96が中カバー65の開口68に挿入されると、図15に示すようにターミナルケース96はリブ96dの前方側が中カバー65より突出する形態で取り付けられ、リブ96dでほぼ封止される。そのため、感熱棒95方向側からの上カバー51内への煮汁等の浸入が防止される。また、ターミナルケース96の左右両端部には、ターミナルケース96を上カバー51に取り付けるための上下方向のビス穴96cが設けられる。
【0062】
温度調節部50の組立は次のように行われる。図16に示すサーモエレメントユニット85を組み立て、そのサーモエレメントユニット85に上下2分割のターミナルケース96を組み立てたものを用意する。次いで、図14に示すようにターミナルケース96に中カバー65を挿入する。なおこの場合、温度つまみ86は取り外しておく。次に、図14に示すユニットを上カバー51内に挿入し、ターミナルケース96の2個のビス穴96cにビスを挿入し、ターミナルケース96と上カバー51とをビスにより螺合する。次いで、底カバー70を取り付ける。その取り付けは、上カバー51のスカート部58bの2個の係止溝60内に、底カバー70の2個の係止爪75を係止し、底カバー70の第1ビス穴74及び第2ビス穴77からビスを挿入し該ビスにより螺合する。その後、温度つまみ86を取り付けて温度調節部50が完成する。
【0063】
温度調節部50は、ケースユニットYの側部開口14に取り付けられる。温度調節部50がケースユニットYに取り付けられると、ターミナルケース96の左右両端部近傍の2個の環状口96aに第1電源用接続端子棒36及び第2電源用接続端子棒41が挿入し電気的に接続されるとともに、温度調節部50の係合突起61が本体ケース10の係止溝18に係合音を発して係合する。なお、温度調節部50は床からは浮いた状態になる。そして、温度調節部50と本体ケース10の天面及び側面を含んだ外周は連続し一体感を醸し出している。
【0064】
本願発明は、上記実施例の構成に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜設計変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本願発明のグリル鍋の全体斜視図
【図2】本願発明の温度調節部を取り外したケースユニットの全体斜視図
【図3】本願発明の遮熱板の全体斜視図
【図4】本願発明の本体ケースの全体斜視図
【図5】本願発明のヒータの全体斜視図
【図6】本願発明の温度調節部の斜視図
【図7】本願発明の温度調節部の背面図
【図8】本願発明の温度調節部の平面図
【図9】本願発明の温度調節部の右側面図
【図10】本願発明の温度調節部の底面図
【図11】本願発明の温度調節部の上カバーの斜視図
【図12】本願発明の温度調節部の中カバーの斜視図
【図13】本願発明の温度調節部の底カバーの斜視図
【図14】本願発明の温度調節部の中カバーとターミナルユニットの組み合わせ斜視図
【図15】本願発明の温度調節部のターミナルユニットの斜視図
【図16】本願発明の温度調節部のサーモエレメントユニットの斜視図
【図17】本願発明の温度ヒューズの取付位置及び配線状態を示す概略図
【図18】本願発明の受けカバー及び受けカバー金具の斜視図
【図19】従来の加熱調理器の一部断面図
【符号の説明】
【0066】
H…グリル鍋 Y…ケースユニット
10…本体ケース 11,21,40b…側壁
12,22,40c…底壁 14…側部開口
14a…上端部 18,60…係止溝
20…遮熱板 23…凸部
23a…脚部 24,28…切欠口
25…ヒーター保持金具 26…窪み部
27…中央口 27a…左側口
27b…右側口 30…調理鍋
35…ヒーター 35a,35b…端部
36…第1電源用接続端子棒 37…電源用接続端子
38…温度ヒューズ 40…受けカバー金具
40a,52…正面壁 41…第2電源用接続端子棒
42a…中央開口 42b…第1開口
42c…第2開口 43…係止片
45…受けカバー 46a…中央貫通口
46b…第1貫通口 46c…第2貫通口
47…フランジ 50…温度調節部
51…上カバー 53…上面壁
54…背面壁 55…表示窓
56…指掛かり部 57…垂直部分
57a…垂直開口 58…水平部分
58a…水平開口 58b…スカート部
61…係合突起 65…中カバー
66…垂直壁 67,71…水平壁
68…開口 69,96d…リブ
70…底カバー 72…スライド溝
75…係止爪 79…第1脚部
80…第2脚部 85…サーモエレメントユニット
86a…突出部 87,91…軸
88…スライダー 89…レベル板
90…レベル支持針 92…フォーク
93…回転ドラム 94…スイッチ部
95…感熱棒 96…ターミナルケース
96a…環状口 96b…電源接続片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケースと、該本体ケース内に収納配置される遮熱板と、該遮熱板内に配置される加熱源と、該加熱源の上方に載置される調理鍋と、温度調節部とを備えた加熱調理器において、
前記温度調節部は、前記本体ケースに対し分離され、前記温度調節部を前記本体ケースに装着した際、前記温度調節部の外周は前記本体ケースの外周に沿うことを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
前記温度調節部の天面には、前記温度調節部を前記本体ケースに着脱する際、指の掛かり部としての凹部を有することを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記温度調節部は、底部両側に脚部を有し、前記脚部で単独で自立することを特徴とする請求項1または2に記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記温度調節部は、プラグ受けが設けられるとともに、該プラグ受けが前記脚部の一側を形成することを特徴とする請求項3に記載の加熱調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2008−307149(P2008−307149A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−156000(P2007−156000)
【出願日】平成19年6月13日(2007.6.13)
【出願人】(000003702)タイガー魔法瓶株式会社 (509)
【Fターム(参考)】