説明

加熱調理器

【課題】調理プレートの熱伝導性を向上するとともに、軽量化することができる調理プレートを提供。
【解決手段】被調理物を調理するための調理プレート40と、前記調理プレート40を加熱する加熱手段30と、温度調節器31を有する加熱調理器であって、前記調理プレート40は、アルミニウムまたはアルミニウム合金製であり、前記調理プレートの加熱領域Sには、前記アルミニウムまたはアルミニウム合金より熱伝導率の大きい部材を設け、前記熱伝導率の大きい部材は、複数の中抜きを有する構成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、ホットプレートやテーブルグリル或いは電気焼肉器等の加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ホットプレート等の加熱調理器は、外郭を形成し、底部に脚を有するケース本体と、そのケース本体の上部に設けられ、肉等の被調理物を調理する調理プレートと、その調理プレートの下方に設けられ、調理プレートを加熱するヒーター等を有し、調理プレート上に被調理物をおいて加熱調理するものである。
【0003】
ホットプレートは、上記のような部材及び構造を有しており、テーブル上に載せ、例えば一家揃って肉等を調理しながら食事することができるとともに、使用後には各部材を取り外して容易に洗うことができるため、多くの家庭で使用されている。
【0004】
従来、調理プレートは、例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金を金型に高圧注湯するダイキャスト鋳造により成型されている。このアルミ製の調理プレートは、比熱が比較的大きいため蓄熱性がよく、また、比重が比較的小さいため軽く、更には、成型が容易等のために広く用いられている。ところが、このアルミ製の調理プレートは、熱伝導率が低いため温度が上がりにくいという弊害を有していた。
【0005】
このような弊害をなくすものとして、図13に示す調理プレートが提案されている。この調理プレート1は、調理プレート1を従来同様のアルミニウムまたはアルミニウム合金のアルミ製で成型し、加熱領域をアルミニウムまたはアルミニウム合金層2と、銅または銅合金層3との積層構造等にするものである。
【0006】
そして、この従来例のものは、加熱領域のほぼ全体に、銅または銅合金の板部材を貼り付け成型或いはインサート成型により取り付けている。銅または銅合金は、アルミニウムまたはアルミニウム合金より熱伝導率が高いため調理プレートの昇温時間が短縮される等の利点が期待されている。
【0007】
ところで、調理プレートは、例えば一家揃って肉等を調理しながら食事する際に用いられるものであり、それなりの量の被調理物を一度に調理できる面積を有するものとして作られており、例えアルミニウムまたはアルミニウム合金のみで作られていてもそれなりの重量を有している。
【0008】
ところが、銅または銅合金は、アルミニウムまたはアルミニウム合金に比べて比重が大きく、図13の従来例のものは、調理プレートが更に重くなり、食後に調理プレートを取外して洗う場合、例えば女性並びにお年寄り等にとって大きな負担になるという問題を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許3412956号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本願発明は、このような課題を解決するものであり、調理プレートの熱伝導性を向上するとともに、軽量化することができる調理プレートを提供することを目的にするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本願発明は以下の構成を採用する。
【0012】
請求項1に係る発明では、被調理物を調理するための調理プレートと、前記調理プレートを加熱する加熱手段と、温度調節器を有する加熱調理器であって、前記調理プレートは、アルミニウムまたはアルミニウム合金製であり、前記調理プレートの加熱領域には、前記アルミニウムまたはアルミニウム合金より熱伝導率の大きい部材を設け、前記熱伝導率の大きい部材は、複数の中抜きを有する構成。
【0013】
請求項2に係る発明では、前記熱伝導率の大きい部材の外側に、前記アルミニウムまたはアルミニウム合金より比重が小さい部材を配置する構成。
【0014】
請求項3に係る発明では、前記熱伝導率の大きい部材の外側に、前記アルミニウムまたはアルミニウム合金より比重及び熱伝導率が小さい部材を配置する構成。
【0015】
請求項4に係る発明では、前記温度調節器の感熱部は、前記調理プレートに接触し、その接触部分には、前記熱伝導率の大きい部材が設けられる構成。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る発明では、調理プレートの加熱領域に、アルミニウムまたはアルミニウム合金より熱伝導率の大きい部材を設けるとともに、熱伝導率の大きい部材に複数の中抜きを形成することにより、調理プレートの昇温時間を短縮し、温度ムラを低減することができるとともに、調理プレートを軽量化することができる。
【0017】
請求項2に係る発明では、熱伝導率の大きい部材の外側に、アルミニウムまたはアルミニウム合金より比重が小さい部材を配置することにより、請求項1の効果に加え、調理プレートを更に軽量化することができる。
【0018】
請求項3に係る発明では、熱伝導率の大きい部材の外側に、アルミニウムまたはアルミニウム合金より比重及び熱伝導率が小さい部材を配置することにより、請求項1の効果に加え、調理プレートを軽量化することができるとともに、加熱領域の熱が加熱領域の外側に逃げる弊害を低減することができる。
【0019】
請求項4に係る発明では、温度調節器の感熱部が調理プレートに接触する箇所に、熱伝導率の大きい部材を設けることにより、温度調節器の感知性能を向上することができる。付言すると、温度調節器は、感度があまり良くない上に従来のアルミ製の調理プレートは温度上昇が遅く、温度調節器がオン動作からオフ動作に最初に切り替わる温度は380℃〜400℃(オーバーシュート)であった。この最初の感知温度は通常の感知温度(例えば約280℃)に比べかなり高く、それだけ電力を消費していた。請求項4に係る発明では、温度上昇の早い部分の温度を検知するものであり、この最初に切り替わる感知温度を低い温度にすることができ、その分省エネ効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】加熱調理器の断面図
【図2】上面が平らな平調理プレートの平面図
【図3】平調理プレートの加熱領域に、複数の中抜きを有する熱伝導率の大きい部材を設けた平面図
【図4】複数の中抜きを有する熱伝導率の大きい部材の各種例を示す図
【図5】平調理プレートの加熱領域に、複数の中抜きを有する熱伝導率の大きい部材と、その外側の領域に比重または/及び熱伝導率が小さい部材を設けた平面図
【図6】平調理プレートにおける複数の中抜きを有する熱伝導率の大きい部材と温度調節器の感熱棒との当接状態を示す概略断面図
【図7】分離式調理プレートの加熱領域に、複数の中抜きを有する熱伝導率の大きい部材と、その外側の領域に比重または/及び熱伝導率が小さい部材を設けた平面図
【図8】分離式調理プレートにおける複数の中抜きを有する熱伝導率の大きい部材と温度調節器の感熱棒との当接状態を示す概略断面図
【図9】焼肉領域と野菜領域を有する調理プレートの加熱領域に、複数の中抜きを有する熱伝導率の大きい部材と、その外側の領域に比重または/及び熱伝導率が小さい部材を設けた平面図
【図10】焼肉領域と野菜領域を有する調理プレートにおける複数の中抜きを有する熱伝導率の大きい部材と温度調節器の感熱棒との当接状態を示す概略断面図
【図11】底リブに熱伝導率の大きい部材を設けた調理プレートの底面図
【図12】図11のA−A線の断面図
【図13】従来の調理プレートの一部断面図
【実施例】
【0021】
図1に加熱調理器の断面図を示し、図2に平調理プレートの加熱領域を示した平面図を示し、図3に平調理プレートの加熱領域に、複数の中抜きを有する熱伝導率の大きい部材を設けた平面図を示し、図4にいろいろな形状の複数の中抜きを有する熱伝導率の大きい部材の各種例を示し、図5に平調理プレートの加熱領域に、複数の中抜きを有する熱伝導率の大きい部材と、その外側の領域に比重または/及び熱伝導率が小さい部材を設けた平面図を示す。加熱調理器は、ホットプレートやテーブルグリル或いは電気焼肉器等あるが、以下においてはホットプレートを一例にして説明する。
【0022】
図1に示すようにホットプレート10は、ケース本体20と、遮熱部材25と、該遮熱部材25に支持されるヒーター30と、該ヒーター30の上方に配置される調理プレート40等を有する。
【0023】
ケース本体20は、樹脂製の部材であり、ホットプレート10の外郭を構成し、平面視略矩形状でその底部にはテーブル等に載置するための複数個の脚21が設けられるとともに、その上面及び下面の一部には、上部開口22及び底部開口23を有する。
【0024】
前記遮熱部材25は、金属性の薄板をプレス加工により一体形成した平面視略矩形状で略皿状の部材であり、ケース本体20内に収納される。この遮熱部材25はその表面に反射及び断熱処理が施されており、ヒーター30の熱がケース本体20へ伝わるのを防止する。
【0025】
また、遮熱部材25の中央部には、水受皿用凹部26が設けられる。そして、この水受皿用凹部26には、水受皿27がセットされる。水受皿27は、焼肉プレートまたは穴あきプレートを用いる場合に使われる金属製の容器で、中に水を入れ、水受皿用凹部26にセットされ、流れ落ちる肉汁や油等を受ける。
【0026】
更に、遮熱部材25には、後記するヒーター30を支持するための複数個のヒーター支持具28が取り付けられる。ヒーター支持具28の上端は、上方開口の略U字状をなし、ヒーター30を下方及び側方から支持する。
【0027】
ヒーター30は、例えば図2等に破線で示すように、平面視略ハート状或いはY字状からなり、一例としてシーズヒーターが用いられ、上記した複数のヒーター支持具28に支持される。
【0028】
このヒーター30は、例えば金属パイプの中にコイル状の電熱線を通し、パイプと電熱線間の接触を防ぐためマグネシアなどの耐熱性の無機質絶縁粉末を詰め、金属パイプの両端を密封した構造を有するものである。ヒーター30はこのような構造を有するため金属パイプは絶縁されておりたとえ金属パイプに触れたとしても感電することはない。しかしながら特にシーズヒーターである必要はなく他のヒーターを用いてもよい。
【0029】
そして、ヒーター30は、図2に示すように公知の温度調節器31に電気的に接続される。この温度調節器31には、感熱棒32が取り付けられ、ケース本体20に調理プレート40がセットされると調理プレート40の底部が感熱棒32に当接するように設定されており、調理中、感熱棒32は調理プレート40の温度を検知して、ヒーター30への通電をオンオフする。この温度調節器31には、温度調節ダイヤル33が上部に設けられており、調理プレート40の温度を調節することができるようになっている。
【0030】
前記調理プレート40は、厚いアルミダイカスト製で、ケース本体20と同様な平面視略矩形状の部材であり、図1〜図3に矩形状の実線で示す領域でありヒーター30が配置される範囲よりも若干広い範囲の領域が加熱領域Sになる。
【0031】
図で示す加熱領域Sは、主たる加熱領域のことで、その外側の領域も一応加熱領域にはなるが、中央部に比べ温度が低く調理時間を要する。本発明の場合、図で示す領域を加熱領域Sと読んで説明する。なお、図2及び図3または図5でもそうであるが、図では矩形の実線で示しているが、実際にはそのような線は引かれていないとともに、記載される領域に厳格に限定されない。
【0032】
調理プレート40は、そのほとんどがアルミニウム単体或いはアルミニウム合金(以下、単にアルミという。)から形成される。以下、調理プレート40アルミで形成される部分をアルミ基材41という。アルミニウム合金は、例えばADC12と呼ばれるものが用いられ、アルミニウムを主体にし、その他に珪素及び銅を含んだものである。
【0033】
前記調理プレート40の加熱領域Sには、アルミ基材41より熱伝導率の大きい部材45が設けられる。このアルミ基材41より熱伝導率の大きい部材45として銅、金があるが、銅を用いて説明する。以下、アルミ基材41より熱伝導率の大きい部材45を銅部材45という。
【0034】
銅部材45は、板状の部材で、その形状は、図4のA〜Dに4例を示すように、その外周は前記加熱領域Sより小さく、且つその加熱領域Sに沿うような形状がよい。しかし、それ以外の形状であってもよい。
【0035】
この銅部材45には、銅部材45を除肉してなる複数の中抜き45aが設けられており、銅部材45を軽量にしている。中抜き45aは、板状の銅部材45を上下方向に貫通したものが好ましいが、完全に貫通しないものでもよい。この中抜きの面積は大きいほど軽量化されるが、あまり大きいと熱伝導の効果が低下するためよくない。銅部材45全体の面積の20〜80%であればよく、特に40〜60%程度が好ましい。
【0036】
また、中抜き45aを除いた他の部分は図4に示すように全体が繋がっているほうが熱の伝導が良好になり好ましい。特に、図4に示すような形状、即ち、外周が加熱領域Sに沿い、内部にほぼ均等に複数の中抜き45aが形成され、且つ全体が繋がっている形状であると、加熱領域S全体への熱伝導が短時間で且つ温度ムラなく行われ、しかも調理プレート40を軽量化することができる。しかし、一部の部分が切れていてもよい。
【0037】
この銅部材45は、インサート成型により、アルミ基材41の内部に内蔵する形態で成型したり、或いは、アルミ基材41の底部に圧接したり、ロウ付け等したりして成型される。特に、インサート成型により、アルミ基材41の内部に内蔵する形態で成型することにより、銅が腐食したり傷が付いたりする弊害を防止することができる。
【0038】
図4(A)の銅部材45を用いたものを図3に示す。銅部材45は、ヒーター30の上方領域である加熱領域Sの全体に亘って設けられる。図の銅部材45の右側には、外方に向かって突き出した長さの短い突出部45bが設けられている。この突出部45bは、温度調節器31の感熱棒32の位置にまで張り出し、銅部材45がアルミ基材41の底部に圧接されるものでは感熱棒32に接し、また、銅部材45がインサート成型されるものでは感熱棒32の上方に位置する。そして、銅部材45の加熱温度を検知し、温度調節器31が従来の高い温度を検知するオーバーシュート検知の弊害をなくすことができる。なお、突出部45bはなくてもよい。
【0039】
図5に図3の変形例を示す。図3のものとの相違は、加熱領域Sの外側にアルミ基材41よりも比重が小さい部材、またはアルミ基材41よりも比重及び熱伝導率が小さい部材46を設ける点であり、その余の点は同じであるため省略する。
【0040】
アルミ基材41よりも比重が小さい部材としてはマグネシウム部材、またはマグネシウム合金部材、または発泡アルミ部材があり、アルミ基材41よりも比重及び熱伝導率が小さい部材としてはマグネシウム部材、またはマグネシウム合金部材がある。
【0041】
以下においてはマグネシウム部材及びマグネシウム合金部材をマグネシウム部材46といい、このマグネシウム部材46について説明する。なお、マグネシウム合金としては、AZ31と呼ばれるマグネシウムを主体にし、アルミニウムと亜鉛を含むものを用いることができる。
【0042】
前記マグネシウム部材46は、図5に示すように加熱領域Sの外側に加熱領域Sに沿って設けられる。この場合は、平面視矩形状でリング状の形状である。その幅は外側の領域に応じて決められる。マグネシウム部材46は、アルミ基材41よりも比重及び熱伝導率が小さく、マグネシウム部材46を設けることにより、調理プレート40をより軽量化することができるとともに、ヒーター30により加熱される加熱領域Sの熱が外側に逃げるのを抑制することができる。
【0043】
なお、このマグネシウム部材46に変えて、アルミ基材41よりも比重が小さい発泡アルミ部材を設けてもよい。この発泡アルミ部材を設けることにより、調理プレート40をより軽量化することができる。
【0044】
図6に図5の一部断面図を示す。図に各部材の厚さの一例を示す。図に示すように、アルミ基材41の厚さを3mmにし、加熱領域S内の銅部材45の厚さを0.5mmにし、加熱領域Sの外側のマグネシウム部材46を2mmにする。なお、各部材の厚さはこの例に限定されない。
【0045】
銅部材45は、できるだけヒーター30に近いアルミ基材41の底部または底部近傍に設け、ヒーター30からの熱を受けやすくし、更にその厚さをできる限り薄く、例えば少なくともアルミ基材41の半分以下で、且つマグネシウム部材46より薄くするようにする。その結果、調理プレート40の重量の増加を抑えることができる。
【0046】
また、マグネシウム部材46は、できるだけ厚く、例えばアルミ基材41の厚さの半分以上の厚さとすることにより、調理プレート40を更に軽量化することができる。なお、図6に、銅部材45の突出部45bが温度調節器31の感熱棒32に接する状態を示している。
【0047】
図7及び図8に他の調理プレート50を示す。図に示す調理プレート50は、分離式のものである。この分離式の調理プレート50は、加熱領域Sに相当する内プレート部分51と外枠部分52とからなり、内プレート部分51の取手部51aを、例えば手や或いは専用の器具で持ち上げることにより外枠部分52から分離できるようにされている。この内プレート部分51は、図では平板状であるが、その他として複数のリブや複数の貫通孔(肉汁や油等を水受皿27に落とすための孔)を有する焼肉用のもの、或いは複数の半円弧状の凹みを有するたこ焼き用のもの等がある。
【0048】
また、前記外枠部分52は、調理プレート50の外側の部分で、その中央の開口部には一段下がった矩形状段部52aを有しており、この外枠部分52に前記内プレート部分51を置くと、内プレート部分51の外周底部が矩形状段部52aの上面に当接する形態でセットされる。
【0049】
そして、内プレート部分51には、図5で説明した銅部材45と同様な銅部材55と、中抜き45aと同様な中抜き55aと、突出部45bと同様な突出部55bが形成される。この場合、銅部材55と中抜き55aは、図5の銅部材45と中抜き45aと同様であるため説明は省略する。
【0050】
しかし、前記突出部55bは、内側突出部55b1と外側突出部55b2とからなる。図8に示すように、内側突出部55b1は、内プレート部分51の端部から端部近傍にかけての底部に形成され、外側突出部55b2は、外枠部分52の矩形状段部52aの上面からその外側にかけて形成されており、外枠部分52に内プレート部分51をセットすると、内側突出部55b1と外側突出部55b2とは当接或いは当接状態に近い状態になる。温度調節器31の感熱棒32は、外枠部分52の底部の外側突出部55b2に当接或いは当接状態に近い状態にされており、加熱領域Sの銅部材55の温度を検知することができる。
【0051】
また、外枠部分52の内周近傍には、図5で説明したマグネシウム部材46と同様なマグネシウム部材56が形成される。この場合、マグネシウム部材56は、図5のマグネシウム部材46と同様であるため説明は省略する。なお、外枠部分52の全てがマグネシウム部材56であってもよい。
【0052】
図9及び図10に更に他の調理プレート60を示す。図に示す調理プレート60は、焼肉領域と野菜領域を有する調理プレートである。この焼肉領域と野菜領域を有する調理プレート60は、中央部に焼肉領域61を、その外周部に野菜領域62を有し、両領域61、62間を区画リブ63で区画するものであり、この場合、焼肉領域61が加熱領域Sに相当する。
【0053】
焼肉領域61は、肉等を載せる複数の載置リブ61aや、複数の載置リブ61a間に設けられる複数の貫通孔61b(肉汁や油等を水受皿27に落とすための孔)を有し、また、野菜領域62は、焼肉領域61より低温度の平板状の領域で、主として野菜等を調理する。
【0054】
そして、前記焼肉領域61には、図5で説明した銅部材45と同様な銅部材65と、中抜き45aと同様な中抜き65aと、突出部45bと同様な突出部65bが形成される。この場合、銅部材65と中抜き65aと突出部65bは、図5の銅部材45と中抜き45aと突出部45bと同様のものである。
【0055】
また、区画リブ63の外周近傍には、図5で説明したマグネシウム部材46と同様なマグネシウム部材66が形成される。この場合、マグネシウム部材66は、図5のマグネシウム部材46と形状が同様のものである。しかし、この調理プレート60の場合、加熱領域Sの外側の野菜領域62は、調理をするための領域であるため、用いる部材はアルミ基材41より比重が小さい部材、例えば発泡アルミを用いる方が好ましい。
【0056】
その断面図を図10に示す。図6のものと同様に感熱棒32は、銅部材65の突出部65bに当接等する。また、貫通孔61bは、銅部材65を突き抜けるように設けてもよいが、突き抜けるように設けると銅が腐食する恐れが生じるので、銅部材65を突き抜けないようにする方が好ましい。
【0057】
図11及び図12に更に他の調理プレート70を示す。図に示す調理プレート70は、銅部材の配置の変形例で、昇温効果をより高める調理プレートである。この調理プレート70は、上記したどの調理プレート40、50、60にも適用可能なもので、その特徴は、調理プレート70の底部にヒーター30を取り囲むように複数の昇温用リブ71を設け、その昇温用リブ71内に銅部材75を設けることである。
【0058】
調理プレート70の底部には、図11の底面図に示すように、ヒーター30を取り囲むように昇温用リブ71が設けられる。この昇温用リブ71は、例えば、上下の直線リブ71aと、その間の3個の矩形状リングリブ71bからなり、図12に示すようにヒーター30の上下の長さより長い長さにまで下方に垂下する形態で設けられている。
【0059】
そして、2個の直線リブ71aと、3個の矩形状リングリブ71bには、図11及び図12に示すように銅部材75が立設する形態でインサート成型されている。このようにヒーター30の周りに昇温用リブ71を設け、その昇温用リブ71に銅部材75を設けることにより、銅部材75は、ヒーター30からの伝導熱とともに輻射熱をも受け取ることができ、調理プレート70の昇温をより高めることができる。銅部材75は、なるべくヒーター30側に近づけて設けるのが好ましい。そのため、ヒーター30側の側面に圧接等で取り付けるようにしてもよい。
【0060】
なお、この場合、3個の矩形状リングリブ71bの中央空間部が中抜きに相当することになる。また、昇温用リブ71は、1個でヒーター30の全体を囲むようなものでもよい。更に、この例の場合、既に説明したマグネシウム部材46に相当するものを示していないが、そのようなものを昇温用リブ71の外側に設けることもできる。
【0061】
本願発明は、上記実施例の構成に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜設計変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0062】
10…ホットプレート 20…ケース本体
21…脚 22…上部開口
23…底部開口 25…遮熱部材
26…水受皿用凹部 27…水受皿
28…ヒーター支持具 30…ヒーター
31…温度調節器 32…感熱棒
33…温度調節ダイヤル 40…調理プレート
S…加熱領域 41…アルミ基材
45…銅部材 45a…中抜き
45b…突出部 46…マグネシウム部材
50…調理プレート 51…内プレート部分
51a…取手部 52…外枠部分
52a…矩形状段部 55…銅部材
55a…中抜き 55b…突出部
55b1…内側突出部 55b2…外側突出部
56…マグネシウム部材 60…調理プレート
61…焼肉領域 61a…載置リブ
61b…貫通孔 62…野菜領域
63…区画リブ 65…銅部材
65a…中抜き 65b…突出部
66…マグネシウム部材 70…調理プレート
71…昇温用リブ 71a…直線リブ
71b…矩形状リングリブ 75…銅部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被調理物を調理するための調理プレートと、前記調理プレートを加熱する加熱手段と、温度調節器を有する加熱調理器であって、
前記調理プレートは、アルミニウムまたはアルミニウム合金製であり、
前記調理プレートの加熱領域には、前記アルミニウムまたはアルミニウム合金より熱伝導率の大きい部材を設け、
前記熱伝導率の大きい部材は、複数の中抜きを有することを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
前記熱伝導率の大きい部材の外側に、前記アルミニウムまたはアルミニウム合金より比重が小さい部材を配置することを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記熱伝導率の大きい部材の外側に、前記アルミニウムまたはアルミニウム合金より比重及び熱伝導率が小さい部材を配置することを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記温度調節器の感熱部は、前記調理プレートに接触し、その接触部分には、前記熱伝導率の大きい部材が設けられることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の加熱調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−234803(P2011−234803A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−106863(P2010−106863)
【出願日】平成22年5月7日(2010.5.7)
【出願人】(000003702)タイガー魔法瓶株式会社 (509)
【Fターム(参考)】