説明

動きを検出するシステム、リソグラフィ装置、およびデバイス製造方法

【課題】誤差の影響を受けにくいが大きな空間を占有しない、改善された精密測定システムを提供する。
【解決手段】本体の動きを検出するシステムであって、本体と、基準フレームに対して実質的に静止して取り付けられた第1回折格子40,42と、本体に取り付けられた第2回折格子50,52と、第1および第2回折格子で回折された一つ以上の放射ビームを受け取り、基準フレームに対する本体の動きを検出するように構成された検出器60,61,62,63と、を備え、検出器60,61,62,63が本体に結合され、本体に対して移動可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動きを検出するシステム、リソグラフィ装置、およびデバイス製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板の目標部分、通常は基板の目標部分に転写する機械である。リソグラフィ装置は例えば集積回路(IC)の製造に用いられる。この例では、例えばマスクまたはレチクルとも称されるパターニングデバイスが、集積回路の各層に対応した回路パターンを形成するために使用される。このパターンが基板(例えばシリコンウェーハ)の(例えばダイの一部、あるいは一つまたは複数のダイからなる)目標部分に転写される。パターン転写は典型的には基板に形成された放射感応性材料(レジスト)層への結像による。一般に一枚の基板にはネットワーク状に隣接する一群の目標部分が含まれ、これらは連続的に露光される。既知のリソグラフィ装置にはいわゆるステッパとスキャナとがある。ステッパにおいては、目標部分にパターン全体が一度に露光されるようにして各目標部分は照射を受ける。スキャナにおいては、所与の方向(スキャン方向)に放射ビームによりパターンを走査するとともに基板をスキャン方向に平行または逆平行に走査するようにして各目標部分は照射を受ける。パターニングデバイスから基板へのパターン転写は、基板にパターンをインプリントすることによっても可能である。
【0003】
干渉計などの従来の既知の精密センサは、正確な位置を測定することができる。しかしながら、従来の干渉計の精度は、干渉計の放射ビームが通過する空気内の擾乱(disturbance)によって制限される。このような擾乱は、乱気流および熱的変動を含むことがある。したがって、このような擾乱を最小化することによってのみ、従来の干渉計の精度を高めることができる。しかしながら、乱気流を減少させるためおよび/または必要値の範囲内に気温を安定させるために遅延を導入するなどして、このような擾乱を最小化すると、リソグラフィ装置のスループットが低下し、その結果リソグラフィ装置を使用するコストが増大する。
【0004】
擾乱を減少させる一つの方法は、測定ビーム内の空気経路長を制限することである。基板テーブルに取り付けられたエンコーダを有する基板テーブルの上方に大型の二次元グリッドプレートを用いることによって、または検出器のアレイを用いることによって、これを実行してもよい。両方の解決策とも、大きな容積とコストが必要になる。
【0005】
さらに、どのような測定システムも、リソグラフィ装置内の限られた容積の空間を占有するに過ぎない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
誤差の影響を受けにくいが大きな空間を占有しない、改善された精密測定システムを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によると、本体と、基準フレームに対して実質的に静止して取り付けられた第1回折格子と、本体に取り付けられた第2回折格子と、第1および第2回折格子で回折された一つ以上の放射ビームを受け取り、基準フレームに対する本体の動きを検出するように構成された検出器と、を備え、検出器が本体に結合され、本体に対して移動可能であることを特徴とする、本体の動きを検出するシステムが提供される。
【0008】
本発明の別の態様によると、そのような位置決めデバイスを備えるリソグラフィ装置が提供される。
【0009】
本発明のさらに別の態様によると、本体と、基準フレームに対して実質的に静止して取り付けられた第1回折格子と、本体に取り付けられた第2回折格子と、第1および第2回折格子で回折された一つ以上の放射ビームを受け取り、基準フレームに対する本体の動きを検出するように構成された検出器と、第1回折格子の細長い方向と実質的に平行である方向に検出器を案内するように構成された少なくとも一つのガイドと、細長い方向と実質的に平行である方向に検出器を移動させるように構成されたアクチュエータと、を備える、本体の動きを検出するシステムが提供される。
【0010】
本発明のさらに別の態様によると、投影系を使用して、基板テーブル上に配置された基板を照射し、上記のシステムのうち一つを使用して、投影系に対する基板の移動を測定することを含む、デバイス製造方法が提供される。
【0011】
本発明のさらなる特徴および利点は、本発明の様々な実施の形態の構造および作用とともに、添付の図面を参照して以下で詳細に説明される。本発明は、本書で説明される特定の実施形態に限定されないことに注意する。このような実施形態は、例証目的で本書に提示されているに過ぎない。本書に含まれる教示に基づけば、さらなる実施形態は関連分野の当業者にとって明らかであろう。
【0012】
本書に包含され明細書の一部をなす添付の図面は本発明を例証し、詳細な説明とともに本発明の原理を説明し、関連分野の当業者が本発明を実施し使用できるようにする役割を有する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係るリソグラフィ装置を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る、本体の動きを検出するシステムの平面図である。
【図3】図2の本体の動きを検出するシステムの断面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る、本体の動きを検出するシステムの断面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る、本体の動きを検出するシステムの断面図である。
【図6】図5の動きを検出するシステムの平面図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る、本体の動きを検出するシステムの断面図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る、本体の動きを検出するシステムの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の特徴および利点は、同様の参照符号が全文書を通して対応する要素を特定する図面とともに以下で述べられる詳細な説明からより明らかになるだろう。一般に、図面において同様の参照符号は、同一の、機能的に類似の、および/または構造が類似の要素を表している。要素が最初に現れる図面は、対応する参照番号の左端の数字で表される。
【0015】
本明細書は本発明の特徴を組み入れた一つまたは複数の実施形態を開示する。開示された実施形態は本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲は開示された実施形態には限定されない。本発明は添付の請求項により定義される。
【0016】
説明される実施形態、および「一実施形態」、「実施形態」、「例示的な実施形態」等への明細書内での言及は、説明する実施形態が特定の特徴、構造または特性を備えてもよいが、必ずしもあらゆる実施形態がその特定の特徴、構造または特性を備える必要はないことを示している。また、このような表現は同一の実施形態を必ずしも指し示すものではない。さらに、実施形態とともに特定の特徴、構造または特性が記載される場合、明示的に記載されているか否かに関わらず、そのような特徴、構造または特性を他の実施形態とともに実現することは当業者の知識内であると理解されたい。
【0017】
本発明の実施形態の特徴は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはこれらの任意の組み合わせで実装することができる。本発明の実施形態は、一つ以上のプロセッサにより読み取りおよび実行が可能な機械可読媒体に記録された命令として実装されてもよい。機械可読媒体は、機械(例えばコンピューティングデバイス)によって読み取り可能な形態で情報を記録または送信する任意のメカニズムを含んでよい。例えば、機械可読媒体は、リードオンリメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記録媒体、光記録媒体、フラッシュメモリデバイス、電気、光、音響または他の形態の伝播信号(例えば、搬送波、赤外線信号、デジタル信号など)およびその他を含んでもよい。さらに、本明細書において、特定の動作を実行するものとしてファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令が記載されてもよい。しかしながら、このような記載は単に便宜上のものであり、実際にはこのような動作はコンピューティングデバイス、プロセッサ、コントローラ、またはファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令などを実行する他のデバイスに由来することを理解すべきである。
【0018】
この種の実施形態をより詳細に説明する前に、本発明の実施形態を実装可能である例示的な環境を提示することが有益である。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態に係るリソグラフィ装置を模式的に示す図である。この装置は、放射ビームB(例えばUV放射またはEUV放射)を調整するよう構成されている照明系(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持するよう構成され、いくつかのパラメータに従ってパターニングデバイスを正確に位置決めするよう構成されている第1のポジショナPMに接続されている支持構造(例えばマスクテーブル)MTと、基板(例えばレジストでコーティングされたウェーハ)Wを保持するよう構成され、いくつかのパラメータに従って基板を正確に位置決めするよう構成されている第2のポジショナPWに接続されている第2支持構造、特に基板テーブル(例えばウェーハテーブル)WTと、パターニングデバイスMAにより放射ビームBに付与されたパターンを基板Wの(例えば一つまたは複数のダイからなる)目標部分Cに投影するよう構成されている投影系(例えば屈折投影レンズ)PSと、をさらに備える。
【0020】
照明系は、放射の方向や形状の調整またはその他の制御用に、各種の光学素子例えば屈折光学素子、反射光学素子、磁気的光学素子、電磁気的光学素子、静電的光学素子または他の各種光学部品を含んでもよく、あるいはこれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0021】
支持構造は、パターニングデバイスを支持すなわちその重量を支える。支持構造は、パターニングデバイスの向きやリソグラフィ装置の構成、あるいはパターニングデバイスが真空環境下で保持されるか否かなどの他の条件に応じた方式でパターニングデバイスを保持する。支持構造は、機械的固定、真空固定、またはパターニングデバイスを保持するその他の固定用技術を用いてもよい。支持構造は例えばフレームまたはテーブルであってよく、必要に応じて固定されていてもよいし移動可能であってもよい。支持構造は、パターニングデバイスを例えば投影系に対して所望の位置に位置決めできるようにしてもよい。本明細書では「レチクル」または「マスク」という用語を用いた場合には、より一般的な用語である「パターニングデバイス」に同義であるとみなされるものとする。
【0022】
本明細書では「パターニングデバイス」という用語は、例えば基板の目標部分にパターンを形成すべく放射ビームの断面にパターンを付与するために使用されうるいかなるデバイスをも指し示すよう広く解釈されるべきである。放射ビームに与えられるパターンは、基板の目標部分に所望されるパターンと厳密に対応していなくてもよい。このような場合には例えば、放射ビームのパターンが位相シフトフィーチャあるいはいわゆるアシストフィーチャを含む場合がある。一般には、放射ビームに付与されるパターンは、目標部分に形成される集積回路などのデバイスの特定の機能層に対応する。
【0023】
パターニングデバイスは透過型であっても反射型であってもよい。パターニングデバイスの例としては、例えばマスクやプログラマブルミラーアレイ、プログラマブルLCDパネルなどがある。マスクはリソグラフィの分野では周知であり、バイナリマスクやレベンソン型位相シフトマスク、ハーフトーン型位相シフトマスク、さらに各種のハイブリッド型マスクが含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例としては、小型のミラーがマトリックス状に配列され、各ミラーが入射してくる放射ビームを異なる方向に反射するように個別に傾斜されるというものがある。これらの傾斜ミラーにより、マトリックス状ミラーで反射された放射ビームにパターンが付与されることになる。
【0024】
本明細書では「投影系」という用語は、使用される露光光あるいは液浸や真空の利用などの他の要因に関して適切とされるいかなる投影系をも包含するよう広く解釈されるべきである。投影系には例えば屈折光学系、反射光学系、反射屈折光学系、磁気的光学系、電磁気的光学系、静電的光学系、またはこれらの任意の組み合わせなどが含まれる。以下では「投影レンズ」という用語は、より一般的な用語である「投影系」と同義に用いられうる。
【0025】
ここに図示されるのは、(例えば透過型マスクを用いる)透過型のリソグラフィ装置である。これに代えて、(例えば上述のようなプログラマブルミラーアレイまたは反射型マスクを用いる)反射型のリソグラフィ装置を用いることもできる。
【0026】
リソグラフィ装置は二つ以上(二つの場合にはデュアルステージと呼ばれる)の基板テーブル(及び/または二つ以上のマスクテーブル)を備えてもよい。このような多重ステージ型の装置においては追加されたテーブルが並行して使用されるか、あるいは1以上のテーブルで露光が行われている間に他の1以上のテーブルで準備工程を実行するようにしてもよい。
【0027】
リソグラフィ装置は、基板の少なくとも一部が、比較的高い屈折率を有する例えば水などの液体で覆われて投影系と基板との間の空間を満たすものであってもよい。液浸液は、例えばマスクと投影系の間などのリソグラフィ装置の他の空間に適用されるものであってもよい。液浸技術は、投影系の開口数を増大させる当分野で周知である。本明細書では「液浸」という用語は、基板等の構造体が液体に完全に浸されているということを意味するのではなく、露光中に投影系と基板の間に液体が存在するということを意味するに過ぎない。
【0028】
図1に示されるようにイルミネータILは放射源SOから放射ビームを受け取る。例えば光源がエキシマレーザである場合には、光源とリソグラフィ装置とは別体であってもよい。この場合、光源はリソグラフィ装置の一部を構成しているとはみなされなく、放射ビームは光源SOからイルミネータILへとビーム搬送系BDを介して受け渡される。ビーム搬送系BDは例えば適当な方向変更用のミラー及び/またはビームエキスパンダを含んで構成される。あるいは光源が例えば水銀ランプである場合には、光源はリソグラフィ装置に一体に構成されていてもよい。光源SOとイルミネータILとは、またビーム搬送系BDが必要とされる場合にはこれも合わせて、放射系または放射システムと総称される。
【0029】
イルミネータILは放射ビームの角強度分布を調整するアジャスタADを備えてもよい。一般には、イルミネータの瞳面における強度分布の少なくとも半径方向外径及び/または内径の大きさ(通常それぞれ「シグマ−アウタ(σ−outer)」、「シグマ−インナ(σ−inner)」と呼ばれる)が調整される。加えてイルミネータILは、インテグレータIN及びコンデンサCOなどの他の要素を備えてもよい。イルミネータはビーム断面における所望の均一性及び強度分布を得るべく放射ビームを調整するために用いられる。
【0030】
放射ビームBは、支持構造(例えばマスクテーブルMT)に保持されるパターニングデバイス(例えばマスクMA)に入射して、当該パターニングデバイスによりパターンが付与される。マスクMAを通過した放射ビームBは投影系PSに進入する。投影系PSはビームを基板Wの目標部分Cに投影する。第2のポジショナPWと位置センサIF(例えば、干渉計、リニアエンコーダ、静電容量センサなど)により基板テーブルWTを正確に移動させることができる。基板テーブルWTは例えば放射ビームBの経路に異なる目標部分Cを順次位置決めするように移動される。同様に、第1のポジショナPMと他の位置センサ(図1には明示せず)とにより放射ビームBの経路に対してマスクMAを正確に位置決めすることができる。この位置決めは例えばマスクライブラリからのマスクの機械的交換後や露光走査中に行われる。一般に、マスクテーブルMTおよび/または基板テーブルWTの移動は、第1及び第2ポジショナPM、PWの一部を構成するロングストロークアクチュエータシステム(粗い位置決め用)及びショートストロークアクチュエータシステム(精細な位置決め用)により実現される。これについては、以下でさらに詳細に説明する。ステッパでは(スキャナとは異なり)、マスクテーブルMTはショートストロークのアクチュエータにのみ接続されているか、あるいは固定されていてもよい。マスクMAと基板Wとは、マスクアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を用いてアライメントされてもよい。図においては基板アライメントマークが専用の目標部分を占拠しているが、アライメントマークは目標部分間のスペースに配置されてもよい(これはスクライブライン・アライメントマークとして公知である)。同様に、マスクMAに複数のダイがある場合にはマスクアライメントマークをダイ間に配置してもよい。
【0031】
図示の装置は例えば次のうちの少なくとも一つのモードで使用されうる。
【0032】
ステップモードにおいては、放射ビームに付与されたパターンの全体が1回の照射(すなわち単一静的露光)で目標部分Cに投影される間、マスクテーブルMT及び基板テーブルWTは実質的に静止状態とされる。そして基板テーブルWTがx方向及び/またはy方向に移動されて、異なる目標部分Cが露光される。ステップモードでは露光フィールドの最大サイズが単一静的露光で転写される目標部分Cのサイズを制限することになる。
【0033】
スキャンモードにおいては、放射ビームに付与されたパターンが目標部分Cに投影される間(すなわち単一動的露光の間)、マスクテーブルMT及び基板テーブルWTは同期して走査される。マスクテーブルMTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影系PSの拡大(縮小)特性及び像反転特性により定められる。スキャンモードでは露光フィールドの最大サイズが単一動的露光での目標部分の(非走査方向の)幅を制限し、走査移動距離が目標部分の(走査方向の)長さを決定する。
【0034】
別のモードにおいては、マスクテーブルMTがプログラム可能パターニングデバイスを保持して実質的に静止状態とされ、放射ビームに付与されたパターンが目標部分Cに投影される間、基板テーブルWTが移動または走査される。このモードではパルス放射源が通常用いられ、プログラム可能パターニングデバイスは、基板テーブルWTの毎回の移動後、または走査中の連続放射パルス間に必要に応じて更新される。この動作モードは、上述のプログラマブルミラーアレイ等のプログラム可能パターニングデバイスを利用するマスクレスリソグラフィに容易に適用することができる。
【0035】
上記で記載したモードの組み合わせおよび/または変形例を使用してもよいし、全く別のモードを使用してもよい。
【0036】
参照によりその全体が本明細書に援用されるWO2007/034379は、本体の動きを検出するシステムを開示する。基準フレームに対して実質的に静止する第1回折格子が取り付けられ、その動きを検出することが望まれている本体に第2回折格子が取り付けられる。検出器は、第1および第2回折格子で回折された一つ以上の放射ビームを受け取り、これによって基準フレームに対する本体の動きを検出するように構成される。第1および/または第2回折格子は、放射ビームと検出器の並べ方に応じて、反射型でも透過型でもよい。一実施形態では、検出器が移動可能である。唯一の制約は、第1および第2回折格子によって回折された放射ビームを検出器が受け取ることである。例えば、検出器は、二つの回折格子の交差部の上方または下方にあるべきだが、交差部に対して移動してもよい。
【0037】
参照によりその全体が本明細書に援用されるEP−A2−1,865,291は、検出器が静止しており大型サイズの回折格子を必要とする、WO2007/034379に記載されたものと同一の原理に基づくシステムを開示する。
【0038】
本発明は、例えば、WO2007/034379およびEP−A2−1,865,291に記載された検出原理を使用してもよい。回折格子の合計サイズは小さく維持される。これは、システムのコストを低く保つのに役立ち、製造性が容易になるとともに較正に要する時間が短く保たれる。このシステムは移動可能な検出器を使用する。一実施形態では、検出器は、一つ以上の放射ビームのエミッタと、ビームが第1および第2回折格子で回折された後に上記一つ以上の放射ビームを検出するセンサと、を備える。
【0039】
WO2007/034379は、移動可能な検出器の配置の仕方について説明していない。WO2007/034379における移動可能な検出器は、両方の回折格子の上方に配置される。しかしながら、この位置では、リソグラフィ装置内の空間が非常に限られており、このようなシステムの実装は困難である。以下の実施形態は、これらの課題を解決する。
【0040】
例示的な実施形態で説明するように、上記の原理をリソグラフィ装置内で適用することができる。基準フレームは、図1に示すメトロロジフレームMFであるように選択されてもよく、このフレームに投影系PSが結合される。その動きが検出される本体は、基板テーブルWTであってもよい。基板テーブルWT上に基板Wが配置される。基板テーブルWTは基板ステージ20の一部である。
【0041】
リソグラフィ装置では、投影系PSの光軸と実質的に直交する平面(x,y)内を基板テーブルが移動することができる。一実施形態では、基板テーブルWTの移動が、x方向よりもy方向で大きくてもよい。
【0042】
リソグラフィ投影装置内の空間の不足のため、第1回折格子を基板テーブルWTの上方に配置することが望ましい。第2回折格子は、第1回折格子の下方で基板テーブルWT上に配置されることが望ましい。検出器は、第2回折格子の真下に配置されることが望ましい。
【0043】
一実施形態では、検出器は、第1および第2回折格子の交差部の下にある。一実施形態では、第1回折格子は第1方向(例えばy方向)で細長く、第2回折格子は第2方向(例えばx方向)で細長い。一実施形態では、第1および第2方向が直交する。一実施形態では、第1および第2回折格子がそれぞれx方向およびy方向で細長い。以下の説明は、第1回折格子がy方向で細長いことを仮定しているが、第1回折格子がx方向で細長い場合にも上記原理を等しく適用することができる。
【0044】
第1回折格子がy方向で細長く、第2回折格子がx方向で細長い一実施形態では、検出器がy方向に移動可能である。検出器は、第1回折格子に対して少なくともx方向で拘束される。第1回折格子に対して、y方向を除く他の5自由度(y,z,Rx,Ry,Rz)で検出器が拘束されていてもよい。この拘束は、全てのy位置で検出器が第1回折格子(および第2回折格子)の下方に留まるのに有効である。この拘束は、拘束された自由度におけるいくつかの動きを許可してもよい。この理由は、第1および第2回折格子の交差部がある面積を有し、検出器はこの面積内で移動することができるからである。検出器の放射ビーム(例えば光)を任意の位置で回折することができる。
【0045】
一実施形態では、検出器を(図2−4、7および8の実施形態における)基板ステージ20に結合することで検出器を拘束し移動させる必要性が、メトロロジフレームMF上のガイドと、フレーム(例えば、メトロロジフレームMFまたはベースフレームBF)と検出器の間で作用するアクチュエータと、を使用することによって解決される。
【0046】
図2−4、7および8は、検出器が基板ステージ20と結合される四つの実施形態を示す。しかしながら、本体と検出器の間が結合される他の配置構成も存在する。
【0047】
図2は、本発明の一実施形態の平面図を示す。明瞭さのために特徴が省略されている。第1回折格子40がメトロロジフレームMF(図1に示すが、明瞭さのために図2には示さない)に対して実質的に静止して取り付けられる。一実施形態では、図示のように、第1回折格子40は第1方向、例えばy方向で細長い。一実施形態では、別の第1回折格子42が設けられる。一実施形態では、別の第1回折格子42は、第1方向と平行の方向で細長い。第1回折格子40および別の第1回折格子42は、別体であっても同一物体の一部であってもよい。
【0048】
一実施形態では、第2回折格子50が基板テーブルWT上に取り付けられる。一実施形態では、第2回折格子50は第2方向で細長い。一実施形態では、第2回折格子50は、第1方向と直交する第2方向で細長い。一実施形態では、第2方向はx方向である。一実施形態では、別の第2回折格子52が、基板テーブルWTに取り付けて設けられる。一実施形態では、別の第2回折格子52は、第2回折格子50から離れた位置に、例えば基板テーブルWTの第2回折格子50とは反対側の縁に沿って設けられる。第2回折格子50と別の第2回折格子52は、別体であっても同一物体の一部であってもよい。
【0049】
一実施形態では、少なくとも一つの検出器60が設けられる。一実施形態では、検出器60は、上述したようなエミッタとセンサとを備える。一実施形態では、二つ以上の検出器60が設けられる。一実施形態では、図2に示すように、第1回折格子40、42と第2回折格子50、52の交差部に、検出器60、61、62、63がそれぞれ設けられる。四つ未満の検出器を使用してもよい。例えば、第1回折格子を一つのみ使用する場合、二つの検出器60、62のみを使用してもよい。一つの第1回折格子40と一つの第2回折格子50のみを使用する場合、一つの検出器62のみを使用してもよい。第1回折格子40と、別の第1回折格子42と、第2回折格子50のみ(別の第2回折格子52はない)を使用する場合、二つの検出器62、63を使用してもよい。四つの回折格子40、42、50、52を使用する実施形態では、検出器60、61、62、63のうち三つまたは二つのみが使用されてもよい。
【0050】
一実施形態では、図示するように、二つ以上の検出器が互いに接続され共に移動してもよい。図2の例では、検出器60および61(別の第2回折格子52を共有する)が共に移動し、検出器62および63(第2回折格子50を共有する)が共に移動する。
【0051】
各検出器60、61、62、63は、コントローラ500(図示せず)によって利用可能である測定を行い、x、y、z方向における平行移動を測定することができ、選択的に、Rx、Ry回転方向の移動と、Rz方向における回転を測定することができる。
【0052】
一実施形態では、検出器60、61、62、63のそれぞれがコントローラ500に信号を送信する。コントローラはこの信号を使用して、検出器毎に3自由度の移動(例えば、x、y、z方向の移動)を測定する。これは12個の情報になる。それら12個の情報を使用して、6自由度での基板テーブルWTの位置を計算するとともに、メトロロジフレームMFおよび基板テーブルWTの変形(例えば、基板テーブルWTのねじれ)を計算することができる。
【0053】
一つ以上の検出器60、61、62、63を基板ステージ20に結合し、第1回折格子40に対してx軸内で拘束し、第1回折格子40に対してy軸内で移動させる方法について、図2と、図2に示したものの断面図である図3とを参照して以下で説明する。
【0054】
一実施形態では、基板ステージ20に対して5自由度のうちの少なくとも一つで、検出器60、61、62、63が、本体に搭載されたガイド120によって拘束される。図2の実施形態では、これらの5自由度は、基板ステージ20に対するy、z、Rx、Rz、Ry方向である。一実施形態では、第1回折格子40に対してx、z、Rx、Rz、Ry方向で検出器60、61、62、63を拘束するのに、本体搭載ガイド120は有効である。本体搭載ガイド120は基板ステージ20の一部に取り付けられ、これにより検出器60、61、62、63を基板ステージ20に結合する。
【0055】
一実施形態では、ガイドはレールの形態である。一実施形態では、ガイドは、例えば磁気ベアリング、ガスベアリングまたはボールベアリングであるベアリングを含んでもよい。基板ステージ20は、例えば本体に搭載された支持部によって、検出器60、61、62、63を支持してもよい。本体搭載支持部と本体搭載ガイドとは、同一部品であってもよい。
【0056】
一実施形態では、検出器とリニア軸100の間の接続部110によって、検出器のx方向位置が拘束されてもよい。リニア軸100は、第1回折格子40と平行な方向にのみ移動する。こうして、検出器60、61、62、63が第1回折格子40、42の後を追うように構成することができる。リニア軸100は、y方向で基板ステージ20の後を追う本体である。リニア軸100は、一つ以上の導管90(図2参照)を支持する。導管90は、気体、電気、制御信号、方向信号などのユーティリティを基板テーブルWTに/から提供するためのものである。少なくとも一つの導管90が、リニア軸100と基板テーブルWTの間に延びる。リニア軸100の目的は、導管90によって基板テーブルWTに加えられる力を低減することである。
【0057】
検出器60、61、62、63と基板テーブルWTとの間のx方向の相対運動は、基板テーブルWTがx方向に移動するときに発生する。リニア軸100は、検出器60、61、62、63の移動を、接続部110を通して拘束する。リニア軸100は、基板ステージ20と検出器60、61、62、63との間に力を発生させるように構成されたアクチュエータとして捉えることができる。連結部110は、第1回折格子40と別の第1回折格子42に対するx軸での検出器60、61、62、63の位置を維持する一方で、(x方向以外の方向で拘束することによって)基板テーブルWT上に導入される外乱力を最小化する。
【0058】
一実施形態では、リニア軸100は、第3本体(例えば、リニア軸100が結合されるフレーム(ベースフレームBF))と検出器60、61、62、63との間に力を発生させるように構成された検出器アクチュエータとして捉えることができる。
【0059】
一実施形態では、連結部110が検出器60、61、62、63のx方向位置を拘束する。基板ステージ20がx方向に移動するとき、リニア軸100はx方向に移動せず、検出器60、61、62、63は第1回折格子40、42、50、52に対して移動しない。基板ステージ20(特に、第2ポジショナPW)は移動せず、検出器60、61、62、63は基板ステージ20上(特に、第2ポジショナ上)で案内される。
【0060】
一実施形態では、リニア軸100は、x、y、Rz方向で、基板テーブルWTの位置決めに使用されるバランス質量の移動の後を追う。したがって、メトロロジフレームMFおよび第1回折格子40、42の移動とは異なり、リニア軸のx方向におけるいくらかの移動が存在可能である。リニア軸のこのx方向の移動は、わずか約40mm(バランス質量のストローク)のこともある。一つの解決策は、第1回折格子のサイズを40mmだけ増加させることである。好適な解決策は、リニア軸100に対して検出器60、61、62、63をx方向に作動させる小型のアクチュエータを設けることである。このアクチュエータは、リニアモータ型のアクチュエータであってもよい。
【0061】
図3で最もよく観察されるように、基板ステージ20は、第1モジュール(例えば基板テーブルWT)と第2モジュール(例えば第2ポジショナPW)とを備える。基板テーブルWTは、第2ポジショナPWに対して移動可能である。基板テーブルWTの第2ポジショナPWに対する移動は、投影系PLの下方での基板テーブルWTの精密位置決め(短距離移動)のためである。第2ポジショナPWは、長ストロークの移動と、基準フレームに対する大きな移動のために設計されている。
【0062】
好ましくは、検出器60、61、62、63が第2ポジショナPWに結合される。基板ステージ20に結合されている検出器60、61、62、63によって導入されるあらゆる外乱力が、基板テーブルWT、ひいては基板Wに到達しにくくなるので、これは有利である。
【0063】
一実施形態では、第2回折格子50、52の細長い方向と実質的に平行である方向を除く、6自由度のうち少なくとも一つで、基板ステージ20に対する検出器60、61、62、63の移動を拘束することによって、検出器60、61、62、63を基板ステージ20に結合するように、本体搭載ガイド120が構成される。一実施形態では、上記6自由度のうちの少なくとも一つは、y方向を含む。一実施形態では、第1回折格子40、42の細長い方向と実質的に平行である方向を除く6自由度のうちの少なくとも一つで、メトロロジフレームMFに対する検出器60、61、62、63の移動を連結部110が拘束する。
【0064】
基板ステージWTがx方向に移動すると、ガイド120と連結部110の組み合わせのために、第1および第2回折格子40、42、50、52の間の対応する交差部の下方に検出器60、61、62、63が留まることが保証される。第1および第2回折格子40、42、50、52で回折された一つ以上の放射ビームを検出器が検出することができる限り、対応する交差部に対する検出器60、61、62、63のいくらかの移動は許容される。
【0065】
検出器60、61、62、63の重量が、基板テーブルWT(例えば、ガイド120を通して)またはリニア軸100のいずれかによって担持されてもよい。図2および3の実施形態では、本体上で検出器60、61、62、63を支持するように、ガイド120が構成される。一実施形態では、検出器60、61、62、63の重量が、連結部110を介してリニア軸100によって担持される。
【0066】
図2および3の実施形態は、第1および第2回折格子40、42、50、52の交差部の下方に検出器60、61、62、63を留めるために、専用のアクチュエータが不要であるシステムとして捉えることができる。第2回折格子50、52の細長い方向と実質的に平行である方向を除く、6自由度のうち少なくとも一つでの、基板テーブルWTに対する検出器60、61、62、63の拘束が、受動的に達成される。
【0067】
図4は、以下で述べる点を除き、図2および3の実施形態と同様である、本体の動きを検出するシステムの別の実施形態を示す。
【0068】
図4の実施形態では、検出器60、61、62、63を基板テーブルWTに結合するように構成されたアクチュエータ130で、本体搭載ガイド120が置き換えられる。アクチュエータ130は、基板テーブルWTに対して検出器60、61、62、63を移動するように構成され、図2および3の実施形態のベアリング120が行っていたように、5自由度のうちの少なくとも一つで、基板テーブルWTに対して検出器を拘束する。
【0069】
一実施形態では、検出器60、61、62、63の基準フレームに対するx位置が、検出器60、61、62、63とリニア軸100との間の連結部110によって制御される。別の実施形態では、連結部110が不要であり、アクチュエータ130が、基板テーブルWTに対してx方向に検出器60、61、62、63を移動させ、これによって、第1および第2回折格子40、42、50、52の交差部の下方の位置に検出器60、61、62、63が留まることが保証される。一実施形態では、アクチュエータ130が、基板ステージ20と検出器60、61、62、63との間に力を発生させる。
【0070】
一実施形態では、第2回折格子50、52の細長い方向と実質的に平行である方向に、アクチュエータ130が検出器60、61、62、63を基板テーブルWTに対して移動させる。一実施形態では、アクチュエータ130は、第2回折格子50、52の細長い方向と実質的に平行である方向に、基板テーブルWTに対して検出器を移動するように設計されているに過ぎない。検出器60、61、62、63は、例えば検出器60、61、62、63とリニア軸100との間の連結部110を通して、他の5自由度で基板テーブルWTに対して拘束されている。
【0071】
図4の実施形態では、アクチュエータ130が本体搭載支持部として機能する点を除き、図2および3の実施形態と同様の方法で、検出器60、61、62、63が支持されてもよい。一実施形態では、本体上に検出器60、61、62、63を支持する(これによって、検出器60、61、62、63を本体に結合する)ように構成された本体搭載支持部が、本体搭載ガイド120またはアクチュエータ130とは別個に設けられてもよい。例えば、別個の支持部は、検出器60、61、62、63の表面(例えば底面)と、長ストロークモジュール80の表面(例えば、長ストロークモジュール80の上向きの面)との間に、空気ベアリング、磁気ベアリングまたはボールベアリングを備えてもよい。
【0072】
図4の実施形態では、第1回折格子40、42の細長い方向と実質的に平行である方向に検出器60、61、62、63を移動するように、長ストロークモジュール80が構成されており、連結部110によるのではない。連結部110は、上述のように、基板テーブルWTに対する検出器60、61、62、63の移動を拘束するために存在してもよい。
【0073】
図5は、以下に述べる点を除き上述した実施形態と同様である実施形態を示す。
【0074】
図5の実施形態では、第2回折格子50、52の細長い方向と実質的に平行である方向を除き、6自由度のうち少なくとも一つで、基板テーブルWTに対する検出器60、61、62、63の移動を拘束するために、ガイド150が設けられる。第1回折格子40に対して検出器60、61、62、63をy方向に作動させるためにアクチュエータ140が設けられる。
【0075】
図5に示すように、検出器60、61、62、63と基板ステージ20との間は結合されない。一実施形態では、検出器60、61、62、63と基板ステージ20との間に結合があってもよい。この結合は、例えば支持部の形態であってもよい。一実施形態では、この結合は、第2回折格子50、52の細長い方向と実質的に平行である方向を除く6自由度のうち少なくとも一つで、基板テーブルWTに対する検出器60、61、62、63の移動を拘束するためのガイドであってもよい。
【0076】
ガイド150は、他の実施形態のガイドと同様であってもよい。一実施形態では、第1および第2回折格子40、42、50、52の交差部の下方に検出器60、61、62、63の位置を維持するように、アクチュエータ140がy軸で検出器60、61、62、63を作動させる。アクチュエータ140は、第2回折格子50、52の細長い方向と実質的に平行である方向を除く6自由度のうち少なくとも一つで、基板テーブルWTに対する検出器60、61、62、63の移動を拘束してもよい。
【0077】
一実施形態では、第1回折格子40、42の細長い方向と実質的に平行である方向に検出器60、61、62、63を案内するように、ガイド150が構成される。一実施形態では、第1回折格子40、42の細長い方向と実質的に平行である方向に、第1回折格子に対して検出器60、61、62、63を移動させるように、アクチュエータ140が構成される。
【0078】
一実施形態では、第1回折格子40、42が取り付けられるフレーム(例えば、メトロロジフレームMFまたはベースフレームBF)にガイド150が接続される。一実施形態では、図6に示すように、ガイド150が第1回折格子40、42に接続される。
【0079】
図7は、以下で述べる点を除き前述の実施形態と同様である実施形態を示す。
【0080】
図5および6の実施形態で設けられたものと同一のまたは同様のガイド150が図7の実施形態で設けられる。しかしながら、アクチュエータは設けられない。代わりに、図2および3の実施形態で設けられたベアリング120と同様のまたは同一のベアリング120が設けられる。したがって、基板ステージ20の移動によって、検出器60、61、62、63の移動が達成される。これは、完全に受動的なシステムである。
【0081】
ガイド150は、第1回折格子40に対するy方向での検出器60、61、62、63の移動を拘束し、ベアリング120により、基板テーブルWTに対するx方向での検出器60、61、62、63の移動が可能になる。第1回折格子40に対するy方向での移動は、基板ステージ20への結合によって達成される。基板テーブルWTに対するx方向での移動は、ガイド150のおかげで実現される。本体搭載ガイド120またはガイド150の一方または両方が、基準フレームに対して他の5自由度で検出器60、61、62、63を拘束してもよい。図7の実施形態は受動システムであり、検出器60、61、62、63のための専用のアクチュエータは不要である。
【0082】
図8の実施形態は、以下に述べる点を除き図7の実施形態と同一である。図8の実施形態は、図2および3の実施形態における検出器60、61、62、63とリニア軸100との間のカップリング110と、図5および6の実施形態のガイド150と、を備える。一実施形態では、検出器60、61、62、63と基板ステージ20との間に結合がない。代替的な実施形態では、例えば本体搭載支持部または本体搭載ガイドの形態で、検出器60、61、62、63と基板ステージ20との間に結合が存在してもよい。
【0083】
図8の実施形態では、第1回折格子40に対して検出器60、61、62、63をy方向に移動するために、連結部110が有効である。一実施形態では、x方向以外の、基板テーブルWTに対する6自由度(のうちの少なくとも一つ)で、第1および第2回折格子の交差部の下方の位置に検出器60、61、62、63の位置を維持する(すなわち、検出器60、61、62、63を拘束する)ためにも連結部110が有効である。連結部110の存在は選択的である。一実施形態では、ガイド150が、基準フレームに対して5自由度で検出器60、61、62、63を拘束する。代替的な実施形態では、基準フレームに対して5よりも小さい自由度で、または基準フレームに対して5自由度で、連結部110とガイド150が検出器60、61、62、63を拘束する。
【0084】
一実施形態では、第1および第2回折格子40、42、50、52は、水平方向の自由度と選択的にz方向の両方についての情報を含む、二次元の回折格子である。一実施形態では、第2基板ステージ20が設けられる。第2基板ステージ20は第1基板ステージ20と同一であり、本体の動きを検出する同一のシステムを有する。第2基板ステージ20の第1回折格子は、第1基板ステージ20の側面に対して投影系PSの反対側に載置される。これは、投影系PSの下方での基板ステージ20の交換を可能にするような配置である。第2基板ステージ20の第1回折格子は、第2基板ステージ20の第1回折格子と実質的に平行である。
【0085】
一実施形態では、第1および第2基板ステージが、本体の動きを検出するそれぞれのシステムで同一の回折格子40、42を使用する。このような状況では、本体の動きを検出し(例えば、検出器60、61、62、63の後退によって)異なるシステム(例えばレーザ干渉計)を使用して基板ステージ20の位置を監視するシステムから、基板ステージを切り離す必要がある場合もある。
【0086】
検出器60、61、62、63の位置が基準フレームに対してx方向で固定されているので、検出器60、61、62、63がエミッタを備えないことも可能である。代わりに、y方向に沿ったビームが固定されたエミッタによって与えられ、検出器60、61、62、63の反射面によって、例えば第2回折格子(一実施形態では透過型)を通して第1回折格子上にビームが反射されてもよい。そこで、ビームが回折され反射され、選択的に第2回折格子を通して検出器60、61、62、63へと戻される。
【0087】
IC製造におけるリソグラフィ装置の使用について本文書において特に言及をしてきたが、本明細書で述べたリソグラフィ装置は、他の応用形態も有していることを理解すべきである。例えば、集積された光学システム、磁気領域メモリ用の誘導及び検出パターン(guidance and detection pattern)、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造といった応用である。当業者は、このような代替的な応用形態の文脈において、本明細書における「ウェハ」または「ダイ」という用語のいかなる使用も、それぞれより一般的な用語である「基板」または「目標部分」と同義とみなすことができることを認められよう。本明細書で参照された基板は、例えばトラック(通常、レジスト層を基板に付加し、露光されたレジストを現像するツール)、計測ツール及び/または検査ツールで露光の前後に加工されてもよい。適用可能であれば、本明細書の開示は、そのような基板処理工具または他の工具に対しても適用することができる。さらに、例えば多層ICを作製するために二回以上基板が加工されてもよく、その結果、本明細書で使用された基板という用語は、複数回処理された層を既に含む基板のことも指してもよい。
【0088】
光学的リソグラフィの文脈における本発明の実施形態の使用についてに特定の言及をしてきたが、本発明は、例えばインプリントリソグラフィなどの他の応用形態にも使用可能であり、文脈が許す限り光学的リソグラフィに限定されないことは理解されるだろう。インプリントリソグラフィでは、パターニングデバイスのトポグラフィーが基板に生成されるパターンを定める。パターニングデバイスのトポグラフィーが基板に塗布されているレジスト層に押し付けられ、電磁放射、熱、圧力、またはこれらの組み合わせによってレジストが硬化される。レジストが硬化した後、パターニングデバイスがレジストから外されてパターンが残る。
【0089】
本明細書で使用される「照射」及び「ビーム」という用語は、紫外線(UV)照射(例えば、365、355、248、193、157、または126nmの波長を有する)、極端紫外線(EUV)照射(例えば、5−20nmの範囲の波長を有する)、並びにイオンビームまたは電子ビームなどの粒子ビームを含む、あらゆるタイプの電磁気照射を包含する。
【0090】
「レンズ」という用語は、文脈の許す限り、屈折光学部品、反射光学部品、磁気光学部品、電磁光学部品および静電光学部品を含む様々なタイプの光学部品のうちの任意の一つまたはその組み合わせを指す場合もある。
【0091】
本発明の特定の実施形態が上述されたが、説明したもの以外の態様で本発明が実施されてもよい。例えば、本発明は、上述の方法を記述する機械で読み取り可能な命令の一つまたは複数のシーケンスを含むコンピュータプログラムの形式をとってもよいし、そのコンピュータプログラムを記録したデータ記録媒体(例えば半導体メモリ、磁気ディスク、または光ディスク)であってもよい。
【0092】
上述の説明は例示であり限定することを意図していない。よって、当業者であれば以下に述べる請求項の範囲から逸脱することなく本発明の変形例を実施することが可能であろう。
【0093】
「発明の概要」および「要約」の部分ではなく「発明の詳細な説明」の部分が請求項の解釈のために使用されるべきであることは理解されよう。発明の概要」および「要約」の部分は、発明者によって考案された本発明の実施形態のうち一つまたは複数について述べているが、全ての例示的な実施形態について述べている訳ではない。したがって、本発明および添付の特許請求の範囲をいかなる方法によっても限定する意図はない。
【0094】
特定の機能および関係の実現を例証する機能的な構成要素の助けを用いて本発明を説明してきた。これらの機能的な構成要素の境界は、説明の便宜上、適宜定義されている。それらの特別な機能および関係が適切に実行される限り、別の境界も定義することができる。
【0095】
特定の実施形態についての上記説明は本発明の一般的性質を完全に公開しており、したがって、当分野の能力に含まれる知識を適用することによって、過度の実験をすることなく、および本発明の一般概念から逸脱することなく、種々の応用に対してそのような特定の実施形態を直ちに修正しおよび/または適応させることができる。したがって、そのような修正および適応は、本書に提示された教示および助言に基づき、開示された実施形態の意義および等価物の範囲内であると意図されている。本書の言葉遣いおよび専門用語は説明を目的としており限定のためではないと理解されるべきであり、本明細書の言葉遣いおよび専門用語は教示および助言を考慮して当業者によって解釈されるべきものである。
【0096】
本発明の広がりおよび範囲は、上述した例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、特許請求の範囲およびそれらの等価物に従ってのみ規定されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体の動きを検出するシステムであって、
本体と、
基準フレームに対して実質的に静止して取り付けられた第1回折格子と、
前記本体に取り付けられた第2回折格子と、
前記第1および第2回折格子で回折された一つ以上の放射ビームを受け取り、前記基準フレームに対する前記本体の動きを検出するように構成された検出器と、を備え、
前記検出器が前記本体に結合され、前記本体に対して移動可能であることを特徴とするシステム。
【請求項2】
第2回折格子の細長い方向と実質的に平行である方向を除く6自由度のうちの少なくとも一つで前記本体に対する前記検出器の移動を拘束することによって、前記検出器を前記本体に結合するように構成された本体搭載ガイドによって、前記検出器が前記本体に結合されることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記検出器は、前記本体上に前記検出器を支持することにより前記検出器を前記本体に結合するように構成された本体搭載支持部によって、前記検出器が前記本体に結合されることを特徴とする請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記本体と前記検出器がベアリングによって結合されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のシステム。
【請求項5】
前記第1回折格子に対して実質的に静止して取り付けられるとともに、前記第1回折格子の細長い方向と実質的に平行である方向を除く6自由度のうちの少なくとも一つで前記第1回折格子に対する前記検出器の移動を拘束するように構成された、回折格子ガイドをさらに備える請求項1ないし4のいずれかに記載のシステム。
【請求項6】
前記第2回折格子の細長い方向と実質的に平行である方向で前記本体に対して前記検出器を移動させるように構成された検出器アクチュエータをさらに備える請求項1ないし5のいずれかに記載のシステム。
【請求項7】
少なくとも一つのガイドの受動動作によって、前記検出器が前記本体に対して移動可能であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のシステム。
【請求項8】
前記本体は第1モジュールと第2モジュールとを備え、前記第1モジュールが前記第2モジュールに対して移動可能であり、前記第2回折格子が前記第1モジュールに取り付けられることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載のシステム。
【請求項9】
使用時に、前記検出器が前記第1および第2回折格子の下方にあり、前記第2回折格子が前記第1回折格子の下方にあることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載のシステム。
【請求項10】
本体の動きを検出するシステムであって、
本体と、
基準フレームに対して実質的に静止して取り付けられた第1回折格子と、
前記本体に取り付けられた第2回折格子と、
前記第1および第2回折格子で回折された一つ以上の放射ビームを受け取り、前記基準フレームに対する前記本体の動きを検出するように構成された検出器と、
前記第1回折格子の細長い方向と実質的に平行である方向に前記検出器を案内するように構成された少なくとも一つのガイドと、
前記細長い方向と実質的に平行である方向に前記検出器を移動させるように構成されたアクチュエータと、
を備えるシステム。
【請求項11】
前記基準フレームに対して実質的に静止して取り付けられ、前記第1回折格子と実質的に平行である別の第1回折格子をさらに備える請求項1ないし10のいずれかに記載のシステム。
【請求項12】
前記第2回折格子が取り付けられる縁とは反対側の縁に沿って前記本体に取り付けられる別の第2回折格子をさらに備える請求項1ないし11のいずれかに記載のシステム。
【請求項13】
請求項1−12のいずれかに記載のシステムを備えるリソグラフィ装置。
【請求項14】
前記本体が、基板を支持するための基板ステージであることを特徴とする請求項13に記載のリソグラフィ装置。
【請求項15】
投影系を使用して、基板テーブル上に配置された基板を照射し、
請求項1−14のいずれかに記載のシステムを使用して、前記投影系に対する前記基板の移動を測定することを含む、デバイス製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−48240(P2013−48240A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−184855(P2012−184855)
【出願日】平成24年8月24日(2012.8.24)
【出願人】(504151804)エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ. (1,856)
【Fターム(参考)】