説明

化合物

本発明は式(I)
【化1】


(式中、R1、R2、R3、R4、R5、mおよびnは上記で定義された通りである)の化合物を提供する。本発明の化合物はケモカインCCR5受容体の活性のモジュレーター、特にアンタゴニストである。CCR5受容体のモジュレーターは様々な炎症性の疾患および症状の治療、さらにHIVおよび遺伝的に関係があるレトロウイルスによる感染症の治療において有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はピペリジン誘導体、それらの製造法、それらを含有する組成物およびそれらの使用に関する。
さらに詳しくは、本発明はケモカインCCR5受容体の調節、特に拮抗作用が関与するものを含む様々な疾患の治療におけるピペリジン誘導体の使用に関する。したがって、本発明の化合物はHIV、例えばHIV−1および遺伝的に関係があるレトロウイルス感染症(および結果として起こる後天性免疫不全症候群、AIDS)、炎症性疾患、自己免疫疾患および疼痛の治療において有用である。
【背景技術】
【0002】
「ケモカイン」という名称は「走化性サイトカイン」の短縮形である。ケモカインは共通の構造的特徴を持ち、白血球を誘引することができる大きいファミリーのタンパク質である。白血球走化性因子としてケモカインは炎症および感染に対する体の反応にとって極めて重要な過程である体内の様々な組織への白血球の誘引において不可欠な役割を果たしている。ケモカインおよびそれらの受容体は炎症性および感染性疾患の病態生理の中核を成すため、ケモカインおよびそれらの受容体の活性を調節、好ましくは拮抗するのに活性である物質はこのような炎症性および感染性疾患の治療的処置において有用である。
【0003】
ケモカイン受容体CCR5は炎症性および感染性疾患の治療に関して特に重要である。CCR5はケモカイン、特にMIP−1αおよびMIP−1βと呼ばれるマクロファージ炎症性タンパク質(MIP)、並びに活性化により調節され、正常なT−細胞を発現し、分泌するタンパク質(RANTES)の受容体である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
今般、本発明者らはCCR5受容体の強力で選択的なモジュレーター、特にアンタゴニストである化合物群を見い出した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の最初の態様によれば、式(I)
【化1】

[式中、R1はフェニル、ナフチルまたは5〜10員の芳香族複素環であり、前記複素環はN、OまたはSから選択される1〜3個のヘテロ原子を含有し、そして前記フェニル、ナフチルおよび複素環はC1-6アルキル、C3-7シクロアルキル、C1-6アルコキシ、C1-6アルコキシC1-6アルキル、ハロゲン、C1-6ハロアルキル、OH、CN、NR8R9、COR8、CO2R8、CONR8R9、フェニル、イミダゾリルから選択される0〜3個の原子または基により置換され、あるいはR1は複素環、オキソであり;
R2およびR3は独立してHまたはC1-6アルキルであり;
R4はベンジル、ピリジルメチルまたはピリミジニルメチルであり、前記ベンジル、ピリジルメチルおよびピリミジニルメチルはC1-6アルキル、C3-7シクロアルキル、C1-6アルコキシ、C1-6アルコキシC1-6アルキル、ハロゲン、C1-6ハロアルキル、OH、CN、NR8R9、COR
8、CO2R8、CONR8R9、フェニルまたはイミダゾリルから選択される0〜3個の原子または基により置換され;
【0006】
R5はCOR6またはSO2R7であり;
R6はC1-6アルキル、C3-7シクロアルキル、C1-6アルコキシ、C3-7シクロアルキルC1-3アルキル、C1-6アルコキシC1-6アルキル、テトラヒドロフリルまたはテトラヒドロピラニルであり、前記C1-6アルキル、C3-7シクロアルキル、C1-6アルコキシおよびC1-6アルコキシC1-6アルキルはハロゲン、NR8R9、C1-6アルコキシまたはOHから選択される0〜3個の原子または基により置換され;
【0007】
R7はC1-6アルキルであり;
R8およびR9は独立してHまたはC1-6アルキルであり;あるいはR8およびR9が共に同じN原子に結合している場合、NR8R9はさらにO、NまたはSから選択される0〜2個のヘテロ原子を含有する5〜7員の飽和、部分的に不飽和または芳香族の複素環であってもよく;
mは0、1、2または3であり;
nは0、1、2または3であり;
「−−−−−」は場合により存在するC−C結合を示し、mまたはn=1、2または3である場合、ピペリジン環1個あたり存在する何れかの2個の結合はアルキレンブリッジを形成する]
の化合物、あるいはその薬学的に許容しうる塩、溶媒和物または誘導体が提供される。
【0008】
基または基の一部としての「アルキル」なる用語は直鎖状および分枝鎖状の基を包含する。アルキルの例はメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチルおよびt−ブチルである。「C3-C7シクロアルキル」なる用語はシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルを意味する。ハロゲンなる用語はフルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを意味する。「C1-6ハロアルキル」なる用語は1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されるC1-6アルキルを意味する。
【0009】
一態様において、R1はフェニル、ピリジル、ピリミジル、ピリジルN−オキシドまたはピリミジルN−オキシドであり、前記フェニル、ピリジル、ピリミジル、ピリジルN−オキシドおよびピリミジルN−オキシドはC1-6アルキル、C3-7シクロアルキル、C1-6アルコキシ、C1-3アルコキシC1-3アルキル、ハロゲン、C1-6ハロアルキル、OH、CN、NR8R9、COR8、CO2R8、CONR8R9、フェニルまたはイミダゾリルから選択される0〜3個の原子または基により置換される。
他の態様において、R1はフェニル、ピリジル、ピリミジル、ピリジルN−オキシドまたはピリミジルN−オキシドであり、前記フェニル、ピリジル、ピリミジル、ピリジルN−オキシドおよびピリミジルN−オキシドはC1-6アルキルまたはハロゲンから選択される0〜3個の原子または基により置換される。
【0010】
さらに他の態様において、R1はフェニル、ピリジル、ピリミジル、ピリジルN−オキシドまたはピリミジルN−オキシドであり、前記フェニル、ピリジル、ピリミジル、ピリジルN−オキシドおよびピリミジルN−オキシドはC1-3アルキルまたはハロゲンから選択される0〜3個の原子または基により置換される。
さらに他の態様において、R1はフェニル、ピリジル、ピリミジル、ピリジルN−オキシドまたはピリミジルN−オキシドであり、前記フェニル、ピリジル、ピリミジル、ピリジルN−オキシドおよびピリミジルN−オキシドはメチルまたは塩素から選択される0〜3個の原子または基により置換される。
【0011】
さらに他の態様において、R1はフェニル、ピリジル、ピリミジル、ピリジルN−オキシ
ドまたはピリミジルN−オキシドであり、前記フェニル、ピリジル、ピリミジル、ピリジルN−オキシドおよびピリミジルN−オキシドはメチルまたは塩素から選択される2個の原子または基により置換される。
【0012】
さらに他の態様において、R2およびR3は独立してHまたはC1-3アルキルである。
さらに他の態様において、R2およびR3は独立してHまたはメチルである。
【0013】
さらに他の態様において、R4はC1-6アルキル、C3-7シクロアルキル、C1-6アルコキシ、C1-3アルコキシC1-3アルキル、ハロゲン、C1-6ハロアルキル、OH、CN、NR8R9、COR8、CO2R8、CONR8R9、フェニルまたはイミダゾリルから選択される0〜3個の原子または基により置換されるベンジルである。
さらに他の態様において、R4はC1-3アルキル、C1-3アルコキシ、ハロゲンまたはC1-3ハロアルキルから選択される0〜3個の原子または基により置換されるベンジルである。
さらに他の態様において、R4はメチル、メトキシ、フッ素、塩素またはCF3から選択される0〜3個の原子または基により置換されるベンジルである。
【0014】
さらに他の態様において、R5はCOR6である。
さらに他の態様において、R5はSO2R7である。
【0015】
さらに他の態様において、R6はC1-6アルキル、C3-6シクロアルキル、C3-5シクロアルキルC1-2アルキル、C1-3アルコキシ、C1-3アルコキシC1-3アルキル、テトラヒドロフリルまたはテトラヒドロピラニルであり、前記C1-3アルキル、C3-6シクロアルキル、C3-5シクロアルキルC1-2アルキル、C1-3アルコキシおよびC1-3アルコキシC1-3アルキルはハロゲンから選択される0〜3個の原子または基により置換される。
さらに他の態様において、R6はC1-4アルキルまたはC3-6シクロアルキルであり、前記C1-3アルキルおよびC3-6シクロアルキルはハロゲンから選択される0〜3個の原子により置換される。
【0016】
さらに他の態様において、R7はC1-3アルキルである。
さらに他の態様において、R7はメチルである。
【0017】
さらに他の態様において、R8およびR9は独立してHまたはC1-3アルキルである。
さらに他の態様において、R8およびR9は独立してHまたはメチルである。
【0018】
さらに他の態様において、式(Ia)
【化2】

(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は上記の式(I)の化合物で定義された通りであり、その特定の態様のすべての組合せを含む)の化合物、あるいはその薬学的に許容しうる塩、溶媒和物または誘導体が提供される。
【0019】
さらに他の態様において、式(Ib)
【化3】

(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は上記の式(I)の化合物で定義された通りであり、その特定の態様のすべての組合せを含む)の化合物、あるいはその薬学的に許容しうる塩、溶媒和物または誘導体が提供される。
【0020】
さらに他の態様において、式(Ic)
【化4】

(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は上記の式(I)の化合物で定義された通りであり、その特定の態様のすべての組合せを含む)の化合物、あるいはその薬学的に許容しうる塩、溶媒和物または誘導体が提供される。
【0021】
さらに他の態様において、式(Id)
【化5】

(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は上記の式(I)の化合物で定義された通りであり、その特定の態様のすべての組合せを含む)の化合物、あるいはその薬学的に許容しうる塩、溶媒和物または誘導体が提供される。
【0022】
さらに他の態様において、式(Ie)
【化6】

(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は上記の式(I)の化合物で定義された通りであり、その特定の態様のすべての組合せを含む)の化合物、あるいはその薬学的に許容しうる塩、溶媒和物または誘導体が提供される。
【0023】
本発明が式(I)の化合物の定義と一致する上記のような本発明の態様のすべての組合せを包含することは理解されよう。
本発明の化合物は式(I)の化合物およびその薬学的に許容しうる塩、溶媒和物または誘導体(ここで誘導体は複合体、プロドラッグおよび同位体標識化合物、並びにその塩および溶媒和物を含む)を包含する。他の態様において、本発明の化合物は式(I)の化合物およびその薬学的に許容しうる塩および溶媒和物、特に式(I)の化合物である。上記の本発明の化合物はその多形体および異性体を包含することは理解されよう。
式(I)の化合物の薬学的に許容しうる塩はその酸付加塩および塩基塩を包含する。
【0024】
適当な酸付加塩は非毒性の塩を生成する酸から生成される。例えば、酢酸塩、アジピン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、重炭酸塩/炭酸塩、重硫酸塩/硫酸塩、ホウ酸塩、カンシラート、クエン酸塩、シクラミン酸塩、エジシラート、エシラート、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプテート、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ヒベンズ酸塩、塩酸塩/塩化物、臭化水素酸塩/臭化物、沃化水素酸塩/沃化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ナフチル酸塩、2−ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロチン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、リン酸塩/リン酸一水素塩/リン酸二水素塩、ピログルタミン酸塩、サッカラート、ステアリン酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩、トリフルオロ酢酸塩およびキシナホ酸塩がある。
適当な塩基塩は非毒性の塩を生成する塩基から生成される。例えば、アルミニウム、アルギニン、ベンザチン、カルシウム、コリン、ジエチルアミン、ジオールアミン、グリシン、リシン、マグネシウム、メグルミン、オラミン、カリウム、ナトリウム、トロメタミンおよび亜鉛塩がある。
【0025】
酸および塩基のヘミ塩、例えばヘミ硫酸塩およびヘミカルシウム塩もまた生成することができる。
適当な塩について検討する場合、StahlおよびWermuthのHandbook of Pharmaceutical Salts:Properties, Selection, and Use (Wiley−VCH、2002年)(これは参照により本明細書に加入される)を参照されたい。
【0026】
式(I)の化合物の薬学的に許容しうる塩は次の3つの方法の何れかにより製造することができる:
(i) 式(I)の化合物を所望の酸と反応させる;
(ii) 酸または塩基に不安定な保護基を式(I)の化合物の適当な前駆体から除去するか、または所望の酸を使用して適当な環状前駆体、例えばラクトンまたはラクタムを開環する;あるいは
(iii) 式(I)の化合物のある塩を適当な酸と反応させて、または適当なイオン交換カラムを使用して他の塩に変換する。
【0027】
3つの反応はすべて典型的には溶液中で行なわれる。塩は溶液から沈殿させ、ろ過により集めることができ、または溶媒を蒸発させて回収することができる。塩のイオン化度は完全にイオン化したものから殆んどイオン化していないものまで幅がある。
【0028】
本発明の化合物は完全に非晶質から完全に結晶質の連続した固体状態で存在する。「非晶質」なる用語は分子レベルで長距離秩序がない物質を意味し、温度に応じて固体または液体の物理的特性を示す。典型的には、このような物質は固体の特性を示しながら特徴的なX−回折パターンを与えず、正式には液体といわれている。加熱すると、状態変化、典型的には二次転移(ガラス転移)を特徴とする固体から液体への特性変化が起こる。「結晶質」なる用語は物質が分子レベルで規則的に配列した内部構造を持ち、明確なピークのある特徴的なX−回折パターンを与える固相を意味する。このような物質は十分に加熱すると液体の特性もまた示すが、固体から液体への変化は相変化、典型的には一次転移(「融点」)を特徴とする。
【0029】
本発明の化合物はまた、非溶媒和および溶媒和形態で存在することができる。本明細書において、「溶媒和物」なる用語は本発明の化合物および1種またはそれ以上の薬学的に許容しうる溶媒分子、例えばエタノールからなる分子複合体を表すのに使用される。「水和物」なる用語は前記溶媒が水である場合に使用される。
【0030】
有機水和物について現在認められている分類体系は単独部位、チャンネルまたは金属イオン配位水和物を明確にするものである−K. R. MorrisのPolymorphism in Pharmaceutical Solids(H. G. Brittain編、Marcel Dekker、1995年)(これは参照により本明細書に加入される)を参照。単独部位水和物は水分子が有機分子の介在により互いの直接的接触から独立しているものである。チャンネル水和物において、水分子はそれらが他の水分子に隣接している格子チャンネルに位置する。金属イオン配位水和物において、水分子は金属
イオンに結合している。
【0031】
溶媒または水がしっかりと結合している場合、複合体は湿度と無関係に明確な化学量論を有する。しかしながら、溶媒または水が弱く結合している場合、チャンネル溶媒および吸湿性化合物中のように、水/溶媒の内容物は湿度および乾燥状態に依存する。このような場合、非化学量論が典型である。
【0032】
薬剤および少なくとも1種の他の成分が化学量論的量または非化学量論的量で存在する多成分複合体(塩および溶媒和物以外)もまた、本発明の範囲内に包含される。このタイプの複合体は包接化合物(薬剤−宿主包接複合体)および共結晶を含む。後者は典型的には非共有結合性相互作用により互いに結合している中性分子成分の結晶複合体として定義されるが、中性分子と塩の複合体であってもよい。共結晶は溶融結晶化により、溶媒から再結晶することにより、または各成分を一緒に物理的に粉砕することにより製造することができる−O.AlmarssonおよびM.J.ZaworotkoのChem Commun, 17, 1889〜1896(2004年)(これは参照により本明細書に加入される)を参照。多成分複合体について一般的に再検討する場合、HaleblianのJ Pharm Sci, 64(8), 1269〜1288(1975年8月)(これは参照により本明細書に加入される)を参照されたい。
【0033】
本発明の化合物は適当な条件により中間状態(中間相または液晶)で存在することもある。中間状態は真の結晶状態と真の液体状態の中間(融液または溶液)である。温度変化の結果として生じる中間状態は‘サーモトロピック'と言われ、水または他の溶媒のような第2成分を加えて生じるものは‘リオトロピック'と言われる。リオトロピック中間相を生成する可能性のある化合物は‘両親媒性'と言われ、イオン性(例えば−COO-Na+、−COO-K+または−SO3-Na+)または非イオン性(例えば−N-N+(CH3)3)の極性頭部基を有する分子からなる。詳しくは、N.H.HartshorneおよびA.StuartのCrystals and the Polarizing Microscope, 第4版(Edward Arnold、1970年)(これは参照により本明細書に加入される)を参照。
以下、式(I)の化合物へのすべての言及はその塩、溶媒和物、多成分複合体および液晶、並びにその塩の溶媒和物、多成分複合体および液晶への言及を含む。
【0034】
殆んどまたは全く薬理活性を持たない式(I)の化合物の特定の誘導体は体内または体外に投与されると、例えば加水分解により所望の活性を有する式(I)の化合物に変換することができる。このような誘導体は‘プロドラッグ'と呼ばれる。プロドラッグの使用についての詳細は‘Prodrug as Novel Delivery Systems'、第14巻, ACSシンポジウムシリーズ(T HiguchiおよびW Stella)と‘Bioreversible Carriers in Drug Design', Pergamon Press(1987年)(E B Roche編、米国薬剤師会)に記載されている。
【0035】
本発明のプロドラッグは例えば式(I)の化合物に存在する適当な官能基を例えばH Bundgaardの「Design of Prodrug」(Elsevier、1985年)に記載の「プロ部分」のような当業者に知られている特定の部分に置き換えることにより製造することができる。
【0036】
本発明のプロドラッグの幾つかの例は:
(i) 式(I)の化合物がカルボン酸官能基(−COOH)を含有する場合はそのエステル、例
えば式(I)の化合物のカルボン酸官能基の水素が(C1−C8)アルキルにより置換される化合物;
(ii) 式(I)の化合物がアルコール官能基(−OH)を含有する場合はそのエーテル、例えば式(I)の化合物のアルコール官能基の水素が(C1−C6)アルカノイルオキシメチルにより置換される化合物;および
(iii) 式(I)の化合物が第1または第2アミノ官能基(−NH2または−NHR、R≠H)を含有する場合はそのアミド、例えば式(I)の化合物のアミノ官能基の一方または両方の水素が
(C1−C10)アルカノイルにより置換される化合物である。
【0037】
下記の実施例の置換基の他の例および本発明の他のタイプのプロドラッグの例は上記の文献に記載されている。
さらに、特定の式(I)の化合物は他の式(I)の化合物のプロドラッグとして働くこともできる。
【0038】
式(I)の化合物の代謝物、すなわち薬剤の投与により生体内で生成する化合物もまた、本発明の範囲内に包含される。本発明の代謝物の幾つかの例は:
(i) 式(I)の化合物がメチル基を含有する場合はそのヒドロキシメチル誘導体(−CH3−>−CH2OH);
(ii) 式(I)の化合物がアルコキシ基を含有する場合はそのヒドロキシ誘導体(−OR−>−OH);
(iii) 式(I)の化合物が第3アミノ基を含有する場合はその第2アミノ誘導体(−NR1R2−>−NHR1または−NHR2);
(iv) 式(I)の化合物が第2アミノ基を含有する場合はその第1アミノ誘導体(−NHR1−>−NH2);
(v) 式(I)の化合物がフェニル部分を含有する場合はそのフェノール誘導体(−Ph−>−PhOH);および
(vi) 式(I)の化合物がアミド基を含有する場合はそのカルボン酸誘導体(−CONH2−>COOH)である。
【0039】
式(I)の化合物は1個またはそれ以上の不斉炭素原子を含有し、そのため2種またはそれ以上の立体異性体として存在する。mまたはn≠0である、すなわち架橋ピペリジン環を含有する式(I)の化合物はエンド−またはエキソ−配置であり、そのためシス/トランス(またはZ/E)幾何異性体が考えられる。構造異性体が低いエネルギー障壁により相互交換できる場合、互変異性が生じる。これは例えばケトまたはオキシム基を含有する式(I)の化合物ではプロトン互変異性、あるいは芳香族部分を含有する化合物ではいわゆる原子価互変異性の形態をとる。
【0040】
式(I)の化合物はアトロプ異性、すなわち軸性キラリティーを示すことがあり、それは分子がキラル中心を有するためというより全体的な形状のためにキラルである場合に起こる。これらの分子をキラルにする3次元形状は結合の周りの束縛回転によって維持される。単独の共有結合の自由回転は立体異性配座(アトロプ異性体)の相互変換が所定の条件下で分離および単離できる程遅くなるように十分に妨げられる。熱ラセミ化のエネルギー障壁はキラル軸を形成する1個またはそれ以上の結合の自由回転の立体障害により決まる。
【0041】
結果として、単一化合物が2種以上の異性を示すこともある。
2種以上の異性を示す化合物だけでなくすべての光学異性体、幾何異性体、アトロプ異性体および互変異性体を含む式(I)の化合物のすべての立体異性体、並びにこれらの1種またはそれ以上の混合物は本発明の範囲内に包含される。カウンターイオンが光学的に活性である酸付加塩または塩基塩、例えばD−乳酸塩またはL−リシン、あるいはラセミ体、例えばDL−酒石酸塩またはDL−アルギニンもまた包含される。
【0042】
エンド/エキソ異性体は当業者によく知られている慣用の方法、例えばクロマトグラフィーおよび分別結晶により分離することができる。
個々のエナンチオマーを分離/単離するための慣用の方法には適当な光学的に純粋な前駆体からのキラル合成、あるいは例えばキラルな高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用するラセミ体(または塩もしくは誘導体のラセミ体)の分割がある。
【0043】
別法として、ラセミ体(またはラセミ前駆体)を適当な光学的に活性な化合物、例えばアルコールと、あるいは式(I)の化合物が酸性または塩基性部分を含有する場合は酒石酸または1−フェニルエチルアミンのような酸または塩基と反応させることができる。得られるジアステレオマー混合物はクロマトグラフィーおよび/または分別結晶により分離することができ、またジアステレオマーの一方または両方を当業者によく知られている手段により相当する純粋なエナンチオマーに変換することができる。
【0044】
キラルな本発明の化合物(およびそのキラル前駆体)は0〜50%イソプロパノール、典型的には2〜20%および0〜5%のアルキルアミン、典型的には0.1%ジエチルアミンを含有する炭化水素、典型的にはヘプタンまたはヘキサンからなる移動相で不斉樹脂においてクロマトグラフィー、典型的にはHPLCを使用してエナンチオマー的に濃縮された形態で得られる。溶離液を濃縮すると濃縮混合物が得られる。
立体異性体混合物は当業者に知られている慣用の方法により分離することができる−例えばE. L. Elielの「Stereochemistry of Organic Compounds」(Wiley、ニューヨーク、1994年)を参照。
【0045】
本発明はまた、1個またはそれ以上の原子が同じ原子番号を有するが、通常天然に存在する原子量または質量数と異なる原子量または質量数を有する原子により置換されるすべての薬学的に許容しうる式(I)の同位体標識化合物を包含する。
【0046】
本発明の化合物に含まれるのに適した同位体の例は2Hおよび3Hのような水素の同位体;11C、13Cおよび14Cのような炭素の同位体;36Clのような塩素の同位体;18Fのようなフッ素の同位体;123Iおよび125Iのような沃素の同位体;13Nおよび15Nのような窒素の同位体;15O、17Oおよび18Oのような酸素の同位体;32Pのようなリンの誘導体;並びに35Sのような硫黄の同位体である。
【0047】
特定の式(I)の同位体標識化合物、例えば放射性同位体を含有するものは薬剤および/または基質組織分布試験において有用である。放射性同位体のトリチウム、すなわち3Hと炭素−14、すなわち14Cは取り込みの容易さおよび検出手段の簡易さの点から見て本目的に特に有用である。
【0048】
重水素、すなわち2Hのような重い同位体による置換はより大きな代謝安定性、例えば生体内半減期の増加または必要な投与量の減少による特定の治療上の利点をもたらし、そのため状況次第では好ましいこともある。
【0049】
11C、18F、15Oおよび13Nのような陽電子を放出する同位体による置換は基質受容体の占有を検査するためのポジトロン断層法(PET)試験において有用である。
同位体標識した式(I)の化合物は一般に当業者に知られている慣用の方法により、あるいは以前に使用された非標識試薬の代りに適当な同位体標識試薬を使用して下記の実施例および製造例の方法と同様にして製造することができる。
【0050】
本発明の薬学的に許容しうる溶媒和物は結晶化の溶媒が同位体で置換されたもの、例えばD2O、d6−アセトン、d6−DMSOを包含する。
好ましい式(I)の化合物には実施例1〜83の化合物およびそれらの薬学的に許容しうる塩、溶媒和物または誘導体がある。
【0051】
下記の一般法およびスキームにおいて、特に断りがなければR1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は前記で定義された通りであり;Xはハロであり;ZはOH、またはカルボン酸を活性化する基、例えばクロロまたは1H−イミダゾール−1−イルであり;Pgはアミノ保護基であり;BOCはt−ブトキシカルボニルであり;CBzはベンジルオキシカルボニルであり;Bn
はベンジルであり、Fmocは9−フルオレニルメトキシカルボニルであり;MeOHはメタノールであり;EtOHはエタノールであり;EtOAcは酢酸エチルであり;Et2Oはジエチルエーテルであり;THFはテトラヒドロフランであり;DMSOはジメチルスルホキシドであり;DCMはジクロロメタンであり;AcOHは酢酸であり;TFAはトリフルオロ酢酸であり;STABはトリアセトキシホウ水素化ナトリウムであり;DMAはN,N−ジメチルアセトアミドであり;DMSOはジメチルスルホキシドであり;NMMはN−メチルモルホリンであり;WSCDIは1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩であり;DCCはN,N'−ジシクロヘキシルカルボジイミドであり;HOBTは1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物であり;PyBOP(登録商標)はベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ピロリジノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェートであり;PyBrOP(登録商標)はブロモ−トリス−ピロリジノ−ホスホニウムであり;Hunig塩基はN−エチルジイソプロピルアミンであり;Et3Nはトリエチルアミンであり;HBTUはO−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートであり;Lは脂肪族求核置換に適した脱離基、例えばJerry Marchの前記文献, 第352頁(これは参照により本明細書に加入される)に開示されているもの、例えばCl、Br、Iおよびスルホン酸エステル(例えばトシル酸塩、メシル酸塩およびトリフラート)である。
【0052】
第1工程(A)に従って、R5がCOR6である式(I)の化合物は式(XXIX)
【化7】

の化合物を式(III)
R6COZ (III)
の化合物と慣用の酸アミンカップリング条件下で反応させることにより製造することができる。好都合には、反応はスキーム1の工程(g)に記載のようにして行なうことができる。
【0053】
第2工程(B)に従って、R5がSO2R7である式(I)の化合物は式(XXIX)
【化8】

の化合物を式(XXX)
R7SO2X (XXX)
の化合物と慣用のスルホニル化条件下で反応させることにより製造することができる。好都合には、反応はスキーム3の工程(k)に記載のようにして行なうことができる。
【0054】
第3工程(C)に従って、式(I)の化合物は式(XXXI)
【化9】

の化合物を式(VII)
R1COZ (VII)
の化合物と慣用の酸アミンカップリング条件下で反応させることにより製造することができる。好都合には、反応はスキーム1aの工程(e)に記載のようにして行なうことができる。
【0055】
第4工程(D)に従って、R2がアルキルである式(I)の化合物は式(XXXII)
【化10】

の化合物を式(XI)
R2MgX (XI)
の化合物と慣用の条件下で反応させることにより製造することができる。好都合には、反応はスキーム1cの工程(b)に記載のようにして行なうことができる。
【0056】
さらに工程(E)に従って、式(I)の化合物は他の式(I)の化合物から慣用の条件下で官能基の相互変換により製造することができる。
【0057】
下記のスキームにより、式(I)の化合物およびその中間体を製造するための一般法をさらに詳しく説明する。
スキームに記載した式(I)の化合物またはその中間体を製造するための特定の手順が可能な置換基の幾つかに適用できないことは当業者ならば理解できよう。
さらに、所望の式(I)の化合物を得るために、スキームに記載した変換をそれと異なる順序で行なうことや1つまたはそれ以上の変換を変更することが必要であったり、望ましい場合もあることは当業者ならば理解できよう。
【0058】
さらに、下記のスキームを見てわかるように、式(I)の化合物の何れかの合成段階で分子中の1個またはそれ以上の感受性基を保護して望ましくない副反応を防ぐことが必要であったり、望ましい場合もあることは当業者ならば理解できよう。特に、アミノ基を保護することが必要であるか、または望ましい。式(I)の化合物の製造で使用される保護基は従来通りに使用することができる。例えば、このような基を除去する方法についても記載しているTheodora W GreenおよびPeter G M WutsのProtective Groups in Organic Synthesis, 第3版(John Wiley and Sons, 1999年)、特に第7章、第494〜653頁の「Protection for the Amino Group」(これは参照により本明細書に加入される)を参照。
【0059】
アミノ保護基のt−ブトキシカルボニル(Boc)、9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、ギ酸メチル、ベンジルおよびアセチルは特に式(I)の化合物およびその中間体の製造で有用である。
【0060】
【化11】

スキーム1に、R3がHであり、R5がCOR6である式(I)の化合物の製造を示す。
【0061】
スキーム1に関して、その中で示された変換は次の通りに行なうことができる:
工程(a):式(X)の化合物は式(XIII)の化合物またはそのO−保護類似体を0℃〜100℃の温度(例えば0℃〜50℃、好都合には周囲温度)においてハロアルカン(例えばDCMまたはジクロロエタン)またはTHFのような溶媒中、適当なシアノ化剤(例えばEt2AlCN(J. Am. Chem. Soc. 94(13), 4635(1972年))、アセトンシアノヒドリン、あるいは酢酸、硫酸、NaHSO4、KHSO3またはNa2S2O5のような酸およびNaCN、KCN、シアン化トリメチルシリル、グリコロニトリルまたはジメチルアミノアセトニトリルのようなシアン化物源)、場合によりTi(iOPr)4の存在下で式(XII)の化合物と反応させることにより製造することができる。
【0062】
別法として、式(X)の化合物は溶媒の存在下で式(XIII)の化合物および式(XII)の化合物の反応から予め生成した、または現場で生成した相当するイミンにHCNを作用させて製
造することができる。式(XIII)の化合物がその保護誘導体である場合、これは式(X)の化合物を得るには工程(a)の後で、または式(IX)の化合物を得るには工程(b)の後で除去することができる。
【0063】
工程(b):式(X)の化合物はBruylants反応により式(IX)の化合物に変換することがで
きる(例えばC. Agami、F. Couty、G. EvanoのOrganic Letters, 14(2), 2085〜2088(2000年))。式(IX)の化合物は式(X)の化合物を0℃〜周囲温度においてTHFまたはEt2Oのような溶媒中、場合によりトリメチルアルミニウムの存在下で式(XI)のグリニャール試薬:R2MgBrのような有機金属試薬、または式R2Liの有機リチウム試薬と反応させることにより製造することができる。好都合には、過剰のグリニャール試薬を使用することができる。
【0064】
工程(c):式(VIII)のケトンは文献で良く知られている方法(例えばComprehensive Organic Synthesis, 第8巻:Oxidation, B. M. TrostおよびI. Fleming編, Pergamon Press(1991年)を参照)を使用して式(IX)のアルコールの酸化により製造することができる。ある好ましい方法はSwern反応である。
【0065】
工程(d):式(VIII)の化合物の脱保護は標準法を使用して行なうことができる。好ましい保護基にはBOCがあり、その脱保護はエーテル(例えばジエチルエーテル)、ハロアルカン(例えばDCM)または酢酸エチルのような溶媒中でTFAまたはHClを使用して行なうことができる。好都合には、反応は0℃〜RTの温度で行なわれる。他の好ましい保護基にはBn、CBzおよびFmocがあり、それは当業者に知られている方法により脱保護することができる。
【0066】
工程(e):式(IV)の化合物は式(VI)の化合物を慣用の酸アミンカップリング条件下で式(VII)の化合物と反応させることにより製造することができる。酸アミンカップリングは好都合には周囲温度においてハロアルカン(例えばDCM)のような溶媒中で式(IV)のアミンおよび式(VII)の酸塩化物;トリエチルアミンまたはHunig塩基のような過剰の酸受容体または炭酸カリウムのような無機塩基を使用して行なわれる。
【0067】
別法として、酸/アミンカップリングは周囲温度においてNMMまたはDCMのような溶媒中でWSCDIまたはDCCおよびHOBtまたはHOAtのような試薬により活性化された式(IV)の酸;トリエチルアミンまたはN−エチル−N,N−ジイソプロピルアミンのような過剰の酸受容体を使用して行なわれる。別法として、PYBOP(登録商標)/PyBrOP(登録商標)またはMukaiyama試薬を標準条件下で使用することができる。
【0068】
工程(f):式(II)の化合物は式(IV)の化合物を慣用の還元的アミノ化条件下で式(V)の化合物と反応させることにより製造することができる。好都合には、還元的アミノ化はDCM、メタノールまたはDCEのような溶媒中、NaBH4、Na(OAc)3BH、NaCNBH3のような還元剤の存在下、場合によりNaOAcまたはAcOHの存在下、場合によりテトライソプロポキシドチタンのような添加剤の存在下、さらに場合によりMgSO4またはモレキュラーシーブのような乾燥剤の存在下、式(IV)の化合物を式(V)のアミン:R4NH2と反応させることにより行なうことができる。
工程(g):酸アミンカップリングは上記工程(e)に記載の条件に従って行なうことができる。
【0069】
スキーム1の他の態様において、工程(d)〜(g)を異なる順序で行なうことにより式(I)の化合物を製造することができ、例えばスキーム1aでは(f)、(g)、(d)、(e)の順序である。
さらにスキーム1の他の態様において、下記のスキーム1bおよび1cに示されるように工程(a)〜(g)を異なる順序で行なうことにより式(I)の化合物を製造することができる:
【化12】

【0070】
式(I)の化合物は式(XX)の化合物からの式(I)の化合物の製造についてスキーム1bおよび1cに記載した変換に従って式(XXIII)
【化13】

の化合物から製造することもできる。式(XXIII)の化合物はスキーム2aまたは2bに従って製造することができる:
【化14】

【0071】
スキーム2aに関して、その中で示された変換は次の通りに行なうことができる:
工程(h):式(XXV)の化合物は式(XXVI)の化合物から慣用の条件下で製造することができる。好都合には、式(XXV)の化合物は式(XXVI)の化合物から式(XXVI)の化合物とアセトニトリルおよび濃酸、例えば硫酸とのRitter反応により製造することができる。
工程(i):式(XXIV)の化合物は式(XXV)のアセトアミドを慣用の条件下で加水分解することにより製造することができる。好都合には、加水分解は高温において強い鉱酸(例え
ばHCl)の存在下で行なうことができる。
工程(j):式(XXIV)の第1アミンは標準条件を使用して式(XXIII)の第2アミンに変換することができる。好都合には、式(XXIII)の化合物は工程(f)に記載の条件に従って式(XXIV)の化合物を式R4C(O)Hのアルデヒドで還元的アミノ化して製造することができる。
【0072】
別法として、式(XXIII)の化合物は式R4−Lの化合物を使用して式(XXIV)の化合物を場合によりトリエチルアミン、Hunig塩基または炭酸カリウムのような塩基の存在下でアルキル化することにより製造することができる。
【0073】
R3がアルキルである式(I)の化合物はまた、還元的アミノ化工程(f)をスキーム2bに記載の変換(a)および(b)に置き換えたスキーム1、1a、1bおよび1cに従って製造することができることは当業者ならば理解できよう。
【0074】
同様に、R2が水素である式(I)の化合物もまた、変換(a)および(b)を還元的アミノ化工程(f)に置き換えたスキーム1、1a、1bおよび1cに従って製造することができることは当業者ならば理解できよう。
【0075】
R5がSO2R7である式(I)の化合物はR5がCOR6である式(I)の化合物の製造とまったく同じ方法で製造することができる。特に、R5がSO2R7である式(I)の化合物は酸アミンカッ
プリング工程(g)を当業者に知られている標準スルホニル化条件に置き換えたスキーム1、1a、1bおよび1cに従って製造することができる。スルホン化は好都合にはスキーム3に従って行なうことができる。
【0076】
【化15】

【0077】
工程(k):R5がSO2R7である式(I)の化合物は式(XXIX)の化合物を式(XXX)の化合物R7SO2Xのようなスルホニル化剤、好都合には塩化スルホニルまたはフッ化スルホニルと反応させることにより製造することができる。
さらに、mまたはn≠0である、すなわち架橋ピペリジン環を含有する式(I)の化合物は相当する架橋ピペリジン誘導体を使用して上記スキームの何れかに従って製造することができることは当業者ならば理解できよう。
【0078】
式(III)、(V)、(VII)、(XI)、(XII)、(XIII)、(XXVII)および(XXX)の化合物は知られている化合物であるか、または慣用の方法により製造することができる。
式(I)の化合物およびそれらの薬学的に許容しうる塩、溶媒和物および誘導体はヒトを含む動物において薬理学的活性を示すため有用である。さらに詳しくは、それらはCCR5受容体の調節、特に拮抗作用が関与する疾患の治療において有用である。特に重要な疾患状態にはHIV、HIVと遺伝的に関係があるレトロウイルス感染症、AIDS、炎症性疾患、自己免疫疾患および疼痛がある。
【0079】
本発明の化合物は成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、気管支炎、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患、嚢胞性線維症、喘息、肺気腫、鼻炎、慢性静脈洞炎、サルコイドーシス、農夫肺、鼻茸、肺線維症または特発性間質性肺炎を含む呼吸器疾患の治療に使用することができる。
【0080】
治療することができる他の症状は様々な器官でT−細胞輸送により引き起こされ、その影響を受け、またはそれと関係しているものである。本発明の化合物はこのような症状、特にこれらに限定されないがCCR5またはCCR5ケモカインとの相互関係が確立している症状、さらに詳しくはこれらに限定されないが多発性硬化症;ベーチェット病、シェーグレン症候群または全身性硬化症;関節炎、例えば関節リウマチ、脊椎関節症、痛風性関節炎、骨関節炎、全身性紅斑性狼瘡および若年性関節炎;組織不適合性、特にこれらに限定されないが固形臓器移植、例えば心臓、肺臓、肝臓、腎臓および膵臓移植(例えば腎臓および肺の同種移植)、および移植片対宿主拒絶反応;クローン病および潰瘍性大腸炎を含む炎症性大腸炎;炎症性肺疾患;子宮内膜症;腎臓病、例えば糸球体疾患(例えば糸球体腎炎);線維症、例えば肝臓、肺および腎線維症;脳炎、例えばHIV脳炎;慢性心不全;心筋梗塞;高血圧症;卒中;虚血性心疾患;アテローム斑;再狭窄;肥満;乾癬;アトピー性皮膚炎;CNS疾患、例えばAIDS関連認知症およびアルツハイマー病;貧血;慢性膵臓炎;橋本甲状腺炎;I型糖尿病;ガン、例えば非ホジキンリンパ腫、カポジ肉腫、黒色腫および乳ガン;疼痛、例えば侵害受容性疼痛および神経障害性疼痛(例えば末梢神経障害性疼痛);並びに外科手術、感染、傷害または他の外傷性損傷によるストレス反応の治療において有用である。
【0081】
CCR5受容体の調節が関与する感染性疾患には急性および慢性のB型肝炎ウイルス(HBV)およびC型肝炎ウイルス(HCV)感染症;腺ペスト、敗血症性ペストおよび肝ペスト;ポックスウイルス感染症、例えば天然痘;トキソプラズマ感染症;マイコバクテリウム感染症;トリパノソーマ感染症、例えばシャーガス病;肺炎;並びにサイトスポリディオシス(cytosporidiosis)がある。
ケモカインおよびケモカイン受容体ブロッカーの適用可能性に関する最近の検討については、Cascieri, M.A.およびSpringer, M.S.の“The chemokine/chemokine receptor family:potential and progress for therapeutic intervention”, Curr. Opin. Chem. Biol., 4(4), 420〜7(2000年8月)を参照。
【0082】
したがって、他の見地において、本発明は医薬として使用される式(I)の化合物、あるいはその薬学的に許容しうる塩、溶媒和物または誘導体を提供する。
他の見地において、本発明はCCR5受容体の調節が関与する疾患を治療するための式(I)の化合物、あるいはその薬学的に許容しうる塩、溶媒和物または誘導体を提供する。
他の見地において、本発明はHIV、HIVと遺伝的に関係があるレトロウイルス感染症、AIDS、炎症性疾患、自己免疫疾患および疼痛を治療するための式(I)の化合物、あるいはその薬学的に許容しうる塩、溶媒和物または誘導体を提供する。
【0083】
他の見地において、本発明は成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、気管支炎、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患、嚢胞性線維症、喘息、肺気腫、鼻炎または慢性静脈洞炎、サルコイドーシス、農夫肺、鼻茸、肺線維症または特発性間質性肺炎を含む呼吸器疾患を治療するための式(I)の化合物、あるいはその薬学的に許容しうる塩、溶媒和物または誘導体を提供する。
【0084】
他の見地において、本発明は多発性硬化症、ベーチェット病、シェーグレン症候群、全身性硬化症、関節リウマチまたは組織不適合性を治療するための式(I)の化合物、あるいはその薬学的に許容しうる塩、溶媒和物または誘導体を提供する。
【0085】
他の見地において、本発明は炎症性大腸炎;炎症性肺疾患;子宮内膜症;腎臓病;線維症;脳炎;慢性心不全;心筋梗塞;高血圧症;卒中;虚血性心疾患;再狭窄;アテローム斑;肥満;乾癬;CNS疾患;貧血;アトピー性皮膚炎;慢性膵臓炎;橋本甲状腺炎;I型糖尿病;ガン;疼痛;あるいは外科手術、感染、傷害または他の外傷性損傷によるストレス反応を治療するための式(I)の化合物、あるいはその薬学的に許容しうる塩、溶媒和物または誘導体を提供する。
【0086】
他の見地において、本発明はHBV、HCV、ペスト、ポックスウイルス、トキソプラズマ症、マイコバクテリウム、トリパノソーマ、肺炎またはサイトスポリディオシス(cytosporidiosis)を治療するための式(I)の化合物、あるいはその薬学的に許容しうる塩、溶媒和物または誘導体を提供する
他の見地において、本発明はCCR5受容体の調節が関与する疾患を治療するための薬剤の製造における式(I)の化合物、あるいはその薬学的に許容しうる塩、溶媒和物または誘導体の使用を提供する。
他の見地において、本発明は哺乳動物を有効な量の式(I)の化合物、あるいはその薬学的に許容しうる塩、溶媒和物または誘導体で処置することからなる前記哺乳動物のCCR5受容体の調節が関与する疾患を治療する方法を提供する。
【0087】
本発明の化合物は結晶質または非晶質製剤として投与することができる。これらは例えば沈殿、結晶化、凍結乾燥、スプレー乾燥または蒸発乾燥のような方法により固体プラグ、粉末またはフィルムとして得ることができる。マイクロ波または高周波乾燥をこのために使用することもできる。
【0088】
これらは単独で、あるいは1種またはそれ以上の他の本発明の化合物と組合せて、あるいは1種またはそれ以上の他の薬剤と組合せて(あるいはこれらの何れかの組合せで)投与することができる。一般に、これらは1種またはそれ以上の薬学的に許容しうる賦形剤と混合した製剤として投与される。本明細書において、「賦形剤」なる用語は本発明の化合物以外の成分を説明するのに使用される。賦形剤の選択は特定の投与方法、溶解度および安定性に対する賦形剤の効果、さらに投与形態の性質のような要因にかなり依存する。
【0089】
本発明の化合物の送達に適した医薬組成物およびそれらの製造法は当業者にとって自明である。このような組成物およびそれらの製造法は例えばRemington's Pharmaceutical Sciences, 第19版(Mack Publishing Company、1995年)に記載されている。
【0090】
適当な投与方法には経口、非経口、局所、吸入/鼻内、経腸/膣内および眼内/耳内投与がある。
本発明の化合物は経口的に投与することができる。経口投与には嚥下が関与し、それにより化合物は胃腸管に入る。さらに口腔または舌下投与を使用することができ、それにより化合物は口から直接血流に入る。
【0091】
経口投与に適した製剤には錠剤のような固体製剤、顆粒を含有するカプセル剤、液剤、粉末、トローチ剤(液剤入りを含む)、チュアブル剤、多顆粒およびナノ顆粒、ゲル剤、固溶体、リポソーム、フィルム(粘膜接着性を含む)、小卵形剤(ovule)、噴霧剤および液体製剤がある。
【0092】
液体製剤には懸濁剤、液剤、シロップ剤およびエリキシル剤がある。このような製剤は軟質または硬質カプセル剤の充填物として使用することができ、典型的には担体、例えば水、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、メチルセルロースまたは適当な油、さらに1種またはそれ以上の乳化剤および/または懸濁化剤を含有する。液体製剤は例えばサシェから固体の再構成により製造することもできる。
【0093】
本発明の化合物はLiangおよびChenのExpert Opinion in Therapeutic Patents, 11(6),
981〜986(2001年)に記載のような速溶性で速崩壊性の投与形態で使用することもできる

【0094】
錠剤投与形態の場合、投与量に応じて、薬剤は投与形態の0.1質量%〜80質量%、より典型的には1質量%〜60質量%、例えば5質量%〜50質量%を構成する。薬剤の他に、錠剤は一般に崩壊剤を含有する。崩壊剤の例はデンプングリコール酸ナトリウム、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、カルシウムカルボキシメチルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、微結晶性セルロース、低級アルキル−置換ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、アルファ化デンプンおよびアルギン酸ナトリウムである。一般に、崩壊剤は投与形態の0.1質量%〜25質量%、より典型的には0.5質量%〜20質量%、例えば1質量%〜15質量%を構成する。
【0095】
結合剤は一般に錠剤の製剤化で粘着性を付与するために使用される。適当な結合剤には微結晶性セルロース、ゼラチン、糖、ポリエチレングリコール、天然および合成ゴム、ポリビニルピロリドン、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースがある。錠剤はさらに希釈剤、例えばラクトース(一水和物、噴霧乾燥した一水和物、無水物など)、マンニトール、キシリトール、デキストロース、スクロース、ソルビトール、微結晶性セルロース、デンプン、炭酸カルシウムおよび第2リン酸カルシウム二水和物を含有してもよい。
錠剤はまた、場合により界面活性剤、例えばラウリル硫酸ナトリウムおよびポリソルベート80、並びに滑剤、例えば二酸化珪素およびタルクを含有する。存在する場合、界面活性剤は錠剤の0.2質量%〜5質量%であり、また滑剤は錠剤の0.2質量%〜1質量%である。
【0096】
錠剤はまた、一般に滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリルフマル酸ナトリウム、およびステアリン酸マグネシウムとラウリル硫酸ナトリウムの混合物を含有する。滑沢剤は一般に錠剤の0.25質量%〜10質量%、好ましくは0.5質量%〜3質量%である。
他の可能な成分には抗酸化剤、着色剤、芳香剤、保存剤および苦味マスキング剤がある。
【0097】
典型的な錠剤は約80%以下の薬物、約10質量%〜約90質量%の結合剤、約0質量%〜約85質量%の希釈剤、約1質量%〜約10質量%の崩壊剤および約0.25質量%〜約10質量%の滑沢剤を含有する。
【0098】
錠剤ブレンドを直接またはローラーにより圧縮して錠剤を成形することができる。別法として、錠剤ブレンドまたはブレンドの一部を湿式−、乾式−または溶融−造粒、溶融凝結、または押出成形して錠剤化することができる。最終製剤は1種またはそれ以上の層からなり、被覆または非被覆状態であり;またカプセルに入れることもできる。
【0099】
錠剤の製剤化はH. LiebermanおよびL. Lachmanの“Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets, Vol.1”, Marcel Dekker, ニューヨーク(1980年)(ISBN 0−8247−6918−X)に記載されている。
【0100】
人間または動物に消費可能の経口フィルムは、典型的には急速に溶解または粘膜接着できる柔軟な水溶性または水膨潤性の薄いフィルムの投与形態であり、典型的には式(I)の化合物、フィルム形成性ポリマー、結合剤、溶剤、保湿剤、可塑剤、安定剤または乳化剤、粘度調整剤および溶剤を含有する。製剤の幾つかの成分は複数の役割を果たすこともある。
【0101】
式(I)の化合物は水に可溶性または不溶性である。水溶性の化合物は典型的には溶質の1質量%〜80質量%、より典型的には20質量%〜50質量%である。溶解性の低い化合物は組成物の割合が大きく、典型的には溶質の88質量%以下である。別法として、式(I)の化合物は多粒子ビーズの形態であってもよい。
【0102】
フィルム形成性ポリマーは天然多糖類、タンパク質または合成親水コロイドから選択することができ、典型的には0.01〜99質量%、より典型的には30〜80質量%の範囲で存在する。
他の可能な成分には抗酸化剤、着色剤、芳香剤および調味料、保存剤、唾液分泌促進剤、清涼剤、共溶剤(油を含む)、皮膚軟化剤、増量剤、消泡剤、界面活性剤および苦味マスキング剤がある。
【0103】
本発明のフィルムは典型的には剥離可能な裏当ての支持材または紙上に塗布した薄い水性フィルムを蒸発乾燥することにより製造される。これは乾燥オーブンまたはトンネル、典型的には連結したコーター乾燥機で、あるいは凍結乾燥または真空化により行なうことができる。
【0104】
経口投与用の固体製剤は即時および/または調節放出されるように製剤化することができる。調節放出製剤には遅延、持続、間欠、制御、標的および計画放出がある。
【0105】
本発明の目的に適した調節放出製剤は米国特許第6,106,864号に記載されている。他の適当な放出技術、例えば高エネルギー分散液や浸透性および被覆粒子の詳細はVermaらのPharmaceutical Technology On-line, 25(2), 1〜14(2001年)に記載されている。制御放出を達成するためのチューインガムの使用はWO 00/35298に記載されている。
【0106】
本発明の化合物は血流、筋肉または内部器官に直接投与することもできる。非経口投与に適した手段には静脈内、動脈内、腹腔内、髄腔内、心室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内および皮下がある。非経口投与に適した装置には針(極微針を含む)注射器、無針注射器および注入器がある。
【0107】
非経口製剤は典型的には塩、炭水化物および(好ましくはpH3〜9にする)緩衝剤のような賦形剤を含有する水溶液であるが、幾つかの用途でこれらは無菌の非水性溶液として、または後で適当なビヒクル、例えば発熱物質を含まない滅菌水と一緒に使用される乾燥形態として適切に製剤化することができる。
【0108】
無菌条件下での、例えば凍結乾燥による非経口製剤の製造は当業者によく知られている標準製薬技術を使用して容易に行なうことができる。
非経口液剤の製造で使用される本発明の化合物の溶解性は適当な製剤化技術を使用して、例えば溶解度を高める物質を加えて増大することができる。
非経口投与用の製剤は即時および/または調節放出されるように製剤化することができる。調節放出製剤には遅延、持続、間欠、制御、標的および計画放出がある。したがって、本発明の化合物は化合物の調節放出をもたらす埋め込み型デポー剤として投与するための固体、半固体またはチキソトロピー液体として製剤化することができる。このような製剤の例は薬物を被覆したステントおよびPGLA微小球である。
【0109】
本発明の化合物は皮膚または粘膜に局所的に、すなわち皮膚または経皮的に投与することもできる。このための典型的な製剤にはゲル剤、ヒドロゲル剤、ローション剤、液剤、クリーム剤、軟膏剤、散布剤、包帯剤、フォーム、フィルム、皮膚用パッチ、ウエハー、インプラント、スポンジ、繊維、絆創膏およびマイクロエマルジョンがある。リポソームを使用することもできる。典型的な担体にはアルコール、水、鉱油、流動パラフィン、白色ワセリン、グリセリン、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールがある。浸透促進剤を加えることができる−例えばFinninおよびMorganのJ Pharm Sci, 88(10), 955〜958(1999年10月)を参照。
【0110】
局所投与の他の手段には、電気穿孔(electroporation)、イオン導入(iontophoresis)、音声導入(phonophoresis)、音波導入(sonophoresis)および極微針または無針(例えばPowderject(登録商標)、Bioject(登録商標)など)注射による送達がある。
局所投与用の製剤は即時および/または調節放出されるように製剤化することができる。調節放出製剤には遅延、持続、間欠、制御、標的および計画放出がある。
【0111】
本発明の化合物はまた、鼻腔内にまたは吸入により、典型的には乾燥粉末吸入器から乾燥粉末の形態で(単独で、混合物として、例えばラクトースとの乾燥ブレンドで、または混合成分粒子として、例えばホスファチジルコリンのようなリン脂質と混合して)、あるいは加圧容器、ポンプ、スプレー、噴霧器(好ましくは電気流体力学的に微細なミストを発生する噴霧器)またはネブライザーからのエアゾールスプレーとして、場合により適当な噴射剤、例えば1,1,1,2−テトラフルオロエタンまたは1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパンを使用して投与することもできる。鼻腔内使用のために、粉末は生体接着剤、例えばキトサンまたはシクロデキストリンを含有してもよい。
【0112】
加圧容器、ポンプ、スプレー、噴霧器またはネブライザーは例えばエタノール(場合により水性エタノール)、あるいは化合物の分散、可溶化または延長放出に適した代替物質、溶剤としての噴射剤、さらに場合により界面活性剤、例えばソルビタントリオレアート、オレイン酸またはオリゴ乳酸からなる本化合物の溶液または懸濁液を含有する。
【0113】
乾燥粉末または懸濁製剤として使用する前に、製剤は吸入による送達に適した大きさ(典型的には5ミクロン未満)まで微粉にされる。これは適当な粉砕方法、例えばスパイラルジェット粉砕、流動層ジェット粉砕、ナノ粒子を形成する超臨界流体加工、高圧均質化または噴霧乾燥により行なうことができる。
【0114】
吸入器または吹送器で使用されるカプセル(例えばゼラチンまたはHPMCから作られた)、ブリスターおよびカートリッジは本発明の化合物の粉末混合物、ラクトースまたはスターチのような適当な粉末基剤、およびl−ロイシン、マンニトールまたはステアリン酸マグネシウムのような性能改良剤を含むように製剤化することができる。ラクトースは無水であるか、または一水和物形態であり、好ましくは後者である。他の適当な賦形剤にはデキストラン、グルコース、マルトース、ソルビトール、キシリトール、フルクトース、スクロースおよびトレハロースがある。
【0115】
電気流体力学的に微細なミストを発生する噴霧器で使用するのに適した液剤は1回の作動あたり1μg〜20mgの本発明の化合物を含有し、その作動量は1μl〜100μlと変動する。典型的な製剤は本発明の化合物、プロピレングリコール、滅菌水、エタノールおよび塩化ナトリウムからなる。プロピレングリコールの代わりに使用することができる溶剤にはグリセロールおよびポリエチレングリコールがある。
【0116】
吸入/鼻内投与を目的とする本発明の製剤に適当な芳香剤、例えばメントールおよびレボメントール、あるいは甘味剤、例えばサッカリンまたはサッカリンナトリウムを加えることができる。
【0117】
吸入/鼻内投与用の製剤は例えばポリ(DL−乳酸−コ−グリコール酸)(PGLA)を使用して即時および/または調節放出されるように製剤化することができる。調節放出製剤には遅延、持続、間欠、制御、標的および計画放出がある。
【0118】
乾燥粉末吸入器およびエアゾールの場合、投与量単位は定量を送出するバルブにより決まる。本発明の単位は典型的には1μg〜10mgの本発明の化合物を含有する定量または「一吹き」を投与するように調節される。1日の投与量は典型的には1μg〜200mgの範囲であり、これは単回投与量で、より一般的には1日を通して分割投与量で投与することができる。
【0119】
本発明の化合物は経腸的または経膣的に、例えば坐剤、ペッサリー、膣リングまたは浣腸剤の形態で投与することができる。カカオ脂は伝統的な坐剤基剤であるが、必要に応じて様々な代替物を使用することができる。上記のように、本発明の化合物は粘膜、例えば膣および直腸粘膜に局所的に適用することもできる。このための典型的な製剤にはゲル剤、クリーム剤、軟膏剤、フォーム、ウエハー、インプラントおよびスポンジがある。
【0120】
経腸/経膣投与用の製剤は即時および/または調節放出されるように製剤化することができる。調節放出製剤には遅延、持続、間欠、制御、標的および計画放出がある。
【0121】
本発明の化合物はまた、眼または耳に直接、典型的には等張性のpH調整した滅菌生理食塩水中における微粉化懸濁液または溶液の滴剤形態で投与することもできる。眼および耳への投与に適した他の製剤には軟膏、生物分解性(例えば吸収性ゲルスポンジ、コラーゲ
ン)および非生物分解性(例えばシリコーン)インプラント、ウエハー、レンズ、および粒状または小胞状のシステム、例えばニオソームまたはリポソームがある。ポリマー、例えば架橋ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ヒアルロン酸、セルロースポリマー、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースまたはメチルセルロース、あるいはヘテロ多糖ポリマー、例えばジェランガムを塩化ベンザルコニウムのような保存剤と一緒に混和することができる。このような製剤はイオン導入により送出することもできる。
【0122】
眼内/耳内投与用の製剤は即時および/または調節放出されるように製剤化することができる。調節放出製剤には遅延、持続、間欠、制御、標的および計画放出がある。
【0123】
本発明の化合物は上記投与態様の何れかで使用するために、可溶性の高分子成分、例えばシクロデキストリンおよびその適当な誘導体またはポリエチレングリコール含有ポリマーと組合せてそれらの溶解性、溶解速度、苦味マスキング、生体利用性および/または安定性を改善することができる。
【0124】
例えば、薬剤−シクロデキストリン複合体は一般に殆んどの投与形態および投与経路において有用であることがわかっている。包接および非包接複合体の両方を使用することができる。薬剤との複合体化を誘導する別法として、シクロデキストリンを補助添加剤、すなわち担体、希釈剤または可溶化剤として使用することができる。このために最も一般に使用されるのはアルファ−、ベータ−およびガンマ−シクロデキストリンであり、それらの例は国際特許出願番号WO 91/11172、WO 94/02518およびWO 98/55148に記載されている。
【0125】
例えば特定の疾患または症状を治療するのに本発明の化合物を他の治療剤と投与することが望ましい場合、2種またはそれ以上の医薬組成物(そのうち少なくとも1種は本発明の化合物を含有する)をこれらの組成物を併用するのに適したキット形態で都合よく組合せることは本発明の範囲内である。
したがって、本発明のキットは2種またはそれ以上の別個の医薬組成物(そのうち少なくとも1種は式(I)の化合物、あるいはその薬学的に許容しうる塩、溶媒和物または誘導体を含有する)および前記組成物を別々に保持する手段、例えば容器、分割されたビンま
たは分割されたホイルパケットからなる。このようなキットの例は錠剤、カプセル剤などの包装に使用される一般的なブリスターパックである。
【0126】
本発明のキットは特に異なる投与形態、例えば経口および非経口形態を投与するのに、別個の組成物を異なる投与間隔で投与するのに、または別個の組成物を互いに力価測定するのに適している。服薬を補助するために、キットは典型的には投与に関する説明書を含み、さらにいわゆる記憶補助を備えることができる。
【0127】
ヒト患者に投与する場合、本発明の化合物の全1日量はもちろん投与態様、年齢、症状および患者の体重に応じて典型的には1〜10,000mg、例えば10〜1,000mg、例えば25〜500mgの範囲であり、何れにせよ最終的には医師の判断に委ねられる。全1日量は単回または分割投与量で投与することができる。
したがって、他の見地において、本発明は式(I)の化合物、あるいはその薬学的に許容しうる塩、溶媒和物または誘導体を1種またはそれ以上の薬学的に許容しうる賦形剤、希釈剤または担体と一緒に含有する医薬組成物を提供する。
【0128】
式(I)の化合物およびそれらの薬学的に許容しうる塩、溶媒和物および誘導体は従来化合物よりも選択的であり、作用の発現が迅速であり、強力であり、良好に吸収され、安定であり、代謝に耐性があり、減少した「食品効果(food effect)」を持ち、改善された安
全性プロフィールを持ち、または他の望ましい特性(例えば溶解性または吸湿性)を持つという利点を有する。
【0129】
式(I)の化合物およびそれらの薬学的に許容しうる塩、溶媒和物および誘導体は単独で、または併用療法の一部として投与することができる。したがって、本発明の化合物の他に1種またはそれ以上の追加の治療剤を含有する組成物を併用投与することからなる態様は本発明の範囲内に包含される。
【0130】
併用療法と呼ばれることが多いこのような多剤療法はCCR5ケモカイン受容体の調節が関与するまたは関係がある疾患または症状、特にヒト免疫不全ウイルス、HIVによる感染症の治療および予防において使用することができる。このような併用療法の使用は特に治療の必要な患者またはこのような患者になるリスクのある人におけるヒト免疫不全ウイルス、HIVおよび関連する病原性レトロウイルスの増殖および感染の治療および予防に適している。このようなレトロウイルス病原菌の比較的短い時間で前記患者に投与された単剤に対して耐性のある菌株になる能力は文献でよく知られている。HIVについて推奨されている治療法は高活性抗レトロウイルス療法またはHAARTと呼ばれる併用療法である。HAARTは3種またはそれ以上のHIV薬剤を併用する。したがって、本発明の治療法および医薬組成物は本発明の化合物を単剤療法の形態で使用することができるが、前記方法および組成物は1種またはそれ以上の本発明の化合物が下記で詳しく説明されているような1種またはそれ以上の追加の治療剤と併用して投与される併用療法の形態で使用することもできる。
【0131】
本発明の化合物と組合せて使用することができる治療剤にはHIVプロテアーゼ阻害剤(PI)として有用なもの、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NNRTI)、ヌクレオシド/ヌクレオチド逆転写酵素阻害剤(NRTI)、CCR5アンタゴニスト、gp120とCD4の相互作用を阻害する物質、HIVの標的細胞への侵入を阻害する他の物質(例えば融合阻害剤)、HIVインテグラーゼの阻害剤、RNaseH阻害剤、プレニル化阻害剤、HIVカプシドタンパク質の産生を妨げることにより作用する成熟阻害剤、抗感染剤として有用な化合物、また他に下記のような物質があるが、これらに限定されない。
【0132】
上記のような薬剤併用療法は同一または異なる作用機構を有する2種またはそれ以上の化合物を使用することは当業者により理解されよう。したがって、単なる例示であるが、併用薬剤は本発明の化合物と1種またはそれ以上のNRTI;1種またはそれ以上のNRTIおよびPI;1種またはそれ以上のNRTIおよび他のCCR5アンタゴニスト;PI;PIおよびNNRTI;NNRTIなどからなる。
【0133】
PIの例はアンプレナビル(141W94)、CGP−73547、CGP−61755、DMP−450(モゼナビル(mozenavir))、ネルフィナビル、リトナビル、サクイナビル(インビラーゼ)、ロピナビル、TMC−126、アタザナビル、パリナビル、GS−3333、KNI−413、KNI−272、LG−71350、CGP−61755、PD 173606、PD 177298、PD 178390、PD 178392、U−140690、ABT−378、DMP−450、AG−1776、MK−944、ベカナビル(becanavir)(以前はVX−478、GW640385として知られていた)、インジナビル、チプラナビル、TMC−114、DPC−681、DPC−684、ホスアンプレナビルカルシウム(レクシヴァ)、ベンゼンスルホンアミド誘導体に開示されているWO 03/053435、R−944、Ro−03−34649、VX−385、GS−224338、OPT−TL3、PL−100、PPL−100、SM−309515、AG−148、DG−35−VIII、DMP−850、GW−5950X、KNI−1039、L−756423、LB−71262、LP−130、RS−344、SE−063、UIC−94−003、Vb−19038、A−77003、BMS−182193、BMS−186318、SM−309515、JE−2147、GS−9005であるが、これらに限定されない。
【0134】
NRTIの例はアバカビル、GS−840、ラミブジン、アデフォビル・ジピボキシル、ベータ−フルオロ−ddA、ザルシタビン、ジダノシン、スタブジン、ジドブジン、フマル酸テノ
フォビルジソプロキシル、アムドキソビル(amdoxovir)(DAPD)、SPD−754、SPD−756、ラシビル(racivir)、リバーセット(DPC−817)、MIV−210 (FLG)、ベータ−L−Fd4C(ACH−126443)、MIV−310(アロブジン、FLT)、dOTC、DAPD、エンテカビル、GS−7340、エムトリシタビン(FTC)であるが、これらに限定されない。
【0135】
NNRTIの例はエファビレンツ、HBY−097、ネビラピン、TMC−120(ダピビリン(dapivirine))、TMC−125、エトラビリン、デラビルジン、DPC−083、DPC−961、カプラビリン、リルピヴィリン、5−{[3,5−ジエチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−1H−ピラゾール−4−イル]オキシ}イソフタロニトリルまたはそれらの薬学的に許容しうる塩、溶媒和物または誘導体;GW−678248、GW−695634、MIV−150、カラノライド、およびWO 03/062238に開示されているような三環式ピリミジノン誘導体であるが、これらに限定されない。
【0136】
CCR5アンタゴニストの例はTAK−779、SC−351125、アンクリビロック(ancriviroc) (SCH−Cとしても知られている)、ヴィクリビロック(以前はSCH−Dとして知られていた)、マラビロック、PRO−140、アプラビロック(GW−873140、Ono−4128、AK−602としても知られている)、AMD−887CMPD−167、メチル1−エンド−{8−[(3S)−3−(アセチルアミノ)−3−(3−フルオロフェニル)プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}−2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−5−カルボキシレートまたはそれらの薬学的に許容しうる塩、溶媒和物または誘導体、メチル3−エンド−{8−[(3S)−3−(アセトアミド)−3−(3−フルオロフェニル)プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}−2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−3H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−5−カルボキシレートまたはそれらの薬学的に許容しうる塩、溶媒和物または誘導体、エチル1−エンド−{8−[(3S)−3−(アセチルアミノ)−3−(3−フルオロフェニル)プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}−2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−5−カルボキシレートまたはそれらの薬学的に許容しうる塩、溶媒和物または誘導体、およびN−{(1S)−3−[3−エンド−(5−イソブチリル−2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−8−イル]−1−(3−フルオロフェニル)プロピル}アセトアミド)またはそれらの薬学的に許容しうる塩、溶媒和物または誘導体であるが、これらに限定されない。
【0137】
侵入および融合阻害剤の例はBMS−806、BMS−488043、5−{(1S)−2−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−1−メチル−2−オキソ−エトキシ}−4−メトキシ−ピリジン−2−カルボン酸メチルアミドおよび4−{(1S)−2−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−1−メチル−2−オキソ−エトキシ}−3−メトキシ−N−メチル−ベンズアミド、エンフビルチド(T−20)、SP−01A、T1249、PRO542、AMD−3100、可溶性CD4、JP 2003171381に開示されている化合物、およびJP 2003119137に開示されている化合物であるが、これらに限定されない。
【0138】
HIVインテグラーゼ阻害剤の例はL−000870810 GW−810781、WO 03/062204に開示されている1,5−ナフチリジン−3−カルボキサミド誘導体、WO 03/047564に開示されている化合物、WO 03/049690に開示されている化合物、およびWO 03/035076に開示されている5−ヒドロキシピリミジン−4−カルボキサミド誘導体、MK−0518 (5−(1,1−ジオキソ−1,2−チアジナン−2−イル)−N−(4−フルオロベンジル)−8−ヒドロキシ−1,6−ナフチリジン−7−カルボキサミド−WO 03016315に開示されている)であるが、これらに限定されない。
【0139】
プレニル化阻害剤の例はHMG CoAレダクターゼ阻害剤、例えばスタチン(例えばアトルバスタチン)であるが、これらに限定されない。
成熟阻害剤の例は3−O−(3'3'−ジメチルスクシニル)ベツリン酸(別名PA−457として知
られている)およびアルファHGAである。
【0140】
本発明の化合物と組合せて使用することができる抗感染剤には抗菌剤および抗真菌剤がある。抗菌剤の例はアトバクオン、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、トリメトプリム、トロバフロキサシン、ピリメタミン、ダウノルビシン、クリンダマイシン+プリマキン、フルコナゾール、パスチル(pastill)、オルニジル、エフロルニチンペンタミジン、リファブチン、スピラマイシン、イントラコナゾール−R51211、トリメトレキサート、ダウノルビシン、組み換え型ヒトエリスロポエチン、組み換え型ヒト成長ホルモン、酢酸メゲストロール、テステロンおよび経腸栄養剤であるが、これらに限定されない。抗真菌剤の例はアニデュラファンギン、C31G、カスポファンギン、DB−289、フルコナゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ミカファンギン、ポサコナゾールおよびボリコナゾールであるが、これらに限定されない。
【0141】
独立して下記のグループから選択される1種またはそれ以上の追加の治療剤と式(I)の化合物、あるいはその薬学的に許容しうる塩、溶媒和物または誘導体の併用もまた本発明の範囲内に包含される:
− 増殖阻害剤、例えばヒドロキシ尿素;
− 免疫調節剤、例えばAD−439、AD−519、アルファインターフェロン、AS−101、ブロピリミン、アセマンナン、CL246,738、EL10、FP−21399、ガンマインターフェロン、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(例えばサルグラモスチム)、IL−2、静脈内免疫グロブリン、IMREG−1、IMREG−2、イムチオールジエチルジチオカルバメート、アルファ−2インターフェロン、メチオニン−エンケファリン、MTP−PE、レミューン(remune)、rCD4、組み換え型可溶性ヒトCD4、インターフェロンアルファ−2、SK&F106528、可溶性T4チモペンチン、腫瘍壊死因子(TNF)、ツカレソール、組み換え型ヒトインターフェロンベータ、インターフェロンアルファn−3;
− タキキニン受容体モジュレーター(例えばNK1アンタゴニスト)および種々の形態のインターフェロンまたはインターフェロン誘導体;
− 他のケモカイン受容体アゴニスト/アンタゴニスト、例えばCXCR4アンタゴニスト(例えばAMD070およびAMD3100)またはCD4アンタゴニスト(例えばTNX−355);
− ウイルス転写またはRNA複製を実質的に阻害、阻止または減少する物質、例えばtat(転写トランス活性化因子)またはnef(陰性制限因子)の阻害剤;
−逆転写酵素、例えばTatまたはNef以外のウイルスにより発現した1種またはそれ以上のタンパク質の翻訳を実質的に阻害、阻止または減少する物質(タンパク質発現の下方制御、あるいは1種またはそれ以上のタンパク質の拮抗作用を含むが、これらに限定されない);
− CCR5受容体発現;MIP−1α、MIP−1β、RANTESおよびそれらの誘導体のようなCCR5受容体の内在化を誘発するケモカインに影響を与える、特に下方制御する物質;このような物質の例は免疫抑制剤、例えばカルシニューリン阻害剤(例えばタクロリムスおよびシクロスポリンA);ステロイド;サイトカインの産生またはシグナル伝達を妨げる物質、例えばヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤(例えば3−{(3R,4R)−4−メチル−3−[メチル−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−アミノ]−ピペリジン−1−イル}−3−オキソ−プロピオニトリルを含むJAK−3阻害剤)およびそれらの薬学的に許容しうる塩、溶媒和物または誘導体;サイトカイン抗体(例えばバシリキシマブおよびダクリズマブを含むインターロイキン−2(IL−2)受容体を阻害する抗体)であるが、これらに限定されない;
− 細胞活性化または細胞周期を妨げる物質、例えばラパマイシン。
【0142】
本発明の化合物の他に治療剤の使用を必要とする治療効果の要件に加えて、例えば基本的または基礎的なCCR5ケモカイン受容体が関与する疾患または症状から直接的に起こる、あるいはそれに伴って間接的に起こる疾患または症状の治療において本発明の化合物および他の治療剤の併用を強いる、または強く薦める理論的根拠がある。例えば、基本的なCC
R5ケモカイン受容体が関与する疾患または症状がHIV感染および増殖である場合はC型肝炎ウイルス(HCV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、新生物、および治療する患者の免疫力が低下した結果起こる他の症状を治療することが必要であるか、少なくともそれが望ましい。例えば免疫刺激を与えるために、または初期および基本的HIV感染に伴って起こる疼痛および炎症を治療するために、他の治療剤を本発明の化合物と一緒に使用することができる。
【0143】
したがって、式(I)の化合物、それらの薬学的に許容しうる塩、溶媒和物および誘導体と組合せて使用される治療剤には:
− 肝炎の治療において有用な薬剤、例えばインターフェロン、ペギル化インターフェロン(例えばペグインターフェロンアルファ−2aおよびペグインターフェロンアルファ−2b)、長時間作用型インターフェロン(例えばアルブミン−インターフェロンアルファ);TLR7阻害剤;逆転写酵素阻害剤、例えばラミブジンおよびエムトリシタビン;IMPデヒドロゲナーゼ阻害剤、例えばリバビリンおよビラミジン(viramidine);ポリメラーゼ阻害剤(NS5Bポリメラーゼ阻害剤を含む)、例えばヴァロピシタビン、HCV−086、WO 05/009418に開示されているようなHCV−796プリンヌクレオシド類似体、およびWO 05/012288に開示されているようなイミダゾール誘導体;アルファグルコシダーゼ阻害剤、例えばセルゴシビル;インターフェロン促進剤、例えばEMZ−702;セリンプロテアーゼ阻害剤、例えばBILN−2061、SCH−6、VX−950、WO 05/010029に開示されているようなアザ−ペプチド系大環状誘導体およびWO 05/007681に開示されているようなもの;カスパーゼ阻害剤、例えばIDN−6566;HCVレプリコン阻害剤、例えばWO 05/007601に開示されているようなアリールチオ尿素誘導体;
− AIDS関連カポジ肉腫の治療において有用な薬剤、例えばインターフェロン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、パクリタキセル、メタロマトリックスプロテアーゼ、A−007、ベバシズマブ、BMS−275291、ハロフジノン、インターロイキン−12、リツキシマブ、ポルフィマーナトリウム、レビマスタット、COL−3;
− サイトメガロウイルス(CMV)の治療において有用な薬剤、例えばホミビルセン、オキセタノシンG、シドフォビル、サイトメガロウイルス免疫グロビン、ホスカルネットナトリウム、Isis 2922、バラシクロビル、バルガンシクロビル、ガンシクロビル;
− 単純ヘルペスウイルス(HSV)の治療において有用な薬剤、例えばアシクロビル、ペンシクロビル、ファムシクロビル、ME−609もまた含まれる。
さらに、本発明で使用される併用には式(I)の化合物、あるいはその薬学的に許容しうる塩、溶媒和物または誘導体とCCR1アンタゴニスト、例えばBX−471;ベータアドレナリン受容体作動薬、例えばサルメテロール;コルチコステロイド作動薬、例えばプロピオン酸フルチカゾン;LTD4アンタゴニスト、例えばモンテルカスト;ムスカリン性アンタゴニスト、例えば臭化チオトロピウム;PDE4阻害剤、例えばシロミラストまたはロフルミラスト;COX−2阻害剤、例えばセレコキシブ、バルデコキシブまたはロフェコキシブ;アルファ−2−デルタリガンド、例えばガバペンチンまたはプレガバリン;β−インターフェロン、例えばREBIF;TNF受容体モジュレーター、例えばTNF−α阻害剤(例えばアダリムマブ)の併用がある。
【0144】
本発明の化合物の代謝速度を遅らせ、それにより患者での曝露を増加させる1種またはそれ以上の追加の治療剤と式(I)の化合物、あるいはその薬学的に許容しうる塩、溶媒和物または誘導体の併用もまた本発明の範囲内に包含される。このようにして曝露を増加させることはブースティングとして知られている。これは本発明の化合物の効力を増加させる、またはブースティングしていない投与量と同じ効力を達成するのに必要な投与量を減少させるという利点を有する。本発明の化合物の代謝はP450(CYP450)酵素、特にCYP 3A4により行なわれる酸化過程やUDPグルクロノシルトランスフェラーゼおよび硫化酵素による抱合を含む。したがって、本発明の化合物に対する患者の暴露を増加させるのに使用することができる物質にはシトクロムP450(CYP450)酵素の少なくとも1種のアイソフォーム
の阻害剤として作用するものがある。有効に阻害されるCYP450のアイソフォームにはCYP1A2、CYP2D6、CYP2C9、CYP2C19およびCYP3A4があるが、これらに限定されない。CYP 3A4を阻害するために使用することができる適当な物質にはリトナビル、サクイナビルまたはケトコナゾールがあるが、これらに限定されない。
【0145】
上記の併用において、式(I)の化合物、あるいはその薬学的に許容しうる塩、溶媒和物または誘導体および他の治療剤を投与形態に関しては別々にまたは一緒に;そして投与時間に関しては同時にまたは連続して投与することができる。したがって、一方の薬剤の投与は他方の薬剤の投与の前に、それと同時に、またはその後で行なわれる。
【0146】
したがって、別の見地において、本発明は式(I)の化合物、あるいはその薬学的に許容しうる塩、溶媒和物または誘導体および1種またはそれ以上の追加の治療剤を含有する医薬組成物を提供する。
【0147】
本明細書において、治療へのすべての言及は治癒的、緩和的および予防的処置を含むことは理解されよう。
【0148】
本発明を次の実施例および製造例により詳しく説明する。次の略語が使用される:
h=時間
min=分
RTは室温を意味する。
LRMS=低分解質量スペクトル
HRMS=高分解質量スペクトル
APCI=大気圧化学イオン化
ESI=エレクトロスプレーイオン化
NMR=核磁気共鳴
HPLCは高速液体クロマトグラフィーを意味する。
tlc=薄層クロマトグラフィー
Me=メチル
【0149】
〔実施例1〕N−ベンジル−N−{1'−[(2,4−ジメチルピリジン−3−イル)カルボニル]−4'−メチル−1,4'−ビピペリジニル−4−イル}−3,3−ジフルオロシクロブタンカルボキサミド
【化16】

ジクロロメタン(5ml)中における製造例10の化合物(100mg、0.24ミリモル)の溶液にジフルオロシクロブタンカルボン酸(50mg、0.37ミリモル)、トリエチルアミン(100μl、0.72ミリモル)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(50mg、0.32ミリモル)および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(71mg、0.36ミリモル)を加
え、反応混合物を室温で24時間撹拌した。飽和重炭酸ナトリウム(水性、5ml)を加え、水相を分離し、ジクロロメタン(10ml)で抽出した。合一した有機物を硫酸マグネシウム上で乾燥し、真空下で乾燥した。カラムクロマトグラフィー(シリカ、95/5/0.5のジクロロメタン/メタノール/0.88アンモニア溶液で溶離)により精製して表題化合物を無色の油状物として得た。HCl(1M、エーテル中、2mL)を加えて遊離塩基を二塩酸塩に変換し、蒸発乾固して白色の固体(56mg、0.09ミリモル、36%)を得た。1H NMR (400MHz CD3OD) δ0.93−1.04 (3H, m), 1.32−1.47 (1H, m), 1.46−1.83 (6H, m), 1.85−1.99 (1H, m), 2.12−2.31 (5H, m), 2.36−2.56 (4H, m), 2.66−3.12 (7H, m), 3.26−3.37および3.38−3.51
(1H, 2 x m), 3.58−3.77および4.30−4.44 (2H, 2 x m), 3.84−3.98 (1H, m), 4.54−4.66 (2H, s), 7.14−7.31 (5H, m), 7.32−7.41 (1H, m), 8.24−8.34 (1H, m)。
LRMS:m/z APCI+540 [MH+]。元素分析:実測値 57.45 (C%)、7.15 (H%)、8.56 (N%);計算値(C31H40F2N4O2・2HCl・2H2Oとして) 57.49 (C%)、7.16 (H%)、8.65 (N%)。全分子量=647.6。
【0150】
〔実施例2〜7〕
【化17】

上記実施例1に記載の方法に従って、相当するアミン(製造例10、11または12)および相当する酸(R6CO2H)を使用して実施例2〜7の化合物を製造した。
【表1】

【0151】
実施例5のNMR
1H NMR (400MHz CD3OD) δ0.88−0.95 (3H, m), 1.18−1.78 (9H, m), 1.86−1.99 (1H, m), 2.05−2.29 (5H, m), 2.38−2.59 (4H, m), 2.68−3.10 (6H, m), 3.12−3.33 (1H, m), 3.34−3.57 (1H, m), 4.04−4.21 (1H, m), 4.42−4.53および4.61−4.66 (2H, 2 x m), 6.94−7.34 (5H, m), 8.31−8.37 (1H, m)。
【0152】
〔実施例8〕N−ベンジル−N−[1'−(3,5−ジクロロイソニコチノイル)−4'−メチル−1,4'−ビピペリジン−4−イル]−3,3−ジフルオロシクロブタンカルボキサミド・2HCl
【化18】

3,5−ジクロロイソニコチン酸(84mg、0.4ミリモル)、製造例42の化合物(150mg、0.3ミリモル)、3−(ジエトキシホスホリルオキシ)−1,2,3−ベンゾトリアジン−4(3H)−オン(132mg、0.4ミリモル)およびトリエチルアミン(0.16mL、1.2ミリモル)をジクロロメタンに溶解し、室温で24時間撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム溶液を加えて反応混合物をクエンチし、ジクロロメタンを使用して抽出した。合一した有機抽出物を真空下で濃縮して粗生成物を得た。粗製混合物を溶離剤としてジクロロメタン:メタノール(100:0〜90:10)を使用するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製した。次に、得られた生成物をジクロロメタン(5mL)に溶解し、ジエチルエーテル(5mL)中の2M塩酸で処理し、溶媒を真空下で除去して43mgの表題化合物を白色の固体として得た。1H NMR (400MHz CDCl3) δ0.95 (3H, s), 1.20−1.85 (9H, m), 1.85−2.00 (1H, m), 2.05−2.30 (2H, m), 2.45 (1H, bs), 2.70−3.10 (6H, m), 3.25−3.50 (2H, m), 4.05−4.20 (1H, m), 4.40−4.65 (2H, m), 7.10−7.40 (5H, m), 8.50 (2H, bs)。LRMS:m/z APCI+579[MH+]。
【0153】
〔実施例9〕N−ベンジル−N−[1'−(3,5−ジクロロ−1−オキシドイソニコチノイル)−4'−メチル−1,4'−ビピペリジン−4−イル]−3,3−ジフルオロシクロブタンカルボキサミド・HCl
【化19】

3,5−ジクロロ−1−オキシ−イソニコチン酸(92mg、0.4ミリモル)および製造例42の化合物を使用して実施例8の方法に従って表題化合物を製造して38mgの表題化合物を白色の固体として得た。1H NMR (400MHz CDCl3) δ0.90 (3H, s), 1.25−1.95 (9H, m), 2.00−2.20 (2H, m), 2.40 (1H, bs), 2.65−3.00 (6H, m), 3.25−3.50 (2H, m), 3.95−4.10 (1H, m), 4.35−4.60 (2H, m), 7.05−7.35 (5H, m), 8.10 (2H, bs)。LRMS:m/z APCI+595[MH+]。
【0154】
〔実施例10〕N−ベンジル−N−(1−{(8−シン)−3−[(4,6−ジメチルピリミジン−5−イル)カルボニル]−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−8−イル}ピペリジン−4−イル)シクロプロパンカルボキサミド
【化20】

ジクロロメタン(10mL)中における製造例36の化合物(145mg、0.39ミリモル)の溶液に4,6−ジメチルピリミジン−5カルボン酸(US6391865B1、p.45)(72mg、0.5ミリモル)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(113mg、0.6ミリモル)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(91mg、0.6ミリモル)およびトリエチルアミン(220μL、1.6ミリモル)を加えた。反応混合物を室温で24時間撹拌した。水(10mL)を加えて混合物を希釈し、ジクロロメタン(3x20mL)で抽出した。合一した有機抽出物をブライン(10mL)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、真空下で還元して粗製残留物を得た。ジクロロメタン:メタノール:0.88アンモニア(97.5:2.5:0.25)を使用するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製して165mg(83%)の表題化合物を白色の固体として得た。1H NMR (400MHz, CDCl3) δ0.66−0.86 (2H, m), 1.00−1.11 (2H, m), 1.34−1.55 (2H, m), 1.60−1.91 (6H, m), 1.98−2.09 (2H, m), 2.20 (1H, m), 2.31−2.45 (3H, m), 2.50−2.52 (3H, m), 2.61−2.70 (2H, m), 2.77−3.14 (3H, m), 3.29 (1H, d), 3.47 (1H, d), 3.65−3.78 (1H, m), 3.98−4.18 (1H, dd), 4.49−4.61 (1H, m), 4.71 (1H, s), 4.90 (1H, s), 7.17−7.39 (5H, m), 8.94 (1H, s)。LRMS:m/z APCI+502 [MH+]。
【0155】
〔実施例11〕N−ベンジル−N−((8−シン)−3−{1−[(4,6−ジメチルピリミジン−5−イル)カルボニル]ピペリジン−4−イル}−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−8−イル)シクロプロパンカルボキサミド
【化21】

製造例39の化合物(26mg、0.07ミリモル)および4,6−ジメチルピリミジン−5カルボン酸(US6391865B1、p.45)を使用して実施例10の方法に従って表題化合物を製造して表題化合物を無色のゴム状物(23mg、66%)として得た。1H NMR (400MHz, CD3OD) δ0.82−0.87 (2H, m), 0.94−0.97 (2H, m), 1.74−1.88 (6H, m), 2.11−2.17 (2H, m), 2.32−2.35 (1H, m), 2.54 (3H, s), 2.65 (3H, s), 2.87−2.94 (1H, m), 3.08−3.25 (4H, m), 3.32−3.44 (3H, m), 3.56−3.60 (1H, m), 4.85−4.88 (1H, m), 4.99 (2H, s), 7.29−7.33 (5H, m), 7.38−7.42 (2H, m), 9.17 (1H, s)。LRMS:m/z APCI+502 [MH+]。
【0156】
〔実施例12〕N−ベンジル−N−((8−シン)−3−{1−[(2,4−ジメチルピリジン−3−イル)カルボニル]ピペリジン−4−イル}−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−8−イル)シクロプロパンカルボキサミド
【化22】

上記実施例10の方法に従って、製造例39の化合物(45mg、0.1ミリモル)および2,4−ジメチル−3−カルボキシピリジン(J. Am. Chem. Soc. 101(23), 7036(1979年))(28mg、0.2ミリモル)から表題化合物を収率77%で白色の固体として製造した。1H NMR (400MHz, CD3OD) δ0.70−0.86 (2H, m), 0.98−1.07 (2H, m), 1.50−1.64 (6H, m), 1.78−2.01 (3H, m), 2.08−2.12 (1H, m), 2.18−2.21および2.50−2.53 (3H, 2 x m), 2.24−2.31 (1H, m), 2.36−2.40 (3H, m), 2.43−2.46 (1H, m), 2.58−3.07 (5H, m), 3.14−3.49 (3H, m), 4.81−4.88 (2H, m), 5.00−5.03 (1H, m), 6.98−7.04 (1H, m), 7.15−7.22 (2H, m), 7.28−7.40 (3H, m), 8.34−8.37 (1H, m)。LRMS:m/z APCI+501 [MH+]。
【0157】
〔実施例13〕N−ベンジル−N−{1'−[(2,4−ジメチルピリジン−3−イル)カルボニル]−4'−メチル−1,4'−ビピペリジン−4−イル}−N2,N2−ジメチルグリシンアミド
【化23】

ジクロロメタン(5mL)中のN,N−ジメチルグリシン(0.37mg、0.4ミリモル)、製造例10の化合物(100mg、0.2ミリモル)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(71mg、0.4ミリモル)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(50mg、0.4ミリモル)およびトリエチルアミン(100μL、0.24ミリモル)を室温で48時間撹拌した。次に、炭酸水素ナトリウム溶液を反応混合物に加え、相を分離し、水層をジクロロメタン(2×10mL)で洗浄した。次に、有機抽出物を合一し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、真空下で濃縮した。溶離剤としてジクロロメタン:メタノール(90:5)を使用するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製して18.5mg(15%)の表題化合物を固体として得た。1H NMR (400MHz, CD3OD) δ0.95−1.02 (3H, m), 1.32−1.46 (1H, m), 1.47−1.58 (1H, m), 6.32 (5H, m), 1.86−1.97 (1H, m), 2.13−2.31 (9H m), 2.35 (3H, s), 2.38−2.46 (3H, m), 2.87−2.97 (1H, m), 2.99−3.08 (2H, m), 3.08−3.14 (1H, m), 3.34−3.39 (1H, m), 3.60−3.74 (1H, m), 3.85−3.98および4.30−4.44 (2H, 2 x m), 4.58−4.71 (2H, m), 7.14−7.30 (5H, m), 7.31−7.39 (1H, m), 8.27−8.33 (1H, m)。LRMS:m/z APCI+506 [MH+]。
【0158】
〔実施例14〕N−ベンジル−N−{1'−[(2,4−ジメチルピリジン−3−イル)カルボニル]−4'−メチル−1,4'−ビピペリジン−4−イル}−2−エトキシアセトアミド
【化24】

上記実施例13の方法に従って、エトキシ酢酸(37mg、0.4ミリモル)および製造例10の化合物(100mg、0.2ミリモル)から収率16%で表題化合物を製造した。1H NMR (400MHz, CD3OD) δ0.95−1.03 (3H, m), 1.11−1.17および1.21−1.28 (3H, 2 x m), 1.33−1.46 (7H, m), 1.47−1.59 (1H, m), 2.11−2.30 (5H, m), 2.38−2.46 (3H, m), 2.87−2.96 (1H, m), 2.98−3.09 (2H, m), 3.27−3.37 (1H, m), 3.43−3.52 (1H, m), 3.57−3.71 (2H, m), 3.72−3.82および4.28−4.38 (2H, 2 x m), 3.86−3.96 (1H, m), 4.08−4.09 (1H, m), 4,55−4.64 (2H, m), 7.14−7.30 (5H, m), 7.31−7.39 (1H, m), 8.27−8.32 (1H, m)。LRMS:m/z APCI+507 [MH+]。
【0159】
〔実施例15〕N−ベンジル−N−{1'−[(2,4−ジメチルピリジン−3−イル)カルボニル]
−4'−メチル−1,4'−ビピペリジン−4−イル}−2−メトキシアセトアミド
【化25】

上記実施例13の方法に従って、メトキシ酢酸(32mg、0.4ミリモル)および製造例10の化合物(100mg、0.2ミリモル)から収率40%で表題化合物を固体として製造した。1H NMR (400MHz, CD3OD) δ 0.95−1.01 (3H, m), 1.32−1.45 (1H, m), 1.47−1.59 (1H, m), 1.61−1.81 (5H, m), 1.86−1.97 (1H, m), 2.10−2.30 (5H, m), 2.38−2.45 (3H, m), 2.86−2.95 (1H, m), 2.98−3.09 (2H, m), 3.26−3.37および3.42−3.47 (4H, 2 x m), 3.59−3.75および4.28−4.41 (3H, 2 x m), 3.86−3.97 (1H, m), 4.01−4.06 (1H, m), 4.54−4.64 (2H, m), 7.14−7.31 (5H, m), 7.32−7.40 (1H, m), 8.27−8.32 (1H, m)。LRMS:m/z APCI+493 [MH+]。
【0160】
〔実施例16〕N−ベンジル−N−{1'−[(2,4−ジメチルピリジン−3−イル)カルボニル]−4'−エチル−1,4'−ビピペリジン−4−イル}シクロプロパンカルボキサミド
【化26】

N−エチルジイソプロピルアミン(1.3mL、7.3ミリモル)をジクロロメタン(10mL)中における製造例23の化合物(0.8g、2.1ミリモル)、2,4−ジメチル−3−カルボキシピリジン(J.Am.Chem.Soc. 101(23), 7036(1979年))(0.4g、2.1ミリモル)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(0.5g、2.5ミリモル)および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(0.3g、2.5ミリモル)の撹拌溶液に加えた。反応混合物を48時間撹拌し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液で希釈した。水層を酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。合一した有機抽出物をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、溶媒を真空下で除去した。溶離剤としてジクロロメタン:メタノール:0.88アンモニア(95:5:0.5〜90:10:1)を使用するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製して0.5g(47%)の表題化合物を白色の固体として得た。1H NMR (400MHz, CD3OD) δ0.66−0.98 (6H, m), 1.33−2.12 (12H, m), 2.23−2.45 (8H, m), 2.88−3.09 (3H, m), 3.25−3.39 (2H, m), 4.14−4.44 (2H, m), 4.61−4.67および4.81 (2H, 2 x m), 7.15−7.39 (6H, m), 8.30 (1H, d)。LRMS:m/z APCI+503 [MH+]。
【0161】
〔実施例17〕N−ベンジル−N−{1'−[(2,4−ジメチルピリジン−3−イル)カルボニル]−4'−イソプロピル−1,4'−ビピペリジン−4−イル}シクロプロパンカルボキサミド
【化27】

実施例16の方法に従って製造例22の化合物(0.4g、1.1ミリモル)および2,4−ジメチル−3−カルボキシピリジンを使用して表題化合物を製造して表題化合物を白色の固体(0.4g、67%)として得た。1H NMR (400MHz, CD3OD) δ0.66−0.99 (10H, m), 1.29−2.13 (10H, m), 2.22−2.57 (8H, m), 2.97−3.35 (5H, m), 4.17−4.83 (4H, m), 7.16−7.39 (6H, m), 8.30 (1H, m)。LRMS:m/z APCI+517 [MH+]。
【0162】
〔実施例18〕N−{1'−[(2,4−ジメチルピリジン−3−イル)カルボニル]−4'−メチル−1,4'−ビピペリジン−4−イル}−3,3−ジフルオロ−N−(3−フルオロベンジル)シクロブタンカルボキサミド・2HCl
【化28】

N,N−ジメチルホルムアミド(5mL)中における製造例12の化合物(100mg、0.18ミリモル)の溶液にトリエチルアミン(102μL、0.73ミリモル)、3,3−ジフルオロシクロブタンカルボン酸(J.Org.Chem. 52(9), 1872(1987年))(30mg、0.22ミリモル)およびO−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(83mg、0.22ミリモル)を加えた。反応混合物を室温で48時間撹拌し、その後N,N−ジメチルホルムアミドを真空下で除去し、残留物を飽和炭酸水素ナトリウム溶液(10mL)およびジクロロメタン(10mL)で処理した。層を分離し、水性部分をジクロロメタン(2x20mL)で抽出した。合一した有機抽出物をブライン(10mL)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、真空下で還元して粗製物質を得た。生成物を溶離剤としてジクロロメタン:メタノール:0.88アンモニア(97.5:2.5:0.25)を使用するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製し、酢酸エチル(5mL)に溶解し、ジエチルエーテル中の2M HClで処理して50mg(49%)の表題化合物を白色の固体として得た。1H NMR (400MHz, CD3OD) δ1.48 (3H, t), 1.82−2.01 (3H, m), 2.03−2.22 (3H, m), 2.29−2.47 (2H, m), 2.51−2.63 (4H, m), 2.64−2.78 (3H, dd), 2.82 (1H, s), 2.87−2.95 (2H, m), 3.02−3.27 (4H, m), 3.35−3.51 (2H, m), 3.54−3.62 (1H, m), 3.65−3.72 (1H, m), 4.16−4.25および4.61−4.70 (3H, 2 x m), 4.76−4.83 (1H, m), 6.90−7.09 (3H, m), 7.27−7.42 (1H, m), 7.83−7.88 (1H, m), 8.60−8.62 (1H, m)。LRMS:m/z APCI+557 [MH+]。
【0163】
〔実施例19〕N−{1'−[(2,4−ジメチルピリジン−3−イル)カルボニル]−4'−メチル−1,4'−ビピペリジン−4−イル}−N−(3−フルオロベンジル)テトラヒドロ−2H−ピラ
ン−4−カルボキサミド・2HCl
【化29】

製造例12の化合物およびテトラヒドロ−2H−ピラン−4−カルボン酸(J.Med.Chem. 37, 4538(1994年))を使用して実施例18の方法に従って表題化合物を製造して表題化合物を白色の固体(25mg、25%)として得た。1H NMR (400MHz, CD3OD) δ 1.46−1.50 (3H, m), 1.52−1.82 (2H, m), 1.84−2.01 (4H, m), 2.03−2.22 (4H, m), 2.28−2.39 (2H, m), 2.44−2.49および2.67−2.71 (2H, 2 x m), 2.51−2.63 (3H, d), 2.65−2.78 (3H, dd), 3.04−3.20 (3H, m), 3.21−3.27 (1H, m), 3.32−3.50 (3H, m), 3.57−3.71 (2H, m), 3.87−4.01および4.22−4.47 (2H, 2 x m), 4.64−4.78 (3H, m), 6.89−7.11 (3H, m), 7.26−7.43 (1H, m), 7.82−7.87 (1H, m), 8.60 (1H, m)。LRMS:m/z APCI+551 [MH+]。
【0164】
〔実施例20〕N−{1'−[(2,4−ジメチルピリジン−3−イル)カルボニル]−4'−メチル−1,4'−ビピペリジン−4−イル}−N−(3−フルオロベンジル)テトラヒドロフラン−3−カルボキサミド・2HCl
【化30】

上記実施例19の方法に従って製造例12の化合物(100mg、0.18ミリモル)および(+/−)テトラヒドロ−3−フラン酸(21μL、0.2ミリモル)から表題化合物を白色の固体として収率42%で製造した。1H NMR (400MHz, CD3OD) δ1.46−1.48 (3H, m), 1.88−2.21 (8H, m), 2.24−2.49 (3H, m), 2.51−2.63 (3H, d), 2.65−2.78 (3H, dd), 3.03−3.26 (4H, m), 3.32−3.50 (2H, m), 3.56−3.74および3.78−4.10 (5H, 2 x m), 4.36−4.79 (4H, m), 6.90−7.11 (3H, m), 7.26−7.43 (1H, m), 7.82−7.87 (1H, m), 8.60 (1H, d)。LRMS:m/z APCI+537 [MH+]。
【0165】
〔実施例21〕N−ベンジル−N−{1'−[(4,6−ジメチルピリミジン−5−イル)カルボニル]−4'−メチル−1,4'−ビピペリジン−4−イル}−3,3,3−トリフルオロプロパンアミド
【化31】

ジクロロメタン(10mL)中におけるメチルトリフルオロ酢酸(59mg、0.5ミリモル)、製造例15の化合物(100mg、0.2ミリモル)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(62mg、0.5ミリモル)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(88mg、0.5ミリモル)およびトリエチルアミン(96μL、0.7ミリモル)の溶液を24時間撹拌した。反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム溶液で希釈し、有機層を分離し、真空下で濃縮した。溶離剤としてジクロロメタン:メタノール(100:0〜95:5)を使用するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製して25mg(61%)の表題化合物を油状物として得た。1H NMR (400MHz, CD3OD) δ1.08 (3H, s), 1.30−1.57 (1H, m), 1.60−1.70 (1H, m), 1.72−2.00 (4H, m), 2.03−2.16 (1H, m), 2.30−2.40および2.41−2.50 (9H, 2 x m), 2.63−3.06 (4H, m), 3.10−3.20 (1H, s), 3.22−3.37 (2H, m), 3.5−3.63 (1H, m), 3.90−4.02 (1H, m), 4.50 (1H, m), 4.58−4.65 (1H, m), 7.10−7.38 (5H, m), 8.90 (1H, m)。LRMS:m/z APCI+532 [MH+]。
【0166】
〔実施例22〕N−ベンジル−N−{1'−[(4,6−ジメチルピリミジン−5−イル)カルボニル]−4'−メチル−1,4'−ビピペリジン−4−イル}−3,3−ジフルオロシクロブタンカルボキサミド
【化32】

塩化オキサリル(40mL、0.5ミリモル)を0℃でN,N−ジメチルホルムアミド(10μL、0.46ミリモル)およびジクロロメタン(20mL)中における3,3−ジフルオロシクロブタンカルボン酸(J.Org.Chem. 52(9), 1872(1987年))(62mg、0.5ミリモル)の撹拌溶液に滴加した。添加終了後、反応混合物を室温まで加温し、1時間撹拌し、真空下で濃縮した。ジクロロメタン(20mL)中における粗製物質の溶液をジクロロメタン(20mL)およびトリエチルアミン(36μL、0.7ミリモル)中における製造例15の化合物(100mg、0.2ミリモル)の撹拌溶液に滴加した。反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム溶液で希釈し、有機層を分離し、硫酸マグネシウム上で乾燥した。溶離剤としてジクロロメタン:メタノール(100:0〜95:5)を使用するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製して22mg(18%)の表題化合物を油状物として得た。1H NMR (400MHz, CD3OD) δ0.90 (3H, m), 1.20−1.30 (1H, m), 1.20−1.80 (7H, m), 1.86−2.02 (1H, m), 2.19−2.22 (2H, m), 2.30−2.50 (7H, m), 2.70−3.00 (7H, m), 3.20−3.30 (1H, m), 3.38−3.44および4.05−4.17 (1H, 2 x m), 4.40−4.60 (3H, m), 7.10−7.40 (5H, m), 8.90 (1H, s)。LRMS:m/z APCI+540 [MH+]。
【0167】
〔実施例23〕N−{1'−[(4,6−ジメチルピリミジン−5−イル)カルボニル]−4'−メチル−1,4'−ビピペリジン−4−イル}−3,3,3−トリフルオロ−N−(2−フルオロベンジル)プロパンアミド
【化33】

ジクロロメタン(20mL)中における3,3,3−トリフルオロプロピオン酸(177mg、1.4ミリモル)、製造例13の化合物(101mg、0.2ミリモル)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(186mg、1.4ミリモル)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(264mg、1.4ミリモル)およびトリエチルアミン(288μL、1.8ミリモル)の混合物を室温で24時間撹拌した。反応混合物を1M水酸化ナトリウム溶液(20mL)で希釈し、有機層を分離した。真空下で濃縮し、次に硫酸マグネシウム上で乾燥して粗製残留物を得た。溶離剤としてジクロロメタン:メタノール(100:0〜95:5)を使用するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製して82mg(65%)の表題化合物を油状物として得た。1H NMR
(400MHz, CDCl3) δ0.90 (3H, s), 1.20−1.30 (1H, m), 1.30−1.80 (7H, m), 1.80−1.97 (1H, m), 2.05−2.20 (2H, m), 2.40 (6H, d), 2.70−3.00 (3H, m), 3.02−3.18 (1H, m), 3.20−3.50 (3H, s), 4.05−4.20 (1H, m), 4.50 (1H, s), 4.61 (1H, s), 7.00−7.30 (4H, m), 8.90 (1H, s)。LRMS:m/z APCI+550 [MH+]。
【0168】
〔実施例24〕N−{1'−[(4,6−ジメチルピリミジン−5−イル)カルボニル]−4'−メチル−1,4'−ビピペリジン−4−イル}−3,3,3−トリフルオロ−N−(3−フルオロベンジル)プロパンアミド
【化34】

上記実施例23の方法に従って3,3,3−トリフルオロプロピオン酸(177mg、1.4ミリモル)および製造例13の化合物(101mg、0.2ミリモル)から表題化合物を油状物として収率69%で製造した。1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 0.90 (3H, s), 1.38−1.45 (1H, m), 1.60−1.82
(7H, m), 1.84−1.98 (1H, m), 2.10−2.15 (2H, m), 2.38−2.50 (6H, m), 2.78−2.85
(1H, m), 2.98−3.03 (3H, m), 3.20−3.50 (2H, m), 4.08 (1H, m), 4.42−4.60 (3H, m), 6.80−7.03 (3H, m), 7.30−7.38 (1H, m), 8.90 (1H, m)。LRMS:m/z APCI+550 [MH+]。
【0169】
〔実施例25〕N−{1'−[(4,6−ジメチルピリミジン−5−イル)カルボニル]−4'−メチル−1,4'−ビピペリジン−4−イル}−3,3−ジフルオロ−N−(2−フルオロベンジル)シクロブタンカルボキサミド
【化35】

上記実施例23の方法に従って3,3−ジフルオロシクロブタンカルボン酸(J.Org.Chem. 52(9), 1872(1987年))(47mg、0.4ミリモル)および製造例13の化合物(101mg、0.2ミリモル)から21mg(16%)の表題化合物を油状物として製造した。1H NMR (400MHz, CDCl3) δ0.90 (3H, m), 1.20−1.30 (1H, m), 1.43−1.77 (7H, m), 1.90−2.00 (1H, m), 2.06−2.10 (2H, m), 2.40 (6H, m), 2.70−3.00 (6H, m), 3.10−3.58 (3H, m), 4.04−4.10 (1H, m), 4.50 (2H, m), 4.60 (1H, m), 7.97−7.10 (3H, m), 7.20−7.30 (1H, m), 8.90 (1H, s)。LRMS:m/z APCI+558 [MH+]。
【0170】
〔実施例26〕N−[1'−(2,6−ジメチルベンゾイル)−4'−メチル−1,4'−ビピペリジン−4−イル]−3,3−ジフルオロ−N−(3−フルオロベンジル)シクロブタンカルボキサミド
【化36】

ジクロロメタン(20mL)中における製造例6の化合物(63mg、0.2ミリモル)、2,6−ジメチル安息香酸(90mg、0.6ミリモル)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(115mg、0.6ミリモル)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(81mg、0.6ミリモル)およびトリエチルアミン(103μL、0.7ミリモル)の溶液を室温で24時間撹拌した。反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム溶液(10mL)で希釈し、有機層を分離し、真空下で濃縮した。ジクロロメタン:メタノール(100:0〜95:5)を使用するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製して63mg(76%)の表題化合物を油状物として得た。1H NMR (400MHz, CDCl3) δ0.97 (3H, m), 1.40−1.50 (1H, m), 1.50−1.90 (8H, m), 1.90−1.98 (1H, m), 2.08−2.20 (2H, m), 2.40−2.50 (6H, m), 2.70−2.90 (4H, m), 2.90−3.00 (3H, m), 3.12−3.17 (1H, m), 3.40−3.58 (1H, m), 4.07−4.18 (1H, m), 4.20−4.50 (2H, m), 4.56−4.59 (1H, m), 6.80−7.00 (3H, m), 7.10−7.20 (3H, m)。LRMS:m/z APCI+556 [MH+]。
【0171】
〔実施例27〕N−[1'−(3,5−ジクロロイソニコチノイル)−4'−メチル−1,4'−ビピペリジン−4−イル]−3,3−ジフルオロ−N−(3−フルオロベンジル)シクロブタンカルボキサミド
【化37】

上記実施例26の方法に従って製造例6の化合物(63mg、0.1ミリモル)および3,5−ジクロロイソニコチン酸(115mg、0.6ミリモル)から表題化合物を油状物として収率69%で製造した。1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 0.95−1.00 (3H, m), 1.23−1.82 (9H, m), 1.90−2.00
(1H, m), 2.10−2.30 (2H, m), 2.40−2.58 (1H, m), 2.70−3.02 (5H, m), 3.30−3.60
(3H, m), 4.08−4.18 (1H, m), 4.40−4.60 (2H, m), 6.80−7.00 (2H, m), 7.20−7.38
(2H, m), 8.50 (2H, m)。LRMS:m/z APCI+598 [MH+]。
【0172】
〔実施例28〕N−{1'−[(2,4−ジメチル−1−オキシドピリジン−3−イル)カルボニル]−4'−メチル−1,4'−ビピペリジン−4−イル}−3,3−ジフルオロ−N−(3−フルオロベンジル)シクロブタンカルボキサミド
【化38】

上記実施例26の方法に従って製造例6の化合物(63mg、0.1ミリモル)、2,4−ジメチルニコチン酸1−オキシド(WO2003033490A1、p.6)から表題化合物を油状物として収率90%で製造した。1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 0.97 (3H, m), 1.21−1.83 (8H, m), 2.20 (3H, m), 2.38 (3H, s), 2.70−3.00 (8H, m), 3.10−3.60 (6H, m), 4.50 (2H, m), 6.80−7.00 (4H, m), 7.30−7.36 (1H, m), 8.10−8.18 (1H, m)。LRMS:m/z APCI+573 [MH+]。
【0173】
〔実施例29〕N−ベンジル−N−{1'−[(4,6−ジメチルピリミジン−5−イル)カルボニル]−4'−メチル−1,4'−ビピペリジン−4−イル}メタンスルホンアミド
【化39】

塩化メタンスルホニル(22μL、0.3ミリモル)を室温でジクロロメタン(10mL)中における
製造例15の化合物(80mg、0.2ミリモル)およびトリエチルアミン(79μL、0.6ミリモル)の撹拌溶液に滴加した。反応混合物を30分間撹拌し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(10mL)で希釈した。有機層を分離し、真空下で濃縮し、粗製混合物を溶離剤としてジクロロメタン:メタノール(100:0〜94:6)を使用するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製して84mg(89%)の表題化合物を油状物として得た。1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 0.87 (3H, s), 1.16−1.30 (1H, m), 1.32−1.42 (1H, m), 1.62−1.78 (6H, m), 1.82−1.96 (1H, m), 2.05−2.18 (2H, m), 2.40 (6H, m), 2.77 (3H, m), 2.90 (2H, m), 3.20 (1H, m), 3.36 (1H, m), 3.70 (1H, m), 4.10 (1H, m), 4.38 (2H, m), 7.20−7.40 (5H, m), 8.90 (1H, m)。LRMS:m/z APCI+500 [MH+]。
【0174】
〔実施例30〕N−{1'−[(4,6−ジメチルピリミジン−5−イル)カルボニル]−4'−メチル−1,4'−ビピペリジン−4−イル}−N−(2−フルオロベンジル)メタンスルホンアミド
【化40】

上記実施例29の方法に従って塩化メタンスルホニル(22μL、0.3ミリモル)、製造例13の化合物(80mg、0.2ミリモル)およびトリエチルアミン(79μL、0.6ミリモル)から96mg(98%)の表題化合物を油状物として製造した。1H NMR (400MHz, CDCl3) δ0.87 (3H, m), 1.20 (1H, m), 1.97 (1H, m), 1.50−1.80 (6H, m), 1.90 (1H, m), 2.03−2.20 (2H, m), 2.40 (7H, m), 2.80 (3H, m), 2.90 (2H, m), 3.20−3.40 (2H, m), 3.70 (1H, m), 4.40 (2H, m), 6.98 (1H, m), 7.10 (1H, m), 7.20 (1H, m), 7.53 (1H, m), 8.92 (1H, m)。LRMS:m/z APCI+518 [MH+]。
【0175】
〔実施例31〕N−{1'−[(4,6−ジメチルピリミジン−5−イル)カルボニル]−4'−メチル−1,4'−ビピペリジン−4−イル}−N−(3−フルオロベンジル)メタンスルホンアミド
【化41】

上記実施例29の方法に従って塩化メタンスルホニル(22μL、0.3ミリモル)、製造例14の化合物(80mg、0.2ミリモル)およびトリエチルアミン(79μL、0.6ミリモル)から95mg(85%)の表題化合物を油状物として製造した。1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 0.95 (3H, m), 1.21 (1H, m), 1.40 (1H, m), 1.58 (1H, m), 1.62−1.80 (5H, m), 1.90 (1H, m), 2.10 (2H, m), 2.20 (6H, m), 2.78 (3H, m), 2.93 (2H, m), 3.20 (1H, m), 3.39 (1H, m), 3.70 (1H, m), 4.09 (1H, m), 4.39 (2H, m), 6.95 (1H, m), 7.10 (2H, m), 7.23 (1H, m), 8.90 (1H, m)。LRMS:m/z APCI+518 [MH+]。
【0176】
〔実施例32〜53〕
【化42】

ジクロロメタン中における適当なアミン(製造例13、14または15)(1当量)、適当な酸塩化物(R6COCl)(1.5当量)およびトリエチルアミン(3当量)の混合物を室温で3〜4時間撹拌した。反応混合物を炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、水溶液をジクロロメタンで抽出した。有機溶液を分離し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、真空下で濃縮し、粗生成物をジクロロメタン:メタノール(100:0〜95:5:0.5)で溶離するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製した。生成物を最小量のジクロロメタンに溶解し、ジエチルエーテル中の2M HClで処理して表題化合物を得た。
【0177】
【表2】

【0178】
〔実施例45〕N−{1'−[(4,6−ジメチルピリミジン−5−イル)カルボニル]−4'−メチル−1,4'−ビピペリジン−4−イル}−N−(2−フルオロベンジル)シクロプロパンカルボ
キサミド・2HCl
【化43】

ジクロロメタン(5mL)中における塩化シクロプロパンカルボニル(31μL、0.3ミリモル)の溶液をジクロロメタン(5mL)中における製造例13の化合物(100mg、0.2ミリモル)およびトリエチルアミン(96μL、0.7ミリモル)の溶液に滴加した。反応混合物を室温で3時間撹拌し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(10mL)で希釈した。有機層を分離し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、真空下で濃縮した。ジクロロメタン:メタノール:0.88アンモニア(100:0〜92:8)を使用するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製し、生成物を最小量のジクロロメタンに溶解し、ジエチルエーテル中の2M HClで処理して115mg(99%)の表題化合物を得た。1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 0.62 (2H, m), 0.88 (3H, s), 0.97 (2H, m), 1.18 − 1.30 (1H, m), 1.38−1.58 (4H, m), 1.59−1.78 (4H, m), 1.90 (1H, m), 2.10−2.22 (1H, m), 2.42 (7H, m), 2.70−2.80 (1H, m), 2.96 (2H, m), 3.30 (1H, m), 3.42 (1H, m), 3.97−4.10 (1H, m), 4.70 (2H, m), 6.90−7.30 (4H, m), 8.90 (1H, m)。LRMS:m/z APCI+508 [MH+]。元素分析:実測値57.81 (C%), 7.14 (H%), 11.19 (N%);計算値(2HCl・1.5H2Oとして)57.33 (C%), 7.13 (H%), 11.53 (N%)。
【0179】
〔実施例46〕N−{1'−[(4,6−ジメチルピリミジン−5−イル)カルボニル]−4'−メチル−1,4'−ビピペリジン−4−イル}−N−(3−フルオロベンジル)シクロプロパンカルボキサミド.3HCl
【化44】

製造例84に記載の方法に従ってN−{1'−[(4,6−ジメチルピリミジン−5−イル)カルボニル]−4'−メチル−1,4'−ビピペリジン−4−イル}−N−(3−フルオロベンジル)シクロプロパンカルボキサミドをシクロプロパンカルボニルクロライド(31μL、0.3ミリモル)、製造例13の化合物(100mg、0.2ミリモル)およびトリエチルアミン(96μL、0.7ミリモル)から製造した。生成物を最小量のジクロロメタンに溶解し、ジエチルエーテル中の2M HClで処理して95mg(99%)の表題化合物を得た。1H NMR (400MHz, CD3OD) δ0.62 (2H, m), 0.90 (6H, m), 1.21 (1H, m), 1.28−1.60 (3H, m), 1.61−1.78 (4H, m), 1.85−1.98 (1H m), 2.08−2.20 (2H, m), 2.40 (6H, m), 2.70−2.80 (1H, m), 2.90−3.00 (2H, m), 3.30 (1H, m), 3.43 (1H, m), 4.05 (1H, m), 4.65 (2H, m), 6.80−7.02 (3H, m), 7.18−7.30 (1H, m), 8.80 (1H, s)。LRMS:m/z APCI+508 [MH+]。元素分析:実測値54.52 (C%), 6.91 (H%), 10.54 (N%);計算値(3HCl・1.3H2Oとして)54.39 (C%), 6.86 (H%),
10.93 (N%)。
【0180】
〔実施例47〕N−{1'−[(2,4−ジメチルピリジン−3−イル)カルボニル]−4'−メチル−1,4'−ビピペリジン−4−イル}−N−(3−フルオロベンジル)シクロプロパンカルボキサミド・2HCl
【化45】

製造例12の化合物(100mg、0.2ミリモル)をジクロロメタン(5mL)中で懸濁し、トリエチルアミン(102μL、0.7ミリモル)を加えた。混合物を0℃まで冷却し、塩化シクロプロパンカルボニル(20μL、0.2ミリモル)を滴加した。反応混合物を室温まで加温し、72時間撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム溶液(10mL)を加え、水層をジクロロメタン(10mL)で抽出した。合一した有機抽出物をブライン(10mL)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、真空下で濃縮して粗製残留物を得た。ジクロロメタン:メタノール:0.88アンモニア(90:10:1)を使用するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製し、生成物を最小量の酢酸エチルに溶解し、ジエチルエーテル中の2M HClで処理して27mg(26%)の表題化合物を得た。1H NMR (400MHz, CD3OD) δ0.82−0.87 (2H, m), 0.94−0.97 (2H, m), 1.74−1.88 (6H, m), 2.11−2.17 (2H, m), 2.32−2.35 (1H, m), 2.54 (3H, m), 2.65 (3H, s), 2.87−2.94 (1H, t), 3.08−3.3.25 (4H, m), 3.32−3.44 (3H, m), 3.56−3.60 (1H, m), 4.85−4.88 (1H, m), 4.99 (2H, s), 7.29−7.33 (5H, m), 7.38−7.42 (2H, m), 9.17 (1H, m)。LRMS:m/z APCI+507 [MH+]。
【0181】
〔実施例48〕N−{1'−[(2,4−ジメチルピリジン−3−イル)カルボニル]−4'−メチル−1,4'−ビピペリジン−4−イル}−N−(3−フルオロベンジル)シクロブタンカルボキサミド・2HCl
【化46】

実施例47の方法に従って製造例12(100mg、0.18ミリモル)および塩化シクロブタンカルボニルを使用して表題化合物を白色の固体(81mg、75%)として製造した。1H NMR (400MHz, CD3OD) δ 1.47−1.49 (3H, m), 1.80−2.20 (9H, m), 2.25−2.46 (5H, m), 2.51−2.63 (3H, dd), 2.63−2.77 (3H, dd), 3.04−3.22 (3H, m), 3.27−3.70 (5H, m), 4.11−4.20および4.55−4.68 (3H, 2 x m), 4.77−4.82 (1H, m), 6.90−7.09 (3H, m), 7.26−7.41 (1H, m), 7.81−7.86 (1H, m), 8.60−8.62 (1H, m)。LRMS:m/z APCI+521 [MH+]。
【0182】
〔実施例49〕N−ベンジル−N−{1'−[(2,4−ジメチルピリジン−3−イル)カルボニル]−4'−メチル−1,4'−ビピペリジン−4−イル}シクロブタンカルボキサミド
【化47】

トリエチルアミン(75μL、0.5ミリモル)および塩化シクロブタンカルボニル(31μL、0.3ミリモル)をジクロロメタン(5mL)中における製造例10の化合物の溶液に室温で滴加した。反応混合物を2時間撹拌し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(5mL)を加えて希釈した。相を分離し、水層をジクロロメタン(2×10mL)で抽出し、合一した有機抽出物を硫酸マグネシウム上で乾燥し、真空下で濃縮した。ジクロロメタン:メタノール:0.88アンモニア(95:5:0.5)を使用するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製して52.2g(59%)の表題化合物を白色の泡状物として得た。1H NMR (400MHz, CD3OD) δ 0.95−1.01 (3H, m), 1.33−2.46 (22H, m), 2.86−2.96 (1H, m), 2.98−3.10 (2H, m), 3.20−3.36 (1H, m), 3.52−3.62 (1H, m), 3.62−3.72および4.29−4.40 (2H, 2 x m), 3.96−3.85 (1H, m), 4.51−4.61 (2H, m), 7.13−7.29 (5H, m), 7.31−7.38 (1H, m), 8.27−8.33 (1H, m)。LRMS:m/z APCI+503 [MH+]。
【0183】
〔実施例50〕N−ベンジル−N−{1'−[(2,4−ジメチル−1−オキシドピリジン−3−イル)カルボニル]−4'−メチル−1,4'−ビピペリジン−4−イル}−3,3−ジフルオロシクロブタンカルボキサミド・HCl
【化48】

2,4−ジメチル−1−オキシ−ニコチン酸(74mg、0.4ミリモル)、製造例42の化合物(150mg、0.3ミリモル)、3−(ジエトキシホスホリルオキシ)−1,2,3−ベンゾトリアジン−4(3H)−オン(132mg、0.4ミリモル)およびトリエチルアミン(0.16mL、1.2ミリモル)をジクロロメタンに溶解し、室温で24時間を撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム溶液を加えて反応混合物をクエンチし、ジクロロメタンを使用して抽出した。合一した有機抽出物を真空下で濃縮して粗生成物を得た。粗製混合物を溶離剤としてジクロロメタン:メタノール(100:0〜90:10)を使用するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製した。次に、得られた生成物をジクロロメタン(5mL)に溶解し、ジエチルエーテル(5mL)中の2M塩酸で処理し、溶媒を真空下で除去して23mgの表題化合物を白色の固体として得た。1H NMR (400MHz CDCl3) δ 0.90 (3H, s), 1.20−1.85 (10H, m), 1.95 (1H, bs), 2.05−2.35 (4H, m), 2.35−2.65 (4H, m), 3.70−3.15 (6H, m), 3.15−3.70 (2H, m), 4.00−4.25 (1H, m), 4.40−4.70 (2H, m), 7.00 (1H, bs), 7.15−7.45 (5H, m), 8.15 (1H, bs)。LRMS:m/z APCI+555[MH+]
【0184】
〔実施例51〕N−ベンジル−N−{1'−[(2,4−ジメチルピリジン−3−イル)カルボニル]−4'−メチル−1,4'−ビピペリジン−4−イル}プロパンアミド・2HCl
【化49】

上記実施例50の方法に従って製造例10の化合物(75mg、0.2ミリモル)および塩化プロピ
オニル(23μL、0.3ミリモル)から表題化合物を白色の固体として収率25%で製造した。1H
NMR (400MHz, CD3OD) δ 0.95−1.00 (3H, m), 1.01−1.08 (3H, m), 1.16−1.22 (3H, m), 1.33−1.46 (1H, m), 1.48−1.82 (6H, m), 1.85−1.98 (1H, m), 2.13−2.31および2.60−2.69 (6H, m), 2.39−2.45 (1H, m), 2.87−2.96 (1H, m), 2.99−3.13 (2H, m), 3.28−3.38 (1H, m), 3.62−3.73 (1H, m), 3.83−3.96および4.37−4.48 (2H, 2 x m), 4.58−4.67 (2H, m), 7.12−7.30 (5H, m), 7.32−7.40 (1H, m), 8.27−8.33 (1H, m)。LRMS:m/z APCI+477 [MH+]。元素分析:実測値60.17 (C%), 7.76 (H%), 12.38 (N%);計算値(2HCl・0.5H2Oとして)60.10 (C%), 7.57 (H%), 12.52 (N%)。
【0185】
〔実施例52〕N−ベンジル−N−{1'−[(2,4−ジメチルピリジン−3−イル)カルボニル]−4'−メチル−1,4'−ビピペリジン−4−イル}−2−メチルプロパンアミド・2HCl
【化50】

上記実施例50の方法に従って製造例10の化合物(75mg、0.2ミリモル)および塩化イソブチリル(28μL、0.3ミリモル)から表題化合物を白色の固体として収率73%で製造した。1H
NMR (400MHz, CD3OD) δ 0.95−1.01 (3H, m), 1.02−1.23 (4H, m), 1.34−1.45 (1H, m), 1.48−1.82 (6H, m), 1.86−1.97 (1H, m), 2.13−2.33 (7H, m), 2.39−2.45 (3H, m), 2.54−2.63 (1H, m), 2.87−2.96 (1H, m), 2.99−3.10 (2H, m), 3.26−3.37 (1H, m), 3.62−3.73 (1H, m), 3.76−3.96および4.36−4.48 (2H, m), 4.56−4.66 (2H, m), 7.14−7.29 (5H, m), 7.30−7.38 (1H, m), 8.27−8.33 (1H, m)。LRMS:m/z APCI+491 [MH+]。
元素分析:実測値61.30 (C%), 7.92 (H%), 12.11 (N%);計算値(2HCl・1.5H2Oとして)61.30 (C%), 7.70 (H%), 12.33 (N%)。
【0186】
〔実施例53〕N−{1'−[(2,4−ジメチルピリジン−3−イル)カルボニル]−4'−メチル
−1,4'−ビピペリジン−4−イル}−N−(2−フルオロベンジル)シクロプロパンカルボキサミド・2HCl
【化51】

上記実施例50の方法に従って製造例11の化合物(100mg、0.2ミリモル)および塩化シクロプロパンカルボニル(31μL、0.3ミリモル)から表題化合物を白色の固体として収率57%で製造した。1H NMR (400MHz, CDCl3) 0.80−1.98 (15H, m), 2.12−2.30 (6H, m), 2.40−2.50 (3H, m), 2.70−2.81 (1H, m), 2.90−3.00 (2H, m), 3.20−3.30 (1H, m), 3.40−3.56 (1H, m), 3.90−4.10および4.60−4.72 (2H, 2 x m), 4.70 (2H, m), 6.90−7.30 (5H, m), 8.30 (1H, s)。LRMS:m/z APCI+507 [MH+]。
【0187】
〔実施例54〜83〕
【化52】

【0188】
下記の手順を使用して製造例9の表題化合物を相当するベンジルアミンR10CH2NH2およびカルボン酸R6CO2Hと反応させることにより実施例54〜83の化合物を製造した。
ベンジルアミンをジクロロエタン中の0.2M溶液として溶解し、170μl(34μモル)を96ウェルのプレートに入れた。ジクロロエタン中における50μl(37μモル)の0.74M酢酸溶液、次にジクロロエタン中における300μl(75μモル)の0.25Mトリアセトキシホウ水素化ナトリウム懸濁液およびジクロロエタン中における150μl(30μモル)の製造例9の化合物の0.2M溶液を各ウェルに加えた。プレートを密閉し、室温で48時間渦巻き混合した。200μlの4:1のメタノール:水混合物を各ウェルに加え、渦巻き混合をさらに1時間継続し、混合物をGenevac(登録商標)で蒸発乾固した。残留物をメタノール(400μl)に再溶解し、Isolute SCX−2カートリッジ(登録商標)(6mlの試験管、1gの固定相、0.4ミリモル/gの負荷量)において次の方法に従って精製した:各試験管について4mlのMeOHで2回コンディショニングし、試験管に500μlの粗生成物を負荷し、各ウェルを500μlのMeOHで洗浄し、4mlのMeOHで2回すすぎ、MeOH中の1M NH3(5ml)で溶離する。
【0189】
N−置換ベンジルアミンを含有する溶液をGenevac(登録商標)で蒸発乾固し、150μlの2:1のDMA:トリエチルアミン混合物に溶解し、各ウェルを170μl(51μモル)の適当な0.3Mカルボン酸溶液、次にDMA中における250μl(63μモル)の0.25M HBTU溶液で処理した。プレートを再び密封し、60℃まで24時間加熱し、室温まで冷却し、溶媒をGenevac(登録商標)で蒸発乾固した。
粗製表題生成物をDMSO(200μl)および水(150μl)に溶解し、各化合物を分取用HPLCにより精製した。精製した化合物をLC−MS分析により特性決定した。
【0190】
分取用HPLC条件:
カラム:Phenomenex Luna(登録商標)C18、10μm、内径150×10mm
温度:周囲温度
溶離剤A:0.05%ジエチルアミン(水性)
溶離剤B:アセトニトリル
試料溶剤:60%ジメチルスルホキシド水溶液
初期ポンプ条件:A 98%、B 2%、流量8ml/分
検出:Gilston(登録商標)119 UV検出器−225nm
注入量−400μl
【0191】
勾配スケジュール
時間(分) A% B% 流量(ml/分)
0.0 98 2 8
0.2 98 2 8
7.0 2 98 8
9.0 2 98 8
9.1 98 2 8
10.5 98 2 8
【0192】
LC−MS 条件
カラム:Phenomenex Luna(登録商標) C18、5μm、内径30×4.6mm
温度:40℃
溶離剤A:0.05% ジエチルアミン(水性)
溶離剤B:アセトニトリル
初期ポンプ条件:A 90%、B 10%、流量3ml/分
注入量−5μl
検出:開始波長210nm、終了波長280nm、波長間隔5nm、閾値0.1mAU、ピーク幅0.4分。
【0193】
【表3】

【0194】
ELSD:Sedere Dedex 55、温度:40℃、ガス流量:2.3バール
MS:Platform LC、ES+ コーン電圧:26v、キャピラリー:4.08kv
ES- コーン電圧:-24v、キャピラリー:-3.58kv
ブランケットガス:500l/分、温度:130℃
【0195】
【表4】

【0196】
【表5】

【0197】
【表6】

【0198】
〔製造例1〕t−ブチル4'−シアノ−4−ヒドロキシ−1,4'−ビピペリジン−1'−カルボキシレート
【化53】

ピペリジン−4−オール(10g、99ミリモル)および1−BOC−4−ピペリドン(19.7g、99ミリモル)をN2下、室温でジクロロメタン(500mL)に溶解した。チタンテトライソプロポキシド(29mL、109ミリモル)を加え、反応混合物を室温で18時間撹拌した。トルエン(250mL、250ミリモル)中の1Mジエチルシアン化アルミニウムを加え、反応混合物をさらに4時間撹拌し、0℃まで冷却し、0℃で酢酸エチル(1000mL)および飽和重炭酸ナトリウム溶液(200mL)の混合物に注いだ。この混合物を30分間撹拌すると、その間に濃厚な白色の沈殿物が生成した。セライト(登録商標)を通して混合物をろ過し、ろ液を水で洗浄し、真空下で濃縮して27.2gの表題化合物を白色の固体として得た。LRMS:m/z APCI+310 [MH+]。
【0199】
〔製造例2〕t−ブチル4−ヒドロキシ−4'−メチル−1,4'−ビピペリジン−1'−カルボキシレート
【化54】

臭化メチルマグネシウム(88mL、3M、ジエチルエーテル中、264ミリモル)をN2下、0℃でテトラヒドロフラン(500mL)中における製造例1の化合物(27.2g、88ミリモル)の溶液に滴加し、添加が終了してから反応混合物を室温まで加温し、6時間撹拌した。反応混合物を0℃まで冷却し、次に飽和塩化アンモニウム溶液を滴加してクエンチした。有機層を分離し、水層を酢酸エチルで抽出し、合一した有機層を真空下で濃縮した。残留物を溶離剤としてジクロロメタン:メタノール(98:2〜90:10)を使用するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製して26.1g(99%)の表題化合物をクリーム状固体として得た。LRMS:m/z APCI+299 [MH+]。
【0200】
〔製造例3〕t−ブチル4'−メチル−4−オキソ−1,4'−ビピペリジン−1'−カルボキシレート
【化55】

ジクロロメタン(200mL)およびジメチルスルホキシド(19mL、264ミリモル)をN2下、−78℃でジクロロメタン(300mL)中における塩化オキサリル(10mL、114ミリモル)の撹拌溶液に滴加した。反応混合物を5分間撹拌し、ジクロロメタン(300mL)中における製造例2の化合物(26.01g、88ミリモル)を滴加した。反応混合物をさらに20分間撹拌し、トリエチルアミン(74mL、528ミリモル)を加え、混合物を20分間で0℃まで加温した。水を加えて反応混合物をクエンチし、有機層を分離した。水相をジクロロメタンで抽出し、合一した有機層を真空下で濃縮した。残留物を溶離剤としてジクロロメタン:メタノール(100:0〜97:3)を使用するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製して22.1g(85%)の表題化合物を黄色の油状物として得た。LRMS:m/z APCI+297 [MH+]。
【0201】
〔製造例4〕t−ブチル4−[(3−フルオロベンジル)アミノ]−4'−メチル−1,4'−ビピペリジン−1'−カルボキシレート
【化56】

1−(3−フルオロフェニル)メタンアミン(230μL、2.0ミリモル)、製造例3の化合物(300mg、1.0ミリモル)、トリアセトキシホウ水素化ナトリウム(257mg、1.2ミリモル)および酢酸(116μL、2.0ミリモル)を混合し、室温で24時間撹拌した。次に、反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム溶液(5mL)で希釈し、有機層を分離し、真空下で濃縮した。粗生成物をジクロロメタン:メタノール:0.88アンモニア(99:1:0.1)を使用するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製して385mg(94%)の表題化合物を白色の油状物として得た。LRMS:m/z APCI+406 [MH+]。
【0202】
〔製造例5〕t−ブチル4−[[(3,3−ジメチルシクロブチル)カルボニル](3−フルオロベンジル)アミノ]−4'−メチル−1,4'−ビピペリジン−1'−カルボキシレート
【化57】

ジクロロメタン(20mL)中で製造例4の化合物(385mg、1.0ミリモル)、3,3−ジフルオロシクロブタンカルボン酸(J.Org.Chem. 52(9), 1872(1987年))(286mg、2.1ミリモル)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(284mg、2.1ミリモル)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(403mg、2.1ミリモル)およびトリエチルアミン(293μL、2.1ミリモル)を混合し、室温で24時間撹拌した。反応混合物を飽和重炭酸ナトリウム溶液で希釈し、有機層を分離し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、真空下で濃縮した。ジクロロメタン:メタノール(100:0〜95:5)を使用するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製して219mg(43%)の表題化合物を油状物として得た。LRMS:m/z APCI+524 [MH+]。
【0203】
〔製造例6〕N−(3−フルオロベンジル)−3,3−ジメチル−N−(4'−メチル−1,4'−ビピペリジン−4−イル)シクロブタンカルボキサミド・HCl
【化58】

ジクロロメタン(10mL)中における製造例5の化合物(214mg、0.4ミリモル)の溶液に2M塩酸(20mL)を加え、反応混合物を室温で24時間撹拌した。溶媒を真空下で除去して表題生成物を得た。LRMS:m/z APCI+424 [MH+]。
【0204】
〔製造例7〕4'−メチル−1,4'−ビピペリジン−4−オン・HCl
【化59】

ジエチルエーテル(50mL)中における製造例3の化合物(9g、30.7ミリモル)の冷却溶液に1M塩酸(60mL)およびジエチルエーテル(50mL)を加え、反応混合物を1時間撹拌した。溶媒を除去して表題化合物を定量的収率で得た。LRMS:m/z APCI+197 [MH+]。
【0205】
〔製造例8〕1'−[(2,4−ジメチルピリジン−3−イル)カルボニル]−4'−メチル−1,4'−ビピペリジン−4−オン
【化60】

ジクロロメタン(70mL)中における製造例7のアミン塩酸塩(2.94g、10.3ミリモル)、2,4−ジメチル−3−カルボキシピリジン(J.Am.Chem.Soc. 101(23), 7036(1979))(1.5g、9.93ミリモル)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(2.9g、14.9ミリモル)、N−エチルジイソプロピルアミン(7mL、39.7ミリモル)および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(2g、14.9ミリモル)の混合物を室温で72時間撹拌した。反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム溶液(20mL)で希釈し、層を分離した。ジクロロメタン(70mL)を使用して水層を抽出した。有機層を合一し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、真空下で濃縮した。残留物を溶離剤としてジクロロメタン:メタノール(98:2〜95:5)を使用するカラムクロマトグラフィーにより精製して表題化合物を泡状物として67%収率(2.40g)で得た。LRMS:m/z APCI+331 [MH+]。
【0206】
〔製造例9〕1'−[(4,6−ジメチルピリミジン−5−イル)カルボニル]−4'−メチル−1,4'−ビピペリジン−4−オン
【化61】

ジクロロメタン(100mL)中の製造例3の化合物(9.5g、32ミリモル)をジエチルエーテル(40mL)中の2M塩酸で処理し、室温で5時間撹拌し、溶媒を真空下で除去した。残留物をジクロロメタン(100mL)に溶解し、トリエチルアミン(18mL、128ミリモル)をゆっくりと加えた。溶液を10分間撹拌し、次に4,6−ジメチル−ピリミジン−5−カルボン酸(US6391865、p.45)(5.8g、38ミリモル)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(6.5g、48ミリモル)および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(9.2g、48ミリモル)を加え、混合物を室温で18時間撹拌した。反応混合物を飽和炭酸ナトリウム溶液でクエンチし、有機層を分離し、真空下で濃縮した。残留物を溶離剤として酢酸エチル:ペンタン(50:50〜80:20)、次にジクロロメタン:メタノール(95:5)を使用するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製して10.27gの表題化合物を黄色のゴム状物として得た。LRMS:m/z APCI+331 [MH+]。
【0207】
〔製造例10〕N−ベンジル−1'−[(2,4−ジメチルピリジン−3−イル)カルボニル]−4'−メチル−1,4'−ビピペリジン−4−アミン
【化62】

製造例8の化合物(1.2g、3.7ミリモル)、ベンジルアミン(0.8mL、7.2ミリモル)、トリアセトキシホウ水素化ナトリウム(928mg、4.4ミリモル)、酢酸(0.42mL)およびジクロロメタン(20mL)の混合物を一緒に混合しクエンチし、ジクロロメタン(3x20mL)を使用して抽出した。合一した有機抽出物を硫酸マグネシウム上で乾燥し、真空下で濃縮して粗生成物を得た。粗製混合物を酢酸エチル:メタノール:アンモニア(90:10:1)およびジクロロメタン:メタノール:0.88アンモニア(90:10:1)を使用するシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して表題化合物を白色の固体として収率65%(1.00g)で得た。LRMS:m/z APCI+421 [MH+]。
【0208】
〔製造例11〕1'−[(2,4−ジメチルピリジン−3−イル)カルボニル]−N−(2−フルオロベンジル)−4'−メチル−1,4'−ビピペリジン−4−アミン
【化63】

製造例10の方法に従って製造例8の化合物(2.3g、7ミリモル)および2−フルオロベン
ジルアミンを使用して表題化合物を白色の固体(49%、1.5g)として得た。LRMS:m/z APCI+439 [MH+]。
【0209】
〔製造例12〕1'−[(2,4−ジメチルピリジン−3−イル)カルボニル]−N−(3−フルオロベンジル)−4'−メチル−1,4'−ビピペリジン−4−アミン塩酸塩・HCl
【化64】

製造例10の方法に従って製造例8の化合物(0.86g、2.61ミリモル)および3−フルオロベンジルアミン(0.3mL、2.6ミリモル)を使用して1.38gの表題化合物を白色の固体として得た。LRMS:m/z APCI+439 [MH+]。
【0210】
〔製造例13〕1'−[(4,6−ジメチルピリミジン−5−イル)カルボニル]−N−(2−フルオロベンジル)−4'−メチル−1,4'−ビピペリジン−4−アミン
【化65】

ジクロロメタン(50mL)中における製造例9の化合物(2.0g、6.1ミリモル)、2−フルオロベンジルアミン(1.4mL、12.1ミリモル)、トリアセトキシホウ水素化ナトリウム(1.5g、7.3ミリモル)および酢酸(693μl、12.1ミリモル)の混合物をN2下、室温で18時間撹拌した。次に、反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム溶液でクエンチし、有機層を分離し、真空下で濃縮した。得られた固体をジエチルエーテルで摩砕し、溶離剤としてジクロロメタン:メタノール:0.88アンモニア(90:10:1)を使用するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製して2.5gの表題化合物をクリーム状固体として得た。LRMS:m/z APCI+440 [MH+]。
【0211】
〔製造例14〜15〕
下記の一般構造式:
【化66】

の化合物を上記製造例13の方法に従って製造した。
【表7】

【0212】
〔製造例16〕t−ブチル4−(ベンジルアミノ)ピペリジン−1−カルボキシレート
【化67】

ベンジルアミン(8.4mL、76.8ミリモル)を室温でジクロロメタン(225mL)中における4−BOCピペリドン(15g、75.3ミリモル)の撹拌溶液に加えた。10分後に氷酢酸(5.4mL、94.1ミリモル)、さらに10分後にトリアセトキシホウ水素化ナトリウム(23.9g、112.9ミリモル)を加えた。混合物を16時間撹拌した。1M水酸化ナトリウム溶液(50mL)を加え、層を分離し、有機層を減圧下で蒸発させた。水層をさらにジクロロメタン(2x50mL)で抽出した。合一した有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、溶媒を真空下で除去して表題化合物を白色の固体として収率95%(20.8g)で得た。LRMS:m/z APCI+291 [MH+]。
【0213】
〔製造例17〕t−ブチル4−[ベンジル(シクロプロピルカルボニル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシレート
【化68】

トリエチルアミン(3.6mL、25.8ミリモル)を窒素下、室温でジクロロメタン(100mL)中における製造例16の化合物(5.0g、17.2ミリモル)の撹拌溶液に加えた。塩化シクロプロパンカルボニル(1.7mL、18.9ミリモル)を加え、混合物を16時間撹拌した。1M水酸化ナトリウム溶液(20mL)を加え、有機層を分離した。水層をさらにジクロロメタン(2x25mL)で抽出した。合一した有機フラクションをブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、真空下で濃縮した。残留物を70:30〜60:40のヘプタン:酢酸エチルを使用するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製して5.8g(94%)の表題化合物を得た。1H NMR (400MHz CDCl3) δ0.64−0.70 (2H, m), 0.98−1.04 (2H, m), 1.42 (9H, s), 1.36−1.49 (2H, m), 1.49−1.73 (3H, m), 2.64−2.80 (2H, m), 4.01−4.23 (2H, m), 4.66 (2H, s), 4.69 (1H, m), 7.15−7.39 (5H, m)。
【0214】
〔製造例18〕N−ベンジル−N−ピペリジン−4−イルシクロプロパンカルボキサミド
【化69】

トリフルオロ酢酸(3mL)を0℃でジクロロメタン(30mL)中における製造例17の化合物(5.7g、15.9ミリモル)の撹拌溶液に滴加し、反応混合物を室温で16時間撹拌した。さらにトリフルオロ酢酸(6mL)を加え、混合物をさらに16時間撹拌した。1M水酸化ナトリウム水溶液(20mL)を加えて反応混合物を急冷し、相を分離し、水層をジクロロメタン(3x50mL)で抽出した。合一した有機フラクションをブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空下で濃縮して3.6g(収率87%)の表題化合物を白色の固体として得た。LRMS:m/z APCI+259 [MH+]。
【0215】
〔製造例19〕t−ブチル4−[ベンジル(シクロプロピルカルボニル)アミノ]−4'−シアノ−1,4'−ビピペリジン−1'−カルボキシレート
【化70】

チタンテトライソプロポキシド(3.2mL、10.8ミリモル)を窒素下、室温でジクロロメタン(30mL)中における製造例18の化合物(2.5g、9.8ミリモル)および1−BOC−4−ピペリドン(395mg、2.0ミリモル)の溶液に加え、72時間撹拌した。シアン化ジエチルアルミニウム(23.5mL、23.5ミリモル)(1M、トルエン中)を加え、混合物をさらに16時間撹拌した。反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム溶液(50mL)、次に酢酸エチル(100mL)を加えて後処理した。撹拌を30分間続け、セライト(登録商標)を通して混合物をろ過した。相を分離し、得られた有機溶液をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、溶媒を真空下で除去して表題化合物を白色の固体として定量的収率で得た。1H NMR (400MHz, CD3OD) δ 0.70−0.75および0.85−1.00 (4H, 2 x m), 1.45 (9H, s), 1.60−1.75 (7H, m), 2.10−2.55
(4H, m), 3.00−3.20 (4H, m), 3.85−3.95 (2H, m), 4.20−4.50 (1H, m), 4.60および4.80 (2H, s), 7.10−7.40 (5H, m)。LRMS:m/z APCI+467 [MH+]。
【0216】
〔製造例20〕t−ブチル4−[ベンジル(シクロプロピルカルボニル)アミノ]−4'−イソプロピル−1,4'−ビピペリジン−1'−カルボキシレート
【化71】

塩化イソプロピルマグネシウム(6.9mL、13.8ミリモル)を窒素下、0℃でテトラヒドロフラン(15mL)中における製造例19の化合物(2.2g、4.6ミリモル)の撹拌溶液に加えた。混合
物を室温まで加温し、3日間撹拌した。1M水酸化ナトリウム(20mL)を加えて混合物をクエンチし、酢酸エチル(50mL)で希釈した。セライト(登録商標)を通して反応混合物をろ過し、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、真空下で濃縮した。粗製残留物を溶離剤としてジクロロメタン:メタノール/0.88アンモニア(97.5:2:0.25)を使用するシリカゲル上のクロマトグラフィーにより処理して0.5g(収率22%)の表題化合物を白色の固体として得た。LRMS:m/z APCI+484 [MH+]。
【0217】
〔製造例21〕t−ブチル4−[ベンジル(シクロプロピルカルボニル)アミノ]−4'−エチル−1,4'−ビピペリジン−1'−カルボキシレート
【化72】

上記製造例20の方法に従って製造例19の化合物(2.27g、4.9ミリモル)および塩化エチルマグネシウム(7.3mL、14.6ミリモル)(3M、ジエチルエーテル中)から表題化合物を白色の固体として収率44%で製造した。LRMS:m/z APCI+470 [MH+]。
【0218】
〔製造例22〕N−ベンジル−N−(4'−イソプロピル−1,4'−ビピペリジン−4−イル)シクロプロパンカルボキサミド
【化73】

トリフルオロ酢酸(1mL)を0℃でジクロロメタン(6mL)中における製造例20の化合物(0.5g、1.1ミリモル)の撹拌溶液に滴加した。混合物を室温まで加温し、16時間撹拌した。1M水酸化ナトリウム溶液(30mL)を混合物に加え、それをジクロロメタン(3x50mL)で抽出した。合一した有機フラクションをブライン(30mL)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、溶媒を真空下で除去して0.4g(97%)の表題化合物を黄色の固体として得た。LRMS:m/z APCI+384 [MH+]。
【0219】
〔製造例23〕N−ベンジル−N−(4'−エチル−1,4'−ビピペリジン−4−イル)シクロプロパンカルボキサミド
【化74】

上記製造例22の方法に従って製造例21の化合物(0.9g、2.0ミリモル)およびトリフルオロ酢酸(2mL)から表題化合物を黄色の固体として定量的収率で製造した。LRMS:m/z APCI+370 [MH+]。
【0220】
〔製造例24〕N−(1−ベンジル−4−メチルピペリジン−4−イル)アセトアミド
【化75】

濃硫酸(111mL)をアセトニトリル(100mL)中におけるN−(1−ベンジル−4−メチルピペリジン−4−イル)アセトアミド(J. Med. Chem. 41(26), 5320(1998年))(22.8g、0.1モル)の氷冷溶液に滴加し、反応混合物を室温で24時間撹拌した。次に、混合物を氷(750mL)に注ぎ、pHが10になるまで水酸化ナトリウムで処理した。次に、溶液をジクロロメタン(3x300mL)で抽出した。合一した抽出物をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、ろ過し、真空下で濃縮して表題化合物を褐色の結晶性固体として収率52%(14.3g)で得た。LRMS:m/z APCI+247 [MH+]。
【0221】
〔製造例25〕1−ベンジル−4−メチルピペリジン−4−アミン
【化76】

製造例24の化合物(14.3g、57.8モル)を6M HCl(150mL)中で8日間加熱還流した。反応混合物を0℃まで冷却し、pHが10になるまで12M水酸化ナトリウムで処理した。溶液を酢酸エチル(3x175mL)で抽出し、合一した抽出物を水(200mL)、ブライン(200mL)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥した。溶液をろ過し、真空下で濃縮して表題化合物を暗色の油状物として収率88%(10.5g)で得た。LRMS:m/z APCI+205 [MH+]。
【0222】
〔製造例26〕N,1−ジベンジル−4−メチルピペリジン−4−アミン
【化77】

ベンズアルデヒド(2.6g、24.5ミリモル)を窒素下でジクロロメタン(100mL)中における製造例25の化合物(5g、24.5ミリモル)の撹拌溶液に加えた。反応混合物を10分間撹拌し
た後、トリアセトキシホウ水素化ナトリウム(7.3g、34.3ミリモル)を加え、撹拌を24時間続けた。飽和炭酸水素ナトリウム溶液(100mL)を加えて反応混合物をクエンチし、有機層を分離した。水層をジクロロメタン(50mL)で抽出し、合一した有機層を水(100mL)およびブライン(100mL)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、真空下で濃縮して6.3g(87%)の表題化合物を暗色の油状物として得た。LRMS:m/z APCI+295 [MH+]。
【0223】
〔製造例27〕N−ベンジル−N−(1−ベンジル−4−メチルピペリジン−4−イル)シクロプロパンカルボキサミド
【化78】

塩化シクロプロパンカルボニル(1.2mL、12.8ミリモル)を窒素下でジクロロメタン(100mL)中における製造例26の化合物(3.1g、10.6ミリモル)およびトリエチルアミン(1.78mL、12.8ミリモル)の冷却溶液に滴加した。24時間撹拌した後、反応混合物をジクロロメタン(100mL)で希釈し、水(150mL)、次に炭酸水素ナトリウム溶液(150mL)で洗浄した。有機抽出物を硫酸マグネシウム上で乾燥し、真空下で濃縮した。溶離剤としてジクロロメタン:メタノール(98:2)を使用するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製して2.3g(59%)の表題化合物を得た。LRMS:m/z APCI+363 [MH+]。
【0224】
〔製造例28〕N−ベンジル−N−(4−メチルピペリジン−4−イル)シクロプロパンカルボキサミド
【化79】

製造例27の化合物(2.04g、6.9ミリモル)、水酸化パラジウム(358mg)およびギ酸アンモニウム(2.6g、41.5ミリモル)の混合物をエタノール(77mL)中、60℃で3時間加熱した。反応混合物を冷却し、Arbocel(登録商標)を通してろ過し、ろ液を真空下で濃縮した。残留物を溶離剤としてジクロロメタン:メタノール:0.88アンモニア(90:10:1)を使用するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製して1.2g(64%)の表題化合物を油状物として得た。LRMS:m/z APCI+273 [MH+]。
【0225】
〔製造例29〕t−ブチル4−[ベンジル(シクロプロピルカルボニル)アミノ]−4'−イソシアノ−4−メチル−1,4'−ビピペリジン−1'−カルボキシレート
【化80】

チタンテトライソプロポキシド(643μL、2.2ミリモル)を窒素下、室温でジクロロメタン(10mL)中における製造例28の化合物(540mg、2ミリモル)および1−BOC−4−ピペリドン(395mg、2ミリモル)の撹拌溶液に加えた。混合物を24時間撹拌した後、シアン化ジエチルアルミニウム(4.8mL、4.8ミリモル)(1M、トルエン中)を加え、撹拌を室温でさらに24時間続けた。次に、反応混合物を酢酸エチル(30mL)で希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(20mL)で処理した。混合物を15分間撹拌し、セライト(登録商標)を通してろ過した。有機層を分離し、ブライン(30mL)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、真空下で濃縮した。残留物を溶離剤としてジクロロメタン:メタノール:0.88アンモニア(95:5:0.5)を使用するカラムクロマトグラフィーにより精製して745mg(78%)の表題化合物を油状物として得た。LRMS:m/z APCI+481 [MH+]。
【0226】
〔製造例30〕t−ブチル4−[ベンジル(シクロプロピルカルボニル)アミノ]−4,4'−ジメチル−1,4'−ビピペリジン−1'−カルボキシレート
【化81】

臭化メチルマグネシウム(1.5mL、4.5ミリモル)の溶液(3M、ジエチルエーテル中)を窒素下、0℃でテトラヒドロフラン(12mL)中における製造例29の化合物(706mg、1.5ミリモル)の撹拌溶液に滴加した。混合物を室温まで加温し、24時間撹拌した。反応混合物を1M水酸化ナトリウム溶液(40mL)で処理し、酢酸エチル(40mL)で希釈し、セライト(登録商標)を通してろ過した。層を分離し、水層を酢酸エチル(2x50mL)で抽出した。合一した有機層をブライン(50mL)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、真空下で濃縮した。残留物を溶離剤としてジクロロメタン:メタノール:0.88アンモニア(95:5:0.25)を使用するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製して481mg(69%)の表題化合物をゴム状物として得た。LRMS:m/z APCI+470 [MH+]。
【0227】
〔製造例31〕N−ベンジル−N−(4,4'−ジメチル−1,4'−ビピペリジン−4−イル)シクロプロパンカルボキサミド・2HCl
【化82】

塩化水素気体を室温で酢酸エチル(20mL)中における製造例30の化合物(481mg、1.0ミリモル)の溶液中で10分間泡立たせた。次に、混合物を30分間撹拌し、真空下で濃縮して表題化合物を白色の固体として定量的収率で得た。LRMS:m/z APCI+370 [MH+]。
【0228】
〔製造例32〕3−ベンジル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−オン
【化83】

シクロペンタノン(16.8g、0.2モル)を酢酸(300mL)およびベンジルアミン(28.7g、0.2モル)に溶解し、ホルムアルデヒド(49mL、0.6モル)を加えた。混合物を5時間加熱還流し、室温まで冷却した。反応混合物を真空下で濃縮し、水(150mL)で希釈した。水溶液を酢酸エチル(2x100mL)で洗浄し、炭酸カリウム固体で塩基性にした。水層を酢酸エチル(3x150mL)で抽出した。合一した有機抽出物を硫酸マグネシウム上で乾燥し、真空下で濃縮した。残留物を溶離剤として80:20のペンタン:酢酸エチルを使用するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製して1.36g(3%)の表題化合物を白色の固体として得た。LRMS:m/z APCI+216 [MH+]。
【0229】
〔製造例33〕N−ベンジル−N−{1−[(8−シン)−3−ベンジル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−8−イル]ピペリジン−4−イル}シクロプロパンカルボキサミド
【化84】

ジクロロメタン(5mL)中における製造例18の化合物(280mg、1.1ミリモル)および製造例32の化合物(233mg、1.1ミリモル)の混合物にトリアセトキシホウ水素化ナトリウム(322mg、1.5ミリモル)、次に酢酸(65μL、1.08ミリモル)を加えた。混合物を室温で72時間撹拌した。反応混合物を1M水酸化ナトリウム溶液(10mL)で希釈し、ジクロロメタン(3x20mL)で抽出した。合一した抽出物をブライン(10mL)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、真空下で濃縮して粗製残留物を得た。ジクロロメタン:メタノール:0.88アンモニア(97.5:2.5:0.25)を使用するカラムクロマトグラフィーにより精製して259mg(52%)の表題化合物を油状物として得た。LRMS:m/z APCI+458 [MH+]。
【0230】
〔製造例34〕(8−シン)−N,3−ジベンジル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−アミン
【化85】

製造例32の化合物(400mg、1.9ミリモル)をジクロロメタン(10mL)に溶解し、ベンジルアミン(205μL、1.9ミリモル)、次にトリアセトキシホウ水素化ナトリウム(551mg、2.6ミリモル)および酢酸(110μL、1.9ミリモル)を加えた。混合物を窒素下、室温で96時間撹拌した。反応混合物を1M水酸化ナトリウム溶液で希釈し、ジクロロメタン(3x40mL)で抽出した。合一した抽出物をブライン(20mL)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、真空下で濃縮した。溶離剤としてジクロロメタン:メタノール:0.88アンモニア(98.3:1.3:0.13)を使用するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製して表題化合物を明褐色の油状物として定量的収率で得た。LRMS:m/z APCI+307 [MH+]。
【0231】
〔製造例35〕N−ベンジル−N−[(8−シン)−3−ベンジル−3−アザビシクロ[3.2.1]オ
クタ−8−イル]シクロプロパンカルボキサミド
【化86】

製造例34の化合物(490mg、1.60ミリモル)をジクロロメタン(20mL)に溶解し、トリエチルアミン(670μL、4.80ミリモル)を加えた。混合物を0℃まで冷却し、塩化シクロプロパンカルボン酸(175μL、1.92ミリモル)を滴加した。反応混合物を室温まで加温し、48時間撹拌し、水(20mL)で希釈した。混合物をジクロロメタン(3x30mL)で抽出し、合一した有機抽出物をブライン(20mL)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、真空下で濃縮した。溶離剤としてジクロロメタン:メタノール:0.88アンモニア(98.3:1.3:0.13)を使用するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製して137mg(23%)の表題生成物を油状物として得た。LRMS:m/z APCI+375 [MH+]。
【0232】
〔製造例36〕N−{1−[(8−シン)−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−8−イル]ピペリジン−4−イル}−N−ベンジルシクロプロパンカルボキサミド
【化87】

水酸化パラジウム(40mg)およびギ酸アンモニウム(182mg、2.9ミリモル)をエタノール(10mL)中における製造例33の化合物(230mg、0.5ミリモル)の溶液に加えた。混合物を60℃まで加熱し、3時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、Arbocel(登録商標)を通してろ過してエタノール(10mL)で洗浄した。ろ液を真空下で濃縮し、溶離剤としてジクロロメタン:メタノール:0.88アンモニア(90:10:1)を使用するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製して151mg(85%)の表題化合物を無色のゴム状物として得た。LRMS:m/z APCI+368 [MH+]。
【0233】
〔製造例37〕N−[(8−シン)−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−8−イル]−N−ベンジルシクロプロパンカルボキサミド
【化88】

上記製造例36の方法に従って製造例35の化合物(230mg、0.6ミリモル)および水酸化パラジウム(50mg)から表題化合物を無色のゴム状物として収率67%で製造した。LRMS:m/z APCI+285 [MH+]。
【0234】
〔製造例38〕t−ブチル4−{(8−シン)−8−[ベンジル(シクロプロピルカルボニル)ア
ミノ]−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}ピペリジン−1−カルボキシレート
【化89】

エタノール(20mL)中における製造例37の化合物(117mg、0.4ミリモル)および1−BOC−4−ピペリドン(82mg、0.4ミリモル)の溶液にチタンテトライソプロポキシド(182μL、0.6ミリモル)を加え、反応混合物を室温で48時間撹拌した。次に、シアノホウ水素化ナトリウム(39mg、0.6ミリモル)を加え、混合物を室温でさらに7日間撹拌した。反応混合物を酢酸エチル(20mL)で希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(5mL)を加えた。混合物を激しく撹拌し、硫酸マグネシウムを加え、混合物をろ過した。次に、ろ液を真空下で濃縮した。溶離剤としてジクロロメタン:メタノール:0.88アンモニア(98.3:1.3:0.13)を使用するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製して127mg(66%)の表題化合物をゴム状物として得た。LRMS:m/z APCI+468 [MH+]。
【0235】
〔製造例39〕N−ベンジル−N−[(8−シン)−3−ピペリジン−4−イル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−8−イル]シクロプロパンカルボキサミド
【化90】

製造例38の化合物(120mg、0.3ミリモル)を酢酸エチル(10mL)に溶解し、ジエチルエーテル(20mL)中の2M塩酸を加え、混合物を室温で24時間撹拌した。次に、溶媒および過剰の塩酸を真空下で除去した。残留物を2M塩酸(20mL)に溶解し、酢酸エチル(2x20mL)で洗浄した。水層を炭酸ナトリウム固体で塩基性にし、酢酸エチル(3x20mL)で抽出した。合一した有機抽出物をブライン(20mL)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、真空下で濃縮して51mg(54%)の表題化合物を無色のゴム状物として得た。LRMS:m/z APCI+368 [MH+]。
【0236】
〔製造例40〕t−ブチル4−(ベンジルアミノ)−4'−メチル−1,4'−ビピペリジン−1'−カルボキシレート
【化91】

ベンジルアミン(1.5mL、13.5ミリモル)、製造例3の化合物(2.0g、6.7ミリモル)、トリアセトキシホウ水素化ナトリウム(1.7g、8.1ミリモル)および酢酸(0.77mL、13.5ミリモル)をジクロロメタンに溶解し、室温で24時間撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム溶液を加えて反応混合物をクエンチし、ジクロロメタンで抽出した。合一した有機抽出物を真空下で濃縮して粗生成物を得た。粗製混合物を溶離剤としてペンタン:酢酸エチル(0:10
0〜100:0)、次にジクロロメタン:メタノール(100:0〜90:10)を使用するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製して2.46gの表題化合物を黄色の固体として得た。LRMS:m/z APCI+388[MH+]。
【0237】
〔製造例41〕t−ブチル4−{ベンジル[(3,3−ジフルオロシクロブチル)カルボニル]アミノ}−4'−メチル−1,4'−ビピペリジン−1'−カルボキシレート
【化92】

3,3−ジフルオロ−シクロブタンカルボン酸(843mg、6.2ミリモル)、製造例40の化合物(1.6g、4.1ミリモル)、3−(ジエトキシホスホリルオキシ)−1,2,3−ベンゾトリアジン−4(3H)−オン(1.9g、6.2ミリモル)およびトリエチルアミン(1.2mL、8.3ミリモル)をジクロロメタンに溶解し、室温で24時間撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム溶液を加えて反応混合物をクエンチし、ジクロロメタンで抽出した。合一した有機抽出物を真空下で濃縮して粗生成物を得た。粗製混合物を溶離剤としてペンタン:酢酸エチル(0:100〜100:0)を使用するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製して2.05gの表題化合物を褐色の泡状物として得た。LRMS:m/z APCI+506[MH+]。
【0238】
〔製造例42〕N−ベンジル−3,3−ジフルオロ−N−(4'−メチル−1,4'−ビピペリジン−4−イル)シクロブタンカルボキサミド・2HCl
【化93】

メタノール(20mL)中における製造例41の化合物(2.05g、4.1ミリモル)の溶液にジエチルエーテル(30mL)中の2M塩酸を加え、反応混合物を室温で24時間撹拌した。溶媒を真空下で除去して2.10gの表題化合物をクリーム状固体として得た。LRMS:m/z APCI+406[MH+]。
【0239】
生物学的データ
式(I)の化合物とそれらの薬学的に許容しうる塩、溶媒和物および誘導体のケモカイン受容体活性を調節する能力は当該技術分野で知られている方法により、例えばCombadiereらのJ. Leukoc. Biol., 60, 147〜52(1996年)に開示されている方法に従ってCCR5結合アッセイを使用することにより、そして/または同じ著者らにより説明されているような細胞内カルシウム動員アッセイを使用することにより証明される。関係のある受容体を発現する細胞系にはPM−1のような受容体を自然に発現するもの、IL−2より刺激した末梢血リンパ球(PBL)、あるいはCHO、300.19、L1.2またはHEK−293のような組み換え受容体を発現するように遺伝子操作された細胞がある。
【0240】
Combadiereらの方法(前記文献)に従って、細胞内カルシウム動員アッセイを使用して試験した結果、すべての実施例化合物が10μM未満のIC50値を有する強力なアンタゴニストであった。
【0241】
さらに、式(I)の化合物とそれらの薬学的に許容しうる塩、溶媒和物および誘導体の薬理活性はgp160が誘発する細胞−細胞融合アッセイを使用してHIV−1融合に対する化合物
のIC50値を定量することにより証明される。gp160が誘発する細胞−細胞融合アッセイはHeLa P4細胞系およびCHO−Tat10細胞系を使用する。
【0242】
HeLa P4細胞系はCCR5およびCD4を発現し、HIV−1のLTR−β−ガラクトシダーゼがトランスフェクションされている。この細胞系の培地は10%ウシ胎仔血清(FCS)、2mMのL−グルタミン ペニシリン/ストレプトマイシン(Pen/Strep;100U/mLのペニシリン+10mg/mLのストレプトマイシン)および1μg/mlのピューロマイシンを含有するダルベッコ変法イーグル培地(D−MEM)(L−グルタミンなし)である。
【0243】
CHO細胞系はpTat puroプラスミドがトランスフェクションされているCHO JRR17.1細胞系からTat(転写トランス活性化因子)を発現するクローンである。この細胞系のための培地はもともとRoswell Park Memorial Instituteで開発された哺乳類細胞を培養するための富栄養培地であって10%FCS、2mM L−グルタミン、0.5mg/mlのハイグロマイシンBおよび12μg/mlのピューロマイシンを含有するRPMI1640(L−グルタミンなし)である。CHO JRR17.1細胞系はgp160(JRFL)を発現し、CCR5/CD4を発現する細胞系と融合することができるため選択されたクローンである。
【0244】
細胞融合により、CHO細胞に存在するTatはHeLa細胞に存在するHIV−1の長い末端反復配列(LTR)を転写活性化してβ−ガラクトシダーゼ酵素の発現をもたらすことができる。次に、この発現をFluor Ace(登録商標)β−ガラクトシダーゼレポーターアッセイキット(Bio−Radカタログ番号170−3150)を使用して測定する。このキットは基質として4−メチルウンベリフェルル−ガラクトピラノシド(MUG)を使用してβ−ガラクトシダーゼの発現の程度を測定する定量的蛍光性アッセイである。β−ガラクトシダーゼは蛍光発生基質を加水分解して蛍光性分子4−メチルウンベリフェロン(4MU)の放出をもたらす。次に、4−メチルウンベリフェロンの蛍光を蛍光光度計において360nmの励起波長および460nmの発光波長を使用して測定する。
【0245】
融合を阻害する化合物はシグナルの減少を引き起こし、適当な溶媒中で可溶化し、培地で希釈した後、各化合物について用量−反応曲線を使用してIC50値を計算することができる。
【0246】
上記方法に従って、本発明の実施例化合物はすべて25μM未満のIC50値を有する。実施例1、7、10、25、29、33、47、55および78の化合物はそれぞれ13pM、1.5nM、516nM、5.5nM、346nM、11nM、343pM、175nMおよび2.5μMのIC50値を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[式中、
1はフェニル、ナフチルまたは5〜10員の芳香族複素環であり、該複素環はN、OまたはSから選択される1〜3個のヘテロ原子を含有し、そして該フェニル、ナフチルおよび複素環はC1-6アルキル、C3-7シクロアルキル、C1-6アルコキシ、C1-6アルコキシC1-6アルキル、ハロゲン、C1-6ハロアルキル、OH、CN、NR89、COR8、CO28、CONR89、フェニル、イミダゾリルから選択される0〜3個の原子または基により置換され、あるいはR1は複素環、オキソであり;
2およびR3は独立してHまたはC1-6アルキルであり;
4はベンジル、ピリジルメチルまたはピリミジニルメチルであり、該ベンジル、ピリジルメチルおよびピリミジニルメチルはC1-6アルキル、C3-7シクロアルキル、C1-6アルコキシ、C1-6アルコキシC1-6アルキル、ハロゲン、C1-6ハロアルキル、OH、CN、NR89、COR8、CO28、CONR89、フェニルまたはイミダゾリルから選択される0〜3個の原子または基により置換され;
5はCOR6またはSO27であり;
6はC1-6アルキル、C3-7シクロアルキル、C1-6アルコキシ、C1-6アルコキシC1-6アルキル、テトラヒドロフリルまたはテトラヒドロピラニルであり、該C1-6アルキル、C3-7シクロアルキル、C1-6アルコキシおよびC1-6アルコキシC1-6アルキルはハロゲン、NR89、C1-6アルコキシまたはOHから選択される0〜3個の原子または基により置換され;
7はC1-6アルキルであり;
8およびR9は独立してHまたはC1-6アルキルであり;あるいはR8およびR9が共に同じN原子に結合している場合、NR89はまたO、NまたはSから選択される0〜2個のさらなるヘテロ原子を含有する5〜7員の飽和、部分的に不飽和または芳香族の複素環であってもよく;
mは0、1、2または3であり;
nは0、1、2または3であり;
「−−−−−」は場合により存在するC−C結合を示し、mまたはnが1、2または3である場合、ピペリジン環1個あたり存在する何れかの2個の結合はアルキレンブリッジを形成する]
の化合物、またはその薬学的に許容しうる塩、溶媒和物もしくは誘導体。
【請求項2】
1はフェニル、ピリジル、ピリミジル、ピリジルN−オキシドまたはピリミジルN−オキシドであり、該フェニル、ピリジル、ピリミジル、ピリジルN−オキシドおよびピリミジルN−オキシドはC1-6アルキル、C3-7シクロアルキル、C1-6アルコキシ、C1-3アルコキシC1-3アルキル、ハロゲン、C1-6ハロアルキル、OH、CN、NR89、COR8、CO28、CONR89、フェニルまたはイミダゾリルから選択される0〜3個の原子または基により置換される請求項1記載の化合物。
【請求項3】
1はフェニル、ピリジル、ピリミジル、ピリジルN−オキシドまたはピリミジルN−オキシドであり、該フェニル、ピリジル、ピリミジル、ピリジルN−オキシドおよびピリ
ミジルN−オキシドはC1-6アルキルまたはハロゲンから選択される0〜3個の原子ま
たは基により置換される請求項1または2記載の化合物。
【請求項4】
2およびR3は独立してHまたはC1-3アルキルである請求項1〜3の何れかの項記載の化合物。
【請求項5】
4はC1-6アルキル、C3-7シクロアルキル、C1-6アルコキシ、C1-3アルコキシC1-3アルキル、ハロゲン、C1-6ハロアルキル、OH、CN、NR89、COR8、CO28、CONR89、フェニルまたはイミダゾリルから選択される0〜3個の原子または基により置換されるベンジルである請求項1〜4の何れかの項記載の化合物。
【請求項6】
4はC1-3アルキル、C1-3アルコキシ、ハロゲン、またはC1-3ハロアルキルから選択される0〜3個の原子または基により置換されるベンジルである請求項1〜5の何れかの項記載の化合物。
【請求項7】
6はC1-6アルキル、C3-6シクロアルキル、C3-5シクロアルキルC1-2アルキル、C1-3アルコキシ、C1-3アルコキシC1-3アルキル、テトラヒドロフリルまたはテトラヒドロピラニルであり、該C1-3アルキル、C3-6シクロアルキル、C3-5シクロアルキルC1-2アルキル、C1-3アルコキシおよびC1-3アルコキシC1-3アルキルはハロゲンから選択される0〜3個の原子または基により置換される請求項1〜6の何れかの項記載の化合物。
【請求項8】
7はC1-3アルキルである請求項1〜7の何れかの項記載の化合物。
【請求項9】
8およびR9は独立してHまたはC1-3アルキルである請求項1〜8の何れかの項記載の化合物。
【請求項10】
式(Ia)
【化2】

(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は請求項1〜9の何れかで定義された通りである)で表される請求項1〜9の何れかの項記載の化合物、またはその薬学的に許容しうる塩、溶媒和物もしくは誘導体。
【請求項11】
式(Ib)
【化3】

(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は請求項1〜9の何れかで定義された通りである)で表される請求項1〜9の何れかの項記載の化合物、またはその薬学的に許容しうる塩、溶媒和物もしくは誘導体。
【請求項12】
式(Ic)
【化4】

(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は請求項1〜9の何れかで定義された通りである)で表される請求項1〜9の何れかの項記載の化合物、またはその薬学的に許容しうる塩、溶媒和物もしくは誘導体。
【請求項13】
式(Id)
【化5】

(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は請求項1〜9の何れかで定義された通りである)で表される請求項1〜9の何れかの項記載の化合物、またはその薬学的に許容しうる塩、溶媒和物もしくは誘導体。
【請求項14】
式(Ie)
【化6】

(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は請求項1〜9の何れかで定義された通りである)で表される請求項1〜9の何れかの項記載の化合物、またはその薬学的に許容しうる塩、溶媒和物もしくは誘導体。
【請求項15】
請求項1〜14の何れかの項記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容しうる塩、溶媒和物もしくは誘導体を1種またはそれ以上の薬学的に許容しうる賦形剤、希釈剤または担体と一緒に含有する医薬組成物。
【請求項16】
1種またはそれ以上のさらなる治療剤を含有する請求項15記載の医薬組成物。
【請求項17】
医薬として使用される請求項1〜14の何れかの項記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容しうる塩、溶媒和物もしくは誘導体。
【請求項18】
CCR5受容体の調節が関与する疾患を治療するための請求項1〜14の何れかの項記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容しうる塩、溶媒和物もしくは誘導体。
【請求項19】
疾患はHIV、HIVと遺伝的に関係があるレトロウイルス感染症、AIDS、炎症性疾患、自己免疫疾患または疼痛である請求項18記載の化合物。
【請求項20】
疾患は多発性硬化症、関節リウマチ、ベーチェット病、シェーグレン症候群、全身性硬化症または組織不適合性である請求項18記載の化合物。
【請求項21】
疾患は炎症性大腸炎、炎症性肺疾患、子宮内膜症、腎臓病、線維症、脳炎、慢性心不全、心筋梗塞、高血圧症、卒中、虚血性心疾患、再狭窄、アテローム斑、肥満、乾癬、CNS疾患、貧血、アトピー性皮膚炎、慢性膵臓炎、橋本甲状腺炎、I型糖尿病;ガン;
疼痛;あるいは外科手術、感染、傷害または他の外傷性損傷によるストレス反応から選択される請求項18記載の化合物。
【請求項22】
疾患はHBV、HCV、ペスト、ポックスウイルス、トキソプラズマ症、マイコバクテリウム、トリパノソーマ、肺炎またはサイトスポリディオシスである請求項18記載の化合物。
【請求項23】
CCR5受容体の調節が関与する疾患を治療するための薬剤の製造における請求項1〜14の何れかの項記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容しうる塩、溶媒和物もしくは誘導体の使用。
【請求項24】
CCR5受容体の調節が関与する疾患に罹っている哺乳動物を有効な量の請求項1〜14の何れかの項記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容しうる塩、溶媒和物もしくは誘導体で処置することからなる該哺乳動物の治療法。

【公表番号】特表2008−528477(P2008−528477A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−551767(P2007−551767)
【出願日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際出願番号】PCT/IB2006/000170
【国際公開番号】WO2006/077499
【国際公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【出願人】(597014501)ファイザー・リミテッド (107)
【氏名又は名称原語表記】Pfizer Limited
【住所又は居所原語表記】Ramsgate Road, Sandwich, Kent, England
【Fターム(参考)】