説明

化粧剤および医薬用フォーム

本発明は、アルコールフリーの化粧剤または医薬用フォーム担体であって、水、疎水性溶媒、フォーム補助剤、界面活性剤および水ゲル化剤を含む担体に関する。この化粧剤または医薬用フォーム担体は脂肪族アルコールを含有せず、したがって無刺激性かつ不乾性である。このアルコールフリーのフォーム担体は、水溶性および油溶性、両方の医薬および化粧剤物質を包含するのに適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアルコールフリーの、化粧剤または医薬用フォーム担体、およびその使用に関する。より具体的には、本発明は、水溶性および油溶性、両方の医薬物質および化粧剤物質を包含するのに適した化粧剤または医薬用フォーム担体に関する。
【0002】
本出願は、2002年10月25日提出のイスラエル特許出願第152486号、発明の名称「アルコールフリーの化粧剤および医薬用フォーム担体(Alcohol-free Cosmetic and Pharmaceutical Foam Carrier)」の関連出願および、2002年11月29日提出の米国仮特許出願第60/495,546号、発明の名称「化粧剤および医薬用フォーム(Cosmetic and Pharmaceutical Foam)」の優先権を主張する。これらの特許文献はその開示内容全体が本明細書中に包含される。
【背景技術】
【0003】
外用局所投与は、疾患処置における薬物投与のための重要な経路である。外用局所投与では、薬物は皮膚、粘膜または傷害組織内へおよび/またはこれらを通過して吸収される。多数の群の薬物、例えば、抗生物質、抗真菌薬、抗炎症薬、麻酔薬、鎮痛薬、抗アレルギー薬、コルチコステロイド、レチノイドおよび抗増殖薬は、疎水性媒体、例えば軟膏または油状物(oils)中で投与するのが好ましい。しかしながら、これらの疎水性担体の望ましくない統合性(consistency)のせいで、その使用は制限される。例えば、担体として白色ワセリン、例えばワセリン石油製ゼリー(Vaseline petroleum jelly)を含有する軟膏は、不浸透性障壁を形成することがよくあり、これにより軟膏の適用対象である傷害由来の代謝産物および排泄物を容易に除去または排液することができない。さらに、担体中に溶解した活性薬物が白色ワセリン障壁層を通過し、傷害組織内へ入ることは困難であり、したがって薬物の有効性は減少する。
【0004】
さらに軟膏およびクリームは、傷害組織の呼吸が容易な環境を創出しないことがよくあり、これは皮膚の正常呼吸に対して不利益である。黄色ワセリン(petroleum jelly)ベースの製品に関する別の欠点は、皮膚、粘膜および傷害上への局所適用後に残る脂っぽい感触に関するものである。黄色ワセリン以外に、現在使用されている疎水性の医薬用担体には、流動パラフィン、ラノリン、蜜ろう、植物油、モノステアリン酸グリセリン、高級アルコール、ポリエチレングリコールおよび何らかの乳化剤が含まれ、これらもまた望ましくない流動性および皮膚感触を有する。
【0005】
いくつかの疎水性液状物および半固形油状物、例えば植物性(vegetable)および海洋性起源のモノおよびポリ不飽和油状物、鉱油、シリコーン油、および液状疎水性の植物由来(plant-derived)油状物は、局所適用時のその治療効果に関して既知であるが、液状形態での適用は実施されていない。油状物はまた、必須栄養成分、例えば油溶性ビタミン(例えば、ビタミンAおよびビタミンE)、ミネラルおよび他の治療に有益な成分を含有することができる。別のクラスの治療用油状物には、皮膚脱水症および他の医学的障害の処置に有用な鉱油およびシリコーン油(silicon oils)が含まれる。これらの油状物は室温で液状である。このような治療用油状物に関しては、残念ながら、ユーザーは治療効果を与えるのに十分な量を適用することができない。その理由は、これらが典型的に使用する温度で液状であるからである。
【0006】
他の医薬活性成分は水溶性であり、担体中の水性コンポーネントが必要とされる。
【0007】
一般に、半固形の化粧剤および医薬製剤、例えばクリーム、ローション、ゲルおよび軟膏が消費者に使用されているが、このような製品の皮膚に有益な性質を維持または提供しつつ、より良好な適用制御を達成するための新規形態が望まれている。したがって、容器から押し出した時点では分解可能なフォーム統合性を有し、皮膚上に適用した時点では液状性質を有する新規組成物の開発は有益である。理想的には、フォームは疎水性物質(溶媒)を含有するであろう。この物質は皮膚軟化剤として作用し、皮膚に緩和性および栄養性を提供することができる。しかしながら、このような疎水性溶媒は泡形成またはフォーム形成生成物へ製剤化するのが困難である。その理由は、疎水性溶媒は界面活性剤の泡形成能を妨害するからである。さらに、油状物および他の皮膚軟化剤を局所製剤に添加すると、不快なあるいは煩わしい皮膚残留物が生じ得る。
【0008】
フォーム組成物中での乳剤の使用は既知である。乳剤系は二相系を提供し、これは一相中に脂肪親和性または疎水性コンポーネントおよび第二相中に親水性コンポーネントを含む。フォーム型乳剤は典型的に水中油乳剤であり、この場合、疎水性コンポーネントは水性連続相中に分散している。フォーム組成物中には、表面張力を減少させる界面活性剤およびフォームの安定性を改善する乳化剤が含まれる。
【0009】
フォームおよび、特にフォーム乳剤は複雑な系であり、すべての環境下で形成されるものではない。フォーム乳剤組成物中、例えば活性成分を添加することによって、わずかな変化が生じると、フォームが不安定化することがある。さらに、多くの乳剤は、局所用フォーム組成物において望ましい応力または温度条件下で、高度なフォーム性能、フォーム安定性および/または高速分解作用を提供しない。
【0010】
特に望ましいタイプの油状物含有フォームは油状相のすべてまたは部分がシリコーン油を含むものである。シリコーン油はその皮膚保護特性が既知であり、これを局所用製品に包含することは有益である。しかし、シリコーン油ベースのフォームの製造は自明ではない。これは多数のシリコーン油が抗発泡特性を有するためである。
【0011】
米国特許第6,126,920号は種々の皮膚疾患、特に頭皮乾癬の処置を開示する。この処置では、コルチコステロイド活性物質、脂肪族アルコール、水、脂肪アルコール、界面活性剤、噴霧剤および緩衝剤を含有する発泡性医薬組成物を使用する。この発泡性組成物は40−90%w/w組成の脂肪族アルコールを含有する。米国特許第6,126,920号はフォーム組成物中で脂肪族アルコールを使用する多数の組成物の典型である。このアルコールは高速乾燥を促し、これにより、多数の局所製剤が適用後に残すべとべとした感触の解消を試みる;しかし、アルコール、特に’920特許において好ましいメチル、エチルおよびイソプロピルアルコールは脱脂性物質であり、これは皮膚の乾燥およびひび割れを生じさせる可能性がある。したがって、米国特許第6,126,920号が教示するように外用局所投与用の治療用フォーム中に脂肪族アルコールを含ませることは望ましくない。
【0012】
Borgmanの米国特許第5,536,743号は細菌性膣症の処置に適した、メトロニダゾールを含有する緩衝化非流動性組成物を記載する。適切な製剤には、約10−40wt%油状物の内側油状相およびアニオン性、カチオン性または非イオン性界面活性剤を含む水中油乳剤が含まれる。油性相の適切な成分には、長鎖アルコール、エステル、および酸、植物および動物性の油およびワックスが含まれる。フォームエアロゾル組成物において使用するための他の安定化剤は開示されていない。
【0013】
EP0,598,412は乾燥および過酷な環境物質に対する皮膚保護に有用な組成物を記載する。この保護は組成物中にポリ(テトラフルオロエチレン)(PTFE)を包含することによって得られる。この組成物は低レベルの親水性皮膚軟化剤および疎水性皮膚軟化剤をともに含む。この組成物は高レベルの界面活性剤、例えばイオン性界面活性剤、および補助乳化剤(co-emulsifiers)を含み、その結果、流動できない高粘度の乳剤を生じる。したがって、発泡物質(foamers)として有効でなく(あるいは非発泡性であり)、広い皮膚領域にわたって塗り広げるには粘度が高すぎる生成物を提供する。
【0014】
米国特許第6,423,323号は水性フォーム乳剤を記載する。この組成物は、脂肪酸、乳化剤および補助乳化剤を含む疎水相および親水性保湿剤および乳化剤を含有する水相を含む。米国特許第6,423,323号に記載の任意成分は、1つまたはそれ以上の再脂肪化物質(refatting substances)であり、この物質は、生成物が正常皮膚用途であれば0.5〜2%であり;乾燥皮膚用であれば3〜6%の好ましい濃度である。高レベルの補助乳化剤、例えば脂肪アルコールおよび脂肪酸を添加するのはこのフォームが安定でないことを示す。他の安定化剤は開示されていない。
【0015】
米国特許第5,635,469号は、噴霧剤を含まないが、洗浄用界面活性剤、湿潤剤および水溶性のカチオン性または非イオン性ポリマーとともに約0.05%〜約10%の皮膚軟化剤を含む発泡性洗浄用液状組成物を記載する。新規非エアロゾルフォームディスペンサを用いて低密度フォームが達成される。発泡は手動ポンプの操作によって達成される。このポンプは操作性が悪い。皮膚軟化剤および湿潤剤は皮膚の水和および/または脂質含量のレベルを改善するために含まれる。しかしながらこの特許は、皮膚軟化剤および湿潤剤が界面活性剤の泡形成能を妨害することに言及している。
【0016】
米国特許第6,113,888号は、セルフ・タンニング剤、無窒素ポリマー、無窒素界面活性剤、および水を含む単一水相組成物を教示する。
【0017】
Lisboaの米国特許第5,679,324号は、エアロゾル発泡性芳香組成物に関する。分配前の状態で半透明のこの組成物は高速分解性フォームを形成する。エアロゾル容器から放出されるとフォームは自然に(摩擦または剪断力(sheer force)の適用を全く必要とせずに)分解するようであり、したがって、この生成物は皮膚表面に塗り広げるのに実用的でない。この組成物は界面活性剤、噴霧剤、香料、増粘剤、および化粧剤用ビヒクル(好ましくは水)を含有する。この場合、界面活性剤対噴霧剤の比は約1:1〜約1:10である。皮膚軟化剤、例えばシリコーン油、鉱油および炭化水素油が含まれることがある。
【0018】
米国特許第6,251,369号は、水溶性フッ化物成分を含有する発泡性の歯科用フッ化物組成物を開示する。したがって、この組成物は水中油乳剤を含む。しかしながらこの特許は、この乳剤の油状コンポーネントの組成または濃度を特定していない;そして実施例に提示されている組成物はいずれも油状コンポーネントを全く含有しない。
【0019】
米国特許第5,961,957号は、70〜90%の水、7〜9%のブタン、2〜4%のモノステアリン酸グリセリル、1.5〜3.50%のジメチコーンコポリオール(水溶性シリコーン化合物)、1〜3%のプロパン、0.5〜2.5%のラノリン、0.5〜2.5%のステアリン酸および0.05〜1.05%の少なくとも1つのメチルクロロイソチアゾリノンおよびメチルイソチアゾリノンを含むバリアフォーム組成物を記載する。
【0020】
数種の皮膚科学的フォーム製品が市販されている。
【0021】
Connetics,Inc.製のOlux(商標)フォームはプロピオン酸クロベタゾールを含有する。1グラムのOlux(商標)フォームは、熱不安定フォーム中、プロピオン酸クロベタゾール0.5mg、USP、を含有し、この熱不安定フォームは、エタノール(60%)、精製水、プロピレングリコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ポリソルベート60、クエン酸、およびクエン酸カリウムからなる。これは炭化水素噴霧剤(プロパン/ブタン)で加圧されたアルミニウム缶から分配される。Luxiq(商標)は別のコルチコステロイド(corticostroid)フォーム医薬品である。この医薬品はビヒクル中1g当たり吉草酸ベタメタゾン1.2mgを含有し、このビヒクルはエタノール(60.4%)、精製水、プロピレングリコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ポリソルベート60、クエン酸、およびクエン酸カリウムを含む。そしてこれは炭化水素噴霧剤で加圧されている。
【0022】
Cortifoam、酢酸ヒドロコルチゾン直腸用フォームはSchwartz Pharma GmbHが生産している。このフォームでは、ヒドロコルチゾンはフォームビヒクル中に10%存在する。Cortifoamの非薬物成分には、セチルアルコール、エトキシル化ステアリルアルコール、メチルパラベン、ポリオキシエチレン−10ステアリルエーテル、プロピレングリコール、プロピルパラベン、トリエタノールアミン、水、および不活性噴霧剤、イソブテン、およびプロパンが含まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
したがって、非常に高濃度の油状物を含有し、かつアルコールを含まない局所処置用フォーム組成物が依然として望まれている。しっかりしていて、広範な活性成分を包含するのに適したフォーム組成物が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0024】
疎水性溶媒は泡形成またはフォーム形成生成物に製剤化するのが困難であり、また慣用の疎水性溶媒を添加すると界面活性剤の泡形成能が妨害されるという事実が通常知られている。それにもかかわらず、驚くべきことに発明者らは、エアロゾル容器中で液化ガス噴霧剤と混合すると局所投与に適した発泡性組成物を生じる、一連の発泡性担体組成物を発見した。エアロゾル容器から放出されると、この組成物は分解性フォームを形成する。このフォームは外観上濃厚でクリーム状であり、そして非常に微細な気泡構造を示す。このフォームは放出してすぐには分解しないが、わずかにこすりつけると崩壊して皮膚領域上に容易に塗り広げることができる。
【0025】
本発明の1つまたはそれ以上の実施態様では、アルコールフリーの化粧剤用または医薬用発泡性担体組成物は、水、液状で、不揮発性の疎水性溶媒、脂肪酸および脂肪アルコールからなる群から選択されるフォーム補助剤、界面活性剤および水ゲル化剤を含む。このような発泡性担体を、エアロゾル容器内に入れて液化ガス噴霧剤と混合すると、水中油乳剤が生成し、この乳剤をエアロゾル容器から放出すると、治療に有益なフォーム生成物が得られる。このフォームは、ユーザーがこのフォームを皮膚に適用してこすりつけるのに十分な時間、その構造を保持する。このフォームは非常に低い降伏強度を有し、それ故、接触により分解して塗布を簡単かつ効率的にし、そしてその適用を均一にする。
【0026】
本発明の1つまたはそれ以上の実施態様では、発泡性担体組成物の疎水性溶媒含量は約2−5%であり、この組成物は以下の組成を有する:
クラスA組成物:
− 約2−5%疎水性溶媒;
− 約80−98%水;
− 約0.1%〜5%フォーム補助剤;
− 約0.1%〜5%界面活性剤;および
− 約0.1%〜5%水ゲル化剤。
【0027】
本発明の1つまたはそれ以上の実施態様では、発泡性組成物の疎水性溶媒含量は約5−10%であり、この組成物は以下の組成を有する:
クラスB組成物:
− 約5−10%疎水性溶媒;
− 約75−95%水;
− 約0.1%〜5%フォーム補助剤;
− 約0.1%〜5%界面活性剤;および
− 約0.1%〜5%水ゲル化剤。
【0028】
本発明の1つまたはそれ以上の実施態様では、発泡性組成物の疎水性溶媒含量は約10−20%であり、この組成物は以下の組成を有する:
クラスC組成物:
− 約10−20%疎水性溶媒;
− 約60−90%水;
− 約0.1%〜5%フォーム補助剤;
− 約0.1%〜5%界面活性剤;および
− 約0.1%〜5%水ゲル化剤。
【0029】
本発明の1つまたはそれ以上の実施態様では、発泡性組成物の疎水性溶媒含量は約20−75%であり、この組成物は以下の組成を有する:
クラスD組成物:
− 約20−75%疎水性溶媒;
− 約25−75%水;
− 約0.1%〜5%フォーム補助剤;
− 約0.1%〜5%界面活性剤;および
− 約0.1%〜5%水ゲル化剤。
【0030】
すべての%値は重量(w/w)ベースで規定する。この値は(特に記載しない限り)噴霧剤を含まない組成物に基づく。
【0031】
この化粧剤または医薬用発泡性担体組成物は液状である。本発明の発泡性物質は短鎖脂肪族アルコールを含有せず、したがって無刺激性かつ不乾性である。アルコールは皮膚の保護障壁に浸透して細胞間マトリクスを分解する。American Academy of Dermatology(AAD)の最近の刊行物、標題「スキンケア製品に関する事実に直面して(Facing the Facts about Skin Care Products)」では、「乾燥皮膚を患う個体は収斂薬およびアルコールを含むすべての製品を望ましくは回避すべきであろう。その理由は、これらが容易に、皮膚から水分を奪い取るからである。」と述べられている(www.aad.org/PressReleases FacingFacts.htmlを参照のこと)。別のAAD刊行物、標題「あなたは皮膚に気をつかっていますか。」では、「皮膚に浸透する溶媒、例えばプロピレングリコールおよびエタノールを回避する」ことが推奨されている(www.aad.org/PressReleases/sensitive.htmlを参照のこと)。
【0032】
アルコールフリーのフォーム担体は、水中油または油中水乳剤として製剤化し、これにより、水溶性および油溶性いずれかの活性物質(または両者)を包含するのに適したものになる。本発明の発泡性担体組成物は、エアロゾル容器中、組成物全体の約5−25重量%量の噴霧剤物質と混合すると、皮膚および他の身体領域上への容易な適用に適した軽量の分解性フォームを生じる。このフォームは局所適用型製品を受容するであろう。加圧容器中の噴霧剤は液状であるから、発泡性担体組成物を噴霧剤と混合すると、油状物および噴霧剤を(併せて当該乳剤の「油状相」コンポーネントとして)含む安定な乳剤が形成される。
【0033】
本発明の1つまたはそれ以上の実施態様では、アルコールフリーの化粧品または医薬品を提供する。この製品は、本発明の1つまたはそれ以上の実施態様に記載のフォーム担体組成物および治療有効濃度の活性な化粧剤成分または医薬成分を含む。化粧剤物質および医薬物質は上記および以下の詳細な記述中の各組成物中に含ませることができる。医薬品は、ヒトおよび動物の皮膚障害または、薬物の局所適用を必要とする任意の他の障害を局所的に処置することを目的とする。化粧品は、皮膚を美しくし、その外観を改善することを目的とする。
【0034】
アルコールフリーのフォーム担体およびアルコールフリーの化粧品または医薬品を用いて最も良好に処置される美容上および医学的障害を同定し、現在利用可能な選択肢と比較して、このような担体および製品の利点を示す。
【0035】
本発明のフォームは下記の1つ以上の理由のために現行の選択肢より有益である:
(1)このフォームは軽量であり、したがって経済的である。
(2)このフォームは望ましい任意の濃度の疎水性溶媒を含有し、これにより、再脂肪化および皮膚緩和効果、ならびに疎水性活性物質用の担体が得られる。
(3)このフォームは治療有効濃度のシリコーン油を含有する。
(4)このフォームは水溶性および油溶性、両方の活性物質を含む。
(5)このフォームは容易に塗り広げることができ、広い領域、例えば腕、背中、脚および胸部の処置が可能である。
(6)このフォームは、その流動性により、ひだおよびしわ内へ効率的に塗り広げることができ、過度の摩擦を必要とせずに活性物質の均一分配を提供し、そして皮膚内へ吸収される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
疎水性溶媒
本発明の疎水性溶媒とは、室温の蒸留水中、約1gm/100mL未満の、より好ましくは約0.5gm/100mL未満の、そして最も好ましくは約0.1gm/100mL未満の溶解度を有する液状材料である。これは室温で液状である。
【0037】
疎水性溶媒の総含有量は発泡性組成物の2%〜75%(w/w)で変動させてよい。また一方で、諸範囲(本明細書中の「組成物クラスA−D」)が規定されている。これは、予期される化粧剤的または医薬的必要性に応じて、適切なクラスの選択を容易にすることを目的とする。概して、疎水性溶媒濃度が高いほど、乾燥皮膚の処置および/または、油状ビヒクル中でデリバリーされる薬物に対してより反応性の疾患の処置に適切である。同様に、油状物含量がより高い組成物クラスほど、高い閉塞作用を提供し、そしてこの作用は活性物質の皮膚浸透を誘発する。別の考察は、高濃度(組成物の約25%〜)の疎水性溶媒を含有する製品についてのユーザーの許容性に関する。この製品はその適用後に何らかの脂っぽい感触を残すであろうものである。したがって、標的集団およびその集団特有の必要性を考慮して、ある疎水性溶媒濃度を有する本発明の具体的組成物が選択される。
【0038】
本発明の1つまたはそれ以上の実施態様では、疎水性溶媒は鉱油である。鉱油(化学情報検索サービス機関登録番号(8012−95−1)は、石油から得られる脂肪族、ナフタレン類、および芳香族液状炭化水素の混合物である。鉱油は典型的に液状であり;その粘度は約35CST〜約100CSTの範囲(40℃)であり、その流動点(過剰量のワックス結晶の形成を伴わずに油状物を取り扱うことができる最低温度)は0℃未満である。これと比べて、「ワセリン」とも称される白色ワセリンはそのろう状特性のせいで不都合である。この白色ワセリンは、適用後にろう状でべとべとした感触を残し、場合により衣類を汚すことが既知である。したがって、白色ワセリンおよび他の半固形油状物は本発明の好ましい疎水性溶媒ではない。
【0039】
さらに別の好ましい疎水性溶媒は、植物性、海洋性または動物性起源由来の液状油状物である。不飽和油状物は例示的に、オリーブ油、トウモロコシ油、ダイズ油、カノーラ油、綿実油、ヤシ油、ゴマ油、ヒマワリ油、ルリヂサ油(borage seed oil)、丁子油(syzigium aromaticum)、麻実油、ニシン油、タラ肝油、サーモン油、アマニ油、バクガ油(wheat germ oil)および月見草油ならびに任意の割合のこれらの混合物からなる群から選択されるものであってよい。
【0040】
特に好ましいクラスの油状物には、ポリ不飽和油状物、例えばオメガ−3およびオメガ−6脂肪酸のエステル、特にグリセリルエステルが含まれる。このようなポリ不飽和脂肪酸の例はリノール酸およびリノレン酸、ガンマ−リノール酸(GLA)、エイコサペンタエン酸(EPA)およびドコサヘキサエン酸(DHA)である。したがって、本発明の1つまたはそれ以上の実施態様では、疎水性溶媒は、少なくとも6重量%発泡性組成物の、オメガ−3油状物、オメガ−6油状物、およびこれらの混合物から選択される油状物を含む。
【0041】
疎水性溶媒(phydrophobic solvent)として使用するのに適した別のクラスの油状物は、液状で疎水性の植物由来油状物、または精油、例えば局所適用時に治療効果を有する活性な生物起源分子を含有する「治療用油状物」である。このような油状物の例には、レチノイドを含有し、ざ瘡およびざ瘡後の瘢痕を減少させることが既知であるローズヒップ油、および抗菌性、抗真菌性および抗ウイルス性を有するティーツリー油が含まれる。他の精油の例は、メボウキ油、ショウノウ油、ショウズク油、ニンジン油、シトロネラ油、クラリーセージ油、チョウジ油、イトスギ油、フランキンセンス油、ジンジャー油、グレープフルーツ油、ヒソップ油、ジャスミン油、ラベンダー油、レモン油、マンダリン油、マージョラム油、ミルラ油、ネロリー油、ニクズク油、プチグレン油、セージ油、タンジェリン油、バニラ油、バーベナ油、ならびに任意の他の治療に有益な油状物である。これらは漢方療法の分野で既知の油状物である。
【0042】
本発明の1つまたはそれ以上の実施態様では、疎水性溶媒は「皮膚軟化剤(emollient)」である。皮膚軟化剤は、皮膚または他の粘膜を軟化し、滑らかにし、そしてその脂質含量を改善する疎水性物質である。本発明の1つまたはそれ以上の実施態様では、皮膚軟化剤は液状物である。この定義の一般性を損なうことなく、使用に適した皮膚軟化剤の例には、イソステアリン酸誘導体、パルミチン酸イソプロピル、ラノリン油、ダイマー酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、ジメチルイソソルビド、マレイン酸化ダイズ油(maleated soybean oil)、パルミチン酸オクチル、イソステアリン酸イソプロピル、乳酸セチル、リシノール酸セチル、酢酸トコフェロール、アセチル化ラノリンアルコール、酢酸セチル、フェニルトリメチコーン、オレイン酸グリセリル、リノール酸トコフェロール、バクガグリセリド、プロピオン酸アラキジル(arachidyl propionate)、乳酸ミリスチル、オレイン酸デシル、プロピレングリコールリシノラート、ラノリン酸イソプロピル、テトラステアリン酸ペンタエリスリチル、ジカプリル酸/ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、水素化ココ-グリセリド、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、ミリスチン酸ミリスチル、クエン酸トリイソセチル、オクチルドデカノール、ヒドロキシステアリン酸オクチルおよびこれらの混合物が含まれる。他の適切な皮膚軟化剤の例はまた、Cosmetic Bench Reference,pp.1.19−1.22(1996)に見出すことができる。1つまたはそれ以上の実施態様では、疎水性溶媒は鉱油またはシリコーン油および皮膚軟化剤の混合物である。
【0043】
本発明の1つまたはそれ以上の実施態様では、シリコーン油が疎水性溶媒のコンポーネントである。シリコーン油は、その既知の皮膚保護および閉塞特性のために、発泡性組成物中で使用される。本発明での使用に適したシリコーン油には、不揮発性シリコーン、例えばポリアルキルシロキサン、ポリアリールシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサンおよびポリエーテルシロキサンコポリマー、ポリジメチルシロキサン(ジメチコーン)およびポリ(ジメチルシロキサン)−(ジフェニル−シロキサン)コポリマーが含まれる。これらは、約3〜約9個、好ましくは約4〜約5個のケイ素原子を含有する環式または直鎖ポリジメチルシロキサンから選択するのが好ましい。揮発性シリコーン、例えばシクロメチコーンを使用することもできる。水溶性シリコーン、例えばジメチコーンコポリオールは、本発明の(疎水性溶媒としての)シリコーン油の定義に含まれない。
【0044】
本発明の1つまたはそれ以上の実施態様では、組成物は少なくとも2%(重量/発泡性組成物の重量)のシリコーン油を、単独で、あるいは疎水性溶媒の部分として含む。また、他の実施態様では、組成物は少なくとも5%(w/w)のシリコーン油を、単独で、あるいは疎水性溶媒の部分として含む。
【0045】
本発明の疎水性溶媒は、任意の割合の、2つまたはそれ以上の上記疎水性溶媒の混合物を含んでよい。
【0046】
フォーム補助剤
本発明の発泡性組成物には、界面活性剤の発泡能を増大させ、ならびに/あるいはこのフォームを安定化するフォーム補助剤が含まれる。本発明の1つまたはそれ以上の実施態様では、フォーム補助剤には、炭素鎖中に15個またはそれ以上の炭素を有する脂肪アルコール、例えばセチルアルコールおよびステアリルアルコール(またはこれらの混合物)が含まれる。脂肪アルコールの他の例は、アラキジルアルコール(C20)、ベヘニルアルコール(C22)、1−トリアコンタノール(C30)、ならびにさらに長い炭素鎖(C50まで)を有するアルコールである。蜜ろうは、大部分がその炭素鎖中に少なくとも20炭素原子を有するアルコールの混合物を含むが、この蜜ろうから得られる脂肪アルコールは本発明のフォーム補助剤として特によく適している。フォーム系を支援するのに必要な脂肪アルコールの濃度はその炭素鎖の長さと逆相関する。
【0047】
本発明の1つまたはそれ以上の実施態様では、フォーム補助剤には、その炭素鎖中に16個またはそれ以上の炭素を有する脂肪酸、例えばヘキサデカン酸(C16)、ステアリン酸(C18)、アラキン酸(C20)、ベヘン酸(C22)、オクタコサン酸(C28)、ならびにさらに長い炭素鎖(C50まで)を有する脂肪酸、またはこれらの混合物が含まれる。
【0048】
場合により、脂肪アルコールまたは脂肪酸の炭素原子鎖は少なくとも1つの二重結合を有してよい。さらに別のクラスの本発明のフォーム補助剤は、炭素原子鎖が分岐している長鎖脂肪アルコールまたは脂肪酸を含む。この脂肪酸または脂肪アルコールの炭素鎖は、12−ヒドロキシステアリン酸のように、ヒドロキシル基で置換し得る。
【0049】
本発明の1つまたはそれ以上の実施態様に記載のフォーム補助剤は、任意の割合の、脂肪アルコール、脂肪酸およびヒドロキシ脂肪酸およびこれらの誘導体の混合物を含む。ただし、その総量は担体質量の0.1%〜5%(w/w)であることを条件とする。さらに好ましくは、総量は担体質量の0.4%−2.5%(w/w)である。
【0050】
脂肪アルコールおよび脂肪酸は、得られたフォーム組成物を安定化する作用に加えて、追加の治療特性を提供することがよくある。長鎖飽和および一価不飽和脂肪アルコール、例えばステアリルアルコール、エリシルアルコール(erycyl alcohol)、アラキジルアルコールおよびドコサノールは、抗ウイルス性、抗感染性、抗増殖性および抗炎症性を有することが報告されている(米国特許第4,874,794号)。さらに長い鎖の脂肪アルコール、例えばテトラコサノール、ヘキサコサノール、ヘプタコサノール、オクタコサノール、トリアコンタノール、等もまた、その代謝修飾性および組織活性化性に関して知られる。長鎖脂肪酸もまた、抗感染性を有すると報告されている。したがって、本発明のフォーム補助剤を含有する医薬用または化粧剤用担体は、現在使用されている薬理作用を示さない、かつ不活性のビヒクルと比較して追加された治療効果を提供する。
【0051】
界面活性剤
本発明の界面活性剤には、組成物中の油状物および水を連結する任意の物質が含まれる。
【0052】
界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、非イオン性、双性イオン性、両性(amphoteric and ampholytic)界面活性剤、ならびにこれらの界面活性剤の混合物から適切に選択される。このような界面活性剤は、医薬および化粧剤の製剤化に関する技術分野の当業者に周知である。界面活性剤候補の非限定的な例には、ポリソルベート、例えばポリオキシエチレン(20)モノステアリン酸ソルビタン(Tween60)およびポリ(オキシエチレン)(20)モノオレイン酸ソルビタン(Tween80);ポリ(オキシエチレン)(POE)脂肪酸エステル、例えばMyrj 45、Myrj 49およびMyrj 59;ポリ(オキシエチレン)アルキリルエーテル、例えばポリ(オキシエチレン)セチルエーテル、ポリ(オキシエチレン)パルミチルエーテル、ポリエチレンオキシドヘキサデシルエーテル、ポリエチレングリコールセチルエーテル、brij 38、brij 52、brij 56およびbrij W1;ショ糖エステル、ソルビトールの部分エステルおよびその無水物、例えばモノラウリン酸ソルビタンおよびモノラウリン酸ソルビタン;モノまたはジグリセリド、isoceteth−20、メチルココイルタウリン酸ナトリウム、メチルオレオイルタウリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミンおよびベタインが含まれる。
【0053】
界面活性剤を組み合わせることも可能である。任意の界面活性剤またはそれらの組み合わせを界面活性剤として使用してよい。本発明の1つまたはそれ以上の実施態様では、界面活性剤(または界面活性剤群)は9より高いHLBを有する。
【0054】
本発明の1つまたはそれ以上の実施態様では、界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性および双性イオン性界面活性剤の群から選択され、とりわけ界面活性剤は非イオン性界面活性剤である。イオン性界面活性剤(カチオン性、アニオン性、両性および双性イオン性界面活性剤を含む)は皮膚刺激物であることが既知である。したがって、ほとんどの皮膚学的障害において見られるような敏感肌に関する適用では、非イオン性界面活性剤が好ましい。驚くべきことに発明者らは、非イオン性界面活性剤が単独で、優れた性質、すなわち以下に論じる等級尺度でスコアが「E」であるフォームを提供することを発見した。
【0055】
本発明の1つまたはそれ以上の実施態様では、界面活性剤は非イオン性界面活性剤のみからなり、これは1つまたはそれ以上の非イオン性界面活性剤を含む。
【0056】
本発明の1つまたはそれ以上の実施態様では、界面活性剤は、100:1〜6:1の範囲の非イオン性界面活性剤対イオン性界面活性剤比を含み;いくつかの実施態様では、非イオン性対イオン性界面活性剤比が6:1を超え、または8:1を超え;あるいは14:1を超え、または16:1を超え、または20:1を超える。
【0057】
非イオン性界面活性剤の例には、ポリエトキシル化脂肪酸、脂肪酸ジエステル、ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステル、アルコール−油状物エステル交換生成物、ポリグリセリン化脂肪酸、ステロールおよびステロール誘導体、ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ショ糖エステル、ポリエチレングリコールアルキルフェノール、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステルおよび低級アルコール脂肪酸エステルが含まれる。
【0058】
ポリエチレングリコール(PEG)自体は界面活性剤として機能しないが、種々のPEG−脂肪酸エステルは有用な界面活性特性を有する。代表的モノエステルには、ラウリン酸、オレイン酸、およびステアリン酸のエステル、例えばラウリン酸PEG−8、オレイン酸PEG−8、ステアリン酸PEG−8、オレイン酸PEG−9、ラウリン酸PEG−10、オレイン酸PEG−10、ラウリン酸PEG−12、オレイン酸PEG−12、オレイン酸PEG−15、ラウリン酸PEG−20およびオレイン酸PEG−20が含まれる。本発明の組成物において非イオン性界面活性剤として使用するのに適したポリエチレングリコール脂肪酸ジエステルには、ジラウリン酸PEG−20、ジオレイン酸PEG−20、ジステアリン酸PEG−20、ジラウリン酸PEG−32およびジオレイン酸PEG−32が含まれる。適切なポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステルには、ラウリン酸PEG−20グリセリル、ラウリン酸PEG−30グリセリル、ラウリン酸PEG−40グリセリル、オレイン酸PEG−20グリセリル、およびオレイン酸PEG−30グリセリルが含まれる。
【0059】
アルコールまたはポリアルコールを種々の天然油および/または硬化油と反応させることによって、種々の程度の疎水性または親水性を有する多数の界面活性剤を製造することができる。最も一般的に使用する油状物は、ヒマシ油または硬化ヒマシ油、または食用植物油、例えばトウモロコシ油、オリーブ油、ピーナッツ油、パーム核油、キョウニン油、またはアーモンド油である。好ましいアルコールには、グリセロール、プロピレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、およびペンタエリスリトールが含まれる。これらのアルコール−油状物エステル交換型界面活性剤のうち、好ましい親水性界面活性剤は、PEG−35ヒマシ油(Incrocas−35)、PEG−40硬化ヒマシ油(Cremophor RH 40)、トリオレイン酸PEG−25(TAGAT(登録商標)TO)、PEG−60トウモロコシグリセリド(Crovol M70)、PEG−60アーモンド油(Crovol A70)、PEG−40パーム核油(Crovol PK70)、PEG−50ヒマシ油(Emalex C−50)、PEG−50硬化ヒマシ油(Emalex HC−50)、PEG−8カプリル酸/カプリン酸グリセリド(Labrasol)、およびPEG−6カプリル酸/カプリン酸グリセリド(Softigen 767)である。このクラスの好ましい疎水性界面活性剤には、PEG−5硬化ヒマシ油、PEG−7硬化ヒマシ油、PEG−9硬化ヒマシ油、PEG−6トウモロコシ油(Labrafil(登録商標)M 2125 CS)、PEG−6アーモンド油(Labrafil(登録商標)M 1966 CS)、PEG−6キョウニン油(Labrafil(登録商標)M 1944 CS)、PEG−6オリーブ油(Labrafil(登録商標)M 1980 CS)、PEG−6ピーナッツ油(Labrafil(登録商標)M 1969 CS)、PEG−6硬化パーム核油(Labrafil(登録商標)M 2130 BS)、PEG−6パーム核油(Labrafil(登録商標)M 2130 CS)、PEG−6トリオレイン(Labrafil(登録商標)b M 2735 CS)、PEG−8トウモロコシ油(Labrafil(登録商標)WL 2609 BS)、PEG−20トウモロコシグリセリド(Crovol M40)、およびPEG−20アーモンドグリセリド(Crovol A40)が含まれる。最後2つの界面活性剤はHLB値10を有することが報告されている。この値は一般に、親水性界面活性剤と疎水性界面活性剤間のおおよその境界線であると考えられる。
【0060】
油溶性ビタミン(例えばビタミンA、D、E、K、等)のアルコール−油状物エステル交換誘導体、例えばトコフェリルコハク酸PEG−100(TPGS。Eastmanから市販されている。)もまた適切な界面活性剤である。
【0061】
脂肪酸のポリグリセロールエステルもまた、本発明に適した非イオン性界面活性剤である。ポリグリセリル脂肪酸エステルのうち、疎水性界面活性剤用途の代表例には、オレイン酸ポリグリセリル(Plurol Oleique)、ジオレイン酸ポリグリセリル−2(Nikkol DGDO)、およびトリオレイン酸ポリグリセリル−10が含まれる。好ましい親水性界面活性剤には、ラウリン酸ポリグリセリル−10(Nikkol Decaglyn 1−L)、オレイン酸ポリグリセリル−10(Nikkol Decaglyn 1−O)、およびモノ、ジオレイン酸ポリグリセリル−10(Caprol(登録商標)PEG 860)が含まれ、ポリリシノール酸ポリグリセリル(Polymuls)はこのクラスの親水性かつ疎水性界面活性剤である。
【0062】
ステロールおよびステロール誘導体は本発明において使用するのに適した界面活性剤である。これらの界面活性剤は親水性または疎水性であり得る。好ましい誘導体には、ポリエチレングリコール誘導体が含まれる。このクラスの代表的な疎水性界面活性剤はコレステロールである。このクラスの代表的な親水性界面活性剤はPEG−24コレステロールエーテル(Solulan C−24)である。
【0063】
種々のPEG−ソルビタン脂肪酸エステルは本発明において非イオン性界面活性剤として使用するのに適している。概して、これらの界面活性剤は親水性であるが、このクラスのいくつかの疎水性界面活性剤も使用することができる。PEG−ソルビタン脂肪酸エステルのうち、代表的な親水性界面活性剤には、モノラウリン酸PEG−20ソルビタン(Tween−20)、モノパルミチン酸PEG−20ソルビタン(Tween−40)、モノステアリン酸PEG−20ソルビタン(Tween−60)、およびモノオレイン酸PEG−20ソルビタン(Tween−80)が含まれる。
【0064】
ポリエチレングリコールおよびアルキルアルコールのエーテルは本発明において使用するのに適した非イオン性界面活性剤である。代表的な疎水性エーテルには、PEG−3オレイルエーテル(Volpo 3)およびPEG−4ラウリルエーテル(Brij 30)が含まれる。
【0065】
ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン(POE−POP)ブロックコポリマーは独特のクラスのポリマー性界面活性剤である。明確な割合および位置の親水性POEおよび疎水性POP部分を有するこの界面活性剤特有の構造により、本発明において使用するのに適した各種界面活性剤が得られる。これらの界面活性剤は、種々の商品名、例えばSynperonic PEシリーズ(ICI)、Pluronic(登録商標)シリーズ(BASF)、Emkalyx、Lutrol(BASF)、Supronic、Monolan、Pluracare、およびPlurodacとして市販されている。これらのポリマーに関する総称は「ポロキサマー」(CAS 9003−11−6)である。このクラスの代表的な親水性界面活性剤には、ポロキサマー108、188、217、238、288、338、および407が含まれる。このクラスの代表的な疎水性界面活性剤には、ポロキサマー124、182、183、212、331、および335が含まれる。
【0066】
脂肪酸のソルビタンエステルは、本発明において使用するのに適した非イオン性界面活性剤である。これらのエステルのうち、好ましい疎水性界面活性剤には、モノラウリン酸ソルビタン(Arlacel 20)、モノパルミチン酸ソルビタン(Span−40)、モノオレイン酸ソルビタン(Span−80)、モノステアリン酸ソルビタン、およびトリステアリン酸ソルビタンが含まれる。
【0067】
低級アルコール(C2〜C4)および脂肪酸(C8〜C18)のエステルは、本発明において使用するのに適した非イオン性界面活性剤である。これらのエステルのうち、好ましい疎水性界面活性剤には、オレイン酸エチル(Crodamol EO)、ミリスチン酸イソプロピル(Crodamol IPM)、およびパルミチン酸イソプロピル(Crodamol IPP)が含まれる。
【0068】
本発明の1つまたはそれ以上の実施態様では、界面活性剤はショ糖と食用脂肪酸のモノ−、ジ−およびトリ−エステル(ショ糖エステル)を含む。これはショ糖と食用脂肪酸のメチルおよびエチルエステルから製造するか、あるいはスクログリセリドからの抽出によって製造する。代表的なショ糖エステルには、ショ糖モノパルミチン酸およびショ糖モノラウリン酸が含まれる。適切なショ糖エステルには、高モノエステル含量を有し、高いHLB値を有するショ糖エステルが含まれる。
【0069】
本発明の1つまたはそれ以上の実施態様では、非イオン性界面活性剤およびアニオン性界面活性剤(例えばラウリル硫酸ナトリウム)の組み合わせを、1:1〜20:1の範囲の割合、または4:1〜10:1の割合で用いる。得られたフォームは、例えば0.1g/ml未満の低い比重を有し、皮膚上にこすりつけると(剪断応力により)容易に崩壊し、容易に吸収可能になる。
【0070】
従来技術の発泡性組成物と異なり、安定で、比重が低く、微細な気泡構造を有するフォームを得るために用いる総界面活性剤量は低量である。界面活性剤、特にイオン性界面活性剤のレベルが低いほど、皮膚刺激を減少させるのに好ましい。総界面活性剤量は発泡性組成物の0.1〜5.0wt%の範囲であり、典型的には2wt%未満であり、あるいは1wt%未満でさえある。
【0071】
水ゲル化剤
本発明の1つまたはそれ以上の実施態様に記載の水ゲル化剤は、例えば粘性増大および連結能によって水相(acqueons phase)を安定化する。本発明の1つまたはそれ以上の実施態様にしたがって使用することができる代表的な水ゲル化剤には、例えば、天然に存在するポリマー材料、例えばイナゴマメガム、アルギン酸ナトリウム、カゼイン酸ナトリウム、卵アルブミン、ゼラチン寒天、カラゲニンガムアルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、マルメロ種子抽出物、トラガカントガム、デンプン、化学修飾型デンプン等、半合成ポリマー材料、例えばセルロースエーテル(例えばヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、グアールガム、ヒドロキシプロピルグアールガム、可溶性デンプン、カチオン性セルロース、カチオン性グアール等および合成ポリマー材料、例えばカルボキシビニルポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールポリアクリル酸ポリマー、ポリメタクリル酸ポリマー、ポリ酢酸ビニルポリマー、ポリ塩化ビニルポリマー、ポリ塩化ビニリデンポリマー等が含まれるが、これらに限定されない。上記化合物の混合物も考慮される。
【0072】
水ゲル化剤のさらに別の例には、アクリル酸/アクリル酸エチルコポリマーおよびカルボキシビニルポリマーが含まれる。これらは例えばB.F.Goodrich Companyが商品名Carbopol(登録商標)樹脂として販売している。これらの樹脂は、本質的にコロイド状水溶性ポリアルケニルポリエーテル架橋型アクリル酸ポリマーからなり、このポリマーは0.75%〜2%の架橋剤、例えばポリアリルショ糖またはポリアリルペンタエリスリトールを用いて架橋されている。代表例には、Carbopol 934、Carbopol 940、Carbopol 950、Carbopol 980、Carbopol 951およびCarbopol 981が含まれる。Carbopol 934はアクリル酸の水溶性ポリマーであり、このポリマーは約1%のショ糖のポリアリルエーテルで架橋されている。このエーテルは各ショ糖分子につき平均約5.8アリル基を有する。
【0073】
ゲル化剤は、発泡性組成物の約0.1%〜約5.0wt%の範囲の量で存在する。1つまたはそれ以上の実施態様では、ゲル化剤は、典型的に発泡性組成物の1wt%未満である。
【0074】
「アルコールフリー」
米国特許第6,126,920号に開示される、40−90wt%の脂肪族アルコールを含有する組成物とは異なり、本発明の組成物は前記量のアルコールを含有しない。本出願の目的上、用語「アルコールフリー」とは、組成物がほんの偶発的な量の脂肪族アルコール、例えば約7.5%未満の任意の脂肪族アルコールであって、炭素骨格に1〜6炭素原子を有する脂肪族アルコール、または7.5%未満の前記脂肪族アルコールの任意の混合物しか含有しないことを意味するものとする。このような低レベルのアルコールは皮膚または粘膜に対して負の作用を有さないとみなされる。1つまたはそれ以上の実施態様では、発泡性組成物はアルコールを全く含有しない。
【0075】
任意成分
本発明の医薬用または化粧剤用フォーム担体はさらに、任意に、医薬用または化粧剤用諸成分を含んでよい。これらの成分は、製剤の統合性を微調整し、製剤成分を分解および酸化から保護し、ならびにその化粧剤受容性を付与する目的で添加される。このような賦形剤は、例えば、ジグリセリド、トリグリセリド、安定化剤、抗酸化剤、湿潤剤、香料、着色剤および着臭剤ならびに、医薬および化粧剤の製剤化に関する技術分野で使用される他の製剤成分からなる群から選択されるものであってよい。本発明のフォーム担体を用いて製造される医薬組成物または化粧剤組成物は非常に容易に使用することができる。ヒトまたは動物の罹患した身体表面上に適用する時点で、この組成物はフォーム状であり、したがって自由に適用することができ、こぼれることはない。そして例えば組成物を身体表面にこすりつけることによって機械的な力を加えると、この組成物は表面上で自由に広がり、そしてすばやく吸収される。
【0076】
噴霧剤エアロゾル
エアロゾル噴霧剤(propellants)を使用して、発泡性組成物をフォームとして作成し、投与する。噴霧剤、発泡性組成物および任意成分を含むトータル組成物は発泡性担体と称する。噴霧剤は発泡性担体の約5−25wt%を構成する。適切な噴霧剤の例には、揮発性炭化水素、例えばブタン、プロパン、イソブタンまたはこれらの混合物、およびフルオロカーボンガスが含まれる。
【0077】
組成物およびフォームの物理的性質
1.組成物流動性:
重要なのは、水、疎水性溶媒、製剤用賦形剤および噴霧剤を含む組成物を、製品の許容し得る有効期間を確保する安定な乳化物で得ることである。
【0078】
また、別の非常に重要な性質は、当該組成物が自由に流動する必要があろうことである。さもなければ、エアロゾル容器の浸液チューブを通して流動することができず、許容し得るフォームを形成できないからである。本発明の組成物に関連して、半固形疎水性溶媒、例えば白色ワセリンを含む組成物は過剰に粘性が高く、乏しい流動能を示すことがわかっている。
【0079】
本発明の1つまたはそれ以上の実施態様に記載される、界面活性剤、発泡補助剤および水ゲル化剤の組み合わせは、比重が低く、(他の属性の中でも特に)優れた流動性および剪断分解性を有するフォームを提供する。本発明の1つまたはそれ以上の実施態様では、界面活性剤、発泡補助剤および水ゲル化剤の総量は合計で発泡性組成物の8%(w/w)を超えない。他の実施態様では、界面活性剤、発泡補助剤および水ゲル化剤の合計量は発泡性組成物の5%(w/w)未満である。固形物含量が低いことにより、フォームの流動性が向上し、不快な皮膚残留が減少し、また製造コストが減少する。本明細書中で示されているように、フォーム中ではこれらの成分が低レベルであるにもかかわらず、このフォームの品質および分解性は優れている。
【0080】
2.フォーム特性:
フォームの品質に関して以下の尺度を用いてフォームを評価する。
【0081】
E(優れた品質):外観上、非常に濃厚かつクリーム状であり、気泡構造を全く示さないか、あるいは非常に微細(小)な気泡構造を示す。
【0082】
G(良好な品質):外観上濃厚かつクリーム状であり、非常に小さい気泡サイズを有し、優れた品質のフォームより早く「劣化する」。
【0083】
FG(まずまず良好な品質):中程度のクリーム性が認められ、気泡構造が認められる。
【0084】
F(普通の品質):クリーム性は殆ど認められず、「まずまず良好な品質の」フォームより大きい気泡構造を有する。
【0085】
P(粗悪な品質):クリーム性は認められず、大きい気泡構造を有する。
【0086】
VP(非常に粗悪な品質):フォームは乾燥し、非常に劣化した大きい気泡を有し、皮膚へ塗り広げるのは困難である。
【0087】
本発明にしたがって局所投与するのに適したフォームは、エアロゾル容器から放出された時点で、品質等級EまたはGである必要があろう。気泡が小さいほど、安定なフォームであることになり、このフォームは容器から放出されてすぐに自発的に崩壊するものではない。フォーム構造が微細であるほど滑らかな外観かつ感触であり、したがって有用性および魅力が向上する。
【0088】
本発明に関するフォーム特性の非常に重要な側面は分解性である。本発明の組成物によって達成された剪断力によるフォームの分解性は、例えば米国特許第6,126,920号において提示される熱的に誘発される分解性より明らかに有益である。そして、本発明の組成物は諸OluxおよびLuxiq製品より有益である。これは、OluxおよびLuxiqの使用指示書によれば、このフォームは皮膚温度に晒されると直ちに崩壊するため、手に載せた後に罹患領域へのデリバリーすることができない、という事実によって示される通りである。
【0089】
また、別の重要な性質は、エアロゾル缶からの放出時に測定されるフォームの比重である。典型的に本発明のフォームは、0.1g/mL未満、より好ましくは0.05g/mL未満の比重を有する。
【0090】
医薬適用分野
発泡性担体中に適切な治療物質を含ませることによって、本発明のフォーム組成物は諸皮膚科学的障害(「皮膚疾患」とも称する)の治療に有用である。この障害には、非限定的な例として以下の障害が含まれる:
皮膚炎
− 接触皮膚炎(Contact Dermatitis)
− アトピー性皮膚炎(Atopic Dermatitis)
− 脂漏性皮膚炎(Seborrheic Dermatitis)
− 貨幣状皮膚炎(Nummular Dermatitis)
− 手および足の慢性皮膚炎(Chronic Dermatitis Of The Hands And Feet)
− 汎発性剥脱性皮膚炎(Generalized Exfoliative Dermatitis)
− うっ血性皮膚炎(Stasis Dermatitis)
− 慢性単純性苔癬(Lichen Simplex Chronicus)
細菌感染(Bacterial Infections)
− 蜂巣炎(Cellulitis)
− 急性リンパ管炎(Acute Lymphangitis)
− リンパ節炎(Lymphadenitis)
− 丹毒(Erysipelas)
− 皮膚膿瘍(Cutaneous Abscesses)
− 壊死性皮下感染(Necrotizing Subcutaneous Infections)
− ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(Staphylococcal Scalded Skin Syndrome)
− 毛嚢炎(Folliculitis)
− フルンケル(Furuncles)
− 汗腺膿瘍(Hidradenitis Suppurativa)
− よう(癰)(Carbuncles)
− 爪周囲炎感染(Paronychial Infections)
− 紅色陰癬(Erythrasma)
真菌感染(Fungal Infections)
− 皮膚糸状菌感染(Dermatophyte Infections)
− 酵母感染(Yeast Infections)
寄生虫感染(Parasitic Infections)
− 疥癬(Scabies)
− シラミ症(Pediculosis)
− 皮膚ふく行疹(Creeping Eruption)
ウイルス感染(Viral Infections)
毛嚢および脂腺の障害(Disorders of Hair Follicles and Sebaceous Glands)
− ざ瘡(Acne)
− 酒さ(Rosacea)
− 口囲皮膚炎(Perioral Dermatitis)
− 多毛症(男性型多毛症)(Hypertrichosis(Hirsutism))
− 脱毛症(Alopecia)、例えば男性型脱毛症、円形脱毛症、汎発性脱毛症および全部脱毛症(male pattern baldness, alopecia areata, alopecia universalis and alopecia totalis)
− 仮性毛包炎(Pseudofolliculitis Barbae)
− 角質嚢腫(Keratinous Cyst)
落屑性丘疹疾患(Scaling Papular Diseases)
− 乾癬(Psoriasis)
− バラ色粃糠疹(Pityriasis Rosea)
− 扁平苔癬(Lichen Planus)
− 毛孔性紅色粃糠疹(Pityriasis Rubra Pilaris)
良性腫瘍(Benign Tumors)
− 母斑(Moles)
− ディスプラスチックニーバス(Dysplastic Nevi)
− 皮膚小突起(Skin Tags)
− 脂肪腫(Lipomas)
− 血管腫(Angiomas)
− 化膿性肉芽腫(Pyogenic Granuloma)
− 脂漏性角化症(Seborrheic Keratoses)
− 皮膚線維腫(Dermatofibroma)
− ケラトアカントーマ(Keratoacanthoma)
− ケロイド(Keloid)
悪性腫瘍(Malignant Tumors)
− 基底細胞癌(Basal Cell Carcinoma)
− 扁平上皮癌(Squamous Cell Carcinoma)
− 悪性黒色腫(Malignant Melanoma)
− 乳頭のパジェット病(Paget's Disease Of The Nipples)
− カポジ肉腫(Kaposi's Sarcoma)
日光に対する反応(Reactions To Sunlight)
− 日焼け(Sunburn)
− 日光の慢性効果(Chronic Effects of Sunlight)
− 光線過敏(Photosensitivity)
水疱性疾患(Bullous Diseases)
− 天疱瘡(Pemphigus)
− 水疱性類天疱瘡(Bullous Pemphigoid)
− 疱疹状皮膚炎(Dermatitis Herpetiformis)
− 鎖状免疫グロブリンA疾患(Linear Immunoglobulin A Disease)
色素沈着障害(Pigmentation Disorders)
− 低色素沈着(Hypopigmentation)
− 白斑(Vitiligo)
− 白皮症(Albinism)
− 炎症後低色素沈着(Postinflammatory hypopigmentation)
− 色素沈着過度(Hyperpigmentation)
− 肝斑(しみ)(Melasma(chloasma))
− 薬物誘発性色素沈着過度(Drug-induced hyperpigmentation)
− 炎症後色素沈着過度(Postinflammatory hyperpigmentation)
角化の障害(Disorders of Cornification)
− 魚鱗癬(Ichthyosis)
− 毛孔角化症(Keratosis Pilaris)
− 仮骨および胼胝(たこ)(Calluses And Corns)
− 光線性角化症(Actinic keratosis)
圧迫性壊死(Pressure Sores)
発汗の障害(Disorders of Sweating)
炎症性反応(Inflammatory reactions)
− 薬疹(Drug Eruptions)
− 中毒性表皮壊死融解(Toxic Epidermal Necrolysis)
− 多形性紅斑(Erythema Multiforme)
− 結節性紅斑(Erythema Nodosum)
− 環状肉芽腫(Granuloma Annulare)
【0091】
本発明の1つまたはそれ以上の実施態様では、本発明のフォーム組成物は、活性物質の経皮デリバリーに反応する非皮膚科学的障害の治療に有用である。このような障害には例示的に、概して限局性の痛み、ならびに関節痛、筋痛、背部痛、リウマチ痛、関節炎、骨関節炎(ostheoarthritis)および急性軟組織傷害およびスポーツ傷害が含まれる。このクラスの他の障害には、ホルモン療法、例えばホルモン補充療法、経皮ニコチン投与に反応する症状、およびドラッグデリバリー技術分野で既知の他の諸障害が含まれる。本発明のフォーム組成物はまた、局所麻酔剤のデリバリーに有用である。
【0092】
活性医薬物質(薬物)
「薬物(群)」とも称される活性医薬物質は、担体組成物の水相または疎水相に溶解し得る単一の薬物または薬物群の組み合わせからなるものであってよい。このような薬物の例は、抗生物質、抗菌剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、抗炎症剤、麻酔剤、鎮痛剤、抗アレルギー剤、コルチコステロイド、レチノイドおよび抗増殖剤薬物ならびに任意の割合のこれらの混合物である。薬物の濃度は、罹患領域への適用時に疾患に対して治療効果を与えるように決定してよい。
【0093】
抗菌剤
1つの重要なクラスの薬物は抗菌剤を含む。細菌感染は、皮膚、眼、粘膜、口腔、膣および直腸の諸表在性障害に関与することが周知である。抗菌薬は、グラム陽性およびグラム陰性細菌、原生動物、好気性菌および嫌気性菌に対して活性であり得る。
【0094】
抗菌薬は例示的に、治療有効濃度の、クロラムフェニコール、テトラサイクリン、合成および半合成ペニシリン、ベータ−ラクタム、キノロン、フルオロキノロン、マクロライド抗生物質、メトロニダゾールおよびその誘導体およびアナログ、ジカルボン酸、例えばアゼライン酸、サリチラート(slicylates)、ペプチド抗生物質、シクロスポリンおよびこれらの任意の組み合わせの群から選択することができる。非特異性の別の群の抗菌剤は、強力な酸化剤(オキシダント)およびフリーラジカル遊離化合物、例えば過酸化水素、漂白剤(例えば、ナトリウム、カルシウムまたはマグネシウムの次亜塩素酸塩(hypochloride)等)ヨウ素、クロルヘキシジン(chlorohexidine)および過酸化ベンゾイルを含む。
【0095】
本発明の抗菌性組成物を用いて、皮膚の感染を処置してよい。非常に一般的な皮膚感染の例はざ瘡であり、これにはp.acnes、ならびに黄色ブドウ球菌およびシュードモナス属の脂腺への感染が関与する。諸抗菌剤がざ瘡の処置に利用されているが、皮膚層および脂腺の疎水性環境への浸透性が低いためにその有効性は制限される。本発明の組成物は疎水性コンポーネントを含むので、浸透率を向上させるであろう。さらに、フォーム補助剤、すなわち脂肪アルコールおよび酸固有の抗菌性および抗炎症性作用が併用効果を提供し、これにより処置に対するさらに良好な治療反応が生じるであろう。
【0096】
本発明の組成物は、皮膚構造損傷、例えば切り傷、傷害、やけどおよび潰瘍に伴う二次感染の予防および処置に特に有用かつ有益である。このようなすべての事例で、本発明の製剤は使用が容易であり、適用時にはフォーム状態であり、そして皮膚上へこすりつけるとすぐに液状になる。
【0097】
感染の予防および処置に有用であると同時に、本発明の抗菌性フォームはまた、細菌戦生物、例えば炭疽菌および天然痘で汚染された領域の汚染除去に適用可能である。
【0098】
本発明の組成物を粘膜、口腔、膣および直腸に局所適用した場合にも、同利点が予想される。
【0099】
抗真菌剤
真菌感染は、本発明の組成物を用いる処置の別の対象である。皮膚の表在性真菌感染は、一般診療において認められる最も一般的な皮膚疾患の1つである。皮膚糸状菌症はおそらく最も一般的な皮膚の表在性真菌感染である。この感染は、ヒト表皮、爪または毛のケラチンを代謝する能力を有するある群の真菌を原因とする。皮膚糸状菌症を引き起こす3つの属の皮膚糸状菌が存在し、これらはすなわち小胞子菌属、白癬菌属および表皮菌属である。
【0100】
カンジダ症は、酵母様真菌カンジダ・アルビカンスあるいは時には他の種のカンジダ属を原因とする感染である。カンジダ症の臨床的な症候群には以下のものが含まれる:(a)口腔カンジダ症(口内がこう瘡);(b)皮膚および性器粘膜のカンジダ症;および(c)カンジダ爪周囲炎、爪に罹患する。
【0101】
医薬組成物は、皮膚糸状菌およびカンジダ属に対して活性な、以下の非限定的な群から選択される抗真菌薬を含んでよい:治療有効濃度の、アゾール、ジアゾール、トリアゾール、ミコナゾール、フルコナゾール、ケトコナゾール、クロトリマゾール、イトラコナゾールグリセオフルビン、シクロピロックス、アモロルフィン、テルビナフィン、アムホテリシンB、ヨウ化カリウム、フルシトシン(5FC)およびこれらの任意の組み合わせ。
【0102】
これは例えば体部白癬、足白癬、紅癬(tinea rubrum)、爪白癬、股部白癬、須毛部白癬および癜風、ならびに酵母感染、例えばカンジダ症および膣カンジダ症の処置に有用である。
【0103】
抗ウイルス剤
本発明の組成物は、ウイルス感染の事例で特に有益である。口唇ヘルペスは単純ヘルペスウイルス1型を原因とする。この感染は顔面ヘルペス(facial herpes)と称されることもある。軟属腫(Mollusca)は、顔面、体幹、下腹部、骨盤、内側大腿、または陰茎上に、わずかに、あるいは群で現れる小ウイルス増殖である。通常は一生に一回のみ生じる帯状疱疹(帯状ヘルペス)は、発疹(赤い基部を有する水疱クラスタ)として現れる。これは水痘の原因ウイルスと同一のウイルスを原因とする。いぼは、ウイルス感染を原因とする一般的な良性皮膚腫瘍である。
【0104】
ウイルス感染は現在、種々の抗ウイルス剤で処置されている。これらの抗ウイルス剤を以下の表にまとめる:
【0105】
【表1】

上記抗ウイルス薬はいずれも、治療有効濃度において、本発明のフォーム組成物中に包含することができる。本発明の組成物は、疎水性溶媒を含むので、上に列記した任意の抗ウイルス薬の浸透率を向上させ、また局所分配をより良好にするであろう。さらに、フォーム補助剤、すなわち脂肪アルコールおよび酸固有の抗ウイルス性作用が併用効果を提供し、これにより処置に対するさらに良好な治療反応が生じるであろう。
【0106】
抗炎症剤または抗アレルギー剤
本発明のさらに別の実施態様では、薬物は抗炎症剤または抗アレルギー剤である。抗炎症剤または抗アレルギー剤は、治療有効濃度の、コルチコステロイド、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、抗ヒスタミン剤、免疫抑制剤およびこれらの任意の組み合わせの群から選択することができる。
【0107】
以下の表は、現在利用可能なコルチコステロイド剤およびその典型的な治療有効濃度の概要を提供する。
【0108】
【表2】

上記表に挙げたコルチコステロイド薬の濃度は、本明細書中で例示的にのみ提示するものであり、任意の治療有効濃度のこのようなコルチコステロイドを本発明の組成物中に包含することができる。
【0109】
すべてのコルチコステロイド薬は典型的に疎水性であるため、疎水性溶媒を含む本発明の担体は、上に列記する任意の薬物の局所分配をより良好にし、また浸透率を向上させるビヒクルとして最も適切である。さらに、フォーム補助剤、すなわち脂肪アルコールおよび酸固有の抗ウイルス性、抗菌性および抗炎症性作用が併用効果を提供し、これにより処置に対するさらに良好な治療反応が生じるであろう。
【0110】
乾癬は非常に一般的な慢性皮膚疾患であり、本発明の組成物を用いる処置の標的としてよい。その際立った症状は、銀色の鱗状表面で覆われたシャープな輪郭の紅斑が周期的に突発することである。
【0111】
乾癬の処置には一般に、コルチコステロイド軟膏が使用される。この軟膏は、水をほとんど含有しないか、あるいは全く含有しない脂っぽい製剤である。この軟膏の主な欠点は、そのべとべとした感触である。この感触は処置終了後も非常に長く残る。対照的に本発明のフォームは、かなりの濃度の油状物(疎水性溶媒)を含みながら、非常に容易に罹患領域全体へ塗り広げることができ、そして皮膚へ吸収され、この際、不都合な感触または外観を全く残さない。薬物がステロイドである本発明の組成物によって処置することができる他の炎症性障害の例は、アトピー性皮膚炎、脂漏症、顔および体幹の脂漏性皮膚炎、脂漏性眼瞼炎、接触皮膚炎、うっ血性皮膚炎(沈下性湿疹;静脈瘤性湿疹)、剥脱性皮膚炎(紅皮症)、慢性単純性苔癬、バラ色粃糠疹および天疱瘡である。
【0112】
現在利用可能な局所抗ヒスタミン性製剤には、1%および2%ジフェンヒドラミン(Benadryl(登録商標)およびCaladryl(登録商標))、5%ドキセピン(Zonalon(登録商標))クリーム、マレイン酸ピリラミン(phrilamine maleate)、クロルフェニラミンおよびトリペレンナミン、フェノチアジン、プロメタジン塩酸塩(Phenergan(登録商標))およびマレイン酸ジメチンデンが含まれる。これらの薬物、ならびに別の抗ヒスタミン剤もまた、本発明の組成物中に包含することができる。
【0113】
指摘する点として、オメガ−3およびオメガ−6脂肪酸(例えばリノール酸およびリノレン酸、ガンマ−リノール酸(GLA)、エイコサペンタエン酸(EPA)およびドコサヘキサエン酸(DHA))を含有するポリ不飽和脂肪酸は、乾癬および他の皮膚炎症状の処置に有益である。
【0114】
本発明のフォームにおいて有用な第二のクラスの抗炎症性剤には、非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)が含まれる。この群に含まれる諸化合物は当業者に周知である。本発明組成物において有用な非ステロイド性抗炎症剤の具体例には、以下のものが含まれるが、これらに限定されない:
1)オキシカム、例えばピロキシカム、イソキシカム、テノキシカム、スドキシカム(sudoxicam);
2)サリチラート、例えばサリチル酸、サリチル酸エチル、サリチル酸メチル(methyl salycilate)、アスピリン、ジサルシド(disalcid)、ベノリラート(benorylate)、トリリサート(trilisate)、サファプリン(safapryn)、ソルプリン(solprin)、ジフルニサル、およびフェンドサル(fendosal);
3)酢酸誘導体、例えばジクロフェナク、フェンクロフェナク、インドメタシン、スリンダク、トルメチン、イソキセパク(isoxepac)、フロフェナク(furofenac)、チオピナク(tiopinac)、ジドメタシン(zidometacin)、アセメタシン(acematacin)、フェンチアザク、ゾメピラク、クリンダナク(clindanac)、オキセピナク(oxepinac)、フェルビナク、およびケトロラク;
4)フェナメート(Fenamates)、例えばメフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、ニフルム酸、およびトルフェナム酸;
5)プロピオン酸誘導体、例えばイブプロフェン、ナプロキセン、ベノキサプロフェン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、フェノプロフェン、フェンブフェン、インドプロフェン(indopropfen)、ピルプロフェン、カルプロフェン、オキサプロジン、プラノプロフェン、ミロプロフェン(miroprofen)、チオキサプロフェン(tioxaprofen)、スプロフェン、アルミノプロフェン(alminoprofen)、およびチアプロフェン酸(tiaprofenic);
6)ピラゾール、例えばフェニルブタゾン、オキシフェンブタゾン、フェプラゾン(feprazone)、アザプロパゾン、およびトリメタゾン。
【0115】
炎症プロセスの徴候を予防し、緩和し、炎症プロセスを処置し、あるいは治癒する効力を有するさらに別の任意のステロイドおよび非ステロイド化合物は、概して、本発明の抗炎症剤候補として包含される。
【0116】
本発明の医薬組成物はまた、炎症誘発性サイトカインの発生を減少させ、あるいは炎症誘発性サイトカインの作用を阻害する抗炎症剤または抗アレルギー剤を含んでもよい。
【0117】
上記抗炎症剤の混合物、ならびにこれらの物質の皮膚科学的に許容し得る塩、エステル、アミド、プロドラッグおよび誘導体を使用してもよい。
【0118】
安全かつ有効な用量のNSAIDを含むフォームの局所適用は、リウマチ様関節炎、骨関節炎および痛みの徴候を予防および/または緩和するのに有用であり得る。また、本発明のフォームに包含された局所用NSAIDを用いて、皮膚科学的障害、例えばざ瘡、酒さ、発毛障害、光線性角化症および特定の皮膚癌症状を処置することができる。
【0119】
局所麻酔剤
本発明の組成物は、安全かつ有効な量の局所麻酔剤を含有してよい。局所麻酔薬の例には、ベンゾカイン、リドカイン、ブピバカイン、クロルプロカイン(chlorprocaine)、ジブカイン、エチドカイン、メピバカイン、テトラカイン、ジクロニン、ヘキシルカイン、プロカイン、コカイン、ケタミン、プラモキシン、フェノール、およびこれらの製薬的に許容し得る塩が含まれる。上記麻酔薬の混合物は相乗的に有益であろう。
【0120】
角質溶解性活性物質
本明細書中で使用する用語「角質溶解性活性物質」とは、皮膚の角質層を緩和し、除去するか、あるいは皮膚角質層の構造を変化させる化合物を意味する。
【0121】
角質溶解性活性物質は、多数の皮膚科学的障害の処置に使用される。この障害には、乾燥皮膚、角化亢進(例えば乾癬(prsoriasis))、皮膚そう痒(例えば乾皮症)、ざ瘡および酒さが含まれる。
【0122】
適切な角質溶解性活性物質には、フェノールおよび置換フェノール化合物が含まれる。このような化合物は、角化亢進組織の細胞内マトリクスを溶解し、緩和することが既知である。したがって、これらは皮膚科学的障害の処置に使用される。ジヒドロキシベンゼンおよびその誘導体は強力な角質溶解剤であることが認められている。レゾルシノール(m−ジヒドロキシベンゼン)およびその誘導体は抗ざ瘡製剤中で使用される。ヒドロキノン(p−ジヒドロキシベンゼン)もまた、その抗色素沈着性に加えて、角質溶解性である。これらの化合物は防腐性をも示す。クレゾールもまた、殺菌性および角質溶解性を有する。
【0123】
ビタミンAおよびその誘導体、例えばレチノイン酸、イソレチノイン酸、レチノールおよびレチナールは別の好ましいクラスの角質溶解性活性物質である。
【0124】
別の群の角質溶解性活性物質には、アルファ−ヒドロキシ酸、例えば乳酸およびグリコール酸およびそれぞれの塩および誘導体;およびベータ−ヒドロキシ酸、例えばサリチル酸(o−ヒドロキシ安息香酸)およびその塩および製薬的に許容し得る誘導体が含まれる。これらは典型的に抗炎症性、ならびに角質溶解活性を有する。
【0125】
さらに別のクラスの好ましい角質溶解性活性物質には、尿素およびその誘導体が含まれる。
【0126】
レチノイド
別の好ましい群の活性物質は、レチノール、レチナール、全トランス型レチノイン酸およびその誘導体、異性体およびアナログを含む。これらは包括的に「レチノイド」と称される。エトレチナート、アクチレチン(actiretin)、イソトレチノイン、アダパレンおよびタザロテンは上記レチノイド異性体およびアナログの別の例である。活性薬物としてレチノイドを含有する本発明の組成物を罹患領域上に適用して使用し、ざ瘡、脂漏症、諸皮膚疾患、皮膚、粘膜、膣および直腸の炎症、乾癬、光線性角化症および皮膚癌を処置することができる。
【0127】
殺虫剤および昆虫忌避剤
昆虫、例えば蚊、サシバエ、ダニ、ブヨ、ノミ、ツツガムシ、ヌカカ、サシチョウバエ、シラミおよびマダニは、不快であり得るものであり、またヒトおよび動物の健康に深刻な危険を生じさせることもある。米国の特定領域では、蚊はウマ脳症およびセントルイス脳炎のような疾患を伝染させ得る。サシバエは、何日も持続し、腫張し、そして感染性になり得る痛みを伴う咬傷を与え得る。マダニは、ライム病およびロッキー山紅斑熱のような深刻な疾患を伝染させ得る。
【0128】
飛ぶか、または刺咬する昆虫、クモ、マダニおよびダニからヒトおよび動物を保護する場合に使用されるいくつかのタイプの昆虫忌避剤が存在する。これらには例示的に、DEET(N,N−ジエチル−m−トルアミド)、フタル酸ジメチル、ピペロニルブトキシドおよびペルメトリンが含まれるであろう。昆虫忌避性のテルペノイドが以下の刊行物に報告されている:Hwang,et al,J.Chem.Ecol.,11,1297(1985);およびRuledge,J.Am.Mosquito Control Assoc. 4,414(1988)。
【0129】
特に好ましい群の昆虫忌避剤には、米国特許第5,411,992号に記載されるテルペノイド化合物が含まれる。これには以下の化合物が含まれる:
(1)テルペノイド−アルコールまたはテルペン−オールは、少なくとも1つのヒドロキシル基を有するテルペノイドである。テルペン−オールの例には以下のものが含まれる:C1016O化合物、ペリラアルコール(perillyl alcohol)、カルベオール(carveol)、ミルテノール、およびシス−ベルベノール;C1018O化合物、ミルタノール(myrtanol)、イソ−ピノカムフェオール(iso-pinocampheol)、ジヒドロカルベオール(dihydrocarveol)、イソプレゴール、テルピネオール、テルピネン−4−オール、ネロール、ゲラニオール、およびリナロール、ならびにC1020O化合物、メントール、ベータ−シトロネロール、およびジヒドロ−ミルセノール(dihydro-myrcenol)。
【0130】
(2)テルペノイド−エステルは、少なくとも1つのエステル基を有するテルペノイドである。これは、テルペン−オールのヒドロキシル基と脂肪族カルボン酸の結合産物であり、このカルボン酸はその脂肪族鎖上に官能基、例えばヒドロキシルまたはアミンを含有し得る。適切な脂肪族カルボン酸の例には、酢酸、プロピオン酸、乳酸、および諸アミノ酸が含まれる。テルペノイド−エステルの例には以下のものが含まれる:カルビルアセテート、カルビルプロピオナート、およびメンチルラクテート。
【0131】
(3)テルペノイドを含有する精油およびテルペノイドを含有する香料。高含量のテルペン−オールおよびエステルを有する精油の非限定的な例には、ベルガモット(62%テルペノイド);セージ(>50%テルペノイド);エゴノキ(styrax)(>50%テルペノイド);ペパーミント(>50%テルペノイド);およびシベリアマツ(pine Siberian)(75%テルペノイド%)が含まれる。テルペン、アルデヒドおよびケトンはその有用性が異なるが、この群は概して昆虫忌避剤としての効力を有する。
【0132】
本発明のフォームは、ヒトおよび動物の皮膚の広い領域に昆虫忌避剤を効率的かつ均一に塗り広げるのに特に適している。フォーム組成物中に存在する疎水性溶媒は、昆虫忌避剤を皮膚表面に長時間保持するのを支援する。
【0133】
さらに別の実施態様では、フォームはヒトおよび動物の罹患した外側表面領域への殺昆虫剤(殺虫剤)のデリバリーに適している。したがって、医薬または化粧剤組成物は寄生虫学分野で既知の殺虫剤を含んでよい。このような殺虫剤は例示的に、治療有効濃度の、ペルメトリン、ヘキサクロロベンゼン、カルバメート、天然に存在するピレスロイド、ペルメトリン、アレトリン、マラチオン、ピペロニルブトキシドおよびこれらの任意の組み合わせの群から選択することができる。この組成物の適用は非常に利便性が高く、有毛領域に対してさえ、容易に塗り広げることができる。フォーム組成物中に存在する疎水性溶媒は、殺虫剤を処置領域に長時間保持するのを支援する。さらに、フォーム中に疎水性溶媒が存在することにより、シラミおよびシラミの卵を櫛で機械的に除去する作業が容易になる。
【0134】
抗癌剤
また、本発明では、皮膚悪性腫瘍、例えば基底細胞癌、扁平上皮癌(squamous sell carcinoma)、黒色腫およびカポジ肉腫、ならびに前癌症状の光線性角化症からの選択薬として抗癌剤を使用することができる。特定の事例では、局所細胞傷害性および抗増殖性薬剤を用いてこのような癌を処置または予防する。この薬剤は、例えば5−フルオロウラシルであり、これは5−FUとも称される。5−FU、ならびに癌医学分野で既知の任意の他の抗癌剤は、治療有効レベルでフォーム中に包含することができる。
【0135】
本発明製剤のフォーム中で使用するのに適した好ましい族の抗ガン剤は、抗エストロゲン剤、例えばタモキシフェンを含む。タモキシフェンは身体内のエストロゲンホルモンの作用をブロックする。この薬剤を使用して、乳癌の再発を予防または遅延させ、あるいはその拡大を抑制する。
【0136】
光線力学的治療剤
本発明のフォーム組成物はまた、光線力学的治療分野で既知の光増感剤をデリバリーするのに有用である。このような光増感剤は例示的に、修飾ポルフィリン、クロリン(chlorins)、バクテリオクロリン、フタロシアニン、ナフタロシアニン(naphthalocyanines)、フェオホルビド、プルプリン、m−THPC、モノ−L−アスパルチルクロリンe6(mono-L-aspartyl chlorin e6)、バクテリオクロリン、フタロシアニン、ベンゾポルフィリン誘導体、ならびに光増感剤前駆体、例えばアミノレブリン酸(ALA)を含む群から選択することができる。
【0137】
やけど、傷害、切り傷および潰瘍に関する活性物質
本発明の組成物を用いるやけど、傷害、切り傷および潰瘍の処置は特に有益である。このフォームは(細菌、真菌および/またはウイルスに対する)抗感染剤、抗炎症剤(ステロイド性および/またはNSAID)および鎮痛剤成分をともに含むことができる。適用時には、フォームは容易に塗り広げることができ、罹患領域の表面を覆うことができる。この際、痛みは生じない。
【0138】
スキンケア活性物質
本発明のフォームはスキンケアおよび美容のためのケアに有用かつ有益である。油状物と水の組み合わせは、保湿性を有しており、塗り広げることが可能なフォーム剤形として、現在使用されている美容用スキンケアクリーム、ローション、ゲル、等の代わりに使用することができる。本発明の化粧剤フォーム組成物はさらに、「薬用化粧品」製剤(治療効果を有する化粧品)として、「美容上の」皮膚障害、例えば加齢した皮膚、しわ、色素沈着過度(肝斑、しみ、そばかす、等)、鱗屑性皮膚および他の望ましくない皮膚の性質を処置するための適用に適している。
【0139】
CTFA化粧剤用成分ハンドブック(The CTFA Cosmetic Ingredient Handbook)には、スキンケア業界で一般に使用される各種の非限定的な化粧剤成分および医薬成分が記載されている。これらは本発明の組成物中で使用するのに適している。これらの成分クラスの例には以下のものが含まれる:研磨剤、吸着剤、美容成分、例えば香料、色材、着色剤(colorings/colorants)、精油、収斂剤、等(例えばチョウジ油、メントール、カンフル、ユーカリ油、オイゲノール、メンチルラクテート、ウイッチヘーゼル留出物)、抗−ざ瘡剤、抗菌剤(例えばヨードプロピルブチルカルバメート)、抗酸化剤、結合剤、生物学的添加剤、緩衝剤、増量剤、キレート剤、化学添加剤、着色剤、化粧剤用収斂剤、化粧剤用殺生剤、変性剤、薬用収斂剤、外用鎮痛薬、被膜剤または材料、例えば、組成物の膜形成特性および実体性(substantivity)を支援するためのポリマー(例えばエイコセンとビニルピロリドンのコポリマー)、隠蔽剤、pH調節剤、噴霧剤、還元剤、金属イオン封鎖剤、皮膚漂白および薄色化剤(例えばヒドロキノン、コウジ酸、アスコルビン酸、アスコルビルリン酸マグネシウム、アスコルビルグルコサミン)、スキンコンディショニング剤(例えば湿潤剤、多様型および閉鎖型を含む)、皮膚緩和剤および/または治療剤(例えばパンテノールおよび誘導体(例えばエチルパンテノール)、アロエ・ベラ、パントテン酸およびその誘導体、アラントイン、ビサボロール、およびグリチルリジン酸二カリウム)、皮膚処置用物質、増粘剤、およびビタミンおよびこれらの誘導体。
【0140】
いずれにしろ本発明の実施態様ではいずれも、本発明において有用な活性物質を、その活性物質が提供する有益性またはその想定される作用様式によって分類することができる。本発明において有用な活性物質は、2つ以上の有益性を提供し、あるいは2つ以上の作用様式によって機能することがあり得ることが理解されよう。したがって、本明細書中での分類は便宜のために施したものであり、列記されている特定の適用または適用群にその活性を限定することを意図しない。
【0141】
抗−ざ瘡活性物質
本発明の組成物は、安全かつ有効な量の1つまたはそれ以上の製薬的または製化粧剤的に許容し得る抗−ざ瘡活性物質を含有してよい。有用な抗−ざ瘡活性物質の例には、治療有効濃度の、レゾルシノール、硫黄、サリチル酸およびサリチラート、アルファ−ヒドロキシ酸、非ステロイド性抗炎症剤、過酸化ベンゾイル、レチノイン酸、イソレチノイン酸および他のレチノイド化合物、アダパレン、タザロテン、アゼライン酸およびアゼライン酸誘導体、抗生物質、例えばエリスロマイシンおよびクリンダマイシン(clyndamycin)、亜鉛塩および錯体、およびこれらの組み合わせが含まれる。
【0142】
抗−しわ活性物質/抗−萎縮活性物質および乾燥皮膚および鱗屑性皮膚(乾皮症および魚鱗癬)を処置する物質
本発明の組成物はさらに、安全かつ有効な量の1つまたはそれ以上の抗−しわ活性物質または抗−萎縮活性物質を含有してよい。これらの活性物質は、フォームを皮膚上に塗り広げることによって容易にデリバリーすることができる。本発明の組成物中で使用するのに適した代表的な抗−しわ/抗−萎縮活性物質には、硫黄含有DおよびLアミノ酸およびそれらの誘導体および塩、特にN−アセチル誘導体;チオール;ヒドロキシ酸(例えばアルファ−ヒドロキシ酸、例えば乳酸およびグリコール酸およびそれらの誘導体および塩;またはベータ−ヒドロキシ酸、例えばサリチル酸およびサリチル酸塩および誘導体)、尿素、ヒアルロン酸、フィチン酸、リポ酸;リゾホスファチジン酸、表皮剥脱剤(例えばフェノール、レゾルシノール等)、ビタミンB3化合物(例えばナイアシンアミド、ニコチン酸およびニコチン酸塩およびエステル、例えばニコチン酸の非血管拡張性エステル(例えばニコチン酸トコフェロール(tocopheryl nicotinate))、ニコチニルアミノ酸(nicotinyl amino acids)、カルボン酸のニコチニルアルコールエステル、ニコチン酸N−オキシドおよびナイアシンアミドN−オキシド)、ビタミンB5およびレチノイド(例えばレチノール、レチナール、レチノイン酸、レチニルアセテート、レチニルパルミテート、レチニルアスコルベート)が含まれる。乾燥、鱗屑性皮膚(乾皮症)および魚鱗癬の事例では、このような物質は、これらの症状に付随するそう痒を一時的に排除することによりその徴候を緩和することができる。
【0143】
抗-酸化剤/ラジカルスカベンジャー
安全かつ有効な量の抗−酸化剤/ラジカルスカベンジャーを本発明の組成物に加えてよい。この物質は、好ましくは組成物の約0.1%〜約10%(w/w)、より好ましくは約1%〜約5%(w/w)である。
【0144】
抗−酸化剤/ラジカルスカベンジャー、例えばアスコルビン酸(ビタミンC)およびその塩、脂肪酸のアルコルビルエステル、アスコルビン酸誘導体(例えばアスコルビルリン酸マグネシウム、アスコルビルリン酸ナトリウム、ソルビン酸アスコルビル)、トコフェロール(ビタミンE)、ソルビン酸トコフェロール、酢酸トコフェロール、トコフェロールの他のエステル、ブチル化ヒドロキシ安息香酸およびそれらの塩、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸(商品名Trolox(登録商標)として市販されている)、没食子酸およびそのアルキルエステル、特に没食子酸プロピル、尿酸およびその塩およびアルキルエステル、ソルビン酸およびその塩、リポ酸、アミン(例えばN,N−ジエチルヒドロキシルアミン、アミノ−グアニジン)、スルフヒドリル化合物(例えばグルタチオン)、ジヒドロキシフマル酸およびその塩、リシンピドレート(lycine pidolate)、アルギニンピロレート(arginine pilolate)、ノルジヒドログアヤレト酸、バイオフラボノイド、クルクミン、リジン、メチオニン、プロリン、スーパーオキシドジスムターゼ、シリマリン、茶抽出物、ブドウ皮/種子抽出物、メラニン、およびローズマリー抽出物を使用してよい。
【0145】
本発明のフォームは、皮膚を保護し、かつ再生させる抗−酸化剤/ラジカルスカベンジャーをデリバリーするのに適している。さらに指摘する点として、オメガ−3およびオメガ−6脂肪酸(例えばリノール酸およびリノレン酸、ガンマ−リノール酸(GLA)、エイコサペンタエン酸(EPA)およびドコサヘキサエン酸(DHA))を含有するポリ不飽和脂肪酸は、乾癬および他の皮膚炎症の症状の処置に有益である。同様に、皮膚軟化剤およびシリコーン油は皮膚に対して保湿および皮膚保護効果を与える。したがって好ましい実施態様では、皮膚保護用フォームであって、このフォーム中、疎水性溶媒は、皮膚軟化剤、シリコーン油および油状物の群から選択される、不飽和脂肪酸が豊富な溶媒を完全に、または部分的に含み、これにより抗−酸化剤/ラジカルスカベンジャー物質およびビヒクルコンポーネントの相乗治療効果を提供するフォームを提供する。
【0146】
セルフ・タンニング活性物質
本発明のフォームは、タンニング活性物質を皮膚の広い領域に均一にデリバリーするのに特に適している。この組成物は好ましくは、組成物の約0.1%〜約20%、より好ましくは約2%〜約7%、さらに好ましくは約3%〜約6%のジヒドロキシアセトンまたは、人工タンニング活性物質として当分野で既知である任意の他の化合物を含有する。
【0147】
皮膚薄色化および白色化剤
本発明のフォームは、皮膚薄色化剤を均一にデリバリーするのに特に適している。使用時には、組成物は好ましくは、組成物の約0.1%〜約10%、より好ましくは約0.2%〜約5%の皮膚薄色化剤を含有する。適切な皮膚薄色化または白色化剤には当分野で既知の物質が含まれ、これは例えば、ヒドロキノン、アゼライン酸および他の関連するジカルボン酸、およびそれらの塩および誘導体、レチノイド、コウジ酸、アルブチン、ニコチン酸およびその前駆体、塩および誘導体、アルブチン、アスコルビン酸およびその塩および誘導体(例えばアスコルビルリン酸マグネシウムまたはアスコルビルリン酸ナトリウム)、および漢方抽出物(例えば甘草抽出物、桑実抽出物、胎盤抽出物)である。
【0148】
本発明の1つまたはそれ以上の実施態様では、フォーム組成物は皮膚白色化剤および日焼け止め剤の組み合わせを含む。
【0149】
本発明の1つまたはそれ以上の実施態様では、フォーム組成物は皮膚白色化剤および無機物の日焼け止め剤の組み合わせを含む。無機物の日焼け止め剤、例えばTiO2を皮膚にこすりつけると、白色のコーティングが残り、これは(一時的ではあるが)即時の白色化効果を提供する。この効果は、自分の外観に関して瞬時の変化を確認したい消費者が非常に望むものである。フォーム担体中で白色化剤を無機物の日焼け止め剤と組み合わせると、皮膚表面に容易かつ均一に分配することができ、これにより瞬時の白色化効果さえも得られる。これは皮膚領域に均一に塗り広げることが困難なクリームとは異なる。
【0150】
日焼け止め
紫外線に対する露出は、角質層に関する過度の落屑状化および肌目の変化を生じさせ得る。本発明のフォームは日焼け止め剤をデリバリーするのに有益である。このフォームの適用は非常に利便性が高く、広い皮膚領域にわたって容易に塗り広げることができる。このフォーム中には疎水性溶媒が存在するので、水浴中でさえ、持続性の効果が確保される。
【0151】
本明細書中で使用する「日焼け止め活性物質」または「日焼け止め剤」には、日焼け止め剤(sunscreen agents)および物理的サンブロック(physical sunblocks)がともに含まれる。適切な日焼け止め活性物質は有機または無機物であってよい。
【0152】
本発明において有用な無機物の日焼け止めには、以下の金属酸化物が含まれる;約15nm〜約100nmの平均一次粒子サイズを有する二酸化チタン、約15nm〜約150nmの平均一次粒子サイズを有する酸化亜鉛、約15nm〜約150nmの平均一次粒子サイズを有する酸化ジルコニウム、約15nm〜約500nmの平均一次粒子サイズを有する酸化鉄、およびこれらの混合物。本発明において使用する際には、無機物の日焼け止めは組成物の約0.1%〜約20%、好ましくは約0.5%〜約10%、より好ましくは約1%〜約5%の量で存在する。
【0153】
本発明における使用には、慣用の、有機物の各種日焼け止め活性物質が適している。適切な日焼け止め活性物質の具体例には、例えば以下の物質が含まれる:p−アミノ安息香酸、その塩およびその誘導体(エチル、イソブチル、グリセリルエステル;p−ジメチルアミノ安息香酸);アントラニラート(すなわちo−アミノ−ベンゾエート;メチル、メンチル、フェニル、ベンジル、フェニルエチル、リナリル、テルピニル、およびシクロヘキセニルエステル);サリチラート(アミル、フェニル、オクチル、ベンジル、メンチル、グリセリル、およびジ−プロ−ピレングリコールエステル);桂皮酸誘導体(メンチルおよびベンジルエステル、a−フェニルシンナモニトリル;ブチルシンナモイルピルベート);ジヒロドキシ桂皮酸誘導体(ウンベリフェロン、メチルウンベリフェロン、メチルアセト−ウンベリフェロン);トリヒドロキシ−桂皮酸誘導体(エスクレチン、メチルエスクレチン、ダフネチン、およびグルコシド、エスクリンおよびダフニン);炭化水素(ジフェニルブタジエン、スチルベン);ジベンザルアセトンおよびベンザルアセトフェノン;ナフトールスルホナート(2−ナフトール−3,6−ジスルホン酸のナトリウム塩および2−ナフトール−6,8−ジスルホン酸のナトリウム塩);ジ−ヒドロキシナフトエ酸およびその塩;o−およびp−ヒドロキシビフェニルジスルホナート;クマリン誘導体(7−ヒドロキシ、7−メチル、3−フェニル);ジアゾール(2−アセチル−3−ブロモインダゾール、フェニルベンゾオキサゾール、メチルナフトオキサゾール、諸アリールベンゾチアゾール);キニーネ塩(硫酸水素塩、硫酸塩、塩化物、オレイン酸塩およびタンニン酸塩);キノリン誘導体(8−ヒドロキシキノリン塩、2−フェニルキノリン);ヒドロキシ−またはメトキシ−置換ベンゾフェノン;尿酸およびビオルル酸;タンニン酸およびその誘導体(例えばヘキサエチルエーテル);(ブチルカーボトール(butyl carbotol))(6−プロピルピペロニル)エーテル;ヒドロキノン;ベンゾフェノン(オキシベンゼン、スルイソベンゾン、ジオキシベンゾン、ベンゾレゾルシノール、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、オクタベンゾン;4−イソプロピルジベンゾイルメタン;ブチルメトキシジベンゾイルメタン;エトクリレン(etocrylene);オクトクリレン;[3−(4’−メチルベンジリデンボルナン−2−オン)、テレフタリリデンジカンフルスルホン酸および4−イソプロピル−ジ−ベンゾイルメタン。
【0154】
安全かつ有効な量の、有機物の日焼け止め活性物質を使用する。この量は、典型的に組成物の約1%〜約20%、より典型的には約2%〜約10%である。正確な量は、選択される日焼け止めまたは日焼け止め群および所望の太陽光線保護指数(SPF)に応じて変化する。
【0155】
発毛障害に関する物質
本発明のフォーム中には、発毛パターンに影響する物質を適切に包含することができる。脱毛の最も一般的な原因である男性型脱毛症(MPB)は、男性ホルモンであるジヒドロテストステロン(DHT)の活性によって誘発される。このホルモンは酵素5アルファレダクターゼによってホルモンであるテストステロンから変換される。MPBの現行処置には、ミノキシジルおよび、5アルファレダクターゼを阻害する物質、例えばフィナステリド、スピロノラクトン、アゼライン酸およびアゼライン酸誘導体および塩が含まれる。このような物質、ならびに当分野で既知の他の物質は、本発明のフォーム中に包含することができる。
【0156】
さらに指摘する点として、ポリ不飽和脂肪酸、すなわち、いずれかの必須脂肪酸(EFA):リノール酸およびリノレン酸、ガンマ−リノール酸(GLA)、エイコサペンタエン酸(EPA)およびドコサヘキサエン酸(DHA)を含むもの、もまた発毛に寄与することが既知である。したがって、好ましい実施態様では、発毛フォームであって、疎水性溶媒が上記不飽和脂肪酸が豊富な油状物を、完全に、または部分的に含むフォームを提供する。
【0157】
容姿形成用物質;セルライト/スリミング処置用物質
本発明のフォーム中には、セルライトの処置およびスリミング商品中で使用されるような容姿形成用物質を適切に包含することができる。セルライトの処置およびスリミング効果の誘発に関して既知である活性物質の非限定的な例を列挙すれば、薬草抽出物、例えばヒバマタ(baldderwack)抽出物、ナギイカダ(butcher's, broom)、カイエンペッパー、タンポポ、ムラサキツメクサ、イチョウ、セイヨウトチノキ、ウイッチヘーゼルおよびルリヂサ油、オメガ3およびオメガ6油、コーヒー酸およびその塩および誘導体、キサンチン物質、例えばカフェイン、テオフィリン(theophiline)およびペントキシフィリン、およびニコチン酸およびその塩および誘導体が含まれる。
【0158】
日焼け、熱傷、放射線熱傷、発疹およびそう痒処置用物質
本発明のフォーム中には、皮膚炎、軽い皮膚過敏、日焼け、熱傷、放射線熱傷を処置し、炎症を阻害する薬理学および美容学分野で既知の化粧剤成分および医薬成分を有益に包含することができる。
【0159】
このような活性物質の例には、カミツレ抽出物(matricaria recutitia)、キュウリ留出物(cucumis sativus)、ラベンダー水(lavendula angustifolia)、ローズ水(rosa damascena)、ウイッチヘーゼル(hamamelis virginiana)、アラントイン、ビサボロール、ローズヒップ油、カレンジュラ油、アズレン(azulaene)、メントールおよびカンフルが含まれる。
【0160】
潤滑用および保護用フォームとしてのフォームの使用
フォーム、特にシリコーン油ベースのフォームに関して、潤滑用フォームとしていくつかの有望な用途がある。典型例はシェービングフォーム、保湿用フォームおよび減摩用フォームである。この目的では、(追加の製剤補助物質および活性成分を伴わない)その基本組成物中で、あるいは上記添加剤を加えて、フォームを使用することができる。
【0161】
有害化学物質の中和および/または汚染除去用および熱傷処置用のフォーム
一般的なヨウ素製品であるポビドンヨード消毒剤は、マスタードガスおよび他の刺激性化学物質に曝露されたモルモット皮膚に対する損傷を改善させることができ、さらに、熱水、油状物または熱蒸気を原因とする熱傷事故後のヒト皮膚に対する損傷を減少させ、そして多くの場合予防することが報告されている。
【0162】
汚染除去能を有する他の活性化合物は、強力な酸化剤およびフリーラジカル遊離化合物、例えば酸化水素、漂白剤(例えばナトリウム、カルシウムまたはマグネシウムの次亜塩素酸塩(hypochloride)等)ヨウ素、クロロヘキシジンおよび過酸化ベンゾイルを含む。
【0163】
1つまたはそれ以上の上記汚染除去および中和剤を含む本発明のアルコールフリーフォームを汚染対象の皮膚に適用して、汚染行為の前に、あるいは汚染発生直後に汚染除去/中和手段として、予防層を形成させることができる。
【0164】
浸透エンハンサー
浸透エンハンサー(penetration enhancer or permeation enhancer)は、薬理活性物質に対する皮膚の浸透能を増大させるために使用される物質であり、これにより薬物が皮膚を通過して拡散し、組織および血流へ入る割合を増加させるものである。化学性の皮膚浸透エンハンサーは、角質層の生理化学的性質を可逆的に変化させ、その拡散抵抗性を減少させることによって皮膚浸透能を増大させる。1996年までの技術文献および特許文献の総括では、多数の化学物質が皮膚浸透エンハンサーとして挙げられた。これらの化合物のほとんどは、安全(GRAS)成分として一般に認められている。この成分は、策定者が多くの場合不活性であろうとみなした成分である(Osborne D W,Henke J J, Pharmaceutical Technology,November 1997,pp58−86)。
【0165】
本発明の浸透エンハンサーの例には、以下のものが含まれる:ポリオール、例えばプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコールn−アルカノール、テルペン、ジ−テルペン、トリ−テルペン、テルペン−オール(terpen-ols)、リモネン、テルペン−オール(terpene-ol)、1−メントール、ジオキソラン、エチレングリコール、他のグリコール、およびグリセロール;スルホキシド、例えばジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(dimethylformanide)、メチルドデシルスルホキシド、ジメチルアセトアミド;エトキシル化グリセリドのモノオレアート(8〜10個のエチレンオキシド部分を伴う);アゾン(Azone)(1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン)、2−(n−ノニル)−1,3−ジオキソラン;エステル、例えばミリスチン酸/パルミチン酸イソプロピル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、カプリン酸/カプリル酸トリグリセリド、オクチルミリステート、ドデシル−ミリステート;ミリスチルアルコール、ラウリルアルコール、ラウリン酸、ラウリル乳酸ケトン;アミド、例えばアセトアミドオレアート、例えばトリオレイン;諸界面活性剤、例えばラウリル硫酸ナトリウム;諸アルカン酸、例えばカプリル酸;ラクタム化合物、例えばアゾン;アルカノール、例えばオレイルアルコール;ジアルキルアミノアセテート、およびこれらの混合物。
【0166】
低級アルコール、例えばエタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソ−ブタノール、t−ブタノールおよびペンタノールは、その皮膚乾燥特性および皮膚刺激特性のために本発明の適切な浸透エンハンサーとして考慮しない。
【0167】
さらに別の好ましいクラスの浸透エンハンサーは、シクロデキストリンおよび関連化合物である。シクロデキストリンは構造的に関連性の環式オリゴマルトースであり、これは新規群の医薬賦形剤を形成する。これらは円環状分子であり、親水性外側面および脂肪親和性の中心孔を有する。シクロデキストリンは、各種脂肪親和性水不溶性薬物を伴う水溶性包接複合体の形成能を有する。この複合体は、薬物分子全体、またはそのいずれかの部分を孔内に取り込むことによって形成される。シクロデキストリン分子は比較的大きく(およそ1000〜1500超の範囲の分子量)、水和した外側面を有し、そして正常条件下では、シクロデキストリン分子は皮膚障壁に対してかなりの困難を伴うほどにしか浸透しない。一般には、シクロデキストリン分子は、脂肪親和性薬物分子を溶液状態で維持することにより真の担体として機能して薬物を皮膚表面にデリバリーし、皮膚表面で薬物はシクロデキストリン内孔から皮膚内へ配されると考えられている。
【0168】
さらに別の技術的要素
本発明の組成物は、容器中に入れ、その容器から分配してよい。この容器は、噴霧剤ガスの圧力に耐え得るものであり、そして加圧下で組成物をフォームとして分配するために適切なバルブ/ノズルを有する。慣用の液化または圧縮ガス噴霧剤を加えることができ、その量は組成物全体の約5−25%である。液化噴霧剤は加圧下で液体として存在するガスであり、これには高純度の炭化水素、例えばプロパン、イソブタンおよびn−ブタン、ジメチルエーテルおよびクロロフルオロカーボン(CFC)が含まれる。圧縮ガスの代表例は、空気、窒素および二酸化炭素である。
【0169】
本発明の特定の実施態様では、本発明の組成物を、貼布、密封テープまたは経皮デリバリー装置の皮膚接触部分に配し、このような物体を皮膚に適用することを含む。その目的は、有効な表面処置を達成し、あるいは、皮膚内への、または皮膚を通過する薬物の浸透性を向上させることである。
【0170】
このような戦略を利用して、現在全身性投与されているか、あるいは経皮デリバリーを必要とする薬物を、本発明の好ましい治療システムにおいて適用することができる。このような薬物の例は、ニコチン、テストステロンおよび他の男性ホルモンおよび男性ホルモン前駆体、エストロゲンおよび他の女性ホルモンおよびホルモン前駆体、成長ホルモン、インシュリン、カフェイン、ステロイド性および非ステロイド性抗炎症剤および甲状腺ホルモン代用物質。
【0171】
本発明の組成物を製造するためには、典型的には実施例1に例示される一般的プロセスを適用してよい。
【0172】
また、本発明の医薬用担体を用い、スキンケア剤および香料に加えることによって美容目的の化粧剤を製造することができる。
【実施例】
【0173】
実施例
以下の実施例を参照して本発明を説明する。この発明はこれらの実施例および実験に限定されない。多数のバリエーションが自明であり、これらは完全に、対象とする特許請求の範囲内である。
【0174】
実施例1−発泡性組成物を製造する一般的手順
水相:水ゲル化剤および界面活性剤を撹拌しながら水に溶解する。この溶液を50−70℃に温める。水溶性の化粧剤または医薬活性成分および水溶性任意成分を水相混合物に撹拌しながら加える。
【0175】
疎水相:疎水性溶媒を同温度に加熱する。予熱した疎水性溶媒にフォーム補助剤を加える。油溶性の化粧剤または医薬活性成分*および任意の油溶性製剤用成分を疎水相混合物に撹拌しながら加える。
【0176】
温めた水相に温めた疎水相を撹拌しながら徐々に注ぎ、次いでUltraturax均一化処理に付する。混合物を静置して室温に冷却する。熱感受性活性成分の場合、混合物を室温に冷却した後に撹拌しながら活性成分を加える。この混合物を室温でエアロゾル容器に加え、この容器を密封し、適量の噴霧剤(組成物質量の5−25w%)を加圧下で容器内に加える。
【0177】
実施例2−植物油ベースのフォーム担体組成物
【表3】

この組成物は、非イオン性界面活性剤を使用し、混合量が1.83%〜1.92%(w/w)の範囲である界面活性剤、フォーム補助剤および水ゲル化剤を含有する。この実施例のフォームは、以下に例示する、活性な医薬および/または化粧剤活性成分の担体として有用である。この組成物はまた、保護用製品として使用することができる。さらに、この組成物は諸目的の潤滑用フォームとしても有用である。
【0178】
実施例3−シリコーン油ベースのフォーム担体組成物
【表4】

*350cps粘度のジメチルポリシロキサン
この組成物は、非イオン性界面活性剤のみを使用し、1.6%(w/w)の混合量の界面活性剤、フォーム補助剤および水ゲル化剤を含有する。この実施例のフォームは、以下に例示する、活性な医薬および/または化粧剤活性成分の担体として有用である。この組成物はまた、保護用製品として使用することができる。さらに、この組成物は諸目的の潤滑用フォームとしても有用である。
【0179】
実施例6−鉱油ベースのフォーム担体組成物
【表5】

この組成物は、非イオン性溶媒のみを使用し、1.4〜2.1%(w/w)の範囲である総量の界面活性剤、フォーム補助剤および水ゲル化剤を使用する。この実施例のフォームは、以下の実施例に例示する、活性な医薬および/または化粧剤活性成分の担体として有用である。また、この組成物は諸目的の潤滑用フォームとして有用である。
【0180】
実施例7−混合油状物のフォーム担体組成物
【表6】

本実施例のフォームは、型1および2に関して、それぞれ20:1および14:1の非イオン性界面活性剤対イオン性界面活性剤比(w/w)を有する。界面活性剤、フォーム補助剤および水ゲル化剤の総量は1.75〜3.5%(w/w)の範囲である。このフォームは、以下の実施例に例示する、活性な医薬および/または化粧剤活性成分の担体として有用である。また、この組成物は諸目的の潤滑用フォームとして有用である。
【0181】
任意の薬物を含有するフォームを示す以下の実施例は、プロトタイプの製剤であり、これらは安定性および成分間適合性に関して最適化されていない。このような最適化は慣習上必要であり、これは医薬の製剤化に関する技術分野で当業者に既知の手段を用いて行うことができる。
【0182】
実施例8−抗菌性フォーム組成物
【表7】

本実施例のフォームは100%非イオン性界面活性剤を含有するか、あるいは20:1〜8:1の範囲の非イオン性界面活性剤対イオン性界面活性剤比を有する。界面活性剤、フォーム補助剤および水ゲル化剤の総量は2.05〜3.5%(w/w)の範囲である。このフォームは細菌皮膚感染(汎用)、セルライト、開放性損傷、皮膚膿瘍、フルンケル、昆虫刺咬、膿痂疹、ざ瘡、ざ瘡−酒さ、およびトリコモナス膣炎の処置に有用である。
【0183】
特定の実施態様では、本実施例のフォームは有害細菌感染(例えば戦争用生物)の予防、汚染除去および/または中和に有用である。
【0184】
実施例9−抗真菌性フォーム組成物
【表8】

本実施例のフォームは100%非イオン性界面活性剤を有するか、あるいは20:1〜8:1の範囲の非イオン性界面活性剤対イオン性界面活性剤比を有する。界面活性剤、発泡補助剤および水ゲル化剤の総量は2.05〜3.5%(w/w)の範囲である。この組成物は、皮膚糸状菌感染、体部白癬、足白癬、紅癬、爪白癬、股部白癬、須毛部白癬、および酵母感染、例えばカンジダ症、癜風および膣カンジダ症の処置に有用である。
【0185】
実施例10−コルチコステロイドフォーム組成物
【表9】

【0186】
【表10】

本実施例のフォームは100%非イオン性界面活性剤を有するか、あるいは20:1〜16:1の範囲の非イオン性界面活性剤対イオン性界面活性剤比を有する。界面活性剤、発泡補助剤および水ゲル化剤の総量は2.05〜3.5%(w/w)の範囲である。適用には、乾癬、接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、貨幣状皮膚炎、炎症性ざ瘡、手および足の慢性皮膚炎、汎発性剥脱性皮膚炎、うっ血性皮膚炎、慢性単純性苔癬、妊娠ヘルペスおよび妊娠性掻痒性丘疹が含まれる。
【0187】
実施例11−抗ウイルス性フォーム組成物
【表11】

本実施例のフォームは100%非イオン性界面活性剤を有するか、あるいは14:1の非イオン性界面活性剤対イオン性界面活性剤比を有する。界面活性剤、発泡補助剤および水ゲル化剤の総量は2.05〜3.5%(w/w)の範囲である。適用には、単純ヘルペス、帯状ヘルペス、妊娠ヘルペスおよび性器潰瘍単純ヘルペス(Herpes simplex genital ulcers)が含まれる。
【0188】
実施例12−昆虫忌避性フォーム組成物
【表12】

【0189】
実施例14−コルチコステロイドフォーム組成物対慣用の軟膏についての耐容性および許容性比較研究
8人の被験者群に実施例10、型2のフォーム製剤約0.5gr.を一方の腕に適用し、市販の吉草酸ベタメタゾン軟膏0.5gr.を適用するよう依頼した。この研究は二重盲検様式で実施した。被験者らに、各製品の、適用の容易さ、塗布の容易さ、伸展能および浸透能についての感想を説明するよう依頼し、ならびに各製品に関する全般評価を提供するよう依頼した。この評価は尺度0−3(0=悪質;1=ほとんど許容できない;2=許容できる、および3=優秀)に基づくものであった。
【0190】
以下の表に示されるように、この試験のすべての側面において、実施例10、型2のフォーム製剤の方が高い評価を得た。
【0191】
【表13】

【0192】
実施例15:乾癬患者におけるコルチコステロイド組成物のヒト安全性および有効性試験
軽度〜中度の乾癬を伴う2人の患者にベタメタゾン0.12%フォーム(実施例10、型2)を局所投与した。投与は2週間にわたって1日2回行った。両患者は有意に改善した。この改善は、肥厚性病変の扁平化乾癬斑(psoriatic plaques flattening)が排除されることにより顕在化されるものである。図1は、当患者の1人に関する、肘の処置に対する反応例を提供する。ベタメタゾンは乾癬におけるその効果に関して既知であるが、14日間の処置後のこのような有益な効果は例外的である。この効果の促進は、利便性の改善、およびそれ故に、コンプライアンスの改善に起因するものであった。
【0193】
実施例16:アトピー性皮膚炎患者におけるコルチコステロイド組成物のヒト安全性および有効性試験
中度〜重度の播種性のアトピー性皮膚炎を伴う4人の患者にベタメタゾン0.12%フォーム(実施例10、型2)を局所投与した。投与は2週間にわたって1日2回行った。すべての患者は有意に改善した。この改善は、すべての処置病変が完全に排除されることにより顕在化されるものである。図2は、諸身体領域の処置に対する、10日間処置後の反応例を提供する。ベタメタゾンはアトピー性皮膚炎におけるその効果に関して既知であるが、10日間の処置後のこのような有益な効果は例外的である。患者は本発明のフォームの使用に関して、対応するクリームおよび軟膏より利便性が非常に高いと発言した。したがって、この効果の促進は、利便性の改善、およびそれ故に、コンプライアンスの改善に起因するものであった。
【0194】
実施例17−尿素を含むフォーム組成物
【表14】

【0195】
実施例18-諸浸透エンハンサーを含む組成物
【表15】

【0196】
【表16】

【図面の簡単な説明】
【0197】
本発明およびその多数の利点は、以下の詳細な記述を図面と併せて考慮し参照することにより、さらに完全に理解されよう。これらの図面は単に例示目的で提示するもので、特許請求の範囲を限定するためのものではない。
【図1】図1は、吉草酸ベタメタゾン(Bethasone valerate)0.12%フォームを使用して乾癬を処置した場合の改善を説明する。
【図2】図2は、吉草酸ベタメタゾン(Bethasone valerate)0.12%フォームを使用してアトピー性皮膚炎を処置した場合の改善を説明する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルコールフリーの発泡性医薬用または化粧剤用担体であって、以下の物質を含む担体:
(a)以下の物質を含む発泡性組成物:
組成物の約2−75重量%の液状、不揮発性疎水性溶媒;
組成物の約80−98重量%の水;
組成物の約0.1重量%〜5重量%のフォーム補助剤であって、脂肪アルコール、脂肪酸、ヒドロキシル−置換脂肪アルコール、ヒドロキシル−置換脂肪酸および、炭素原子鎖に少なくとも1つの二重結合を含む脂肪酸および脂肪アルコールからなる群から選択されるフォーム補助剤;
組成物の約0.1重量%〜5重量%の界面活性剤;および
組成物の約0.1重量%〜5重量%の水ゲル化剤、
および
(b)容器中の液化または圧縮ガス噴霧剤;これは放出時に局所または粘膜投与に適した分解性フォームを提供する。
【請求項2】
疎水性溶媒が組成物の約5−10重量%を構成する、請求項1に記載の発泡性担体。
【請求項3】
疎水性溶媒が組成物の約10−20重量%を構成する、請求項1に記載の発泡性担体。
【請求項4】
疎水性溶媒が組成物の約20−75重量%を構成する、請求項1に記載の発泡性担体。
【請求項5】
疎水性溶媒が、重量基準で2:8〜8:2の範囲の割合の鉱油および皮膚軟化剤の混合物を含む、請求項1に記載の発泡性担体。
【請求項6】
発泡性組成物の少なくとも2%がシリコーン油である、請求項1に記載の発泡性担体。
【請求項7】
界面活性剤が、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性および双性イオン性界面活性剤の群から選択される、請求項1に記載の発泡性担体。
【請求項8】
界面活性剤が、割合20:1〜1:1の非イオン性界面活性剤およびアニオン性界面活性剤の混合物である、請求項1に記載の発泡性担体。
【請求項9】
界面活性剤が、割合100:1〜6:1の非イオン性界面活性剤およびイオン性界面活性剤の混合物である、請求項1に記載の発泡性担体。
【請求項10】
界面活性剤が本質的に1つまたはそれ以上の非イオン性界面活性剤からなる、請求項1に記載の発泡性担体。
【請求項11】
界面活性剤が9を超えるHLB値を有する、請求項1に記載の発泡性担体。
【請求項12】
非イオン性界面活性剤がショ糖エステルを含む、請求項7、8、9、または10に記載の発泡性担体。
【請求項13】
疎水性溶媒が、植物油、海洋性油、鉱油、皮膚軟化剤、シリコーン油、植物由来治療用油状物およびこれらの混合物を含む群から選択される、請求項1に記載の発泡性担体。
【請求項14】
フォーム補助剤、界面活性剤および水ゲル化剤の合計量が約8%(w/w)未満である、請求項1に記載の発泡性担体。
【請求項15】
フォーム補助剤、界面活性剤および水ゲル化剤の合計量が発泡性組成物の約5%(w/w)未満である、請求項1に記載の発泡性担体。
【請求項16】
医薬または化粧剤組成物であって、以下の物質を含む組成物:
(a)以下の物質を含む発泡性組成物:
組成物の約2−75重量%の液状、不揮発性疎水性溶媒;
組成物の約80−98重量%の水;
組成物の約0.1重量%〜5重量%のフォーム補助剤であって、脂肪アルコール、脂肪酸、ヒドロキシル−置換脂肪アルコール、ヒドロキシル−置換脂肪酸および、炭素原子鎖に少なくとも1つの二重結合を含む脂肪酸および脂肪アルコールからなる群から選択されるフォーム補助剤;
組成物の約0.1重量%〜5重量%の界面活性剤;および
組成物の約0.1重量%〜5重量%の水ゲル化剤;
(b)治療有効量の活性物質;
および
(c)容器中の液化または圧縮ガス噴霧剤;これは放出時に局所または粘膜投与に適した分解性フォームを提供する。
【請求項17】
疎水性溶媒が組成物の約5−10重量%を構成する、請求項16に記載の医薬または化粧剤組成物。
【請求項18】
疎水性溶媒が組成物の約10−20重量%を構成する、請求項16に記載の医薬または化粧剤組成物。
【請求項19】
疎水性溶媒が組成物の約20−75重量%を構成する、請求項16に記載の医薬または化粧剤組成物。
【請求項20】
活性物質が薬物である、請求項16に記載の医薬または化粧剤組成物。
【請求項21】
活性物質が美容上有効な物質である、請求項16に記載の医薬または化粧剤組成物。
【請求項22】
疎水性溶媒が、植物油、海洋性油、鉱油、皮膚軟化剤、シリコーン油、植物由来治療用油状物および任意の割合のこれらの混合物を含む群から選択される、請求項16に記載の医薬または化粧剤組成物。
【請求項23】
抗酸化剤、湿潤剤、香料、着色剤および着臭剤からなる群から選択される賦形剤をさらに含む、請求項16に記載の医薬または化粧剤組成物。
【請求項24】
疎水性溶媒が、重量基準で2:8〜8:2の範囲の割合の鉱油と皮膚軟化剤の混合物を含む、請求項16に記載の医薬または化粧剤組成物。
【請求項25】
組成物の少なくとも2%がシリコーン油である、請求項16に記載の医薬または化粧剤組成物。
【請求項26】
界面活性剤が、割合20:1〜1:1の非イオン性界面活性剤およびアニオン性界面活性剤の混合物である、請求項16に記載の医薬または化粧剤組成物。
【請求項27】
界面活性剤が本質的に1つまたはそれ以上の非イオン性界面活性剤からなる、請求項16に記載の医薬または化粧剤組成物。
【請求項28】
界面活性剤が、割合100:1〜6:1の非イオン性界面活性剤およびイオン性界面活性剤の混合物である、請求項16に記載の医薬または化粧剤組成物。
【請求項29】
フォーム補助剤、界面活性剤および水ゲル化剤の合計量が約8%(w/w)未満である、請求項16に記載の医薬または化粧剤組成物。
【請求項30】
有効濃度の浸透エンハンサーをさらに含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項31】
フォーム補助剤、界面活性剤および水ゲル化剤の合計量が約5%(w/w)未満である、請求項16に記載の医薬または化粧剤組成物。
【請求項32】
薬物が、細菌性、真菌性、ウイルス性、寄生虫性、炎症性、自己免疫性、アレルギー性、ホルモン性、悪性およびこれらの組み合わせの病因を有する疾患の処置用に選択される、請求項20に記載の医薬または化粧剤組成物。
【請求項33】
薬物が表在性症状の処置用に選択される、請求項20に記載の医薬または化粧剤組成物。
【請求項34】
薬物が、皮膚、粘膜、膣および直腸に関する障害の処置用に選択される、請求項20に記載の組成物。
【請求項35】
薬物が、以下の群から選択される障害の処置用に選択される、請求項20に記載の組成物:皮膚疾患、皮膚炎、細菌感染、真菌感染、寄生虫感染、ウイルス感染、毛嚢および脂腺の障害、ざ瘡、酒さ、落屑性丘疹疾患、良性腫瘍、悪性腫瘍、日光に対する反応、水疱性疾患、色素沈着障害、角化の障害、圧迫性壊死、発汗の障害、炎症性反応、乾皮症、魚鱗癬、アレルギー、やけど、傷害、切り傷、および、当該薬物の経皮デリバリーに反応する非皮膚科学的障害。
【請求項36】
薬物が、傷害、やけど、切り傷および潰瘍の処置用に選択される、請求項20に記載の組成物。
【請求項37】
薬物が抗菌性である、請求項20に記載の組成物。
【請求項38】
薬物が抗真菌性である、請求項20に記載の組成物。
【請求項39】
薬物が抗ウイルス性である、請求項20に記載の組成物。
【請求項40】
活性物質が殺虫剤である、請求項20に記載の組成物。
【請求項41】
活性物質が昆虫忌避剤である、請求項20に記載の組成物。
【請求項42】
薬物が抗炎症剤または抗アレルギー剤である、請求項20に記載の組成物。
【請求項43】
薬物が抗癌剤である、請求項20に記載の組成物。
【請求項44】
薬物が光線力学的治療剤である、請求項20に記載の組成物。
【請求項45】
薬物が局所麻酔剤である、請求項20に記載の組成物。
【請求項46】
薬物が非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)である、請求項20に記載の組成物。
【請求項47】
活性物質がレチノイドである、請求項21に記載の組成物。
【請求項48】
活性物質が抗−しわ剤である、請求項21に記載の組成物。
【請求項49】
活性物質が皮膚白色化剤である、請求項20または21に記載の組成物。
【請求項50】
活性物質が以下の物質を含む群から選択される、請求項20または21に記載の組成物:硫黄含有アミノ酸、チオール化合物、アルファヒドロキシ酸、乳酸およびその誘導体および塩、グリコール酸およびその誘導体および塩、ベータ−ヒドロキシ酸、サリチル酸およびサリチル酸塩および誘導体、フィチン酸、リポ酸、リゾホスファチジン酸、表皮剥脱剤、フェノール、レゾルシノール、ビタミンB3化合物、ナイアシンアミド、ニコチン酸およびニコチン酸塩およびエステル、ニコチン酸トコフェロール、ニコチニルアミノ酸、カルボン酸のニコチニルアルコールエステル、ニコチン酸N−オキシドおよびナイアシンアミドN−オキシド、レチノイド、レチノール、レチナール、レチノイン酸、レチニルアセテート、レチニルパルミテート、レチニルアスコルベート、カフェイン、テオフィリン、ペントキシフィリン、ジヒドロキシアセトンコウジ酸、アルブチン、ニコチン酸およびその前駆体、塩および誘導体、アルブチン、アスコルビン酸およびその塩および誘導体。
【請求項51】
活性物質が漢方抽出物である、請求項20または21に記載の組成物。
【請求項52】
活性物質がラジカルスカベンジャーである、請求項20または21に記載の組成物。
【請求項53】
活性物質がセルフ・タンニング剤である、請求項21に記載の組成物。
【請求項54】
活性物質が抗−ざ瘡活性物質である、請求項20または21に記載の組成物。
【請求項55】
活性物質が皮膚白色化剤である、請求項20または21に記載の組成物。
【請求項56】
活性物質が容姿形成用物質である、請求項20または21に記載の組成物。
【請求項57】
活性物質が発毛に影響する物質である、請求項21に記載の組成物。
【請求項58】
活性物質が発毛刺激剤である、請求項21に記載の組成物。
【請求項59】
活性物質が発毛阻害剤である、請求項21に記載の組成物。
【請求項60】
日焼け止め剤をさらに含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項61】
無機物の日焼け止め剤をさらに含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項62】
活性物質が皮膚白色化剤および日焼け止め剤の組み合わせである、請求項16に記載の組成物。
【請求項63】
活性物質が皮膚白色化剤および無機物の日焼け止め剤の組み合わせである、請求項16に記載の組成物。
【請求項64】
薬物が経皮デリバリー用である、請求項20に記載の組成物。
【請求項65】
酸化剤、ヨウ素およびヨウ素化合物、クロロヘキシジン、漂白剤および界面活性剤を含む群から選択される汚染除去剤をさらに含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項66】
皮膚科学的障害を処置、緩和または予防する方法であって、以下の段階を含む方法:
前記皮膚科学的障害を有する患者に以下の物質を含む治療有効量の分解性フォーム組成物を局所投与する段階:
(a)以下の物質を含む発泡性組成物:
組成物の約2−75重量%の液状、不揮発性疎水性溶媒;
組成物の約80−98重量%の水;
組成物の約0.1重量%〜5重量%のフォーム補助剤であって、脂肪アルコール、脂肪酸、ヒドロキシル−置換脂肪アルコール、ヒドロキシル−置換脂肪酸および、炭素原子鎖に少なくとも1つの二重結合を含む脂肪酸および脂肪アルコールからなる群から選択されるフォーム補助剤;
組成物の約0.1重量%〜5重量%の界面活性剤;および
組成物の約0.1重量%〜5重量%の水ゲル化剤、
(b)前記障害の予防、緩和または治療を目的とする少なくとも1つの活性物質;および
(c)液化または圧縮ガス噴霧剤。
【請求項67】
組成物の少なくとも2%がシリコーン油である、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
疎水性溶媒が、重量基準で2:8〜8:2の範囲の割合の鉱油および皮膚軟化剤の混合物を含む、請求項66に記載の方法。
【請求項69】
界面活性剤が、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性および双性イオン性界面活性剤の群から選択される、請求項66に記載の方法。
【請求項70】
界面活性剤が、割合1:1〜20:1の非イオン性界面活性剤およびアニオン性界面活性剤の混合物である、請求項66に記載の方法。
【請求項71】
界面活性剤が非イオン性である、請求項66に記載の方法。
【請求項72】
界面活性剤が9を超えるHLB値を有する、請求項66に記載の方法。
【請求項73】
非イオン性界面活性剤がショ糖エステルを含む、請求項66に記載の方法。
【請求項74】
薬物が、細菌性、真菌性、ウイルス性、寄生虫性、炎症性、自己免疫性、アレルギー性、ホルモン性、悪性およびこれらの組み合わせの病因を有する疾患の処置用である、請求項66に記載の方法。
【請求項75】
薬物が以下の物質を含む群から選択される、請求項66に記載の方法:抗菌薬、抗真菌薬、抗炎症薬、抗アレルギー薬、非ステロイド性抗炎症薬、レチノイド、アルファヒドロキシ酸、ベータヒドロキシ酸、角質溶解薬、抗増殖薬、抗癌剤および抗色素沈着薬。
【請求項76】
薬物が殺虫剤、昆虫忌避剤を含む群から選択される、請求項66に記載の方法。
【請求項77】
化合物を罹患領域に局所適用する、請求項66に記載の方法。
【請求項78】
前記皮膚科学的障害が以下の障害を含む、請求項66に記載の方法:皮膚疾患、皮膚炎、細菌感染、真菌感染、寄生虫感染、ウイルス感染、毛嚢および脂腺の障害、落屑性丘疹疾患、良性腫瘍、悪性腫瘍、日光に対する反応、水疱性疾患、色素沈着障害、角化の障害、圧迫性壊死、発汗の障害、炎症性反応、乾皮症、魚鱗癬、アレルギー、やけど、傷害、切り傷、および、前記活性物質の経皮デリバリーに反応する非皮膚科学的障害。
【請求項79】
活性物質が容姿形成用物質である、請求項66に記載の方法。
【請求項80】
活性物質が発毛に影響する物質である、請求項66に記載の方法。
【請求項81】
活性物質が発毛刺激剤である、請求項66に記載の方法。
【請求項82】
活性物質が発毛阻害剤である、請求項66に記載の方法。
【請求項83】
日焼け止め剤をさらに含む、請求項66に記載の方法。
【請求項84】
無機物の日焼け止め剤をさらに含む、請求項66に記載の方法。
【請求項85】
活性物質が皮膚白色化剤および日焼け止め剤の組み合わせである、請求項66に記載の方法。
【請求項86】
活性物質が皮膚白色化剤および無機物の日焼け止め剤の組み合わせである、請求項66に記載の方法。
【請求項87】
有効濃度の浸透エンハンサーを含む、請求項66に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−505583(P2006−505583A)
【公表日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−546318(P2004−546318)
【出願日】平成15年10月24日(2003.10.24)
【国際出願番号】PCT/IB2003/005527
【国際公開番号】WO2004/037225
【国際公開日】平成16年5月6日(2004.5.6)
【出願人】(505138842)フォーミックス エルティーディー. (1)
【Fターム(参考)】