医療画像表示装置
【課題】断層画像等の画像データを含む種々のデータを用いた診断において、これらの各種のデータ間の関連性を容易に確認する。
【解決手段】3次元の医学画像を表示する医療画像表示装置であって、診断機器により得られる医学画像の画像データと、画像処理により前記画像データから臓器を識別して得られる臓器データと、自動診断処理により前記画像データから得られる解析データの各データを記憶する記憶部と、画像データ、臓器データ、および解析データを表示する表示部と、記憶部に記憶される画像データ、臓器データ、および解析データを表示部に選択的に表示する表示制御部とを備える。表示制御部は、参照IDを指標として、表示部上で指定された文字に対応する3次元画像データを記憶部から抽出して表示部に表示し、表示部上で指定された3次元画像に対応する文字データを記憶部から抽出して表示部に表示する。
【解決手段】3次元の医学画像を表示する医療画像表示装置であって、診断機器により得られる医学画像の画像データと、画像処理により前記画像データから臓器を識別して得られる臓器データと、自動診断処理により前記画像データから得られる解析データの各データを記憶する記憶部と、画像データ、臓器データ、および解析データを表示する表示部と、記憶部に記憶される画像データ、臓器データ、および解析データを表示部に選択的に表示する表示制御部とを備える。表示制御部は、参照IDを指標として、表示部上で指定された文字に対応する3次元画像データを記憶部から抽出して表示部に表示し、表示部上で指定された3次元画像に対応する文字データを記憶部から抽出して表示部に表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療画像診断に関し、特に医療専門家が医療画像データの他、数値データ、文字列データ等の各種マルチメディアデータを読影して行う診断を支援するための診断支援装置、診断支援システムに適用することができる医療画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、医療の検査データを用いて、医師が行う診断のプロセスをコンピュータに代行させる試みが行われているが(非特許文献1)、人体の複雑さや、検査データと医学知識との関連付けの困難さとから、有効なものとなっていない。
【0003】
また、医師による診断手法と異なる手法を用いてコンピュータで診断を行うことは、信頼性の点から実用化は困難である。そこで、診断支援では、コンピュータの利用は画像変換や画像処理などの補助的なものが一般的である。
【0004】
また、CT,MRI,PETに代表される人体内情報を断層画像を用いて診断する手法も提案されている。医療分野において、例えばPET画像等の断層画像撮像装置で得られた断層画像を用いて医療診断を行うことが知られている。この断層画像等の画像データや数値データを用いた医療診断では、医療専門家が撮像画像を読影し、専門知識や経験に照らし合わせることで疑わしい領域の抽出や推論を行っている。
【0005】
例えば、全身FDG−PET(FDG-Positron Emission Tomography:陽電子放射断層撮像)画像を用いてガン診断では、放射性フッ素(f-18)を標識してFDG(フルオロデオキシグルコース)というブドウ糖に似た放射性の薬剤を体内に投入し、その体内分布を撮影してFDG−PET画像を得る。FDGの集積の度合いはSUVという値で表され、ガンがある部位はSUV値が高く表れる。
【0006】
全身PET診断では、体軸方向に約3mm間隔で、大腿部から頭頂部までの断層撮影が行われ、患者一人につき約300枚程度の断層画像(スライス画像)が撮像される。この全身PET診断では、炎症が起きている部位やFDGを取り込みやすい臓器・組織(腎臓・膀胱・肝臓等)では、ガンがない場合であってもSUV値が高く表れるため、診断者は正しく診断するために多くの負担がかかっている。
【0007】
全身PET診断による集団検診が検討されるなかで、上記のように断層画像の読影は長い時間や多大な労力を要するため、多数の人の診断に対応できないことが予想されている。
【0008】
このような断層画像の読影の係わる診断者の負担を軽減する手法として、診断者が行っている断層画像の読影による診断をコンピュータに行わせることが考えられる。
【0009】
このコンピュータを用いた診断手法として、FORTRANやPascal等の既存のプログラム言語を用い、手続き的なプログラミングによって診断技術や知識をプログラム内に取り込むことが考えられる。また、専門知識を簡単なルールで表現した知識ベースと知識を組み合わせて、診断の推論を実行する推論エンジンを構成することも考えられる。
【0010】
しかしながら、診断をコンピュータに代行させるには、医師が断層画像に対してどのような処理を行って情報を導いているかを把握する必要があるが、この画像処理は多くは経験的で主観的であるため、プログラム言語で記述することは難しく、コンピュータでの実行は困難とされている。
【0011】
また、一般に、全身PET診断によるガンの検診では、被験者の内ほぼ8割はガンが見受けられない明らかに正常な結果となると言われていることから、正常な断層画像を認識して医師の診断を要さないものについては予め除いておき、医師等の専門家は読影を要する断層画像のみを診断することができれば、医師等の専門家の負担を軽減することが期待される。
【0012】
そこで、本出願の発明者は、画像データを含むマルチメディアデータを階層構造とし、このマルチメディアデータに所定の操作を施して階層構造を再構成するデータ処理を行うことによって、専門家の診断が不要なデータと専門家の診断を要するデータとに区分し、これによって、専門家が診断する画像データ量を軽減する特許出願を行っている(特許文献1参照)。
【非特許文献1】E.H. Shortliffe,“Computer based Medical Consultations:MYCIN”,American:Elsevier,1976
【特許文献1】特開2006−247164号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
コンピュータを用いた診断手法では、例えば、手続き的なプログラミングでは、医師等の専門家が行う推定過程を既存のプログラム言語で記述することは難しく、専門家が行う推論が十分に反映されないおそれがあり、信頼性の点で問題がある。
【0014】
また、推論エンジンを構成した場合には、例えば、知識をIF-THEN形式でルールとして記述する方式により専門知識を断片的に記述することはできるが、利用者は記述されたルール部分を確認できるものの、システムや装置がどのような推論過程に従って診断を行っているかを把握し、その処理が適切であるかの妥当性について評価することが難しいという問題がある。
【0015】
このように、コンピュータを用いた診断や、数値データ等の種々のデータを利用することで、医師等の専門家の負担を軽減することが期待されるものの、現段階ではコンピュータを用いた診断や、各種データには信頼性や妥当性において考慮すべき点を含んでいる。
【0016】
医師等の専門家による診断、あるいは自動診断では、断層画像等の画像データや数値データ等の種々のデータに基いて、診断部位を指摘する他、所見コメント文を表している。この診断部位の指摘や所見コメント文を参考とする際、この指摘された診断部位や所見コメント文を表す際の元となっている画像上の表示部分についても参照することができれば、診断部位の指摘や所見コメント文の内容や診断の意図を理解することがより容易となる。
【0017】
例えば、診断部位の指摘や所見コメント文中に、肝臓に高いSUV値の集積が指摘されている場合、その蓄積が認められる位置について画像上に表示することができれば、集積位置が、肝臓の中心側であるのか、あるいは右腎臓の境界の近くであるかといった空間情報を同時に把握することができれば、診断部位の指摘や所見コメント文の意図をより的確に理解することが容易となる。
【0018】
そこで、医師等の専門家や自動診断で指摘された診断部位や所見コメント文を参照する際に、この診断部位の指摘や所見コメント文を作製する上で基礎と成っている臓器や集積の位置関係が空間情報として表示画面上で視覚的にかつ直感的に確認できれば、既存の診の意図を素早く正確に理解できるものと期待される。
【0019】
また、表示画面上で位置を指定した際に、その指定した位置に付与された所見コメント文を容易に参照することができれば、既存の診断結果を素早く理解するできるものと期待される。
【0020】
そこで、本発明は前記した従来の問題点を解決し、断層画像等の画像を表示し、既に得られている既存の診断部位や所見コメント文を参照する際に、診断部位や表示画面上で指定した位置から、その診断部位や指定位置の部位に付与された所見コメント文を参照すること、および所見コメントから表示画面上で診断部位を参照することを容易とすることを目的とする。
【0021】
また、診断部位や指定位置と所見コメントとの相互参照を容易とすることによって、既存の診断結果の素早い理解を助けることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、断層画像等の画像データを含む種々の形態のデータを表示部に表示する際に、診断において関連するデータについて、一方から他方を相互に抽出し表示自在とすることによって、データ間の関連性の確認を容易とする。
【0023】
本発明の医療画像表示装置は、3次元の医学画像を表示する医療画像表示装置であって、記憶部と表示部と表示制御部とを備える。
【0024】
本発明の記憶部は、診断機器により得られる医学画像の原画像データと、画像処理により画像データから臓器を識別して得られる臓器データと、原画像データから得られる解析データの各データを記憶する。
【0025】
本発明の表示部は、原画像データ、臓器データ、および解析データを表示する。
【0026】
本発明の表示制御部は、記憶部に記憶される原画像データ、臓器データ、および解析データを表示部に選択的に表示する。
【0027】
本発明の記憶部に記憶する臓器データは、臓器の領域に係わる3次元画像データおよび文字データを含む。また、本発明の記憶部に記憶する解析データは、臓器内の解析領域に係わる3次元画像データと、解析領域の診断結果の文字データとを含む構成とする。また、臓器データと解析データは、臓器データを上位ノードとし解析データを下位ノードとするツリー状のデータ構造を構成する。
【0028】
表示制御部は、臓器あるいは解析領域の3次元画像データと、臓器あるいは解析領域の診断結果の文字データとの間において、一方から他方を相互に抽出し表示自在とする。表示制御部は、表示部上で指定された文字に対応する3次元画像データを記憶部から抽出して表示部に表示する。また、表示制御部は、表示部上で指定された3次元画像に対応する文字データを記憶部から抽出して表示部に表示する。
【0029】
この構成により、臓器あるいは解析領域の3次元画像データと診断結果の文字データとの間で、互いに一方を指定することで他方を読み出して表示することができ、断層画像等の画像を表示し、既に得られている既存の診断部位や所見コメント文を参照する際に、診断部位や表示画面上で指定した位置から、その診断部位や指定位置の部位に付与された所見コメント文を参照すること、および所見コメントから表示画面上で診断部位を参照することを容易に行うことができ、診断部位や指定位置と所見コメントとの相互参照を容易とすることによって、既存の診断結果の素早い理解を補助することができる。
【0030】
本発明の医療画像表示装置では、原画像データのCT画像データを画像処理することにより臓器を識別して得られるデータを臓器データとし、また、原画像データのPET画像データのFDG(フルオロデオキシグルコース)の集積状態を画像処理して取得される集積領域の位置データおよび形状データとすることができる。
【0031】
本発明の解析データが備える集積領域は、FDGが集積する島集積領域と、島集積を複数含む集積群領域とを有し、集積群領域を上位ノードとし島集積領域を下位ノードとするツリー状のデータ構造を構成する。
【0032】
表示制御部は、表示部上で指定された文字に対応する集積群領域の3次元画像データを記憶部から抽出して表示部に表示する。また、表示部上で指定された集積群領域の3次元画像に対応する文字データを記憶部から抽出して表示部に表示する。
【0033】
また、表示制御部は、島集積領域についても集積群領域と同様に、表示部上で指定された文字に対応する島集積領域の3次元画像データを記憶部から抽出して表示部に表示し、表示部上で指定された島集積領域の3次元画像に対応する文字データを記憶部から抽出して表示部に表示する。
【0034】
本発明の表示制御部は、記憶部から原画像データと、臓器データおよび解析データに含まれる3次元画像データとを読み出し、原画像、臓器領域の画像、解析領域の画像の1つの画像を表示する他、少なくとも2つの画像を前記表示部に重ねて表示することによって、臓器内での診断部位の位置を把握することができる。
【0035】
解析データは、診断の判定結果を数値化した判定値データを含み、表示制御部は、この判定値データに基づいて診断部位の3次元画像データを抽出し表示する。また、診断の判定結果の数値化によって診断結果をレベル値で段階表示し、この段階表示に対応する診断部位の3次元画像データを抽出して表示することによって、診断の判定結果の数値化の信頼性と妥当性を評価する基礎として利用することができる。
【0036】
本発明の医療画像表示装置は、3次元の形状を有する臓器および解析領域の取り扱いを容易とする3次元画像データ構造を有する。この3次元画像データ構造は、ビットデータを収納する複数のブロックからなる3次元領域を備え、この3次元領域を、3次元領域の基準位置を定める一点の座標データと、この3次元領域の大きさを定める3次元の領域サイズによって画定する。
【0037】
この3次元画像データ構造によれば、座標データによって3次元内での位置を特定することができ、3次元の領域サイズによって3次元領域の大きさを定めると共に、その形状を直方体による概略形状で簡易に特定することができる。
【0038】
臓器データは、ビットデータを収納する複数のブロックからなる3次元領域を備える。この3次元領域は、この3次元領域の基準位置を定める一点の座標データと、この3次元領域の大きさを定める3次元の領域サイズによって画定され、3次元領域の各ブロックにビットデータを割り当てることによって臓器の形状を表す3次元画像データを構成する。この3次元画像データの構成によって、臓器の3次元形状を容易に表すことができる。
【0039】
一方、解析データは、ビットデータを収納する複数のブロックからなる3次元領域を備える。この3次元領域は、この3次元領域の基準位置を定める一点の座標データと、この3次元領域の大きさを定める3次元の領域サイズによって画定され、3次元領域の各ブロックにビットデータを割り当てることによって解析データ領域の形状を表す3次元画像データを構成する。この3次元画像データの構成によって、診断部位の3次元形状を容易に表すことができる。
【0040】
また、本発明の医療画像表示装置は、表示部上で指定する指定位置について、この指定位置を内包する領域を設定する領域設定部を備える。表示制御部は、この領域設定部が設定する領域に含まれる画像データ、臓器データ、解析データの少なくとも何れか一つを記憶部から読み出して、表示部に表示する。
【0041】
領域設定部は、領域の位置を定める位置データと、領域の大きさを定めるサイズデータを入力データとして領域を設定する。表示制御部は、位置データおよびサイズデータに従動して記憶部から画像データを読み出し、読み出した画像データを表示部に逐次表示する。
【0042】
この領域設定部によれば、表示部上の任意の位置について、その近傍に関連するデータがあれば抽出して表示することができる。この近傍は領域によって指定することができ、領域の位置は位置データにより指定し、領域の大きさはサイズデータにより指定することができる。位置データを変更することで、関連するデータを抽出する位置を変更することができ、サイズデータを変更することで、関連するデータを抽出する範囲を変更することができる。
【発明の効果】
【0043】
以上説明したように、本発明によれば、断層画像等の画像を表示し、既に得られている既存の診断部位や所見コメント文を参照する際に、診断部位や表示画面上で指定した位置から、その診断部位や指定位置の部位に付与された所見コメント文を容易に参照することができる。また、所見コメントから表示画面上で診断部位を容易に参照することができる。
【0044】
また、本発明によれば、診断部位や指定位置と所見コメントとの相互参照を容易とすることによって、既存の診断結果の素早い理解を助けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照しながら詳細に説明する。
【0046】
図1は、本発明の医療画像表示装置の概略を説明するための図である。図1において、医療画像表示装置1は、表示部2と表示制御部3と入力部4と記憶部5とを備える。
【0047】
表示部2は、医療画像に係わる原画像データ、臓器データ、および解析データを表示する。
【0048】
表示制御部3は、記憶部5に記憶される原画像データ、臓器データ、および解析データを表示部2に選択的に表示する。
【0049】
入力部4は、表示部2に表示する診察対象者を特定する画像対象の選択、選択した画像対象について記憶部5に記憶する原画像データの選択、表示部2に表示される画像上の位置の指定、診断レポート等の各種書類の作成に伴う文字データに入力の他、医療画像表示装置1を操作する上で行う入力操作に用いる。入力部4が備える入力手段は、任意の入力装置を適用することができ、例えば、表示画面上の位置をカーソル等で指定する手段として、カーソルやタッチパネル等のハードウエアと、入力した位置の位置データを処理するソフトウエアを備える入力装置、文字データを入力するためのキーボード等のハードウエアと、入力した文字データを処理するソフトウエアを備える入力装置、医療画像表示装置1に対して各種操作を選択して入力するボタンやタッチパネル等のハードウエアと、入力した操作データを処理するソフトウエアを備える入力装置がある。なお、これら入力手段は一例であって、これに限られるものではない。
【0050】
記憶部5は、診断機器により得られる医学画像の原画像データと、画像処理により画像データから臓器を識別して得られる臓器データと、自動診断処理により原画像データから得られる解析データの各データを記憶する。
【0051】
記憶部5はデータベースを構成し、医学画像の原画像データとして、例えば、医療分野等の利用分野でのカルテやレントゲン写真の画像データ、PET画像データ、CT画像データ、MRI画像データ等を記憶する。また、記憶部5は、上述する各画像データを画像処理することによって特定した臓器の形状や分布状態に関する臓器データ、これらの画像データを自動診断処理あるいは専門家による診断による診断結果で得られる、診断部位の形状や状態に関する解析データを記憶する。臓器データおよび解析データは、診断結果等についての文字データ等を記憶する。
【0052】
臓器データおよび解析データは、3次元画像データとこの部位に係わる診断結果の所見コメント等の文字データとを、臓器データを上位ノードとし解析データを下位ノードするツリー状のデータ構造を構成する。さらに、本発明の解析データは、FDGが集積する島集積領域と、複数の島集積を含む集積群領域とを備え、集積群領域を上位ノードとし島集積領域を下位ノードとするツリー状のデータ構造を構成する。
【0053】
記憶部5のデータベースは、各臓器データおよび各解析データに診断結果の所見コメントの文字データを記憶する他、診断結果の所見コメントを類型化し、診断結果の所見コメントのひな形の文章を記憶しておくこともできる。
【0054】
診断結果の所見コメントのひな形の文章を記憶する構成によれば、記憶部5は、診断結果について、ひな形を特定するために付与した診断部位アドレスを用いることによって、診断結果のひな形をデータベースから読み出し可能に記憶しておき、読み出した診断結果のひな形に各診断に固有のデータを組み込むことで、診断結果を表示部に表示させることができる。また、各診断対象者については、診断結果の文字データの記憶を不要とすることができ、各診断対象者に要する記憶容量を低減することができる。
【0055】
ここで、臓器データは、例えば、原画像データのCT画像データを画像処理することにより臓器を識別して得ることができる。また、解析データは、原画像データのPET画像データのFDG(フルオロデオキシグルコース)の集積状態に基づいて得られるSUV値を用いて、自動診断処理あるいは専門家による診断により得ることができる。
【0056】
また、解析データは、解析部位の3次元画像データと、解析部位の解析結果に基づく所見コメントの文字データとを含む構成とする。
【0057】
臓器データおよび解析データは、固有の参照ID(Ref-ID)によって特定することができ、また、データ構造をツリー構造とすることで、関連性を特定することができる。
【0058】
表示制御部3は、同一の参照IDで特定される臓器データあるいは解析データにおいて、表示部2上で表示される所見コメント中で指定された文字に対応する3次元画像データを記憶部5から抽出して表示部2に表示し、また、表示部2上で指定された3次元画像に対応する所見コメントの文字データを記憶部5から抽出して表示部2に表示する。
【0059】
図2は、本発明の医療画像表示装置1の動作手順を説明するためのフローチャートである。
【0060】
医療画像表示装置1は、表示部2に初期画面を表示する。初期画面では、入力部4で特定した診断対象者についての書誌的事項や、カルテやレントゲン写真の画像データ、PET画像データ、CT画像データ、MRI画像データ、自動診断で得られた診断結果の所見コメント等を表示する。これらデータの何れを表示するかは、予め設定させておくことができる(S1)。
【0061】
利用者は、表示部2に表示された画像や診断結果の所見コメントの文章を参照し、画像中の部位についてその部位に記述された診断結果の所見コメントの文章中の文字、あるいは画像中の部位を指定する。
【0062】
表示部2の表示画面には、自動診断等で得られた診断結果の所見コメントの文章が表示される。なお、診断結果は、自動診断で得られる診断結果に限らず、専門官による診断で得られる診断結果や、自動診断で得られる診断結果に専門官の考察を付加した診断結果とすることができる。
【0063】
診断結果の所見コメントの文章は、例えば、類型化された診断結果の文章のひな形と、その診断に固有の文字や数値との組み合わせによって形成することができ、その文章全体あるいは文章中の特定の文字に対して、対応する部位の部位画像データを対応付けることで形成してもよい(S2)。
【0064】
入力部4によって、表示画面に表示される診断結果の所見コメントの全体あるいは文章中の文字を指定すると(S3)、表示制御部3は、同じ参照ID(Ref-ID)を指標として記憶部5から指定された診断結果の所見コメントの全体あるいは文章中の文字に対応付けられている画像データを読み出し(S4)、読み出した画像データを表示部2の表示画面上に表示する。この表示では、例えば、原画像上に臓器や集積部位を表示することによって、臓器や集積部位の位置関係を確認することができ、また、臓器を表す画像上に集積部位を重ねて表示することによって、臓器と集積部位との位置関係を確認することができる(S5)。
【0065】
また、入力部4によって、表示画面に表示される画像(臓器を表示する画像や集積部位を表示する画像)上で特定の部位を指定すると(S6,7)、表示制御部3は、指定された画像データに付された参照IDを指標として記憶部5から指定された部位に対応付けられている診断結果の所見コメントの文字データを読み出し(S8)、読み出した文字データに基づいて診断結果の所見コメントを表示部2の表示画面上に表示する。この表示においても、例えば、臓器を表す画像上に位置を合わせて重ねて表示することによって、臓器との位置関係を確認することができる(S9)。
【0066】
次に、本発明の医療画像表示装置1に用いる画像データおよび解析データの取得について、図3,4を用いて説明する。
【0067】
以下では、CT画像、MRI画像、PET画像等の断層画像を診断対象画像として医療診断を行う例について説明する。なお、この医療診断は、医療分野に限らず、所定の判断手法や判断基準に基づいて推定操作を行う一連の操作を有する診断操作を行う分野であれば任意の分野に適用することができる。
【0068】
PET画像等の断層画像を用いた診断では、全身について多数枚(例えば300枚)の断層画像を取得し、これらの断層画像を医師等の専門家が目視で読影して、異常の有無についての診断を行う。
【0069】
全身の断層画像を診断する際には、例えば身体の下方から上方に向かって各部位について順に読影を行う。各部位では、当該部位に特徴的な診断要素について判断を行うことで診断を行う。
【0070】
CT画像、MRI画像、PET画像等の断層画像の画像データを取得した後(図3(a)、各臓器の認識を画像データ処理等によって行う。画像データ処理は、例えば、画像データに対する2値化処理等のしきい値との比較処理、エッジ検出処理、平均化処理、最大値・最小値検出処理等を用いて行うことができる。臓器の認識は、例えば、CT画像で得られた画像データを用いて行うことができる(図3(b))。
【0071】
次に、各臓器について、FDGの集積を認識することで診断部位を抽出する。全身FDG−PET(FDG-Positron Emission Tomography:陽電子放射断層撮像)画像を用いてガン診断では、放射性フッ素(f-18)を標識してFDG(フルオロデオキシグルコース)というブドウ糖に似た放射性の薬剤を体内に投入し、その体内分布を撮影してFDG−PET画像を得る。FDGの集積の度合いはSUVという値で表され、ガンがある部位はSUV値が高く表れる。
【0072】
そこで、このSUV値によってFDGの集積の度合いを認識し(図3(c))、SUV値等を利用して自動診断を行う(図4)。
【0073】
SUV値等を利用した自動診断は以下のようにして行うことができる。
【0074】
全身の断層画像による診断は身体の下方から上方に向かって行う。例えば、断層画像に基づいて、身体から大腿部を認識し、認識した大腿部について診断の指標となる薬剤の蓄積を認識し、これら試薬の蓄積等のデータに基づいて大腿部までの異常を判定し、さらに、身体から胴部を認識し、当該胴部が備える各臓器(例えば膀胱、腎臓、…)について認識し、認識した臓器における指標の蓄積を認識し、蓄積量から判定を行う。
【0075】
例えば、大腿部の部位を認識するユニットに対応する処理では、大腿部の領域画像を生成し、集積の領域画像において、大腿部までの部位の診断の指標となるFDG(フルオロデオキシグルコース)等の薬剤が集積している集積の領域画像を生成し、種々の判定データに基づいて大腿部までの異常を判定する。
【0076】
この判定で異常が認められない場合に、胴部の部位を認識するユニットに対応する処理として胴部の領域画像を生成し、膀胱の部位を認識するユニットに対応する処理として膀胱の領域画像を生成し、膀胱部位を診断するユニットに対応する処理として膀胱体積を算出し、膀胱での最大SUV値を算出し、膀胱までの集積の領域画像を生成し、最大SUV値を算出し、種々の判定データに基づいて膀胱までの異常を判定する。
【0077】
この判定で異常が認められない場合に、腎臓の部位について同様の処理を行い、以後、脳の部位まで、断層画像から各臓器を認識するユニットに対応する処理、認識した臓器について指標となる蓄積を認識するユニットに対応する処理、認識した蓄積の値を算出するユニットに対応する処理、蓄積やその他の検出データに基づいて判定を行うユニットに対応する処理を行う。
【0078】
各判定ユニットに対応する処理では、それぞれの部位において異常の可能性の有無を判定し、最後の脳までの部位の異常判定で異常と判定されなかった場合には、正常に振り分ける。
【0079】
これによって、断層画像に専門家の診断を必要とするものと、専門家の診断を不要とするものとに振り分けることができ、専門家は診断が不要な断層画像については診断を行わず、診断を要する断層画像のみを診断することで、負担を軽減することができ、また、各断層画像の診断に十分な時間をかけることができる。
【0080】
上記した各ユニットに対応する処理において、画像生成の処理では、生成された新たな画像は付加情報として元の断層画像に付加される。また、体積やSUV値の算出処理では、算出された値は、元の断層画像及び処理途中で得られた付加情報に対して、さらに付加情報として付加される。
【0081】
例えば、肺部の診断では、胴部を認識するユニットと、認識した胴部内において肺を認識するユニットと、認識した肺において診断の指標となるFDG(フルオロデオキシグルコース)等の薬剤の集積を認識するユニットと、肺部までの異常を判定するユニットを含んでいる。
【0082】
各ユニットに対応して、患者情報と断層画像を入力データとして胴部を認識する処理を行い、胴部認識処理で得られた胴部の画像情報を付加情報として肺部を認識する処理を行い、肺認識処理で得られた右肺及び左肺の画像情報を付加情報として、肺部での集積を認識する処理を行い、集積認識処理で得られた集積情報を付加情報として、肺部までの異常を判定する判定処理を行う。
【0083】
肺領域における処理において、肺領域の認識処理は、断層画像と胴部の領域画像を入力データとして、右肺の領域画像と左肺の領域画像を取得する。肺領域の集積認識処理は、断層画像と胴部の領域画像に加えて、前段の肺領域の認識処理で得られた右肺の領域画像と左肺の領域画像を入力データとして、右肺及び左肺の体積、最大SUV値、及び平均SUV値を算出して取得する。
【0084】
さらに、肺領域内の異常集積判定処理は、前処理の出力データを入力データとして、異常集積の領域画像、集積部位(集積1)のID、集積部位の体積、最大USV値、及び平均USV値を算出して取得するほか、左肺が集積1を内砲する器官の情報を取得する。
【0085】
他の臓器の器官においても、当該器官を診断に要する画像や検出値を算出する処理を行い、取得された画像や検出値に基づいて異常判定が行われる。
【0086】
次に、図5,6を用いて、本発明が備える臓器データおよび解析データについて説明する。
【0087】
本発明は、臓器データと解析データとを備え、臓器データを上位ノードとし解析データを下位ノードとするツリー状のデータ構造としている。さらに、解析データは島集積と複数の島集積からなる集積群からなり、集積群を上位ノードとし島集積を下位ノードとするツリー状のデータ構造としている。
【0088】
島集積は異常が求められる部位の最小単位であり、集積群は同一の臓器内に存在する島集積の集合であり、例えば関連する複数の島集積をまとめて集積群として設定する。なお、この集積群は、一つの臓器内で一つに限らず複数設定することができる。
【0089】
図5は、臓器データおよび集積データのツリー構造を説明するための模式的な構造図である。ここでは、臓器Aの臓器データは、3つの集積群a,b,cと単独の島集積9とを備え、集積群aは3つの島集積1,2,3を有し、集積群bは4つの島集積3,4,5,6を有し、集積群cは2つの島集積7,8を有している。同様に、臓器Bの臓器データは、2つの集積群d,eと単独の島集積15とを備え、集積群dは3つの島集積10,11,12を有し、集積群eは3つの島集積12,13,14を有している。なお、島集積3は集積群aと集積群bの両方に含まれ、島集積12は集積群dと集積群eの両方に含まれている。
【0090】
図6は、臓器データと集積群データと島集積データの各データ例を示している。
【0091】
図6(a)は、上述した臓器を認証する処理で得られる臓器データの例を示している。この臓器データ例では、臓器の名称、臓器データを特定する参照ID(Ref-ID)、臓器の種類を識別する臓器ID、表示画面上で表示する際の表示名、この臓器を表示画面上で表示するための画像データ(以下、この画像データをマスクデータと呼ぶ)、この臓器に対して付けられた診断結果の所見コメントやその他データを含むデータ(以下、これらデータを注釈データと呼ぶ)を備える。
【0092】
マスクデータは、画像データ中でその臓器が存在する位置を特定するための座標データ、およびその臓器が占める領域の大きさを表す領域サイズデータ、この臓器が占める領域において実際に臓器が存在するか否かを表す領域データを備える。
【0093】
注釈データは、臓器中のSUV値の最大値のSUVmax強度データ、臓器中のSUV値の平均値のSUV平均強度データ、臓器の体積、SUV値やその他の判定条件に基づいて判定して得られた判定結果を数値化した評価値SUV値に基づいて診断された部位の危険度を表す判定値(リスク値)、臓器におけるSUV値の分布状態を表すSUV分布パターン、臓器に対して作成された診断結果の所見コメントを表記した診断レポートデータを備える。
【0094】
図7(a)は臓器のマスクデータの一例を示している。図7(a)において、臓器のマスクデータは、臓器の3次元位置を表すために、前記した座標データと領域サイズデータとを備える。座標データP[xp,yp,zp]は、臓器領域の基準位置を表している。また、領域サイズデータX=Sx,Y=Sy,Z=Szは、画像データにおいて臓器が存在する最外殻の領域を四角柱で表したときのサイズを示している。したがって、臓器は、座標データと領域サイズデータとで定まる四角柱の領域内に存在する。
【0095】
最外殻の形状が四角柱で表される臓器において、実際の臓器の形状は、この領域を複数のブロックで分割し、分割したブロックに臓器が存在するか否かを定める領域データを付与することによって表すことができる。例えば、臓器が存在するブロックに“1”を付与し、臓器が存在しないブロックに“0”を付与した場合には、“1”が付与されたブロックの集まりによって臓器の3次元位置を表すことができる。
【0096】
図6(b)は、上記した臓器領域内の異常集積判定処理で得た解析データの集積群データの例を示している。この集積群データは、前記した臓器データと同様に、集積群データを特定する参照ID(Ref-ID)、表示画面上で集積群を表示する際の表示名、この集積群を表示画面上で表示するための画像データ(以下、この画像データをマスクデータと呼ぶ)、この集積群に対して付けられた診断結果の所見コメントやその他データを含むデータ(以下、これらデータを注釈データと呼ぶ)を備える。
【0097】
マスクデータは、画像データ中でその集積群が存在する位置を特定するための座標データ、およびその集積群が占める領域の大きさを表す領域サイズデータ、この集積群が占める領域において実際に集積群が存在するか否かを表す領域データを備える。
【0098】
注釈データは、集積群中のSUV値の最大値のSUVmax強度データ、集積群中のSUV値の平均値のSUV平均強度データ、集積群の体積、SUV値やその他の判定条件に基づいて判定して得られた判定結果を数値化した評価値SUV値に基づいて診断された部位の危険度を表す判定値(リスク値)、集積群におけるSUV値の分布状態を表すSUV分布パターン、集積群に対して作成された診断結果の所見コメントを表記した診断レポートデータを備える。
【0099】
図6(c)は、集積群に含まれる島集積に関連する集積群関連データの一例を示している。この集積群関連データでは、集積群データを特定する参照ID(Ref-ID)に対して、その集積群に含まれる島集積の個数データ、含まれる島集積を特定する参照ID(Ref-ID)等が登録される。
【0100】
この集積群関連データを参照することによって、「3個以上の島集積をある持つ集積群」等、島集積の個数によって集積群を検索する他、特定の島集積を含む集積群を検索することができる。
【0101】
図6(d)は、上記した臓器領域内の異常集積判定処理で得た解析データの島集積データの例を示している。この島集積データは、前記した臓器データと同様に、島集積データを特定する参照ID(Ref-ID)、表示画面上で島集積を表示する際の表示名、この島集積を表示画面上で表示するための画像データ(以下、この画像データをマスクデータと呼ぶ)、この島集積に対して付けられた診断結果の所見コメントやその他データを含むデータ(以下、これらデータを注釈データと呼ぶ)を備える。
【0102】
マスクデータは、画像データ中でその島集積が存在する位置を特定するための座標データ、およびその島集積が占める領域の大きさを表す領域サイズデータ、この島集積が占める領域において実際に島集積が存在するか否かを表す領域データを備える。
【0103】
注釈データは、島集積中のSUV値の最大値のSUVmax強度データ、島集積中のSUV値の平均値のSUV平均強度データ、島集積の体積、SUV値やその他の判定条件に基づいて判定して得られた判定結果を数値化した評価値SUV値に基づいて診断された部位の危険度を表す判定値(リスク値)、島集積におけるSUV値の分布状態を表すSUV分布パターン、島集積に対して作成された診断結果の所見コメントを表記した診断レポートデータを備える。
【0104】
図6(e)は診断レポートデータの例であり、診断結果の所見コメントの文字データが格納されている。例えば、「肺の内部において、限局した強い集積が認められます。SUVmax[SUVmax強度データ]と高値であり、***を強く疑います。」の文字データを記憶部に格納する。
【0105】
診断レポート中の[SUVmax強度データ]や“***”の部分には、解析データの注釈データ内のSUVmax強度データやSUV分布パターン等のデータを用いて組み込むことができる。
【0106】
図7(b)は集積データの集積群、島集積の領域を説明するための図である。ここでは、集積群、島集積の3次元位置を表すために、臓器領域と同様に、座標データと領域サイズデータとを備える。座標データQ[xq,yq,zq]は、集積群、島集積の領域の基準位置を表している。また、領域サイズデータX=Sx,Y=Sy,Z=Szは、画像データにおいて集積群、島集積の領域が存在する最外殻の領域を四角柱で表したときのサイズを示している。したがって、集積群、島集積の領域は、座標データと領域サイズデータとで定まる四角柱の領域内に存在する。集積群、島集積の領域の概略形状は、X=Sx,Y=Sy,Z=Szによって特定することができる。
【0107】
最外殻の形状が四角柱で表される診断部位において、実際の診断部位の形状は、この領域を複数のブロックで分割し、分割したブロックに診断部位が存在するか否かを定める領域データを付与することによって表すことができる。例えば、診断部位が存在するブロックに“1”を付与し、診断部位が存在しないブロックに“0”を付与した場合には、“1”が付与されたブロックの集まりによって診断部位の3次元位置を表すことができる。
【0108】
図8は診断部位と診断部位領域との関係を表している。図8(a)は診断部位の例であり、図8(b)は診断部位領域の一例である。図8(b)において、診断部位領域を構成する各ブロックには、“1”あるいは“0”が付与される。例えば、“1”を付与したブロックによって診断部位領域を表すことができる。この各ブロック中の“1”あるいは“0”は、マスクデータ中の領域データに対応するものである。
【0109】
なお、この診断部位領域の各ブロックは、各ブロックの位置とそのブロックでの診断部位の有無を表す数値を有する形態で表記することができる。例えば[1,1,1,1]、[2,1,1,1]、…のマスクデータ中の領域データで表すことができる。この領域データの最初から第3番目のデータ(1,1,1)、(2,1,1)はブロックのx、y、z方向の位置を表し、第4番目の(1)、(1)は各ブロックでの診断部位の有無を表している。
【0110】
また、診断部位領域の各ブロックの別の表記形態では、診断部位領域の全ブロックについて、X,Y,Z方向についてブロックを指定する順序を予め定めておき、この順序にしたがって、各ブロックでの診断部位の有無のデータのみを表記してもよい。なお、上記した例は一例であって、上記に限られるものではない。
【0111】
次に、上記した座標データと領域サイズデータとで定まる四角柱の領域と、その領域内の複数のブロック規定される臓器領域あるいは診断部位領域を、3次元の指定した位置によって特定する一例を図9を用いて説明する。
【0112】
図9は、例えば、診断部位領域は、座標データQ[xq,yq,zq]と領域サイズデータ[Sx,Sy,Sz]で定めることができる。ここで、座標データQ[xq,yq,zq]と領域サイズデータ[Sx,Sy,Sz]で定まる領域の領域範囲を算出し、この算出した領域範囲内にR[xr,yr,zr]が含まれるか否かを判定し、指定位置Rが領域内である場合には、指定位置Rはその領域を指定したと判定し、指定位置Rが領域外である場合には、指定位置Rはその領域を指定しておらず、他の領域を指定しているものと判定する。
【0113】
図10は、臓器データと集積データとの関係、および集積データにおける島集積と集積群との関係を説明するための図である。図10に示す例は、前記した図5のツリー構造に基づくものである。
【0114】
例えば、Ref-Aの参照IDで特定される臓器データは、Ref-a,Ref-b,Ref-cの各参照IDで特定される3つの集積群と、Ref-9の参照IDで特定される単独の島集積を含む。また、Ref-aの集積群はRef-1,Ref-2,Ref-3の各参照IDで特定される3つの島集積を含み、Ref-bの集積群はRef-3,Ref-4,Ref-5,Ref-6の各参照IDで特定される4つの島集積を含み、Ref-cの集積群はRef-7,Ref-8の各参照IDで特定される2つの島集積を含む。
【0115】
また、Ref-Bの参照IDで特定される臓器データは、Ref-d,Ref-eの各参照IDで特定される2つの集積群と、Ref-15の参照IDで特定される単独の島集積を含む。また、Ref-dの集積群はRef-10,Ref-11,Ref-12の各参照IDで特定される3つの島集積を含み、Ref-eの集積群はRef-12,Ref-13,Ref-14の各参照IDで特定される3つの島集積を含む。
【0116】
次に、図11を用いて、臓器を表す画像(以下臓器画像という)と島集積を表す画像(島集積画像という)と集積群を表す画像(集積群画像という)の各画像と、各部分に設定された診断レポートの所見コメントとの間において、一方を指定して他方を表示する相互表示について説明する。
【0117】
図11(a)は診断レポート中の所見コメントを指定し、この指定に対応する部位を表示する場合を示し、図11(b)は診断レポート中の所見コメントを指定し、この指定に対応する部位を表示する場合を示している。
【0118】
図11(a)において、参照IDがRef-dで特定される診断レポート中の所見コメント中に記述される“…3つの集積…”を指定した場合、この“…3つの集積…”に対応する集積群を表示画面上に表示する。この対応する集積群の画像データは、同一の参照ID(Ref-d)を指標として記憶手段から読み出すことができる。
【0119】
また、図11(a)において、参照IDがRef-15で特定される診断レポート中の所見コメント中に記述される“…SUV最大の集積…”を指定した場合、この“…SUV最大の集積…”に対応する島集積を表示画面上に表示する。この対応する島集積の画像データは、同一の参照ID(Ref-15)を指標として記憶手段から読み出すことができる。
【0120】
図11(b)において、表示画面上において参照IDがRef-eで特定される集積群を指定した場合、この集積群に対応する診断レポート中の所見コメントを表示画面上に表示する。
【0121】
この対応する所見コメント文字データは、同一の参照ID(Ref-e)を指標として記憶手段から読み出すことができる。
【0122】
また、図11(b)において、表示画面上において参照IDがRef-14で特定される島集積を指定した場合、この島集積に対応する診断レポート中の所見コメントを表示画面上に表示する。
【0123】
この対応する所見コメント文字データは、同一の参照ID(Ref-14)を指標として記憶手段から読み出すことができる。
【0124】
以下、本発明の医療画像表示装置による動作機能例について説明する。以下に説明する動作機能例は、表示画面上に表示される画像の位置を指定し、その位置に対応する部分に設定された診断レポートの文章を表示する第1の動作機能例、表示画面上に表示される診断レポートの文章を指定し、その文書に対応する診断部位の位置を表示画面上で表示する第2の動作機能例、表示画面上の点を指定し、指定した位置の近傍に係わる画像データを表示画面上で表示する第3の動作機能例、および、SUV値を指定し、このSUV値に関連する画像データを抽出して表示画面上に表示する第4の動作機能例である。
【0125】
第1の動作機能例および第2の動作機能例によれば、表示画面上において、互いに関連性を有する画像と診断レポートの文章との間で交互表示することができ、画像中に位置を指定することで対応する文章を抽出して表示し、また、文章あるいは文章中の文を指定することで対応する画像を抽出して表示することができる。
【0126】
この第1の動作機能によれば、表示画面上に表示される画像を観察した際に、より詳細な観察を要する箇所に付された診断レポートを参照することができる。また、診断判定の判断理由を確認することができる。
【0127】
また、第2の動作機能によれば、診断レポートに記憶された判断箇所について、表示画面上において、臓器や診断部位との関係を確認することができる。
【0128】
第3の動作機能によれば、表示画面上の画像について指定する部位の近傍の断層画像を観察することができる。
【0129】
第4の動作機能によれば、表示画面上の画像について指定する部位の近傍のSUV値の分布を観察することができる。
【0130】
以下、第1の動作機能例について、図12〜図15を用いて説明する。図12は第1の動作機能例を行う構成例を示す図であり、図13は第1の動作機能例の表示例を示す図であり、図14は第1の動作機能例を行う表示制御部の構成例を示す図であり、図15は第1の動作機能例の動作を説明するためのフローチャートである。
【0131】
図12では、臓器データとして、身体を正面側および側面側から見た縦方向の断層画像、および身体の横方向の断層画像を表示する例を示し、この画像表示の下方位置に診断レポートの文章を表示している。なお、表示画面上の画像および文章のレイアウトは、図の配置例に限らず任意に設定することができる。
【0132】
図12(a)は、初期表示状態を示している。なお、記憶部5には、各対象者について、書誌的事項や、カルテやレントゲン写真の画像データ、PET画像データ、CT画像データ、MRI画像データ等の測定画像データを原画像データとして記憶する他、これら原画像データを元にして生成した臓器データや解析データを記憶している。解析データの診断レポートには、自動診断あるいは専門家の診断で得られた診断結果の所見コメントの文字データが記憶されている。なお、図12では対象者として対象者A〜対象者Cを示しているが、一例に過ぎずこれに限られるものではない。
【0133】
入力装置4から対象者Aを指定すると、初期状態として、表示制御部3は記憶部5から指定した対象者Aに係わる測定画像データや臓器データの画像データを読み出して表示部2に画像を表示する他、記憶部5の解析データから診断レポートの文字データを読み出して表示部2に所見コメントの文章を表示する。
【0134】
図12(b)は、表示画面上に表示される画像において位置を指定し、その位置に関連する診断レポート中の文章を記憶部5から読み出して表示画面に表示する状態を示している。
【0135】
表示部2の表示画面上に表示された画像を参照し、その画面上で位置を入力部4で指定する。表示制御部3は、指定された位置に対応する部位を抽出し、その部位を特定する参照IDを用いて記憶部5に記憶される解析データから診断レポートの所見コメントの文字データを読み出し、表示部2の表示画面に表示する。
【0136】
これによって、表示画面には、対象者の画像と、画像中で指定した位置の部位に関連する診断レポートの所見コメントが表示され、画像と文章とを同時に参照することができる。
【0137】
図13は、指定位置の指定と、指定位置に対応する診断レポートの所見コメントの表示を示している。図13(a)は、肺部の横方向断面を示す画像上で位置を指定し、この位置の部位に関連する診断レポートの所見コメントを表示する例を示している。また、図13(b)は、肺部の縦方向断面を示す画像上で位置を指定し、この位置の部位に関連する診断レポートの所見コメントを表示する例を示している。なお、図13では、指定位置を“+”で示している。
【0138】
次に、表示制御部の構成例とその動作例を図14,図15を用いて説明する。図14は表示制御部の一構成例を説明するための図であり、図15は表示制御部の一動作例を説明するためのフローチャートである。
【0139】
図14に示す構成図において、表示制御部3は、入力部4で入力した指定位置に対応する部位の有無および部位を特定する部位判定手段3c、部位を特定するために部位が存在する領域の領域データを生成する領域生成手段3d、生成した領域データを一時的に記憶しておく処理用メモリ3e、表示部2に表示する画像の画像データや診断レポートの文字データを読み出す読み出し手段3b、読み出し手段3bで読み出した画像データや文字データを用いて表示部2に画像や文字を表示するための表示信号を生成する表示信号生成手段3aを備える。
【0140】
図15のフローチャートにおいて、初期状態において、読み出し手段3bは、記憶部5から指定した対象者の原画像データを読み出し(S11)、取得した原画像データを用いて画像信号を生成して表示部2に表示する(S12)。
【0141】
また、記憶部5から表示中の原画像データに付された参照ID(Ref-ID)と同じ参照IDの臓器データあるいは解析データからマスクデータを領域生成手段3dに取り込み(S21)、マスクデータ中の座標データ、領域サイズデータを用いて臓器あるいは解析部位の領域を特定する領域データを生成し処理用メモリ3eに参照IDと共に記憶する(S22)。
【0142】
表示部2の表示画面上に表示された画像を参照し、その画面上で位置を入力部4で指定する(S23)。部位判定手段3eは、指定位置の位置データを取得し(S24)、領域生成手段3dで生成し処理用メモリ3eに記憶している領域データと比較することによって部位を特定する(S25)。読み出し手段3bは、処理用メモリ3eから参照IDを入力し、この参照IDを用いて記憶部5から対応する診断レポートの所見コメントの文字データを読み出す(S26)。表示信号生成手段3aは、記憶部5から読み出した診断レポートの所見コメントの文字データを用いて表示部2に表示するための表示信号を生成し(S27)、表示部2に診断レポートの所見コメントを表示する(S28)。
【0143】
以下、第2の動作機能例について、図16〜図19を用いて説明する。図16は第2の動作機能例を行う構成例を示す図であり、図17は第2の動作機能例の表示例を示す図であり、図18は第2の動作機能例を行う表示制御部の構成例を示す図であり、図19は第2の動作機能例の動作を説明するためのフローチャートである。
【0144】
図16では、臓器データとして、身体を正面側および側面側から見た縦方向の断層画像、および身体の横方向の断層画像を表示する例を示し、この画像表示の下方位置に診断レポートの文章を表示している。なお、表示画面上の画像および文章のレイアウトは、図の配置例に限らず任意に設定することができる。
【0145】
図16(a)は、初期表示状態を示している。なお、記憶部5には、各対象者について、書誌的事項や、カルテやレントゲン写真の画像データ、PET画像データ、CT画像データ、MRI画像データ等の測定画像データを原画像データとして記憶する他に、これら原画像データを元にして生成した臓器データや解析データが記憶されている。解析データには、自動診断あるいは専門家によって得られた診断結果の診断レポートの文字データが記憶されている。なお、図16では対象者として対象者A〜対象者Cを示しているが、一例に過ぎずこれに限られるものではない。
【0146】
入力装置4から対象者Aを指定すると、表示制御部3は記憶部5から指定した対象者Aに係わる測定画像データや臓器データの原画像データを読み出して表示部2に画像を表示する他、記憶部5の解析データから診断レポートの所見コメントの文字データを読み出して表示部2に診断レポートの文章を表示する。
【0147】
図16(b)は、表示画面上に表示される診断レポート中の所見コメントの文章、あるいはその文章中の文字を指定し、この文章あるいは文字に対応する部位の画像データを読み出して表示画面に表示する状態を示している。
【0148】
表示部2の表示画面上に表示された診断レポートの所見コメントを参照し、その診断レポートの所見コメントの文章あるいは文章中の文字を入力部4で指定する。表示制御部3は、指定された文章あるいは文字に対応する部位を抽出し、その部位を特定する部位アドレスを用いて記憶部5に記憶される解析データから対応する部位の画像データを読み出し、表示部2の表示画面に表示する。
【0149】
これによって、表示画面には、対象者の画像と、画像中で指定した位置の部位に関連する診断レポートが表示され、画像と文章とを同時に参照することができる。
【0150】
図17は、指定位置の指定と、指定位置に対応する診断レポートの所見コメントの表示を示している。図17(a)は、肺部の画像と、この肺部に関連する診断レポートを表示している。図17(b)において、診断レポートの所見コメント中に記載された“限局された強い集積”の文字部分を指定し、この文字部分に関連する部位を画像上で表示する例を示している。なお、図17では、指定位置を“+”で示している。
【0151】
なお、図17(b)では、診断レポートの所見コメントにおいて指定可能な文字を予め設定しておき、指定が不可である文字部分と識別可能に表示する例を示しているが、この表示例に限られるものはない。
【0152】
次に、表示制御部の構成例とその動作例を図18,図19を用いて説明する。図18は表示制御部の一構成例を説明するための図であり、図19は表示制御部の一動作例を説明するためのフローチャートである。
【0153】
図18に示す構成図において、表示制御部3は、表示部2に表示する画像の画像データや診断レポートの文字データを読み出す読み出し手段3b、読み出し手段3bで読み出した画像データや文字データを用いて表示部2に画像や文字を表示するための表示信号を生成する表示信号生成手段3aを備える。
【0154】
図19のフローチャートにおいて、読み出し手段3bは、初期状態において、記憶部5から指定した対象者の原画像データ、臓器データ等の画像データを読み出し、取得した画像データを用いて画像信号を生成して表示部2に表示する。
【0155】
また、読み出し手段3bは、記憶部5から指定した対象者について、臓器データあるいは解析データ中の注釈データを取得し(S31)、取得した注釈データから診断レポートの文字データを読み出し、取得した文字データを用いて表示信号を生成して表示部2に表示する(S32)。
【0156】
表示部2の表示画面上に表示された画像および診断レポートを参照し、その診断レポートの文章あるいは文章中の文字を入力部4で指定する(S33)。読み出し手段3bは、指定した文章あるいは文字が記述された診断レポートを特定する参照ID(Ref-ID)を用いて(S34)、この参照IDに対応するマスクデータを取得する(S35)。
【0157】
読み出し手段3bは、取得したマスクデータから部位の画像データを記憶部5から読み出し、表示信号生成手段3aは、読み出した画像データから画像信号を生成し(S36)、部位の画像を表示部2に表示する(S37)。
【0158】
以下、第3の動作機能例について、図20〜図24を用いて説明する。図20は第3の動作機能例を行う構成例を示す図であり、図21は第3の動作機能例の表示例を示す図であり、図22は第3の動作機能例を行う表示制御部の構成例を示す図であり、図23は第3の動作機能例の動作を説明するためのフローチャートであり、図24は指定位置と近傍領域との関係を説明するための図である。
【0159】
図20では、臓器データとして、身体を正面側および側面側から見た縦方向の断層画像、および身体の横方向の断層画像を表示する例を示し、この画像表示の下方位置に診断レポートの文章を表示している。なお、表示画面上の画像および文章のレイアウトは、図の配置例に限らず任意に設定することができる。
【0160】
図20(a)は、初期表示状態を示している。なお、記憶部5には、各対象者について、書誌的事項や、カルテやレントゲン写真の画像データ、PET画像データ、CT画像データ、MRI画像データ等の測定画像データを原画像データとして記憶する他に、これら原画像データを元にして生成した臓器データや解析データを記憶している。解析データには、自動診断や専門家による診断で得られた診断結果が診断レポートの所見コメントとして、文章の文字データを記憶している。なお、図20では対象者として対象者A〜対象者Cを示しているが、一例に過ぎずこれに限られるものではない。
【0161】
入力装置4から対象者Aを指定すると、表示制御部3は記憶部5から指定した対象者Aに係わる測定画像データの原画像データや臓器データあるいは解析データの画像データを読み出して表示部2に画像を表示する他、臓器データあるいは解析データの注釈データから診断レポートの文字データを読み出して表示部2に診断レポートの文章を表示する。
【0162】
図20(b)は、表示画面上に表示される画像において位置を指定し、その指定した位置の近傍の画像を記憶部5から読み出して表示画面に表示する状態を示している。
【0163】
表示部2の表示画面上に表示された画像を参照し、その画像において観察を要すると判断した箇所について拡がりを持つ領域を入力部4で指定する。表示制御部3は、指定され領域の画像データを記憶部5から読み出し、表示部2の表示画面に表示する。
【0164】
これによって、表示画面上において、拡がりを持った観察領域に係わる画像を容易に参照することができる。
【0165】
図21は、表示された画面上での位置指定、指定した位置の近傍の領域指定、および指定した近傍領域の画像の表示を示している。図21(a)は表示画面上において指定した指定位置Rを示し、図21(b)は指定位置Rの回りのある拡がりを持つ領域の近傍領域Sを示している。この近傍領域の拡がりの程度を表す大きさは入力部2から設定することができる。図21(c)は、指定された近傍領域Sの画像を、断層画像Tで示している。
【0166】
なお、図21では、指定位置を“+”で示している。また、近傍領域の形状は四角柱で示しているが、近傍領域Sを表す形状は、四角柱に限らず球形等としても良く、選択して変更することができる。
【0167】
次に、表示制御部の構成例とその動作例を図22,図23を用いて説明する。図22は表示制御部の一構成例を説明するための図であり、図23は表示制御部の一動作例を説明するためのフローチャートである。
【0168】
図22に示す構成図において、表示制御部3は、近傍領域を設定する近傍領域設定手段3g、近傍領域の形状や初期段階での大きさに係わる領域データのデフォルト値を記憶しておくメモリ3f、表示部2に表示する画像の画像データや診断レポートの文字データを読み出す読み出し手段3b、読み出し手段3bで読み出した画像データや文字データを用いて表示部2に画像や文字を表示するための表示信号を生成する表示信号生成手段3aを備える。
【0169】
図23のフローチャートにおいて、読み出し手段3bによって、記憶部5から画像データを取得して、表示部2に画像表示する。
【0170】
近傍領域を指定する画像表示モードを設定した後(S41)、表示画像上で位置を指定する(S42)。
【0171】
近傍領域設定手段3gは、指定された位置の座標を取得し(S43)、メモリ3fから近傍領域のデフォルト値を読み出し、近傍領域Sを設定する(S44)。読み出し手段3bは、近傍領域Sに含まれる画像データを記憶部5から読み出し(S45)、表示信号生成手段3aはこの画像データから画像信号を生成して、表示部2に表示する(S46)。
【0172】
近傍領域Sの指定位置や、領域の大きさや形状を変更する場合には(S47)、入力部4から位置を再設定したり、サイズや形状を設定する(S48)。
【0173】
表示部2には、指定した近傍領域の画像を複数枚の断層画面Tによって表示する。これらの断層画面の中から特定の画面を指定した場合には(S49)、指定した画面を表示する(S50)。
【0174】
図24は近傍領域Sの例を示している。図24(a)は近傍領域を四角柱の形状で表す例である。この場合には、例えば、中心位置O(xo,yo,zo)とx,y,z方向のサイズ[LX,LY,LZ]で設定する。
【0175】
中心位置O(xo,yo,zo)を変更することで近傍領域Sの位置を設定し、サイズ[LX,LY,LZ]を変更することで近傍領域Sの形状および大きさを設定する。
【0176】
図24(b)は近傍領域を球形の形状で表す例である。この場合には、例えば、中心位置O(xo,yo,zo)と半径rで設定する。
【0177】
中心位置O(xo,yo,zo)を変更することで近傍領域Sの位置を設定し、半径rを変更することで近傍領域Sの大きさを設定する。
【0178】
以下、第4の動作機能例について、図25〜図28を用いて説明する。図25は第4の動作機能例を行う構成例を示す図であり、図26は第4の動作機能例の表示例を示す図であり、図24は第4の動作機能例を行う表示制御部の構成例を示す図であり、図28は第4の動作機能例の動作を説明するためのフローチャートである。
【0179】
図25では、臓器データとして、身体を正面側および側面側から見た縦方向の断層画像、および身体の横方向の断層画像を表示する例を示し、この画像表示の下方位置に診断レポートの文章を表示している。なお、表示画面上の画像および文章のレイアウトは、図の配置例に限らず任意に設定することができる。
【0180】
図25(a)は、初期表示状態を示している。なお、記憶部5には、各対象者について、書誌的事項や、カルテやレントゲン写真の画像データ、PET画像データ、CT画像データ、MRI画像データ等の測定画像データを原画像データとして記憶する他に、これら原画像データを元にして生成した臓器データや解析データが記憶されている。解析データには、自動診断や専門家による診断で得られた診断結果の診断レポートの文章の文字データが記憶されている。なお、図25では対象者として対象者A〜対象者Cを示しているが、一例に過ぎずこれに限られるものではない。
【0181】
入力装置4から対象者Aを指定すると、表示制御部3は記憶部5から指定した対象者Aに係わる測定画像データや臓器データあるいは解析データの画像データを読み出して表示部2に画像を表示する他、記憶部5の解析データ中の注釈データから診断レポートの文字データを読み出して表示部2に診断レポートの文章を表示する。
【0182】
図26(b)、(c)は、表示画面上に表示される画像において位置を指定し、その指定した位置の近傍のSUV値の分布を記憶部5から読み出して表示画面に表示する状態を示している。図26(b)は、身体全体におけるSUV値の分布を示し、図26(c)は、身体中の特定部分の近傍領域でのSUV値の分布を示している。
【0183】
入力部4からSUV値あるいはSUV値の範囲を指定し、表示制御部3は指定されたSUV値あるいはSUV値の範囲の分布画像を記憶部5から読み出し、表示部2の表示画面に表示する。SUV値の範囲の指定は、例えば、設定値以上、設置値以下、あるいは上限値と下限値で定まる数値範囲を設定することで行うことができる。これによって、表示画面上において、SUV値の分布画像を参照することができる。
【0184】
また、診断結果を表す判定レベルを用いて同様に判定レベルの分布を表示することもできる。この場合には、入力部4から判定レベル値あるいは判定レベル値の範囲を指定し、表示制御部3は指定された判定レベル値あるいは判定レベル値の範囲の分布画像を記憶部5から読み出し、表示部2の表示画面に表示する。判定レベルの範囲の指定は、例えば、ある判定レベル値以上、ある判定レベル値以下、あるいは判定レベル値の上限値と下限値で定まる範囲を設定することで行うことができる。これによって、表示画面上において、判定レベル値の分布画像を参照することができる。
【0185】
また、近傍領域は、前記した第3の動作機能で説明した設定方法を用いることができ、位置と近傍領域の形状と範囲を指定することで定めることができる。
【0186】
次に、表示制御部の構成例とその動作例を図27,図28を用いて説明する。図27は表示制御部の一構成例を説明するための図であり、図28は表示制御部の一動作例を説明するためのフローチャートである。
【0187】
図27に示す構成図において、表示制御部3は、第3の動作機能例と同様に、近傍領域を設定する近傍領域設定手段3g、近傍領域の形状や初期段階での大きさに係わる領域データのデフォルト値を記憶しておくメモリ3f、表示部2に表示する画像の画像データや診断レポートの文字データを読み出す読み出し手段3b、読み出し手段3bで読み出した画像データや文字データを用いて表示部2に画像や文字を表示するための表示信号を生成する表示信号生成手段3aを備える。
【0188】
近傍領域設定手段3gでは、位置と領域を指定することで近傍領域を設定する他に、入力部4で入力したSUV値の範囲あるいは判定レベルを用いて、読み出し手段3bによって記憶部5から対応する分布領域を抽出する。
【0189】
図28のフローチャートにおいて、読み出し手段3bによって、記憶部5から画像データを取得して、表示部2に画像表示する。
【0190】
近傍領域を指定するSUV値、判定レベル値の分布表示モードを設定した後(S51)、SUV値あるいは判定レベル値の数値あるいは範囲を指定の有無を判断する(S52)。
【0191】
SUV値あるいは判定レベル値の数値あるいは範囲が指定された場合には、その指定されたSUV値あるいは判定レベル値の数値あるいは範囲を設定(S53)し、SUV値や判定レベル値の数値あるいは範囲が指定されない場合には、デフォルト値をメモリ3fから読み出し、読み出したSUV値あるいは判定レベル値の数値あるいは範囲を設定する(S54)。
【0192】
読み出し手段3bは、設定されたSUV値あるいは判定レベル値の数値あるいは範囲に基づいて、記憶部5からそのSUV値あるいは判定レベル値の分布データを読み出し、表示信号生成手段3aによって分布画像データを生成し(S55)、生成した分布画像データを用いて分布表示を行う(S56)。
【0193】
分布データの抽出は、全身を検索範囲とする他、指定した領域内を検索範囲とすることができる。この検索範囲を定める領域は、前記した近傍領域を利用することができる。近傍領域Sの指定位置や、領域の大きさや形状を変更する場合には(S57)、入力部4から位置を再設定したり、サイズや形状を設定する(S58)。
【0194】
表示部2には、指定した近傍領域の分布画像を複数枚の断層画面によって表示する。これらの断層画面の中から特定の画面を指定した場合には(S59)、指定した画面を表示する(S60)。
【産業上の利用可能性】
【0195】
本発明の医療画像表示装置に係わる関連データの抽出と表示の用いる技術は、医療分野に限らず、所定の判断手法や判断基準に基づいて推定操作を行う一連の操作を有する診断操作を行う分野に適用することができる。
【0196】
例えば、構造体の断層画像データを用いた非破壊構造検査、大気の気圧、温度等の断層画像データを解析する気象解析、3次元の流体流れの断層画像データを解析する流体解析等に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0197】
【図1】本発明の医療画像表示装置の概略を説明するための図である。
【図2】本発明の医療画像表示装置の動作手順を説明するためのフローチャートである。
【図3】本発明の医療画像表示装置に用いる画像データおよび解析データの取得を説明するための図である。
【図4】本発明の医療画像表示装置に用いる画像データおよび解析データの取得を説明するための図である。
【図5】本発明の臓器データおよび集積データのツリー構造を説明するために模式的に示した構造図である。
【図6】本発明の臓器データと集積群データと島集積データの各データ例を示す図である。
【図7】本発明の臓器領域、診断部位領域の例を説明するための図である。
【図8】本発明の診断部位領域の例を説明するための図である。
【図9】本発明の臓器領域あるいは診断部位領域を3次元の指定位置によって特定する一例を説明するための図である。
【図10】本発明の臓器データと集積データとの関係、および集積データにおける島集積と集積群との関係を説明するための図である。
【図11】画像と診断レポートとの間における相互表示を説明するための図である。
【図12】本発明の第1の動作機能例を行う構成例を示す図である。
【図13】本発明の第1の動作機能例の表示例を示す図である。
【図14】本発明の第1の動作機能例を行う表示制御部の構成例を示す図である。
【図15】本発明の第1の動作機能例の動作を説明するためのフローチャートである。
【図16】本発明の第2の動作機能例を行う構成例を示す図である。
【図17】本発明の第2の動作機能例の表示例を示す図である。
【図18】本発明の第2の動作機能例を行う表示制御部の構成例を示す図である。
【図19】本発明の第2の動作機能例の動作を説明するためのフローチャートである。
【図20】本発明の第3の動作機能例を行う構成例を示す図である。
【図21】本発明の第3の動作機能例の表示例を示す図である。
【図22】本発明の第3の動作機能例を行う表示制御部の構成例を示す図である。
【図23】本発明の第3の動作機能例の動作を説明するためのフローチャートである。
【図24】本発明の第3の動作機能例の指定位置と近傍領域との関係を説明するための図である。
【図25】本発明の第4の動作機能例を行う構成例を示す図である。
【図26】本発明の第4の動作機能例の表示例を示す図である。
【図27】本発明の第4の動作機能例を行う表示制御部の構成例を示す図である。
【図28】本発明の第4の動作機能例の動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0198】
1…医療画像表示装置
2…表示部
3…表示制御部
3a…表示信号生成手段
3b…読み出し手段
3c…部位判定手段
3d…領域生成手段
3e…処理用メモリ
3f…メモリ
3g…近傍領域設定手段
4…入力部
5…記憶部
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療画像診断に関し、特に医療専門家が医療画像データの他、数値データ、文字列データ等の各種マルチメディアデータを読影して行う診断を支援するための診断支援装置、診断支援システムに適用することができる医療画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、医療の検査データを用いて、医師が行う診断のプロセスをコンピュータに代行させる試みが行われているが(非特許文献1)、人体の複雑さや、検査データと医学知識との関連付けの困難さとから、有効なものとなっていない。
【0003】
また、医師による診断手法と異なる手法を用いてコンピュータで診断を行うことは、信頼性の点から実用化は困難である。そこで、診断支援では、コンピュータの利用は画像変換や画像処理などの補助的なものが一般的である。
【0004】
また、CT,MRI,PETに代表される人体内情報を断層画像を用いて診断する手法も提案されている。医療分野において、例えばPET画像等の断層画像撮像装置で得られた断層画像を用いて医療診断を行うことが知られている。この断層画像等の画像データや数値データを用いた医療診断では、医療専門家が撮像画像を読影し、専門知識や経験に照らし合わせることで疑わしい領域の抽出や推論を行っている。
【0005】
例えば、全身FDG−PET(FDG-Positron Emission Tomography:陽電子放射断層撮像)画像を用いてガン診断では、放射性フッ素(f-18)を標識してFDG(フルオロデオキシグルコース)というブドウ糖に似た放射性の薬剤を体内に投入し、その体内分布を撮影してFDG−PET画像を得る。FDGの集積の度合いはSUVという値で表され、ガンがある部位はSUV値が高く表れる。
【0006】
全身PET診断では、体軸方向に約3mm間隔で、大腿部から頭頂部までの断層撮影が行われ、患者一人につき約300枚程度の断層画像(スライス画像)が撮像される。この全身PET診断では、炎症が起きている部位やFDGを取り込みやすい臓器・組織(腎臓・膀胱・肝臓等)では、ガンがない場合であってもSUV値が高く表れるため、診断者は正しく診断するために多くの負担がかかっている。
【0007】
全身PET診断による集団検診が検討されるなかで、上記のように断層画像の読影は長い時間や多大な労力を要するため、多数の人の診断に対応できないことが予想されている。
【0008】
このような断層画像の読影の係わる診断者の負担を軽減する手法として、診断者が行っている断層画像の読影による診断をコンピュータに行わせることが考えられる。
【0009】
このコンピュータを用いた診断手法として、FORTRANやPascal等の既存のプログラム言語を用い、手続き的なプログラミングによって診断技術や知識をプログラム内に取り込むことが考えられる。また、専門知識を簡単なルールで表現した知識ベースと知識を組み合わせて、診断の推論を実行する推論エンジンを構成することも考えられる。
【0010】
しかしながら、診断をコンピュータに代行させるには、医師が断層画像に対してどのような処理を行って情報を導いているかを把握する必要があるが、この画像処理は多くは経験的で主観的であるため、プログラム言語で記述することは難しく、コンピュータでの実行は困難とされている。
【0011】
また、一般に、全身PET診断によるガンの検診では、被験者の内ほぼ8割はガンが見受けられない明らかに正常な結果となると言われていることから、正常な断層画像を認識して医師の診断を要さないものについては予め除いておき、医師等の専門家は読影を要する断層画像のみを診断することができれば、医師等の専門家の負担を軽減することが期待される。
【0012】
そこで、本出願の発明者は、画像データを含むマルチメディアデータを階層構造とし、このマルチメディアデータに所定の操作を施して階層構造を再構成するデータ処理を行うことによって、専門家の診断が不要なデータと専門家の診断を要するデータとに区分し、これによって、専門家が診断する画像データ量を軽減する特許出願を行っている(特許文献1参照)。
【非特許文献1】E.H. Shortliffe,“Computer based Medical Consultations:MYCIN”,American:Elsevier,1976
【特許文献1】特開2006−247164号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
コンピュータを用いた診断手法では、例えば、手続き的なプログラミングでは、医師等の専門家が行う推定過程を既存のプログラム言語で記述することは難しく、専門家が行う推論が十分に反映されないおそれがあり、信頼性の点で問題がある。
【0014】
また、推論エンジンを構成した場合には、例えば、知識をIF-THEN形式でルールとして記述する方式により専門知識を断片的に記述することはできるが、利用者は記述されたルール部分を確認できるものの、システムや装置がどのような推論過程に従って診断を行っているかを把握し、その処理が適切であるかの妥当性について評価することが難しいという問題がある。
【0015】
このように、コンピュータを用いた診断や、数値データ等の種々のデータを利用することで、医師等の専門家の負担を軽減することが期待されるものの、現段階ではコンピュータを用いた診断や、各種データには信頼性や妥当性において考慮すべき点を含んでいる。
【0016】
医師等の専門家による診断、あるいは自動診断では、断層画像等の画像データや数値データ等の種々のデータに基いて、診断部位を指摘する他、所見コメント文を表している。この診断部位の指摘や所見コメント文を参考とする際、この指摘された診断部位や所見コメント文を表す際の元となっている画像上の表示部分についても参照することができれば、診断部位の指摘や所見コメント文の内容や診断の意図を理解することがより容易となる。
【0017】
例えば、診断部位の指摘や所見コメント文中に、肝臓に高いSUV値の集積が指摘されている場合、その蓄積が認められる位置について画像上に表示することができれば、集積位置が、肝臓の中心側であるのか、あるいは右腎臓の境界の近くであるかといった空間情報を同時に把握することができれば、診断部位の指摘や所見コメント文の意図をより的確に理解することが容易となる。
【0018】
そこで、医師等の専門家や自動診断で指摘された診断部位や所見コメント文を参照する際に、この診断部位の指摘や所見コメント文を作製する上で基礎と成っている臓器や集積の位置関係が空間情報として表示画面上で視覚的にかつ直感的に確認できれば、既存の診の意図を素早く正確に理解できるものと期待される。
【0019】
また、表示画面上で位置を指定した際に、その指定した位置に付与された所見コメント文を容易に参照することができれば、既存の診断結果を素早く理解するできるものと期待される。
【0020】
そこで、本発明は前記した従来の問題点を解決し、断層画像等の画像を表示し、既に得られている既存の診断部位や所見コメント文を参照する際に、診断部位や表示画面上で指定した位置から、その診断部位や指定位置の部位に付与された所見コメント文を参照すること、および所見コメントから表示画面上で診断部位を参照することを容易とすることを目的とする。
【0021】
また、診断部位や指定位置と所見コメントとの相互参照を容易とすることによって、既存の診断結果の素早い理解を助けることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、断層画像等の画像データを含む種々の形態のデータを表示部に表示する際に、診断において関連するデータについて、一方から他方を相互に抽出し表示自在とすることによって、データ間の関連性の確認を容易とする。
【0023】
本発明の医療画像表示装置は、3次元の医学画像を表示する医療画像表示装置であって、記憶部と表示部と表示制御部とを備える。
【0024】
本発明の記憶部は、診断機器により得られる医学画像の原画像データと、画像処理により画像データから臓器を識別して得られる臓器データと、原画像データから得られる解析データの各データを記憶する。
【0025】
本発明の表示部は、原画像データ、臓器データ、および解析データを表示する。
【0026】
本発明の表示制御部は、記憶部に記憶される原画像データ、臓器データ、および解析データを表示部に選択的に表示する。
【0027】
本発明の記憶部に記憶する臓器データは、臓器の領域に係わる3次元画像データおよび文字データを含む。また、本発明の記憶部に記憶する解析データは、臓器内の解析領域に係わる3次元画像データと、解析領域の診断結果の文字データとを含む構成とする。また、臓器データと解析データは、臓器データを上位ノードとし解析データを下位ノードとするツリー状のデータ構造を構成する。
【0028】
表示制御部は、臓器あるいは解析領域の3次元画像データと、臓器あるいは解析領域の診断結果の文字データとの間において、一方から他方を相互に抽出し表示自在とする。表示制御部は、表示部上で指定された文字に対応する3次元画像データを記憶部から抽出して表示部に表示する。また、表示制御部は、表示部上で指定された3次元画像に対応する文字データを記憶部から抽出して表示部に表示する。
【0029】
この構成により、臓器あるいは解析領域の3次元画像データと診断結果の文字データとの間で、互いに一方を指定することで他方を読み出して表示することができ、断層画像等の画像を表示し、既に得られている既存の診断部位や所見コメント文を参照する際に、診断部位や表示画面上で指定した位置から、その診断部位や指定位置の部位に付与された所見コメント文を参照すること、および所見コメントから表示画面上で診断部位を参照することを容易に行うことができ、診断部位や指定位置と所見コメントとの相互参照を容易とすることによって、既存の診断結果の素早い理解を補助することができる。
【0030】
本発明の医療画像表示装置では、原画像データのCT画像データを画像処理することにより臓器を識別して得られるデータを臓器データとし、また、原画像データのPET画像データのFDG(フルオロデオキシグルコース)の集積状態を画像処理して取得される集積領域の位置データおよび形状データとすることができる。
【0031】
本発明の解析データが備える集積領域は、FDGが集積する島集積領域と、島集積を複数含む集積群領域とを有し、集積群領域を上位ノードとし島集積領域を下位ノードとするツリー状のデータ構造を構成する。
【0032】
表示制御部は、表示部上で指定された文字に対応する集積群領域の3次元画像データを記憶部から抽出して表示部に表示する。また、表示部上で指定された集積群領域の3次元画像に対応する文字データを記憶部から抽出して表示部に表示する。
【0033】
また、表示制御部は、島集積領域についても集積群領域と同様に、表示部上で指定された文字に対応する島集積領域の3次元画像データを記憶部から抽出して表示部に表示し、表示部上で指定された島集積領域の3次元画像に対応する文字データを記憶部から抽出して表示部に表示する。
【0034】
本発明の表示制御部は、記憶部から原画像データと、臓器データおよび解析データに含まれる3次元画像データとを読み出し、原画像、臓器領域の画像、解析領域の画像の1つの画像を表示する他、少なくとも2つの画像を前記表示部に重ねて表示することによって、臓器内での診断部位の位置を把握することができる。
【0035】
解析データは、診断の判定結果を数値化した判定値データを含み、表示制御部は、この判定値データに基づいて診断部位の3次元画像データを抽出し表示する。また、診断の判定結果の数値化によって診断結果をレベル値で段階表示し、この段階表示に対応する診断部位の3次元画像データを抽出して表示することによって、診断の判定結果の数値化の信頼性と妥当性を評価する基礎として利用することができる。
【0036】
本発明の医療画像表示装置は、3次元の形状を有する臓器および解析領域の取り扱いを容易とする3次元画像データ構造を有する。この3次元画像データ構造は、ビットデータを収納する複数のブロックからなる3次元領域を備え、この3次元領域を、3次元領域の基準位置を定める一点の座標データと、この3次元領域の大きさを定める3次元の領域サイズによって画定する。
【0037】
この3次元画像データ構造によれば、座標データによって3次元内での位置を特定することができ、3次元の領域サイズによって3次元領域の大きさを定めると共に、その形状を直方体による概略形状で簡易に特定することができる。
【0038】
臓器データは、ビットデータを収納する複数のブロックからなる3次元領域を備える。この3次元領域は、この3次元領域の基準位置を定める一点の座標データと、この3次元領域の大きさを定める3次元の領域サイズによって画定され、3次元領域の各ブロックにビットデータを割り当てることによって臓器の形状を表す3次元画像データを構成する。この3次元画像データの構成によって、臓器の3次元形状を容易に表すことができる。
【0039】
一方、解析データは、ビットデータを収納する複数のブロックからなる3次元領域を備える。この3次元領域は、この3次元領域の基準位置を定める一点の座標データと、この3次元領域の大きさを定める3次元の領域サイズによって画定され、3次元領域の各ブロックにビットデータを割り当てることによって解析データ領域の形状を表す3次元画像データを構成する。この3次元画像データの構成によって、診断部位の3次元形状を容易に表すことができる。
【0040】
また、本発明の医療画像表示装置は、表示部上で指定する指定位置について、この指定位置を内包する領域を設定する領域設定部を備える。表示制御部は、この領域設定部が設定する領域に含まれる画像データ、臓器データ、解析データの少なくとも何れか一つを記憶部から読み出して、表示部に表示する。
【0041】
領域設定部は、領域の位置を定める位置データと、領域の大きさを定めるサイズデータを入力データとして領域を設定する。表示制御部は、位置データおよびサイズデータに従動して記憶部から画像データを読み出し、読み出した画像データを表示部に逐次表示する。
【0042】
この領域設定部によれば、表示部上の任意の位置について、その近傍に関連するデータがあれば抽出して表示することができる。この近傍は領域によって指定することができ、領域の位置は位置データにより指定し、領域の大きさはサイズデータにより指定することができる。位置データを変更することで、関連するデータを抽出する位置を変更することができ、サイズデータを変更することで、関連するデータを抽出する範囲を変更することができる。
【発明の効果】
【0043】
以上説明したように、本発明によれば、断層画像等の画像を表示し、既に得られている既存の診断部位や所見コメント文を参照する際に、診断部位や表示画面上で指定した位置から、その診断部位や指定位置の部位に付与された所見コメント文を容易に参照することができる。また、所見コメントから表示画面上で診断部位を容易に参照することができる。
【0044】
また、本発明によれば、診断部位や指定位置と所見コメントとの相互参照を容易とすることによって、既存の診断結果の素早い理解を助けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照しながら詳細に説明する。
【0046】
図1は、本発明の医療画像表示装置の概略を説明するための図である。図1において、医療画像表示装置1は、表示部2と表示制御部3と入力部4と記憶部5とを備える。
【0047】
表示部2は、医療画像に係わる原画像データ、臓器データ、および解析データを表示する。
【0048】
表示制御部3は、記憶部5に記憶される原画像データ、臓器データ、および解析データを表示部2に選択的に表示する。
【0049】
入力部4は、表示部2に表示する診察対象者を特定する画像対象の選択、選択した画像対象について記憶部5に記憶する原画像データの選択、表示部2に表示される画像上の位置の指定、診断レポート等の各種書類の作成に伴う文字データに入力の他、医療画像表示装置1を操作する上で行う入力操作に用いる。入力部4が備える入力手段は、任意の入力装置を適用することができ、例えば、表示画面上の位置をカーソル等で指定する手段として、カーソルやタッチパネル等のハードウエアと、入力した位置の位置データを処理するソフトウエアを備える入力装置、文字データを入力するためのキーボード等のハードウエアと、入力した文字データを処理するソフトウエアを備える入力装置、医療画像表示装置1に対して各種操作を選択して入力するボタンやタッチパネル等のハードウエアと、入力した操作データを処理するソフトウエアを備える入力装置がある。なお、これら入力手段は一例であって、これに限られるものではない。
【0050】
記憶部5は、診断機器により得られる医学画像の原画像データと、画像処理により画像データから臓器を識別して得られる臓器データと、自動診断処理により原画像データから得られる解析データの各データを記憶する。
【0051】
記憶部5はデータベースを構成し、医学画像の原画像データとして、例えば、医療分野等の利用分野でのカルテやレントゲン写真の画像データ、PET画像データ、CT画像データ、MRI画像データ等を記憶する。また、記憶部5は、上述する各画像データを画像処理することによって特定した臓器の形状や分布状態に関する臓器データ、これらの画像データを自動診断処理あるいは専門家による診断による診断結果で得られる、診断部位の形状や状態に関する解析データを記憶する。臓器データおよび解析データは、診断結果等についての文字データ等を記憶する。
【0052】
臓器データおよび解析データは、3次元画像データとこの部位に係わる診断結果の所見コメント等の文字データとを、臓器データを上位ノードとし解析データを下位ノードするツリー状のデータ構造を構成する。さらに、本発明の解析データは、FDGが集積する島集積領域と、複数の島集積を含む集積群領域とを備え、集積群領域を上位ノードとし島集積領域を下位ノードとするツリー状のデータ構造を構成する。
【0053】
記憶部5のデータベースは、各臓器データおよび各解析データに診断結果の所見コメントの文字データを記憶する他、診断結果の所見コメントを類型化し、診断結果の所見コメントのひな形の文章を記憶しておくこともできる。
【0054】
診断結果の所見コメントのひな形の文章を記憶する構成によれば、記憶部5は、診断結果について、ひな形を特定するために付与した診断部位アドレスを用いることによって、診断結果のひな形をデータベースから読み出し可能に記憶しておき、読み出した診断結果のひな形に各診断に固有のデータを組み込むことで、診断結果を表示部に表示させることができる。また、各診断対象者については、診断結果の文字データの記憶を不要とすることができ、各診断対象者に要する記憶容量を低減することができる。
【0055】
ここで、臓器データは、例えば、原画像データのCT画像データを画像処理することにより臓器を識別して得ることができる。また、解析データは、原画像データのPET画像データのFDG(フルオロデオキシグルコース)の集積状態に基づいて得られるSUV値を用いて、自動診断処理あるいは専門家による診断により得ることができる。
【0056】
また、解析データは、解析部位の3次元画像データと、解析部位の解析結果に基づく所見コメントの文字データとを含む構成とする。
【0057】
臓器データおよび解析データは、固有の参照ID(Ref-ID)によって特定することができ、また、データ構造をツリー構造とすることで、関連性を特定することができる。
【0058】
表示制御部3は、同一の参照IDで特定される臓器データあるいは解析データにおいて、表示部2上で表示される所見コメント中で指定された文字に対応する3次元画像データを記憶部5から抽出して表示部2に表示し、また、表示部2上で指定された3次元画像に対応する所見コメントの文字データを記憶部5から抽出して表示部2に表示する。
【0059】
図2は、本発明の医療画像表示装置1の動作手順を説明するためのフローチャートである。
【0060】
医療画像表示装置1は、表示部2に初期画面を表示する。初期画面では、入力部4で特定した診断対象者についての書誌的事項や、カルテやレントゲン写真の画像データ、PET画像データ、CT画像データ、MRI画像データ、自動診断で得られた診断結果の所見コメント等を表示する。これらデータの何れを表示するかは、予め設定させておくことができる(S1)。
【0061】
利用者は、表示部2に表示された画像や診断結果の所見コメントの文章を参照し、画像中の部位についてその部位に記述された診断結果の所見コメントの文章中の文字、あるいは画像中の部位を指定する。
【0062】
表示部2の表示画面には、自動診断等で得られた診断結果の所見コメントの文章が表示される。なお、診断結果は、自動診断で得られる診断結果に限らず、専門官による診断で得られる診断結果や、自動診断で得られる診断結果に専門官の考察を付加した診断結果とすることができる。
【0063】
診断結果の所見コメントの文章は、例えば、類型化された診断結果の文章のひな形と、その診断に固有の文字や数値との組み合わせによって形成することができ、その文章全体あるいは文章中の特定の文字に対して、対応する部位の部位画像データを対応付けることで形成してもよい(S2)。
【0064】
入力部4によって、表示画面に表示される診断結果の所見コメントの全体あるいは文章中の文字を指定すると(S3)、表示制御部3は、同じ参照ID(Ref-ID)を指標として記憶部5から指定された診断結果の所見コメントの全体あるいは文章中の文字に対応付けられている画像データを読み出し(S4)、読み出した画像データを表示部2の表示画面上に表示する。この表示では、例えば、原画像上に臓器や集積部位を表示することによって、臓器や集積部位の位置関係を確認することができ、また、臓器を表す画像上に集積部位を重ねて表示することによって、臓器と集積部位との位置関係を確認することができる(S5)。
【0065】
また、入力部4によって、表示画面に表示される画像(臓器を表示する画像や集積部位を表示する画像)上で特定の部位を指定すると(S6,7)、表示制御部3は、指定された画像データに付された参照IDを指標として記憶部5から指定された部位に対応付けられている診断結果の所見コメントの文字データを読み出し(S8)、読み出した文字データに基づいて診断結果の所見コメントを表示部2の表示画面上に表示する。この表示においても、例えば、臓器を表す画像上に位置を合わせて重ねて表示することによって、臓器との位置関係を確認することができる(S9)。
【0066】
次に、本発明の医療画像表示装置1に用いる画像データおよび解析データの取得について、図3,4を用いて説明する。
【0067】
以下では、CT画像、MRI画像、PET画像等の断層画像を診断対象画像として医療診断を行う例について説明する。なお、この医療診断は、医療分野に限らず、所定の判断手法や判断基準に基づいて推定操作を行う一連の操作を有する診断操作を行う分野であれば任意の分野に適用することができる。
【0068】
PET画像等の断層画像を用いた診断では、全身について多数枚(例えば300枚)の断層画像を取得し、これらの断層画像を医師等の専門家が目視で読影して、異常の有無についての診断を行う。
【0069】
全身の断層画像を診断する際には、例えば身体の下方から上方に向かって各部位について順に読影を行う。各部位では、当該部位に特徴的な診断要素について判断を行うことで診断を行う。
【0070】
CT画像、MRI画像、PET画像等の断層画像の画像データを取得した後(図3(a)、各臓器の認識を画像データ処理等によって行う。画像データ処理は、例えば、画像データに対する2値化処理等のしきい値との比較処理、エッジ検出処理、平均化処理、最大値・最小値検出処理等を用いて行うことができる。臓器の認識は、例えば、CT画像で得られた画像データを用いて行うことができる(図3(b))。
【0071】
次に、各臓器について、FDGの集積を認識することで診断部位を抽出する。全身FDG−PET(FDG-Positron Emission Tomography:陽電子放射断層撮像)画像を用いてガン診断では、放射性フッ素(f-18)を標識してFDG(フルオロデオキシグルコース)というブドウ糖に似た放射性の薬剤を体内に投入し、その体内分布を撮影してFDG−PET画像を得る。FDGの集積の度合いはSUVという値で表され、ガンがある部位はSUV値が高く表れる。
【0072】
そこで、このSUV値によってFDGの集積の度合いを認識し(図3(c))、SUV値等を利用して自動診断を行う(図4)。
【0073】
SUV値等を利用した自動診断は以下のようにして行うことができる。
【0074】
全身の断層画像による診断は身体の下方から上方に向かって行う。例えば、断層画像に基づいて、身体から大腿部を認識し、認識した大腿部について診断の指標となる薬剤の蓄積を認識し、これら試薬の蓄積等のデータに基づいて大腿部までの異常を判定し、さらに、身体から胴部を認識し、当該胴部が備える各臓器(例えば膀胱、腎臓、…)について認識し、認識した臓器における指標の蓄積を認識し、蓄積量から判定を行う。
【0075】
例えば、大腿部の部位を認識するユニットに対応する処理では、大腿部の領域画像を生成し、集積の領域画像において、大腿部までの部位の診断の指標となるFDG(フルオロデオキシグルコース)等の薬剤が集積している集積の領域画像を生成し、種々の判定データに基づいて大腿部までの異常を判定する。
【0076】
この判定で異常が認められない場合に、胴部の部位を認識するユニットに対応する処理として胴部の領域画像を生成し、膀胱の部位を認識するユニットに対応する処理として膀胱の領域画像を生成し、膀胱部位を診断するユニットに対応する処理として膀胱体積を算出し、膀胱での最大SUV値を算出し、膀胱までの集積の領域画像を生成し、最大SUV値を算出し、種々の判定データに基づいて膀胱までの異常を判定する。
【0077】
この判定で異常が認められない場合に、腎臓の部位について同様の処理を行い、以後、脳の部位まで、断層画像から各臓器を認識するユニットに対応する処理、認識した臓器について指標となる蓄積を認識するユニットに対応する処理、認識した蓄積の値を算出するユニットに対応する処理、蓄積やその他の検出データに基づいて判定を行うユニットに対応する処理を行う。
【0078】
各判定ユニットに対応する処理では、それぞれの部位において異常の可能性の有無を判定し、最後の脳までの部位の異常判定で異常と判定されなかった場合には、正常に振り分ける。
【0079】
これによって、断層画像に専門家の診断を必要とするものと、専門家の診断を不要とするものとに振り分けることができ、専門家は診断が不要な断層画像については診断を行わず、診断を要する断層画像のみを診断することで、負担を軽減することができ、また、各断層画像の診断に十分な時間をかけることができる。
【0080】
上記した各ユニットに対応する処理において、画像生成の処理では、生成された新たな画像は付加情報として元の断層画像に付加される。また、体積やSUV値の算出処理では、算出された値は、元の断層画像及び処理途中で得られた付加情報に対して、さらに付加情報として付加される。
【0081】
例えば、肺部の診断では、胴部を認識するユニットと、認識した胴部内において肺を認識するユニットと、認識した肺において診断の指標となるFDG(フルオロデオキシグルコース)等の薬剤の集積を認識するユニットと、肺部までの異常を判定するユニットを含んでいる。
【0082】
各ユニットに対応して、患者情報と断層画像を入力データとして胴部を認識する処理を行い、胴部認識処理で得られた胴部の画像情報を付加情報として肺部を認識する処理を行い、肺認識処理で得られた右肺及び左肺の画像情報を付加情報として、肺部での集積を認識する処理を行い、集積認識処理で得られた集積情報を付加情報として、肺部までの異常を判定する判定処理を行う。
【0083】
肺領域における処理において、肺領域の認識処理は、断層画像と胴部の領域画像を入力データとして、右肺の領域画像と左肺の領域画像を取得する。肺領域の集積認識処理は、断層画像と胴部の領域画像に加えて、前段の肺領域の認識処理で得られた右肺の領域画像と左肺の領域画像を入力データとして、右肺及び左肺の体積、最大SUV値、及び平均SUV値を算出して取得する。
【0084】
さらに、肺領域内の異常集積判定処理は、前処理の出力データを入力データとして、異常集積の領域画像、集積部位(集積1)のID、集積部位の体積、最大USV値、及び平均USV値を算出して取得するほか、左肺が集積1を内砲する器官の情報を取得する。
【0085】
他の臓器の器官においても、当該器官を診断に要する画像や検出値を算出する処理を行い、取得された画像や検出値に基づいて異常判定が行われる。
【0086】
次に、図5,6を用いて、本発明が備える臓器データおよび解析データについて説明する。
【0087】
本発明は、臓器データと解析データとを備え、臓器データを上位ノードとし解析データを下位ノードとするツリー状のデータ構造としている。さらに、解析データは島集積と複数の島集積からなる集積群からなり、集積群を上位ノードとし島集積を下位ノードとするツリー状のデータ構造としている。
【0088】
島集積は異常が求められる部位の最小単位であり、集積群は同一の臓器内に存在する島集積の集合であり、例えば関連する複数の島集積をまとめて集積群として設定する。なお、この集積群は、一つの臓器内で一つに限らず複数設定することができる。
【0089】
図5は、臓器データおよび集積データのツリー構造を説明するための模式的な構造図である。ここでは、臓器Aの臓器データは、3つの集積群a,b,cと単独の島集積9とを備え、集積群aは3つの島集積1,2,3を有し、集積群bは4つの島集積3,4,5,6を有し、集積群cは2つの島集積7,8を有している。同様に、臓器Bの臓器データは、2つの集積群d,eと単独の島集積15とを備え、集積群dは3つの島集積10,11,12を有し、集積群eは3つの島集積12,13,14を有している。なお、島集積3は集積群aと集積群bの両方に含まれ、島集積12は集積群dと集積群eの両方に含まれている。
【0090】
図6は、臓器データと集積群データと島集積データの各データ例を示している。
【0091】
図6(a)は、上述した臓器を認証する処理で得られる臓器データの例を示している。この臓器データ例では、臓器の名称、臓器データを特定する参照ID(Ref-ID)、臓器の種類を識別する臓器ID、表示画面上で表示する際の表示名、この臓器を表示画面上で表示するための画像データ(以下、この画像データをマスクデータと呼ぶ)、この臓器に対して付けられた診断結果の所見コメントやその他データを含むデータ(以下、これらデータを注釈データと呼ぶ)を備える。
【0092】
マスクデータは、画像データ中でその臓器が存在する位置を特定するための座標データ、およびその臓器が占める領域の大きさを表す領域サイズデータ、この臓器が占める領域において実際に臓器が存在するか否かを表す領域データを備える。
【0093】
注釈データは、臓器中のSUV値の最大値のSUVmax強度データ、臓器中のSUV値の平均値のSUV平均強度データ、臓器の体積、SUV値やその他の判定条件に基づいて判定して得られた判定結果を数値化した評価値SUV値に基づいて診断された部位の危険度を表す判定値(リスク値)、臓器におけるSUV値の分布状態を表すSUV分布パターン、臓器に対して作成された診断結果の所見コメントを表記した診断レポートデータを備える。
【0094】
図7(a)は臓器のマスクデータの一例を示している。図7(a)において、臓器のマスクデータは、臓器の3次元位置を表すために、前記した座標データと領域サイズデータとを備える。座標データP[xp,yp,zp]は、臓器領域の基準位置を表している。また、領域サイズデータX=Sx,Y=Sy,Z=Szは、画像データにおいて臓器が存在する最外殻の領域を四角柱で表したときのサイズを示している。したがって、臓器は、座標データと領域サイズデータとで定まる四角柱の領域内に存在する。
【0095】
最外殻の形状が四角柱で表される臓器において、実際の臓器の形状は、この領域を複数のブロックで分割し、分割したブロックに臓器が存在するか否かを定める領域データを付与することによって表すことができる。例えば、臓器が存在するブロックに“1”を付与し、臓器が存在しないブロックに“0”を付与した場合には、“1”が付与されたブロックの集まりによって臓器の3次元位置を表すことができる。
【0096】
図6(b)は、上記した臓器領域内の異常集積判定処理で得た解析データの集積群データの例を示している。この集積群データは、前記した臓器データと同様に、集積群データを特定する参照ID(Ref-ID)、表示画面上で集積群を表示する際の表示名、この集積群を表示画面上で表示するための画像データ(以下、この画像データをマスクデータと呼ぶ)、この集積群に対して付けられた診断結果の所見コメントやその他データを含むデータ(以下、これらデータを注釈データと呼ぶ)を備える。
【0097】
マスクデータは、画像データ中でその集積群が存在する位置を特定するための座標データ、およびその集積群が占める領域の大きさを表す領域サイズデータ、この集積群が占める領域において実際に集積群が存在するか否かを表す領域データを備える。
【0098】
注釈データは、集積群中のSUV値の最大値のSUVmax強度データ、集積群中のSUV値の平均値のSUV平均強度データ、集積群の体積、SUV値やその他の判定条件に基づいて判定して得られた判定結果を数値化した評価値SUV値に基づいて診断された部位の危険度を表す判定値(リスク値)、集積群におけるSUV値の分布状態を表すSUV分布パターン、集積群に対して作成された診断結果の所見コメントを表記した診断レポートデータを備える。
【0099】
図6(c)は、集積群に含まれる島集積に関連する集積群関連データの一例を示している。この集積群関連データでは、集積群データを特定する参照ID(Ref-ID)に対して、その集積群に含まれる島集積の個数データ、含まれる島集積を特定する参照ID(Ref-ID)等が登録される。
【0100】
この集積群関連データを参照することによって、「3個以上の島集積をある持つ集積群」等、島集積の個数によって集積群を検索する他、特定の島集積を含む集積群を検索することができる。
【0101】
図6(d)は、上記した臓器領域内の異常集積判定処理で得た解析データの島集積データの例を示している。この島集積データは、前記した臓器データと同様に、島集積データを特定する参照ID(Ref-ID)、表示画面上で島集積を表示する際の表示名、この島集積を表示画面上で表示するための画像データ(以下、この画像データをマスクデータと呼ぶ)、この島集積に対して付けられた診断結果の所見コメントやその他データを含むデータ(以下、これらデータを注釈データと呼ぶ)を備える。
【0102】
マスクデータは、画像データ中でその島集積が存在する位置を特定するための座標データ、およびその島集積が占める領域の大きさを表す領域サイズデータ、この島集積が占める領域において実際に島集積が存在するか否かを表す領域データを備える。
【0103】
注釈データは、島集積中のSUV値の最大値のSUVmax強度データ、島集積中のSUV値の平均値のSUV平均強度データ、島集積の体積、SUV値やその他の判定条件に基づいて判定して得られた判定結果を数値化した評価値SUV値に基づいて診断された部位の危険度を表す判定値(リスク値)、島集積におけるSUV値の分布状態を表すSUV分布パターン、島集積に対して作成された診断結果の所見コメントを表記した診断レポートデータを備える。
【0104】
図6(e)は診断レポートデータの例であり、診断結果の所見コメントの文字データが格納されている。例えば、「肺の内部において、限局した強い集積が認められます。SUVmax[SUVmax強度データ]と高値であり、***を強く疑います。」の文字データを記憶部に格納する。
【0105】
診断レポート中の[SUVmax強度データ]や“***”の部分には、解析データの注釈データ内のSUVmax強度データやSUV分布パターン等のデータを用いて組み込むことができる。
【0106】
図7(b)は集積データの集積群、島集積の領域を説明するための図である。ここでは、集積群、島集積の3次元位置を表すために、臓器領域と同様に、座標データと領域サイズデータとを備える。座標データQ[xq,yq,zq]は、集積群、島集積の領域の基準位置を表している。また、領域サイズデータX=Sx,Y=Sy,Z=Szは、画像データにおいて集積群、島集積の領域が存在する最外殻の領域を四角柱で表したときのサイズを示している。したがって、集積群、島集積の領域は、座標データと領域サイズデータとで定まる四角柱の領域内に存在する。集積群、島集積の領域の概略形状は、X=Sx,Y=Sy,Z=Szによって特定することができる。
【0107】
最外殻の形状が四角柱で表される診断部位において、実際の診断部位の形状は、この領域を複数のブロックで分割し、分割したブロックに診断部位が存在するか否かを定める領域データを付与することによって表すことができる。例えば、診断部位が存在するブロックに“1”を付与し、診断部位が存在しないブロックに“0”を付与した場合には、“1”が付与されたブロックの集まりによって診断部位の3次元位置を表すことができる。
【0108】
図8は診断部位と診断部位領域との関係を表している。図8(a)は診断部位の例であり、図8(b)は診断部位領域の一例である。図8(b)において、診断部位領域を構成する各ブロックには、“1”あるいは“0”が付与される。例えば、“1”を付与したブロックによって診断部位領域を表すことができる。この各ブロック中の“1”あるいは“0”は、マスクデータ中の領域データに対応するものである。
【0109】
なお、この診断部位領域の各ブロックは、各ブロックの位置とそのブロックでの診断部位の有無を表す数値を有する形態で表記することができる。例えば[1,1,1,1]、[2,1,1,1]、…のマスクデータ中の領域データで表すことができる。この領域データの最初から第3番目のデータ(1,1,1)、(2,1,1)はブロックのx、y、z方向の位置を表し、第4番目の(1)、(1)は各ブロックでの診断部位の有無を表している。
【0110】
また、診断部位領域の各ブロックの別の表記形態では、診断部位領域の全ブロックについて、X,Y,Z方向についてブロックを指定する順序を予め定めておき、この順序にしたがって、各ブロックでの診断部位の有無のデータのみを表記してもよい。なお、上記した例は一例であって、上記に限られるものではない。
【0111】
次に、上記した座標データと領域サイズデータとで定まる四角柱の領域と、その領域内の複数のブロック規定される臓器領域あるいは診断部位領域を、3次元の指定した位置によって特定する一例を図9を用いて説明する。
【0112】
図9は、例えば、診断部位領域は、座標データQ[xq,yq,zq]と領域サイズデータ[Sx,Sy,Sz]で定めることができる。ここで、座標データQ[xq,yq,zq]と領域サイズデータ[Sx,Sy,Sz]で定まる領域の領域範囲を算出し、この算出した領域範囲内にR[xr,yr,zr]が含まれるか否かを判定し、指定位置Rが領域内である場合には、指定位置Rはその領域を指定したと判定し、指定位置Rが領域外である場合には、指定位置Rはその領域を指定しておらず、他の領域を指定しているものと判定する。
【0113】
図10は、臓器データと集積データとの関係、および集積データにおける島集積と集積群との関係を説明するための図である。図10に示す例は、前記した図5のツリー構造に基づくものである。
【0114】
例えば、Ref-Aの参照IDで特定される臓器データは、Ref-a,Ref-b,Ref-cの各参照IDで特定される3つの集積群と、Ref-9の参照IDで特定される単独の島集積を含む。また、Ref-aの集積群はRef-1,Ref-2,Ref-3の各参照IDで特定される3つの島集積を含み、Ref-bの集積群はRef-3,Ref-4,Ref-5,Ref-6の各参照IDで特定される4つの島集積を含み、Ref-cの集積群はRef-7,Ref-8の各参照IDで特定される2つの島集積を含む。
【0115】
また、Ref-Bの参照IDで特定される臓器データは、Ref-d,Ref-eの各参照IDで特定される2つの集積群と、Ref-15の参照IDで特定される単独の島集積を含む。また、Ref-dの集積群はRef-10,Ref-11,Ref-12の各参照IDで特定される3つの島集積を含み、Ref-eの集積群はRef-12,Ref-13,Ref-14の各参照IDで特定される3つの島集積を含む。
【0116】
次に、図11を用いて、臓器を表す画像(以下臓器画像という)と島集積を表す画像(島集積画像という)と集積群を表す画像(集積群画像という)の各画像と、各部分に設定された診断レポートの所見コメントとの間において、一方を指定して他方を表示する相互表示について説明する。
【0117】
図11(a)は診断レポート中の所見コメントを指定し、この指定に対応する部位を表示する場合を示し、図11(b)は診断レポート中の所見コメントを指定し、この指定に対応する部位を表示する場合を示している。
【0118】
図11(a)において、参照IDがRef-dで特定される診断レポート中の所見コメント中に記述される“…3つの集積…”を指定した場合、この“…3つの集積…”に対応する集積群を表示画面上に表示する。この対応する集積群の画像データは、同一の参照ID(Ref-d)を指標として記憶手段から読み出すことができる。
【0119】
また、図11(a)において、参照IDがRef-15で特定される診断レポート中の所見コメント中に記述される“…SUV最大の集積…”を指定した場合、この“…SUV最大の集積…”に対応する島集積を表示画面上に表示する。この対応する島集積の画像データは、同一の参照ID(Ref-15)を指標として記憶手段から読み出すことができる。
【0120】
図11(b)において、表示画面上において参照IDがRef-eで特定される集積群を指定した場合、この集積群に対応する診断レポート中の所見コメントを表示画面上に表示する。
【0121】
この対応する所見コメント文字データは、同一の参照ID(Ref-e)を指標として記憶手段から読み出すことができる。
【0122】
また、図11(b)において、表示画面上において参照IDがRef-14で特定される島集積を指定した場合、この島集積に対応する診断レポート中の所見コメントを表示画面上に表示する。
【0123】
この対応する所見コメント文字データは、同一の参照ID(Ref-14)を指標として記憶手段から読み出すことができる。
【0124】
以下、本発明の医療画像表示装置による動作機能例について説明する。以下に説明する動作機能例は、表示画面上に表示される画像の位置を指定し、その位置に対応する部分に設定された診断レポートの文章を表示する第1の動作機能例、表示画面上に表示される診断レポートの文章を指定し、その文書に対応する診断部位の位置を表示画面上で表示する第2の動作機能例、表示画面上の点を指定し、指定した位置の近傍に係わる画像データを表示画面上で表示する第3の動作機能例、および、SUV値を指定し、このSUV値に関連する画像データを抽出して表示画面上に表示する第4の動作機能例である。
【0125】
第1の動作機能例および第2の動作機能例によれば、表示画面上において、互いに関連性を有する画像と診断レポートの文章との間で交互表示することができ、画像中に位置を指定することで対応する文章を抽出して表示し、また、文章あるいは文章中の文を指定することで対応する画像を抽出して表示することができる。
【0126】
この第1の動作機能によれば、表示画面上に表示される画像を観察した際に、より詳細な観察を要する箇所に付された診断レポートを参照することができる。また、診断判定の判断理由を確認することができる。
【0127】
また、第2の動作機能によれば、診断レポートに記憶された判断箇所について、表示画面上において、臓器や診断部位との関係を確認することができる。
【0128】
第3の動作機能によれば、表示画面上の画像について指定する部位の近傍の断層画像を観察することができる。
【0129】
第4の動作機能によれば、表示画面上の画像について指定する部位の近傍のSUV値の分布を観察することができる。
【0130】
以下、第1の動作機能例について、図12〜図15を用いて説明する。図12は第1の動作機能例を行う構成例を示す図であり、図13は第1の動作機能例の表示例を示す図であり、図14は第1の動作機能例を行う表示制御部の構成例を示す図であり、図15は第1の動作機能例の動作を説明するためのフローチャートである。
【0131】
図12では、臓器データとして、身体を正面側および側面側から見た縦方向の断層画像、および身体の横方向の断層画像を表示する例を示し、この画像表示の下方位置に診断レポートの文章を表示している。なお、表示画面上の画像および文章のレイアウトは、図の配置例に限らず任意に設定することができる。
【0132】
図12(a)は、初期表示状態を示している。なお、記憶部5には、各対象者について、書誌的事項や、カルテやレントゲン写真の画像データ、PET画像データ、CT画像データ、MRI画像データ等の測定画像データを原画像データとして記憶する他、これら原画像データを元にして生成した臓器データや解析データを記憶している。解析データの診断レポートには、自動診断あるいは専門家の診断で得られた診断結果の所見コメントの文字データが記憶されている。なお、図12では対象者として対象者A〜対象者Cを示しているが、一例に過ぎずこれに限られるものではない。
【0133】
入力装置4から対象者Aを指定すると、初期状態として、表示制御部3は記憶部5から指定した対象者Aに係わる測定画像データや臓器データの画像データを読み出して表示部2に画像を表示する他、記憶部5の解析データから診断レポートの文字データを読み出して表示部2に所見コメントの文章を表示する。
【0134】
図12(b)は、表示画面上に表示される画像において位置を指定し、その位置に関連する診断レポート中の文章を記憶部5から読み出して表示画面に表示する状態を示している。
【0135】
表示部2の表示画面上に表示された画像を参照し、その画面上で位置を入力部4で指定する。表示制御部3は、指定された位置に対応する部位を抽出し、その部位を特定する参照IDを用いて記憶部5に記憶される解析データから診断レポートの所見コメントの文字データを読み出し、表示部2の表示画面に表示する。
【0136】
これによって、表示画面には、対象者の画像と、画像中で指定した位置の部位に関連する診断レポートの所見コメントが表示され、画像と文章とを同時に参照することができる。
【0137】
図13は、指定位置の指定と、指定位置に対応する診断レポートの所見コメントの表示を示している。図13(a)は、肺部の横方向断面を示す画像上で位置を指定し、この位置の部位に関連する診断レポートの所見コメントを表示する例を示している。また、図13(b)は、肺部の縦方向断面を示す画像上で位置を指定し、この位置の部位に関連する診断レポートの所見コメントを表示する例を示している。なお、図13では、指定位置を“+”で示している。
【0138】
次に、表示制御部の構成例とその動作例を図14,図15を用いて説明する。図14は表示制御部の一構成例を説明するための図であり、図15は表示制御部の一動作例を説明するためのフローチャートである。
【0139】
図14に示す構成図において、表示制御部3は、入力部4で入力した指定位置に対応する部位の有無および部位を特定する部位判定手段3c、部位を特定するために部位が存在する領域の領域データを生成する領域生成手段3d、生成した領域データを一時的に記憶しておく処理用メモリ3e、表示部2に表示する画像の画像データや診断レポートの文字データを読み出す読み出し手段3b、読み出し手段3bで読み出した画像データや文字データを用いて表示部2に画像や文字を表示するための表示信号を生成する表示信号生成手段3aを備える。
【0140】
図15のフローチャートにおいて、初期状態において、読み出し手段3bは、記憶部5から指定した対象者の原画像データを読み出し(S11)、取得した原画像データを用いて画像信号を生成して表示部2に表示する(S12)。
【0141】
また、記憶部5から表示中の原画像データに付された参照ID(Ref-ID)と同じ参照IDの臓器データあるいは解析データからマスクデータを領域生成手段3dに取り込み(S21)、マスクデータ中の座標データ、領域サイズデータを用いて臓器あるいは解析部位の領域を特定する領域データを生成し処理用メモリ3eに参照IDと共に記憶する(S22)。
【0142】
表示部2の表示画面上に表示された画像を参照し、その画面上で位置を入力部4で指定する(S23)。部位判定手段3eは、指定位置の位置データを取得し(S24)、領域生成手段3dで生成し処理用メモリ3eに記憶している領域データと比較することによって部位を特定する(S25)。読み出し手段3bは、処理用メモリ3eから参照IDを入力し、この参照IDを用いて記憶部5から対応する診断レポートの所見コメントの文字データを読み出す(S26)。表示信号生成手段3aは、記憶部5から読み出した診断レポートの所見コメントの文字データを用いて表示部2に表示するための表示信号を生成し(S27)、表示部2に診断レポートの所見コメントを表示する(S28)。
【0143】
以下、第2の動作機能例について、図16〜図19を用いて説明する。図16は第2の動作機能例を行う構成例を示す図であり、図17は第2の動作機能例の表示例を示す図であり、図18は第2の動作機能例を行う表示制御部の構成例を示す図であり、図19は第2の動作機能例の動作を説明するためのフローチャートである。
【0144】
図16では、臓器データとして、身体を正面側および側面側から見た縦方向の断層画像、および身体の横方向の断層画像を表示する例を示し、この画像表示の下方位置に診断レポートの文章を表示している。なお、表示画面上の画像および文章のレイアウトは、図の配置例に限らず任意に設定することができる。
【0145】
図16(a)は、初期表示状態を示している。なお、記憶部5には、各対象者について、書誌的事項や、カルテやレントゲン写真の画像データ、PET画像データ、CT画像データ、MRI画像データ等の測定画像データを原画像データとして記憶する他に、これら原画像データを元にして生成した臓器データや解析データが記憶されている。解析データには、自動診断あるいは専門家によって得られた診断結果の診断レポートの文字データが記憶されている。なお、図16では対象者として対象者A〜対象者Cを示しているが、一例に過ぎずこれに限られるものではない。
【0146】
入力装置4から対象者Aを指定すると、表示制御部3は記憶部5から指定した対象者Aに係わる測定画像データや臓器データの原画像データを読み出して表示部2に画像を表示する他、記憶部5の解析データから診断レポートの所見コメントの文字データを読み出して表示部2に診断レポートの文章を表示する。
【0147】
図16(b)は、表示画面上に表示される診断レポート中の所見コメントの文章、あるいはその文章中の文字を指定し、この文章あるいは文字に対応する部位の画像データを読み出して表示画面に表示する状態を示している。
【0148】
表示部2の表示画面上に表示された診断レポートの所見コメントを参照し、その診断レポートの所見コメントの文章あるいは文章中の文字を入力部4で指定する。表示制御部3は、指定された文章あるいは文字に対応する部位を抽出し、その部位を特定する部位アドレスを用いて記憶部5に記憶される解析データから対応する部位の画像データを読み出し、表示部2の表示画面に表示する。
【0149】
これによって、表示画面には、対象者の画像と、画像中で指定した位置の部位に関連する診断レポートが表示され、画像と文章とを同時に参照することができる。
【0150】
図17は、指定位置の指定と、指定位置に対応する診断レポートの所見コメントの表示を示している。図17(a)は、肺部の画像と、この肺部に関連する診断レポートを表示している。図17(b)において、診断レポートの所見コメント中に記載された“限局された強い集積”の文字部分を指定し、この文字部分に関連する部位を画像上で表示する例を示している。なお、図17では、指定位置を“+”で示している。
【0151】
なお、図17(b)では、診断レポートの所見コメントにおいて指定可能な文字を予め設定しておき、指定が不可である文字部分と識別可能に表示する例を示しているが、この表示例に限られるものはない。
【0152】
次に、表示制御部の構成例とその動作例を図18,図19を用いて説明する。図18は表示制御部の一構成例を説明するための図であり、図19は表示制御部の一動作例を説明するためのフローチャートである。
【0153】
図18に示す構成図において、表示制御部3は、表示部2に表示する画像の画像データや診断レポートの文字データを読み出す読み出し手段3b、読み出し手段3bで読み出した画像データや文字データを用いて表示部2に画像や文字を表示するための表示信号を生成する表示信号生成手段3aを備える。
【0154】
図19のフローチャートにおいて、読み出し手段3bは、初期状態において、記憶部5から指定した対象者の原画像データ、臓器データ等の画像データを読み出し、取得した画像データを用いて画像信号を生成して表示部2に表示する。
【0155】
また、読み出し手段3bは、記憶部5から指定した対象者について、臓器データあるいは解析データ中の注釈データを取得し(S31)、取得した注釈データから診断レポートの文字データを読み出し、取得した文字データを用いて表示信号を生成して表示部2に表示する(S32)。
【0156】
表示部2の表示画面上に表示された画像および診断レポートを参照し、その診断レポートの文章あるいは文章中の文字を入力部4で指定する(S33)。読み出し手段3bは、指定した文章あるいは文字が記述された診断レポートを特定する参照ID(Ref-ID)を用いて(S34)、この参照IDに対応するマスクデータを取得する(S35)。
【0157】
読み出し手段3bは、取得したマスクデータから部位の画像データを記憶部5から読み出し、表示信号生成手段3aは、読み出した画像データから画像信号を生成し(S36)、部位の画像を表示部2に表示する(S37)。
【0158】
以下、第3の動作機能例について、図20〜図24を用いて説明する。図20は第3の動作機能例を行う構成例を示す図であり、図21は第3の動作機能例の表示例を示す図であり、図22は第3の動作機能例を行う表示制御部の構成例を示す図であり、図23は第3の動作機能例の動作を説明するためのフローチャートであり、図24は指定位置と近傍領域との関係を説明するための図である。
【0159】
図20では、臓器データとして、身体を正面側および側面側から見た縦方向の断層画像、および身体の横方向の断層画像を表示する例を示し、この画像表示の下方位置に診断レポートの文章を表示している。なお、表示画面上の画像および文章のレイアウトは、図の配置例に限らず任意に設定することができる。
【0160】
図20(a)は、初期表示状態を示している。なお、記憶部5には、各対象者について、書誌的事項や、カルテやレントゲン写真の画像データ、PET画像データ、CT画像データ、MRI画像データ等の測定画像データを原画像データとして記憶する他に、これら原画像データを元にして生成した臓器データや解析データを記憶している。解析データには、自動診断や専門家による診断で得られた診断結果が診断レポートの所見コメントとして、文章の文字データを記憶している。なお、図20では対象者として対象者A〜対象者Cを示しているが、一例に過ぎずこれに限られるものではない。
【0161】
入力装置4から対象者Aを指定すると、表示制御部3は記憶部5から指定した対象者Aに係わる測定画像データの原画像データや臓器データあるいは解析データの画像データを読み出して表示部2に画像を表示する他、臓器データあるいは解析データの注釈データから診断レポートの文字データを読み出して表示部2に診断レポートの文章を表示する。
【0162】
図20(b)は、表示画面上に表示される画像において位置を指定し、その指定した位置の近傍の画像を記憶部5から読み出して表示画面に表示する状態を示している。
【0163】
表示部2の表示画面上に表示された画像を参照し、その画像において観察を要すると判断した箇所について拡がりを持つ領域を入力部4で指定する。表示制御部3は、指定され領域の画像データを記憶部5から読み出し、表示部2の表示画面に表示する。
【0164】
これによって、表示画面上において、拡がりを持った観察領域に係わる画像を容易に参照することができる。
【0165】
図21は、表示された画面上での位置指定、指定した位置の近傍の領域指定、および指定した近傍領域の画像の表示を示している。図21(a)は表示画面上において指定した指定位置Rを示し、図21(b)は指定位置Rの回りのある拡がりを持つ領域の近傍領域Sを示している。この近傍領域の拡がりの程度を表す大きさは入力部2から設定することができる。図21(c)は、指定された近傍領域Sの画像を、断層画像Tで示している。
【0166】
なお、図21では、指定位置を“+”で示している。また、近傍領域の形状は四角柱で示しているが、近傍領域Sを表す形状は、四角柱に限らず球形等としても良く、選択して変更することができる。
【0167】
次に、表示制御部の構成例とその動作例を図22,図23を用いて説明する。図22は表示制御部の一構成例を説明するための図であり、図23は表示制御部の一動作例を説明するためのフローチャートである。
【0168】
図22に示す構成図において、表示制御部3は、近傍領域を設定する近傍領域設定手段3g、近傍領域の形状や初期段階での大きさに係わる領域データのデフォルト値を記憶しておくメモリ3f、表示部2に表示する画像の画像データや診断レポートの文字データを読み出す読み出し手段3b、読み出し手段3bで読み出した画像データや文字データを用いて表示部2に画像や文字を表示するための表示信号を生成する表示信号生成手段3aを備える。
【0169】
図23のフローチャートにおいて、読み出し手段3bによって、記憶部5から画像データを取得して、表示部2に画像表示する。
【0170】
近傍領域を指定する画像表示モードを設定した後(S41)、表示画像上で位置を指定する(S42)。
【0171】
近傍領域設定手段3gは、指定された位置の座標を取得し(S43)、メモリ3fから近傍領域のデフォルト値を読み出し、近傍領域Sを設定する(S44)。読み出し手段3bは、近傍領域Sに含まれる画像データを記憶部5から読み出し(S45)、表示信号生成手段3aはこの画像データから画像信号を生成して、表示部2に表示する(S46)。
【0172】
近傍領域Sの指定位置や、領域の大きさや形状を変更する場合には(S47)、入力部4から位置を再設定したり、サイズや形状を設定する(S48)。
【0173】
表示部2には、指定した近傍領域の画像を複数枚の断層画面Tによって表示する。これらの断層画面の中から特定の画面を指定した場合には(S49)、指定した画面を表示する(S50)。
【0174】
図24は近傍領域Sの例を示している。図24(a)は近傍領域を四角柱の形状で表す例である。この場合には、例えば、中心位置O(xo,yo,zo)とx,y,z方向のサイズ[LX,LY,LZ]で設定する。
【0175】
中心位置O(xo,yo,zo)を変更することで近傍領域Sの位置を設定し、サイズ[LX,LY,LZ]を変更することで近傍領域Sの形状および大きさを設定する。
【0176】
図24(b)は近傍領域を球形の形状で表す例である。この場合には、例えば、中心位置O(xo,yo,zo)と半径rで設定する。
【0177】
中心位置O(xo,yo,zo)を変更することで近傍領域Sの位置を設定し、半径rを変更することで近傍領域Sの大きさを設定する。
【0178】
以下、第4の動作機能例について、図25〜図28を用いて説明する。図25は第4の動作機能例を行う構成例を示す図であり、図26は第4の動作機能例の表示例を示す図であり、図24は第4の動作機能例を行う表示制御部の構成例を示す図であり、図28は第4の動作機能例の動作を説明するためのフローチャートである。
【0179】
図25では、臓器データとして、身体を正面側および側面側から見た縦方向の断層画像、および身体の横方向の断層画像を表示する例を示し、この画像表示の下方位置に診断レポートの文章を表示している。なお、表示画面上の画像および文章のレイアウトは、図の配置例に限らず任意に設定することができる。
【0180】
図25(a)は、初期表示状態を示している。なお、記憶部5には、各対象者について、書誌的事項や、カルテやレントゲン写真の画像データ、PET画像データ、CT画像データ、MRI画像データ等の測定画像データを原画像データとして記憶する他に、これら原画像データを元にして生成した臓器データや解析データが記憶されている。解析データには、自動診断や専門家による診断で得られた診断結果の診断レポートの文章の文字データが記憶されている。なお、図25では対象者として対象者A〜対象者Cを示しているが、一例に過ぎずこれに限られるものではない。
【0181】
入力装置4から対象者Aを指定すると、表示制御部3は記憶部5から指定した対象者Aに係わる測定画像データや臓器データあるいは解析データの画像データを読み出して表示部2に画像を表示する他、記憶部5の解析データ中の注釈データから診断レポートの文字データを読み出して表示部2に診断レポートの文章を表示する。
【0182】
図26(b)、(c)は、表示画面上に表示される画像において位置を指定し、その指定した位置の近傍のSUV値の分布を記憶部5から読み出して表示画面に表示する状態を示している。図26(b)は、身体全体におけるSUV値の分布を示し、図26(c)は、身体中の特定部分の近傍領域でのSUV値の分布を示している。
【0183】
入力部4からSUV値あるいはSUV値の範囲を指定し、表示制御部3は指定されたSUV値あるいはSUV値の範囲の分布画像を記憶部5から読み出し、表示部2の表示画面に表示する。SUV値の範囲の指定は、例えば、設定値以上、設置値以下、あるいは上限値と下限値で定まる数値範囲を設定することで行うことができる。これによって、表示画面上において、SUV値の分布画像を参照することができる。
【0184】
また、診断結果を表す判定レベルを用いて同様に判定レベルの分布を表示することもできる。この場合には、入力部4から判定レベル値あるいは判定レベル値の範囲を指定し、表示制御部3は指定された判定レベル値あるいは判定レベル値の範囲の分布画像を記憶部5から読み出し、表示部2の表示画面に表示する。判定レベルの範囲の指定は、例えば、ある判定レベル値以上、ある判定レベル値以下、あるいは判定レベル値の上限値と下限値で定まる範囲を設定することで行うことができる。これによって、表示画面上において、判定レベル値の分布画像を参照することができる。
【0185】
また、近傍領域は、前記した第3の動作機能で説明した設定方法を用いることができ、位置と近傍領域の形状と範囲を指定することで定めることができる。
【0186】
次に、表示制御部の構成例とその動作例を図27,図28を用いて説明する。図27は表示制御部の一構成例を説明するための図であり、図28は表示制御部の一動作例を説明するためのフローチャートである。
【0187】
図27に示す構成図において、表示制御部3は、第3の動作機能例と同様に、近傍領域を設定する近傍領域設定手段3g、近傍領域の形状や初期段階での大きさに係わる領域データのデフォルト値を記憶しておくメモリ3f、表示部2に表示する画像の画像データや診断レポートの文字データを読み出す読み出し手段3b、読み出し手段3bで読み出した画像データや文字データを用いて表示部2に画像や文字を表示するための表示信号を生成する表示信号生成手段3aを備える。
【0188】
近傍領域設定手段3gでは、位置と領域を指定することで近傍領域を設定する他に、入力部4で入力したSUV値の範囲あるいは判定レベルを用いて、読み出し手段3bによって記憶部5から対応する分布領域を抽出する。
【0189】
図28のフローチャートにおいて、読み出し手段3bによって、記憶部5から画像データを取得して、表示部2に画像表示する。
【0190】
近傍領域を指定するSUV値、判定レベル値の分布表示モードを設定した後(S51)、SUV値あるいは判定レベル値の数値あるいは範囲を指定の有無を判断する(S52)。
【0191】
SUV値あるいは判定レベル値の数値あるいは範囲が指定された場合には、その指定されたSUV値あるいは判定レベル値の数値あるいは範囲を設定(S53)し、SUV値や判定レベル値の数値あるいは範囲が指定されない場合には、デフォルト値をメモリ3fから読み出し、読み出したSUV値あるいは判定レベル値の数値あるいは範囲を設定する(S54)。
【0192】
読み出し手段3bは、設定されたSUV値あるいは判定レベル値の数値あるいは範囲に基づいて、記憶部5からそのSUV値あるいは判定レベル値の分布データを読み出し、表示信号生成手段3aによって分布画像データを生成し(S55)、生成した分布画像データを用いて分布表示を行う(S56)。
【0193】
分布データの抽出は、全身を検索範囲とする他、指定した領域内を検索範囲とすることができる。この検索範囲を定める領域は、前記した近傍領域を利用することができる。近傍領域Sの指定位置や、領域の大きさや形状を変更する場合には(S57)、入力部4から位置を再設定したり、サイズや形状を設定する(S58)。
【0194】
表示部2には、指定した近傍領域の分布画像を複数枚の断層画面によって表示する。これらの断層画面の中から特定の画面を指定した場合には(S59)、指定した画面を表示する(S60)。
【産業上の利用可能性】
【0195】
本発明の医療画像表示装置に係わる関連データの抽出と表示の用いる技術は、医療分野に限らず、所定の判断手法や判断基準に基づいて推定操作を行う一連の操作を有する診断操作を行う分野に適用することができる。
【0196】
例えば、構造体の断層画像データを用いた非破壊構造検査、大気の気圧、温度等の断層画像データを解析する気象解析、3次元の流体流れの断層画像データを解析する流体解析等に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0197】
【図1】本発明の医療画像表示装置の概略を説明するための図である。
【図2】本発明の医療画像表示装置の動作手順を説明するためのフローチャートである。
【図3】本発明の医療画像表示装置に用いる画像データおよび解析データの取得を説明するための図である。
【図4】本発明の医療画像表示装置に用いる画像データおよび解析データの取得を説明するための図である。
【図5】本発明の臓器データおよび集積データのツリー構造を説明するために模式的に示した構造図である。
【図6】本発明の臓器データと集積群データと島集積データの各データ例を示す図である。
【図7】本発明の臓器領域、診断部位領域の例を説明するための図である。
【図8】本発明の診断部位領域の例を説明するための図である。
【図9】本発明の臓器領域あるいは診断部位領域を3次元の指定位置によって特定する一例を説明するための図である。
【図10】本発明の臓器データと集積データとの関係、および集積データにおける島集積と集積群との関係を説明するための図である。
【図11】画像と診断レポートとの間における相互表示を説明するための図である。
【図12】本発明の第1の動作機能例を行う構成例を示す図である。
【図13】本発明の第1の動作機能例の表示例を示す図である。
【図14】本発明の第1の動作機能例を行う表示制御部の構成例を示す図である。
【図15】本発明の第1の動作機能例の動作を説明するためのフローチャートである。
【図16】本発明の第2の動作機能例を行う構成例を示す図である。
【図17】本発明の第2の動作機能例の表示例を示す図である。
【図18】本発明の第2の動作機能例を行う表示制御部の構成例を示す図である。
【図19】本発明の第2の動作機能例の動作を説明するためのフローチャートである。
【図20】本発明の第3の動作機能例を行う構成例を示す図である。
【図21】本発明の第3の動作機能例の表示例を示す図である。
【図22】本発明の第3の動作機能例を行う表示制御部の構成例を示す図である。
【図23】本発明の第3の動作機能例の動作を説明するためのフローチャートである。
【図24】本発明の第3の動作機能例の指定位置と近傍領域との関係を説明するための図である。
【図25】本発明の第4の動作機能例を行う構成例を示す図である。
【図26】本発明の第4の動作機能例の表示例を示す図である。
【図27】本発明の第4の動作機能例を行う表示制御部の構成例を示す図である。
【図28】本発明の第4の動作機能例の動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0198】
1…医療画像表示装置
2…表示部
3…表示制御部
3a…表示信号生成手段
3b…読み出し手段
3c…部位判定手段
3d…領域生成手段
3e…処理用メモリ
3f…メモリ
3g…近傍領域設定手段
4…入力部
5…記憶部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元の医学画像を表示する医療画像表示装置であって、
診断機器により得られる医学画像の原画像データと、画像処理により前記原画像データから臓器を識別して得られる臓器データと、前記原画像データから得られる解析データの各データを記憶する記憶部と、
前記原画像データ、臓器データ、および解析データを表示する表示部と、
前記記憶部に記憶される原画像データ、臓器データ、および解析データを前記表示部に選択的に表示する表示制御部とを備え、
前記臓器データは、臓器の領域に係わる3次元画像データおよび文字データを含み、
前記解析データは、前記臓器内の解析領域に係わる3次元画像データおよび文字データを含み、
前記臓器データと前記解析データは、前記臓器データを上位ノードとし前記解析データを下位ノードとするツリー状のデータ構造を構成し、
前記表示制御部は、前記表示部上で指定された文字に対応する3次元画像データを記憶部から抽出して当該表示部に表示し、
前記表示部上で指定された3次元画像に対応する文字データを記憶部から抽出して当該表示部に表示することを特徴とする、医療画像表示装置。
【請求項2】
前記臓器データの3次元画像データは、前記原画像データのCT画像データの画像処理で識別される臓器の位置データおよび形状データであり、
前記解析データの3次元画像データは、前記原画像データのPET画像データのFDG(フルオロデオキシグルコース)の集積状態を画像処理して取得される集積領域の位置データおよび形状データであることを特徴とする、請求項1に記載の医療画像表示装置。
【請求項3】
前記集積領域は、前記FDGが集積する島集積領域と、前記島集積領域を複数含む集積群領域とを有し、
前記集積群領域を上位ノードとし前記島集積領域を下位ノードとするツリー状のデータ構造を構成することを特徴とする、請求項2に記載の医療画像表示装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記表示部上で指定された文字に対応する集積群領域の3次元画像データを記憶部から抽出して当該表示部に表示し、
前記表示部上で指定された集積群領域の3次元画像に対応する文字データを記憶部から抽出して当該表示部に表示することを特徴とする、請求項3に記載の医療画像表示装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記表示部上で指定された文字に対応する島集積領域の3次元画像データを記憶部から抽出して当該表示部に表示し、
前記表示部上で指定された島集積領域の3次元画像に対応する文字データを記憶部から抽出して当該表示部に表示することを特徴とする、請求項3に記載の医療画像表示装置。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記記憶部から原画像データと、臓器データおよび解析データに含まれる3次元画像データとを読み出し、原画像、臓器領域の画像、解析領域の画像の1つの画像を表示すること、あるいは少なくとも2つの画像を前記表示部に重ねて表示することを特徴とする、請求項1から5の何れか一つに記載の医療画像表示装置。
【請求項7】
前記解析データは、診断の判定結果を数値化した判定値データを含み、
前記表示制御部は、前記判定値データに基づいて診断部位の3次元画像データを抽出し表示することを特徴とする、請求項1から6にいずれか一つに記載の医療画像表示装置。
【請求項8】
前記臓器データは、ビットデータを収納する複数のブロックからなる3次元領域を備え、
前記3次元領域は、この3次元領域の基準位置を定める一点の座標データと、この3次元領域の大きさを定める3次元の領域サイズによって画定され、
前記3次元領域の各ブロックにビットデータを割り当てることによって臓器の形状を表す3次元画像データを構成することを特徴とする、請求項1から7の何れか一つに記載の医療画像表示装置。
【請求項9】
前記解析データは、ビットデータを収納する複数のブロックからなる3次元領域を備え、
前記3次元領域は、この3次元領域の基準位置を定める一点の座標データと、この3次元領域の大きさを定める3次元の領域サイズによって画定され、
前記3次元領域の各ブロックにビットデータを割り当てることによって解析領域の形状を表す3次元画像データを構成することを特徴とする、請求項1から7の何れか一つに記載の医療画像表示装置。
【請求項10】
前記表示部上で指定する指定位置について、当該指定位置を内包する領域を設定する領域設定部を備え、
前記表示制御部は、前記領域設定部が設定する領域に含まれる前記画像データ、前記臓器データ、前記解析データの少なくとも何れか一つを前記記憶部から読み出し、前記表示部に表示することを特徴とする、請求項1に記載の医療画像表示装置。
【請求項11】
3次元の医学画像を表示する医療画像表示装置であって、
診断機器により得られる医学画像の原画像データと、画像処理により前記原画像データから臓器を識別して得られる臓器データと、前記原画像データから得られる解析データの各データを記憶する記憶部と、
前記原画像データ、臓器データ、および解析データを表示する表示部と、
前記記憶部に記憶される原画像データ、臓器データ、および解析データを前記表示部に選択的に表示する表示制御部と、
前記表示部上で指定する指定位置について、当該指定位置を内包する領域を設定する領域設定部とを備え、
前記表示制御部は、前記領域設定部が設定する領域に含まれる前記画像データ、前記臓器データ、前記解析データの少なくとも何れか一つを前記記憶部から読み出し、前記表示部に表示することを特徴とする、医療画像表示装置。
【請求項12】
前記領域設定部は、領域の位置を定める位置データと、領域の大きさを定めるサイズデータを入力データとして領域を設定し、
前記表示制御部は、前記位置データおよびサイズデータに従動して前記記憶部から画像データを読み出し、読み出した画像データを前記表示部に逐次表示することを特徴とする、請求項10又は11に記載の医療画像表示装置。
【請求項1】
3次元の医学画像を表示する医療画像表示装置であって、
診断機器により得られる医学画像の原画像データと、画像処理により前記原画像データから臓器を識別して得られる臓器データと、前記原画像データから得られる解析データの各データを記憶する記憶部と、
前記原画像データ、臓器データ、および解析データを表示する表示部と、
前記記憶部に記憶される原画像データ、臓器データ、および解析データを前記表示部に選択的に表示する表示制御部とを備え、
前記臓器データは、臓器の領域に係わる3次元画像データおよび文字データを含み、
前記解析データは、前記臓器内の解析領域に係わる3次元画像データおよび文字データを含み、
前記臓器データと前記解析データは、前記臓器データを上位ノードとし前記解析データを下位ノードとするツリー状のデータ構造を構成し、
前記表示制御部は、前記表示部上で指定された文字に対応する3次元画像データを記憶部から抽出して当該表示部に表示し、
前記表示部上で指定された3次元画像に対応する文字データを記憶部から抽出して当該表示部に表示することを特徴とする、医療画像表示装置。
【請求項2】
前記臓器データの3次元画像データは、前記原画像データのCT画像データの画像処理で識別される臓器の位置データおよび形状データであり、
前記解析データの3次元画像データは、前記原画像データのPET画像データのFDG(フルオロデオキシグルコース)の集積状態を画像処理して取得される集積領域の位置データおよび形状データであることを特徴とする、請求項1に記載の医療画像表示装置。
【請求項3】
前記集積領域は、前記FDGが集積する島集積領域と、前記島集積領域を複数含む集積群領域とを有し、
前記集積群領域を上位ノードとし前記島集積領域を下位ノードとするツリー状のデータ構造を構成することを特徴とする、請求項2に記載の医療画像表示装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記表示部上で指定された文字に対応する集積群領域の3次元画像データを記憶部から抽出して当該表示部に表示し、
前記表示部上で指定された集積群領域の3次元画像に対応する文字データを記憶部から抽出して当該表示部に表示することを特徴とする、請求項3に記載の医療画像表示装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記表示部上で指定された文字に対応する島集積領域の3次元画像データを記憶部から抽出して当該表示部に表示し、
前記表示部上で指定された島集積領域の3次元画像に対応する文字データを記憶部から抽出して当該表示部に表示することを特徴とする、請求項3に記載の医療画像表示装置。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記記憶部から原画像データと、臓器データおよび解析データに含まれる3次元画像データとを読み出し、原画像、臓器領域の画像、解析領域の画像の1つの画像を表示すること、あるいは少なくとも2つの画像を前記表示部に重ねて表示することを特徴とする、請求項1から5の何れか一つに記載の医療画像表示装置。
【請求項7】
前記解析データは、診断の判定結果を数値化した判定値データを含み、
前記表示制御部は、前記判定値データに基づいて診断部位の3次元画像データを抽出し表示することを特徴とする、請求項1から6にいずれか一つに記載の医療画像表示装置。
【請求項8】
前記臓器データは、ビットデータを収納する複数のブロックからなる3次元領域を備え、
前記3次元領域は、この3次元領域の基準位置を定める一点の座標データと、この3次元領域の大きさを定める3次元の領域サイズによって画定され、
前記3次元領域の各ブロックにビットデータを割り当てることによって臓器の形状を表す3次元画像データを構成することを特徴とする、請求項1から7の何れか一つに記載の医療画像表示装置。
【請求項9】
前記解析データは、ビットデータを収納する複数のブロックからなる3次元領域を備え、
前記3次元領域は、この3次元領域の基準位置を定める一点の座標データと、この3次元領域の大きさを定める3次元の領域サイズによって画定され、
前記3次元領域の各ブロックにビットデータを割り当てることによって解析領域の形状を表す3次元画像データを構成することを特徴とする、請求項1から7の何れか一つに記載の医療画像表示装置。
【請求項10】
前記表示部上で指定する指定位置について、当該指定位置を内包する領域を設定する領域設定部を備え、
前記表示制御部は、前記領域設定部が設定する領域に含まれる前記画像データ、前記臓器データ、前記解析データの少なくとも何れか一つを前記記憶部から読み出し、前記表示部に表示することを特徴とする、請求項1に記載の医療画像表示装置。
【請求項11】
3次元の医学画像を表示する医療画像表示装置であって、
診断機器により得られる医学画像の原画像データと、画像処理により前記原画像データから臓器を識別して得られる臓器データと、前記原画像データから得られる解析データの各データを記憶する記憶部と、
前記原画像データ、臓器データ、および解析データを表示する表示部と、
前記記憶部に記憶される原画像データ、臓器データ、および解析データを前記表示部に選択的に表示する表示制御部と、
前記表示部上で指定する指定位置について、当該指定位置を内包する領域を設定する領域設定部とを備え、
前記表示制御部は、前記領域設定部が設定する領域に含まれる前記画像データ、前記臓器データ、前記解析データの少なくとも何れか一つを前記記憶部から読み出し、前記表示部に表示することを特徴とする、医療画像表示装置。
【請求項12】
前記領域設定部は、領域の位置を定める位置データと、領域の大きさを定めるサイズデータを入力データとして領域を設定し、
前記表示制御部は、前記位置データおよびサイズデータに従動して前記記憶部から画像データを読み出し、読み出した画像データを前記表示部に逐次表示することを特徴とする、請求項10又は11に記載の医療画像表示装置。
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図14】
【図15】
【図18】
【図19】
【図22】
【図23】
【図27】
【図28】
【図1】
【図12】
【図13】
【図16】
【図17】
【図20】
【図21】
【図24】
【図25】
【図26】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図14】
【図15】
【図18】
【図19】
【図22】
【図23】
【図27】
【図28】
【図1】
【図12】
【図13】
【図16】
【図17】
【図20】
【図21】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2009−128053(P2009−128053A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−300573(P2007−300573)
【出願日】平成19年11月20日(2007.11.20)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)支援事業「大学発事業創出実用化研究開発事業」(18年新エネ研第0131009号および19年新エネ研第0628003号)の適用を受ける特許出願
【出願人】(801000038)よこはまティーエルオー株式会社 (31)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月20日(2007.11.20)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)支援事業「大学発事業創出実用化研究開発事業」(18年新エネ研第0131009号および19年新エネ研第0628003号)の適用を受ける特許出願
【出願人】(801000038)よこはまティーエルオー株式会社 (31)
【Fターム(参考)】
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