説明

医療部門で使用するための連続したプラスチック帯状体で提供されるプラスチック製品を切断するための装置

本発明は、連続したプラスチックの帯状体で提供される医療部門で使用するための相互接続されたプラスチック製品を切断するための装置であって、少なくとも1つのレーザ、少なくとも1つのレーザ制御システム、および少なくとも1つの光学取得およびデータ処理ユニットを備える、装置について説明する。さらに、本発明は、医療部門で使用するためのプラスチック製品、特に充填可能または充填済みプラスチック容器を切断するための装置を製造するための装置であって、連続したプラスチックの帯状体で提供される相互接続されたプラスチック製品を切断するための装置を備える、装置、ならびに、連続したプラスチックの帯状体で提供される相互接続されたプラスチック製品を切断するためのプロセスを対象とする。特に、本発明は、連続したプラスチックの帯状体で提供される医療部門で使用するための相互接続されたプラスチック製品を切断するための装置であって、少なくとも1つのレーザ、少なくとも1つのレーザ制御システム、および少なくとも1つの光学取得およびデータ処理ユニットを備える、装置を対象とする。光学取得ユニットは、帯状体で提供される相互接続されたプラスチック製品について位置データを確定する。位置データから、レーザ制御システムに送信される切断パターンが計算される。この切断パターンに従って、少なくとも1つのレーザの位置、強度、および焦点が、集光系光学部品、偏向手段、およびビーム形成手段を備えるレーザ制御システムによって制御される。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔説明〕
本発明は、単一プラスチック製品が医療部門で使用するために互いに接続される、連続したプラスチック帯状体で提供されるプラスチック製品を切断するための装置であって、少なくとも1つのレーザ、少なくとも1つのレーザ制御システム、少なくとも1つの光学取得およびデータ処理ユニット、および不正確なまたは十分でないレーザカットを検出するための一体化圧力センサを有する品質管理装置を備える、装置を対象とする。さらに、本発明は、医療部門で使用するためのプラスチック製品の生産、具体的には充填済みまたは充填可能プラスチック製品の生産のための機械であって、互いに接続された連続したプラスチック帯状体で提供されるプラスチック製品を切断するための装置を備える、機械を対象とする。同様に開示されるのは、単一プラスチック製品が互いに接続される、連続したプラスチック帯状体のプラスチック製品を切断する方法である。
【0002】
レーザは、たとえば切断する、溶接する、または彫刻するために使用されうることが知られている。異なる手法が従来技術で追求されてきた。特許出願DE 102007046142 A1は、所定の参照位置に移動できるレーザ切断ヘッドを有する電子制御可能なロボットを用いた装置を記載する。レーザで彫刻するための別の方法は、DE 10148759 A1に記載される。この方法では、レーザが、基材上に集光され、基材がx−y軸で移動する。溶接するための別の方法は、特許DE 102005035495 B4に記載される。
【0003】
US 5 231 262 Aの出願は、レーザ、位置検出システム、画像プロセッサおよびミラーの形態のレーザ制御システム、光シャッタ、対物レンズ、および回転アームを備えるレーザ切断装置を開示する。US 4 328 411 Aの出願は、レーザによって結晶を通してアモルファス金属を切断する方法を述べる。同様に開示されるのは、アモルファス金属からプレカット形状を打抜くプレス型と組合された打抜き機械である。
【0004】
本発明の目的は、医療部門で使用するために連続した帯状体で提供されるプラスチック製品を切断するときに、従来技術をさらに改善し、また、効率の増加を可能にする装置を提供することである。
【0005】
この目的は、請求項1による切断装置および請求項7による切断するための方法による本発明によって達成される。
さらなる好ましい実施形態は、従属請求項、実施例、図面、および説明から得られる。
【0006】
意外にも、少なくとも1つのレーザ、少なくとも1つのレーザ制御システム、少なくとも1つの光学取得およびデータ処理ユニット、および不正確なレーザカットを検出するための一体化圧力センサを有する品質管理装置を備える装置は、単一プラスチック製品が医療部門で使用するために互いに接続される、連続した帯状体で提供されるプラスチック製品を切断するときに増加した効率を持つことが見出された。
【0007】
本発明の装置の機能的原理は、次の通りである。すなわち、光学取得ユニットは、連続した帯状体で提供されかつ互いに接続されたプラスチック製品の位置データを確定する。位置データは、レーザ制御システムに送信される切断パターンを計算するために使用される。切断パターンに従って、少なくとも1つのレーザビームの位置、強度、および焦点が、集光系光学部品および偏向手段を通して制御される。
【0008】
本発明によれば、ガスレーザ、固体レーザ、および/または色素レーザが使用されうる。ガスレーザの群に属するレーザは、エキシマレーザ、希ガスイオンレーザ、金属蒸気レーザ、または分子気体レーザを含む。
【0009】
エキシマレーザの群は、H2レーザ(116/123nm)、Ar2レーザ(126nm)、F2レーザ(157nm)、Xe2レーザ(172nm)、ArFレーザ(193nm)、KrFレーザ(248nm)、XeBrレーザ(282nm)、XeClレーザ(308nm)、およびXeFレーザ(351nm)を含むが、それに限定されない。希ガスイオンレーザは、(Ar)+レーザ(≒460nm、480nm、500nm、520nmを含む)、(Kr)+レーザ(650nm)、およびHe−Cdレーザ(325nm、440nm)を含むが、それに限定されない。
【0010】
金属蒸気レーザの群は、Cuレーザ(500nm、545nm)およびAuレーザ(310nm、605nm)を含むが、それに限定されない。分子気体レーザの群は、COレーザ(6〜8μm)、CO2レーザ(9μm、10.6μm、11μm)、およびN2レーザ(337nm)を含む。
【0011】
固体レーザは、ルビーCr3+:Al23レーザ(694nm)、ネオジムガラス(Nd:ガラス)レーザ(1062nm)、ネオジムYAGレーザ(1064nm)、アレクサンドライトレーザ(755nm)、ALGaN/GaNレーザ(400〜500nm)、InGaAs/GaAsレーザ(700〜880nm)、InGaAsP/InPレーザ(900〜1100nm)、およびPbカルコゲナイドレーザ(2.6〜30μm)から選択されうる。色素レーザの群は、とりわけ、≒300nm〜1300nmの全スペクトルをカバーするスチルベン、クマリン、およびローダミンを含む。
【0012】
さらなる実施形態では、切断プロセスは、複数のレーザによって並列に、同期して、または連続して実施されうる。好ましくは、切断プロセスは、2つのレーザによって、より好ましくは3つのレーザによって、最も好ましくは4つのレーザによって実施される。レーザの数に対する制限は存在しない。レーザの数は、切断パターンの複雑さならびに連続した帯状体で提供されるプラスチック製品のサイズおよび寸法に適合し、依存しうる。切断プロセスのために、レーザビームをビームスプリッタで複数のビームに分割し、各ビームを互いに独立に制御することも可能である。好ましいのはCO2レーザおよびUVレーザである。特に好ましいのは、9.4μm、より好ましくは10.3μmまたは10.6μmの波長、200Wまたは180Wと220Wとの間の好ましい出力パワーをそれぞれ有するCO2レーザである。好ましいUVレーザは、Nd:YAG、YLF、またはNd:VO4に基づく固体レーザを備え、非線形結晶を用いた周波数変換によって、355nmまたはその近傍の波長を有する第3高調波が生成される。これらのレーザは、レーザビームの著しく精確な集光を可能にし、プラスチックコンポーネント間の狭い接続部を完全にまたは部分的に切断する、分離する、または穿孔するのに適する。
【0013】
本発明によれば、集光されたレーザビームは、製品および/または連続した帯状体の間の材料を融解または蒸発させるために、連続した帯状体で提供されるプラスチック製品の輪郭の周りに誘導される。レーザビーム断面のガウス強度分布は、レーザ放射が、エッジにおける材料を融解させ、バリ形成が起こらないことを保証する。これは、プラスチック製品のエッジにおいて、たとえば医療分野で使用される滅菌手袋を損傷する、またはさらに、切断されたプラスチック製品を用いて働く人の手に切り傷を生じる可能性がある鋭利なエッジが全く形成されないという利点を有する。レーザビームによる分離は、たとえば打抜き装置のような機械的分離装置に優る明白な利点を有する。その理由は、機械的装置の使用は、バリまたは鋭利なエッジの形成を本質的にもたらすからである。結果として得られるバリおよび/または切断エッジの鋭利さは、プラスチック材料の硬質性/剛性に直接依存する。
【0014】
プラスチックは、好ましくは、ポリアミド、ポリオレフィン、またはコポリマー、ならびに複合材料の形態でのこうしたプラスチックまたはコポリマーの組合せからなる群から選択される。好ましくは、プラスチックは、ポリエチレン(PE)であり、さらにより好ましくは、ポリプロピレン(PP)、または、少なくともポリプロピレン(PP)の硬質性/剛性、引張り強度、ねじり剛性率、ヤング係数、および/または融解範囲を有する任意の他のプラスチックである。少なくともPPと同様に剛性がありまたは硬質であり、あるいはさらにPPより剛性がありまたは硬質である任意のプラスチックは、好ましくは本発明に従って切断されうる。
【0015】
本発明の装置と共に使用されうるさらなるプラスチックは、ポリバレロラクトン、ポリ−ε−デカラクトン、ポリラクトン酸、ポリグリコール酸、ポリラクチド、ポリグリコライド、ポリラクチドとポリグリコライドのコポリマー、ポリ−ε−カプロラクトン、ポリヒドロキシブタン酸、ポリヒドロキシ酪酸塩、ポリヒドロキシバレレート、ポリヒドロキシ酪酸-コ-バレレート、ポリ(1,4−ジオキサン−2,3−ジオン)、ポリ(1,3−ジオキサン−2−オン)、ポリ−p−ジキサノン、ポリマレイン酸無水物などのポリ無水物、ポリヒドキシメタクリレート、フィブリン、ポリシアノアクリレート、ポリカプロラクトンジメチルアクリレート、ポリ−b−マレイン酸、ポリカプロラクトンブチル-アクリレート、オリゴカプロラクトンジオールおよびオリゴジオキサノンジオールなどからのマルチブロックポリマー、PEGおよびポリブチレンテレフタレートなどのポリエーテル・エステル・マルチブロック・ポリマー、ポリピボットラクトン、ポリグリコール酸トリメチルカーボネート、ポリカプロラクトン-グリコライド、ポリ−g−エチルグルタメート、ポリ(DTH−イミノカーボネート)、ポリ(DTE−コ−DT−カーボネート)、ポリ(ビスフェノール−A−イミノカーボネート)、ポリオルトエステル、ポリグリコール酸トリメチルカーボネート、ポリトリメチルカーボネート、ポリイミノカーボネート、ポリ(N−ビニル)ピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエステルアミド、グリコラート化ポリエステル、ポリホスホエステル、ポリホスファゼン、ポリ[(p−カルボキシフェノキシ)プロパン]、ポリヒドロキシペンタン酸、ポリ無水酸、ポリエチレンオキシド-プロピレンオキシド、ポリウレタン、;ポリエチレンオキシド、ポリアルケンオキサレート、ポリオルトエステル、ならびにそのコポリマーなど;のポリエーテル・エステル、カラギーナン、コラーゲン、ポリヒドロキシアルカノアート、ペクチン酸、アクチン酸、カルボキシメチル硫酸塩、コラーゲン、コラーゲン−N−ヒドロキシスクシンイミド、ポリアクリル酸、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリエーテルアミド、ポリエチレンアミン、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリカルボウレタン、ポリビニルケトン、ポリビニルハライド、ポリビニリデンハライド、ポリビニルエーテル、ポリビニル芳香族化合物、ポリビニルエステル、ポリビニルピロリドン、ポリオキシメチレン、ポリブチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリオレフィンエラストマー、ポリイソブチレン、EPDMゴム、フルオロシリコーン、カルボキシメチルキトサン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ吉草酸塩、エチル・ビニル・アセテート・コポリマー、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、エポキシ樹脂、ABS樹脂、ポリシロキサンなどのシリコーン、ポリビニルハロゲン、および、上記ポリマーのコポリマーおよび/または混合物ならびに上記ポリマーのラミネートおよび多層システムからなる、または、それを含む群から選択されうる。
【0016】
ポリプロピレンで作られたプラスチック製品は、121℃でまたはそれを超えてプラスチック製品がオートクレーブされ減菌されうるという、ポリエチレンで作られたプラスチック製品に優る大きな利点を有する。これは、全ての病原菌が殺されることを保証することが必須である医療部門において特に重要である。ポリプロピレンを処理するために必要な温度が高いために、プラスチック製品は、単一のプラスチック製品が互いに接続される連続したプラスチック帯状体からプラスチック製品を切出すことが可能になる前に、長い距離および/または長い時間にわたってクールダウンされる必要がある。さらに、PPは、PEよりずっと硬質であり、機械的切断または打抜きは、当然、さらに一層鋭利なバリおよび/または切断エッジをもたらす。
【0017】
本発明の装置によって、処理直後に高い処理温度でプラスチックを切断することが可能である。プラスチックがクールダウンするのを待つ必要もなく、輸送中にプラスチック製品を、切断することが可能である温度まで下がるようにプラスチック製品を冷却するために、長い搬送器帯状体を設置することも必要とされない。その結果、高いヤング係数を有し、したがって、機械的に切断されるまたは打抜かれると、鋭利なバリおよび/またはエッジを形成する傾向があるプラスチックを切断することも好ましい。特に好ましいのは、160℃と170℃との間の融解範囲および約1520N/mm2のヤング係数で定常的に指定されるポリプロピレンである。そのため、160℃を超える、より好ましくは180℃を超える、さらに好ましくは200℃を超える、特に好ましくは220℃を超える、融解範囲を有するプラスチックが、好ましく、変形することなく、121℃でまたはそれを超えて規定に従ってオートクレーブされうる。さらに、100℃を超える、より好ましくは110℃を超える動作温度を有する、かつ/または、1500N/mm2を超える、より好ましくは1700N/mm2を超える、さらに好ましくは1900N/mm2を超えるヤング係数を有するプラスチックが好ましい。本発明の装置によって切断されうる特に好ましいプラスチックは、ポリプロピレンおよびポリプロピレンの範囲内の融解範囲、引張り強度、ねじり剛性率、または硬質性/剛性を特徴とする任意の他のプラスチックであり、「範囲内(in the range of)」は、ポリプロピレンの対応する値の±10%、すなわち、ポリプロピレンの−10%〜+10%の値として規定される。
【0018】
本発明の装置は、連続したプラスチックの帯状体で提供されるプラスチック製品を切断するためにレーザを使用する。熱いプラスチック製品用の冷却ラインは必要でない。その理由は、熱い材料またはクールダウンのプロセスにおける熱い材料をそれぞれ、安全かつ正確に切断できるからである。これは、プラスチック製品が成形ロールを去る直後かまたはその少し後(そのとき、プラスチック製品が既に硬化し始めている)に高温で医療部門用のプラスチック製品を切断するときに、特に有利である。さらに、プラスチックコンポーネント間の狭い接続部を完全にまたは部分的に穿孔すること、または、プラスチック製品を互いから分離することを容易にする所定の破断点を誘起することが可能である。これは、プラスチック製品が、クールダウンした後に著しく頑強になり、任意のさらなる機械的補助器具、たとえばハサミなしで、手作業でプラスチック製品を分離することを難しくするポリプロピレンで作られるときに、特に有利である。
【0019】
したがって、本発明のレーザ切断装置は、暖かいまたは熱いポリマーおよびプラスチックを切断するのに、すなわち、少なくとも60℃、好ましくは少なくとも80℃、さらに好ましくは少なくとも100℃、より好ましくは少なくとも115℃、より好ましくは少なくとも125℃、さらにより好ましくは少なくとも135℃、さらに好ましくは少なくとも145℃、およびより好ましくは少なくとも155℃の温度でポリマーおよびプラスチックを切断するのに特に有用であり、それにより、プラスチックおよび/またはポリマーは、200℃〜250℃の温度でも切断されうる。さらに、本発明による装置は、好ましくは冷却または加熱プロセス内にあるプラスチック製品を切断するために使用され、切断されるセグメントの温度は、切断プロセスの終りの温度と比較して切断プロセスの始めにおいて異なる。語「セグメント(segment)」は、たとえば光学取得ユニットによる作業サイクルにおいて認識され、かつ、切断パターンが規定される連続した帯状体のセクションとして理解される。レーザ切断は、温度勾配が存在する、すなわち、それぞれプラスチック製品またはプラスチックセグメントの切断中に温度が変化するときでも、非常に正確である。本発明の装置は、−100℃〜+300℃の温度範囲において、プラスチック製品についての切断パターンを正確に取得し処理する。1秒について1℃までのプラスチックの温度の変化が、本発明の装置によって取得され処理されうる。これはまた、連続する切断パターンおよび切断モードの変化、ならびに、切断パターンの切断中のまたは連続するセグメントおよび切断パターンについてのプラスチック材料の変化を含む。
【0020】
本明細書で使用される用語「切断(cutting)」または「レーザ切断(laser cutting)」は、レーザビームによって、プラスチック材料、好ましくはポリプロピレンおよび同様なポリマーまたはポリエチレンを通して切断するものとして理解されるものとし、これはまた、切断点における材料が、完全に切断されるのではなく、厚さが減少するだけである、すなわち、材料の結合が依然として存在するが、少しの力で機械的に分離されうるという意味で、穿孔すること、すなわち、切断部分と未切断部分を交互に配置すること、ならびに、部分的に切断することまたは所定部分を薄化することを含む。そのため、用語「切断」または「レーザ切断」は、切断パターン全体に沿ってまたは切断パターンの特定の点だけでプラスチック材料を完全に切断すること、ならびに、切断パターン全体に沿ってまたは切断パターンの特定の点だけでプラスチック材料を穿孔する、すなわち、完全に切断した部分が未切断部分と交互に存在することを述べる。
【0021】
用語「切断パターン(cutting pattern)」は、1つの検出ステップにおいて光学取得ユニットによって取得される、切断される全ての部分の全体として理解される。切断パターンは、相互接続されたプラスチック製品の連続した帯状体のセグメントに配置されうる。そのため、相互接続されたプラスチック製品の連続した帯状体またはベルトにおいてプラスチック製品を切断することが意図される場合、光学取得ユニットは、本発明の装置に給送され、その後、切断パターンに従って切断される相互接続されたプラスチック製品の連続した帯状体またはベルトの一部(セグメント)を徐々に取得する。切断パターンは、光学取得ユニットを通して取得されたプラスチック製品を含み、プラスチック製品は、通常、3次元であり、平面レベルの上また下にあり、連続した帯状体または連続したベルトを通して規定され、切断モードに関するユーザが規定可能な、したがって、予め規定されたさらなる情報を含みうる。光学取得ユニットは、たとえば切断が実施される場所を検出しうる。切断するモード(完全に、部分的に、穿孔することなど)は、ユーザによって予め決められうる。別法としてまたは付加的に、光学取得ユニットは、切断がどこで行われるかという情報を与えるだけでなく、切断するモードもまた情報として含まれうるそれぞれのマーキングを検出しうる。当然、上記の組合せが可能であり、したがって、予め規定されたパターンの組合せおよび切断モードおよび/または切断パターンの自動検出が可能である。連続した帯状体または連続したベルトの代わりに、連続した帯状体の単一ユニットまたは所定の部分だけ、すなわち孤立したセグメントが、光学取得ユニットによって検出されることも可能である。
【0022】
切断パターンおよび最終的には切断モードは、連続した帯状体または連続したベルトの特定のセクションまたは特定の部分を切断する前に光学取得ユニットによって新しく決定され、したがって、種々の切断パターンおよび切断モードをランダムな順序で扱うことが可能である。これは、機械的切断および/または打抜きプロセスに優る明白な利点である。機械的打抜きまたは機械的切断ツールは、規定された切断パターンまたは規定された切断モードについて決定され、異なる切断パターンおよび切断モードを有する交互のセグメントにおける変化に適合できない。本発明のレーザ切断装置は、機械的切断または打抜きツールで達成することが不可能である、異なる切断モードを有する最大10個の異なる切断パターンを扱うことができる。たとえ異なる打抜きまたは切断ツールが使用されても、扱うことができる制限された数のパターンだけが依然として存在する。本発明の装置は、厳密な切断パターンに独立であり、すなわち、特定のパターンに制限されるのではなく、任意の切断パターンを検出し扱うことができる。
【0023】
切断パターンは、光学取得ユニットによって検出される、適したマーキングを通して決定される。これは、色付きマーキング、空間的マーキング、ならびに放射性マーキングを含みうる。
【0024】
色付きマーキングは、たとえば可視範囲、赤外線範囲、またはUV範囲の色付きマーキングを含み、プラスチックに組込まれるまたは付着されることができる。これはまた、プラスチックに組込まれるまたは付着されることができ、薄いフィラメント、ワイヤ、または微粒子などのプラスチック材料から識別可能である他の材料に拡張される。一方、空間的マーキンは、プラスチック材料内の突起(elavations)、窪み、または穴として実現されうる。放射性マーカは、プラスチック材料に組込まれるまたは付着される放射性物質であり、プラスチック製品内の放射性標識された物質または溶液がマーカとして役立つことができる。
【0025】
データ処理ユニットは、切断パターンのどの部分が、レーザによって完全に切断されるか、単に穿孔されるか、薄化されるか、かつ/または、処理されないかを判定する。そのため、どの切断モードが、ユーザあるいは切断パターンまたはセグメント内のマーキングによってそれぞれ予め規定されたかに応じて、全て光学取得ユニットによる検出されるおよび/または所定の切断パターンの範囲内で、レーザは、特定の部分を完全に切断する、特定の部分を穿孔する、材料の厚さを特定の程度まで減少させる、かつ/または、特定の部分を無視することが可能である。レーザは、データ処理ユニットの制御下にあり、光学取得ユニットによって検出される切断パターンおよび予め規定された切断モードに従って誘導される。
【0026】
プラスチック製品の正確な切断のためのレーザビームの使用は、連続したプラスチック帯状体で提供される相互接続されたプラスチック製品の位置データを確定する光学取得ユニットに依存する。位置データは、光学取得ユニットによって検出される、形態、サイズ、形状、幾何学的形態、レーザマーキング、影投影、色認識、明るい/暗いゾーン、または反射に関する情報を含みうる。
【0027】
好ましい実施形態では、光学取得ユニットはカメラを備える。別の好ましい実施形態では、レーザスキャナは、連続したプラスチック帯状体で提供される相互接続されたプラスチック製品を測定することによって位置データを確定する検出器と共に使用される。レーザは、プラスチック製品の完全な表面プロファイルを描くためにミラーシステムによって方向転換されうる。
【0028】
位置データは、データ処理ユニット、たとえばプログラム可能マイクロプロセッサに送信され、そこでさらに処理される。用語「処理される(processed)」は、確定された実際の位置データが、データ処理ユニットに記憶された位置データと比較される方法において理解される。位置データのそれぞれの組合せについて、切断パターンは、データ処理ユニットに記憶され、レーザを制御するためにレーザ制御システムに送信される。
【0029】
これは、光学取得ユニットがプラスチック製品のそれぞれの実際の状態を検出するため、ベルトで提供されるプラスチック製品の厳密な寸法精度が必要とされないという利点を有する。特にプラスチック製品の製造業者の場合、通常、高温が使用される。結果として得られるプラスチックの温度に依存する膨張および/または収縮は、たとえば機械的打抜きを一定の低温だけにおいて可能にした。本発明の装置の使用は、この問題をなくし、プラスチック製品が、異なる温度で正確に切断されうる。さらに、種々の異なるプラスチック製品を切断するときに、装置の複雑な変換が必要でないことになる。その理由は、位置データについて、切断パターンだけが変更されなければならないからである。
【0030】
別の好ましい実施形態では、位置データは、記憶された位置データと比較されないが、データ処理ユニットは、取得された位置データからそれぞれの切断パターンを計算し、レーザを制御するために、計算された切断パターンをレーザ制御システムに送信する。
【0031】
さらなる好ましい実施形態では、位置データならびに切断パターンは、記憶され、それぞれの実際の位置データによって補正され、レーザを制御するためにレーザ制御システムに送信される適合した切断パターンをもたらす。
【0032】
レーザ制御システムは、好ましくは、制御可能な集光系光学部品、制御可能な偏向手段、およびビーム形成手段からなる。この文脈では、用語「制御可能な(controllable)」は、集光系光学部品および偏向手段が、データ処理ユニットによって計算された切断パターンによって制御されうること、またさらに、データが適した形式で送信されることであると理解される。ビーム形成手段は、レーザビームをコリメートし、よりよい集光のためにビームの発散を低減する。確定された位置データに従って、少なくとも1つのレーザの焦点の位置および強度が、制御可能な集光系光学部品および制御可能な偏向手段によって制御される。2つ以上のレーザが使用される場合、好ましくは、各レーザは、別のレーザ制御システムによって制御される。
【0033】
ある実施形態では、レーザ制御システムは、レーザビームをコリメートするビーム形成手段、よりよい集光のためにビームの発散を低減するテレスコピックレンズシステム、所定の切断パターンに従って、相互接続されたプラスチック製品の周りに2次元または3次元でレーザビームを誘導するミラー偏向システム、レーザビームの移動中にプラスチック材料が蒸発するようにレーザビームを集光する集光系光学部品、およびミラー移動時の切断パターンのためにデータを変換するソフトウェア制御式エレクトロニクスを備える。
【0034】
好ましい実施形態では、制御可能な偏向手段は、ミラーによってレーザビームの方向を偏向させるガルバノメータスキャナである。より好ましい実施形態では、ガルバノメータスキャナは、2つ以上のミラーにわたってレーザビームを偏向させる。プラスチック製品の幾何学的特性に応じて、1つまたは複数の制御可能な偏向手段が使用されうる。好ましい実施形態では、プラスチック製品とレーザ光学部品との間で、相対的移動は全く起こらない。すなわち、レーザ光学部品は、固定でかつ不動であり、レーザビームは、制御可能な偏向手段によって制御されるだけである。
【0035】
別の実施形態では、レーザビームは、制御可能な偏向手段によって偏向されるのではなく、レーザ光学部品またはレーザ光学部品の一部が、切断プロセスを実施するためにプラスチック製品に対して移動する。用語、レーザ光学部品は、レーザビームを形成する、集光する、制御する、または増幅するために必要な全てのコンポーネントを備える。たとえば、レンズおよびミラーシステムだけが、レンズだけが、ミラーシステムだけが、またはレーザ光学部品全体が、プラスチック製品に対して移動しうる。
【0036】
特に好ましい実施形態では、レーザビームは、可動の制御可能な偏向手段によって制御される。この文脈における用語、可動の、は、制御可能な偏向手段がx軸、y軸、およびz軸に移動できることを意味する。これは、レーザビームもまた、アクセスするのが難しいエリアに達し、そのエリアを切断できることを保証する。
【0037】
さらなる利点は、制御可能な偏向手段がまた、同時にアンプルにラベル付けするために使用されることができ、したがって、切断およびラベル付けが、1つの作業プロセスで行われることである。
【0038】
集光系光学部品は、好ましくは、レンズまたはミラー、より好ましくは凸レンズまたは集光凹状ミラーである。凹状ミラーは、特別な光学材料を使用する必要なしで、各レーザ波長が同じ点に集光されうるというさらなる利点を提供する。
【0039】
一実施形態では、装置は、連続した帯状体で提供される相互接続されたプラスチック製品用の搬送ユニットを備える。この搬送ユニットは、好ましくは、レーザおよび光学取得ユニットの下に、連続した帯状体で提供される相互接続されたプラスチック製品を引張る送込み装置からなる。これは、連続した帯状体で提供されるプラスチック製品の高いスループットおよび完全な自動切断を可能にする。
【0040】
他の実施形態では、搬送ユニットは、相互接続されたプラスチック製品がその上を輸送されるコンベアベルトである。
プラスチック製品、たとえばアンプル、バッグ、または他のキャビティのレーザ分離の有意な利点の1つは、機械的分離後に鋭利な突起と対照的に溶融エッジを生成することである。これは、医療部門で使用するためのプラスチック製品を切断するときに特に重要である。その理由は、こうしたアンプルを使用するときに、鋭利な突起が、減菌手袋に損傷をもたらす場合がある、または、さらに医師または病院の職員の手を損傷する場合があるからである。機械的に切断されたプラスチック製品は、切断ブレードがカットラインを残す側で鋭利な突起が発生することがあるという事実によって、鋭利な突起を常に有する。
【0041】
ガスを処理するためのノズルを通した固定されたビームおよび集光による従来のレーザ切断はまた、エッジ上にバリをもたらす場合がある。可動ビーム、たとえばガルバノスキャナを用いてアンプルを切断することがよりよい。その理由は、エッジが接合部で溶融するように、レーザパラメータとテレスコープおよびレンズなどのビーム形成要素とスキャナの動きを微調整することによって、この方法が、より正確に実施されうるからである。これを達成するために、本発明で設けられるセンサおよび制御システムが必要とされる。
【0042】
しかし、たとえこの種の分離によっても、切断されたプラスチック製品、たとえばアンプルが、溶融エッジを切り離せない可能性がある。これは、ほとんど知覚できない鋭利な突起がアンプルを結びつける場合である。アンプルが最終的に分離されるときに、鋭利な突起が依然として残る。こうした鋭利な突起は、レーザのわずかなパワーの変動またはビーム方向のほとんど検出できない変動の結果でありうる。
【0043】
アンプルが、非常に狭い接続部を有するアンプルのパック内に設けられるため、レーザカットの品質は、通常、非常に複雑な画像認識システムおよび特別なカメラを用いて評価されうるだけである。こうしたシステムは、製造プロセス全体を遅延化し、本質的に費用がかかり、故障を受け易く、既存のシステムに容易に一体化されることができない。
【0044】
その結果、本発明の装置は、さらに、切断されたプラスチック製品を押出すための、一体化圧力センサを有する品質管理装置を備えうる。連続したプラスチック帯状体で提供される相互接続されたプラスチック製品は、好ましくは、残留材料、すなわちフレームワークからレーザによって完全に分離されず、その結果、切断されたプラスチック製品は、最終的な分離が行われるまで、周囲材料内にある状態で輸送されうる。レーザ切断中に、プラスチック製品と周囲残留材料との間に精確に規定された狭い接続部が残される。最終分離ステップの場合、プラスチック製品は、一体化圧力センサを有する品質管理装置の下に輸送される。アンプルパックの形態を有するスタンプ、あるいは、単一プラスチック製品または連続したプラスチック帯状体のセクションの予め規定された場所に当たる一体の数のピンを有するスタンプ、すなわち適合したスタンプは、プラスチック製品、および特に、アンプルのトグル部分間の材料、すなわち隣のアンプルの首部領域間の材料を、残留周囲材料から押出す。周囲材料および/またはトグル領域間の材料からアンプルを押出すのに必要な圧力または力が、予め規定された第1の調整可能な値を超える場合、これは、プラスチック製品が、十分に分離されず、周囲材料に依然として接続されている、すなわち、ベルトにまたは互いに依然として接続されているという指示である。
【0045】
プラスチック製品を分離するために、プラスチック製品あるいはプラスチック製品のユニットまたはバンドルに実際に当たるスタンプの代わりに、1つまたは複数のノズルによって生成される空気ブローなどのガスブローまたは複数のガスブローが、プラスチック製品あるいはプラスチック製品のユニットまたはバンドルにある種のガスブロー圧を加えるために使用されうる。それにより、単一ガスブローが、規定された圧力を持つように生成され、その規定された圧力は、1つまたは複数のガスブローが、単一プラスチック製品あるいはプラスチック製品のユニットまたはバンドルを分離するのに十分であったかどうかを判定することによってレーザカットの品質を再度示す。ガスの代わりに、当業者は、同じ目的で、水などの液体を使用することができる。
【0046】
そのため、一体化圧力センサを有する品質管理装置は、連続した帯状体の周囲残留材料から、レーザ切断されたプラスチック製品を押出すことを対象とし、それにより、依然として互いに付着しているが、好ましくは切断装置で使用されたレーザによって既に穿孔されている単一プラスチック製品またはプラスチック製品のユニットが生成され、その結果、鋭利な突起を形成することなく、分離が容易に行われうる。これは、通常、アンプルまたはアンプルパックの形態を有する適合した型を用いて実施される。さらに、トグル部分間の残留材料、すなわち2つの隣接するアンプルの首部領域間のエリアを押出す狭いスタンプが含まれうる。予め規定された第1の調整可能な値を超える場合、レーザ切断は十分でなく、プラスチック製品は別々に収集される。これは、不十分に切断されたプラスチック製品が正しく切断されたプラスチック製品から別々に収集され、その後、後で再び処置され、したがって、破棄物として失われないという利点を有する。そのため、一実施形態では、一体化圧力センサを有する品質管理装置は、アンプルの形態に適合した型からなり、その型は、周囲残留材料からプラスチック製品を正確に押出す。
【0047】
さらに、一体化圧力センサを有する品質管理装置は、周囲残留材料からプラスチック製品を押出すのに必要である抵抗および/または力を測定することによって、レーザカットの品質、すなわち意図される分離の品質を制御しうる。アンプルの周囲材料および/またはトグル部分、すなわち隣のアンプルの首部領域間の材料からアンプルを押出すのに必要な圧力/力は、鋭利なバリ形成が起こらないように、レーザカットが、実際にエッジにおいて材料をうまく融解したかどうかに関する直接的な情報を与える。
【0048】
レーザがたとえばポリプロピレンアンプルを切断するときに、以下のことがあてはまることを、本出願人が見出した。
・圧力センサが抵抗を全く登録しない場合、アンプルは、正しく分離され、エッジは、アンプルの周りで完全に溶融する。
【0049】
・周囲残留材料からアンプルを押出すために最大0.5Nの抵抗を圧力センサが登録する場合、無視できる突起だけが形成しており、アンプルの使用は安全である。
・周囲残留材料からアンプルを押出すために0.5Nを超える抵抗を圧力センサが登録する場合、かなりの鋭利な突起が形成されており、アンプルは、無害(harmless)な可能性があり、分類除去される。
【0050】
そのため、アンプルの周囲材料および/またはトグル部分、すなわち隣のアンプルの首部領域間の材料から、バッグ、ボトル、シリンダ、アンプル、または他のキャビティなどのプラスチック製品を押出すのに必要な要求圧力が、第2の閾値を超えるが、依然として第1の閾値より低い場合、これは、レーザカットが不満足であり、かつ、プラスチック製品において鋭利な突起またはバリのおそらくは有害な形成が起こったという指示を与える。
【0051】
さらなる実施形態では、品質管理は、トグル部分間の材料、すなわち2つの隣接するアンプルの首部領域間のエリアで実施される。
そのため、周囲残留材料からプラスチック製品を押出すために必要とされる力は、プラスチック製品が、正しく切断されたかどうか、すなわち、周囲材料からプラスチック製品が押出されうるか否かに関する情報を提供する。さらに、要求される力は、突起が安全であるかどうか、すなわち、おそらく有害である場合がある鋭利な突起が形成されたかどうかを示す。
【0052】
一体化圧力センサを有する本発明の品質管理装置を述べたが、圧力/力についての正確な第1および第2の値または閾値は、切断されるプラスチックの種類、材料の厚さ、切断が実施される温度、レーザの出力パワー、および/またはプラスチック製品の幾何学的形状またはサイズなどに依存することが当業者に明らかである。連続した帯状体のプラスチック製品についてどの圧力または力閾値が示されるかを、最低限の実験を通して決定することは当業者の範囲内にある。そのため、所与のプラスチック製品について、申し分のないカット、または、レーザの調整の実施が必要とされるような許容されない(inacceptable)カットを示す正しい圧力範囲を見出すことは複雑でもなく、またさらに創造的でもない。
【0053】
別の実施形態では、一体化圧力センサを有する品質管理装置は、アンプル、アンプルパック、および/またはトグル領域などのプラスチック製品、すなわちアンプルの首部領域間の材料に過小圧力(underpressure)を加えることによって、レーザカットの品質を判定する。アクションモード(mode of action)は、上述した実施形態と同様である。しかし、周囲残留材料から、アンプル、アンプルパック、および/またはトグル領域を分離するのに必要とされる力は測定されない。代わりに、一体化圧力センサを有する品質管理装置は、一定の負圧などの一定の過小圧力を加えるのに必要とされる力を測定する。
【0054】
上から、単一プラスチック製品あるいはプラスチック製品のパックまたはバンドルの上側に圧力または力が加えられる間に、下から、単一プラスチック製品あるいはプラスチック製品のパックまたはバンドルに過小圧力または負圧が加えられて、連続したプラスチック帯状体から、また、他の単一プラスチック製品あるいはプラスチック製品の他のパックまたはバンドルから、単一プラスチック製品あるいはプラスチック製品のパックまたはバンドルが分離される。
【0055】
本発明の第3の実施形態では、一体化圧力センサを有する品質管理装置は、レーザカットの品質を評価するために決定されうる引張り力を加える。こうした引張り力は、単一プラスチック製品あるいはプラスチック製品のパックまたはバンドルを把持し、連続したプラスチック帯状体から、また、他の単一プラスチック製品あるいはプラスチック製品の他のパックまたはバンドルから、単一プラスチック製品あるいはプラスチック製品のパックまたはバンドルを分離する手段を通して加えられうる。単一プラスチック製品あるいはプラスチック製品のパックまたはバンドルを分離するのに必要とされる力は、測定されることができ、また同様に、レーザカットが申し分なかったかまたは不十分であったかを評価するための、レーザカットの品質のための指標である。
【0056】
したがって、単一プラスチック製品あるいはプラスチック製品の単一パックまたは単一バンドルの分離が、圧力などの押す力によって行われるか、負圧などの引張り力または過小圧力によって行われるかは重要でない。
【0057】
さらなる実施形態では、装置は、レーザビームおよび制御可能な偏向手段の長期ドリフト効果を補償するシステムを備える。これは、コンポーネントの温度変化、湿度変化、振動に対する暴露、機械的応力、および経年変化によって起こる場合があり、レーザビームの精度に悪い影響を及ぼしうる。レーザビームの長期ドリフト効果を補償するシステムは、レーザの精度が常に最適であることを保証し、装置のメンテナンスによる生産損失を最小限まで減少させる。
【0058】
一実施形態では、切断パターンの外側に存在するが、依然として制御可能な偏向手段のミラーシステムの偏向範囲内にある材料表面上で選択的な加熱を登録するために、熱撮像カメラが使用される。選択的な加熱は、特定の期間の間に、この材料表面上に短時間のビームを向けることによってもたらされる。これらの短期間加熱は、たとえば、レーザおよび光学取得ユニットの下に、連続した帯状体で提供される相互接続された次のプラスチック製品を送込み装置が引張る間に実施されうる。熱撮像カメラは、受取り部側(receiver)の位置を、予めプログラム設定された/設計された位置と比較する。収集されたデータは、その後、切断パターンを補正し調整するために、レーザ制御システムに送信される。この制御メカニズムは、それぞれの切断プロセス中にまたはその前に、あるいは、予め規定されたある間隔で起こりうる。熱撮像カメラはまた、加熱された材料表面の温度を同時に確定し、このデータから、プラスチック製品を切断するために使用されるレーザパワーを断定しうる。レーザパワーの減少は、その後、相応して調整されうる。
【0059】
別の実施形態では、切断パターンの外側に存在するが、依然として制御可能な偏向手段のミラーシステムの偏向範囲内にある帯状体は、プラスチック帯状体の内部または外部に沿って引張られ、それにより、レーザが、帯状体において点の形態である量の材料を取除く。カメラは、この点の位置を、プログラムされた参照点と比較し、任意の偏差が、上述したプロセスと同様に、レーザ制御システムに補正データとして送信される。
【0060】
連続したプラスチック帯状体で提供される医療分野で使用するための相互接続されたプラスチック製品は、好ましくはボトル、バッグ、または容器、またさらにより好ましくはアンプルである。さらに、透析液(dialysator)用のシリンジ、バイアル、中空ファイバ、または、粉末吸入器の一部などの、医療装置または医療装置の一部は、本発明に従って切断されうる。
【0061】
特に有利であるのは、共押出しブロー成形によって生産されるような多層プラスチック製品を切断するときの装置の使用である。これらの多層プラスチック製品は、異なるプラスチックのポジティブな特性を共に組合せ、また、通常、結合剤によって共に接続される2つのキャリア層間に配列されるバリア層を特徴とする。好ましくは、これらの多層プラスチック製品は、ガスに対して改善されたバリア特性が必要とされる用途で使用される。機械的切断法は、多層プラスチック製品の接合部に関して特に問題を有する。接合部において、バリア層は、本来それほど明白でなく、バリア層が、これらのエリアにおいて機械的切断によって遮られるリスクの増加が存在する。本発明の装置は、多層プラスチック製品の個々の層が、レーザによる切断中に、接合部でかつエッジに沿って共に溶融するという利点を有する。その結果、接合部、エッジ、または継ぎ目(seam)のバリア特性が、損傷を受けず、機械的切断法と比較して改善される。
【0062】
プラスチックによって提供されるかまたは囲まれるプラスチック製品を分離するプロセスは、消費者商品または産業部品などの他のプラスチック製品に関して、述べたレーザ制御システムを用いて原理上同様に適用され実施されうる。
【0063】
特に好ましい実施形態では、本発明の装置は、BFSプロセス(ブロー・フィル・シール・プロセス)下でプラスチック製品を生産する装置と共に動作する。こうした装置は、よく知られており、たとえば特許EP 1626903 B1に記載される。
【0064】
本発明の装置は、相互接続された、共に接合された、および/または共に連結されたプラスチックアンプルを切断するのに特に有利である。これらのアンプルは、たとえばBFSプロセス(ブロー・フィル・シール・プロセス)によって充填されるが、同様に、空のアンプルが処理されうる。プラスチックアンプルが、BFSプロセス(ブロー・フィル・シール・プロセス)下で製造されるとき、アンプルは、連続した帯状体で、相互接続された、共に接合された、および/または共に連結されたアンプルの列(row)として充填機械を出る。この連続した帯状体において、相互接続された、共に接合された、および/または共に連結されたアンプルの1つの列は、アンプルの次の列によって追従され、全ての列が、連続した帯状体内に埋め込まれ、残留プラスチック材料によって囲まれる。連続したプラスチック帯状体内でできる限り多くのアンプルを生産するために、アンプルは、非常に接近して配列され、したがって、アンプルの分離は非常に難しい。これは、アンプルの首部のトグル部分について特に当てはまる。アンプルの首部のトグル部分は、機械的打抜き中にクリティカルなエリアである。その理由は、精確に切出されなければならない非常に小さなエリアだけが存在し、しばしば、部分的な分離だけが達成されうるからである。そのため、アンプルのトグル部分間の分離が不完全であるため、単一アンプルを開口するかまたは分離するときに、隣のアンプルが誤って開口されるという絶えず続くリスクが存在する。本発明の装置は、アンプルの開口を損傷するリスクなしで、アンプルのこの部分を安全に分離しうる。
【0065】
医療分野のアンプルは、通常、パックとして提供される。すなわち、一定の数の相互接続されたアンプルが、連続した帯状体から機械的に打抜かれる。しかし、特に、ポリプロピレンで作られたアンプルは、機械的に切出されるとき、または、1つのアンプルがアンプルパックから手作業で分離されるとき、鋭利な突起を生じる傾向がある。
【0066】
機械的打抜きと対照的に、本発明の方法による切断は、以下の利点を有する。プラスチックアンプルは、クールダウンすることを必要とされず、高温で切断されうる。高温でアンプルを製造するとき、および、クールダウンするときのアンプルの収縮プロセス時に特有でありかつ回避できないアンプルのサイズの差は、装置によって検出され、レーザビームは、相応して調整される。さらに、レーザによって切断するときに、鋭利な突起の形成および/またはバリ形成が、回避され、アンプルは、プラスチック製品間にまたはプラスチック製品内に穿孔または破断点を持つようにレーザによって提供されることができ、プラスチック製品を互いから分離するのを容易にする。
【0067】
本発明の装置と、BFSプロセス(ブロー・フィル・シール・プロセス)の下でプラスチック製品を生産する機械との組合せは、特に有利である。その理由は、冷却ラインを確立する必要性がもはや存在せず、プラスチック製品が、生産直後に高温で切断されうるからである。上述した利点と共に、これは、効率、安全性、および経済性の向上をもたらす。
【0068】
本発明はまた、連続したプラスチックの帯状体で提供される医療部門で使用するための相互接続されたプラスチック製品を切断するための本発明の方法を含み、該方法は、
a)連続したプラスチックの帯状体に埋め込まれた相互接続されたプラスチック製品を提供するステップと、
b)光学取得ユニットを通して、連続したプラスチックの帯状体に埋め込まれた相互接続されたプラスチック製品について位置データを確定し、データ処理ユニットを通して切断パターンを計算するステップと、
c)制御可能な集光系光学部品、制御可能な偏向手段、およびビーム形成手段を備えるレーザ制御システムによってレーザを制御するステップであって、確定された位置データに応じて、少なくとも1つのレーザの焦点の位置および強度が制御される、ステップと、
d)計算された切断パターンに従って、連続したプラスチックの帯状体で提供される相互接続されたプラスチック製品を切断するステップと、を含む。
【0069】
好ましい実施形態では、プラスチック製品またはプラスチック製品のパックは、60℃〜155℃のプラスチック製品またはプラスチック製品のパックの温度で切断される。
さらなる実施形態では、上記の方法は、さらに、
e)切断済みプラスチック製品または切断済みプラスチック製品のパックを押出すのに必要とされる力を測定する、一体化圧力センサを有する品質管理装置によって品質試験を実施するステップ
e’)切断済みプラスチック製品または切断済みプラスチック製品のパックを分離するのに必要とされる過小圧力(underpressure)を測定する、一体化圧力センサを有する品質管理装置によって品質試験を実施するステップ
e”)切断済みプラスチック製品または切断済みプラスチック製品のパックを分離するのに必要とされる引張り力を測定する、一体化圧力センサを有する品質管理装置によって品質試験を実施するステップ
のうちの1つのステップを含みうる。
【0070】
こうして、一体化圧力センサによって、周囲残留材料からプラスチック製品を分離するのに必要とされる力、過小圧力、引張り力、または任意の他のこうした力が測定される。ある値(たとえば、値A)未満の圧力、力、または過小圧力(負圧など)は、鋭利な突起なしでの適切でかつ申し分のないカットを示し、一方、ある値(たとえば、値B)を超える圧力、力、または過小圧力は、不適切でかつ不良のカットを示し、その結果、プラスチック製品は、分離されることができない、容易に分離されることができない、または、鋭利な突起を形成することなしで分離されることができない。値Aと値Bとの間の圧力、力、または過小圧力は、不十分なカットを示し、プラスチック製品が、依然として分離されうるが、鋭利な突起を持つ可能性がある。プラスチック製品、使用されるプラスチックの種類、および医療におけるプラスチック製品の使用に応じて、値Aと値Bとの間の範囲内で得られる切断済みプラスチック製品は、適切な医療製品として販売される可能性がある、または、修正できない欠陥品として廃棄される可能性がある。さらに、プラスチック製品、使用されるプラスチックの種類、および医療におけるプラスチック製品の使用に応じて、値Aは、値Bと同一かまたはほぼ同一でありうる。
【0071】
好ましい実施形態では、周囲材料からプラスチック製品を分離する力が、第1の予め規定された調整可能な値に達すると、これは、プラスチック製品が、依然としてベルトに接続され、うまく分離されていない、すなわち、力が不十分であったことを示す。これはまた、この第1の閾値または第1の値に達すると、プラスチック製品を分離するためにさらなる力が加えられないことを示唆する。これは重要である。その理由は、プラスチック製品が、周囲残留材料に依然としてしっかり接続される場合、無制限の力を加えることは、たとえば(熱い)ベルトを異常に引張ることによって、ベルトおよび後続のプラスチック製品に損傷をもたらしうる。
【0072】
さらに、第1の値より低いまたはそれ未満の第2の値/閾値を予め規定することが可能である。周囲残留材料からプラスチック製品を分離するのに必要とされる力が、この第2の値を超えるが、依然として第1の値より低い場合、プラスチック製品は、うまく分離されるが、これは、鋭利な突起またはバリの不満足でかつおそらくは有害な形成についての兆候である。必要とされる力が、この第2の値/閾値より低く留まる場合、レーザカットの品質は、満足できるものであり、鋭利な突起および/またはバリのリスクは全く存在しない。
【0073】
上述したように、圧力/力についての正確な第1および第2の値/閾値は、切断されるプラスチックの種類、材料の厚さ、切断が実施される温度、レーザについての出力パワー、および/またはプラスチック製品の幾何学的形状またはサイズなどのような因子に依存することが当業者に明らかである。連続した帯状体のプラスチック製品についてどの圧力または力閾値が示されるかを、最低限の実験を通して決定することは当業者の範囲内にある。そのため、所与のプラスチック製品について、申し分のないカット、または、レーザの調整が実施されるような許容されないカットを示す正しい圧力範囲を見出すことは複雑でもなく、またさらに創造的でもない。
【0074】
好ましい実施形態では、アンプルベルト(1)は、少なくとも1つの制御可能な偏向手段(5)および光学取得ユニット(5a)の下に送込み装置(2)によって引張られ配置される。光学取得ユニット(5a)は、少なくとも1つのアンプルストリップ(II)の位置データを、データ処理ユニットは、少なくとも1つのアンプルストリップ(II)から、アンプル(III)を、個々にまたはいくつかのアンプルのパックで切断するための切断パターンを位置データから計算する。少なくとも1つの集光されたレーザビーム(IV)は、レーザビームが、アンプルの間および/またはアンプルの周りの材料の蒸発を通してアンプル(III)を分離するのに適するように、ビーム形成手段(4)によって修正される。制御可能な偏向手段(5)および制御可能な集光系光学部品(5b)は、データ処理ユニットによって計算された切断パターンに従って、少なくとも1つの集光されたレーザビームを制御して、アンプルを個々にまたはいくつかのアンプルのパックで切断する。切断プロセス後に、アンプルベルト(1)は、送込み装置(2)によってさらに引張られ、次のアンプルストリップ(II)が、制御可能な偏向手段(5)および光学取得ユニット(5a)の下に配置される。切断済みアンプル(III)は、依然としてアンプルベルト(1)上に位置し、ここで、一体化圧力センサ(7)およびストリップ(8)を分離するためのナイフを有する品質管理装置の下に配置される。一体化圧力センサ(7)およびストリップを分離するためのナイフ(8)を有する品質管理装置が動作され、トグル部分間の分離された材料が、別個の容器(14)内に収集される。アンプル(III)は、ここで、アンプルベルト(1)から完全に分離され、さらなる処理のために、スライド上を直立位置で外部輸送ルート(9)に輸送される。ナイフ(8)は、ストリップの残留材料(10)をベルトから分離し、残留材料を容器(15)内に収集する。一体化圧力センサ(7)を有する品質管理装置は、ベルトからアンプル(III)を押出すように動作されると、同時に、必要とされる圧力を測定する。1つまたは複数のアンプルが、予定された通りに分離されない場合、ベルトからアンプル(III)を押出すための必要とされる圧力が、予め調整可能な閾値を超え、それにより、フラップ(11)が開口し、残留材料が充填済みアンプル(12)と共に容器(16)内に落ちる。レーザ切断装置が、完全にフォールアウトする場合、2つのフラップ(13)がトリガーされ、送込み装置(2)は、後で切断するために、装置から残留アンプルベルト(1)を未切断のまま輸送する。
【0075】
別の実施形態では、本発明の装置は、フレームワークからおよび/または互いの中から容器製品を分離し、また、少なくとも1つのレーザ制御システムによる少なくとも1つのレーザ、および、画像認識および画像処理用の少なくとも1つのオプトエレクトロニックシステムであって、フレームワークからおよび/または互いの中の容器製品の位置を確定し、これらのデータを少なくとも1つのレーザ制御システムに送信する、1つのオプトエレクトロニックシステムからなり、それにより、容器製品がフレームワークからおよび/または互いの中から分離されるように、少なくとも1つのレーザおよび/またはレーザビームが制御される。この用途における他の述べられる本発明の実施形態および例は、有利にはこの実施形態に適用される。
【0076】
変化する温度においてプラスチック製品を切断するための方法
本発明は、さらに、医療部門で使用するための1回のレーザカットによって切断されるセグメントからなる、連続した帯状体で提供されるプラスチック製品を切断するための方法を対象とし、該方法は、変化する温度において連続した帯状体で提供されるプラスチック製品を切断することを可能にする。
【0077】
出願WO 2009030311 A1は、周囲材料から単一容器を自由落下によって分離する自由落下機械的打抜き装置を特徴とした、プラスチック帯状体で提供される単一容器を切断するための切断デンバスについて説明する。別の出願WO 2009106219 A1では、機械的打抜き装置は、電気モータによって電力供給され、電気モータは、打抜き装置を開始位置から打抜き位置まで移動させる。
【0078】
プラスチック製品は、成形型から出るとき、周囲残留材料からの分離が可能になる前に、通常、クールダウンされなければならない。冷却プロセス中に、プラスチック製品は、温度依存性のサイズ変化(収縮)を受ける。そのため、従来技術の機械的打抜き装置は、プラスチック製品が分離されうる所定の温度に依存する。その理由は、この温度でだけ、連続した帯状体のプラスチック製品のサイズが打抜きツールの形状に相関するからである。これは、プラスチック製品が、機械的抜き打ち装置に達すると正確な所定の温度を有するように、機械的抜き打ち装置が、プラスチック製品製造装置、たとえばブロー・フィル・シール装置から一定距離に配置されることを意味する。しかし、製造プロセスにおいてどんなものであれ不整合、小さな偏差、および/または遅延が生じる場合、プラスチック製品は、もはや必要とされる温度を持たず、したがって、プラスチック製品の計算されたサイズは、もはや与えられない。結果として、後続の機械的打抜きは、プラスチック製品が周囲残留材料から打って「抜き出される(out)」間に、必然的に、プラスチック製品に損傷をもたらすかつ/またはプラスチック製品を破壊する。そのため、医療分野で使用されるプラスチック製品用のほとんどすべての現状技術の機械的切断装置は、室温で働き、一方、高温で製造されるプラスチック製品は、サイズの変動がこれ以上存在しないように完全に冷却されている。機械的切断プロセスが高温で実行される場合、プラスチック製品の温度の変化がその幾何学的形状およびサイズの変化をもたらすことになることから、機械的切断装置は、ほとんど同一の温度を有する、切断される相互接続されたプラスチック製品の給送を必要とする。機械的切断装置は、幾何学的形状およびサイズのこれらの変化に追従できないため、異なる温度におけるカットは、不正確なまたは不良のカットを生じることになり、それにより、修正できない欠陥品を生産する。したがって、任意の温度でまたは30℃と155℃との間の温度範囲で、相互接続されたプラスチック製品のあるセグメントのプラスチック製品を切出すことができる方法が必要とされる。
【0079】
そのため、本発明のさらなる目的は、医療部門で使用するための、連続した帯状体で提供されるプラスチック製品を切断する、または、プラスチック製品のセグメントを切断するための方法を提供することであり、該方法は、変化する温度において連続した帯状体で提供されるプラスチック製品またはプラスチック製品を切断することを可能にする。
【0080】
この目的は、請求項12による切断するための方法によって達成される。さらなる好ましい実施形態は、従属請求項、実施例、図面、および説明から得られる。
その結果、レーザ切断されるセグメントからなる、連続したプラスチックの帯状体で提供される医療部門で使用するためのプラスチック製品を切断するための方法が提供され、該方法は、
a)レーザ切断されるセグメントからなる連続したプラスチックの帯状体に埋め込まれた相互接続されたプラスチック製品を設けるステップであって、各セグメントは、レーザ切断されている間にクールダウンし、切断されるときに30℃〜155℃以内の任意の温度範囲を有する、ステップと、
b)光学取得ユニットを通して1つのセグメントにおいて連続したプラスチックの帯状体に埋め込まれた相互接続されたプラスチック製品について位置データを確定し、データ処理ユニットを通して切断パターンを計算するステップと、
c)制御可能な集光系光学部品、制御可能な偏向手段、およびビーム形成手段を備えるレーザ制御システムによってレーザを制御するステップであって、確定された位置データに応じて、少なくとも1つのレーザの焦点の位置および強度が制御される、ステップと、
d)計算された切断パターンに従って1つのセグメントにおいて連続したプラスチックの帯状体で提供される相互接続されたクールダウンしているプラスチック製品をレーザ切断するステップと、を含む。
【0081】
したがって、本発明の方法は、暖かいまたは熱いポリマーおよびプラスチックを切断するのに、すなわち、少なくとも30℃、好ましくは少なくとも60℃、好ましくは少なくとも80℃、さらに好ましくは少なくとも100℃、より好ましくは少なくとも115℃、より好ましくは少なくとも125℃、さらにより好ましくは少なくとも135℃、さらに好ましくは少なくとも145℃、およびより好ましくは少なくとも155℃の温度を有するポリマーおよびプラスチックを切断するのに有用であり、それにより、プラスチックおよび/またはポリマーは、さらに200℃〜250℃の温度で切断されうる。そのため、レーザカットの始めに、セグメントの温度は、上述した温度の少なくとも1つの温度を有する。
【0082】
さらなる実施形態では、レーザカットの始まりに、セグメントは、30℃〜155℃、好ましくは35℃〜125℃、より好ましくは40℃〜110℃、さらにより好ましくは45℃〜100℃、さらにより好ましくは50℃〜90℃、最もより好ましくは55℃〜80℃の範囲の任意の温度を有する。
【0083】
そのため、本発明の方法は、任意の温度において、連続した帯状体でまたは連続した帯状体のセグメント内で提供されるプラスチック製品の切断を可能にし、また、たとえばクールダウン中の収縮による、プラスチック製品のサイズのどんな変化にも全く依存しない。プラスチック製品の形態およびサイズ、使用されるプラスチックの正確なタイプ、およびいくつかの他の因子に応じて、プラスチック製品の温度が変動する可能性があり、それが、非常に狭い用途について、すなわち1つの製品についての1つだけの固定された製造プロセスについて、所定の温度だけにおける機械的打抜きを可能にする。これらのパラメータの1つのパラメータの各変化は、必然的に製造ラインの再編成を必要とし、その再編成は、打抜き型自体の変更を含むだけでなく、打抜き装置全体の再配置も含む。これは、より高い処理温度を有し、したがって、機械的打抜きが可能になる前に、長い期間冷却しなければならない別のタイプのプラスチックが使用されるときに当てはまりうる。いくつかの事例では、制限された空間だけが利用可能であるため、製造ラインを再配置することはさらに可能でないであろう。打抜き型の変更、製造ラインの再配置、および長い冷却ラインの設置についての必要性なしで、提供される方法は、より大きな柔軟性を有し、より経済的であり、多くの空間を節約する。
【0084】
用語「連続したベルトで提供される相互接続されたプラスチック製品(interconnected plastic products provided in the continuous belt)」は、相互接続されたプラスチック製品が埋め込まれる、すなわち残留材料によって囲まれる、規定の幅を有するエンドレスベルトとして理解される。
【0085】
用語「セグメント(segment)」は、光学取得ユニットによって1作業サイクルにおいて認識され、切断パターンが画定される、連続したベルト内のたとえばセクションとして理解される。そのため、「セグメント」は、規定の長さおよび幅を有し、ある数の相互接続されたプラスチック製品を有する。その結果、セグメントの大きさ・割合(proportion)は、光学取得ユニットの設定に直接依存する。用語「セグメント」は、たとえば連続したベルトにおいて予め切断されたフィールドまたはマーキングが存在するという物理的な意味で理解されるのではなく、光学取得ユニットからの取得フィールドによって規定されるだけである。「セグメント」は、好ましくは、1作業サイクルにおいて光学取得およびデータ処理ユニットによって検出または選定(pick)され、好ましくは、ある数の相互接続されたプラスチック製品を含む連続した帯状体の部分である。しかし、連続した帯状体がセグメントを示すマーカを含まないこと、および、セグメントの位置が任意に選択されうることにより、連続した帯状体のセグメントへの細分または分割は、より理論的な構成物である。さらに、2つのセグメントがオーバラップすること、または、2つの引き続くセグメントが、互いに直接接続されないことが可能である。
【0086】
したがって、本発明の方法によって、ある温度を有する1つのセグメントを切断し、別の温度を有しうる引き続くセグメントを直接切断することが可能である。そのため、各セグメントは、その温度に、また、連続した帯状体のプラスチック製品を有する前のまたは後のセグメントの温度に無関係に精確に切断されうる。機械的打抜き装置を用いると、変化する温度におけるこうした精確な切断は可能でない。プラスチック製品は、温度が異なるために異なるサイズを有し、したがって、機械的に打抜かれることができない。
【0087】
こうして、本発明による方法は、好ましくは、切断プロセスの始めにおける切断されるセグメントの温度が切断プロセスの終りの温度と比較して異なる、冷却または加熱プロセス中にあるプラスチック製品を切断するために使用される。レーザ切断は、温度勾配が存在しても、すなわちプラスチック製品またはプラスチックセグメントの切断中にそれぞれ温度が変化しても、非常に正確である。プラスチック製品についての切断パターンは、−30℃〜+300℃、好ましくは+30℃〜+300℃の温度範囲で正しく取得され処理されうる。1秒について最大1℃までのプラスチックのどんな温度変化も取得され処理されうる。これは、連続する切断パターンおよび切断モードの変化、ならびに、ある切断パターンまたは連続するセグメントおよび切断パターンの切断中におけるプラスチック材料の変化を含む。
【0088】
その結果、一実施形態では、相互接続されたプラスチック製品を有する少なくとも1つのセグメントは、相互接続されたプラスチック製品を有する前のセグメントのどのセグメントよりも変化する温度を有する。用語「変化する温度(varying temperature)」は、少なくとも0.5℃を超えるどんな温度差も含むと理解される。これは、製造プロセス中に遅延および/またはわずかな不整合が起こる場合に特に有利である。こうした場合、プラスチック製品のサイズが余分な冷却時間のためにたとえ変化しても、連続したベルトで提供される相互接続されたプラスチック製品を有する次のセグメントを切断することが依然として可能である。こうして、本発明の方法によって、0.01℃〜5℃/分のクールダウンレートを有する、連続したベルトで提供される相互接続されたプラスチック製品を切断することが好ましい。好ましい実施形態では、連続したベルトで提供される相互接続されたプラスチック製品は、ポリプロピレンおよび/またはポリエチレンからなる。
【0089】
別の実施形態では、不完全なまたは不正確な切断済みセグメントが、再給送され、その後、低温で再び切断される。不完全なまたは不正確な切断済みセグメントは、通常、廃棄される。その理由は、これらのセグメントが、完全にクールダウンしており、高温でセグメントを打抜くように構成されている機械的打抜き機械にもはや適合しないため、これらのセグメントを再び切断することは可能でないからである。本発明の方法によって、これらのセグメントは、相応して、再給送され、その後切断されうる。
【0090】
本発明の方法は、少なくとも1つのレーザ、少なくとも1つのレーザ制御システム、少なくとも1つの光学取得およびデータ処理ユニット、および、任意選択で不正確なレーザカットを検出するための一体化圧力センサを有する品質管理装置を備える装置によって実施されうる。
【0091】
光学取得ユニットは、連続した帯状体で提供され、互いに接続されたプラスチック製品の位置データを、あるセグメントにおいて確定する。そのセグメントの位置データは、切断パターンを計算するために使用され、切断パターンは、レーザ制御システムに送信される。切断パターンに従って、少なくとも1つのレーザビームの位置、強度、および焦点が、集光系光学部品および偏向手段を通して制御される。
【0092】
相応して、ガスレーザ、固体レーザ、および/または色素レーザが使用されうる。ガスレーザの群に属するレーザは、エキシマレーザ、希ガスイオンレーザ、金属蒸気レーザ、または分子気体レーザを含む。
【0093】
エキシマレーザの群は、H2レーザ(116/123nm)、Ar2レーザ(126nm)、F2レーザ(157nm)、Xe2レーザ(172nm)、ArFレーザ(193nm)、KrFレーザ(248nm)、XeBrレーザ(282nm)、XeClレーザ(308nm)、およびXeFレーザ(351nm)を含むが、それに限定されない。希ガスイオンレーザは、(Ar)+レーザ(≒460nm、480nm、500nm、520nmを含む)、(Kr)+レーザ(650nm)、およびHe−Cdレーザ(325nm、440nm)を含むが、それに限定されない。
【0094】
金属蒸気レーザの群は、Cuレーザ(500nm、545nm)およびAuレーザ(310nm、605nm)を含むが、それに限定されない。分子気体レーザの群は、COレーザ(6〜8μm)、CO2レーザ(9μm、10.6μm、11μm)、およびN2レーザ(337nm)を含む。
【0095】
固体レーザは、ルビーCr3+:Al23レーザ(694nm)、ネオジムガラス(Nd:ガラス)レーザ(1062nm)、ネオジムYAGレーザ(1064nm)、アレクサンドライトレーザ(755nm)、ALGaN/GaNレーザ(400〜500nm)、InGaAs/GaAsレーザ(700〜880nm)、InGaAsP/InPレーザ(900〜1100nm)、およびPbカルコゲナイドレーザ(2.6〜30μm)から選択されうる。色素レーザの群は、とりわけ、≒300nm〜1300nmの全スペクトルをカバーするスチルベン、クマリン、およびローダミンを含む。
【0096】
さらなる実施形態では、切断プロセスまたはレーザカットは、複数のレーザによって並列に、同期して、または連続して実施されうる。好ましくは、切断プロセスまたはレーザカットは、2つのレーザによって、より好ましくは3つのレーザによって、最も好ましくは4つのレーザによって実施される。レーザの数に対する制限は存在しない。レーザの数は、切断パターンの複雑さならびに連続した帯状体で提供されるプラスチック製品のサイズおよび寸法に適合し、依存しうる。切断プロセスのために、レーザビームをビームスプリッタで複数のビームに分割し、各ビームを互いに独立に制御することも可能である。好ましいのはCO2レーザおよびUVレーザである。特に好ましいのは、9.4μm、より好ましくは10.3μmまたは10.6μmの波長、200Wまたは180Wと220Wとの間の好ましい出力パワーをそれぞれ有するCO2レーザである。好ましいUVレーザは、Nd:YAG、YLF、またはNd:VO4に基づく固体レーザを備え、非線形結晶を用いた周波数変換によって、355nmまたはその近傍の波長を有する第3高調波が生成される。これらのレーザは、レーザビームの著しく微細な集光を可能にし、プラスチックコンポーネント間の狭い接続部を完全にまたは部分的に切断する、分離する、または穿孔するのに適する。
【0097】
本発明の方法によれば、集光されたレーザビームは、製品および/または連続した帯状体の間の材料を融解または蒸発させるために、連続した帯状体で提供されるセグメントのプラスチック製品の輪郭の周りに誘導される。レーザビーム断面のガウス強度分布は、レーザ放射が、エッジの材料を融解させ、バリ形成が起こらないことを保証する。これは、プラスチック製品のエッジにおいて、たとえば医療分野で使用される滅菌手袋を損傷する、またはさらに、切断されたプラスチック製品を用いて働く人の手に切り傷(cut)を生じる可能性がある鋭利なエッジが全く形成されないという利点を有する。レーザビームによる分離は、たとえば打抜き装置のような機械的分離装置に優る明白な利点を有する。その理由は、機械的装置の使用は、バリまたは鋭利なエッジの形成を本質的にもたらすからである。結果として得られるバリおよび/または切断エッジの鋭利さは、プラスチック材料の硬質性/剛性に直接依存する。
【0098】
プラスチックは、好ましくは、ポリアミド、ポリオレフィン、またはコポリマー、ならびに複合材料の形態でのこうしたプラスチックまたはコポリマーの組合せからなる群から選択される。好ましくは、プラスチックは、ポリエチレン(PE)であり、さらにより好ましくは、ポリプロピレン(PP)、または、少なくともポリプロピレン(PP)の硬質性/剛性、引張り強度、ねじり剛性率、ヤング係数、および/または融解範囲を有する任意の他のプラスチックである。少なくともPPと同様に剛性がありまたは硬質であり、あるいはさらにPPより剛性がありまたは硬質である任意のプラスチックは、好ましくは本発明に従って切断されうる。セグメントのレーザカットまたはPPのレーザカットは、30℃と155℃との間、好ましくは35℃と125℃との間、より好ましくは40℃と110℃との間、さらにより好ましくは45℃と100℃との間、さらにより好ましくは50℃と90℃との間、最もより好ましくは55℃と80℃との間の任意の温度で実施される。
【0099】
使用されうるさらなるプラスチックは、ポリバレロラクトン、ポリ−ε−デカラクトン、ポリラクトン酸、ポリグリコール酸、ポリラクチド、ポリグリコライド、ポリラクチドとポリグリコライドのコポリマー、ポリ−ε−カプロラクトン、ポリヒドロキシブタン酸、ポリヒドロキシ酪酸塩、ポリヒドロキシバレレート、ポリヒドロキシ酪酸−コ−バレレート、ポリ(1,4−ジオキサン−2,3−ジオン)、ポリ(1,3−ジオキサン−2−オン)、ポリ−p−ジキサノン、ポリマレイン酸無水物などのポリ無水物、ポリヒドキシメタクリレート、フィブリン、ポリシアノアクリレート、ポリカプロラクトンジメチルアクリレート、ポリ−b−マレイン酸、ポリカプロラクトンブチル−アクリレート、オリゴカプロラクトンジオールおよびオリゴジオキサノンジオールなどからのマルチブロックポリマー、PEGおよびポリブチレンテレフタレートなどのポリエーテル・エステル・マルチブロック・ポリマー、ポリピボットラクトン、ポリグリコール酸トリメチルカーボネート、ポリカプロラクトン−グリコライド、ポリ−g−エチルグルタメート、ポリ(DTH−イミノカーボネート)、ポリ(DTE−コ−DT−カーボネート)、ポリ(ビスフェノール−A−イミノカーボネート)、ポリオルトエステル、ポリグリコール酸トリメチルカーボネート、ポリトリメチルカーボネート、ポリイミノカーボネート、ポリ(N−ビニル)ピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエステルアミド、グリコラート化ポリエステル、ポリホスホエステル、ポリホスファゼン、ポリ[(p−カルボキシフェノキシ)プロパン]、ポリヒドロキシペンタン酸、ポリ無水酸、ポリエチレンオキシド−プロピレンオキシド、ポリウレタン、;ポリエチレンオキシド、ポリアルケンオキサレート、ポリオルトエステル、ならびにそのコポリマーなど;のポリエーテル・エステル、カラギーナン、コラーゲン、ポリヒドロキシアルカノアート、ペクチン酸、アクチン酸、カルボキシメチル硫酸塩、コラーゲン、コラーゲン−N−ヒドロキシスクシンイミド、ポリアクリル酸、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリエーテルアミド、ポリエチレンアミン、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリカルボウレタン、ポリビニルケトン、ポリビニルハライド、ポリビニリデンハライド、ポリビニルエーテル、ポリビニル芳香族化合物、ポリビニルエステル、ポリビニルピロリドン、ポリオキシメチレン、ポリブチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリオレフィンエラストマー、ポリイソブチレン、EPDMゴム、フルオロシリコーン、カルボキシメチルキトサン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ吉草酸塩、エチル・ビニル・アセテート・コポリマー、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、エポキシ樹脂、ABS樹脂、ポリシロキサンなどのシリコーン、ポリビニルハロゲン、および、上記ポリマーのコポリマーおよび/または混合物ならびに上記ポリマーのラミネートおよび多層システムからなる群から選択されうる。
【0100】
ポリプロピレンで作られたプラスチック製品は、121℃でまたはそれを超えてプラスチック製品がオートクレーブされ減菌されうるという、ポリエチレンで作られたプラスチック製品に優る大きな利点を有する。これは、全ての病原菌(germ)が殺されることを保証することが必須である医療部門において特に重要である。ポリプロピレンを処理するために必要な温度が高いために、プラスチック製品は、単一のプラスチック製品が互いに接続される連続したプラスチック帯状体からプラスチック製品を切出すことが可能になる前に、長い距離および/または長い時間にわたってクールダウンされる必要がある。さらに、PPは、PEよりずっと硬質であり、機械的切断または打抜きは、当然、さらに一層鋭利なバリおよび/または切断エッジをもたらす。
【0101】
本発明の方法によって、処理直後に高い処理温度でプラスチック、特にPPを切断することが可能である。プラスチックがクールダウンするのを待つ必要もなく、輸送中にプラスチック製品を、切断することが可能である温度まで下がるようにプラスチック製品を冷却するために、長い搬送器帯状体を設置することも必要とされない。その結果、高いヤング係数を有し、したがって、機械的に切断されるまたは打抜かれると、鋭利なバリおよび/またはエッジを形成する傾向があるプラスチックを切断することも好ましい。特に好ましいのは、160℃と170℃との間の融解範囲および約1520N/mm2のヤング係数で定常的に指定されるポリプロピレンである。そのため、160℃を超える、より好ましくは180℃を超える、さらに好ましくは200℃を超える、特に好ましくは220℃を超える融解範囲を有するプラスチックが好ましく、変形することなく、121℃でまたはそれを超えて規定に従ってオートクレーブされうる。さらに、100℃を超える、より好ましくは110℃を超える動作温度を有する、かつ/または、1500N/mm2を超える、より好ましくは1700N/mm2を超える、さらに好ましくは1900N/mm2を超えるヤング係数を有するプラスチックが好ましい。本発明の装置によって切断されうる特に好ましいプラスチックは、ポリプロピレンおよびポリプロピレンの範囲内の融解範囲、引張り強度、ねじり剛性率、または硬質性/剛性を特徴とする任意の他のプラスチックであり、「範囲内」は、ポリプロピレンの対応する値の±10%、すなわち、ポリプロピレンの−10%〜+10%の値として規定される。
【0102】
本発明の方法は、連続したプラスチックの帯状体で提供されるプラスチック製品を切断するためにレーザを使用する。熱いプラスチック製品用の冷却ラインは必要でない。その理由は、熱い材料またはクールダウンのプロセスにおける熱い材料をそれぞれ、安全かつ正確に切断できるからである。これは、プラスチック製品が成形ロールを出る直後かまたはその少し後(そのとき、プラスチック製品が既に硬化し始めている)に高温で医療部門用のプラスチック製品を切断するときに、特に有利である。さらに、プラスチックコンポーネント間の狭い接続部を完全にまたは部分的に穿孔すること、または、プラスチック製品を互いから分離することを容易にする所定の破断点を誘起することが可能である。これは、プラスチック製品が、クールダウンした後に著しく頑強になり、任意のさらなる機械的補助器具、たとえばハサミなしで、手作業でプラスチック製品を分離することを難しくするポリプロピレンで作られるときに、特に有利である。
【0103】
本明細書で使用される用語「切断」または「レーザ切断」は、レーザビームによって、プラスチック材料、好ましくはポリプロピレンおよび同様なポリマーまたはポリエチレンを通して切断するものとして理解されるものとし、これはまた、切断点における材料が、完全に切断されるのではなく、厚さが減少するだけである、すなわち、材料の結合が依然として存在するが、少しの力で機械的に分離されうるという意味で、穿孔すること、すなわち、切断部分と未切断部分を交互に配置すること、ならびに、部分的に切断することまたは所定部分を薄化することを含む。そのため、用語「切断」または「レーザ切断」は、切断パターン全体に沿ってまたは切断パターンの特定の点だけでプラスチック材料を完全に切断すること、ならびに、切断パターン全体に沿ってまたは切断パターンの特定の点だけでプラスチック材料を穿孔する、すなわち、完全に切断した部分が未切断部分と交互に存在することを述べる。好ましくは、用語「切断」または「カット(cut)」または「レーザカット(laser cut)」は、連続したベルトの1つのセグメントで切断が行われるものとして理解される。1つのセグメントで切断が行われた後、引き続くセグメントにおける次の切断が実施される。そのため、各切断は、1つのセグメントに関連し、各セグメントは、「カット」または「レーザカット」と名付けられた新しい切断プロセスを開始する。
【0104】
用語「切断パターン(cutting pattern)」は、1つの検出ステップ/作業サイクルにおいて光学取得ユニットによって取得される、切断される全ての部分の全体として理解される。切断パターンは、相互接続されたプラスチック製品の連続した帯状体のセグメントに配置されうる。そのため、用語「切断パターン」は、1つのセグメント内の単一のカットラインの全体を指す。そのため、相互接続されたプラスチック製品の連続した帯状体またはベルトにおいてプラスチック製品を切断することが意図される場合、光学取得ユニットは、本発明の装置に給送され、その後、切断パターンに従って切断される相互接続されたプラスチック製品の連続した帯状体またはベルトの一部(セグメント)を徐々に取得する。切断パターンは、光学取得ユニットを通して取得されたプラスチック製品を含み、プラスチック製品は、通常、3次元であり、平面レベルの上また下にあり、連続した帯状体または連続したベルトを通して規定され、切断モードに関するユーザが規定可能な、したがって、予め規定されたさらなる情報を含みうる。光学取得ユニットは、たとえば切断が実施される場所を検出しうる。切断するモード(完全に、部分的に、穿孔することなど)は、ユーザによって予め決められうる。別法としてまたは付加的に、光学取得ユニットは、切断がどこで行われるかという情報を与えるだけでなく、切断するモードもまた情報として含まれうるそれぞれのマーキングを検出しうる。当然、上記の組合せが可能であり、したがって、予め規定されたパターンの組合せおよび切断モードおよび/または切断パターンの自動検出が可能である。連続した帯状体または連続したベルトの代わりに、連続した帯状体の単一ユニットまたは所定の部分だけ、すなわち孤立したセグメントが、光学取得ユニットによって検出されることも可能である。
【0105】
切断パターンおよび最終的には切断モードは、各セグメントについて、光学取得ユニットによって新しく決定され、したがって、種々の切断パターンおよび切断モードをランダムな順序で扱うことが可能である。これは、機械的切断および/または打抜きプロセスに優る明白な利点である。機械的打抜きまたは機械的切断ツールは、規定された切断パターンまたは規定された切断モードについて決定され、異なる切断パターンおよび切断モードを有する交互のセグメントにおける変化に適合できない。レーザ切断装置は、機械的切断または打抜きツールで達成することが不可能である、異なる切断モードを有する最大10個の異なる切断パターンを扱うことができる。たとえ異なる打抜きまたは切断ツールが使用されても、扱うことができる制限された数のパターンだけが依然として存在する。本発明の装置は、厳密な切断パターンに独立であり、すなわち、特定のパターンに制限されるのではなく、任意の切断パターンを検出し扱うことができる。
【0106】
切断パターンは、光学取得ユニットによって検出される、適したマーキングを通して決定される。これは、色付きマーキング、空間的マーキング、ならびに放射性マーキングを含みうる。
【0107】
色付きマーキングは、たとえば可視範囲、赤外線範囲、またはUV範囲の色付きマーキングを含み、プラスチックに組込まれるまたは付着されることができる。これはまた、プラスチックに組込まれるまたは付着されることができ、薄いフィラメント、ワイヤ、または微粒子などのプラスチック材料から識別可能である他の材料に拡張される。一方、空間的マーキングは、プラスチック材料内の突起、窪み、または穴として実現されうる。放射能マーカは、プラスチック材料に組込まれるまたは付着される放射性物質であり、プラスチック製品内の放射性標識された物質または溶液がマーカとして役立つことができる。
【0108】
データ処理ユニットは、切断パターンのどの部分が、レーザによって完全に切断されるか、単に穿孔されるか、薄化されるか、かつ/または、処理されないかを判定する。そのため、どの切断モードが、ユーザあるいは切断パターンまたはセグメント内のマーキングによってそれぞれ予め規定されたかに応じて、全て光学取得ユニットの検出されるおよび/または所定の切断パターンの範囲内で、レーザは、特定の部分を完全に切断する、特定の部分を穿孔する、材料の厚さを特定の程度まで減少させる、かつ/または、特定の部分を無視することが可能である。レーザは、データ処理ユニットの制御下にあり、光学取得ユニットによって検出される切断パターンおよび予め規定された切断モードに従って誘導される。
【0109】
プラスチック製品の正確な切断のためのレーザビームの使用は、連続したプラスチック帯状体で提供される相互接続されたプラスチック製品の位置データを確定する光学取得ユニットに依存する。位置データは、光学取得ユニットによって検出される、形態、サイズ、形状、幾何学的形態、レーザマーキング、影投影、色認識、明るい/暗いゾーン、または反射に関する情報を含みうる。
【0110】
好ましい実施形態では、光学取得ユニットはカメラを備える。別の好ましい実施形態では、レーザスキャナは、連続したプラスチック帯状体で提供される相互接続されたプラスチック製品を測定することによって位置データを確定する検出器と共に使用される。レーザは、プラスチック製品の完全な表面プロファイルを描くためにミラーシステムによって方向転換されうる。
【0111】
位置データは、データ処理ユニット、たとえばプログラム可能マイクロプロセッサに送信され、そこでさらに処理される。用語「処理される(processed)」は、確定された実際の位置データが、データ処理ユニットに記憶された位置データと比較される方法において理解される。位置データのそれぞれの組合せについて、切断パターンは、データ処理ユニットに記憶され、レーザを制御するためにレーザ制御システムに送信される。
【0112】
これは、光学取得ユニットがプラスチック製品のそれぞれの実際の状態を検出するため、ベルトで供給されるプラスチック製品の厳密な寸法精度が必要とされないという利点を有する。特にプラスチック製品の製造業者の場合、通常、高温が使用される。結果として得られるプラスチックの温度に依存する膨張および/または収縮は、たとえば機械的打抜きだけを一定の低温において可能にした。本発明の方法の使用は、この問題をなくし、プラスチック製品が、異なりかつ変化する温度で正確に切断されうる。さらに、種々の異なるプラスチック製品を切断するときに、装置の複雑な変換が必要でないことになる。その理由は、位置データについて、切断パターンだけが変更されなければならないからである。
【0113】
別の好ましい実施形態では、位置データは、記憶された位置データと比較されないが、データ処理ユニットは、取得された位置データからそれぞれの切断パターンを計算し、レーザを制御するために、計算された切断パターンをレーザ制御システムに送信する。
【0114】
さらなる好ましい実施形態では、位置データならびに切断パターンは、記憶され、それぞれの実際のデータによって補正され、レーザを制御するためにレーザ制御システムに送信される適合した切断パターンをもたらす。
【0115】
レーザ制御システムは、好ましくは、制御可能な集光系光学部品、制御可能な偏向手段、およびビーム形成手段からなる。この文脈では、用語「制御可能な(controllable)」は、集光系光学部品および偏向手段が、データ処理ユニットによって計算された切断パターンによって制御されうること、またさらに、データが適した形式で送信されることであると理解される。ビーム形成手段は、レーザビームをコリメートし、よりよい集光のためにビームの発散を低減する。確定された位置データに従って、少なくとも1つのレーザの焦点の位置および強度が、制御可能な集光系光学部品および制御可能な偏向手段によって制御される。2つ以上のレーザが使用される場合、好ましくは、各レーザは、別のレーザ制御システムによって制御される。
【0116】
ある実施形態では、レーザ制御システムは、レーザビームをコリメートするビーム形成手段、よりよい集光のためにビームの発散を低減するテレスコピックレンズシステム、所定の切断パターンに従って、相互接続されたプラスチック製品の周りに2次元または3次元でレーザビームを誘導するミラー偏向システム、レーザビームの移動中にプラスチック材料が蒸発するようにレーザビームを集光する集光系光学部品、およびミラー移動時の切断パターンのためにデータを変換するソフトウェア制御式エレクトロニクスを備える。
【0117】
好ましい実施形態では、制御可能な偏向手段は、ミラーによってレーザビームの方向を偏向させるガルバノメータスキャナである。より好ましい実施形態では、ガルバノメータスキャナは、2つ以上のミラーにわたってレーザビームを偏向させる。プラスチック製品の幾何学的特性に応じて、1つまたは複数の制御可能な偏向手段が使用されうる。好ましい実施形態では、プラスチック製品とレーザ光学部品との間で、相対的移動は全く起こらない。すなわち、レーザ光学部品は、固定でかつ不動であり、レーザビームは、制御可能な偏向手段によって制御されるだけである。
【0118】
別の実施形態では、レーザビームは、制御可能な偏向手段によって偏向されるのではなく、レーザ光学部品またはレーザ光学部品の一部が、切断プロセスを実施するためにプラスチック製品に対して移動する。用語、レーザ光学部品は、レーザビームを形成する、集光する、制御する、または増幅するために必要な全てのコンポーネントを備える。たとえば、レンズおよびミラーシステムだけが、レンズだけが、ミラーシステムだけが、またはレーザ光学部品全体が、プラスチック製品に対して移動しうる。
【0119】
特に好ましい実施形態では、レーザビームは、可動の制御可能な偏向手段によって制御される。この文脈における用語、可動の、は、制御可能な偏向手段がx軸、y軸、およびz軸に移動できることを意味する。これは、レーザビームもまた、アクセスするのが難しいエリアに達し、そのエリアを切断できることを保証する。
【0120】
さらなる利点は、制御可能な偏向手段がまた、同時にアンプルにラベル付けするために使用されることができ、したがって、切断およびラベル付けが、1つの作業プロセスで行われることである。
【0121】
集光系光学部品は、好ましくは、レンズまたはミラー、より好ましくは凸レンズまたは集光凹状ミラーである。凹状ミラーは、特別な光学材料を使用する必要なしで、各レーザ波長が同じ点に集光されうるというさらなる利点を提供する。
【0122】
一実施形態では、装置は、連続した帯状体で提供される相互接続されたプラスチック製品用の搬送ユニットを備える。この搬送ユニットは、好ましくは、レーザおよび光学取得ユニットの下に、連続した帯状体で提供される相互接続されたプラスチック製品を引張る送込み装置を備える。これは、連続した帯状体で提供されるプラスチック製品の高いスループットおよび完全な自動切断を可能にする。さらに、連続した帯状体の不完全にまたは不良に切断されたセグメントは、切断を終了するために、レーザ切断プロセス内に再び導入されうる。再導入されるセグメントは、切断プロセスに再導入される前に、さらにクールダウンされるか、または室温までクールダウンされた。しかし、本発明の方法は、元々の不正確なまたは不良のレーザカットが実施された温度と比較して全く異なる温度においてさえも、これらのセグメント内の不正確なまたは不良のレーザカットを終了することができる。欠陥品は、光学取得およびデータ処理ユニットによって新しく検出され、また、全部の装置を欠陥品の新しい温度に調整する必要なしで、また、元々のレーザカットが実施された温度まで欠陥品を温める必要なしで、レーザカットが繰り返される。
【0123】
他の実施形態では、搬送ユニットは、相互接続されたプラスチック製品がその上を輸送されるコンベアベルトである。
プラスチック製品、たとえばアンプル、バッグ、または他のキャビティのレーザ分離の有意な利点の1つは、機械的分離後に鋭利な突起と対照的に溶融エッジを生成することである。これは、医療部門で使用するためのプラスチック製品を切断するときに特に重要である。その理由は、こうしたアンプルを使用するときに、鋭利な突起が、減菌手袋に損傷をもたらす場合がある、または、さらに医師または病院の職員の手を損傷する場合があるからである。機械的に切断されたプラスチック製品は、切断ブレードがカットラインを残す側で鋭利な突起が発生することによって、鋭利な突起を常に有する。
【0124】
ガスを処理するためのノズルを通した固定されたビームおよび集光による従来のレーザ切断はまた、エッジ上にバリをもたらす場合がある。可動ビーム、たとえばガルバノスキャナを用いてアンプルを切断することがよりよい。その理由は、エッジが接合部で溶融するように、レーザパラメータとテレスコープおよびレンズなどのビーム形成要素とスキャナの動きを微細調整することによって、この方法が、より正確に実施されうるからである。これを達成するために、本発明で設けられるセンサおよび制御システムが必要とされる。
【0125】
しかし、たとえこの種の分離によっても、切断されたプラスチック製品、たとえばアンプルが、溶融エッジを切り離せない可能性がある。これは、ほとんど知覚できない鋭利な突起がアンプルを占有する場合である。アンプルが最終的に分離されるときに、鋭利な突起が依然として残る。こうした鋭利な突起は、レーザのわずかなパワーの変動またはビーム方向のほとんど検出できない変動の結果でありうる。
【0126】
アンプルが、非常に狭い接続部を有するアンプルのパック内に設けられるため、レーザカットの品質は、通常、非常に複雑な画像認識システムおよび特別なカメラを用いて評価されうるだけである。こうしたシステムは、製造プロセス全体を遅延化し、本質的に費用がかかり、故障を受け易く、既存のシステムに容易に一体化されることができない。
【0127】
本発明の別の実施形態では、レーザ切断装置は、任意選択で、切断されたプラスチック製品を押出すための、一体化圧力センサを有する品質管理装置を備える。連続したプラスチック帯状体で提供される相互接続されたプラスチック製品は、好ましくは、残留材料、すなわちフレームワークからレーザによって完全に分離されず、その結果、切断されたプラスチック製品は、最終的な分離が行われるまで、周囲材料内にある状態で輸送されうる。レーザ切断中に、プラスチック製品と周囲残留材料との間に精確に規定された狭い接続部が残される。最終分離ステップの場合、プラスチック製品は、一体化圧力センサを有する品質管理装置の下に輸送される。アンプルパックの形態を有するスタンプ、あるいは、単一プラスチック製品または連続したプラスチック帯状体のセクションの予め規定された場所に当たる一体の数のピンを有するスタンプ、すなわち適合したスタンプは、プラスチック製品、および特に、アンプルのトグル部分間の材料、すなわち隣のアンプルの首部領域間の材料を、残留周囲材料から押出す。周囲材料および/またはトグル領域間の材料からアンプルを押出すのに必要な圧力または力が、予め規定された第1の調整可能な値を超える場合、これは、プラスチック製品が、十分に分離されず、周囲材料に依然として接続されている、すなわち、ベルトにまたは互いに依然として接続されているという指示である。
【0128】
プラスチック製品を分離するために、プラスチック製品あるいはプラスチック製品のユニットまたはバンドルに実際に当たるスタンプの代わりに、1つまたは複数のノズルによって生成される空気ブローなどのガスブローまたは複数のガスブローが、プラスチック製品あるいはプラスチック製品のユニットまたはバンドルにある種のガスブロー圧を加えるために使用されうる。それにより、単一ガスブローが、規定された圧力を持つように生成され、その規定された圧力は、1つまたは複数のガスブローが、単一プラスチック製品あるいはプラスチック製品のユニットまたはバンドルを分離するのに十分であったかどうかを判定することによってレーザカットの品質をやはり示す。ガスの代わりに、当業者は、同じ目的で、水などの液体を使用することができる。
【0129】
そのため、一体化圧力センサを有する品質管理装置は、連続した帯状体の周囲残留材料から、レーザ切断されたプラスチック製品を押出すことを対象とし、それにより、依然として互いに付着しているが、好ましくは切断装置で使用されたレーザによって既に穿孔されている単一プラスチック製品またはプラスチック製品のユニットが生成され、その結果、鋭利な突起を形成することなく、分離が容易に行われうる。これは、通常、アンプルまたはアンプルパックの形態を有する適合した型を用いて実施される。さらに、トグル部分間の残留材料、すなわち2つの隣接するアンプルの首部領域間のエリアを押出す狭いスタンプが含まれうる。予め規定された第1の調整可能な値を超える場合、レーザ切断は十分でなく、プラスチック製品は別々に収集される。これは、不十分に切断されたプラスチック製品が正しく切断されたプラスチック製品から別々に収集され、その後、後で再び処置され、したがって、破棄物として失われないという利点を有する。そのため、一実施形態では、一体化圧力センサを有する品質管理装置は、アンプルの形態に適合した型からなり、その型は、周囲残留材料からプラスチック製品を精確に押出す。
【0130】
さらに、一体化圧力センサを有する品質管理装置は、周囲残留材料からプラスチック製品を押出すのに必要である抵抗および/または力を測定することによって、レーザカットの品質、すなわち意図される分離の品質を制御しうる。アンプルの周囲材料および/またはトグル部分、すなわち隣のアンプルの首部領域間の材料からアンプルを押出すのに必要な圧力/力は、鋭利なバリ形成が起こらないように、レーザカットが、実際にエッジにおいて材料をうまく融解したかどうかに関する直接的な情報を与える。
【0131】
レーザがたとえばポリプロピレンアンプルを切断するときに、以下のことがあてはまることを、本出願人が見出した。
・圧力センサが抵抗を全く登録しない場合、アンプルは、正しく分離され、エッジは、アンプルの周りで完全に溶融する。
【0132】
・周囲残留材料からアンプルを押出すために最大0.5Nの抵抗を圧力センサが登録する場合、無視できる突起だけが形成しており、アンプルの使用は安全である。
・周囲残留材料からアンプルを押出すために0.5Nを超える抵抗を圧力センサが登録する場合、かなりの鋭利な突起が形成されており、アンプルは、有害な可能性があり、分類除去される。
【0133】
そのため、アンプルの周囲材料および/またはトグル部分、すなわち隣のアンプルの首部領域間の材料から、バッグ、ボトル、シリンダ、アンプル、または他のキャビティなどのプラスチック製品を押出すのに必要な要求圧力が、第2の閾値を超えるが、依然として第1の閾値より低い場合、これは、レーザカットが不満足であり、かつ、プラスチック製品にける鋭利な突起またはバリのおそらくは有害な形成が起こったという指示を与える。
【0134】
さらなる実施形態では、品質管理は、トグル部分間の材料、すなわち2つの隣接するアンプルの首部領域間のエリアで実施される。
そのため、周囲残留材料からプラスチック製品を押出すために必要とされる力は、プラスチック製品が、正しく切断されたかどうか、すなわち、周囲材料からプイラスチック製品が押出されうるか否かに関する情報を提供する。さらに、要求される力は、突起が安全であるかどうか、すなわち、おそらく有害である場合がある鋭利な突起が形成されたかどうかを示す。
【0135】
一体化圧力センサを有する品質管理装置を述べたが、圧力/力についての正確な第1および第2の値または閾値は、切断されるプラスチックの種類、材料の厚さ、切断が実施される温度、レーザの出力パワー、および/またはプラスチック製品の幾何学的形状またはサイズなどに依存することが当業者に明らかである。連続した帯状体のプラスチック製品についてどの圧力または力閾値が示されるかを、最低限の実験を通して決定することは当業者の範囲内にある。そのため、所与のプラスチック製品について、申し分のないカット、または、レーザの調整が実施されるような許容されないカットを示す正しい圧力範囲を見出すことは複雑でもなく、またさらに創造的でもない。
【0136】
別の実施形態では、一体化圧力センサを有する品質管理装置は、アンプル、アンプルパック、および/またはトグル領域などのプラスチック製品、すなわちアンプルの首部領域間の材料に過小圧力を加えることによって、レーザカットの品質を判定する。アクションモードは、上述した実施形態と同様である。しかし、周囲残留材料から、アンプル、アンプルパック、および/またはトグル領域を分離するのに必要とされる力は測定されない。代わりに、一体化圧力センサを有する品質管理装置は、一定の負圧などの一定の過小圧を加えるのに必要とされる力を測定する。
【0137】
上から、単一プラスチック製品あるいはプラスチック製品のパックまたはバンドルの上側に圧力または力が加えられる間に、下から、単一プラスチック製品あるいはプラスチック製品のパックまたはバンドルに過小圧力または負圧が加えられて、連続したプラスチック帯状体から、また、他の単一プラスチック製品あるいはプラスチック製品の他のパックまたはバンドルから、単一プラスチック製品あるいはプラスチック製品のパックまたはバンドルが分離される。
【0138】
本発明の第3の実施形態では、一体化圧力センサを有する品質管理装置は、レーザカットの品質を評価するために決定されうる引張り力を加える。こうした引張り力は、単一プラスチック製品あるいはプラスチック製品のパックまたはバンドルを把持し、連続したプラスチック帯状体から、また、他の単一プラスチック製品あるいはプラスチック製品の他のパックまたはバンドルから、単一プラスチック製品あるいはプラスチック製品のパックまたはバンドルを分離する手段を通して加えられうる。単一プラスチック製品あるいはプラスチック製品のパックまたはバンドルを分離するのに必要とされる力は、測定されることができ、また同様に、レーザカットが申し分なかったかまたは不十分であったかを評価するための、レーザカットの品質のための指標である。
【0139】
その結果、本発明によれば、単一プラスチック製品あるいはプラスチック製品の単一パックまたは単一バンドルの分離が、圧力などの押す力によって行われるか、負圧などの引張り力または過小圧力によって行われるかは重要でない。
【0140】
さらなる実施形態では、装置は、レーザビームおよび制御可能な偏向手段の長期ドリフト効果を補償するシステムを備える。これは、コンポーネントの温度変化、湿度変化、振動に対する暴露、機械的応力、および経年変化によって起こる場合があり、レーザビームの精度に悪い影響を及ぼしうる。レーザビームの長期ドリフト効果を補償するシステムは、レーザの精度が常に最適であることを保証し、装置のメンテナンスによる生産損失を最小限まで減少させる。
【0141】
一実施形態では、切断パターンの外側に存在するが、依然として制御可能な偏向手段のミラーシステムの偏向範囲内にある材料表面上で選択的な加熱を登録するために、熱撮像カメラが使用される。選択的な加熱は、特定の期間の間に、この材料表面上に短時間のビームを向けることによってもたらされる。これらの短期間加熱は、たとえば、レーザおよび光学取得ユニットの下に、連続した帯状体で提供される相互接続された次のプラスチック製品を送込み装置が引張る間に実施されうる。熱撮像カメラは、受取り部側の位置を、予めプログラム設定された/設計された位置と比較する。収集されたデータは、その後、切断パターンを補正し調整するために、レーザ制御システムに送信される。この制御メカニズムは、それぞれの切断プロセス中にまたはその前に、あるいは、予め規定されたある間隔で起こりうる。熱撮像カメラはまた、加熱された材料表面の温度を同時に確定し、このデータから、プラスチック製品を切断するために使用されるレーザパワーを断定しうる。レーザパワーの減少は、その後、相応して調整されうる。
【0142】
別の実施形態では、切断パターンの外側に存在するが、依然として制御可能な偏向手段のミラーシステムの偏向範囲内にある帯状体は、プラスチック帯状体の内部または外部に沿って引張られ、それにより、レーザが、帯状体において点の形態である量の材料を取除く。カメラは、この点の位置を、プログラムされた参照点と比較し、任意の偏差が、上述したプロセスと同様に、レーザ制御システムに補正データとして送信される。
【0143】
連続したプラスチック帯状体で提供される医療部門で使用するための相互接続されたプラスチック製品は、好ましくはボトル、バッグ、または容器、またさらにより好ましくはアンプルである。さらに、透析液用のシリンジ、バイアル、中空ファイバ、または、粉末吸入器の一部などの、医療装置または医療装置の一部は、本発明に従って切断されうる。
【0144】
特に有利であるのは、共押出しブロー成形によって生産されるような多層プラスチック製品を切断するときの当該方法の使用である。これらの多層プラスチック製品は、異なるプラスチックのポジティブな特性を共に組合せ、また、通常、結合剤によって共に接続される2つのキャリア層間に配列されるバリア層を特徴とする。好ましくは、これらの多層プラスチック製品は、ガスに対して改善されたバリア特性が必要とされる用途で使用される。機械的切断法は、多層プラスチック製品の接合部に関して特に問題を有する。接合部において、バリア層は、本来それほど明らかでなく、バリア層が、これらのエリアにおいて機械的切断によって遮られるリスクの増加が存在する。本発明の方法は、多層プラスチック製品の個々の層が、レーザによる切断中に、接合部でかつエッジに沿って共に溶融するという利点を有する。その結果、接合部、エッジ、または継ぎ目のバリア特性が、完全なままになり、機械的切断法と比較して改善される。
【0145】
プラスチックによって提供されるかまたは囲まれるプラスチック製品を分離するプロセスは、消費者商品または産業部品などの他のプラスチック製品に関して、述べたレーザ制御システムを用いて原理上同様に適用され実施されうる。
【0146】
特に好ましい実施形態では、本発明の方法は、相互接続された、共に接合された、および/または共に連結(link)されたプラスチックアンプルを切断するのに特に有利である。これらのアンプルは、たとえばBFSプロセス(ブロー・フィル・シール・プロセス)によって充填されるが、同様に、空のアンプルが処理されうる。プラスチックアンプルが、BFSプロセス(ブロー・フィル・シール・プロセス)下で製造されるとき、アンプルは、連続した帯状体で、相互接続された、共に接合された、および/または共に連結されたアンプルの列として充填機械から出る。この連続した帯状体において、相互接続された、共に接合された、および/または共に連結されたアンプルの1つの列は、アンプルの次の列によって追従され、全ての列が、連続した帯状体内に埋め込まれ、残留プラスチック材料によって囲まれる。連続したプラスチック帯状体内でできる限り多くのアンプルを生産するために、アンプルは、非常に接近して配列され、したがって、アンプルの分離は非常に難しい。これは、アンプルの首部のトグル部分について特に当てはまる。アンプルの首部のトグル部分は、機械的打抜き中にクリティカルなエリアである。その理由は、精確に切出されなければならない非常に小さなエリアだけが存在し、しばしば、部分的な分離だけが達成されうるからである。そのため、アンプルのトグル部分間の分離が不完全であるため、単一アンプルを開口するかまたは分離するときに、隣のアンプルが誤って開口されるという一定のリスクが存在する。本発明の方法は、アンプルの開口を損傷するリスクなしで、アンプルのこの部分を安全に分離しうる。
【0147】
医療分野のアンプルは、通常、パックとして提供される。すなわち、一定の数の相互接続されたアンプルが、連続した帯状体から機械的に打抜かれる。しかし、特に、ポリプロピレンで作られたアンプルは、機械的に切出されるとき、または、1つのアンプルがアンプルパックから手作業で分離されるとき、鋭利な突起を生じる傾向がある。
【0148】
機械的打抜きと対照的に、本発明の装置による切断は、以下の利点を有する。プラスチックアンプルは、クールダウンすることを必要とされず、高温で切断されうる。高温でアンプルを製造するとき、および、クールダウンするときのアンプルの収縮プロセス時に特有でありかつ回避できないアンプルのサイズの差は、装置によって検出され、レーザビームは、相応して調整される。さらに、レーザによって切断するときに、鋭利な突起の形成および/またはバリ形成が、回避され、アンプルは、プラスチック製品間にまたはプラスチック製品内に穿孔または破断点を持つようにレーザによって提供されることができ、プラスチック製品を互いから分離するのを容易にする。
【0149】
好ましい実施形態では、プラスチック製品またはプラスチック製品のパックは、30℃〜155℃のプラスチック製品またはプラスチック製品のパックの温度で切断される。
さらなる実施形態では、上記の方法は、さらに、
e)切断済みプラスチック製品または切断済みプラスチック製品のパックを押出すのに必要とされる力を測定する、一体化圧力センサを有する品質管理装置によって品質試験を実施するステップ
e’)切断済みプラスチック製品または切断済みプラスチック製品のパックを分離するのに必要とされる過小圧力を測定する、一体化圧力センサを有する品質管理装置によって品質試験を実施するステップ
e”)切断済みプラスチック製品または切断済みプラスチック製品のパックを分離するのに必要とされる引張り力を測定する、一体化圧力センサを有する品質管理装置によって品質試験を実施するステップ
のうちの1つのステップを含みうる。
【0150】
こうして、一体化圧力センサによって、周囲残留材料からプラスチック製品を分離するのに必要とされる力、過小圧力、引張り力、または任意の他のこうした力が測定される。ある値(たとえば、値A)未満の圧力、力、または過小圧力(負圧など)は、鋭利な突起なしでの適切でかつ申し分のないカットを示し、一方、ある値(たとえば、値B)を超える圧力、力、または過小圧力は、不適切でかつ不良のカットを示し、その結果、プラスチック製品は、分離されることができない、容易に分離されることができない、または、鋭利な突起を形成することなしで分離されることができない。値Aと値Bとの間の圧力、力、または過小圧力は、不十分なカットを示し、プラスチック製品が、依然として分離されうるが、鋭利な突起を持つ可能性がある。プラスチック製品、使用されるプラスチックの種類、および医療におけるプラスチック製品の使用に応じて、値Aと値Bとの間の範囲内で得られる切断済みプラスチック製品は、適切な医療製品として販売される可能性がある、または、修正できない欠陥品として廃棄される可能性がある。さらに、プラスチック製品、使用されるプラスチックの種類、および医療におけるプラスチック製品の使用に応じて、値Aは、値Bと同一かまたはほぼ同一でありうる。
【0151】
好ましい実施形態では、周囲材料からプラスチック製品を分離する力が、第1の予め規定された調整可能な値に達すると、これは、プラスチック製品が、依然としてベルトに接続され、うまく分離されていない、すなわち、力が不十分であったことを示す。これはまた、この第1の閾値または第1の値に達すると、プラスチック製品を分離するためにさらなる力が加えられないことを示唆する。これは重要である。その理由は、プラスチック製品が、周囲残留材料に依然としてしっかり接続される場合、無制限の力を加えることは、たとえば(熱い)ベルトを異常に引張ることによって、ベルトおよび後続のプラスチック製品に損傷をもたらしうる。
【0152】
さらに、第1の値より低いまたはそれ未満の第2の値/閾値を予め規定することが可能である。周囲残留材料からプラスチック製品を分離するのに必要とされる力が、この第2の値を超えるが、依然として第1の値より低い場合、プラスチック製品は、うまく分離されるが、これは、鋭利な突起またはバリの不満足でかつおそらくは有害な形成についての指標である。必要とされる力が、この第2の値/閾値より低く留まる場合、レーザカットの品質は、満足できるものであり、鋭利な突起および/またはバリのリスクは全く存在しない。
【0153】
上述したように、圧力/力についての正確な第1および第2の値又は閾値は、切断されるプラスチックの種類、材料の厚さ、切断が実施される温度、レーザについての出力パワー、および/またはプラスチック製品の幾何学的形状またはサイズなどのような因子に依存することが当業者に明らかである。連続した帯状体のプラスチック製品についてどの圧力または力閾値が示されるかを、最低限の実験を通して決定することは当業者の範囲内にある。そのため、所与のプラスチック製品について、申し分のないカット、または、レーザの調整が実施される必要のある許容されないカットを示す正しい圧力範囲を見出すことは複雑でもなく、またさらに創造的でもない。
【0154】
好ましい実施形態では、アンプルベルト(1)は、少なくとも1つの制御可能な偏向手段(5)および光学取得ユニット(5a)の下に送込み装置(2)によって引張られ配置される。光学取得ユニット(5a)は、少なくとも1つのアンプルストリップ(II)の位置データをあるセグメントにおいて取得し、データ処理ユニットは、少なくとも1つのアンプルストリップ(II)から、アンプル(III)を、個々にまたはいくつかのアンプルのパックで切断するための切断パターンを位置データから計算する。アンプルストリップ(II)は、アンプルベルト(1)のセグメントとして名付けられうる。このセグメントまたはアンプルストリップ(II)は、切断装置に給送されるときに、67.5℃の温度を有する。レーザカットが開始すると、セグメントまたはアンプルストリップ(II)の温度は、67.1℃である。少なくとも1つの集光されたレーザビーム(IV)は、レーザビームが、アンプルの間および/またはアンプルの周りの材料の蒸発を通してアンプル(III)を分離するのに適するように、ビーム形成手段(4)によって修正される。制御可能な偏向手段(5)および制御可能な集光系光学部品(5b)は、データ処理ユニットによって計算された切断パターンに従って、少なくとも1つの集光されたレーザビームを制御して、アンプルを個々にまたはいくつかのアンプルのパックで切断する。切断プロセス後に、アンプルベルト(1)は、送込み装置(2)によってさらに引張られ、次のアンプルストリップ(II)が、制御可能な偏向手段(5)および光学取得ユニット(5a)の下に配置される。切断済みアンプル(III)は、依然としてアンプルベルト(1)上に位置し、ここで、一体化圧力センサ(7)およびストリップ(8)を分離するためのナイフを有する品質管理装置の下に配置される。一体化圧力センサ(7)およびストリップを分離するためのナイフ(8)を有する品質管理装置がトリガーされ、トグル部分間の分離された材料が、別個の容器(14)内に収集される。アンプル(III)は、ここで、アンプルベルト(1)から完全に分離され、さらなる処理のために、スライド上を直立位置で外部輸送ルート(9)に輸送される。ナイフ(8)は、ストリップの残留材料(10)をベルトから分離し、残留材料を容器(15)内に収集する。一体化圧力センサ(7)を有する品質管理装置は、ベルトからアンプル(III)を押出すように動作されると、同時に、必要とされる圧力を測定する。1つまたは複数のアンプルが、予定された通りに分離されない場合、ベルトからアンプル(III)を押出すための必要とされる圧力が、予め調整可能な閾値を超え、それにより、フラップ(11)が開口し、残留材料が充填済みアンプル(12)と共に容器(16)内に落ちる。レーザ切断装置が、完全にフォールアウトする場合、2つのフラップ(13)が動作され、送込み装置(2)は、後で切断するために、装置から残留アンプルベルト(1)を未切断のまま輸送する。一体化圧力センサ(7)を有する品質管理装置が、セグメントまたはアンプルストリップ(II)の不十分なまたは不正確なまたは不良のレーザカットを検出する場合、連続した帯状体であるアンプルベルト(1)から分離されるときの、このセグメントまたはアンプルストリップ(II)は、レーザ切断プロセスに再導入され、切断装置に再び給送される。この分離されたセグメントまたは分離されたアンプルストリップ(II)を再び給送するときに、このセグメントまたはアンプルストリップ(II)は、その間に48℃までクールダウンし、収縮している。しかし、再給送されるセグメントまたはアンプルストリップ(II)のサイズおよび幾何学的形状の変化は、第2のレーザカットに影響を及ぼさない。切断パターンは、光学取得ユニット(5a)によって新しく検出され、レーザカットが再び実施され、ここで、適切にかつ正確に切断されたセグメントまたはアンプルストリップ(II)がもたらされる。適切にかつ正確に切断されたセグメントまたはアンプルストリップ(II)は、その後、不正確なまたは不良のカットを検出することなく、一体化圧力センサ(7)を有する品質管理装置を通して通常通りに処理される。
【0155】
別の実施形態では、本発明の装置は、フレームワークからおよび/または互いの中から容器製品を分離し、また、少なくとも1つのレーザ制御システムをともなう少なくとも1つのレーザ、および、画像認識および画像処理用の少なくとも1つのオプトエレクトロニックシステムであって、該オプトエレクトロニックシステムは、フレームワークからおよび/または互いの中の容器製品の位置を確定し、これらのデータを少なくとも1つのレーザ制御システムに送信し、それにより、容器製品がフレームワークからおよび/または互いの中から分離されるように、少なくとも1つのレーザおよび/またはレーザビームが制御される。この用途における他の述べられる本発明の実施形態および例は、有利にはこの実施形態に適用される。
【0156】
以下の例は、本発明の好ましい実施形態を述べ、本発明をいずれの点でも制限するものと理解されない。当業者にとって自然または明白である本発明の任意の代替形態および/または実施形態は、本発明によって規定され、特許請求の範囲によってカバーされると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0157】
【図1】図A:相互接続されたプラスチックアンプル(3つのアンプルストリップだけが示される)を有するベルトまたは連続したベルトの平面図である。 図B:「図A」の側面図(左側)である。示されているのは、アンプルストリップのアンプル底部である。破線は、レーザビームのスナップショットを概略的に示す。
【0158】
図C:「図A」の側面図(正面から見た方向)である。示されているのは、ベルト内の3つのアンプルストリップである。
各ストリップは、20個のアンプルを含み、アンプルは、それぞれ周囲材料の残りに相互接続されると共に、側面に隣接するアンプルおよびトグル領域を有する。レーザは、20個のアンプルを含むアンプルストリップからそれぞれ5個のアンプルを有する4個のアンプルパックを切断する。これは、アンプルストリップ内の最も外側の2つのアンプルが、いくつかの狭い接続部を介して周囲材料に依然として接続されるが、アンプルパック間の接続が、すなわち5個のアンプルごとの後の接続が、互いから完全に分離されることを意味する。アンプルパック内のアンプル間の接続部は、穿孔され、アンプルパックからアンプルを手作業で分離することを容易にする。アンプルのトグル領域間の材料は、完全に切出され、アンプルの上側エッジが、いくつかの狭い接続部を除いて材料の残りから分離される。このステップにおいて、次のアンプルストリップのアンプルの底部は、やはり少数の狭い接続部を除いて周囲材料から分離される。この背後にある理由は、レーザビームが同じ作業ステップにおいてアンプル底部に達することができないというアンプルの幾何学的形状にある。その結果、アンプル底部は、前の作業ステップで分離される。目下の作業ステップにおいて、アンプルパックの残りの側が、切断され、次のアンプルの底部が切断される。
【図2】相互接続されたプラスチックアンプルを切断するための実施形態の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0159】
実施例1
連続した帯状体で提供される相互接続されたプラスチックアンプルを切断するための方法
カメラは、連続したプラスチックの帯状体で提供される相互接続されたプラスチックアンプルについて位置データを取得する。位置データは、データ処理ユニットによって、レーザビーム用の切断パターンに変換される。レーザビームによってアンプルを分離するための正確な経路は、レーザビーム制御システムに変換済みコマンドの形態で送信されるアンプルのCADグラフィックの変換によって得られる。ビーム特性を改善するためのレンズシステムからなるビーム形成システム(4)は、ビームが、蒸発によるアンプル分離に適し、また同様に、いくつかのビームに分割されるようにレーザビーム(6)を修正する。それぞれ200Wの出力パワーを有する全部で4つのCO2レーザが使用される。レーザビームの集光特性を改善するために、レーザビームの径が、幅広化され、後続のミラー偏向器に対して調整される。ミラー偏向器は、必要な偏向範囲にわたって偏向した後、ビームが集光系光学部品の開口内で自由に移動できるような寸法に作られる。この実施例では、4つのミラー偏向システムおよび集光系光学部品が、互いに隣接して固定して使用される。レーザビームは、それぞれのパックが5個のアンプルからなるアンプルパックを、20個の隣接するアンプルを有するアンプルベルトから切断する。アンプルの幾何学的形状の結果として、レーザビームは、同じ作業ステップにおいてアンプル底部に達することができない。その結果、アンプル底部は、前の作業ステップにおいて分離される。目下の作業ステップにおいて、アンプルパックの残りの側が、切断され、次のアンプルの底部が切断される。アンプルパックは、狭い接続片によって依然として外側フレームワークに接続されるが、1つのアンプルパックが、隣接するアンプルパックから完全に分離される。パック内のアンプル間の材料は、レーザによって穿孔され、アンプルを手作業で分離することを容易にする。
実施例2
連続した帯状体で提供される医療部門で使用するための相互接続されたプラスチックアンプルを切断するための装置
充填機械から出て来るアンプルストリップを有するベルト(1)は、送込み装置(2)によって、ミラー偏向器(5)の下の処理位置に引張られる。この位置で、デジタルカメラは、複数の参照マーキングの画像を撮影し、これらのマーキングの位置を、前もって記憶された参照マーキングの指定された位置と比較する。こうして、アンプルの位置とサイズの両方が、登録され、アンプルまたはアンプルストリップ(1)内の温度の変化または冷却エリアの変化による、サイズおよび形態の偏差が、レーザビームの制御のために補正され送信される。
【0160】
レーザビームによってアンプルを分離するための正確な経路は、レーザビーム制御システムに変換済みコマンドの形態で送信されるアンプルのCADグラフィックの変換によって得られる。ビーム特性を改善するためのレンズシステムからなるビーム形成システム(4)は、ビームが、蒸発によるアンプル分離に適し、また同様に、いくつかのビームに分割されるようにレーザビーム(6)を修正する。それぞれ200Wの出力パワーを有する全部で4つのCO2レーザが使用される。レーザビームの集光特性を改善するために、レーザビームの径が、幅広化され、後続のミラー偏向器に対して調整される。ミラー偏向器は、必要な偏向範囲にわたって偏向した後、ビームが集光系光学部品の開口内で自由に移動できるような寸法に作られる。この実施例では、4つのミラー偏向システムおよび集光系光学部品が、互いに隣接して固定して使用される。レーザビームは、それぞれのパックが5個のアンプルからなるアンプルパックを、20個の隣接するアンプルを有するアンプルベルトから切断する。アンプルの幾何学的形状の結果として、レーザビームは、同じ作業ステップにおいてアンプル底部に達することができない。その結果、アンプル底部は、前の作業ステップにおいて分離される。目下の作業ステップにおいて、アンプルパックの残りの側が、切断され、次のアンプルの底部が切断される。
【0161】
ビーム形成に必要な全てのコンポーネントは、高感度のビーム誘導システムに振動または発振が伝わらないことを保証する包囲された(17)堅固な花こう岩の構造(3)に接続される。可動ミラーの偏向のための制御プログラムは、アンプルが、2個の狭い接続部を除いて残留材料から分離されるように、集光されたレーザビームをアンプルの輪郭に沿って誘導する。このプロセス後に、送込み装置(2)は、次のアンプルストリップを処理位置に引張る。完全にまたはほぼ完全に分離されたアンプルならびにトグル部分間に最終的に存在する材料は、一体化圧力センサを有する品質制御装置(7)によって残留フレームワークから分離され、アンプルは、さらなる処理のために、スライド上を直立位置で外部輸送ルート(9)に輸送され、トグル部分間の残留材料は容器(14)内に収集される。一体化圧力センサを有する品質制御装置(7)は、同時制御式の2つのスタンプからなり、1つのスタンプはアンプルパックを押出し、他のスタンプはトグル部分間の残留材料を押出す。スタンプは、空圧によって移動し、圧力が調整される。必要とされる圧力が第1の閾値を超える場合、センサが起動され、アンプルの不完全な分離を示し、センサは、その後、信号を分類装置に送信し、分類装置は、アンプルを取除く。必要とされる圧力が第2の閾値を超えるが、依然として第1の閾値より低い場合、センサが起動され、アンプルにおける鋭利な突起またはバリの不満足でかつおそらくは有害な形成を示し、センサは、その後、信号を分類装置に送信し、分類装置は、アンプルを取除く。取除かれたアンプルは、修正できない欠陥品ではなく、むしろ、レーザカットを繰返すために本発明の切断装置内に再導入されうる。この再導入は自動的に行われるため、本発明の切断装置または本発明の切断機械は、少数の修正できない欠陥品だけを生成し、したがって、コストおよび材料を節減し、破棄物を減らす。
【0162】
ナイフ(8)は、ベルトからストライプの残留材料(10)を分離し、残留材料(10)は、容器(15)内に収集される。1つまたは複数のアンプルが、予定された通りに分離されず、依然として残留材料に接続される場合、たとえば一体化圧力センサを有する品質制御装置が分類装置に信号を送信すると、フラップ(11)が開口し、残留材料が充填済みアンプル(12)と共に容器(16)内に落ちる。レーザ切断装置が、完全にフォールアウトする(falls out)場合、2つのフラップ(13)が動作され、送込み装置(2)は、後で切断するために、装置から未切断のベルトを輸送する。
【符号の説明】
【0163】
参照リスト
図1
I アンプルストリップを有するベルト
II アンプルを有するストリップ
III アンプル
IV 集光されたレーザビーム
V アンプル間の材料
VI 残留材料/フレームワーク
図2
1 アンプルベルト
2 送込み装置
3 花こう岩の構造
4 ビーム形成
5 制御可能な偏向手段
5a 光学取得ユニット
5b 制御可能な集光系光学部品
6 レーザ
7 一体化圧力センサを有する品質制御装置
8 ストライプを分離するナイフ
9 外部輸送ルート
10 残留材料用スライド
11 非分離アンプル用フラップ
12 非分離アンプルを有するストリップ
13 完全なベルトを方向転換するためのフラップ
14 トグル部分間の残留材料用容器
15 残留材料用容器
16 アンプルを有するストリップ用容器
17 レーザビームシステム用カバーフード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続したプラスチックの帯状体で提供される医療部門で使用するためのプラスチック製品を切断するための装置であって、少なくとも1つのレーザ、少なくとも1つのレーザ制御システム、少なくとも1つの光学取得およびデータ処理ユニット、および不正確なレーザカットを検出するための一体化圧力センサを有する品質管理装置を備える装置。
【請求項2】
レーザビームの長期ドリフトの影響を補償するシステムおよび制御可能な偏向手段をさらに備える請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記プラスチック製品は、ボトル、バッグ、容器、および/またはアンプルであることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
連続したプラスチックの帯状体で提供される前記プラスチック製品を輸送するための搬送ユニットをさらに備える請求項1〜3に記載の装置。
【請求項5】
前記レーザ制御システムは、少なくとも1つの制御可能な集光系光学部品、少なくとも1つの制御可能な偏向手段、および少なくとも1つのビーム形成手段を備えることを特徴とする請求項1〜4に記載の装置。
【請求項6】
ブロー・フィル・シール・プロセスに従ってプラスチック製品を生産するための装置と組合せた請求項1〜5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
連続した帯状体で提供される医療部門で使用するためのプラスチック製品を切断するためのプロセスであって、
a)連続したプラスチックの帯状体に埋め込まれた相互接続されたプラスチック製品を設けるステップと、
b)光学取得ユニットを通して前記連続したプラスチックの帯状体に埋め込まれた前記相互接続されたプラスチック製品について位置データを確定し、データ処理ユニットを通して切断パターンを計算するステップと、
c)制御可能な集光系光学部品、制御可能な偏向手段、およびビーム形成手段を備えるレーザ制御システムによってレーザを制御するステップであって、前記確定された位置データに応じて、少なくとも1つのレーザの焦点の位置および強度が制御される、ステップと、
d)前記計算された切断パターンに従って前記連続したプラスチックの帯状体で提供される前記相互接続されたプラスチック製品を切断するステップと、を含むプロセス。
【請求項8】
e)一体化圧力センサを有する品質管理装置によって品質試験を実施するステップであって、前記切断済みプラスチック製品または前記切断済みプラスチック製品のパックを押出すのに必要とされる力を測定する、ステップe)をさらに含む請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
e’)一体化圧力センサを有する品質管理装置によって品質試験を実施するステップであって、前記切断済みプラスチック製品または前記切断済みプラスチック製品のパックを分離するのに必要とされる過小圧力を測定する、ステップe’)をさらに含む請求項7に記載のプロセス。
【請求項10】
e”)一体化圧力センサを有する品質管理装置によって品質試験を実施するステップであって、前記切断済みプラスチック製品または前記切断済みプラスチック製品のパックを分離するのに必要とされる引張り力を測定する、ステップe”)をさらに含む請求項7に記載のプロセス。
【請求項11】
前記プラスチック製品または前記プラスチック製品のパックは、60℃〜155℃の前記プラスチック製品または前記プラスチック製品のパックの温度で切断される、請求項7に記載のプロセス。
【請求項12】
レーザ切断されるセグメントからなる前記連続したプラスチックの帯状体で提供される医療部門で使用するためのプラスチック製品を切断するためのプロセスであって、
a)レーザ切断されるセグメントからなる連続したプラスチックの帯状体に埋め込まれた相互接続されたプラスチック製品を設けるステップであって、各セグメントは、レーザ切断されている間にクールダウンし、切断されるときに30℃〜155℃以内の任意の温度範囲を有する、設けるステップと、
b)光学取得ユニットを通して1つのセグメントにおいて前記連続したプラスチックの帯状体に埋め込まれた前記相互接続されたプラスチック製品について位置データを確定し、データ処理ユニットを通して切断パターンを計算するステップと、
c)制御可能な集光系光学部品、制御可能な偏向手段、およびビーム形成手段を備えるレーザ制御システムによってレーザを制御するステップであって、前記確定された位置データに応じて、少なくとも1つのレーザの焦点の位置および強度が制御される、ステップと、
d)前記計算された切断パターンに従って1つのセグメントにおいて前記連続したプラスチックの帯状体で提供される前記相互接続されたクールダウンしているプラスチック製品をレーザ切断するステップと、を含むプロセス。
【請求項13】
前記連続したベルトで提供される前記相互接続されたプラスチック製品は、0.01℃/分〜5℃/分のレートでクールダウンする、請求項12に記載のプロセス。
【請求項14】
相互接続されたプラスチック製品を有する少なくとも1つのセグメントは、以前のセグメントの任意のセグメントにおける前記相互接続されたプラスチック製品と比べて変動する温度を有する請求項12〜13に記載のプロセス。
【請求項15】
前記連続したベルトで提供される前記相互接続されたプラスチック製品は、ポリプロピレンおよび/またはポリエチレンを含む請求項12〜14に記載のプロセス。
【請求項16】
不完全なまたは不正確な切断セグメントは、再給送され、低温で再び切断される請求項12〜15に記載のプロセス。
【請求項17】
e)一体化圧力センサを有する品質管理装置によって品質試験を実施するステップであって、前記切断済みプラスチック製品または前記切断済みプラスチック製品のパックを押出すのに必要とされる力を測定する、ステップe)をさらに含む請求項12に記載のプロセス。
【請求項18】
e’)一体化圧力センサを有する品質管理装置によって品質試験を実施するステップであって、前記切断済みプラスチック製品または前記切断済みプラスチック製品のパックを分離するのに必要とされる過小圧力を測定する、ステップe’)をさらに含む請求項12に記載のプロセス。
【請求項19】
e”)一体化圧力センサを有する品質管理装置によって品質試験を実施するステップであって、前記切断済みプラスチック製品または前記切断済みプラスチック製品のパックを分離するのに必要とされる引張り力を測定する、ステップe”)をさらに含む請求項12に記載のプロセス。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2013−521080(P2013−521080A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−556414(P2012−556414)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【国際出願番号】PCT/EP2011/001157
【国際公開番号】WO2011/110337
【国際公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(508240177)ビー.ブラウン メルズンゲン アーゲー (4)
【氏名又は名称原語表記】B.BRAUN MELSUNGEN AG
【住所又は居所原語表記】Carl−Braun−Str. 1, 34212 Melsungen, Germany
【出願人】(512233226)
【Fターム(参考)】