説明

半導体メモリカード及びその製造方法

【課題】リードフレームに実装された半導体メモリに格納されたデータの破損を防止した半導体メモリカード及びその製造方法を提供する。
【解決手段】実施の形態のmicroSDメモリカード10は、チップ実装部と、電源端子及び信号端子を含む複数の端子部1bと、端子部1bよりも幅狭であり、各端子部1bからカード先端部まで延びる複数の接続部1cとが形成されたリードフレーム1と、チップ実装部に搭載されたNAND2と、電源端子が信号端子よりもカード先端面に近い部位まで露出され、かつカード先端部で複数の接続部1cが露出されるように、NAND2が搭載されたリードフレーム1を封止する封止樹脂8とを備える。microSDメモリカード10は、複数の接続部1cのカード先端部での露出位置が、信号端子の各々をカード先端面側へ延長した領域からカード先端面の長手方向に外れるように、複数の接続部1cを各端子部1bから延在させている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体メモリカード及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、リードフレームにフラッシュメモリなどの半導体メモリを実装し、封止樹脂で封止した半導体メモリカードが知られている。この構造の半導体メモリカードでは、データの読み書き用の外部端子は、リードフレームの一部(端子部)を封止樹脂から部分的に露出させることによって形成される。
【0003】
上記構造の半導体メモリカードを製造するに当たっては、リードフレームの端子部は、樹脂封止前はリードフレームの枠部に連結されて支持されている。そして、樹脂封止後に、半導体メモリカードとしての外形となるようにリードフレームの端子部と枠部とが切断される。したがって、半導体メモリカードが完成した状態において、リードフレームの端子部からリードフレームの一部が樹脂に覆われずに露出する可能性がある。その結果、半導体メモリに格納されたデータが破損する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−13738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
半導体メモリをリードフレームに実装し封止樹脂で封止した半導体メモリカードにおいては、半導体メモリに格納されたデータの破損を防止することが求められている。
【0006】
本発明の一つの実施形態は、リードフレームに実装された半導体メモリに格納されたデータの破損を防止した半導体メモリカード及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一つの実施形態によれば、半導体メモリカードは、メモリ搭載部と、電源端子及び信号端子を含む複数の端子と、該端子よりも幅狭であり、端子の各々からカード先端部まで延びる複数の接続部とが形成されたリードフレームと、リードフレームのメモリ搭載部に搭載された半導体メモリと、電源端子が信号端子よりもカード先端面に近い部位まで露出され、かつカード先端部で複数の接続部が露出されるように、半導体メモリが搭載されたリードフレームを封止する樹脂と、を備える。半導体メモリカードは、複数の接続部のカード先端部での露出位置が、信号端子の各々をカード先端面側へ延長した領域からカード先端面の長手方向に外れるように、複数の接続部を各端子から延在させている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1−1】図1−1は、第1の実施形態に係る半導体メモリカードとしてのmicroSDメモリカードの底面図。
【図1−2】図1−2は、第1の実施形態に係るmicroSDメモリカードの上面透過図。
【図1−3】図1−3は、第1の実施形態に係るmicroSDメモリカードの側面透過図。
【図2】図2は、第1の実施形態に係るmicroSDメモリカードの製造に用いられるリードフレームの構成を示す図。
【図3】図3は、第1の実施形態に係るmicroSDメモリカードの製造に用いられるリードフレームの樹脂封止後の状態を示す図。
【図4】図4は、封止樹脂に埋設したリードフレームを事後的に露出させる手順を示す工程図。
【図5】図5は、microSDメモリカードにデータを読み書きするコネクタの内部を模式的に示す図。
【図6】図6は、microSDメモリカードとコネクタ端子との位置関係を模式的に示す図。
【図7】図7は、第2の実施形態に係るmicroSDメモリカードの底面図。
【図8】図8は、第2の実施形態に係るmicroSDメモリカードの製造に用いられるリードフレームの構成を示す図。
【図9】図9は、第2の実施形態に係るmicroSDメモリカードの製造に用いられるリードフレームの樹脂封止後の状態を示す図。
【図10】図10は、第3の実施形態に係るmicroSDメモリカードの製造に用いられるリードフレームの樹脂封止後の状態を示す図。
【図11】図11は、第3の実施形態に係るmicroSDメモリカードの先端部分の拡大図。
【図12】図12は、第4の実施形態に係るmicroSDメモリカードの底面図。
【図13】図13は、第4の実施形態に係るmicroSDメモリカードの製造に用いられるリードフレームの構成を示す図。
【図14】図14は、第4の実施形態に係るmicroSDメモリカードの製造に用いられるリードフレームの樹脂封止後の状態を示す図。
【図15】図15は、信号端子の接続部のみがカード側面側へ向かって端子部から突出する部分と、端子部よりも幅狭でカード先端面側へ延びてカード先端部に達する部分とを有するmicroSDメモリカードの構成を示す図。
【図16−1】図16−1は、平置き型の半導体メモリカードとしてのmicroSDメモリカードの上面透過図。
【図16−2】図16−2は、平置き型のmicroSDメモリカードの側面透過図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、実施形態にかかる半導体メモリカード及びその製造方法を詳細に説明する。なお、これらの実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0010】
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係る半導体メモリカードについて説明する。第1の実施形態に係る半導体メモリカードとして、microSDTMメモリカード(以下、microSDメモリカード)を例に挙げて説明する。図1−1は、microSDメモリカード10の底面図、図1−2は、microSDメモリカード10の上面透過図、図1−3は、microSDメモリカード10の側面透過図である。なお、図1−2(a)はmicroSDメモリカード10の全体を示しており、図1−2(b)は、図1−2(a)の一部分(I−IIb部)を拡大して示している。また、図1−3は、microSDメモリカード10を図1−2における右側から見た状態を示している。ここで、図1−1〜1−3の紙面上方向はコネクタへの差し込み側であり、この方向の端を「先端」と定義する。また、図1−1での視点方向、図1−2での紙面奥行き方向、図1−3での紙面右方向を「下(底面側)」、逆方向を「上」と定義する。また、図1−1、図1−2での紙面左右方向を「横(側面側)」と定義する。
【0011】
リードフレーム1の上には半導体メモリとしてのNAND型フラッシュメモリ(以下、NAND)2に加え、受動部品3(コンデンサやヒューズなど)が実装されている。NAND2の上には再配線層が形成されており、再配線層の上にはNAND2を制御するコントローラ4が実装されている。なお、ここではNAND型フラッシュメモリを用いる構成を例として説明するが、NAND型フラッシュメモリに限定されることはない。例えば、NOR型フラッシュメモリを適用することもできる。再配線層にはコントローラ4とリードフレーム1とを接続するための配線2aが形成されている。コントローラ4の端子と再配線層上の配線2aとの間、及び再配線層上の配線2aとリードフレーム1との間、並びに再配線層上の配線2a同士はボンディングワイヤ5によって接続されている。NAND2や受動部品3、コントローラ4が実装され、これらがボンディングワイヤ5によって接続されたリードフレーム1は、封止樹脂8によって封止されている。ただし、リードフレーム1の一部分(後述する端子部1b)はカード先端近傍で底面側に露出しており、コネクタとの電気的な接続のための外部端子6を形成している。
【0012】
外部端子6のうち、それぞれ電源(VDD)及び接地電位(VSS)が割り当てられた電源端子6d、6fは、信号が割り当てられた信号端子6a〜6c、6e、6g、6hよりもカード先端面に近い部位まで露出されている。
【0013】
microSDメモリカード10の先端部(カード先端面の近傍)には、外部端子6が形成された底面側へコネクタピンを導くためのガイド面として、テーパ部7が設けられている。テーパ部7は、カード先端面と底面とに跨って、カード先端面側ほどカード厚さが小さくなるように形成されている。なお、ここではガイド面としてテーパ面を備えた構成を例としているが、テーパ面の代わりにR面などの曲面をガイド面として設けても良い。
【0014】
図2は、第1の実施形態に係るmicroSDメモリカード10の製造に用いられるリードフレーム1の構成を示す図である。図2中の破線は樹脂封止後にmicroSDメモリカード10として切り出される範囲を示しており、リードフレーム1は破線が横断する部分で切断される。リードフレーム1は、NAND2や受動部品3などの電子部品が実装されるメモリ搭載部としてのチップ実装部1aと、樹脂封止後に外部端子6として露出する端子部1bとを含んでいる。端子部1bは、接続部1cによって枠部1dと連結されて支持されている。リードフレーム1は、42アロイ(Fe−Ni)やCuなどの金属材料を用いて形成することが可能であるが、これらの材料に限定されることはない。また、それぞれの外部端子6となるリードフレーム1は絶縁性テープ12で固定されている。
【0015】
接続部1cは、microSDメモリカード10の完成後にはコネクタへの差込方向となる方向(カード先端面側)と交差する方向(カード側面側)へ向かって端子部1bから突出する部分(突出部1g)と、この部分から端子部1bよりも幅狭でカード先端面側へ延びてカード先端部に達する部分(延在部1h)とを備えた構造となっている。また、接続部1cは外枠連絡部1iと接続されている。外枠連絡部1iは、その幅が接続部1cの幅よりも広い。この外枠連絡部1iによって、外部端子1bと外枠1dを安定して固定することができる。したがって、図1−2に示すように、接続部1cのカード完成後にmicroSDメモリカード10として切り出される部分は、端子部1bをカード先端面側へ延長した領域には存在していない。よって、リードフレーム1を用いて製造したmicroSDメモリカード10においては、図1−1に示すように、封止樹脂8による樹脂封止後に切断された接続部1cの切断面11(11a〜11h)は、外部端子6a〜6hをカード先端面側へ延長した領域(以降、「外部端子延長領域」と称する場合がある)から横方向(カード先端面の長手方向)に外れた領域で露出する。なお、切断面11a〜11hは、外部端子6a〜6hに対応する各接続部1cの切断面である。なお、ここでは接続部1cがコネクタへの差込方向と直交する方向に突出する構成を示したが、接続部1cが突出する方向とコネクタへの差込方向とがなす角度は必ずしも直角である必要はない。なお、外枠連絡部1iは外部端子延長領域に存在していなくても良い。
【0016】
図3は、第1の実施形態に係るmicroSDメモリカード10の製造に用いられるリードフレーム1の樹脂封止後の状態を示す図である。ここでは説明の簡略化のため、リードフレーム1に実装済みのNAND2や受動部品3、コントローラ4、ボンディングワイヤ5などの図示は省略している。また、封止樹脂8についてもmicroSDメモリカード10として切り出される部分のみ示しているが、実際には、封止樹脂8は、microSDメモリカード10の外形(図2の破線で囲まれた部分)よりも広い範囲にモールドされる。端子部1bは樹脂封止の際に不図示の金型と密着するようになっており、端子部1bの底面側には封止樹脂8が流れ込まないようになっている。接続部1cのmicroSDメモリカード10として切り出される範囲内(延在部1h)に曲げ部1eが設けられており、リードフレーム1の枠部1dは樹脂封止の際に用いる金型のパーティションラインとほぼ同じ高さに配置されるようになっている。
【0017】
樹脂封止後に、microSDメモリカード10としての外形形状に倣って接続部1cは切断され、端子部1bと枠部1dとが分離される。ここではmicroSDメモリカード10としての外形形状よりも大きい範囲に封止樹脂8をモールドし、封止樹脂8及び接続部1cをmicroSDメモリカード10の外形形状に沿って切断してmicroSDメモリカード10を切り出す方法について説明した。しかし、microSDメモリカード10としての外形形状に合わせた金型を用いて封止樹脂8をモールドして(図2の破線で囲まれた部分のみに封止樹脂8をモールドして)接続部1cのみを切断するようにしても良い。接続部1cは、microSDメモリカード10として切り出される部分に曲げ部1eが設けられているため、封止樹脂8の中に入り込んでいる。このため、図1−1や図1−3に示したように、接続部1cの各々の切断面11はテーパ部7の上端(カード上面側におけるテーパ部7の端部)付近において露出する。接続部1cが封止樹脂8によって覆われているため、切断面11から接続部1cがめくれ上がることが防止される。これにより、めくれ上がった接続部1cが隣接する外部端子6に接触して短絡するなどの不具合の発生を抑えることができる。
【0018】
なお、突出部1gは、端子部1bから側面方向へ向かって延びている。そのため、突出部1gと突出部1gに隣接する端子部1bとの間は狭くなっている。さらに、突出部1gはカードの底面から露出している。その結果、封止樹脂8の材料によっては、突出部1gと突出部1gに隣接する端子部1bとの間に封止樹脂8が入り込まない場合がある。また、接続部1cにおいて、曲げ部1eからカード先端部までの距離が短く、かつ、接続部1cの底面(カードの底面側の面)からカード底面までの距離が短い場合、接続部1cの底面側に入り込んで固まった封止樹脂8がカード完成後に剥離したりする可能性がある。このため、端子部1bが封止樹脂8に埋まるように封止し、端子部1bの底面側の封止樹脂8を後から除去して外部端子6を形成しても良い。
【0019】
図4は、封止樹脂8に埋設したリードフレーム1を事後的に露出させる手順を示す工程図である。まず、外部端子6として露出させる大きさよりも大き目に端子部1bが形成されたリードフレーム1を封止樹脂8に埋没させるように樹脂封止する(図4(a))。そして、外部端子6として露出させる形状に合わせて封止樹脂8にレーザパターニングを施してリードフレーム1まで達する溝9を形成する(図4(b))。その後、溝9で囲われた領域の封止樹脂8をウォータージェットや研摩で除去し、端子部1bを露出させて外部端子6とする。このように封止樹脂8にリードフレーム1を埋設し、端子部1bを事後的に露出させれば、突出部1gと突出部1gに隣接する端子部1bとの間が狭くても、突出部1gを封止樹脂8で埋没させるため、突出部1gと突出部1gに隣接する端子部1bとの間を封止樹脂8で埋めることができる。また、接続部1cの底面とカード底面との間の封止樹脂8の厚さを厚くできる。その結果、封止樹脂8の剥離を防止することができる。
【0020】
図5は、microSDメモリカード10にデータを読み書きするコネクタ20の内部を模式的に示す図である。図6は、microSDメモリカード10とコネクタ端子21との位置関係を模式的に示す図である。図5(a)は、microSDメモリカード10を挿入していない状態でのコネクタ20の断面を示している。microSDメモリカード10の接続部1cは、カード側面側へ向かって端子部1bから突出する突出部1gと、この部分から端子部1bよりも幅狭でカード先端面側に延びる延在部1hとを備えた構造となっているため、外部端子6をカード先端面側へ延長した領域では露出していない。すなわち、各接続部1cのカード先端部での露出位置(切断面11の位置)は、コネクタ20への挿入時にコネクタピン21が当接する領域から、カード先端面の長手方向に外れた領域にある。各接続部1cのカード先端部での露出位置は、コネクタピン21が当接しない位置である。このため、コネクタ20へ挿入する際にmicroSDメモリカード10の先端部がコネクタピン21と接しても、コネクタピン21は接続部1cとは接触しない。すなわち、コネクタピン21は、microSDメモリカード10の先端部と当接した時点(図5(b)、図6(a))ではNAND2と電気的に接続されず、テーパ部7に沿って底面側へ導かれ、外部端子6と当接した時点(図5(c)、図6(b))でNAND2と電気的に接続される。したがって、カード先端面に近い部位まで露出されている電源端子6d、6fは、信号端子6a〜6c、6e、6g、6hよりも先にコネクタピン21と当接する。
【0021】
半導体メモリカードの半導体メモリに格納されているデータを保護するためには、電源(VDD)やGND用の外部端子を信号用の外部端子よりも先にコネクタピンと接触させた方が好ましい。しかしながら、従来の半導体メモリカードでは、コネクタへの差込方向の先端近傍に外部端子を配列させる場合、端子部からコネクタへの差込方向の先端面側に向かってまっすぐ延びるように接続部を設けている。すなわち、接続部の切断面は外部端子を先端面側へ延長した領域に整列した状態で露出してしまう。このため、コネクタへの挿入時に電源やGND用の接続部よりも先に信号用の接続部がコネクタピンと接触してしまう可能性があり、半導体メモリ内のデータが破損する懸念がある。
【0022】
このように、本実施形態に係るmicroSDメモリカード10は、コネクタ20への挿入時に、電源端子6d、6fが先にコネクタピン21と接触し、信号端子6a〜6c、6e、6g、6hが後からコネクタピン21と接触する。したがって、NAND2に格納されたデータが破損することを防止できる。
また、コネクタ20のカード側端部22にmicroSDメモリカード10が挿入されたかどうかを判断するスイッチ23及び端子24が配置されている場合がある。ここで、microSDメモリカード10の最先端部(先端面13)がスイッチ23を押して、スイッチ23がコネクタ20のカード側端部22に配置された端子24と接触した場合に、検知信号を出す方式がある。ここで、最先端部から接続部1cが露出してしまうと、スイッチ23と接続部1cとが接触して誤検知をしてしまう場合がある。一方、テーパ部7から接続部1cの端部を露出させることにより、接続部1cとスイッチとが接することはない。そのため、誤検知を防ぐことができる。
【0023】
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係る半導体メモリカードとしてのmicroSDメモリカードは、第1の実施形態と同様に、リードフレームに実装されたNANDや受動部品、及びNAND上の再配線層に実装されたコントローラがボンディングワイヤで接続され、樹脂で封止された構成である。このため、第1の実施形態と相違する点についてのみ説明する。
【0024】
図7は、第2の実施形態に係るmicroSDメモリカード10の底面図である。本実施形態においては、接続部1cが封止樹脂8によって封止されておらず、底面に露出したままカード先端部まで達している点で第1の実施形態と相違する。接続部1cは、端子部1b(外部端子6)と略同一面に配設されているため、接続部1c及びその切断面11は、テーパ部7の下端(カード底面側におけるテーパ部7の端部)において露出している。
【0025】
図8は、第2の実施形態に係るmicroSDメモリカード10の製造に用いられるリードフレーム1の構成を示す図である。図8中の破線はmicroSDメモリカード10として切り出される範囲を示しており、リードフレーム1は破線が横断する部分で切断される。第1の実施形態と同様に、リードフレーム1は、電子部品が実装されるメモリ搭載部としてのチップ実装部1aと、樹脂封止後に外部端子6として露出する端子部1bとを含んでいる。端子部1bは、接続部1c、及び、外枠連絡部1iによって枠部1dと連結されている。樹脂封止後に、microSDメモリカード10としての外形形状に倣って接続部1cは切断され、端子部1bと枠部1dとが分離される。
【0026】
図9は、第2の実施形態に係るmicroSDメモリカード10の製造に用いられるリードフレーム1の樹脂封止後の状態を示す図である。ここでは説明の簡略化のため、リードフレーム1に実装済みのNANDや受動部品、コントローラ、ボンディングワイヤなどの図示は省略している。また、封止樹脂8についてもmicroSDメモリカード10として切り出す部分のみ示しているが、実際には、封止樹脂8は、microSDメモリカード10の外形(図8の破線で囲まれた部分)よりも広い範囲にモールドされ、封止樹脂8及び接続部1cがmicroSDメモリカード10の外形形状に沿って切断されてmicroSDメモリカード10が切り出される。本実施形態においては、曲げ部1eは、microSDメモリカード10として切り出される範囲の外(外枠連絡部1i)に設けられている。フレーム幅の広い部分に曲げ部1eを設けることにより、曲げ部1eの加工が容易となり、リードフレーム1の固定位置が安定する。その結果、樹脂封止工程において、コントローラ4などが封止樹脂から露出する可能性を減らすことができる。
【0027】
本実施形態に係るmicroSDメモリカードも、コネクタへの挿入時に、電源端子が先にコネクタピンと接触し、信号端子が後からコネクタピンと接触する。したがって、NANDに格納されたデータが破損することを防止できる。
【0028】
この他については第1の実施形態と同様であるため、重複する説明は割愛する。
【0029】
(第3の実施形態)
第3の実施形態に係る半導体メモリカードとしてのmicroSDメモリカードは、第2の実施形態に係るmicroSDメモリカードと同様に、リードフレームに実装されたNANDや受動部品、及びNAND上の再配線層に実装されたコントローラがボンディングワイヤで接続され、樹脂で封止された構成である。このため、第2の実施形態と相違する点についてのみ説明する。
【0030】
図10は、第3の実施形態に係るmicroSDメモリカード10の製造に用いられるリードフレーム1の樹脂封止後の状態を示す図である。ここでは説明の簡略化のため、リードフレーム1に実装済みのNANDや受動部品、コントローラ、ボンディングワイヤなどの図示は省略している。また、封止樹脂8についてもmicroSDメモリカード10として切り出す部分のみ示しているが、実際には、封止樹脂8は、microSDメモリカード10の外形よりも広い範囲にモールドされ、封止樹脂8及び接続部1cがmicroSDメモリカード10の外形形状に沿って切断されてmicroSDメモリカード10が切り出される。図11は、第3の実施形態に係るmicroSDメモリカード10の先端部分の拡大図である。第2の実施形態と同様に、曲げ部1eは外枠連結部1iに設けられている。ただし、本実施形態においては、端子部1bと曲げ部1eとの間に、接続部1cにハーフエッチングが施されて薄肉化されたハーフエッチング部1fを備えている。すなわち、接続部1cは、カード先端部での露出位置と端子部1bとの間の部分は、ハーフエッチング部1fによって薄肉化されている。ハーフエッチング部1fの底面側には封止樹脂8が入り込んでおり、ハーフエッチング部1fはmicroSDメモリカード10の底面に露出していない。このため、接続部1cの切断面11は、テーパ部7の下端よりも上側で露出している。
【0031】
本実施形態においては、ハーフエッチング部1fが封止樹脂8で覆われているため、接続部1cが切断面11からめくれ上がることが防止される。これにより、めくれ上がった接続部1cが隣接する外部端子に接触して短絡するなどの不具合の発生を抑えることができる。
また、突出部1gにもハーフエッチング部1fを設けることにより、突出部1gと突出部1gに隣接する端子部1bとの間が狭くても、突出部1gと突出部1gに隣接する端子部1bとの間を封止樹脂8で埋めることができる。
【0032】
本実施形態に係るmicroSDメモリカードも、コネクタへの挿入時に、電源端子が先にコネクタピンと接触し、信号端子が後からコネクタピンと接触する。したがって、NANDに格納されたデータが破損することを防止できる。
【0033】
この他については第2の実施形態と同様であるため、重複する説明は割愛する。
【0034】
(第4の実施形態)
第4の実施形態に係る半導体メモリカードとしてのmicroSDメモリカードは、第1の実施形態に係るmicroSDメモリカードと同様に、リードフレームに実装されたNANDや受動部品、及びNAND上の再配線層に実装されたコントローラがボンディングワイヤで接続され、樹脂で封止された構成である。このため、第1の実施形態と相違する点についてのみ説明する。
【0035】
図12は、第4の実施形態に係るmicroSDメモリカード10の底面図である。本実施形態においては、第1の実施形態と同様に接続部1cが封止樹脂8の中に入り込んでいる。ただし、封止樹脂8の中に入り込んだ接続部1cは、端子部1bと略同一面で封止樹脂8から抜け出ており、接続部1cの切断面11がテーパ部7の下端部において露出している点で、第1の実施形態と相違している。
【0036】
図13は、第4の実施形態に係るmicroSDメモリカード10の製造に用いられるリードフレーム1の構成を示す図である。図13中の破線はmicroSDメモリカード10として切り出される範囲を示しており、リードフレーム1は破線が横断する部分で切断される。リードフレーム1は、NANDや受動部品などの電子部品が実装されるメモリ搭載部としてのチップ実装部1aと、樹脂封止後に外部端子6として露出する端子部1bとを含んでいる。端子部1bは、接続部1c、及び、外枠連絡部1iによって枠部1dと連結されている。樹脂封止後に、microSDメモリカード10としての外形形状に倣って接続部1cは切断され、端子部1bと枠部1dとが分離される。
【0037】
接続部1cは、microSDメモリカード10の完成後にはカード側面側へ向かって端子部1bから突出する部分(突出部1g)と、この部分から端子部1bよりも幅狭でカード先端面側へ延びる部分(延在部1h)とを備えた構造である。したがって、接続部1cのmicroSDメモリカード10として切り出される部分は、端子部1bをカード先端面側へ延長した領域には存在していない。よって、図12に示したように、本実施形態にかかるmicroSDメモリカード10において、接続部1cの切断面11は、外部端子6をカード先端面側へ延長した領域では露出していない。
【0038】
図14は、第4の実施形態に係るmicroSDメモリカード10の製造に用いられるリードフレーム1の樹脂封止後の状態を示す図である。ここでは説明の簡略化のため、リードフレーム1に実装済みのNANDや受動部品、コントローラ、ボンディングワイヤなどの図示は省略している。また、封止樹脂8についてもmicroSDメモリカード10として切り出す部分のみ示しているが、実際には、封止樹脂8は、microSDメモリカード10の外形(図13の破線で囲まれた部分)よりも広い範囲にモールドされ、封止樹脂8及び接続部1cがmicroSDメモリカード10の外形形状に沿って切断されてmicroSDメモリカード10が切り出される。接続部1cのmicroSDメモリカード10として切り出される部分には曲げ部1eが二箇所に設けられている。このため、図12に示したように、接続部1cは、封止樹脂8の中に入り込んだのちに、端子部1bと略同一面上(テーパ部7の下端部)において封止樹脂8から抜け出ている。曲げ部1eは接続部1cに加えて、外枠連結部1iにも設けられている。すなわち、曲げ部1eは端子部1bと枠部1dの間に3ヶ所設けられている。その結果、リードフレーム1の枠部1dは樹脂封止の際に用いる金型のパーティションラインとほぼ同じ高さに配置されるようになっている。また、接続部1cに設けられた二つの曲げ部1eに挟まれた埋め込み領域1kも、金型のパーティションラインと同じほぼ高さに位置することになる。
【0039】
本実施形態においては、接続部1cのうち埋め込み領域1kが封止樹脂8によって覆われているため、切断面11から接続部1cがめくれ上がることが防止される。これにより、めくれ上がった接続部1cが隣接する外部端子6に接触して短絡するなどの不具合の発生を抑えることができる。
【0040】
本実施形態に係るmicroSDメモリカードも、コネクタへの挿入時に、電源端子が先にコネクタピンと接触し、信号端子が後からコネクタピンと接触する。したがって、NANDに格納されたデータが破損することを防止できる。
【0041】
この他については、第1の実施形態と同様であるため、重複する説明は割愛する。
【0042】
上記各実施形態においては、全ての外部端子の接続部がカード側面側へ向かって端子部から突出する部分と、この部分から端子部よりも幅狭でカード先端面方向へ曲がって延びる部分とを備える構造である場合を例としたが、電源端子や接地端子を除く信号端子の接続部のみがカード側面側へ向かって端子部から突出する部分と、この部分から端子部よりも幅狭でカード先端面側に曲がって延びる部分とを有するようにしても良い。図15は、電源端子及び接地端子6d、6fを除く信号端子6a〜6c、6e、6g、6hの接続部1cのみがカード側面側へ向かって端子部1bから突出する部分と、この部分から端子部1bよりも幅狭でカード先端面側に曲がって延びる部分とを有するmicroSDメモリカード10の構成を示す図である。すなわち、電源端子及び接地端子の接続部1cには突出部1gが設けられていない。これは、電源端子6d、6fの接続部1cの切断面11d、11fのみが、外部端子6d、6fをカード先端面側に延長した領域で露出しているならば、コネクタピンがmicroSDメモリカード10の先端部に当接した時点(図5(b))で電源端子6d、6fの接続部1cの切断面11d、11fと接触しても、NANDのデータが破損する恐れは無いためである。その結果、電源端子及び接地端子6d、6fと、電源端子及び接地端子6d、6fに隣接する端子間の幅が広くなる。そのため、電源端子及び接地端子6d、6fと、電源端子及び接地端子6d、6fに隣接する端子間を封止樹脂8で容易に埋めることができる。
【0043】
また、上記各実施形態においては、半導体メモリ上にコントローラが実装された積層型の半導体メモリカードを例としたが、コントローラをリードフレーム上に実装した平置き型の半導体メモリカードであっても同様の効果が得られることは言うまでもない。図16−1は、平置き型の半導体メモリカードとしてのmicroSDメモリカード30の上面透過図、図16−2は、microSDメモリカード30の側面透過図である。なお、図16−2は、microSDメモリカード10を図16−1における右側から見た状態を示している。図1−1〜図1−3に示した積層型のmicroSDメモリカード10と同じ構成要素については同じ符号を付している。リードフレーム1の上には半導体メモリとしてのNAND2に加え、受動部品3(コンデンサやヒューズなど)やNAND2の動作を制御するコントローラ4が実装されている。このような平置き型のmicroSDメモリカード30であっても、NAND2に格納されたデータの破損を防止する効果は同様に得られる。
【0044】
さらに、上記各実施形態においては、microSDメモリカードを例として説明したが、特定の規格に限定されることはなく、コネクタへの差込方向の先端近傍に外部端子が整列した半導体メモリカードであれば同様に適用可能である。
【0045】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0046】
1 リードフレーム、1b 端子部、1c 接続部、1f ハーフエッチング部、2 NAND、6 外部端子、8 封止樹脂、10 microSDメモリカード、20 コネクタ、21 コネクタピン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリ搭載部と、電源端子及び信号端子を含む複数の端子と、該端子よりも幅狭であり、前記端子の各々からカード先端部まで延びる複数の接続部とが形成されたリードフレームと、
前記リードフレームの前記メモリ搭載部に搭載された半導体メモリと、
前記電源端子が前記信号端子よりもカード先端面に近い部位まで露出され、かつ前記カード先端部で前記複数の接続部が露出されるように、前記半導体メモリが搭載されたリードフレームを封止する樹脂と、
を備える半導体メモリカードであって、
前記複数の接続部のカード先端部での露出位置が、前記信号端子の各々を前記カード先端面側へ延長した領域から前記カード先端面の長手方向に外れるように、前記各接続部を前記各端子から延在させたことを特徴とする半導体メモリカード。
【請求項2】
前記複数の接続部のカード先端部での露出位置は、半導体メモリカードが挿抜されるコネクタのピンが当接しない位置であることを特徴とする請求項1記載の半導体メモリカード。
【請求項3】
前記カード先端部に、該カード先端面側ほどカード厚さが小さくなるガイド面を備え、
前記複数の接続部の前記カード先端部での露出位置は、前記ガイド面上にあることを特徴とする請求項1又は2記載の半導体メモリカード。
【請求項4】
前記複数の接続部は、前記カード先端部での露出位置が、前記ガイド面の前記カード先端面側の端部となるように、カード厚さ方向に曲げられていることを特徴とする請求項3記載の半導体メモリカード。
【請求項5】
前記複数の接続部のうち少なくとも一つは、前記カード先端部での露出位置が、前記ガイド面の前記カード先端面と反対側の端部となるように、カード厚さ方向に曲げられていることを特徴とする請求項3記載の半導体メモリカード。
【請求項6】
前記複数の接続部のうち少なくとも一つは、前記カード先端部での露出位置が、前記端子部と略同一面上にあることを特徴とする請求項3記載の半導体メモリカード。
【請求項7】
前記複数の接続部のうち少なくとも一つは、前記カード先端部での露出位置と前記端子との間が部分的に薄肉化されており、前記接続部の前記薄肉化された部分は、前記封止樹脂によって覆われていることを特徴とする請求項6記載の半導体メモリカード。
【請求項8】
前記複数の接続部の各々は、カード側面側へ向かって前記端子部から突出する突出部と、該突出部から前記カード先端面側に延びて前記カード先端部へ達する延在部とを含むことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項記載の半導体メモリカード。
【請求項9】
メモリ搭載部と、電源端子及び信号端子を含む複数の端子と、該端子を支持する枠部と、前記複数の端子に接続される複数の接続部とが形成されたリードフレームの前記メモリ搭載部に前記半導体メモリを搭載し、
前記半導体メモリが搭載された前記リードフレームを、前記電源端子が前記信号端子よりもカード先端面に近い部位まで露出するように封止樹脂で樹脂封止し、
予め定められたカード外形に倣って前記封止樹脂及び前記接続部を切断することにより、前記端子と前記枠部とを分離するとともにカード先端部で前記複数の接続部を露出させ、
前記複数の接続部の前記カード先端部での露出位置が、前記信号端子の各々を前記カード先端面側へ延長した領域から前記カード先端面の長手方向に外れるように、前記複数の接続部を前記各端子から延在させたことを特徴とする半導体メモリカードの製造方法。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図1−3】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16−1】
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【図16−2】
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【公開番号】特開2012−53555(P2012−53555A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−194090(P2010−194090)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】