説明

半導体リレー

【課題】高感度で、低背化および小型化の可能な半導体リレーを提供する。
【解決手段】入力信号によって点灯・消灯する発光素子100と、発光素子100と光結合せしめられ、起電力を発生する受光素子としての光電変換素子200と、受光素子で生起された電力によってスイッチングするスイッチング用半導体素子からなる出力素子300とを具備した半導体リレーであって、発光素子100と光電変換素子200は、集光部を構成する絶縁性部材の対向する面に、配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体リレーに係り、特にその実装構造に関する。
【背景技術】
【0002】
光結合型の半導体リレーは、オン抵抗が小さく、微小アナログ信号を制御することができ、小型であることから、種々の用途に用いられている。半導体リレーは図11及び図12に斜視図および断面概要図の一例を示すように、発光素子(LED)100と、光電変換素子200と、スイッチング素子からなる出力素子300とを具備している。この発光素子は、入力信号によって点灯・消灯する。また光電変換素子200は、この発光素子100からの光信号を受け、光電変換によって起電力を発生する光電変換素子に加え、この光電変換素子の発生する電力を充放電する制御回路とを含む。そして出力素子300は、この光電変換素子200の出力電圧を出力することによりスイッチングする、MOSFETなどで構成される。そして、MOSFETのゲート電圧が設定電圧値に到達するとMOSFETが導通状態になり、負荷をONさせるように構成されている。ここで1は入力端子を構成する第1のリード、2は出力端子を構成する第2のリード、3は樹脂パッケージである。
【0003】
このような光結合型の半導体リレーにおいて、入力端子1と出力端子2間の絶縁破壊電圧は主として以下の二つの条件によって決定される。
a)充填されている樹脂材料
b)端子間距離(ワイヤーボンド部も含む)
このような半導体リレーにおいて、構造を大きく変更させること無く、入出力端子1、2間の絶縁破壊耐圧を向上させるためには、入出力端子間に図13に示すように絶縁板500を形成することによって耐圧を上昇させる方法が提案されている(特許文献1)。
【0004】
また図14に示すように、発光素子100と光電変換素子200と出力素子300とを並置した半導体リレーも提案されている。
【0005】
このような状況の中で、小型化、低背化を目指して種々の研究がなされている。ところで、リレースイッチの高性能化には、発光素子から受光素子への光伝達構造が重要である。そこで、ガラス基板を介して発光素子と受光素子とを対向配置した光結合装置が提案されている(特許文献2、3)。
【0006】
さらにまた、透光性の絶縁フィルムを介して発光素子と受光素子とを対向配置した光結合装置も提案されている(特許文献4)
【0007】
また、受光素子をガラス層などの透光性の絶縁層で被覆し、その上層に発光素子を対向配置させた光結合装置も提案されている(特許文献5)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平2−39723号公報
【特許文献2】特開平2−90576号公報
【特許文献3】特許第3415369号公報
【特許文献4】特開平6−196748号公報
【特許文献5】特開2008−172058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
絶縁板を封入する場合、発光素子100から発光される光は、絶縁板500を透過して光電変換素子に照射される必要がある。このため、絶縁板500を構成する材料には光が透過可能であることが必要とされる。光の透過性を考慮して絶縁板500を選定する必要があるため、材料選定に制限があり、十分な絶縁性を得ることが難しいという問題があった。
また、特許文献2乃至5では、発光素子と受光素子とは相対向して重なって設けられており、低背化には限界があった。
そこで、発光素子から受光素子への光伝達機能を高めつつ、低背化および小型化の可能な半導体リレーが求められている。
本発明は前記実情に鑑みてなされたもので、高感度で、低背化および小型化の可能な半導体リレーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで本発明は、入力信号によって点灯・消灯する発光素子と、前記発光素子と光結合せしめられ、起電力を発生する受光素子と、前記受光素子で生起された電力によってスイッチングするスイッチング用半導体素子からなる出力素子とを具備した半導体リレーであって、前記発光素子と前記受光素子は、前記発光素子からの光を集光する集光部を構成する絶縁性部材の対向する面に、配置されたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記半導体リレーであって、前記集光部は、前記受光素子の受光領域を覆うように形成されたレンズであり、前記レンズ上に発光素子が搭載されたものを含む。
【0012】
また、本発明は、上記半導体リレーであって、前記絶縁性部材は剛性を有する透光性基板であるものを含む。
【0013】
また、本発明は、上記半導体リレーであって、前記絶縁性部材は可撓性の透光性基板であるものを含む。
【0014】
また、本発明は、上記半導体リレーであって、前記集光部はガラスであるものを含む。
【0015】
また、本発明は、上記半導体リレーであって、前記発光素子と前記受光素子は、前記絶縁性部材の対向する面に、ずれて重ならないように配置されたものを含む。
【0016】
また、本発明は、上記半導体リレーであって、前記発光素子は、内壁に反射性膜を形成した樹脂製のダムに囲まれ、前記ダム内に透光性樹脂が充填されたものを含む。
【0017】
また、本発明は、上記半導体リレーであって、前記出力素子と前記受光素子とは同一の半導体基板内に形成された半導体集積回路部であり、前記半導体基板表面に積層形成された絶縁性層内に導波路構造の集光部が形成されたものを含む。
【0018】
また、本発明は、上記半導体リレーであって、透光性樹脂は蛍光体粒子を含有するものを含む。
【発明の効果】
【0019】
本発明の半導体リレーによれば、発光素子と受光素子との間に配置する、ガラス基板などの絶縁性部材に集光部すなわちレンズ機能を付加しているため、光損失が低減され、発光素子の発光強度を低減することができ、消費電力の低減をはかることができ、高感度化、小型化および低背化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態1に係る半導体リレーの概略構成を示す断面図
【図2】本発明の実施の形態1に係る半導体リレーの上面図
【図3】(a)乃至(d)は、本発明の実施の形態1に係る半導体リレーの製造工程を示す図
【図4】本発明の実施の形態2に係る半導体リレーの断面図
【図5】(a)乃至(d)は、本発明の実施の形態2に係る半導体リレーの製造工程を示す図
【図6】本発明に係る半導体リレーの発光素子の要部拡大断面図
【図7】本発明の実施の形態3に係る半導体リレーの断面図
【図8】(a)乃至(c)は、本発明の実施の形態2に係る半導体リレーの製造工程を示す図
【図9】本発明の実施の形態4に係る半導体リレーの断面図
【図10】本発明の実施の形態4に係る半導体リレーの要部拡大断面図
【図11】従来例の半導体リレーの概略構成を示す斜視図
【図12】従来例の半導体リレーの断面図
【図13】従来例の半導体リレーの概略構成を示す断面図
【図14】従来例の半導体リレーの概略構成を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態に係る半導体リレーについて、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0022】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る半導体リレーを示す断面図、図2は上面図である(図1は図2のA−A断面図である)。図2は、図1の第1および第2のリード1,2の位置における断面図に相当する。図3(a)乃至(d)はこの半導体リレーの製造工程を示す図である。ここで図2において発光素子100は見えないはずであるが説明のために記載している。
本発明の半導体リレーでは、受光素子としての光電変換素子200の受光領域を覆うように絶縁性材料で形成されたレンズ203で集光部を構成し、このレンズ203上に発光素子100が搭載されたことを特徴とする。そして発光素子100としてのLED、光電変換素子200としてのDICの間が透光性樹脂4で被覆され、全体が遮光性樹脂5で、封止されている。すなわち、本実施の形態では、MOSFETからなる2つの出力素子300(300a、300b)を具備した半導体リレーにおいて、光電変換素子200上にレンズ203を介して発光素子100を実装する。そして、この上層が透光性樹脂4で被覆される。ここで制御回路は出力回路に相当する。
【0023】
ここで、発光素子100は、集光部を構成するレンズ203上に搭載される。そして光電変換素子200上にパッシベーション膜を介して、レンズ203が形成され、このレンズ203上の平坦部に発光素子100が搭載されている。
【0024】
この受光素子である光電変換素子200は、n型シリコン基板201表面の所望の領域に形成されたフォトダイオード202を具備している。そしてこの光電変換素子200は、外部端子を持たないリードフレームに設けられたパッドに実装されている。これら第1および第2のリード1,2は、樹脂パッケージ3から側方に導出されている。6は電気的接続のためのボンディングワイヤである。
【0025】
なお、MOSFETからなる2つの出力素子300(300a、300b)からそれぞれリードが導出されており、第2のリードは2本で構成されているが、ここでは第2のリード2として説明する。
【0026】
上記構成によれば、受光素子である光電変換素子200の受光領域を覆うように集光部を構成するレンズ203を形成し、この上層に発光素子を搭載している。つまり、本来、絶縁性樹脂などの絶縁性部材が形成されていた領域に集光部すなわちレンズ機能を付加していることになる。このため、半導体リレー全体としての面積や厚さの増大を招くことなく、光損失が低減され、発光素子の発光強度を低減することができ、消費電力の低減をはかることができる。
また、光がレンズ203からなる集光部を介して伝搬するため、漏光を低減することができる。
【0027】
さらにまた、透光性の絶縁性部材であるレンズ203の両面に発光素子100と光電変換素子200とを実装することができるため、実装作業性が良好となる。
また、発光素子100と光電変換素子200とがずれて重ならないように配置されているため、水平方向での距離を最小限に抑えつつも十分な絶縁距離をとることができる。その結果、絶縁破壊を防ぐことができるとともに、低背化が可能となる。これに対し、絶縁性部材の同じ側に並べて配置する場合、十分な距離を置く必要があるが、相対向する面上に配置する場合、距離を置く必要がないため、小型化かつ薄型化が可能となる。
【0028】
なお、本実施の形態では、レンズを樹脂で形成しているため、安価で形状加工が容易である。
【0029】
また、前記実施の形態ではワイヤボンディングによって電気的接続を行なったが、フリップチップなどの直接接合を用いるなど、別途接続可能である。
【0030】
次に、この半導体リレーの製造方法について説明する。
まず、n型のシリコン基板201を用意し、表面に所望の濃度のp型領域およびn型領域を形成し、フォトダイオード202を形成する(図3(a))。
そしてこの表面及び裏面に電極(図示せず)を形成した後、平坦化膜(図示せず)を形成しこの上層に、透光性のエポキシ樹脂を塗布形成し、フォトリソグラフィによりパターニング後、溶融してエッジを丸くしたのち、エッチバックを行い、レンズ形状を得る(図3(b))。
【0031】
この後、レンズ表面にパッドを形成する。そして、ダイシング工程を経て個々のチップに分割する。そして、第1及び第2のリード1,2を備えたリードフレームにこの光電変換素子を搭載し、LEDチップからなる発光素子100をレンズ表面のパッドに実装後、ワイヤボンディングを行う。6はボンディングワイヤである。ここで、発光素子100の給電は第1のリード1で行うように接続する。また出力素子300としてのMOSFETを第2のリード2に接続する(図3(c))。
【0032】
そして、シリコン樹脂からなる透光性樹脂4をポッティングし、最後に封止樹脂(遮光性樹脂)5を用いて樹脂封止を行い、図2に示した半導体リレーが完成する。
【0033】
なお、可撓性の透光性基板にレンズ部を貼布したもので構成し、この透光性基板を受光素子表面に貼着し、この上層に発光素子を実装するようにしてもよい。
【0034】
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2に係る半導体リレーを示す断面図である。図5(a)乃至(d)はこの半導体リレーの製造工程を示す図である。
本発明の半導体リレーでは、受光素子200の受光領域を覆うように樹脂膜を形成し、この樹脂膜をレンズ加工することでレンズ203を形成したが、本実施の形態ではガラス基板213で集光部を構成したことを特徴とする。そして、集光部としてのガラス基板213の第1の面213Aに発光素子100としてのLEDが搭載され、第2の面213Bに光電変換素子200としてのDICが搭載される。そして透光性樹脂4で被覆され、全体が遮光性樹脂5で、封止されている。他部については前記実施の形態1と同様であるため、ここでは説明を省略する。
上記構成によれば、前記実施の形態1による効果に加え、絶縁性部材として剛性を有する透光性基板であるガラス基板を用いているため、実装作業性が良好となる。
また、半田リフロー工程など、高温下での使用が可能である。
【0035】
次に、この半導体リレーの製造方法について説明する。
まず、n型のシリコン基板201を用意し、表面に所望の濃度のp型領域およびn型領域を形成し、表面及び裏面に電極(図示せず)を形成し、平坦化膜(図示せず)を形成して、フォトダイオード202を形成する。そして、ダイシング工程を経て個々のチップに分割する(図5(a))。
この後、ガラス基板を用意し、これにレジストを塗布し、フォトリソグラフィによりパターニング後、溶融してエッジを丸くしたのち、エッチバックを行い、レンズ形状を有する集光性のガラス基板213を得る(図5(b))。この後、このガラス基板両面に、スパッタリング法などにより、パッドを含む導体層を形成する。
【0036】
このようにして、このガラス基板213の表面に形成されたパッドに、LEDチップからなる発光素子100及びフォトダイオード202を形成したn型のシリコン基板(チップ)201を搭載する(図5(c))。
【0037】
そして、第1及び第2のリード1,2を備えたリードフレームにこの光電変換素子と発光素子との実装体を搭載し、ワイヤボンディングを行う。6はボンディングワイヤである。ここで、発光素子100の給電は第1のリード1で行うように接続する。また出力素子300としてのMOSFETを第2のリード2に接続する(図5(d))。
【0038】
そして、シリコン樹脂からなる透光性樹脂4をポッティングし、最後に封止樹脂としての遮光性樹脂5を用いて樹脂封止を行い、図4に示した半導体リレーが完成する。
【0039】
なお、ここで、発光素子100は、図6に示すように、内壁に反射性膜103を形成した樹脂製のダム102に囲まれ、このダム102内に透光性樹脂104が充填されたものを用いるようにしてもよい。
これにより、より高効率の光伝送が実現され、高感度の半導体リレーを実現することができる。
【0040】
(実施の形態3)
図7は、本発明の実施の形態3に係る半導体リレーを示す断面図である。図8(a)乃至(c)はこの半導体リレーの製造工程を示す図である。
本発明の半導体リレーでは、受光素子200を構成するシリコン基板201に出力素子300としてのMOSFETを集積化し、1チップで構成したことを特徴とする。そしてこの受光素子200の受光領域を覆うように形成されたレンズ203で集光部を構成し、このレンズ203上に発光素子100が搭載される。そして前記実施の形態1の半導体リレーと同様、発光素子100としてのLED、光電変換素子200としてのDICの間が透光性樹脂4で被覆され、全体が遮光性樹脂5で封止されている。
【0041】
ここで、発光素子100は、集光部を構成するレンズ203上に搭載される。そして光電変換素子200上にパッシベーション膜を介して、レンズ203が形成され、このレンズ203上の平坦部に発光素子100が搭載されている。
【0042】
この受光素子である光電変換素子200は、n型シリコン基板201表面の所望の領域に形成されたフォトダイオード202を具備している。そしてこの、n型シリコン基板201表面にスイッチング素子を構成するMOSFETも集積化されており、リードフレームの第2のリード2の先端に設けられたパッドに実装されている。これら第1および第2のリード1,2は、樹脂パッケージ3の同じ高さから側方に導出されている。6は電気的接続のためのボンディングワイヤである。
【0043】
このように、出力素子300を構成するMOSFETは、光電変換素子200の形成されたn型シリコン基板201内に形成されており、ソース・ドレイン領域301,302と、ゲート電極303とで構成されている。またこの表面は酸化シリコン膜と窒化シリコン膜との2層膜からなる高耐圧の絶縁膜304で被覆されている。
なお、MOSFETからなる2つの出力素子300(300a、300b)からそれぞれリードが導出されており、第2のリードは2本で構成されているが、ここでは第2のリード2として説明する。
【0044】
上記構成によれば、実施の形態1の半導体リレーに比べ、受光素子と出力素子とが集積化されているため、更なる小型化と高機能化をはかることができる。
【0045】
また、MOSFETからなる出力素子300の形成された領域上には発光素子100が搭載される。このため、発光素子搭載面およびその周辺を金属膜で被覆し、出力素子300への遮光を行いつつ、出力素子300の表面を高耐圧の絶縁膜304で被覆し、絶縁性を維持するようにしている。
また、発光素子搭載面およびその周辺を遮光性樹脂で被覆するようにしてもよく、出力素子300への遮光を行いつつ、絶縁性を維持するようにすればよい。
【0046】
次に、この半導体リレーの製造方法について説明する。
まず、n型のシリコン基板201を用意し、表面に所望の濃度のp型領域およびn型領域を形成し、フォトダイオード202およびMOSFETを形成する(図8(a))。ここでフォトダイオードのp層およびソース・ドレイン領域301,302は同一のイオン注入工程を行うようにしてもよい。
そしてこの表面及び裏面に電極(図示せず)を形成した後、平坦化膜(図示せず)を形成しこの上層に、透光性のエポキシ樹脂を塗布形成し、フォトリソグラフィによりパターニング後、溶融してエッジを丸くしたのち、エッチバックを行い、レンズ形状を得る(図8(b))。
【0047】
この後、レンズ表面にパッドを形成し、LEDチップからなる発光素子100を搭載する。そして、ダイシング工程を経て個々のチップに分割する。そして、第1及び第2のリード1,2を備えたリードフレームにこの光電変換素子及び出力素子を搭載したシリコンチップと発光素子との実装体を搭載し、ワイヤボンディングを行う。6はボンディングワイヤである。ここで、発光素子100の給電は第1のリード1で行うように接続する。また出力素子300としてのMOSFETを第2のリード2に接続する(図8(c))。
【0048】
そして、最後に封止樹脂(遮光性樹脂)5を用いて樹脂封止を行い、リードフレームのタイバーなどを切除し、第1および第2のリードを成形し、図7に示した半導体リレーが完成する。
【0049】
(実施の形態4)
図9は、本発明の実施の形態4に係る半導体リレーを示す断面図である。図10はその要部拡大断面図である。
前記実施の形態3では、受光素子200としてのフォトダイオードの受光領域を覆うように形成されたレンズ203で集光部を構成した。これに対し、本実施の形態では、受光素子200の受光領域に、集光部として光導波路600を形成し、発光素子からの光を効率よく集光するようにしたことを特徴とする。この光導波路600は、フォトダイオード202の透光性電極上に酸化シリコン膜601を形成し、この内部をエッチング除去し、上方に広がる断面を形成しこの内部に窒化シリコン膜602を形成したものである。窒化シリコン膜602は酸化シリコン膜601に比べて高屈折率であるため、界面で反射し、光導波路600が形成される。
【0050】
そしてこの酸化シリコン膜上に、発光素子100としてのLEDが搭載され、光導波路600を介して光電変換素子200の受光領域に光が導かれるように構成されている。
【0051】
すなわち、本実施の形態では、フォトダイオードとMOSFETとを集積化したシリコン基板上に酸化シリコン膜601と窒化シリコン膜602で構成された光導波路600を形成し、この上層に発光素子を搭載したものである。
【0052】
そして、この光電変換素子200及び出力素子300上に発光素子を搭載した実装体は、リードフレームの第1のリード1の先端に設けられたパッドに実装されている。これら第1および第2のリード1,2は、樹脂パッケージ3の同じ高さから側方に導出されている。6は電気的接続のためのボンディングワイヤである。
他部については、前記実施の形態3と同様に形成されている。
【0053】
この構成によれば、より小型化が可能となり、高効率の半導体リレーが実現される。
【0054】
なお以上説明してきた実施の形態では、出力素子すなわち、スイッチング用半導体素子としてMOSFETを用いたが、これに限定されることなく、フォトカプラなどの他の半導体素子を用いてもよい。
【0055】
また、透光性樹脂あるいは透光性のガラス基板に蛍光体粒子を含有させてもよい。
このように、発光素子と受光素子とをつなぐ光路に相当する領域に蛍光体を含む透光性樹脂あるいは透光性のガラス基板で構成することで、オン時に発光素子からの光を吸収した蛍光体が、オフ時にはその自発光により、残光時間分だけ受光素子への光の供給を続行することができる。
また、蛍光体の温度や素材により残光時間を調整するも可能である。このようにして半導体リレーの、オフ時間を制御することができる。
【0056】
本実施の形態で用いられる蛍光体を含む透光性樹脂は、蛍光体粒子を透光性樹脂材料と混合し、溶媒などを添加して所望の粘度とし、所望の領域にポッティングなどで供給され、乾燥および硬化するあるいは塗布するなどの方法により、得られる。
【0057】
本実施の形態において使用可能な蛍光体粒子としては、適宜選択可能であるが、例えば二価の金属のアルミン酸塩を母体結晶としたものに賦活剤として希土類元素を加えたものなどが利用可能である。二価の金属としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛などが使用可能である。また、希土類元素としてはセリウム、プラセオジム、ネオジム、サマルウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウムなどが使用可能であり、これらの希土類元素は単独で用いられてもよくまた複数で用いられてもよい。なかでも、SrAl:Eu,Dy、SrAl1425:Eu,Dy、CaAl:Eu,Nd、SrAl141425:Eu,Dy等が好適に用いられる。
【0058】
本実施の形態において使用可能な蛍光体粒子を含む母材樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれも使用可能である。たとえば樹脂を粉体にし、バインダーなどとともに、塗布あるいはポッティングなどで所望の領域に供給し、硬化させることによって用いられる。バインダーは少なくとも樹脂成分を有するが、これに必要に応じて可塑剤、着色剤黄変防止剤等の添加剤からなる組成物を練り合わせ、粉体化して用いられる。含有される成分を、無色透明なものにすることにより蓄光性材料となる蛍光体粒子の輝度を損なわず、その発光性を良好にすることができる。樹脂成分としては熱可塑性樹脂としてポリエチレン樹脂系等のポリオレフィン樹脂系、ポリ塩化ビニル樹脂系、ポリアミド系、エチレン−酢酸ビニル樹脂系、フッ素樹脂系、ポリエステル系などが使用可能である。また、熱硬化性樹脂系ではエポキシ樹脂系、ポリエステル樹脂系、エポキシ樹脂系とポリエステル樹脂系からなるハイブリッド系、アクリル樹脂系、アクリル樹脂系とポリエステル樹脂系からなるハイブリッド系、フッ素樹脂系などが使用可能である。ポリ塩化ビニル樹脂系の樹脂を使用するときは、安定剤として鉛などの重金属を含有する化合物を使用する場合、蓄光性材料である蛍光体粒子と反応し残光性能を害するため、重金属は排除するのが望ましい。また、その他の樹脂系においても、反応触媒や安定剤などの添加剤として鉛、錫などの重金属を含有する化合物を使用することは同様の理由で含有しないようにするのが望ましい。
【0059】
実際には、各原料を秤量し、プレミキシングした後、練り合わせ、ついで粉砕機で粉砕し、篩で粗粒子を除き、エポキシ樹脂粉体塗料を得る。このエポキシ樹脂粉体塗料に蓄光性蛍光体とを配合しミキサーにより、攪拌混合し、さらに篩を通し、蓄光性蛍光体粉体塗料を得る。これに所望の溶媒を加え、粘度を調整し、ポッティングあるいは塗布を行う。
【0060】
また、ガラス基板に上記蛍光体粒子を含有させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 第1のリード
2 第2のリード
3 樹脂パッケージ
4 透光性樹脂
5 遮光性樹脂
6 ボンディングワイヤ
100 発光素子
200 受光素子(光電変換素子)
300 出力素子(MOSFET)
500 絶縁板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号によって点灯・消灯する発光素子と、
前記発光素子と光結合せしめられ、起電力を発生する受光素子と、
前記受光素子で生起された電力によってスイッチングするスイッチング用半導体素子からなる出力素子とを具備した半導体リレーであって、
前記発光素子と前記受光素子は、前記発光素子からの光を集光する集光部を構成する絶縁性部材の対向する面に、配置された半導体リレー。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体リレーであって、
前記集光部は、
前記受光素子の受光領域を覆うように形成されたレンズであり、
前記レンズ上に発光素子が搭載された半導体リレー。
【請求項3】
請求項1または2に記載の半導体リレーであって、
前記絶縁性部材は剛性を有する透光性基板である半導体リレー。
【請求項4】
請求項1または2に記載の半導体リレーであって、
前記絶縁性部材は可撓性の透光性基板である半導体リレー。
【請求項5】
請求項2に記載の半導体リレーであって、
前記集光部はガラスである半導体リレー。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の半導体リレーであって、
前記発光素子と前記受光素子は、前記絶縁性部材の対向する面に、ずれて重ならないように配置された半導体リレー。
【請求項7】
請求項2に記載の半導体リレーであって、
前記発光素子は、内壁に反射性膜を形成した樹脂製のダムに囲まれ、前記ダム内に透光性樹脂が充填された半導体リレー。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の半導体リレーであって、
前記出力素子と前記受光素子とは同一の半導体基板内に形成された半導体集積回路部であり、
前記半導体基板表面に積層形成された絶縁性層内に導波路構造の集光部が形成された
半導体リレー。
【請求項9】
請求項7に記載の半導体リレーであって、
前記透光性樹脂は蛍光体粒子を含有する半導体リレー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−90186(P2012−90186A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−236901(P2010−236901)
【出願日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】