半導体光素子、及びその製造方法
【課題】パッド電極下にポリイミド樹脂を配して寄生容量を低減する構造を有する半導体光素子において、ポリイミド表面の段差での電極段切れの問題から段差増加による寄生容量の低減が困難となる。
【解決手段】半導体基板2に積層された、エッチング停止層32と活性層36とを含む化合物半導体層を積層する。活性層36までのエッチングによりリッジ部20とその両脇の低地部42とを形成する。低地部42のうちパッド電極14下に対応する部分は、エッチング停止層32までエッチングされ、陥凹部46が形成される。ポリイミド樹脂層22は、パッド電極14の下において、低地部42の深さ、及び台地部48の高さに、陥凹部46の深さを加えた厚さとなる。陥凹部46の深さの増加により寄生容量の低減が図られる。
【解決手段】半導体基板2に積層された、エッチング停止層32と活性層36とを含む化合物半導体層を積層する。活性層36までのエッチングによりリッジ部20とその両脇の低地部42とを形成する。低地部42のうちパッド電極14下に対応する部分は、エッチング停止層32までエッチングされ、陥凹部46が形成される。ポリイミド樹脂層22は、パッド電極14の下において、低地部42の深さ、及び台地部48の高さに、陥凹部46の深さを加えた厚さとなる。陥凹部46の深さの増加により寄生容量の低減が図られる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光通信分野等に係る半導体光素子、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光通信の伝送速度の高速化が進んでいる。10ギガビット/秒(Gbit/s)を超える伝送速度に対応した高速動作が可能な半導体光素子を実現するためには、半導体光素子に付随する寄生容量を低減することが重要である。図1、図2は、10Gbit/sでの動作が可能な従来の半導体光素子の垂直断面図であり、それぞれ導波路に直交する断面を表している。図1に示される半導体光素子は、活性層を半絶縁半導体で埋め込む埋め込みヘテロ構造(Buried Heterostructure:BH)型の半導体レーザである。この素子は、InP(インジウム・リン)基板2上に積層された化合物半導体層に活性層4を含むメサストライプ部6を形成する。メサストライプ部6の両脇は、鉄(Fe)をドープされた半絶縁性を有するInP(Fe−InP)層8で埋め込まれて平坦化される。これにより、メサストライプ部6上部のコンタクト層に接続される上部電極(アノード電極)10とInP基板2裏面の下部電極(カソード電極)12との間の電流が活性層4にてストライプ形状の領域に制限されるストライプ構造が実現される。上部電極10は、Fe−InP層8上に配置されるワイヤボンディング用のパッド電極14に接続される。
【0003】
上述のFe−InP層8の埋込み成長は、通常600℃前後の高温で行われるため、メサストライプ部6を構成する半導体層からFe−InP層8へのドーパント(例えばZnなど)の熱拡散が起こる。図1において、点線で囲む領域16は熱拡散した領域を模式的に示している。
【0004】
BH構造の半導体光素子の寄生容量を構成する成分として、PIN接合容量Cpin、メサストライプ部6両脇の拡散容量Cdf、パッド容量Cpadが存在する。拡散容量Cdfは上述の熱拡散により増加し得る。また、パッド容量Cpadは、パッド電極14がInP基板2等との間に生じる容量であり、その面積と共に増加する。このような寄生容量の増加は動作速度の高速化の障害となる。
【0005】
この寄生容量を低減する素子構造として、図2に示す半導体光素子が提案されている。この素子は、リッジ導波路型の半導体レーザであり、InP基板2上に積層された化合物半導体層のうち活性層4より上の層にリッジ部20を形成し、活性層4にて電流が流れる領域をリッジ部20に対応した部分に制限する。リッジ部20の両脇の低地部は、例えば、ポリイミド樹脂層22(比誘電率εr=3.6)で埋め込まれる。この構造では化合物半導体層からポリイミド樹脂層22へのドーパントの熱拡散が抑制されるので拡散容量Cdfが低減される。また、ポリイミド樹脂の誘電率は、BH構造の素子で用いられるFe−InPの誘電率(εr=12.6)に比べると低く、パッド電極14は低誘電率のポリイミド樹脂層22の上に配置されるので、パッド容量Cpadも低減される。また、ポリイミド樹脂層22をパッド電極14の下で高くしてパッド電極14とInP基板2側との距離を増加させ、寄生容量を低減させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−175382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
今後の展望である25〜100Gビット/秒という、より高速の動作を実現するためには、さらなる寄生容量の低減が必須であり、上述した低容量化対策をさらに推し進める必要がある。
【0008】
この点、図2に示したように、ポリイミド樹脂層22をパッド電極14の形成位置にて凸形状としてリッジ部20より高くする構造では、パッド電極14とコンタクト層に接続される上部電極10とをつなぐ配線が、ポリイミド樹脂層22の段差の側面に形成される構造となる。この段差側面を垂直や逆テーパ状とすると、図3に示すように、電極が当該側面にて均一に形成されずカバレッジ性が悪化し、電極断線24による不発振などの不具合が発生しやすい。この問題は当該段差側面が順テーパ状の斜面であれば比較的起こりにくくなる。しかし、この場合であっても段差が大きくなると、段差を形成するエッチングでの側面形状の加工ばらつきの影響が大きくなって、電極断線による不発振などの歩留り低下が起こる。このため、ポリイミド樹脂層22の段差は3μm程度に制限されている。すなわち、段差を大きくして寄生容量を低減することには限界がある。
【0009】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、一層のパッド容量の低減と歩留まり低下防止とを可能とする半導体光素子、及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る半導体光素子は、半導体基板表面に積層された、活性層を含む化合物半導体層と、当該化合物半導体層表面に形成されたリッジ部と、前記リッジ部に対して相対的に低く形成される前記化合物半導体層表面の低地部を埋め、前記リッジ部と共にストライプ構造を形成する電流ブロック層と、前記リッジ部上部に接続される上部電極と、前記活性層に対して前記上部電極とは反対側に位置する下部電極とを有するものであって、前記電流ブロック層の上に配置され、前記上部電極に電気的に接続されるボンディング用のパッド電極と、前記低地部内の前記パッド電極下に対応する領域に一段深く形成され、前記活性層と前記下部電極との間の深さに達する陥凹部と、を有し、前記電流ブロック層が、前記パッド電極下に位置する部分として、前記化合物半導体層より低誘電率の絶縁体からなり、前記陥凹部内まで埋め込まれた低誘電率部を有するものである。
【0011】
本発明に係る上記半導体光素子において、前記陥凹部の深さは1μm以上とすることができ、前記低誘電率部は、ポリイミド等の有機材料で構成することができ、また、前記活性層としてInGaAsP(インジウム・ガリウム・ヒ素・リン)又はInGaAlAs(インジウム・ガリウム・アルミニウム・ヒ素)からなるものを備えた構成とすることができる。
【0012】
本発明の好適な態様である半導体光素子は、前記低誘電率部が下に配置された前記パッド電極をレーザ変調信号の入力端子又は出力端子として用いて構成された、変調器集積型半導体レーザ又は直接電流変調型半導体レーザである。
【0013】
本発明に係る半導体光素子の製造方法は、上記半導体光素子を製造する方法であって、前記半導体基板上に、前記活性層より下にエッチング停止層を含む前記化合物半導体層を積層する工程と、前記化合物半導体層を前記エッチング停止層より上の位置までエッチングして前記リッジ部を形成する第1エッチング工程と、前記第1エッチング工程後、前記エッチング停止層で停止するエッチングを行って前記陥凹部を形成する第2エッチング工程と、前記第2エッチング工程後、素子表面に絶縁体からなる保護膜を形成する工程と、前記保護膜の形成後、前記陥凹部及びその上に前記低誘電率部を埋め込む工程と、前記保護膜に前記リッジ部の上面へのスルーホールを形成する工程と、前記スルーホール形成後、導電体からなる前記上部電極及び前記パッド電極を形成する工程と、を有する方法である。
【0014】
上記製造方法は、前記第1エッチング工程後に、前記電流ブロック層として前記低地部に半絶縁性半導体層を埋め込む工程を有し、前記第2エッチング工程が、前記半絶縁性半導体層の形成後、前記パッド電極の下に対応する部分を選択的にエッチングするようにした製造方法を含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明の半導体光素子、及びその製造方法によれば、パッド電極の下に配置される低誘電率の絶縁体の厚みを、その表面の段差を高くせずに増加させることができ、表面の電極断線による歩留まり低下を回避しつつパッド電極の寄生容量が低減される。これにより、寄生容量を低減することができ、高速動作が可能で高品質な半導体光素子が実現可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】従来のBH型半導体レーザの垂直断面図である。
【図2】従来のリッジ導波路型半導体レーザの垂直断面図である。
【図3】従来の半導体光素子の問題点を説明するリッジ導波路型半導体レーザの垂直断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る半導体光素子であるリッジ導波路型半導体レーザの模式的な斜視図である。
【図5】図4に示す半導体光素子の模式的な垂直断面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る半導体光素子の製造方法の主要工程での素子の垂直断面図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る半導体光素子であるBH型半導体レーザの模式的な斜視図である。
【図8】図7に示す半導体光素子の模式的な垂直断面図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る半導体光素子の製造方法の主要工程での素子の垂直断面図である。
【図10】従来のBH型半導体レーザの構造を示す垂直断面図である。
【図11】本発明の第3の実施形態に係る半導体光素子であるEA変調器集積型DFBレーザの模式的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、説明を簡略にするため、各実施形態及び上記従来の構成とで技術的に共通する構成要素には同一の符号を付している。
【0018】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る半導体光素子は、リッジ導波路型の半導体レーザである。図4は、本素子の模式的な斜視図である。また、図5は、図4に示す半導体光素子の模式的な垂直断面図であり、図4の直線a−aに沿った断面を表している。
【0019】
n型のInP基板2上には、第1バッファー層30、エッチング停止層32、第2バッファー層34、活性層36、クラッド層38、コンタクト層40を含む化合物半導体層が積層される。一方、InP基板2の裏面には下部電極12が設けられる。
【0020】
化合物半導体層の活性層36より上の層をエッチングすることにより、素子表面に直線的に延びるリッジ部20が形成される。ここで、エッチングによりリッジ部20より低くなった部分を低地部42と称する。低地部42を絶縁性を有した材料で埋め込んだ後、リッジ部20の上には上部電極として上部電極10が配置され、リッジ部20の横にはボンディングワイヤ用のパッド電極14が配置され、両電極10,14は配線44により接続される。配線44はその寄生容量を小さくするために、上部電極10の長さ(リッジ部20の延在方向の寸法)や、パッド電極14の寸法に比べて比較的小さい幅に形成することが好適である。
【0021】
低地部42はリッジ部20の両側の他、パッド電極14及び配線44の下にも形成される。低地部42の底面の位置(高さ)は具体的には、活性層36の上面で規定される。リッジ部20の両側や配線44の下などにおける化合物半導体層表面はこの高さに位置する。これに対して、低地部42内のパッド電極14下に対応する領域の化合物半導体層には、図5に示すように、低地部42より窪んだ陥凹部46が形成される。陥凹部46は、活性層36と下部電極12との間の深さに達する。すなわち、陥凹部46の底面の高さは活性層36より下にある。陥凹部46の底面の高さは具体的には、エッチング停止層32の上面で規定される。陥凹部46は活性層36を突き抜けるが、それにより生じる活性層36の断面はリッジ部20に対応した位置、すなわち電流が集中する部分から離れており、当該断面が素子特性に与える影響は抑制される。
【0022】
陥凹部46及び低地部42には電流ブロック層としてポリイミド樹脂層22が埋め込まれる。ポリイミド樹脂層22は化合物半導体層と比較して低い誘電率(例えばεr=3.6)を有する絶縁体であり、本実施形態では、パッド電極14下にて陥凹部46内まで埋め込まれるポリイミド樹脂層22が、パッド電極14とInP基板2又は下部電極12との間の低誘電率部を構成する。
【0023】
パッド電極14に対応した領域にてポリイミド樹脂層22の表面は、その周囲より一段高く形成され、この高くなった台地部48の上にパッド電極14が配置される。なお、台地部48の段差側面は順テーパの斜面に形成され、この上に配置される配線44の段切れを防止している。
【0024】
パッド電極14の下のポリイミド樹脂層22は、陥凹部46を設けたことにより他の部分よりも厚く形成され、これによりパッド電極14の寄生容量が低減される。さらに、パッド電極14の下のポリイミド樹脂層22に台地部48を設けることにより、寄生容量を一層低減させることができる。ここで、台地部48を高くしてポリイミド樹脂層22の厚みを増すことは上述したように配線44の段切れが起こりやすくなる懸念があるのに対し、陥凹部46を深くしてポリイミド樹脂層22の厚みを増すことには配線44の段切れの問題が生じない。陥凹部46の深さはエッチング停止層32の上に積層する第2バッファー層34の厚みを増すことで増加させることができる。例えば、第2バッファー層34は有機金属気相成長(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:MOCVD)法を用いて5〜6μmといった厚さ、つまり台地部48の高さ制限を超える厚みに形成することができる。
【0025】
次に、本半導体光素子の製造方法について説明する。図6は、本半導体光素子の製造方法の主要工程での素子の垂直断面図であり、その断面は図5と同じく図4の直線a−aを通る位置にある。
【0026】
まず、InP基板2上にMOCVD法を用い、化合物半導体層として、第1バッファー層30、エッチング停止層32、第2バッファー層34、活性層36、クラッド層38、コンタクト層40を含む多層構造が積層される。第1バッファー層30はn型のInPからなり、InP基板2表面に積層され、その厚さは例えば、0.5μmである。
【0027】
第1バッファー層30の上にエッチング停止層32が積層される。エッチング停止層32は、その上に積層される第2バッファー層34に陥凹部46を形成するエッチングに対して耐蝕性を有する材料からなり、例えば、n型のInGaAsPで形成され、厚さは例えば、20nmに設定される。
【0028】
第2バッファー層34はn型InPからなり、厚さは、所望の陥凹部46の深さに応じて設定され、例えば、5μmとされる。
【0029】
第2バッファー層34の積層後、活性層36が形成される。活性層36は、多層構造を有し多重量子井戸を形成する。例えば、活性層36は、アンドープのInGaAsP又はInGaAlAsを用いて形成される。
【0030】
活性層36の積層後、クラッド層38が積層される。クラッド層38はp型InPからなり、厚さは例えば、1.5μmである。コンタクト層40は例えば、p型InGaAsを用いて、クラッド層38の上に例えば、0.2μmの厚みに積層される。
【0031】
上述のように形成された化合物半導体層の表面にCVD酸化膜(例えば、厚さ0.1μm)を形成し、当該酸化膜をフォトリソグラフィ技術によりパターニングする。このパターニング後の酸化膜50をエッチングマスクとして用い、まず、コンタクト層40をエッチングする。これにより、リッジ部20を形成する位置にストライプ状にコンタクト層40が残され、一方、当該ストライプ状のコンタクト層40の両側を含む領域(低地部42の形成予定領域)からコンタクト層40が除去される(図6(A))。ストライプ状のコンタクト層40aの幅は例えば、2.0μmとすることができる。直線a−a断面において、リッジ部20の右側には低地部42としてリッジ部20に沿った溝だけが形成されるのに対し、左側にはパッド電極14下の低地部42も形成されるので、図6(A)において、酸化膜50の開口幅も右側より左側が大きくなるように示している。例えば、右側の開口は、リッジ部20に沿った溝の幅に対応した幅に設定され、例えば、幅10μmに設定される。一方、左側の開口幅は例えば50μmとする。
【0032】
その後、塩酸と燐酸との混合液によるウェットエッチングを用いてクラッド層38をエッチングして、図6(B)に示すような逆メサ断面形状のリッジ導波路であるリッジ部20を形成する。リッジ部20が形成されると同時に、エッチングでクラッド層38を除去された領域が低地部42となる。なお、このクラッド層38を除去するエッチング工程(第1エッチング工程)では、活性層36がエッチング停止層として機能する。
【0033】
次に、CVD法により酸化膜を素子表面全体に形成し、さらにその上に、フォトレジスト膜を塗布する。酸化膜の厚さは例えば、0.5μmとされる。フォトレジスト膜をパターニングし、低地部42の底面のうち陥凹部46を形成する領域に開口を有したレジストマスクを形成する。例えば、この開口の幅は30μmとされる。このレジストマスクを用いて、ウェットエッチングにより酸化膜をパターニングする。その後、レジストマスクは除去され、パターニングされた酸化膜が以下に述べる第2エッチング工程のエッチングマスクとして用いられる。第2エッチング工程では、まず、硫酸と過酸化水素、水の混合液によるウェットエッチングを行い、陥凹部46となる位置の活性層36を除去する。さらに、塩酸と燐酸の混合液によるウェットエッチングを行い、陥凹部46となる位置の第2バッファー層34を除去する。この第2バッファー層34のエッチングは、エッチング停止層32が露出するまで行われる。このように本製造方法では選択エッチング法を用いているため、陥凹部46の深さを好適な精度で制御できる。第2エッチング工程後、エッチングマスクとして用いた酸化膜は除去される。
【0034】
次に、CVD法によりパッシベーション膜52を例えば、0.5μmの膜厚で素子表面全体、すなわち、リッジ部20、低地部42、陥凹部46の表面に形成する。その後、ポリイミド樹脂を素子表面全体に塗布し、ポリイミド樹脂層22を形成する(図6(C))。
【0035】
ポリイミド樹脂層22の上に形成されるパッド電極14の密着性を向上させるため、ポリイミド樹脂層22の表面に絶縁膜54を形成する。この絶縁膜54は、プラズマCVDによりポリイミド樹脂層22の表面に堆積させた絶縁膜を、フォトリソグラフィ技術及びウェットエッチングによりパターニングして、パッド電極14に対応する領域に配置される。
【0036】
続いて、リッジ部20及び低地部42が設けられた領域を覆うレジストマスク56を形成してドライエッチングを行い、ポリイミド樹脂層22のエッチバックを行う(図6(D))。次に、レジストマスク56を除去し、台地部48となる領域に新たにレジストマスクを形成してエッチバック法により、台地部48となる領域以外を平坦にエッチングする。エッチバックはリッジ部20上面が現れるまで行われる。このエッチバック処理により台地部48が形成される。エッチバック処理が完了すると、レジストマスクを除去する。さらに、リッジ部20上面のパッシベーション膜52を除去して、リッジ部20上部のコンタクト層40aへのスルーホールが形成される(図6(E))。
【0037】
その後、電子ビーム(Electron Beam:EB)蒸着法によりTi/Pt/Auからなる厚さ1μm程度の電極層を形成する。電極層はイオンミリングによりパターニングされ、コンタクト層40aに接触する上部電極10と、これにつながる配線44及びパッド電極14が形成される。InP基板2の裏面には、研磨後、下部電極12が形成される(図6(F))。これら電極の形成後、素子は電極アロイ等の工程を経る。
【0038】
以上のウェハ状態での素子製造工程が完了すると、ウェハはリッジに直交する方向に劈開され、バー状の断片にされる。バーの幅(短辺のサイズ)は所望のキャビティ長に設定され、例えば、200μmとされる。バー状の断片は、その劈開面に反射保護膜を形成される。その後、断片の長辺方向に複数配列された素子はチップに分離される。
【0039】
上述の実施形態にて例示した数値にて作製した半導体レーザの伝送速度を評価した結果、従来構造と比較して1〜2Gbit/s向上しており、本発明による良好な結果が確認できた。
【0040】
[第2の実施形態]
上述の第1の実施形態は、リッジ導波路型の半導体レーザに本発明を適用したものであったが、本発明はBH型の半導体レーザにも適用することができる。以下、説明する第2の実施形態に係る半導体光素子はこのBH型半導体レーザである。図7は、本素子の模式的な斜視図である。また、図8は、図7に示す半導体光素子の模式的な垂直断面図であり、図7の直線a−aに沿った断面を表している。また、図9は、本半導体光素子の製造方法の主要工程での素子の垂直断面図であり、その断面は図8と同じく図7の直線a−aを通る位置にある。
【0041】
本素子は、InP基板2上に積層された、第1の実施形態と同様の構造の化合物半導体層をエッチングしてメサストライプ部6が形成される。メサストライプ部6の両側の低地部42は半絶縁性InP層60で埋め込まれ、パッド電極14下に配置される低誘電率部62は、半絶縁性InP層60を貫通する窪み64に埋め込まれる。
【0042】
この構造を本素子の製造方法を説明しつつ、より詳細に述べる。InP基板2に積層される化合物半導体層は、第1の実施形態と同様、活性層36より下にエッチング停止層32が形成されると共に、エッチング停止層32と活性層36との間には比較的厚い第2バッファー層34が設けられる。例えば、第2バッファー層34は厚さ5μmとされる。
【0043】
メサストライプ部6を形成する第1のエッチング工程では、化合物半導体層の表面に例えば、CVD法によって酸化膜(例えば、厚さ0.5μm)を形成し、当該酸化膜をフォトリソグラフィ技術によりパターニングして、メサストライプ部6の形成領域に酸化膜66を形成する。例えば、ストライプパターンの酸化膜66の幅は1〜2.5μm程度とされる。
【0044】
この酸化膜66をエッチングマスクとして用い、化合物半導体層をドライエッチングする。このエッチングは、メサストライプ部6に活性層36が含まれるように、第2バッファー層34に達してから停止される。例えば、当該エッチングは、第2バッファー層34に達してから、さらに1.0μm程度深く掘り込む。引き続いて、ドライエッチダメージ除去のため、ドライエッチングにより露出した表面を臭素系溶液により0.1μm程度エッチングする。これにより、メサストライプ部6が形成される。同時に、当該エッチングで化合物半導体層を除去された領域が低地部42となる。
【0045】
メサストライプ部6の上面に酸化膜66をマスクとして配した状態で、低地部42に、MOCVD法によりFeまたはRu(ルテニウム)をドープした半絶縁性InP層60が埋め込み成長される。半絶縁性InP層60はメサストライプ部6の上面を越える高さまで積層することができる(図9(A))。半絶縁性InP層60の形成後、酸化膜66は除去される。
【0046】
次に、CVD法により酸化膜68を素子表面全体に形成し、さらにその上に、フォトレジスト膜を塗布する。酸化膜68の厚さは例えば、0.5μmとされる。フォトレジスト膜をパターニングし、陥凹部46を形成する領域に開口を有したレジストマスクを形成する。例えば、この開口の幅は30μmとされる。このレジストマスクを用いて、ウェットエッチングにより酸化膜68をパターニングする。その後、レジストマスクは除去され、パターニングされた酸化膜68が以下に述べる第2エッチング工程のエッチングマスクとして用いられる。
【0047】
第2エッチング工程では、塩酸と燐酸の混合液によるウェットエッチングを行い、半絶縁性InP層60と第2バッファー層34を除去する(図9(B))。第2バッファー層34のエッチングは、エッチング停止層32が露出するまで行われる。第2エッチング工程では、低地部42の底面より下に残る第2バッファー層34が除去され、低地部42の底面位置より窪んだ陥凹部46が形成される。上述のように本製造方法では、選択エッチング法を用いているため、陥凹部46を含む窪み64の深さを好適な精度で制御できる。第2エッチング工程後、エッチングマスクとして用いた酸化膜は除去される。
【0048】
本素子の製造方法における以降の工程、例えば、上部電極10、配線44、パッド電極14、下部電極12の形成やウェハからのチップの切り出しなどは第1の実施形態で説明した工程と同様である(図9(C))。
【0049】
上述の実施形態にて例示した数値にて作製した半導体レーザの伝送速度を評価した結果、図10に示す従来構造と比較して1〜2Gbit/s向上しており、本発明による良好な結果が確認できた。
【0050】
[第3の実施形態]
上述した第1及び第2の実施形態は、直接電流変調型半導体レーザであり、パッド電極14に印加する変調信号に応じて、活性層36での発光を直接変調するものである。一方、本発明は、半導体レーザ、変調器などが集積形成された半導体光素子にも適用することができる。
【0051】
図11は、第3の実施形態に係る半導体光素子の模式的な斜視図である。本素子は、分布帰還(Distributed Feed Back:DFB)レーザ80の前方に電界吸収(Electro Absorption:EA)型変調器82をモノリシックに集積したEA変調器集積型DFBレーザである。
【0052】
本素子も第1、第2の実施形態と同様のプロセスによって、EA型変調器82に形成されるパッド電極14の下に陥凹部46を有する深い窪みを形成し、これに埋め込まれる低誘電率部を設けることができ、これにより、パッド電極14の寄生容量の低減が図られ、EA型変調器82の動作速度の高速化が可能となる。
【符号の説明】
【0053】
2 InP基板、6 メサストライプ部、8 Fe−InP層、10 上部電極、12 下部電極、14 パッド電極、20 リッジ部、22 ポリイミド樹脂層、30 第1バッファー層、32 エッチング停止層、34 第2バッファー層、36 活性層、38 クラッド層、40 コンタクト層、42 低地部、44 配線、46 陥凹部、48 台地部、50,66,68 酸化膜、52 パッシベーション膜、54 絶縁膜、56 レジストマスク、60 半絶縁性InP層、62 低誘電率部、64 窪み、80 DFBレーザ、82 EA型変調器。
【技術分野】
【0001】
本発明は光通信分野等に係る半導体光素子、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光通信の伝送速度の高速化が進んでいる。10ギガビット/秒(Gbit/s)を超える伝送速度に対応した高速動作が可能な半導体光素子を実現するためには、半導体光素子に付随する寄生容量を低減することが重要である。図1、図2は、10Gbit/sでの動作が可能な従来の半導体光素子の垂直断面図であり、それぞれ導波路に直交する断面を表している。図1に示される半導体光素子は、活性層を半絶縁半導体で埋め込む埋め込みヘテロ構造(Buried Heterostructure:BH)型の半導体レーザである。この素子は、InP(インジウム・リン)基板2上に積層された化合物半導体層に活性層4を含むメサストライプ部6を形成する。メサストライプ部6の両脇は、鉄(Fe)をドープされた半絶縁性を有するInP(Fe−InP)層8で埋め込まれて平坦化される。これにより、メサストライプ部6上部のコンタクト層に接続される上部電極(アノード電極)10とInP基板2裏面の下部電極(カソード電極)12との間の電流が活性層4にてストライプ形状の領域に制限されるストライプ構造が実現される。上部電極10は、Fe−InP層8上に配置されるワイヤボンディング用のパッド電極14に接続される。
【0003】
上述のFe−InP層8の埋込み成長は、通常600℃前後の高温で行われるため、メサストライプ部6を構成する半導体層からFe−InP層8へのドーパント(例えばZnなど)の熱拡散が起こる。図1において、点線で囲む領域16は熱拡散した領域を模式的に示している。
【0004】
BH構造の半導体光素子の寄生容量を構成する成分として、PIN接合容量Cpin、メサストライプ部6両脇の拡散容量Cdf、パッド容量Cpadが存在する。拡散容量Cdfは上述の熱拡散により増加し得る。また、パッド容量Cpadは、パッド電極14がInP基板2等との間に生じる容量であり、その面積と共に増加する。このような寄生容量の増加は動作速度の高速化の障害となる。
【0005】
この寄生容量を低減する素子構造として、図2に示す半導体光素子が提案されている。この素子は、リッジ導波路型の半導体レーザであり、InP基板2上に積層された化合物半導体層のうち活性層4より上の層にリッジ部20を形成し、活性層4にて電流が流れる領域をリッジ部20に対応した部分に制限する。リッジ部20の両脇の低地部は、例えば、ポリイミド樹脂層22(比誘電率εr=3.6)で埋め込まれる。この構造では化合物半導体層からポリイミド樹脂層22へのドーパントの熱拡散が抑制されるので拡散容量Cdfが低減される。また、ポリイミド樹脂の誘電率は、BH構造の素子で用いられるFe−InPの誘電率(εr=12.6)に比べると低く、パッド電極14は低誘電率のポリイミド樹脂層22の上に配置されるので、パッド容量Cpadも低減される。また、ポリイミド樹脂層22をパッド電極14の下で高くしてパッド電極14とInP基板2側との距離を増加させ、寄生容量を低減させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−175382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
今後の展望である25〜100Gビット/秒という、より高速の動作を実現するためには、さらなる寄生容量の低減が必須であり、上述した低容量化対策をさらに推し進める必要がある。
【0008】
この点、図2に示したように、ポリイミド樹脂層22をパッド電極14の形成位置にて凸形状としてリッジ部20より高くする構造では、パッド電極14とコンタクト層に接続される上部電極10とをつなぐ配線が、ポリイミド樹脂層22の段差の側面に形成される構造となる。この段差側面を垂直や逆テーパ状とすると、図3に示すように、電極が当該側面にて均一に形成されずカバレッジ性が悪化し、電極断線24による不発振などの不具合が発生しやすい。この問題は当該段差側面が順テーパ状の斜面であれば比較的起こりにくくなる。しかし、この場合であっても段差が大きくなると、段差を形成するエッチングでの側面形状の加工ばらつきの影響が大きくなって、電極断線による不発振などの歩留り低下が起こる。このため、ポリイミド樹脂層22の段差は3μm程度に制限されている。すなわち、段差を大きくして寄生容量を低減することには限界がある。
【0009】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、一層のパッド容量の低減と歩留まり低下防止とを可能とする半導体光素子、及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る半導体光素子は、半導体基板表面に積層された、活性層を含む化合物半導体層と、当該化合物半導体層表面に形成されたリッジ部と、前記リッジ部に対して相対的に低く形成される前記化合物半導体層表面の低地部を埋め、前記リッジ部と共にストライプ構造を形成する電流ブロック層と、前記リッジ部上部に接続される上部電極と、前記活性層に対して前記上部電極とは反対側に位置する下部電極とを有するものであって、前記電流ブロック層の上に配置され、前記上部電極に電気的に接続されるボンディング用のパッド電極と、前記低地部内の前記パッド電極下に対応する領域に一段深く形成され、前記活性層と前記下部電極との間の深さに達する陥凹部と、を有し、前記電流ブロック層が、前記パッド電極下に位置する部分として、前記化合物半導体層より低誘電率の絶縁体からなり、前記陥凹部内まで埋め込まれた低誘電率部を有するものである。
【0011】
本発明に係る上記半導体光素子において、前記陥凹部の深さは1μm以上とすることができ、前記低誘電率部は、ポリイミド等の有機材料で構成することができ、また、前記活性層としてInGaAsP(インジウム・ガリウム・ヒ素・リン)又はInGaAlAs(インジウム・ガリウム・アルミニウム・ヒ素)からなるものを備えた構成とすることができる。
【0012】
本発明の好適な態様である半導体光素子は、前記低誘電率部が下に配置された前記パッド電極をレーザ変調信号の入力端子又は出力端子として用いて構成された、変調器集積型半導体レーザ又は直接電流変調型半導体レーザである。
【0013】
本発明に係る半導体光素子の製造方法は、上記半導体光素子を製造する方法であって、前記半導体基板上に、前記活性層より下にエッチング停止層を含む前記化合物半導体層を積層する工程と、前記化合物半導体層を前記エッチング停止層より上の位置までエッチングして前記リッジ部を形成する第1エッチング工程と、前記第1エッチング工程後、前記エッチング停止層で停止するエッチングを行って前記陥凹部を形成する第2エッチング工程と、前記第2エッチング工程後、素子表面に絶縁体からなる保護膜を形成する工程と、前記保護膜の形成後、前記陥凹部及びその上に前記低誘電率部を埋め込む工程と、前記保護膜に前記リッジ部の上面へのスルーホールを形成する工程と、前記スルーホール形成後、導電体からなる前記上部電極及び前記パッド電極を形成する工程と、を有する方法である。
【0014】
上記製造方法は、前記第1エッチング工程後に、前記電流ブロック層として前記低地部に半絶縁性半導体層を埋め込む工程を有し、前記第2エッチング工程が、前記半絶縁性半導体層の形成後、前記パッド電極の下に対応する部分を選択的にエッチングするようにした製造方法を含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明の半導体光素子、及びその製造方法によれば、パッド電極の下に配置される低誘電率の絶縁体の厚みを、その表面の段差を高くせずに増加させることができ、表面の電極断線による歩留まり低下を回避しつつパッド電極の寄生容量が低減される。これにより、寄生容量を低減することができ、高速動作が可能で高品質な半導体光素子が実現可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】従来のBH型半導体レーザの垂直断面図である。
【図2】従来のリッジ導波路型半導体レーザの垂直断面図である。
【図3】従来の半導体光素子の問題点を説明するリッジ導波路型半導体レーザの垂直断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る半導体光素子であるリッジ導波路型半導体レーザの模式的な斜視図である。
【図5】図4に示す半導体光素子の模式的な垂直断面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る半導体光素子の製造方法の主要工程での素子の垂直断面図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る半導体光素子であるBH型半導体レーザの模式的な斜視図である。
【図8】図7に示す半導体光素子の模式的な垂直断面図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る半導体光素子の製造方法の主要工程での素子の垂直断面図である。
【図10】従来のBH型半導体レーザの構造を示す垂直断面図である。
【図11】本発明の第3の実施形態に係る半導体光素子であるEA変調器集積型DFBレーザの模式的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、説明を簡略にするため、各実施形態及び上記従来の構成とで技術的に共通する構成要素には同一の符号を付している。
【0018】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る半導体光素子は、リッジ導波路型の半導体レーザである。図4は、本素子の模式的な斜視図である。また、図5は、図4に示す半導体光素子の模式的な垂直断面図であり、図4の直線a−aに沿った断面を表している。
【0019】
n型のInP基板2上には、第1バッファー層30、エッチング停止層32、第2バッファー層34、活性層36、クラッド層38、コンタクト層40を含む化合物半導体層が積層される。一方、InP基板2の裏面には下部電極12が設けられる。
【0020】
化合物半導体層の活性層36より上の層をエッチングすることにより、素子表面に直線的に延びるリッジ部20が形成される。ここで、エッチングによりリッジ部20より低くなった部分を低地部42と称する。低地部42を絶縁性を有した材料で埋め込んだ後、リッジ部20の上には上部電極として上部電極10が配置され、リッジ部20の横にはボンディングワイヤ用のパッド電極14が配置され、両電極10,14は配線44により接続される。配線44はその寄生容量を小さくするために、上部電極10の長さ(リッジ部20の延在方向の寸法)や、パッド電極14の寸法に比べて比較的小さい幅に形成することが好適である。
【0021】
低地部42はリッジ部20の両側の他、パッド電極14及び配線44の下にも形成される。低地部42の底面の位置(高さ)は具体的には、活性層36の上面で規定される。リッジ部20の両側や配線44の下などにおける化合物半導体層表面はこの高さに位置する。これに対して、低地部42内のパッド電極14下に対応する領域の化合物半導体層には、図5に示すように、低地部42より窪んだ陥凹部46が形成される。陥凹部46は、活性層36と下部電極12との間の深さに達する。すなわち、陥凹部46の底面の高さは活性層36より下にある。陥凹部46の底面の高さは具体的には、エッチング停止層32の上面で規定される。陥凹部46は活性層36を突き抜けるが、それにより生じる活性層36の断面はリッジ部20に対応した位置、すなわち電流が集中する部分から離れており、当該断面が素子特性に与える影響は抑制される。
【0022】
陥凹部46及び低地部42には電流ブロック層としてポリイミド樹脂層22が埋め込まれる。ポリイミド樹脂層22は化合物半導体層と比較して低い誘電率(例えばεr=3.6)を有する絶縁体であり、本実施形態では、パッド電極14下にて陥凹部46内まで埋め込まれるポリイミド樹脂層22が、パッド電極14とInP基板2又は下部電極12との間の低誘電率部を構成する。
【0023】
パッド電極14に対応した領域にてポリイミド樹脂層22の表面は、その周囲より一段高く形成され、この高くなった台地部48の上にパッド電極14が配置される。なお、台地部48の段差側面は順テーパの斜面に形成され、この上に配置される配線44の段切れを防止している。
【0024】
パッド電極14の下のポリイミド樹脂層22は、陥凹部46を設けたことにより他の部分よりも厚く形成され、これによりパッド電極14の寄生容量が低減される。さらに、パッド電極14の下のポリイミド樹脂層22に台地部48を設けることにより、寄生容量を一層低減させることができる。ここで、台地部48を高くしてポリイミド樹脂層22の厚みを増すことは上述したように配線44の段切れが起こりやすくなる懸念があるのに対し、陥凹部46を深くしてポリイミド樹脂層22の厚みを増すことには配線44の段切れの問題が生じない。陥凹部46の深さはエッチング停止層32の上に積層する第2バッファー層34の厚みを増すことで増加させることができる。例えば、第2バッファー層34は有機金属気相成長(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:MOCVD)法を用いて5〜6μmといった厚さ、つまり台地部48の高さ制限を超える厚みに形成することができる。
【0025】
次に、本半導体光素子の製造方法について説明する。図6は、本半導体光素子の製造方法の主要工程での素子の垂直断面図であり、その断面は図5と同じく図4の直線a−aを通る位置にある。
【0026】
まず、InP基板2上にMOCVD法を用い、化合物半導体層として、第1バッファー層30、エッチング停止層32、第2バッファー層34、活性層36、クラッド層38、コンタクト層40を含む多層構造が積層される。第1バッファー層30はn型のInPからなり、InP基板2表面に積層され、その厚さは例えば、0.5μmである。
【0027】
第1バッファー層30の上にエッチング停止層32が積層される。エッチング停止層32は、その上に積層される第2バッファー層34に陥凹部46を形成するエッチングに対して耐蝕性を有する材料からなり、例えば、n型のInGaAsPで形成され、厚さは例えば、20nmに設定される。
【0028】
第2バッファー層34はn型InPからなり、厚さは、所望の陥凹部46の深さに応じて設定され、例えば、5μmとされる。
【0029】
第2バッファー層34の積層後、活性層36が形成される。活性層36は、多層構造を有し多重量子井戸を形成する。例えば、活性層36は、アンドープのInGaAsP又はInGaAlAsを用いて形成される。
【0030】
活性層36の積層後、クラッド層38が積層される。クラッド層38はp型InPからなり、厚さは例えば、1.5μmである。コンタクト層40は例えば、p型InGaAsを用いて、クラッド層38の上に例えば、0.2μmの厚みに積層される。
【0031】
上述のように形成された化合物半導体層の表面にCVD酸化膜(例えば、厚さ0.1μm)を形成し、当該酸化膜をフォトリソグラフィ技術によりパターニングする。このパターニング後の酸化膜50をエッチングマスクとして用い、まず、コンタクト層40をエッチングする。これにより、リッジ部20を形成する位置にストライプ状にコンタクト層40が残され、一方、当該ストライプ状のコンタクト層40の両側を含む領域(低地部42の形成予定領域)からコンタクト層40が除去される(図6(A))。ストライプ状のコンタクト層40aの幅は例えば、2.0μmとすることができる。直線a−a断面において、リッジ部20の右側には低地部42としてリッジ部20に沿った溝だけが形成されるのに対し、左側にはパッド電極14下の低地部42も形成されるので、図6(A)において、酸化膜50の開口幅も右側より左側が大きくなるように示している。例えば、右側の開口は、リッジ部20に沿った溝の幅に対応した幅に設定され、例えば、幅10μmに設定される。一方、左側の開口幅は例えば50μmとする。
【0032】
その後、塩酸と燐酸との混合液によるウェットエッチングを用いてクラッド層38をエッチングして、図6(B)に示すような逆メサ断面形状のリッジ導波路であるリッジ部20を形成する。リッジ部20が形成されると同時に、エッチングでクラッド層38を除去された領域が低地部42となる。なお、このクラッド層38を除去するエッチング工程(第1エッチング工程)では、活性層36がエッチング停止層として機能する。
【0033】
次に、CVD法により酸化膜を素子表面全体に形成し、さらにその上に、フォトレジスト膜を塗布する。酸化膜の厚さは例えば、0.5μmとされる。フォトレジスト膜をパターニングし、低地部42の底面のうち陥凹部46を形成する領域に開口を有したレジストマスクを形成する。例えば、この開口の幅は30μmとされる。このレジストマスクを用いて、ウェットエッチングにより酸化膜をパターニングする。その後、レジストマスクは除去され、パターニングされた酸化膜が以下に述べる第2エッチング工程のエッチングマスクとして用いられる。第2エッチング工程では、まず、硫酸と過酸化水素、水の混合液によるウェットエッチングを行い、陥凹部46となる位置の活性層36を除去する。さらに、塩酸と燐酸の混合液によるウェットエッチングを行い、陥凹部46となる位置の第2バッファー層34を除去する。この第2バッファー層34のエッチングは、エッチング停止層32が露出するまで行われる。このように本製造方法では選択エッチング法を用いているため、陥凹部46の深さを好適な精度で制御できる。第2エッチング工程後、エッチングマスクとして用いた酸化膜は除去される。
【0034】
次に、CVD法によりパッシベーション膜52を例えば、0.5μmの膜厚で素子表面全体、すなわち、リッジ部20、低地部42、陥凹部46の表面に形成する。その後、ポリイミド樹脂を素子表面全体に塗布し、ポリイミド樹脂層22を形成する(図6(C))。
【0035】
ポリイミド樹脂層22の上に形成されるパッド電極14の密着性を向上させるため、ポリイミド樹脂層22の表面に絶縁膜54を形成する。この絶縁膜54は、プラズマCVDによりポリイミド樹脂層22の表面に堆積させた絶縁膜を、フォトリソグラフィ技術及びウェットエッチングによりパターニングして、パッド電極14に対応する領域に配置される。
【0036】
続いて、リッジ部20及び低地部42が設けられた領域を覆うレジストマスク56を形成してドライエッチングを行い、ポリイミド樹脂層22のエッチバックを行う(図6(D))。次に、レジストマスク56を除去し、台地部48となる領域に新たにレジストマスクを形成してエッチバック法により、台地部48となる領域以外を平坦にエッチングする。エッチバックはリッジ部20上面が現れるまで行われる。このエッチバック処理により台地部48が形成される。エッチバック処理が完了すると、レジストマスクを除去する。さらに、リッジ部20上面のパッシベーション膜52を除去して、リッジ部20上部のコンタクト層40aへのスルーホールが形成される(図6(E))。
【0037】
その後、電子ビーム(Electron Beam:EB)蒸着法によりTi/Pt/Auからなる厚さ1μm程度の電極層を形成する。電極層はイオンミリングによりパターニングされ、コンタクト層40aに接触する上部電極10と、これにつながる配線44及びパッド電極14が形成される。InP基板2の裏面には、研磨後、下部電極12が形成される(図6(F))。これら電極の形成後、素子は電極アロイ等の工程を経る。
【0038】
以上のウェハ状態での素子製造工程が完了すると、ウェハはリッジに直交する方向に劈開され、バー状の断片にされる。バーの幅(短辺のサイズ)は所望のキャビティ長に設定され、例えば、200μmとされる。バー状の断片は、その劈開面に反射保護膜を形成される。その後、断片の長辺方向に複数配列された素子はチップに分離される。
【0039】
上述の実施形態にて例示した数値にて作製した半導体レーザの伝送速度を評価した結果、従来構造と比較して1〜2Gbit/s向上しており、本発明による良好な結果が確認できた。
【0040】
[第2の実施形態]
上述の第1の実施形態は、リッジ導波路型の半導体レーザに本発明を適用したものであったが、本発明はBH型の半導体レーザにも適用することができる。以下、説明する第2の実施形態に係る半導体光素子はこのBH型半導体レーザである。図7は、本素子の模式的な斜視図である。また、図8は、図7に示す半導体光素子の模式的な垂直断面図であり、図7の直線a−aに沿った断面を表している。また、図9は、本半導体光素子の製造方法の主要工程での素子の垂直断面図であり、その断面は図8と同じく図7の直線a−aを通る位置にある。
【0041】
本素子は、InP基板2上に積層された、第1の実施形態と同様の構造の化合物半導体層をエッチングしてメサストライプ部6が形成される。メサストライプ部6の両側の低地部42は半絶縁性InP層60で埋め込まれ、パッド電極14下に配置される低誘電率部62は、半絶縁性InP層60を貫通する窪み64に埋め込まれる。
【0042】
この構造を本素子の製造方法を説明しつつ、より詳細に述べる。InP基板2に積層される化合物半導体層は、第1の実施形態と同様、活性層36より下にエッチング停止層32が形成されると共に、エッチング停止層32と活性層36との間には比較的厚い第2バッファー層34が設けられる。例えば、第2バッファー層34は厚さ5μmとされる。
【0043】
メサストライプ部6を形成する第1のエッチング工程では、化合物半導体層の表面に例えば、CVD法によって酸化膜(例えば、厚さ0.5μm)を形成し、当該酸化膜をフォトリソグラフィ技術によりパターニングして、メサストライプ部6の形成領域に酸化膜66を形成する。例えば、ストライプパターンの酸化膜66の幅は1〜2.5μm程度とされる。
【0044】
この酸化膜66をエッチングマスクとして用い、化合物半導体層をドライエッチングする。このエッチングは、メサストライプ部6に活性層36が含まれるように、第2バッファー層34に達してから停止される。例えば、当該エッチングは、第2バッファー層34に達してから、さらに1.0μm程度深く掘り込む。引き続いて、ドライエッチダメージ除去のため、ドライエッチングにより露出した表面を臭素系溶液により0.1μm程度エッチングする。これにより、メサストライプ部6が形成される。同時に、当該エッチングで化合物半導体層を除去された領域が低地部42となる。
【0045】
メサストライプ部6の上面に酸化膜66をマスクとして配した状態で、低地部42に、MOCVD法によりFeまたはRu(ルテニウム)をドープした半絶縁性InP層60が埋め込み成長される。半絶縁性InP層60はメサストライプ部6の上面を越える高さまで積層することができる(図9(A))。半絶縁性InP層60の形成後、酸化膜66は除去される。
【0046】
次に、CVD法により酸化膜68を素子表面全体に形成し、さらにその上に、フォトレジスト膜を塗布する。酸化膜68の厚さは例えば、0.5μmとされる。フォトレジスト膜をパターニングし、陥凹部46を形成する領域に開口を有したレジストマスクを形成する。例えば、この開口の幅は30μmとされる。このレジストマスクを用いて、ウェットエッチングにより酸化膜68をパターニングする。その後、レジストマスクは除去され、パターニングされた酸化膜68が以下に述べる第2エッチング工程のエッチングマスクとして用いられる。
【0047】
第2エッチング工程では、塩酸と燐酸の混合液によるウェットエッチングを行い、半絶縁性InP層60と第2バッファー層34を除去する(図9(B))。第2バッファー層34のエッチングは、エッチング停止層32が露出するまで行われる。第2エッチング工程では、低地部42の底面より下に残る第2バッファー層34が除去され、低地部42の底面位置より窪んだ陥凹部46が形成される。上述のように本製造方法では、選択エッチング法を用いているため、陥凹部46を含む窪み64の深さを好適な精度で制御できる。第2エッチング工程後、エッチングマスクとして用いた酸化膜は除去される。
【0048】
本素子の製造方法における以降の工程、例えば、上部電極10、配線44、パッド電極14、下部電極12の形成やウェハからのチップの切り出しなどは第1の実施形態で説明した工程と同様である(図9(C))。
【0049】
上述の実施形態にて例示した数値にて作製した半導体レーザの伝送速度を評価した結果、図10に示す従来構造と比較して1〜2Gbit/s向上しており、本発明による良好な結果が確認できた。
【0050】
[第3の実施形態]
上述した第1及び第2の実施形態は、直接電流変調型半導体レーザであり、パッド電極14に印加する変調信号に応じて、活性層36での発光を直接変調するものである。一方、本発明は、半導体レーザ、変調器などが集積形成された半導体光素子にも適用することができる。
【0051】
図11は、第3の実施形態に係る半導体光素子の模式的な斜視図である。本素子は、分布帰還(Distributed Feed Back:DFB)レーザ80の前方に電界吸収(Electro Absorption:EA)型変調器82をモノリシックに集積したEA変調器集積型DFBレーザである。
【0052】
本素子も第1、第2の実施形態と同様のプロセスによって、EA型変調器82に形成されるパッド電極14の下に陥凹部46を有する深い窪みを形成し、これに埋め込まれる低誘電率部を設けることができ、これにより、パッド電極14の寄生容量の低減が図られ、EA型変調器82の動作速度の高速化が可能となる。
【符号の説明】
【0053】
2 InP基板、6 メサストライプ部、8 Fe−InP層、10 上部電極、12 下部電極、14 パッド電極、20 リッジ部、22 ポリイミド樹脂層、30 第1バッファー層、32 エッチング停止層、34 第2バッファー層、36 活性層、38 クラッド層、40 コンタクト層、42 低地部、44 配線、46 陥凹部、48 台地部、50,66,68 酸化膜、52 パッシベーション膜、54 絶縁膜、56 レジストマスク、60 半絶縁性InP層、62 低誘電率部、64 窪み、80 DFBレーザ、82 EA型変調器。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板表面に積層された、活性層を含む化合物半導体層と、当該化合物半導体層表面に形成されたリッジ部と、前記リッジ部に対して相対的に低く形成される前記化合物半導体層表面の低地部を埋め、前記リッジ部と共にストライプ構造を形成する電流ブロック層と、前記リッジ部上部に接続される上部電極と、前記活性層に対して前記上部電極とは反対側に位置する下部電極とを有する半導体光素子であって、
前記電流ブロック層の上に配置され、前記上部電極に電気的に接続されるボンディング用のパッド電極と、
前記低地部内の前記パッド電極下に対応する領域に一段深く形成され、前記活性層と前記下部電極との間の深さに達する陥凹部と、
を有し、
前記電流ブロック層は、前記パッド電極下に位置する部分として、前記化合物半導体層より低誘電率の絶縁体からなり、前記陥凹部内まで埋め込まれた低誘電率部を有すること、
を特徴とする半導体光素子。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体光素子において、
前記陥凹部の深さが1μm以上であることを特徴とする半導体光素子。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の半導体光素子において、
前記低誘電率部は、有機材料であることを特徴とする半導体光素子。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の半導体光素子において、
前記活性層は、InGaAsP又はInGaAlAsからなることを特徴とする半導体光素子。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の半導体光素子において、
前記低誘電率部が下に配置された前記パッド電極をレーザ変調信号の入力端子又は出力端子として用いて構成された、変調器集積型半導体レーザ又は直接電流変調型半導体レーザを備えることを特徴とする半導体光素子。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の半導体光素子を製造する製造方法であって、
前記半導体基板上に、前記活性層より下にエッチング停止層を含む前記化合物半導体層を積層する工程と、
前記化合物半導体層を前記エッチング停止層より上の位置までエッチングして前記リッジ部を形成する第1エッチング工程と、
前記第1エッチング工程後、前記エッチング停止層で停止するエッチングを行って前記陥凹部を形成する第2エッチング工程と、
前記第2エッチング工程後、素子表面に絶縁体からなる保護膜を形成する工程と、
前記保護膜の形成後、前記陥凹部及びその上に前記低誘電率部を埋め込む工程と、
前記保護膜に前記リッジ部の上面へのスルーホールを形成する工程と、
前記スルーホール形成後、導電体からなる前記上部電極及び前記パッド電極を形成する工程と、
を有することを特徴とする半導体光素子の製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の製造方法であって、
前記第1エッチング工程後に、前記電流ブロック層として前記低地部に半絶縁性半導体層を埋め込む工程を有し、
前記第2エッチング工程は、前記半絶縁性半導体層の形成後、前記パッド電極の下に対応する部分を選択的にエッチングすること、
を特徴とする半導体光素子の製造方法。
【請求項1】
半導体基板表面に積層された、活性層を含む化合物半導体層と、当該化合物半導体層表面に形成されたリッジ部と、前記リッジ部に対して相対的に低く形成される前記化合物半導体層表面の低地部を埋め、前記リッジ部と共にストライプ構造を形成する電流ブロック層と、前記リッジ部上部に接続される上部電極と、前記活性層に対して前記上部電極とは反対側に位置する下部電極とを有する半導体光素子であって、
前記電流ブロック層の上に配置され、前記上部電極に電気的に接続されるボンディング用のパッド電極と、
前記低地部内の前記パッド電極下に対応する領域に一段深く形成され、前記活性層と前記下部電極との間の深さに達する陥凹部と、
を有し、
前記電流ブロック層は、前記パッド電極下に位置する部分として、前記化合物半導体層より低誘電率の絶縁体からなり、前記陥凹部内まで埋め込まれた低誘電率部を有すること、
を特徴とする半導体光素子。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体光素子において、
前記陥凹部の深さが1μm以上であることを特徴とする半導体光素子。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の半導体光素子において、
前記低誘電率部は、有機材料であることを特徴とする半導体光素子。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の半導体光素子において、
前記活性層は、InGaAsP又はInGaAlAsからなることを特徴とする半導体光素子。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の半導体光素子において、
前記低誘電率部が下に配置された前記パッド電極をレーザ変調信号の入力端子又は出力端子として用いて構成された、変調器集積型半導体レーザ又は直接電流変調型半導体レーザを備えることを特徴とする半導体光素子。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の半導体光素子を製造する製造方法であって、
前記半導体基板上に、前記活性層より下にエッチング停止層を含む前記化合物半導体層を積層する工程と、
前記化合物半導体層を前記エッチング停止層より上の位置までエッチングして前記リッジ部を形成する第1エッチング工程と、
前記第1エッチング工程後、前記エッチング停止層で停止するエッチングを行って前記陥凹部を形成する第2エッチング工程と、
前記第2エッチング工程後、素子表面に絶縁体からなる保護膜を形成する工程と、
前記保護膜の形成後、前記陥凹部及びその上に前記低誘電率部を埋め込む工程と、
前記保護膜に前記リッジ部の上面へのスルーホールを形成する工程と、
前記スルーホール形成後、導電体からなる前記上部電極及び前記パッド電極を形成する工程と、
を有することを特徴とする半導体光素子の製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の製造方法であって、
前記第1エッチング工程後に、前記電流ブロック層として前記低地部に半絶縁性半導体層を埋め込む工程を有し、
前記第2エッチング工程は、前記半絶縁性半導体層の形成後、前記パッド電極の下に対応する部分を選択的にエッチングすること、
を特徴とする半導体光素子の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−9456(P2011−9456A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−151332(P2009−151332)
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(301005371)日本オプネクスト株式会社 (311)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(301005371)日本オプネクスト株式会社 (311)
【Fターム(参考)】
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