説明

半導体材料からなる型上に半導体材料の物品を製造する方法

本発明は、半導体材料からなる型上に半導体材料の物品を製造する方法および、光電池の製造に有用であろう半導体材料の物品などの、それにより形成された半導体材料物品に関する。

【発明の詳細な説明】
【優先権】
【0001】
本出願は、「半導体材料からなる型上に半導体材料の物品を製造する方法」と題する、2009年5月14日に出願された米国特許出願第12/466143号に優先権を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本発明は、半導体材料からなる型上に半導体材料の物品を製造する方法および、光電池の製造に有用であろう半導体材料の物品などの、それにより形成された半導体材料物品に関する。
【背景技術】
【0003】
半導体材料には多くの用途が見出されている。例えば、半導体材料は、半導体ウェーハ上に形成されたプロセッサとしての電子素子に使用できる。さらに別の例として、半導体材料は、光電効果により太陽放射を電気エネルギーに変換するために使用してもよい。
【0004】
半導体材料の半導体特性は、材料の結晶構造に依存するであろう。ドーパント、不純物および他の欠陥が、その結果として生じる特性に影響するであろう。例えば、微量の遷移金属、酸素、または炭素が、導電率やキャリアの寿命に影響するであろう。
【0005】
多くの場合、粒径および形状分布が半導体素子の性能に重要な役割を果たす。一般に、半導体素子には、より大きくより均一な粒径が望ましい。例えば、光電池の効率および導電率が、粒子の粒径および均一性の両方を増加させることによって改善されるであろう。
【0006】
シリコン系の太陽光電池について、シリコンは、例えば、支持されていないインゴット、シートまたはリボンとして形成しても、もしくはシリコンを基板上に形成することによって支持しても差し支えない。シリコンシートなどの半導体材料の支持されていない物品と支持された物品を製造するための従来の方法には、いくつか欠点がある。
【0007】
支持されていない、すなわち、一体となる基板のない、薄い半導体材料シートを製造する方法は、遅いか、または半導体材料の供給原料の無駄が多いであろう。支持されていない単結晶半導体材料を製造する方法の例としては、チョクラルスキー法(Czockralski process)が挙げられ、このプロセスにより、材料が薄いシートまたはウェーハに切断されるときに著しい切り口損失がもたらされるであろう。支持されていない多(マルチ)結晶(multicrystalline)半導体材料を製造する方法の追加の例としては、電磁鋳造およびリボン成長技法が挙げられ、これは遅く、多(ポリ)結晶(polycrystalline)シリコンリボン成長技術では約1〜2cm/分しか製造されないであろう。
【0008】
支持された半導体材料シートは、それほど費用がかからずに製造されるであろうが、この薄い半導体材料シートは、それが上に製造される基板により制限されるであろうし、その基板は、相反するかもれない様々なプロセスおよび用途の要件を満たさなければならないであろう。
【0009】
支持されていない多(ポリ)結晶半導体材料を製造する有用な方法が、「METHOD OF MAKING AN UNSUPPORTED ARTICLE OF A PURE OR DOPED SEMICONDUCTING ELEMENT OR ALLOY」と題する、2008年2月29日に出願された、同一出願人による特許文献1および「METHOD OF MAKING AN UNSUPPORTED ARTICLE OF A PURE OR DOPED SEMICONDUCTING ELEMENT OR ALLOY」と題する、2009年2月27日に出願された特許文献2に開示されており、それらの開示をここに引用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国仮特許出願第61/067679号明細書
【特許文献2】国際特許出願第PCT/US09/01268号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
それゆえ、半導体材料の物品の不純物の量を減少させ、欠陥の量を減少させ、結晶粒構造を改善し、材料の廃棄を減少させ、および/または生産速度を増加させる、半導体材料の物品を製造する方法がこの業界において長い間必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
ここに記載するように、本出願の発明者等は、半導体材料の支持されていない物品および支持された物品を製造するさらに別の方法を発見した。
【0013】
本発明の様々な例示の実施の形態によれば、半導体材料からなる型上に半導体材料の物品を製造する方法であって、溶融した第1の半導体材料をバルク温度TSで提供する工程、TS>Tとなるように温度Tで第2の半導体材料からなる型を提供する工程、型の外面を粒子で必要に応じて被覆する工程、型の外面を覆って第1の半導体材料から少なくとも部分的になる固体層を形成するのに十分な時間に亘り、溶融した第1の半導体材料中に型を浸漬する工程、および溶融した第1の半導体材料から固体層を有する型を引き上げる工程を有してなる方法が提供される。様々な実施の形態において、この方法は、型から固体層を分離して、半導体材料の支持されていない物品を形成する工程をさらに含んでもよい。
【0014】
本発明の他の例示の実施の形態は、半導体材料の物品を製造する方法であって、溶融した第1の半導体材料をバルク温度TSで提供する工程、TS>Tとなるように温度Tで第2の半導体材料からなる型を提供する工程、型の外面を粒子で必要に応じて被覆する工程、型の外面を覆って第1の半導体材料から少なくとも部分的になる固体層を形成するのに十分な時間に亘り、溶融した第1の半導体材料中に型を浸漬する工程であって、型の温度が、溶融した第1の半導体材料の温度によってのみ変えられる工程、および溶融した第1の半導体材料から固体層を有する型を引き上げる工程を有してなる方法に関する。様々な実施の形態において、この方法は、型から固体層を分離して、半導体材料の支持されていない物品を形成する工程をさらに含んでもよい。
【0015】
本発明の他の例示の実施の形態は、半導体材料の物品中の不純物を減少させる方法であって、溶融した第1の半導体材料をバルク温度TSで提供する工程、TS>Tとなるように温度Tで第2の半導体材料からなる型を提供する工程、型の外面を粒子で必要に応じて被覆する工程、型の温度が、溶融した第1の半導体材料の温度によってのみ変えられるように、型の外面を覆って第1の半導体材料から少なくとも部分的になる固体層が形成するのに十分な時間に亘り、溶融した第1の半導体材料中に型を浸漬する工程、および溶融した第1の半導体材料から固体層を有する型を引き上げる工程を有してなる方法に関する。様々な実施の形態において、この方法は、型から固体層を分離して、半導体材料の支持されていない物品を形成する工程をさらに含んでもよい。
【0016】
本発明の例示の実施の形態は、ここに記載された方法のいずれにより形成された半導体材料の物品にも関する。
【0017】
本発明のさらに別の例示の実施の形態は、半導体材料の物品を形成するための半導体材料型であって、外面および外面上の粒子を含む型に関する。
【0018】
本発明による方法は、少なくともいくつかの実施の形態において、半導体材料の物品の結晶粒子構造を改善し、半導体材料の物品中の不純物の量および/または欠陥の量を減少させ、材料の廃棄を減少させ、および/または半導体材料の生産速度を増加させるであろう。
【0019】
ここに用いたように、「半導体材料」という用語は、例えば、シリコン、シリコンの合金と化合物、ゲルマニウム、ゲルマニウムの合金と化合物、スズの合金と化合物、ヒ化ガリウム、ヒ化ガリウムの合金と化合物、およびそれらの混合物などの、半導体特性を示す材料を含む。様々な実施の形態において、半導体材料は、純粋(例えば、真性またはi型シリコンなど)であっても、ドープされていても(例えば、それぞれ、リンまたはホウ素などの、少なくとも1種類のn型またはp型ドーパントを含有するシリコンなど)よい。
【0020】
ここに用いたように、「半導体材料の物品」という用語は、本発明の方法を使用して製造された半導体材料のどのような形状または形態も含む。そのような物品の例としては、滑らかなまたはテキスチャーの付いた物品;平らな、湾曲した、曲げられた、または角度の付いた物品;および対称のまたは非対称の物品が挙げられる。半導体材料の物品は、例えば、シートまたは管などの形態を含んでよい。
【0021】
ここに用いたように、「支持されていない」という用語は、半導体材料の物品が型と一体ではないことを意味する。支持されていない物品は、形成されている間に型に接続されていてもよいが、半導体材料の物品は、型上に形成された後に型から分離される。しかしながら、支持されていない物品は、その後、光起電用途などの様々な用途のために、基板に施されてもよい。
【0022】
ここに用いたように、「支持された」という用語は、半導体材料の物品が型と一体になっていることを意味する。支持された物品は、さらなる加工のために型上に留まっていてもよく、その後、半導体材料の物品は、型から取り外されても、されなくてもよく、もしくは型が、半導体材料の物品の支持体または基体として働いてもよい。
【0023】
ここに用いたように、「型」という用語は、半導体材料の物品の最終形状に影響を与え得る物理的構造を意味する。溶融したまたは固化した半導体材料は、ここに記載された方法において型の表面と実際に物理的に接触する必要はないが、型の表面と、溶融したまたは固化した半導体材料とが接触してもよい。ここに用いた「半導体材料の型」は、半導体材料からなるどのような型をも含むことが意図される。
【0024】
ここに用いたように、「型の外面」という用語は、浸漬の際に溶融した半導体材料に曝露されてもよい型の表面を意味する。例えば、管形の型の内面が、型が浸漬されたときにその内面が溶融した半導体材料と接触できる場合には、外面であろう。「型の外面」への言及は、型の外面の少なくとも一部を意味する。
【0025】
ここに用いたように、「第1の半導体材料」という語句は、溶融した半導体材料の半導体材料を特定するために使用される。したがって、「溶融した半導体材料」という語句は、「溶融した第1の半導体材料」という語句と交換可能に使用される。
【0026】
ここに用いたように、「第2の半導体材料」という語句は、型の半導体材料を特定するために使用される。したがって、「半導体材料の型」という語句およびその変形は、「第2の半導体材料からなる型」という語句およびその変形と交換可能に使用される。様々な実施の形態によれば、第1と第2の半導体材料は、実質的に同じまたは異なる半導体材料からなってよい。第1と第2の半導体材料が実質的に同じ場合、第1と第2の半導体材料の少なくとも一方は、例えば、ドーパントなどの少なくとも1種類の追加の成分をさらに含んでもよい。
【0027】
ここに用いたように、「型の外面を覆って第1の半導体材料から少なくとも部分的になる固体層を形成する」という語句およびその変形は、溶融した半導体材料からの第1の半導体材料の少なくともいくらかが型の外面上またはその近くで固化する(ここでは、凝固するまたは結晶化するとも称される)ことを意味する。「第1の半導体材料から少なくとも部分的になる固体層」、「半導体材料の固体層」、および「固体層」という語句は、型の外面を覆って固化した第1の溶融した半導体材料から少なくとも部分的になる層を特定するために交換可能に使用される。固体層は、様々な実施の形態において、例えば、第2の半導体材料が、溶融した第1の半導体材料中で部分的に溶融し、次いで、再凝固した場合、第2の半導体材料も含む。様々な他の実施の形態において、溶融した第1の半導体材料および第2の半導体材料の少なくとも一方が少なくとも1種類のドーパントを含む場合、半導体材料の固体層は少なくとも1種類のドーパントを含んでよい。
【0028】
型の外面を覆って半導体材料の固体層を形成することは、いくつかの実施の形態において、型の外面を被覆する粒子の層上に半導体材料を固化させることを含む。様々な実施の形態において、型と溶融した半導体材料との間の温度差のために、半導体材料は、型の表面と物理的に接触する前に固化してもよい。半導体材料が、型と物理的に接触する前に固化する場合、固化した半導体材料との間は、いくつかの実施の形態において、その後、型と、または型を被覆する粒子と、物理的に接触してもよい。半導体材料は、いくつかの実施の形態において、型の外面と、または存在する場合には、型の表面を被覆する粒子と、物理的に接触した後に固化してもよい。
【0029】
ここに用いたように、「不純物の量を減少させる」という語句およびその変形は、不純物の存在のどのような減少も含み、この不純物は、どのような望ましくない材料も、または例えば、炭化ケイ素からなる型を使用した方法などの、従来の方法に関して形成された半導体物品中に存在するドーパントおよび半導体材料以外のどのような材料も含む。
【0030】
ここに用いたように、「半導体材料の物品中の欠陥の量を減少させる」という語句およびその変形は、半導体材料の物品を製造するための従来の方法に関する、例えば、転位および粒界などの、半導体材料の物品の結晶構造中に存在する欠陥の量のどのような減少も含む。
【0031】
ここに用いたように、「増加した生産速度」という語句およびその変形は、リボン成長方法などの、半導体材料を製造するための従来の方法に関する半導体材料の物品の生産速度におけるどのような増加も含む。例えば、増加した生産速度は、1〜2cm/分超のどのような速度であってもよい。
【0032】
ここに用いたように、「減少した材料廃棄」という語句およびその変形は、半導体材料の物品の製造後の薄切りまたは切断を使用した従来の方法により失われる半導体材料の量におけるどのような減少をも意味する。
【0033】
ここに用いたように、「結晶の」という用語は、例えば、単結晶および多(マルチ)結晶の半導体材料を含む、結晶構造を含むどのような材料をも意味する。
【0034】
ここに用いたように、「多(マルチ)結晶の」という用語は、複数の結晶粒からなるどのような材料も含む。例えば、多(マルチ)結晶材料は、多(ポリ)結晶、微結晶、およびナノ結晶材料を含んでよい。
【0035】
ここに用いたように、「溶融した半導体材料の温度」、「溶融した半導体材料のバルク温度」という用語およびその変形は、容器内に収容された溶融した半導体材料の平均温度を意味する。溶融した半導体材料内の局部温度は、例えば、型が浸漬されたときに型に近い溶融した半導体材料内の区域、または容器の上面で大気条件に曝露された溶融した半導体材料、などのいずれかの時点で空間的に変動するであろう。様々な実施の形態において、溶融した半導体材料の平均温度は、どのような局部温度の変動にもかかわらず、実質的に均一である。
【0036】
ここに記載したように、本発明は、半導体材料の物品を製造する方法、およびそれによって形成される半導体材料の物品に関する。以下の説明において、特定の態様および実施の形態が明らかになる。本発明は、広い意味で、これらの態様および実施の形態の1つ以上の特徴を有さずに実施しても差し支えないことが理解されよう。これらの態様および実施の形態は、単なる例示と説明であって、特許請求の範囲に記載された本発明を制限するのではないことが理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
下記に説明され、本明細書に包含され、その一部を構成する以下の図面は、本発明の例示の実施の形態を示しており、本発明は他の均しく効果的な実施の形態を認めるので、本発明の範囲を制限するものと考えるべきではない。これらの図面は、必ずしも一定の縮尺で描かれておらず、図面のある特徴およびある視野は、明白さと簡潔さのために、縮尺または図式が誇張されて示されているかもしれない。
【図1】本発明の実施の形態による半導体材料の支持されていない物品を製造するための例示の方法の説明図
【図2】本発明の実施の形態による、様々な型厚に関する浸漬時間での型温度(℃)(x軸)およびシリコン膜の最大厚さ(マイクロメートル)(y軸)の間の例示の関係を示すグラフ
【図3】本発明の実施の形態による、型に形成された固体シリコン層の厚さ(マイクロメートル)(y軸)および溶融シリコン中の型の浸漬時間(秒)(x軸)の間の例示の関係を示すグラフ
【図4】本発明の実施の形態による、型が溶融した半導体材料から引き上げられる速度(cm/秒)(x軸)の関数としての溶融した半導体材料のドラッグ層の例示の厚さ(マイクロメートル)(y軸)を示すグラフ
【図5】本発明の実施の形態による、溶融した半導体材料中に浸漬されるときの型の例示の浸漬角度の説明図
【発明を実施するための形態】
【0038】
先の一般的な説明および以下の詳細な説明は、単なる例示と説明であり、本発明を制限するものではないことが理解されよう。本発明の他の実施の形態は、本明細書の検討およびここに開示された本発明の実施から、当業者には明白であろう。
【0039】
図1は、半導体材料の支持されていない物品を製造する例示の方法を示している。図1に示された例示の方法と類似の方法を使用して、例えば、最終的な分離工程の前に停止することによって、支持された物品を製造しても差し支えない。
【0040】
図1に示された例示の方法は、型のキャビティを充填するよりもむしろ、型の外面などの表面上に物品を鋳造する、外部鋳造(exocasting)プロセスである。図1に示された例示の方法において、所望のサイズ、表面積、形状および表面テキスチャー/パターンを備えた外面102を有する型100が提供される。型100の外面102の表面積、形状、および表面テキスチャー/パターンにより、鋳造物品のサイズ、形状および表面テキスチャー/パターンが決定されるであろう。当業者には、型100の外面102のサイズ、形状、および表面テキスチャー/パターンが、例えば、鋳造物品の所望の性質および特徴に基づいて選択できることが理解されよう。
【0041】
少なくとも1つの実施の形態において、型100は、溶融した半導体材料104と相溶性である半導体材料からなる。少なくとも1つの実施の形態において、型100は、溶融した半導体材料104と同じ材料からなる。理論により拘束することを意図するものではないが、溶融した半導体材料104と同じ材料から製造された型100を使用すると、形成される半導体材料の物品中の不純物の量が減少すると考えられる。少なくとも1つの実施の形態において、型100および溶融した半導体材料104は、同じ半導体材料からなってよく、ここで、型100および溶融した半導体材料104の少なくとも一方は、例えば、ドーパントなどの少なくとも1種類の追加の材料をさらに含む。型100は、様々な実施の形態において、型が、溶融した半導体材料104との接触により加熱されるときに、型100が、例えば、不均一で急激な熱膨張から、または捕捉されたガスから生じる大きい熱応力のために、亀裂を生じたり、ひびが入ったり、爆発したりしないような材料からなってよい。
【0042】
少なくとも1つの実施の形態において、型100は、シリコン、シリコンの合金と化合物、ゲルマニウム、ゲルマニウムの合金と化合物、ヒ化ガリウム、ヒ化ガリウムの合金と化合物、スズの合金と化合物、およびそれらの混合物からなる群より選択される材料から製造される。様々な実施の形態によれば、型100は、実質的に純粋な半導体材料であっても、または例えば、リン、ホウ素、またはアルミニウムなどの少なくとも1種類のドーパントをさらに含んでもよい。例えば、半導体材料からなる型100は、1ppm未満の鉄、マンガン、およびクロム、および/または1ppb未満のバナジウム、チタン、およびジルコニウムを含んでもよい。半導体材料からなる型100は、1015原子/cm3未満の窒素および/または1017原子/cm3未満の炭素を含んでもよい。少なくとも1つの実施の形態において、半導体材料の供給源は、光起電グレードまたはより純粋なシリコンであってよい。様々な実施の形態において、型100は、例えば、シリコン、シリコン合金、および/またはシリコン混合物からなってよい。様々な実施の形態による型100は、酸化物の層を含んでもよい。例えば、1つの実施の形態において、シリコンから製造された型100は、天然酸化物の薄層を含んでもよい。他の実施の形態において、この酸化物は、例えば、酸化物層をフッ化水素酸により除去するなど、溶融した半導体材料104中の浸漬前に除去してもよい。
【0043】
型100は、単結晶または多(ポリ)結晶材料からなってもよい。例えば、型100は、単結晶または多(ポリ)結晶シリコンからなってもよい。一例として、少なくとも1つの実施の形態において、型100は多(ポリ)結晶シリコンからなってもよい。さらに別の例示の実施の形態において、型100は、均一な粒径を有する多(ポリ)結晶材料からなる。
【0044】
例えば、溶融シリコンなどの溶融した半導体材料104は、少なくとも1つの実施の形態において、必要に応じてシリコンと非反応性であってよい、坩堝などの容器106内でシリコンを溶融することによって提供してよい。少なくとも1つの実施の形態において、溶融した半導体材料104は、低い汚染物質レベルを有してよい。例えば、溶融した半導体材料104は、1ppm未満の鉄、マンガン、およびクロム、および/または1ppb未満のバナジウム、チタン、およびジルコニウムを含んでもよい。溶融した半導体材料104は、1015原子/cm3未満の窒素および/または1017原子/cm3未満の炭素を含んでもよい。少なくとも1つの実施の形態において、溶融した半導体材料の供給源は、光起電グレードまたはより純粋なシリコンであってよい。
【0045】
少なくとも1つの実施の形態において、溶融した半導体材料104は、どのような適切な加熱装置または方法を使用して、必要に応じて低酸素または還元雰囲気中で、バルク温度TSにしてもよい。適切な加熱装置および方法の例としては、抵抗または誘導加熱素子などの加熱素子、および炎熱源が挙げられる。当業者には、加熱装置または方法は、例えば、溶融した半導体材料を収容する容器の容量、容器のサイズ/厚さ、および/または容器を取り囲む雰囲気などの要因に基づいて選択してよいことが認識されよう。
【0046】
本発明の1つの例示の実施の形態において、型100は、どのような適切な加熱装置または方法を使用して、必要に応じて低酸素または還元雰囲気中で、温度Tにしてもよい。上述したように、適切な加熱装置および方法の例としては、加熱素子および炎熱源、並びに赤外(IR)熱源(例えば、IRランプ)が挙げられる。少なくとも1つの実施の形態において、型100は、型100を溶融した半導体材料104の上で予熱することによって、温度Tにされる。上述したように、当業者には、熱源の選択が、例えば、型が加熱される環境、型の材料、型の厚さ、および/または製造される最終的な物品中の汚染物質の所望のレベルなどのいくつかの要因に依存することが認識されよう。
【0047】
浸漬前、型の温度Tは、プロセスを駆動するであろう、型100と溶融した半導体材料104との間の温度差を確立するために、溶融した半導体材料のバルク温度TSより低いであろう。様々な実施の形態において、溶融した半導体材料のバルク温度TSは、半導体材料の溶融温度であっても、またはそれより高い温度であってもよい。半導体材料がシリコンからなる1つの例示の実施の形態において、溶融シリコンのバルク温度TSは、例えば、1460℃等の1450℃から1490℃などの、1414℃から1550℃に及んでよい。
【0048】
少なくとも1つの実施の形態において、型の温度Tは、例えば、型100が、型100の表面に隣接する溶融した半導体材料を、半導体材料104の固化/凝固点に冷却し、半導体材料104から十分な熱を除去して、それを凝固させることができるように、選択してもよい。少なくとも1つの実施の形態において、型の温度Tは、少なくとも一部には、型100の厚さに基づいて選択してよい。例えば、図2に示されたデータから判断できるように、より厚い型は、より薄い型よりも、両方の型が、溶融した半導体材料104中の浸漬時間で同じ温度を有する場合、半導体材料のより厚い物品を製造する能力を有するであろう。少なくとも1つの実施の形態において、型の温度Tは、型100が、溶融した半導体材料104のいずれもが型100の表面の上で凝固する前に、型100が完全に溶融するのを防ぐのに十分な熱質量を有するように選択してもよい。一例として、様々な実施の形態において、型100は、例えば、400μmから2mmなどの、300μmから3mmに及ぶ厚さを有してよい。
【0049】
様々な実施の形態によれば、型の温度Tは、不均一で急激な熱膨張から、または捕捉されたガスから生成される大きい熱応力を避けるように選択してもよい。例えば、型100がシリコンから製造されている場合、型100は、溶融した半導体材料104中の浸漬前に、400℃から700℃などの、350℃から1200℃などの、少なくとも350℃の温度Tに予熱してもよい。型100の温度は、型100が溶融した半導体材料104の近くに配置されたときに、または型100が溶融した半導体材料104中に浸漬されたときに、増加するであろう。少なくとも1つの実施の形態において、型100は、型100を溶融した半導体材料104の上に保持することによって、温度Tに加熱される。
【0050】
浸漬前の型の適切な温度Tの決定は、例えば、溶融した半導体材料の温度TS、型100の厚さ、溶融した半導体材料104と型100の熱伝達および熱特性、および半導体材料の成形物品の所望の厚さに基づいて、当業者の技能の範囲内であろう。
【0051】
図1に示されるような、少なくとも1つの実施の形態によれば、型100は、必要に応じて低酸素または還元雰囲気中で、溶融した半導体材料104中に所定の速度で浸漬されるであろう。型100は、任意の浸漬角度θで溶融した半導体材料104中に浸漬されてもよく、ここで、浸漬角度θは、図5に示されるような、溶融した半導体材料104の表面108と最初に接触する地点Pでの、溶融した半導体材料104の表面108と、型100の外面102との間の角度である。型100の外面102が溶融した半導体材料104と接触する角度は、型100が溶融した半導体材料104中に浸漬されるに連れて、変動してもよい。一例としてだけ、1つの実施の形態において、溶融した半導体材料は、浸漬されるときに、球状外面を有する型と無数の角度(infinite number of angles)で接触して差し支えないが、浸漬角度θは、初期接触地点が溶融した半導体材料104の表面108に対して平行であるので0°であろう。さらに別の例示の実施の形態において、型100は、型100が溶融した半導体材料104の表面108に対して垂直な方向に浸漬されるときに、溶融した半導体材料104の表面に対して平行な方向に動かされてもよい。当業者には、最初の接触地点Pで任意の有限位置で浸漬角度である局部浸漬角度も、表面特性(例えば、気孔率または高さ変動など)および型を構成する材料の濡れ角のために、変動するであろうことが認識されよう。
【0052】
さらに別の例示の実施の形態において、型100の外面102は、溶融した半導体材料104の表面108に対して実質的に垂直であってもよい。さらに別の実施の形態において、型100の外面102は、溶融した半導体材料104の表面108に対して垂直である必要はない。一例として、型100の外面102は、0°から90°、0°から30°、60°から90°などの0°から180°に及ぶ浸漬角度で、または45°の浸漬角度で、溶融した半導体材料104中に浸漬してもよい。
【0053】
本発明の少なくとも1つの実施の形態において、型の浸漬は、どのような適切な技法を使用して行ってよく、型は、溶融した半導体材料の上から、または溶融した半導体材料の側部または底部から浸漬することによって行ってもよい。
【0054】
少なくとも1つの実施の形態において、型100は、溶融した半導体材料104の層が型100の外面102上で十分に固化できるほど十分な時間に亘りこの半導体材料中に浸漬してもよい。少なくとも1つの実施の形態において、半導体材料は、溶融した半導体材料から型を引き上げることができ、半導体材料の層がこの型から回収されるほど半導体材料が十分に固化したときに、十分に固化している。ほんの一例として、型100は、型100の厚さに応じて、30秒までまたはそれより長く溶融した半導体材料104中に浸漬してもよい。少なくとも1つの実施の形態において、型100は、10秒までなどの0.5秒から30秒までに亘り浸漬してもよい。一例として、型100は、1秒から4秒までに亘り溶融した半導体材料104中に浸漬してもよい。浸漬時間は、例えば、型の厚さ、型および溶融した半導体材料の温度と熱伝達および熱的性質、および半導体材料の形成された物品の所望の厚さなどの、当業者に公知のパラメータに基づいて適切に変えてよい。それゆえ、適切な浸漬時間は、当業者によって容易に決定できるであろう。
【0055】
少なくとも1つの実施の形態において、容器106を加熱し、溶融した半導体材料104を型100が浸漬されている間に所望の温度に維持するために、抵抗加熱素子または誘導加熱素子などの少なくとも1つの加熱素子109を使用してもよい。少なくとも1つの実施の形態において、溶融した半導体材料104の温度は、バルク温度TSに維持してもよい。半導体材料104は、どのような所望の方法により溶融し、溶融形態に維持しても差し支えなく、加熱方法の選択は、その方法が行われる条件と環境に基づいて、当業者の技量の範囲内であろう。本発明の少なくとも1つの実施の形態において、還元雰囲気での高周波(RF)誘導加熱を使用してもよい。RF誘導加熱は、溶融物中に異物が存在する可能性を最小にすることによって、より清浄な環境を提供するであろう。誘導は、型100の表面近くの材料が熱をより急激に引き出すので、溶融した半導体材料の所望のバルク温度を維持するのに必要な熱流束も提供できる。
【0056】
少なくとも1つの実施の形態によれば、型100は、溶融した半導体材料104の表面108に対して垂直な方向に浸漬されるときに、溶融した半導体材料104の表面108に対して平行な面において実質的に静止した状態に保持してもよい。他の実施の形態において、型100は、溶融した半導体材料104の表面108に対して垂直な方向に浸漬されるときに、溶融した半導体材料104の表面108に対して平行な面において動かしてもよい、例えば、回転させても、または任意の適切な振動数で振動させてもよい。半導体材料の層110が、型100の表面102を覆って形成されるであろう。浸漬後、半導体材料の層110を備えた型100を容器106から引き上げてもよい。少なくとも1つの実施の形態において、半導体材料の層110を備えた型100は、容器106から取り出された後に、対流冷却などにより能動的に、または半導体材料の層110の温度を室温になるまで放置することにより、冷却してもよい。型100を容器106から取り出し、十分に冷却した後、半導体材料の固体層110を、当業者に公知のどのような方法によって、型100から取り外してもまたは分離してもよい。少なくとも1つの実施の形態において、半導体材料の層は、破壊も変形もせずに、型から分離されるまたは取り外されるときに、十分に冷却してもよい。少なくとも1つの実施の形態において、半導体材料の層110は、膨張差および/または機械的支援によって、型100から分離しても、取り外してもよい。少なくとも1つの実施の形態において、半導体材料の固体層110は、半導体材料の支持された物品として、型100上に留まっていてもよい。
【0057】
少なくとも1つの実施の形態において、第1と第2の半導体材料は、シリコン、シリコンの合金と化合物、ゲルマニウム、ゲルマニウムの合金と化合物、スズの合金と化合物、ヒ化ガリウム、ヒ化ガリウムの合金と化合物、およびそれらの混合物から選択してよい。様々な実施の形態によれば、第1のおよび/または第2の半導体材料は、純粋であっても、ドープされていてもよい。本発明の少なくとも1つの実施の形態において、第1のおよび/または第2の半導体材料は、ホウ素、リン、またはアルミニウム(B、P、またはAl)から選択された少なくとも1種類のドーパントを含む。少なくとも1つの実施の形態において、少なくとも1種類のドーパントは、百万分のいくつかの(ppm)範囲で存在する。第1のおよび/または第2の半導体材料中に存在するドーパントの量は、半導体材料の製造された物品中の所望のドーパント濃度に基づいて選択してよく、例えば、光電池などの物品の最終用途に依存するであろう。少なくとも1つの実施の形態において、ここに開示された方法により製造される半導体材料の物品は、半導体材料の全体に亘り実質的に均一に分散した少なくとも1種類のドーパントを含むであろう(例えば、半導体材料内に少なくとも1種類のドーパントが実質的に隔離されずに)。
【0058】
さらに別の実施の形態において、第1のおよび/または第2の半導体材料は、別の元素との半導体合金または化合物を形成するであろう少なくとも1種類の非半導体元素を含んでよい。例えば、第1のおよび/または第2の半導体材料は、ヒ化ガリウム(GaAs)、窒化アルミニウム(AlN)、およびリン化インジウム(InP)から選択してよい。
【0059】
本発明の様々な実施の形態において、以下に限られないが、(1)型100の組成、密度、熱容量、熱伝導率、熱拡散係数および厚さ、(2)浸漬前に提供される型の温度T、および溶融した半導体材料のバルク温度TS、(3)型100が溶融した半導体材料104中に浸漬される速度、(4)型100が溶融した半導体材料104中に浸漬される時間、(5)半導体材料の層110を有する型100が溶融した半導体材料104から取り出される速度、および(6)固化した半導体材料110の冷却速度;を含む多数のプロセスパラメータを変えてもよい。
【0060】
少なくとも1つの実施の形態において、浸漬前に提供される型の温度T、および溶融した半導体材料のバルク温度TSは、制御される唯一の温度パラメータである(例えば、型の温度は、溶融した半導体材料中の浸漬の際に変化するのに対し、溶融した半導体材料のバルク温度は、一定の温度に維持される)。
【0061】
本発明の少なくとも1つの実施の形態において、型100の温度は、溶融した半導体材料104中に浸漬された後には制御されず、それゆえ、その温度は、溶融した半導体材料の温度TSによってしか変わらない。溶融した半導体材料の温度TSは、放射、対流、または熱伝導により、型100の温度を変えるであろう。型100の放射加熱は、例えば、型100が溶融した半導体材料104の上にあるときに、起こるであろう。型100は、溶融した半導体材料104上のフュームが型100の表面上を通過するとき、または型100の溶融した半導体材料104中の浸漬中に、溶融した半導体材料104により対流加熱されるであろう。熱伝導による型100の加熱は、例えば、型100が溶融した半導体材料104中に浸漬されている間に行われるであろう。
【0062】
型100は、ここに開示された方法に使用するのに適したどのような形態にあってもよい。例えば、少なくとも1つの実施の形態において、型100は、モノリスの形態、または積層モノリスなどの積層構造の形態にあってよい。型100は、必要に応じて少なくとも1つの多孔質または非多孔質コーティングを備えた、多孔質または非多孔質本体を含んでもよい。少なくとも1つの実施の形態によれば、型100は、半導体材料の少なくとも1つの多孔質または非多孔質コーティングを含んでよい。少なくとも1つの実施の形態において、型100は、型本体の全体に亘り、均一または不均一な組成、均一または不均一な気孔率、もしくは他の均一または不均一な構造的特徴を含んでもよい。型100が積層されているまたは不均一な組成を有する実施の形態において、型100の外面が半導体材料からなり、これにより、不純物の量が減少する、および/または半導体材料の形成された物品中に存在する欠陥の量が減少するであろう。
【0063】
型100は、1つ以上の研磨されたまたは滑らかな外面を有してよく、またはこの型の外面は、例えば、のこ引き後の粗い切断表面などの、または例えば、ハニカムパターンなどにより、表面にパターンを形成することにより、均一にまたは不均一にテキスチャーが付けられてもよい。少なくとも1つの実施の形態によれば、型100は、ここに開示された方法に使用するのに適したどのような形状にあってもよい。例えば、型100は、1つ以上の平らな表面または1つ以上の湾曲表面、例えば、1つ以上の凸状または凹状表面を含んでもよい。例えば、1つ以上の平らな表面を使用して、矩形の形状にある物品を作製してもよく、1つ以上の凸状または凹状表面を使用して、レンズまたは管の形状にある物品を作製してもよい。
【0064】
少なくとも1つの実施の形態において、型100の材料の熱物理学的性質および型100の厚さを組み合わせて、型100の外面102と接触して溶融した半導体材料104から熱を引き出し、その半導体材料を固化させる型100の容量、並びに熱が伝達されるであろう速度を決定してもよい。理論により制限することを意図するものではなく、型100の外面102を覆う固体層110から熱が引き出される速度が、半導体材料の固体層110の粒径に影響すると考えられる。型100と溶融した半導体材料104との間の温度差により、液相から固相への変化の駆動力が生じるであろうのに対し、型100の熱伝達特性(熱伝導率および熱拡散係数)により、熱を取り除くことのできる速度が定められるであろう。より大きい温度差が、一般に、より大きい駆動力を提供するであろうし、これにより、より多くのエネルギーが、より多くの部位で核生成障害を克服するのに利用できるであろうから、より微細な粒径の材料が生じるであろう。より小さい温度差がより大きい粒子には好ましいであろう。
【0065】
図2は、それぞれ、正方形、円形、および三角形により示される、1mm、3mmおよび5mmの型厚に対応する、浸漬時の型の温度Tの関数として達成されるであろう固化シリコン層の最大厚さを示す例示の理論計算を表すグラフを示している。図2に示されたグラフは、所定の型の材料の物理的性質について、以下のエネルギーバランスの式を解くことによって作成される。溶融した半導体材料中に型が浸漬されている間に形成される固化シリコン層の最大厚さΔは、型の密度ρ、型の熱容量Cp、浸漬の型の温度T、シリコン溶融温度TM、溶融シリコンのバルク温度TS、型の厚さW、溶融シリコンの密度ρSi、溶融シリコンの比熱容量CpSi、およびシリコンの溶融潜熱λSiの関数(式1)として表すことができる:
【数1】

【0066】
型の表面を覆う半導体材料の凝固/再溶融により導かれる半導体材料の厚さに加え、半導体材料の形成される物品の厚さは、型100が溶融した半導体材料104から引き上げられているときに形成されるドラッグ層(drag layer)によっても影響を受けるであろう。理論により拘束することを意図するものではなく、ドラッグ層により加わる厚さは、従来の浸漬被覆の動力学および半導体材料の追加の凝固の組合せのためであり得、これは、型100が溶融した半導体材料104から引き上げられる速度に依存すると考えられる。溶融した半導体材料は、型100が溶融した半導体材料104から引き上げられるときに、この型を覆って形成される半導体材料の固体層110を濡らし、溶融した半導体材料のドラッグ層を形成するであろう。溶融した半導体材料のドラッグ層は、半導体材料の既に固化した層の上で凝固するであろうし、それゆえ、最終物品の厚さに加わるであろう。ドラッグ層により導かれる厚さは、溶融した半導体材料の多くがどのように引っ張られるのか、およびその引っ張られた層の多くがどのように実際に凝固するのかに依存するであろう。熱伝達が、凝固したドラッグ層の厚さを制限している場合、取り出す速度を増加させることにより、溶融した半導体材料の引っ張り(dragging)のために、凝固したドラッグ層が減少する。反対に、引っ張られる(dragged)溶融した半導体材料が制限される場合、取り出す速度を増加させることにより、凝固したドラッグ層が増加する。従来の浸漬被覆プロセスにより導かれるドラッグ層の理論的厚さは、ランドー・レビッチ(Landau-Levich)の式:
【数2】

【0067】
を使用して近似されるであろう。ここで、Hは浸漬被覆層の厚さであり、μは液体の粘度(例えば、溶融した半導体材料)であり、Uは取り出されるときの型の速度であり、σはは液体の表面張力であり、ρは液体の密度であり、gは重力による加速度である。凝固による追加の厚さの寄与は、溶融した半導体材料からの型の引き上げ速度により割られた、型の長さの関数であろう。それゆえ、ドラッグ層の厚さは、図4に示されるように、引き上げ速度が増加するにつれて減少するであろう。一例として、型が2cm/秒から5cm/秒に及ぶ速度で引き上げられている1つの実施の形態において、ドラッグ層は、半導体材料の形成された物品の厚さに100μm寄与するであろう。
【0068】
本発明の少なくとも1つの実施の形態において、結果として形成された固体層の厚さは、溶融した半導体材料104中の型100の浸漬時間を変えることによって制御されるであろう。図3は、浸漬時間の関数としての、型100の外面102から測定した、固化距離の例示の計算されたグラフ(実線)を示している。図3は、計算の処理条件に対応する一連の実験データ(円形を伴う点線)も示している。ここに記載されたプロセスの少なくともいくつかの実施の形態において、固化層(例えば、シリコン)は最初に、期間t1中に示されるように、最大の可能な厚さまで急激に成長する。固化層は、次いで、固体の半導体材料が、所定の温度に維持されるであろう多くの溶融した半導体材料へと再溶融するに連れて、期間t2中に薄くなるであろう。理論により制限することを意図するものではないが、初期段階中に、固化が、型と液体の界面で始まり、その後、固化前線が液体(すなわち、溶融した半導体材料)へと進行し、それによって、有限厚さの凝固相が成長すると考えられる。このプロセスの後半の段階において、凝固した層が再溶融し、固液界面が基体の壁に向かって引っ込むと考えられる。型が溶融した半導体材料中に残された場合、型が溶融物と熱的に平衡に達するので、最初に凝固した層の全てが再溶融するであろう。固液界面の瞬間速度は、ステファン条件(Stephan condition)(式3)により与えられる:
【数3】

【0069】
ここで、KSおよびKLは、固相と液相の熱伝導率であり、viは瞬間界面速度であり、ρSは固相の密度であり、λは溶融潜熱である。この式の左側の第1と第2の項は、それぞれ、固体と液体を通る熱流束である。固体を通る熱流束が、液体を通る熱流束よりも大きければ、界面速度は正であり、凝固が継続する。液体を通る熱流束が、固体を通る熱流束よりも大きければ、界面速度は負であり、再溶融が行われる。本発明の少なくとも1つの実施の形態において、半導体材料の物品の厚さは、溶融した半導体材料を通る熱流束が、固化した半導体材料を通る熱流束よりも大きく、再溶融が行われるような時間に亘り溶融した半導体材料中に型を浸漬することよって、制御される。図3に表されたデータから決定されるように、再溶融が行われる速度は、半導体材料の固体層の初期形成速度よりも遅い。厚さの変化速度が遅いので、形成された物品の厚さは、再溶融段階中により正確に制御できると考えられる。
【0070】
型を溶融した半導体材料中に浸漬するときに、固化段階中に、固相を通る熱流束(式の左側の第1項)が、最初に等温である液体における熱流束よりもずっと大きく、したがって、液体に固化が急激に生じる。ある期間後、液体を通る熱流束が、固体を通る熱流束より大きくなり、再溶融が起きる。十分な期間が経過した後、半導体材料の固化層全体が再溶融し、型は溶融物と熱的に平衡になる。
【0071】
少なくとも特定の実施の形態において、固化段階は型と液体との界面で始まり、その後、固化が型から液体へと進行すると考えられる。このプロセスの動力学は、固化界面での潜熱の生成速度および界面から離れたその熱伝導により制御されるであろう。過熱溶融物(すなわち、溶融物の温度が材料の融点よりも高い場合)への固化について、界面の先の(すなわち、溶融物の方向)温度勾配は正であると予測される。したがって、固化/凝固フロントで放出される潜熱は、そこから離れて溶融物へと伝導または対流できない。したがって、固化動力学は、固化した半導体材料を通って型(例えば、シリコン)へと潜熱の熱伝導により決まると考えられる。固化した半導体材料と型を通る熱伝導が速いほど、固化速度が速くなる。その結果、型の熱的性質は、固化熱力学に重大な影響を与えると考えられる。逆に、溶融した半導体材料の温度は、固化段階に大きく影響しないと考えられる。固化は、液体(すなわち、溶融した半導体材料)および半導体材料の固体層を通る熱流束が均しくなるまで続く。この時点を超えると、液体を通る熱流束が、固体の半導体材料を通る熱流束より大きくなり、再溶融が始まる。再溶融段階中、過熱され溶融した半導体材料から界面に潜熱が供給される。したがって、再溶融段階中、溶融した半導体材料の性質は、再溶融熱力学により大きな影響を及ぼし、型の熱的性質は大きくは影響しない。
【0072】
本発明の少なくともいくつかの実施の形態において、浸漬直後に、半導体材料の最初の固体層、例えば、浸漬中に固化したシリコン層は、熱が溶融したシリコンから型に伝導されるに連れて、型の表面に対して平行に成長すると考えられる。最初の実質的に平行な成長後、シリコン層の成長は型の表面に対して実質的に垂直に進行すると考えられる。半導体材料の固体層は、固液界面を横切る熱流束が均しくなるまで成長し、次いで、溶融した半導体材料へと溶融して戻るであろう。
【0073】
少なくとも1つの実施の形態によれば、型100が溶融した半導体材料104中に浸漬される速度は、例えば、3cm/秒から10cm/秒などの、1.0cm/秒から50cm/秒に及ぶであろう。当業者には、その浸漬速度は、例えば、半導体材料の組成(随意的なドーパントを含む)、型のサイズ/形状、および型の表面テキスチャーなどの様々なパラメータに応じて変動するであろうと認識されよう。
【0074】
浸漬後に型100が溶融した半導体材料104から引き上げられる速度も、形成された固体物品の構造に影響するであろう。例えば、引き上げ速度がより遅いと、より速い引き上げ速度の場合よりも、より滑らかに形成された物品が得られるであろう。少なくとも1つの実施の形態において、より滑らかな表面を有する固体物品は、例えば、2から5cm/秒などの、比較的遅い、型の溶融した半導体材料からの引き上げ速度を使用して製造できる。型の引き上げが速すぎると、熱除去において小さい局所的なばらつきが、その中に余計な液体を捕捉する孤立した固化事象として現れ、溜まりとこぶを形成するであろう。これらの溜まりとこぶは急速に固化するので、それらが、ときには数ミリメートルの高さと1センチメートルまでの幅である、小塊と小面を持つピークを形成するであろう。引き上げがより遅いと、濡れ区域を液体−固体−気体の界面に制限し、固体層の表面上に連続した二次的な滑らかな層を形成すると考えられる。さらに、型を急速に動かすと、溶融物中に流動パターンを誘発し、乱流さえ誘発するであろう。流れの動きと熱伝達との間の結合により、物品の固化表面上にパターンが形成されるであろう。少なくとも1つの実施の形態において、半導体材料の物品は、半導体材料の固体層の表面上に二次的な滑らかな層が形成されるような速度で型を引き上げることによって、製造される。
【0075】
当業者には、浸漬速度、浸漬時間、および引き上げ速度の全てが、製造される物品に影響を与えること、およびこれらのパラメータは、所望の物品、型の材料/形状/テキスチャー/サイズ、型の開始温度、および溶融した半導体材料の温度、並びに半導体材料の性質に基づいて選択してよいことが認識されるであろう。
【0076】
図1に戻ると、少なくとも1つの実施の形態において、溶融した半導体材料104を収容する容器106は、溶融した半導体材料104と反応しないであろう、および/または溶融した半導体材料104を汚染しないであろう。少なくとも1つの実施の形態において、容器106は、石英ガラス、グラファイト、および窒化ケイ素から選択される材料から製造されるであろう。少なくとも1つの実施の形態において、容器106は石英ガラスから製造される。
【0077】
制限することを意図するものではないが、少なくとも特定の実施の形態において、容器106に石英ガラスを使用すると、半導体材料の酸素汚染がもたらされであろう。それゆえ、様々な実施の形態において、酸素汚染は、必要に応じて、半導体材料を溶融し、例えば、水素(1ppm未満の水)と、アルゴン、クリプトンまたはキセノンなどの不活性ガスとの乾燥混合物のような低酸素雰囲気において物品を鋳造することなどによって、緩和または実質的に緩和してもよい。少なくとも1つの実施の形態において、その雰囲気は、Ar/1.0質量%のH2混合物またはAr/2.5質量%のH2混合物から選択してよい。
【0078】
本発明の少なくとも1つの実施の形態によれば、型100は、例えば、浸漬される前または型100が溶融した半導体材料104中に浸漬されるときに、粒子で被覆してもよい。ある実施の形態において、粒子のコーティングは、鋳造物品が型100に貼り付くのを防ぐであろうし、また半導体材料の結晶が中断されずに成長し、それによって、より大きい粒径が生じるであろうと考えられる。粒子のコーティングは、連続または不連続、均一または不均一、および/または接触または非接触であってよい。少なくとも1つの実施の形態において、型100は、粒子、例えば、無機粒子により被覆してよい。少なくとも1つの実施の形態において、粒子は高純度のものであってよい。少なくとも1つの実施の形態によれば、粒子は、10nmから2μmに及ぶ平均粒径を有する。少なくとも1つの実施の形態において、粒子、例えば、30nm以下などの100nm以下の平均粒径を有するナノ粒子である。粒子は、ここに開示された方法に使用するのに適したどのような材料からなってもよい。例えば、少なくとも1つの実施の形態において、粒子は、シリコン、シリコンの合金と化合物(例えば、二酸化ケイ素、窒化ケイ素)、酸化アルミニウム、酸化アルミニウムの化合物、および/またはケイ酸アルミニウムなどのアルミニウムおよび/またはケイ素を含むガラス質または結晶質化合物、ゲルマニウム、ゲルマニウムの合金と化合物、ヒ化ガリウム、ヒ化ガリウムの合金と化合物、スズ、スズの合金と化合物、およびそれらの混合物を含んでよい。
【0079】
少なくとも1つの実施の形態において、型100が溶融した半導体材料(例えば、シリコン)の上に位置しているときに、粒子(例えば、シリコンナノ粒子)のコーティングが型100上に形成されるであろう。ある例示の実施の形態において、溶融した半導体材料からのフュームが型100の比較的冷たい外面102上に凝縮する凝縮プロセスにより、型100の表面上にナノ粒子のコーティング(「フューム・コーティング」)が形成されるであろう。例えば、溶融したシリコンは、シリコンの溶融温度より高い温度に、例えば、1450℃から1550℃の範囲の温度に加熱されたときに、ナノ粒子を含んだフュームを生成するであろう。少なくとも1つの実施の形態において、型100は、100℃などの適切な初期開始温度にあり、例えば、10秒から30秒などの適切な期間に亘り溶融した半導体材料104の上のフュームに曝露される。少なくとも1つの実施の形態において、溶融した半導体材料104の上のフュームは、溶融した半導体材料104の上の雰囲気と混ざるかまたは反応するであろう。例えば、溶融したシリコンの上で型100の表面上に堆積される粒子は、シリコン(Si)および二酸化ケイ素(SiOおよびSiO2)からなるであろう。
【0080】
さらに別の例示の実施の形態において、粒子は、型100が溶融した半導体材料104中に浸漬されるときに、型100上に堆積されるであろう。さらにまた別の実施の形態において、粒子は、型100が浸漬される前、および型100が溶融した半導体材料104中に浸漬されているときにも、型100上に堆積されるであろう。
【0081】
少なくとも1つの実施の形態において、型100上のコーティングは、支持されていない物品を形成するために型100から物品110を離すのを支援するのに十分な厚さと被覆率のものであろう。ほんの一例として、60%超の被覆率および100nmから5μmに及ぶコーティング厚を有するフューム・コーティングが型上に形成されるであろう。さらに別の実施の形態において、80%超の比較率を有するフューム・コーティングが型上に形成されるであろう。いくつかの実施の形態において、コーティングは、群をなすまたは群がった粒子の実質的に接触したコーティングを形成するであろう。コーティングは、様々な実施の形態において、型100の表面が曝露された不連続部を有するであろう。群をなすまたは群がった粒子は、いくつかの実施の形態において、多孔質状表面を形成するであろう。
【0082】
様々な例示の実施の形態において、型100上に堆積したまたは施された粒子は、溶融した半導体材料104と同じまたは実質的に同じ組成を有するであろう。他の実施の形態において、粒子は、例えば、酸化ケイ素などの、溶融した半導体材料から誘導されるであろう合金および化合物を含んでよい。一例として、少なくとも1つの実施の形態において、記載された凝縮プロセスにより型に施される粒子が純粋または実質的に純粋であることを確実にするために方法を講じてもよい。少なくとも1つの実施の形態によれば、凝縮プロセスは、例えば、純粋なアルゴンの2.5%の水素との乾燥混合物などの高還元性または低酸素雰囲気を有する密閉容器内で行ってもよい。ある実施の形態において、密閉容器中の雰囲気から、必要に応じて、水を、例えば、1ppm未満のレベルまで、また酸素を、例えば、5ppm未満のレベルまで、除去(例えば、連続的に)してもよい。密閉容器は、例えば、雰囲気中の窒素が入るのを防ぐために、必要に応じて、わずかに加圧してもよい。少なくとも1つの実施の形態において、低揮発性炭素化合物を密閉容器の中に入れないようにしてもよい。
【0083】
少なくとも1つのさらに別の実施の形態において、溶融した半導体材料104により生成されるフューム中に型100を配置することよりむしろ、比較的冷たい任意の非汚染性表面(シリコンなどの)を、粒子を収集するために、フューム内に保持してもよい。次いで、粒子は、別のプロセスにおいて型100の表面上に施してもよい。少なくとも1つの実施の形態において、粒子の懸濁液を調製し、浸漬被覆、ラビング(rubbing)、はけ塗り、溶射、および流し込み(pouring)などの方法を使用して、型100の表面上に施してもよい。他の実施の形態において、粒子は、化学気相成長法(CVD)、物理気相成長法(PVD)、プラズマCVD(PECVD)、または誘導プラズマ蒸着などの方法により施してもよい。少なくとも1つの実施の形態において、型100は、どのような適切な供給源から粒子で被覆してもよい。
【0084】
どのような理論により拘束することを意図するものではなく、粒子で被覆された型100を溶融した半導体材料104中に浸漬するときに、型100上の粒子は、最初の凝固事象中に、型100と溶融した半導体材料104との間に物理的障壁を形成することが仮定される。次いで、粒子は共に成長して、型が溶融した半導体材料104中に浸漬されている残りの期間中に、型100と固化した層110との間に薄く弱い多孔質層を形成すると考えられる。型100と固体層110の冷却中、固体層110と型100との間の熱膨張の差のために、固体層110と型100との間に熱機械的応力が蓄積する。次いで、固体層110と型100との間の粒子の多孔質層が破砕し、固体層110を型100からより容易に取り外すことができる。
【0085】
少なくとも1つの実施の形態において、開示された方法を使用して、例えば、光起電用途に有用な範囲にある表面積、形状、厚さ、および粒子構造、例えば、約156mm×156mmまでのサイズ、100μmから400μmの範囲の厚さ、および1mm超の多数の粒子を有するシリコンシートなどの半導体材料のシートを製造するために使用してもよい。ある実施の形態によれば、粒子の少なくとも60%が1mm超であってよい。さらに別の実施の形態において、粒子の少なくとも80%または少なくとも90%が1mm超であってよい。少なくとも1つの実施の形態において、粒子は、厚い方向よりも、最も狭い横方向においてサイズが2から3倍大きい。
【0086】
少なくとも1つの実施の形態において、開示された方法は、改善された速度でおよび/または廃棄材料が減少した、半導体材料の物品を生成する。例えば、ここに記載された外部鋳造プロセスは、溶融した材料の全てを有用な物品に鋳造できるので、半導体元素の廃棄が実質的になく、実施することができる。どのような破壊片もまたは他の未使用材料を再溶融し、再度、鋳造することができる。少なくとも1つの実施の形態において、5秒未満の浸漬サイクル時間(すなわち、型を浸漬する時間、浸漬時間、および型を引き上げる時間の合計)を使用して、長さが7cm(幅とは関係ない)のシートを形成することができ、これは、毎秒数センチメートルのプロセス速度に換算される。さらに別の実施の形態において、開示された方法は、不純物の量が減少した半導体材料の物品を生成する。
【0087】
別記しない限り、本明細書および特許請求の範囲に使用した全ての数は、そのように記載されていようとなかろうと、全ての場合において「約」という用語により修飾されていると理解すべきである。本明細書および特許請求の範囲に使用した正確な数値は、本発明の追加の実施の形態を形成すると理解すべきである。ここに開示された数値の精度を保証するために努力してきた。しかしながら、どのような測定された数値も、それぞれの測定技法に見られる標準偏差から生じるある誤差を本質的に含み得る。
【0088】
本明細書および特許請求の範囲に使用したように、単数形は、明白に1つの対照に制限されていない限り、複数の対照を含み、その逆も同様であることに留意されたい。それゆえ、ほんの一例として、「熱源」に対する言及は1つ以上の熱源を指すことができ、「半導体材料」に対する言及は、1つ以上の半導体材料を指すことができる。ここに用いたように、「含む」という用語およびその文法的変形は、制限しないことを意図しており、よって、リストにおける項目の引用は、置換できる、または列記された項目に追加できる他の同様の項目を排除するものではない。
【0089】
様々な改変および変更が、この教示の範囲から逸脱せずに、本開示のプログラムおよび方法に行えることが当業者には明白であろう。本開示の他の実施の形態は、ここに開示された教示の実施および本明細書の検討により、当業者には明白であろう。明細書に記載された実施の形態は、単なる例示と考えることが意図されている。
【符号の説明】
【0090】
100 型
104 溶融した半導体材料
106 容器
109 加熱素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体材料の物品を製造する方法であって、
溶融した第1の半導体材料を温度TSで提供する工程、
S>Tとなるように温度Tで型を提供する工程であって、該型が第2の半導体材料からなるものである工程、
前記型の外面を粒子で被覆する工程、
前記型の外面を覆って前記溶融した第1の半導体材料から少なくとも部分的になる固体層を形成するのに十分な時間に亘り、該第1の半導体材料中に該型を浸漬する工程、
前記溶融した第1の半導体材料から前記固体層を有する前記型を引き上げる工程、および
必要に応じて、前記型から前記固体層を分離する工程、
を有してなる方法。
【請求項2】
前記型の外面を粒子で被覆する工程が、該型の外面上に前記溶融した第1の半導体材料により生成された物品を形成するのに十分な時間に亘り、該型を、該溶融した第1の半導体材料の上のフュームに曝露する工程を含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
半導体材料の物品を製造する方法であって、
溶融した第1の半導体材料を温度TSで提供する工程、
S>Tとなるように温度Tで型を提供する工程であって、該型が第2の半導体材料からなるものである工程、
前記型の外面を覆って前記溶融した第1の半導体材料から少なくとも部分的になる固体層を形成するのに十分な時間に亘り、該第1の半導体材料中に該型を浸漬する工程であって、該型の温度が、該溶融した第1の半導体材料の温度のみによって変えられる工程、
前記溶融した第1の半導体材料から前記固体層を有する前記型を引き上げる工程、および
必要に応じて、前記型から前記固体層を分離する工程、
を有してなる方法。
【請求項4】
半導体材料の物品中の不純物を減少させる方法であって、
溶融した第1の半導体材料を温度TSで提供する工程、
S>Tとなるように温度Tで型を提供する工程であって、該型が第2の半導体材料からなり、前記溶融した第1の半導体材料および該第2の半導体材料が実質的に同じ半導体材料からなるものである工程、
前記型の外面を覆って前記溶融した第1の半導体材料から少なくとも部分的になる固体層を形成するのに十分な時間に亘り、該第1の半導体材料中に該型を浸漬する工程であって、該型の温度が、該溶融した第1の半導体材料の温度のみによって変えられる工程、
前記溶融した第1の半導体材料から前記固体層を有する前記型を引き上げる工程、および
必要に応じて、前記型から前記固体層を分離する工程、
を有してなる方法。
【請求項5】
半導体材料の物品において、
溶融した第1の半導体材料を温度TSで提供する工程、
S>Tとなるように温度Tで型を提供する工程であって、該型が第2の半導体材料からなるものである工程、
前記型の外面を覆って前記溶融した第1の半導体材料から少なくとも部分的になる固体層を形成するのに十分な時間に亘り、該第1の半導体材料中に該型を浸漬する工程、
前記固体層の表面に二次的な滑らかな層を形成するのに十分な速度で、前記溶融した第1の半導体材料から前記固体層を有する前記型を引き上げる工程、および
必要に応じて、前記型から前記固体層を分離する工程、
を有してなる方法によって形成される半導体材料の物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−526723(P2012−526723A)
【公表日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−511004(P2012−511004)
【出願日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際出願番号】PCT/US2010/034686
【国際公開番号】WO2010/132651
【国際公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(397068274)コーニング インコーポレイテッド (1,222)
【Fターム(参考)】