説明

半導体検査方法および半導体検査装置

【課題】レーザパルス光の照射に応じて半導体デバイスにて発生する電磁波パルスの強度を非接触状態で向上させる技術を提供すること。
【解決手段】半導体デバイスを検査する半導体検査装置100である。半導体検査装置100は、半導体デバイスが形成されている基板1に対してレーザパルス光2を出射するレーザパルス光源14と、レーザパルス光2が照射される照射位置10に対して逆方向バイアスをかけるための逆バイアス用電磁波パルス4を照射する電磁波パルス照射部18と、
レーザパルス光2の照射に応じて照射位置10から放射される電磁波パルス3を検出する検出部17とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、レーザパルス光を使って半導体デバイスを検査する技術に関し、特に、レーザパルス光の照射に応じて半導体デバイスから発生する電磁波パルスの電界強度を高めるための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの不良解析、故障解析をするため、pn接合部の欠陥箇所または配線の断線、ショート、高抵抗箇所など、各種欠陥を検出する方法がこれまでにも提案されている。
【0003】
例えば、半導体デバイスの検査手法として、いわゆるOBIC(Optical Beam Induced Current)現象を検出するものが知られている。この検査では、半導体デバイスに逆バイアス電圧を印加するため、半導体デバイスにボンディングを行って外部の電圧印加装置と電気的に接続する必要があった。また、半導体デバイスの製造する工程の途中では、半導体デバイスと外部電圧印加装置とを接続することが困難となっている。そこで、非接触状態で半導体デバイスを検査する技術が提案されている(例えば特許文献1)。
【0004】
具体的に、特許文献1の検査方法は、レーザパルス光を半導体デバイスに照射することによって、各種欠陥箇所を検出するものである。半導体デバイスに含まれるpn接合部などの電界が存在する箇所に、レーザパルス光が照射されると、その部分から電磁波パルスが発生する。この発生した電磁波パルスの検出に基づいて、半導体デバイスにおける欠陥箇所の検出が行われる。このような検査方法の場合、半導体デバイスに対して非接触状態で検査を行うことができる。したがって、製造工程途中の半導体デバイスであっても、検査対象とすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−24774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1の検査方法の場合、非接触での検査を実現するため、半導体デバイスに逆バイアス電圧を印加せずに検査が行われる。しかしながら、半導体デバイスの内部に存在する電界は比較的弱い。したがって、発生する電磁波パルスの電界強度も微弱なために、検出することが困難な場合がある。このため、検査装置の装置構成または測定条件の最適化によってノイズ成分を減少させ、電磁波パルスの測定感度を向上させる必要があった。したがって、準備に多大な時間が必要であり、また煩雑なものとなっている。そこで、非接触状態でありながら、電磁波パルスの検出感度を向上させる技術が望まれている。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、レーザパルス光の照射に応じて半導体デバイスにて発生する電磁波パルスの強度を非接触状態で向上させる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、第1の態様は、半導体デバイスを検査する半導体検査装置において、半導体デバイスに対してレーザパルス光を照射する第一照射部と、前記レーザパルス光が照射される照射位置に対して逆方向バイアスをかけるための逆バイアス用電磁波パルスを照射する第二照射部と、前記レーザパルス光の照射に応じて前記照射位置から放射される電磁波パルスを検出する検出部とを備える。
【0009】
また、第2の態様は、第1の態様に係る半導体検査装置において、前記第二照射部は、前記レーザパルス光を発生させる光源と同一の光源を利用して、前記逆バイアス用電磁波パルスを発生させる。
【0010】
また、第3の態様は、第1または2の態様に係る半導体検査装置において、前記第二出射部は、前記逆バイアス用電磁波パルスの照射によって前記照射位置に付与される電界の向きが、n型半導体からp型半導体へ向かう方向となるように、前記逆バイアス用電磁波パルスを照射する。
【0011】
また、第4の態様は、第3の態様に係る半導体検査装置において、前記照射位置における半導体の構造を特定する構造特定部、をさらに備える。
【0012】
また、第5の態様は、第1から第3までのいずれか1項の態様に係る半導体検査装置において、前記レーザパルス光の照射位置を移動させることにより、半導体デバイスを二次元的に走査する走査機構、をさらに備える。
【0013】
また、第6の態様は、半導体デバイスを検査する半導体検査方法において、(a)所要の波長を有するレーザパルス光を半導体デバイスに照射する工程と、(b)前記(a)工程において、前記レーザパルス光が照射される照射位置に対して逆方向バイアスをかけるために、逆バイアス用電磁波パルスを照射する工程と、(c)前記(a)工程において、前記レーザパルス光の照射に応じて前記照射位置から放射される電磁波パルスを検出する工程とを含む。
【発明の効果】
【0014】
第1の態様に係る半導体検査装置によると、非接触で逆方向バイアスをかけることができるため、放射される電磁波パルスの強度を高めることができる。また、任意の箇所に逆バイアス用電磁波パルスを照射することで、任意の箇所に逆方向バイアスをかけることができる。
【0015】
第2の態様に係る半導体検査装置によると、レーザパルス光の光源を利用することができるため、装置の構成要素の数を減らすことができる。また、レーザパルス光と逆バイアス用電磁波パルスとを同期させて照射位置に照射することが容易となる。
【0016】
第3の態様に係る半導体検査装置によると、n型半導体からp型半導体へ向かう方向の電界を付与することで、逆方向バイアスをかけることができる。したがって、電磁波パルス3の電界強度を適切に高めることができる。
【0017】
第4の態様に係る半導体検査装置によると、照射位置の半導体の構造を特定することで、逆方向バイアスをかけるために、どの方向の電界を付与すればよいかを適切に決定することができる。
【0018】
第5の態様に係る半導体検査装置によると、半導体デバイスの所定範囲にわたって、レーザパルス光を照射する検査を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1実施形態に係る半導体検査装置の概略構成図である。
【図2】逆バイアス用電磁波パルス(上)およびレーザパルス光(下)の時間波形を示す図である。
【図3】照射位置に順方向バイアスがかけられたときの光励起キャリアの移動について説明するための図である。
【図4】照射位置に逆方向バイアスがかけられたときの光励起キャリアの移動について説明するための図である。
【図5】半導体検査装置における半導体デバイスの検査の流れ図である。
【図6】照射位置から放射される電磁波パルス3を検出する際の詳細な流れ図である。
【図7】逆方向バイアスがかけられたときの電磁波パルス(実線)と、かけられていないときの電磁波パルス(破線)の時間波形を示す図である。
【図8】太陽電池パネルの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して実施形態を詳細に説明する。ただし、この実施形態に記載されている構成要素はあくまでも例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0021】
{1. 第1実施形態}
図1は、第1実施形態に係る半導体検査装置100の概略構成図である。半導体検査装置100は、デバイス走査台12、レーザパルス光源14、集光レンズ15、偏光素子16、検出部17、電磁波パルス照射部18、偏光素子19および制御部20を備えている。
【0022】
半導体検査装置100は、デバイス走査台12に保持された基板1に形成されている半導体デバイスに対して、レーザパルス光源14から出射されるレーザパルス光2を照射する。そして半導体検査装置100は、その照射に応じて基板1から放射される電磁波パルスの電界強度を検出部17にて検出するように構成されている。
【0023】
例えば、基板1に形成されている半導体デバイスのpn接合部付近では、電子と正孔とが互いに拡散して結びつく拡散電流が生じることによって、pn接合部付近に電子と正孔とが少ない空乏層が形成されている。この領域では、電子と正孔をそれぞれn型、p型領域に引き戻す力が生じており、電界(内部電界)が生じている。このpn接合部に禁制帯幅を超えるエネルギーを持つ光が照射されると、内部電界によって光電子がn型半導体側に移動し、取り残された正孔がp型半導体へ移動する。つまり、光励起キャリア発生領域(空乏層など)にレーザパルス光が照射されることで、光励起キャリアが内部電界により加速されて移動する。これにより、パルス状の電流が発生することとなる。
【0024】
ここで、電流に時間変化が生じた場合、Maxwellの方程式にしたがって、電磁波が発生する。この電磁波は、空乏層などの光励起キャリア発生領域の特性に応じて放射されるため、検出された電磁波を解析することによって、光励起キャリア発生領域の特性を検査することができる。半導体検査装置100は、この原理に基づき、基板1に向けて所定波長のレーザパルス光を照射に応じて放射される電磁波パルスを検出するように構成されている。
【0025】
また、光励起キャリア発生領域に、外部から電圧が印加されることで、逆方向バイアスがかけられている場合、より多くの光励起キャリアを移動させることができる。このため、発生する電磁波パルスの電界強度も相対的に大きくなる。本実施形態に係る半導体検査装置100は、高強度の電磁波パルス(逆バイアス用電磁波パルス4)の照射により、非接触状態で逆方向バイアスをかける。この詳細については後述する。
【0026】
デバイス走査台12は、基板1を保持し、基板1を2次元平面内で移動させる。これにより、基板1の様々な箇所にレーザパルス光2を照射することができる。デバイス走査台12の移動機構は、例えば、リニアモータなどの駆動源によって駆動されるX−Yテーブルなどで構成することができる。デバイス走査台12によって、基板1を2次元平面内で移動させることにより、レーザパルス光2の照射位置10を基板1に対して相対的に移動させ、2次元的に走査することができる。本実施形態では、デバイス走査台12が走査機構を構成している。
【0027】
なお、レーザパルス光源14などを制御することによって、基板1上におけるレーザパルス光2の照射位置10を変更できるようにしてもよい。また、図示を省略するが、デバイス走査台12は、上記二次元平面に直交する方向(ここでは、上下方向)にも移動可能に構成されている。基板1を上下に移動させることにより、基板1とレーザパルス光源14、または、基板1と電磁波パルス照射部18との間の距離を調整することができる。
【0028】
レーザパルス光源14は、レーザパルス光2を発生する。集光レンズ15は、レーザパルス光源14にて発生したレーザパルス光2を、基板1上に集光させる。本実施形態では、レーザパルス光源14と集光レンズ15とによって、第一照射部が構成されている。なお、基板1に損傷を与えず、かつ、pn接合部や金属半導体界面などビルトイン電界の発生箇所に確実に照射することができるように、レーザパルス光2を基板1の裏面(半導体形成面の反対側の面)から照射することが好ましい。
【0029】
レーザパルス光源14は、例えば、0.3μm〜2μm(より好ましくは、0.3μm〜1.6μm)に含まれる波長のレーザパルス光2を発生する。ここで、レーザパルス光2の波長は、例えば基板1のバンドキャップに応じて選択されることが好ましい。例えば、基板1の主成分がSi(シリコン)基板である場合、レーザパルス光2が近赤外(例えば、波長が1.5μm以下)から可視光の範囲にあることが好ましい。また、基板1がSiC(炭化ケイ素)基板などのワイドギャップ半導体の場合、レーザパルス光2が紫外光(450μm以下)であることが好ましい。
【0030】
また、特許文献1にも記載されているように、レーザパルス光2は、時間平均のエネルギーが0.1mW以上、10W以下であり、パルス幅が1フェムト秒以上、10ピコ秒以下であることが好ましい。このようなパルス幅の小さいレーザパルス光2を用いることにより、基板1に形成された半導体デバイス(集積回路)に損傷を与えないで、電磁波パルス3を励起させることができる。
【0031】
また、レーザパルス光2の波長が2μmを越える場合、時間平均のエネルギーが10Wを越える場合、または、パルス幅が10ピコ秒を越える場合、レーザパルス光2のレーザ強度が強すぎるために基板1に損傷を与える虞がある。したがって、レーザパルス光2の波長、時間平均のエネルギーおよびパルス幅は、上記条件に合わせて設定されることが望ましい。
【0032】
偏光素子16は、検出部17に入射する電磁波パルス3の偏光方向を検出するための素子である。検出部17は、基板1上におけるレーザパルス光2が照射された位置(照射位置)から、レーザパルス光2の照射に応じて放射される電磁波パルス3の電界強度を検出する。このため検出部17は、非線形光学結晶または光伝導スイッチなどの検出器によって電磁波パルス3を検出する。
【0033】
より詳細には、レーザパルス光源14から出射されるレーザパルス光の一部は、プローブ光として検出部17に設けられた検出器に照射される。このプローブ光が検出器に照射された瞬間に検出器に到達している電磁波パルス3の電界強度に応じた信号が、検出器から出力される。このプローブ光が検出器に到達するタイミングを、電磁波パルス3が検出器に到達するタイミングに対して相対的に早めたり遅延させたりさせることで、電磁波パルス3の時間波形を復元することができる。この復元された電磁波パルス3の時間波形をフーリエ変換することによって、電磁波パルス3のスペクトルを取得することもできる(テラヘルツ時間領域分光)。プローブ光が検出器に到達するタイミングの変更は、例えばプローブ光の光路長(光学的距離)を変更することで実現可能である。
【0034】
なお、検出する電磁波パルス3の周波数を1THz(テラヘルツ)以下とするような場合は、検出器としてショットキーダイオードを利用することもできる。
【0035】
電磁波パルス照射部18は、逆バイアス用電磁波パルス4を発生させる。電磁波パルス照射部18から出射された逆バイアス用電磁波パルス4は、途中に設けられた偏光素子19を通過することで、その偏光方向が一方向に合わせられる。偏光方向が調整された逆バイアス用電磁波パルス4は、基板1のレーザパルス光2が照射される照射位置10に照射される。逆バイアス用電磁波パルス4を照射することによって、電界を照射位置10に対して付与することができる。本実施形態では、電磁波パルス照射部18と偏光素子19とによって、第二照射部が構成されている。
【0036】
高強度のテラヘルツ波(周波数が0.01〜10THzの電磁波)を発生させる技術は、これまでにも報告されている(斗内政吉監修、「テラヘルツ波新産業」、シーエムシー出版、(2011)226参照)。具体的に、ピーク電場値が100kV/cm〜1MV/cmであるテラヘルツ波パルスを利用することが可能となっている。この電場値は、トランジスタの内部電場(1〜10kV/cm)よりも遥かに大きく、半導体の絶縁破壊を招く程の高強度の電場値(300〜600kV/cm)となっている。本実施形態では、この技術を利用して、高強度のテラヘルツ波パルスを逆バイアス用電磁波パルス4として電磁波パルス照射部18から出射させる。詳細には、レーザパルス光源(フェムト秒レーザー)から出射されるレーザパルス光を非線形光学結晶に照射して、該非線形光学結晶からテラヘルツ領域の逆バイアス用電磁波パルス4を発生させる。
【0037】
半導体検査装置100においては、レーザパルス光2の光軸(光束の中心軸)と逆バイアス用電磁波パルス4の光軸とが、相互に一致しないように設定されている。具体的に、本実施形態では、レーザパルス光2は、デバイス走査台12上に設置された基板1の主面(表面)に対して入射角45度となるように照射される。これに対して逆バイアス用電磁波パルス4は、基板1の主面に対して入射角90度となる(つまり、垂直となる)ように照射される。さらに、本実施形態では、検出部17は、基板1の主面に対して反射角45度で放射される電磁波パルス3を検出するように配置されている。ただし、レーザパルス光2、逆バイアス用電磁波パルス4を照射する入射角や、電磁波パルス3を検出する反射角は、これらに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0038】
制御部20は、図示を省略するCPUやRAMなどの一般的なコンピュータとしての構成を備えている。制御部20は、デバイス走査台12、レーザパルス光源14、偏光素子16、検出部17、電磁波パルス照射部18および偏光素子19に接続されており、これらの動作を制御したり、これらが出力する各種信号を受け取ったりする。また、制御部20は、同期信号発生部21、構造特定部22、信号処理部23、比較検査部24、記憶部25、入力部26および表示部27に接続されている。
【0039】
同期信号発生部21、構造特定部22、信号処理部23、比較検査部24は、専用回路で構成されていてもよい。しかしながら、その一部または全部が、制御部20のCPUがRAM上に展開されたプログラム(検査ソフトウェア)を実行することにより、機能的構成要素として実現されてもよい。このようなプログラムは、例えば記憶部25(または図示しないROM)などに、呼び出し可能な状態で格納される。
【0040】
同期信号発生部21は、半導体検査装置100の各構成が同期して動作するためのタイミング信号を発生させる。タイミング信号は、制御部20に送られて、各構成要素を同期させて制御するために利用される。
【0041】
構造特定部22は、CADデータ、または赤外光などから得られる情報から、基板1上の検査をする箇所(つまり、レーザパルス光2が照射される照射位置10)における半導体の構造を特定する。本実施形態では、構造特定部22によって特定された構造に基づき、逆バイアス用電磁波パルス4によって、照射位置に付与される電界の向きが決定される。この詳細については、後述する。
【0042】
信号処理部23は、検出部17が検出した検出信号を処理する。具体的には、信号処理部23は、検出部17の検出信号から電磁波パルス3の電界強度を取得したり、電磁波パルス3の時間波形を復元したり、復元された時間波形をフーリエ変換して周波数指紋スペクトルを取得したりする。
【0043】
比較検査部24は、信号処理部23によって取得されたデータ(検査データ)と予め用意されている良品データとを比較する。比較検査部24は、この検査データと良品データとの比較した際に、判定用の閾値を越えた場合、検査された基板1が不良品であると判定する。この判定用の閾値は、予め規定値として定められていてもよいし、あるいは、ユーザの入力操作に基づいて設定されていてもよい。また、比較検査部24による判定は、基板1のダイ単位で行われてもよいし、LSI単位で行われてもよい。
【0044】
記憶部25は、データを記憶するハードディスクのストレージで構成されている。なお、その他の可搬性を有する記憶媒体(例えば、CD,DVDなどの光学メディア、MOなどの磁気メディア、USBメモリ)で構成されていてもよい。なお、制御部20と記憶部25とが、図示を省略するネットワークを介して接続されていてもよい。
【0045】
入力部26は、キーボードまたはマウスなどの各種入力デバイスで構成される。半導体検査装置100のユーザは、入力部26を介して様々な入力(各種設定値の入力など)を行うことができる。また、表示部27は、液晶ディスプレイなどで構成される。なお、表示部27をタッチパネルなどで構成することで、表示部27に入力部26としての機能を持たせてもよい。
【0046】
図2は、逆バイアス用電磁波パルス4(上)およびレーザパルス光2(下)の時間波形を示す図である。図2において、横軸は時間軸を示しており、縦軸は電界強度を示している。
【0047】
図2に示したように、逆バイアス用電磁波パルス4は、時間経過とともに、電界強度が正方向および負方向に変化する波形形状を有している。ここで、電界強度が正方向において最大となるタイミングをT1とし、電界強度が負方向において最大となるタイミングをT2とする。すると、タイミングT1またはタイミングT2に合わせて逆バイアス用電磁波パルス4が照射位置10に到達させれば、逆バイアス用電磁波パルス4が与えうる最大強度の電界を照射位置10に付与することができる。ただし、タイミングT1とタイミングT2とでは、付与される電界の方向が互いに逆向きとなる。
【0048】
そこで、照射位置10に対して、付与する電界の方向を適切に設定すると、逆バイアス用電磁波パルス4によって電界を付与したときに、該照射位置10に、逆方向バイアスをかけることができる。この場合、レーザパルス光2の照射に応じて発生する電磁波パルス3の電界強度を強めることができる。
【0049】
本実施形態では、図2に示すように、ある照射位置10に対して、タイミングT1またはタイミングT2の状態の逆バイアス用電磁波パルス4が照射された瞬間(つまり最大強度の逆方向バイアスがかかった瞬間)に同期して、レーザパルス光2が照射されるようにする。このように、レーザパルス光2と逆バイアス用電磁波パルス4と同期させて照射する。これにより、逆バイアス用電磁波パルス4の照射により発生しうる最も強い逆方向バイアスをかけた状態で、電磁波パルス3を放射させることができる。
【0050】
ここで、逆バイアス用電磁波パルス4を照射する部分に対して、逆方向バイアスをかけるためには、半導体の種類(p型またはn型)に応じて、与える電界の方向を制御する必要がある。この点について、図3および図4を参照しつつ説明する。
【0051】
図3は、照射位置10に順方向バイアスがかけられたときの光励起キャリアの移動について説明するための図である。また図4は、照射位置10に逆方向バイアスがかけられたときの光励起キャリアの移動について説明するための図である。図3および図4において、断面図で示した基板1は、p型半導体であるSi基板71の表面にn型拡散領域72が形成されており、該n型拡散領域72の表面にp型拡散領域73,74がそれぞれ形成された構造を有している。また、p型拡散領域73,74には、それぞれ電極75,76が取り付けられている。
【0052】
なお、図3および図4では、p型拡散領域73を照射位置10として、該照射位置10から電磁波パルス3を発生させる様子を示している。また、図3および図4では、p型拡散領域73とn型拡散領域72との接合部分であるpn接合部77におけるエネルギー準位を下側に図示している。
【0053】
図3では、タイミングT1のとき(つまり正方向に関して電界強度が最大となるとき)の逆バイアス用電磁波パルス4が、照射位置10に照射されている。この場合、照射位置10(p型拡散領域73)に正電圧が印加されることとなる。つまり、p型拡散領域73からn型拡散領域72に向かうpn方向の外部電界Eが付与されていることになる。この場合、エネルギー準位の図に示したように、p型拡散領域73の正孔82と、n型拡散領域72の電子81とが接合部77にて再結合しやすくなっており、p型拡散領域73とn型拡散領域72との間に生じる電位差が小さくなっている(順方向バイアス)。このため、この瞬間にレーザパルス光2を照射しても、発生する電磁波パルス3は比較的弱いものとなっている。
【0054】
これに対して、図4では、タイミングT2のとき(つまり負方向に関して電界強度が最大となるとき)の逆バイアス用電磁波パルス4が、照射位置10に照射されている。この場合、外部から照射位置10(p型拡散領域73)に負電圧が印加されることとなる。つまり、n型拡散領域72からp型拡散領域73に向かうnp方向の外部電界Eが付与されることになる。この場合、エネルギー準位の図に示したように、p型拡散領域73とn型拡散領域72との間で、比較的大きな電位差が生じる(逆方向バイアス)。つまり、電極75に正電圧(逆バイアス電圧)を印加した状態を、逆バイアス用電磁波パルス4の照射によって非接触で実現している。この状態で照射位置10にレーザパルス光2が照射されると、逆バイアス用電磁波パルス4を照射しない場合に比べて、高強度の電磁波パルス3を発生させることができる。
【0055】
以上のように、逆方向バイアスをかけるために、照射位置10に与える電界の方向は、照射位置10の半導体の構造によって異なってくる。つまり、逆バイアス用電磁波パルス4の照射部分がp型半導体である場合には、負電圧が印加されるように、p型半導体でない場合(つまりn型半導体の場合)には、正電圧が印加されるようにすれば、逆方向バイアスをかけることができる。なお、逆バイアス用電磁波パルス4によって照射位置10に付与される電界の向きは、逆バイアス用電磁波パルス4が照射位置に到達するタイミングを変えることで調整することができる。
【0056】
逆バイアス用電磁波パルス4が照射位置10に到達するタイミングを調整するため、電磁波パルス照射部18は、逆バイアス用電磁波パルス4の光路長を変更させる光路長変更部(図示せず。)を備えている。この光路長変更部は、非線形結晶または光伝導スイッチなどの電磁波パルス発生器から基板1の照射位置10までの光路長を変更する。この光路長変更部によって逆バイアス用電磁波パルス4の光路長を変更することで、逆バイアス用電磁波パルス4の到達タイミングを変更することができる。ただし、レーザパルス光源から電磁波パルス発生器までのレーザパルス光の光路長を変更することにより、逆バイアス用電磁波パルス4が電磁波パルス照射部18から出射されるタイミングを変更してもよい。この場合においても、逆バイアス用電磁波パルス4が照射位置10へ到達タイミングを変更することができる。
【0057】
なお、逆バイアス用電磁波パルス4の照射位置10に到達したときの電界強度を直接測定することは困難である。このため、タイミングT1およびタイミングT2に対応する光路長を決定するためには、逆バイアス用電磁波パルス4の光路長を変えながら、レーザパルス光2を照射したときに発生する電磁波パルス3の電界強度を取得すればよい。具体的に、p型半導体を照射位置10に設定した場合、電磁波パルス3の電界強度が最大となるときが、最大強度の逆方向バイアスがかかったときに相当する。p型半導体において逆方向バイアスをかけるためには、負電圧を印加する必要がある。すなわち、このときの光路長が、タイミングT2に相当することとなる。また、照射位置10をn型半導体に設定し、逆バイアス用電磁波パルス4の光路長を変えながら電磁波パルス3を測定することで、タイミングT1に相当する光路長を取得することができる。
【0058】
また、照射位置10に対して逆バイアス用電磁波パルス4が到達するタイミングを固定し(つまり、逆バイアス用電磁波パルス4の光路長を固定し)、レーザパルス光2が到達するタイミングを変更するようにしてもよい。この場合、逆バイアス用電磁波パルス4が照射位置10の部分に付与する電界強度が最大となるタイミングに合わせて、レーザパルス光2が到達するタイミングを調整すればよい。レーザパルス光2が照射位置10に到達するタイミングは、レーザパルス光2の光路長を変更することで調整することができる。
【0059】
また、本実施形態では、電界強度が最大となる(つまり、タイミングT1またはタイミングT2の状態)の逆バイアス用電磁波パルス4が照射位置10に到達した瞬間に、レーザパルス光2が照射されるようにしている。しかしながら、レーザパルス光2を照射するときに、必ずしも電界強度が最大となっている逆バイアス用電磁波パルス4が照射されている必要はない。つまり、所定値以上の強さを持つ電界強度の逆バイアス用電磁波パルス4が照射位置10に照射された瞬間に、レーザパルス光2が照射位置10に照射されるようにしてもよい。
【0060】
また、レーザパルス光源14がフェムト秒レーザで構成されている場合、電磁波パルス照射部18の光源として、レーザパルス光源14を利用することができる。この場合、レーザパルス光源14から出射されたレーザパルス光を、ビームスプリッタなどで2つに分割し、一方を基板1へ、他方を電磁波パルス照射部18へ入射するようにすればよい。このように光源を共通化することで、基板1の照射位置10に対して、レーザパルス光2と逆バイアス用電磁波パルス4とを容易に同期させて照射することができる。また、装置の構成要素の数を減らすことができ、よって、装置コストを低減することができる。
【0061】
次に、半導体検査装置100における基板1の検査の流れについて説明する。
【0062】
図5は、半導体検査装置100における半導体デバイスの検査の流れ図である。半導体デバイスの検査が開始されると、半導体検査装置100のデバイス走査台12に、基板1が設置される(ステップS1)。
【0063】
基板1が設置されると、半導体検査装置100は、照射位置を設定する(ステップS2)。本実施形態では、デバイス走査台12によって平板状の基板1を二次元平面内で移動させる。そのため、半導体検査装置100は、レーザパルス光2を照射する照射位置10を照射開始位置に合うように、基板1を移動させる。
【0064】
半導体検査装置100は、照射位置10を設定した後、該照射位置に向けてレーザパルス光2を照射するとともに、逆バイアス用電磁波パルス4を照射する。そしてレーザパルス光2の照射に応じて基板1から放射される電磁波パルス3を検出部17によって検出する(ステップS3)。このときステップS3の詳細については、後に詳述する。
【0065】
ステップS3において電磁波パルス3を検出する際、電磁波パルスの時間波形を復元するためのデータを収集するようにしてもよい。上述したように、検出部17の検出器に入射させるプローブ光が到達するタイミングを、電磁波パルス3が到達するタイミングに対して遅延させることで、電磁波パルス3の時間波形を復元するための電界強度データを収集することができる。なお、プローブ光の到達するタイミングを電磁波パルス3に対して固定して、電磁波パルス3の電界強度を検出するようにしてもよい。この場合、電磁波パルス3の時間波形を復元することはできないが、電磁波パルス3の電界強度を限られたタイミングのみでサンプリングするため、検査を高速に行うことができる。
【0066】
ステップS2にて設定された照射位置10に関して、電磁波パルス3の検出が完了すると、半導体検査装置100は、照射位置10を変更するか判定する(ステップS4)。照射位置10を変更して検査する必要がある場合には、半導体検査装置100は、ステップS2に戻る。そして、基板1を移動させることによって、照射位置10を変更する。検査すべき箇所がない場合には、半導体検査装置100は、ステップS5へ進む。
【0067】
なお、半導体検査装置100において、基板1の局所のみを検査することも可能である。このような場合、半導体検査装置100は、ステップS2,S3によってその局所位置にレーザパルス光2を照射し、電磁波パルス3を検出した後、ステップS4をスキップしてステップS5へ進めばよい。
【0068】
電磁波パルス3の検出が完了すると、半導体検査装置100は、検出結果の解析を行う(ステップS5)。詳細には、テラヘルツ時間領域分光に基づいて、周波数指紋スペクトルを取得するスペクトル解析が行われる。なお、ステップS3において、検出タイミングを固定して(つまりプローブ光の光路長を固定して)電磁波パルス3を検出した場合は、そのプローブ光が入射した瞬間の電磁波パルス3の電界強度のみが取得される。この場合、電磁波パルス3の時間波形は復元されないため、ステップS5はスキップされる。
【0069】
また、半導体検査装置100は、検出結果を表現した画像を生成する(ステップS6)。具体的には、電磁波パルス3の電界強度分布を表す画像、または、スペクトル分析に基づき、特定周波数帯のスペクトル強度分布を表した画像などが生成される。また、ステップS3において検出タイミングが固定されていた場合は、検出された電磁波パルス3の電界強度の分布を表した画像などが生成される。ステップS6において生成された画像は、表示部27に適宜表示されるようにしてもよい。
【0070】
また半導体検査装置100は、検査により取得された検査データと、あらかじめ用意されている良品データとの比較する比較検査を行う(ステップS7)。具体的には、電磁波パルス3の電界強度分布の相違、または、スペクトル分布の相違などから、検査した基板1が良品であるかどうかが比較検査部24により判定される。
【0071】
次に、ステップS3の詳細な流れについて、図6を参照しつつ説明する。
【0072】
図6は、照射位置10から放射される電磁波パルス3を検出する際の詳細な流れ図である。ステップS3が開始されると、最初に、この照射位置10の半導体の構造が、構造特定部22により特定される。ここでは、CADデータに基づいて、その照射位置10がp型半導体であるかまたはn型半導体であるかが特定される(ステップS31)。ここで、CADデータと実際の半導体との位置を関連付ける際に、赤外線カメラあるいは赤外線顕微鏡で取得した撮像データを利用すればよい。赤外線は、可視光に比べてSiへの透過率が高いため、半導体の構造(形状など)を特定するのに有効である。これにより、パルスレーザ光2および逆バイアス用電磁波パルス4の照射位置を特定できる。
【0073】
半導体の構造が特定されると、逆バイアス用電磁波パルス4によって付与される電界の向きがn型半導体からp型半導体に向かうように、逆バイアス用電磁波パルス4が照射される(ステップS32)。このようにnp方向の電界を付与することによって、照射位置10の部分に逆方向バイアスをかけることができる。そして、逆方向バイアスがかかっている瞬間に、レーザパルス光2が照射され、それに応じて放射される電磁波パルス3の電界強度が検出部17によって検出される(ステップS33)。
【0074】
図7は、逆方向バイアスがかけられたときの電磁波パルス3(実線)と、かけられていないときの電磁波パルス3(破線)の時間波形を示す図である。図7に示したように、逆方向バイアスがかけられることによって、電磁波パルス3の振幅を増大させることができる。したがって、検出部17による検出感度を非接触状態で向上させることができる。
【0075】
また、半導体検査装置100によると、逆バイアス用電磁波パルス4は、基板1の任意の場所に照射することができる。つまり、任意の場所に逆方向バイアスをかけることができる。従来は、外部の電圧印加回路に接続して逆バイアス電圧を印加するため、電圧印加回路を接続できる場所が限定されてしまっていた。しかしながら、半導体検査装置100においては、基板1の様々な箇所に逆バイアス電圧を印加することができるため、非接触状態での基板1の検査範囲を広げることができる。
【0076】
なお、半導体検査装置100は、半導体デバイスとしてフォトデバイスが形成されている基板の検査にも適用できる。フォトデバイスとは、可視光を含む光を電流に変換するものであり、具体的には、太陽電池、CMOSセンサやCCDセンサなどのイメージセンサなどが挙げられる。
【0077】
図8は、太陽電池パネル1aの概略断面図である。図8に示した太陽電池パネル1aは、薄膜結晶シリコン系である太陽電池パネルとして構成されている。太陽電池パネル1aは、下から順にアルミニウムなどで形成された平板状の裏面電極92と、p型シリコン層93と、n型シリコン層94と、反射防止膜95と、格子状の受光面電極96とで構成される積層構造を有する結晶シリコン系太陽電池として構成されている。反射防止膜95は、酸化シリコン、窒化シリコンまたは酸化チタンなどで形成されている。太陽電池パネル1aの主面のうち、受光面電極96が設けられている側の主面が、受光面91Sとなっている。つまり、太陽電池パネル1aは、受光面91S側から光を受けることで発電するように設計されている。受光面電極96には、透明電極が用いられていてもよい。
【0078】
また、p型シリコン層93とn型シリコン層94との接合部分は、空乏層が形成されるpn接合部97となっている。このpn接合部97を検査するためには、この付近にレーザパルス光2の照射位置10aを設定し、レーザパルス光2の照射に応じて放射される電磁波パルス3を検出すればよい。このとき、逆バイアス用電磁波パルス4をレーザパルス光2に同期させて照射することで、逆方向バイアスをかけることができる。したがって、高強度の電磁波パルス3を発生させることができる。
【0079】
なお、太陽電池パネル1aは、p型シリコン層93とn型シリコン層94とが上下に重ねられた比較的単純な構造を有している。したがって、照射位置10aが設定された部分が、p型半導体であるかn型半導体であるかを特定し易くなっている。したがって、LSIなどの非常に複雑な半導体デバイスを検査する場合に比べて、逆方向バイアスをかけることが容易となっている。
【0080】
また、太陽電池パネル1aの受光面91Sは、光の反射損失を抑えるために、所要のテクスチャー構造を有している。具体的には、異方性エッチングなどにより形成される数μm〜数十μmの凹凸、または機械的方法によるV字状の溝などが形成されている。このように、太陽電池パネル1aの受光面91Sは、一般的に、できるだけ効率良く採光できるように形成されている。したがって、所定波長のレーザパルス光2が照射されたときに、レーザパルス光2が内部のpn接合部97に届きやすい。例えば、太陽電池パネルの場合、主に可視光の波長領域を有する波長1μm以下の光であれば、pn接合部97に容易に到達し得る。このように、フォトデバイスは、半導体検査装置100において、レーザパルス光2を照射して検査するのに好適である。
【0081】
{2. 変形例}
以上、実施形態について説明してきたが、本発明は上記のようなものに限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0082】
例えば上記実施形態では、レーザパルス光2の光軸と逆バイアス用電磁波パルス4の光軸とが一致しないようにしている。しかしながら、これら光軸を一致させて基板1に照射するようにしてもよい。この場合、信号処理部23によって取得される周波数指紋スペクトルから、基板1から発生する電磁波パルス3を抽出するようにすればよい。具体的に、逆バイアス用電磁波パルス4が、1〜4THzにピーク強度を持つようにする。そして、基板1がSi基板で構成される場合には、電磁波パルス3について、0.1THzから0.5THzの成分を解析すれば、逆バイアス用電磁波パルス4の影響をほとんど受けずに検査を行うことができる。
【0083】
また、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0084】
100 半導体検査装置
1 基板
1a 太陽電池パネル
10,10a 照射位置
12 デバイス走査台
14 パルスレーザ光源
15 集光レンズ
16 偏光素子
17 検出部
18 電磁波パルス照射部
19 偏光素子
2 レーザパルス光
20 制御部
21 同期信号発生部
22 構造特定部
23 信号処理部
24 比較検査部
25 記憶部
26 入力部
27 表示部
3 電磁波パルス
4 逆バイアス用電磁波パルス
72 n型拡散領域(n型半導体)
73,74 p型拡散領域(p型半導体)
75,76 電極
77 pn接合部
81 電子
82 正孔
91S 受光面
93 p型シリコン層(p型半導体)
94 n型シリコン層(n型半導体)
97 pn接合部
E 外部電界

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイスを検査する半導体検査装置において、
半導体デバイスに対してレーザパルス光を照射する第一照射部と、
前記レーザパルス光が照射される照射位置に対して逆方向バイアスをかけるための逆バイアス用電磁波パルスを照射する第二照射部と、
前記レーザパルス光の照射に応じて前記照射位置から放射される電磁波パルスを検出する検出部と、
を備える半導体検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体検査装置において、
前記第二照射部は、前記レーザパルス光を発生させる光源と同一の光源を利用して、前記逆バイアス用電磁波パルスを発生させる半導体検査装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の半導体検査装置において、
前記第二照射部は、前記逆バイアス用電磁波パルスの照射によって前記照射位置に付与される電界の向きが、n型半導体からp型半導体へ向かう方向となるように、前記逆バイアス用電磁波パルスを照射する半導体検査装置。
【請求項4】
請求項3に記載の半導体検査装置において、
前記照射位置における半導体の構造を特定する構造特定部、
をさらに備える半導体検査装置。
【請求項5】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の半導体検査装置において、
前記レーザパルス光の照射位置を移動させることにより、半導体デバイスを二次元的に走査する走査機構、をさらに備える半導体検査装置。
【請求項6】
半導体デバイスを検査する半導体検査方法において、
(a) 所要の波長を有するレーザパルス光を半導体デバイスに照射する工程と、
(b) 前記(a)工程において、前記レーザパルス光が照射される照射位置に対して逆方向バイアスをかけるために、逆バイアス用電磁波パルスを照射する工程と、
(c) 前記(a)工程において、前記レーザパルス光の照射に応じて前記照射位置から放射される電磁波パルスを検出する工程と、
を含む半導体検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−72843(P2013−72843A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214229(P2011−214229)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【出願人】(504176911)国立大学法人大阪大学 (1,536)
【Fターム(参考)】