半導体発光素子および半導体発光素子の製造方法
【課題】発光特性を向上することのできる半導体発光素子および半導体発光素子の製造方法を提供する。
【解決手段】半導体レーザ30は、AlGaNよりなるn型クラッド層2と、n型クラッド層2上に形成されたInsGa1-sN(0≦s<1)よりなるn型中間層3と、n型中間層3上に形成されたIntGa1-tN(0≦t<0.5)よりなるn型緩衝層4と、n型緩衝層4上に形成されたInGaNよりなる量子井戸発光層5とを備えている。量子井戸発光層5はIn濃度が相対的に高いInuGa1-uN(0<u<0.5)よりなる井戸層と、In濃度が相対的に低いInvGa1-vN(0≦v<u)よりなる障壁層とを有している。n型緩衝層4のIn濃度はn型中間層3のIn濃度よりも高く、かつ井戸層5bのIn濃度はn型緩衝層4のIn濃度よりも高い。
【解決手段】半導体レーザ30は、AlGaNよりなるn型クラッド層2と、n型クラッド層2上に形成されたInsGa1-sN(0≦s<1)よりなるn型中間層3と、n型中間層3上に形成されたIntGa1-tN(0≦t<0.5)よりなるn型緩衝層4と、n型緩衝層4上に形成されたInGaNよりなる量子井戸発光層5とを備えている。量子井戸発光層5はIn濃度が相対的に高いInuGa1-uN(0<u<0.5)よりなる井戸層と、In濃度が相対的に低いInvGa1-vN(0≦v<u)よりなる障壁層とを有している。n型緩衝層4のIn濃度はn型中間層3のIn濃度よりも高く、かつ井戸層5bのIn濃度はn型緩衝層4のIn濃度よりも高い。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体発光素子および半導体発光素子の製造方法に関し、より特定的には、InGaNよりなる量子井戸発光層を備えた半導体発光素子および半導体発光素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
InGaNよりなる窒化物半導体は、紫外領域から赤外領域までの波長領域の光を発する発光素子の材料としてよく知られている。たとえば特開平8−228025号公報(特許文献1)には、InGaNを用いた発光素子の構成が開示されている。特許文献1の発光素子は、サファイアよりなる基板と、GaNよりなるバッファ層と、GaNよりなるn型コンタクト層と、InGaNよりなる第1のクラッド層と、AlGaNよりなる第2のn型クラッド層と、InGaNよりなる活性層と、InGaNよりなる第1のp型クラッド層と、AlGaNよりなる第2のp型クラッド層と、GaNよりなるp型コンタクト層とを備えている。基板上にはバッファ層、n型コンタクト層、第2のn型クラッド層、第1のn型クラッド層、活性層、第1のp型クラッド層、第2のp型クラッド層、p型コンタクト層の各々がこの順序で形成されている。また、n型コンタクト層に接触して負電極が形成されており、p型コンタクト層に接触して正電極が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−228025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の半導体発光素子においては、十分な発光特性が得られないという問題があった。具体的には、上記特許文献1の発光素子において発光波長を450nmから400nmに変えると、PL(Photoluminescence)強度が大きく低下するという問題があった。
【0005】
したがって、本発明の目的は、発光特性を向上することのできる半導体発光素子および半導体発光素子の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の局面に従う半導体発光素子は、第1導電型のAlGaNよりなるクラッド層と、クラッド層上に形成されたInsGa1-sN(0≦s<1)よりなる中間層と、中間層上に形成されたIntGa1-tN(0≦t<0.5)よりなる緩衝層と、緩衝層上に形成されたInGaNよりなる量子井戸発光層とを備えている。量子井戸発光層はIn濃度が相対的に高いInuGa1-uN(0<u<0.5)よりなる井戸層と、In濃度が相対的に低いInvGa1-vN(0≦v<u)よりなる障壁層とを有している。緩衝層のIn濃度は中間層のIn濃度よりも高く、かつ井戸層のIn濃度は緩衝層のIn濃度よりも高い。
【0007】
本発明の他の局面に従う半導体発光素子は、第1導電型のAlGaNよりなるクラッド層と、クラッド層上に形成されたAlsGa1-sN(0≦s<1)よりなる中間層と、中間層上に形成されたIntGa1-tN(0≦t<0.5)よりなる緩衝層と、緩衝層上に形成されたInGaNよりなる量子井戸発光層とを備えている。量子井戸発光層はIn濃度が相対的に高いInuGa1-uN(0<u<0.5)よりなる井戸層と、In濃度が相対的に低いInvGa1-vN(0≦v<u)よりなる障壁層とを有している。クラッド層のAl濃度は中間層のAl濃度よりも高く、かつ井戸層のIn濃度は緩衝層のIn濃度よりも高い。
【0008】
本願発明者らは、従来の半導体発光素子において十分な発光特性が得られない理由は、クラッド層の結晶格子と量子井戸発光層の結晶格子との不整合と、これらの結晶格子の不整合に起因する量子井戸発光層の欠陥とにあることを見出した。そこで、本発明の一の局面および他の局面に従う半導体発光素子によれば、クラッド層と量子井戸発光層との間に中間層および緩衝層が形成されており、クラッド層から量子井戸発光層にかけて徐々に結晶の格子定数が大きくなるようにされている。これにより、クラッド層の結晶格子と量子井戸発光層の結晶格子との不整合が緩和され、量子井戸発光層への欠陥の発生が抑制される。その結果、発光特性を向上することができる。
【0009】
本発明の半導体発光素子において好ましくは、AlwGa1-wN(0≦w≦1)よりなる基板がさらに備えられている。クラッド層は基板の一方の主面上に形成されている。
【0010】
AlwGa1-wN(0≦w≦1)は熱的に安定であり、基板として適している。またAlwGa1-wN(0≦w≦1)は導電性を有するので、基板の他方の主面に電極を形成することができる。これにより、基板の一方の主面側に電極を形成する場合に比べて半導体発光素子の平面サイズを小さくすることができる。加えて、基板の一方の主面側に形成された層をエッチングする必要がないので、基板の一方の主面側に電極を形成する場合に比べて製造工程を簡略化することができる。
【0011】
本発明の半導体発光素子において好ましくは、基板が相対的に欠陥密度の低い低欠陥領域と、相対的に欠陥密度が高く、かつ一方の主面において点状または線状に分布する欠陥集中領域とを有している。
【0012】
これにより、低欠陥領域を発光領域とすることができ、半導体発光素子の発光特性をさらに向上することができる。
【0013】
本発明の半導体発光素子において好ましくは、クラッド層が一方の主面に接して形成されている。
【0014】
本発明の半導体発光素子において好ましくは、緩衝層はIntGa1-tN(0.02≦t≦0.5)よりなっている。
【0015】
本発明の半導体発光素子において好ましくは、緩衝層の膜厚は80nm以上140nm以下である。
【0016】
これにより、発光特性をさらに向上することができる。
本発明の半導体発光素子において好ましくは、クラッド層はAlxGa1-xN(0<x≦0.05)よりなっている。
【0017】
Alの組成比xを0.05以下とすることにより、クラッド層の結晶と量子井戸発光層の結晶との格子定数が近くなり、発光特性をさらに向上することができる。
【0018】
本発明の一の局面に従う半導体発光素子の製造方法は、以下の工程を備えている。第1導電型のAlGaNよりなるクラッド層を形成する。InsGa1-sN(0≦s<1)よりなる中間層をクラッド層上に形成する。IntGa1-tN(0≦t<0.5)よりなる緩衝層を中間層上に形成する。InGaNよりなる量子井戸発光層を緩衝層上に形成する。量子井戸発光層を形成する工程は、In濃度が相対的に高いInuGa1-uN(0<u<0.5)よりなる井戸層を形成する工程と、In濃度が相対的に低いInvGa1-vN(0≦v<u)よりなる障壁層を形成する工程とを含んでいる。緩衝層のIn濃度は中間層のIn濃度よりも高く、かつ井戸層のIn濃度は緩衝層のIn濃度よりも高い。
【0019】
本発明の他の局面に従う半導体発光素子の製造方法は、以下の工程を備えている。第1導電型のAlGaNよりなるクラッド層を形成する。AlsGa1-sN(0≦s<1)よりなる中間層をクラッド層上に形成する。IntGa1-tN(0≦t<0.5)よりなる緩衝層を中間層上に形成する。InGaNよりなる量子井戸発光層を緩衝層上に形成する。量子井戸発光層を形成する工程は、In濃度が相対的に高いInuGa1-uN(0<u<0.5)よりなる井戸層を形成する工程と、In濃度が相対的に低いInvGa1-vN(0≦v<u)よりなる障壁層を形成する工程とを含んでいる。クラッド層のAl濃度は中間層のAl濃度よりも高く、かつ井戸層のIn濃度は緩衝層のIn濃度よりも高い。
【0020】
本発明の一の局面および他の局面に従う半導体発光素子の製造方法によれば、クラッド層と量子井戸発光層との間に中間層および緩衝層が形成されており、クラッド層から量子井戸発光層にかけて徐々に結晶の格子定数が大きくなるようにされている。これにより、クラッド層の結晶格子と量子井戸発光層の結晶格子との不整合が緩和され、量子井戸発光層への欠陥の発生が抑制される。その結果、発光特性を向上することができる。
【0021】
本発明の半導体発光素子の製造方法において好ましくは、クラッド層は第1の温度で形成され、かつ中間層は第1の温度以下の温度である第2の温度で形成され、かつ緩衝層は第2の温度以下の温度である第3の温度で形成される。
【0022】
中間層の融点はクラッド層の融点よりも低いので、クラッド層よりも低い温度で中間層を形成することで所望の組成の中間層を得ることができる。また、緩衝層の融点は中間層の融点よりも低いので、中間層よりも低い温度で緩衝層を形成することで緩衝層の結晶の品質を向上することができる。
【0023】
本発明の半導体発光素子の製造方法において好ましくは、井戸層は緩衝層を形成する際の温度以下の温度で形成され、障壁層は緩衝層を形成する際の温度以上の温度で形成される。
【0024】
井戸層の融点は緩衝層の融点よりも低いので、緩衝層よりも低い温度で井戸層を形成することで井戸層の結晶の品質を向上することができる。また、緩衝層の融点は障壁層の融点よりも低いので、障壁層よりも低い温度で緩衝層を形成することで所望の組成の緩衝層を得ることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の半導体発光素子および半導体発光素子の製造方法によれば、発光特性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態1における半導体発光素子の構成を示す断面図である。
【図2】量子井戸発光層におけるIn組成の分布を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態1における半導体レーザの製造方法の第1工程を示す断面図である。
【図4】本発明の実施の形態1における半導体レーザの製造方法の第2工程を示す断面図である。
【図5】本発明の実施の形態1における半導体レーザの製造方法の第3工程を示す断面図である。
【図6】本発明の実施の形態3における発光ダイオードの構成を示す断面図である。
【図7】本発明の実施の形態3における発光ダイオードの製造方法の第1工程を示す断面図である。
【図8】本発明の実施の形態3における発光ダイオードの製造方法の第2工程を示す断面図である。
【図9】本発明の実施の形態3における発光ダイオードの製造方法の第3工程を示す断面図である。
【図10】(a)は本発明の実施の形態4における半導体レーザに使用される基板を模式的に示した斜視図であり、(b)は本発明の実施の形態4における半導体レーザに使用される基板を模式的に示した断面図である。
【図11】本発明の実施の形態4における半導体レーザに使用される基板の他の例を模式的に示した斜視図である。
【図12】本発明の実施例2において、本発明例2で得られたスペクトルを示す図である。
【図13】本発明の実施例2において得られた電流値と光出力との関係を示す図である。
【図14】本発明の実施例3におけるn型緩衝層のIn組成とPL強度との関係を示す図である。
【図15】本発明の実施例4におけるn型緩衝層の膜厚とPL強度との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における半導体レーザの構成を示す断面図である。図1を参照して、本実施の形態における半導体発光素子としての半導体レーザ30は、基板1と、n型クラッド層2と、n型中間層3と、n型緩衝層4と、量子井戸発光層5と、ガイド層6と、p型電子ブロック層7と、p型クラッド層8と、p型コンタクト層9と、絶縁層10と、電極11および12とを備えている。
【0028】
基板1はAlwGa1-wN(0≦w≦1)よりなっており、たとえばGaNよりなっている。基板1の上面1a上にはn型クラッド層2が上面1aに接して形成されている。n型クラッド層2はAlGaNよりなっており、たとえばAlxGa1-xN(0<x≦0.05)よりなっている。n型クラッド層2上にはInsGa1-sN(0≦s<1)よりなるn型中間層3が形成されている。n型中間層3上にはn型緩衝層4が形成されている。n型緩衝層4はたとえばIntGa1-tN(0≦t<0.5)よりなっており、好ましくはIntGa1-tN(0.02≦t≦0.5)よりなっている。n型緩衝層4の膜厚はたとえば80nm以上140nm以下である。n型緩衝層4上には量子井戸発光層5が形成されている。
【0029】
図2は、量子井戸発光層におけるIn組成の分布を示す図である。図1および図2を参照して、量子井戸発光層5は複数の障壁層5aと井戸層5bとを有している。障壁層5aと井戸層5bとは積層方向(図1中縦方向)に交互に形成されている。井戸層5bはInuGa1-uN(0<u<0.5)よりなっており、障壁層5aはInvGa1-vN(0≦v<u)よりなっている。障壁層5aのIn濃度は井戸層5bのIn濃度よりも低い。図2では、障壁層5aのIn組成比は1%であり、井戸層5bの組成比は8%である。障壁層5aにおけるエネルギ障壁によって、量子井戸発光層5に注入されたキャリアが井戸層5bに閉じ込められる。
【0030】
図1を参照して、n型緩衝層4のIn濃度はn型中間層3のIn濃度よりも高く、かつ井戸層5bのIn濃度はn型緩衝層4のIn濃度よりも高い。
【0031】
量子井戸発光層5上にはたとえばアンドープGaNよりなるガイド層6が形成されており、ガイド層6上にはたとえばAlGaNよりなるp型電子ブロック層7が形成されている。p型電子ブロック層7上にはAlGaNよりなるp型クラッド層8が形成されており、p型クラッド層8上にはGaNよりなるp型コンタクト層9が形成されている。p型コンタクト層9上には開口部10aを有する絶縁層10が形成されている。開口部10a内を埋めるように電極12が絶縁層10上に形成されている。電極12は絶縁層10と直接接触している。基板1の下面1bには電極11が形成されている。
【0032】
本実施の形態の半導体レーザ30においては、電極11(n電極)および電極12(p電極)へ所定の電位が与えられると、電極11および電極12の間に電圧が発生し、n型クラッド層2およびp型クラッド層8の各々から量子井戸発光層5へキャリアが注入される。そして、注入されたキャリア同士が井戸層5bにおいてそれぞれ再結合し、光が放出される。この光は、量子井戸発光層5の端面から紙面に垂直な方向へ放出される。
【0033】
続いて、本実施の形態における半導体レーザの製造方法について、図3〜図5を用いて説明する。
【0034】
始めに図3を参照して、基板1の上面1a上に、n型クラッド層2と、n型中間層3と、n型緩衝層4と、量子井戸発光層5と、ガイド層6と、p型電子ブロック層7と、p型クラッド層8と、p型コンタクト層9とをこの順序で形成する。これらの層はたとえばMOCVD(有機金属気相成長法)を用いて形成される。
【0035】
ここで、量子井戸発光層5における障壁層5aおよび井戸層5bは、Inを含むガスの濃度を周期的に変化させることで形成される。またInGaNはアンドープで作製してもn型になると考えられるため、n型中間層3およびn型緩衝層4をアンドープのInGaNにより作製してもよい。
【0036】
また、n型中間層3はn型クラッド層2を形成する際の温度(第1の温度)以下の温度(第2の温度)で形成され、かつn型緩衝層4はn型中間層3を形成する際の温度以下の温度(第3の温度)で形成される。さらに、井戸層5bはn型緩衝層4を形成する際の温度以下の温度で形成され、障壁層5aはn型緩衝層4を形成する際の温度以上の温度で形成される。
【0037】
次に図4を参照して、p型コンタクト層9上に絶縁層10を形成する。続いて、絶縁層10上に図示しないレジストを形成し、このレジストをマスクとして絶縁層10をエッチングする。その結果、絶縁層10の所定の位置に開口部10aが形成される。
【0038】
次に図5を参照して、開口部10aを埋めるように絶縁層10上に電極12を形成する。続いて、基板1の下面1bに電極11を形成する。その後、図中A−A線に沿って基板1をダイシングし、個々の半導体レーザに分離する。以上の工程により、図1に示す半導体レーザ30が得られる。
【0039】
本実施の形態における半導体レーザ30は、AlGaNよりなるn型クラッド層2と、n型クラッド層2上に形成されたInsGa1-sN(0≦s<1)よりなるn型中間層3と、n型中間層3上に形成されたIntGa1-tN(0≦t<0.5)よりなるn型緩衝層4と、n型緩衝層4上に形成されたInGaNよりなる量子井戸発光層5とを備えている。量子井戸発光層5はIn濃度が相対的に高いInuGa1-uN(0<u<0.5)よりなる井戸層5bと、In濃度が相対的に低いInvGa1-vN(0≦v<u)よりなる障壁層5aとを有している。n型緩衝層4のIn濃度はn型中間層3のIn濃度よりも高く、かつ井戸層5bのIn濃度はn型緩衝層4のIn濃度よりも高い。
【0040】
また、本実施の形態における半導体レーザ30の製造方法は、以下の工程を備えている。AlGaNよりなるn型クラッド層2を形成する。InsGa1-sN(0≦s<1)よりなるn型中間層3をn型クラッド層2上に形成する。IntGa1-tN(0≦t<0.5)よりなるn型緩衝層4をn型中間層3上に形成する。InGaNよりなる量子井戸発光層5をn型緩衝層4上に形成する。量子井戸発光層5を形成する工程は、In濃度が相対的に高いInuGa1-uN(0<u<0.5)よりなる井戸層5bを形成する工程と、In濃度が相対的に低いInvGa1-vN(0≦v<u)よりなる障壁層5aを形成する工程とを含んでいる。n型緩衝層4のIn濃度はn型中間層3のIn濃度よりも高く、かつ井戸層5bのIn濃度はn型緩衝層4のIn濃度よりも高い。
【0041】
AlGaN結晶の格子定数はAlの含有量が少ないほど大きく、またInGaN結晶の格子定数はInの含有量が多いほど大きい。本実施の形態における半導体レーザ30およびその製造方法によれば、n型クラッド層2と量子井戸発光層5との間にn型中間層3およびn型緩衝層4が形成されており、n型クラッド層2から量子井戸発光層5にかけて徐々にAlの含有量が少なくなり、かつInの含有量が多くなる。これによって、n型クラッド層2から量子井戸発光層5にかけて結晶の格子定数が徐々に大きくなるので、n型クラッド層2の結晶格子と量子井戸発光層5の結晶格子との不整合が緩和され、量子井戸発光層への欠陥の発生が抑制される。その結果、発光特性を向上することができる。
【0042】
また、半導体レーザ30はAlwGa1-wN(0≦w≦1)よりなる基板1をさらに備えており、n型クラッド層2は基板1の上面1a上に形成されている。AlwGa1-wN(0≦w≦1)は熱的に安定であり、基板として適している。またAlwGa1-wN(0≦w≦1)は導電性を有するので、基板1の下面1bに電極11を形成することができる。これにより、基板1の上面1a側に電極を形成する場合に比べて半導体レーザ30の平面サイズを小さくすることができる。加えて、基板1の上面1a側に形成された層をエッチングする必要がないので、基板1の上面1a側に電極を形成する場合に比べて製造工程を簡略化することができる。
【0043】
また、n型クラッド層2がAlxGa1-xN(0<x≦0.05)よりなっているので、n型クラッド層2の結晶格子と量子井戸発光層5の結晶格子との格子定数が近くなり、発光特性をさらに向上することができる。
【0044】
また上記製造方法においては、n型クラッド層2は第1の温度で形成され、かつn型中間層3は第1の温度以下の温度である第2の温度で形成され、かつn型緩衝層4は第2の温度以下の温度である第3の温度で形成される。さらに上記製造方法においては、井戸層5bはn型緩衝層4を形成する際の温度以下の温度で形成され、障壁層5aはn型緩衝層4を形成する際の温度以上の温度で形成される。
【0045】
Inを多く含むほど層の融点は低下し、Alを多く含むほど層の融点は上昇するので、上記のように各層の形成温度を設定することで、各層の結晶の品質を向上することができる。
【0046】
(実施の形態2)
図1を参照して、本実施の形態の半導体レーザ30は、n型中間層の材質において実施の形態1の半導体レーザと異なっている。本実施の形態におけるn型中間層3はAlsGa1-sN(0≦s<1)よりなっている。n型クラッド層2のAl濃度はn型中間層のAl濃度よりも高く、かつ井戸層5bのIn濃度はn型緩衝層4のIn濃度よりも高い。
【0047】
なお、これ以外の半導体レーザ30の構成、動作、および製造方法は、実施の形態1の半導体レーザの構成および動作とほぼ同様であるので、同一の部材には同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0048】
本実施の形態における半導体レーザ30は、AlGaNよりなるn型クラッド層2と、n型クラッド層2上に形成されたAlsGa1-sN(0≦s<1)よりなるn型中間層3と、n型中間層3上に形成されたIntGa1-tN(0≦t<0.5)よりなるn型緩衝層4と、n型緩衝層4上に形成されたInGaNよりなる量子井戸発光層5とを備えている。量子井戸発光層5はIn濃度が相対的に高いInuGa1-uN(0<u<0.5)よりなる井戸層5bと、In濃度が相対的に低いInvGa1-vN(0≦v<u)よりなる障壁層5aとを有している。n型クラッド層2のAl濃度はn型中間層3のAl濃度よりも高く、かつ井戸層5bのIn濃度はn型緩衝層4のIn濃度よりも高い。
【0049】
また、本実施の形態における半導体レーザ30の製造方法は、以下の工程を備えている。AlGaNよりなるn型クラッド層2を形成する。AlsGa1-sN(0≦s<1)よりなるn型中間層3をn型クラッド層2上に形成する。IntGa1-tN(0≦t<0.5)よりなるn型緩衝層4をn型中間層3上に形成する。InGaNよりなる量子井戸発光層5をn型緩衝層4上に形成する。量子井戸発光層5を形成する工程は、In濃度が相対的に高いInuGa1-uN(0<u<0.5)よりなる井戸層5bを形成する工程と、In濃度が相対的に低いInvGa1-vN(0≦v<u)よりなる障壁層5aを形成する工程とを含んでいる。n型クラッド層2のAl濃度はn型中間層3のAl濃度よりも高く、かつ井戸層5bのIn濃度はn型緩衝層4のIn濃度よりも高い。
【0050】
本実施の形態における半導体レーザ30およびその製造方法によれば、n型クラッド層2から量子井戸発光層5にかけて徐々に結晶の格子定数が大きくなるので、n型クラッド層2の結晶格子と量子井戸発光層5の結晶格子との不整合が緩和され、量子井戸発光層5への欠陥の発生が抑制される。その結果、発光特性を向上することができる。
【0051】
(実施の形態3)
図6は、本発明の実施の形態3における発光ダイオードの構成を示す断面図である。図6を参照して、本実施の形態の半導体発光素子としての発光ダイオード31は、以下の点において実施の形態1の半導体レーザと異なっている。基板1はたとえばサファイアなどの絶縁性材料よりなっており、基板1とn型クラッド層2との間には、GaNよりなるn型コンタクト層21が形成されている。ガイド層6およびp型クラッド層8は形成されておらず、量子井戸発光層5およびp型電子ブロック層7と、p型電子ブロック層7およびp型コンタクト層9との各々が互いに接して形成されている。n型クラッド層2、n型中間層3、n型緩衝層4、量子井戸発光層5、p型電子ブロック層7、およびp型コンタクト層9の各々の一部は除去されており、それによりn型コンタクト層21に達する溝21aが形成されている。溝21aにおいて、電極11はn型コンタクト層21に隣接して形成されている。これにより、電極11はn型コンタクト層21を介して基板1に電気的に接続されている。p型コンタクト層9上には絶縁層が形成されておらず、電極12がp型コンタクト層9に隣接して形成されている。
【0052】
なお、これ以外の発光ダイオード31の構成は、実施の形態1の半導体レーザの構成とほぼ同様であるので、同一の部材には同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0053】
続いて、本実施の形態における発光ダイオードの製造方法について、図7〜図9を用いて説明する。
【0054】
始めに図7を参照して、基板1の上面1a上にn型コンタクト層21と、n型クラッド層2と、n型中間層3と、n型緩衝層4と、量子井戸発光層5と、p型電子ブロック層7と、p型コンタクト層9とをこの順序で形成する。これらの層はたとえばMOCVD(有機金属気相成長法)を用いて形成される。量子井戸発光層5における障壁層5aおよび井戸層5bは、Inを含むガスの濃度を周期的に変化させることで形成される。
【0055】
なお、サファイアよりなる基板1を用いる場合、基板1とn型クラッド層2との間にバッファ層(図示なし)を形成してもよい。
【0056】
次に図8を参照して、p型コンタクト層9上に電極12を形成し、電極12上に所定形状を有するレジスト25を形成する。次に、レジスト25をマスクとして、p型コンタクト層9、p型電子ブロック層7、量子井戸発光層5、n型緩衝層4、n型中間層3、およびn型クラッド層2の各々の一部をエッチングする。その結果、n型コンタクト層21に溝21aが形成される。その後、レジスト25を除去する。
【0057】
次に図9を参照して、溝21aの底部のn型コンタクト層21上に電極11を形成する。その後、図中B−B線に沿って基板1およびn型コンタクト層21をダイシングし、個々の発光ダイオードに分離する。以上の工程により、図6に示す発光ダイオード31が得られる。
【0058】
本実施の形態では、基板1が絶縁性基板であるので、基板1の下面に電極を形成することができない。このため、基板1の上面1aに電極11が設けられている。その結果、本実施の形態における発光ダイオード31およびその製造方法によれば、実施の形態1の半導体レーザおよびその製造方法と同様の効果を得ることができる。
【0059】
(実施の形態4)
図10は、本発明の実施の形態4における半導体レーザに使用される基板を模式的に示した図である。(a)は斜視図であり、(b)は(a)のXB−XB線に沿う断面図である。図10(a)、(b)を参照して、本実施の形態における基板1は、低欠陥領域50と、低欠陥領域50に比べて欠陥密度の高い領域である欠陥集中領域51とを有している。欠陥集中領域51は基板1の上面1aにおいて点状に分布しており、厚さ方向(図10(b)中縦方向)に基板1を貫通している。
【0060】
なお、図10(a)、(b)においては、低欠陥領域50と欠陥集中領域51との境界線が実線で示されているが、低欠陥領域50と欠陥集中領域51との境界には実際にはこのような線はない。
【0061】
本実施の形態における基板1は、製造時に欠陥をある領域に集中させることにより、それ以外の領域の欠陥を低減したものである。このような基板1を半導体レーザ30が備えていることにより、低欠陥領域50を発光領域とすることができ、半導体レーザの発光特性をさらに向上することができる。
【0062】
なお、本実施の形態における基板としては、図10に示すように欠陥集中領域51が点状に分布している場合の他、図11に示すように欠陥集中領域51が上面1aにおいて線状に分布しているものであってもよい。
【実施例1】
【0063】
本実施例では、本発明例1の半導体レーザと比較例1の半導体レーザとの各々の発光特性を調べた。本発明例1の半導体レーザは以下の製造方法により製造された。
【0064】
本発明例1:実施の形態1に示す製造方法に従って半導体レーザを製造した。始めに、貫通転位密度1×106cm-2未満の低欠陥領域と、線状に分布する欠陥集中領域とを有するn型GaN(0001)基板を準備し、成膜装置内のサセプタ上に配置した。続いて、装置内圧力を30kPaにコントロールしながらアンモニアと水素とを導入し、基板を1050℃に加熱した状態で10分間クリーニングを行なった。続いて、基板温度を1100℃まで上昇させ、キャリアガスを主に水素として、トリメチルガリウム、トリメチルアルミニウム、アンモニア、およびモノシランを装置内に導入した。これにより、膜厚2μmのn型AlGaNクラッド層(Al組成3%)を成長した。次に基板温度を1100℃に保ったまま、キャリアガスを主に水素として、トリメチルガリウムおよびアンモニアを装置内に導入し、膜厚3nmのノンドープGaN中間層を成長した。続いて層の成長を一旦中断し、基板温度を800℃に低下させ、キャリアガスを主に窒素として、トリメチルガリウム、トリメチルインジウム、アンモニア、およびモノシランを装置内に導入した。これにより、膜厚50nmのSiドープInGaN緩衝層(In組成4%)を成長した。次に層の成長を一旦中断し、基板温度を880℃まで上昇させ、キャリアガスを主に窒素として、トリメチルガリウム、トリメチルインジウム、アンモニアを装置内に導入した。これにより、厚さ15nmのノンドープInGaN障壁層(In組成1%)を成長した。その後基板温度を800℃に低下させ、キャリアガスを主に窒素として、トリメチルガリウム、トリメチルインジウム、およびアンモニアを装置内に導入した。これにより、膜厚3nmのノンドープInGaN井戸層(In組成8%)を成長した。ノンドープInGaN障壁層を形成する工程とノンドープInGaN井戸層を形成する工程とを繰り返すことによって、3周期の量子井戸発光層を形成した。
【0065】
次に層の成長を一旦中断し、基板温度を1050℃に上昇させた後、キャリアガスを主に水素として、トリメチルガリウムおよびアンモニアを装置内に導入した。これにより、膜厚100nmのノンドープGaNガイド層を成長した。続いてキャリアガスを主に水素として、トリメチルガリウム、トリメチルアルミニウム、アンモニア、およびシクロペンタジエニルマグネシウムを装置内に導入した。これにより、膜厚20nmのp型AlGaN電子ブロック層(Al組成18%)を成長した。その後キャリアガスを主に水素として、トリメチルガリウム、トリメチルアルミニウム、アンモニア、およびシクロペンタジエニルマグネシウムを装置内に導入した。これにより、膜厚150nmのp型AlGaNクラッド層(Al組成7%)を成長した。次にキャリアガスを主に水素として、トリメチルガリウム、アンモニア、およびシクロペンタジエニルマグネシウムを装置内に導入した。これにより、膜厚50nmのp型GaNコンタクト層を成長した。
【0066】
その後、基板を成膜装置内から取り出し、p型GaNコンタクト層上に絶縁膜を形成した。続いて、エッチングによって絶縁膜に幅5μmの開口部を開口し、Ni/Auよりなるp電極を形成した。次に、GaN基板を減厚した後で基板の下面にn型電極を形成した。その後、長さ800μmのバー状にダイシングし、端面ミラーを形成した。以上の方法により図1の半導体レーザ(青紫色発光素子)を得た。
【0067】
また、比較例1の半導体レーザは以下の製造方法により製造された。
比較例1:本発明例1の製造方法において、ノンドープGaN中間層およびSiドープInGaN緩衝層を形成せずに、n型AlGaNクラッド層の上に直接量子井戸発光層を形成した。これ以外は本発明例1と同様の製造方法を用いて半導体レーザ(青紫色発光素子)を製造した。
【0068】
このようにして得られた本発明例1の半導体レーザおよび比較例1の半導体レーザの各々に室温でパルス電流を印加したところ、レーザ発振が観測された。スロープ効率は本発明例1では1.0W/Aであり、比較例1では0.6W/Aであった。この結果から、本発明によれば発光特性を向上できることが分かる。
【実施例2】
【0069】
本実施例では、本発明例2の発光ダイオードと比較例2の発光ダイオードとの各々の発光特性を調べた。本発明例2の発光ダイオードは以下の製造方法により製造された。
【0070】
本発明例2:実施の形態3に示す製造方法に従って発光ダイオードを製造した。始めに、c面サファイア基板を準備し、成膜装置内のサセプタ上に配置した。続いて、水素を装置内に導入しながら基板を1100℃に加熱した状態で10分間クリーニングを行なった。続いて、基板温度を500℃に低下させ、キャリアガスを主に水素として、トリメチルガリウム、アンモニアを装置内に導入した。これにより、低温バッファ層を成長した。続いて層の成長を一旦中断し、基板温度を1100℃まで上昇させ、キャリアガスを主に水素として、トリメチルガリウム、アンモニア、およびモノシランを導入した。これにより、膜厚5μmのn型GaNコンタクト層を成長した。次にキャリアガスを主に水素として、トリメチルガリウム、トリメチルアルミニウム、アンモニア、およびモノシランを装置内に導入した。これにより、膜厚600nmのn型AlGaNクラッド層(Al組成7%)を成長した。次に、基板温度を1100℃に保ったまま、キャリアガスを主に水素として、トリメチルガリウムおよびアンモニアを装置内に導入した。これにより、膜厚3nmのノンドープGaN中間層を成長した。続いて層の成長を一旦中断し、基板温度を800℃に低下させ、キャリアガスを主に窒素として、トリメチルガリウム、トリメチルインジウム、アンモニア、およびモノシランを装置内に導入した。これにより、膜厚50nmのSiドープInGaN緩衝層(In組成4%)を成長した。その後層の成長を一旦中断し、基板温度を880℃まで上昇させ、キャリアガスを主に窒素として、トリメチルガリウム、トリメチルインジウム、およびアンモニアを装置内に導入した。これにより、膜厚15nmのノンドープInGaN障壁層(In組成1%)を成長した。その後基板温度を800℃に低下させ、キャリアガスを主に窒素として、トリメチルガリウム、トリメチルインジウム、およびアンモニアを装置内に導入した。これにより、膜厚3nmのノンドープInGaN井戸層(In組成8%)を成長した。ノンドープInGaN障壁層を形成する工程とノンドープInGaN井戸層を形成する工程とを繰り返すことによって、3周期の量子井戸発光層を形成した。
【0071】
次に層の成長を一旦中断し、基板温度を1050℃に上昇させた後、キャリアガスを主に水素として、トリメチルガリウム、トリメチルアルミニウム、アンモニア、およびシクロペンタジエニルマグネシウムを装置内に導入した。これにより、膜厚20nmのp型AlGaN電子ブロック層(Al組成18%)を成長した。続いてキャリアガスを主に水素として、トリメチルガリウム、アンモニア、およびシクロペンタジエニルマグネシウムを装置内に導入した。これにより、膜厚50nmのp型GaNコンタクト層を成長した。
【0072】
その後、基板を成膜装置内から取り出し、p型GaNコンタクト層上にNi/Auからなる400μm角の半透明p電極を形成した。続いて、反応性イオンエッチングによりp型GaNコンタクト層、p型AlGaN電子ブロック層、量子井戸発光層、SiドープInGaN緩衝層、ノンドープGaN中間層、およびn型AlGaNクラッド層の各々の一部をエッチングした。これにより、n型GaNコンタクト層の一部を露出させた。そして、露出したn型GaNコンタクト層上にn電極を形成した。その後、500μm角にダイシングした。以上の方法により図6の発光ダイオード(青紫色発光素子)を得た。
【0073】
比較例2:本発明例2の製造方法において、ノンドープGaN中間層およびSiドープInGaN緩衝層を形成せずに、n型AlGaNクラッド層の上に直接量子井戸発光層を形成した。これ以外は本発明例2と同様の製造方法を用いて発光ダイオード(青紫色発光素子)を製造した。
【0074】
このようにして得られた本発明例2の発光ダイオードおよび比較例2の発光ダイオードの各々に室温でパルス電流を印加したところ、発光が観測された。特に本発明例2では、図12に示すようなスペクトルが得られた。図13は、本発明の実施例2において得られた電流値と光出力との関係を示す図である。図13においてCに示す線は本発明例2で得られた線であり、Dに示す線は比較例2で得られた線である。図13を参照して、本発明例2では比較例2に比べて、光出力が向上していることが分かる。具体的には、20mAの電流を印加した場合、比較例2では波長405nmの光の光出力が0.3mWであったのに対して、本発明例2では波長405nmの光の光出力が3mWであった。また200mAの電流を印加した場合、比較例2では波長405nmの光の光出力が22mWであったのに対して、本発明例2では波長405nmの光の光出力が30mWであった。さらに、本発明例2の発光ダイオードをエポキシ樹脂でモールドし、ランプを作製すると、20mAの電流を印加した場合、このランプでは波長405nmの光の光出力が15mWであった。この結果から、本発明によれば発光特性を向上できることが分かる。
【実施例3】
【0075】
本実施例では、n型緩衝層におけるIn組成の最適な範囲について調べた。具体的には、以下の製造方法により、SiドープInGaN緩衝層のIn組成を試料によって変えて製造した。始めに、c面サファイア基板を準備し、成膜装置内のサセプタ上に配置した。続いて、水素を装置内に導入しながら基板を1100℃に加熱した状態で10分間クリーニングを行なった。続いて、基板温度を500℃に低下させ、キャリアガスを主に水素として、トリメチルガリウム、アンモニアを装置内に導入した。これにより、低温バッファ層を成長した。続いて層の成長を一旦中断し、基板温度を1100℃まで上昇させ、キャリアガスを主に水素として、トリメチルガリウム、アンモニア、およびモノシランを導入した。これにより、膜厚3μmのn型GaNコンタクト層を成長した。次にキャリアガスを主に水素として、トリメチルガリウム、トリメチルアルミニウム、アンモニア、およびモノシランを装置内に導入した。これにより、膜厚2μmのn型AlGaNクラッド層(Al組成7%)を成長した。次に、基板温度を1100℃に保ったまま、キャリアガスを主に水素として、トリメチルガリウムおよびアンモニアを装置内に導入した。これにより、膜厚3nmのノンドープGaN中間層を成長した。続いて層の成長を一旦中断し、基板温度を800℃に低下させ、キャリアガスを主に窒素として、トリメチルガリウム、トリメチルインジウム、アンモニア、およびモノシランを装置内に導入した。これにより、膜厚50nmのSiドープInGaN緩衝層を成長した。その後層の成長を一旦中断し、基板温度を880℃まで上昇させ、キャリアガスを主に窒素として、トリメチルガリウム、トリメチルインジウム、およびアンモニアを装置内に導入した。これにより、膜厚15nmのノンドープInGaN障壁層(In組成1%)を成長した。その後基板温度を800℃に低下させ、キャリアガスを主に窒素として、トリメチルガリウム、トリメチルインジウム、およびアンモニアを装置内に導入した。これにより、膜厚3nmのノンドープInGaN井戸層(In組成8%)を成長した。ノンドープInGaN障壁層を形成する工程とノンドープInGaN井戸層を形成する工程とを繰り返すことによって、3周期の量子井戸発光層を形成した。
【0076】
次に層の成長を一旦中断し、基板温度を1050℃に上昇させた後、キャリアガスを主に水素として、トリメチルガリウムおよびアンモニアを装置内に導入した。これにより、膜厚10nmのノンドープGaNキャップ層を成長した。その後、アンモニアと水素とを装置内に導入しながら90秒間保持し、基板を成膜装置内から取り出した。
【0077】
このようにして得られた量子井戸構造に波長325nmのHe−Cdレーザを照射し、量子井戸構造からのPLの強度を観測した。図14は、本発明の実施例3におけるn型緩衝層のIn組成とPL強度との関係を示す図である。図14を参照して、n型緩衝層におけるIn組成が0.02以上である場合には、PL強度が飛躍的に向上することが分かる。一方、IN組成がIn組成を0.5以下とすることでInGaNの結晶の品質を向上することができる。以上により、n型緩衝層におけるIn組成は0.02以上0.5以下であることが望ましい。
【実施例4】
【0078】
本実施例では、n型緩衝層の膜厚の最適な範囲について調べた。具体的には、実施例3とほぼ同様の製造方法を用いて量子井戸構造を製造した。但し、SiドープInGaN緩衝層については、In組成を4%とし、試料によって膜厚を変えて形成した。
【0079】
このようにして得られた量子井戸構造ついて、実施例3と同様の方法によりPLの強度を測定した。図15は、本発明の実施例4におけるn型緩衝層の膜厚とPL強度との関係を示す図である。図15を参照して、n型緩衝層の膜厚が80nm以上140nm以下である場合には、PL強度が飛躍的に向上することが分かる。以上により、n型緩衝層の膜厚は80nm以上140nm以下であることが望ましい。
【0080】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0081】
1 基板、1a 基板上面、1b 基板下面、2 n型クラッド層、3 n型中間層、4 n型緩衝層、5 量子井戸発光層、5a 障壁層、5b 井戸層、6 ガイド層、7 p型電子ブロック層、8 p型クラッド層、9 p型コンタクト層、10 絶縁層、10a 開口部、11,12 電極、21 n型コンタクト層、21a 溝、25 レジスト、30 半導体レーザ、31 発光ダイオード、50 低欠陥領域、51 欠陥集中領域。
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体発光素子および半導体発光素子の製造方法に関し、より特定的には、InGaNよりなる量子井戸発光層を備えた半導体発光素子および半導体発光素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
InGaNよりなる窒化物半導体は、紫外領域から赤外領域までの波長領域の光を発する発光素子の材料としてよく知られている。たとえば特開平8−228025号公報(特許文献1)には、InGaNを用いた発光素子の構成が開示されている。特許文献1の発光素子は、サファイアよりなる基板と、GaNよりなるバッファ層と、GaNよりなるn型コンタクト層と、InGaNよりなる第1のクラッド層と、AlGaNよりなる第2のn型クラッド層と、InGaNよりなる活性層と、InGaNよりなる第1のp型クラッド層と、AlGaNよりなる第2のp型クラッド層と、GaNよりなるp型コンタクト層とを備えている。基板上にはバッファ層、n型コンタクト層、第2のn型クラッド層、第1のn型クラッド層、活性層、第1のp型クラッド層、第2のp型クラッド層、p型コンタクト層の各々がこの順序で形成されている。また、n型コンタクト層に接触して負電極が形成されており、p型コンタクト層に接触して正電極が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−228025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の半導体発光素子においては、十分な発光特性が得られないという問題があった。具体的には、上記特許文献1の発光素子において発光波長を450nmから400nmに変えると、PL(Photoluminescence)強度が大きく低下するという問題があった。
【0005】
したがって、本発明の目的は、発光特性を向上することのできる半導体発光素子および半導体発光素子の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の局面に従う半導体発光素子は、第1導電型のAlGaNよりなるクラッド層と、クラッド層上に形成されたInsGa1-sN(0≦s<1)よりなる中間層と、中間層上に形成されたIntGa1-tN(0≦t<0.5)よりなる緩衝層と、緩衝層上に形成されたInGaNよりなる量子井戸発光層とを備えている。量子井戸発光層はIn濃度が相対的に高いInuGa1-uN(0<u<0.5)よりなる井戸層と、In濃度が相対的に低いInvGa1-vN(0≦v<u)よりなる障壁層とを有している。緩衝層のIn濃度は中間層のIn濃度よりも高く、かつ井戸層のIn濃度は緩衝層のIn濃度よりも高い。
【0007】
本発明の他の局面に従う半導体発光素子は、第1導電型のAlGaNよりなるクラッド層と、クラッド層上に形成されたAlsGa1-sN(0≦s<1)よりなる中間層と、中間層上に形成されたIntGa1-tN(0≦t<0.5)よりなる緩衝層と、緩衝層上に形成されたInGaNよりなる量子井戸発光層とを備えている。量子井戸発光層はIn濃度が相対的に高いInuGa1-uN(0<u<0.5)よりなる井戸層と、In濃度が相対的に低いInvGa1-vN(0≦v<u)よりなる障壁層とを有している。クラッド層のAl濃度は中間層のAl濃度よりも高く、かつ井戸層のIn濃度は緩衝層のIn濃度よりも高い。
【0008】
本願発明者らは、従来の半導体発光素子において十分な発光特性が得られない理由は、クラッド層の結晶格子と量子井戸発光層の結晶格子との不整合と、これらの結晶格子の不整合に起因する量子井戸発光層の欠陥とにあることを見出した。そこで、本発明の一の局面および他の局面に従う半導体発光素子によれば、クラッド層と量子井戸発光層との間に中間層および緩衝層が形成されており、クラッド層から量子井戸発光層にかけて徐々に結晶の格子定数が大きくなるようにされている。これにより、クラッド層の結晶格子と量子井戸発光層の結晶格子との不整合が緩和され、量子井戸発光層への欠陥の発生が抑制される。その結果、発光特性を向上することができる。
【0009】
本発明の半導体発光素子において好ましくは、AlwGa1-wN(0≦w≦1)よりなる基板がさらに備えられている。クラッド層は基板の一方の主面上に形成されている。
【0010】
AlwGa1-wN(0≦w≦1)は熱的に安定であり、基板として適している。またAlwGa1-wN(0≦w≦1)は導電性を有するので、基板の他方の主面に電極を形成することができる。これにより、基板の一方の主面側に電極を形成する場合に比べて半導体発光素子の平面サイズを小さくすることができる。加えて、基板の一方の主面側に形成された層をエッチングする必要がないので、基板の一方の主面側に電極を形成する場合に比べて製造工程を簡略化することができる。
【0011】
本発明の半導体発光素子において好ましくは、基板が相対的に欠陥密度の低い低欠陥領域と、相対的に欠陥密度が高く、かつ一方の主面において点状または線状に分布する欠陥集中領域とを有している。
【0012】
これにより、低欠陥領域を発光領域とすることができ、半導体発光素子の発光特性をさらに向上することができる。
【0013】
本発明の半導体発光素子において好ましくは、クラッド層が一方の主面に接して形成されている。
【0014】
本発明の半導体発光素子において好ましくは、緩衝層はIntGa1-tN(0.02≦t≦0.5)よりなっている。
【0015】
本発明の半導体発光素子において好ましくは、緩衝層の膜厚は80nm以上140nm以下である。
【0016】
これにより、発光特性をさらに向上することができる。
本発明の半導体発光素子において好ましくは、クラッド層はAlxGa1-xN(0<x≦0.05)よりなっている。
【0017】
Alの組成比xを0.05以下とすることにより、クラッド層の結晶と量子井戸発光層の結晶との格子定数が近くなり、発光特性をさらに向上することができる。
【0018】
本発明の一の局面に従う半導体発光素子の製造方法は、以下の工程を備えている。第1導電型のAlGaNよりなるクラッド層を形成する。InsGa1-sN(0≦s<1)よりなる中間層をクラッド層上に形成する。IntGa1-tN(0≦t<0.5)よりなる緩衝層を中間層上に形成する。InGaNよりなる量子井戸発光層を緩衝層上に形成する。量子井戸発光層を形成する工程は、In濃度が相対的に高いInuGa1-uN(0<u<0.5)よりなる井戸層を形成する工程と、In濃度が相対的に低いInvGa1-vN(0≦v<u)よりなる障壁層を形成する工程とを含んでいる。緩衝層のIn濃度は中間層のIn濃度よりも高く、かつ井戸層のIn濃度は緩衝層のIn濃度よりも高い。
【0019】
本発明の他の局面に従う半導体発光素子の製造方法は、以下の工程を備えている。第1導電型のAlGaNよりなるクラッド層を形成する。AlsGa1-sN(0≦s<1)よりなる中間層をクラッド層上に形成する。IntGa1-tN(0≦t<0.5)よりなる緩衝層を中間層上に形成する。InGaNよりなる量子井戸発光層を緩衝層上に形成する。量子井戸発光層を形成する工程は、In濃度が相対的に高いInuGa1-uN(0<u<0.5)よりなる井戸層を形成する工程と、In濃度が相対的に低いInvGa1-vN(0≦v<u)よりなる障壁層を形成する工程とを含んでいる。クラッド層のAl濃度は中間層のAl濃度よりも高く、かつ井戸層のIn濃度は緩衝層のIn濃度よりも高い。
【0020】
本発明の一の局面および他の局面に従う半導体発光素子の製造方法によれば、クラッド層と量子井戸発光層との間に中間層および緩衝層が形成されており、クラッド層から量子井戸発光層にかけて徐々に結晶の格子定数が大きくなるようにされている。これにより、クラッド層の結晶格子と量子井戸発光層の結晶格子との不整合が緩和され、量子井戸発光層への欠陥の発生が抑制される。その結果、発光特性を向上することができる。
【0021】
本発明の半導体発光素子の製造方法において好ましくは、クラッド層は第1の温度で形成され、かつ中間層は第1の温度以下の温度である第2の温度で形成され、かつ緩衝層は第2の温度以下の温度である第3の温度で形成される。
【0022】
中間層の融点はクラッド層の融点よりも低いので、クラッド層よりも低い温度で中間層を形成することで所望の組成の中間層を得ることができる。また、緩衝層の融点は中間層の融点よりも低いので、中間層よりも低い温度で緩衝層を形成することで緩衝層の結晶の品質を向上することができる。
【0023】
本発明の半導体発光素子の製造方法において好ましくは、井戸層は緩衝層を形成する際の温度以下の温度で形成され、障壁層は緩衝層を形成する際の温度以上の温度で形成される。
【0024】
井戸層の融点は緩衝層の融点よりも低いので、緩衝層よりも低い温度で井戸層を形成することで井戸層の結晶の品質を向上することができる。また、緩衝層の融点は障壁層の融点よりも低いので、障壁層よりも低い温度で緩衝層を形成することで所望の組成の緩衝層を得ることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の半導体発光素子および半導体発光素子の製造方法によれば、発光特性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態1における半導体発光素子の構成を示す断面図である。
【図2】量子井戸発光層におけるIn組成の分布を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態1における半導体レーザの製造方法の第1工程を示す断面図である。
【図4】本発明の実施の形態1における半導体レーザの製造方法の第2工程を示す断面図である。
【図5】本発明の実施の形態1における半導体レーザの製造方法の第3工程を示す断面図である。
【図6】本発明の実施の形態3における発光ダイオードの構成を示す断面図である。
【図7】本発明の実施の形態3における発光ダイオードの製造方法の第1工程を示す断面図である。
【図8】本発明の実施の形態3における発光ダイオードの製造方法の第2工程を示す断面図である。
【図9】本発明の実施の形態3における発光ダイオードの製造方法の第3工程を示す断面図である。
【図10】(a)は本発明の実施の形態4における半導体レーザに使用される基板を模式的に示した斜視図であり、(b)は本発明の実施の形態4における半導体レーザに使用される基板を模式的に示した断面図である。
【図11】本発明の実施の形態4における半導体レーザに使用される基板の他の例を模式的に示した斜視図である。
【図12】本発明の実施例2において、本発明例2で得られたスペクトルを示す図である。
【図13】本発明の実施例2において得られた電流値と光出力との関係を示す図である。
【図14】本発明の実施例3におけるn型緩衝層のIn組成とPL強度との関係を示す図である。
【図15】本発明の実施例4におけるn型緩衝層の膜厚とPL強度との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における半導体レーザの構成を示す断面図である。図1を参照して、本実施の形態における半導体発光素子としての半導体レーザ30は、基板1と、n型クラッド層2と、n型中間層3と、n型緩衝層4と、量子井戸発光層5と、ガイド層6と、p型電子ブロック層7と、p型クラッド層8と、p型コンタクト層9と、絶縁層10と、電極11および12とを備えている。
【0028】
基板1はAlwGa1-wN(0≦w≦1)よりなっており、たとえばGaNよりなっている。基板1の上面1a上にはn型クラッド層2が上面1aに接して形成されている。n型クラッド層2はAlGaNよりなっており、たとえばAlxGa1-xN(0<x≦0.05)よりなっている。n型クラッド層2上にはInsGa1-sN(0≦s<1)よりなるn型中間層3が形成されている。n型中間層3上にはn型緩衝層4が形成されている。n型緩衝層4はたとえばIntGa1-tN(0≦t<0.5)よりなっており、好ましくはIntGa1-tN(0.02≦t≦0.5)よりなっている。n型緩衝層4の膜厚はたとえば80nm以上140nm以下である。n型緩衝層4上には量子井戸発光層5が形成されている。
【0029】
図2は、量子井戸発光層におけるIn組成の分布を示す図である。図1および図2を参照して、量子井戸発光層5は複数の障壁層5aと井戸層5bとを有している。障壁層5aと井戸層5bとは積層方向(図1中縦方向)に交互に形成されている。井戸層5bはInuGa1-uN(0<u<0.5)よりなっており、障壁層5aはInvGa1-vN(0≦v<u)よりなっている。障壁層5aのIn濃度は井戸層5bのIn濃度よりも低い。図2では、障壁層5aのIn組成比は1%であり、井戸層5bの組成比は8%である。障壁層5aにおけるエネルギ障壁によって、量子井戸発光層5に注入されたキャリアが井戸層5bに閉じ込められる。
【0030】
図1を参照して、n型緩衝層4のIn濃度はn型中間層3のIn濃度よりも高く、かつ井戸層5bのIn濃度はn型緩衝層4のIn濃度よりも高い。
【0031】
量子井戸発光層5上にはたとえばアンドープGaNよりなるガイド層6が形成されており、ガイド層6上にはたとえばAlGaNよりなるp型電子ブロック層7が形成されている。p型電子ブロック層7上にはAlGaNよりなるp型クラッド層8が形成されており、p型クラッド層8上にはGaNよりなるp型コンタクト層9が形成されている。p型コンタクト層9上には開口部10aを有する絶縁層10が形成されている。開口部10a内を埋めるように電極12が絶縁層10上に形成されている。電極12は絶縁層10と直接接触している。基板1の下面1bには電極11が形成されている。
【0032】
本実施の形態の半導体レーザ30においては、電極11(n電極)および電極12(p電極)へ所定の電位が与えられると、電極11および電極12の間に電圧が発生し、n型クラッド層2およびp型クラッド層8の各々から量子井戸発光層5へキャリアが注入される。そして、注入されたキャリア同士が井戸層5bにおいてそれぞれ再結合し、光が放出される。この光は、量子井戸発光層5の端面から紙面に垂直な方向へ放出される。
【0033】
続いて、本実施の形態における半導体レーザの製造方法について、図3〜図5を用いて説明する。
【0034】
始めに図3を参照して、基板1の上面1a上に、n型クラッド層2と、n型中間層3と、n型緩衝層4と、量子井戸発光層5と、ガイド層6と、p型電子ブロック層7と、p型クラッド層8と、p型コンタクト層9とをこの順序で形成する。これらの層はたとえばMOCVD(有機金属気相成長法)を用いて形成される。
【0035】
ここで、量子井戸発光層5における障壁層5aおよび井戸層5bは、Inを含むガスの濃度を周期的に変化させることで形成される。またInGaNはアンドープで作製してもn型になると考えられるため、n型中間層3およびn型緩衝層4をアンドープのInGaNにより作製してもよい。
【0036】
また、n型中間層3はn型クラッド層2を形成する際の温度(第1の温度)以下の温度(第2の温度)で形成され、かつn型緩衝層4はn型中間層3を形成する際の温度以下の温度(第3の温度)で形成される。さらに、井戸層5bはn型緩衝層4を形成する際の温度以下の温度で形成され、障壁層5aはn型緩衝層4を形成する際の温度以上の温度で形成される。
【0037】
次に図4を参照して、p型コンタクト層9上に絶縁層10を形成する。続いて、絶縁層10上に図示しないレジストを形成し、このレジストをマスクとして絶縁層10をエッチングする。その結果、絶縁層10の所定の位置に開口部10aが形成される。
【0038】
次に図5を参照して、開口部10aを埋めるように絶縁層10上に電極12を形成する。続いて、基板1の下面1bに電極11を形成する。その後、図中A−A線に沿って基板1をダイシングし、個々の半導体レーザに分離する。以上の工程により、図1に示す半導体レーザ30が得られる。
【0039】
本実施の形態における半導体レーザ30は、AlGaNよりなるn型クラッド層2と、n型クラッド層2上に形成されたInsGa1-sN(0≦s<1)よりなるn型中間層3と、n型中間層3上に形成されたIntGa1-tN(0≦t<0.5)よりなるn型緩衝層4と、n型緩衝層4上に形成されたInGaNよりなる量子井戸発光層5とを備えている。量子井戸発光層5はIn濃度が相対的に高いInuGa1-uN(0<u<0.5)よりなる井戸層5bと、In濃度が相対的に低いInvGa1-vN(0≦v<u)よりなる障壁層5aとを有している。n型緩衝層4のIn濃度はn型中間層3のIn濃度よりも高く、かつ井戸層5bのIn濃度はn型緩衝層4のIn濃度よりも高い。
【0040】
また、本実施の形態における半導体レーザ30の製造方法は、以下の工程を備えている。AlGaNよりなるn型クラッド層2を形成する。InsGa1-sN(0≦s<1)よりなるn型中間層3をn型クラッド層2上に形成する。IntGa1-tN(0≦t<0.5)よりなるn型緩衝層4をn型中間層3上に形成する。InGaNよりなる量子井戸発光層5をn型緩衝層4上に形成する。量子井戸発光層5を形成する工程は、In濃度が相対的に高いInuGa1-uN(0<u<0.5)よりなる井戸層5bを形成する工程と、In濃度が相対的に低いInvGa1-vN(0≦v<u)よりなる障壁層5aを形成する工程とを含んでいる。n型緩衝層4のIn濃度はn型中間層3のIn濃度よりも高く、かつ井戸層5bのIn濃度はn型緩衝層4のIn濃度よりも高い。
【0041】
AlGaN結晶の格子定数はAlの含有量が少ないほど大きく、またInGaN結晶の格子定数はInの含有量が多いほど大きい。本実施の形態における半導体レーザ30およびその製造方法によれば、n型クラッド層2と量子井戸発光層5との間にn型中間層3およびn型緩衝層4が形成されており、n型クラッド層2から量子井戸発光層5にかけて徐々にAlの含有量が少なくなり、かつInの含有量が多くなる。これによって、n型クラッド層2から量子井戸発光層5にかけて結晶の格子定数が徐々に大きくなるので、n型クラッド層2の結晶格子と量子井戸発光層5の結晶格子との不整合が緩和され、量子井戸発光層への欠陥の発生が抑制される。その結果、発光特性を向上することができる。
【0042】
また、半導体レーザ30はAlwGa1-wN(0≦w≦1)よりなる基板1をさらに備えており、n型クラッド層2は基板1の上面1a上に形成されている。AlwGa1-wN(0≦w≦1)は熱的に安定であり、基板として適している。またAlwGa1-wN(0≦w≦1)は導電性を有するので、基板1の下面1bに電極11を形成することができる。これにより、基板1の上面1a側に電極を形成する場合に比べて半導体レーザ30の平面サイズを小さくすることができる。加えて、基板1の上面1a側に形成された層をエッチングする必要がないので、基板1の上面1a側に電極を形成する場合に比べて製造工程を簡略化することができる。
【0043】
また、n型クラッド層2がAlxGa1-xN(0<x≦0.05)よりなっているので、n型クラッド層2の結晶格子と量子井戸発光層5の結晶格子との格子定数が近くなり、発光特性をさらに向上することができる。
【0044】
また上記製造方法においては、n型クラッド層2は第1の温度で形成され、かつn型中間層3は第1の温度以下の温度である第2の温度で形成され、かつn型緩衝層4は第2の温度以下の温度である第3の温度で形成される。さらに上記製造方法においては、井戸層5bはn型緩衝層4を形成する際の温度以下の温度で形成され、障壁層5aはn型緩衝層4を形成する際の温度以上の温度で形成される。
【0045】
Inを多く含むほど層の融点は低下し、Alを多く含むほど層の融点は上昇するので、上記のように各層の形成温度を設定することで、各層の結晶の品質を向上することができる。
【0046】
(実施の形態2)
図1を参照して、本実施の形態の半導体レーザ30は、n型中間層の材質において実施の形態1の半導体レーザと異なっている。本実施の形態におけるn型中間層3はAlsGa1-sN(0≦s<1)よりなっている。n型クラッド層2のAl濃度はn型中間層のAl濃度よりも高く、かつ井戸層5bのIn濃度はn型緩衝層4のIn濃度よりも高い。
【0047】
なお、これ以外の半導体レーザ30の構成、動作、および製造方法は、実施の形態1の半導体レーザの構成および動作とほぼ同様であるので、同一の部材には同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0048】
本実施の形態における半導体レーザ30は、AlGaNよりなるn型クラッド層2と、n型クラッド層2上に形成されたAlsGa1-sN(0≦s<1)よりなるn型中間層3と、n型中間層3上に形成されたIntGa1-tN(0≦t<0.5)よりなるn型緩衝層4と、n型緩衝層4上に形成されたInGaNよりなる量子井戸発光層5とを備えている。量子井戸発光層5はIn濃度が相対的に高いInuGa1-uN(0<u<0.5)よりなる井戸層5bと、In濃度が相対的に低いInvGa1-vN(0≦v<u)よりなる障壁層5aとを有している。n型クラッド層2のAl濃度はn型中間層3のAl濃度よりも高く、かつ井戸層5bのIn濃度はn型緩衝層4のIn濃度よりも高い。
【0049】
また、本実施の形態における半導体レーザ30の製造方法は、以下の工程を備えている。AlGaNよりなるn型クラッド層2を形成する。AlsGa1-sN(0≦s<1)よりなるn型中間層3をn型クラッド層2上に形成する。IntGa1-tN(0≦t<0.5)よりなるn型緩衝層4をn型中間層3上に形成する。InGaNよりなる量子井戸発光層5をn型緩衝層4上に形成する。量子井戸発光層5を形成する工程は、In濃度が相対的に高いInuGa1-uN(0<u<0.5)よりなる井戸層5bを形成する工程と、In濃度が相対的に低いInvGa1-vN(0≦v<u)よりなる障壁層5aを形成する工程とを含んでいる。n型クラッド層2のAl濃度はn型中間層3のAl濃度よりも高く、かつ井戸層5bのIn濃度はn型緩衝層4のIn濃度よりも高い。
【0050】
本実施の形態における半導体レーザ30およびその製造方法によれば、n型クラッド層2から量子井戸発光層5にかけて徐々に結晶の格子定数が大きくなるので、n型クラッド層2の結晶格子と量子井戸発光層5の結晶格子との不整合が緩和され、量子井戸発光層5への欠陥の発生が抑制される。その結果、発光特性を向上することができる。
【0051】
(実施の形態3)
図6は、本発明の実施の形態3における発光ダイオードの構成を示す断面図である。図6を参照して、本実施の形態の半導体発光素子としての発光ダイオード31は、以下の点において実施の形態1の半導体レーザと異なっている。基板1はたとえばサファイアなどの絶縁性材料よりなっており、基板1とn型クラッド層2との間には、GaNよりなるn型コンタクト層21が形成されている。ガイド層6およびp型クラッド層8は形成されておらず、量子井戸発光層5およびp型電子ブロック層7と、p型電子ブロック層7およびp型コンタクト層9との各々が互いに接して形成されている。n型クラッド層2、n型中間層3、n型緩衝層4、量子井戸発光層5、p型電子ブロック層7、およびp型コンタクト層9の各々の一部は除去されており、それによりn型コンタクト層21に達する溝21aが形成されている。溝21aにおいて、電極11はn型コンタクト層21に隣接して形成されている。これにより、電極11はn型コンタクト層21を介して基板1に電気的に接続されている。p型コンタクト層9上には絶縁層が形成されておらず、電極12がp型コンタクト層9に隣接して形成されている。
【0052】
なお、これ以外の発光ダイオード31の構成は、実施の形態1の半導体レーザの構成とほぼ同様であるので、同一の部材には同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0053】
続いて、本実施の形態における発光ダイオードの製造方法について、図7〜図9を用いて説明する。
【0054】
始めに図7を参照して、基板1の上面1a上にn型コンタクト層21と、n型クラッド層2と、n型中間層3と、n型緩衝層4と、量子井戸発光層5と、p型電子ブロック層7と、p型コンタクト層9とをこの順序で形成する。これらの層はたとえばMOCVD(有機金属気相成長法)を用いて形成される。量子井戸発光層5における障壁層5aおよび井戸層5bは、Inを含むガスの濃度を周期的に変化させることで形成される。
【0055】
なお、サファイアよりなる基板1を用いる場合、基板1とn型クラッド層2との間にバッファ層(図示なし)を形成してもよい。
【0056】
次に図8を参照して、p型コンタクト層9上に電極12を形成し、電極12上に所定形状を有するレジスト25を形成する。次に、レジスト25をマスクとして、p型コンタクト層9、p型電子ブロック層7、量子井戸発光層5、n型緩衝層4、n型中間層3、およびn型クラッド層2の各々の一部をエッチングする。その結果、n型コンタクト層21に溝21aが形成される。その後、レジスト25を除去する。
【0057】
次に図9を参照して、溝21aの底部のn型コンタクト層21上に電極11を形成する。その後、図中B−B線に沿って基板1およびn型コンタクト層21をダイシングし、個々の発光ダイオードに分離する。以上の工程により、図6に示す発光ダイオード31が得られる。
【0058】
本実施の形態では、基板1が絶縁性基板であるので、基板1の下面に電極を形成することができない。このため、基板1の上面1aに電極11が設けられている。その結果、本実施の形態における発光ダイオード31およびその製造方法によれば、実施の形態1の半導体レーザおよびその製造方法と同様の効果を得ることができる。
【0059】
(実施の形態4)
図10は、本発明の実施の形態4における半導体レーザに使用される基板を模式的に示した図である。(a)は斜視図であり、(b)は(a)のXB−XB線に沿う断面図である。図10(a)、(b)を参照して、本実施の形態における基板1は、低欠陥領域50と、低欠陥領域50に比べて欠陥密度の高い領域である欠陥集中領域51とを有している。欠陥集中領域51は基板1の上面1aにおいて点状に分布しており、厚さ方向(図10(b)中縦方向)に基板1を貫通している。
【0060】
なお、図10(a)、(b)においては、低欠陥領域50と欠陥集中領域51との境界線が実線で示されているが、低欠陥領域50と欠陥集中領域51との境界には実際にはこのような線はない。
【0061】
本実施の形態における基板1は、製造時に欠陥をある領域に集中させることにより、それ以外の領域の欠陥を低減したものである。このような基板1を半導体レーザ30が備えていることにより、低欠陥領域50を発光領域とすることができ、半導体レーザの発光特性をさらに向上することができる。
【0062】
なお、本実施の形態における基板としては、図10に示すように欠陥集中領域51が点状に分布している場合の他、図11に示すように欠陥集中領域51が上面1aにおいて線状に分布しているものであってもよい。
【実施例1】
【0063】
本実施例では、本発明例1の半導体レーザと比較例1の半導体レーザとの各々の発光特性を調べた。本発明例1の半導体レーザは以下の製造方法により製造された。
【0064】
本発明例1:実施の形態1に示す製造方法に従って半導体レーザを製造した。始めに、貫通転位密度1×106cm-2未満の低欠陥領域と、線状に分布する欠陥集中領域とを有するn型GaN(0001)基板を準備し、成膜装置内のサセプタ上に配置した。続いて、装置内圧力を30kPaにコントロールしながらアンモニアと水素とを導入し、基板を1050℃に加熱した状態で10分間クリーニングを行なった。続いて、基板温度を1100℃まで上昇させ、キャリアガスを主に水素として、トリメチルガリウム、トリメチルアルミニウム、アンモニア、およびモノシランを装置内に導入した。これにより、膜厚2μmのn型AlGaNクラッド層(Al組成3%)を成長した。次に基板温度を1100℃に保ったまま、キャリアガスを主に水素として、トリメチルガリウムおよびアンモニアを装置内に導入し、膜厚3nmのノンドープGaN中間層を成長した。続いて層の成長を一旦中断し、基板温度を800℃に低下させ、キャリアガスを主に窒素として、トリメチルガリウム、トリメチルインジウム、アンモニア、およびモノシランを装置内に導入した。これにより、膜厚50nmのSiドープInGaN緩衝層(In組成4%)を成長した。次に層の成長を一旦中断し、基板温度を880℃まで上昇させ、キャリアガスを主に窒素として、トリメチルガリウム、トリメチルインジウム、アンモニアを装置内に導入した。これにより、厚さ15nmのノンドープInGaN障壁層(In組成1%)を成長した。その後基板温度を800℃に低下させ、キャリアガスを主に窒素として、トリメチルガリウム、トリメチルインジウム、およびアンモニアを装置内に導入した。これにより、膜厚3nmのノンドープInGaN井戸層(In組成8%)を成長した。ノンドープInGaN障壁層を形成する工程とノンドープInGaN井戸層を形成する工程とを繰り返すことによって、3周期の量子井戸発光層を形成した。
【0065】
次に層の成長を一旦中断し、基板温度を1050℃に上昇させた後、キャリアガスを主に水素として、トリメチルガリウムおよびアンモニアを装置内に導入した。これにより、膜厚100nmのノンドープGaNガイド層を成長した。続いてキャリアガスを主に水素として、トリメチルガリウム、トリメチルアルミニウム、アンモニア、およびシクロペンタジエニルマグネシウムを装置内に導入した。これにより、膜厚20nmのp型AlGaN電子ブロック層(Al組成18%)を成長した。その後キャリアガスを主に水素として、トリメチルガリウム、トリメチルアルミニウム、アンモニア、およびシクロペンタジエニルマグネシウムを装置内に導入した。これにより、膜厚150nmのp型AlGaNクラッド層(Al組成7%)を成長した。次にキャリアガスを主に水素として、トリメチルガリウム、アンモニア、およびシクロペンタジエニルマグネシウムを装置内に導入した。これにより、膜厚50nmのp型GaNコンタクト層を成長した。
【0066】
その後、基板を成膜装置内から取り出し、p型GaNコンタクト層上に絶縁膜を形成した。続いて、エッチングによって絶縁膜に幅5μmの開口部を開口し、Ni/Auよりなるp電極を形成した。次に、GaN基板を減厚した後で基板の下面にn型電極を形成した。その後、長さ800μmのバー状にダイシングし、端面ミラーを形成した。以上の方法により図1の半導体レーザ(青紫色発光素子)を得た。
【0067】
また、比較例1の半導体レーザは以下の製造方法により製造された。
比較例1:本発明例1の製造方法において、ノンドープGaN中間層およびSiドープInGaN緩衝層を形成せずに、n型AlGaNクラッド層の上に直接量子井戸発光層を形成した。これ以外は本発明例1と同様の製造方法を用いて半導体レーザ(青紫色発光素子)を製造した。
【0068】
このようにして得られた本発明例1の半導体レーザおよび比較例1の半導体レーザの各々に室温でパルス電流を印加したところ、レーザ発振が観測された。スロープ効率は本発明例1では1.0W/Aであり、比較例1では0.6W/Aであった。この結果から、本発明によれば発光特性を向上できることが分かる。
【実施例2】
【0069】
本実施例では、本発明例2の発光ダイオードと比較例2の発光ダイオードとの各々の発光特性を調べた。本発明例2の発光ダイオードは以下の製造方法により製造された。
【0070】
本発明例2:実施の形態3に示す製造方法に従って発光ダイオードを製造した。始めに、c面サファイア基板を準備し、成膜装置内のサセプタ上に配置した。続いて、水素を装置内に導入しながら基板を1100℃に加熱した状態で10分間クリーニングを行なった。続いて、基板温度を500℃に低下させ、キャリアガスを主に水素として、トリメチルガリウム、アンモニアを装置内に導入した。これにより、低温バッファ層を成長した。続いて層の成長を一旦中断し、基板温度を1100℃まで上昇させ、キャリアガスを主に水素として、トリメチルガリウム、アンモニア、およびモノシランを導入した。これにより、膜厚5μmのn型GaNコンタクト層を成長した。次にキャリアガスを主に水素として、トリメチルガリウム、トリメチルアルミニウム、アンモニア、およびモノシランを装置内に導入した。これにより、膜厚600nmのn型AlGaNクラッド層(Al組成7%)を成長した。次に、基板温度を1100℃に保ったまま、キャリアガスを主に水素として、トリメチルガリウムおよびアンモニアを装置内に導入した。これにより、膜厚3nmのノンドープGaN中間層を成長した。続いて層の成長を一旦中断し、基板温度を800℃に低下させ、キャリアガスを主に窒素として、トリメチルガリウム、トリメチルインジウム、アンモニア、およびモノシランを装置内に導入した。これにより、膜厚50nmのSiドープInGaN緩衝層(In組成4%)を成長した。その後層の成長を一旦中断し、基板温度を880℃まで上昇させ、キャリアガスを主に窒素として、トリメチルガリウム、トリメチルインジウム、およびアンモニアを装置内に導入した。これにより、膜厚15nmのノンドープInGaN障壁層(In組成1%)を成長した。その後基板温度を800℃に低下させ、キャリアガスを主に窒素として、トリメチルガリウム、トリメチルインジウム、およびアンモニアを装置内に導入した。これにより、膜厚3nmのノンドープInGaN井戸層(In組成8%)を成長した。ノンドープInGaN障壁層を形成する工程とノンドープInGaN井戸層を形成する工程とを繰り返すことによって、3周期の量子井戸発光層を形成した。
【0071】
次に層の成長を一旦中断し、基板温度を1050℃に上昇させた後、キャリアガスを主に水素として、トリメチルガリウム、トリメチルアルミニウム、アンモニア、およびシクロペンタジエニルマグネシウムを装置内に導入した。これにより、膜厚20nmのp型AlGaN電子ブロック層(Al組成18%)を成長した。続いてキャリアガスを主に水素として、トリメチルガリウム、アンモニア、およびシクロペンタジエニルマグネシウムを装置内に導入した。これにより、膜厚50nmのp型GaNコンタクト層を成長した。
【0072】
その後、基板を成膜装置内から取り出し、p型GaNコンタクト層上にNi/Auからなる400μm角の半透明p電極を形成した。続いて、反応性イオンエッチングによりp型GaNコンタクト層、p型AlGaN電子ブロック層、量子井戸発光層、SiドープInGaN緩衝層、ノンドープGaN中間層、およびn型AlGaNクラッド層の各々の一部をエッチングした。これにより、n型GaNコンタクト層の一部を露出させた。そして、露出したn型GaNコンタクト層上にn電極を形成した。その後、500μm角にダイシングした。以上の方法により図6の発光ダイオード(青紫色発光素子)を得た。
【0073】
比較例2:本発明例2の製造方法において、ノンドープGaN中間層およびSiドープInGaN緩衝層を形成せずに、n型AlGaNクラッド層の上に直接量子井戸発光層を形成した。これ以外は本発明例2と同様の製造方法を用いて発光ダイオード(青紫色発光素子)を製造した。
【0074】
このようにして得られた本発明例2の発光ダイオードおよび比較例2の発光ダイオードの各々に室温でパルス電流を印加したところ、発光が観測された。特に本発明例2では、図12に示すようなスペクトルが得られた。図13は、本発明の実施例2において得られた電流値と光出力との関係を示す図である。図13においてCに示す線は本発明例2で得られた線であり、Dに示す線は比較例2で得られた線である。図13を参照して、本発明例2では比較例2に比べて、光出力が向上していることが分かる。具体的には、20mAの電流を印加した場合、比較例2では波長405nmの光の光出力が0.3mWであったのに対して、本発明例2では波長405nmの光の光出力が3mWであった。また200mAの電流を印加した場合、比較例2では波長405nmの光の光出力が22mWであったのに対して、本発明例2では波長405nmの光の光出力が30mWであった。さらに、本発明例2の発光ダイオードをエポキシ樹脂でモールドし、ランプを作製すると、20mAの電流を印加した場合、このランプでは波長405nmの光の光出力が15mWであった。この結果から、本発明によれば発光特性を向上できることが分かる。
【実施例3】
【0075】
本実施例では、n型緩衝層におけるIn組成の最適な範囲について調べた。具体的には、以下の製造方法により、SiドープInGaN緩衝層のIn組成を試料によって変えて製造した。始めに、c面サファイア基板を準備し、成膜装置内のサセプタ上に配置した。続いて、水素を装置内に導入しながら基板を1100℃に加熱した状態で10分間クリーニングを行なった。続いて、基板温度を500℃に低下させ、キャリアガスを主に水素として、トリメチルガリウム、アンモニアを装置内に導入した。これにより、低温バッファ層を成長した。続いて層の成長を一旦中断し、基板温度を1100℃まで上昇させ、キャリアガスを主に水素として、トリメチルガリウム、アンモニア、およびモノシランを導入した。これにより、膜厚3μmのn型GaNコンタクト層を成長した。次にキャリアガスを主に水素として、トリメチルガリウム、トリメチルアルミニウム、アンモニア、およびモノシランを装置内に導入した。これにより、膜厚2μmのn型AlGaNクラッド層(Al組成7%)を成長した。次に、基板温度を1100℃に保ったまま、キャリアガスを主に水素として、トリメチルガリウムおよびアンモニアを装置内に導入した。これにより、膜厚3nmのノンドープGaN中間層を成長した。続いて層の成長を一旦中断し、基板温度を800℃に低下させ、キャリアガスを主に窒素として、トリメチルガリウム、トリメチルインジウム、アンモニア、およびモノシランを装置内に導入した。これにより、膜厚50nmのSiドープInGaN緩衝層を成長した。その後層の成長を一旦中断し、基板温度を880℃まで上昇させ、キャリアガスを主に窒素として、トリメチルガリウム、トリメチルインジウム、およびアンモニアを装置内に導入した。これにより、膜厚15nmのノンドープInGaN障壁層(In組成1%)を成長した。その後基板温度を800℃に低下させ、キャリアガスを主に窒素として、トリメチルガリウム、トリメチルインジウム、およびアンモニアを装置内に導入した。これにより、膜厚3nmのノンドープInGaN井戸層(In組成8%)を成長した。ノンドープInGaN障壁層を形成する工程とノンドープInGaN井戸層を形成する工程とを繰り返すことによって、3周期の量子井戸発光層を形成した。
【0076】
次に層の成長を一旦中断し、基板温度を1050℃に上昇させた後、キャリアガスを主に水素として、トリメチルガリウムおよびアンモニアを装置内に導入した。これにより、膜厚10nmのノンドープGaNキャップ層を成長した。その後、アンモニアと水素とを装置内に導入しながら90秒間保持し、基板を成膜装置内から取り出した。
【0077】
このようにして得られた量子井戸構造に波長325nmのHe−Cdレーザを照射し、量子井戸構造からのPLの強度を観測した。図14は、本発明の実施例3におけるn型緩衝層のIn組成とPL強度との関係を示す図である。図14を参照して、n型緩衝層におけるIn組成が0.02以上である場合には、PL強度が飛躍的に向上することが分かる。一方、IN組成がIn組成を0.5以下とすることでInGaNの結晶の品質を向上することができる。以上により、n型緩衝層におけるIn組成は0.02以上0.5以下であることが望ましい。
【実施例4】
【0078】
本実施例では、n型緩衝層の膜厚の最適な範囲について調べた。具体的には、実施例3とほぼ同様の製造方法を用いて量子井戸構造を製造した。但し、SiドープInGaN緩衝層については、In組成を4%とし、試料によって膜厚を変えて形成した。
【0079】
このようにして得られた量子井戸構造ついて、実施例3と同様の方法によりPLの強度を測定した。図15は、本発明の実施例4におけるn型緩衝層の膜厚とPL強度との関係を示す図である。図15を参照して、n型緩衝層の膜厚が80nm以上140nm以下である場合には、PL強度が飛躍的に向上することが分かる。以上により、n型緩衝層の膜厚は80nm以上140nm以下であることが望ましい。
【0080】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0081】
1 基板、1a 基板上面、1b 基板下面、2 n型クラッド層、3 n型中間層、4 n型緩衝層、5 量子井戸発光層、5a 障壁層、5b 井戸層、6 ガイド層、7 p型電子ブロック層、8 p型クラッド層、9 p型コンタクト層、10 絶縁層、10a 開口部、11,12 電極、21 n型コンタクト層、21a 溝、25 レジスト、30 半導体レーザ、31 発光ダイオード、50 低欠陥領域、51 欠陥集中領域。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型のAlGaNよりなるクラッド層と、
前記クラッド層上に形成されたInsGa1-sN(0≦s<1)よりなる中間層と、
前記中間層上に形成されたIntGa1-tN(0≦t<0.5)よりなる緩衝層と、
前記緩衝層上に形成されたInGaNよりなる量子井戸発光層とを備え、
前記量子井戸発光層はIn濃度が相対的に高いInuGa1-uN(0<u<0.5)よりなる井戸層と、In濃度が相対的に低いInvGa1-vN(0≦v<u)よりなる障壁層とを有し、
前記緩衝層のIn濃度は前記中間層のIn濃度よりも高く、かつ前記井戸層のIn濃度は前記緩衝層のIn濃度よりも高いことを特徴とする、半導体発光素子。
【請求項2】
第1導電型のAlGaNよりなるクラッド層と、
前記クラッド層上に形成されたAlsGa1-sN(0≦s<1)よりなる中間層と、
前記中間層上に形成されたIntGa1-tN(0≦t<0.5)よりなる緩衝層と、
前記緩衝層上に形成されたInGaNよりなる量子井戸発光層とを備え、
前記量子井戸発光層はIn濃度が相対的に高いInuGa1-uN(0<u<0.5)よりなる井戸層と、In濃度が相対的に低いInvGa1-vN(0≦v<u)よりなる障壁層とを有し、
前記クラッド層のAl濃度は前記中間層のAl濃度よりも高く、かつ前記井戸層のIn濃度は前記緩衝層のIn濃度よりも高いことを特徴とする、半導体発光素子。
【請求項3】
AlwGa1-wN(0≦w≦1)よりなる基板をさらに備え、
前記クラッド層は前記基板の一方の主面上に形成されることを特徴とする、請求項1または2に記載の半導体発光素子。
【請求項4】
前記基板が相対的に欠陥密度の低い低欠陥領域と、相対的に欠陥密度が高く、かつ前記一方の主面において点状または線状に分布する欠陥集中領域とを有することを特徴とする、請求項3に記載の半導体発光素子。
【請求項5】
前記クラッド層が前記一方の主面に接して形成されることを特徴とする、請求項3または4に記載の半導体発光素子。
【請求項6】
前記緩衝層はIntGa1-tN(0.02≦t≦0.5)よりなることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の半導体発光素子。
【請求項7】
前記クラッド層はAlxGa1-xN(0<x≦0.05)よりなることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の半導体発光素子。
【請求項8】
前記緩衝層の膜厚は80nm以上140nm以下であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の半導体発光素子。
【請求項9】
第1導電型のAlGaNよりなるクラッド層を形成する工程と、
InsGa1-sN(0≦s<1)よりなる中間層を前記クラッド層上に形成する工程と、
IntGa1-tN(0≦t<0.5)よりなる緩衝層を前記中間層上に形成する工程と、
InGaNよりなる量子井戸発光層を前記緩衝層上に形成する工程とを備え、
前記量子井戸発光層を形成する工程は、In濃度が相対的に高いInuGa1-uN(0<u<0.5)よりなる井戸層を形成する工程と、In濃度が相対的に低いInvGa1-vN(0≦v<u)よりなる障壁層を形成する工程とを含み、
前記緩衝層のIn濃度は前記中間層のIn濃度よりも高く、かつ前記井戸層のIn濃度は前記緩衝層のIn濃度よりも高いことを特徴とする、半導体発光素子の製造方法。
【請求項10】
第1導電型のAlGaNよりなるクラッド層を形成する工程と、
AlsGa1-sN(0≦s<1)よりなる中間層を前記クラッド層上に形成する工程と、
IntGa1-tN(0≦t<0.5)よりなる緩衝層を前記中間層上に形成する工程と、
InGaNよりなる量子井戸発光層を前記緩衝層上に形成する工程とを備え、
前記量子井戸発光層を形成する工程は、In濃度が相対的に高いInuGa1-uN(0<u<0.5)よりなる井戸層を形成する工程と、In濃度が相対的に低いInvGa1-vN(0≦v<u)よりなる障壁層を形成する工程とを含み、
前記クラッド層のAl濃度は前記中間層のAl濃度よりも高く、かつ前記井戸層のIn濃度は前記緩衝層のIn濃度よりも高いことを特徴とする、半導体発光素子の製造方法。
【請求項11】
前記井戸層は前記緩衝層を形成する際の温度以下の温度で形成され、前記障壁層は前記緩衝層を形成する際の温度以上の温度で形成されることを特徴とする、請求項9または10に記載の半導体発光素子の製造方法。
【請求項12】
前記クラッド層は第1の温度で形成され、かつ前記中間層は第1の温度以下の温度である第2の温度で形成され、かつ前記緩衝層は前記第2の温度以下の温度である第3の温度で形成されることを特徴とする、請求項9〜11のいずれかに記載の半導体発光素子の製造方法。
【請求項1】
第1導電型のAlGaNよりなるクラッド層と、
前記クラッド層上に形成されたInsGa1-sN(0≦s<1)よりなる中間層と、
前記中間層上に形成されたIntGa1-tN(0≦t<0.5)よりなる緩衝層と、
前記緩衝層上に形成されたInGaNよりなる量子井戸発光層とを備え、
前記量子井戸発光層はIn濃度が相対的に高いInuGa1-uN(0<u<0.5)よりなる井戸層と、In濃度が相対的に低いInvGa1-vN(0≦v<u)よりなる障壁層とを有し、
前記緩衝層のIn濃度は前記中間層のIn濃度よりも高く、かつ前記井戸層のIn濃度は前記緩衝層のIn濃度よりも高いことを特徴とする、半導体発光素子。
【請求項2】
第1導電型のAlGaNよりなるクラッド層と、
前記クラッド層上に形成されたAlsGa1-sN(0≦s<1)よりなる中間層と、
前記中間層上に形成されたIntGa1-tN(0≦t<0.5)よりなる緩衝層と、
前記緩衝層上に形成されたInGaNよりなる量子井戸発光層とを備え、
前記量子井戸発光層はIn濃度が相対的に高いInuGa1-uN(0<u<0.5)よりなる井戸層と、In濃度が相対的に低いInvGa1-vN(0≦v<u)よりなる障壁層とを有し、
前記クラッド層のAl濃度は前記中間層のAl濃度よりも高く、かつ前記井戸層のIn濃度は前記緩衝層のIn濃度よりも高いことを特徴とする、半導体発光素子。
【請求項3】
AlwGa1-wN(0≦w≦1)よりなる基板をさらに備え、
前記クラッド層は前記基板の一方の主面上に形成されることを特徴とする、請求項1または2に記載の半導体発光素子。
【請求項4】
前記基板が相対的に欠陥密度の低い低欠陥領域と、相対的に欠陥密度が高く、かつ前記一方の主面において点状または線状に分布する欠陥集中領域とを有することを特徴とする、請求項3に記載の半導体発光素子。
【請求項5】
前記クラッド層が前記一方の主面に接して形成されることを特徴とする、請求項3または4に記載の半導体発光素子。
【請求項6】
前記緩衝層はIntGa1-tN(0.02≦t≦0.5)よりなることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の半導体発光素子。
【請求項7】
前記クラッド層はAlxGa1-xN(0<x≦0.05)よりなることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の半導体発光素子。
【請求項8】
前記緩衝層の膜厚は80nm以上140nm以下であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の半導体発光素子。
【請求項9】
第1導電型のAlGaNよりなるクラッド層を形成する工程と、
InsGa1-sN(0≦s<1)よりなる中間層を前記クラッド層上に形成する工程と、
IntGa1-tN(0≦t<0.5)よりなる緩衝層を前記中間層上に形成する工程と、
InGaNよりなる量子井戸発光層を前記緩衝層上に形成する工程とを備え、
前記量子井戸発光層を形成する工程は、In濃度が相対的に高いInuGa1-uN(0<u<0.5)よりなる井戸層を形成する工程と、In濃度が相対的に低いInvGa1-vN(0≦v<u)よりなる障壁層を形成する工程とを含み、
前記緩衝層のIn濃度は前記中間層のIn濃度よりも高く、かつ前記井戸層のIn濃度は前記緩衝層のIn濃度よりも高いことを特徴とする、半導体発光素子の製造方法。
【請求項10】
第1導電型のAlGaNよりなるクラッド層を形成する工程と、
AlsGa1-sN(0≦s<1)よりなる中間層を前記クラッド層上に形成する工程と、
IntGa1-tN(0≦t<0.5)よりなる緩衝層を前記中間層上に形成する工程と、
InGaNよりなる量子井戸発光層を前記緩衝層上に形成する工程とを備え、
前記量子井戸発光層を形成する工程は、In濃度が相対的に高いInuGa1-uN(0<u<0.5)よりなる井戸層を形成する工程と、In濃度が相対的に低いInvGa1-vN(0≦v<u)よりなる障壁層を形成する工程とを含み、
前記クラッド層のAl濃度は前記中間層のAl濃度よりも高く、かつ前記井戸層のIn濃度は前記緩衝層のIn濃度よりも高いことを特徴とする、半導体発光素子の製造方法。
【請求項11】
前記井戸層は前記緩衝層を形成する際の温度以下の温度で形成され、前記障壁層は前記緩衝層を形成する際の温度以上の温度で形成されることを特徴とする、請求項9または10に記載の半導体発光素子の製造方法。
【請求項12】
前記クラッド層は第1の温度で形成され、かつ前記中間層は第1の温度以下の温度である第2の温度で形成され、かつ前記緩衝層は前記第2の温度以下の温度である第3の温度で形成されることを特徴とする、請求項9〜11のいずれかに記載の半導体発光素子の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−187993(P2011−187993A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−133275(P2011−133275)
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【分割の表示】特願2006−314510(P2006−314510)の分割
【原出願日】平成18年11月21日(2006.11.21)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【分割の表示】特願2006−314510(P2006−314510)の分割
【原出願日】平成18年11月21日(2006.11.21)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
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