説明

半導体装置、半導体装置の検査方法、半導体装置マザー基板、及び半導体装置の製造方法、並びに電子機器

【課題】半導体装置の機能検査と貫通電極の機能検査とを実施するための検査時間を抑制すると共に、基板の両面から貫通電極に接触することが必要であることに起因して高度な検査技術が必要である貫通電極の検査を容易にすることができる、半導体装置、半導体装置の検査方法、半導体装置マザー基板、及び半導体装置の製造方法、並びに電子機器を提供する。
【解決手段】半導体装置の製造方法は、回路形成面と裏面とを有する半導体基板の、回路形成面に回路素子及び回路配線を形成する工程と、回路形成面と裏面とを電気的に接続する貫通電極を形成する工程と、第二貫通電極を貫通電極に対応して形成する工程と、裏面に配設されており、貫通電極と第二貫通電極とを接続する接続裏面配線を形成する工程と、少なくとも第二貫通電極に、回路形成面側から検査プローブを接触させることによって、回路素子及び回路配線の機能を検査する機能検査工程と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板の異なる面に形成された電極どうしを接続する貫通電極を備える半導体装置、当該半導体装置の検査方法、当該半導体装置が区画形成された半導体装置マザー基板、及び当該半導体装置の製造方法、並びにこれらの半導体装置などを備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機やノート型パーソナルコンピューターなどの電子機器は、携帯性のさらなる向上を求められており、小型・軽量化が要求されている。この要求に応えるために、電子機器が備える半導体装置などの各種の電子部品の小型化が図られている。高密度の実装を実現するために、基板の表裏を電気的に接続する貫通電極を形成した半導体装置が用いられている。
半導体装置には、多数の精密な回路素子や配線が形成されており、一般的に、全ての回路素子や配線が適切に形成されており、所定の機能を実現することができることを検査する機能検査が実施される。貫通電極についても、所定の機能を実現することができるように適切に形成されているかの検査が実施される。
特許文献1には、高精細な半導体装置にも対応可能な、半導体装置の検査プローブ及び半導体装置の検査プローブの製造方法が開示されている。
特許文献2には、貫通配線と電気的に接触させるための導電部を覆い、一部を露出させる第二絶縁部を設けることで、プローバテストによって導電部にプローバ針跡が発生しても、断線や接触不良の発生を抑制できる配線基板及びその製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−322876号公報
【特許文献2】特開2007−288150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、半導体装置(半導体回路)の機能検査と貫通電極(貫通配線)の機能検査とを実施するために、それぞれ個別の検査工程を実施する必要があり、検査時間が増大するという課題があった。貫通電極の検査は、基板の表面側及び裏面側の両面から貫通電極に接触することが必要であり、複雑な検査装置や高度な検査技術が必要であるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]本適用例にかかる半導体装置は、回路形成面と前記回路形成面の反対面である裏面とを有する半導体基板と、前記半導体基板の前記回路形成面に形成された回路素子及び回路配線と、前記回路素子及び前記回路配線の少なくとも一部と接続されており、前記回路形成面と前記裏面とを電気的に接続する貫通電極と、前記貫通電極に対応して配設されており、前記回路形成面と前記裏面とを電気的に接続する第二貫通電極と、前記貫通電極と前記第二貫通電極とを前記裏面で接続する接続裏面配線と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本適用例にかかる半導体装置によれば、回路形成面と裏面とを電気的に接続する貫通電極に対応して、回路形成面と裏面とを電気的に接続する第二貫通電極が形成されており、貫通電極と第二貫通電極とは、裏面に配設された接続裏面配線で接続されている。これにより、回路形成面側から、貫通電極に導通する部分及び第二貫通電極に接触することで、貫通電極の導通特性を検査することができる。また、回路形成面側から第二貫通電極に接触することで、貫通電極に接続された回路素子及び回路配線の検査を、実施することができる。
【0008】
[適用例2]上記適用例にかかる半導体装置は、前記回路形成面に形成されており、前記第二貫通電極に接続する第二パッド電極をさらに備えることが好ましい。
【0009】
この半導体装置によれば、第二貫通電極に接続する第二パッド電極が、回路形成面に形成されている。これにより、検査プローブなどを第二パッド電極に接触させることで、検査プローブなどを第二貫通電極に直接接触させる場合に比べて、容易且つ確実に、検査プローブなどを第二貫通電極に接続させることができる。
【0010】
[適用例3]上記適用例にかかる半導体装置は、前記接続裏面配線を覆う接続配線絶縁膜をさらに備えることが好ましい。
【0011】
この半導体装置によれば、接続裏面配線が接続配線絶縁膜で覆われているため、接続裏面配線が導通部材などに接触して短絡などが発生することを抑制することができる。
【0012】
[適用例4]本適用例にかかる半導体装置の検査方法は、回路形成面と前記回路形成面の反対面である裏面とを有する半導体基板と、前記半導体基板の前記回路形成面に形成された回路素子及び回路配線と、前記回路素子及び前記回路配線の少なくとも一部と接続されており前記回路形成面と前記裏面とを電気的に接続する貫通電極と、を備えた半導体装置の検査方法であって、前記回路形成面と前記裏面とを電気的に接続する第二貫通電極を、前記貫通電極に対応して配設する第二貫通電極形成工程と、前記裏面に配設されており、前記貫通電極と前記第二貫通電極とを接続する接続裏面配線を形成する接続裏面配線工程と、少なくとも前記第二貫通電極に、前記回路形成面側から検査プローブを接触させることによって、前記回路素子及び前記回路配線の機能を検査する機能検査工程と、を有することを特徴とする。
【0013】
本適用例にかかる半導体装置の検査方法によれば、第二貫通電極形成工程において、回路形成面と裏面とを電気的に接続する貫通電極に対応して、回路形成面と裏面とを電気的に接続する第二貫通電極が形成されており、接続裏面配線工程において裏面に配設された接続裏面配線によって、貫通電極と第二貫通電極とが互いに接続されている。これにより、機能検査工程においては、回路形成面側から、貫通電極に導通する部分及び第二貫通電極に接触することで、貫通電極の導通特性を検査することができる。また、回路形成面側から第二貫通電極に接触することで、貫通電極に接続された回路素子及び回路配線の検査を、実施することができる。
【0014】
[適用例5]上記適用例にかかる半導体装置の検査方法は、前記第二貫通電極に接続する第二パッド電極を、前記回路形成面上に形成するパッド電極形成工程をさらに有し、前記機能検査工程においては、前記第二パッド電極に前記検査プローブを接触させることが好ましい。
【0015】
この半導体装置の検査方法によれば、パッド電極形成工程において、第二貫通電極に接続する第二パッド電極が、回路形成面に形成されている。これにより、機能検査工程においては、検査プローブを第二パッド電極に接触させることで、第二貫通電極に直接接触する場合に比べて、容易且つ確実に、検査プローブと第二貫通電極との接続を実施することができる。
【0016】
[適用例6]上記適用例にかかる半導体装置の検査方法は、前記機能検査工程の後に、前記第二貫通電極を除去する第二貫通電極除去工程をさらに有することが好ましい。
【0017】
この半導体装置の検査方法によれば、機能検査工程の後に実施される第二貫通電極除去工程において、第二貫通電極が除去される。機能検査工程において使用される第二貫通電極を機能検査工程の後に削除することで、使用目的以外に第二貫通電極が機能することで不具合が発生することを抑制することができる。
【0018】
[適用例7]上記適用例にかかる半導体装置の検査方法は、前記裏面に支持部材を貼りつける支持部材貼付工程をさらに有し、前記支持部材貼付工程を、前記機能検査工程に先立って実施することが好ましい。
【0019】
この半導体装置の検査方法によれば、支持部材貼付工程において、裏面に支持部材を貼りつけることで、半導体基板を補強することができる。支持部材貼付工程を、機能検査工程に先立って実施することで、機能検査工程において半導体基板が取り扱われることによって半導体基板が損なわれることを抑制することができる。
【0020】
[適用例8]上記適用例にかかる半導体装置の検査方法は、前記機能検査工程では、少なくとも前記貫通電極と前記第二貫通電極と前記接続裏面配線との電気抵抗及び静電容量を考慮した検査プログラムを用いることが好ましい。
【0021】
この半導体装置の検査方法によれば、機能検査工程では、貫通電極と第二貫通電極と接続裏面配線との電気抵抗及び静電容量を考慮した検査プログラムが使用される。貫通電極と第二貫通電極と接続裏面配線とは、導体であるが微小な電気抵抗を有している。また、半導体基板に対して絶縁膜を介して形成されることで微少な静電容量を有している。これらの電気抵抗や静電容量を考慮した検査プログラムを用いることで、考慮しない検査プログラムを用いる場合に比べて、第二貫通電極及び接続裏面配線を介して機能検査を実施することによる検査結果への影響を抑制して、より正確な機能検査を実施することができる。
【0022】
[適用例9]上記適用例にかかる半導体装置の検査方法は、前記検査プログラムでは、検査結果の判定基準値又は検査時に印加する印加電圧値の少なくとも一方の値が、前記貫通電極と前記第二貫通電極と前記接続裏面配線との電気抵抗及び静電容量を考慮した値であることが好ましい。
【0023】
この半導体装置の検査方法によれば、検査時に印加する印加電圧を貫通電極と第二貫通電極と接続裏面配線との電気抵抗及び静電容量を考慮した印加電圧にすることで、正確な機能検査を実施することができる。検査結果の判定基準値を貫通電極と第二貫通電極と接続裏面配線との電気抵抗及び静電容量を考慮した判定基準値とすることで、正確な検査結果の判定を実施することができる。
【0024】
[適用例10]本適用例にかかる半導体装置マザー基板は、半導体装置が区画形成された半導体装置マザー基板であって、回路形成面と前記回路形成面の反対面である裏面とを有する半導体基板と、前記半導体基板の前記回路形成面に形成された回路素子及び回路配線と、前記回路素子及び前記回路配線の少なくとも一部と接続されており、前記回路形成面と前記裏面とを電気的に接続する貫通電極と、前記貫通電極に対応して配設されており、前記回路形成面と前記裏面とを電気的に接続する第二貫通電極と、前記貫通電極と前記第二貫通電極とを前記裏面において接続する接続裏面配線と、を備えることを特徴とする。
【0025】
本適用例にかかる半導体装置マザー基板によれば、回路形成面と裏面とを電気的に接続する貫通電極に対応して、回路形成面と裏面とを電気的に接続する第二貫通電極が形成されており、貫通電極と第二貫通電極とは、裏面に配設された接続裏面配線で接続されている。これにより、回路形成面側から、貫通電極に導通する部分及び第二貫通電極に接触することで、貫通電極の導通特性を検査することができる。また、回路形成面側から第二貫通電極に接触することで、貫通電極に接続された回路素子及び回路配線の検査を、実施することができる。
【0026】
[適用例11]上記適用例にかかる半導体装置マザー基板は、前記回路形成面に形成されており、前記第二貫通電極に接続する第二パッド電極をさらに備えることが好ましい。
【0027】
この半導体装置マザー基板によれば、第二貫通電極に接続する第二パッド電極が、回路形成面に形成されている。これにより、検査プローブなどを第二パッド電極に接触させることで、検査プローブなどを第二貫通電極に直接接触させる場合に比べて、容易且つ確実に、検査プローブなどを第二貫通電極に接続させることができる。
【0028】
[適用例12]上記適用例にかかる半導体装置マザー基板は、前記接続裏面配線を覆う接続配線絶縁膜をさらに備えることが好ましい。
【0029】
この半導体装置マザー基板によれば、接続裏面配線が接続配線絶縁膜で覆われているため、接続裏面配線が導通部材などに接触して短絡などが発生することを抑制することができる。
【0030】
[適用例13]上記適用例にかかる半導体装置マザー基板は、前記第二貫通電極は、前記半導体基板における除去領域に形成されていることが好ましい。
【0031】
この半導体装置マザー基板によれば、第二貫通電極は、半導体装置マザー基板における除去領域に形成されている。除去領域は、半導体装置マザー基板が個別の半導体装置に分割される際に、半導体装置から分離される部分である。第二貫通電極を除去領域に形成することで、半導体装置から第二貫通電極を取り除くことができる。これにより、機能検査工程において使用される第二貫通電極が、完成後の半導体装置において、使用目的以外に機能することで不具合が発生することを抑制することができる。
【0032】
[適用例14]上記適用例にかかる半導体装置マザー基板は、前記除去領域は、前記半導体装置マザー基板を個別の前記半導体装置に分割する際のダイシングラインであることが好ましい。
【0033】
この半導体装置マザー基板によれば、第二貫通電極は、半導体装置マザー基板におけるダイシングラインに形成されている。ダイシングラインは、半導体装置マザー基板が個別の半導体装置に分割される際に、ダイシング用のブレードによって削り取られる部分である。第二貫通電極をダイシングラインに形成することで、半導体装置マザー基板を個別の半導体装置に分割する際に、半導体装置から第二貫通電極を取り除くことができる。これにより、機能検査工程において使用される第二貫通電極が、完成後の半導体装置において、使用目的以外に機能することで不具合が発生することを抑制することができる。
【0034】
[適用例15]本適用例にかかる半導体装置の製造方法は、回路形成面と前記回路形成面の反対面である裏面とを有する半導体基板の前記回路形成面に、回路素子及び回路配線を形成する回路形成工程と、前記回路形成面と前記裏面とを電気的に接続する貫通電極を形成する貫通電極形成工程と、前記回路形成面と前記裏面とを電気的に接続する第二貫通電極を、前記貫通電極に対応して形成する第二貫通電極形成工程と、前記裏面に配設されており、前記貫通電極と前記第二貫通電極とを接続する接続裏面配線を形成する接続裏面配線工程と、少なくとも前記第二貫通電極に、前記回路形成面側から検査プローブを接触させることによって、前記回路素子及び前記回路配線の機能を検査する機能検査工程と、を有することを特徴とする。
【0035】
本適用例にかかる半導体装置の製造方法によれば、第二貫通電極形成工程において、回路形成面と裏面とを電気的に接続する貫通電極に対応して、回路形成面と裏面とを電気的に接続する第二貫通電極が形成されており、接続裏面配線工程において裏面に配設された接続裏面配線によって、貫通電極と第二貫通電極とが互いに接続されている。これにより、機能検査工程においては、回路形成面側から、貫通電極に導通する部分及び第二貫通電極に接触することで、貫通電極の導通特性を検査することができる。また、回路形成面側から第二貫通電極に接触することで、貫通電極に接続された回路素子及び回路配線の検査を、実施することができる。
【0036】
[適用例16]上記適用例にかかる半導体装置の製造方法は、前記第二貫通電極に接続する第二パッド電極を前記回路形成面上に形成するパッド電極形成工程をさらに有し、前記機能検査工程においては、前記第二パッド電極に前記検査プローブを接触させることが好ましい。
【0037】
この半導体装置の製造方法によれば、パッド電極形成工程において、第二貫通電極に接続する第二パッド電極が回路形成面に形成されている。これにより、機能検査工程においては、検査プローブを第二パッド電極に接触させることで、第二貫通電極に検査プローブを直接接触させる場合に比べて、容易且つ確実に、検査プローブと第二貫通電極との接続を実施することができる。
【0038】
[適用例17]上記適用例にかかる半導体装置の製造方法は、前記接続裏面配線を覆う接続配線絶縁膜を形成する絶縁膜形成工程をさらに有することが好ましい。
【0039】
この半導体装置の製造方法によれば、絶縁膜形成工程において接続裏面配線を覆う接続配線絶縁膜が形成される。形成された接続配線絶縁膜で接続裏面配線が覆われているため、接続裏面配線が導通部材などに接触して短絡などが発生することを抑制することができる。
【0040】
[適用例18]上記適用例にかかる半導体装置の製造方法は、前記機能検査工程の後に、前記第二貫通電極を除去する第二貫通電極除去工程をさらに有することが好ましい。
【0041】
この半導体装置の製造方法によれば、機能検査工程の後に実施される第二貫通電極除去工程において、第二貫通電極が除去される。機能検査工程において使用される第二貫通電極を機能検査工程の後に削除することで、第二貫通電極が使用目的以外に機能することで不具合が発生することを抑制することができる。
【0042】
[適用例19]上記適用例にかかる半導体装置の製造方法は、前記第二貫通電極形成工程では、前記第二貫通電極を、半導体装置が区画形成された半導体装置マザー基板における除去領域に形成することが好ましい。
【0043】
この半導体装置の製造方法によれば、第二貫通電極は、半導体装置マザー基板における除去領域に形成されている。除去領域は、半導体装置マザー基板が個別の半導体装置に分割される際に、半導体装置から分離される部分である。第二貫通電極を除去領域に形成することで、半導体装置から第二貫通電極を取り除くことができる。これにより、機能検査工程において使用される第二貫通電極が、完成後の半導体装置において、使用目的以外に機能することで不具合が発生することを抑制することができる。
【0044】
[適用例20]上記適用例にかかる半導体装置の製造方法は、前記除去領域は、前記半導体装置マザー基板を個別の前記半導体装置に分割する際のダイシングラインであることが好ましい。
【0045】
この半導体装置の製造方法によれば、第二貫通電極は、半導体装置マザー基板におけるダイシングラインに形成される。ダイシングラインは、半導体装置マザー基板が個別の半導体装置に分割される際に、ダイシング用のブレードによって削り取られる部分である。第二貫通電極をダイシングラインに形成することで、第二貫通電極を取り除く工程を別途設けることなく、半導体装置から第二貫通電極を取り除くことができる。これにより、機能検査工程において使用される第二貫通電極が、完成後の半導体装置において、使用目的以外に機能することで不具合が発生することを抑制することができる。
【0046】
[適用例21]上記適用例にかかる半導体装置の製造方法は、前記裏面に支持部材を貼りつける支持部材貼付工程をさらに有し、前記支持部材貼付工程を、前記機能検査工程に先立って実施することが好ましい。
【0047】
この半導体装置の製造方法によれば、支持部材貼付工程において、裏面に支持部材を貼りつけることで、半導体基板を補強することができる。支持部材貼付工程を、機能検査工程に先立って実施することで、機能検査工程において半導体基板が取り扱われることによって半導体基板が損なわれることを抑制することができる。
【0048】
[適用例22]上記適用例にかかる半導体装置の製造方法は、前記機能検査工程では、少なくとも前記貫通電極と前記第二貫通電極と前記接続裏面配線との電気抵抗及び静電容量を考慮した検査プログラムを用いることが好ましい。
【0049】
この半導体装置の製造方法によれば、機能検査工程では、貫通電極と第二貫通電極と接続裏面配線との電気抵抗及び静電容量を考慮した検査プログラムが使用される。貫通電極と第二貫通電極と接続裏面配線とは、導体であるが微小な電気抵抗を有している。また、半導体基板に対して絶縁膜を介して形成されることで微少な静電容量を有している。これらの電気抵抗や静電容量を考慮した検査プログラムを用いることで、考慮しない検査プログラムを用いる場合に比べて、第二貫通電極及び接続裏面配線を介して機能検査を実施することによる検査結果への影響を抑制して、より正確な機能検査を実施することができる。
【0050】
[適用例23]上記適用例にかかる半導体装置の製造方法は、前記検査プログラムでは、検査結果の判定基準値又は検査時に印加する印加電圧値の少なくとも一方の値が、前記貫通電極と前記第二貫通電極と前記接続裏面配線との電気抵抗及び静電容量を考慮した値であることが好ましい。
【0051】
この半導体装置の製造方法によれば、検査時に印加する印加電圧を貫通電極と第二貫通電極と接続裏面配線との電気抵抗及び静電容量を考慮した印加電圧にすることで、正確な機能検査を実施することができる。検査結果の判定基準値を貫通電極と第二貫通電極と接続裏面配線との電気抵抗及び静電容量を考慮した判定基準値とすることで、正確な検査結果の判定を実施することができる。
【0052】
[適用例24]本適用例にかかる電子機器は、上記した半導体装置、上記した半導体装置の検査方法を用いて検査した半導体装置、上記した半導体装置マザー基板を分割して形成された半導体装置、又は上記した半導体装置の製造方法を用いて製造した半導体装置、を備えることを特徴とする。
【0053】
この電子機器によれば、電子機器は、効率良く好適な機能検査を実施することができる、半導体装置、半導体装置の検査方法を用いて検査した半導体装置、半導体装置マザー基板を分割して形成された半導体装置、又は半導体装置の製造方法を用いて製造した半導体装置、を備える。これにより、好適に検査されて所定の機能が保証された半導体装置を備えることで、所定の機能を確実に実現できる電子機器を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】半導体装置マザー基板の概要を示す説明図。
【図2】(a)は、検査用貫通電極及び貫通電極の断面形状の概要を示す断面図。(b)は、検査用貫通電極及び貫通電極を裏面側から見た平面図。
【図3】半導体装置マザー基板における、半導体装置の形成位置に対する検査用貫通電極の配置位置を示す説明図。
【図4】半導体装置を形成する工程を示すフローチャート。
【図5】貫通電極を形成する各工程における、貫通電極などの断面などを示す説明図。
【図6】(e)は、半導体装置マザー基板がダイシングリングに取り付けられた状態を示す平面図。(f)は、半導体装置マザー基板がダイシングリングに取り付けられた状態を示す部分断面図。(g)は、検査用パッド電極に検査プローブを当接させた状態を示す説明図。
【図7】貫通電極を形成する各工程における、貫通電極などの断面などを示す説明図。
【図8】(a)は、携帯電話の一例を示した斜視図。(b)は、ワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図。(c)は、腕時計型電子機器の一例を示した斜視図。(d)は、情報機器の一例である液晶テレビを示す外観斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0055】
以下、半導体装置、半導体装置の検査方法、半導体装置マザー基板、及び半導体装置の製造方法、並びに電子機器の一実施形態について図面を参照して、説明する。実施形態は、半導体装置が区画形成された半導体装置マザー基板、及び半導体基板に半導体装置を区画形成する製造過程を例に説明する。
【0056】
<半導体装置マザー基板>
最初に、半導体装置マザー基板1について、図1を参照して説明する。図1は、半導体装置マザー基板の概要を示す説明図である。
図1に示すように、半導体装置マザー基板1は、半導体基板3に、半導体装置10が区画形成されている。半導体装置10は、図1に二点鎖線で示したダイシングライン11に囲まれた略方形の領域に、半導体装置10を構成する回路素子や回路配線16(図2参照)などが形成されることで、形成されている。完成した半導体装置マザー基板1をダイシングライン11において分割することで、半導体装置10が形成される。半導体基板3を効率的に利用するためには、ダイシングライン11の幅は狭いことが好ましいため、ダイシングライン11の幅は、略ダイシングブレードの切り込み幅に設定する。半導体装置マザー基板1をダイシングライン11において分割する際は、ダイシングライン11の部分が切削されて削除されることで、半導体装置10及び周縁部4が分離される。ダイシングライン11及び周縁部4が、除去領域に相当する。
【0057】
<検査用貫通電極>
次に、検査用貫通電極20及び貫通電極12の構成について、図2を参照して説明する。図2は、検査用貫通電極及び貫通電極を示す説明図である。図2(a)は、検査用貫通電極及び貫通電極の断面形状の概要を示す断面図であり、図2(b)は、検査用貫通電極及び貫通電極を裏面側から見た平面図である。
【0058】
図2に示すように、半導体基板3の一方の面を回路形成面3aと表記し、もう一方の面を裏面3bと表記する。半導体基板3には、回路形成面3aから裏面3bに貫通する検査用貫通電極孔20a及び貫通電極孔12aが形成されており、検査用貫通電極孔20a及び貫通電極孔12aの両端は、それぞれの面に開口している。
半導体基板3の回路形成面3a、裏面3b、検査用貫通電極孔20aの内壁面、及び貫通電極孔12aの内壁面には、それぞれの面を覆う下地層18が形成されている。検査用貫通電極孔20aの内壁面又は貫通電極孔12aの内壁面に形成された下地層18は、回路形成面3a又は裏面3bに形成された下地層18と、検査用貫通電極孔20a又は貫通電極孔12aの開口端において、それぞれ略連続している。
下地層18は、例えばシリコン酸化物(SiO2)やシリコン窒化物(Si34)等の絶縁性材料からなっており、絶縁層として機能している。なお、下地層18としては、さらに優れた絶縁層としての機能を有する樹脂膜を形成してもよい。
【0059】
検査用貫通電極20は検査用貫通電極孔20aに、貫通電極12は貫通電極孔12aに、それぞれ配設されている。裏面3bに配設された下地層18の上には、接続裏面配線30が形成されている。接続裏面配線30は、検査用貫通電極20及び貫通電極12と一体に形成されており、検査用貫通電極20と貫通電極12とは、接続裏面配線30を介して電気的に接続されている。検査用貫通電極20及び貫通電極12の裏面3b側の端面は、接続裏面配線30に覆われており、接続裏面配線30は、接続配線絶縁膜34に覆われて外部と電気的に絶縁されている。
裏面3bに配設された下地層18の上には、貫通電極12と一体に形成されており、貫通電極12と電気的に接続されている裏面端子31も配設されている。
【0060】
回路形成面3a側の表層や下地層18の表面等には、例えばトランジスターやメモリー素子等を有する集積回路(図示省略)が形成されている。また、回路形成面3aに形成された下地層18の表面には、貫通電極12又は検査用貫通電極20を覆って、パッド電極14又は検査用パッド電極21が形成されている。パッド電極14は貫通電極12と、検査用パッド電極21は検査用貫通電極20と、導通接触している。パッド電極14は、下地層18の表面に形成された回路配線16と電気的に接続されており、回路配線16を介して、集積回路と電気的に接続されている。裏面3bに配設された裏面端子31は、貫通電極12、パッド電極14、及び回路配線16を介して、集積回路と電気的に接続されている。
検査用パッド電極21と検査用貫通電極20とは、接続裏面配線30を介して、貫通電極12と電気的に接続されており、接続裏面配線30、貫通電極12、パッド電極14、及び回路配線16を介して、集積回路と電気的に接続されている。
【0061】
<検査用貫通電極の配置位置>
次に、半導体装置マザー基板1における検査用貫通電極20の配置位置について、図3を参照して説明する。図3は、半導体装置マザー基板における、半導体装置の形成位置に対する検査用貫通電極の配置位置を示す説明図である。
【0062】
上述したように、半導体装置マザー基板1は、半導体基板3に、半導体装置10が区画形成されている。図3では、半導体装置10の範囲を二点鎖線で示している。二点鎖線で囲まれた略方形の領域が、分割されて半導体装置10となる領域である。半導体装置10の間の領域は、上述したダイシングライン11であり、半導体装置マザー基板1を半導体装置10に分割する際には、ダイシングライン11の部分が切削されて削除されることで、半導体装置10が分離される。
図3に示すように、検査用貫通電極20及び検査用パッド電極21は、ダイシングライン11の領域に形成されている。貫通電極12及びパッド電極14は、半導体装置10となる領域に形成されており、裏面3bに形成された接続裏面配線30が、半導体装置10となる領域とダイシングライン11の領域との境界を越えて検査用貫通電極20と貫通電極12とを接続している。
【0063】
<半導体装置の製造>
次に、半導体装置10を製造する工程について、図4、図5、図6、及び図7を参照して説明する。図4は、半導体装置を形成する工程を示すフローチャートであり、図5、図6、及び図7は、貫通電極を形成する各工程における、貫通電極などの断面などを示す説明図である。
【0064】
最初に、図4のステップS21では、半導体基板3の回路形成面3aに回路素子や回路配線16を形成する。
次に、ステップS22では、図5(a)に示すように、半導体基板3の回路形成面3aに検査用パッド電極21及びパッド電極14を形成する。検査用パッド電極21及びパッド電極14と回路配線16とは、同じ材料で形成するため、ステップS21で回路配線16を形成する際に、検査用パッド電極21及びパッド電極14も一緒に形成してもよいし、ステップS22で検査用パッド電極21及びパッド電極14を形成する際に、回路配線16も一緒に形成してもよい。
【0065】
次に、図4のステップS23では、図5(b)に示したように、半導体基板3の回路形成面3aに、補強ガラス基板40を貼り付ける。補強ガラス基板40は、接着材層41を介して、回路形成面3aに形成された回路素子及び回路配線16や、検査用パッド電極21及びパッド電極14や、下地層18の上に接着される。補強ガラス基板40は、半導体基板3を補強することで、以降に実施する工程において、半導体基板3全体の剛性不足に起因して半導体基板3が変形させられることによって、損なわれることを抑制するためのものである。
【0066】
次に、図4のステップS24では、図5(c)に示したように、半導体基板3を裏面3b側から研削することによって、半導体基板3を所定の厚さに調整する。半導体基板3を所定の厚さまで研削して、裏面3bが形成される。所定の厚さは、例えば100μmである。研削された裏面3bの表面は、シリコンの破砕層が形成されるため、好ましくは、破砕層を取り除く処理を実施する。破砕層を取り除く処理としては、ドライエッチングやスピンエッチングやポリッシュなどを実施する。
【0067】
次に、図4のステップS25及びステップS26では、図5(d)に示したように、ステップS25では検査用貫通電極20及び貫通電極12を形成し、ステップS26では接続裏面配線30を形成する。
検査用貫通電極20及び貫通電極12と接続裏面配線30の形成は、最初に、検査用貫通電極孔20a及び貫通電極孔12aを、回路形成面3a側の開口が検査用パッド電極21又はパッド電極14に塞がれる位置に形成する。
次に、検査用貫通電極孔20a及び貫通電極孔12aの壁面と裏面3bとに、下地層18を形成する。検査用貫通電極孔20a及び貫通電極孔12aの壁面に形成された下地層18は、検査用貫通電極孔20a及び貫通電極孔12aの回路形成面3a側の端において、回路形成面3aに形成された下地層18と接続される。
次に、検査用パッド電極21又はパッド電極14の検査用貫通電極孔20a及び貫通電極孔12aの回路形成面3a側の開口を塞いでいる部分に形成された下地層18は除去して、検査用パッド電極21及びパッド電極14の検査用貫通電極孔20a又は貫通電極孔12aに臨む部分を露出させる。
次に、裏面3b上に、接続裏面配線30、裏面端子31、及びそれらを接続する配線の部分が開口したメッキレジスト膜を形成する。
次に、検査用貫通電極20、貫通電極12、接続裏面配線30、裏面端子31、及びそれらを接続する配線をめっき処理で形成する。
なお、電極を構成する銅などがシリコン基板である半導体基板3に拡散することを抑制するために形成するバリア膜や、電極をめっき処理で形成する際に、銅などが付着し易くするために形成するシード膜についての説明は省略する。
【0068】
次に、図4のステップS27では、図5(d)に示したように、少なくとも接続裏面配線30を覆う接続配線絶縁膜34を形成する。
次に、図4のステップS28では、半導体装置マザー基板1から補強ガラス基板40を剥離する。補強ガラス基板40を剥離することで、半導体装置マザー基板1の回路形成面3a側に形成された検査用パッド電極21やパッド電極14などに、検査プローブなどを接触させることが可能な状態となる。
【0069】
次に、ステップS29では、図6(e)及び図6(f)に示したように、半導体装置マザー基板1をダイシングリング50に取り付ける。
図6(e)は、半導体装置マザー基板がダイシングリングに取り付けられた状態を示す平面図であり、図6(f)は、半導体装置マザー基板がダイシングリングに取り付けられた状態を示す部分断面図である。
【0070】
図6(e)に示すように、ダイシングリング50は、一面が平坦な環形状の金属からなる枠である。ダイシングリング50の平坦な面には、補強シート51が弛みなく接着されている。補強シート51のダイシングリング50に囲まれた位置に、半導体装置マザー基板1を貼り付けることで、半導体装置マザー基板1をダイシングリング50に取り付ける。 図6(f)示すように、半導体装置マザー基板1は、裏面3b側に形成された裏面端子31や、接続配線絶縁膜34や、下地層18などが接着剤52を介して貼り付けられることによって、補強シート51に貼り付けられている。
半導体装置マザー基板1を補強シート51に貼り付けることで、半導体装置マザー基板1を補強して、変形し難くすることができる。さらに、半導体装置マザー基板1を貼り付けた補強シート51を、高い剛性を有するダイシングリング50に弛みなく接着して取り付けることで、以降の工程において、半導体装置マザー基板1が変形することで作業精度や作業効率が損なわれたり、変形させられることで半導体装置10が物理的に損なわれたりすることを抑制する。半導体装置マザー基板1を、可撓性を有する補強シート51を介してダイシングリング50に取り付けたことによって、半導体装置マザー基板1を分割した後で、個々の半導体装置10を分離する際に、補強シート51を変形させることで、半導体装置10を分離することが容易になる。
【0071】
次に、図4のステップS30では、半導体装置10の機能検査を実施する。図6(g)は、検査用パッド電極に検査プローブを当接させた状態を示す説明図である。図6(g)に示したように、検査用パッド電極21及び回路形成面3aに形成された集積回路と電気的に接続された回路検査用端子(図示省略)に検査プローブ61を接触させることで、集積回路の機能検査及び貫通電極12の機能検査(導通検査)を同時に実施する。検査用パッド電極21が、第二パッド電極に相当し、検査用貫通電極20が第二貫通電極に相当する。
【0072】
この機能検査においては、被測定系の中に、集積回路及び回路配線に加えて、検査用パッド電極21と検査用貫通電極20と接続裏面配線30と貫通電極12と、が含まれている。
検査用パッド電極21、検査用貫通電極20、接続裏面配線30、及び貫通電極12は、導体で形成されており、電気抵抗は非常に小さいが、全く無いということはない。当該抵抗値は、集積回路を構成する回路素子の出力に影響を与える程度の大きさである可能性がある。
また、絶縁層である下地層18を介して半導体基板3のシリコンと対向しており、それぞれ静電容量を持っている。当該静電容量も、集積回路を構成する回路素子の出力に影響を与える程度の大きさである可能性がある。
これらの抵抗や静電容量は、集積回路の機能検査の測定値に影響を与える可能性があるため、機能検査においては、検査用パッド電極21、検査用貫通電極20、接続裏面配線30、及び貫通電極12の電気抵抗及び静電容量を考慮した検査プログラムを用いることが好ましい。より詳細には、検査プログラムにおいて、検査結果の判定基準値を、集積回路及び回路配線のあるべき測定値に対して、検査用パッド電極21、検査用貫通電極20、接続裏面配線30、及び貫通電極12の電気抵抗及び静電容量を考慮した値に設定する。また、検査を実施する際に印加する印加電圧値を、電気抵抗及び静電容量を考慮した印加電圧に設定する。
【0073】
半導体装置マザー基板1が取り付けられているダイシングリング50は、剛性が高いため、強い力で確実に固定することができる。半導体装置10の機能検査に際して、ダイシングリング50を固定することで、半導体装置マザー基板1を確実に固定することができる。ダイシングリング50及び補強シート51が、支持部材に相当する。
【0074】
次に、図4のステップS31では、ダイシングを実施して、半導体装置マザー基板1を個別の半導体装置10に分割する。図7(h)に示すように、ダイシング装置のダイシングブレード71で、半導体装置マザー基板1におけるダイシングライン11の部分を切削する。これにより、図7(i)及び図7(j)に示すように、ダイシングライン11の部分が削除されて、半導体装置マザー基板1が、個別の半導体装置10に分割される。
【0075】
半導体装置マザー基板1は補強シート51に貼り付けられているため、図7(i)及び図7(j)に示したようにダイシングライン11の部分が全て削除されても、分割された個別の半導体装置10がそれぞれ補強シート51に貼り付けられており、半導体装置10が飛散することはほとんどない。あるいは、半導体基板3の厚さ方向において、ダイシングライン11の一部を残すダイシング方法を採用することもできる。ダイシングライン11の一部を残すことで、半導体装置10が飛散することを抑制することができる。残ったダイシングライン11の一部は、当該部分を折り曲げることで容易に分割することができる。当該部分の折り曲げは、可撓性を有する補強シート51を変形させることで容易に実施することができる。
ステップS31を実施して、半導体装置10を製造する工程を終了する。
【0076】
<情報機器>
次に、電子機器の一例としての情報機器の具体例について、図8を参照して説明する。本実施形態の情報機器は、上述した半導体装置10と同様の構成を有する半導体装置を備えた情報機器である。
【0077】
図8(a)は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図8(a)に示すように、携帯電話600は、表示部601と、携帯電話本体602と、を備えている。携帯電話600は、上述した半導体装置10を備える表示部制御装置などを、携帯電話本体602に搭載している。
【0078】
図8(b)は、ワードプロセッサー、パーソナルコンピューターなどの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図である。図8(b)に示すように、情報処理装置700は、表示部702と、キーボード701などの入力部と、情報処理装置本体703と、を備えている。情報処理装置700は、上述した半導体装置10を備える表示部制御装置などを、情報処理装置本体703に搭載している。
【0079】
図8(c)は、腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。図8(c)に示すように、腕時計800は、表示部801と、時計本体802と、を備えている。腕時計800は、上述した半導体装置10を備える表示部制御装置などを、時計本体802に搭載している。
【0080】
図8(d)は、情報機器の一例である液晶テレビを示す外観斜視図である。図8(d)に示すように、液晶テレビ900は、表示部901と、テレビ本体902と、を備えている。液晶テレビ900は、上述した半導体装置10を備える表示部制御装置などを、テレビ本体902に搭載している。
【0081】
以下、実施形態による効果を記載する。本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)回路形成面3aと裏面3bとを電気的に接続する貫通電極12に対応して、回路形成面3aと裏面3bとを電気的に接続する検査用貫通電極20が形成されており、貫通電極12と検査用貫通電極20とは、裏面3bに配設された接続裏面配線30で接続されている。回路形成面3aには、検査用貫通電極20に接続する検査用パッド電極21が形成されている。これにより、回路形成面3a側から、貫通電極12に導通する部分及び検査用貫通電極20に接続する検査用パッド電極21に接触することで、貫通電極12の導通特性を検査することができる。また、回路形成面3a側から検査用パッド電極21に接触することで、貫通電極12に接続された回路素子及び回路配線16の検査を、貫通電極12の導通特性の検査と並行して実施することができる。
【0082】
(2)回路形成面3aには、検査用貫通電極20に接続する検査用パッド電極21が形成されている。これにより、検査用貫通電極20に検査プローブ61などを直接接触させる場合に比べて、容易且つ確実に、検査プローブ61と検査用貫通電極20との接続を実施することができる。
【0083】
(3)半導体装置10には、接続裏面配線30を覆う接続配線絶縁膜34が形成されている。接続配線絶縁膜34によって、接続裏面配線30が導通部材などに接触することを抑制することができる。これにより、接続裏面配線30に貫通電極12を介して接続している集積回路などが影響をうけることを抑制することができる。
【0084】
(4)検査用貫通電極20及び検査用パッド電極21は、半導体装置マザー基板1におけるダイシングライン11に形成される。ダイシングライン11は、半導体装置マザー基板1が個別の半導体装置10に分割される際に、ダイシングブレード71によって削り取られる部分である。検査用貫通電極20及び検査用パッド電極21をダイシングライン11に形成することで、検査用貫通電極20及び検査用パッド電極21を取り除く工程を別途設けることなく、半導体装置10から検査用貫通電極20及び検査用パッド電極21を取り除くことができる。
【0085】
(5)半導体装置マザー基板1を補強シート51を介してダイシングリング50に取り付けた状態で、半導体装置10の機能検査、及び半導体装置マザー基板1のダイシングを実施する。半導体装置マザー基板1がダイシングリング50に取り付けられていることで、半導体装置マザー基板1が補強されて変形し難くなる。これにより、検査プローブ61の接触圧によって半導体装置マザー基板1が変形することで損なわれることを抑制することができる。
高い剛性を有するダイシングリング50を固定することで、半導体装置マザー基板1を確実且つ正確に位置決めすると共に、固定することができる。高い剛性を有するダイシングリング50を取扱うことによって間接的に半導体装置マザー基板1を扱うことで、半導体装置マザー基板1に直接触れることを必要とする状態を少なくして、半導体装置マザー基板1に直接触れることで半導体装置マザー基板1が損なわれることを抑制することができる。
【0086】
以上、添付図面を参照しながら好適な実施形態について説明したが、好適な実施形態は、前記実施形態に限らない。実施形態は、要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論であり、以下のように実施することもできる。
【0087】
(変形例1)前記実施形態においては、半導体装置10は、表層には回路素子及び回路配線が形成された半導体装置であったが、半導体装置は、他の構成要素を備える半導体装置であってもよい。例えば、回路素子の表層にはポリイミド樹脂又はエポキシ樹脂などの絶縁層とCuなどの配線層からなるウエハレベルCSP層が形成されている半導体装置についても、上述した半導体装置の構成、半導体装置の検査方法、半導体装置マザー基板、及び半導体装置の製造方法を好適に適用することができる。ウエハレベルCSP層を備える半導体装置においては、貫通電極の端面に形成されているパッド電極が絶縁層に被覆されていてもよいが、貫通電極を形成しない検査用パッド電極と、貫通電極検査用の電極パッドとは、ウエハレベルCSP層に露出した端子と、配線やヴィアなどにより電気的に接続されていることが必要である。
【0088】
(変形例2)前記実施形態においては、検査用貫通電極20及び検査用パッド電極21は、ダイシングライン11の領域に形成されていたが、検査用貫通電極(第二貫通電極)をダイシングラインに含まれる位置に配設することは必須ではない。検査用貫通電極は、半導体装置マザー基板1における周縁部4のようなダイシングライン以外の除去領域に形成してもよい。また、半導体装置内に形成して、完成した半導体装置に検査用貫通電極(第二貫通電極)が残っている構成であってもよい。
【0089】
(変形例3)前記実施形態においては、半導体装置10が有する貫通電極12は2個であり、1個の半導体装置10に対してそれぞれ2個の検査用貫通電極20が形成されていたが、半導体装置が有する貫通電極の数に制限はない。半導体装置が有する貫通電極の数はいくつであってもよい。
【0090】
(変形例4)前記実施形態においては、検査用貫通電極20の回路形成面3a側の端に連続する検査用パッド電極21が回路形成面3a上に形成されていたが、回路形成面側に検査用パッド電極(第二パッド電極)を設けることは必須ではない。検査プローブで、検査用貫通電極(第二貫通電極)に直接接触して安定した接続状態を実現することが可能であれば、検査用パッド電極は設けなくてもよい。
【0091】
(変形例5)前記実施形態においては、接続裏面配線30は、接続配線絶縁膜34に覆われて外部と電気的に絶縁されていたが、接続配線絶縁膜34のような接続裏面配線を外部と絶縁する部材を設けることは必須ではない。接続裏面配線を外部と絶縁する部材を設けない場合は、完成した半導体装置が使用される状態において、接続裏面配線が導体と接触する可能性が小さいことが好ましい。
【0092】
(変形例6)前記実施形態においては、検査用貫通電極20及び貫通電極12は、中実の棒形状をしていたが、貫通電極が棒形状であることも、中実であることも必須ではない。貫通電極は、例えば導電材料を貫通孔の壁面に膜状に付着させて形成してもよい。この場合、貫通電極は、中空の円筒形状であることが好ましい。
【0093】
(変形例7)前記実施形態においては、回路素子及び回路配線16とパッド電極14を形成後、当該回路素子の機能検査をすることなく貫通電極12及び検査用貫通電極20を形成していたが、貫通電極12及び検査用貫通電極20を形成する前に、回路素子及び回路配線16とパッド電極14とを含む回路の機能検査を実施してもよい。適正な機能を有しない回路については、貫通電極12を形成した後の検査を省略して、検査工数を抑制することができる。
【0094】
(変形例8)前記実施形態においては、ダイシングリング50は、環形状の金属からなる枠であったが、ダイシングリングが環形状であることも、金属からなることも必須ではない。ダイシングリングは、半導体装置マザー基板の形状に対応した形状であればどのような形状であってもよい。例えば、多角形の枠などであってもよい。ダイシングリングの材料は充分な剛性が確保できれば、どのような材料であってもよい。
【0095】
(変形例9)前記実施形態においては、半導体装置マザー基板1を補強シート51を介してダイシングリング50に取り付けた状態で、半導体装置10の機能検査を実施していたが、半導体装置10の機能検査を実施する際に半導体装置マザー基板1をダイシングリング50に取り付けることは必須ではない。半導体装置マザー基板を補強するために用いる部材は、他の部材であってもよい。例えば、シート状の部材に貼り付けるだけの補強であってもよい。半導体装置マザー基板が単体でも充分な強度を有し、検査プローブの接触圧などによっては損なわれる可能性が小さいのであれば、補強部材を用いることなく検査を実施してもよい。
【符号の説明】
【0096】
1…半導体装置マザー基板、3…半導体基板、3a…回路形成面、3b…裏面、10…半導体装置、11…ダイシングライン、12…貫通電極、14…パッド電極、16…回路配線、20…検査用貫通電極、21…検査用パッド電極、30…接続裏面配線、34…接続配線絶縁膜、50…ダイシングリング、51…補強シート、61…検査プローブ、600…携帯電話、700…情報処理装置、800…腕時計、900…液晶テレビ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路形成面と前記回路形成面の反対面である裏面とを有する半導体基板と、
前記半導体基板の前記回路形成面に形成された回路素子及び回路配線と、
前記回路素子及び前記回路配線の少なくとも一部と接続されており、前記回路形成面と前記裏面とを電気的に接続する貫通電極と、
前記貫通電極に対応して配設されており、前記回路形成面と前記裏面とを電気的に接続する第二貫通電極と、
前記貫通電極と前記第二貫通電極とを前記裏面で接続する接続裏面配線と、を備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記回路形成面に形成されており、前記第二貫通電極に接続する第二パッド電極をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記接続裏面配線を覆う接続配線絶縁膜をさらに備えることを特徴とする、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
回路形成面と前記回路形成面の反対面である裏面とを有する半導体基板と、前記半導体基板の前記回路形成面に形成された回路素子及び回路配線と、前記回路素子及び前記回路配線の少なくとも一部と接続されており前記回路形成面と前記裏面とを電気的に接続する貫通電極と、を備えた半導体装置の検査方法であって、
前記回路形成面と前記裏面とを電気的に接続する第二貫通電極を、前記貫通電極に対応して配設する第二貫通電極形成工程と、
前記裏面に配設されており、前記貫通電極と前記第二貫通電極とを接続する接続裏面配線を形成する接続裏面配線工程と、
少なくとも前記第二貫通電極に、前記回路形成面側から検査プローブを接触させることによって、前記回路素子及び前記回路配線の機能を検査する機能検査工程と、を有することを特徴とする半導体装置の検査方法。
【請求項5】
前記第二貫通電極に接続する第二パッド電極を、前記回路形成面上に形成するパッド電極形成工程をさらに有し、
前記機能検査工程においては、前記第二パッド電極に前記検査プローブを接触させることを特徴とする、請求項4に記載の半導体装置の検査方法。
【請求項6】
前記機能検査工程の後に、前記第二貫通電極を除去する第二貫通電極除去工程をさらに有することを特徴とする、請求項4又は5に記載の半導体装置の検査方法。
【請求項7】
前記裏面に支持部材を貼りつける支持部材貼付工程をさらに有し、
前記支持部材貼付工程を、前記機能検査工程に先立って実施することを特徴とする、請求項4乃至6のいずれか一項に記載の半導体装置の検査方法。
【請求項8】
前記機能検査工程では、少なくとも前記貫通電極と前記第二貫通電極と前記接続裏面配線との電気抵抗及び静電容量を考慮した検査プログラムを用いることを特徴とする、請求項4乃至7のいずれか一項に記載の半導体装置の検査方法。
【請求項9】
前記検査プログラムでは、検査結果の判定基準値又は検査時に印加する印加電圧値の少なくとも一方の値が、前記貫通電極と前記第二貫通電極と前記接続裏面配線との電気抵抗及び静電容量を考慮した値であることを特徴とする、請求項8に記載の半導体装置の検査方法。
【請求項10】
半導体装置が区画形成された半導体装置マザー基板であって、
回路形成面と前記回路形成面の反対面である裏面とを有する半導体基板と、
前記半導体基板の前記回路形成面に形成された回路素子及び回路配線と、
前記回路素子及び前記回路配線の少なくとも一部と接続されており、前記回路形成面と前記裏面とを電気的に接続する貫通電極と、
前記貫通電極に対応して配設されており、前記回路形成面と前記裏面とを電気的に接続する第二貫通電極と、
前記貫通電極と前記第二貫通電極とを前記裏面において接続する接続裏面配線と、を備えることを特徴とする半導体装置マザー基板。
【請求項11】
前記回路形成面に形成されており、前記第二貫通電極に接続する第二パッド電極をさらに備えることを特徴とする、請求項10に記載の半導体装置マザー基板。
【請求項12】
前記接続裏面配線を覆う接続配線絶縁膜をさらに備えることを特徴とする、請求項10又は11に記載の半導体装置マザー基板。
【請求項13】
前記第二貫通電極は、前記半導体基板における除去領域に形成されていることを特徴とする、請求項10乃至12のいずれか一項に記載の半導体装置マザー基板。
【請求項14】
前記除去領域は、前記半導体装置マザー基板を個別の前記半導体装置に分割する際のダイシングラインであることを特徴とする、請求項13に記載の半導体装置マザー基板。
【請求項15】
回路形成面と前記回路形成面の反対面である裏面とを有する半導体基板の前記回路形成面に、回路素子及び回路配線を形成する回路形成工程と、
前記回路形成面と前記裏面とを電気的に接続する貫通電極を形成する貫通電極形成工程と、
前記回路形成面と前記裏面とを電気的に接続する第二貫通電極を、前記貫通電極に対応して形成する第二貫通電極形成工程と、
前記裏面に配設されており、前記貫通電極と前記第二貫通電極とを接続する接続裏面配線を形成する接続裏面配線工程と、
少なくとも前記第二貫通電極に、前記回路形成面側から検査プローブを接触させることによって、前記回路素子及び前記回路配線の機能を検査する機能検査工程と、を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項16】
前記第二貫通電極に接続する第二パッド電極を前記回路形成面上に形成するパッド電極形成工程をさらに有し、
前記機能検査工程においては、前記第二パッド電極に前記検査プローブを接触させることを特徴とする、請求項15に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項17】
前記接続裏面配線を覆う接続配線絶縁膜を形成する絶縁膜形成工程をさらに有することを特徴とする、請求項15又は16に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項18】
前記機能検査工程の後に、前記第二貫通電極を除去する第二貫通電極除去工程をさらに有することを特徴とする、請求項15乃至17のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項19】
前記第二貫通電極形成工程では、前記第二貫通電極を、半導体装置が区画形成された半導体装置マザー基板における除去領域に形成することを特徴とする、請求項15乃至18のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項20】
前記除去領域は、前記半導体装置マザー基板を個別の前記半導体装置に分割する際のダイシングラインであることを特徴とする、請求項19に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項21】
前記裏面に支持部材を貼りつける支持部材貼付工程をさらに有し、
前記支持部材貼付工程を、前記機能検査工程に先立って実施することを特徴とする、請求項15乃至20のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項22】
前記機能検査工程では、少なくとも前記貫通電極と前記第二貫通電極と前記接続裏面配線との電気抵抗及び静電容量を考慮した検査プログラムを用いることを特徴とする、請求項15乃至21のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項23】
前記検査プログラムでは、検査結果の判定基準値又は検査時に印加する印加電圧値の少なくとも一方の値が、前記貫通電極と前記第二貫通電極と前記接続裏面配線との電気抵抗及び静電容量を考慮した値であることを特徴とする、請求項22に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項24】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の半導体装置、請求項4乃至9のいずれか一項に記載の半導体装置の検査方法を用いて検査した半導体装置、請求項10乃至14のいずれか一項に記載の半導体装置マザー基板を分割して形成された半導体装置、又は請求項15乃至23のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法を用いて製造した半導体装置、を備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−262964(P2010−262964A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−110468(P2009−110468)
【出願日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】