説明

半導体装置および半導体装置モジュール

【課題】半導体装置間の内部結線の接続状態をより高精度に試験することが可能な半導体モジュールおよび半導体装置を提供すること。
【解決手段】試験対象となる配線の一端側にテスト端子TTを接続するスイッチSW11ないしSW13と、試験対象となる配線の他端側に接地電位VSSを与えるトランジスタM21ないしM23とを備える。よって、試験対象の配線の一端に電源電位VDDを与え、試験対象の配線の他端に接地電位VSSを与えることで、試験対象の配線を含む電流経路を形成することができるため、オープン故障を検出することができる。また、試験対象の配線に電源電位VDDを与え、試験対象外の配線に接地電位VSSを与えれば、試験対象の配線とそれ以外の配線との間における電位差を発生させることができるため、ショート故障を検出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置および半導体装置モジュールに関し、特に、複数の半導体装置が実装される半導体モジュール、および、当該半導体装置モジュールに実装される半導体装置において、半導体装置間の内部結線の接続状態をより高精度に試験することが可能な半導体装置および半導体装置モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図9は特許文献1における半導体装置の構成を示すブロック回路図である。図9において、101はベースとなる半導体チップ(以下、親チップ)、102は親チップ101に集積された内部回路、115は親チップ101上に積層された半導体チップ(以下、子チップ)、116は子チップ115に集積された内部回路、117〜120は内部回路116と親チップ101上の内部回路102との間の信号の受け渡しをするためのチップ間接続端子、121〜124はチップ間接続端子117〜120に接続されたダイオード、125〜128は親チップ101上の内部回路102と子チップ115上の内部回路116との間の信号の受け渡しをするためのチップ間接続端子、133〜136はチップ間接続端子117〜120とチップ間接続端子125〜128を接続するワイヤである。またスイッチ素子201〜204は、それぞれチップ間接続端子125〜128と導通試験用端子137aとの間に直列に接続されている。スイッチ制御手段200は、導通試験時にスイッチ素子201〜204を1つずつ導通するように制御する。線路スイッチ素子205〜208は、それぞれチップ間接続端子125〜128とダイオード129〜132の間に直列に接続されている。
【0003】
以上のように構成された特許文献1の半導体装置の動作を以下に説明する。あらかじめ、導通試験用端子138aは線路スイッチ素子205〜208を非導通状態に設定することによりダイオード129〜132への電流経路を遮断しておく。ワイヤ133の導通試験を行う場合、スイッチ制御手段200はスイッチ201のみ導通状態にし、スイッチ202〜204は非導通状態に制御し、導通試験用端子137aに対して、(電源電位(VDD)+ダイオード121の閾値電圧Vt)を超える電位を印加し、同時に導通試験用端子137aに流れる電流を測定する。ここで、ワイヤ133に故障がない正常状態の場合は、ダイオード121に電源電位(VDD)に対する順方向の電流が流れるため、ワイヤ133は導通していると判定できる。一方、電流値が0の場合、ワイヤ133が断線故障を起こしていることを検出できる。以上の手順を全チップ間接続端子125〜128について、1端子ずつ実施することで全ワイヤ133〜136の断線故障を検出することができる。
【0004】
【特許文献1】特開2004−247523号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで通常は、スイッチ素子201〜208はPMOSトランジスタを備えている。しかし図Bの特許文献1の回路では、導通試験用端子137aに対して、(電源電位(VDD)+ダイオード121の閾値電圧Vt)を超える電位を印加している。するとPMOSトランジスタにおいては、通常は基板バイアス電位として電源電位VDDが用いられることから、ソースから基板に漏れるPNジャンクションリーク電流が発生する。これによりスイッチ素子201〜208においてリーク電流が発生することから、正確にオープン故障試験を行うことができなくなるため問題である。また特許文献1においては、当該問題点についての具体的な解決方法については記載がないため問題である。
【0006】
本発明は前記従来技術の課題の少なくとも1つを解消するためになされたものであり、複数の半導体装置が実装される半導体モジュール、および、当該半導体装置モジュールに実装される半導体装置において、半導体装置間の内部結線の接続状態をより高精度に試験することが可能な半導体モジュールおよび半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る半導体モジュールでは、実装される複数の半導体装置のうちから互いに内部結線で接続された第1半導体装置と第2半導体装置とを選択し、内部結線の接続状態を試験する機能を備える半導体モジュールにおいて、第1半導体装置は、第2半導体装置に内部結線を介して接続される第1半導体装置内部接続端子と、半導体モジュールが備える端子に接続され、外部供給電位が供給される外部接続端子と、第1半導体装置内部接続端子のうちから選択された被試験第1半導体装置内部接続端子を外部接続端子と接続する第1接続スイッチとを備え、第2半導体装置は、第1半導体装置に内部結線を介して接続される第2半導体装置内部接続端子と、第1状態では被試験第1半導体装置内部接続端子と内部結線を介して接続される被試験第2半導体装置内部接続端子に基準電位を供給し、第2状態では被試験第2半導体装置内部接続端子以外の全ての第2半導体装置内部接続端子に基準電位を供給する第2接続スイッチとを備えることを特徴とする。
【0008】
半導体モジュールには、複数の半導体装置が実装される。本発明に係る半導体モジュールとしては、例えばシステムインパッケージ(System in Package)などが挙げられる。半導体モジュールは、その内部に実装される半導体装置を半導体モジュールの外部と接続するための端子を備えている。そして半導体モジュールが完成した後に、内部結線の接続状態の試験が行われる。試験の際には、互いに接続された第1半導体装置と第2半導体装置とが、複数の半導体装置の中から試験対象として選択される。そして第1半導体装置と第2半導体装置とを接続する内部結線に対して試験が行われる。
【0009】
第1半導体装置は、第1半導体装置内部接続端子、外部接続端子、第1接続スイッチを備える。第1半導体装置内部接続端子は、第2半導体装置に内部結線を介して接続される。外部接続端子は、半導体モジュールの端子に接続される。そして外部接続端子には、半導体モジュールの端子を介して外部供給電位が供給される。第1接続スイッチは第1半導体装置内部接続端子のうちから試験対象として選択された被試験第1半導体装置内部接続端子を外部接続端子と接続する。
【0010】
第2半導体装置は、第2半導体装置内部接続端子と第2接続スイッチとを備える。第2半導体装置内部接続端子は、第1半導体装置に内部結線を介して接続される。
【0011】
半導体モジュールに複数の半導体装置が配置され、内部接続端子を介して半導体装置間の内部結線がされることで半導体モジュールが完成する。そして半導体モジュールの完成後に、内部結線のオープン/ショート故障試験が行われる。オープン/ショート故障試験は、外部接続端子に接続されるテスタ等の測定装置により、外部接続端子に流れる電流値を測定することで行われる。
【0012】
第1状態では、第2接続スイッチは、被試験第1半導体装置内部接続端子と内部結線を介して接続される被試験第2半導体装置内部接続端子に対して基準電位を供給する。すると外部接続端子から、被試験第1半導体装置内部接続端子、内部結線、
被試験第2半導体装置内部接続端子を介して、基準電位へ至る電流経路が形成される。よって被試験第1半導体装置内部接続端子と被試験第2半導体装置内部接続端子とを接続する内部結線にオープン故障が発生していない場合には、外部供給電位と基準電位との電位差に応じて電流が流れる。そして外部接続端子に接続された測定装置において電流値を測定することで、オープン故障の程度を示す抵抗値を測定することが可能となる。そして抵抗値を測定することで、被試験内部接続端子に接続される内部結線のオープン故障の有無や、オープン故障の程度を判定することができる。
【0013】
また第2状態では、第2接続スイッチは、被試験第2半導体装置内部接続端子以外の全ての第2半導体装置内部接続端子に基準電位を供給する。また被試験第1半導体装置内部接続端子や被試験第2半導体装置内部接続端子に接続される出力バッファ等は全てハイインピーダンス状態とされる。すると被試験第2半導体装置内部接続端子に接続される内部結線(試験対象の内部結線)には、外部供給電位が印加された状態とされる。一方、被試験第2半導体装置内部接続端子以外の全ての第2半導体装置内部接続端子に接続される内部結線(試験対象外の内部結線)には、基準電位が印加された状態とされる。よって試験対象である内部結線と、その他全ての試験対象外の内部結線との間に、電位差が設定される。すると試験対象の内部結線と、全ての試験対象外の内部結線との間にショート故障が発生していない場合には、電流経路が存在しないため、電流が流れない。一方、試験対象の内部結線と、試験対象外の内部結線の少なくとも何れか一つとの間にショート故障が発生している場合には、外部接続端子から、第1接続スイッチ、被試験第1半導体装置内部接続端子、ショート故障が発生している内部結線、第2半導体装置内部接続端子を介して、基準電位へ至る電流経路が形成され、電流が流れる。
【0014】
そして外部接続端子に接続された測定装置において電流値を測定することで、ショート故障の程度を示す抵抗値を測定することが可能となる。そして抵抗値を測定することで、内部結線のショート故障の有無や、ショート故障の程度を判定することができる。
【0015】
ここで外部供給電位の値は、第1半導体装置および第2半導体装置に供給される高位基準電位から低位基準電位までの範囲内の値とされる。よって第1接続スイッチおよび第2接続スイッチに備えられるMOSトランジスタにおいて、ソース/ドレインと基板との間に、PNジャンクションリーク電流が発生するような電位差が発生する事態を防止することができる。これにより、第1接続スイッチおよび第2接続スイッチのスイッチング動作を確実に行うことが可能となる。よって不要なリーク電流の発生を防止することで、オープン/ショート故障試験の精度をより高めることが可能となる。
【0016】
またオープン/ショート故障の試験時に、外部接続端子に流れる電流の電流値を測定することにより、オープン/ショート故障の程度を示す抵抗値を測定することが可能となる。すると、高抵抗状態ではあるが信号を伝播することができる程度のオープン故障や、低抵抗状態ではあるが信号を伝播することができる程度のショート故障が発生した場合においても、これらの故障を検出することができる。よって高度な信頼性を必要とする半導体モジュールの試験を行うことが可能となる。また、バーンイン試験等のストレス付与の前後で抵抗値が変化する様子を測定することができるため、信頼性加速試験を行うことが可能となる。よって、半導体モジュールの信頼性をさらに高めることができる。
【0017】
また前記目的を達成するために本発明に係る半導体装置では、複数の半導体装置が実装される半導体モジュールに用いられる半導体装置において、半導体モジュールが備える端子に接続され、外部供給電位が供給される外部接続端子と、半導体モジュールに実装される他の半導体装置と内部結線を介して接続される複数の内部接続端子と、複数の内部接続端子のうちから選択された被試験内部接続端子を外部接続端子と接続する第1接続スイッチと、被試験内部接続端子以外の全ての内部接続端子に基準電位を供給する第3接続スイッチとを備えることを特徴とする。
【0018】
外部接続端子は、半導体モジュールの端子に接続される。そして外部接続端子には、半導体モジュールの端子を介して外部供給電位が供給される。外部供給電位は、基準電位とは異なる電位である。また基準電位としては、例えば接地電位や電源電位などが挙げられる。内部接続端子は、半導体モジュール内に実装される他の半導体装置と内部結線を介して接続される。第1接続スイッチは、複数の内部接続端子のうちからオープン/ショート故障試験の対象として選択された被試験内部接続端子を、外部接続端子と接続する。第3接続スイッチは、被試験内部接続端子として選択されなかった内部接続端子に基準電位を供給する。
【0019】
被試験内部接続端子に接続される出力バッファ等は全てハイインピーダンス状態とされる。また被試験内部接続端子には、外部接続端子および半導体モジュールの端子を介して外部供給電位が供給される。よって、被試験内部接続端子に接続される内部結線(試験対象の内部結線)には、外部供給電位が印加された状態とされる。一方、被試験内部接続端子以外の全ての内部接続端子に接続される内部結線(試験対象外の内部結線)には、基準電位が印加された状態とされる。よって試験対象である内部結線と、その他全ての試験対象外の内部結線との間に、電位差が設定される。
【0020】
すると試験対象である内部結線と、試験対象外の内部結線の全てとの間にショート故障が発生していない場合には、電流経路が存在しないため、電流が流れない。一方、試験対象である内部結線と、試験対象外の内部結線の少なくとも何れか一つとの間にショート故障が発生している場合には、外部接続端子から、第1接続スイッチ、被試験内部接続端子、ショート故障が発生している内部結線を介して、基準電位へ至る電流経路が形成され、電流が流れる。
【0021】
そして外部接続端子に接続された測定装置において電流値を測定することで、ショート故障の程度を示す抵抗値を測定することが可能となる。そして抵抗値を測定することで、被試験内部接続端子に接続される内部結線のショート故障の有無や、ショート故障の程度を判定することができる。
【0022】
以上より、本発明に係る半導体装置では、内部接続端子を外部接続端子と接続する第1接続スイッチと、内部接続端子に基準電位を供給する第3接続スイッチとを備える。すると半導体装置に備えられる第1接続スイッチおよび第3接続スイッチにより、試験対象の配線の一端に外部供給電位を与え、試験対象外の配線に基準電位を与えることができる。よって試験対象の配線とそれ以外の配線との間における電位差を発生させることができるため、被試験内部接続端子に接続される内部結線ごとにショート故障の有無を試験することが可能となる。
【0023】
また本発明に係る半導体装置では、半導体装置がショート故障試験に必要な回路を備えるため、半導体装置の接続先においては試験用のスイッチ素子等が不要とされる。これにより、接続先が試験用のスイッチ素子等を備えるか否かに関わらず、ショート故障試験を行うことができるため、ショート故障試験の自由度を高めることが可能となる。またショート故障試験用の回路は半導体装置側のみに備えられればよいため、パッケージ全体として回路規模の縮小化を図ることができる。
【0024】
またショート故障の試験時に、外部接続端子に流れる電流の電流値を測定することにより、ショート故障の程度を示す抵抗値を測定することが可能となる。すると、低抵抗状態ではあるが信号を伝播することができる程度のショート故障が発生した場合においても、これらの故障を検出することができる。よって高度な信頼性を必要とする半導体モジュールの試験を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の半導体モジュールおよび半導体装置によれば、半導体装置間の内部結線の接続状態をより高精度に試験することができ、半導体モジュールの信頼性をさらに高めることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明のマルチチップモジュール1に係る第1実施形態を図1ないし図4を用いて説明する。図1に、第1実施形態に係るマルチチップモジュール1の回路構成図を示す。マルチチップモジュール1の例としては、システムインパッケージ(System in Package)が挙げられる。マルチチップモジュール1は、第1半導体装置10、第2半導体装置20、テスト端子TTを備える。
【0027】
第1半導体装置10は、外部接続端子OT1,内部接続端子IT11ないしIT13、スイッチSW11ないしSW13、バッファB11ないしB13、制御回路CC1を備える。外部接続端子OT1はテスト端子TTと配線WL0で結線される。またテスト端子TTは不図示の外部測定装置(テスタ等)に接続される。スイッチSW11は、ノードN11を介して、バッファB11の出力端子および内部接続端子IT11に共通接続される。
【0028】
制御回路CC1は、フリップフロップFF11ないしFF13が直列接続されてなるシフトレジスタである。フリップフロップFF11には不図示の内部回路から制御信号CS1が入力される。制御信号CS1は、スイッチSW11ないしSW13を制御する信号test、バッファB11ないしB13を制御する信号drからなる信号である。制御回路CC1のフリップフロップFF11から出力される信号test1はスイッチSW11に入力され、信号dr11はバッファB11に入力される。なおフリップフロップFF12およびFF13の構成は、フリップフロップFF11と同様であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0029】
第2半導体装置20は、内部接続端子IT21ないしIT23、バッファB21ないしB23、トランジスタM21ないしM23、制御回路CC2を備える。第1半導体装置10の内部接続端子IT11ないしIT13と、第2半導体装置20の内部接続端子IT21ないしIT23とは、それぞれ配線WL1ないしWL3によって結線される。また内部接続端子IT21ないしIT23は、バッファB21ないしB23にそれぞれ接続される。バッファB21の入力端子は、内部接続端子IT21およびトランジスタM21の一端側に共通接続される。またトランジスタM21の他端側には接地電位VSSが供給される。
【0030】
制御回路CC2は、フリップフロップFF21ないしFF23が直列接続されてなるシフトレジスタである。フリップフロップFF21には不図示の内部回路から制御信号CS2が入力される。制御信号CS2は、トランジスタM21ないしM23を制御する信号pd、バッファB21ないしB23を制御する信号drからなる信号である。制御回路CC2のフリップフロップFF21から出力される信号pd21はトランジスタM21に入力され、信号dr21はバッファB21に入力される。なおフリップフロップFF22およびFF23の構成は、フリップフロップFF21と同様であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0031】
図2の表を用いて、マルチチップモジュール1の動作を説明する。マルチチップモジュール1は、通常の動作が行われる非試験モードと、配線WL1ないしWL3のオープン故障を試験するオープン故障試験モードと、配線WL1ないしWL3のショート故障を試験するショート故障試験モードとを有する。
【0032】
通常動作時においては、マルチチップモジュール1は非試験モードとされる。非試験モードでは、信号dr11ないしdr13=ONとされバッファB11ないしB13は全て出力可能状態とされると共に、信号dr21ないしdr23=ONとされバッファB21ないしB23は全て出力可能状態とされる。また図2に示すように、非試験モードにおいては信号test1ないしtest3はすべてOFFとされるため、スイッチSW11ないしSW13は非導通状態とされる。また図2に示すように、信号pd21ないしpd23はすべてOFFとされるため、トランジスタM21ないしM23は非導通状態とされる。よって第1半導体装置10のバッファB11ないしB13と、第2半導体装置20のバッファB21ないしB23とが各々出力可能状態とされた上で接続されるため、通常動作が行われる。
【0033】
次にオープン故障試験およびショート故障試験時の動作を説明する。これらの故障試験の際には、マルチチップモジュール1はテスタ等の外部測定装置にセットされ、外部測定装置からの制御信号等によって試験モードとされる。また故障試験の際には、テスト端子TTに電源電位VDDが供給される。このときテスト端子TTに供給される電源電位VDDは、第1半導体装置10や第2半導体装置20に供給される電源電位VDDと等しくされる。また信号dr11ないしdr13=OFFとされバッファB11ないしB13の出力端子がハイインピーダンス状態とされると共に、信号dr21ないしdr23=OFFとされバッファB21ないしB23の出力端子がハイインピーダンス状態とされる。
【0034】
オープン故障試験モードについて説明する。オープン故障試験モードでは、配線WL1からWL3のオープン故障の有無が順次試験される。まず配線WL1のオープン故障試験について説明する。図2の表に示すように、制御回路CC1のフリップフロップFF11によって信号test1=ONが出力されるため、スイッチSW11が導通状態とされ、内部接続端子IT11が外部接続端子OT1に接続される。また制御回路CC2のフリップフロップFF21によって信号pd21=ONが出力されるため、トランジスタM21が導通状態とされ、内部接続端子IT21に接地電位VSSが供給される。よって図1に示すように、テスト端子TTから配線WL0、外部接続端子OT1、スイッチSW11、内部接続端子IT11、配線WL1、内部接続端子IT21、トランジスタM21を経由して接地電位VSSへ至る電流経路が形成される。そしてテスト端子TTからトランジスタM21へ向かう方向の電流I1が発生する。
【0035】
そしてテスト端子TTに接続された不図示の測定装置において、電流I1の電流値と予め定められる所定のしきい電流値とが比較されることで、オープン故障の有無が判定される。電流I1の電流値がしきい電流値よりも大きい時には、オープン故障が発生していない旨の判定がされる。また電流I1の電流値がしきい電流値よりも小さいときには、配線WL1が断線しかかっており、高抵抗状態ではあるが信号伝播はできる程度のオープン故障が発生している旨の判定がされる。また電流I1が測定されないときには、オープン故障が発生している旨の判定がされる。
【0036】
なお配線WL1のオープン故障試験時においては、配線WL2およびWL3は電流I1の経路から切り離される。よって配線WL2およびWL3にはどのような電位が与えられていてもよい。するとトランジスタM22およびM23は導通状態でも非導通状態でもよいため、図2に示すように、信号pd22、pd23の状態は不定状態Xでよい。
【0037】
配線WL1の試験が終了すると、制御回路CC1において図2に示すように出力信号がシフトされることによって、配線WL2の試験に移行する。図2の表に示すように、フリップフロップFF12によって信号test2=ONが出力されるため、スイッチSW12が導通状態とされ、内部接続端子IT12が外部接続端子OT1に接続される。またフリップフロップFF22によって信号pd22=ONが出力されるため、トランジスタM22が導通状態とされ、内部接続端子IT22に接地電位VSSが供給される。よって、テスト端子TTから内部接続端子IT12、配線WL2、内部接続端子IT22を介して接地電位VSSまでの電流経路が形成される。そして前述の通り、当該電流経路を流れる電流値としきい電流値とが不図示の測定装置によって比較されることにより、オープン故障の有無が判定される。なお配線WL3のオープン故障試験についても配線WL1の試験と同様であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0038】
次にショート故障試験モードについて説明する。ショート故障試験モードでは、配線WL1からWL3のショート故障の有無が順次試験される。まず配線WL1のショート故障試験について説明する。図3の表に示すように、制御回路CC1によって、信号test1=ON、test2=OFF、test3=OFFが出力される。よってスイッチSW11が導通状態、SW12およびSW13が非導通状態とされ、内部接続端子IT11のみが外部接続端子OT1に接続される。そしてテスト端子TTおよび内部接続端子IT11を介して、外部から配線WL1に対して電源電位VDDが印加される。また第2半導体装置20に備えられる制御回路CC2によって、信号pd21=OFF、pd22=ON、pd23=ONが出力される。よってトランジスタM21が非導通状態、M22およびM23が導通状態とされる。よって配線WL2およびWL3に接地電位VSSが供給される。
【0039】
すると配線WL1には電源電位VDDが供給され、配線WL2およびWL3には接地電位VSSが供給されるため、配線WL1と配線WL2およびWL3との間に電位差が発生する。そしてテスト端子TTに接続された不図示の測定装置において電流値が測定される。
【0040】
図4に示すように、等価抵抗RSで表されるショート故障が配線WL1とWL2との間に発生している場合には、テスト端子TTから配線WL0、外部接続端子OT1、スイッチSW11、内部接続端子IT11、配線WL1、等価抵抗RS、配線WL2、内部接続端子IT22、トランジスタM22を経由して接地電位VSSまでの電流経路が形成される。よってテスト端子TTからトランジスタM22へ向かう方向の電流I2が発生する。そして電流I2の電流値がしきい電流値よりも小さい時には、配線WL1とWL2とが短絡しかかっているが信号伝播はできる程度のショート故障が発生している旨の判定がされる。また電流I2の電流値がしきい電流値よりも大きい時には、ショート故障が発生している旨の判定がされる。一方、電流I2が測定されないときには、ショート故障が発生していない旨の判定がされる。
【0041】
配線WL1の試験が終了すると、次に制御回路CC1、CC2において制御信号CS1、CS2がそれぞれシフトされることで、配線WL2のショート故障試験が行われる。図3の表に示すように、制御回路CC1によって、信号test1=OFF、test2=ON、test3=OFFが出力される。よってスイッチSW12が導通状態、SW11およびSW13が非導通状態とされ、内部接続端子IT12のみが外部接続端子OT1に接続される。また制御回路CC2によって、信号pd21=ON、pd22=OFF、pd23=ONが出力される。よってトランジスタM22が非導通状態、M21およびM23が導通状態とされる。すると配線WL2には電源電位VDDが供給され、配線WL1およびWL3には接地電位VSSが供給されるため、配線WL2と配線WL1およびWL3との間に電位差が発生する。そして前述の通り、テスト端子TTに接続された不図示の測定装置において電流値が測定されることで、ショート故障の有無が判定される。なお配線WL3のショート故障試験についても配線WL1の試験と同様であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0042】
ここでオープン故障試験モードおよびショート故障試験モードにおいて、テスト端子TTに供給される電源電位VDDの値は、第1半導体装置10および第2半導体装置20に供給される電源電位VDDと等しくされる。よってスイッチSW11ないしSW13に備えられるMOSトランジスタや、トランジスタM21ないしM23において、ソース/ドレインと基板との間にPNジャンクションリーク電流が発生するような電位差が発生する事態を防止することができる。これにより、スイッチSW11ないしSW13、およびトランジスタM21ないしM23のスイッチング動作を確実に行うことが可能となる。よって不要なリーク電流の発生を防止することで、オープン/ショート故障試験の精度をより高めることができる。
【0043】
以上、第1実施形態で説明したマルチチップモジュール1では、試験対象となる配線の一端側にテスト端子TTを接続するスイッチSW11ないしSW13と、試験対象となる配線の他端側に接地電位VSSを与えるトランジスタM21ないしM23とを備えている。よって、試験対象の配線の一端に電源電位VDDを与え、試験対象の配線の他端に接地電位VSSを与えることで、試験対象の配線を含む電流経路を形成することができる。これによりオープン故障を検出することができる。一方、試験対象の配線に電源電位VDDを与え、試験対象外の配線に接地電位VSSを与えれば、試験対象の配線とそれ以外の配線との間における電位差を発生させることができる。これによりショート故障を検出することができる。以上よりマルチチップモジュール1は、一つのテスト端子TTによりオープン故障とショート故障との両方を試験することが可能となる。よってマルチチップモジュール1の端子数削減が可能となるため、マルチチップモジュール1のコストダウン化やサイズ縮小化を図ることが可能となる。
【0044】
また第1実施形態に係るマルチチップモジュール1では、故障試験の際に用いられる回路のトランジスタにリーク電流が発生することを防止することで、より高精度にオープン故障およびショート故障の有無を試験することができる。
【0045】
また外部接続端子に流れる電流の電流値を測定することにより、オープン/ショート故障の程度を示す抵抗値を測定することが可能となる。すると、高抵抗状態ではあるが信号伝播はできる程度のオープン故障や、信号伝播はできる程度のショート故障が発生した場合においても、これらの故障を検出することができる。よって論理伝播できたかできなかったかの2値による判定に比して、オープン故障/ショート故障検出の精度を高めることができる。また、バーンイン試験等のストレス付与の前後で抵抗値が変化する様子を測定することができるため、信頼性加速試験を行うことが可能となる。よって、半導体モジュールの信頼性をさらに高めることができる。よって車載・医療用半導体などの高度な信頼性を必要とする半導体モジュールの試験を行うことが可能となる。
【0046】
本発明の第1半導体装置10aに係る第2実施形態を図5および図6を用いて説明する。図5に、第2実施形態に係るマルチチップモジュール1aの回路構成図を示す。マルチチップモジュール1aは、第1半導体装置10a、第2半導体装置20a、テスト端子TTを備える。第1半導体装置10aは、第1実施形態の第1半導体装置10に比してトランジスタM11bないしM13bをさらに備える。トランジスタM11bないしM13bは、ノードN11ないしN13と接地電位VSSとの間に接続される。そして制御回路CC1aから出力される信号pd11ないしpd13が、トランジスタM11bないしM13bのゲート端子にそれぞれ入力される。
【0047】
また第2半導体装置20aは、内部接続端子IT21ないしIT23、バッファB21ないしB23を備える。内部接続端子IT11ないしIT13と内部接続端子IT21ないしIT23とは、それぞれ配線WL1ないしWL3によって結線される。また内部接続端子IT21ないしIT23は、バッファB21ないしB23にそれぞれ接続される。バッファB21ないしB23には、信号dr21ないしdr23がそれぞれ入力される。なおその他の回路構成は第1実施形態のマルチチップモジュール1と同様であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0048】
図6の表を用いて、マルチチップモジュール1aの動作を説明する。マルチチップモジュール1aは、通常の動作が行われる非試験モードと、配線WL1ないしWL3のショート故障を試験するショート故障試験モードとを有する。
【0049】
通常動作時においては、マルチチップモジュール1aは非試験モードとされる。非試験モードでは、バッファB11ないしB13およびバッファB21ないしB23は全て出力可能状態とされる。また図6に示すように、非試験モードにおいては信号test1ないしtest3はすべてOFFとされるため、スイッチSW11ないしSW13は非導通状態とされる。また信号pd11ないしpd13はすべてOFFとされるため、トランジスタM11bないしM13bは非導通状態とされる。よって第1半導体装置10aのバッファB11ないしB13と、第2半導体装置20aのバッファB21ないしB23とが各々出力可能状態とされた上で接続されるため、通常動作が行われる。
【0050】
次にショート故障試験時の動作を説明する。故障試験の際には、マルチチップモジュール1aはテスタ等の外部測定装置にセットされ、外部測定装置からの制御信号等によって試験モードとされる。また信号dr11ないしdr13=OFFとされバッファB11ないしB13の出力端子はハイインピーダンス状態とされると共に、信号dr21ないしdr23=OFFとされバッファB21ないしB23の出力端子がハイインピーダンス状態とされる。
【0051】
配線WL1のショート故障試験について説明する。図6の表に示すように、制御回路CC1aによって、信号test1=ON、test2=OFF、test3=OFFが出力される。よってスイッチSW11が導通状態、SW12およびSW13が非導通状態とされ、内部接続端子IT11のみが外部接続端子OT1に接続される。そしてテスト端子TTおよび内部接続端子IT11を介して、外部から配線WL1に対して電源電位VDDが印加される。また制御回路CC1aによって、信号pd11=OFF、pd12=ON、pd13=ONが出力される。よってトランジスタM11bが非導通状態、M12bおよびM13bが導通状態とされる。よって配線WL2およびWL3に接地電位VSSが供給される。
【0052】
すると配線WL1には電源電位VDDが供給され、配線WL2およびWL3には接地電位VSSが供給されるため、配線WL1と配線WL2およびWL3との間に電位差が発生する。そしてテスト端子TTに接続された不図示の測定装置において電流値が測定される。
【0053】
図5に示すように、等価抵抗RSで表されるショート故障が配線WL1とWL2との間に発生している場合には、テスト端子TTから配線WL0、外部接続端子OT1、スイッチSW11、内部接続端子IT11、配線WL1、等価抵抗RS、配線WL2、内部接続端子IT12、トランジスタM12bを経由して接地電位VSSまでの電流経路が形成される。よってテスト端子TTからトランジスタM12bへ向かう方向の電流I2aが発生する。そして電流I2aの電流値がしきい電流値よりも小さい時には、配線WL1とWL2とが短絡しかかっているが信号伝播はできる程度のショート故障が発生している旨の判定がされる。また電流I2aの電流値がしきい電流値よりも大きい時には、ショート故障が発生している旨の判定がされる。一方、電流I2aが測定されないときには、ショート故障が発生していない旨の判定がされる。
【0054】
配線WL1の試験が終了すると、制御回路CC1aにおいて図6に示すように出力信号がシフトされることによって、配線WL2の試験に移行する。なお配線WL2,WL3のショート故障試験については配線WL1と同様であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0055】
以上、第2実施形態で説明したマルチチップモジュール1aでは、内部接続端子IT11ないしIT13を外部接続端子OT1に接続するスイッチSW11ないしSW13と、内部接続端子IT11ないしIT13に接地電位VSSを供給するトランジスタM11bないしM13bとを備える。すると第1半導体装置10aに備えられるスイッチSW11ないしSW13およびトランジスタM11bないしM13bにより、試験対象の配線に電源電位VDDを与え、試験対象外の配線に接地電位VSSを与えることができる。よって試験対象の配線とそれ以外の配線との間における電位差を発生させることができるため、配線WL1ないしWL3の各々ごとにショート故障の有無を試験することが可能となる。
【0056】
また本発明に係るマルチチップモジュール1aでは、第1半導体装置10aがショート故障試験に必要な回路(スイッチSW11ないしSW13、トランジスタM11bないしM13bなど)を備えるため、第1半導体装置10aの接続先である第2半導体装置20aにおいては試験用のスイッチ素子等が不要とされる。これにより、接続先が試験用のスイッチ素子等を備えるか否かに関わらず、ショート故障試験を行うことができるため、ショート故障試験の自由度を高めることが可能となる。またショート故障試験用の回路は第1半導体装置10aのみに備えられればよいため、マルチチップモジュール1a全体として回路規模の縮小化を図ることができる。
【0057】
また電流I2aの電流値を測定することにより、ショート故障の程度を示す抵抗値を測定することが可能となる。すると、低抵抗状態ではあるが信号を伝播することができる程度のショート故障が発生した場合においても、これらの故障を検出することができる。よって高度な信頼性を必要とする半導体モジュールの試験を行うことが可能となる。
【0058】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは言うまでもない。第1実施形態に係る第2半導体装置20は、内部接続端子IT22に接地電位VSSを供給するトランジスタM22を備えるとしたが、この形態に限られない。図7に示す第2半導体装置20bのように、内部接続端子IT22に電源電位VDDを供給するトランジスタM32をさらに備える形態としてもよいことは言うまでもない。トランジスタM32のゲートには、フリップフロップFF22bから出力される信号pu22が入力される。なおその他の構成は、第1実施形態に係る第2半導体装置20と同様であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0059】
配線WL2のオープン故障試験について説明する。テスト端子TTには不図示の外部測定装置によって接地電位VSSが供給される。制御回路CC1のフリップフロップFF12によって信号test2=ONが出力されるため、スイッチSW12が導通状態とされ、内部接続端子IT12が外部接続端子OT1に接続される。また制御回路CC2bのフリップフロップFF22bによって信号pu22=ON、pd22=OFFが出力されるため、トランジスタM32が導通状態、トランジスタM22が非導通状態とされ、内部接続端子IT22に電源電位VDDが供給される。よって図7に示すように、電源電位VDDからトランジスタM32、内部接続端子IT22、配線WL2、内部接続端子IT12、スイッチSW12、外部接続端子OT1、配線WL0を経由してテスト端子TTへ至る電流経路が形成される。そしてオープン故障がない場合には、トランジスタM32からテスト端子TTへ向かう方向の電流I2bが発生する。不図示の測定装置では、電流I2bの電流値をしきい電流値と比較することにより、オープン故障の有無が判定される。
【0060】
これにより第2半導体装置20bでは、内部接続端子IT22に対して、電源電位VDDと接地電位VSSとの両方の電位を供給することが可能となる。よって試験対象である配線WL2に流れる電流の方向を任意に定めることができる。すると図7に示すように、信号の向き(バッファB22からB21へ)と電流I2bの向きとを一致させることが可能となるため、より実使用条件に近いオープン故障試験を行う事が可能となり、試験の精度を高めることができる。また例えば電流経路上にダイオード等が備えられる場合など、電流方向が所定の一方向に定められる電流経路においても、オープン故障試験を行うことが可能となる。なおショート故障試験においても、配線を流れる電流の方向を任意に定めることが可能であり、試験の精度を高めることができることは言うまでもない。
【0061】
また図7において第2半導体装置20bは、故障試験用のトランジスタとしてトランジスタM22やトランジスタM32を別途備えるとしたが、この形態に限られない。図8に示すように、出力トランジスタを故障試験用のトランジスタとして用いる形態としても良い。図8に示す第2半導体装置20cに備えられるバッファB22cは、出力トランジスタBM22およびBM32、セレクタ25を備える。セレクタ25には、第2半導体装置20cの入出力信号IOD、信号pu22、pd22が入力される。またセレクタ25には、第2半導体装置20cの不図示の内部回路から試験モード信号TMが入力される。そしてセレクタ25から出力される信号SSは、出力トランジスタBM22およびBM32のゲートに入力される。
【0062】
セレクタ25は、試験モード信号TMに応じて、非試験モードと、オープン/ショート故障試験モードとを認識する。非試験モードである旨の試験モード信号TMが入力される場合には、セレクタ25は、入出力信号IODを選択した上で信号SSとして出力するため、第2半導体装置20cは通常動作を行う。一方、オープン/ショート故障試験モードである旨の試験モード信号TMが入力される場合には、セレクタ25は、信号pu22またはpd22を選択した上で信号SSとして出力する。そして内部接続端子IT22に接地電位VSSを供給する場合には、セレクタ25からはハイレベルのpd22が出力され、出力トランジスタBM22が導通、BM32が非導通状態とされる。一方、内部接続端子IT22に電源電位VDDを供給する場合には、セレクタ25からはローレベルのpu22が出力され、出力トランジスタBM22が非導通、BM32が導通状態とされる。
【0063】
これにより、出力トランジスタを故障試験用のトランジスタとして使用することで、内部接続端子IT22に対して、電源電位VDDと接地電位VSSとの一方の電位を選択的に供給することが可能となる。そして出力トランジスタは導通抵抗を小さくするためにサイズの大きいトランジスタが用いられるため、当該出力トランジスタをオープン/ショート試験時に用いることでオープン/ショート故障の程度を示す抵抗値の測定をより高精度に行うことが可能となる。またサイズの大きい出力トランジスタを非試験モードとオープン/ショート故障試験モードとで共用することができるため、第2半導体装置20cの回路サイズの縮小化を図ることが可能となる。
【0064】
なお本実施形態では、2つの半導体装置間の接続についてのオープン/ショート故障試験について述べたが、接続される半導体装置の数は2つに限られない。3つ以上の半導体装置の間の接続についても試験を行うことができることは言うまでもない。この場合は、3つ以上の半導体装置を互いに接続する配線の一本一本に着目し、当該配線に順次オープン/ショート故障試験を行えばよい。
【0065】
また第2半導体装置20は制御回路CC2を備えるとしたが、この形態に限られない。制御回路CC1から信号pd21ないしpd23,信号dr21ないしdr23を出力する形態としてもよい。これにより、第2半導体装置20の回路構成をより簡略化することが可能となる。
【0066】
また配線は配線WL1ないしWL3の3本としたが、この形態に限られない。本発明の原理は、オープン故障試験時には試験対象の配線の一端と他端に異なる電位を与え、ショート故障試験時には試験対象の配線と試験対象外の配線とに異なる電位を与えることにある。よって4本以上であっても本発明の原理が適用できることは言うまでもない。
【0067】
なお、内部接続端子IT11ないしIT13は第1半導体装置内部接続端子の一例、電源電位VDDは外部供給電位の一例、スイッチSW11ないしSW13は第1接続スイッチの一例、内部接続端子IT21ないしIT23は第2半導体装置内部接続端子の一例、接地電位VSSは基準電位の一例、トランジスタM21ないしM23は第2接続スイッチの一例、トランジスタM32は高位接続スイッチの一例、トランジスタM22は低位接続スイッチの一例、制御回路CC1は第1制御回路の一例、制御回路CC2は第2制御回路の一例、セレクタ25はセレクタ回路のそれぞれ一例である。
【0068】
ここで、本発明の技術思想により、背景技術における課題を解決するための手段を以下に列記する。
(付記1)実装される複数の半導体装置のうちから互いに内部結線で接続された第1半導体装置と第2半導体装置とを選択し、前記内部結線の接続状態を試験する機能を備える半導体モジュールにおいて、
前記第1半導体装置は、
前記第2半導体装置に前記内部結線を介して接続される第1半導体装置内部接続端子と、
前記半導体モジュールが備える端子に接続され、外部供給電位が供給される外部接続端子と、
前記第1半導体装置内部接続端子のうちから選択された被試験第1半導体装置内部接続端子を前記外部接続端子と接続する第1接続スイッチとを備え、
前記第2半導体装置は、
前記第1半導体装置に前記内部結線を介して接続される第2半導体装置内部接続端子と、
第1状態では前記被試験第1半導体装置内部接続端子と前記内部結線を介して接続される被試験第2半導体装置内部接続端子に基準電位を供給し、第2状態では前記被試験第2半導体装置内部接続端子以外の全ての前記第2半導体装置内部接続端子に基準電位を供給する第2接続スイッチと
を備えることを特徴とする半導体モジュール。
(付記2)前記第2接続スイッチは、
前記内部接続端子を高位基準電位に接続する高位接続スイッチと、
前記内部接続端子を低位基準電位に接続する低位接続スイッチとを備えることを特徴とする付記1に記載の半導体モジュール。
(付記3)前記第1接続スイッチは、前記第1半導体装置内部接続端子の各々に対応して備えられ、
前記第1半導体装置は、前記第1接続スイッチを順次選択して導通状態とする第1制御回路を備えることを特徴とする付記1に記載の半導体モジュール。
(付記4)前記第2接続スイッチは、前記第2半導体装置内部接続端子の各々に対応して備えられ、
前記第2半導体装置は、
前記第1状態では前記被試験内部接続端子と前記内部結線を介して接続される前記第2半導体装置内部接続端子に接続される前記第2接続スイッチを導通状態とし、前記第2状態では前記被試験内部接続端子と前記内部結線を介して接続される前記第2半導体装置内部接続端子以外の全ての前記第2半導体装置内部接続端子に接続される前記第2接続スイッチを導通状態とする第2制御回路を備えることを特徴とする付記1に記載の半導体モジュール。
(付記5)前記第2接続スイッチは、前記第2半導体装置内部接続端子の各々に接続される出力トランジスタであり、
前記第2半導体装置は、前記第2制御回路の出力と前記第2半導体装置の内部回路からの出力とが入力され、出力が前記出力トランジスタに入力されるセレクタ回路を備えることを特徴とする付記4に記載の半導体モジュール。
(付記6)前記第1制御回路は、前記第1半導体装置内部接続端子に接続される全ての出力バッファをハイインピーダンス状態とすることを特徴とする付記3に記載の半導体モジュール。
(付記7)前記第2制御回路は、前記第2半導体装置内部接続端子に接続される全ての出力バッファをハイインピーダンス状態とすることを特徴とする付記4に記載の半導体モジュール。
(付記8)複数の半導体装置が実装される半導体モジュールに用いられる半導体装置において、
前記半導体モジュールが備える端子に接続され、外部供給電位が供給される外部接続端子と、
前記半導体モジュールに実装される他の半導体装置と内部結線を介して接続される複数の内部接続端子と、
複数の前記内部接続端子のうちから選択された被試験内部接続端子を前記外部接続端子と接続する第1接続スイッチと、
前記被試験内部接続端子以外の全ての前記内部接続端子に基準電位を供給する第3接続スイッチと
を備えることを特徴とする半導体装置。
(付記9)前記第3接続スイッチは、
前記内部接続端子を高位基準電位に接続する高位接続スイッチと、
前記内部接続端子を低位基準電位に接続する低位接続スイッチとを備えることを特徴とする付記8に記載の半導体装置。
(付記10)前記第1接続スイッチは、前記内部接続端子の各々に対応して備えられ、
該第1接続スイッチを順次選択して導通状態とする第1制御回路を備えることを特徴とする付記8に記載の半導体装置。
(付記11)前記第3接続スイッチは、前記内部接続端子の各々に接続される出力トランジスタであり、
前記第1制御回路の出力と前記半導体装置の内部回路からの出力とが入力され、出力が前記出力トランジスタに入力されるセレクタ回路を備えることを特徴とする付記10に記載の半導体装置。
(付記12)前記第1制御回路は、前記内部接続端子に接続される全ての出力バッファをハイインピーダンス状態とすることを特徴とする付記10に記載の半導体装置。
(付記13)実装される複数の半導体装置のうちから互いに内部結線で接続された第1半導体装置と第2半導体装置とを選択し、前記内部結線の接続状態を試験する半導体モジュールの試験方法において、
前記第1半導体装置は、
前記第2半導体装置に前記内部結線を介して接続される第1半導体装置内部接続端子と、
前記半導体モジュールが備える端子に接続され、外部供給電位が供給される外部接続端子とを備え、
前記第2半導体装置は、
前記第1半導体装置に前記内部結線を介して接続される第2半導体装置内部接続端子を備え、
前記第1半導体装置内部接続端子のうちから選択された被試験第1半導体装置内部接続端子を前記外部接続端子と接続するステップと、
第1状態では前記被試験第1半導体装置内部接続端子と前記内部結線を介して接続される被試験第2半導体装置内部接続端子に基準電位を供給し、第2状態では前記被試験第2半導体装置内部接続端子以外の全ての前記第2半導体装置内部接続端子に基準電位を供給するステップと
を備えることを特徴とする半導体モジュールの試験方法。
(付記14)複数の半導体装置が実装される半導体モジュールに用いられる半導体装置の試験方法において、
前記半導体装置は、
前記半導体モジュールが備える端子に接続され、外部供給電位が供給される外部接続端子と、
前記半導体モジュールに実装される他の半導体装置と内部結線を介して接続される複数の内部接続端子とを備え、
複数の前記内部接続端子のうちから選択された被試験内部接続端子を前記外部接続端子と接続するステップと、
前記被試験内部接続端子以外の全ての前記内部接続端子に基準電位を供給するステップと
を備えることを特徴とする半導体装置の試験方法。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】第1実施形態に係るマルチチップモジュール1の回路構成図
【図2】第1実施形態のオープン故障試験モードの動作を説明する表
【図3】第1実施形態のショート故障試験モードの動作を説明する表
【図4】ショート故障時の電流経路を示す図
【図5】第2実施形態に係るマルチチップモジュール1aの回路構成図
【図6】第2実施形態のショート故障試験モードの動作を説明する表
【図7】第2半導体装置20bの回路構成図
【図8】第2半導体装置20cの回路構成図
【図9】特許文献1における半導体装置の構成を示すブロック回路図
【符号の説明】
【0070】
1、1a マルチチップモジュール
10、10a 第1半導体装置
20ないし20c 第2半導体装置
25 セレクタ
B11ないしB13、B21ないしB23 バッファ
BM22およびBM32 出力トランジスタ
CC1、CC2 制御回路
FF11ないしFF13、FF21ないしFF23 フリップフロップ
I1、I2、I2a 電流
IT11ないしIT13、IT21ないしIT23 内部接続端子
M11bないしM13b トランジスタ
M21ないしM23 トランジスタ
OT1 外部接続端子
RS 等価抵抗
SW11ないしSW13 スイッチ
TT テスト端子
VDD 電源電位
VSS 接地電位
WL1ないしWL3 配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実装される複数の半導体装置のうちから互いに内部結線で接続された第1半導体装置と第2半導体装置とを選択し、前記内部結線の接続状態を試験する機能を備える半導体モジュールにおいて、
前記第1半導体装置は、
前記第2半導体装置に前記内部結線を介して接続される第1半導体装置内部接続端子と、
前記半導体モジュールが備える端子に接続され、外部供給電位が供給される外部接続端子と、
前記第1半導体装置内部接続端子のうちから選択された被試験第1半導体装置内部接続端子を前記外部接続端子と接続する第1接続スイッチとを備え、
前記第2半導体装置は、
前記第1半導体装置に前記内部結線を介して接続される第2半導体装置内部接続端子と、
第1状態では前記被試験第1半導体装置内部接続端子と前記内部結線を介して接続される被試験第2半導体装置内部接続端子に基準電位を供給し、第2状態では前記被試験第2半導体装置内部接続端子以外の全ての前記第2半導体装置内部接続端子に基準電位を供給する第2接続スイッチと
を備えることを特徴とする半導体モジュール。
【請求項2】
前記第2接続スイッチは、
前記内部接続端子を高位基準電位に接続する高位接続スイッチと、
前記内部接続端子を低位基準電位に接続する低位接続スイッチとを備えることを特徴とする請求項1に記載の半導体モジュール。
【請求項3】
前記第1接続スイッチは、前記第1半導体装置内部接続端子の各々に対応して備えられ、
前記第1半導体装置は、前記第1接続スイッチを順次選択して導通状態とする第1制御回路を備えることを特徴とする請求項1に記載の半導体モジュール。
【請求項4】
前記第2接続スイッチは、前記第2半導体装置内部接続端子の各々に対応して備えられ、
前記第2半導体装置は、
前記第1状態では前記被試験内部接続端子と前記内部結線を介して接続される前記第2半導体装置内部接続端子に接続される前記第2接続スイッチを導通状態とし、前記第2状態では前記被試験内部接続端子と前記内部結線を介して接続される前記第2半導体装置内部接続端子以外の全ての前記第2半導体装置内部接続端子に接続される前記第2接続スイッチを導通状態とする第2制御回路を備えることを特徴とする請求項1に記載の半導体モジュール。
【請求項5】
前記第2接続スイッチは、前記第2半導体装置内部接続端子の各々に接続される出力トランジスタであり、
前記第2半導体装置は、前記第2制御回路の出力と前記第2半導体装置の内部回路からの出力とが入力され、出力が前記出力トランジスタに入力されるセレクタ回路を備えることを特徴とする請求項4に記載の半導体モジュール。
【請求項6】
複数の半導体装置が実装される半導体モジュールに用いられる半導体装置において、
前記半導体モジュールが備える端子に接続され、外部供給電位が供給される外部接続端子と、
前記半導体モジュールに実装される他の半導体装置と内部結線を介して接続される複数の内部接続端子と、
複数の前記内部接続端子のうちから選択された被試験内部接続端子を前記外部接続端子と接続する第1接続スイッチと、
前記被試験内部接続端子以外の全ての前記内部接続端子に基準電位を供給する第3接続スイッチと
を備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
前記第3接続スイッチは、
前記内部接続端子を高位基準電位に接続する高位接続スイッチと、
前記内部接続端子を低位基準電位に接続する低位接続スイッチとを備えることを特徴とする請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1接続スイッチは、前記内部接続端子の各々に対応して備えられ、
該第1接続スイッチを順次選択して導通状態とする第1制御回路を備えることを特徴とする請求項6に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第3接続スイッチは、前記内部接続端子の各々に接続される出力トランジスタであり、
前記第1制御回路の出力と前記半導体装置の内部回路からの出力とが入力され、出力が前記出力トランジスタに入力されるセレクタ回路を備えることを特徴とする請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
実装される複数の半導体装置のうちから互いに内部結線で接続された第1半導体装置と第2半導体装置とを選択し、前記内部結線の接続状態を試験する半導体モジュールの試験方法において、
前記第1半導体装置は、
前記第2半導体装置に前記内部結線を介して接続される第1半導体装置内部接続端子と、
前記半導体モジュールが備える端子に接続され、外部供給電位が供給される外部接続端子とを備え、
前記第2半導体装置は、
前記第1半導体装置に前記内部結線を介して接続される第2半導体装置内部接続端子を備え、
前記第1半導体装置内部接続端子のうちから選択された被試験第1半導体装置内部接続端子を前記外部接続端子と接続するステップと、
第1状態では前記被試験第1半導体装置内部接続端子と前記内部結線を介して接続される被試験第2半導体装置内部接続端子に基準電位を供給し、第2状態では前記被試験第2半導体装置内部接続端子以外の全ての前記第2半導体装置内部接続端子に基準電位を供給するステップと
を備えることを特徴とする半導体モジュールの試験方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−249388(P2008−249388A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−88453(P2007−88453)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(308014341)富士通マイクロエレクトロニクス株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】