説明

半導体装置の検査方法、半導体装置および半導体基板

【課題】半導体装置の小型化を図りつつ、正確な故障箇所の位置の特定を可能とする。
【解決手段】半導体基板10の他面に溝部を形成する工程と、部品20と溝部の位置関係を示すレイアウトデータを取得する工程と、部品20に電圧を印加することにより、部品20の故障箇所50を発光させるとともに、故障箇所50からの発光を溝部の内部へ伝播させる工程と、故障箇所50からの発光により生じる第1の発光部の位置、および故障箇所50からの発光が溝部の内部を伝播することによって生じる第2の発光部の位置を他面側から検出する工程と、第1の発光部の位置および第2の発光部の位置から、溝部の位置を推定する工程と、推定した溝部の位置に対する第1の発光部の相対位置と、レイアウトデータにおける溝部の位置とを用いて、故障箇所を特定する工程と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の検査方法、半導体装置および半導体基板に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置は、その品質や歩留まりの向上を目的とした故障解析が行われることがある。故障解析においては、故障箇所の詳細な観察や分析が必要とされる。半導体装置の詳細な観察手法として、TEM(透過型電子顕微鏡)を用いるものが挙げられる。しかし、故障箇所の十分な特定がなされない場合、TEMによる観察は困難となる。
【0003】
故障箇所の特定方法として、エミッション観察がある。特許文献1、及び2には、エミッション観察を用いた故障箇所の特定方法が記載されている。
【0004】
特許文献1に記載の技術は、半導体装置に赤外レーザを照射して得られる赤外反射像を、レイアウト図の画像と照合し、その結果に基づいて、発光像の位置を特定するというものである。特許文献2に記載の技術は、不良解析用に、半導体装置上に既存の素子とは別個の発光素子を設けるというものである。この発光素子による発光像を半導体装置のレイアウトデータに重ね合わせることで、半導体装置の裏面側から故障箇所の位置を特定することができると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−33526号公報
【特許文献2】特開2004−128414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の技術では、故障箇所からの発光像を得るときと、赤外反射像を得るときで、別々の光学経路を利用する必要がある。このため、光学経路が異なることに起因して、レイアウトデータと発光像の位置情報にずれが生じる場合がある。この場合、正確な故障位置を特定することができない。特許文献2に記載の技術によれば、レイアウトデータと発光像の位置情報にずれは生じない。しかしこの場合、既存の素子とは別個に発光素子を設ける必要がある。よって半導体装置の面積の増大を招いてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、半導体基板と、前記半導体基板の一面に設けられた少なくとも1つの部品と、を備えた半導体装置の検査方法であって、
前記半導体基板の他面に、少なくとも互いに平行でない2本の溝部を含み、直線形状を有し、かつ内部において前記半導体基板と異なる屈折率を有する溝部を形成する工程と、
前記部品と前記溝部の位置関係を示すレイアウトデータを取得する工程と、
前記部品に電圧を印加することにより、前記部品の故障箇所を発光させるとともに、前記故障箇所からの発光を前記溝部の内部へ伝播させる工程と、
前記故障箇所からの発光により生じる第1の発光部の位置、および前記故障箇所からの発光が前記溝部の内部を伝播することによって生じる第2の発光部の位置を前記他面側から検出する工程と、
前記第1の発光部の位置および前記第2の発光部の位置から、前記溝部の位置を推定する工程と、
推定した前記溝部の位置に対する前記第1の発光部の相対位置と、前記レイアウトデータにおける前記溝部の位置とを用いて、前記故障箇所を特定する工程と、
を備える半導体装置の検査方法が提供される。
【0008】
本発明によれば、第1の発光部および第2の発光部の位置から、半導体基板に形成された溝部の位置を推定する。そして、推定した溝部に対する第1の発光部の相対位置と、半導体素子と溝部の位置関係を示すレイアウトデータとを用いて、故障箇所を特定する。従って、互いに異なる光学経路を経て生成された2つの画像データを重ねるという工程がなく、半導体装置のレイアウトデータと発光像の位置情報との間にずれは生じない。また、溝部は半導体基板の他面に形成されるため、半導体装置の面積の増大は生じない。よって、半導体装置の小型化を図りつつ、正確な故障箇所の位置を特定することが可能となる。
【0009】
本発明によれば、半導体基板と、前記半導体基板の一面に設けられた部品と、前記半導体基板の前記一面に設けられた素子分離領域と、前記半導体基板の他面に設けられ、直線形状を有し、かつ底部が前記素子分離領域よりも前記他面側に位置する少なくとも2本の溝部と、を備え、前記2本の溝部は、互いに平行でなく、前記半導体基板と、前記溝部の内部との屈折率は異なっている半導体装置が提供される。
【0010】
本発明によれば、素子形成面とは反対の面において、格子状に形成された複数の溝部を備える半導体基板が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、半導体装置の小型化を図りつつ、正確な故障箇所の位置を特定することを可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【図2】図1に示す半導体装置を示す平面図である。
【図3】図1に示す半導体装置を示す平面図である。
【図4】図1に示す半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図5】図1に示す半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図6】図1に示す半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図7】図1に示す半導体装置の検査方法を示すフロー図である。
【図8】第1の実施形態に係る半導体装置が有するコンデンサ部分を示す断面図および平面図である。
【図9】第1の実施形態に係る半導体装置が有するダイオード部分を示す断面図および平面図である。
【図10】第1の実施形態に係る半導体装置が有する配線部分を示す断面図および平面図である。
【図11】第2の実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【図12】図11に示す半導体装置を示す平面図である。
【図13】図11に示す半導体装置の全体を示す平面図である。
【図14】第3の実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0014】
図1は、第1の実施形態に係る半導体装置100を示す断面図である。半導体装置100は、半導体基板10と、半導体基板10の一面に設けられた少なくとも1つの部品20と、を備えている。ここで、部品20とは、例えば半導体素子22であるが、これに限られない。
【0015】
図2および図3は、図1に示す半導体装置100を示す平面図であって、半導体基板10の他面側を示している。本実施形態に係る半導体装置100の検査方法は、次のようである。まず、半導体基板10の他面に、互いに平行でない溝部32および溝部34を形成する。溝部32および溝部34は、直線形状を有する。また溝部32および溝部34の内部は、半導体基板10と異なる屈折率を有する。次いで、部品20と、溝部32および溝部34との位置関係を示すレイアウトデータを取得する。次いで、部品20に電圧を印加することにより、部品20の故障箇所50を発光させるとともに、故障箇所50からの発光を溝部32および溝部34の内部へ伝播させる。
【0016】
次に、故障箇所50からの発光により生じる発光部52、故障箇所50からの発光が溝部32の内部を伝播することによって生じる発光部62、および故障箇所50からの発光が溝部34の内部を伝播することによって生じる発光部64の位置を、半導体基板10の他面側から検出する。次いで、発光部52の位置、発光部62の位置および発光部64の位置から、溝部32および溝部34の位置を推定する。そして、推定した溝部32の位置および溝部34の位置に対する発光部52の相対位置と、半導体素子22と溝部32および溝部34との位置関係を示すレイアウトデータにおける溝部32の位置および溝部34の位置とを用いて、故障箇所50を特定する。以下、半導体装置100の構成、製造方法および検査方法について、詳細に説明する。
【0017】
まず、半導体装置100の構成について説明する。半導体装置100は、さらに素子分離領域26を備えている。図1に示すように、溝部32および溝部34は、例えば底部が素子分離領域26よりも他面側に位置するように形成される。また、溝部32および溝部34は、底部が半導体基板10の一面に到達するように形成されていてもよい。
【0018】
図1に示すように、半導体素子22は、例えばMOSFET等である。この場合、半導体素子22は、ゲート絶縁膜70と、ゲート電極72と、側壁膜74と、エクステンション領域76と、ソース・ドレイン領域78と、を備えている。
【0019】
エクステンション領域76とソース・ドレイン領域78は、半導体基板10に設けられている。ゲート絶縁膜70は、半導体基板10のうちエクステンション領域76に挟まれる領域の上に形成されている。ゲート電極72は、ゲート絶縁膜70上に形成されている。側壁膜74は、ゲート絶縁膜70とゲート電極72の側面に形成されている。
【0020】
図2に示すように、溝部32と溝部34は、例えば互いに直交するように半導体基板10の他面に設けられている。また、図3に示すように、溝部32および溝部34は互いに直交していなくとも、平行でなければよい。溝部32および溝部34の深さ方向は、例えば半導体基板10の表面と垂直な方向に一致する。溝部32および溝部34の深さは、5μm以上であることが好ましい。溝部32および溝部34の深さが5μm以上である場合、半導体装置内で生じる光の観察が容易となる。また、溝部34の幅は、1μm程度であることが好ましい。
【0021】
図1に示すように、半導体装置100は、シリコン酸化膜14および半導体支持基板12を備えている。シリコン酸化膜14は、溝部32、34の内部、および半導体基板10の他面上に設けられている。また、シリコン酸化膜14にかえて、光透過性を有する他の材料とすることもできる。半導体支持基板12は、シリコン酸化膜14を介して、半導体基板10の他面に貼り付けられている。
【0022】
次に、図1、および図4〜図6を用いて、半導体装置100の製造方法について説明する。図4〜6は、図1に示す半導体装置100の製造方法を示す断面図である。まず、図4に示すように、半導体基板10の素子形成面とは反対の面に、溝部32(図3参照)および溝部34を形成する。溝部32および溝部34の形成は、例えばドライエッチングや集束イオンビーム(FIB)によって行われる。次に、図5に示すように、溝部34および溝部32の内部および半導体基板10の素子形成面とは反対の面に、シリコン酸化膜14を形成する。
【0023】
次いで、図6に示すように、半導体基板10の素子形成面とは反対の面に、シリコン酸化膜14を介して半導体支持基板12を貼り付ける。半導体支持基板12は、例えば熱圧着によって半導体基板10に貼り付けられ、貼り合わせSOI基板を構成する。そして、半導体基板10の素子形成面に、半導体素子22等を形成することによって、図1に示す半導体装置100を得る。
【0024】
次に、半導体装置100の検査方法を説明する。図7は、図1に示す半導体装置100の検査方法を示すフロー図である。まず、半導体基板10の他面に溝部32および溝部34を形成する(S10)。そして、半導体基板10の一面に半導体素子22を形成した後、半導体素子22と溝部32および溝部34との位置関係を示すレイアウトデータを取得する(S11)。
【0025】
次いで、半導体素子22に電圧を印加する(S12)。半導体素子22に故障箇所50がある場合、図2に示すように故障箇所50において発光部52が生じる。故障箇所50における発光は、例えばゲート絶縁膜70においてリーク電流が発生することに起因する。また、図1および図2に示すように、故障箇所50からの発光が溝部32および溝部34の内部へ伝播することにより、溝部32および溝部34において、発光部62および発光部64がそれぞれ生じる。
【0026】
発光部62および発光部64は、次のようにして生じる。図1に示すように、故障箇所50は、全方位に光を照射する。このため、故障箇所50からの発光は、溝部32および溝部34の内部へ伝播する。ここで、溝部32および溝部34の内部と、半導体基板10は、異なる屈折率を有する。このため、溝部32および溝部34の内部へ伝播した光は、図1に示すように、溝部32および溝部34の内部においてそれぞれ多重反射される。そして、溝部32および溝部34の内部において多重反射された光が、半導体基板10の他面側から検出される。
【0027】
ここで、溝部32においては、故障箇所50からの発光のうち、溝部32に対して垂直な方向の成分のみが多重反射によって強調される。よって、図2に示すように、発光部62は、溝部32のうち、発光部52と発光部62を結ぶ直線と溝部32とが平面視で垂直となる位置に生じる。また、溝部34においては、故障箇所50からの発光のうち、溝部34に対して垂直な方向の成分のみが多重反射によって強調される。よって、発光部64は、溝部34のうち、発光部52と発光部64を結ぶ直線と溝部34とが平面視で垂直となる位置に生じる。
【0028】
次いで、発光部52、発光部62および発光部64を、半導体基板10の他面側から検出する(S13)。ここで、発光部52では、故障箇所50からの発光が直接検出される。一方、発光部62および発光部64では、溝部32および溝部34において多重反射した光が検出される。このため、発光部52では、発光部62や発光部64よりも強い光が検出される。
【0029】
次いで、溝部32および溝部34の位置を推定する(S14)。溝部32は、発光部62を通過し、かつ発光部52と発光部62とを結ぶ直線と垂直な直線上に位置すると推定される。また、溝部34は、発光部64を通過し、かつ発光部52と発光部64とを結ぶ直線と垂直な直線上に位置すると推定される。このようにして、溝部32および溝部34と、故障箇所50との相対位置を得ることができる。ここで、図2中の距離aは、溝部32と溝部34の交点の位置から発光部62までの距離であり、図2中の距離bは、溝部32と溝部34の交点の位置から発光部64までの距離である。
【0030】
次いで、推定した溝部の位置に対する発光部52の相対位置と、レイアウトデータにおける溝部の位置とを照合させる(S15)。これにより、故障箇所50の位置を特定することができる(S16)。具体的には、図2に示すように、レイアウトデータ上の溝部32および溝部34の交点の位置から、図中の左方向に距離a、かつ図中の上方向に距離bの地点に故障箇所50が位置すると特定することができる。
【0031】
上記した半導体装置100の検査方法のうち、電圧を印加して検査を行う工程については、例えばプログラム化して自動で行うこともできる。
【0032】
図8は、本実施形態に係る半導体装置100が有するコンデンサ部分を示す図である。図9は、本実施形態に係る半導体装置100が有するダイオード部分を示す図である。図10は、本実施形態に係る半導体装置100が有する配線部分を示す図である。図8〜10の各(a)図は、それぞれの断面図である。また、図8〜10の各(b)図は、それぞれの平面図であって、半導体基板10の他面側を示している。図8に示すように、本実施形態における半導体素子22は、例えばコンデンサ80であってもよい。また、図9に示すように、例えばダイオード82等であってもよい。この場合においても、故障箇所において光が生じるため、上記と同様に半導体装置100の検査方法を行うことができる。
【0033】
さらに、図10に示すように、本実施形態における部品20は、例えば配線90であってもよい。配線90がAl配線の場合、例えばエッチング不足によってバリアメタル92がショートすることにより、赤外輻射が起こることによって発光する。この場合においても、上記と同様に半導体装置100の検査方法を行うことができる。
【0034】
次に、本実施形態の効果を説明する。本実施形態によれば、発光部52、発光部62および発光部64の位置から、半導体基板10に形成された溝部32および溝部34の位置を推定する。そして、これを半導体素子22と溝部32および溝部34との位置関係を示すレイアウトデータと重ね合わせることによって、故障箇所50を特定する。すなわち、発光部52、発光部62および発光部64の位置から求めた、故障箇所50と溝部32および溝部34との相対位置を、レイアウトデータに照合させて故障箇所50を特定する。従って、互いに異なる光学経路を経て生成された2つの画像データを重ねるという工程がなく、半導体装置のレイアウトデータと発光像の位置情報との間にずれは生じない。また、溝部32および溝部34は半導体基板10の他面に形成されるため、半導体装置の面積の増大は生じない。よって、半導体装置の小型化を図りつつ、正確な故障箇所の位置を特定することが可能となる。
【0035】
図11は、第2の実施形態に係る半導体装置102を示す断面図であって、第1の実施形態に係る図1に対応している。また、図12は、図11に示す半導体装置102を示す平面図であって、第1の実施形態に係る図2に対応している。図13は、図11に示す半導体装置102の全体を示す平面図である。本実施形態に係る半導体装置102は、半導体基板10に設けられた溝部の構成を除いて、第1の実施形態に係る半導体装置100と同様である。
【0036】
半導体装置102において、半導体基板10の他面には、少なくとも溝部32、溝部34、溝部36および溝部38が設けられている。溝部32、溝部34、溝部36および溝部38は、例えば平面視で半導体素子22を囲うように形成されている。溝部34と溝部36は、例えば互いに平行である。また、溝部32と溝部38は、例えば互いに平行である。このため、溝部32、溝部34、溝部36および溝部38は、例えば平面視で半導体素子22を囲う、長方形、正方形または平行四辺形等を形成する。
【0037】
また、図11および図12に示すように、溝部32、溝部34、溝部36および溝部38の他に、さらに溝部が設けられていてもよい。さらに、図13に示すように、複数の溝部が格子状に設けられていてもよい。複数の溝部のうち、平行に設けられた隣接する2つの溝部の間隔は、10μm以下であることが好ましい。隣接する2つの溝部の間隔が10μm以下である場合、故障箇所の位置特定において十分な精度を確保することができる。さらに複数の溝部のうち一部は、平面視で半導体素子22と重なる領域に設けられていてもよい。
【0038】
半導体装置102の検査方法は、第1の実施形態と同様に行うことができる。本実施形態においては、図12に示すように、故障箇所50からの発光が、溝部32、溝部34、溝部36および溝部38へ伝播することにより、溝部32、溝部34、溝部36および溝部38において、発光部62、発光部64、発光部66および発光部68がそれぞれ生じる。発光部62、発光部64、発光部66および発光部68の生じる原理等は、第1の実施形態と同様である。
【0039】
本実施形態によっても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、発光部62、発光部64、発光部66および発光部68の4点の位置から故障箇所50の位置を求めることができる。よって、さらに正確に故障箇所50の特定を行うことができる。
【0040】
図14は、第3の実施形態に係る半導体装置104を示す断面図であって、第2の実施形態に係る図11に対応している。本実施形態に係る半導体装置104は、半導体基板10の他面側にシリコン酸化膜14および半導体支持基板12が形成されていない点を除いて、第2の実施形態に係る半導体装置102と同様である。
【0041】
本実施形態における半導体装置104の検査方法は、第1の実施形態と同様に行うことができる。また、本実施形態によれば、溝部を形成する工程は、例えば次のように行うこともできる。まず、半導体基板10の一面に、半導体素子22を形成する。次いで、半導体素子22に電圧を印加することにより、半導体素子22の故障箇所50を発光させる。故障箇所50の発光部52を半導体基板10の他面側から検出する。そして、この検出結果に基づいて、溝部を形成する位置を決定する。このように、故障が生じた半導体装置に後発的に溝部を形成し、半導体装置を検査することもできる。
【0042】
本実施形態においても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、本実施形態によれば、溝部を形成する前に故障箇所50を発光させて、発光部52を検出することができる。よって、故障箇所50の位置をおおよそ絞り込んでから溝部の形成位置を決定することができるため、より正確に故障箇所50を特定することが可能となる。さらに、特殊な半導体基板を用いないため、半導体装置の製造コストの増大を抑制することができる。
【0043】
上述した実施形態において、半導体装置の検査方法は、例えば次のように行うこともできる。電圧を印加して検査を行う工程については、例えばスクライブ領域においてダイシングして半導体チップに個片化する前の、半導体素子を形成した半導体基板に対して実施する。また、当該工程を、個片化した半導体チップに対して実施してもよい。さらに、モジュール化した後に検査等を行い、故障が確認された場合には、モジュールから半導体チップを取り出してから、上記検査工程を実施してもよい。
【0044】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0045】
10 半導体基板
12 半導体支持基板
14 シリコン酸化膜
20 部品
22 半導体素子
26 素子分離領域
32、34、36、38 溝部
50 故障箇所
52、62、64、66、68 発光部
70 ゲート絶縁膜
72 ゲート電極
74 側壁膜
76 エクステンション領域
78 ソース・ドレイン領域
80 コンデンサ
82 ダイオード
90 配線
92 バリアメタル
100、102、104 半導体装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、前記半導体基板の一面に設けられた少なくとも1つの部品と、を備えた半導体装置の検査方法であって、
前記半導体基板の他面に、少なくとも互いに平行でない2本の溝部を含み、直線形状を有し、かつ内部において前記半導体基板と異なる屈折率を有する溝部を形成する工程と、
前記部品と前記溝部の位置関係を示すレイアウトデータを取得する工程と、
前記部品に電圧を印加することにより、前記部品の故障箇所を発光させるとともに、前記故障箇所からの発光を前記溝部の内部へ伝播させる工程と、
前記故障箇所からの発光により生じる第1の発光部の位置、および前記故障箇所からの発光が前記溝部の内部を伝播することによって生じる第2の発光部の位置を前記他面側から検出する工程と、
前記第1の発光部の位置および前記第2の発光部の位置から、前記溝部の位置を推定する工程と、
推定した前記溝部の位置に対する前記第1の発光部の相対位置と、前記レイアウトデータにおける前記溝部の位置とを用いて、前記故障箇所を特定する工程と、
を備える半導体装置の検査方法。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置の検査方法において、
前記互いに平行でない2本の溝部は、互いに直交する半導体装置の検査方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の半導体装置の検査方法において、
前記溝部を形成する工程において、平面視で前記部品を囲うように少なくとも4本の前記溝部を形成する半導体装置の検査方法。
【請求項4】
請求項1ないし3いずれか1項に記載の半導体装置の検査方法において、
前記溝部を形成する工程において、複数の前記溝部を格子状に形成する半導体装置の検査方法。
【請求項5】
請求項1ないし4いずれか1項に記載の半導体装置の検査方法において、
前記部品は、半導体素子である半導体装置の検査方法。
【請求項6】
請求項1ないし4いずれか1項に記載の半導体装置の検査方法において、
前記部品は、配線である半導体装置の検査方法。
【請求項7】
請求項1ないし6いずれか1項に記載の半導体装置の検査方法において、
前記溝部は、前記半導体基板の前記一面に到達するように形成される半導体装置の検査方法。
【請求項8】
請求項1ないし7いずれか1項に記載の半導体装置の検査方法において、
前記溝部を形成する工程の後であって、前記レイアウトデータを取得する工程の前に、
前記溝部の内部および前記半導体基板の前記他面上に酸化膜を形成する工程と、
前記半導体基板の前記他面を支持基板に貼り付ける工程と、
前記半導体基板の前記一面に前記部品を形成する工程と、
をさらに備える半導体装置の検査方法。
【請求項9】
請求項1ないし7いずれか1項に記載の半導体装置の検査方法において、
前記溝部を形成する工程の前に、
前記半導体基板の前記一面に前記部品を形成する工程と、
前記部品に電圧を印加することにより、前記半導体素子の故障箇所を発光させる工程と、
前記溝部を形成する位置を決定する工程と、
をさらに備える半導体装置の検査方法。
【請求項10】
半導体基板と、
前記半導体基板の一面に設けられた部品と、
前記半導体基板の前記一面に設けられた素子分離領域と、
前記半導体基板の他面に設けられ、直線形状を有し、かつ底部が前記素子分離領域よりも前記他面側に位置する少なくとも2本の溝部と、
を備え、
前記2本の溝部は、互いに平行でなく、
前記半導体基板と、前記溝部の内部との屈折率は異なっている半導体装置。
【請求項11】
請求項10に記載の半導体装置において、
前記2本の溝部は、互いに直交している半導体装置。
【請求項12】
請求項10または11に記載の半導体装置において、
平面視で前記部品を囲うように形成された、少なくとも4本の前記溝部を備える半導体装置。
【請求項13】
請求項10ないし12いずれか1項に記載の半導体装置において、
格子状に形成された複数の前記溝部を備える半導体装置。
【請求項14】
請求項10ないし13いずれか1項に記載の半導体装置において、
前記部品は、配線である半導体装置。
【請求項15】
請求項10ないし13いずれか1項に記載の半導体装置において、
前記部品は、半導体素子である半導体装置。
【請求項16】
請求項15に記載の半導体装置において、
前記溝部のうち少なくとも一部は、平面視で前記半導体素子と重なる領域に設けられている半導体装置。
【請求項17】
請求項10ないし16いずれか1項に記載の半導体装置において、
前記溝部の内部および前記半導体基板の前記他面上に設けられた酸化膜と、
前記酸化膜を介して前記半導体基板の前記他面に貼り付けられた支持基板と、
をさらに備える半導体装置。
【請求項18】
素子形成面とは反対の面において、格子状に形成された複数の溝部を備える半導体基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−63339(P2012−63339A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−17056(P2011−17056)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】