説明

半導体装置の製造方法

【課題】異なる領域のパターン間に重ね合わせズレを発生させずに、一の領域に微細な狭ピッチパターンを形成すると同時に他の領域に微細パターンを形成する。
【解決手段】第1領域101及び第2領域102を含む基板100上に被加工膜121を形成した後、各領域間で膜厚が異なる下層レジスト膜122及び123を形成し、その後、中間層レジスト膜124及び上層レジスト膜125を形成する。ホールパターン形成用の露光マスクを用いて上層レジスト膜125をパターニングした後、それをマスクとして中間層レジスト膜124をパターニングし、その後、それをマスクとして下層レジスト膜122及び123をパターニングした後、それをマスクとして被加工膜121をエッチングすることにより、各領域で開口寸法が異なる複数のホール151a及び151bを同時に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関し、特にLSIにおける微細パターンを形成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の半導体装置の高集積化に伴い、パターンの微細化が急速に進んでいる。パターンを微細化する手法として、リソグラフィプロセスでの解像限界まで寸法(開口寸法を含む:以下同じ)を縮小させたレジストパターンを、ドライエッチングプロセスにより更に縮小させる手法が知られている。
【0003】
以下、図14(a)〜(d)を参照しながら、特許文献1に開示されている、ドライエッチングによるパターン縮小によって、リソグラフィ寸法よりも微細な加工を実現する方法(第1従来例)について説明する。
【0004】
図14(a)〜(d)は、第1従来例に係る半導体装置の製造方法、具体的には、3層の多層レジストによる微細コンタクトホールの加工方法の各工程を示す断面図である。
【0005】
まず、図14(a)に示すように、基板61上のコンタクトホール形成用絶縁膜62上に、下層レジスト膜63、中間層レジスト膜64及び上層レジスト膜65を順次塗布形成した後、リソグラフィ技術により、上層レジスト膜65に、第1の寸法D1を有する上層レジスト開口部66を形成する。
【0006】
次に、図14(b)に示すように、上層レジスト膜65からなるレジストパターンをマスクとして、中間層レジスト膜64に対してドライエッチングを行うことにより、上層レジスト開口部66の下側に、第2の寸法D2を有する中間層レジスト開口部67を形成する。
【0007】
次に、図14(c)に示すように、中間層レジスト膜64からなるレジストパターンをマスクとして、下層レジスト膜63に対してドライエッチングを行うことにより、中間層レジスト開口部67の下側に、第3の寸法D3を有する下層レジスト開口部68を形成する。ここで、下層レジスト膜63のエッチング時に上層レジスト膜65も同時に除去される。その後、例えばCF4 系ガスを用いたエッチングを行うことにより、中間層レジスト膜64を除去する。この時、コンタクトホール形成用絶縁膜62も途中までエッチングされる。
【0008】
次に、図14(d)に示すように、下層レジスト膜63からなるレジストパターンをマスクとして、コンタクトホール形成用絶縁膜62を基板61に達するまでエッチングすることにより、コンタクトホール69を形成する。
【0009】
第1従来例によると、中間層レジスト開口部67の寸法(第2の寸法D2)が上部よりも下部においてより小さくなる形状に中間層レジスト開口部67をドライエッチングによって形成することにより、下層レジスト開口部68の寸法(第3の寸法D3)を上層レジスト開口部66の寸法(第1の寸法D1)よりも小さくすることができる。
【0010】
しかしながら、第1従来例のドライエッチングプロセスによるパターン縮小では、チップ内の全ての領域において同様のパターン縮小が生じるため、パターンレイアウト上、本来は縮小させたくないパターンも縮小してしまう。その結果、下地パターンとの重ね合わせマージンを確保できなくなり、歩留まりが低下するおそれが生じるという問題がある。
【0011】
例えば、コンタクトホールのパターン密度が比較的低い領域(例えばロジック部)では、リソグラフィの解像限界で開口した微小なホールパターンを用いると共にドライエッチングによるパターン縮小を用いて形成したコンタクトホールであっても、下地パターンとの重ね合わせ面積を十分に確保できるように、コンタクトホールのレイアウトを調整することが容易である。従って、ドライエッチングによるパターン縮小技術によってパターン集積率を上げつつ下地パターンとの接触面積を十分に確保することができる。
【0012】
一方、コンタクトホールのパターン密度として高いパターン密度が要求され且つパターンレイアウトの自由度が低い領域(例えばメモリ部)では、パターン密度が比較的低い領域と同等にドライエッチングプロセスによりパターンを縮小させると、コンタクトホールと下地パターンとの接触面積を十分に確保できくなり、歩留まりが低下してしまう。
【0013】
以上に述べた第1従来例の問題点に対して、チップ内の特定領域(例えばメモリ部)と非特定領域(例えばロジック部)とでそれぞれ異なる露光マスク及び異なるエッチング条件を用いる技術が提案されている(特許文献2参照)。以下、図15及び図16(a)〜(e)を参照しながら、特許文献2に開示されている、基板上の特定領域に狭いピッチで微細なスペースパターン(微細な狭ピッチパターン)を形成すると共に基板上の非特定領域に微細パターンを形成する方法(第2従来例)について説明する。
【0014】
図15は、第2従来例に係るLSIチップの表面図である。図15に示すように、第2従来例に係るLSIチップは、例えばメモリ部に相当する特定領域11と、メモリ部以外の領域(例えばロジック部)に相当する非特定領域12と、特定領域11と非特定領域12との間に介在する素子分離領域13とを有する。
【0015】
図16(a)〜(e)は、第2従来例に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図であり、図16(a)は、ゲート材料膜上の第1のレジスト膜をパターニングした後の様子を示しており、図16(b)は、ゲート材料膜からなる第1のパターンを形成した後の様子を示しており、図16(c)は、ゲート材料膜上の第1のレジスト膜を除去した後にゲート材料膜上に第2のレジスト膜を形成してパターニングした後の様子を示しており、図16(d)は、ゲート材料膜からなる第2のパターンを形成した後の様子を示しており、図16(e)は、第2のレジスト膜を除去した後の様子を示している。
【0016】
まず、図16(a)に示すように、特定領域11と非特定領域12とそれらの間に介在する素子分離領域13とを有する基板上にゲート材料膜14及び第1のレジスト膜を順次形成した後、第1の露光マスクを用いて当該第1のレジスト膜を露光した後に現像することにより、特定領域11用の寸法100nmの回路パターン15a及び非特定領域12用の保護パターン15bを形成する。
【0017】
次に、図16(b)に示すように、第1のレジスト膜(回路パターン15a及び保護パターン15b)をマスクとして基板上のゲート材料膜14をエッチングすることにより、特定領域11に寸法100nmの回路パターン14aを形成する。
【0018】
次に、図16(c)に示すように、第1のレジスト膜(回路パターン15a及び保護パターン15b)を除去した後、回路パターン14aの上を含むゲート材料膜14の上に、新たに第2のレジスト膜を形成する。その後、第1の露光マスクを用いて当該第2のレジスト膜を露光した後に現像することにより、特定領域11用の保護パターン16a及び非特定領域12用の寸法100nmの回路パターン16bを形成する。
【0019】
次に、図16(d)に示すように、第2のレジスト膜(保護パターン16a及び回路パターン16b)をマスクとして基板上のゲート材料膜14をエッチングすることにより、非特定領域12に寸法60nmの回路パターン14bを形成する。このとき、ゲート材料膜14のエッチング条件を調整することによって、寸法100nmのレジストパターン(回路パターン16b)から寸法60nmの回路パターン14bを形成する。
【0020】
最後に、図16(e)に示すように、第2のレジスト膜(保護パターン16a及び回路パターン16b)を除去する。
【0021】
第2従来例によると、特定領域11の回路パターン14aを形成するときには非特定領域12をレジスト(保護パターン15b)によって保護すると共に、非特定領域12の回路パターン14bを形成するときには特定領域11をレジスト(保護パターン16a)によって保護する。このため、特定領域11及び非特定領域12のそれぞれの回路パターン14a及び14bを、互いのエッチング条件に左右されることなく、所望の寸法の形状に加工することができる。従って、第1従来例(特許文献1)の問題点、つまり、本来は縮小させたくないパターン(高いパターン密度が要求され且つパターンレイアウトの自由度が低い領域(例えばメモリ部))が縮小することに起因して、下地パターンとの重ね合わせマージンを確保できなくなるという問題点を解決することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】特開2009−76555号公報
【特許文献2】特開2002−319584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
前述のように、第1従来例(特許文献1)のパターン形成技術では、チップ内の全ての領域のパターンがドライエッチングにより同様に縮小するため、パターン密度が比較的低い領域(例えばロジック部)の集積率が極力高くなるようにパターンを縮小させると、高いパターン密度が要求され且つパターンレイアウトの自由度が低い領域(例えばメモリ部)においては、リソグラフィの解像限界に起因してレジストパターン間のスペースを確保することができなくなってしまう。
【0024】
これに対して、第2従来例(特許文献2)のパターン形成技術によると、パターン密度が高い領域(特定領域)と、パターン密度が比較的低い領域(非特定領域)とでパターン形成をそれぞれ個別に行うことにより、前述の第1従来例(特許文献1)の問題点を解決することができる。
【0025】
しかしながら、第2従来例(特許文献2)では、特定領域及び非特定領域のそれぞれの回路パターン間にマスク露光時の重ね合わせズレに起因する位置ズレが発生する。その結果、その後の工程でのパターン形成マージンが縮小して歩留まり低下や製品特性の悪化が起こるという問題と、特定領域及び非特定領域のそれぞれの微細パターンの転写用に2つの露光マスクが必要となるためにコストの抑制が困難になるという問題が生じる。
【0026】
前記に鑑み、本発明は、異なる領域に形成されるパターン間にマスク露光時の重ね合わせズレに起因する位置ズレを発生させることなく、一の領域に微細な狭ピッチパターンを形成できるようにすると同時に他の領域に微細パターンを形成できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0027】
前記の目的を達成するために、本願発明者は種々の検討を行った結果、多層レジストの一部の層の厚さを領域毎に変えることにより、基板上の被加工膜に対する1回のエッチングプロセスで各領域の寸法シフト量を個別に制御できるということを見出した。これにより、異なる領域に形成されるパターン間にマスク露光時の重ね合わせズレに起因する位置ズレを発生させることなく、各領域にリソグラフィプロセス解像限界以細の微細パターン及び微細な狭ピッチパターンを形成することができる。
【0028】
具体的には、本発明に係る第1の半導体装置の製造方法は、第1領域及び第2領域を含む基板上に被加工膜を形成する工程と、前記被加工膜上に、前記第1領域と前記第2領域とで膜厚が異なる下層レジスト膜を形成する工程と、前記下層レジスト膜上に中間層レジスト膜を形成する工程と、前記中間層レジスト膜上に上層レジスト膜を形成する工程と、ホールパターン形成用の露光マスクを用いてフォトリソグラフィー法により前記上層レジスト膜をパターニングする工程と、パターニングされた前記上層レジスト膜をマスクとして前記中間層レジスト膜をエッチングすることにより、前記中間層レジスト膜をパターニングする工程と、パターニングされた前記中間層レジスト膜をマスクとして前記下層レジスト膜をエッチングすることにより、前記下層レジスト膜をパターニングする工程と、パターニングされた前記下層レジスト膜をマスクとして前記被加工膜をエッチングすることにより、前記第1領域と前記第2領域とで開口寸法が異なる複数のホールを同時に形成する工程とを備えている。
【0029】
本発明に係る第1の半導体装置の製造方法によると、下層レジスト膜、中間層レジスト膜及び上層レジスト膜の少なくとも3層を有する多層レジストにおいて、各領域間で下層レジスト膜の膜厚に差を設けるため、中間層レジスト膜をマスクとする下層レジスト膜のエッチング時に各領域間でオーバーエッチング量に差が生じる。このため、各領域でパターニングされた下層レジスト膜の寸法シフト量に差を設けて個別に制御することができるので、各領域における微細な狭ピッチパターンの形成及び微細パターンの形成を低コストで且つ安定したプロセスで実現することができる。また、パターニングされた下層レジスト膜をマスクとする1回のエッチングにより被加工膜全体の加工を行うため、異なる領域に形成されるパターン間にマスク露光時の重ね合わせズレに起因する位置ズレが発生する事態を回避することができる。
【0030】
本発明に係る第1の半導体装置の製造方法において、前記中間層レジスト膜は、シリコンを含有するレジスト材料から構成されていてもよい。このようにすると、中間層レジスト膜のエッチングに例えばCHx y 系のガスを使用することによって、中間層レジスト膜のエッチング形状が順テーパー形状となり、上層レジスト膜の開口部の底部寸法と比べて、中間層レジスト膜の開口部の底部寸法を縮小させることができるので、各領域にリソグラフィプロセス解像限界以細の微細パターン及び微細な狭ピッチパターンを形成することができる。
【0031】
本発明に係る第1の半導体装置の製造方法において、前記下層レジスト膜を形成する工程は、前記被加工膜上に第1下層レジスト膜を形成した後、フォトリソグラフィ法により、前記第1領域に位置する部分の前記第1下層レジスト膜を除去し、その後、残存する前記第1下層レジスト膜上及び前記被加工膜上に第2下層レジスト膜を形成する工程を含んでいてもよい。或いは、前記下層レジスト膜を形成する工程は、前記被加工膜上に第1下層レジスト膜を形成した後、前記第1下層レジスト膜上に第2下層レジスト膜を形成し、その後、フォトリソグラフィ法により、前記第1領域に位置する部分の前記第2下層レジスト膜を除去する工程を含んでいてもよい。後者の場合、前者の場合と比較して、下層レジスト膜の段差上に中間層レジスト膜及び上層レジスト膜を順次形成した場合に生じる段差緩和領域(多層レジストの平坦部間の領域)を小さくすることができるので、半導体装置全体の集積度をより向上させることができる。
【0032】
本発明に係る第2の半導体装置の製造方法は、第1領域及び第2領域を含む基板上に被加工膜を形成する工程と、前記被加工膜上に下層レジスト膜を形成する工程と、前記下層レジスト膜上に、前記第1領域と前記第2領域とで膜厚が異なる中間層レジスト膜を形成する工程と、前記中間層レジスト膜上に上層レジスト膜を形成する工程と、ホールパターン形成用の露光マスクを用いてフォトリソグラフィー法により前記上層レジスト膜をパターニングする工程と、パターニングされた前記上層レジスト膜をマスクとして前記中間層レジスト膜をエッチングすることにより、前記中間層レジスト膜をパターニングする工程と、パターニングされた前記中間層レジスト膜をマスクとして前記下層レジスト膜をエッチングすることにより、前記下層レジスト膜をパターニングする工程と、パターニングされた前記下層レジスト膜をマスクとして前記被加工膜をエッチングすることにより、前記第1領域と前記第2領域とで開口寸法が異なる複数のホールを同時に形成する工程とを備えている。
【0033】
本発明に係る第2の半導体装置の製造方法によると、下層レジスト膜、中間層レジスト膜及び上層レジスト膜の少なくとも3層を有する多層レジストにおいて、各領域間で中間層レジスト膜の膜厚に差を設ける。その結果、上層レジスト膜をマスクとする中間層レジスト膜のエッチング時に下層レジスト膜のエッチング量に差が生じるので、中間層レジスト膜をマスクとする下層レジスト膜のエッチング時に各領域間でオーバーエッチング量に差が生じる。このため、各領域でパターニングされた下層レジスト膜の寸法シフト量に差を設けて個別に制御することができるので、各領域における微細な狭ピッチパターンの形成及び微細パターンの形成を低コストで且つ安定したプロセスで実現することができる。また、パターニングされた下層レジスト膜をマスクとする1回のエッチングにより被加工膜全体の加工を行うため、異なる領域に形成されるパターン間にマスク露光時の重ね合わせズレに起因する位置ズレが発生する事態を回避することができる。
【0034】
本発明に係る第2の半導体装置の製造方法において、前記中間層レジスト膜は、シリコンを含有するレジスト材料から構成されていてもよい。このようにすると、中間層レジスト膜のエッチングに例えばCHx y 系のガスを使用することによって、中間層レジスト膜のエッチング形状が順テーパー形状となり、上層レジスト膜の開口部の底部寸法と比べて、中間層レジスト膜の開口部の底部寸法を縮小させることができるので、各領域にリソグラフィプロセス解像限界以細の微細パターン及び微細な狭ピッチパターンを形成することができる。また、各領域間で中間層レジスト膜の膜厚に差を設けていると共に中間層レジスト膜のエッチング形状が順テーパー形状となるため、各領域間で中間層レジスト膜の開口部の底部寸法シフト量に差を設けることができるので、各領域毎に開口寸法が異なるホールを確実に形成できる。
【0035】
本発明に係る第2の半導体装置の製造方法において、前記中間層レジスト膜を形成する工程は、前記下層レジスト膜上に前記中間層レジスト膜を形成した後、前記中間層レジスト膜上に他のレジスト膜を形成し、その後、フォトリソグラフィ法により、前記第1領域に位置する部分の前記他のレジスト膜を除去した後、残存する前記他のレジスト膜をマスクとして、前記第1領域に位置する部分の前記中間層レジスト膜を途中までエッチングにより除去する工程を含んでいてもよい。
【0036】
本発明に係る第3の半導体装置の製造方法は、第1領域及び第2領域を含む基板上に被加工膜を形成する工程と、前記被加工膜上に、前記第1領域と前記第2領域とで膜厚が異なる反射防止レジスト材料膜を形成する工程と、前記反射防止レジスト材料膜上に上層レジスト膜を形成する工程と、ホールパターン形成用の露光マスクを用いてフォトリソグラフィー法により前記上層レジスト膜をパターニングする工程と、パターニングされた前記上層レジスト膜をマスクとして前記反射防止レジスト材料膜をエッチングすることにより、前記反射防止レジスト材料膜をパターニングする工程と、パターニングされた前記反射防止レジスト材料膜をマスクとして前記被加工膜をエッチングすることにより、前記第1領域と前記第2領域とで開口寸法が異なる複数のホールを同時に形成する工程とを備えている。
【0037】
本発明に係る第2の半導体装置の製造方法によると、反射防止レジスト材料膜及び上層レジスト膜の少なくとも2層を有する多層レジストにおいて、各領域間で反射防止レジスト材料膜の膜厚に差を設けるため、上層レジスト膜をマスクとする反射防止レジスト材料膜のエッチング時に各領域間でオーバーエッチング量に差が生じる。このため、各領域でパターニングされた反射防止レジスト材料膜の寸法シフト量に差を設けて個別に制御することができるので、各領域における微細な狭ピッチパターンの形成及び微細パターンの形成を低コストで且つ安定したプロセスで実現することができる。また、パターニングされた反射防止レジスト材料膜をマスクとする1回のエッチングにより被加工膜全体の加工を行うため、異なる領域に形成されるパターン間にマスク露光時の重ね合わせズレに起因する位置ズレが発生する事態を回避することができる。
【0038】
本発明に係る第3の半導体装置の製造方法において、前記反射防止レジスト材料膜を形成する工程は、前記被加工膜上に前記反射防止レジスト材料膜を形成した後、前記反射防止レジスト材料膜上に他のレジスト膜を形成し、その後、フォトリソグラフィ法により、前記第1領域に位置する部分の前記他のレジスト膜を除去した後、残存する前記他のレジスト膜をマスクとして、前記第1領域に位置する部分の前記反射防止レジスト材料膜を途中までエッチングにより除去する工程を含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0039】
本発明によると、単一の微細な露光マスクを用いてパターン形成を行うことにより、異なる領域に形成されるパターン間にマスク露光時の重ね合わせズレに起因する位置ズレが発生する事態を回避しつつ、基板上の被加工膜に対する1回のエッチングプロセスによって、各領域にリソグラフィプロセス解像限界以細の微細パターン及び微細な狭ピッチパターンを低コストで且つ安定したプロセスで形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】図1は、本発明の各実施形態で対象とする半導体装置の表面図である。
【図2】図2(a)〜(c)は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図3】図3(a)〜(c)は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図4】図4は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の特徴を示す特性図である。
【図5】図5(a)〜(c)は、本発明の第1の実施形態の変形例に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図6】図6(a)〜(c)は、本発明の第1の実施形態の変形例に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図7】図7(a)は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法において上層レジスト膜形成後に生じる段差緩和領域を示す模式図であり、図7(b)は、本発明の第1の実施形態の変形例に係る半導体装置の製造方法において上層レジスト膜形成後に生じる段差緩和領域を示す模式図である。
【図8】図8(a)〜(c)は、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図9】図9(a)〜(c)は、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図10】図10は、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法の特徴を示す特性図である。
【図11】図11は、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法の特徴を示す特性図である。
【図12】図12(a)〜(c)は、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図13】図13(a)及び(b)は、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図14】図14(a)〜(d)は、第1従来例(特許文献1)に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図15】図15は、第2従来例(特許文献2)に係る半導体装置の表面図である。
【図16】図16(a)〜(e)は、第2従来例(特許文献2)に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
(概要)
ここでは、基板上の絶縁膜に対するコンタクトホール形成を例として、後で詳述する各実施形態の概要について説明する。尚、各実施形態では、3層又は2層の多層レジストを対象とするが、4層以上の多層レジストであっても、各実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0042】
まず、第1及び第2の実施形態(変形例を含む:以下同じ)では、LSIチップ内における例えばメモリ部に相当する特定領域上及びメモリ領域以外の領域(例えばロジック部)に相当する非特定領域上に形成された、下層レジスト膜と中間層レジスト膜と上層レジスト膜とからなる3層の多層レジストにおいて、特定領域と非特定領域とで下層レジスト膜又は中間層レジスト膜の膜厚に差を設ける。これによって、下層レジスト膜のエッチング時に特定領域と非特定領域とでオーバーエッチング量に差が生じるため、各領域でパターニングされた下層レジスト膜の寸法シフト量に差を設けて個別に制御することができる。従って、パターニングされた下層レジスト膜をマスクとして、基板上の絶縁膜をエッチングすることにより、特定領域及び非特定領域のそれぞれに微細な狭ピッチパターン(つまり、微細な開口を有する狭ピッチのパターン)及び微細パターンを同時に形成することができる。
【0043】
また、第3の実施形態では、特定領域上及び非特定領域上に形成された、反射防止レジスト材料膜と上層レジスト膜とからなる2層の多層レジストにおいて、特定領域と非特定領域とで反射防止レジスト膜の膜厚に差を設けることによって、前述の第1及び第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0044】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法について、図面を参照しながら説明する。
【0045】
図1は、本実施形態(後述する変形例を含む)及び後述する第2、第3実施形態で対象とする半導体装置の表面図である。図1に示すように、各実施形態で対象とする半導体装置は、例えばメモリ部に相当する特定領域101と、メモリ部以外の領域(例えばロジック部)に相当する非特定領域102と、特定領域101と非特定領域102との間に介在する素子分離領域103とを有する。
【0046】
図2(a)〜(c)及び図3(a)〜(c)は、本実施形態の半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【0047】
まず、図2(a)に示すように、特定領域101及び非特定領域102を含む基板100上に、例えばSiO2 からなる厚さ300nmのコンタクトホール形成用絶縁膜121を形成した後、コンタクトホール形成用絶縁膜121の上に、例えば感光性のフォトレジストからなる厚さ75nmの第1の下層レジスト膜122を塗布する。続いて、第1の露光マスク(図示省略)を用いて、特定領域101に位置する部分の第1の下層レジスト膜122を露光した後、当該部分を現像により除去する。これにより、非特定領域102のみに第1の下層レジスト膜122が残る。
【0048】
次に、図2(b)に示すように、特定領域101のコンタクトホール形成用絶縁膜121上及び非特定領域102の第1の下層レジスト膜122上に、例えば有機材料からなる厚さ125nmの第2の下層レジスト膜123、例えばSiを含む有機材料からなる厚さ100nmの中間層レジスト膜124、及び例えば有機材料からなる厚さ150nmの上層レジスト膜125を順次堆積する。
【0049】
次に、図2(c)に示すように、特定領域101及び非特定領域102の両領域の上層レジスト膜125に対して、回路パターン形成用の第2の露光マスク(図示省略)を用いて例えばArF液浸露光を行った後、現像により上層レジスト膜125の所定部分を開口する。これにより、特定領域101には、ホール径91nm、ピッチ160nmのホールパターン125Aが形成されると共に、非特定領域102には、ホール径91nm、ピッチ180nmのホールパターン125Bが形成される。尚、ホールパターンのパターン寸法としては、特に断らない限り、ホール(開口部)底部の寸法を記載するものとする(以下同じ)。
【0050】
次に、図3(a)に示すように、上層レジスト膜125からなるレジストパターン(ホールパターン125A及び125B)をマスクとして、中間層レジスト膜124に対してエッチングを行う。これにより、特定領域101にはホールパターン124Aが形成されると共に、非特定領域102にはホールパターン124Bが形成される。ここで、エッチングに例えばCHx y 系のガスを使用することによって、中間層レジスト膜124のエッチング形状が順テーパー形状となり、上層レジスト膜125の開口部の底部寸法と比べて、中間層レジスト膜124の開口部の底部寸法を縮小させることができる。
【0051】
次に、図3(b)に示すように、中間層レジスト膜124からなるレジストパターン(ホールパターン124A及び124B)をマスクとして、第2の下層レジスト膜123及び第1の下層レジスト膜122に対してエッチングを行う。これにより、特定領域101にはホールパターン123Aが形成されると共に、非特定領域102にはホールパターン123B及び122Bが形成される。ここで、エッチングに例えばO2 を使用すると、エッチングレートは300nm/min程度となる。また、図3(b)に示すように、特定領域101におけるホールパターン123Aの寸法シフト量は、非特定領域102のホールパターン123B及び122Bの寸法シフト量よりも小さくなる。その理由は、特定領域101において第2の下層レジスト膜123が開口された後のオーバーエッチング中には、エッチャントの多くが第2の下層レジスト膜123の開口部側壁のエッチングに費やされるためである。これにより、下層レジスト膜として第2の下層レジスト膜123のみが存在する特定領域101では、下層レジスト膜として第1及び第2の下層レジスト膜122及び123が存在する非特定領域102と比較して、ホールパターン123Aの寸法シフト量が縮小する(つまり開口寸法が拡大する)。
【0052】
尚、本実施形態では、下層レジスト膜122及び123のエッチング時に上層レジスト膜125も同時に除去される。
【0053】
その後、例えばCF4 系ガスを用いたエッチングを行うことにより、中間層レジスト膜124を除去する。この時、コンタクトホール形成用絶縁膜121も途中までエッチングされるが、コンタクトホール寸法は下層レジスト膜開口寸法に依存してほぼ決まるので、特定領域101及び非特定領域102における寸法制御性に影響はない。
【0054】
その後、第1及び第2の下層レジスト膜122及び123からなるレジストパターン(ホールパターン123A、123B及び122B)をマスクとして、コンタクトホール形成用絶縁膜121に対して基板100に達するまでエッチングを行った後、当該レジストパターンを除去する。これにより、図3(c)に示すように、特定領域101には例えば開口径66nmのホール121aが形成されると共に非特定領域102には例えば開口径50nmのホール121bが形成される。
【0055】
以上に述べた、第1及び第2の下層レジスト膜122及び123、中間層レジスト膜124、並びに上層レジスト膜125の各膜厚を例として、本実施形態のエッチングを行った場合、非特定領域102に対する特定領域101の下層レジスト膜厚差(特定領域101で第2の下層レジスト膜123が開口された後のオーバーエッチング量と等値)と、上層レジスト膜125の開口部の底部寸法に対するコンタクトホール形成用絶縁膜121の寸法シフト量(特定領域101のホール121a及び非特定領域102のホール121bのそれぞれの寸法シフト量)との関係を図4のように表すことができる。
【0056】
図4に示すように、下層レジスト膜厚差(X)とコンタクトホール形成用絶縁膜121の寸法シフト量(Y)との関係は、Y=−0.21・X−41.0となる。すなわち、下層レジスト膜厚差(本実施形態においては第1の下層レジスト膜122の膜厚と同じ)が大きくなるほど、特定領域101と非特定領域102との間で寸法シフト量の差が大きくなる。図4に示す関係:Y=−0.21・X−41.0(Xは下層レジスト膜厚差、Yは寸法シフト量)によれば、下層レジスト膜厚差を非特定領域102における所望のホール開口寸法に適切な量に設定した場合(本実施形態では非特定領域102のホール121bの寸法シフト量が−41nmである場合)、特定領域101のホール121aの寸法シフト量は、第1の下層レジスト膜122の膜厚(75nm)に相当するオーバーエッチング分だけ小さくなり、−25nmとなる。
【0057】
以上に説明したように、本実施形態によると、下層レジスト膜122及び123、中間層レジスト膜124並びに上層レジスト膜125を有する多層レジストにおいて、特定領域101と非特定領域102との間で下層レジスト膜厚に差を設けるため、中間層レジスト膜124をマスクとする下層レジスト膜122及び123のエッチング時に各領域間でオーバーエッチング量に差が生じる。このため、各領域でパターニングされた下層レジスト膜122及び123(つまりホールパターン123A、123B及び122B)の寸法シフト量に差を設けて個別に制御することができるので、各領域における微細な狭ピッチパターンの形成及び微細パターンの形成を低コストで且つ安定したプロセスで実現することができる。また、パターニングされた下層レジスト膜122及び123(つまりホールパターン123A、123B及び122B)をマスクとする1回のエッチングによりコンタクトホール形成用絶縁膜121全体の加工を行うため、特定領域101と非特定領域102とに形成されるパターン間にマスク露光時の重ね合わせズレに起因する位置ズレが発生する事態を回避することができる。
【0058】
具体的には、本実施形態によれば、特定領域101の下層レジスト膜厚を非特定領域102の下層レジスト膜厚よりも薄くすることにより、特定領域101には例えば開口径66nmの微細なホール121aを比較的狭いピッチ160nmで形成することができると共に非特定領域102には例えば開口径50nmのさらに微細なホール121bを形成することができる。
【0059】
尚、本実施形態において、ホール121a及び121bの寸法やピッチは前記の例に限られるものではなく、例えばArF液浸露光を行った場合、特定領域101には、ホール径が40〜100nm程度、ピッチが140〜180nm程度のホールパターンを形成できると同時に、非特定領域102には、ホール径が40〜80nm程度、ピッチが160nm程度以上のホールパターンを形成できる。
【0060】
また、本実施形態において、露光の光源にEUV(Extreme Ultraviolet )等を用いて微細なレジストパターンを形成した場合には、さらに微細なパターンを形成可能であることは言うまでもない。
【0061】
また、本実施形態において、中間層レジスト膜124のレジスト材料は特に限定されないが、例えばシリコン含有材料を用いることにより、次のような効果を得ることができる。すなわち、中間層レジスト膜124のエッチングに例えばCHx y 系のガスを使用することによって、中間層レジスト膜124のエッチング形状が順テーパー形状となり、上層レジスト膜125の開口部の底部寸法と比べて、中間層レジスト膜124の開口部の底部寸法を縮小させることができるので、各領域にリソグラフィプロセス解像限界以細の微細パターン及び微細な狭ピッチパターンを形成することができる。
【0062】
(第1の実施形態の変形例)
以下、本発明の第1の実施形態の変形例に係る半導体装置の製造方法について、図面を参照しながら説明する。
【0063】
図5(a)〜(c)及び図6(a)〜(c)は、本変形例の半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【0064】
まず、図5(a)に示すように、素子分離領域103により離隔された特定領域101及び非特定領域102を含む基板100上に、例えばSiO2 からなる厚さ300nmのコンタクトホール形成用絶縁膜131を形成した後、コンタクトホール形成用絶縁膜131の上に、例えば有機材料からなる厚さ125nmの第1の下層レジスト膜132、及び例えば有機材料からなる厚さ75nmの第2の下層レジスト膜133を順次塗布形成する。続いて、第1の露光マスク(図示省略)を用いて、特定領域101に位置する部分の第2の下層レジスト膜133を露光した後、当該部分を現像により除去する。これにより、図5(a)に示すように、特定領域101には第1の下層レジスト膜132のみが残存すると共に非特定領域102には第1の下層レジスト膜132及び第2の下層レジスト膜133が残存する。
【0065】
次に、図5(b)に示すように、特定領域101の第1の下層レジスト膜132上及び非特定領域102の第2の下層レジスト膜133上に、例えばSiを含む有機材料からなる厚さ100nmの中間層レジスト膜134、及び例えば有機材料からなる厚さ150nmの上層レジスト膜135を順次堆積する。
【0066】
次に、図5(c)に示すように、特定領域101及び非特定領域102の両領域の上層レジスト膜135に対して、回路パターン形成用の第2の露光マスク(図示省略)を用いて例えばArF液浸露光を行った後、現像により上層レジスト膜135の所定部分を開口する。これにより、特定領域101には、ホール径91nm、ピッチ160nmのホールパターン135Aが形成されると共に、非特定領域102には、ホール径91nm、ピッチ180nmのホールパターン135Bが形成される。
【0067】
次に、図6(a)に示すように、上層レジスト膜135からなるレジストパターン(ホールパターン135A及び135B)をマスクとして、中間層レジスト膜134に対してエッチングを行う。これにより、特定領域101にはホールパターン134Aが形成されると共に、非特定領域102にはホールパターン134Bが形成される。ここで、エッチングに例えばCHx y 系のガスを使用することによって、中間層レジスト膜134のエッチング形状が順テーパー形状となり、上層レジスト膜135の開口部の底部寸法と比べて、中間層レジスト膜134の開口部の底部寸法を縮小させることができる。
【0068】
次に、図6(b)に示すように、中間層レジスト膜134からなるレジストパターン(ホールパターン134A及び134B)をマスクとして、第2の下層レジスト膜133及び第1の下層レジスト膜132に対してエッチングを行う。これにより、特定領域101にはホールパターン132Aが形成されると共に、非特定領域102にはホールパターン132B及び133Bが形成される。ここで、エッチングに例えばO2 を使用すると、エッチングレートは300nm/min程度となる。また、図6(b)に示すように、特定領域101におけるホールパターン132Aの寸法シフト量は、非特定領域102のホールパターン132B及び133Bの寸法シフト量よりも小さくなる。その理由は、特定領域101において第1の下層レジスト膜132が開口された後のオーバーエッチング中には、エッチャントの多くが第1の下層レジスト膜132の開口部側壁のエッチングに費やされるためである。これにより、下層レジスト膜として第1の下層レジスト膜132のみが存在する特定領域101では、下層レジスト膜として第1及び第2の下層レジスト膜132及び133が存在する非特定領域102と比較して、ホールパターン132Aの寸法シフト量が縮小する(つまり開口寸法が拡大する)。
【0069】
尚、本実施形態においては、下層レジスト膜132及び133のエッチング時に上層レジスト膜135も同時に除去される。
【0070】
その後、例えばCF4 系ガスを用いたエッチングを行うことにより、中間層レジスト膜134を除去する。この時、コンタクトホール形成用絶縁膜131も途中までエッチングされるが、コンタクトホール寸法は下層レジスト膜開口寸法に依存してほぼ決まるので、特定領域101及び非特定領域102における寸法制御性に影響はない。
【0071】
その後、第1及び第2の下層レジスト膜132及び133からなるレジストパターン(ホールパターン132A、132B及び133B)をマスクとして、コンタクトホール形成用絶縁膜131に対して基板100に達するまでエッチングを行った後、当該レジストパターンを除去する。これにより、図6(c)に示すように、特定領域101には例えば開口径66nmのホール131aが形成されると共に非特定領域102には例えば開口径50nmのホール131bが形成される。
【0072】
以上に説明した本変形例によると、第1の実施形態と同様の効果に加えて、次のような効果を得ることができる。
【0073】
第1の実施形態では、非特定領域102のみに第1の下層レジスト膜122を形成することに起因して生じた段差を覆うように、第2の下層レジスト膜123、中間層レジスト膜124及び上層レジスト膜125の3層を形成することによって、素子分離領域103に対応する段差緩和領域が生じる(図7(a)参照)。
【0074】
一方、本変形例では、特定領域101及び非特定領域102の両領域上に第1の下層レジスト膜132を形成した後に非特定領域102のみに第2の下層レジスト膜133を形成することに起因して生じた段差を覆うように、中間層レジスト膜134及び上層レジスト膜135の2層を形成することによって、素子分離領域103に対応する段差緩和領域が生じる(図7(b)参照)。
【0075】
すなわち、本変形例では、前述の段差緩和領域を、第1の実施形態における第2の下層レジスト膜123に相当する分だけ小さくすることができる。よって、第1の実施形態と比較して、段差緩和領域を小さくすることができる本変形例では、素子分離領域103を小さくすることができるため、半導体装置全体の集積度をより向上させることができる。
【0076】
尚、本変形例において、ホール131a及び131bの寸法やピッチは特に限定されるものではなく、例えばArF液浸露光を行った場合、特定領域101には、ホール径が40〜100nm程度、ピッチが140〜180nm程度のホールパターンを形成できると同時に、非特定領域101には、ホール径が40〜80nm程度、ピッチが160nm程度以上のホールパターンを形成できる。
【0077】
また、本変形例において、露光の光源にEUV等を用いて微細なレジストパターンを形成した場合には、さらに微細なパターンを形成可能であることは言うまでもない。
【0078】
また、本変形例において、中間層レジスト膜134のレジスト材料は特に限定されないが、例えばシリコン含有材料を用いることにより、次のような効果を得ることができる。すなわち、中間層レジスト膜134のエッチングに例えばCHx y 系のガスを使用することによって、中間層レジスト膜134のエッチング形状が順テーパー形状となり、上層レジスト膜135の開口部の底部寸法と比べて、中間層レジスト膜134の開口部の底部寸法を縮小させることができるので、各領域にリソグラフィプロセス解像限界以細の微細パターン及び微細な狭ピッチパターンを形成することができる。
【0079】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法について、図面を参照しながら説明する。
【0080】
図8(a)〜(c)及び図9(a)〜(c)は、本実施形態の半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【0081】
まず、図8(a)に示すように、素子分離領域103により離隔された特定領域101及び非特定領域102を含む基板100上に、例えばSiO2 からなる厚さ300nmのコンタクトホール形成用絶縁膜141を形成した後、コンタクトホール形成用絶縁膜141の上に、例えば有機材料からなる厚さ200nmの下層レジスト膜142、例えばSiを含む有機材料からなる厚さ100nmの中間層レジスト膜143、及び例えば有機材料からなる厚さ150nmの第1の上層レジスト膜144を順次堆積する。続いて、第1の露光マスク(図示省略)を用いて、特定領域101に位置する部分の第1の上層レジスト膜144をフォトリソグライフィ技術により露光した後、当該部分を現像して除去する。これにより、図8(a)に示すように、非特定領域102にのみに第1の上層レジスト膜144が残存する。
【0082】
次に、図8(b)に示すように、残存する第1の上層レジスト膜144をマスクとして、特定領域101に位置する部分の中間層レジスト膜143を途中まで(例えばエッチング量が38nm程度になるまで)エッチングして薄くする。
【0083】
次に、図8(c)に示すように、残存する第1の上層レジスト膜144を例えばシンナーにより剥離した後、特定領域101と非特定領域102とで膜厚が異なる中間層レジスト膜143の上に、例えば有機材料からなる厚さ150nmの第2の上層レジスト膜145を堆積する。その後、特定領域101及び非特定領域102の両領域の第2の上層レジスト膜145に対して、回路パターン形成用の第2の露光マスク(図示省略)を用いて例えばArF液浸露光を行った後、現像により第2の上層レジスト膜145の所定部分を開口する。これにより、特定領域101には、ホール径91nm、ピッチ160nmのホールパターン145Aが形成されると共に、非特定領域102には、ホール径91nm、ピッチ180nmのホールパターン145Bが形成される。
【0084】
次に、図9(a)に示すように、第2の上層レジスト膜145からなるレジストパターン(ホールパターン145A及び145B)をマスクとして、中間層レジスト膜143に対してエッチングを行う。これにより、特定領域101にはホールパターン143Aが形成されると共に、非特定領域102にはホールパターン143Bが形成される。ここで、エッチングには、例えば、O2 ガスとCHx y 系のガスとの混合ガスを使用する。
【0085】
本実施形態において、中間層レジスト膜143のエッチング時における中間層レジスト膜143と下層レジスト膜142とのエッチング選択比が例えば2であるとすると(つまり、中間層レジスト膜143のエッチングレートと比較して下層レジスト膜142のエッチングレートが2倍であるとすると)、非特定領域102に位置する部分の中間層レジスト膜143のエッチング終了時点において、非特定領域102では下層レジスト膜142がほとんどエッチングされていないのに対して、特定領域101では下層レジスト膜142が約75nm程度(特定領域101と非特定領域102との間での中間層レジスト膜143の膜厚差38nmに選択比の2を乗じた値)エッチングされている。
【0086】
また、本実施形態においては、中間層レジスト膜143のエッチングにCHx y 系のガスを使用するため、中間層レジスト膜143のエッチング形状(ホールパターン143A及び143B)には順テーパー角が生じる。ここで、前述のように、特定領域101に位置する部分の中間層レジスト膜143の膜厚を、非特定領域102に位置する部分の中間層レジスト膜143の膜厚よりも薄くしているため、中間層レジスト膜143のエッチング終了時点で、特定領域101と非特定領域102との間で中間層レジスト膜143(ホールパターン143A及び143B)の開口部の底部寸法シフト量に差を設けることが可能となる。例えば、ホールパターン143A及び143Bのテーパー角度が75度であるとすると、中間層レジスト膜143のエッチング終了時点では、特定領域101のホールパターン143Aの寸法シフト量は、非特定領域102のホールパターン143Bの寸法シフト量よりも10.2nm(38nm/tan75°)小さくなる。
【0087】
次に、図9(b)に示すように、中間層レジスト膜143からなるレジストパターン(ホールパターン143A及び143B)をマスクとして、下層レジスト膜142に対してエッチングを行う。これにより、特定領域101にはホールパターン142Aが形成されると共に、非特定領域102にはホールパターン142Bが形成される。ここで、エッチングに例えばO2 を使用すると、エッチングレートは300nm/min程度となる。また、図9(b)に示すように、特定領域101におけるホールパターン142Aの寸法シフト量は、非特定領域102のホールパターン142Bの寸法シフト量よりも小さくなる。その理由は、前述のように、中間層レジスト膜143のエッチング完了時点において、非特定領域102と比較して特定領域101では下層レジスト膜142が75nm程度多く既にエッチングされているため、下層レジスト膜142のエッチング工程において、特定領域101における下層レジスト膜142の開口後のオーバーエッチング量が大きくなるからである。
【0088】
尚、本実施形態においては、下層レジスト膜142のエッチング時に第2の上層レジスト膜145も同時に除去される。
【0089】
その後、例えばCF4 系ガスを用いたエッチングを行うことにより、中間層レジスト膜143を除去する。この時、コンタクトホール形成用絶縁膜141も途中までエッチングされるが、コンタクトホール寸法は下層レジスト膜開口寸法に依存してほぼ決まるので、特定領域101及び非特定領域102における寸法制御性に影響はない。
【0090】
その後、下層レジスト膜142からなるレジストパターン(ホールパターン142A及び142B)をマスクとして、コンタクトホール形成用絶縁膜141に対して基板100に達するまでエッチングを行った後、当該レジストパターンを除去する。これにより、図9(c)に示すように、特定領域101には例えば開口径70.6nmのホール141aが形成されると共に非特定領域102には例えば開口径50nmのホール141bが形成される。
【0091】
以上に述べた、下層レジスト膜142、中間層レジスト膜143及び第2の上層レジスト膜145の各膜厚、並びに中間層レジスト膜143のエッチング形状のテーパー角(例えば75度)を例として、本実施形態のエッチングを行った場合、中間層レジスト膜143の膜厚と、中間層レジスト膜143のエッチング工程における寸法シフト量(第2の上層レジスト膜145の開口部の底部寸法と中間層レジスト膜143の開口部の底部寸法との差)との関係を図10のように表すことができる。
【0092】
図10に示すように、中間層レジスト膜厚(X)と、中間層レジスト膜143のエッチング工程における寸法シフト量(Y1)との関係は、Y1=−0.27・Xとなる。
【0093】
また、前述の各種条件下で本実施形態のエッチングを行った場合、非特定領域102に対する特定領域101の中間層レジスト膜厚差と、中間層レジスト膜143の開口部の底部寸法に対するコンタクトホール形成用絶縁膜141の寸法シフト量(特定領域101のホール141a及び非特定領域102のホール141bのそれぞれの寸法シフト量)との関係を図11のように表すことができる。
【0094】
図11に示すように、中間層レジスト膜厚差(Z(堆積時の中間層レジスト膜143の膜厚を100nmとすると、Z=X−100))と、コンタクトホール形成用絶縁膜141の寸法シフト量(Y2)との関係は、Y2=−0.33・Z−14.2となる。
【0095】
図10及び図11に示す関係によれば、前述の各種膜厚において、下層レジスト膜142のエッチング量を非特定領域102における所望のホール開口寸法に適切な量に設定した場合(本実施形態では非特定領域102のホール141bの寸法シフト量が−41nmである場合)、非特定領域102のホール141bの寸法シフト量は中間層レジスト膜143のエッチング工程でー26.8nm、下層レジスト膜142のエッチング工程でー14.2nmとなるから、非特定領域102のホール141bの合計寸法シフト量はー41nmとなる。一方、この場合、特定領域101のホール141aの寸法シフト量は中間層レジスト膜143のエッチング工程で−16.6nm、下層レジスト膜142のエッチング工程で−3.8nmとなるから、特定領域101のホール141aの合計寸法シフト量はー20.4nmとなる。
【0096】
以上に説明したように、本実施形態によると、下層レジスト膜142、中間層レジスト膜143及び第2の上層レジスト膜145を有する多層レジストにおいて、特定領域101と非特定領域102との間で中間層レジスト膜143の膜厚に差を設ける。その結果、第2の上層レジスト膜145(ホールパターン145A及び145B)をマスクとする中間層レジスト膜143のエッチング時に下層レジスト膜142のエッチング量に差が生じるので、中間層レジスト膜143をマスクとする下層レジスト膜142のエッチング時に各領域間でオーバーエッチング量に差が生じる。このため、各領域でパターニングされた下層レジスト膜142(つまりホールパターン142A及び142B)の寸法シフト量に差を設けて個別に制御することができるので、各領域における微細な狭ピッチパターンの形成及び微細パターンの形成を低コストで且つ安定したプロセスで実現することができる。また、パターニングされた下層レジスト膜142(つまりホールパターン142A及び142B)をマスクとする1回のエッチングによりコンタクトホール形成用絶縁膜141全体の加工を行うため、特定領域101と非特定領域102とに形成されるパターン間にマスク露光時の重ね合わせズレに起因する位置ズレが発生する事態を回避することができる。
【0097】
また、本実施形態によると、特定領域101と非特定領域102との間で中間層レジスト膜143の膜厚に差を設けるため、下層レジスト膜の膜厚に差を設ける第1の実施形態(変形例を含む:以下同じ)と比較して、より小さい段差を用いて、より大きい寸法シフト量の差を得ることができる。具体的には、第1の実施形態では下層レジスト膜厚差75nmに対して寸法シフト量の差が16nmであったが、本実施形態では中間層レジスト膜厚差38nmに対して寸法シフト量の差が20.6nmであり、その結果、特定領域101には例えば開口径70.5nmの微細なホール141aを比較的狭いピッチ160nmで形成できると同時に非特定領域102には例えば開口径50nmのさらに微細なホール141bを形成できる。
【0098】
また、本実施形態によると、特定領域101と非特定領域102との間で中間層レジスト膜143の膜厚に比較的小さい差を設けるため、第2の上層レジスト膜145を露光する際の段差を小さくすることができるので、第1の実施形態と比較して、露光マージンを拡大することができる。
【0099】
尚、本実施形態において、ホール141a及び141bの寸法やピッチは前記の例に限られるものではなく、例えばArF液浸露光を行った場合、特定領域101には、ホール径が40〜120nm程度、ピッチが140〜180nm程度のホールパターンを形成できると同時に、非特定領域101には、ホール径が40〜80nm程度、ピッチが160nm程度以上のホールパターンを形成できる。
【0100】
また、本実施形態において、露光の光源にEUV等を用いて微細なレジストパターンを形成した場合には、さらに微細なパターンを形成可能であることは言うまでもない。
【0101】
また、本実施形態において、中間層レジスト膜143のレジスト材料は特に限定されないが、例えばシリコン含有材料を用いることにより、次のような効果を得ることができる。すなわち、中間層レジスト膜143のエッチングに例えばCHx y 系のガスを使用することによって、中間層レジスト膜143のエッチング形状が順テーパー形状となり、第2の上層レジスト膜145の開口部の底部寸法と比べて、中間層レジスト膜143の開口部の底部寸法を縮小させることができるので、各領域にリソグラフィプロセス解像限界以細の微細パターン及び微細な狭ピッチパターンを形成することができる。また、各領域間で中間層レジスト膜143の膜厚に差を設けていると共に中間層レジスト膜143のエッチング形状が順テーパー形状となるため、各領域間で中間層レジスト膜143の開口部の底部寸法シフト量に差を設けることができるので、各領域毎に開口寸法が異なるホール141a及び141bを確実に形成できる。
【0102】
(第3の実施形態)
以下、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法について、図面を参照しながら説明する。
【0103】
図12(a)〜(c)及び図13(a)、(b)は、本実施形態の半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【0104】
まず、図12(a)に示すように、素子分離領域103により離隔された特定領域101及び非特定領域102を含む基板100上に、例えばSiO2 からなる厚さ300nmのコンタクトホール形成用絶縁膜151を形成した後、コンタクトホール形成用絶縁膜151の上に、例えばSiを含む有機材料からなる厚さ150nmの反射防止レジスト材料膜(フォトリソグラフィー時の反射を防止するためのレジスト材料膜)152、及び例えば有機材料からなる厚さ200nmの第1の上層レジスト膜153を順次堆積する。続いて、第1の露光マスク(図示省略)を用いて、特定領域101に位置する部分の第1の上層レジスト膜153をフォトリソグライフィ技術により露光した後、当該部分を現像して除去する。これにより、図12(a)に示すように、特定領域101には反射防止レジスト材料膜152のみが残り、非特定領域102には反射防止レジスト材料膜152及び第1の上層レジスト膜153が残る。
【0105】
次に、図12(b)に示すように、残存する第1の上層レジスト膜153をマスクとして、特定領域101に位置する部分の反射防止レジスト材料膜152を途中まで(例えば残膜量が62nm程度になるまで)エッチングして薄くする。ここで、エッチングには例えばCF4 系のガスを用いる。
【0106】
次に、図12(c)に示すように、残存する第1の上層レジスト膜153を例えばシンナーにより剥離した後、特定領域101と非特定領域102とで膜厚が異なる反射防止レジスト材料膜152の上に、例えば有機材料からなる厚さ200nmの第2の上層レジスト膜154を堆積する。その後、特定領域101及び非特定領域102の両領域の第2の上層レジスト膜154に対して、回路パターン形成用の第2の露光マスク(図示省略)を用いて例えばArF液浸露光を行った後、現像により第2の上層レジスト膜154の所定部分を開口する。これにより、特定領域101には、ホール径100nm、ピッチ180nmのホールパターン154Aが形成されると共に、非特定領域102には、ホール径100nm、ピッチ200nmのホールパターン154Bが形成される。
【0107】
次に、図13(a)に示すように、第2の上層レジスト膜154からなるレジストパターン(ホールパターン154A及び154B)をマスクとして、反射防止レジスト材料膜152に対してエッチングを行う。これにより、特定領域101にはホールパターン152Aが形成されると共に、非特定領域102にはホールパターン152Bが形成される。ここで、エッチングには、例えばCF4 系のガスを使用する。
【0108】
本実施形態では、図13(a)に示す反射防止レジスト材料膜152のエッチングにおいて、特定領域101のホールパターン152Aの寸法シフト量は、非特定領域102のホールパターン152Bの寸法シフト量よりも小さくなる。その理由は次の通りである。すなわち、特定領域101で反射防止レジスト材料膜152が開口された後のオーバーエッチング中においては、エッチャントの多くは反射防止レジスト材料膜152の側壁エッチングに費やされるため、反射防止レジスト材料膜152が薄膜化されている特定領域101では、反射防止レジスト膜152の膜厚が厚いままの非特定領域102と比較して、反射防止レジスト材料膜152の開口部の寸法が拡大するからである。
【0109】
その後、第2の上層レジスト膜154をエッチングにより除去する。尚、後述するコンタクトホール形成用絶縁膜151のエッチング後に第2の上層レジスト膜154を反射防止レジスト膜152と共に除去してもよい。
【0110】
その後、反射防止レジスト膜152からなるレジストパターン(ホールパターン152A及び152B)をマスクとして、コンタクトホール形成用絶縁膜151に対してエッチングを行った後、当該レジストパターンを除去する。これにより、図13(b)に示すように、特定領域101には例えば開口径70nmのホール151aが形成されると共に非特定領域102には例えば開口径50nmのホール151bが形成される。
【0111】
以上に説明したように、本実施形態によると、反射防止レジスト材料膜152及び第2の上層レジスト膜154を有する多層レジストにおいて、特定領域101と非特定領域102との間で反射防止レジスト材料膜152の膜厚に差を設けるため、第2の上層レジスト膜154(ホールパターン154A及び154B)をマスクとする反射防止レジスト材料膜152のエッチング時に各領域間でオーバーエッチング量に差が生じる。このため、各領域でパターニングされた反射防止レジスト材料膜152(つまりホールパターン152A及び152B)の寸法シフト量に差を設けて個別に制御することができるので、各領域における微細な狭ピッチパターンの形成及び微細パターンの形成を低コストで且つ安定したプロセスで実現することができる。また、パターニングされた反射防止レジスト材料膜152(つまりホールパターン152A及び152B)をマスクとする1回のエッチングによりコンタクトホール形成用絶縁膜151全体の加工を行うため、特定領域101と非特定領域102とに形成されるパターン間にマスク露光時の重ね合わせズレに起因する位置ズレが発生する事態を回避することができる。
【0112】
また、第1及び第2の実施形態(変形例含む:以下同じ)では、下層レジスト膜、中間層レジスト膜及び上層レジスト膜の少なくとも3層を含む多層レジストを用いたプロセスにより、非特定領域と特定領域とで寸法及びピッチが異なるコンタクトホールを被加工膜に形成した。それに対して、本実施形態では、反射防止レジスト材料膜及び上層レジスト膜の2層からなる多層レジストを用いたプロセスにより、非特定領域と特定領域とで寸法及びピッチが異なるコンタクトホールを被加工膜に形成するため、第1及び第2の実施形態と比較して、プロセスを簡単化できると共に製造コストを低減できる。
【0113】
尚、本実施形態において、ホール151a及び151bの寸法やピッチは前記の例に限られるものではなく、例えばArF液浸露光を行った場合、特定領域101には、ホール径が50〜100nm程度、ピッチが160〜200nm程度のホールパターンを形成できると同時に、非特定領域101には、ホール径が50〜80nm程度、ピッチが180nm程度以上のホールパターンを形成できる。
【0114】
また、本実施形態において、露光の光源にEUV等を用いて微細なレジストパターンを形成した場合には、さらに微細なパターンを形成可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0115】
以上に説明したように、本発明は、異なる領域に形成されるパターン間にマスク露光時の重ね合わせズレに起因する位置ズレを発生させることなく、一の領域に微細な狭ピッチパターンを形成すると同時に他の領域に微細パターンを形成する方法として有用である。
【符号の説明】
【0116】
100 基板
101 特定領域
102 非特定領域
103 素子分離領域
121 コンタクトホール形成用絶縁膜
121a、121b ホール
122 第1の下層レジスト膜
122B ホールパターン
123 第2の下層レジスト膜
123A、123B ホールパターン
124 中間層レジスト膜
124A、124B ホールパターン
125 上層レジスト膜
125A、125B ホールパターン
131 コンタクトホール形成用絶縁膜
131a、131b ホール
132 第1の下層レジスト膜
132A、132B ホールパターン
133 第2の下層レジスト膜
133B ホールパターン
134 中間層レジスト膜
134A、134B ホールパターン
135 上層レジスト膜
135A、135B ホールパターン
141 コンタクトホール形成用絶縁膜
141a、141b ホール
142 下層レジスト膜
142A、142B ホールパターン
143 中間層レジスト膜
143A、143B ホールパターン
144 第1の上層レジスト膜
145 第2の上層レジスト膜
145A、145B ホールパターン
151 コンタクトホール形成用絶縁膜
151a、151b ホール
152 反射防止レジスト材料膜
152A、152B ホールパターン
153 第1の上層レジスト膜
154 第2の上層レジスト膜
154A、154B ホールパターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1領域及び第2領域を含む基板上に被加工膜を形成する工程と、
前記被加工膜上に、前記第1領域と前記第2領域とで膜厚が異なる下層レジスト膜を形成する工程と、
前記下層レジスト膜上に中間層レジスト膜を形成する工程と、
前記中間層レジスト膜上に上層レジスト膜を形成する工程と、
ホールパターン形成用の露光マスクを用いてフォトリソグラフィー法により前記上層レジスト膜をパターニングする工程と、
パターニングされた前記上層レジスト膜をマスクとして前記中間層レジスト膜をエッチングすることにより、前記中間層レジスト膜をパターニングする工程と、
パターニングされた前記中間層レジスト膜をマスクとして前記下層レジスト膜をエッチングすることにより、前記下層レジスト膜をパターニングする工程と、
パターニングされた前記下層レジスト膜をマスクとして前記被加工膜をエッチングすることにより、前記第1領域と前記第2領域とで開口寸法が異なる複数のホールを同時に形成する工程とを備えていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
前記中間層レジスト膜は、シリコンを含有するレジスト材料からなることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法において、
前記下層レジスト膜を形成する工程は、
前記被加工膜上に第1下層レジスト膜を形成した後、フォトリソグラフィ法により、前記第1領域に位置する部分の前記第1下層レジスト膜を除去し、その後、残存する前記第1下層レジスト膜上及び前記被加工膜上に第2下層レジスト膜を形成する工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法において、
前記下層レジスト膜を形成する工程は、
前記被加工膜上に第1下層レジスト膜を形成した後、前記第1下層レジスト膜上に第2下層レジスト膜を形成し、その後、フォトリソグラフィ法により、前記第1領域に位置する部分の前記第2下層レジスト膜を除去する工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
第1領域及び第2領域を含む基板上に被加工膜を形成する工程と、
前記被加工膜上に下層レジスト膜を形成する工程と、
前記下層レジスト膜上に、前記第1領域と前記第2領域とで膜厚が異なる中間層レジスト膜を形成する工程と、
前記中間層レジスト膜上に上層レジスト膜を形成する工程と、
ホールパターン形成用の露光マスクを用いてフォトリソグラフィー法により前記上層レジスト膜をパターニングする工程と、
パターニングされた前記上層レジスト膜をマスクとして前記中間層レジスト膜をエッチングすることにより、前記中間層レジスト膜をパターニングする工程と、
パターニングされた前記中間層レジスト膜をマスクとして前記下層レジスト膜をエッチングすることにより、前記下層レジスト膜をパターニングする工程と、
パターニングされた前記下層レジスト膜をマスクとして前記被加工膜をエッチングすることにより、前記第1領域と前記第2領域とで開口寸法が異なる複数のホールを同時に形成する工程とを備えていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の半導体装置の製造方法において、
前記中間層レジスト膜は、シリコンを含有するレジスト材料からなることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の半導体装置の製造方法において、
前記中間層レジスト膜を形成する工程は、
前記下層レジスト膜上に前記中間層レジスト膜を形成した後、前記中間層レジスト膜上に他のレジスト膜を形成し、その後、フォトリソグラフィ法により、前記第1領域に位置する部分の前記他のレジスト膜を除去した後、残存する前記他のレジスト膜をマスクとして、前記第1領域に位置する部分の前記中間層レジスト膜を途中までエッチングにより除去する工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
第1領域及び第2領域を含む基板上に被加工膜を形成する工程と、
前記被加工膜上に、前記第1領域と前記第2領域とで膜厚が異なる反射防止レジスト材料膜を形成する工程と、
前記反射防止レジスト材料膜上に上層レジスト膜を形成する工程と、
ホールパターン形成用の露光マスクを用いてフォトリソグラフィー法により前記上層レジスト膜をパターニングする工程と、
パターニングされた前記上層レジスト膜をマスクとして前記反射防止レジスト材料膜をエッチングすることにより、前記反射防止レジスト材料膜をパターニングする工程と、
パターニングされた前記反射防止レジスト材料膜をマスクとして前記被加工膜をエッチングすることにより、前記第1領域と前記第2領域とで開口寸法が異なる複数のホールを同時に形成する工程とを備えていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項8に記載の半導体装置の製造方法において、
前記反射防止レジスト材料膜を形成する工程は、
前記被加工膜上に前記反射防止レジスト材料膜を形成した後、前記反射防止レジスト材料膜上に他のレジスト膜を形成し、その後、フォトリソグラフィ法により、前記第1領域に位置する部分の前記他のレジスト膜を除去した後、残存する前記他のレジスト膜をマスクとして、前記第1領域に位置する部分の前記反射防止レジスト材料膜を途中までエッチングにより除去する工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2011−71448(P2011−71448A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−223365(P2009−223365)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】