説明

半導体装置の製造方法

【課題】キャパシタ膜の薄膜化を図るも、リーク電流の増加を抑止しつつ大きな分極反転量を確保し、薄いキャパシタ膜を有する信頼性の高いキャパシタ構造を備えた半導体装置を実現する。
【解決手段】FeRAMの強誘電体キャパシタ構造を形成するに際して、下部電極膜を形成し(ステップS1)、第1の強誘電体膜を形成し(ステップS2)、第1の熱処理で第1の強誘電体膜を結晶化し(ステップS3)、第1の強誘電体膜上にアモルファス状態の第2の強誘電体膜を形成し(ステップS4)、第2の強誘電体膜上にアモルファス状態のSRO膜を形成し(ステップS5)、SRO膜上に第1の上部電極膜を形成し(ステップS6)、第2の熱処理で第2の強誘電体膜及びSRO膜を結晶化する(ステップS7)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下部電極と上部電極との間に誘電体材料からなるキャパシタ膜が挟持されてなるキャパシタ構造を有する半導体装置に関し、特にキャパシタ膜が強誘電体材料からなる強誘電体キャパシタ構造に適用して好適である。
【背景技術】
【0002】
近年、強誘電体の分極反転を利用して情報を強誘電体キャパシタ構造に保持する強誘電体メモリ(FeRAM:Ferro-electric Random Access Memory)の開発が進められている。強誘電体メモリは、電源を断っても保持された情報が消失しない不揮発メモリであり、高集積度、高速駆動、高耐久性、及び低消費電力の実現が期待できることから特に注目されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−260954号公報
【特許文献2】特開2000−252444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近時では、強誘電体メモリの低電圧動作化の要請が高まっている。この低電圧動作化を達成するには、強誘電体キャパシタのキャパシタ膜である強誘電体膜を薄膜化することが必要である。
【0005】
しかしながら、強誘電体膜を薄くすると分極反転量が減少し、リーク電流が増大するとい問題がある。
分極反転量が減少する原因としては、強誘電体膜の薄膜化に伴い、強誘電体膜と上部電極との界面の格子マッチングが電気特性に影響を及ぼすことが考えられる。格子マッチングが良くないと高い分極反転量が得られない。
また、リーク電流が増加する原因も同様に、強誘電体膜と上部電極の界面の状態に依存するものと考えられる。熱処理により強誘電体膜を結晶化すると、当該界面にグレインバウンダリが形成され、その際にグレインバウンダリには空隙が発生する。この空隙部分に上部電極の材料が埋め込まれると強誘電体膜の実効膜厚が薄くなり、リーク電流の増大が起こる。
【0006】
特許文献1,2では、上部電極の一部又は全部にSrRuO3(SRO)膜を用い、PZTよりなるキャパシタ膜のPb,Zr,Tiの組成を調整する構成が開示されている。しかしながらこの場合、SRO膜を用いない場合に比べてリーク電流は増加する。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、キャパシタ膜の薄膜化を図るも、リーク電流の増加を抑止しつつ大きな分極反転量を確保し、薄いキャパシタ膜を有する信頼性の高いキャパシタ構造を備えた半導体装置を実現する半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
半導体装置の製造方法の一態様は、半導体基板の上方に下部電極となる第1の電極膜を形成する工程と、前記第1の電極膜上に、第1の誘電体膜を形成する工程と、前記半導体基板に第1の熱処理を施す工程と、前記第1の誘電体膜上に、第2の誘電体膜を形成する工程と、前記第2の誘電体膜上にSrRuO3膜を形成する工程と、前記SrRuO3膜上に、前記上部電極の少なくとも一部となる第2の電極膜を形成する工程と、前記半導体基板に第2の熱処理を施す工程とを含む。
【発明の効果】
【0009】
上記した半導体装置の製造方法によれば、キャパシタ膜の薄膜化を図るも、リーク電流の増加を抑止しつつ大きな分極反転量を確保し、薄いキャパシタ膜を有する信頼性の高いキャパシタ構造を備えた半導体装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施形態によるFeRAMの製造方法を示す概略断面図である。
【図2】図1に引き続き、第1の実施形態によるFeRAMの製造方法を示す概略断面図である。
【図3】図2に引き続き、第1の実施形態によるFeRAMの製造方法を示す概略断面図である。
【図4】図3に引き続き、第1の実施形態によるFeRAMの製造方法を示す概略断面図である。
【図5】図4に引き続き、第1の実施形態によるFeRAMの製造方法を示す概略断面図である。
【図6】図5に引き続き、第1の実施形態によるFeRAMの製造方法を示す概略断面図である。
【図7】図6に引き続き、第1の実施形態によるFeRAMの製造方法を示す概略断面図である。
【図8】図7に引き続き、第1の実施形態によるFeRAMの製造方法を示す概略断面図である。
【図9】第1の実施形態によるFeRAMの製造方法における主要工程を示すフロー図である。
【図10】比較例1によるFeRAMの製造方法における主要工程を示すフロー図である。
【図11】比較例2によるFeRAMの製造方法における主要工程を示すフロー図である。
【図12】比較例3によるFeRAMの製造方法における主要工程を示すフロー図である。
【図13】比較例4によるFeRAMの製造方法における主要工程を示すフロー図である。
【図14】分極反転量の測定結果を示す特性図である。
【図15】リーク電流の測定結果を示す特性図である。
【図16】第2の実施形態によるFeRAMの製造方法を示す概略断面図である。
【図17】図16に引き続き、第2の実施形態によるFeRAMの製造方法を示す概略断面図である。
【図18】図17に引き続き、第2の実施形態によるFeRAMの製造方法を示す概略断面図である。
【図19】図18に引き続き、第2の実施形態によるFeRAMの製造方法を示す概略断面図である。
【図20】図19に引き続き、第2の実施形態によるFeRAMの製造方法を示す概略断面図である。
【図21】図20に引き続き、第2の実施形態によるFeRAMの製造方法を示す概略断面図である。
【図22】図21に引き続き、第2の実施形態によるFeRAMの製造方法を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を適用した具体的な諸実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下の緒実施形態では、本発明をFeRAMに適用した場合について例示するが、キャパシタ構造に通常の誘電体膜を用いた半導体メモリにも適用可能である。
【0012】
(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
―FeRAMの製造方法―
本実施形態では、強誘電体キャパシタ構造の下部電極及び上部電極の導通を強誘電体キャパシタ構造の上方で確保する、いわゆるプレーナ型のFeRAMを例示する。なお、説明の便宜上、FeRAMの構造をその製造方法と共に説明する。
図1〜図8は、第1の実施形態によるFeRAMの構成をその製造方法と共に工程順に示す概略断面図である。
【0014】
図1(a)に示すように、シリコン半導体基板10上に選択トランジスタとして機能するMOSトランジスタ20を形成する。
詳細には、シリコン半導体基板10の表層に例えばSTI(Shallow Trench Isolation)法により素子分離構造11を形成する。これにより、半導体基板10上で活性領域を画定する。
【0015】
素子活性領域に不純物、ここでは例えばP型不純物であるホウ素(B)を例えばドーズ量3.0×1013/cm2、加速エネルギー300keVの条件でイオン注入する。これにより、ウェル12が形成される。
【0016】
活性領域に熱酸化等により膜厚3.0nm程度の薄いゲート絶縁膜13を形成する。ゲート絶縁膜13上にCVD法等により膜厚180nm程度の多結晶シリコン膜及び膜厚29nm程度の例えばシリコン窒化膜を順次堆積する。シリコン窒化膜、多結晶シリコン膜、及びゲート絶縁膜13をリソグラフィー及びそれに続くドライエッチングにより電極形状に加工する。これにより、ゲート絶縁膜13上にゲート電極14が形成される。このとき同時に、ゲート電極14上にはシリコン窒化膜からなるキャップ膜15が形成される。
【0017】
キャップ膜15をマスクとして素子活性領域に不純物、ここでは例えばN型不純物である砒素(As)を例えばドーズ量5.0×1014/cm2、加速エネルギー10keVの条件でイオン注入する。これにより、いわゆるLDD領域16が形成される。
【0018】
全面に例えばシリコン酸化膜をCVD法等により堆積し、このシリコン酸化膜の全面を異方性ドライエッチング(エッチバック)する。これにより、ゲート電極14及びキャップ膜15の側面のみにシリコン酸化膜が残存し、サイドウォール絶縁膜17が形成される。
【0019】
キャップ膜15及びサイドウォール絶縁膜17をマスクとして活性領域に不純物、ここでは例えばN型不純物であるリン(P)をLDD領域16よりも不純物濃度が高くなる条件でイオン注入する。これにより、LDD領域16と重畳されるソース/ドレイン領域18が形成され、MOSトランジスタ20が形成される。
【0020】
続いて、図1(b)に示すように、MOSトランジスタ20の保護膜21及び層間絶縁膜22aを順次形成する。
詳細には、MOSトランジスタ20を覆うように、保護膜21及び層間絶縁膜22aを順次堆積する。ここで、保護膜21としては、シリコン酸化膜を材料とし、CVD法等により膜厚20nm程度に堆積する。層間絶縁膜22aとしては、先ず、例えばプラズマSiO膜(膜厚20nm程度)、プラズマSiN膜(膜厚80nm程度)、及びプラズマTEOS膜(膜厚1000nm程度)を順次成膜した積層構造を形成する。積層後、CMPにより膜厚が700nm程度となるまで研磨する。これにより、層間絶縁膜22aが形成される。
【0021】
続いて、図1(c)に示すように、層間絶縁膜22b及び保護膜23を順次形成する。
なお、図1(c)以下の各図では、図示の便宜上、層間絶縁膜22aから上部の構成のみを示し、シリコン半導体基板10及びMOSトランジスタ20等の図示を省略する。
詳細には、層間絶縁膜22a上に例えばTEOSを用いたプラズマCVD法等により、シリコン酸化膜を膜厚100nm程度に堆積する。これにより、層間絶縁膜22bが形成される。その後、層間絶縁膜22bをアニール処理する。このアニール処理の条件としては、N2ガスを20リットル/分の流量で供給しながら、例えば650℃で20分間〜45分間実行する。
【0022】
層間絶縁膜22b上に、後述する強誘電体キャパシタ構造の強誘電体膜への水素・水の浸入を防止するための保護膜23を形成する。
保護膜23としては、アルミナ(Al23)を材料として、スパッタ法等により膜厚20nm〜50nm程度に堆積する。具体的な成膜条件としては、Al23ターゲットを用い、投入パワー2kW、スパッタガスとしてArを流量22sccmで供給し、44秒間成膜する。以上により、膜厚20nm程度のアルミナからなる保護膜23が形成される。その後、保護膜23をアニール処理する。このアニール処理の条件としては、O2ガスを2リットル/分の流量で供給しながら、例えば650℃で30秒間〜120秒間実行する。
【0023】
続いて、図1(d)に示すように、下部電極となる下部電極膜24を形成する。
詳細には、スパッタ法等によりPtを堆積し、下部電極膜24を形成する。具体的な成膜条件としては、Ptターゲットを用い、投入パワー0.44kW、スパッタガスとしてArを流量119sccmで供給し、成膜温度350℃で180秒間成膜する。以上により、膜厚153nm程度のPtからなる下部電極膜24が形成される。
【0024】
続いて、図2(a)に示すように、キャパシタ膜の下層となる第1の強誘電体膜25aを形成する。
詳細には、スパッタ法等により例えば膜厚50nm〜120nm程度にPb(Zrx,Ti1-x)3(0<x<1)(PZT)を堆積し、第1の強誘電体膜25aを形成する。具体的な成膜条件としては、PZTターゲットを用い、投入パワー1kW、スパッタガスとしてArを流量18sccmで供給し、成膜温度50℃で112秒間成膜する。以上により、下部電極膜24上に、膜厚70nm程度のPb量1.13のPZTからなる第1の強誘電体膜25aが形成される。第1の強誘電体膜25aは、アモルファス(非晶質)状態に形成される。
第1の強誘電体膜25aの材料としては、Ca,Sr,La,Nb,Ta,Ir,W,Ru等の元素を添加したPZT等を用いることもできる。
【0025】
続いて、図2(b)に示すように、半導体基板10を熱処理(第1の熱処理)する。
詳細には、第1の熱処理として、所定の急速加熱処理装置を用いて、半導体基板10を急速加熱(RTA)処理し、第1の強誘電体膜25aを結晶化する。具体的な熱処理条件としては、雰囲気ガスとしてArを流量1.975slm、O2を25sccmで供給し、処理温度を450℃〜700℃程度、ここでは582℃、処理時間を20秒〜300秒間、ここでは90秒間とする。これにより、成膜当初はアモルファス状態であった第1の強誘電体膜25aが結晶化される。
【0026】
上記のRTA処理において、処理温度が450℃より低温、或いは処理時間が20秒よりも短時間であると、第1の強誘電体膜25aが十分に結晶化されない懸念、リーク電流の増大を招く懸念がある。また、処理温度が700℃より高温、或いは処理時間が300秒よりも長時間であると、リーク電流の増大を招く懸念がある。従って、処理温度及び処理時間を上記の範囲内の値とすることにより、リーク電流の増大を招くことなく、第1の強誘電体膜25aを十分に結晶化することができる。
【0027】
続いて、図2(c)に示すように、キャパシタ膜の上層となる第2の強誘電体膜25bを形成する。
詳細には、スパッタ法等により、第1の強誘電体膜25aよりも薄く、例えば膜厚5nm〜40nm程度にPZTを堆積し、第2の強誘電体膜25bを形成する。具体的な成膜条件としては、PZTターゲットを用い、投入パワー1kW、スパッタガスとしてArを流量18sccmで供給し、成膜温度50℃で19秒間成膜する。以上により、第1の強誘電体膜25a上に、膜厚10nm程度のPb量1.13のPZTからなる第2の強誘電体膜25bが形成される。第2の強誘電体膜25bは、アモルファス状態に形成される。
第2の強誘電体膜25bの材料としては、Ca,Sr,La,Nb,Ta,Ir,W,Ru等の元素を添加したPZT等を用いることもできる。
【0028】
続いて、図3(a)に示すように、SrRuO3(SRO)膜19を形成する。
詳細には、スパッタ法等により例えば膜厚1nm〜5nm程度にSROを堆積し、SRO膜19を形成する。具体的な成膜条件としては、SROターゲットを用い、投入パワー0.31kW、スパッタガスとしてArを流量100sccmで供給し、成膜温度60℃で2秒間成膜する。以上により、第2の強誘電体膜25b上に、膜厚1nm程度のSRO膜19が形成される。SRO膜19は、アモルファス状態に形成される。強誘電体のキャパシタ膜上にSRO膜を形成することにより、キャパシタ膜を薄く形成しても、キャパシタ構造における高い分極反転量を得ることができる。後述する考察から、SRO膜19を膜厚1nm〜5nm程度に形成することにより、大きな分極反転量を得ることが可能となる。
【0029】
続いて、図3(b)に示すように、上部電極の下層となる第1の上部電極膜26aを形成する。
詳細には、スパッタ法等により例えば膜厚10nm〜200nm程度にIrO2を堆積し、第1の上部電極膜26aを形成する。具体的な成膜条件としては、Irターゲットを用い、投入パワー1.91kW、スパッタガスとしてArを流量100sccm、O2を52sccmで供給し、成膜温度20℃で9秒間成膜する。以上により、SRO膜19上に、膜厚49nm程度のIrO2からなる第1の上部電極膜26aが形成される。
第1の上部電極膜26aの材料としては、IrO2の代わりにIr、Ru、RuO2、その他の導電性酸化物等を用いることもできる。
【0030】
続いて、図3(c)に示すように、半導体基板10を熱処理(第2の熱処理)する。
詳細には、第2の熱処理として、所定の急速加熱処理装置を用いて、半導体基板10をRTA処理し、第2の強誘電体膜25b及びSRO膜19を結晶化する。具体的な熱処理条件としては、雰囲気ガスとしてArを流量1.98slm、O2を20sccmで供給し、処理温度を550℃〜800℃程度、ここでは732℃、処理時間を30秒〜300秒間、ここでは118秒間とする。これにより、成膜当初はアモルファス状態であった第2の強誘電体膜25b及びSRO膜19が結晶化される。
【0031】
上記のRTA処理において、処理温度が550℃より低温、或いは処理時間が30秒よりも短時間であると、第2の強誘電体膜25b(及びSRO膜19、特に第2の強誘電体膜25b)が十分に結晶化されない懸念、リーク電流の増大を招く懸念がある。また、処理温度が800℃より高温、或いは処理時間が300秒よりも長時間であると、第1の強誘電体膜25aへの不測の影響の懸念、リーク電流の増大を招く懸念がある。従って、処理温度及び処理時間を上記の範囲内の値とすることにより、第1の強誘電体膜25aへの悪影響を防止し、リーク電流の増大を招くことなく、第2の強誘電体膜25bを十分に結晶化することができる。
【0032】
続いて、図4(a)に示すように、上部電極の上層となる第2の上部電極膜26bを形成する。
詳細には、スパッタ法等により例えば膜厚25nm〜250nm程度にIrO2を堆積し、第2の上部電極膜26bを形成する。具体的な成膜条件としては、Irターゲットを用い、投入パワー1.03kW、スパッタガスとしてArを流量100sccm、O2を90sccmで供給し、成膜温度20℃で28秒間成膜する。引き続き、投入パワー2.03kW、スパッタガスとしてArを流量100sccm、O2を90sccmで供給し、成膜温度20℃で4.4秒間成膜する。以上により、第1の上部電極膜26a上に、膜厚100nm程度のIrO2からなる第2の上部電極膜26bが形成される。
第2の上部電極膜26bの材料としては、IrO2の代わりにIr、Ru、RuO2、その他の導電性酸化物等を用いることもできる。
【0033】
続いて、図4(b)に示すように、上部電極33を形成する。
詳細には、第1及び第2の上部電極膜26a,26bをリソグラフィー及びそれに続くドライエッチングにより複数の電極形状に加工する。これにより、第1及び第2の上部電極膜26a,26bからなる上部電極33が形成される。
【0034】
続いて、図4(c)に示すように、キャパシタ膜32を形成する。
詳細には、SRO膜19、第1及び第2の強誘電体膜25a,25bを、上部電極33に整合させて、リソグラフィー及びそれに続くドライエッチングにより加工する。これにより、SRO膜19が加工されると共に、第1及び第2の強誘電体膜25a,25bからなるキャパシタ膜32が形成される。
キャパシタ膜32の形成後に、キャパシタ膜32を熱処理し、当該キャパシタ膜32の機能回復を図る。
【0035】
続いて、図5(a)に示すように、キャパシタ膜32への水素・水の浸入を防止するための保護膜27を形成する。
詳細には、キャパシタ膜32、SRO膜19、及び上部電極33を覆うように下部電極膜24上に、アルミナ(Al23)を材料として、スパッタ法等により膜厚50nm程度に堆積する。これにより、保護膜27が形成される。その後、保護膜27をアニール処理する。
【0036】
続いて、図5(b)に示すように、保護膜27と共に下部電極膜24を加工し、強誘電体キャパシタ構造30を形成する。
詳細には、保護膜27及び下部電極膜24を、加工されたキャパシタ膜25に整合させて下部電極膜24がキャパシタ膜25よりも大きいサイズに残るように、リソグラフィー及びそれに続くドライエッチングにより加工し、下部電極31を形成する。これにより、下部電極31上にキャパシタ膜32、SRO膜19、及び上部電極33が順次積層されてなる強誘電体キャパシタ構造30が形成される。このとき同時に、上部電極33の上面から上部電極33、SRO膜19、及びキャパシタ膜32の側面、下部電極31の上面にかけて覆うように保護膜27が残る。その後、保護膜27を熱処理する。
【0037】
続いて、図5(c)に示すように、保護膜28を形成する。
詳細には、強誘電体キャパシタ構造30及び保護膜27を覆うように、アルミナ(Al23)を材料として、スパッタ法等により膜厚20nm〜50nm程度に堆積する。これにより、保護膜28が形成される。その後、保護膜28を熱処理する。
【0038】
続いて、図6(a)に示すように、層間絶縁膜29を成膜する。
詳細には、強誘電体キャパシタ構造30を保護膜27,28を介して覆うように、層間絶縁膜29を形成する。ここで、層間絶縁膜29としては、例えばTEOSを用いたプラズマCVD法等により、シリコン酸化膜を膜厚1500nm〜2500nm程度に堆積した後、CMPにより例えば膜厚が1000nm程度となるまで研磨して形成する。CMPの後に、層間絶縁膜29の脱水を目的として、例えばN2Oのプラズマアニール処理を施す。
【0039】
続いて、図6(b)に示すように、MOSトランジスタ20のソース/ドレイン領域18と接続される導電プラグ36を形成する。
詳細には、層間絶縁膜29、保護膜28,27、層間絶縁膜22b,22a、及び保護膜21をリソグラフィー及びそれに続くドライエッチングにより加工する。このドライエッチングは、ソース/ドレイン領域18をエッチングストッパーとして、当該ソース/ドレイン領域18の表面の一部が露出するまで行う。これにより、例えば約0.3μm径のビア孔36aが形成される。
【0040】
ビア孔36aの壁面を覆うように、スパッタ法等により例えばTi膜及びTiN膜を膜厚20nm程度及びに膜厚50nm程度に順次堆積する。これにより、下地膜(グルー膜)36bが形成される。CVD法等によりグルー膜36bを介してビア孔36aを埋め込むように例えばW膜を形成する。CMPにより層間絶縁膜29をストッパーとしてW膜及びグルー膜36bを研磨する。以上により、ビア孔36a内をグルー膜36bを介してWで埋め込む導電プラグ36が形成される。CMPの後に、例えばN2Oのプラズマアニール処理を施す。
【0041】
続いて、図6(c)に示すように、ハードマスク37及びレジストマスク38を形成した後、強誘電体キャパシタ構造30へのビア孔34a,35aを形成する。
詳細には、CVD法等により、層間絶縁膜29上にシリコン窒化膜を膜厚100nm程度に堆積する。これにより、ハードマスク37が形成される。ハードマスク37上にレジストを塗布し、リソグラフィーにより当該レジストを加工する。これにより、開口38a,38bを有するレジストマスク38が形成される。
【0042】
レジストマスク38を用いてハードマスク37をドライエッチングし、ハードマスク37の開口38a,38bに整合する部位に開口37a,37bを形成する。
主にハードマスク37を用い、上部電極33及び下部電極31をそれぞれエッチングストッパーとして、層間絶縁膜29及び保護膜28,27をドライエッチングする。このドライエッチングでは、上部電極33の表面の一部が露出するまで層間絶縁膜29及び保護膜28,27に施す加工と、下部電極31の表面の一部が露出するまで層間絶縁膜29及び保護膜28,27に施す加工とが同時に実行される。これにより、それぞれの部位に例えば約0.5μm径のビア孔34a,35aが同時形成される。
【0043】
続いて、図7(a)に示すように、レジストマスク38及びハードマスク37を除去する。
詳細には、先ず、残存したレジストマスク38を灰化処理等により除去する。その後、強誘電体キャパシタ構造30の形成後の諸工程により強誘電体キャパシタ構造30の受けたダメージを回復するためのアニール処理を行う。そして、全面異方性エッチング、いわゆるエッチバックにより、ハードマスク37を除去する。
【0044】
続いて、図7(b)に示すように、強誘電体キャパシタ構造30と接続される導電プラグ34,35を形成する。
詳細には、先ず、ビア孔34a,35aの壁面を覆うように下地膜(グルー膜)34b,35bを形成した後、CVD法等によりグルー膜34b,35bを介してビア孔34a,35aを埋め込むようにW膜を形成する。そして、層間絶縁膜29をストッパーとして例えばW膜及びグルー膜34b,35bをCMPにより研磨する。これにより、ビア孔34a,35a内をグルー膜34b,35bを介してWで埋め込む導電プラグ34,35が形成される。CMPの後に、例えばN2Oのプラズマアニール処理を施す。
【0045】
続いて、図8(a)に示すように、導電プラグ34,35,36とそれぞれ接続される第1の配線45を形成する。
詳細には、層間絶縁膜29上の全面にスパッタ法等によりバリアメタル膜42、配線膜43及びバリアメタル膜44を堆積する。バリアメタル膜42としては、スパッタ法等により例えばTi膜を膜厚5nm程度及びTiN膜を膜厚150nm程度に積層成膜する。配線膜43としては、例えばAl合金膜(ここではAl−Cu膜)を膜厚350nm程度に成膜する。バリアメタル膜44としては、スパッタ法等により例えばTi膜を膜厚5nm程度及びTiN膜を膜厚150nm程度に積層成膜する。ここで、配線膜43の構造は、同一ルールのFeRAM以外のロジック部と同じ構造とされているため、配線の加工や信頼性上の問題はない。
【0046】
反射防止膜として例えばSiON膜または反射防止膜(不図示)を成膜した後、リソグラフィー及びそれに続くドライエッチングにより反射防止膜、バリアメタル膜44、配線膜43及びバリアメタル膜42を配線形状に加工する。これにより、導電プラグ34,35,36とそれぞれ接続される各第1の配線45が形成される。なお、配線膜43としてAl合金膜を形成する代わりに、いわゆるダマシン法等を利用してCu膜(又はCu合金膜)を形成し、第1の配線45としてCu配線を形成しても良い。
【0047】
続いて、図8(b)に示すように、第1の配線45と接続される第2の配線54を形成する。
詳細には、第1の配線45を覆うように層間絶縁膜46を形成する。層間絶縁膜46としては、シリコン酸化膜を膜厚700nm程度に成膜し、プラズマTEOS膜を形成して膜厚を全体で1100nm程度とした後に、CMPにより表面を研磨して、膜厚を750nm程度に形成する。
【0048】
第1の配線45と接続される導電プラグ47を形成する。
第1の配線45の表面の一部が露出するまで、層間絶縁膜46をリソグラフィー及びそれに続くドライエッチングにより加工する。これにより、例えば約0.25μm径のビア孔47aが形成される。
このビア孔47aの壁面を覆うように下地膜(グルー膜)48を形成した後、CVD法等によりグルー膜48を介してビア孔47aを埋め込むようにW膜を形成する。そして、層間絶縁膜46をストッパーとして例えばW膜及びグルー膜48を研磨する。これにより、ビア孔47a内をグルー膜48を介してWで埋め込む導電プラグ47が形成される。
【0049】
導電プラグ47とそれぞれ接続される第2の配線54を形成する。
先ず、全面にスパッタ法等によりバリアメタル膜51、配線膜52及びバリアメタル膜53を堆積する。バリアメタル膜51としては、スパッタ法等により例えばTi膜を膜厚5nm程度及びTiN膜を膜厚150nm程度に積層成膜する。配線膜52としては、例えばAl合金膜(ここではAl−Cu膜)を膜厚350nm程度に成膜する。バリアメタル膜53としては、スパッタ法等により例えばTi膜を膜厚5nm程度及びTiN膜を膜厚150nm程度に積層成膜する。ここで、配線膜52の構造は、同一ルールのFeRAM以外のロジック部と同じ構造とされているため、配線の加工や信頼性上の問題はない。
【0050】
反射防止膜として例えばSiON膜又は反射防止膜(不図示)を成膜した後、リソグラフィー及びそれに続くドライエッチングにより反射防止膜、バリアメタル膜53、配線膜52及びバリアメタル膜51を配線形状に加工する。これにより、第2の配線54が形成される。なお、配線膜52としてAl合金膜を形成する代わりに、いわゆるダマシン法等を利用してCu膜(又はCu合金膜)を形成し、第2の配線54としてCu配線を形成しても良い。
【0051】
しかる後、層間絶縁膜や更なる上層配線の形成等の諸工程を経て、本実施形態によるプレーナ型のFeRAMを形成する。
【0052】
―本実施形態によるFeRAMの優位性―
以下、本実施形態により作製されるFeRAMの優位性について、比較例との比較に基づいて説明する。
【0053】
本実施形態によるFeRAMの製造方法では、構成要素である強誘電体キャパシタ構造30を形成する際に、図9に示す主要工程を実行する。
本実施形態では、上述した図1(d)のように、下部電極膜を形成する(ステップS1)。図2(a)のように、第1の強誘電体膜を形成する(ステップS2)。図2(b)のように、第1の熱処理で第1の強誘電体膜を結晶化する(ステップS3)。図2(c)のように、第2の強誘電体膜を形成する(ステップS4)。図3(a)のように、SRO膜を形成する(ステップS5)。図3(b)のように、第1の上部電極膜を形成する(ステップS6)。図3(c)のように、第2の熱処理で第2の強誘電体膜及びSRO膜を結晶化する(ステップS7)。
【0054】
本実施形態では、比較例との比較のため、ステップS5において、SRO膜を膜厚1nmのものと5nmのものの2種類を形成する。前者の場合には、その成膜条件は、図3(a)を用いて例示した条件と同一である。後者の場合には、その成膜条件は、SROターゲットを用い、投入パワー0.31kW、スパッタガスとしてArを流量100sccmで供給し、成膜温度60℃で11秒間成膜する。以上により、膜厚5nm程度のSRO膜が形成される。
【0055】
比較例1では、構成要素である強誘電体キャパシタ構造30を形成する際に、図10に示す主要工程を実行する。
比較例1では、SRO膜は形成しない。即ち、ステップS1、ステップS2、ステップS3、ステップS4、ステップS6、ステップS7を順次行う。各ステップにおける成膜条件は、本実施形態と同様とする。
【0056】
比較例2では、構成要素である強誘電体キャパシタ構造30を形成する際に、図11に示す主要工程を実行する。
比較例2では、第2の強誘電体膜は形成しない。即ち、ステップS1、ステップS2、ステップS3、ステップS5、ステップS6、ステップS7を順次行う。各ステップのうち、ステップS1における第1の強誘電体膜の成膜条件が本実施形態の例示と若干異なる。比較例2におけるステップS1の成膜条件は、PZTターゲットを用い、投入パワー1kW、スパッタガスとしてArを流量18sccmで供給し、成膜温度50℃で131秒間成膜する。以上により、膜厚80nm程度のPb量1.13のPZTからなる第1の強誘電体膜が形成される。ステップS5で形成されるSRO膜は膜厚1nm程度のものである。
【0057】
比較例3では、構成要素である強誘電体キャパシタ構造30を形成する際に、図12に示す主要工程を実行する。
比較例3では、第1の熱処理は行わず、且つ第2の強誘電体膜は形成しない。即ち、ステップS1、ステップS2、ステップS5、ステップS6、ステップS7を順次行う。各ステップのうち、ステップS1における第1の強誘電体膜の成膜条件が本実施形態の例示と若干異なり、比較例2におけるステップS1の成膜条件と同様である。ステップS5で形成されるSRO膜は膜厚1nm程度のものである。
【0058】
比較例4では、構成要素である強誘電体キャパシタ構造30を形成する際に、図13に示す主要工程を実行する。
比較例4では、第1の強誘電体膜を形成した後、第2の強誘電体膜を形成した後、SRO膜を形成した後の各々に熱処理を行う。即ち、ステップS1、ステップS2、ステップS3、ステップS4、熱処理で第2の強誘電体膜を結晶化する(ステップS11)、ステップS5、熱処理でSRO膜を結晶化する(ステップS12)、ステップS6、ステップS7を順次行う。ステップS1〜S7のうち、ステップS3における第1の熱処理の条件が本実施形態の例示と若干異なる。比較例4におけるステップS4の熱処理条件は、雰囲気ガスとしてArを流量1.975slm、O2を25sccmで供給し、処理温度を620℃、処理時間を90秒間とする。ステップS11の熱処理条件は、ステップS4と同様である。ステップS12の熱処理条件は、雰囲気ガスとしてO2を2.0slmで供給し、処理温度を642℃、処理時間を90秒間とする。ステップS5で形成されるSRO膜は膜厚5nm程度のものである。
【0059】
SRO膜を膜厚1nmに形成する本実施形態及び比較例1,2,3について測定した、分極反転量(μC/cm2)及びリーク電流(A)の値を以下の表1に示す。
【0060】
【表1】

【0061】
SRO膜を膜厚5nmに形成する本実施形態及び比較例4について測定した、分極反転量(μC/cm2)及びリーク電流(A)の値を以下の表2に示す。
【0062】
【表2】

【0063】
SRO膜を形成しない比較例1では、表1に示すように、リーク電流は小さいが、分極反転量も小さい。
SRO膜は形成するが第2の強誘電体膜を形成しない比較例2では、表1に示すように、リーク電流は大きく、しかも分極反転量は小さい。
第1の熱処理を行わず第2の強誘電体膜を形成しない比較例3では、表1に示すように、リーク電流は大きく、しかも分極反転量は小さい。
第1の強誘電体膜、第2の強誘電体膜、及びSRO膜を形成した後に逐一熱処理を行う比較例4では、表2に示すように、分極反転量は大きいが、リーク電流は比較例1に比べても一桁程度増大している。
【0064】
これに対して本実施形態では、表1,2に示すように、比較例4よりも大きな分極反転量が得られ、しかもリーク電流は比較例1と同程度に小さい。
【0065】
本実施形態では、第1の熱処理により結晶化された第1の強誘電体膜上にアモルファス状態の第2の強誘電体膜が形成され、その後、第2の強誘電体膜、SRO膜、及び第1の上部電極膜に対して一括して第2の熱処理が施される。この第2の熱処理は、第2の強誘電体膜がアモルファス状態で行われる。これにより、第2の強誘電体膜とSRO膜との界面、及びSRO膜と第1の上部電極膜との界面におけるグレインバウンダリが拡がり、第2の強誘電体膜内に、SRO膜のSr,Ru、第1の上部電極膜のIrがドープされ易くなる。第2の強誘電体膜内にドープされたSr,Ru,Irにより、第2の強誘電体膜の第1の上部電極膜との格子間隔の整合性が向上し、第2の強誘電体膜の格子歪みが改善される。これにより、大きな分極反転量が得られる。
【0066】
ここで、本実施形態において上記のようにグレインバウンダリが拡がっても、第2の強誘電体膜下には既に結晶化された第1の強誘電体膜が存している。キャパシタ膜は第1及び第2の強誘電体膜の2層構造であり、キャパシタ膜の実効膜厚が確保され、Sr,Ru,Irの過剰な拡散が抑制される。これにより、リーク電流の増加が抑止される。
【0067】
―本実施形態におけるSRO膜の好適な膜厚―
本実施形態により作製した強誘電体キャパシタ構造について、上記の比較例1により作製したSRO膜を有しない強誘電体キャパシタ構造との比較に基づいて、分極反転量及びリーク電流を測定した。本実施形態による強誘電体キャパシタ構造は、SRO膜を1nm,2nm,3nm,4nm,5nmの膜厚にそれぞれ形成して強誘電体キャパシタ構造を作製したものである。
【0068】
分極反転量の測定結果を図14に、リーク電流の測定結果を図15にそれぞれ示す。図14及び図15では、比較例1、及び本実施形態の上記した5例について、それぞれ9回ずつ測定した結果を表示する。
【0069】
分極反転量については、図14に示すように、SRO膜の膜厚が小さいほど大きな値が得られる。SRO膜を5nm成膜した強誘電体キャパシタ構造においても、SRO膜を形成しない比較例1よりも高い分極反転量が得られることが判る。
リーク電流については、図15に示すように、本実施形態による各強誘電体キャパシタ構造では、比較例1による各強誘電体キャパシタ構造とほぼ同等の小さい値となる。
【0070】
SRO膜は、その膜厚に依存して第2の強誘電体膜にドープされるSr,Ru,Irの量が異なり、分極反転量に差が現れる。SRO膜が厚過ぎると、第2の強誘電体膜にドープされるSr,Ru,Irの量が過剰となり、分極反転量が小さくなる。SRO膜が薄過ぎると、第2の強誘電体膜にドープされるSr,Ru,Irの量が不足し、分極反転量が向上しない。従って本実施形態では、SRO膜の膜厚を1nm〜5nmの範囲内で形成することが好適である。
【0071】
以上説明したように、本実施形態によれば、キャパシタ膜32の薄膜化を図るも、リーク電流の増加を抑止しつつ大きな分極反転量を確保し、薄いキャパシタ膜32を有する信頼性の高い強誘電体キャパシタ構造30を備えたプレーナ型のFeRAMが実現される。
【0072】
(第2の実施形態)
本実施形態では、強誘電体キャパシタ構造の下部電極の導通を強誘電体キャパシタ構造の下方で、上部電極の導通を強誘電体キャパシタ構造の上方でそれぞれ確保する、いわゆるスタック型のFeRAMを例示する。なお、説明の便宜上、FeRAMの構造をその製造方法と共に説明する。
図16〜図22は、第2の実施形態によるFeRAMの構成をその製造方法と共に工程順に示す概略断面図である。
【0073】
先ず、図16(a)に示すように、シリコン半導体基板110上に選択トランジスタとして機能するMOSトランジスタ120を形成する。
詳細には、シリコン半導体基板110の表層に例えばSTI(Shallow Trench Isolation)法により素子分離構造111を形成する。これにより、半導体基板110上で活性領域を画定する。
【0074】
素子活性領域に不純物、ここでは例えばP型不純物であるホウ素(B)を例えばドーズ量3.0×1013/cm2、加速エネルギー300keVの条件でイオン注入する。これにより、ウェル112が形成される。
【0075】
活性領域に熱酸化等により膜厚3.0nm程度の薄いゲート絶縁膜113を形成する。ゲート絶縁膜113上にCVD法等により膜厚180nm程度の多結晶シリコン膜及び膜厚29nm程度の例えばシリコン窒化膜を順次堆積する。シリコン窒化膜、多結晶シリコン膜、及びゲート絶縁膜113をリソグラフィー及びそれに続くドライエッチングにより電極形状に加工する。これにより、ゲート絶縁膜113上にゲート電極114が形成される。このとき同時に、ゲート電極114上にはシリコン窒化膜からなるキャップ膜115が形成される。
【0076】
キャップ膜115をマスクとして素子活性領域に不純物、ここでは例えばN型不純物である砒素(As)を例えばドーズ量5.0×1014/cm2、加速エネルギー10keVの条件でイオン注入する。これにより、いわゆるLDD領域116が形成される。
【0077】
全面に例えばシリコン酸化膜をCVD法等により堆積し、このシリコン酸化膜の全面をエッチバックする。これにより、ゲート電極114及びキャップ膜115の側面のみにシリコン酸化膜が残存し、サイドウォール絶縁膜117が形成される。
【0078】
キャップ膜115及びサイドウォール絶縁膜117をマスクとして活性領域に不純物、ここでは例えばN型不純物であるリン(P)をLDD領域116よりも不純物濃度が高くなる条件でイオン注入する。これにより、LDD領域116と重畳されるソース/ドレイン領域118が形成され、MOSトランジスタ120が形成される。
【0079】
続いて、図16(b)に示すように、MOSトランジスタ120の保護膜121、層間絶縁膜122、及び上部絶縁膜123aを順次形成する。
詳細には、MOSトランジスタ120を覆うように、保護膜121、層間絶縁膜122、及び上部絶縁膜123aを順次形成する。ここで、保護膜121としては、シリコン酸化膜を材料とし、CVD法等により膜厚20nm程度に堆積する。層間絶縁膜122としては、先ず、例えばプラズマSiO膜(膜厚20nm程度)、プラズマSiN膜(膜厚80nm程度)及びプラズマTEOS膜(膜厚1000nm程度)を順次成膜した積層構造を形成する。積層後、CMPにより膜厚が700nm程度となるまで研磨する。これにより、層間絶縁膜122aが形成される。上部絶縁膜123aとしては、シリコン窒化膜を材料とし、CVD法等により膜厚100nm程度に堆積する。
【0080】
続いて、図16(c)に示すように、MOSトランジスタ120のソース/ドレイン領域118と接続される導電プラグ136を形成する。なお、図15(c)以下の各図では、図示の便宜上、層間絶縁膜122から上部の構成のみを示し、シリコン半導体基板110及びMOSトランジスタ120等の図示を省略する。
詳細には、ソース/ドレイン領域118をエッチングストッパーとして、当該ソース/ドレイン領域118の表面の一部が露出するまで上部絶縁膜123a、層間絶縁膜122、及び保護膜121をリソグラフィー及びそれに続くドライエッチングにより加工する。これにより、例えば約0.3μm径のビア孔136aが形成される。
【0081】
ビア孔136aの壁面を覆うように、スパッタ法等により例えばTi膜及びTiN膜を膜厚20nm程度及びに膜厚50nm程度に順次堆積する。これにより、下地膜(グルー膜)136bが形成される。CVD法等によりグルー膜136bを介してビア孔136aを埋め込むように例えばW膜を形成する。その後、CMPにより上部絶縁膜123aをストッパーとしてW膜及びグルー膜136bを研磨する。これにより、ビア孔136a内をグルー膜136bを介してWで埋め込む導電プラグ136が形成される。CMPの後に、例えばN2Oのプラズマアニール処理を施す。
【0082】
続いて、図16(d)に示すように、配向性向上膜123b及び酸素バリア膜123cを順次形成する。
詳細には、強誘電体キャパシタ構造の配向性を向上させるため、例えばTiを膜厚20nm程度に堆積した後、N2雰囲気で650℃の急速アニール(RTA)処理によりTiを窒化してTiNとする。これにより、導電性の配向性向上膜123bが形成される。
例えばTiAlNを膜厚100nm程度に堆積する。これにより、導電性の酸素バリア膜123cが形成される。
【0083】
続いて、図17(a)に示すように、下部電極となる下部電極膜124を形成する。
詳細には、スパッタ法等によりPtを堆積し、下部電極膜124を形成する。具体的な成膜条件としては、Ptターゲットを用い、投入パワー0.44kW、スパッタガスとしてArを流量119sccmで供給し、成膜温度350℃で180秒間成膜する。以上により、膜厚153nm程度のPtからなる下部電極膜124が形成される。
【0084】
続いて、図17(b)に示すように、キャパシタ膜の下層となる第1の強誘電体膜125aを形成する。
詳細には、スパッタ法等により例えば膜厚50nm〜120nm程度にPb(Zrx,Ti1-x)3(0<x<1)(PZT)を堆積し、第1の強誘電体膜125aを形成する。具体的な成膜条件としては、PZTターゲットを用い、投入パワー1kW、スパッタガスとしてArを流量18sccmで供給し、成膜温度50℃で112秒間成膜する。以上により、下部電極膜124上に、膜厚70nm程度のPb量1.13のPZTからなる第1の強誘電体膜125aが形成される。第1の強誘電体膜125aは、アモルファス(非晶質)状態に形成される。
第1の強誘電体膜125aの材料としては、Ca,Sr,La,Nb,Ta,Ir,W,Ru等の元素を添加したPZT等を用いることもできる。
【0085】
続いて、図17(c)に示すように、半導体基板110を熱処理(第1の熱処理)する。
詳細には、第1の熱処理として、所定の急速加熱処理装置を用いて、半導体基板110を急速加熱(RTA)処理し、第1の強誘電体膜125aを結晶化する。具体的な熱処理条件としては、雰囲気ガスとしてArを流量1.975slm、O2を25sccmで供給し、処理温度を450℃〜700℃程度、ここでは582℃、処理時間を20秒〜300秒間、ここでは90秒間とする。これにより、成膜当初はアモルファス状態であった第1の強誘電体膜125aが結晶化される。
【0086】
続いて、図17(d)に示すように、キャパシタ膜の上層となる第2の強誘電体膜125bを形成する。
詳細には、スパッタ法等により、第1の強誘電体膜125aよりも薄く、例えば膜厚5nm〜40nm程度にPZTを堆積し、第2の強誘電体膜125bを形成する。具体的な成膜条件としては、PZTターゲットを用い、投入パワー1kW、スパッタガスとしてArを流量18sccmで供給し、成膜温度50℃で19秒間成膜する。以上により、第1の強誘電体膜125a上に、膜厚10nm程度のPb量1.13のPZTからなる第2の強誘電体膜125bが形成される。第2の強誘電体膜125bは、アモルファス状態に形成される。
第2の強誘電体膜125bの材料としては、Ca,Sr,La,Nb,Ta,Ir,W,Ru等の元素を添加したPZT等を用いることもできる。
【0087】
続いて、図18(a)に示すように、SrRuO3(SRO)膜119を形成する。
詳細には、スパッタ法等により例えば膜厚1nm〜5nm程度にSROを堆積し、SRO膜119を形成する。具体的な成膜条件としては、SROターゲットを用い、投入パワー0.31kW、スパッタガスとしてArを流量100sccmで供給し、成膜温度60℃で2秒間成膜する。以上により、第2の強誘電体膜125b上に、膜厚1nm程度のSRO膜119が形成される。SRO膜119は、アモルファス状態に形成される。強誘電体のキャパシタ膜上にSRO膜を形成することにより、キャパシタ膜を薄く形成しても、キャパシタ構造における高い分極反転量を得ることができる。前述した考察から、SRO膜119を膜厚1nm〜5nm程度に形成することにより、大きな分極反転量を得ることが可能となる。
【0088】
続いて、図18(b)に示すように、上部電極の下層となる第1の上部電極膜126aを形成する。
詳細には、スパッタ法等により例えば膜厚10nm〜200nm程度にIrO2を堆積し、第1の上部電極膜126aを形成する。具体的な成膜条件としては、Irターゲットを用い、投入パワー1.91kW、スパッタガスとしてArを流量100sccm、O2を52sccmで供給し、成膜温度20℃で9秒間成膜する。以上により、SRO膜119上に、膜厚49nm程度のIrO2からなる第1の上部電極膜126aが形成される。
第1の上部電極膜126aの材料としては、IrO2の代わりにIr、Ru、RuO2、その他の導電性酸化物等を用いることもできる。
【0089】
続いて、図18(c)に示すように、半導体基板110を熱処理(第2の熱処理)する。
詳細には、第2の熱処理として、所定の急速加熱処理装置を用いて、半導体基板110をRTA処理し、第2の強誘電体膜125b及びSRO膜119を結晶化する。具体的な熱処理条件としては、雰囲気ガスとしてArを流量1.98slm、O2を20sccmで供給し、処理温度を550℃〜800℃程度、ここでは732℃、処理時間を30秒〜300秒間、ここでは118秒間とする。これにより、成膜当初はアモルファス状態であった第2の強誘電体膜125b及びSRO膜119が結晶化される。
【0090】
続いて、図18(d)に示すように、上部電極の上層となる第2の上部電極膜126bを形成する。
詳細には、スパッタ法等により例えば膜厚25nm〜250nm程度にIrO2を堆積し、第2の上部電極膜126bを形成する。具体的な成膜条件としては、Irターゲットを用い、投入パワー1.03kW、スパッタガスとしてArを流量100sccm、O2を90sccmで供給し、成膜温度20℃で28秒間成膜する。引き続き、投入パワー2.03kW、スパッタガスとしてArを流量100sccm、O2を90sccmで供給し、成膜温度20℃で4.4秒間成膜する。以上により、第1の上部電極膜126a上に、膜厚100nm程度のIrO2からなる第2の上部電極膜126bが形成される。
第2の上部電極膜126bの材料としては、IrO2の代わりにIr、Ru、RuO2、その他の導電性酸化物等を用いることもできる。
【0091】
続いて、図19(a)に示すように、TiN膜128及びシリコン酸化膜129を形成する。
詳細には、TiN膜128については、第2の上部電極膜126b上にスパッタ法等により膜厚200nm程度に堆積形成する。シリコン酸化膜129については、TiN膜128上に、例えばTEOSを用いたCVD法等により膜厚1000nm程度に堆積形成する。ここで、TEOS膜の代わりにHDP膜を形成しても良い。なお、シリコン酸化膜129上に更にシリコン窒化膜を形成しても好適である。
【0092】
続いて、図19(b)に示すように、レジストマスク101を形成する。
詳細には、シリコン酸化膜129上にレジストを塗布し、このレジストをリソグラフィーにより電極形状に加工して、レジストマスク101を形成する。
【0093】
続いて、図19(c)に示すように、シリコン酸化膜129を加工する。
詳細には、レジストマスク101をマスクとしてシリコン酸化膜129をドライエッチングする。このとき、レジストマスク101の電極形状に倣ってシリコン酸化膜129がパターニングされ、ハードマスク129aが形成される。また、レジストマスク101がエッチングされてその厚みが減少する。
【0094】
続いて、図19(d)に示すように、TiN膜128を加工する。
詳細には、レジストマスク101及びハードマスク129aをマスクとして、TiN膜128をドライエッチングする。このとき、ハードマスク129aの電極形状に倣ってTiN膜128がパターニングされ、ハードマスク128aが形成される。また、レジストマスク101は、当該エッチング中に自身がエッチングされて薄くなる。その後、灰化処理等によりレジストマスク101を除去する。
【0095】
続いて、図20(a)に示すように、第2の上部電極膜126b、第1の上部電極膜126a、SRO膜119、第2の強誘電体膜125b、第1の強誘電体膜125a、下部電極膜124、酸素バリア膜123c、及び配向性向上膜123bを加工する。
詳細には、ハードマスク128a,129aをマスクとし、上部絶縁膜123aをエッチングストッパーとする。そして、第2の上部電極膜126b、第1の上部電極膜126a、SRO膜119、第2の強誘電体膜125b、第1の強誘電体膜125a、下部電極膜124、酸素バリア膜123c、及び配向性向上膜123bをドライエッチングする。ハードマスク128aに倣って、第2の上部電極膜126b、第1の上部電極膜126a、SRO膜119、第2の強誘電体膜125b、第1の強誘電体膜125a、下部電極膜124、酸素バリア膜123c、及び配向性向上膜123bがパターニングされる。ハードマスク129aは、当該エッチング中に自身がエッチングされて薄くなる。その後、ハードマスク129aを全面ドライエッチング(エッチバック)によりエッチング除去する。
【0096】
続いて、図20(b)に示すように、強誘電体キャパシタ構造130を形成する。
詳細には、マスクとして用いられたハードマスク128aをウェットエッチングにより除去する。このとき、下部電極131上にキャパシタ膜132、SRO膜119、及び上部電極133が順次積層されてなる強誘電体キャパシタ構造130が形成される。下部電極131は下部電極膜124からなる。キャパシタ膜132は、結晶化した第1及び第2の強誘電体膜125a,125bからなる。上部電極133は、第1及び第2の上部電極膜126a,126bからなる。強誘電体キャパシタ構造130では、下部電極131が導電性の配向性向上膜123b及び酸素バリア膜123cを介して導電プラグ136と接続される。そして、導電プラグ136、配向性向上膜123b、及び酸素バリア膜123cを介してソース/ドレイン118と下部電極131とが電気的に接続される。
【0097】
続いて、図20(c)に示すように、保護膜102及び層間絶縁膜134を形成する。
詳細には、強誘電体キャパシタ構造130の全面を覆うように、アルミナ(Al23)を材料として、スパッタ法等により膜厚20nm〜50nm程度に堆積する。これにより、保護膜102が形成される。その後、保護膜102をアニール処理する。
【0098】
強誘電体キャパシタ構造130を保護膜102を介して覆うように、層間絶縁膜134を形成する。ここで、層間絶縁膜134としては、例えばTEOSを用いたプラズマCVD法等により、シリコン酸化膜を膜厚1500nm〜2500nm程度に堆積した後、CMPにより例えば膜厚が1000nm程度となるまで研磨して形成する。CMPの後に、層間絶縁膜134の脱水を目的として、例えばN2Oのプラズマアニール処理を施す。
【0099】
続いて、図21(a)に示すように、強誘電体キャパシタ構造130の上部電極132へのビア孔135aを形成する。
詳細には、リソグラフィー及びそれに続くドライエッチングにより層間絶縁膜134及び保護膜102をパターニングする。これにより、上部電極133の表面の一部を露出させるビア孔135aが形成される。
【0100】
続いて、図21(b)に示すように、強誘電体キャパシタ構造130との上部電極132と接続される導電プラグ135を形成する。
詳細には、ビア孔135aの壁面を覆うように下地膜(グルー膜)135bを形成した後、CVD法等によりグルー膜135bを介してビア孔135aを埋め込むようにW膜を形成する。そして、層間絶縁膜134をストッパーとして例えばW膜及びグルー膜135bをCMPにより研磨する。以上により、ビア孔135a内をグルー膜135bを介してWで埋め込む導電プラグ135が形成される。CMPの後に、例えばN2Oのプラズマアニール処理を施す。
【0101】
続いて図22(a)に示すように、導電プラグ135とそれぞれ接続される第1の配線145を形成する。
詳細には、層間絶縁膜134上の全面にスパッタ法等によりバリアメタル膜142、配線膜143及びバリアメタル膜144を堆積する。バリアメタル膜142としては、スパッタ法等により例えばTi膜を膜厚5nm程度及びTiN膜を膜厚150nm程度に積層成膜する。配線膜143としては、例えばAl合金膜(ここではAl−Cu膜)を膜厚350nm程度に成膜する。バリアメタル膜144としては、スパッタ法等により例えばTi膜を膜厚5nm程度及びTiN膜を膜厚150nm程度に積層成膜する。ここで、配線膜143の構造は、同一ルールのFeRAM以外のロジック部と同じ構造とされているため、配線の加工や信頼性上の問題はない。
【0102】
反射防止膜として例えばSiON膜又は反射防止膜(不図示)を成膜した後、リソグラフィー及びそれに続くドライエッチングにより反射防止膜、バリアメタル膜144、配線膜143及びバリアメタル膜142を配線形状に加工する。これにより、導電プラグ135と接続される第1の配線145が形成される。なお、配線膜143としてAl合金膜を形成する代わりに、いわゆるダマシン法等を利用してCu膜(又はCu合金膜)を形成し、第1の配線145としてCu配線を形成しても良い。
【0103】
続いて、図22(b)に示すように、第1の配線145と接続される第2の配線154を形成する。
詳細には、第1の配線145を覆うように層間絶縁膜146を形成する。層間絶縁膜146としては、シリコン酸化膜を膜厚700nm程度に成膜し、プラズマTEOS膜を形成して膜厚を全体で1100nm程度とした後に、CMPにより表面を研磨して、膜厚を750nm程度に形成する。
【0104】
次に、第1の配線145と接続される導電プラグ147を形成する。
第1の配線145の表面の一部が露出するまで、層間絶縁膜146をリソグラフィー及びそれに続くドライエッチングにより加工する。これにより、例えば約0.25μm径のビア孔147aが形成される。このビア孔147aの壁面を覆うように下地膜(グルー膜)148を形成した後、CVD法等によりグルー膜148を介してビア孔147aを埋め込むようにW膜を形成する。そして、層間絶縁膜146をストッパーとして例えばW膜及びグルー膜148を研磨する。以上により、ビア孔147a内をグルー膜148を介してWで埋め込む導電プラグ147が形成される。
【0105】
導電プラグ147とそれぞれ接続される第2の配線154を形成する。
全面にスパッタ法等によりバリアメタル膜151、配線膜152及びバリアメタル膜153を堆積する。バリアメタル膜151としては、スパッタ法等により例えばTi膜を膜厚5nm程度及びTiN膜を膜厚150nm程度に積層成膜する。配線膜152としては、例えばAl合金膜(ここではAl−Cu膜)を膜厚350nm程度に成膜する。バリアメタル膜153としては、スパッタ法等により例えばTi膜を膜厚5nm程度及びTiN膜を膜厚150nm程度に積層成膜する。ここで、配線膜152の構造は、同一ルールのFeRAM以外のロジック部と同じ構造とされているため、配線の加工や信頼性上の問題はない。
【0106】
反射防止膜として例えばSiON膜又は反射防止膜(不図示)を成膜した後、リソグラフィー及びそれに続くドライエッチングにより反射防止膜、バリアメタル膜153、配線膜152及びバリアメタル膜151を配線形状に加工する。これにより、第2の配線154が形成される。なお、配線膜152としてAl合金膜を形成する代わりに、いわゆるダマシン法等を利用してCu膜(又はCu合金膜)を形成し、第2の配線154としてCu配線を形成しても良い。
【0107】
しかる後、層間絶縁膜や更なる上層配線の形成等の諸工程を経て、本実施形態によるスタック型のFeRAMを形成する。
【0108】
以上説明したように、本実施形態によれば、キャパシタ膜132の薄膜化を図るも、リーク電流の増加を抑止しつつ大きな分極反転量を確保し、薄いキャパシタ膜132を有する信頼性の高い強誘電体キャパシタ構造130を備えたスタック型のFeRAMが実現される。
【符号の説明】
【0109】
10,110 半導体基板
11,111 素子分離構造
12,112 ウェル
13,113 ゲート絶縁膜
14,114 ゲート電極
15,115 キャップ膜
16,116 LDD領域
17,117 サイドウォール絶縁膜
18,118 ソース/ドレイン領域
19,119 SRO膜
20,120 MOSトランジスタ
21,23,27,28,102,121 保護膜
22a,22b,29,46,122,134,146 層間絶縁膜
24,124 下部電極膜
25a,125a 第1の強誘電体膜
25b,125b 第2の強誘電体膜
26a,126a 第1の上部電極膜
26b,126b 第2の上部電極膜
30,130 強誘電体キャパシタ構造
31,131 下部電極
32,132 キャパシタ膜
33,133 上部電極
34,35,36,47,135,136,147 導電プラグ
34a,35a,36a,47a,135a,136a,147a ビア孔
34b,35b,36b,48,135b,136b,148 グルー膜
37 レジストマスク
37a,37b,38a,38b 開口
38 ハードマスク
42,44,51,53,142,144,151,153 バリアメタル膜
43,52,143,152 配線膜
45,145 第1の配線
54,154 第2の配線
101 レジストマスク
123a 上部絶縁膜
123b 配向性向上膜
123c 酸素バリア膜
128 TiN膜
128a,129a ハードマスク
129 シリコン酸化膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の上方に下部電極となる第1の電極膜を形成する工程と、
前記第1の電極膜上に、第1の誘電体膜を形成する工程と、
前記半導体基板に第1の熱処理を施す工程と、
前記第1の誘電体膜上に、第2の誘電体膜を形成する工程と、
前記第2の誘電体膜上にSrRuO3膜を形成する工程と、
前記SrRuO3膜上に、前記上部電極の少なくとも一部となる第2の電極膜を形成する工程と、
前記半導体基板に第2の熱処理を施す工程と
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記第2の誘電体膜を形成する工程において、前記第2の誘電体膜をアモルファス状態に形成することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記SrRuO3膜を1nm以上5nm以下の膜厚に形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記第1の誘電体膜及び前記第2の誘電体膜は、強誘電体で形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記第1の誘電体膜及び前記第2の誘電体膜は、Pb(Zrx,Ti1-x)3(0<x<1)、又は元素添加されたPb(Zrx,Ti1-x)3で形成されることを特徴とする請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記第2の誘電体膜は、前記第1の誘電体膜よりも膜厚が小さいことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記SrRuO3膜をスパッタ法により形成することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記第2の電極膜はIrを含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−74479(P2012−74479A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−217292(P2010−217292)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(308014341)富士通セミコンダクター株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】