説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】素子分離領域のエッチングを生じさせることなく、基板上にサイドウォール幅が異なる複数のトランジスタを精度良く形成できるようにする。
【解決手段】
半導体装置の製造方法において、まず第1のゲート電極134及び第2のゲート電極144を覆うように、第1の絶縁膜151及び第2の絶縁膜152を順次形成する。この後、第2の絶縁膜152における第1の領域103の上に形成された部分を除去する。この後、基板101の上に第3の絶縁膜153を形成する。この後、第2の絶縁膜152及び第3の絶縁膜153を選択的に除去することにより、第1のゲート電極134の側面上に第3の絶縁膜153からなる第1の外側サイドウォール136を形成し、第2のゲート電極144の側面上に第2の絶縁膜152及び第3の絶縁膜153からなる第2の外側サイドウォール146を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関し、特にサイドウォールの幅が異なる複数のトランジスタを有する半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置の微細化に伴い、マイクロコンピュータ等の演算回路及び内蔵メモリ等に使用されるコア回路と、外部とのインターフェースとして用いられる入出力回路との電源電圧の差が増大している。また、高機能化のために多様な電源電圧のトランジスタを1つのチップ上に搭載する動きが加速している。
【0003】
半導体装置に使用されているMIS(金属−絶縁膜−半導体)型電界効果トランジスタにおいては、ソース/ドレインとチャネルとの境界における不純物濃度の変化を低減し、ホットキャリアによるトランジスタの劣化を抑制するためにLDD(Lightly Doped Drain)構造が多用されている。LDD構造においては、トランジスタのゲート電極の両側にソース/ドレイン領域よりも低濃度の不純物を注入した後、ゲート電極の側壁にサイドウォールを形成し、サイドウォール越しに高濃度の不純物を注入してソース/ドレイン領域を形成する。
【0004】
LDD構造の場合、一般的に、電源電圧の高いトランジスタのサイドウォール幅は、電源電圧の低いトランジスタよりも大きくする必要がある。トランジスタのサイドウォール幅が設計値よりも小さくなると、ソース/ドレインとチャネルとの境界領域における不純物濃度の変化が急峻になる。これにより、チャネルを流れるキャリアがエネルギーを得て、いわゆるホットキャリアとなり、ゲート絶縁膜に注入される。ゲート絶縁膜に注入されたホットキャリアは、ゲート絶縁膜に欠陥を発生させたり、ゲート絶縁膜中にトラップされたりする。その結果、トランジスタのしきい値の変動及び信頼性の低下が生じる。逆に、サイドウォール幅が設計よりも大きくなると、拡散層の抵抗値が上昇し、トランジスタの駆動能力が低下する。このように、LDD構造のサイドウォールの幅は、トランジスタの特性に多大な影響を与えるため、その制御は重要である。そこで、個々のトランジスタのサイドウォール幅を制御する種々の技術が報告されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2−139965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の半導体装置の製造方法においては、サイドウォール形成用の酸化膜に対して長時間のエッチングを行うことにより、幅が小さいサイドウォールを形成する。長時間のエッチングを行うと、サイドウォール形成用の酸化膜だけでなく、素子分離領域と活性領域との境界近傍において素子分離領域がエッチングされ、活性領域の側面にpn接合が露出するおそれがある。活性領域の側面にpn接合が露出すると、シリサイド層を形成した場合に接合リークが発生する原因となる。
【0007】
素子分離領域のエッチングを避けるために、素子分離領域の上においてエッチングマスクが重なり合うようにすると、エッチングマスクが重なった部分においてサイドウォール用の酸化膜がエッチングされず、細い柱状に残存するおそれがある。細い柱状に残存した酸化膜が製造工程中に折れると、パーティクルが発生し、製品歩留まりが低下する。さらに、パーティクルは、後工程の設備に悪影響を及ぼす。
【0008】
本発明は、前記の問題を解決し、素子分離領域のエッチングを生じさせることなく、基板上にサイドウォール幅が異なる複数のトランジスタを精度良く形成できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するため、本発明は半導体装置の製造方法を、積層された複数の絶縁膜からサイドウォールを形成し、サイドウォールを形成する絶縁膜の積層数を変えることによりサイドウォール幅を制御する構成とする。
【0010】
具体的に、本発明に係る半導体装置の製造方法は、基板に素子分離領域により互いに分離された第1の領域及び第2の領域を形成する工程(a)と、第1の領域の上に第1のゲート絶縁膜を介在させて第1のゲート電極を形成し、第2の領域の上に第2のゲート絶縁膜を介在させて第2のゲート電極を形成する工程(b)と、第1のゲート電極及び第2のゲート電極を覆うように、第1の絶縁膜及び第2の絶縁膜を順次形成する工程(c)と、工程(c)よりも後に、第2の絶縁膜における第1の領域の上に形成された部分を除去する工程(d)と、工程(d)よりも後に、基板の上に第3の絶縁膜を形成する工程(e)と、工程(e)よりも後に、第2の絶縁膜及び第3の絶縁膜をエッチバックすることにより、第1のゲート電極の側面上に第3の絶縁膜からなる第1の外側サイドウォールを形成し、第2のゲート電極の側面上に第2の絶縁膜及び第3の絶縁膜からなる第2の外側サイドウォールを形成する工程(f)と、工程(f)よりも後に、第1の絶縁膜における第1の外側サイドウォール及び第2の外側サイドウォールに覆われていない部分を除去することにより、第1のゲート電極の側面上に第1の内側サイドウォールを形成し、第2のゲート電極の側面上に第2の内側サイドウォールを形成する工程(g)とを備え、第2のゲート電極は、第1のゲート電極よりもゲート長が長く、第1の絶縁膜と第2の絶縁膜とは、互いに異なる材料からなり、第2の絶縁膜と第3の絶縁膜とは、同一の材料からなる。
【0011】
本発明の半導体装置の製造方法は、第2の絶縁膜における第1の領域の上に形成された部分を除去する工程(d)と、工程(d)よりも後に、基板の上に第3の絶縁膜を形成する工程(e)と、工程(e)よりも後に、第2の絶縁膜及び第3の絶縁膜をエッチバックすることにより、第1のゲート電極の側面上に第3の絶縁膜からなる第1の外側サイドウォールを形成し、第2のゲート電極の側面上に第2の絶縁膜及び第3の絶縁膜からなる第2の外側サイドウォールを形成する工程(f)とを備えている。このため、第1の外側サイドウォールの幅と第2の外側サイドウォールの幅を正確に制御することができる。また、第2の絶縁膜の下に第1の絶縁膜を形成するため、第2の絶縁膜及び第3の絶縁膜をエッチングする際に、素子分離領域及びゲート絶縁膜等がエッチングされることがない。
【0012】
本発明の半導体装置の製造方法において、工程(d)では、ウエットエッチングにより第2の絶縁膜を除去すればよい。
【0013】
本発明の半導体装置の製造方法において、第1の絶縁膜はシリコン窒化膜であり、第2の絶縁膜及び第3の絶縁膜はシリコン酸化膜である構成とすればよい。
【0014】
本発明の半導体装置の製造方法において、第1の外側サイドウォールは、第2の外側サイドウォールよりも幅が狭くしてもよい。
【0015】
本発明の半導体装置の製造方法において、第1のゲート絶縁膜は、第2のゲート絶縁膜よりも膜厚が薄くしてもよい。
【0016】
本発明の半導体装置の製造方法において、第1の領域は、第1のトランジスタの形成領域であり、第2の領域は、第2のトランジスタの形成領域であり、第1のトランジスタは、電源電圧が1.1V以上且つ2.0V以下であり、第2のトランジスタは、電源電圧が3.3V以上且つ7.0V以下である構成とすればよい。
【0017】
本発明の半導体装置の製造方法において、第1のゲート電極は、ゲート長が30nm以上且つ180nm以下であり、第2のゲート電極は、ゲート長が200nm以上且つ700nm以下である構成とすればよい。
【0018】
本発明の半導体装置の製造方法は、工程(b)よりも後で且つ工程(c)よりも前に、基板の上に第4の絶縁膜を形成する工程(h)をさらに備え、工程(g)において、第1の絶縁膜の露出部分を除去した後、第4の絶縁膜の露出部分を除去してもよい。
【0019】
本発明の半導体装置の製造方法は、工程(b)よりも後で且つ工程(c)よりも前に、基板の上に第4の絶縁膜を形成する工程(h)と、第4の絶縁膜を選択的に除去することにより第1のゲート電極及び第2のゲート電極の側面上にオフセットスペーサを形成する工程(i)とをさらに備えていてもよい。
【0020】
本発明の半導体装置の製造方法において、第4の絶縁膜はシリコン酸化膜としてもよい。
【0021】
本発明の半導体装置の製造方法において、工程(f)は、第1の絶縁膜における第1のゲート電極の上に形成された部分が露出するまで第2の絶縁膜及び第3の絶縁膜を除去する工程(f1)と、工程(f1)よりも後に、第1の絶縁膜における第2のゲート電極の上に形成された部分が露出するまで、第2の絶縁膜及び第3の絶縁膜における第2の領域の上に形成された部分を除去する工程(f2)とを含んでいてもよい。
【0022】
本発明に係る半導体装置は、基板の第1の領域に形成された第1のトランジスタ及び第2の領域に形成された第2のトランジスタを備え、第1のトランジスタは、基板の上に第1のゲート絶縁膜を介在させて形成された第1のゲート電極と、第1のゲート電極の側面上に形成された第1の内側サイドウォールと、第1の内側サイドウォールの上に形成された第1の外側サイドウォールとを有し、第2のトランジスタは、基板の上に第2のゲート絶縁膜を介在させて形成された第2のゲート電極と、第2のゲート電極の側面上に形成された第2の内側サイドウォールと、第2の内側サイドウォールの上に形成された第2の外側サイドウォールとを有し、第1の内側サイドウォール及び第2の内側サイドウォールと第1の外側サイドウォール及び第2の外側サイドウォールとは、互いに異なる材料からなり、第1の外側サイドウォールは、単層膜からなり、第2の外側サイドウォールは、積層膜からなる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る半導体装置の製造方法によれば、素子分離領域のエッチングを生じさせることなく、基板上にサイドウォール幅が異なる複数のトランジスタを精度良く形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】(a)〜(c)は一実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図2】(a)〜(c)は一実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図3】(a)〜(c)は一実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図4】一実施形態に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図5】従来のサイドウォールの製造方法の問題点を示す断面図である。
【図6】(a)〜(c)は一実施形態の第1変形例に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図7】(a)〜(c)は一実施形態の第2変形例に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図8】(a)〜(c)は一実施形態の第2変形例に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図9】(a)及び(b)は一実施形態の第2変形例に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図10】(a)〜(c)は一実施形態の第3変形例に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図11】(a)〜(c)は一実施形態の第3変形例に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図12】(a)及び(b)は一実施形態の第3変形例に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図13】(a)及び(b)は一実施形態の第3変形例に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(一実施形態)
まず、図1(a)に示すように、シリコン基板等の基板101に厚さが300nmのシリコン酸化膜からなるシャロートレンチ(STI)構造の素子分離領域102を形成し、互いに分離された2つの素子領域を形成する。続いて、低耐圧トランジスタである第1のトランジスタを形成する第1の領域103において素子領域の上部に第1のPウェル131を形成し、高耐圧トランジスタである第2のトランジスタを形成する第2の領域104において素子領域の上部に第2のPウェル141を形成する。
【0026】
次に、図1(b)に示すように、第1のトランジスタの第1のゲート絶縁膜133及び第1のゲート電極134と、第2のトランジスタの第2のゲート絶縁膜143及び第2のゲート電極144とを形成する。具体的には、第1の領域103の上に厚さが2nmのシリコン酸化膜を形成し、第2の領域104の上に厚さが20nmのシリコン酸化膜を形成した後、第1の領域103及び第2の領域104の上に厚さが200nmのポリシリコン膜を形成する。続いて、リソグラフィを利用したパターニングを実施し、エッチングを行う。これにより、第1の領域103の上に第1のゲート絶縁膜133及び第1のゲート電極134を形成し、第2の領域104の上に第2のゲート絶縁膜143及び第2のゲート電極144を形成する。第1のゲート電極134はゲート長を180nmとし、第2のゲート電極144はゲート長を600nmとする。
【0027】
次に、図1(c)に示すように、リソグラフィ法によりレジストマスクをパターニングし、第1の領域103を覆い、第2の領域104を露出するレジスト膜171を形成する。レジスト膜171を注入マスクとして、第2の領域104にリン(P)をイオンを注入する。イオン注入は、加速電圧を80keVとし、ドーズ量を2×1013/cm2とする。これにより、第2の領域104の上部に、第2のトランジスタ用の第2のN型エクステンション拡散層145を形成する。
【0028】
次に、レジスト膜171を除去した後、図2(a)に示すように、リソグラフィ法によりレジストマスクをパターニングし、第2の領域104を覆い、第1の領域103を露出するレジスト膜172を形成する。レジスト膜172を注入マスクとして第1の領域103にリンをイオン注入する。イオン注入は、加速電圧を12keVとし、ドーズ量を5×1014cm2とする。これにより、第1の領域103の上部に第1のトランジスタ用の第1のN型エクステンション拡散層135を形成する。
【0029】
次に、レジスト膜172を除去した後、図2(b)に示すように第1のゲート電極134及び第2のゲート電極144を覆うように、厚さが15nmのシリコン窒化膜からなる第1の絶縁膜151を堆積し、続いて厚さが40nmのシリコン酸化膜からなる第2の絶縁膜152を堆積する。
【0030】
次に、図2(c)に示すように第2の領域104を覆い、第1の領域103を露出するレジスト膜173を形成し、続いてウエットエッチングにより第1の領域103上に形成された第2の絶縁膜152を除去する。シリコン酸化膜からなる第2の絶縁膜152は、例えばフッ酸(HF)と水とを1対20の割合で混合した希フッ酸を用いてエッチングすればよい。第1のゲート絶縁膜133及び素子分離領域102は、シリコン窒化膜からなる第1の絶縁膜151に覆われているため、エッチングされない。
【0031】
次に、レジスト膜173を除去した後、図3(a)に示すように厚さが50nmのシリコン酸化膜からなる第3の絶縁膜153を堆積する。
【0032】
次に、図3(b)に示すように全面エッチバックにより第1のゲート電極134の側面上に第1の外側サイドウォール136を形成し、第2のゲート電極144の側面上に第2の外側サイドウォール146を形成する。第3の絶縁膜153及び第2の絶縁膜152のエッチバックは、ドライエッチングにより第2の領域104において第1の絶縁膜151の一部が露出するまで行えばよい。ドライエッチングは、例えば下部電極にのみ単一周波数(例えば、13.56MHz)の高周波電力を印加する下部1周波のRIE方式のエッチング装置を用い、エッチングガスにパーフルオロシクロブタン(C48)、アルゴン(Ar)及び酸素(O2)をそれぞれ22sccm(標準状態でのcm3/min)、1500sccm及び4sccmの流量でチャンバ内に供給し、チャンバ内の圧力を30mTorr(約4Pa)とし、高周波電力を250Wとし、基板温度を20℃として行えばよい。このようなエッチング条件とすることにより、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜との選択比を5程度とすることができる。
【0033】
第2の領域104において、第1の絶縁膜151の上に堆積されているシリコン酸化膜の膜厚は、第2の絶縁膜152の膜厚と第3の絶縁膜153の膜厚との和であり、90nmとなる。一方、第1の領域103においては、第2の絶縁膜152が除去されているため、第1の絶縁膜151の上に堆積されているシリコン酸化膜の膜厚は50nmとなる。第2の領域104において第1の絶縁膜151が露出するようにする場合には、シリコン酸化膜の膜厚に約20%のオーバーエッチ量を加えて、シリコン酸化膜として108nm相当のエッチングをする必要がある。シリコン酸化膜とシリコン窒化膜との選択比が5程度である場合には、第2の領域104においては、第1の絶縁膜151は約4nmエッチングされることになる。一方、第1の領域103においては、シリコン酸化膜として58nmに相当するオーバーエッチが生じ、第1の絶縁膜151は約12nmエッチングされる。このように、第1の絶縁膜151の膜厚が15nmの場合には、第2の絶縁膜152及び第3の絶縁膜153を除去するエッチングにおいて、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜との選択比を5程度とすれば、シリコン窒化膜からなる第1の絶縁膜151においてエッチングを停止させることができ、基板101及び素子分離領域102がエッチングされることはない。
【0034】
次に、図3(c)に示すように全面エッチバックにより基板101が露出するまで第1の絶縁膜151を除去する。この際に、第1のゲート電極134及び第2のゲート電極144上の第1の絶縁膜151も同時に除去される。これにより、第1のゲート電極134の側面上に、第1の内側サイドウォール137及び第1の外側サイドウォール136を有する第1のサイドウォール138が形成され、第2のゲート電極144の側面上に第2の内側サイドウォール147及び第2の外側サイドウォール146を有する第2のサイドウォール148が形成される。第1の絶縁膜のエッチングは、例えば、下部1周波のRIE方式のエッチング装置を用い、エッチングガスに4フッ化炭素(CF4)、2フッ化エチレン(CH22)、Ar及びO2をそれぞれ50sccm、30sccm、1500sccm及び30sccmの流量でチャンバ内に供給し、チャンバ内の圧力を60mTorr(約8Pa)とし、高周波電力を250Wとし、基板温度を20℃として行えばよい。
【0035】
次に、図4に示すように、第1のゲート電極134及び第1のサイドウォール138をマスクとして、第1の領域103にイオン注入を行い、第2のゲート電極144及び第2のサイドウォール148をマスクとして、第2の領域104にイオン注入を行う。これにより、第1の領域103に第1のN型ソースドレイン拡散層139を形成し、第2の領域104に第2のN型ソースドレイン拡散層149を形成する。イオン注入は、例えば20keVの加速電圧でドーズ量が4×1014/cm2となるように砒素(As)イオンを注入すればよい。続いて、第1のN型ソースドレイン拡散層139及び第2のN型ソースドレイン拡散層149を活性化する熱処理を行う。熱処理は、例えば1000℃で10秒間の高速熱処理とすればよい。この後、第1のN型ソースドレイン拡散層139、第2のN型ソースドレイン拡散層149、第1のゲート電極134及び第2のゲート電極144の上部にシリサイド層107を形成する工程等を行えばよい。これにより、第1の領域103に幅が60nm程度の第1のサイドウォール138を有する第1のトランジスタが形成され、第2の領域104に幅が105nm程度の第2のサイドウォール148を有する第2のトランジスタが形成される。
【0036】
本実施形態の半導体装置製造方法は、サイドウォールの幅をシリコン酸化膜である第2の絶縁膜152及び第3の絶縁膜153の膜厚により制御することができ、サイドウォールの幅を自由に設定することが可能である。また、第1の領域103においてシリコン酸化膜である第2の絶縁膜152をウエットエッチングにより除去する際に、第1のゲート絶縁膜133はシリコン窒化膜からなる第1の絶縁膜151に覆われている。このため、第1のゲート絶縁膜133にサイドエッチが生じず、信頼性が高いトランジスタを形成することができる。さらに、第2の絶縁膜152及び第3の絶縁膜153をエッチングする際に、エッチング選択比が高い条件でエッチングを行うことにより、第1の絶縁膜151においてエッチングを止めることができる。このため、特に第1の領域103において素子分離領域102がエッチングされることがなく、シリサイド層107を形成する際に接合リークが生じるおそれがない。
【0037】
本実施形態では第1のトランジスタの第1の外側サイドウォール136と第2のトランジスタの第2の外側サイドウォール146とを同一のエッチング工程において形成する。第1のトランジスタのサイドウォールと第2のトランジスタのサイドウォールとを別々の工程により形成する場合には、サイドウォールを形成するための酸化膜が素子分離領域の上に残存するおそれがある。例えば、図5に示すように、第2のトランジスタのサイドウォール546を形成する際に第1の領域503を覆うレジスト膜571の端部が第2の領域504側に突出し、第1のトランジスタのサイドウォール536を形成する際にレジスト膜に覆われていた領域と重なりが生じると、素子分離領域502の上に細い柱状の酸化膜511が残存する。酸化膜511は折れやすく、酸化膜511が折れることによりパーティクルが発生すると、製品の歩留まりが低下する。また、パーティクルは後工程の設備に悪影響を及ぼす。しかし、本実施形態では、このような酸化膜の残存が生じることがない。
【0038】
(一実施形態の第1変形例)
一実施形態において、第1の外側サイドウォール136と第2の外側サイドウォール146とを同じ工程において形成する例を示した。しかし、第1の外側サイドウォール136と第2の外側サイドウォール146とを順次形成してもよい。
【0039】
第3の絶縁膜153を形成するまでの工程は、一実施形態において示した工程と同様に行う。
【0040】
次に、図6(a)に示すように、第2の絶縁膜152及び第3の絶縁膜153を、第1の領域103において第1の絶縁膜151が露出するまでエッチバックする。これにより、第1の領域103においては、第1のゲート電極134の側面上に第1の外側サイドウォール136が形成され、第2の領域104においては第2の絶縁膜152及び第3の絶縁膜153が残存し、第1の絶縁膜151が露出していない状態となる。
【0041】
次に、図6(b)に示すように、第1の領域103を覆い第2の領域104を露出するレジスト膜174を形成する。続いて、第2の領域104において、第1の絶縁膜151が露出するまで第2の絶縁膜152及び第3の絶縁膜153をエッチングする。これにより、第2の領域104において第2のゲート絶縁膜の側面上に第2の外側サイドウォール146が形成される。第2の絶縁膜152及び第3の絶縁膜153は、一実施形態と同様の条件でエッチングすればよい。
【0042】
次に、レジスト膜174を除去した後、図6(c)に示すように、一実施形態と同様にして第1の絶縁膜151の露出している部分を除去する。これにより、第1の内側サイドウォール137及び第1の外側サイドウォール136を有する第1のサイドウォール138と、第2の内側サイドウォール147及び第2の外側サイドウォール146を有する第2のサイドウォール148を形成する。第1の絶縁膜151は、一実施形態と同様の条件でエッチングすればよい。
【0043】
この後、一実施形態と同様にしてN型ソースドレイン拡散層及びシリサイド層等を形成すればよい。
【0044】
本変形例の半導体装置の製造方法は、一実施形態と同様に、サイドウォールの幅を自由に設定することが可能である。また、第1のゲート絶縁膜133にサイドエッチが生じず、信頼性が高いトランジスタを形成することができる。さらに、シリサイド層107を形成する際に接合リークが生じるおそれがない。
【0045】
本変形例は、第2の外側サイドウォール146を形成する際に、第1の領域103をレジスト膜174で覆っている。このため、第1の外側サイドウォール136が過剰にオーバーエッチされない。第1のサイドウォール138の幅を第2のサイドウォール148の幅よりも極端に細くする場合、第3の絶縁膜の膜厚を薄くする必要がある。この場合には、第1の領域103におけるオーバーエッチ量が増大するため、第1の絶縁膜151においてエッチングを停止させることができず、下地がエッチングされるおそれがある。本変形例では、第1の外側サイドウォール136を形成した後、第2の外側サイドウォールを形成するため、第1の領域103における第1の絶縁膜151のエッチング量が増大するおそれがない。また、第1の外側サイドウォール136が過剰にエッチングされないため、第1のサイドウォール138の高さが第1のゲート電極134の高さよりも低くならない。このため、N型ソースドレイン拡散層を形成するイオン注入を行う際に、イオン種が基板を突き抜けるおそれも生じない。
【0046】
(一実施形態の第2変形例)
一実施形態において、第1のN型エクステンション拡散層135及び第2のN型エクステンション拡散層145は、それぞれ第1のゲート電極134及び第2のゲート電極144を注入マスクとして形成する例を示した。本変形例においては、ゲート電極の側面上にオフセットスペーサを形成した後、N型エクステンション拡散層を形成するイオン注入を行う。
【0047】
第1のゲート電極134及び第2のゲート電極144を形成するまでの工程は、一実施形態において示した工程と同様に行う。
【0048】
次に、図7(a)に示すように、第1のゲート電極134及び第2のゲート電極144を覆うように厚さが10nmのシリコン酸化膜からなる第4の絶縁膜161を形成する。
【0049】
次に、図7(b)に示すように、全面エッチバックにより基板101が露出するまで第4の絶縁膜161をエッチングし、第1のゲート電極134及び第2のゲート電極144の側面上にオフセットスペーサ162を形成する。第4の絶縁膜161のエッチングは、例えば下部1周波のRIE方式のエッチング装置を用い、エッチングガスにC48、Ar及びO2をそれぞれ22sccm、1500sccm及び4sccmの流量でチャンバ内に供給し、チャンバ内の圧力を30mTorrとし、高周波電力を250Wとし、基板温度を20℃として行えばよい。
【0050】
次に、図7(c)に示すように、第1の領域103を覆い第2の領域104を露出するレジスト膜175を形成し、第2のゲート電極144及びオフセットスペーサ162を注入マスクとして第2の領域104にイオン注入を行う。これにより、第2のN型エクステンション拡散層145が形成される。イオン注入は、一実施形態において示した工程と同様の条件で行えばよい。
【0051】
次に、レジスト膜175を除去した後、図8(a)に示すように、第2の領域104を覆い第1の領域103を露出するレジスト膜176を形成し、第1のゲート電極134及びオフセットスペーサ162を注入マスクとして第1の領域103にイオン注入を行う。これにより、第1のN型エクステンション拡散層135が形成される。イオン注入は、一実施形態において示した工程と同様の条件で行えばよい。
【0052】
次に、レジスト膜176を除去した後、図8(b)に示すように、一実施形態と同様にして、第1の絶縁膜151、第2の絶縁膜152を順次形成し、第1の領域103において第2の絶縁膜152を除去した後、基板101上の全面に第3の絶縁膜153を形成する。この後、第2の絶縁膜152及び第3の絶縁膜153を全面エッチバックすることにより第1の外側サイドウォール136及び第2の外側サイドウォール146を形成する。次に、図8(c)に示すように、第1の絶縁膜151の露出部分を除去して第1の内側サイドウォール137及び第2の内側サイドウォール147を形成する。さらに、図示しないが一実施形態と同様にして、第1のゲート電極134、オフセットスペーサ162及び第1のサイドウォール138をマスクとして第1の領域103にイオン注入を行い、第2のゲート電極144、オフセットスペーサ162及び第2のサイドウォール148をマスクとして第2の領域104にイオン注入を行う。これにより、N型ソースドレイン拡散層を形成する。N型ソースドレイン拡散層を形成した後、シリサイド層等の形成を行う。
【0053】
また、第3の絶縁膜153を形成した後、図9(a)に示すように第1変形例と同様にして、まず第1の外側サイドウォール136を形成し、続いて図9(b)に示すように第2の外側サイドウォール146を形成してもよい。
【0054】
本変形例の半導体装置の製造方法は、一実施形態と同様に、サイドウォールの幅を自由に設定することが可能である。また、第1のゲート絶縁膜133にサイドエッチが生じず、信頼性が高いトランジスタを形成することができる。さらに、シリサイド層107を形成する際に接合リークが生じるおそれがない。
【0055】
本変形例の半導体装置の製造方法は、オフセットサイドウォールを形成した後、エクステンション拡散層を形成するため、ショートチャネル効果を低減することができる。また、第4の絶縁膜の半導体基板上に形成された部分を除去した後、エクステンション拡散層の形成を行っているため、エクステンション拡散層を半導体基板から浅く形成するプロセスを使用する際に、注入プロファイルの制御が容易となる。
【0056】
また、シリコン窒化膜からなる第1の絶縁膜とゲート絶縁膜との間にシリコン酸化膜からなるオフセットサイドウォールが形成されている。シリコン窒化膜からなる第1の絶縁膜とゲート絶縁膜とが直接接すると、ゲート絶縁膜と第1の絶縁膜との界面近傍に界面準位が形成されホットキャリア及びNBTI(Negative bias temperature instability)等の信頼性を低下させる問題が発生するおそれがある。本変形例においては、シリコン酸化膜からなるオフセットスペーサが、シリコン窒化膜からなる第1の絶縁膜とゲート絶縁膜との間に形成されているため、このような問題は発生しない。
【0057】
(一実施形態の第3変形例)
第2変形例においては、第4の絶縁膜をエッチバックしてオフセットスペーサを形成した後、エクステンション拡散層のイオン注入を行う例を示した。しかし、第4の絶縁膜を残存させてエクステンション拡散層のイオン注入を行ってもよい。
【0058】
第4の絶縁膜161を形成するまでの工程は、第2変形例において示した工程と同様に行う。
【0059】
次に、図10(a)に示すように、第1の領域103を覆い第2の領域104を露出するレジスト膜178を形成した後、第2の領域104にイオン注入を行い、第2のN型エクステンション拡散層145を形成する。イオン注入は、一実施形態において示した工程と同様の条件で行えばよい。
【0060】
次に、レジスト膜178を除去した後、図10(b)に示すように、第2の領域104を覆い第1の領域103を露出するレジスト膜179を形成した後、第1の領域103にイオン注入を行い、第1のN型エクステンション拡散層135を形成する。イオン注入は、一実施形態において示した工程と同様の条件で行えばよい。
【0061】
次に、レジスト膜179を除去した後、図10(c)に示すように、第4の絶縁膜161の上に第1の絶縁膜151及び第2の絶縁膜152を順次形成する。
【0062】
次に、図11(a)に示すように、第1の領域103を露出し第2の領域104を覆うレジスト膜173を形成し、第2の絶縁膜152における第1の領域103に形成された部分を除去する。第2の絶縁膜152のエッチングは、一実施形態において示した工程と同様の条件で行えばよい。
【0063】
次に、レジスト膜173を除去した後、図11(b)に示すように、第1の領域103及び第2の領域104に第3の絶縁膜153を形成する。
【0064】
次に、図11(c)に示すように、第2の絶縁膜152及び第3の絶縁膜153を全面エッチバックし、第1の外側サイドウォール136及び第2の外側サイドウォール146を形成する。第2の絶縁膜152及び第3の絶縁膜153のエッチングは、一実施形態において示した工程と同様の条件で行えばよい。
【0065】
次に、図12(a)に示すように、第1の絶縁膜151の露出部分をエッチングし、この後、第4の絶縁膜161の露出部分をエッチングする。これにより、第1の絶縁膜151及び第4の絶縁膜161を有する第1の内側サイドウォール137と、第1の絶縁膜151及び第4の絶縁膜161を有する第2の内側サイドウォール147を形成する。第1の絶縁膜151のエッチングは一実施形態において示した工程と同様の条件で行えばよい。第4の絶縁膜161のエッチングは、例えば下部1周波のRIE方式のエッチング装置を用い、エッチングガスにC48、Ar及びO2をそれぞれ22sccm、1500sccm及び4sccmの流量でチャンバ内に供給し、チャンバ内の圧力を30mTorrとし、高周波電力を250Wとし、基板温度を20℃として行えばよい。
【0066】
次に、図12(b)に示すように、第1のゲート電極134及び第1のサイドウォール138をマスクとして第1の領域103にイオン注入を行い、第2のゲート電極144及び第2のサイドウォール148をマスクとして第2の領域104にイオン注入を行う。これにより、第1のN型ソースドレイン拡散層139及び第2のN型ソースドレイン拡散層149を形成する。イオン注入は、一実施形態において示した工程と同様の条件で行えばよい。この後、第1のN型ソースドレイン拡散層139、第2のN型ソースドレイン拡散層149、第1のゲート電極134及び第2のゲート電極144の上部にシリサイド層107を形成すればよい。
【0067】
なお、第2変形例と同様にして、まず図13(a)に示すように第1の外側サイドウォール136を形成し、続いて図13(b)に示すように第2の外側サイドウォール146を形成してもよい。
【0068】
本変形例の半導体装置の製造方法は、一実施形態と同様に、サイドウォールの幅を自由に設定することが可能である。また、第1のゲート絶縁膜133にサイドエッチが生じず、信頼性が高いトランジスタを形成することができる。さらに、シリサイド層107を形成する際に接合リークが生じるおそれがない。
【0069】
本変形例の半導体装置の製造方法は、エクステンション拡散層を形成する際に第4の絶縁膜が形成されているため、ショートチャネル効果を低減することができる。
【0070】
また、シリコン窒化膜からなる第1の絶縁膜とゲート絶縁膜との間にシリコン酸化膜からなる第4の絶縁膜が形成されている。シリコン窒化膜からなる第1の絶縁膜とゲート絶縁膜とが直接接すると、ゲート絶縁膜と第1の絶縁膜との界面近傍に界面準位が形成されホットキャリア及びNBTI(Negative bias temperature instability)等の信頼性を低下させる問題が発生するおそれがある。本変形例においては、シリコン酸化膜からなるオフセットスペーサが、シリコン窒化膜からなる第1の絶縁膜とゲート絶縁膜との間に形成されているため、このような問題は発生しない。
【0071】
一実施形態及びその変形例において、第1のトランジスタが低耐圧用トランジスタであり、第2のトランジスタが高耐圧用トランジスタである例を示した。例示したゲート電極のサイズ及びサイドウォールの幅等は、第1のトランジスタの動作電圧が1.8Vであり、第2のトランジスタの動作電圧が5Vである場合に好適である。但し、第1のトランジスタ及び第2のトランジスタの動作電圧はこれに限らない。第1のトランジスタ及び第2のトランジスタの動作電圧は、第2のトランジスタの方が第1のトランジスタよりも高ければ、それぞれ任意に設定してかまわない。例えば、第1のトランジスタの動作電圧を1.1V〜2V程度の範囲とし、第2のトランジスタの動作電圧を3.3V〜7V程度の範囲としてもよい。また、動作電圧が異なる3種類以上のトランジスタを形成する場合にも、一実施形態及びその変形例において示した製造方法を適用することができる。
【0072】
一実施形態及びその変形例において、第1のトランジスタのゲート長を180nmとし、第2のトランジスタのゲート長を600nmとした。しかし、第2のトランジスタのゲート長が第1のトランジスタのゲート長よりも長ければ、第1のトランジスタ及び第2のトランジスタのゲート長は任意に設定してかまわない。例えば、第1のトランジスタのゲート長は30nm〜180nm程度の範囲とし、第2のトランジスタのゲート長は200nm〜700nm程度の範囲としてもよい。
【0073】
一実施形態及びその変形例において、N型MISTトランジスタを形成する例を示したが、P型MISトランジスタを形成する場合にも、一実施形態及びその変形例において示した製造方法を適用することができる。また、半導体基板上にN型MISトランジスタとP型MISトランジスタとを混在させて形成してもよい。この場合、サイドウォール幅が互いに異なるN型MISトランジスタとP型MISトランジスタを形成してもよい。
【0074】
一実施形態及びその変形例において、第1のゲート絶縁膜及び第2のゲート絶縁膜はシリコン酸化膜としたが、他の絶縁膜を用いてもよい。また、第1のゲート電極及び第2のゲート電極をポリシリコンゲート電極としたが、他の材料からなるゲート電極としてもよい。
【0075】
一実施形態及びその変形例において、第1の絶縁膜をシリコン窒化膜とし、第2の絶縁膜及び第3の絶縁膜をシリコン酸化膜としたが、第1の絶縁膜と第2の絶縁膜とが互いに異なる材料からなり、第2の絶縁膜と第3の絶縁膜とが同一の材料からなる構成であれば、他の材料を用いてもよい。
【0076】
第2の絶縁膜及び第3の絶縁膜を除去して外側サイドウォールを形成する工程において、第1の絶縁膜と第2の絶縁膜及び第3の絶縁膜とのエッチング選択比を5程度に設定する例を示したが、エッチング選択比はこの値に限らない。エッチング選択比は大きい方が好ましいが、エッチング選択比と第2の絶縁膜及び第3の絶縁膜の膜厚とに応じて第1の絶縁膜が残存するように第1の絶縁膜の膜厚を設定すれば、エッチング選択比が2程度であっても問題ない。例えば、第2の絶縁膜の厚さを20nm及び第3の絶縁膜の厚さが50nmであり、オーバーエッチ量が20%である場合、エッチング量は84nmとなる。このため、低耐圧領域においては、第1の絶縁膜の換算エッチング量は64nmとなる。従って、エッチング選択比が2の場合には、第1の絶縁膜の膜厚は35nm程度あれば十分である。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、素子分離領域のエッチングを生じさせることなく、基板上にサイドウォール幅が異なる複数のトランジスタを精度良く形成でき、特にサイドウォールの幅が異なる複数のトランジスタを有する半導体装置の製造方法等として有用である。
【符号の説明】
【0078】
101 基板
102 素子分離領域
103 第1の領域
104 第2の領域
107 シリサイド層
131 第1のPウェル
133 第1のゲート絶縁膜
134 第1のゲート電極
135 第1のN型エクステンション拡散層
136 第1の外側サイドウォール
137 第1の内側サイドウォール
138 第1のサイドウォール
139 第1のN型ソースドレイン拡散層
141 第2のPウェル
143 第2のゲート絶縁膜
144 第2のゲート電極
145 第2のN型エクステンション拡散層
146 第2の外側サイドウォール
147 第2の内側サイドウォール
148 第2のサイドウォール
149 第2のN型ソースドレイン拡散層
151 第1の絶縁膜
152 第2の絶縁膜
153 第3の絶縁膜
161 第4の絶縁膜
162 オフセットスペーサ
171 レジスト膜
172 レジスト膜
173 レジスト膜
174 レジスト膜
175 レジスト膜
176 レジスト膜
177 レジスト膜
178 レジスト膜
502 素子分離領域
503 第1の領域
504 第2の領域
511 酸化膜
536 サイドウォール
547 サイドウォール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に素子分離領域により互いに分離された第1の領域及び第2の領域を形成する工程(a)と、
前記第1の領域において前記基板の上に第1のゲート絶縁膜を介在させて第1のゲート電極を形成し、前記第2の領域において前記基板の上に第2のゲート絶縁膜を介在させて第2のゲート電極を形成する工程(b)と、
前記第1のゲート電極及び第2のゲート電極を覆うように、第1の絶縁膜及び第2の絶縁膜を順次形成する工程(c)と、
前記工程(c)よりも後に、前記第2の絶縁膜における前記第1の領域の上に形成された部分を除去する工程(d)と、
前記工程(d)よりも後に、前記基板の上に第3の絶縁膜を形成する工程(e)と、
前記工程(e)よりも後に、前記第2の絶縁膜及び第3の絶縁膜をエッチバックすることにより、前記第1のゲート電極の側面上に前記第3の絶縁膜からなる第1の外側サイドウォールを形成し、前記第2のゲート電極の側面上に前記第2の絶縁膜及び第3の絶縁膜からなる第2の外側サイドウォールを形成する工程(f)と、
前記工程(f)よりも後に、前記第1の絶縁膜における前記第1の外側サイドウォール及び第2の外側サイドウォールに覆われていない部分を除去することにより、前記第1のゲート電極の側面上に第1の内側サイドウォールを形成し、前記第2のゲート電極の側面上に第2の内側サイドウォールを形成する工程(g)とを備え、
前記第2のゲート電極は、前記第1のゲート電極よりもゲート長が長く、
前記第1の絶縁膜と前記第2の絶縁膜とは、互いに異なる材料からなり、
前記第2の絶縁膜と前記第3の絶縁膜とは、同一の材料からなることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記工程(d)では、ウエットエッチングにより前記第2の絶縁膜を除去することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記第1の絶縁膜はシリコン窒化膜であり、
前記第2の絶縁膜及び第3の絶縁膜はシリコン酸化膜であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記第1の外側サイドウォールは、前記第2の外側サイドウォールよりも幅が狭いことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記第1のゲート絶縁膜は、前記第2のゲート絶縁膜よりも膜厚が薄いことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記第1の領域は、第1のトランジスタの形成領域であり、
前記第2の領域は、第2のトランジスタの形成領域であり、
前記第1のトランジスタは、電源電圧が1.1V以上且つ2.0V以下であり、
前記第2のトランジスタは、電源電圧が3.3V以上且つ7.0V以下であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記第1のゲート電極は、ゲート長が30nm以上且つ180nm以下であり、
前記第2のゲート電極は、ゲート長が200nm以上且つ700nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記工程(b)よりも後で且つ前記工程(c)よりも前に、前記基板の上に第4の絶縁膜を形成する工程(h)をさらに備え、
前記工程(g)において、前記第1の絶縁膜の露出部分を除去した後、前記第4の絶縁膜の露出部分を除去することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記工程(b)よりも後で且つ前記工程(c)よりも前に、
前記基板の上に第4の絶縁膜を形成する工程(h)と、
前記第4の絶縁膜を選択的に除去することにより前記第1のゲート電極及び第2のゲート電極の側面上にオフセットスペーサを形成する工程(i)とをさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記第4の絶縁膜はシリコン酸化膜であることを特徴とする請求項8又は9に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記工程(f)は、
前記第1の絶縁膜における前記第1のゲート電極の上に形成された部分が露出するまで前記第2の絶縁膜及び前記第3の絶縁膜を除去する工程(f1)と、
前記工程(f1)よりも後に、前記第1の絶縁膜における前記第2のゲート電極の上に形成された部分が露出するまで、前記第2の絶縁膜及び前記第3の絶縁膜における前記第2の領域の上に形成された部分を除去する工程(f2)とを含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
基板の第1の領域に形成された第1のトランジスタ及び第2の領域に形成された第2のトランジスタを備え、
前記第1のトランジスタは、
前記基板の上に第1のゲート絶縁膜を介在させて形成された第1のゲート電極と、
前記第1のゲート電極の側面上に形成された第1の内側サイドウォールと、
前記第1の内側サイドウォールの上に形成された第1の外側サイドウォールとを有し、
前記第2のトランジスタは、
前記基板の上に第2のゲート絶縁膜を介在させて形成された第2のゲート電極と、
前記第2のゲート電極の側面上に形成された第2の内側サイドウォールと、
前記第2の内側サイドウォールの上に形成された第2の外側サイドウォールとを有し、
前記第1の内側サイドウォール及び第2の内側サイドウォールと前記第1の外側サイドウォール及び第2の外側サイドウォールとは、互いに異なる材料からなり、
前記第1の外側サイドウォールは、単層膜からなり、
前記第2の外側サイドウォールは、積層膜からなることを特徴とする半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−84636(P2012−84636A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−228361(P2010−228361)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】