半導体装置製造装置
【課題】工程単価の増加を防ぎ、且つ塗布不良発生を減らすことが可能な半導体装置製造装置を提供する。
【解決手段】塗布薬液を吐出する薬液ノズル10と、塗布薬液を貯蔵し、薬液ノズル10に塗布薬液を供給する薬液貯蔵部20と、薬液貯蔵部20で塗布薬液を貯蔵している時間及び最後に塗布薬液を吐出してからの時間を測定する時間測定装置32と、時間測定装置32から測定結果からダミーディスペンスの間隔と吐出量を制御する制御コンピュータ30と、制御コンピュータ30からダミーディスペンスの間隔と吐出量を受信し、塗布薬液の吐出を制御する薬液吐出制御バルブ23を備える。
【解決手段】塗布薬液を吐出する薬液ノズル10と、塗布薬液を貯蔵し、薬液ノズル10に塗布薬液を供給する薬液貯蔵部20と、薬液貯蔵部20で塗布薬液を貯蔵している時間及び最後に塗布薬液を吐出してからの時間を測定する時間測定装置32と、時間測定装置32から測定結果からダミーディスペンスの間隔と吐出量を制御する制御コンピュータ30と、制御コンピュータ30からダミーディスペンスの間隔と吐出量を受信し、塗布薬液の吐出を制御する薬液吐出制御バルブ23を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置製造に関し、特に半導体装置の製造ラインで塗布薬液やリンス液を滴下する半導体装置製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造ラインで用いる塗布装置は、ウェハ上に均一な膜を形成するために塗布薬液を安定して吐出しなければならない。塗布薬液の吐出安定性を低下させる原因としては、塗布装置のノズル先端で塗布薬液の劣化及び固化があげられる。そこで、薬液ノズル先端での塗布薬液の劣化及び固化を防ぐために、薬液ノズル洗浄機能、サックバック機構、及びダミーディスペンス機能等を有する塗布装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
薬液ノズルやウェハの洗浄に用いるリンス液は、リンス液ライン中に気泡が混入するとリンス液ノズルからの吐出状態が悪化したり、リンス液ノズルからのリンス液と気泡の同時吐出によりウェハ上に飛散したりする。そのような状態が発生するとエッチカット不良および、薬液ノズル洗浄機構からのリンス液だれ等の塗布不良が発生する。
【0004】
サックバック機構は、薬液ノズル先端からの液ダレを防止するために、ライン中で体積変化を発生させ塗布薬液を薬液ノズル先端から数mm引き戻すものである。サックバックする量が多いときは、薬液ノズル先端で塗布薬液が固化してパーティクルが発生し塗布不良が生じる。また、サックバックする量が少ないときは、薬液ノズル先端から液ダレすることで塗布不良が発生する。
【0005】
ダミーディスペンス機能は、薬液ノズル先端を洗浄した後に、薬液ノズル先端での劣化/固化を防ぐため装置待機時間に定期的に塗布薬液を少量破棄する機能である。最近の塗布薬液の高額化に伴い、ダミーディスペンスで破棄する塗布薬液の量が工程単価の増加につながる。
【0006】
サックバックする量及びダミーディスペンスの間隔や量は、塗布装置が設置されてるクリーンルームの気圧、温度、湿度等の環境データ、又は塗布薬液を塗布装置に貯蔵してる時間に影響されるが、固定値が設定されている。
【0007】
塗布不良が発生した場合、平坦な下地上ならば作業のやり直しが可能だが追加工程が必要になる。また、金属膜下絶縁膜(PMD)等の埋め込みにスピンオングラス(SOG)膜を利用する場合、塗布不良が発生すると埋め込み不良による絶縁性の劣化等をひきおこし、塗布不良が広範囲にわたる場合は不良ウエハの発生につながる。
【特許文献1】特開2000−150345号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、工程単価の増加を防ぎ、且つ塗布不良発生を減らすことが可能な半導体装置製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によれば、塗布薬液を吐出する薬液ノズルと、塗布薬液を貯蔵し、薬液ノズルに塗布薬液を供給する薬液貯蔵部と、薬液貯蔵部で塗布薬液を貯蔵している時間及び最後に塗布薬液を吐出してからの時間を測定する時間測定装置と、時間測定装置から測定結果からダミーディスペンスの間隔と吐出量を制御する制御コンピュータと、制御コンピュータからダミーディスペンスの間隔と吐出量を受信し、塗布薬液の吐出を制御する薬液吐出制御バルブとを備える半導体装置製造装置が提供される。
【0010】
本発明の他の態様によれば、塗布薬液を吐出する薬液ノズルと、塗布薬液を貯蔵し、薬液ノズルに塗布薬液を供給する薬液貯蔵部と、塗布薬液を塗布する環境の環境データを測定する環境測定装置と、環境測定装置から受信した環境データを基にサックバック量を計算し制御する制御コンピュータと、制御コンピュータからサックバック量を受信し、塗布薬液のサックバックを調整するサックバック調整バルブとを備える半導体装置製造装置が提供される。
【0011】
本発明の他の態様によれば、リンス液を吐出するリンス液ノズルと、リンス液を貯蔵し、リンス液ノズルにリンス薬液を供給するリンス液貯蔵部と、リンス液ノズルに供給されるリンス液中の気泡及びパーティクルを検知するリンス液ラインセンサと、リンス液ラインセンサから気泡及びパーティクルの検知結果を受信し、気泡及びパーティクルの位置情報及び移動速度を計算する制御コンピュータと、制御コンピュータから位置情報及び移動速度を受信し、気泡及びパーティクルを含むリンス液を排出するリンス液排出機構とを備える半導体装置製造装置が提供される。
【0012】
本発明の他の態様によれば、塗布薬液を吐出する薬液ノズルと、塗布薬液を貯蔵し、薬液ノズルに塗布薬液を供給する薬液貯蔵部と、薬液ノズルに供給される塗布薬液中の気泡及びパーティクルを検知する薬液ラインセンサと、薬液ラインセンサから気泡及びパーティクルの検知結果を受信し、気泡及びパーティクルの位置情報及び移動速度を計算する制御コンピュータと、制御コンピュータから位置情報及び移動速度を受信し、気泡及びパーティクルを含む塗布薬液の排出を制御する薬液排出バルブとを備える半導体装置製造装置が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、工程単価の増加を防ぎ、且つ塗布不良発生を減らすことが可能な半導体装置製造装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号で表している。但し、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なる。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を照らし合わせて判断するべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0015】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置製造装置は、図1に示すように、塗布薬液を吐出する薬液ノズル10と、塗布薬液を貯蔵し、薬液ノズル10に塗布薬液を供給する薬液貯蔵部20と、薬液貯蔵部20で塗布薬液を貯蔵している時間及び最後に塗布薬液を吐出してからの時間を測定する時間測定装置32と、時間測定装置32から測定結果からダミーディスペンスの間隔と吐出量を制御する制御コンピュータ30と、制御コンピュータ30からダミーディスペンスの間隔と吐出量を受信し、塗布薬液の吐出を制御する薬液吐出制御バルブ23を備える。
【0016】
薬液ノズル10は、スピナー部12に設置されるウェハ14に塗布薬液を吐出する。また、薬液ノズル10は、ウェハ14に塗布薬液を吐出するとき以外は、待機ポッド42で待機している。待機ポッド42は廃液部40と接続されていて、塗布薬液を破棄することが可能になっている。塗布薬液としては、ポリシラザン(PSZ)膜または過水素化シラザン重合体膜等を形成する薬液を用いる。
【0017】
薬液貯蔵部20は、薬液リザーバタンク21と接続されている。薬液貯蔵部20は、窒素ガスやドライガス等で加圧することで薬液リザーバタンク21に適量の塗布薬液を供給する。薬液リザーバタンク21は、ポンプ22と接続されている。ポンプ22は、薬液リザーバタンク21から塗布薬液を吸い上げ、薬液ノズル10に輸送する。ポンプ22と薬液ノズル10の間には薬液吐出制御バルブ23が配置される。薬液吐出制御バルブ23は、制御コンピュータ30から薬液吐出量の制御信号を受信して、薬液ノズル10からの薬液吐出量を制御する。
【0018】
第1の実施の形態に係る半導体装置製造装置の動作を説明する。まず、薬液貯蔵部20で塗布薬液を貯蔵し始めてからの経過時間、及び最後に塗布薬液を吐出してからの時間を時間測定装置32で測定する。時間測定装置32は、時間測定結果を制御コンピュータ30に送信する。制御コンピュータ30は、時間測定結果を基にダミーディスペンスの適切な間隔と吐出量を計算する。制御コンピュータ30の計算の結果得られたダミーディスペンスの間隔と吐出量に従って、塗布薬液は待機ポッド42に薬液ノズル10から破棄される。
【0019】
第1の実施の形態に係る半導体装置製造装置と従来の装置のダミーディスペンスの間隔と吐出量を比較してみる。従来の装置では図2のグラフの点線で示すように常に一定量をダミーディスペンスする。一方、第1の実施の形態に係る半導体装置製造装置では、実線で示すように塗布薬液の貯蔵している時間によってダミーディスペンスの量を段階的に増やす。ダミーディスペンスの量を段階的に増やすのは、塗布薬液は貯蔵時間が長くなるにつれて酸素や水分等の影響で劣化が早くなるためである。
【0020】
ダミーディスペンスの間隔と吐出量の具体例を図3に示す。従来は、ダミーディスペンスの間隔は0.5時間、吐出量は5ccで一定である。第1の実施の形態に係る半導体装置製造装置のダミーディスペンスの間隔は、薬液貯蔵部20に塗布薬液を注入した直後は2時間、10日後は0.5時間である。第1の実施の形態に係る半導体装置製造装置のダミーディスペンスの吐出量は、注入直後は1cc、10日後は5ccである。結果として、10日後には1時間あたりのダミーディスペンス量は同じであるが、塗布薬液の注入直後では圧倒的に第1の実施の形態に係る半導体装置製造装置の方が少量とすることができる。
【0021】
本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置製造装置によれば、時間経過と伴に最適な条件でダミーディスペンス条件が設定することができる。塗布不良発生を防ぐためのダミーディスペンスが、最適な条件で行われることによって、大幅な省薬液化をすることが可能となり、工程単価の増加を防ぐことができる。
【0022】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置製造装置は、図4に示すように、塗布薬液を吐出する薬液ノズル10と、塗布薬液を貯蔵し、薬液ノズル10に塗布薬液を供給する薬液貯蔵部20と、塗布薬液を塗布する環境の環境データを測定する環境測定装置31と、環境測定装置31から受信した環境データを基にサックバック量を計算し制御する制御コンピュータ30と、制御コンピュータ30からサックバック量を受信し、塗布薬液のサックバックを調整するサックバック調整バルブ24とを備える。環境測定装置31は、塗布を行うクリーンルームの気圧、温度、湿度等の環境データを測定するセンサーである。図1で示した半導体装置製造装置と実質的に同様の部位があるので、実質的に同様な部位の重複した記載は省略する。
【0023】
第2の実施の形態に係る半導体装置製造装置の動作を説明する。例えば、環境測定装置31で天気による気圧の変化を測定する。環境測定装置31は、気圧測定の結果を制御コンピュータ30に送信する。制御コンピュータ30は、気圧測定の結果を基に気圧に応じたサックバック量を計算する。サックバック量の計算結果に従って、サックバック調整バルブ24が塗布薬液のサックバックを行う。
【0024】
サックバック量は、気圧の変化に伴って変動する。例えば、図5に示すように、半導体装置製造装置の周囲の気圧が高いときは、塗布薬液の界面にかかる圧力が高いので界面を押し上げてしまう。したがって、通常の気圧のときの適正値の量をサックバックしたら適正値よりも多くサックバックしたことになってしまう。適正値より多くサックバックした状態だと、薬液ノズル10の内壁側面部が空気と触れる面積が増えるので塗布薬液の固化が起きやすくなる。また、半導体装置製造装置の周囲の気圧が低いときは、塗布薬液の界面にかかる圧力が低いので界面を押し下げてしまう。したがって、通常の気圧のときの適正値の量をサックバックしたら適正値よりも少なくサックバックしたことになってしまう。適正値より少なくサックバックした状態だと、塗布薬液が薬液ノズル10の外壁側面部へ表面張力および毛細管現象等で回ってしまい、液だれ若しくは外壁側面部で固化してしまう可能性がある。
【0025】
気圧の変化による塗布不良で発生する不良半導体装置数の具体例を図6に示す。従来の一定量をサックバックする装置では、1気圧の近傍のときは不良数は少ないが、1気圧から変動があると不良数は増加する。しかしながら、第2の実施の形態に係る半導体装置製造装置を用いた場合は、気圧に変動があっても不良半導体装置はない。
【0026】
本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置製造装置によれば、気圧の変化を測定して、気圧の変化に応じてサックバック量を変動させるので常に適正値のサックバックをすることができる。適正値のサックバックをすることで、薬液ノズル10で薬液が固化及び液だれすることがなくなり、固化及び液だれによる塗布不良発生を防ぐことができ、工程単価の増加も防ぐことができる。
【0027】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態に係る半導体装置製造装置は、図7に示すように、リンス液を吐出するリンス液ノズル50と、リンス液を貯蔵し、リンス液ノズル50にリンス薬液を供給するリンス液貯蔵部60と、リンス液ノズル50に供給されるリンス液中の気泡及びパーティクルを検知するリンス液ラインセンサ62と、リンス液ラインセンサ62から気泡及びパーティクルの検知結果を受信し、気泡及びパーティクルの位置情報及び移動速度を計算する制御コンピュータ30と、制御コンピュータ30から位置情報を受信し、気泡及びパーティクルを含むリンス液を排出するリンス液排出機構63とを備える。図1で示した半導体装置製造装置と実質的に同様の部位があるので、実質的に同様な部位の重複した記載は省略する。
【0028】
リンス液ノズル50は、スピナー部12に設置されるウェハ14の洗浄をするリンス液をを吐出する。リンス液としては、超純水等を用いることができる。
【0029】
リンス液貯蔵部60は、リンス液リザーバタンク61と接続されている。リンス液貯蔵部60は、窒素ガスやドライガス等で加圧することでリンス液リザーバタンク61に適量のリンス液を供給する。リンス液リザーバタンク61とリンス液ノズル50の間には、リンス液ラインセンサ62、リンス液排出機構63、及びリンス液吐出制御バルブ64が配置される。
【0030】
リンス液ラインセンサ62は、図8に示すように、発信素子621と受信素子622を備える。リンス液ラインセンサ62の測定手段としては、音響法、光散乱法、及び光遮断法等を採用する。音響法は、発信素子621から超音波をリンス液に向かって発信し、受信素子622が液中にある気泡及びパーティクルに対して透過または反射する超音波を受信することで、リンス液中の気泡及びパーティクルを検知する。光散乱法及び光遮断法は、レーザ等の光をリンス液に向かって発信し、受信素子622が液中にある気泡及びパーティクルに対して透過または反射する光を受信することで、リンス液中の気泡及びパーティクルを検知する。音響法の特徴は、気泡及びパーティクルの粒径、個数、及び粒径分布の測定をすることができる。光散乱法及び光遮断法の特徴は、気泡及びパーティクルの粒径、個数、及び粒径分布の測定をすることができる。また、光散乱法及び光遮断法は、多様な液体に対応でき、特に濃度が低い液体に適する。
【0031】
リンス液排出機構63は、廃液部40と接続されていて、リンス液を破棄することが可能になっている。リンス液排出機構63には、三方弁等を用いることができる。リンス液吐出制御バルブ64は、制御コンピュータ30からリンス液吐出量の制御信号を受信して、リンス液ノズル50からの薬液吐出量を制御する。
【0032】
第3の実施の形態に係る半導体装置製造装置の動作を説明する。まず、リンス液リザーバタンク61からリンス液ノズル50に流れるリンス液中の気泡及びパーティクルをリンス液ラインセンサ62で検知する。リンス液ラインセンサ62は、検知結果を制御コンピュータ30に送信する。制御コンピュータ30は、検知結果を基に気泡及びパーティクルの位置情報及び移動速度を計算する。制御コンピュータ30の計算の結果得られた位置情報を基に、リンス液排出機構63は気泡及びパーティクルを含むリンス液がリンス液排出機構63を通過するタイミングで気泡及びパーティクルを含むリンス液を排出する。
【0033】
第3の実施の形態に係る半導体装置製造装置を用いた場合と従来の装置を用いた場合の不良ウェハ枚数の比較を図9のグラフに示す。図9における不良ウェハ枚数は、1ロット24枚あたりの平均の塗布不良ウエハ枚数である。従来の装置では、リンス液リンス液貯蔵部交換後に一旦不良が発生すると、処理ロット数が増えるに従い,塗布不良ウエハ枚数が増大する。しかし、第3の実施の形態に係る半導体装置製造装置を用いることで塗布欠陥の発生がほぼ完全に抑止できていることがわかる。
【0034】
本発明の第3の実施の形態に係る半導体装置製造装置によれば、リンス液中にある気泡及びパーティクルをリンス液ノズル50に届く前に排出することでエッジカット不良の発生を防ぐことが可能なので、工程単価の増加も防ぐことができる。
【0035】
(第4の実施の形態)
本発明の第4の実施の形態に係る半導体装置製造装置は、図10に示すように、塗布薬液を吐出する薬液ノズル10と、塗布薬液を貯蔵し、薬液ノズル10に塗布薬液を供給する薬液貯蔵部20と、薬液ノズル10に供給される塗布薬液中の気泡及びパーティクルを検知する薬液ラインセンサ25と、薬液ラインセンサ25から気泡及びパーティクルの検知結果を受信し、気泡及びパーティクルの位置情報及び移動速度を計算する制御コンピュータ30と、制御コンピュータ30から位置情報及び移動速度を受信し、気泡及びパーティクルを含む塗布薬液の排出を制御する薬液排出バルブ26とを備える。図1で示した半導体装置製造装置と実質的に同様の部位があるので、実質的に同様な部位の重複した記載は省略する。
【0036】
薬液ラインセンサ25は、液体の温度を測定して比熱を算出する液体マスフローメータ等のセンサである。液体マスフローメータは、液体を一旦冷却したあとの温度上昇を測定することによって液体流量を算出するセンサで、液中の気泡は液体自体と比熱が大きく異なるために高感度の検出が可能である
第4の実施の形態に係る半導体装置製造装置の動作を説明する。まず、塗布薬液がポンプ22によって薬液リザーバタンク21から吸い上げられる。塗布薬液は、ポンプ22まで搬送される前に薬液ラインセンサ25を通過する。このとき、薬液ラインセンサ25は、塗布薬液中の気泡及びパーティクルを検知する。薬液ラインセンサ25は、検知結果を制御コンピュータ30に送信する。制御コンピュータ30は、検知結果を基に気泡及びパーティクルの位置情報及び移動速度を計算する。気泡及びパーティクルを含む塗布薬液がウェハ14に吐出されることが予測されるときは、図11に示すように、制御コンピュータ30が薬液排出バルブ26に制御信号を送信して気泡及びパーティクルを含む塗布薬液をダミーディスペンスする。気泡及びパーティクルを含む塗布薬液をダミーディスペンスすることで、塗布不良発生を防ぐことができる。
【0037】
第4の実施の形態に係る半導体装置製造装置を用いた場合と従来の装置を用いた場合の不良ウェハ枚数の比較を図12の表に示す。従来の装置では、塗布薬液投入直後に不良ウェハ枚数が多量に発生して、日数が経つ毎に不良ウェハ枚数がほぼ0で安定化する。塗布薬液投入後の日数経過と伴に塗布薬液加圧窒素が塗布薬液内に溶解することによる泡発生でまた不良ウェハ枚数が増大する。しかし、第4の実施の形態に係る半導体装置製造装置を用いることで、不良ウェハ枚数の発生はほぼ完全に抑止できる。
【0038】
本発明の第4の実施の形態に係る半導体装置製造装置によれば、塗布薬液中にある気泡及びパーティクルを薬液ノズル10に届く前に排出することで塗布不良の発生を防ぐことが可能なので、工程単価の増加を防ぐことができる。また、塗布薬液投入後すぐにでも塗布不良なしに塗布することが可能になるので、塗布薬液によるラインパージ量削減による省薬液等にも有効である。
【0039】
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明は実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす記述及び図面はこの発明を限定するものであると理解するべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかになるはずである。
【0040】
例えば、図13に示すように、第1〜第4の実施の形態に係る半導体装置製造装置を合わせて1つの装置とすることも可能である。
【0041】
また、第2の実施の形態において、サックバック量を決定する要素として気圧を用いたが、温度、湿度等の他の環境データを用いても構わない。
【0042】
この様に、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を包含するということを理解すべきである。したがって、本発明はこの開示から妥当な特許請求の範囲の発明特定事項によってのみ限定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置製造装置の模式図である。
【図2】第1の実施の形態に係る半導体装置製造装置と従来の装置を比較したグラフである。
【図3】第1の実施の形態に係る半導体装置製造装置と従来の装置を比較した表である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置製造装置の模式図である。
【図5】気圧の変動によるサックバック量を示す図である。
【図6】第2の実施の形態に係る半導体装置製造装置と従来の装置を比較した表である。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係る半導体装置製造装置の模式図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係る半導体装置製造装置のリンス液ラインセンサの模式図である。
【図9】第3の実施の形態に係る半導体装置製造装置と従来の装置を比較したグラフである。
【図10】本発明の第4の実施の形態に係る半導体装置製造装置の模式図である。
【図11】本発明の第4の実施の形態に係る半導体装置製造装置における塗布薬液をダミーディスペンスするときの動作を示す模式図である。
【図12】第4の実施の形態に係る半導体装置製造装置と従来の装置を比較した表である。
【図13】本発明のその他の実施の形態に係る半導体装置製造装置の模式図である。
【符号の説明】
【0044】
10…薬液ノズル
12…スピナー部
14…ウェハ
20…薬液貯蔵部
21…薬液リザーバタンク
22…ポンプ
23…薬液吐出制御バルブ
24…サックバック調整バルブ
25…薬液ラインセンサ
26…薬液排出バルブ
30…制御コンピュータ
31…環境測定装置
32…時間測定装置
40…廃液部
42…待機ポッド
50…リンス液ノズル
60…リンス液貯蔵部
61…リンス液リザーバタンク
62…リンス液ラインセンサ
63…リンス液排出機構
64…リンス液吐出制御バルブ
621…発信素子
622…受信素子
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置製造に関し、特に半導体装置の製造ラインで塗布薬液やリンス液を滴下する半導体装置製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造ラインで用いる塗布装置は、ウェハ上に均一な膜を形成するために塗布薬液を安定して吐出しなければならない。塗布薬液の吐出安定性を低下させる原因としては、塗布装置のノズル先端で塗布薬液の劣化及び固化があげられる。そこで、薬液ノズル先端での塗布薬液の劣化及び固化を防ぐために、薬液ノズル洗浄機能、サックバック機構、及びダミーディスペンス機能等を有する塗布装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
薬液ノズルやウェハの洗浄に用いるリンス液は、リンス液ライン中に気泡が混入するとリンス液ノズルからの吐出状態が悪化したり、リンス液ノズルからのリンス液と気泡の同時吐出によりウェハ上に飛散したりする。そのような状態が発生するとエッチカット不良および、薬液ノズル洗浄機構からのリンス液だれ等の塗布不良が発生する。
【0004】
サックバック機構は、薬液ノズル先端からの液ダレを防止するために、ライン中で体積変化を発生させ塗布薬液を薬液ノズル先端から数mm引き戻すものである。サックバックする量が多いときは、薬液ノズル先端で塗布薬液が固化してパーティクルが発生し塗布不良が生じる。また、サックバックする量が少ないときは、薬液ノズル先端から液ダレすることで塗布不良が発生する。
【0005】
ダミーディスペンス機能は、薬液ノズル先端を洗浄した後に、薬液ノズル先端での劣化/固化を防ぐため装置待機時間に定期的に塗布薬液を少量破棄する機能である。最近の塗布薬液の高額化に伴い、ダミーディスペンスで破棄する塗布薬液の量が工程単価の増加につながる。
【0006】
サックバックする量及びダミーディスペンスの間隔や量は、塗布装置が設置されてるクリーンルームの気圧、温度、湿度等の環境データ、又は塗布薬液を塗布装置に貯蔵してる時間に影響されるが、固定値が設定されている。
【0007】
塗布不良が発生した場合、平坦な下地上ならば作業のやり直しが可能だが追加工程が必要になる。また、金属膜下絶縁膜(PMD)等の埋め込みにスピンオングラス(SOG)膜を利用する場合、塗布不良が発生すると埋め込み不良による絶縁性の劣化等をひきおこし、塗布不良が広範囲にわたる場合は不良ウエハの発生につながる。
【特許文献1】特開2000−150345号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、工程単価の増加を防ぎ、且つ塗布不良発生を減らすことが可能な半導体装置製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によれば、塗布薬液を吐出する薬液ノズルと、塗布薬液を貯蔵し、薬液ノズルに塗布薬液を供給する薬液貯蔵部と、薬液貯蔵部で塗布薬液を貯蔵している時間及び最後に塗布薬液を吐出してからの時間を測定する時間測定装置と、時間測定装置から測定結果からダミーディスペンスの間隔と吐出量を制御する制御コンピュータと、制御コンピュータからダミーディスペンスの間隔と吐出量を受信し、塗布薬液の吐出を制御する薬液吐出制御バルブとを備える半導体装置製造装置が提供される。
【0010】
本発明の他の態様によれば、塗布薬液を吐出する薬液ノズルと、塗布薬液を貯蔵し、薬液ノズルに塗布薬液を供給する薬液貯蔵部と、塗布薬液を塗布する環境の環境データを測定する環境測定装置と、環境測定装置から受信した環境データを基にサックバック量を計算し制御する制御コンピュータと、制御コンピュータからサックバック量を受信し、塗布薬液のサックバックを調整するサックバック調整バルブとを備える半導体装置製造装置が提供される。
【0011】
本発明の他の態様によれば、リンス液を吐出するリンス液ノズルと、リンス液を貯蔵し、リンス液ノズルにリンス薬液を供給するリンス液貯蔵部と、リンス液ノズルに供給されるリンス液中の気泡及びパーティクルを検知するリンス液ラインセンサと、リンス液ラインセンサから気泡及びパーティクルの検知結果を受信し、気泡及びパーティクルの位置情報及び移動速度を計算する制御コンピュータと、制御コンピュータから位置情報及び移動速度を受信し、気泡及びパーティクルを含むリンス液を排出するリンス液排出機構とを備える半導体装置製造装置が提供される。
【0012】
本発明の他の態様によれば、塗布薬液を吐出する薬液ノズルと、塗布薬液を貯蔵し、薬液ノズルに塗布薬液を供給する薬液貯蔵部と、薬液ノズルに供給される塗布薬液中の気泡及びパーティクルを検知する薬液ラインセンサと、薬液ラインセンサから気泡及びパーティクルの検知結果を受信し、気泡及びパーティクルの位置情報及び移動速度を計算する制御コンピュータと、制御コンピュータから位置情報及び移動速度を受信し、気泡及びパーティクルを含む塗布薬液の排出を制御する薬液排出バルブとを備える半導体装置製造装置が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、工程単価の増加を防ぎ、且つ塗布不良発生を減らすことが可能な半導体装置製造装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号で表している。但し、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なる。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を照らし合わせて判断するべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0015】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置製造装置は、図1に示すように、塗布薬液を吐出する薬液ノズル10と、塗布薬液を貯蔵し、薬液ノズル10に塗布薬液を供給する薬液貯蔵部20と、薬液貯蔵部20で塗布薬液を貯蔵している時間及び最後に塗布薬液を吐出してからの時間を測定する時間測定装置32と、時間測定装置32から測定結果からダミーディスペンスの間隔と吐出量を制御する制御コンピュータ30と、制御コンピュータ30からダミーディスペンスの間隔と吐出量を受信し、塗布薬液の吐出を制御する薬液吐出制御バルブ23を備える。
【0016】
薬液ノズル10は、スピナー部12に設置されるウェハ14に塗布薬液を吐出する。また、薬液ノズル10は、ウェハ14に塗布薬液を吐出するとき以外は、待機ポッド42で待機している。待機ポッド42は廃液部40と接続されていて、塗布薬液を破棄することが可能になっている。塗布薬液としては、ポリシラザン(PSZ)膜または過水素化シラザン重合体膜等を形成する薬液を用いる。
【0017】
薬液貯蔵部20は、薬液リザーバタンク21と接続されている。薬液貯蔵部20は、窒素ガスやドライガス等で加圧することで薬液リザーバタンク21に適量の塗布薬液を供給する。薬液リザーバタンク21は、ポンプ22と接続されている。ポンプ22は、薬液リザーバタンク21から塗布薬液を吸い上げ、薬液ノズル10に輸送する。ポンプ22と薬液ノズル10の間には薬液吐出制御バルブ23が配置される。薬液吐出制御バルブ23は、制御コンピュータ30から薬液吐出量の制御信号を受信して、薬液ノズル10からの薬液吐出量を制御する。
【0018】
第1の実施の形態に係る半導体装置製造装置の動作を説明する。まず、薬液貯蔵部20で塗布薬液を貯蔵し始めてからの経過時間、及び最後に塗布薬液を吐出してからの時間を時間測定装置32で測定する。時間測定装置32は、時間測定結果を制御コンピュータ30に送信する。制御コンピュータ30は、時間測定結果を基にダミーディスペンスの適切な間隔と吐出量を計算する。制御コンピュータ30の計算の結果得られたダミーディスペンスの間隔と吐出量に従って、塗布薬液は待機ポッド42に薬液ノズル10から破棄される。
【0019】
第1の実施の形態に係る半導体装置製造装置と従来の装置のダミーディスペンスの間隔と吐出量を比較してみる。従来の装置では図2のグラフの点線で示すように常に一定量をダミーディスペンスする。一方、第1の実施の形態に係る半導体装置製造装置では、実線で示すように塗布薬液の貯蔵している時間によってダミーディスペンスの量を段階的に増やす。ダミーディスペンスの量を段階的に増やすのは、塗布薬液は貯蔵時間が長くなるにつれて酸素や水分等の影響で劣化が早くなるためである。
【0020】
ダミーディスペンスの間隔と吐出量の具体例を図3に示す。従来は、ダミーディスペンスの間隔は0.5時間、吐出量は5ccで一定である。第1の実施の形態に係る半導体装置製造装置のダミーディスペンスの間隔は、薬液貯蔵部20に塗布薬液を注入した直後は2時間、10日後は0.5時間である。第1の実施の形態に係る半導体装置製造装置のダミーディスペンスの吐出量は、注入直後は1cc、10日後は5ccである。結果として、10日後には1時間あたりのダミーディスペンス量は同じであるが、塗布薬液の注入直後では圧倒的に第1の実施の形態に係る半導体装置製造装置の方が少量とすることができる。
【0021】
本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置製造装置によれば、時間経過と伴に最適な条件でダミーディスペンス条件が設定することができる。塗布不良発生を防ぐためのダミーディスペンスが、最適な条件で行われることによって、大幅な省薬液化をすることが可能となり、工程単価の増加を防ぐことができる。
【0022】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置製造装置は、図4に示すように、塗布薬液を吐出する薬液ノズル10と、塗布薬液を貯蔵し、薬液ノズル10に塗布薬液を供給する薬液貯蔵部20と、塗布薬液を塗布する環境の環境データを測定する環境測定装置31と、環境測定装置31から受信した環境データを基にサックバック量を計算し制御する制御コンピュータ30と、制御コンピュータ30からサックバック量を受信し、塗布薬液のサックバックを調整するサックバック調整バルブ24とを備える。環境測定装置31は、塗布を行うクリーンルームの気圧、温度、湿度等の環境データを測定するセンサーである。図1で示した半導体装置製造装置と実質的に同様の部位があるので、実質的に同様な部位の重複した記載は省略する。
【0023】
第2の実施の形態に係る半導体装置製造装置の動作を説明する。例えば、環境測定装置31で天気による気圧の変化を測定する。環境測定装置31は、気圧測定の結果を制御コンピュータ30に送信する。制御コンピュータ30は、気圧測定の結果を基に気圧に応じたサックバック量を計算する。サックバック量の計算結果に従って、サックバック調整バルブ24が塗布薬液のサックバックを行う。
【0024】
サックバック量は、気圧の変化に伴って変動する。例えば、図5に示すように、半導体装置製造装置の周囲の気圧が高いときは、塗布薬液の界面にかかる圧力が高いので界面を押し上げてしまう。したがって、通常の気圧のときの適正値の量をサックバックしたら適正値よりも多くサックバックしたことになってしまう。適正値より多くサックバックした状態だと、薬液ノズル10の内壁側面部が空気と触れる面積が増えるので塗布薬液の固化が起きやすくなる。また、半導体装置製造装置の周囲の気圧が低いときは、塗布薬液の界面にかかる圧力が低いので界面を押し下げてしまう。したがって、通常の気圧のときの適正値の量をサックバックしたら適正値よりも少なくサックバックしたことになってしまう。適正値より少なくサックバックした状態だと、塗布薬液が薬液ノズル10の外壁側面部へ表面張力および毛細管現象等で回ってしまい、液だれ若しくは外壁側面部で固化してしまう可能性がある。
【0025】
気圧の変化による塗布不良で発生する不良半導体装置数の具体例を図6に示す。従来の一定量をサックバックする装置では、1気圧の近傍のときは不良数は少ないが、1気圧から変動があると不良数は増加する。しかしながら、第2の実施の形態に係る半導体装置製造装置を用いた場合は、気圧に変動があっても不良半導体装置はない。
【0026】
本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置製造装置によれば、気圧の変化を測定して、気圧の変化に応じてサックバック量を変動させるので常に適正値のサックバックをすることができる。適正値のサックバックをすることで、薬液ノズル10で薬液が固化及び液だれすることがなくなり、固化及び液だれによる塗布不良発生を防ぐことができ、工程単価の増加も防ぐことができる。
【0027】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態に係る半導体装置製造装置は、図7に示すように、リンス液を吐出するリンス液ノズル50と、リンス液を貯蔵し、リンス液ノズル50にリンス薬液を供給するリンス液貯蔵部60と、リンス液ノズル50に供給されるリンス液中の気泡及びパーティクルを検知するリンス液ラインセンサ62と、リンス液ラインセンサ62から気泡及びパーティクルの検知結果を受信し、気泡及びパーティクルの位置情報及び移動速度を計算する制御コンピュータ30と、制御コンピュータ30から位置情報を受信し、気泡及びパーティクルを含むリンス液を排出するリンス液排出機構63とを備える。図1で示した半導体装置製造装置と実質的に同様の部位があるので、実質的に同様な部位の重複した記載は省略する。
【0028】
リンス液ノズル50は、スピナー部12に設置されるウェハ14の洗浄をするリンス液をを吐出する。リンス液としては、超純水等を用いることができる。
【0029】
リンス液貯蔵部60は、リンス液リザーバタンク61と接続されている。リンス液貯蔵部60は、窒素ガスやドライガス等で加圧することでリンス液リザーバタンク61に適量のリンス液を供給する。リンス液リザーバタンク61とリンス液ノズル50の間には、リンス液ラインセンサ62、リンス液排出機構63、及びリンス液吐出制御バルブ64が配置される。
【0030】
リンス液ラインセンサ62は、図8に示すように、発信素子621と受信素子622を備える。リンス液ラインセンサ62の測定手段としては、音響法、光散乱法、及び光遮断法等を採用する。音響法は、発信素子621から超音波をリンス液に向かって発信し、受信素子622が液中にある気泡及びパーティクルに対して透過または反射する超音波を受信することで、リンス液中の気泡及びパーティクルを検知する。光散乱法及び光遮断法は、レーザ等の光をリンス液に向かって発信し、受信素子622が液中にある気泡及びパーティクルに対して透過または反射する光を受信することで、リンス液中の気泡及びパーティクルを検知する。音響法の特徴は、気泡及びパーティクルの粒径、個数、及び粒径分布の測定をすることができる。光散乱法及び光遮断法の特徴は、気泡及びパーティクルの粒径、個数、及び粒径分布の測定をすることができる。また、光散乱法及び光遮断法は、多様な液体に対応でき、特に濃度が低い液体に適する。
【0031】
リンス液排出機構63は、廃液部40と接続されていて、リンス液を破棄することが可能になっている。リンス液排出機構63には、三方弁等を用いることができる。リンス液吐出制御バルブ64は、制御コンピュータ30からリンス液吐出量の制御信号を受信して、リンス液ノズル50からの薬液吐出量を制御する。
【0032】
第3の実施の形態に係る半導体装置製造装置の動作を説明する。まず、リンス液リザーバタンク61からリンス液ノズル50に流れるリンス液中の気泡及びパーティクルをリンス液ラインセンサ62で検知する。リンス液ラインセンサ62は、検知結果を制御コンピュータ30に送信する。制御コンピュータ30は、検知結果を基に気泡及びパーティクルの位置情報及び移動速度を計算する。制御コンピュータ30の計算の結果得られた位置情報を基に、リンス液排出機構63は気泡及びパーティクルを含むリンス液がリンス液排出機構63を通過するタイミングで気泡及びパーティクルを含むリンス液を排出する。
【0033】
第3の実施の形態に係る半導体装置製造装置を用いた場合と従来の装置を用いた場合の不良ウェハ枚数の比較を図9のグラフに示す。図9における不良ウェハ枚数は、1ロット24枚あたりの平均の塗布不良ウエハ枚数である。従来の装置では、リンス液リンス液貯蔵部交換後に一旦不良が発生すると、処理ロット数が増えるに従い,塗布不良ウエハ枚数が増大する。しかし、第3の実施の形態に係る半導体装置製造装置を用いることで塗布欠陥の発生がほぼ完全に抑止できていることがわかる。
【0034】
本発明の第3の実施の形態に係る半導体装置製造装置によれば、リンス液中にある気泡及びパーティクルをリンス液ノズル50に届く前に排出することでエッジカット不良の発生を防ぐことが可能なので、工程単価の増加も防ぐことができる。
【0035】
(第4の実施の形態)
本発明の第4の実施の形態に係る半導体装置製造装置は、図10に示すように、塗布薬液を吐出する薬液ノズル10と、塗布薬液を貯蔵し、薬液ノズル10に塗布薬液を供給する薬液貯蔵部20と、薬液ノズル10に供給される塗布薬液中の気泡及びパーティクルを検知する薬液ラインセンサ25と、薬液ラインセンサ25から気泡及びパーティクルの検知結果を受信し、気泡及びパーティクルの位置情報及び移動速度を計算する制御コンピュータ30と、制御コンピュータ30から位置情報及び移動速度を受信し、気泡及びパーティクルを含む塗布薬液の排出を制御する薬液排出バルブ26とを備える。図1で示した半導体装置製造装置と実質的に同様の部位があるので、実質的に同様な部位の重複した記載は省略する。
【0036】
薬液ラインセンサ25は、液体の温度を測定して比熱を算出する液体マスフローメータ等のセンサである。液体マスフローメータは、液体を一旦冷却したあとの温度上昇を測定することによって液体流量を算出するセンサで、液中の気泡は液体自体と比熱が大きく異なるために高感度の検出が可能である
第4の実施の形態に係る半導体装置製造装置の動作を説明する。まず、塗布薬液がポンプ22によって薬液リザーバタンク21から吸い上げられる。塗布薬液は、ポンプ22まで搬送される前に薬液ラインセンサ25を通過する。このとき、薬液ラインセンサ25は、塗布薬液中の気泡及びパーティクルを検知する。薬液ラインセンサ25は、検知結果を制御コンピュータ30に送信する。制御コンピュータ30は、検知結果を基に気泡及びパーティクルの位置情報及び移動速度を計算する。気泡及びパーティクルを含む塗布薬液がウェハ14に吐出されることが予測されるときは、図11に示すように、制御コンピュータ30が薬液排出バルブ26に制御信号を送信して気泡及びパーティクルを含む塗布薬液をダミーディスペンスする。気泡及びパーティクルを含む塗布薬液をダミーディスペンスすることで、塗布不良発生を防ぐことができる。
【0037】
第4の実施の形態に係る半導体装置製造装置を用いた場合と従来の装置を用いた場合の不良ウェハ枚数の比較を図12の表に示す。従来の装置では、塗布薬液投入直後に不良ウェハ枚数が多量に発生して、日数が経つ毎に不良ウェハ枚数がほぼ0で安定化する。塗布薬液投入後の日数経過と伴に塗布薬液加圧窒素が塗布薬液内に溶解することによる泡発生でまた不良ウェハ枚数が増大する。しかし、第4の実施の形態に係る半導体装置製造装置を用いることで、不良ウェハ枚数の発生はほぼ完全に抑止できる。
【0038】
本発明の第4の実施の形態に係る半導体装置製造装置によれば、塗布薬液中にある気泡及びパーティクルを薬液ノズル10に届く前に排出することで塗布不良の発生を防ぐことが可能なので、工程単価の増加を防ぐことができる。また、塗布薬液投入後すぐにでも塗布不良なしに塗布することが可能になるので、塗布薬液によるラインパージ量削減による省薬液等にも有効である。
【0039】
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明は実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす記述及び図面はこの発明を限定するものであると理解するべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかになるはずである。
【0040】
例えば、図13に示すように、第1〜第4の実施の形態に係る半導体装置製造装置を合わせて1つの装置とすることも可能である。
【0041】
また、第2の実施の形態において、サックバック量を決定する要素として気圧を用いたが、温度、湿度等の他の環境データを用いても構わない。
【0042】
この様に、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を包含するということを理解すべきである。したがって、本発明はこの開示から妥当な特許請求の範囲の発明特定事項によってのみ限定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置製造装置の模式図である。
【図2】第1の実施の形態に係る半導体装置製造装置と従来の装置を比較したグラフである。
【図3】第1の実施の形態に係る半導体装置製造装置と従来の装置を比較した表である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置製造装置の模式図である。
【図5】気圧の変動によるサックバック量を示す図である。
【図6】第2の実施の形態に係る半導体装置製造装置と従来の装置を比較した表である。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係る半導体装置製造装置の模式図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係る半導体装置製造装置のリンス液ラインセンサの模式図である。
【図9】第3の実施の形態に係る半導体装置製造装置と従来の装置を比較したグラフである。
【図10】本発明の第4の実施の形態に係る半導体装置製造装置の模式図である。
【図11】本発明の第4の実施の形態に係る半導体装置製造装置における塗布薬液をダミーディスペンスするときの動作を示す模式図である。
【図12】第4の実施の形態に係る半導体装置製造装置と従来の装置を比較した表である。
【図13】本発明のその他の実施の形態に係る半導体装置製造装置の模式図である。
【符号の説明】
【0044】
10…薬液ノズル
12…スピナー部
14…ウェハ
20…薬液貯蔵部
21…薬液リザーバタンク
22…ポンプ
23…薬液吐出制御バルブ
24…サックバック調整バルブ
25…薬液ラインセンサ
26…薬液排出バルブ
30…制御コンピュータ
31…環境測定装置
32…時間測定装置
40…廃液部
42…待機ポッド
50…リンス液ノズル
60…リンス液貯蔵部
61…リンス液リザーバタンク
62…リンス液ラインセンサ
63…リンス液排出機構
64…リンス液吐出制御バルブ
621…発信素子
622…受信素子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布薬液を吐出する薬液ノズルと、
前記塗布薬液を貯蔵し、前記薬液ノズルに前記塗布薬液を供給する薬液貯蔵部と、
前記薬液貯蔵部で前記塗布薬液を貯蔵している時間及び最後に前記塗布薬液を吐出してからの時間を測定する時間測定装置と、
前記時間測定装置から測定結果からダミーディスペンスの間隔と吐出量を制御する制御コンピュータと、
前記制御コンピュータから前記ダミーディスペンスの間隔と吐出量を受信し、前記塗布薬液の吐出を制御する薬液吐出制御バルブ
とを備えることを特徴とする半導体装置製造装置。
【請求項2】
塗布薬液を吐出する薬液ノズルと、
前記塗布薬液を貯蔵し、前記薬液ノズルに前記塗布薬液を供給する薬液貯蔵部と、
前記塗布薬液を塗布する環境の環境データを測定する環境測定装置と、
前記環境測定装置から受信した前記環境データを基にサックバック量を計算し制御する制御コンピュータと、
前記制御コンピュータから前記サックバック量を受信し、前記塗布薬液のサックバックを調整するサックバック調整バルブ
とを備えることを特徴とする半導体装置製造装置。
【請求項3】
前記環境データは、少なくとも気圧、温度、及び湿度のいずれか1つであることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置製造装置。
【請求項4】
リンス液を吐出するリンス液ノズルと、
前記リンス液を貯蔵し、前記リンス液ノズルに前記リンス薬液を供給するリンス液貯蔵部と、
前記リンス液ノズルに供給される前記リンス液中の気泡及びパーティクルを検知するリンス液ラインセンサと、
前記リンス液ラインセンサから前記気泡及びパーティクルの検知結果を受信し、前記気泡及びパーティクルの位置情報及び移動速度を計算する制御コンピュータと、
前記制御コンピュータから前記位置情報及び移動速度を受信し、前記気泡及びパーティクルを含む前記リンス液を排出するリンス液排出機構
とを備えることを特徴とする半導体装置製造装置。
【請求項5】
塗布薬液を吐出する薬液ノズルと、
前記塗布薬液を貯蔵し、前記薬液ノズルに前記塗布薬液を供給する薬液貯蔵部と、
前記薬液ノズルに供給される前記塗布薬液中の気泡及びパーティクルを検知する薬液ラインセンサと、
前記薬液ラインセンサから前記気泡及びパーティクルの検知結果を受信し、前記気泡及びパーティクルの位置情報及び移動速度を計算する制御コンピュータと、
前記制御コンピュータから前記位置情報及び移動速度を受信し、前記気泡及びパーティクルを含む前記塗布薬液の排出を制御する薬液排出バルブ
とを備えることを特徴とする半導体装置製造装置。
【請求項1】
塗布薬液を吐出する薬液ノズルと、
前記塗布薬液を貯蔵し、前記薬液ノズルに前記塗布薬液を供給する薬液貯蔵部と、
前記薬液貯蔵部で前記塗布薬液を貯蔵している時間及び最後に前記塗布薬液を吐出してからの時間を測定する時間測定装置と、
前記時間測定装置から測定結果からダミーディスペンスの間隔と吐出量を制御する制御コンピュータと、
前記制御コンピュータから前記ダミーディスペンスの間隔と吐出量を受信し、前記塗布薬液の吐出を制御する薬液吐出制御バルブ
とを備えることを特徴とする半導体装置製造装置。
【請求項2】
塗布薬液を吐出する薬液ノズルと、
前記塗布薬液を貯蔵し、前記薬液ノズルに前記塗布薬液を供給する薬液貯蔵部と、
前記塗布薬液を塗布する環境の環境データを測定する環境測定装置と、
前記環境測定装置から受信した前記環境データを基にサックバック量を計算し制御する制御コンピュータと、
前記制御コンピュータから前記サックバック量を受信し、前記塗布薬液のサックバックを調整するサックバック調整バルブ
とを備えることを特徴とする半導体装置製造装置。
【請求項3】
前記環境データは、少なくとも気圧、温度、及び湿度のいずれか1つであることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置製造装置。
【請求項4】
リンス液を吐出するリンス液ノズルと、
前記リンス液を貯蔵し、前記リンス液ノズルに前記リンス薬液を供給するリンス液貯蔵部と、
前記リンス液ノズルに供給される前記リンス液中の気泡及びパーティクルを検知するリンス液ラインセンサと、
前記リンス液ラインセンサから前記気泡及びパーティクルの検知結果を受信し、前記気泡及びパーティクルの位置情報及び移動速度を計算する制御コンピュータと、
前記制御コンピュータから前記位置情報及び移動速度を受信し、前記気泡及びパーティクルを含む前記リンス液を排出するリンス液排出機構
とを備えることを特徴とする半導体装置製造装置。
【請求項5】
塗布薬液を吐出する薬液ノズルと、
前記塗布薬液を貯蔵し、前記薬液ノズルに前記塗布薬液を供給する薬液貯蔵部と、
前記薬液ノズルに供給される前記塗布薬液中の気泡及びパーティクルを検知する薬液ラインセンサと、
前記薬液ラインセンサから前記気泡及びパーティクルの検知結果を受信し、前記気泡及びパーティクルの位置情報及び移動速度を計算する制御コンピュータと、
前記制御コンピュータから前記位置情報及び移動速度を受信し、前記気泡及びパーティクルを含む前記塗布薬液の排出を制御する薬液排出バルブ
とを備えることを特徴とする半導体装置製造装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−110030(P2007−110030A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−301913(P2005−301913)
【出願日】平成17年10月17日(2005.10.17)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月17日(2005.10.17)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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