説明

半導体装置

【課題】フラクショナルN−PLL回路における出力クロック信号でのスプリアスの発生を抑制する。
【解決手段】出力クロック信号を出力する電圧制御発振器と、出力クロック信号を分周して分周クロック信号を生成し、基準クロック信号と分周クロック信号とを比較し、比較結果に基づき出力信号を出力するN個の制御ユニットと、各制御ユニットからの出力信号を加算する加算器と、加算器の出力をフィルタ処理し電圧制御発振器に出力するローパスフィルタとを備え、分周クロック信号に同期して所定の順序で巡回させ供給するN個のデータからなる分周比に係る設定情報を、各制御ユニットに対して初期値を互いに異ならせて供給し分周動作及び比較動作を行わせるようにして、N個の制御ユニットにより移動平均フィルタを形成し量子化ノイズを低減し、出力クロック信号でのスプリアスの発生を抑制できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、PLL(Phase Locked Loop)回路におけるスプリアスの発生を抑制する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
通信システムに用いられる周波数シンセサイザは、様々な周波数信号を出力可能なものが求められている。特に、通信可能な帯域が細分化していくに伴い、周波数シンセサイザは、出力の周波数ステップを細かく設定可能である必要がある。通信システムで用いられる周波数シンセサイザでは、PLL(Phase Locked Loop)回路を用いるのが一般的である。
【0003】
PLL回路としては、分周比が整数のみである整数分周型のPLL回路(Integer-N PLL)が一般に知られている。整数分周型のPLL回路では、目的とする周波数の出力を得るための分周比が整数になるように、外部から入力されたクロック信号を分周して得られる周波数が低い信号を基準信号(参照クロック信号)としている。しかしながら、基準信号の周波数、すなわち位相比較に係る比較周波数が低くなると、ループフィルタ(ローパスフィルタ)のカットオフ周波数も下げなければならない。そのため、ループフィルタにおける容量の容量値を増やさざるを得ず、回路面積が増大してしまう。また、ループ帯域が狭くなることで位相ノイズの低減効果も減る。
【0004】
前述のような位相比較に係る比較周波数が低くなることを防止する手法の1つとして、図12に一例を示すようなフラクショナルN−PLL回路と呼ばれる分数分周型のPLL回路(Fractional-N PLL)が提案されている。分数分周型のPLL回路は、分周器における整数分周数を時間的に変化させる。すなわち、分数分周型のPLL回路は、時間軸に対して分周比に擾乱を与えることで、等価的及び平均的に整数だけでなく分数(小数)を含む分周比を実現している。
【0005】
図12は、フラクショナルN−PLL回路の構成例を示す図である。
図12において、101は位相周波数比較器(PFD)、102はチャージポンプ回路(CP)、103はローパスフィルタ(LPF)、104は電圧制御発振器(VCO)、105は可変分周器(DIV)、106はΣΔ変調器(ΣΔmod)である。
【0006】
位相周波数比較器101には、参照クロック信号(基準クロック信号)fREFが入力されるとともに、可変分周器105から出力される分周クロック信号fDIVが入力される。位相周波数比較器101は、参照クロック信号fREFと分周クロック信号fDIVとの周波数差及び位相差に応じたパルス信号をチャージポンプ回路102に出力する。チャージポンプ回路102は、位相周波数比較器101から出力されるパルス信号に応じた出力信号をローパスフィルタ103に出力する。
【0007】
ローパスフィルタ(ループフィルタ)103は、図12に示すように複数の抵抗Rs、Rr、及び複数の容量Cs、Cp、Crを有する。ローパスフィルタ103は、チャージポンプ回路102の出力信号を平滑して高周波成分を除去し、電圧制御発振器104に制御電圧として出力する。電圧制御発振器104は、入力された制御電圧に応じた周波数の出力クロック信号fOUTを外部回路に出力するとともに、可変分周器105に出力する。
【0008】
可変分周器105は、電圧制御発振器104から出力される出力クロック信号fOUTを分周して分周クロック信号fDIVを出力する。可変分周器105の分周比は、ΣΔ変調器106の出力に基づいて設定される。ΣΔ変調器106は、可変分周器105から出力される分周クロック信号fDIVに応じて、可変分周器105の分周比に係る設定情報を出力する。
【0009】
図12に示したフラクショナルN−PLL回路は、ΣΔ変調器106の出力に基づいて可変分周器105の分周比(整数分周数)を時間的に変化させ、平均分周比が分数を含むような分周動作を行う。フラクショナルN−PLL回路は、分周比(平均分周比)として分数値を設定し得ることで、整数分周型のPLL回路を用いる場合よりも参照クロック信号の周波数、すなわち位相比較に係る比較周波数を高くすることができる。つまり、位相比較に係る比較周波数を低くすることなく、所望の周波数の出力を得ることが可能となり、整数分周型のPLL回路と比較してローパスフィルタにおける容量の容量値を減少させることが可能となる。また、ループ帯域も広い帯域を維持することが可能となり位相ノイズの低減効果も維持することが可能となる。
【0010】
しかしながら、図12に示したフラクショナルN−PLL回路においては、図13に示すように、電圧制御発振器104からの出力クロック信号fOUTに、ΣΔ変調器106の動作による量子化ノイズに起因するスプリアス110が発生する。図13において、実線はフラクショナルN−PLL回路の位相ノイズのレベルを示しており、破線は電圧制御発振器のみとした場合のレベルを示している。
【0011】
図13に示したようなスプリアス110が出力クロック信号fOUTに発生することを抑制する手法として、フラクショナルN−PLL回路内のローパスフィルタにおける容量の容量値を増やすことが考えられる。しかし、スプリアスの発生を十分に抑制するには、ローパスフィルタにおける容量の容量値として整数分周型のPLL回路と同程度の容量値が必要となり、フラクショナルN−PLL回路の利点が損なわれてしまう。
【0012】
また、フラクショナルN−PLL回路のサイクルトゥサイクルジッターの低減が図れるように構成されたフラクショナルN−PLL回路が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。このフラクショナルN−PLL回路では、参照クロック信号における1つのパルスの位相と、そのパルスと比較される分周クロック信号における1つのパルスの位相との位相差検出動作に基づく、電圧制御発振器に出力されるループフィルタの出力電圧の生成動作が時間差を有する複数の生成動作により実行されるように位相周波数比較器とチャージポンプ回路との少なくとも一方が構成されている。そして、参照クロック信号における1つのパルスの位相と、分周クロック信号における1つのパルスの位相との位相差検出動作に基づくループフィルタの出力電圧の生成動作を、その1パルス期間中での複数回の動作に時間軸で分割して行う。このようにループフィルタの出力電圧の生成動作を1パルス期間中の複数回の動作に分割することで、出力電圧のオーバーシュート量を低減させサイクルトゥサイクルジッターの低減を図っている。
【0013】
また、電圧制御発振器の発振出力を分周して所定の位相関係を持つ第1の分周クロック信号と第2の分周クロック信号を分周器により発生するとともに、参照クロック信号と第1の分周クロック信号との比較結果、及び参照クロック信号と第2の分周クロック信号との比較結果に応じて、電圧制御発振器に供給する制御電圧を制御するフラクショナルN−PLL回路が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2007−288375号公報
【特許文献2】特表2004−530334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、フラクショナルN−PLL回路における出力クロック信号でのスプリアスの発生を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一観点によれば、出力クロック信号を出力する電圧制御発振器と、基準クロック信号及び出力クロック信号が入力されるN個(Nは2以上の自然数)の制御回路部と、各制御回路部からの出力信号を加算する加算器と、加算器の出力をフィルタ処理して電圧制御発振器に出力するローパスフィルタとを備える半導体装置が提供される。制御回路部は、可変分周器、位相周波数比較器、及びチャージポンプ回路を有する。可変分周器は、供給される設定情報に応じた分周比で出力クロック信号を分周し分周クロック信号を出力する。位相周波数比較器は、基準クロック信号と分周クロック信号とを比較し、その比較結果に基づいてチャージポンプ回路が出力信号を出力する。可変分周器に供給される分周比に係る設定情報は、分周クロック信号に同期して所定の順序で巡回し供給され、平均分周比が小数を含むように分周比を変動させるN個のデータであって、制御回路部の各々の可変分周器に対して初期値を互いに異ならせて供給される。
前記構成によれば、各制御回路部に対して初期値を互いに異ならせて分周比に係る設定情報を供給して分周動作及び比較動作を行い、各制御回路部から出力される出力信号を加算した信号に基づいて出力クロック信号に係る制御を行う。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、N個の制御回路部を配置し、分周比に係る設定情報を各制御回路部に対して初期値を互いに異ならせて供給し分周動作及び比較動作を行わせることで、移動平均フィルタを形成し量子化ノイズを低減することができる。これにより、ローパスフィルタにおける容量の容量値を増大させることなく、電圧制御発振器から出力される出力クロック信号でのスプリアスの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態におけるフラクショナルN−PLL回路の構成例を示す図である。
【図2】本実施形態における制御ユニットの構成例を示す図である。
【図3】各制御ユニット内の可変分周器に供給される分周数設定値の一例を示す図である。
【図4】本実施形態におけるフラクショナルN−PLL回路の具体的な構成例を示す図である。
【図5】ΣΔ変調器の出力例を示す図である。
【図6】本実施形態におけるフラクショナルN−PLL回路の動作例を示すタイミングチャートである。
【図7】本実施形態におけるフラクショナルN−PLL回路の動作例を示すタイミングチャートである。
【図8】本実施形態におけるフラクショナルN−PLL回路の出力信号のスペクトラムを示す図である。
【図9】本実施形態におけるフラクショナルN−PLL回路の他の構成例を示す図である。
【図10】図9に示すフラクショナルN−PLL回路の動作例を示す図である。
【図11】本実施形態におけるデータジェネレータの他の構成例を示す図である。
【図12】フラクショナルN−PLL回路の一例を示す図である。
【図13】図12に示すフラクショナルN−PLL回路における位相ノイズを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
本発明の一実施形態に係る半導体装置は、分数分周型のPLL回路、いわゆるフラクショナルN−PLL回路(Fractional-N PLL)である。本実施形態におけるフラクショナルN−PLL回路は、PLL回路内の分周器における分周数(整数分周数)を時間的に変化させる(時間軸に対して分周数に擾乱を与える)ことで、等価的及び平均的に分数(小数)を含む分周比を実現可能である。本実施形態においては、フラクショナルN−PLL回路に対して設定される分数分周比の分母値が予め確定しており、その分周比を実現するためにPLL回路内の分周器に対して与える分周比に係る設定情報の巡回周期が既知であるものとする。
【0021】
図1は、本実施形態におけるフラクショナルN−PLL回路の構成例を示すブロック図である。図1には、設定される分数分周比の分母値がn(nは自然数)であり、分周器より出力される分周クロック信号のn周期で、分周器に対して与えられる分周比に係る設定情報が巡回されるフラクショナルN−PLL回路を一例として示している。
【0022】
図1において、10−iは制御ユニット、20は加算器、30はローパスフィルタ(LPF)、40は電圧制御発振器(VCO)である。なお、iは添え字であり、i=1〜nの自然数である。
【0023】
設定される分数分周比の分母値がnであり、分周器に対して与えられる分周比に係る設定情報の巡回周期が分周クロック信号のn周期である場合には、n個の制御ユニット10−iが並列に設けられる。制御ユニット10−iの各々は、図2に示すように、可変分周器(DIV)11、位相周波数比較器(PFD)12、及びチャージポンプ回路(CP)13を有する。また、各制御ユニット10−iは、データジェネレータ(DT_GEN)14及び加算器15を有する。
【0024】
各制御ユニット10−iには、参照クロック信号(基準クロック信号)fREF、電圧制御発振器40から出力される発振出力である出力クロック信号fOUT、固定分周設定値M、及び初期値アドレスKiが入力される。ここで、参照クロック信号fREFは、水晶振動子等を用いた図示しない発振器から出力された周波数が一定である基準信号を基に生成される信号である。
【0025】
可変分周器(フラクショナル分周器)11には、出力クロック信号fOUTが入力されるとともに、設定される分周比(分周数)を示す分周数設定値DCiが入力される。可変分周器11は、分周数設定値DCiに基づいて設定される分周比で出力クロック信号fOUTを分周して、分周クロック信号(出力帰還信号)DIViを出力する。
【0026】
分周数設定値DCiは、可変分周器11における瞬時の分周比を整数で設定するものであるが、その値が時間的に変化する。分周数設定値DCiは、分周クロック信号DIViに同期して可変分周器11に対し供給され、分周クロック信号DIViのn周期で1周するように巡回される。
【0027】
位相周波数比較器12には、参照クロック信号fREFが入力されるとともに、可変分周器11から出力される分周クロック信号DIViが入力される。位相周波数比較器12は、参照クロック信号fREFと分周クロック信号DIViとの周波数差及び位相差に応じたパルス信号をチャージポンプ回路13に出力する。
【0028】
チャージポンプ回路13は、位相周波数比較器12から出力されるパルス信号に応じた出力信号CPOiを出力する。出力信号CPOiは、パルス信号の周波数変動に伴って変化する直流成分に、パルス信号の位相差に基づいて変化するパルス成分が含まれた信号である。
【0029】
チャージポンプ回路13は、例えば図12に示したチャージポンプ回路102と同様に構成される。すなわち、チャージポンプ回路13は、第1の電源と出力端との間に配された第1のチャージポンプ用電流源及び入力スイッチからなる直列回路と、出力端と第2の電源との間に配された第2のチャージポンプ用電流源及び出力スイッチからなる直列回路とで構成される。チャージポンプ回路13は、位相周波数比較器12から出力されるパルス信号に応じて、入力スイッチ、出力スイッチがオン/オフ制御されることで、出力信号CPOiを出力端に出力する。
【0030】
データジェネレータ(データ生成回路)14には、可変分周器11から出力される分周クロック信号DIViが入力される。データジェネレータ14は、入力される分周クロック信号DIViをクロック信号として動作し、分周クロック信号DIViに同期させて可変分周設定値を出力する。
【0031】
可変分周設定値は、順序(順番)が規定されたn個のデータからなる。データジェネレータ14は、入力される初期値アドレスKiに対応するデータを初期値として、規定された順序に従ってn個のデータを分周クロック信号DIViに同期して順次出力する。また、データジェネレータ14は、最終番目のデータを出力した場合には、次に1番目のデータを出力するようにして可変分周設定値を構成するデータを巡回させ出力する。
【0032】
加算器15には、固定分周設定値Mが入力されるとともに、データジェネレータ14から出力された可変分周設定値が入力される。加算器15は、固定分周設定値Mと可変分周設定値とを加算し、加算結果を分周数設定値DCiとして可変分周器11に出力する。
【0033】
ここで、制御ユニット10−1〜10−nにおいて、可変分周設定値を構成するn個のデータは制御ユニット10−1〜10−nにかかわらず同じであるが、制御ユニット10−1〜10−nの各々に入力される初期値アドレスK1〜Knは互いに異なっている。すなわち、データジェネレータ14から出力される可変分周設定値、言いかえれば可変分周器11に入力される分周数設定値DCiは、図3に一例を示すように、全体としてのデータ配列(データパターン)が同様であるが、初期値が互いに異なる。
【0034】
図3は、各制御ユニット10−iの可変分周器11に対して供給される分周数設定値DCi(データジェネレータ14から出力される可変分周設定値)の一例を示す図である。なお、図3においては、分周クロック信号DIViの第1周期の期間から第n周期の期間までを示しているが、以降の期間は図示した第1周期の期間から第n周期の期間までと同様に繰り返される。
【0035】
制御ユニット10−1内の可変分周器11に対して供給される分周数設定値DC1は、分周クロック信号DIV1の第1周期の期間には初期値として値V1が供給され、第2周期の期間には値V2が供給され、第3周期の期間には値V3が供給される。また、分周クロック信号DIV1の第n周期の期間には値Vnが供給される。
【0036】
また、制御ユニット10−2内の可変分周器11に対して供給される分周数設定値DC2は、初期値を値V2として、値V2、V3、・・・、Vn、V1が分周クロック信号DIV2に同期して順に供給される。同様に、制御ユニット10−3内の可変分周器11に対して供給される分周数設定値DC3は、初期値を値V3として、値V3、V4、・・・、Vn、V1、V2が分周クロック信号DIV3に同期して順に供給される。
【0037】
また、制御ユニット10−n内の可変分周器11に対して供給される分周数設定値DCnは、初期値を値Vnとして、値Vn、V1、V2、・・・が分周クロック信号DIVnに同期して順に供給される。
【0038】
すなわち、制御ユニット10−i内の可変分周器11には、分周クロック信号DIViの第j周期の期間に分周数設定値DCiとして値V(j+i−1)(但し、j+i−1>nの場合、値V(j+i−1−n))が供給される。なお、jは添え字であり、j=1〜nの自然数である。したがって、値jが同じ値である分周クロック信号DIViのある周期の期間においては、各制御ユニット10−iの可変分周器11には、分周数設定値DCiとして異なるデータに基づく値が入力される。
【0039】
前述のように構成された制御ユニット10−1〜10−nの各々から出力された出力信号CPO1〜CPOnは、図1に示すように加算器20に入力される、加算器20は、出力信号CPO1〜CPOnを加算し、加算結果として得られる加算信号をローパスフィルタ30に出力する。
【0040】
ローパスフィルタ(ループフィルタ)30は、加算器20から出力された加算信号(制御ユニット10−1〜10−n内のチャージポンプ回路13の出力信号CPO1〜CPOnの加算信号)をフィルタ処理する。ローパスフィルタ30は、加算器20から出力された加算信号を平滑して高周波成分を除去し、高周波成分が除去された加算信号を電圧制御発振器40に制御電圧として出力する。
【0041】
ローパスフィルタ30は、例えば図12に示したローパスフィルタ103と同様に構成される。すなわち、ローパスフィルタ30は、複数の抵抗Rs、Rr、及び複数の容量Cs、Cp、Crを含み構成される。入力信号(加算器20からの加算信号)が、抵抗Rsの一端、抵抗Rrの一端、及び容量Cpの一端に供給される。抵抗Rrの他端と容量Crの一端との接続ノードから、電圧制御発振器40の発振周波数を制御するための制御電圧が出力される。抵抗Rsの他端は容量Csの一端に接続され、容量Cs、Cp、Crの他端は接地されている。
【0042】
電圧制御発振器40は、入力された制御電圧に応じた周波数の出力クロック信号fOUTを外部回路に出力するとともに、制御ユニット10−iに出力する。
【0043】
本実施形態におけるフラクショナルN−PLL回路は、制御ユニット10−iにおいて、可変分周器11が分周数設定値DCiに応じた分周比で出力クロック信号fOUTを分周し分周クロック信号DIViを出力する。また、位相周波数比較器12が参照クロック信号fREFと分周クロック信号DIViとを比較し比較結果に応じたパルス信号をチャージポンプ回路13に出力し、チャージポンプ回路13が、そのパルス信号に応じた出力信号CPOiを出力する。この動作を配列(データパターン)が同様の分周数設定値DCiを用い、初期値を互いに異ならせて各制御ユニット10−iにて行う。
【0044】
そして、各制御ユニット10−iからの出力信号CPOiを加算器20により加算した後、ローパスフィルタ30により平滑して高周波成分を除去し、制御電圧として電圧制御発振器40に供給する。電圧制御発振器40は、制御電圧に応じた周波数の出力クロック信号fOUTを出力する。
【0045】
このように本実施形態におけるフラクショナルN−PLL回路では、分周数設定値DCi(可変分周設定値)が分周クロック信号DIViのn周期で巡回するのであれば、n個の制御ユニット10−iが並列に配置される。初期値を互いに異ならせるようにして各制御ユニット10−iに分周数設定値DCi(可変分周設定値)を供給して、各制御ユニット10−iが分周動作及び比較動作を行い、制御ユニット10−iの各々から出力される出力信号CPOiを加算することで平均化して出力クロック信号fOUTに係る発振制御を行う。
【0046】
以上のように、n個の制御ユニット10−iを並列に配置して前述のように動作させることで、移動平均フィルタを形成し量子化ノイズを低減することができ、量子化ノイズに起因する出力クロック信号fOUTでのスプリアスの発生を抑制することができる。
【0047】
なお、前述した説明では、制御ユニット10−i内にデータジェネレータ14及び加算器15を設け可変分周器11に分周数設定値DCiを供給するようにしているが、本発明はこれに限定されるものではない。可変分周器11に対して分周比を設定することが可能な分周比に係る設定情報を供給することができればよく、それを供給するための構成は任意である。例えば、データジェネレータ14及び加算器15は、制御ユニット10−iの外部に設けるようにしても良い。また、例えば、データジェネレータ14及び加算器15を設けずに、制御ユニット10−iの外部から可変分周器11に分周数設定値DCiそのものを供給するようにしても良い。また、例えば、制御ユニット10−i内に加算器15を設けるとともに、制御ユニット10−iの外部から固定分周設定値M及び可変分周設定値を加算器15に入力して可変分周器11に分周数設定値DCiを供給するようにしても良い。
【0048】
図4は、本実施形態におけるフラクショナルN−PLL回路の具体的な構成例を示すブロック図である。図4には、設定される分数分周比の分母値が7である(分周器に対して与えられる分周比に係る設定情報が分周クロック信号の7周期で巡回される)フラクショナルN−PLL回路を示している。
【0049】
図4において、50−1〜50−7はΣΔ変調器(ΣΔmod)、51−2〜51−7は遅延回路、52−1〜52−7は可変分周器(DIV)、53−1〜53−7は位相周波数比較器(PFD)、54−1〜54−7はチャージポンプ回路(CP)である。また、55は加算器、56はローパスフィルタ(LPF)、57は電圧制御発振器(VCO)である。
【0050】
添え字i(i=1〜7)の値が同じΣΔ変調器50−i、遅延回路51−i、可変分周器52−i、位相周波数比較器53−i、及びチャージポンプ回路(CP)54−iの組(但し、i=1においては遅延回路を有しない。)により図1に示した制御ユニット10−iが構成される。
【0051】
図4に示す可変分周器52−1〜52−7、位相周波数比較器53−1〜53−7、チャージポンプ回路54−1〜54−7は、図2に示した可変分周器11、位相周波数比較器12、チャージポンプ回路13にそれぞれ対応するものであり、重複する説明は省略する。また、図4に示す加算器55、ローパスフィルタ56、電圧制御発振器57は、図1に示した加算器20、ローパスフィルタ30、電圧制御発振器40にそれぞれ対応するものであり、重複する説明は省略する。
【0052】
ΣΔ変調器(ΔΣ変調器とも呼ばれる)50−1〜50−7には、分周比設定に係る分数設定情報FNが入力されるとともに、可変分周器52−1〜52−7から出力される分周クロック信号DIV1〜DIV7が入力される。ΣΔ変調器50−1〜50−7は、入力される分周クロック信号DIV1〜DIV7をクロック信号として動作し、分数設定情報FNに応じて図5に示すような変調出力を分周クロック信号DIV1〜DIV7に同期させて出力する。例えば、ΣΔ変調器50−1〜50−7として3次MASH型のΣΔ変調器を用いた場合には、分母値が7である分数分周比を実現させるための変調出力は、すべて7周期で固有パターンを出力することができる。
【0053】
図5は、ΣΔ変調器の出力の一例を示す図である。
図5(a)に示すパターンは、(2/7)を実現させるための出力パターンの一例であり、変調出力として{−1,1,−3,3,−5,1,−1}が繰り返し(巡回して)出力される。また、図5(b)に示すパターンは、(4/7)を実現させるための出力パターンの一例であり、変調出力として{−1,−3,1,−1,1,−3,3}が繰り返し(巡回して)出力される。
【0054】
図4に戻り、遅延回路51−2〜51−7には、ΣΔ変調器50−2〜50−7から出力される変調出力が入力されるとともに、可変分周器52−2〜52−7から出力される分周クロック信号DIV2〜DIV7が入力される。遅延回路51−2〜51−7は、入力される分周クロック信号DIV1〜DIV7をクロック信号として動作し、ΣΔ変調器50−2〜50−7からの変調出力を所定時間(所定周期数の期間)だけ遅延させて出力する。なお、遅延回路51−2〜51−7は、遅延時間(遅延させる周期数)が互いに異なるように構成されている。
【0055】
遅延回路51−2〜51−7は、例えば分周クロック信号DIV2〜DIV7がクロック入力端子に供給されるフリップフロップ(FF)を用い、遅延させる周期数に応じた数のフリップフロップを縦続接続(カスケード接続)することにより構成される。図4に示す例では、遅延回路51−2は、クロック入力端子に分周クロック信号DIV2が供給される1つのフリップフロップで構成され、遅延回路51−3は、クロック入力端子に分周クロック信号DIV3が供給される2つのフリップフロップで構成される。同様にして、遅延回路51−p(p=2〜7)は、クロック入力端子に分周クロック信号DIVpが供給される(p−1)個のフリップフロップを縦続接続(カスケード接続)して構成される。
【0056】
前述の構成によれば、例えばΣΔ変調器50−1〜50−7が分数設定情報FNに応じて(2/7)を表す{−1,1,−3,3,−5,1,−1}を変調出力として出力する場合、可変分周器52−1には{−1,1,−3,3,−5,1,−1}のデータパターンで分周比に係る分数成分としての値が供給される。また、可変分周器52−2には1周期分遅延されることにより{−1,−1,1,−3,3,−5,1}のデータパターンで分周比に係る分数成分としての値が供給され、可変分周器52−3には2周期分遅延されることにより{1,−1,−1,1,−3,3,−5}のデータパターンで分周比に係る分数成分としての値が供給される。可変分周器52−4には3周期分遅延されることにより{−5,1,−1,−1,1,−3,3}のデータパターンで分周比に係る分数成分としての値が供給され、可変分周器52−5には4周期分遅延されることにより{3,−5,1,−1,−1,1,−3}のデータパターンで分周比に係る分数成分としての値が供給される。可変分周器52−6には5周期分遅延されることにより{−3,3,−5,1,−1,−1,1}のデータパターンで分周比に係る分数成分としての値が供給され、可変分周器52−7には6周期分遅延されることにより{1,−3,3,−5,1,−1,−1}のデータパターンで分周比に係る分数成分としての値が供給される。このように、可変分周器52−1〜52−7には、同じように配列されたデータパターンであるが初期値を互いに異ならせて(固有の初期値で)、分周比に係る分数成分としての値が供給される。
【0057】
なお、図4においては、分周比に係る分数成分に関して図示しているが、ΣΔ変調器50−1〜50−7の変調出力を可変分周設定値として、図2に示したように固定分周設定値Mと可変分周設定値とを加算した分周数設定値DCiが可変分周器11に供給される。ここで固定分周設定値Mと可変分周設定値との加算処理は、遅延回路51−2〜51−7の前段側で行っても良いし、後段側で行っても良い。
【0058】
図6及び図7は、本実施形態におけるフラクショナルN−PLL回路の動作例を示すタイミングチャートである。図6及び図7においては、固定分周設定値Mが10であり、可変分周設定値として{−5,1,−1,−1,1,−3,3}のデータパターン(2/7に相当)が供給される場合を一例として示しており、動作を開始してから十分時間が経過し動作が安定している状態とする。
【0059】
図6及び図7において、fREFはフラクショナルN−PLL回路に入力される参照クロック信号、fOUTはフラクショナルN−PLL回路より出力される出力クロック信号である。また、DCiは制御ユニット10−i内の可変分周器11に供給される分周数設定値、DIViは制御ユニット10−i内の可変分周器11から出力される分周クロック信号、CPOiは制御ユニット10−iから出力される出力信号、CPOSは出力信号CPOiの総和である。
【0060】
図6に示すように、分周クロック信号DIViの第1周期においては、制御ユニット10−1内の可変分周器11に対し可変分周設定値として−5が供給され、制御ユニット10−2内の可変分周器11に対し可変分周設定値として1が供給される。同様に、制御ユニット10−3、10−4、10−5、10−6、10−7内の可変分周器11に対し可変分周設定値として−1,−1,1,−3,3がそれぞれ供給される。すなわち、分周クロック信号DIViの第1周期においては、{−5,1,−1,−1,1,−3,3}のデータパターンの各値が可変分周設定値の初期値として各制御ユニット10−1内の可変分周器11に対して供給される。
【0061】
その後、例えば制御ユニット10−1では、分周数設定値(10−5)に応じて出力クロック信号fOUTを分周して得られた分周クロック信号DIV1により可変分周設定値として供給される値が次の1に切り替えられる。また、位相周波数比較器12により分周クロック信号DIV1と参照クロック信号fREFとの比較が行われ、その比較結果に応じて図7に示すようにチャージポンプ回路13から出力信号CPO1が出力される。
【0062】
各制御ユニット10−iでの前述のような動作に基づいて出力された出力信号CPOiが加算され、その加算信号CPOSがローパスフィルタを介して電圧制御発振器40に制御電圧として供給され、発振出力である出力クロック信号fOUTに係る周波数制御が行われる。ここで、図7に示すように、参照クロック信号fREFの1周期分において加算信号CPOSを積分すると、その値は0となる。
【0063】
すなわち、設定される分数分周比の分母値が7である(分周比に係る設定情報が分周クロック信号の7周期で巡回される)場合には、図12に示したようなフラクショナルN−PLL回路では参照クロック信号fREFの7周期分の期間を費やして平均化される。それに対して、本実施形態におけるフラクショナルN−PLL回路では、参照クロック信号fREFの1周期分の期間だけで平均化処理することができ、出力クロック信号fOUTでのスプリアスの発生を抑制することができる。
【0064】
本実施形態によれば、フラクショナルN−PLL回路において、分周数設定値DCi(可変分周設定値)が分周クロック信号DIViのn周期で巡回するのであれば、n個の制御ユニット10−iが並列に配置する。そして、初期値を互いに異ならせるようにして各制御ユニット10−iに分周数設定値DCi(可変分周設定値)を供給して分周動作及び比較動作を行い、各制御ユニット10−iから出力される出力信号CPOiを加算して出力クロック信号fOUTに係る発振制御を行う。このように、n個の制御ユニット10−iを並列に配置して前述のように動作させることで、移動平均フィルタを形成し量子化ノイズを低減することができる。したがって、ローパスフィルタ30における容量の容量値を増大させることなく、量子化ノイズに起因する出力クロック信号fOUTでのスプリアスの発生を抑制することができる。
【0065】
本実施形態におけるフラクショナルN−PLL回路によれば、発振出力における特定の周期での擾乱がなく、図8(b)に示す従来のフラクショナルN−PLL回路の出力信号のスペクトラムと比較して明らかなように、図8(a)に出力信号のスペクトラムの一例を示すようにスプリアスの発生を抑制することができ良好な発振出力を得ることができる。
【0066】
図9は、本実施形態におけるフラクショナルN−PLL回路の他の構成例を示すブロック図である。図9には、設定される分数分周比の分母値がn(nは自然数)であり、分周器より出力される分周クロック信号のn周期で、分周器に対して与えられる分周比に係る設定情報が巡回されるフラクショナルN−PLL回路を一例として示している。なお、この図9において、図1に示したブロック等と同一の機能を有するブロック等には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0067】
前述した本実施形態におけるフラクショナルN−PLL回路において、各制御ユニット10−iからの出力信号CPOiを加算した加算信号CPOSは、例えば図7に示したように変化する。この加算信号CPOSが、ローパスフィルタ30を介して電圧制御発振器40に制御電圧として供給される。このように、前述したフラクショナルN−PLL回路では、各制御ユニット10−iでの一回分の位相比較の結果により、加算信号CPOSにおいて極性が正のパルス信号と負のパルス信号とが同時に発生し、それが制御電圧として電圧制御発振器40に供給される。言い換えれば、PLL回路において、一度の位相比較でアップ(UP)パルス信号とダウン(DOWN)パルス信号が同時に発生する。その結果、これらパルス信号により周波数制御される電圧制御発振器40の発振出力に、アップパルス信号とダウンパルス信号の同時発生に起因するスプリアスが発生するおそれがある。
【0068】
そこで、図9に示すフラクショナルN−PLL回路は、加算器20の出力端とローパスフィルタ30の入力端との間に容量回路70を設ける。容量回路70は、加算器20から出力された加算信号CPOS(加算信号CPOSによる電荷)を一旦蓄積し、その後、ローパスフィルタ30に供給する。
【0069】
容量回路70は、容量Ca及びスイッチSW71、SW72を有する。スイッチSW71は、一端が加算器20の出力端に接続され、他端がスイッチSW72の一端に接続される。スイッチSW72は、他端がローパスフィルタ30の入力端に接続される。スイッチSW71、SW72は、参照クロック信号fREFと同じ周波数の制御信号CTL1、CTL2によりオン/オフ制御される。ただし、制御信号CTL1、CTL2は、位相がずらしてある。容量Caは、一端がスイッチSW71の他端とスイッチSW72の一端との接続ノードNDに接続され、他端が接地されている。
【0070】
容量回路70は、制御信号CTL1によりスイッチSW71をオンし、制御信号CTL2によりスイッチSW72をオフした状態にして、加算器20からの加算信号CPOS(加算信号CPOSによる電荷)を容量Caに蓄積する。これにより、容量回路70内のノードNDの電位をVC1とすると、電位VC1は図10に示すように変化する。
【0071】
そして、加算器20からの加算信号CPOSが0である(パルス信号が発生していない)タイミングで、言い換えれば電位VC1が変化せずレベルを維持しているときに、制御信号CTL2によりスイッチSW72をオン状態(例えば、パルス状にオン)にする。これにより、加算器20からの加算信号CPOSに基づき生成されてローパスフィルタ30に入力される信号、すなわちローパスフィルタ30を介して電圧制御発振器40に制御電圧として供給される信号は、図10に示す信号VC2のようになる。
【0072】
このように、加算器20とローパスフィルタ30との間に容量回路70を設け、加算器20からの加算信号CPOSを容量回路70で一旦蓄積し、その後、ローパスフィルタ30に供給する。これにより、制御電圧として電圧制御発振器40に供給される信号において、極性が正のパルス信号と負のパルス信号とが同時に発生することを防止し、正のパルス信号と負のパルス信号の同時発生に起因する出力クロック信号fOUTでのスプリアスの発生を抑制することができる。
【0073】
なお、前述した説明では、本実施形態におけるフラクショナルN−PLL回路の制御ユニット内のデータジェネレータ14を、ΣΔ変調器と遅延回路とで構成する例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、データジェネレータ14は、シフトレジスタを用いて構成することも可能である。例えば図11に示すような初期値を選択可能(設定可能)なフリップフロップ61−1〜61−7を縦続接続(カスケード接続)し、可変分周設定値として供給する値を各フリップフロップ61−1〜61−7の初期値に設定する。また、各フリップフロップ61−1〜61−7には分周クロック信号DIVSが供給されており、分周クロック信号DIVSに応じて次段のフリップフロップ61−1〜61−7に値が伝達され巡回される。そして、初期値アドレスIADに応じてセレクタ62によりフリップフロップ61−1〜61−7の1つの出力を選択し可変分周設定値として出力するようにしても、データジェネレータ14としての機能を実現することができる。
【0074】
なお、前記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化のほんの一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0075】
10 制御ユニット
11 可変分周器
12 位相周波数比較器
13 チャージポンプ回路
14 データジェネレータ
15 加算器
20 加算器
30 ローパスフィルタ
40 電圧制御発振器
50 ΣΔ変調器
51 遅延器
52 可変分周器
53 位相周波数比較器
54 チャージポンプ回路
55 加算器
56 ローパスフィルタ
57 電圧制御発振器
70 容量回路
REF 参照クロック信号
OUT 出力クロック信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力クロック信号を出力する電圧制御発振器と、
基準クロック信号及び前記出力クロック信号が入力されるN個(Nは2以上の自然数)の制御回路部と、
前記N個の制御回路部の各々から出力される出力信号を加算する加算器と、
前記加算器の出力をフィルタ処理して前記電圧制御発振器に出力するローパスフィルタとを備え、
前記制御回路部は、
分周比に係る設定情報が供給され、当該設定情報に応じた分周比で前記出力クロック信号を分周して分周クロック信号を出力する可変分周器と、
前記基準クロック信号と前記分周クロック信号とを比較する位相周波数比較器と、
前記位相周波数比較器での比較結果に基づいて、前記出力信号を出力するチャージポンプ回路とを有し、
前記分周比に係る設定情報は、当該設定情報が供給される前記可変分周器から出力される前記分周クロック信号に同期して所定の順序で巡回し供給され、平均分周比が小数を含むように前記可変分周器の分周比を各々のデータにより設定される分周比に当該分周クロック信号に同期して変動させるN個のデータであり、
前記制御回路部の各々の前記可変分周器に対して同じN個のデータを有する前記設定情報が初期値を互いに異ならせて供給されることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記加算器の出力を蓄積して前記ローパスフィルタに供給する容量回路を備えることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記分周比に係る設定情報を生成するデータ生成回路部を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記データ生成回路部は、前記可変分周器における平均分周比の分数成分に係る可変分周設定値を生成するデータ生成器と、
前記データ生成器により生成された可変分周設定値と、外部から入力され値が固定された固定分周設定値とを加算し、前記分周比に係る設定情報として出力する加算器とを有することを特徴とする請求項3記載の半導体装置。
【請求項5】
前記制御回路部の各々に前記データ生成回路部を配置して、前記データ生成回路部に前記分周比に係る設定情報のN個のデータを記憶させておき、外部から入力されるアドレスに応じて前記N個のデータから1つのデータを初期値に選択し前記分周比に係る設定情報を供給するとともに、前記制御回路部の各々に対して前記アドレスを互いに異ならせて入力されることを特徴とする請求項3記載の半導体装置。
【請求項6】
前記データ生成回路部は、初期値を同じくして前記分周比に係る設定情報を生成するデータ生成器と、
前記データ生成器により生成された前記分周比に係る設定情報を前記分周クロック信号の所定の周期数分の期間遅延させ前記可変分周器に対して供給する遅延回路とを有し、
前記遅延回路における遅延周期数は、前記制御回路部毎に互いに異なることを特徴とする請求項3記載の半導体装置。
【請求項7】
前記データ生成回路部は、ΣΔ変調器を有することを特徴とする請求項3記載の半導体装置。
【請求項8】
前記データ生成回路部は、シフトレジスタを有することを特徴とする請求項3記載の半導体装置。
【請求項9】
出力クロック信号を出力する電圧制御発振器と、
基準クロック信号及び前記出力クロック信号が入力されるN個(Nは2以上の自然数)の制御回路部と、
前記N個の制御回路部の各々から出力される出力信号を加算する加算器と、
前記加算器の出力をフィルタ処理して前記電圧制御発振器に出力するローパスフィルタとを備え、
前記制御回路部は、
分周比に係る設定情報に応じた分周比で前記出力クロック信号を分周して分周クロック信号を出力する可変分周器と、
前記基準クロック信号と前記分周クロック信号とを比較する位相周波数比較器と、
前記位相周波数比較器での比較結果に基づいて、前記出力信号を出力するチャージポンプ回路と、
外部から入力される前記分周比に係る設定情報を前記分周クロック信号の所定の周期数分の期間遅延させ前記可変分周器に供給する遅延回路とを有し、
前記分周比に係る設定情報は、当該設定情報が供給される前記可変分周器から出力される前記分周クロック信号に同期して所定の順序で巡回し供給され、平均分周比が小数を含むように前記可変分周器の分周比を各々のデータにより設定される分周比に当該分周クロック信号に同期して変動させるN個のデータであり、
前記遅延回路における遅延周期数は、前記制御回路部毎に互いに異なることを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
前記加算器の出力を蓄積して前記ローパスフィルタに供給する容量回路を備えることを特徴とする請求項9記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−251869(P2010−251869A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−96500(P2009−96500)
【出願日】平成21年4月10日(2009.4.10)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】