説明

半導体装置

【課題】ストレージキャパシタ9のストレージ電極9aの電位が変動しても、プレート電位供給線10の電位変化を抑制することができる半導体装置を提供する。
【解決手段】それぞれがトランジスタ8とストレージキャパシタ9を有する複数のメモリセルを備え、複数のメモリセルの各ストレージキャパシタ9は、プレート電位供給線10に共通に接続されている半導体装置であって、プレート電位供給線10と電源電位供給線11との間に容量素子12を設けたことを特徴とする半導体装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、DRAM等の半導体装置は、ストレージキャパシタとトランジスタの直列接続体からなるメモリセルを複数備えた構成となっている。このような半導体装置として、各メモリセルのストレージキャパシタの一端であるプレート電極に、プレート電位VPLTが共通に供給される構造のものが知られている(特許文献1)。
【0003】
また、このような場合、トランジスタは、ストレージキャパシタの他端であるストレージ電極と、対応するビット線との間に接続されており、トランジスタのゲート電極はワード線に接続されている。そして、プレート電位VPLTとしては、メモリセルアレイの動作電源圧をVARYとすると、その半分の1/2VARYと設定されるのが一般的である。
【0004】
また、データ1は、ストレージキャパシタのストレージ電極をVARYよりも高い電位(通常、周辺回路の動作電圧であるVPERI)に充電した状態として定義される。すなわち、ストレージ電極に、プレート電極と比較して1/2VARYよりも大きな電圧に相当する電荷をプラス方向に充電した状態として定義される。
【0005】
また、データ0は、ストレージキャパシタのストレージ電極をグランド電位VSSに充電した状態として定義される。すなわち、ストレージ電極に、プレート電極と比較して1/2VARYに相当する電荷をマイナス方向に充電した状態として定義される。
【0006】
各メモリセルからのデータ読出しにおいては、ビット線を1/2VARYにプリチャージした状態で、所定のメモリセルを選択する。この際、選択されたメモリセルにおけるストレージキャパシタのストレージ電極の電位は、当該メモリセルがデータ1を記憶していた場合は、電位がビット線に流出するので低下し、データ0を記憶していた場合は、ビット線から電位が流入するので上昇することになる。したがって、ビット線は反対に、メモリセルがデータ1を記憶していた場合は上昇し、データ0を記憶していた場合は低下する。
このビット線の電位変化を利用して、センスアンプにて電位変化を増幅し、データ1又は0を判断している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−134506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、近年のDRAM等の半導体装置においては、記憶容量増大の要請は益々高まっており、これを受けてDRAMのファインパターン化が加速されている。そして、その結果として、ストレージ電極における寄生容量は、これまでのものと比較して格段に小さくなっている。
【0009】
このため、データ読出しに伴うストレージキャパシタのストレージ電極の変化は、プレート電極すなわちプレート電位の変化として現れることが、本願発明者の考察によって明らかになった。すなわち、寄生容量が大きければ、ストレージ電極の電位が変動しても、寄生容量に充填されていた電位が供給されるため、その変動がプレート電極の電位に与える影響は小さかった。しかしながら、寄生容量が小さくなった結果、ストレージ電極の電位変化が直接、プレート電極の電位変化に影響することになる。
その結果、プレート電極の電位変化が、他のストレージキャパシタのストレージ電極の電位に影響を与えることとなり、ひいてはビット線を介してセンスアンプの電圧センス動作に支障をきたすという不都合があった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、本発明は、以下の構成を採用した。
本発明の半導体装置は、それぞれがトランジスタとストレージキャパシタを有する複数のメモリセルを備え、前記複数のメモリセルの各ストレージキャパシタは、プレート電位供給線に共通に接続されている半導体装置であって、前記プレート電位供給線と電源電位供給線との間に容量素子を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の半導体装置は、プレート電位供給線に容量素子が設けられた構成を採用している。その結果、ストレージ電極の電位が変動しても、その変動がプレート電位に与える影響を抑制することができる。
すなわち、従来、ストレージ電極の電位が変化すると、その変動がプレート電位の変化に直結していた。これに対し、本発明では、プレート電位供給線に容量素子が設けられているので、ストレージ電極の電位が変動しても、当該容量素子に充填されていた電位がプレート電位供給線に供給されるので、プレート電位供給線の電位変化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の実施形態である半導体装置を示す回路図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態である半導体装置の一部を示す平面図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態である半導体装置の一部を示す斜視図である。
【図4】図4は、本発明の実施形態である半導体装置を示す断面図である。
【図5】図5は、本発明の実施形態である半導体装置の一部を示す断面図である。
【図6】図6は、本発明の実施形態である半導体装置を示す断面図である。
【図7】図7は、本発明の実施形態である半導体装置を適用した半導体チップを示す平面図である。
【図8】図8は、図7の一部を拡大した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明を適用した実施の形態として、DRAMメモリセル構造の半導体装置について説明するが、本発明はDRAMに限るものではない。また、以下の説明で用いる図面は、本発明の実施形態の構成を説明するためのものであり、図示される各部の大きさや厚さや寸法等は、実際の半導体装置の寸法関係とは異なる場合がある。
【0014】
まず、本実施形態の半導体装置を適用した半導体チップについて説明する。図7に示すように、半導体チップ1は、BANK01〜04とBANK以外の周辺領域2に形成された各種のデバイスや回路を有した構成となっている。なお、図7においては、BANKが4個設けられているが、これに限定されず、8個、16個等であっても構わない。
【0015】
BANK以外の周辺領域2には、半導体チップ1の外部に対するインターフェース部に相当する電源(VDD,VSS)供給パッド、アドレスパッド、データ入出力パッドなど複数のパッド3が配置されている。また、基準電圧VREF発生回路、VPLT発生回路など、各BANKに所定の信号や電源を供給する複数の回路4も配置されている。
【0016】
なお、VPLT発生回路から出力するVPLT電位は、BANK01〜04に共通に供給されている。また、図7においては、半導体チップ1は、パッド3をセンターに配置するセンターパッド構造が採用されているが、パッド3の配置はこれに限らず、エッジパッドであっても構わない。
【0017】
BANK01は、図8に示すように、複数のメモリセルアレイ領域5を備えている。
各メモリセルアレイ領域5には、ビット線BLやワード線WLが設けられており、ワード線WLとビット線BLの交差部には、其々トランジスタ8(図4参照)及びストレージキャパシタ9(図4参照)が設けられている。なお、詳細については後述する。
【0018】
また、各メモリセルアレイ領域5に対応して、複数のワード線WL及びそれらワード線WLを出力するサブワードドライバ(SWD)6、複数のビット線BL及びそれらビット線BLの電位を増幅するセンスアンプ(SA)7が其々設けられている。
なお、BANK02〜04も同様の構造をしている。
【0019】
次に、本実施形態の半導体装置の等価回路について説明する。
本実施形態の半導体装置は、図1に示すように、トランジスタ8とストレージキャパシタ(第1容量)9の直列接続体からなるメモリセルが複数設けられた構成となっている。
【0020】
ストレージキャパシタ9の一端は、トランジスタ8と接続されたストレージ電極9aとなっており、他端はプレート電位供給線10と接続されたプレート電極9bとなっている。このプレート電位供給線(VPLT電位供給線)10には、メモリセルの動作電位VARY(第2電源電位)の半分である、VPLT電位(1/2VARY電位)が供給されている。
また、プレート電位供給線10と、グランド電位であるVSS電位(第1電源電位)が供給される電源電位供給線(VSS電位供給線)11との間には、容量素子(第2容量)12が形成されている。
【0021】
データ読出しにおいては、あらかじめビット線BLを1/2VARYにプリチャージした状態で、所望するワード線WLを選択する。すると、選択されたワード線WLに接続されている複数のトランジスタがON状態になり、ストレージキャパシタ9に保持されているデータ(例えばH)が其々ビット線BLに移行する。
【0022】
この時、従来の半導体装置であれば、プレート電位供給線10の電位は、ストレージ電極9aの電位変化に伴い、引き下げられる方向の変化を受ける。しかし、本実施形態の半導体装置では、プレート電位供給線10と電源電位供給線11との間に設けられた容量素子12に充填されていた電位が、プレート電位供給線10に供給されるため、プレート電位供給線10の電位が変動することを抑制することができる。その結果、センスアンプ(SA)の電圧センス動作に支障をきたすことなく、データHを判別することができる。
【0023】
次に、本実施形態の半導体装置の構成について説明する。
本実施形態の半導体装置は、図4(a)及び(b)に示すように半導体基板21内に形成されたビット線BL及びワード線WLと、半導体基板21をパターニングして形成したピラー22と、半導体基板21上に形成された層間絶縁膜23と、層間絶縁膜23上に形成されたストレージキャパシタ9及びガードリング24と、を備えた構成となっている。
なお、図4(a)は、図2のA−A’間断面図であり、図4(b)は、図2のB−B’間断面図であり、図4(c)は、周辺領域2の断面図である。
【0024】
ビット線BLは、図2に示すように平面視した際に、X方向に延在して設けられており、ワード線WLは、ビット線BLと直交するようにY方向に延在するように設けられている。
また、ビット線BLおよびワード線WLは、いずれも半導体基板21に形成されたビット線溝(図示略)およびワード線溝(図示略)に、それぞれその溝を埋め込むように形成されている。そして、ビット線BLおよびワード線WLによって囲まれた矩形状の領域には、ピラー22が形成されている。
【0025】
また、図4(a)に示すように、ビット線BLとワード線WLは、半導体基板21内において配置される高さが異なっており、ビット線BLの上方にワード線WLが設けられた構成となっている。
ピラー22の下側には、半導体基板21に不純物が導入された下部不純物拡散層25が形成されており、この下部不純物拡散層25はソース・ドレイン電極の一方として機能する。また、ピラー22の上部には、同じく半導体基板21に不純物が導入された上部不純物拡散層26が形成されており、この上部不純物拡散層26がソース・ドレイン電極の他方として機能する。
そして、ピラー22の上部不純物拡散層26と下部不純物拡散層25との間に、チャネル領域27が形成される。
【0026】
また、ピラー22の下側に設けられた下部不純物拡散層25は、ビット線BLと電気的に接続されている。具体的には、ビット線BLの両側面にピラー22が形成されているが、ビット線BLは、一方の側面(図4(a)では右側)に配置されたピラー22とのみ下部不純物拡散層25を介して電気的に接続されている。一方、ビット線BLの他方の側面(図4(a)では左側)のピラー22とは、絶縁膜31を介して接続しており、電気的に分離されている。
【0027】
また、図2に示すように、ピラー22の側面で、ビット線BLが配置されていない側面22aには、ワード線WLがそれぞれゲート絶縁膜32(図4(a)および図4(b)参照)を介して配置されている。
ピラー22を挟むワード線WLa,WLbは、それぞれY方向に延在しており、端部33、および各ピラー22間に設けられた接続部34を介して接続されており、1つのワード線WLとして機能している。すなわち、ワード線WLは、平面視した際に梯子上に形成されている。このように端部33および接続部34を設け、梯子状に形成した結果、ワード線WLの電気抵抗は低減し、MOS型トランジスタを安定して動作させることができる。
【0028】
以上のように、本実施形態のトランジスタ8は、ソース・ドレイン電極として機能する下部不純物拡散層25および上部不純物拡散層26と、ゲート絶縁膜32を介してチャネル領域27と接するゲート電極として機能するワード線WLと、を有した構成となっている。
なお、図4(c)に示すように、周辺領域においては、プレーナ型トランジスタ15が設けられていても構わない。すなわち、半導体基板21上にゲート絶縁膜18を介して設けられたゲート電極17と、ゲート電極に対して自己整合となる位置で、半導体基板21内に形成されたソース・ドレイン電極として機能する不純物拡散層16と、を有した構成のトランジスタ15が設けられていても構わない。
【0029】
半導体基板21上には、図4(a)および図4(b)に示すように、例えばシリコン酸化膜からなる層間絶縁膜23が設けられている。また、ピラー22の上部に設けられた上部不純物拡散層26上には、層間絶縁膜23を貫通して形成された、ポリシリコンまたはタングステン等で形成されたコンタクトプラグ35が形成されている。
【0030】
層間絶縁膜23上には、例えばシリコン窒化膜からなる層間絶縁膜36が設けられており、メモリセル領域内のコンタクトプラグ35上には、層間絶縁膜36を貫通して形成されたストレージキャパシタ9が形成されている。
なお、本実施形態では、ストレージキャパシタ9と上部不純物拡散層26が、コンタクトプラグ35を介して接続されているが、直接上部不純物拡散層26上にストレージキャパシタ9が設けられていてもよい。
【0031】
ストレージキャパシタ9は、図5に示すように、有底筒形状の第1下部電極41と、第1下部電極41の表面を覆う第1絶縁膜42と、その第1絶縁膜42を覆う第1上部電極43を備えている。また、第1下部電極41は、図3に示すように、静電容量を大きくするため、アスペクト比(直径に対する円柱の高さ)が大きくなるように形成されているのが好ましい。なお、図3は、本実施形態の半導体装置のストレージキャパシタ9を構成する第1下部電極41およびガードリング24を構成する第2下部電極46を示す斜視図であり、図5は、図4(b)のGを拡大した図である。
【0032】
また、ストレージキャパシタ9は、図4(a)及び図4(b)に示すように、メモリセル領域内において、複数設けられている。なお、第1絶縁膜42および第1上部電極43は、後述する第2絶縁膜47および第2上部電極48と、それぞれ一体に成形される。
【0033】
また、ストレージキャパシタ9のうち、後述するガードリング24と隣接して配置されているものは、ダミーキャパシタであっても構わない。なお、ここでいうダミーキャパシタとは、通常動作においてデータのライト/リードを行わないキャパシタで、その隣に配置される通常動作においてデータのライト/リードを行うキャパシタの形状を間違いなく作るために設けられるものである。
【0034】
メモリセル領域の外周部においては、図5に示すように、層間絶縁膜36上に、例えばタングステン等からなる金属配線層44が設けられており、金属配線層44上にガードリング24が設けられている。
ガードリング24は、メモリセル領域の外周を囲むように形成されており、溝45を有した第2下部電極46と、第2下部電極46の表面を覆う第2絶縁膜47と、第2絶縁膜47上に形成された第2上部電極48とから概略構成されている。
【0035】
ガードリング24は、ストレージキャパシタ9を構成する第1下部電極41を形成する際に行われるウェットエッチングにおいて、エッチング液がメモリセルアレイ領域以外に染み出して、不要なエッチングを行うことを防止するために設けられている。
【0036】
また、第2下部電極46に設けられた溝45は、図3に示すように、縦断面形状が中空かつ上方が開口した形状(U字状)に形成されている。したがって、溝45も、メモリセル領域の外周を囲むように、第2下部電極46の全周にわたって設けられている。
なお、ガードリング24は、ストレージキャパシタ9と同じ工程、同じ材料で形成してもよい。
【0037】
また、第2下部電極46の底面直下に設けられた金属配線層44には、平面視した際に、第2下部電極46からはみ出す、はみ出し部44aが設けられている。このはみ出し部44aに、図4(a)及び図4(b)に示すように、コンタクトプラグ49が設けられており、このコンタクトプラグ49に電源電位供給線11(VSS電位)が接続されている。この結果、金属配線層44と接続する第2下部電極46は、VSS電位を保持する。
【0038】
第2下部電極46の表面には、図5に示すように、第2絶縁膜47が設けられており、第2上部電極48と直接接触することがないように設けられている。なお、金属配線層44の表面にも、第2上部電極48と直接接触することがないように、絶縁膜61が設けられており、絶縁膜61は、第2絶縁膜47と同じ工程、同じ材料で形成しても構わない。
【0039】
また、第1上部電極43および第2上部電極48は、第1下部電極41及び第2下部電極46を、第1絶縁膜42または第2絶縁膜47を介して覆うように、一体として設けられている。すなわち、第1上部電極43と第2上部電極48は、電気的に接続されている。
また、第1上部電極43および第2上部電極48は、それぞれ例えば窒化チタン層43a,48a、ポリシリコン層43b,48b、タングステン層43c,48cの積層構造に形成されている。具体的には、第1下部電極41の内部41aおよび第2下部電極46の溝45内を充填しないように、第1絶縁膜42および第2絶縁膜47上に窒化チタン層43a,48aが形成されている。そして、窒化チタン層43a,48a上に、第1下部電極41の内部41aおよび第2株電極46の溝45内を充填するようにポリシリコン層43b,48bが設けられており、ポリシリコン層43b,48b上にタングステン層43c,48cが設けられた構成となっている。
このようにして、第1上部電極43および第2上部電極48からなる上部電極50が形成される。
【0040】
第1上部電極43および第2上部電極48からなる上部電極50上には、図4(a)及び図4(b)に示すように、層間絶縁膜62が設けられており、層間絶縁膜62中には、電源電位供給線11とプレート電位供給線10とが配置されている。
【0041】
そして、コンタクトプラグ63を介してプレート電位供給線10(VPLT電位)は、上部電極50と接続されており、電源電位供給線11(VSS電位)は、コンタクトプラグ49および金属配線層44を介して第2下部電極46と接続されている。すなわち、第2下部電極46には、電源電位供給線11からVSS電位が供給され、第1上部電極43と第2上部電極48からなる上部電極50には、ともにプレート電位供給線10を介してVPLT電位が供給される。
これにより、第2下部電極46(VSS電位)と第2上部電極48(VPLT電位)との間には容量素子12が形成される。本実施形態の半導体装置は、以上のような構成をしている。
【0042】
以上の構成をした半導体装置では、データ読出しにおいて、ワード線WLが選択されると、チャネル領域27を介してビット線BLと第1下部電極41(ストレージ電極9a)が接続され、ストレージキャパシタ9が保持していたデータ電位が第1下部電極41、チャネル領域27を通ってビット線BLに移行される。
【0043】
この際、第2下部電極46の表面は第2絶縁膜47で覆われているため、第2下部電極46と第2上部電極47との間には容量素子12が形成されている。すなわち、プレート電位供給線10に容量素子12が設けられた構成となっている。その結果、第1下部電極41(ストレージ電極9a)の電位が変動しても、その変動が上部電極50(プレート電極9b)の電位に与える影響を抑制することができる。
【0044】
すなわち、従来、第1下部電極41(ストレージ電極9a)の電位が変化すると、その変動が第1上部電極43を介して、プレート電位供給線10の電位の変化に直結していた。これに対し、本実施形態では、プレート電位供給線10に容量素子12が設けられているので、第1下部電極(ストレージ電極9a)の電位が変動しても、容量素子12に充填されていた電位がプレート電位供給線10に供給されるので、プレート電位供給線10の電位変化を抑制することができる。
【0045】
したがって、データ読出し時に、第1下部電極41(ストレージ電極9a)の電位降下に伴って、ストレージキャパシタ9や上部電極50も引きずられて下がる方向に変化するが、ガードリング24に形成された容量素子12に充填された電位が作用して、上部電極50(プレート電極9b)の電位降下を防止することが出来る。
この結果、センスアンプの電圧センス動作に支障をきたすことを防ぐことができる。
【0046】
なお、上記実施形態では、ワード線WL及びビット線BLが半導体基板21に埋め込まれ、半導体基板21に対して垂直な方向にトランジスタ8が形成された4F2構造について説明した、図6に示すように、プレーナ型トランジスタが形成される6F2構造を採用しても構わない。
【0047】
例えば、ゲート絶縁膜72を介して半導体基板21の表面に設けられたゲート電極73と、半導半導体基板21の活性領域であって、ゲート電極73に対して自己整合となる位置に設けられた第1不純物拡散層74及び第2不純物拡散層75とを備えたトランジスタの上方に上記したキャパシタやガードリングが設けられていても構わない。なお、ゲート電極73はワード線WLとして機能し、例えばポリシリコン層73aと金属配線層73bとの積層構造であっても構わない。
また、半導体基板21上には、ゲート電極73を覆うように層間絶縁膜76が設けられており、層間絶縁膜76上には層間絶縁膜77が設けられている。
【0048】
ここで、第1不純物拡散層74および第2不純物拡散層75は、ソース・ドレインの一方として機能し、ストレージキャパシタ9は、第1不純物拡散層74または第2不純物拡散層75のいずれか一方と、コンタクトプラグ78,79を介して接続されている(図6においては、第1不純物拡散層74と接続している)。また、第1不純物拡散層74または第2不純物拡散層75の残る他方には、コンタクトプラグ80,81を介してビット線BLが接続されている(図6では、第2不純物拡散層75と接続している)。
そして、層間絶縁膜77上に、上記実施形態と同様に、ストレージキャパシタ9およびガードリング24が設けられている。
【0049】
この場合でも、上記実施形態と同様に、ガードリング24を構成する第2下部電極46には、コンタクトプラグ82,83および金属配線層44を介して電源電位供給線11が接続されている。また、上部電極50にはコンタクトプラグ84を介してプレート電位供給線が接続されている。これにより、第2下部電極46(VSS電位)と上部電極50(VPLT電位)の間に容量素子12が形成されるため、ストレージキャパシタ9の電位変動に伴って、上部電極50の電位が引きずられて下がる方向に変化するが、容量素子12が作用して、上部電極50の電位が下がるのを防止することができる。
【0050】
ここで、4F2構造における上部電極50は、図4(a)および図4(b)からも明らかなように、ビット線BLと上部電極50の距離が、縦構造のトランジスタ8を挟んで離れており、その分、上部電極50における容量値が小さくなっている。したがって、本発明は4F2構造においてより効力を発揮することが出来る。
【0051】
例えば、発明者が検討したところ、上部電極50に容量がない場合のワード線WL起動時のビット線BLの差電位ΔVと上部電極のノイズの関係は、ΔV:120mV,ノイズ:60mVとなるが、容量素子12を配置した後には、ΔV:135mV,ノイズ:6mVとなり、ノイズが改善している。
つまりノイズの低減により差電位ΔVを確保する事が出来、その確保によりワード線WL起動からセンスアンプ起動までの時間を詰めることができるため、センスアンプの高速動作(半導体装置自身の高速動作)を実現することができる。
【0052】
以上、本発明を実施形態に基づき説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
例えば、上記実施形態では、DRAMについて説明したが、DRAM以外であってもメモリセル相当の素子を内部に含むデバイス等に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、半導体装置に関するものなので、半導体装置を製造する製造業において幅広く利用することができる。
【符号の説明】
【0054】
8・・・トランジスタ、9・・・ストレージキャパシタ、10・・・プレート電位供給線、11・・・電源電位供給線、12・・・容量素子、21・・・半導体基板、22・・・シリコンピラー、24・・・ガードリング、25・・・下部不純物拡散層、26・・・上部不純物拡散層、41・・・第1下部電極、42・・・第1絶縁膜、43・・・第1上部電極、44・・・金属配線、45・・・溝、46・・・第2下部電極、47・・・第2絶縁膜、48・・・第2上部電極、49・・・コンタクトプラグ、BL・・・ビット線、WL・・・ワード線、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれがトランジスタとストレージキャパシタを有する複数のメモリセルを備え、
前記複数のメモリセルの各ストレージキャパシタは、プレート電位供給線に共通に接続されている半導体装置であって、
前記プレート電位供給線と電源電位供給線との間に容量素子を設けたことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
メモリセル領域に形成されたストレージキャパシタと、
メモリセル領域の外周を囲むように設けられたガードリングと、を備え、
前記ストレージキャパシタは、有底筒形状の第1下部電極と、該第1下部電極の内壁を覆う第1絶縁膜と、該第1絶縁膜上に形成された第1上部電極とからなり、
前記ガードリングは、溝を有した第2下部電極と、該第2下部電極の内壁を覆う第2絶縁膜と、該第2絶縁膜上に形成された第2上部電極とからなり、
前記第1上部電極と前記第2上部電極は、ともにプレート電位供給線に共通に接続されており、
前記第2下部電極には、電源電位供給線が接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
前記ガードリングの第2下部電極の底面に金属配線が設けられており、
該金属配線にコンタクトプラグが設けられており、
該コンタクトプラグが電源電位供給線と接続されていることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
半導体基板の表面に対して垂直に形成されたシリコンピラーと、
ゲート絶縁膜を介して前記シリコンピラーの側面を覆うゲート電極と、
前記シリコンピラーの下部に設けられた下部不純物拡散層と、
前記シリコンピラーの上部に設けられた上部不純物拡散層と、
前記下部不純物拡散層に接続されたビット線と、を備え、
前記ストレージキャパシタが、前記シリコンピラーの上方に配置され、前記上部拡散層に接続されていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
ゲート絶縁膜を介して半導体基板の表面に設けられたゲート電極と、
半導体基板の活性領域であって、該ゲート電極に対して自己整合となる位置に設けられた第1不純物拡散層及び第2不純物拡散層と、
前記第1不純物拡散層または前記第2不純物拡散層のいずれか一方に接続されたビット線と、を備え、
前記ストレージキャパシタが、前記第1不純物拡散層または前記第2不純物拡散層のいずれか他方に接続されていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の半導体装置。
【請求項6】
第1電源電位及び第2電源電位の間の値を有する電位が供給されるプレート電位供給線に、それぞれの一端が共通に接続された複数の第1容量と、
前記プレート電位供給線と前記第1電位が供給される電源電位供給線との間に接続された第2容量と、を備えることを特徴とする半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−249679(P2011−249679A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−123254(P2010−123254)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(500174247)エルピーダメモリ株式会社 (2,599)
【Fターム(参考)】