説明

半導体装置

【課題】パッドの下方に半導体素子を設けることができ、信頼性の高い半導体装置を提供する。
【解決手段】素子形成領域10Aと該素子形成領域10Aの周囲に設けられた素子分離領域20とを有する半導体層10と、前記素子形成領域10A内に形成された素子30と、前記半導体層10の上方に設けられた層間絶縁層60と、前記層間絶縁層60の上方に設けられ、平面形状が短辺と長辺とを有する長方形である電極パッド62であって、前記素子30と平面視で少なくとも一部が重複する前記電極パッド62と、を含み、前記半導体層10において、前記電極パッド62の前記短辺の鉛直下方から外側に位置する所定の範囲は、素子禁止領域12である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パッドの下方にMOSトランジスタなどの半導体素子を配置すると、ボンディング時のストレスなどにより、MOSトランジスタなどの半導体素子の特性が損なわれることがあり、半導体チップにおいて、パッド形成部と、半導体素子が形成される領域とは、平面的にみて分離して設けられていた。しかし、近年の半導体チップの微細化および高集積化に伴い、パッドの下方にも半導体素子を配置することについての要望が生じるようになった。このような技術の一例が、特開2002−319587号公報に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−319587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、電極パッドの下方に半導体素子を設けることができ、信頼性の高い半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明の半導体装置は、
素子形成領域と該素子形成領域の周囲に設けられた素子分離領域とを有する半導体層と、
前記素子形成領域内に形成された素子と、
前記半導体層の上方に設けられた層間絶縁層と、
前記層間絶縁層の上方に設けられ、平面形状が短辺と長辺とを有する長方形である電極パッドであって、前記素子と平面視で一部が重複する前記電極パッドと、を含み、
前記半導体層において、前記電極パッドの前記短辺の鉛直下方から外側に位置する所定の範囲は、素子禁止領域である。
【0006】
本発明の半導体装置において、電極パッドの下方に位置する半導体層の少なくとも一部は、素子形成領域であり、電極パッドの端から外側に向かって位置する所定の領域には、素子禁止領域が設けられている。電極パッドの端から外側に向かって位置する所定の領域は、電極パッドを形成することでストレスがかかりやすく応力が生じやすい。そのため、この領域の上方に配置される層間絶縁層ではクラックが生じやすく、たとえば、この領域にMOSトランジスタなどの半導体素子が設けられている場合、MOSトランジスタの特性を劣化させる一因となりうる。そこで、本発明にかかる半導体装置では、この所定の領域を素子禁止領域とすることで、上記問題を回避することとしたのである。また、電極パッドの下方に位置する半導体層には、素子形成領域を設け、電極パッド下において半導体素子を設けても問題がない場所には、半導体素子を配置することとしている。つまり、本発明によれば、電極パッドの下方であって、半導体素子を設けても信頼性に影響を与えない場所には、積極的に半導体素子を配置し、一方、信頼性が損なわれると考えられる場所には、半導体素子を配置しないことで、微細化および信頼性の向上が図られた半導体装置を提供することができる。
【0007】
なお、本発明において、素子領域とは、MISトランジスタ、ダイオード、抵抗など各
種素子を形成する領域をいう。また、本発明において、特定のA層(以下、「A層」という。)の上方に設けられた特定のB層(以下、「B層」という。)というとき、A層の上
に直接B層が設けられた場合と、A層の上に他の層を介してB層が設けられた場合とを含む意味である。
【0008】
本発明にかかる半導体装置は、さらに、下記の態様をとることができる。
【0009】
(2)本発明にかかる半導体装置において、
前記素子禁止領域は、前記電極パッドの前記短辺の鉛直下方から外側に向かって、1.0μmないし2.5μmの距離を有する範囲であることができる。
【0010】
(3)本発明にかかる半導体装置において、
前記電極パッドの上方であって、該電極パッドの少なくとも一部を露出させる開口を有するパッシベーション層を含み、
前記素子禁止領域は、前記電極パッドの前記短辺の鉛直下方から外側に向かって、前記パッシベーション層の膜厚に相当する距離を有する範囲であることができる。
【0011】
(4)本発明にかかる半導体装置において、
前記開口に設けられたバンプを含むことができる。
【0012】
(5)本発明にかかる半導体装置は、
素子形成領域と該素子形成領域の周囲に設けられた素子分離領域とを有する半導体層と、
前記素子形成領域内に形成された素子と、
前記半導体層の上方に設けられた層間絶縁層と、
前記層間絶縁層の上方に設けられ、前記素子と平面視で重複する電極パッドと、を含み
前記半導体層において、前記電極パッドの端の鉛直下方から外側に位置する所定の範囲は、素子禁止領域である。
【0013】
本発明にかかる半導体装置では、電極パッドの下方に位置する半導体層は、素子領域であり、電極パッドの端から外側に向かって位置する所定の領域には、禁止領域が設けられている。つまり、本発明によれば、上記記載の半導体装置と同様の利点を有し、電極パッドの下方であって、半導体素子を設けても信頼性に影響を与えない場所には、積極的に半導体素子を配置し、一方、信頼性が損なわれると考えられる場所には、半導体素子を配置しないことで、微細化および信頼性の向上が図られた半導体装置を提供することができる。
【0014】
(6)本発明にかかる半導体装置において、
前記素子禁止領域は、前記電極パッドの端の鉛直下方から外側に向かって、1.0μmないし2.5μmの距離を有する範囲であることができる。
【0015】
(7)本発明にかかる半導体装置において、
前記電極パッドの上方であって、該電極パッドの少なくとも一部を露出させる開口を有するパッシベーション層を含み、
前記素子禁止領域は、前記電極パッドの端の鉛直下方から外側に向かって、前記パッシベーション層の膜厚に相当する距離を有する範囲であることができる。
【0016】
(8)本発明にかかる半導体装置において、
前記開口に設けられたバンプを含むことができる。
【0017】
(9)本発明にかかる半導体装置において、
前記素子は、トランジスタであることができる。
【0018】
(10)本発明にかかる半導体装置において、
前記素子禁止領域は、低電圧駆動トランジスタの禁止領域であることができる。
【0019】
(11)本発明にかかる半導体装置において、
前記素子禁止領域に、高耐圧トランジスタが設けられていることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1の実施の形態にかかる半導体装置を説明する図。
【図2】第1の実施の形態にかかる半導体装置を説明する図。
【図3】第1の実施の形態にかかる半導体装置を説明する図。
【図4】第2の実施の形態にかかる半導体装置を説明する図。
【図5】第1および第2の実施の形態の変形例にかかる半導体装置を説明する図。
【図6】第1および第2の実施の形態の変形例にかかる半導体装置を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態の一例について、図面を参照しつつ説明する。
【0022】
1.第1の実施の形態
図1は、本実施の形態にかかる半導体装置を模式的に示す断面図であり、図2は、本実施の形態にかかる半導体装置において、電極パッドの形状と禁止領域との関係を模式的に示す平面図である。図3は、素子形成領域10Aを説明するための平面図である。なお、図1の断面は、図2のX−X線に沿った断面である。
【0023】
図1に示すように、本実施の形態にかかる半導体装置は、半導体層10を有する。半導体層10としては、単結晶シリコン基板、絶縁層上に設けられた半導体層(SOI:Silicon on Insulator)であって、半導体層がシリコン層、ゲルマニウム層およびシリコンゲルマニウム層である基板などを用いることができる。
【0024】
半導体層10には、素子分離絶縁層20が設けられている。素子分離絶縁層20は、STI法、LOCOS法およびセミリセスLOCOS法により形成されていることができる。なお、図1には、STI法により形成された素子分離絶縁層20を示す。このように、素子分離絶縁層20が設けられることで、素子が形成されている素子形成領域10Aおよび素子禁止領域12が画定される。素子形成領域10Aは、後述するが、電極パッドの下方に設けられる領域である。素子禁止領域12は、図1における灰色エリアであり、電極パッドの端から外側の所定の範囲の半導体層10である。この領域についても後述する。また、本実施の形態にかかる半導体装置では、さらに、素子禁止領域12の外側に素子形成領域10Bが設けられている。
【0025】
素子形成領域10Aには、オフセット領域に絶縁層が設けられていない低電圧駆動のMIS(Metal Insulator Semicondctor)トランジスタ30が設けられている。また、素子形成領域10Bにおいても、素子形成領域10Aと同様に、MISトランジスタ40が設けられている。MISトランジスタ30は、ゲート絶縁層32と、ゲート絶縁層32の上に設けられたゲート電極34と、半導体層10に設けられた不純物領域36と、を含む。不純物領域36は、ソース領域またはドレイン領域となる。MISトランジスタ40は、MISトランジスタ30と同様の構造を有し、ゲート絶縁層42、ゲート電極44および不純物領域46を含み、オフセット領域に絶縁層が設けられていない低電圧駆動のトランジスタである。また、本発明における素子形成領域10Aとは、図3に示すように、平面視において、素子分離絶縁層20に囲まれている領域(斜線で示した領域)である。なお、素子形成領域10Bにおいても、同様である。
【0026】
MISトランジスタ30、40の上方には、MISトランジスタ30、40を覆うように設けられた層間絶縁層50と、層間絶縁層60が順次設けられている。層間絶縁層50および層間絶縁層60は、公知の一般的な材料を用いることができる。層間絶縁層50の上には、所定のパターンを有する配線層52が設けられ、配線層52とMISトランジスタ30の不純物領域36とは、コンタクト層54により電気的に接続されている。
【0027】
層間絶縁層60の上には、電極パッド62が設けられている。電極パッド62は、配線
層52とコンタクト層64により電気的に接続されていることができる。電極パッド62は、アルミニウム又は銅等の金属で形成されていることができる。
【0028】
本実施の形態にかかる半導体装置は、さらに、図1に示すように、パッシベーション層70を有する。パッシベーション層70には、電極パッド62の少なくとも一部を露出させる開口72が形成されてなる。開口72は、図1および図2に示すように、電極パッド62の中央領域のみを露出させるように形成されていてもよい。すなわち、パッシベーション層70は、電極パッド62の周縁部を覆うように形成されていることができる。パッシベーション層は、例えば、SiO、SiN、ポリイミド樹脂等で形成されていることができる。なお、本実施の形態にかかる半導体装置では、電極パッドというとき、開口72が設けられた領域を含み、配線部と比して幅が広い領域のことをいう。
【0029】
本実施の形態にかかる半導体装置では、少なくとも開口72には、バンプ80が設けられている。すなわち、電極パッド62の露出面の上に、バンプ80が設けられている。本実施の形態にかかる半導体装置では、バンプ80は、パッシベーション層70上に至るように形成されている場合を図示する。バンプ80は、1層または複数層で形成され、金、ニッケルまたは銅などの金属から形成されていることができる。なお、バンプ80の外形は特に限定されるものではないが、矩形(正方形及び長方形を含む)、あるいは円形をなしていてもよい。また、バンプ80の外形は、電極パッド62よりも小さくてもよい。このとき、バンプ80は、電極パッド62とオーバーラップする領域内のみに形成されていてもよい。
【0030】
また、図示していないが、バンプ80の最下層には、バリア層がもうけられていてもよい。バリア層は、電極パッド62とバンプ80の両者の拡散防止を図るためのものである。バリア層は、1層又は複数層で形成することができる。バリア層をスパッタリングによって形成してもよい。さらに、バリア層は、電極パッド62及びバンプ80の密着性を高める機能をさらに有していてもよい。バリア層は、チタンタングステン(TiW)層を有していてもよい。複数層で構成される場合、バリア層の最表面は、バンプ80を析出させる電気めっき給電用の金属層(例えばAu層)であってもよい。
【0031】
次に、素子禁止領域12について、説明する。上述したように、素子禁止領域12は、電極パッド62の端の鉛直下方から外側に位置する半導体層10であって、所定の範囲の領域である。この素子禁止領域12では、素子形成領域を配置することは禁止されている。
【0032】
素子禁止領域12の範囲は、電極パッド62の端部から外側(開口72と反対側)に向かって、パッシベーション層70の膜厚に相当する距離を有する範囲とすることができる。たとえば、電極パッド62の端から外側に向かって、1.5μmないし2.0μmの距離を有する範囲とすることができる。このように素子禁止領域12の範囲を、規定した理由は、以下のとおりである。
【0033】
まず、電極パッド62が設けられることで、電極パッド62の端が位置する層間絶縁層60に応力が生じることとなる。その後、図1に示すように、電極パッド62の上に設けられたバンプ80が設けられることで、バンプ80の内部応力による継続的な応力がさらに加わる。これらの応力の影響を受け、層間絶縁層50、60では、これらの応力が生じている位置(電極パッド62の端)からクラックが生じることがある。このようなクラックは、最下層の層間絶縁層にまで到達してしまうことがあり、その領域に設けられている半導体素子の特性に変動を与える。たとえば、MISトランジスタが設けられていれば、ゲート絶縁層等の劣化を招き、リーク電流を発生させてしまうのである。
【0034】
また、パッシベーション層70は、その上面の高さが均一な面上に設けられる訳ではなく、電極パッド62の形状に応じて段差が生じることとなる。その段差では、上述したように、たとえば、COF実装をする際に、フィルムに設けられた接続線(リード線)を介してバンプ80と接続する際にその接触・接合によるストレスが集中しやすく、このことも層間絶縁層50、60にクラックが生じる一因となりうる。そして、この段差は、電極パッド62の端から外側に向かって、ほぼパッシベーション層70の膜厚に相当する距離を有する位置に生じやすい。上記の問題を考慮して、素子禁止領域12の範囲が規定されているのである。
【0035】
本実施の形態にかかる半導体装置では、電極パッド62の下方に位置する半導体層は、素子形成領域10Aであり、電極パッド62の端から外側に向かって所定の領域には、素子禁止領域12が設けられている。電極パッド62の端から外側に向かって所定の領域は、ストレスがかかりやすく応力が生じやすい。そのため、この素子禁止領域12の上方に配置される層間絶縁層50、60ではクラックが生じやすく、たとえば、この領域にMOSトランジスタなどの半導体素子が設けられている場合、MOSトランジスタの特性を劣化させる一因となりうる。そこで、本実施の形態にかかる半導体装置では、この所定の範囲の素子禁止領域12とすることで、上記問題を回避することとしたのである。また、電極パッド62の下方に位置する半導体層10は、素子形成領域10Aとし、電極パッド62下において半導体素子を設けても問題がない場所には、半導体素子を配置することとしている。つまり、本実施の形態によれば、電極パッドの下方であって、半導体素子を設けても信頼性に影響を与えない場所には、積極的に半導体素子を配置し、一方、信頼性が損なわれると考えられる場所には、配置しないことで、微細化が図れ、かつ、信頼性も維持された半導体装置を提供することができるのである。
【0036】
また、ゲート電極34を構成する導電層を他の素子、例えばMISトランジスタ40と接続するための配線として用いられる場合があり、この配線として用いられる部分の導電層は素子禁止領域12に形成されていてもよい。
【0037】
2.第2の実施の形態
次に、本発明の第2の実施の形態について、図4を参照しつつ説明する。図4は、第2の実施形態にかかる半導体装置を模式的に示す断面図である。第2の実施の形態にかかる半導体装置では、素子禁止領域12に、半導体素子が設けられている点が、第1の実施の形態にかかる半導体装置と異なる例である。以下の説明では、第1の実施の形態にかかる半導体装置と異なる点について説明する。
【0038】
第2の実施の形態にかかる半導体装置は、図4に示すように、素子形成領域10Aと、その周囲に設けられた素子禁止領域12とを有する。本実施の形態にかかる半導体装置では、図4では図示していないが、第1の実施の形態にかかる半導体装置と同様に、素子禁
止領域12の外側にさらに素子形成領域10Bを形成している。
【0039】
本実施の形態にかかる半導体装置では、素子禁止領域12に、高耐圧のMOSトランジスタが設けられている。具体的には、LOCOSオフセット構造を有するMOSトランジスタ100が設けられている。MOSトランジスタ100は、半導体層10中に設けられ、電界緩和のためのオフセット絶縁層22と、半導体層10の上に設けられたゲート絶縁層102と、オフセット絶縁層22の一部およびゲート絶縁層102の上に設けられたゲート電極104と、ゲート電極104に外側の半導体層に設けられたソース領域またはドレイン領域となる不純物領域106と、を有する。オフセット絶縁層22の下には、不純物領域106と同一の導電型であり、不純物濃度は低いオフセット不純物領域108が設けられている。
【0040】
本実施の形態にかかる半導体装置では、素子禁止領域12の半導体層10に、MOSトランジスタ100の構成要素の一部が設けられている。MISトランジスタ100では、ゲート電極104の端部が、オフセット絶縁層22の上に設けられている。つまり、1層目の導電層である、ゲート電極104の端部が半導体層10の上方に薄い絶縁層を介して配置されているという構造が素子禁止領域12内には、設けられていないこととなる。ここで、素子禁止領域12に、素子領域に設けられている構造を有するMISトランジスタ30が設けられていると仮定した場合の問題点について説明する。MISトランジスタ30は、MISトランジスタ100とは異なり、ゲート電極34の端部が半導体層10の上に設けられた構造を有する。そのため、ゲート電極34の端部が位置している半導体層10に応力が生じやすい。第1の実施の形態において述べたように、素子禁止領域12の上方の層間絶縁層50、60では、クラックが生じやすく、膜の劣化が起こりやすい。応力が生じているゲート電極34端部にまで、この影響がおよびゲート絶縁層32の劣化を招くことがある。そして、MISトランジスタ30においてリーク電流が流れてしまうことがあるのである。
【0041】
しかし、第2の実施の形態にかかる半導体装置によれば、素子禁止領域12では、オフセット絶縁層22の上に、ゲート電極104の端部が配置されているため、上述のような応力を半導体層10に生じさせることがなく、ゲート絶縁層102の劣化を抑制することができる。そのため、電極パッド62の下に設けられる素子形成領域10Aのみならず、所定の構造を有する半導体素子であれば、素子禁止領域12内にも配置することができ、さらに半導体チップの微細化を図ることができることとなる。このことは、一枚の半導体ウエハから得られる半導体チップの個数を増加させることができることにもなり、製造コストの削減も図ることができる。
【0042】
なお、図4には、素子禁止領域12内に、MOSトランジスタ100が設けられている場合を説明したが、これに限定されず、MOSトランジスタ100の構成の一部が含まれている場合も含む。その場合には、片側オフセット構造のMOSトランジスタでもよい。
【0043】
3.変形例
次に、第1の実施の形態および第2の実施の形態にかかる半導体装置の変形例について、図5を参照しつつ説明する。本変形例は、バンプ80の形状が短辺及び長辺を有する長方形状である点が特徴であり、図5は、バンプ80、電極パッド62および素子禁止領域12の位置関係を模式的に示す平面図である。なお、以下の説明では、第1の実施の形態および第2の実施の形態にかかる半導体装置と異なる点についてのみ説明する。
【0044】
本変形例にかかる半導体装置では、図1および図4に参照されるように、電極パッド62の上の開口72に、バンプ80が設けられている。本変形例では、電極パッド62は、長方形の形状を有する。そして、電極パッド62の上面に一部に開口72が設けられ、開口72には、バンプ80が設けられている。バンプ80は、電極パッド62より小さいパターンを有し、図5に示すように、平面的にみたときに、電極パッド62の内側に設けられていることが好ましい。本変形例では、素子禁止領域12は、電極パッド62の短辺の端から外側に位置する領域に設けられている。この態様によれば、たとえば、TAB技術により実装する際に、ポリイミド樹脂などからなるフィルムに設けられた接続線(リード線)13の延伸方向が電極パッド62の長辺に沿った方向であるときに、以下のような利点がある。この場合、電極パッド62は、接続線の延伸方向に引っ張られた状態となり、特に電極パッド62の短辺側にストレスがかかることとなる。そのため、上述したように、電極パッド62の短辺の端では、とりわけ層間絶縁層50、60にクラックが発生するという問題が起きやすくなる。本変形例では、素子禁止領域12を電極パッド62の短辺側に設けることで、信頼性の低下を招く場所に、半導体素子が設けられることを確実に禁止することができる。さらに、電極パッド62の長辺の下方の半導体層には素子禁止領域12を設けていないため、電極パッド62の長辺の下方の半導体層には半導体素子を設けることができ、微細化が図られた半導体装置を提供することができる。
【0045】
特に、図6に示すように、微細化が図られた半導体チップ200では、開口72およびパンブ80の形状を長方形状にして、数多くの開口72を設ける構造が要求されることがある。本変形例では、このように長方形状の電極パッド62(バンプ80)を有する半導体装置であっても、適切な領域に素子禁止領域12を設けることで、微細化および信頼性の向上が図られた半導体装置を提供することができる。
【0046】
なお、上述の実施の形態では、2層の層間絶縁層50、60で構成され、その間に1層の配線層52が設けられている場合を図示したが、これに限定されることなく、3層以上の層間絶縁層が積層され、その層間絶縁層の層数に応じた配線層が複数層にわたり設けられた構造を有していてもよい。
【0047】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。たとえば、本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(たとえば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び結果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0048】
10…半導体層、 10A、10B…素子形成領域、 12…素子禁止領域、 20…素子分離絶縁層、 22…オフセット絶縁層、 30、40…MISトランジスタ、 32、42…ゲート絶縁層、 34、44…ゲート電極、 36、46…不純物領域、 50…層間絶縁層、 52…配線層、 60…層間絶縁層、 62…電極パッド、 62…電極パッド、 70…パッシベーション層、 72…開口、 80…バンプ、 100…MISトランジスタ、 102…ゲート絶縁層、 104…ゲート電極、 106…不純物領域、 108…オフセット不純物領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
素子形成領域と該素子形成領域の周囲に設けられた素子分離領域とを有する半導体層と、
前記素子形成領域内に形成された素子と、
前記半導体層の上方に設けられた層間絶縁層と、
前記層間絶縁層の上方に設けられ、平面形状が短辺と長辺とを有する長方形である電極パッドであって、前記素子と平面視で少なくとも一部が重複する前記電極パッドと、を含み、
前記半導体層において、前記電極パッドの前記短辺の鉛直下方から外側に位置する所定の範囲は、素子禁止領域である、半導体装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記素子禁止領域は、前記電極パッドの前記短辺の鉛直下方から外側に向かって、1.0μmないし2.5μmの距離を有する範囲である、半導体装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記電極パッドの上方であって、該電極パッドの少なくとも一部を露出させる開口を有するパッシベーション層を含み、
前記素子禁止領域は、前記電極パッドの前記短辺の鉛直下方から外側に向かって、前記パッシベーション層の膜厚に相当する距離を有する範囲である、半導体装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記開口に設けられたバンプを含む、半導体装置。
【請求項5】
素子形成領域と該素子形成領域の周囲に設けられた素子分離領域とを有する半導体層と、
前記素子形成領域内に形成された素子と、
前記半導体層の上方に設けられた層間絶縁層と、
前記層間絶縁層の上方に設けられ、前記素子と平面視で重複する電極パッドと、を含み、
前記半導体層において、前記電極パッドの端の鉛直下方から外側に位置する所定の範囲は、素子禁止領域である、半導体装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記素子禁止領域は、前記電極パッドの端の鉛直下方から外側に向かって、1.0μmないし2.5μmの距離を有する範囲である、半導体装置。
【請求項7】
請求項5において、
前記電極パッドの上方であって、該電極パッドの少なくとも一部を露出させる開口を有するパッシベーション層を含み、
前記素子禁止領域は、前記電極パッドの端の鉛直下方から外側に向かって、前記パッシベーション層の膜厚に相当する距離を有する範囲である、半導体装置。
【請求項8】
請求項7において、
前記開口に設けられたバンプを含む、半導体装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかにおいて、
前記素子は、トランジスタである、半導体装置。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかにおいて、
前記素子禁止領域は、低電圧駆動トランジスタの禁止領域である、半導体装置。
【請求項11】
請求項10において、
前記素子禁止領域に、高耐圧トランジスタが設けられている、半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−235160(P2012−235160A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−171227(P2012−171227)
【出願日】平成24年8月1日(2012.8.1)
【分割の表示】特願2006−74731(P2006−74731)の分割
【原出願日】平成18年3月17日(2006.3.17)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】