説明

半導体装置

【課題】CMOSインバータを含むメモリセルにおいて、リーク電流によるゲート配線の制約やデザインルールの制約を起因とするメモリセルの面積の増大を抑える。
【解決手段】第1のインバータIV1と第2のインバータIV2を含むメモリセル1Aの第1の金属層として、第1の配線FL1及び第2の配線FL2が配置されている。第1の配線FL1は、第1のインバータIV1の2つのドレインDと第2のインバータIV2の第2のゲート配線GL2と接続している。第2の配線FL2は、第2のインバータIV2の2つのドレインDと第1のインバータIV1の第1のゲート配線GL1と接続している。第1の配線FL1は第2のゲート配線GL2と重畳し、第2の配線FL2は第1のゲート配線GL1と重畳して配置される。第1の金属層よりも上層には、第2の金属層と、その上層の第3の金属層が配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、特に、CMOSインバータを含むメモリセルを備えた半導体装置のレイアウトに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子制御の必要性が高まっている家電製品や機械には、それらを制御するコンピュータシステムが多く組み込まれている。このようなコンピュータシステムとしては、例えば、マイクロコンピュータと共に、フラッシュメモリ、SRAM(Static Randam Access Memory)等のメモリが同一の半導体基板(即ち半導体チップ)上に形成された混載型の半導体装置が知られている。
【0003】
混載型の半導体装置のサイズを小さくするためには、大きな記憶容量が要求されるフラッシュメモリの占有面積は極力広くする一方で、主にバッファとして用いられることの多いSRAMの占有面積については極力小さくすることが要求される。
【0004】
SRAMのメモリセルが2つのCMOSインバータを含んで構成される場合、メモリセルの面積を極力小さくするレイアウトとしては、例えば特許文献1の図1のメモリセルが開示されている。このメモリセルでは、2つのCMOSインバータのゲート配線同士を近接させ、そのゲート配線より上層の2層の金属層を用いて、2つのCMOSインバータのドレイン間の接続と、ドレインとゲートのループ接続を行っている。このレイアウトによれば、メモリセルの面積を極力小さく抑えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4190242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のSRAMを形成する際には、採用するプロセスやデザインルールによっては、以下に説明するような制約が加わる場合がある。この制約によりメモリセルの面積が増大し、SRAMが形成される混載型の半導体装置のサイズが増大する恐れがある。
【0007】
例えば、占有面積が大きいフラッシュメモリの製造を最適化するために、SRAMの形成にとっては最適ではないプロセス(例えばフラッシュメモリ用のプロセス)を採用することがある。このプロセスの条件を起因としてデザインルールが制限されるため、SRAMのCMOSインバータを構成するゲート配線の幅によってはソース−ドレイン間にリーク電流が生じやすくなるため、リーク電流を抑止するべくゲート配線の幅(即ちゲート長)を予め大きくするレイアウトを用いる必要があった。
【0008】
また、多層配線に用いる金属層のデザインルールによっては、最上層の金属層において、配線パターンの設計自由度が著しく制約される場合がある。例えば、ボンディングパッド等の厚い外部接続電極については最上層の金属層で形成するというデザインルールの制約がある場合、最上層の金属層では、微細な配線パターンは許容されない。
【0009】
このデザインルールの制約を、特許文献1の図1に示されたSRAMのメモリセルに適用した場合について説明すると、最上層の第3の金属層として配置されるはずのビット線は、その下層の第2の金属層(微細な配線パターンが許容される金属層)に配置されることになる。この第2の金属層では、2つのCMOSインバータのドレイン間を接続する配線も配置されるが、この配線は、同じ金属層のビット線を避けるように大きく迂回して配置されなければならない。即ち、第2の金属層のレイアウトは大きく広がることになり、メモリセルの面積が増大することになる。
【0010】
そこで本発明は、SRAMを構成するCMOSインバータのソース−ドレイン間のリーク電流によるゲート配線の制約や、多層配線に用いる金属層のデザインルールの制約があっても、メモリセルの面積の増大を極力抑止できる半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、Pチャネルの第1のトランジスタとNチャネルの第2のトランジスタから構成された第1のCMOSインバータと、Pチャネルの第3のトランジスタとNチャネルの第4のトランジスタから構成された第2のCMOSインバータを含むメモリセルを備えた半導体装置であって、前記メモリセルは、前記第1及び第2のトランジスタに共通して配置された第1のゲート配線と、前記第3及び第4のトランジスタに共通して配置された第2のゲート配線と、前記第1及び第2のゲート配線より上層の第1の金属層として配置され、前記第1及び第2のトランジスタの各ドレインと前記第2のゲート配線に接続された第1の配線と、前記第1の金属層として配置され、前記第3及び第4のトランジスタの各ドレインと前記第1のゲート配線に接続された第2の配線と、前記第1の金属層よりも上層の第2の金属層と、前記第2の金属層よりも上層の第3の金属層と、を備え、前記第1の配線は前記第2のゲート配線と重畳し、前記第2の配線は前記第1のゲート配線と重畳していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、CMOSインバータのソース−ドレイン間のリーク電流によるゲート配線の制約や、金属層のデザインルールの制約があっても、メモリセルの面積の増大を極力抑止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態による半導体装置の概略構成を示す平面図である。
【図2】図1のSRAMのメモリセルを示す等価回路図である。
【図3】図1のSRAMのメモリセルのレイアウトを示す平面図である。
【図4】図1のSRAMのメモリセルのレイアウトを示す平面図である。
【図5】図1のSRAMのメモリセルのレイアウトを示す平面図である。
【図6】図1のSRAMのメモリセルのレイアウトを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態による半導体装置について、図面を参照して説明する。図1は、この半導体装置の概略構成を示す平面図である。図1に示すように、半導体基板100上に、複数のメモリセル1Aが規則的に配置されてなるスタティック型半導体メモリ(以下、SRAM1と呼ぶ)が配置されている。また、半導体基板100上には、フラッシュメモリ2が配置され、さらに、SRAM1とフラッシュメモリ2を制御するマイクロコンピュータ3が配置されている。これらは、混載型の半導体装置、即ち1つの半導体チップとして形成されている。
【0015】
ここで、フラッシュメモリ2はSRAM1と比べて大きな記憶容量のメモリ(例えば4Mバイト)として配置され、SRAM1は、フラッシュメモリ2と比べて小さな記憶容量のバッファメモリ(例えば256Kバイト)として配置されている。この場合、半導体基板100の表面全体に対するフラッシュメモリ2の占有面積は、SRAM1の占有面積より格段に大きくなる(例えば半導体基板100全体の9割程度)。
【0016】
以下に、SRAM1に含まれるメモリセル1Aの等価回路について説明する。図2は、SRAM1に含まれる複数のメモリセル1Aのうち、1つのメモリセル1Aを示す等価回路図である。
【0017】
図2に示すように、このメモリセル1Aは、CMOSインバータである第1のインバータIV1及び第2のインバータIV2と、Nチャネルトランジスタからなる2つのトランスファゲートT5,T6を含んでいる。第1のインバータIV1は、PチャネルトランジスタT1及びNチャネルトランジスタT2によって構成され、第2のインバータIV2は、PチャネルトランジスタT3及びNチャネルトランジスタT4によって構成されている。
【0018】
第1のインバータIV1及び第2のインバータIV2は、電源Vccと接地との間で常時給電状態が維持されると共に、互いにループ接続されており、この各接続点にあたるノードND1及びノードND2において、互いに論理レベルの反転したデータが記憶保持される構成となっている。
【0019】
以下に、このメモリセル1Aの半導体基板100上におけるレイアウトの一例を示す。図3乃至図6は、それぞれ、メモリセル1Aのレイアウトにおける異なるレイヤーを示す平面図である。
【0020】
図3は、半導体基板100に形成されたPチャネルトランジスタT1,T3及びNチャネルトランジスタT2,T4のレイアウトを示している。例えばP型の半導体基板100に配置されたN型ウェルNWにおいて、インバータIV1及び第2のインバータIV2の各PチャネルトランジスタT1,T3が配置されている。各PチャネルトランジスタT1,T3には、P型の能動層であるドレインD及びソースSが配置されている。また、P型の半導体基板100の領域では、インバータIV1及び第2のインバータIV2の各NチャネルトランジスタT2,T4が配置されている。各NチャネルトランジスタT2,T4には、N型の能動層であるドレインD及びソースSが配置されている。
【0021】
第1のインバータIV1を構成するPチャネルトランジスタT1とNチャネルトランジスタT2の各ゲートGは、ポリシリコンからなる第1のゲート配線GL1として一体的に形成されている。この第1のゲート配線GL1の線幅に対する中心線は、図中のX方向に略沿っている。
【0022】
同様に、第2のインバータIV2を構成するPチャネルトランジスタT3とNチャネルトランジスタT4の各ゲートGも、ポリシリコンからなる第2のゲート配線GL2として一体的に形成されている。この第2のゲート配線GL2の線幅に対する中心線も、図中のX方向に略沿っている。
【0023】
さらに、上記トランスファゲートT5,T6の各ゲートGも、ポリシリコンからなるワード線WLと一体的に形成されている。このワード線WLの線幅に対する中心線は、図中のX方向と直交するY方向に略沿っている。
【0024】
第1のインバータIV1と第2のインバータIV2は、以下のようにレイアウトすることで、極力近接させて配置されている。
【0025】
第1のインバータIV1のPチャネルトランジスタT1のドレインDは、第2のインバータIV2のPチャネルトランジスタT3とNチャネルトランジスタT4の各ドレインD間を結ぶ線と重畳すると共に、PチャネルトランジスタT3とNチャネルトランジスタT4の各ドレインDのチャネル側の端部を結ぶ線よりもチャネル側に延びて配置される。このPチャネルトランジスタT1のドレインDと離間するように、第2のゲート配線GL2は部分的に歪曲して配置される。さらに、PチャネルトランジスタT3のドレインDは、第1のゲート配線GL1の線幅に対する中心線の延長線と重畳するように配置されることが好ましい。
【0026】
他方、第2のインバータIV2のNチャネルトランジスタT4のドレインDは、第1のインバータIV1のPチャネルトランジスタT1とNチャネルトランジスタT2の各ドレインD間を結ぶ線と重畳すると共に、PチャネルトランジスタT1とNチャネルトランジスタT2の各ドレインDのチャネル側の端部を結ぶ線よりもチャネル側に延びて配置される。このNチャネルトランジスタT4のドレインDと離間するように、第1のゲート配線GL1は部分的に歪曲して配置される。
【0027】
上記レイアウトによれば、第1のゲート配線GL1と第2のゲート配線GL2を極力近接させることができるため、第1のインバータIV1と第2のインバータIV2を極力近接して配置できる。
【0028】
以下に、第1のゲート配線GL1及び第2のゲート配線GL2の上層の第1の金属層のレイアウトについて説明する。図4は、第1のゲート配線GL1及び第2のゲート配線GL2を覆う不図示の絶縁膜上に配置された第1の金属層のレイアウトを示している。第1の金属層は、例えばアルミニウムあるいはアルミニウムを含む金属からなる。図中の第1の金属層にはドットのハッチングが施されている。
【0029】
第1の金属層として配置された第1の配線FL1は、第1のインバータIV1のPチャネルトランジスタT1及びNチャネルトランジスタT2の各ドレインDと電気的に接続すると共に、第2のゲート配線GL2と電気的に接続して、一体的に形成されている。
【0030】
第1の配線FL1は、PチャネルトランジスタT1及びNチャネルトランジスタT2の各ドレインD上と第2のゲート配線GL2の一部上で不図示の絶縁膜を貫通する各コンタクトホールに形成された各プラグpd1,pd2,pg1と接続される。
【0031】
第1の配線FL1の大部分は、第2のゲート配線GL2と重畳して延在し、第1の配線FL1の線幅に対する中心線は、第2のゲート配線GL2が延びる方向、即ち図中のX方向に略沿っている。第1の配線FL1は、少なくとも、第2のインバータIV2のNチャネルトランジスタT4のゲートG上とその近傍上で、第2のゲート配線GL2と重畳している。第2のゲート配線GL2と重畳する第1の配線FL1の幅は、第2のゲート配線GL2の幅と同じかそれより小さいことが好ましい。第2のゲート配線GL2の幅は例えば約0.4μm〜0.5μmであり、第2のゲート配線GL2と重畳する第1の配線FL1の幅は、例えば約0.2μm〜0.3μmである。
【0032】
また、第1の金属層として配置された第2の配線FL2は、第2のインバータIV1のPチャネルトランジスタT3とNチャネルトランジスタT4の各ドレインDと電気的に接続すると共に、第1のゲート配線GL1と電気的に接続し、さらにトランスファゲートT6のドレインDと電気的に接続して、一体的に形成されている。
【0033】
第2の配線FL2は、PチャネルトランジスタT3及びNチャネルトランジスタT4の各ドレインD上、第1のゲート配線GL1の一部上、及びトランスファゲートT6のドレインD上で不図示の絶縁膜を貫通する各コンタクトホールに形成された各プラグpd3,pd4,pg2,pd6と接続される。
【0034】
第2の配線FL2の大部分は、第1のゲート配線GL1と重畳して延在し、第2の配線FL2の線幅に対する中心線は、第1のゲート配線GL1が延びる方向、即ち図中のX方向に略沿っている。第2の配線FL2は、少なくとも、第1のインバータIV1のPチャネルトランジスタT1とNチャネルトランジスタT2のゲートG上とその近傍上で、第1のゲート配線GL1と重畳している。第1のゲート配線GL1と重畳する第2の配線FL2の幅は、第1のゲート配線GL1の幅と同じかそれより小さいことが好ましい。第1のゲート配線GL1の幅と、第1のゲート配線GL1と重畳する第2の配線FL2の幅は、それぞれ、第2のゲート配線GL2、第1の配線FL1と同様の幅を有している。
【0035】
このように、第1のインバータIV1及び第2のインバータIV2にそれぞれ含まれる2つのドレインD間の電気的な接続と、第1のインバータIV1及び第2のインバータIV2のループ接続は、第1の金属層より上層の金属層を用いることなく、コンタクトホール内のプラグと、第1の金属層のみによって実現される。
【0036】
そして、第1の配線FL1は第2のゲート配線GL2と重畳し、第2の配線FL2は第1のゲート配線GL1と重畳して配置されることから、第1の配線FL1と第2の配線FL2を配置するために、第1のインバータIV1と第2のインバータIV2のレイアウトを大きく広げる必要はない。これにより、メモリセル1Aの面積を極力小さくすることが可能となり、特に、メモリセル1Aの図中のY方向の長さWを極力小さくできる。
【0037】
さらにいえば、PチャネルトランジスタT1,T3及びNチャネルトランジスタT2,T4の各ソース−ドレイン間におけるリーク電流を抑止するために、第1のゲート配線GL1及び第2のゲート配線GL2の幅を広げたとしても、第1の配線FL1及び第2の配線FL2は、通常は配線が配置されることのない第1のゲート配線GL1上と第2のゲート配線GL2上のスペースを効率的に利用して配置される。この場合、メモリセルの面積の増大を極力回避することができる。
【0038】
また、第1の金属層として、第1の配線FL1及び第2の配線FL2以外にも、導電物sm1,sm3,sm2,sm4,sm5,sm6が配置されている。導電物sm1〜sm6は、PチャネルトランジスタT1,T3、NチャネルトランジスタT2,T4、及びトランスファゲートT5,T6の各ソースSとそれぞれ電気的に接続している。導電物sm1〜sm6は、それぞれ、各ソースS上で不図示の絶縁膜を貫通するコンタクトホールに形成された各プラグps1〜ps6と接続される。
【0039】
以下に、第1の金属層の上層の第2の金属層のレイアウトについて説明する。図5は、第1の配線FL1及び第2の配線FL2を覆う不図示の絶縁膜上に配置された第2の金属層のレイアウトを示している。第2の金属層は、例えばアルミニウムあるいはアルミニウムを含む金属からなる。図中の第2の金属層には実線斜線のハッチングが施されている。
【0040】
第2の金属層には、トランスファゲートT5,T6の各ソースSと電気的に接続されるビット線として、2本の第3の配線BL1,BL2が配置されている。一方の第3の配線BL1は、トランスファゲートT5のソースSと電気的に接続され、第3の配線BL1に隣接する他方の第3の配線BL2は、トランスファゲートT6のソースSと電気的に接続される。第3の配線BL1,BL2は、それぞれ、第1の金属層の導電物sm5,sm6上で不図示の絶縁膜を貫通するコンタクトホールに形成された各プラグpsm5,psm6と接続される。各第3の配線BL1,BL2の線幅に対する各中心線は、図中のX方向に略沿っている。
【0041】
また、第2の金属層として、第3の配線BL1,BL2以外にも、導電物mm1,mm2,mm3,mm4が配置されている。導電物mm1〜mm4は、不図示の絶縁膜を貫通するコンタクトホールに形成された各プラグpsm1,psm2,psm3,psm4を介して、第1の金属層の導電物sm1,sm2,sm3,sm4とそれぞれ電気的に接続している。
【0042】
さらに、上記第2の金属層を覆って、不図示の絶縁膜が配置され、その絶縁膜上には、最上層の金属層である第3の金属層が配置される。第3の金属層は、例えばアルミニウムあるいはアルミニウムを含む金属からなる。この第3の金属層には、採用されたデザインルールによっては、配線パターンの自由度が著しく制約される場合がある。
【0043】
本実施形態では、第3の金属層は、それより下層の第1の金属層及び第2の金属層よりも厚く、例えば、第1の金属層及び第2の金属層の厚さは約0.5μm〜約0.6μmであるのに対して、第3の金属層は約0.7μm〜約0.8μmの厚さで形成され、第1の金属層及び第2の金属層よりも粗く大きなパターンによりレイアウトされるというデザインルールの制約が加わっているものとする。言い換えれば、第3の金属層では、第1の配線FL1、第2の配線FL2、第3の配線BL1,BL2のような、細かな配線パターンを配置することができないものとする。この制約は、例えば、第3の金属層でボンディングパッド等の厚い外部接続電極が配置されることを想定したデザインルールに多くみられる。
【0044】
このようなデザインルールの制約により、本実施形態では、上記のように、細かな配線パターンが許容される第2の金属層を用いて、ビット線である第3の配線BL1,BL2を配置している。
【0045】
以下に、第3の金属層のレイアウトについて説明する。図6は、第2の金属層である第3の配線BL1,BL2を覆う不図示の絶縁膜上に配置された第3の金属層のレイアウトを示している。図中の第3の金属層には破線斜線のハッチングが施されている。
【0046】
上記デザインルールの制約により、第3の金属層では、第1及び第2の金属層よりも粗く大きなパターンの第4の配線TL1、第5の配線TL2,第6の配線TL3が配置されている。第4の配線TL1は、第1のインバータIV1及び第2のインバータIV2の各PチャネルトランジスタT1,T3の各ソースSと電気的に接続され、電源電位Vccが印加される電源線である。第5の配線TL2は、第1のインバータIV1及び第2のインバータIV2の各NチャネルトランジスタT2,T4の各ソースSと電気的に接続され、接地電位が印加される接地線である。
【0047】
第4の配線TL1は、導電物mm1,mm3上で不図示の絶縁膜を貫通するコンタクトホールに形成された各プラグpmm1,pmm3と接続される。第5の配線TL2は、導電物mm2,mm4上で不図示の絶縁膜を貫通するコンタクトホールに形成された各プラグpmm2,pmm4と接続される。また、第6の配線TL3は、ポリシリコンからなるワード線WLの電気的な抵抗を低減させるべく、不図示の領域でワード線WLと電気的に接続された配線である。
【0048】
第4乃至第6の配線T1,T2,T3の線幅に対する各中心線は、第1のゲート配線GL1及び第2のゲート配線GL2が延びる方向と直交する方向、即ち図中のY方向に略沿っている。
【0049】
以上に説明した図3乃至図6のレイアウトの積層構造からなるメモリセル1Aは、図中のX方向とY方向において、周期的に繰り返される規則的なパターンで複数配置される。なお、この規則的なパターンに応じて、互いに隣接するメモリセル1Aのレイアウトは、互いに鏡面反転したものであってもよく、また、互いに隣接するメモリセル1Aの共通部分を構成するために、上記レイアウトとは若干異なる形状を含むものであってもよい。
【0050】
このメモリセル1Aのレイアウトによれば、上記のようなデザインルールによって配線パターンの自由度が著しく制約される場合においても、第1の金属層(第1の配線FL1及び第2の配線FL2)を用いて、第1のインバータIV1及び第2のインバータIV2にそれぞれ含まれる2つのドレインD間の電気的な接続と、第1のインバータIV1及び第2のインバータIV2のループ接続が実現される。そして、各ソース−ドレイン間のリーク電流を抑止するために第1のゲート配線GL1及び第2のゲート配線GL2の幅を広げる必要があったとしても、そのゲート配線上のスペースを効率的に利用して第1の金属層(第1の配線FL1及び第2の配線FL2)が配置される。これにより、メモリセル1Aの面積を極力小さくすることができる。
【0051】
特に、複数のメモリセル1AからなるSRAM1の他に、フラッシュメモリ2やマイクロコンピュータ3が同一の半導体基板100上に配置された混載型の半導体装置では、SRAM1のメモリセル1Aの面積の増大は、半導体装置のサイズを増大させる要因となる。これに対して本実施形態によれば、SRAM1のメモリセル1Aのレイアウトを極力小さくできるため、そのような混載型の半導体装置のサイズの増大を極力抑えることが可能となる。
【0052】
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で変更が可能なことはいうまでもない。
【0053】
例えば、上記実施形態では、同一の半導体基板100上にSRAM1、フラッシュメモリ2、マイクロコンピュータ3が配置されるものとしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、本発明は、フラッシュメモリ2とマイクロコンピュータ3のいずれか一方、あるいは両者が半導体基板100に配置されない場合についても適用される。あるいは、本発明は、上記SRAM1が配置されるものであれば、フラッシュメモリ2及びマイクロコンピュータ3以外のデバイスが半導体基板100上に配置される場合についても適用される。
【符号の説明】
【0054】
1 SRAM 1A メモリセル
2 フラッシュメモリ 3 マイクロコンピュータ
100 半導体基板
IV1 第1のインバータ IV2 第2のインバータ
T1,T3 Pチャネルトランジスタ T2,T4 Nチャネルトランジスタ
T5,T6 トランスファゲート
GL1 第1のゲート配線 GL2 第2のゲート配線
FL1 第1の配線 FL2 第2の配線
BL1,BL2 第3の配線 TL1 第4の配線
TL2 第5の配線 TL3 第6の配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Pチャネルの第1のトランジスタとNチャネルの第2のトランジスタから構成された第1のCMOSインバータと、Pチャネルの第3のトランジスタとNチャネルの第4のトランジスタから構成された第2のCMOSインバータを含むメモリセルを備えた半導体装置であって、
前記メモリセルは、前記第1及び第2のトランジスタに共通して配置された第1のゲート配線と、前記第3及び第4のトランジスタに共通して配置された第2のゲート配線と、前記第1及び第2のゲート配線より上層の第1の金属層として配置され、前記第1及び第2のトランジスタの各ドレインと前記第2のゲート配線に接続された第1の配線と、前記第1の金属層として配置され、前記第3及び第4のトランジスタの各ドレインと前記第1のゲート配線に接続された第2の配線と、前記第1の金属層よりも上層の第2の金属層と、前記第2の金属層よりも上層の第3の金属層と、を備え、
前記第1の配線は前記第2のゲート配線と重畳し、前記第2の配線は前記第1のゲート配線と重畳していることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第1の配線は前記第4のトランジスタのゲート上で前記第2のゲート配線と重畳し、前記第2の配線は前記第1及び第2のトランジスタのゲート上で前記第1のゲート配線と重畳していること特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第4のトランジスタのゲート上において、前記第1の配線の幅は前記第2のゲート配線の幅と同じかそれより小さく、前記第1及び第2のトランジスタのゲート上において、前記第2の配線の幅は、前記第1のゲート配線の幅と同じかそれよりも小さいことを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記メモリセルは、
前記第2の金属層として配置された第1のビット線及び第2のビット線と、
前記第1のビット線及び前記第1のCMOSインバータと接続された第1のトランスファゲートと、
前記第2のビット線及び前記第2のCMOSインバータに接続された第2のトランスファゲートと、を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記メモリセルは、前記第3の金属層として配置された電源線と、前記第3の金属層として配置された接地線と、を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項6】
前記メモリセルが配置された基板と同一の基板上に、前記メモリセルを制御するマイクロコンピュータが配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項7】
前記メモリセルが配置された基板と同一の基板上に、前記マイクロコンピュータに制御されるフラッシュメモリが配置されていることを特徴とする請求項6に記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−43879(P2012−43879A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−182162(P2010−182162)
【出願日】平成22年8月17日(2010.8.17)
【出願人】(311003743)オンセミコンダクター・トレーディング・リミテッド (166)
【Fターム(参考)】