説明

半導体装置

【課題】クロック周波数の設定を変えた場合でも電源や温度などに変動があっても、高精度なクロック信号を生成する。
【解決手段】周波数電圧変換回路13は、スイッチSW1,SW2から構成されるスイッチ部、静電容量素子C,C10〜C13、およびスイッチCSW0〜CSW3から構成されている。静電容量素子C10〜C13は、容量の絶対値が異なるもので構成され、設計者が意図する周波数範囲をカバーするよう設ける。静電容量値は、たとえば、2の重み付けがされている静電容量素子C11〜C13は、たとえば、4ビットの周波数調整制御信号SELC0〜SELC3に基づいて、スイッチCSW0〜CSW3が選択し、周波数の切り替えを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路動作に用いられるクロック信号を発生させるクロック発振回路を有する半導体装置に有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
マイクロコンピュータなどの半導体装置においては、機器の小型化やコスト低減などのため外付け部品の削減が求められおり、CPU(Central Processing Unit)や周辺機能ブロックなどの内部モジュールへ供給するクロック信号を生成するクロック発振回路が該半導体装置に内蔵されたものがある。
【0003】
さらに、一般には、クロック発振回路が生成したクロック信号を分周する分周器を有する。分周器は、分周比の選択によりクロック周波数の選択肢を増やすために設けられている。
【0004】
また、クロック発振回路は、たとえば、基準電圧発生回路、電流発生回路、制御回路、周波数電圧変換回路、発振回路を有する。周波数電圧変換回路、発振回路、制御回路でフィードバックループを構成する。
【0005】
基準電圧発生回路は、基準電圧VREFI,VREFCをそれぞれ生成し、電流発生回路と発振回路へ出力する。電流発生回路は、基準電圧に基づき、ほぼ一定の電流を出力する定電流発生回路が用いられる。
【0006】
ここでは電源、温度依存性が小さい電流Irefを生成する。周波数電圧変換回路は、電流発生回路が生成した電流Iref、容量と制御回路が生成した制御信号に基づいて、電圧VSIGを生成する。
【0007】
制御回路は、電圧制御発振回路が生成したクロック信号に基づいて制御信号を生成する。周波数電圧変換回路は、電流発生回路が生成した電流、容量と制御回路が電圧制御発振回路から出力されるクロック信号から生成された制御信号に基づいて、電圧を生成する。発振回路は積分回路を有する。
【0008】
積分回路は、基準電圧発生回路が生成した基準電圧VREFCと周波数電圧変換回路から出力される電圧VSIGとが等しくなるよう電圧制御発振回路の制御電圧を変え、クロック周期を所望の周波数に調整する。
【0009】
この種のクロック発振回路としては、たとえば、電流制御発振器、分周器、周期比較回路、積分器、および電圧−電流変換回路を直列接続し、終段の電圧−電流変換回路の出力電流を初段の電流制御発振器の入力側に帰還し、電流制御発振器の出力を発振出力とすることにより、発振周波数の安定化、および発振精度の向上を図るものが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2002−300027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところが、上記のような半導体装置内部に設けられたクロック発振回路におけるクロック生成技術では、次のような問題点があることが本発明者により見出された。
【0012】
従来の半導体装置に設けられたクロック発振器であるオンチップオシレータの基本構成を図44に示す。
【0013】
オンチップオシレータは基準電圧発生回路、電流発生回路、制御回路、周波数電圧変換回路、積分回路、電圧制御発振回路でフィードバックループを構成するクロック発振回路で構成される。
【0014】
上記したクロック発振回路が生成するクロック信号の発振周期Tは、周波数電圧変換回路に内蔵される容量Cと回路中で生成される定電流成分VREFI/R、および基準電圧VREFCにより下記式(1)で表される。
【0015】
発振周期Tは定数である容量Cと抵抗Rに対して基準電圧VREFIおよび基準電圧VREFCの比を制御することで一定に保たれる。
【0016】
【数1】

【0017】
図44の回路について動作を説明する。
【0018】
基準電圧発生回路は基準電圧VREFC,VREFIを生成し、電流発生回路と積分回路へ出力する。電流発生回路は電源電圧の変化や温度の変化に対する温度依存性が小さい定電流Irefを内部で生成しカレントミラー回路で一定の比率で変換して電流Iconstを生成して周波数電圧変換回路へ出力する。周波数電圧変換回路は電流発生回路から出力される電流Iconstと電圧制御発振回路クロックから制御回路で生成された制御信号ZCHR,DISC,SAMPを用いて電圧VSIGを生成する。制御信号ZCHR,DISC,SAMPは出力クロック周期と同じパルス幅をもつ信号である。積分回路は電圧VSIGをサンプリングし電源、温度依存性のない基準電圧VREFCと周波数電圧変換回路出力VSIGが等しくなるよう電圧制御発振回路の制御電圧VCNTを変え、クロック周期を所望の周波数に調整する。
【0019】
また、該クロック発振回路は、式(1)に対して式(2)に示すように回路を構成する素子の温度特性や回路のばらつきなどに起因する誤差要因が存在する。
【0020】
【数2】

【0021】
C(t)は式(1)の理想的な容量Cに対して温度依存のある静電容量素子、R(t)は式(1)の理想的なRに対して温度依存性のある抵抗素子であることを表現している。また、Mは、式(1)には示されていないが周波数切り替え機能のためのカレントミラー回路による電流変換比の定数である。
【0022】
誤差要因としては以下のものがあげられる。
(1)カレントミラー回路を構成するトランジスタのしきい値電圧ミスマッチ、ΔVthなどに起因する電流誤差ΔImismatchがあり、この電流誤差ΔImismatchは式(1)の分母の電流成分に加算または減算される形で誤差となる。
(2)電流発生回路から周波数電圧変換回路に至る端子NDDにおける寄生容量Cp1と端子NDDの電圧変動ΔVNDDは分子の容量と電圧の積の成分に加算される形で誤差となる。
(3)周波数電圧変換回路の出力信号に接続される寄生容量Cp2は周波数電圧変換回路の内部容量C(t)に加算される形で誤差となる。
(4)カレントミラー回路を構成するトランジスタのサブスレッショルドリークIoffは分母の電流成分に加算されて誤差となる。
(5)電流発生回路、積分回路のオペアンプにおけるオフセット電圧、Vof1およびVof2はそれぞれ分母と分子の電圧成分VREFI,およびVREFCに加算されて誤差となる。
【0023】
(1)の電流誤差ΔImismatchは、定数Mにより周波数を切り替えた場合に変化し、期待される周波数に対し変動を引き起こす。周波数切り替えは、半導体装置の仕様により必要がある場合に内蔵される機能であるが、周波数を切り替えることにより周波数精度が変動して、それによるアプリケーションへの影響などの問題が発生してしまう恐れが生じる。
【0024】
このように、クロック信号における高い周波数精度を実現するためには、式(2)の誤差要因を対策して周波数によらず一定の精度を実現することが必須である。
【0025】
従来においてクロック周波数(クロック周波数に基づいて生成された動作周波数も含む)を変更したい場合、定数Mを変える。定数Mはカレントミラー回路のトランジスタサイズを変えることで行う。しかしながら、トランジスタサイズが変わることで、トランジスタばらつきの変動で電流誤差ΔImismatchが変化する。
【0026】
このように、クロック周波数を切り替えた場合に、トランジスタばらつきによる影響が重要な要因の1つであり、クロック周波数がばらつくということが判った。
【0027】
本発明の目的は、クロック周波数の設定を変えた場合でも電源や温度などに変動があっても、高精度なクロック信号を生成することのできる技術を提供することにある。
【0028】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴については、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0030】
本発明は、外部からの電源電圧が供給される電源端子と、クロック信号を出力するクロック発振回路と、前記クロック信号に基づいて生成される動作周波数に応じて動作する内部回路とを備え、前記クロック発振回路は、前記電源電圧および温度に対する出力電流の依存性を調整できる電流出力回路と、前記出力電流を受ける容量ノードに並列に接続された複数の静電容量素子を有し、接続される複数の静電容量素子の数を変更することにより、前記クロック信号の周波数が変更される周波数電圧変換回路と、前記クロック信号の周波数を設定するクロック設定信号を生成し、前記周波数電圧変換回路に出力するクロック設定部とを有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0031】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0032】
(1)周波数電圧変換回路の容量値を可変してクロック信号の周波数切り替えを行うことができるので、高精度なクロック信号を生成することができる。
【0033】
(2)上記(1)により、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施の形態1による半導体装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】図1の半導体装置に設けられたオシレータ部における構成の一例を示す説明図である。
【図3】図2のオシレータ部に設けられた基準電圧発生回路が生成する電圧の温度依存性の一例を示した説明図である。
【図4】図2のオシレータ部が目標の周波数より速いクロック信号を調整する過程の一例を示すタイミングチャートである。
【図5】図2のオシレータ部が目標の周波数より遅いクロック信号を調整する過程の一例を示すタイミングチャートである。
【図6】図2のオシレータ部におけるクロック信号の発振周波数と目標の周波数とが一致している場合の動作例を示すタイミングチャートである。
【図7】図2のオシレータ部に設けられたに電圧制御発振回路のVF(Voltage-Frequency)特性の一例を示す説明図である。
【図8】本発明者が検討したトランジスタサイズによってカレントミラー比を変更して周波数切り替えする電流発生回路の一例を示す説明図である。
【図9】本発明者が検討したトランジスタ個数によってカレントミラー比を変更して周波数切り替えする電流発生回路の一例を示す説明図である。
【図10】図8の電流発生回路の他例を示す説明図である。
【図11】図9の電流発生回路の他例を示す説明図である。
【図12】本実施の形態1による静電容量素子による周波数切り替え機能を有した周波数電圧変換回路の一例を示す説明図である。
【図13】本実施の形態1による静電容量素子による周波数切り替え機能を有した周波数電圧変換回路の他の例を示す説明図である。
【図14】図12の周波数電圧変換回路の動作の一例を示すタイミングチャートである。
【図15】図12の周波数電圧変換回路図に設けられた静電容量素子を選択するスイッチの一例を示した説明図である。
【図16】図15のスイッチの他の例を示した説明図である。
【図17】マイナス電極側にスイッチを設けた周波数電圧変換回路の一例を示す説明図である。
【図18】図17の周波数電圧変換回路の他の例を示す説明図である。
【図19】図17の周波数電圧変換回路におけるノードVxの動作波形の一例を示したタイミングチャートである。
【図20】不定となるノードを基準電位レベルへリフレッシュする機能を有した周波数電圧変換回路の一例を示す説明図である。
【図21】図20の周波数電圧変換回路の動作の一例を示すタイミングチャートである。
【図22】図18の周波数電圧変換回路にリフレッシュ機能を適用した際の一例を示す説明図である。
【図23】図20の周波数電圧変換回路を制御する制御回路の一例を示す説明図である。
【図24】図23の制御回路における各部信号のタイミングチャートである。
【図25】図20の周波数電圧変換回路の他の回路構成を示した説明図である。
【図26】周波数電圧変換回路と積分回路の接続の一例を示した説明図である。
【図27】図26の積分回路に設けられたスイッチの一例を示す説明図である。
【図28】図22の周波数電圧変換回路の他の回路構成を示した説明図である。
【図29】図28の周波数電圧変換回路における寄生容量を最小限に抑えるレイアウトの一例を示した説明図である。
【図30】本実施の形態2による電流発生回路の詳細な回路構成を示した説明図である。
【図31】図30の電流発生回路に電流切り替え機能を持たせた際の一例を示す説明図である。
【図32】図31の電流発生回路の他の例を示す説明図である。
【図33】図2の周波数電圧変換回路のスイッチ部における詳細な構成を示す説明図である。
【図34】図30の電流発生回路が接続される周波数電圧変換回路における周波数電圧変換動作のタイミングチャートである。
【図35】電圧VNDDが変動した際の周波数電圧変換回路における周波数電圧変換動作のタイミングチャートである。
【図36】図33の周波数電圧変換回路の他の例を示した説明図である。
【図37】図36の周波数電圧変換回路に用いられるアナログスイッチの一例を示す説明図である。
【図38】本発明の実施の形態3による電流発生回路の一例を示す説明図である。
【図39】図38の電流発生回路における他の例を示す説明図である。
【図40】本発明の実施の形態4による基準電圧発生回路の一例を示す説明図である。
【図41】図40の基準電圧発生回路の簡略図である。
【図42】図40の基準電圧発生回路の他の例を示す説明図である。
【図43】本発明の他の実施の形態によるオシレータ部における構成の一例を示すブロック図である。
【図44】オシレータの基本構成を説明するブロック図である。
【図45】本発明によるオンチップオシレータとして用いられるクロック発振回路の基本構成を説明するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0036】
《発明の概要》
本発明の半導体装置は、外部からの電源電圧が供給される電源端子(電源端子100)と、クロック信号を出力するクロック発振回路(クロック発振回路2)と、前記クロック信号に基づいて生成される動作周波数に応じて動作する内部回路(内部回路19)とを備え、前記クロック発振回路は、前記電源電圧および温度に対する出力電流の依存性を調整できる電流出力回路(電流出力回路11)と、前記出力電流を受ける容量ノード(容量ノード112)に並列に接続可能な複数の静電容量素子(第1の静電容量素子部113、第2の静電容量素子部114)を有し、接続される前記複数の容量の数を変更することにより、前記クロック信号の周波数が変更される周波数電圧変換回路(周波数電圧変換回路13)と、を有する構成からなる。
【0037】
また、本発明の第2の形態による半導体装置は、クロック発振回路(クロック発振回路2)と前記クロック発振回路が出力するクロック信号に基づいて生成される動作周波数に応じて動作する内部回路(内部回路19)とを備え、前記クロック発振回路は、一定の出力電流を供給する定電流回路(電流出力回路11)と、前記定電流回路からの出力電流を受ける容量ノード(容量ノード112)と、前記容量ノードに並列に接続可能な静電容量素子と前記容量ノードに接続される静電容量素子数を切り替えるスイッチとを有する周波数電圧変換回路と、前記周波数電圧変換回路の出力信号に基づいて周波数を設定し、前記クロック信号を出力する発振回路(発振回路18)と、を含む構成からなる。
【0038】
(実施の形態1)
図45に実施の形態1の半導体装置の構成図を示す。
【0039】
半導体装置1は、電源端子100とクロック発振回路2と内部回路19を有する。電源端子100には、半導体装置外部から電源電圧が供給される。電源電圧としては、例えば1V〜5Vの範囲の電圧が供給される。クロック発振回路2は、電源端子100から電源電圧が供給され、クロック信号を出力する。内部回路19はクロック信号を受けて動作する。
【0040】
クロック発振回路2は、電流出力回路11、周波数電圧変換回路13、クロック設定部111、発振回路18、ならびに制御回路12を有する。電流出力回路11は、電源電圧および温度の依存性を調整できる出力電流を出力する。
【0041】
電流出力回路11は、一般に電源電圧および温度の依存性の影響を受けにくく、電源電圧および温度が変化してもほぼ一定の電流である定電流を出力する定電流回路等が用いられる。
【0042】
この電流出力回路11の出力電流は、周波数電圧変換回路13へ供給される。電流出力回路11は、基準電圧発生回路10と電流発生回路1011とを有する。基準電圧発生回路10は、電源端子100に接続され、電源電圧から半導体装置内で基準となる電圧で基準電圧を生成する。
【0043】
電流発生回路1011は、基準電圧を受け、出力電流を出力する。周波数電圧変換回路13は、以下のように構成され、容量ノード112から電圧が出力される。第1の静電容量素子部113を有し、容量ノード112に接続されている。
【0044】
さらに容量ノード112には、容量選択スイッチ115を介して第2の静電容量素子部114が接続されている。第1と第2の静電容量素子部は、基準電圧が供給される基準電圧ノード120と容量ノード112との間に並列に接続されている。基準電圧は通常0Vが供給されるが、電源電圧より低い電圧であれば、他の電圧でもよい。
【0045】
また、電流出力回路11の出力電流が出力される出力ノード125と容量ノード112との間に接続されるチャージスイッチ121と、容量ノード112と基準電圧ノード120との間に接続されるディスチャージスイッチ122とを有する。
【0046】
容量ノード112の電圧は、チャージスイッチ121がオンすることで、出力電流が容量ノード112に流れ、容量ノード112の電圧が上昇し、ディスチャージスイッチ122がオンすることで電圧が下がる。
【0047】
クロック信号の周波数に応じて、チャージスイッチ121とディスチャージスイッチ122のオンおよびオフのタイミングが制御される。なお、通常チャージスイッチ121とディスチャージスイッチ122のオンのタイミングは相補的に動作する。
【0048】
容量ノード112の電圧の変化速度は、クロック信号の周波数により変わる。
【0049】
発振回路18は、容量ノード112の電圧を受け、クロック信号を内部回路19に出力する。また、発振回路18は、容量ノード112の電圧値に応じて、クロック信号の周波数を変化させる。
【0050】
発振回路としては、リングオシレータ等が通常用いられる。クロック信号は、制御回路12にも送られる。制御回路12はクロック信号に応じて、チャージスイッチ121およびディスチャージスイッチ122のオン、オフを制御する。
【0051】
周波数電圧変換回路13、発振回路18、制御回路12でフィードバックループを構成し、一定の周波数のクロック信号を発生する。内部回路19は、クロック信号を受け、クロック信号に基づき動作する回路、たとえば、CPU、A/D(Analog/Digital)変換回路やクロック信号を分周する分周回路が含まれる。
【0052】
クロック設定部111は、クロック設定信号を生成し、周波数電圧変換回路13へ出力する。周波数電圧変換回路13の容量選択スイッチ115は、クロック設定信号により制御される。
【0053】
これにより、容量ノード112に接続される第2の静電容量素子部114の静電容量素子数が決定される。容量ノード112に接続される静電容量素子数が多くなれば、容量ノード112の容量値が大きくなり、容量ノード112の電圧変化は遅くなる。
【0054】
つまり、容量ノード112の容量によって、容量ノード112の電圧変化を調整できる。よって、クロック信号の周波数を変更できる。容量ノード112の電圧変化を調整するには、電流出力回路11からの出力電流量を調整する方法も考えられる。
【0055】
出力電流の調整の仕方は、電流を供給するトランジスタのサイズや並列に接続するトランジタ数を調整することが考えられる。
【0056】
しかしながら、調整用のトランジスタのばらつきにより、精度の高いクロック信号を生成することは難しいことに気付いた。特に設定したい目標のクロック信号の周波数を半導体装置毎に変えた場合、精度の高い、例えば目標周波数に対するばらつきを5%、さらには1%以下に抑えるのが難しいことに気付いた。
【0057】
半導体装置1が搭載される機器の用途によって、内部回路19の動作周波数は異なる場合があり、クロック周波数も異なった周波数に設定される。例えば、クロック周波数の目標周波数は、10MHz−60MHzとなる。
【0058】
素子の特性を検討した結果、電流を供給するトランジスタにより目標周波数を変更するよりも、容量ノード112に接続される静電容量素子数を変更する方が、目標周波数に対し高精度の周波数を発生できることに気付いたものである。
【0059】
MOSトランジスタは製造上の特性ばらつきを持つ。この特性ばらつきは、例えば、しきい値電圧、ゲート長、ゲート酸化膜厚など多くの要素に起因する。これに対し、半導体素子上に形成される、例えば、ポリシリコン−絶縁体−ポリシリコン容量や、金属−絶縁体−金属容量は、ほぼ素子寸法の加工精度で容量値の精度が定まる。特に同一チップ上で近接して形成される静電容量素子の相互の容量値の比精度は高い。よって、MOSトランジスタのバラツキに対し、静電容量素子のバラツキは比較的小さなものとなる。
【0060】
このことから、トランジスタのサイズや並列に接続するトランジスタの個数を変化することにより電流値を変化させる方法に対し、静電容量素子の値や並列に接続する静電容量素子の個数を変化する方法により、クロック信号の周波数を高い精度で調整することが可能となる。
【0061】
以上のように、容量ノード112に接続さる静電容量素子数を変更することで目標周波数に対し精度の高い周波数を発生できるものである。
【0062】
以降では、更なる内部構成について説明する。
【0063】
図1は、本発明の実施の形態1による半導体装置の構成例を示すブロック図、図2は、図1の半導体装置に設けられたオシレータ部における構成の一例を示すブロック図、図3は、図2のオシレータ部に設けられた基準電圧発生回路が生成する電圧の温度依存性の一例を示した説明図、図4は、図2のオシレータ部が目標の周波数より速いクロック信号を調整する過程の一例を示すタイミングチャート、図5は、図2のオシレータ部が目標の周波数より遅いクロック信号を調整する過程の一例を示すタイミングチャート、図6は、図2のオシレータ部におけるクロック信号の発振周波数と目標の周波数とが一致している場合の動作例を示すタイミングチャート、図7は、図2のオシレータ部に設けられたに電圧制御発振回路のVF特性の一例を示す説明図、図8は、本発明者が検討したトランジスタサイズによってカレントミラー比を変更して周波数切り替えする電流発生回路の一例を示す説明図、図9は、本発明者が検討したトランジスタ個数によってカレントミラー比を変更して周波数切り替えする電流発生回路の一例を示す説明図、図10は、図8の電流発生回路の他例を示す説明図、図11は、図9の電流発生回路の他例を示す説明図、図12は、本実施の形態1による静電容量素子による周波数切り替え機能を有した周波数電圧変換回路の一例を示す説明図、図13は、本実施の形態1による静電容量素子による周波数切り替え機能を有した周波数電圧変換回路の他の例を示す説明図、図14は、図12の周波数電圧変換回路の動作の一例を示すタイミングチャート、図15は、図12の周波数電圧変換回路図に設けられた静電容量素子を選択するスイッチの一例を示した説明図、図16は、図15のスイッチの他の例を示した説明図、図17は、マイナス電極側にスイッチを設けた周波数電圧変換回路の一例を示す説明図、図18は、図17の周波数電圧変換回路の他の例を示す説明図、図19は、図17の周波数電圧変換回路におけるノードの動作波形の一例を示したタイミングチャート、図20は、不定となるノードVxを基準電位レベルへリフレッシュする機能を有した周波数電圧変換回路の一例を示す説明図、図21は、図20の周波数電圧変換回路の動作の一例を示すタイミングチャート、図22は、図18の周波数電圧変換回路にリフレッシュ機能を適用した際の一例を示す説明図、図23は、図20の周波数電圧変換回路を制御する制御回路の一例を示す説明図、図24は、図23の制御回路における各部信号のタイミングチャート、図25は、図20の周波数電圧変換回路の他の回路構成を示した説明図、図26は、周波数電圧変換回路と積分回路の接続の一例を示した説明図、図27は、図26の積分回路に設けられたスイッチの一例を示す説明図、図28は、図22の周波数電圧変換回路の他の回路構成を示した説明図、図29は、図28の周波数電圧変換回路における寄生容量を最小限に抑えるレイアウトの一例を示した説明図である。
【0064】
本実施の形態1において、半導体装置1は、図1に示すように、クロック発振回路2、レジスタ3、メモリ4、分周回路5、CPU6、A/D変換器7、タイマ8、および周辺回路9などから構成されている。
【0065】
クロック発振手段となるクロック発振回路2は、半導体装置1の内部モジュールに供給されるクロック信号を生成する。分周回路5は、クロック発振回路2が生成したクロック信号を分周して可変し、分周回路5、CPU6、A/D変換器7、タイマ8、ならびにその他のモジュールである周辺回路9などの内部モジュールに動作クロックして供給する。
【0066】
CPU6は、半導体装置1における動作を司る。A/D変換器7は、アナログ信号をデジタル信号に変換する。タイマ8は、タイマクロックなどをカウントアップして所望の時間設定をし、ある時間に到達するとタイマカウンタ信号を出力する。
【0067】
メモリ4は、フラッシュメモリに例示される不揮発性メモリからなり、クロック発振回路2のトリミング後の制御信号が格納されている。半導体装置1が起動した際に、メモリ4に格納されている制御信号がレジスタ3に読み出されて格納される。
【0068】
クロック発振回路2は、レジスタ3に格納された制御信号に基づいて動作制御される。メモリ4に格納される制御信号は、温度トリミング信号VCNTL_VREFI,VCNTL_VREFC、および目標周波数とするための調整用信号である周波数調整制御信号SELI,SELCなどからなる。
【0069】
図2は、クロック発振回路2における構成の一例を示すブロック図である。
【0070】
クロック発振回路2は、図示するように、基準電圧発生回路10、電流出力回路11、制御回路12、周波数電圧変換回路13、および積分回路14と電圧制御発振回路15から構成される発振回路からなり、これらの回路でフィードバックループを構成するクロック生成回路である。
【0071】
基準電圧発生回路10は、バンドギャップリファレンス回路BGR、抵抗R1〜R4、バイポーラ素子からなるトランジスタQ1から構成されている。電流出力回路11は、オペアンプAMP1、PチャネルMOSからなるトランジスタT1,T2から構成されている。
【0072】
周波数電圧変換回路13は、スイッチSW1〜SW3、および静電容量素子C1からなり、積分回路14は、オペアンプAMP2、ならびに静電容量素子C2から構成されている。
【0073】
基準電圧発生回路10は、図3の左側上段に示すような温度特性を有した基準電圧VREFI、および図3右側に示すように電源、温度依存性のない基準電圧VREFCをそれぞれを生成する。
【0074】
この基準電圧発生回路10において、バンドギャップリファレンス回路BGRは、基準電圧源として、温度変化に対する電圧変化の小さい電圧を発生する回路であり、ここでは、正の1次の温度依存性をもつ電流Iptatを生成する。なお、温度変化に対する電圧変化は、たとえば、温度変化にたするMOSトランジスタの飽和電流の変化に比べて少ない。
【0075】
このバンドギャップリファレンス回路BGRの出力部には、抵抗R1の一方の接続部が接続されている。この抵抗R1で発生した電圧が基準電圧VREFIであり、電流出力回路11に出力される。
【0076】
抵抗R1の他方の接続部には、トランジスタQ1のコレクタとベース、および抵抗R3の一方の接続部がそれぞれ接続されている。トランジスタQ1のエミッタには、抵抗R2の一方の接続部が接続されており、該抵抗R2の他方の接続部には、基準電位VSSが接続されている。
【0077】
抵抗R3の他方の接続部には、抵抗R4の一方の接続部が接続されており、該抵抗R4の他方の接続部には、基準電位VSSが接続されている。そして、抵抗R3と抵抗R4との接続部において発生した電圧が基準電圧VREFCとして積分回路14に出力されている。
【0078】
また、電流出力回路11は、図3の左側下段に示すような電源、温度依存性の小さい電流Irefを生成する。この定電流Irefは、オペアンプAMP1によるボルテージフォロア回路で、図3左側中段に示すような温度依存性を有した抵抗Roscに基準電圧VREFIをかけて生成する。このとき、抵抗Roscの温度依存性をキャンセルするよう、基準電圧発生回路10において、基準電圧VREFIに温度特性をもたせている。
【0079】
オペアンプAMP1の負(−)側入力端子には、基準電圧VREFIが入力されるように接続されており、該オペアンプAMP1の出力部には、トランジスタT1,T2のゲートがそれぞれ接続されている。
【0080】
これらトランジスタT1,T2のソースには、電源電圧VDDが供給されるように接続されており、トランジスタT1のドレインには、オペアンプAMP1の正(+)側入力端子、ならびに抵抗Roscの一方の接続部がそれぞれ接続されている。
【0081】
抵抗Roscの他方の接続部には、基準電位VSSが接続されている。そして、トランジスタT2の他方の接続部から電流Iconstが出力され、トランジスタT2のドレインから周波数電圧変換回路13のスイッチSW1に電圧VNDDが供給される。
【0082】
周波数電圧変換回路13は、電流出力回路11から出力される電流Iconst(M・Iref)、静電容量素子C1の容量と電圧制御発振回路15から出力されるクロック信号CKOUTから、制御回路12において生成された制御信号ZCHRに基づいて、電圧VSIGを生成する。この制御信号ZCHRは、クロック信号CKOUTの周期と同じパルス幅をもつ信号である。
【0083】
この周波数電圧変換回路13において、スイッチSW1の一方の接続部には、電圧VNDDが供給されるように接続されており、該スイッチSW1の他方の接続部には、スイッチSW2の一方の接続部、スイッチSW3の一方の接続部、ならびに静電容量素子C1の一方の接続部がそれぞれ接続されている。また、スイッチSW2の他方の接続部と静電容量素子C1の他方の接続部には、基準電位VSSが接続されている。
【0084】
スイッチSW1は、制御回路12から出力される制御信号ZCHRに基づいて、ON/OFF(導通/非導通)が制御され、スイッチSW2は、制御回路12から出力される制御信号DISCに基づいて、ON/OFF(導通/非導通)が制御され、スイッチSW3は、同じく制御回路12から出力される制御信号SAMPに基づいて、ON/OFF(導通/非導通)が制御される。
【0085】
積分回路14は、たとえば、並列型スイッチドキャパシタ積分回路からなり、電圧VSIGをサンプリングする。この積分回路14は、電源、温度依存性の小さい基準電圧VREFCと周波数電圧変換回路13から出力される電圧VSIGが等しくなるように制御電圧VCNTを生成する。
【0086】
オペアンプAMP2の負(−)側入力端子、および静電容量素子C2の一方の接続部には、スイッチSW3の他方の接続部から出力される電圧VSIGが入力されるように接続されている。
【0087】
オペアンプAMP2の正(+)側入力端子には、基準電圧VREFCが入力されるように接続されており、該オペアンプAMP2の出力部には、静電容量素子C2の他方の接続部が接続されており、制御電圧VCNTとして、電圧制御発振回路15へ出力されている。
【0088】
電圧制御発振回路15は入力された制御電圧VCNTに基づいて、クロック信号CKOUTが所望の周波数となるように調整して出力する。また、電圧制御発振回路15が生成したクロック信号CKOUTは、制御回路12にも入力されるように接続されている。
【0089】
ここで、クロック発振回路2において生成されるクロック信号CKOUTの発振周期Tckoutは、電流出力回路11が生成した基準電流Iconst(M・Iref)で周波数電圧変換回路13の静電容量素子C1の容量の両端電圧を0Vから電圧VREFCまでチャージする時間で決まり、次式のように表すことができる。
【0090】
【数3】

【0091】
クロック発振回路2が温度、電源依存性をもたないクロック信号CKOUTを出力するためには、静電容量素子C1、抵抗Roscの温度依存性をキャンセルする仕組みが必要である。
【0092】
そこで、静電容量素子C1、抵抗Roscの温度依存性をキャンセルする基準電圧を発生するのが、基準電圧発生回路10である。式(1)に示すように、基準電圧VREFIは、静電容量素子C1と抵抗Roscとの積による温度依存性をキャンセルする温度特性を持つ電圧であり、基準電圧VREFCは、温度に依存しない電圧である必要がある。
【0093】
また、温度トリミングは、クロック信号ckoutの出力周波数を観測することで行い、室温、高温で実施するのが一般的である。2点の温度で観測した発振周波数が一致するよう基準電圧VREFIの電圧値の切り替えを行い、周波数が一致する制御信号をメモリ4に予め書き込み、記憶しておく。
【0094】
次に、クロック発振回路2がクロック信号CKOUTを所望する周波数に調整する過程について、図4〜図6を用いて説明する。
【0095】
図4は、クロック信号CKOUTの発振周波数が目標の周波数より速い場合の一例を示すタイミングチャートであり、図5は、クロック信号CKOUTの発振周波数が目標の周波数より遅い場合の一例を示すタイミングチャートであり、図6は、クロック信号CKOUTの発振周波数と目標の周波数とが一致している場合の一例を示すタイミングチャートである。
【0096】
また、図4〜図6においては、上方から下方にかけて、クロック信号CKOUT、制御回路12から出力される制御信号ZCHR、制御回路12から出力される制御信号DISC、制御回路12から出力される制御信号SAMP、周波数電圧変換回路13が生成した電圧VSIGと基準電圧発生回路10が生成した基準電圧VREFC、および積分回路14が生成した制御電圧VCNTの信号タイミングをそれぞれ示している。
【0097】
クロック発振回路2において生成されるクロックの発振周期Tckoutは、電流出力回路11が生成した基準電流Iconst(M・Iref)で周波数電圧変換回路13の静電容量素子C1における両端電圧を0Vから基準電圧VREFCまでチャージする時間で決まる。
【0098】
クロック信号CKOUTの周波数が、目標となる周波数より速い場合、図4に示すように、発振周期Tckoutの期間において、基準電流Iconstで静電容量素子C1をチャージすることによって発生した該静電容量素子C1の両端に発生する電圧VSIGは、基準電圧VREFCより低い電圧値となる。
【0099】
周波数電圧変換回路13から出力される電圧VSIGと基準電圧VREFCの2つの電圧の比較器の役割を担う積分回路14は、サンプリング期間(SAMP=Hi)に仮想接地の差動入力間(基準電圧VREFCと電圧VSIG)が等しくなるように、静電容量素子C1と静電容量素子C2の間でチャージシェアが発生する。
【0100】
クロック信号CKOUTの周波数が速い場合、静電容量素子C2から静電容量素子C1へと電荷が移動し、電圧制御発振回路15に入力される制御電圧VCNTが上昇する(図7に電圧制御発振回路のVF特性の一例を示す)。電圧制御発振回路15は、制御電圧VCNTに対して負特性を持っているため発振周波数が遅くなる。
【0101】
逆に、クロック信号CKOUTの発振周波数が目標の周波数より遅い場合には、図5に示すように、発振周期Tckout期間にて、静電容量素子C1をチャージした結果、電圧VSIGは、基準電圧VREFCより高い電圧値となる。
【0102】
静電容量素子C1と静電容量素子C2のチャージシェアの結果、静電容量素子C1から静電容量素子C2へと電荷が移動し、制御電圧VCNTが下降する。その結果、クロック信号CKOUTの発振周波数は速くなる。
【0103】
続いて、クロック信号CKOUTの発振周波数と目標となる周波数とが一致している場合には、図6に示すように、電圧VSIGと基準電圧VREFCがチャージ後に等しいため、静電容量素子C1と静電容量素子C2間に電荷の移動は発生せず、周波数ロック状態となり、安定した動作を得ることができる。
【0104】
図8は、本発明者が検討した電流出力回路11の一例を示す説明図である。
【0105】
一般に、半導体装置に設けられたオシレータは、電流回路におけるカレントミラー比を切り替えて定電流値を変化させることで周波数切り替えを実現している。
【0106】
この場合、電流出力回路11は、図示するように、オペアンプAMP3、MOSトランジスタMB1,MB2、MOSトランジスタM0〜M3、抵抗R、およびスイッチS1〜S6から構成されている。トランジスタMB1,MB2,M0〜M3は、PチャネルMOSからなる。
【0107】
オペアンプAMP3の負(−)側入力端子には、基準電圧VREFIが入力されており、MOSトランジスタMB1,MB2,M0〜M3のゲートには、オペアンプAMP3の出力部がそれぞれ接続されている。
【0108】
スイッチS1〜S6は、たとえば、PチャネルMOSのトランジスタなどからなる。これらスイッチS1〜S6の一方の接続部には、電源電圧VDDがそれぞれ接続されており、これらスイッチS1〜S6の他方の接続部には、トランジスタMB1,MB2,M0〜M3の一方の接続部がそれぞれ接続されている。
【0109】
該トランジスタMB1の他方の接続部には、抵抗Rの一方の接続部、およびオペアンプAMP3の正(+)側入力端子がそれぞれ接続されている。抵抗Rの他方の接続部には、基準電位VSSが接続されている。
【0110】
トランジスタMB2,M0〜M3の他方の接続部は、それぞれ共通接続されており、スイッチS3〜S6の制御端子には、周波数調整制御信号SELI0〜SELI3がそれぞれ入力されるように接続されている。
【0111】
また、図9は、図8の変形例であり、電流出力回路11は、オペアンプAMP3、トランジスタMB1,MB2、トランジスタM0〜M3、抵抗R、およびスイッチS1〜S6からなる図8の構成に、トランジスタM1−1,M2−1〜M2−3,M3−1〜M3−7、およびスイッチS4−1,S5−1〜S5−3,S6−1〜S6−7が追加された構成となっている。トランジスタM1−1,M2−1〜M2−3,M3−1〜M3−7は、PチャネルMOSからなる。
【0112】
スイッチS4−1の制御端子には、周波数調整制御信号SELI1が入力されるように接続されており、スイッチS5−1〜S5−3には、周波数調整制御信号SELI2が入力されるようにそれぞれ接続されている。
【0113】
また、スイッチS6−1〜S6−7には、周波数調整制御信号SELI3が入力されるようにそれぞれ接続されている。スイッチS4−1,S5−1〜S5−3,S6−1〜S6−7の一方の接続部には、電源電圧VDDが接続されている。
【0114】
スイッチS4−1,S5−1〜S5−3,S6−1〜S6−7の他方の接続部には、トランジスタM1−1,M2−1〜M2−3,M3−1〜M3−7の一方の接続部がそれぞれ接続されており、これらトランジスタM1−1,M2−1〜M2−3,M3−1〜M3−7の他方の接続部は、共通接続された構成となっている。また、その他の接続構成については、図8の電流出力回路11と同様となっている。
【0115】
この場合、基準電圧発生回路10が生成した基準電圧VREFIをボルテージフォロア回路の入力電圧とし、トランジスタMB1と抵抗Rとの接続部(ノードVFBCK)を基準電圧VREFIの電圧レベルとし、定電流Iref=VREFI/Rを生成する。
【0116】
そして、生成した電流をトランジスタM0〜M3で構成するカレントミラー回路で電流Iconstを切り替えることにより、周波数を変える。
【0117】
電流Iconstを大きくすれば発振周波数は速くなり、逆に電流Iconstを小さくすると発振周波数は遅くなる。ミラー比は、図8に示すようにトランジスタM0〜M3のゲート幅Wのサイズで切り替える、もしくは図9に示すように単位デバイスの接続数で切り替える。このとき、ミラー比は2の重み付けすると制御の便利性がよいが、かならずしも2の重み付けである必要はない。
【0118】
また、図8では、スイッチS1〜S6を電源電圧VDDとトランジスタMB1,MB2,M0〜M3の一方の接続部との間に接続した構成としたが、たとえば、図10に示すように、スイッチS2〜S6の一方の接続部をトランジスタMB2,M0〜M3の他方の接続部に接続し、該スイッチS2〜S6の他方の接続部を共通接続する構成としてもよい。その他の接続構成については、図8と同様である。
【0119】
また、図9においても、スイッチS1〜S6,S4−1,S5−1〜S5−3,S6−1〜S6−7が、電源電圧VDDとトランジスタMB1,MB2,M0〜M3,トランジスタM1−1,M2−1〜M2−3,M3−1〜M3−7の一方の接続部との間にそれぞれ接続される構成としたが、図11に示すように、スイッチS2〜S6,S4−1,S5−1〜S5−3,S6−1〜S6−7の一方の接続部をトランジスタMB2,M0〜M3,トランジスタM1−1,M2−1〜M2−3,M3−1〜M3−7の他方の接続部にそれぞれ接続し、該スイッチS2〜S6、S4−1,S5−1〜S5−3,S6−1〜S6−7の他方の接続部を共通接続する構成としてもよい。その他の接続構成については、図9と同様である。
【0120】
ここで、通常のカレントミラー比による定電流値の切り替えによる周波数切り替えは、周波数調整制御信号SELI毎に使用するデバイスが異なるため、デバイスの製造ばらつきの影響を避けることができない。それにより、周波数調整制御信号SELIによって周波数精度が変わってしまう可能性がある。
【0121】
ばらつきの影響を低減する手段は、トランジスタのサイズを大きくすること、しきい値電圧の影響が周波数精度に影響ないレベルまでオーバドライブ電圧Vgs−Vthをかけることがなどが挙げられる。
【0122】
しかしながら、トランジスタサイズを大きくした場合は小面積化、オーバドライブ電圧をかける場合には低電圧化(低消費電力)とのトレードオフの関係にある。
【0123】
【数4】

【0124】
この問題を解決する技術としては、たとえば、周波数電圧変換回路13に設けられた静電容量素子による周波数切り替えがある。
【0125】
静電容量素子による周波数切り替えは、カレントミラー比による電流切り替えのようにトランジスタのしきい値電圧のばらつきなどがなく素子間のペア精度が比較的良い。このため設計が容易であり、ポリシリコン容量など、ばらつきが小さい静電容量素子を選択することで、周波数調整制御信号SELI毎に周波数精度が異なることをなくすことができる。ここで、図1のうち、クロック発振回路2について、具体的な構成を図45に示す。
【0126】
しかしながら、静電容量素子の切り替えを実現するためには、周波数精度に非常にセンシティブな周波数電圧変換回路13の電圧VSIGノードへ回路を付加する必要があり、式(2)にある寄生容量Cp2を最小限に抑える回路構成が必要となる。
【0127】
図12は、静電容量素子による周波数切り替え機能を有した周波数電圧変換回路13の一例を示す説明図である。
【0128】
この場合、周波数電圧変換回路13は、図示するように、スイッチSW1,SW2から構成されるスイッチ部、静電容量素子C,C10〜C13、および容量選択部を構成するスイッチCSW0〜CSW3から構成されている。ここで、静電容量素子C10〜C13は、順に2の重み付けがされた容量値となっている。
【0129】
スイッチSW1の一方の接続部には、電流出力回路11の出力端子が接続されており、該スイッチSW1の他方の接続部には、スイッチSW2の一方の接続部、静電容量素子Cの一方の接続部、スイッチCSW0〜CSW3の一方の接続部がそれぞれ接続されている。
【0130】
また、スイッチCSW0〜CSW3の他方の接続部には、静電容量素子C10〜C13の一方の接続部がそれぞれ接続されている。スイッチSW2の他方の接続部、静電容量素子C,C10〜C13の他方の接続部には、基準電位VSSがそれぞれ接続されている。
【0131】
スイッチSW1の制御端子には、制御信号ZCHRが入力されるように接続されており、スイッチSW2の制御端子には、制御信号DISCが入力されるように接続されている。また、スイッチCSW0〜CSW3の制御端子には、4ビットの周波数調整制御信号SELC0〜SELC3がそれぞれ入力されるように接続されている。
【0132】
スイッチSW1,SW2により構成されるスイッチ部は、電流出力回路11から供給される電流Iconstを用いて容量のチャージ、ディスチャージを行なう。制御回路12から出力される制御信号ZCHRは、チャージ用信号であり、制御回路12から出力される制御信号DISCは、ディスチャージ用信号である。
【0133】
図13は、静電容量素子による周波数切り替え機能を有した周波数電圧変換回路13の他の例を示す説明図である。
【0134】
この場合、周波数電圧変換回路13は、図示するように、スイッチSW1,SW2から構成されるスイッチ部、静電容量素子C,C10〜C13、およびスイッチCSW0〜CSW3からなる図12の構成に、静電容量素子C11−1,C12−1〜C12−3,C13−1〜C13−7、ならびにスイッチCSW1−1,CSW2−1〜CSW2−3,CSW3−1〜CSW3−7か追加された構成となっている。ここで、静電容量素子C10〜C13,C11−1、C12−1〜C12−3,C13−1〜C13−7の容量値は等しい。
【0135】
スイッチCSW1−1,CSW2−1〜CSW2−3,CSW3−1〜CSW3−7の一方の接続部は、スイッチSW1とスイッチSW2の接続部にそれぞれ接続されている。スイッチCSW1−1,CSW2−1〜CSW2−3,CSW3−1〜CSW3−7の他方の接続部には、静電容量素子C11−1,C12−1〜C12−3,C13−1〜C13−7の一方の接続部がそれぞれ接続されており、該静電容量素子C11−1,C12−1〜C12−3,C13−1〜C13−7の他方の接続部には、基準電位VSSがそれぞれ接続されている。
【0136】
また、スイッチCSW1−1の制御端子は、周波数調整制御信号SELC1が入力されるように接続されており、スイッチCSW2−1〜CSW2−3の制御端子には、周波数調整制御信号SELC2が入力されるようにそれぞれ接続されている。
【0137】
スイッチCSW3−1〜CSW3−7の制御端子には、周波数調整制御信号SELC3が入力されるようにそれぞれ接続されている。その他の接続構成については、図12と同様である。このとき、各容量間の容量比は2の重み付けすると制御の利便性がよいが、かならずしも2の重み付けである必要はなく同じ容量値であっても良く適宜重み付けをしても良い。
【0138】
図14は、図12の周波数電圧変換回路13の動作の一例を示すタイミングチャートである。
【0139】
制御信号ZCHRは、制御回路12において、クロック信号CKOUTを2分周することで生成し、その幅Lは、クロック信号CKOUTの周期に等しい。また、制御信号DISCは、チャージ時間に影響を与えないタイミングで、電圧VSIGを基準電位VSSと等しくして、静電容量素子C,C10〜C13の電荷をディスチャージする。
【0140】
なお、図14では、クロック信号CKOUTの4サイクルに1回、制御を実施した場合を例としているが、2クロック信号CKOUTの2サイクルに1回制御をかけてもよく、また、4サイクル以上であっても周波数電圧変換回路13の動作に影響を与えるものではない。
【0141】
クロック発振回路2は、周波数電圧変換回路13において、式(5)に示されるように出力電圧VSIGが基準電圧VREFCと等しくなるよう負帰還制御を行う。高い周波数精度を実現するためにはチャージ動作における電源、温度依存性がなく、非線形成分を作りこまないことが必要である。
【0142】
【数5】

【0143】
図12、および図13に示した回路構成では静電容量素子のプラス電極(以下、チャージ後の電圧レベルが高い側の電極をプラス電極という)側にスイッチCSW0〜CSW3を設け、静電容量素子C10〜C13をそれぞれ制御する。
【0144】
静電容量素子C10〜C13は、容量の絶対値(図12)もしくは単位容量の接続数が異なるもの(図13)で構成され、設計者が意図する周波数範囲をカバーするよう設ける。ばらつきを考慮すると単位容量数で重み付けするのがよく、制御の便利性で考えると2の重み付けするとよい。
【0145】
静電容量素子を選択するスイッチCSWは、たとえば、図15に示すように、NチャネルMOSトランジスタで構成したり、あるいは、図16に示すように、NチャネルMOSのトランジスタとPチャネルMOSのトランジスタとを並列接続する構成とする。
【0146】
また、基準電圧VREFCの設定レベルには、制限があり高いレベルに設定できないためスイッチとなるトランジスタに十分なバイアスをかけることができず、チャージ動作とともにソース電圧が変化することでON抵抗が高くなり、式(5)にON抵抗と容量による非線形性が発生するため、PチャネルMOSトランジスタをスイッチとして適用するメリットは少ない。
【0147】
NチャネルMOSのトランジスタでスイッチを構成する場合も、図14に示すように、PチャネルMOSトランジスタによるスイッチと同様、チャージとともにソース電圧が上昇するためチャージ期間において一定のON抵抗とすることができず容量の電圧上昇に非線形成分を発生してしまう。
【0148】
よって、NチャネルMOSトランジスタによるスイッチのON抵抗が影響しない低電圧レベルで基準電圧VREFCを設定するという制限付きであれば、NチャネルMOSによるスイッチで容量による周波数切り替えが実現できる。
【0149】
また、出力電圧VSIGに、NチャネルMOSトランジスタによるスイッチの寄生容量Cp2が発生するため、図12の回路構成では、寄生容量Cp2が影響しないよう大きい容量とすることが望ましい。
【0150】
図17は、静電容量素子のマイナス電極(以下、チャージ後の電圧レベルが低い側の電極をマイナス電極という)側にNチャネルMOSからなるスイッチCSW0〜CSW3を設けた周波数電圧変換回路13の一例を示す説明図である。
【0151】
また、図18は、静電容量素子のマイナス電極側にNチャネルMOSからなるスイッチCSW0〜CSW3,CSW1−1,CSW2−1〜CSW2−3,CSW3−1〜CSW3−7を設けた周波数電圧変換回路13の一例を示す説明図である。
【0152】
図19は、図17の周波数電圧変換回路13におけるノードVxの動作波形の一例を示したタイミングチャートである。
【0153】
図17に示すように、静電容量素子C,C1〜C4のマイナス電極側にスイッチCSW0〜CSW3を設けることにより、チャージ期間のON抵抗を一定(ゲート−ソース間電圧一定)にすることができ、チャージ動作の非線形性を改善することができる。
【0154】
しかし、静電容量素子C,C1〜C4のマイナス電極側にスイッチCSW0〜CSW3を設けたことで、図19に示すように、非選択時に図17に示したノードVxは不定となり、スイッチCSW0〜CSW3を介したリーク電流によりVx電位が上昇して周波数精度へ影響をおよぼす。
【0155】
ここでは、図17の回路構成について述べたが、図18の回路構成であっても同様に、ノードVxが不定となり、スイッチCSW0〜CSW4−7を介したリーク電流によりVx電位が上昇して周波数精度へ影響をおよぼす。
【0156】
図20は、不定となるノードVxを基準電位VSSレベルへリセットする機能を有した周波数電圧変換回路13の一例を示す説明図である。
【0157】
この場合、周波数電圧変換回路13は、図示するように、図17の回路構成に、否定論理積回路NAND1〜NAND4、およびインバータIv1〜Iv4からなるリセット部が新たに追加された構成となっている。
【0158】
インバータIv1〜Iv4の入力部には、周波数調整制御信号SELC0〜SELC3がそれぞれ入力されるように接続されている。インバータIv1〜Iv4の出力部には、否定論理積回路NAND1〜NAND4の一方の入力部がそれぞれ接続されており、該否定論理積回路NAND1〜NAND4の他方の入力部には、制御回路12から出力されるリセット信号RSTがそれぞれ入力されるように接続されている。
【0159】
また、否定論理積回路NAND1〜NAND4の出力部には、スイッチCSW0〜CSW3の制御端子がそれぞれ接続されている。その他の接続構成については、図17と同様である。
【0160】
この図20の回路では、非選択の静電容量素子とスイッチ間の不定となるノードVxを1回の制御サイクルの間に基準電位VSSへ接続するリセット動作を実施し、ノードVxを以下の式(6)に示すように選択容量と不定ノードの寄生容量との分圧でレベルが決まるようにしたものである。
【0161】
【数6】

【0162】
リセット機能を導入するため、周波数電圧変換回路13には、リセット信号RSTが新たに入力される構成とした。
【0163】
また、図21は、図20の周波数電圧変換回路13の動作の一例を示すタイミングチャートである。
【0164】
図示するように、リセット信号RSTにLレベル信号が入力されると、不定となっているノードVxのスイッチ(CSW0〜CSW3)がONとなり、ノードVxが基準電位VSSの電圧レベルにリセットされている。リセット動作は、周波数精度への影響がないタイミングで実施される必要があり、容量のディスチャージ期間に実施されるのがよい。
【0165】
図20に示したリセット機能は、図22に示すように、図18に示した周波数電圧変換回路13にも適用することができる。この場合、周波数電圧変換回路13は、図18の回路構成に、否定論理積回路NAND1〜NAND4,NAND2−1,NAND3−1〜3−3,NAND4−1〜4−7、およびインバータIv1〜Iv4,Iv2−1,Iv3−1〜Iv3−3,Iv4−1〜Iv4−7が新たに追加された構成となる。
【0166】
図23は、図20の周波数電圧変換回路13を制御する制御回路12の一例を示す説明図である。また、図24は、図23の制御回路における各部信号のタイミングチャートである。
【0167】
制御回路12は、図23に示すように、インバータIv5〜Iv21、否定論理積回路NAND5〜NAND8、フリップフロップFF1〜FF4から構成されている。制御回路12は、図23に示すように、クロック信号CKOUTの周波数精度を決定するチャージ信号である制御信号ZCHRを、該クロック信号CKOUTの立ち上りエッジのみを使用することで精度よく制御信号に出力周期の情報をもたせ、周波数電圧変換動作を実現している。また、リセット信号RSTは、ディスチャージ信号である制御信号DISCを用いて生成されている。
【0168】
図25は、図20の周波数電圧変換回路13の他の回路構成を示した説明図である。また、図26は、周波数電圧変換回路13と積分回路14の接続の一例を示した説明図である。
【0169】
この場合、周波数電圧変換回路13は、図20に示す回路に、スイッチCSW10〜CSW13、静電容量素子C14〜C17、およびインバータIv22〜IV25から構成されている。
【0170】
積分回路14は、図26に示すように、制御信号SAMPによって制御されるサンプリングスイッチとなるスイッチSW3を介して接続されており、並列型スイッチドキャパシタ積分回路を構成している。
【0171】
スイッチSW3は、図27に示すように、インバータIv24、静電容量素子C18,C19、ならびにNチャネルMOSのトランジスタTSW1から構成される。
【0172】
よって、周波数電圧変換回路13から出力される電圧VSIGは、チャージが完了した後、積分回路14にそのノードが接続されるまで電圧をホールドする必要がある。
【0173】
前述した図20に示す回路構成では、ホールド期間に選択されていないトランジスタ(CSW0〜CSW3)のドレイン−ソース間に式(6)で示す電圧がかかってしまうため微小ながらサブスレッショルドリークを発生してしまい、出力周波数にわずかながら温度依存性が発生してしまう。
【0174】
しかし、図25の回路構成では、選択スイッチとなるトランジスタをNチャルMOSを直列接続した2段の構成とすることでそのリーク電流を抑えている工夫をしている。更に、直列接続されたMOSトランジスタの接続部を、MOS容量を介してインバータの出力に接続することにより、非選択時にHiレベルとなる。これにより、リーク電流が抑えられるようにMOSトランジスタの端子電位の制御することができる。
【0175】
また、図28は、図22の周波数電圧変換回路13の他の回路構成を示した説明図である。
【0176】
図28の周波数電圧変換回路13は、図22の回路構成に、インバータIv23−1,Iv24−1〜Iv24−3,Iv25−1〜Iv25−7,Iv22,Iv23,Iv23−1,Iv24,Iv24−1,Iv24−3,Iv25、スイッチCSW10,CSW11,CSW11−1,CSW12,CSW12−1〜CSW12−3,CSW13,CSW13−1〜CSW13−7、静電容量素子C14,C15、C15−1,C16,C16−1〜C16−3,C17,C17−1〜C17−7から構成されている。
【0177】
この場合も図25と同様に、選択スイッチとなるトランジスタをNチャネルMOSを直列接続した2段の構成とし、リーク電流を抑えている。
【0178】
式(2)に示すように周波数電圧変換回路13から出力される電圧VSIGにおける寄生容量Cpxは、周波数精度へ影響を与える。
【0179】
たとえば、図20に示すように、非選択の静電容量素子(C1〜C4)とスイッチCSW間の寄生容量Cpxは切り替え容量Cxとの並列容量として電圧VSIGに見えてくる。
【0180】
【数7】

【0181】
よって、寄生容量Cpxを最小限に抑える必要がある。図29は、図28の周波数電圧変換回路13における寄生容量Cpxを最小限に抑えるレイアウトの一例を示した説明図である。
【0182】
図示するように、制御単位容量となる静電容量素子C1〜C4,C2−1,C3−1〜C3−3,C4−1〜C4−7とコントロール部(図28の点線で囲んだ回路構成)CNTとの配線H1〜H4を最短にそれぞれ接続して寄生容量を抑える。リセット信号がファンクション毎に変化するためコントロール部CNTは、静電容量素子の上方、もしくは下方に配置して、静電容量素子とのクロストークを避ける配置を行う。
【0183】
それにより、本実施の形態1によれば、周波数電圧変換回路13における容量ノード112を接続される静電容量素子数を変更することができるので、クロック発振回路2は、高精度な目標周波数のクロック信号を生成することができる。
【0184】
(実施の形態2)
前記実施の形態1では、周波数切り替えを静電容量素子の値や静電容量素子の数を変化させることで、高精度に目標周波数となるようにクロック信号を調整する技術について説明したが、本実施の形態2では、電流切り替え方式によってクロック信号の目標周波数を調整する技術に述べる。
【0185】
周波数切り替えを、従来の電流切り替え方式により行う方法では、精度の高い周波数のクロック信号を得られなかったが、電流切り替えの方式に改善を加えることで、従来より高い精度の周波数のクロック信号を得ることも可能である。
【0186】
本実施の形態では、電流切り替え方式(トランジスのサイズや数を変えるもの)について説明する。
【0187】
図30は、本実施の形態2による電流発生回路の詳細な回路構成を示した説明図、図31は、図30の電流発生回路に電流切り替え機能を持たせた際の一例を示す説明図、図32は、図31の電流発生回路の他の例を示す説明図、図33は、図2の周波数電圧変換回路のスイッチ部における詳細な構成を示す説明図、図34は、図30の電流発生回路が接続される周波数電圧変換回路における周波数電圧変換動作のタイミングチャート、図35は、電圧VNDDが変動した際の周波数電圧変換回路における周波数電圧変換動作のタイミングチャート、図36は、図33の周波数電圧変換回路の他の例を示した説明図、図37は、図36の周波数電圧変換回路に用いられるアナログスイッチの一例を示す説明図である。
【0188】
本実施の形態2において、図30は、電流出力回路11の詳細な回路構成を示した説明図である。
【0189】
電流出力回路11は、図示するように、オペアンプAMP1、PチャネルMOSのトランジスタMB10,MB20,MC10,MC20、ならびに抵抗R0から構成されている。
【0190】
オペアンプAMP1の負(−)側入力端子には、基準電圧VREFIが入力されるように接続されており、該オペアンプAMP1の出力部には、トランジスタMB10,MB20のゲートがそれぞれ接続されている。
【0191】
これらトランジスタMB10,MB20の一方の接続部には、電源電圧VDDが供給されるように接続されている。トランジスタMB10の他方の接続部には、トランジスタMC10の一方の接続部が接続されており、該トランジスタMC10の他方の接続部には、オペアンプAMP1の正(+)側入力端子、ならびに抵抗R0の一方の接続部がそれぞれ接続されている。抵抗R0の他方の接続部には、基準電位VSSが接続されている。
【0192】
トランジスタMB20の他方の接続部には、トランジスタMC20の一方の接続部が接続されている。これらトランジスタMC10,MC20のゲートには、バイアス電圧Biaspが供給されている。トランジスタMC20の他方の接続部には、周波数電圧変換回路13が接続されている。
【0193】
この電流出力回路11は、基準電圧発生回路10の基準電圧VREFIをボルテージフォロアして抵抗Rに基準電圧VREFIをかけ、電流Iref=VREFI/Rを生成する。
【0194】
このとき、基準電圧VREFIは、抵抗R0がもつ1次温度係数と同等の温度係数をもつよう、電流出力回路11が調整することにより、電流Irefを温度依存性を持たない電流とすることができる。
【0195】
電流Irefは、トランジスタMB10,MB20によりカレントミラーして周波数電圧変換回路13へ出力される。この場合、カスコード接続したトランジスタMC10,MC20を用いることにより、トランジスタMB10とトランジスタMB20のドレイン−ソース間電圧Vdsを同一とし、電流Iconstの電圧依存性をなくしている。
【0196】
図31は、図30の電流出力回路11に電流切り替え機能を持たせた際の一例を示す説明図である。この場合、図30の回路構成に、制御回路12の制御信号SELIによって動作するセレクタSELとトランジスタMB30,MC30が新たに設けられた構成となっており、カスコード接続を用いた実施例である。
【0197】
トランジスタMB30の一方の接続部には、電源電圧VDDが供給されており、該トランジスタMB30の他方の接続部には、トランジスタMC30の一方の接続部が接続されている。
【0198】
トランジスタMB30のゲートには、オペアンプAMP1の出力部が接続されており、およびMC30の他方の接続部には、トランジスタMC20の他方の接続部が接続されている。
【0199】
セレクタSELは、制御信号SELIに基づいて、トランジスタMC30のゲートに入力される信号が、電源電圧VDD、またはバイアス電圧Biaspのいずれかとなるように選択して出力する。
【0200】
また、図32は、図31の回路構成に、新たにオペアンプAMP4を追加した構成となっており、レギュレーテッドカスコード接続を用いた実施例である。オペアンプAMP4の出力には、トランジスタMC20のゲートが接続されている。このオペアンプAMP4の負(−)側入力端子には、トランジスタMB10とトランジスタMC10との接続部が接続されており、該オペアンプAMP4の正(+)側入力端子には、トランジスタMB20とトランジスタMC20との接続部が接続されている。
【0201】
図31、図32いずれの電流出力回路11においてもセレクタSELによってON/OFFが制御されるトランジスタをカスコード接続されたトランジスタMC30とすることで切り替えに伴う電流精度の劣化を防止する効果がある。これはカスコード接続せずにトランジスタMB30のゲートとオペアンプAMP1の間にセレクタSELを挿入する場合を考えてみると解りやすい。この場合、MB10のドレイン電圧は電圧VFBCK、MB20とMB30のドレイン電圧は電圧VNDDであり、トランジスタMB10、トランジスタMB20、トランジスタMB30のドレイン−ソース間電圧が異なるためカレントミラー回路を構成するトランジスタMB10,MB20とトランジスタMB30の間の電流比がトランジスタサイズに比例しなくなってしまう可能性がある。一方、カスコード接続したトランジスタMC30をセレクタSELによってON/OFFする場合はカスコード接続によりドレイン−ソース間電圧が等しくなるため、電流の精度を保って電流切り替え機能を実現できるという効果がある。
【0202】
電流出力回路11を、以上のような構成とすることにより、温度依存性のない定電流Iconstを生成することができる。
【0203】
次に、電流出力回路11からの定電流Iconstとチャージ信号である制御信号ZCHRを用いた周波数電圧変換動作をいかに精度よく行うかが技術課題となる。着目すべきは電流出力回路11の出力はPチャネルMOSデバイスによって構成されている点である。
【0204】
一般に、半導体装置に内蔵されるオシレータのように電源電圧の変動に対して高いアナログ精度を実現する必要がある場合、基準電位VSSレベルを基準として回路を動作させることが基本となる。
【0205】
しかしながら、電流発生回路のPMOSデバイスの基板は電源電圧VDDに給電されており、ドレイン、ソースと電源電圧VDD間には、拡散容量Cp1が存在する。よって、その拡散容量Cp1にチャージされる電荷量Cp1・ΔVNDDは、電源電圧VDDの依存性をもつこととなる。
【0206】
したがって周波数電圧変換回路は、周波数精度向上のため電圧VNDDが供給されるノードが電源によらず変動しない構成とする必要がある。
【0207】
図33は、電圧VNDDの変動を低減する一例であり、図2に示す周波数電圧変換回路13のスイッチ部における詳細な構成を示す説明図である。
【0208】
周波数電圧変換回路13のスイッチ部は、図示するように、スイッチSW1を構成するトランジスタMSW1,MSW2、インバータIv20と、スイッチSW2を構成するトランジスタMSW3,MSW4とからなる。
【0209】
トランジスタMSW1,MSW2は、制御信号ZCHRによって動作制御され、電流Iconstの流れを切り替えるカレントスイッチとして動作する。カレントスイッチの構成をとるのは、スイッチSW1がオフしているときに電流Iconstを流すパスが消失することで引き起こされる電圧VNDDの変動を防止するためである。このとき、トランジスタMSW1とトランジスタMSW2のサイズ、およびデバイス種は同一である。
【0210】
また、電圧VNDDを変動しないようにするためには、チャージ過程においてトランジスタMSW1を飽和動作させる必要がある。トランジスタMSW1の飽和動作の条件より、電圧VSIGの電圧レベル、つまり基準電圧VREFCのレベルに関する設計式(式(7))を立てることができる。
【0211】
【数8】

【0212】
ここで、Vthp_msw1は、トランジスタMSW1のしきい値電圧であり、Vov_msw1は電圧VNDDからVthp_msw1を引いた電圧であり、トランジスタMSW1のドレイン−ソース間電圧がVov_msw1より大きいことがトランジスタMSW1の飽和動作条件である。式(7)によると電圧VREFCをVthp_msw1より小さくすることにより結果的に電圧VSIGの電位と電圧VNDDの電位との電位差を確保することができ、トランジスタMSW1の飽和動作条件を満たすことが解る。このため本実施例では電圧VREFCをトランジスタMSW1のしきい値電圧Vthp_msw1より小さく設定することが重要である。
【0213】
図34は、周波数電圧変換回路13における周波数電圧変換動作のタイミングチャートであり、設計式(7)を満足した場合、トランジスタMSW1が飽和領域で動作し、電圧VNDDは、周波数電圧変換動作中一定電圧に保つことが可能となる。
【0214】
一方、図35は、設計式(7)を満足していない場合の波形を示している。図示するように、制御信号ZCHRによるチャージ動作の過程で、トランジスタMSW1が非飽和動作となり、電圧VSIGの上昇とともに、電圧VNDDの電圧レベルが変動してしまっている。その結果、電源、温度条件でΔQ=Cp1・ΔVNDDが変動するため周波数精度を悪化させる。
【0215】
また、図36は、図33の周波数電圧変換回路13の他の例を示した説明図である。
【0216】
図33の回路構成では、トランジスタMSW1,MSW2のゲートが、1(Hi)、0(Lo)のCMOSレベルが印加されていた。設計式(7)を満足すれば、トランジスタMSW1,MSW2のゲート電圧はCMOS信号である必要はなく、たとえば、バイアス信号biasnを、図37に示すようなアナログスイッチSWAによってトランジスタMSW1,MSW2に印加するようにしてもよい。
【0217】
それにより、本実施の形態2では、電流出力回路11がセレクタSELによってON/OFFが制御されるトランジスタをカスコード接続された構成とすることで、トランジスタの切り替え(電流切り替え)による電流精度の劣化を防止することが可能となり、温度依存性の少ない電流Iconstを生成し、周波数電圧変換回路13に供給することで、クロック発振回路2が高精度な目標周波数のクロック信号を生成することができる。
【0218】
(実施の形態3)
図38は、本発明の実施の形態3による電流発生回路の一例を示す説明図、図39は、図38の電流発生回路における他の例を示す説明図である。
【0219】
本実施の形態3において、図38は、リーク電流対策を施した2ビットの切り替え機能を有した電流出力回路11の一例を示す説明図である。
【0220】
図8、図9、図31、および図32に示したように、電流出力回路11が周波数切り替え機能を有するとき、式(2)に示す選択されていない電流源のサブスレッショルドリーク電流Ioffが周波数精度に対して問題となる。リーク電流は電源、温度の依存性が大きいため、ゲート長の長いデバイスサイズで設計するとともに回路として根本対策を実施する必要がある。
【0221】
この場合、電流出力回路11は、図示するように、図31の回路構成に、PチャネルMOSのトランジスタMB40,MC40,MS10,MS20、およびインバータIv21,Iv22を設けたから構成されている。
【0222】
この場合、周波数切り替え用電流源において、非選択時に電流を捨てるパスとなるトランジスタMS20を用意した。電流を捨てるパスのイネーブル信号は、制御回路12から出力される制御信号SELIの反転信号で行う。
【0223】
電流を基準電位VSSに捨てることで、図38のノードVzは、基準電位VSSレベルとなり、トランジスタMC40が逆バイアスされた状態となるため周波数電圧変換回路13へ流入するリーク電流を抑えることが可能となる。
【0224】
また、図39は、図38の電流出力回路11における他の例を示す説明図である。
【0225】
この場合、電流出力回路11は、図38の回路構成に、電流源is1,is2が設けられた構成となっている。トランジスタMS10,MS20の他方の接続部(ソース)に電流源is2をそれぞれ設けることにより、基準電位VSSに捨てる電流値をコントロールすることが可能となる。
【0226】
それにより、本実施の形態3によれば、電流出力回路11に設けたトランジスタMS20によって周波数電圧変換回路13へ流入するリーク電流を低減することができるので、より高精度な目標周波数のクロック信号を生成することができる。
【0227】
(実施の形態4)
図40は、本発明の実施の形態4による基準電圧発生回路の一例を示す説明図、図41は、図40の基準電圧発生回路の簡略図、図42は、図40の基準電圧発生回路の他の例を示す説明図である。
【0228】
本実施の形態4において、図40は、基準電圧VREFI,VREFCを3ビットの温度トリミング信号CNTL_VREFI[2:0],CNTL_VREFC[2:0]に基づいて生成する基準電圧発生回路10における詳細な構成の一例を示す説明図である。
【0229】
基準電圧発生回路10は、抵抗R11〜R18、抵抗R21〜R24、抵抗R31〜R38、スイッチSWT0〜SWT3、スイッチSWI0〜SWI7、スイッチSWC0〜SWC7、バイポーラ素子からなるトランジスタBip1、およびデコーダDEC1,DEC2から構成されている。
【0230】
抵抗R11〜R18は、直列接続されている。抵抗R18の他方の接続部と基準電位VSSとの間には、直列接続されたトランジスタBip1、抵抗R21〜R24と同じく直列接続された抵抗R31〜R38がそれぞれ並列接続されている。
【0231】
また、トランジスタBip1、および抵抗R21〜R24のそれぞれの接続部には、基準電圧発生回路10が生成したPTAT(Proportional To Absolute Temperature)電流である電流Iptatが供給されるように接続されている。
【0232】
抵抗R11〜R18のそれぞれの接続部には、スイッチSWI0〜SWI7の一方の接続部が接続されており、これらスイッチSWI0〜SWI7の他方の接続部は共通接続されて、基準電圧VREFIの出力部となる。
【0233】
抵抗R31〜R38のそれぞれ接続部には、スイッチSWC0〜SWC7の一方の接続部が接続されており、これらスイッチSWC0〜SWC7の他方の接続部は共通接続されて基準電圧VREFCの出力部となる。
【0234】
また、デコーダDEC1は、温度トリミング信号CNTL_VREFIをデコードし、任意のスイッチSWI0〜SWI7のいずれかをONさせる。デコーダDEC2は、温度トリミング信号CNTL_VREFCをデコードし、任意のスイッチSWC0〜SWC7のいずれかをONさせる。
【0235】
動作については、図41の簡略図を用いて説明する。温度依存性を持たない電圧VFLATは、式(8)のように示され、制御信号CNTL_KTを用いてトランジスタBip1のベース−エミッタ電圧Vbeの温度依存性を電流Iptatと抵抗R2の積がもつ温度依存性で相殺するよう調整することで実現する。
【0236】
基準電圧VREFCは、温度依存性を持たない電圧VFLATを式(9)のように抵抗分圧することで実現し、その出力レベルは、温度トリミング信号CNTL_VREFCによって制御する。
【0237】
基準電圧VREFIは、式(10)に示すように抵抗R1と電流Iptatの積で定電流発生回路の抵抗の温度特性をキャンセルするように温度トリミング信号VCNTL_VREFIによって出力レベルと温度特性を調整する。
【0238】
【数9】

【0239】
図40に示した回路の特徴は、バイポーラ素子のトランジスタBip1のエミッタに温度特性制御用途の直列接続された抵抗R21〜R24を接続している点である。バンドギャップリファレンス回路においても、同様の回路構成があるが、通常、バイポーラ素子のトランジスタBip1のコレクタに直列抵抗を接続するのが一般的である。これはバンドギャップリファレンス回路の出力電圧の温度依存性を正にも負にもコントロールする必要があるためである。
【0240】
しかし、トランジスタBip1のコレクタに接続するためシャントスイッチに用いるトランジスタの基板バイアス効果でそのON抵抗が大きくなり、周波数変動±1%に抑える必要がある半導体装置に内蔵されるオシレータでは、このON抵抗の温度依存性は無視できない。
【0241】
クロック発振回路2では、電圧VFLAT(図40)において、正負の温度依存性のコントロールは不要であるため、トランジスタBip1のエミッタ側に抵抗R21〜R24を接続する構成をとり、基板バイアス効果の対策をはかり、ON抵抗が周波数精度へ影響でないようにしている。
【0242】
以上の動作により同一の生成パスで温度依存性をもった基準電圧VREFIと温度依存性を持たない基準電圧VREFCの生成を実現している。
【0243】
また、図42は、図40の基準電圧発生回路10の他の例を示す説明図である。
【0244】
基準電圧発生回路10は、図40の回路構成にオペアンプAMP5、およびPチャネルMOSのトランジスタTMOS1が新たに追加されている。図40に示した回路構成では、電圧VFLATを分圧して出力するため、電圧VFLAT以上の電圧レベルを生成することができない。
【0245】
そこで、図42に示すように、電圧VFLATをオペアンプAMP5によるボルテージフォロア回路にて、直列接続された抵抗R31〜R38の中点に接続する構成としている。これにより電源、温度依存性のない電圧VFLAT以上の電圧レベルを生成することが可能となる。
【0246】
本実施の形態4では、トランジスタBip1のエミッタ側に抵抗R21〜R24を接続した構成とすることにより、トランジスタBip1のON抵抗を低減することができるので、クロック発振回路2における周波数変動を低減することができる。
【0247】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。また、本発明に示された複数の実施の形態を、相互に組み合わせて実施することも可能である。
【0248】
前記実施の形態では、クロック発振回路2が、基準電圧発生回路10、電流出力回路11、制御回路12、周波数電圧変換回路13、積分回路14、ならびに電圧制御発振回路15によって構成された例を示したが、たとえば、図43に示すように、制御回路12と電圧制御発振回路15との間に分周器16を新たに設けた構成としてもよい。
【0249】
分周器16を設けたことにより、クロック発振回路2の制御は、分周したクロック信号CKOUTの周期に対して実施されることになり、回路動作の周波数を高周波化することなく、クロック信号CKOUTの高周波化を実現することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0250】
本発明は、動作クロックを内部生成する発振回路を備えた半導体装置における高精度なクロック信号の生成技術に適している。
【符号の説明】
【0251】
1 半導体装置
2 クロック発振回路
3 レジスタ
4 メモリ
5 分周回路
6 CPU
7 A/D変換器
8 タイマ
9 周辺回路
10 基準電圧発生回路
11 電流出力回路
12 制御回路
13 周波数電圧変換回路
14 積分回路
15 電圧制御発振回路
16 分周器
18 発振回路
19 内部回路
100 電源端子
111 クロック設定部
112 容量ノード
113 静電容量素子部
114 静電容量素子部
115 容量選択スイッチ
120 基準電圧ノード
121 チャージスイッチ
122 ディスチャージスイッチ
125 出力ノード
1011 電流発生回路
BGR バンドギャップリファレンス回路
Rosc 抵抗
R0 抵抗
R 抵抗
R1〜R4 抵抗
R11〜R18 抵抗
R21〜R24 抵抗
R31〜R38 抵抗
Q1 トランジスタ
T1,T2トランジスタ
MB1,MB2 トランジスタ
M0〜M3 トランジスタ
MB10 トランジスタ
MB20 トランジスタ
MB30 トランジスタ
MB40 トランジスタ
MC10 トランジスタ
MC20 トランジスタ
MC30 トランジスタ
MC40 トランジスタ
TSW1 トランジスタ
TMOS1 トランジスタ
MSW1〜MSW4 トランジスタ
Bip1 トランジスタ
AMP1〜AMP5 オペアンプ
SW1〜SW3 スイッチ
CSW0〜CSW3 スイッチ
CSW10〜CSW13 スイッチ
SWT0〜SWT3 スイッチ
SWI0〜SWI7 スイッチ
SWC0〜SWC7 スイッチ
SWA アナログスイッチ
C 静電容量素子
C1,C2 静電容量素子
C10〜C19 静電容量素子
NAND1〜NAND8 否定論理積回路
Iv1〜Iv25 インバータ
FF1〜FF4 フリップフロップ
H1〜H4 配線
CNT コントロール部
DEC1,DEC2 デコーダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部からの電源電圧が供給される電源端子と、
クロック信号を出力するクロック発振回路と、
前記クロック信号に基づいて生成される動作周波数に応じて動作する内部回路とを有し、
前記クロック発振回路は、
前記電源電圧および温度に対する出力電流の依存性を調整できる電流出力回路と、
前記出力電流を受ける容量ノードに並列に接続可能な複数の静電容量素子を有し、接続される前記複数の静電容量素子の数を変更することにより、前記クロック信号の周波数が変更される周波数電圧変換回路と、を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置において、
前記容量ノードに接続される容量の数を設定するクロック設定信号を生成するクロック設定部を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項2記載の半導体装置において、
前記周波数電圧変換回路の出力電圧に基づいて周波数が設定される前記クロック信号を出力する発振回路を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項3記載の半導体装置において、
前記周波数電圧変換回路は、
前記電流出力回路からの前記出力電流により前記静電容量素子に電荷を注入するチャージスイッチと、前記静電容量素子から電荷を引き抜くディスチャージスイッチとを有することを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項4記載の半導体装置において、
前記チャージスイッチおよび前記ディスチャージスイッチを、前記クロック信号に応じて制御する制御回路を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記複数の静電容量素子は、常時接続されている第1の静電容量素子部と、
前記クロック設定部から出力される容量選択信号により選択的に前記容量ノードに接続される第2の静電容量素子部とを有することを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項6記載に半導体装置において、
さらに前記クロック設定部から出力される容量選択信号により選択的に前記容量ノードに接続される第3の静電容量素子部を有し、
前記第3の静電容量素子部は前記第2の静電容量素子部と容量値が異なることを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項6記載に半導体装置において、
さらに前記クロック設定部から出力される容量選択信号により選択的に前記容量ノードに接続される第3の静電容量素子部を有し、
前記第3の静電容量素子部は、前記第2の静電容量素子部と容量値が同じ静電容量素子を異なる個数並列接続することにより構成されることを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項6記載の半導体装置において、
前記容量選択信号により選択的に前記容量ノードへ前記第2の静電容量素子部を接続する容量選択スイッチを有し、
前記容量選択スイッチの一方の接続部に前記電流出力回路から出力される電流が前記チャージスイッチを介して供給され、前記容量選択スイッチの他方の接続部に前記第2の静電容量素子部の一方の接続部が接続され、
前記第1の静電容量素子部の一方の接続部に前記チャージスイッチおよび前記ディスチャージスイッチが接続され、前記第1の静電容量素子部の他方の接続部に基準電圧が供給され、
前記第2静電容量素子部の他方の接続部に前記基準電圧が供給されることを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
請求項6記載の半導体装置において、
前記容量選択信号により選択的に前記容量ノードへ前記第2の静電容量素子部を接続する容量選択スイッチを有し、
前記容量選択スイッチの一方の接続部に基準電圧が供給され、前記容量選択スイッチの他方の接続部に、前記第2の静電容量素子部の一方の接続部が接続され、
前記第2の静電容量素子部の他方の接続部には、前記チャージスイッチおよび前記ディスチャージスイッチが接続されており、
前記第1の静電容量素子部の一方の接続部には、前記チャージスイッチおよび前記ディスチャージスイッチが接続され、前記第1の静電容量素子部の他方の接続部には前記基準電圧が供給されることを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
請求項9記載の半導体装置において、
前記容量選択スイッチは、前記ディスチャージスイッチがオンしている期間に、リセット信号に基づいて、前記容量選択信号により非選択とされた前記容量選択スイッチを一定期間オンさせるリセット回路を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項12】
請求項9または請求項10に記載の半導体装置において、
前記容量選択スイッチは、
2つのトランジスタを直列に接続した構成からなることを特徴とする半導体装置。
【請求項13】
クロック発振回路と前記クロック発振回路が出力するクロック信号に基づいて生成される動作周波数に応じて動作する内部回路とを有し、
前記クロック発振回路は、
一定の出力電流を供給する定電流回路と、
前記定電流回路からの出力電流を受ける容量ノードと、
前記容量ノードに並列に接続可能な複数の静電容量素子と前記容量ノードに接続される前記静電容量素子の数を切り替えるスイッチとを有する周波数電圧変換回路と、
前記周波数電圧変換回路の出力電圧に基づいて周波数を設定し前記クロック信号を出力する発振回路と、を含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項14】
請求項13記載の半導体装置において、
前記周波数電圧変換回路は、
前記定電流回路からの前記出力電流が出力される出力ノードと前記容量ノードの間に接続されたチャージスイッチと、前記容量ノードと基準電圧が供給される基準電圧ノードとの間に接続されたディスチャージスイッチとを有することを特徴とする半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【公開番号】特開2012−70224(P2012−70224A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−213441(P2010−213441)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】