説明

半導体装置

【課題】過電流が流れた際に確実に電流を遮断することができる半導体装置を提供すること。
【解決手段】第1半導体部材10と、第2半導体部材20と、第1半導体部材10と第2半導体部材20とを一体的にモールドするモールド樹脂40と、を備えた半導体装置100であって、第1半導体装置10の第1接続部12aと第2半導体装置20の第2接続部21aとは、モールド樹脂40から露出した位置において互いに対向して配置された対向部を有し、第1接続部12aと第2接続部21aにおける各対向部は、互いに電気的及び機械的に接続された接触部12a1,21a1と、互いに接触しておらず、互いに流れる電流の向きが逆方向となることで互いに斥力が働く非接触部12a2,21a2と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示すように、過電流からの保護を図ることができる半導体装置があった。
【0003】
特許文献1に記載された半導体装置(パワーモジュール)は、第一半導体素子と第二半導体素子とを有している。第一半導体素子は、第一エミッタ電極と第一コレクタ電極に挟まれており、第二半導体素子は、第二エミッタ電極と第二コレクタ電極に挟まれている。また、第一半導体素子側の第一エミッタ電極と第二半導体素子側の第二コレクタ電極とは、アルミリボンボンドなどからなる接続部材を介して電気的に接続されている。そして、第一半導体素子と第二半導体素子および接続部材は,モールド樹脂でモールドされることにより一体となっている。さらに、接続部材は、ヒューズ機能を兼ねており、第一半導体素子と第二半導体素子間の短絡や負荷短絡時に溶断するようになっている。つまり、この半導体装置は、過電流時に接続部材をオープン故障させることで、電流を遮断するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−120970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された半導体装置では、接続部材がモールド樹脂でモールドされているため、過電流によって接続部材が溶断したとしても、溶断した接続部材同士がモールド樹脂によって十分に離れないことがある。このように、溶断した接続部材同士が十分に離れなかった場合、溶断した接続部材同士が接触する可能性がある。また、溶断した接続部材同士が接触しなかったとしても、接続部材同士の間隔が不十分なためにアーク放電が起こる可能性がある。よって、この半導体装置では、過電流時に電流を遮断できないことが起こりうる。
【0006】
上記問題点に鑑み、過電流が流れた際に確実に電流を遮断することができる半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1に記載の半導体装置は、
両面に電極を備えた第1半導体素子(13)と、
第1半導体素子(13)の各電極に夫々接続され、第1半導体素子(13)の放熱部材として機能する一対の金属体(11,12)と、を有する第1半導体部材(10,10a)と、
両面に電極を備えた第2半導体素子(23)と、
第2半導体素子(23)の各電極に夫々接続され、第2半導体素子(23)の放熱部材として機能する一対の金属体(21,22)と、を有する第2半導体部材(20,20a)と、
第1半導体部材(10,10a)を一体的にモールドするとともに、第2半導体部材(20,20a)を一体的にモールドするモールド樹脂(40)と、を備え、
第1半導体部材(10,10a)の金属体(11,12)における一方の金属体である第1金属体と、第2半導体部材(20,20a)の金属体(21,22)における一方の金属体である第2金属体とが電気的に接続された半導体装置であって、
第1半導体部材(10,10a)の第1金属体に設けられた第1接続部(12a)と、
第2半導体部材(20,20a)の第2金属体に設けられた第2接続部(21a)と、を備え、
第1接続部(12a)と第2接続部(21a)とは、モールド樹脂(40)から露出した位置において互いに対向して配置された対向部を有し、
第1接続部(12a)と第2接続部(21a)における各対向部は、
互いに電気的及び機械的に接続された接触部(12a1,21a1)と、
互いに接触しておらず、互いに流れる電流の向きが逆方向となることで互いに斥力が働く非接触部(12a2,21a2)と、を含むことを特徴とする。
【0008】
このように、斥力が働く非接触部(12a2,21a2)を設けることによって、第1接続部(12a)と第2接続部(21a)とに過電流が流れたときに第1接続部(12a)と第2接続部(21a)、及び第1接続部(12a)の非接触部(12a2)、及び第2接続部(21a)の非接触部(21a2)の少なくとも一つを切断させることができる。特に、第1接続部(12a)と第2接続部(21a)とが接続された部位は、比較的切断しやすい。つまり、一体物を切断させるよりも、容易に切断させることができる。特に、第1接続部(12a)と第2接続部(21a)の方が容易に切断させることができる。
【0009】
また、接触部(12a1,21a1)及び非接触部(12a2,21a2)は、モールド樹脂(40)から露出した位置に設けられている。このため、非接触部(12a2,21a2)又は接触部(12a1,21a1)は、非接触部(12a2,21a2)に斥力が働いた際に、モールド樹脂(40)からの応力を受けにくい。よって、第1接続部(12a)と第2接続部(21a)が切断される際に、第1接続部(12a)と第2接続部(21a)の切断された部位同士を離れやすくすることができる。従って、過電流が流れた際に、第1接続部(12a)と第2接続部(21a)とに流れる電流を確実に遮断することができる。換言すると、過電流が流れた際に、第1接続部(12a)と第2接続部(21a)とを確実にオープン故障とすることができる。
【0010】
また、請求項2に示すように、第1半導体部材(10a)と第2半導体部材(20a)とは、モールド樹脂(40)によって、別体としてモールドされるようにしてもよい。
【0011】
このようにすることによって、モールド樹脂(40)でモールドされた半導体部材(10a、所謂1in1構造の半導体部材)と、モールド樹脂(40)でモールドされた半導体部材(20a、所謂1in1構造の半導体部材)とが接続された半導体装置とすることができる。このような構造の半導体装置であっても、過電流が流れた際に、第1接続部(12a)と第2接続部(21a)とに流れる電流を確実に遮断することができる。
【0012】
また、請求項3に示すように、第1半導体部材(10)と第2半導体部材(20)とは、モールド樹脂(40)によって、一体的にモールドされるようにしてもよい。
【0013】
このようにすることによって、第1半導体部材(10)と第2半導体部材(20)とが一体的にモールドされた半導体装置(所謂2in1構造の半導体装置)とすることができる。このような構造の半導体装置であっても、過電流が流れた際に、第1接続部(12a)と第2接続部(21a)とに流れる電流を確実に遮断することができる。
【0014】
また、請求項4に示すように、接触部(12a1,21a1)及び非接触部(12a2,21a2)は、モールド樹脂(40)に設けられた開口部(60)に配置されることで、モールド樹脂(40)から露出するようにしてもよい。
【0015】
また、請求項5に示すように、非接触部(12a2,21a2)間におけるモールド樹脂(40)の端部に位置する領域には、絶縁部材(50)が配置されるようにしてもよい。
【0016】
このようにすることによって、モールド樹脂(40)にてモールド成型する際に、第1接続部(12a)と第2接続部(21a)との隙間からモールド樹脂(40)が漏れだすことを抑制できる。
【0017】
また、請求項6に示すように、接触部(12a1,21a1)にて接続された第1接続部(12a)と第2接続部(21a)とは、第1半導体部材(10,10a)と第2半導体部材(20,20a)の出力端子をなすものであってもよい。
【0018】
このようにすることによって、第1半導体部材(10,10a)と第2半導体部材(20,20a)の出力端子(第1接続部(12a)及び第2接続部(21a))の他に、第1半導体部材(10,10a)と第2半導体部材(20,20a)とを電気的及び機械的に接続する接続部を別途設ける必要がない。
【0019】
また、請求項7に示すように、第1接続部(12a)と第2接続部(21a)は、接触部(12a1,21a1)にのみ、接触部(12a1,21a1)が対向する方向に貫通する貫通孔(12a3,21a3)が形成されるものであってもよい。
【0020】
このようにすることで、接触部(12a1,21a1)同士の接触面積を小さくすることができる。よって、過電流が流れた際に、第1接続部(12a)の接触部(12a1)と第2接続部(21a)の接触部(21a1)とを切断しやすくすることができる。
【0021】
また、非接触部(12a2,21a2)にも同様の貫通孔が設けられていた場合、非接触部(12a2,21a2)間の対向面積が小さくなって、非接触部(12a2,21a2)に働く斥力が低減する可能性がある。しかしながら、非接触部(12a2,21a2)には、貫通孔(12a3,21a3)が設けられていない。よって、非接触部(12a2,21a2)に働く斥力が低減することを抑制できる。
【0022】
なお、第1接続部(12a)の接触部(12a1)と第2接続部(21a)の接触部(21a1)は、ディップ半田付けで互いに接続することも考えられる。各接触部(12a1,21a1)に貫通孔(12a3,21a3)を設けることで、ディップ半田付けする際に、接触部(12a1,21a1)間に半田を入り込みやすくすることができる。また、第1接続部(12a)と第2接続部(21a)と同じ方向にモールド樹脂(40)から露出する信号端子(16,26)を備える場合、信号端子(16,26)にディップ半田付けするのと同時に接触部(12a1)と接触部(21a1)とをディップ半田付けで互いに接続することができる。なお、この信号端子(16)は、第1半導体素子(13)に接続されているものであり、信号端子(26)は、第2半導体素子(23)に接続されているものである。
【0023】
また、請求項8に示すように、非接触部(12a2,21a2)を電流が流れる方向に垂直な方向から切断した断面の面積は、接触部(12a1,21a1)を同一方向から切断した断面の面積よりも広くしてもよい。
【0024】
このようにすることで、過電流が流れたときに、第1接続部(12a)の接触部(12a1)と第2接続部(21a)の接触部(21a1)とを切断しやすくすることができる。
【0025】
また、請求項9に示すように、非接触部(12a2,21a2)を電流が流れる方向に垂直な方向から切断した断面の面積と、接触部(12a1,21a1)を同一方向から切断した断面の面積とは同じであり、且つ、非接触部(12a2,21a2)の断面の面積及び接触部(12a1,21a1)の断面の面積は、第1接続部(12a)と第2接続部(21a)における他の部分を電流が流れる方向に垂直な方向から切断した断面の面積よりも狭くしてもよい。
【0026】
このようにすることで、接触部(12a1,21a1)及び非接触部(12a2,21a2)における電流密度を大きくすることができ、斥力を大きくすることができる。よって、過電流が流れたときに、第1接続部(12a)と第2接続部(21a)とを切断しやすくすることができる。
【0027】
また、請求項10に示すように、非接触部(12a2,21a2)は、少なくとも一部に切り込みを入れられた部分(12a5,21a5)を有するようにしてもよい。
【0028】
このようにすることで、過電流が流れたときに、非接触部(12a2,21a2)における切り込みを入れられた部分(12a5,21a5)で切断しやすくすることができる。
【0029】
また、請求項11に示すように、
前記第1半導体部材(10,10a)と前記第2半導体部材(20,20a)は、前記第1半導体素子(13)と一対の金属体(11,12)との積層方向と、前記第2半導体素子(23)と一対の金属体(21,22)との積層方向とが平行となるように配置され、
第2接続部(21a)が設けられた第2金属体と、第1半導体部材(10,10a)の第1接続部(12a)が設けられていない第3金属体とが同一平面上に設けられ、
第1接続部(12a)が設けられた第1金属体と、第2半導体部材(20,20a)の第2接続部(21a)が設けられていない第4金属体とが同一平面上に設けられ、
第1接続部(12a)は、
第1金属体と第4金属体との対向領域外に配置された接触部(12a1)及び非接触部(12a2)に加えて、
第1金属体と第4金属体との対向領域に配置され、第1半導体部材(10,10a)と第2半導体部材(20,20a)の配置方向に対して平行且つ斜めに配置された屈曲部(12a4)を含み、
第2接続部(21a)は、
第2金属体と第3金属体との対向領域外に配置された接触部(21a1)及び非接触部(21a2)に加えて、
第2金属体と第3金属体との対向領域に配置され、第1半導体部材(10,10a)と第2半導体部材(20,20a)の配置方向に対して平行且つ斜めに配置された屈曲部(21a4)を含むようにしてもよい。
【0030】
第1金属体と第2金属体とが同電位であり、第1金属体と第4金属体や第2金属体と第3金属体が異なる電位である場合、第1金属体と第4金属体、及び第2金属体と第3金属体はある程度離して配置することが要求される。そこで、請求項11に示すようにすることによって、第1金属体における第1接続部(12a)と第2半導体部材(20)における第4金属体との固体絶縁距離、及び第2金属体における第2接続部(21a)と第1半導体部材(10)における第3金属体との固体絶縁距離を長くすることができる。つまり、電位が異なる部材同士の固体絶縁距離を長くすることなできるので好ましい。
【0031】
また、請求項12に示すように、第1金属体と第1接続部(12a)とは別部材からなり、第2金属体と第2接続部(21a)とは別部材からなるものであってもよい。
【0032】
このようにすることで、第1金属体と第1接続部(12a)、及び第2金属体と第2接続部(21a)の寸法上の制限を軽減し、サイズを自由に設計しやすくすることができる。
【0033】
また、請求項13に示すように、接触部(12a1,21a1)間の間隔を非接触部(12a2,21a2)間の間隔よりも狭くすることによっても、過電流が流れたときに、第1接続部(12a)の接触部(12a1)と第2接続部(21a)の接触部(21a1)とを切断しやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施形態における半導体装置の概略構成を示す平面図(上面図)である。
【図2】本発明の実施形態における半導体装置のモールド樹脂内部の概略構成を示す図面であり、(a)は平面図、(b)は斜視図である。
【図3】本発明の実施形態における半導体装置の回路構成を示す等価回路である。
【図4】変形例1における半導体装置の概略構成を示す平面図である。
【図5】変形例2における半導体装置の概略構成を示す平面図である。
【図6】変形例3における半導体装置のモールド樹脂内部の概略構成を示す平面図である。
【図7】変形例4における半導体装置のモールド樹脂内部の概略構成を示す平面図である。
【図8】変形例5における半導体装置の概略構成を示す斜視図である。
【図9】変形例6における半導体装置の概略構成を示す斜視図である。
【図10】変形例7における半導体装置の概略構成を示す平面図である。
【図11】変形例8における半導体装置のモールド樹脂内部の概略構成を示す平面図である。
【図12】変形例9における半導体装置のモールド樹脂内部の概略構成を示す平面図である。
【図13】変形例10における半導体装置のモールド樹脂内部の概略構成を示す平面図である。
【図14】変形例11における半導体装置のモールド樹脂内部の概略構成を示す平面図である。
【図15】変形例12における半導体装置の概略構成を示す図面であり、(a)はモールド樹脂内部の平面図、(b)はモールド樹脂が設けられた平面図である。
【図16】変形例13における半導体装置の概略構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施形態を図に基づいて説明する。
【0036】
図1,図2,図3に示す半導体装置100は、例えば車両のインバータ回路に組み入れられ、負荷(例えばモータ等)をPWM制御するための装置として適用される。換言すると、半導体装置100は、パワーカードをなすものである。
【0037】
この半導体装置100は、主に、上アーム回路部10(第1半導体部材)と下アーム回路部20(第2半導体部材)とを備え、これらが一体的にモールド樹脂(絶縁性樹脂)40にてモールドされたものである。なお、ここでは、半導体素子(第1半導体素子)13とダイオード(図示省略)などを含む上アーム回路部10と、半導体素子(第2半導体素子)23とダイオード(図示省略)を含む下アーム回路部20を1つのパッケージに収めたもの(2in1パッケージ)を一例として採用する。
【0038】
上アーム回路部10は、図2(a),(b)に示すように、主に、一対の上アーム側ヒートシンク11,12、上アーム側上下アーム接続部(第1接続部)12a、半導体素子13などを備えている。上アーム回路部10は、この他に、外部リード(以下、P端子とも称する)11a、ターミナル14、ボンディングワイヤ15、信号端子16などを備えていてもよい。
【0039】
半導体素子13は、両面に電極(表面電極と裏面電極)を備えるものであり、IGBTやRC−IGBTやMOSFETなどのスイッチング素子を採用することができる。ここでは、RC−IGBTを採用する。この半導体素子13は、ボンディングワイヤ25を介して信号用端子26と電気的に接続されている。
【0040】
また、図2(b)に示すように、上アーム側ヒートシンク11,12は、半導体素子13の各電極(両面の電極の夫々)に接続され、半導体素子13の熱を放熱する放熱部材として機能する一対の金属体である。また、上アーム側ヒートシンク11,12は、半導体素子13に電気的に接続された配線(配線の一部)としても機能する。このように、半導体素子13は、一対の上アーム側ヒートシンク11,12に挟みこまれている。
【0041】
この上アーム側ヒートシンク11は、特許請求の範囲における第3金属体に相当するものである。よって、以下の説明においては、上アーム側ヒートシンク11を第3金属体11とも称する。また、上アーム側ヒートシンク12は、特許請求の範囲における第1金属体に相当するものである。よって、以下の説明においては、上アーム側ヒートシンク12を第1金属体12とも称する。
【0042】
第3金属体11は、半導体素子13の一方の電極(ここでは裏面電極)と接続されている。一方、第1金属体12は、金属からなるターミナル14を介して半導体素子13の他方の電極(ここでは表面電極)と接続されている。このターミナル14は、信号端子16と半導体素子13とを電気的に接続しているボンディングワイヤ15が第1金属体12に接触しないようにするためのものである。また、ターミナル14は、半導体素子13の熱を放熱する放熱部材として機能するとともに、半導体素子13に電気的に接続された配線(配線の一部)としても機能するものである。なお、第1金属体12、第3金属体11、ターミナル14は、熱伝導性及び電気伝導性を確保すべく、例えば、Cu、Au、Ag、Al、又は、これら金属の少なくとも1種類を含む合金などの熱伝導性及び電気伝導性に優れた金属材料からなる。
【0043】
図2(a),(b)に示すように、第3金属体11は、例えば直方体形状を有し、半導体素子13の裏面電極と対向して配置され、この裏面電極と電気的に接続されている。また、この第3金属体11には、外部リード(以下、P端子とも称する)11aが設けられている。P端子11aは、例えば第3金属体11の側壁の一部に設けられている。なお、本実施形態における第3金属体11とP端子11aとは、一体的に設けられている(すなわち一体物として設けられている)。よって、半導体素子13は、P端子11aと電気的に接続されている。ただし、図2(b)においては、図面を簡略化するために、P端子11aの図示は省略している。
【0044】
また、図2(a),(b)に示すように、第1金属体12は、例えば直方体形状を有し半導体素子13の表面電極と対向して配置され、この表面電極とターミナル14を介して電気的に接続されている。また、この第1金属体12には、上アーム側上下アーム接続部12aが設けられている。この上アーム側上下アーム接続部12aは、特許請求の範囲における第1接続部に相当するものである。よって、以下の説明においては、上アーム側上下アーム接続部12aを第1接続部12aとも称する。
【0045】
第1接続部12aは、例えば第1金属体12の側壁の一部から突出して設けられている。なお、本実施形態における第1金属体12と第1接続部12aとは、一体的に設けられている(すなわち一体物として設けられている)。よって、半導体素子13は、第1接続部12aと電気的に接続されていることになる。
【0046】
この第1接続部12aは、上アーム側接触部12a1と上アーム側非接触部12a2とを含む。なお、この第1接続部12aに関しては、後ほど詳しく説明する。また、以下の説明においては、上アーム側接触部12a1を単に接触部12a1とも称する。同様に、以下の説明においては、上アーム側非接触部12a2を単に非接触部12a2とも称する。
【0047】
一方、下アーム回路部20は、図2(a),(b)に示すように、主に、一対の下アーム側ヒートシンク21,22、下アーム側上下アーム接続部(第2接続部)21a、半導体素子23などを備えている。下アーム回路部20は、この他に、外部リード(以下、N端子とも称する)22a、外部リード(以下、O端子とも称する)21b、ターミナル24、ボンディングワイヤ25、信号端子26などを備えていてもよい。
【0048】
半導体素子23は、両面に電極(表面電極と裏面電極)を備えるものであり、IGBTやRC−IGBTやMOSFETなどのスイッチング素子を採用することができる。ここではRC−IGBTを採用する。この半導体素子23は、ボンディングワイヤ25を介して信号用端子26と電気的に接続されている。
【0049】
また、図2(b)に示すように、下アーム側ヒートシンク21,22は、半導体素子23の各電極(両面の電極の夫々)に接続され、半導体素子23の熱を放熱する放熱部材として機能する一対の金属体である。また、下アーム側ヒートシンク21,22は、半導体素子23に電気的に接続された配線(配線の一部)としても機能する。このように、半導体素子23は、一対の下アーム側ヒートシンク21,22に挟みこまれている。
【0050】
この下アーム側ヒートシンク21は、特許請求の範囲における第2金属体に相当するものである。よって、以下の説明においては、下アーム側ヒートシンク21を第2金属体21とも称する。また、下アーム側ヒートシンク22は、特許請求の範囲における第4金属体に相当するものである。よって、以下の説明においては、下アーム側ヒートシンク22を第4金属体12とも称する。
【0051】
第2金属体21は、半導体素子23の一方の電極(ここでは裏面電極)と接続されている。一方、第4金属体22は、金属からなるターミナル24を介して半導体素子23の他方の電極(ここでは表面電極)と接続されている。このターミナル24は、上述のターミナル14と同様の構成、機能を有するものである。また、第2金属体21、第4金属体22、ターミナル24は、熱伝導性及び電気伝導性を確保すべく、例えば、Cu、Au、Ag、Al、又は、これら金属の少なくとも1種類を含む合金などの熱伝導性及び電気伝導性に優れた金属材料からなる。
【0052】
図2(a),(b)に示すように、第4金属体22は、例えば直方体形状を有し、半導体素子23の表面電極と対向して配置され、この表面電極とターミナル24を介して電気的に接続されている。また、この第4金属体22には、外部リード(以下、N端子とも称する)22aが設けられている。N端子22aは、例えば第4金属体22の側壁の一部から突出して設けられている。なお、本実施形態における第4金属体22とN端子22aとは、一体的に設けられている(すなわち一体物として設けられている)。よって、半導体素子23は、N端子22aと電気的に接続されていることになる。ただし、図2(b)においては、図面を簡略化するために、N端子22aの図示は省略している。
【0053】
また、図2(a),(b)に示すように、第2金属体21は、例えば直方体形状を有し半導体素子23の裏面電極と対向して配置され、この裏面電極と電気的に接続されている。また、この第2金属体21には、下アーム側上下アーム接続部21aと外部リード(以下、O端子とも称する)21bが設けられている。この下アーム側上下アーム接続部21aは、特許請求の範囲における第2接続部に相当するものである。よって、以下の説明においては、下アーム側上下アーム接続部21aを第2接続部21aとも称する。
【0054】
第2接続部21a及びO端子21bは、例えば第2金属体21の側壁の一部から突出して設けられている。一例としては、第2接続部21aとO端子21bは、第2金属体21の異なる側壁の一部から突出して設けられている。なお、本実施形態における第2金属体21と第2接続部21aとO端子21bとは、一体的に設けられている(すなわち一体物として設けられている)。よって、半導体素子23は、第2接続部21a及びO端子21bと電気的に接続されていることになる。ただし、図2(b)においては、図面を簡略化するために、O端子21bの図示は省略している。
【0055】
この第2接続部21aは、下アーム側接触部21a1と下アーム側非接触部21a2とを含む。なお、この第2接続部21aに関しては、後ほど詳しく説明する。また、以下の説明においては、下アーム側接触部21a1を単に接触部21a1とも称する。同様に、以下の説明においては、下アーム側非接触部21a2を単に非接触部21a2とも称する。
【0056】
このように構成された上アーム回路部10と下アーム回路部20とは、例えば図2(b)に示すように配置されている。つまり、本実施形態における上アーム回路部10と下アーム回路部20とは、半導体素子13と一対の上アーム側ヒートシンク11,12の積層方向と、半導体素子23と一対の下アーム側ヒートシンク21,22との積層方向とが平行になるように配置されている。また、第3金属体11と第2金属体21とが同一平面上に設けられている。さらに、第1金属体12と第4金属体22とが同一平面上に設けられている。
【0057】
また、一例としては、第1金属体12における第4金属体22と対向する側面に沿う仮想平面と、第3金属体11における第2金属体21と対向する側面に沿う仮想平面とは、一致している。同様に、第4金属体22における第1金属体12と対向する側面に沿う仮想平面(第2仮想平面)と、第2金属体21における第3金属体11と対向する側面に沿う仮想平面とは、一致している。
【0058】
なお、第1金属体12における第4金属体22と対向する側面に沿う仮想平面のうち、第1金属体12の側壁から第3金属体11の側壁までの領域を第1仮想平面とも称する。この第1仮想平面は、第1金属体12の側壁及び第3金属体11の側壁を含む。一方、第4金属体22における第1金属体12と対向する側面に沿う仮想平面のうち、第4金属体22の側壁から第2金属体21の側壁までの領域を第2仮想平面とも称する。この第2仮想平面は、第4金属体22の側壁及び第2金属体21の側壁を含む。
【0059】
以下の説明においては、半導体素子13と一対の上アーム側ヒートシンク11,12の積層方向や、半導体素子23と一対の下アーム側ヒートシンク21,22との積層方向を単に積層方向とも称する。また、上アーム回路部10と下アーム回路部20とが並ぶ方向を並列方向(配置方向)とも称する。
【0060】
そして、本実施形態の半導体装置100は、上アーム回路部10の一対の金属体11,12における一方の金属体である第1金属体12と、下アーム回路部20の一対の金属体21,22における一方の金属体である第2金属体21とが電気的に接続されている。つまり、上アーム回路部10と下アーム回路部20とは、第1接続部12aの接触部12a1と第2接続部21aの接触部21a1とが導電性接続部材(ここでは半田30を採用する)で接続されることによって電気的に接続されている。このように電気的に接続された上アーム回路部10と下アーム回路部20を含む半導体装置100は、図3に示す等価回路をなす。つまり、本実施形態における上アーム回路部10と下アーム回路部20(すなわち半導体素子13と半導体素子23)とは、直列に接続されている。よって、半導体装置100は、N字型のパワーカード(半導体装置)と言い換えることができる。
【0061】
ただし、本発明の半導体装置100は、これに限定されるものではなく、上アーム回路部10と下アーム回路部20(すなわち半導体素子13と半導体素子23)とが並列に接続されていても、目的を達成することができる。
【0062】
また、図1に示すように、上アーム回路部10と下アーム回路部20とは、モールド樹脂40によってモールドされて一体的に設けられている。つまり、モールド樹脂40は、上アーム回路部10を一体的にモールドするとともに、下アーム回路部20を一体的にモールドするものである。
【0063】
より詳細には、第3金属体11と第1金属体12とに挟まれた半導体素子13及び第2金属体21と第4金属体22とに挟まれた半導体素子23は、モールド樹脂40にて封止されている。また、第3金属体11の表面(半導体素子13と対向している面の裏面)及び第1金属体12の表面(半導体素子13と対向している面の裏面)は、半導体素子13の熱を効率的に放熱させるために、モールド樹脂40から露出している。同様に、第2金属体21の表面(半導体素子23と対向している面の裏面)及び第4金属体22の表面(半導体素子23と対向している面の裏面)は、半導体素子13の熱を効率的に放熱させるために、モールド樹脂40から露出している。
【0064】
なお、ターミナル14,24及びボンディングワイヤ15,25は、モールド樹脂40にて封止されている。また、P端子11a、N端子22a、O端子21b、信号端子16,26は、半導体装置100と外部機器との電気的な接続を行うために、一部がモールド樹脂40内に配置され、その他の部分がモールド樹脂40から露出している。そして、第1接続部12a、第2接続部21aは、後ほど詳しく説明するが、モールド樹脂40から露出した部分を有している。換言すると、P端子11a、N端子22a、O端子21b、信号端子16,26、第1接続部12a、第2接続部21aは、一部がモールド樹脂40の外側に取り出されている。
【0065】
より詳細には、P端子11aの少なくとも一部、O端子21bの少なくとも一部、及びN端子22aの少なくとも一部は、モールド樹脂40から同じ方向(例えば積層方向に沿う方向)に露出している。また、第1接続部12aの少なくとも一部(後ほど説明する対向部位)、第2接続部21aの少なくとも一部(後ほど説明する対向部位)、及び信号端子16,26の少なくとも一部はモールド樹脂40から同じ方向(例えば積層方向及び並列方向に垂直な方向)に露出している。さらに、P端子11aなどと、第1接続部12aなどとは、モールド樹脂40から異なる方向に露出している。
【0066】
ここで、本発明の技術的特徴である第1接続部12aと第2接続部21aとに関して詳しく説明する。図1,図2に示すように、上アーム回路部10の第1接続部12aと下アーム回路部20の第2接続部21aとは、モールド樹脂40から露出した位置において互いに対向して配置された対向部を有している。この第1接続部12aと第2接続部21aにおける各対向部は、半田30によって互いに電気的及び機械的に接続された接触部12a1,21a1を含む。さらに、第1接続部12aと第2接続部21aにおける各対向部は、互いに接触しておらず、互いに流れる電流の向きが逆方向(図2(b)の矢印)となることで互いに斥力が働く非接触部12a2,21a2とを含む。つまり、第1接続部12aの接触部12a1と第2接続部21aの接触部21a1とが対向して配置され、第1接続部12aの非接触部12a2と第2接続部21aの非接触部21a2とが対向して配置されている。
【0067】
よって、第1接続部12aの接触部12a1と第2接続部21aの接触部21a1とは、向かい合っており、且つ、互いに半田30で接続されている。一方、第1接続部12aの非接触部12a2と第2接続部21aの非接触部21a2とは、向かい合ってはいるが、互いに接触していない(接続されていない)。
【0068】
なお、図2(b)に示すように、第1接続部12aの対向部(接触部12a1と非接触部12a2)と第2接続部21aの対向部(接触部21a1と非接触部21a2)とは、並列方向に対して並列に配置すると好ましい。換言すると、第1接続部12aの対向部(接触部12a1と非接触部12a2)と第2接続部21aの対向部(接触部21a1と非接触部21a2)とは、横方向に並走させて配置すると好ましい。
【0069】
このようにすることによって、モールド樹脂40でモールドする際に、第1接続部12aの対向部(接触部12a1と非接触部12a2)と第2接続部21aの対向部(接触部21a1と非接触部21a2)との隙間からモールド樹脂40が漏れだすことを抑制することができる。つまり、第1接続部12aの対向部(接触部12a1と非接触部12a2)と第2接続部21aの対向部(接触部21a1と非接触部21a2)との隙間を上下型で抑え込みつつ、モールド成型することによって、モールド樹脂40が漏れだすことを抑制することができる。
【0070】
このように、接触部12a1,21a1と非接触部12a2,21a2とをモールド樹脂40から露出した位置に設けるのは、過電流が流れたときに、第1接続部12aと第2接続部21aとを確実にオープン故障させるためである。
【0071】
図2(a),(b)に示すように、本実施形態における第1接続部12aは、第1金属体12における下アーム回路部20側の側壁(第4金属体22と対向する側壁)から下アーム回路部20側(第4金属体22側)に突出し、且つ、積層方向及び並列方向に対して垂直な方向に延設されている。この垂直方向に設けられた部位は、直線的に設けられた棒状の部位と言い換えることができる。そして、第1接続部12aのうち、この垂直方向に設けられた部位に接触部12a1と非接触部12a2が含まれている。また、接触部12a1は、例えば第1接続部12aにおける第1金属体12との接続部側から非接触部12a2を介して配置されている。また、接触部12a1は、例えば第1接続部12aにおける先端(第1金属体12との接続部側ではない端部)に配置されている。
【0072】
また、図2(a),(b)に示すように、本実施形態における第2接続部21aは、第2金属体21における上アーム回路部10側の側壁(第3金属体11と対向する側壁)から上アーム回路部10側(第3金属体11側)に突出し、且つ、積層方向及び並列方向に対して垂直な方向に延設されている。この垂直方向に設けられた部位は、直線的に設けられた棒状の部位と言い換えることができる。そして、第2接続部21aのうち、この垂直方向に設けられた部位に接触部21a1と非接触部21a2が含まれている。また、接触部21a1は、例えば第2接続部21aにおける第2金属体21との接続部側から非接触部21a2を介して配置されている。また、接触部21a1は、例えば第2接続部21aにおける先端(第2金属体21との接続部側ではない端部)に配置されている。
【0073】
また、本実施形態における接触部12a1,21a1、及び非接触部12a2,21a2は、第1金属体12と第4金属体22との対向領域や第2金属体21と第3金属体11との対向領域の外に配置されている。換言すると、接触部12a1,21a1、及び非接触部12a2,21a2は、第1仮想平面と第2仮想平面に挟まれた領域外に配置されている。
【0074】
なお、本発明の半導体装置100における第1接続部12aと第2接続部21aは、これに限定されるものではない。第1接続部12aと第2接続部21aは、モールド樹脂40から露出した位置において互いに対向して配置された対向部を有しており、この各対向部に接触部12a1と非接触部12a2及び接触部21a1と非接触部21a2を含むものであれば採用することができる。
【0075】
ここで、図1に示す半導体装置100の製造方法の一例を説明する。まず、上アーム回路部10と下アーム回路部20の夫々を、リフローなどによって作成する。このとき、上アーム回路部10と下アーム回路部20の夫々は、図2(b)において、半田30で接続されていない状態となる。
【0076】
その後、第1接続部12aの接触部12a1と第2接続部21aの接触部21a1とを半田30で電気的及び機械的に接続する。なお、半田30で第1接続部12aの接触部12a1と第2接続部21aの接触部21a1とを半田付けする際には、例えばディップ半田付けを採用することができる。これによって、上アーム回路部10と下アーム回路部20は、図2(b)に示すような状態となる。
【0077】
その後、上アーム回路部10と下アーム回路部20とをモールド樹脂40によってモールド成型する。モールド成型が完了すると、信号端子16,26などにおける不要な接続部をカットする。
【0078】
なお、モールド成型後に、第1接続部12aの接触部12a1と第2接続部21aの接触部21a1とを半田30で電気的及び機械的に接続するようにしてもよい。
【0079】
ここまで説明したように、本実施形態における半導体装置100では、斥力が働く非接触部12a2,21a2を設けているため、第1接続部12aと第2接続部21aとに過電流(所定値よりも大きな電流値の電流)が流れたときに、第1接続部12aと第2接続部21a、及び非接触部12a2、及び非接触部21a2の少なくとも一つを切断させることができる。特に、第1接続部12aと第2接続部21aとが接続された部位(半田30の部分)は、比較的切断しやすい。つまり、一体物を切断させるよりも、容易に切断させることができる。
【0080】
つまり、非接触部12a2,21a2は、斥力によって互いに離れる方向に力が加わる。さらに、これに伴って、接触部12a1,21a1に対しても、互いに離れる方向に力が加わる。この力によって、第1接続部12aと第2接続部21a、及び非接触部12a2、及び非接触部21a2の少なくとも一つを切断させることができる。
【0081】
また、接触部12a1,21a1及び非接触部12a2,21a2は、モールド樹脂40から露出した位置に設けられている。このため、非接触部12a2,21a2又は接触部12a1,21a1は、非接触部12a2,21a2に斥力が働いた際に、モールド樹脂40からの応力を受けにくい。よって、第1接続部12aと第2接続部21aが切断される際に、第1接続部12aと第2接続部21aの切断された部位同士を離れやすくすることができる。従って、過電流が流れた際に、第1接続部12aと第2接続部21aとに流れる電流を確実に遮断することができる。換言すると、過電流が流れた際に、第1接続部12aと第2接続部21aとを確実にオープン故障とすることができる。
【0082】
また、本実施形態で採用したように、上アーム回路部10と下アーム回路部20とをモールド樹脂40によって、一体的にモールドすることによって、2in1構造の半導体装置100とすることができる。そして、この半導体装置100に本発明の技術的特徴を適用することによって、2in1構造の半導体装置100であっても、過電流が流れた際に、第1接続部12aと第2接続部21aとに流れる電流を確実に遮断することができる。
【0083】
なお、本実施形態においては、第1接続部12aと第2接続部21aとを半田30で電気的及び機械的に接続する例を採用したが、本発明はこれに限定されるものではない。第1接続部12aと第2接続部21aとは、例えば溶接や勘合などで電気的及び機械的に接続されてもよい。
【0084】
また、本実施形態においては、本発明の技術的特徴をN字2in1構造の半導体装置100に適用した例を採用したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、U字2in1構造の半導体装置に適用しても、本発明の目的は達成できる。このU字2in1構造の半導体装置は、例えば図2(b)などに示す上アーム回路部10と下アーム回路部20のいずれか一方を逆さまに配置したものである。
【0085】
また、本実施形態においては、半導体素子13(RC−IGBT)を含む上アーム回路部10と、半導体素子23(RC−IGBT)を含む下アーム回路部20とを1パッケージにした半導体装置100を採用したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、半導体素子(IGBTなど)13とダイオードとを含む上アーム回路部10と、同様の半導体素子(IGBTなど)23とダイオードとを含む下アーム回路部20とを1パッケージ(2in1)にした半導体装置を採用しても本発明の目的は達成できる。さらに、6個の半導体素子を内蔵する所謂6in1型の半導体装置に本発明の技術的特徴を適用しても、本発明の目的は達成できる。
【0086】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることはなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変形が可能である。
【0087】
(変形例1)
上述の実施形態においては、上アーム回路部10と下アーム回路部20とがモールド樹脂40によって一体的にモールドされた構造(2in1構造)の半導体装置100を採用したが本発明はこれに限定されるものではない。
【0088】
例えば、上アーム回路部10と下アーム回路部20とは、モールド樹脂40によって、別体としてモールドされるようにしてもよい。つまり、変形例1における半導体装置100は、1in1構造の半導体部材(ここでは上アーム10aと下アーム20a)を上述の実施形態のように、第1接続部12aの接触部12a1と第2接続部21aの接触部21a1とで電気的及び機械的に接続した構成を有する。
【0089】
図4は、変形例1における半導体装置100の平面図である。図4における符号10aは、上述の上アーム回路部10に相当する上アーム(第1半導体部材)10aである。上アーム10aは、上述の上アーム回路部10と同様に、一対の上アーム側ヒートシンク11,12、上アーム側上下アーム接続部(第1接続部)12a、半導体素子13などを主に備えている。また、第1接続部12aに関しても、上述の実施形態と同様に、接触部12a1及び非接触部12a2を含むものである。また、上アーム10aは、この他に、P端子11a、ターミナル14、ボンディングワイヤ15、信号端子16などを備えていてもよい。そして、これらの構成要素は、上アーム側ヒートシンク11,12の表面やP端子11aや信号端子16の一部がモールド樹脂40の外部に露出した状態でモールド樹脂40によって一体的にモールドされている。ただし、変形例1における半導体装置100は、第1接続部12aがO端子を兼ねる点で上述の実施形態における半導体装置100と異なる。
【0090】
また、図4における符号20aは、上述の下アーム回路部20に相当する下アーム(第2半導体部材)20aである。下アーム20aは、上述の下アーム回路部20と同様に、一対の下アーム側ヒートシンク21,22、下アーム側上下アーム接続部(第2接続部)21a、半導体素子23などを主に備えている。また、第2接続部21aに関しても、上述の実施形態と同様に、接触部21a1及び非接触部21a2を含むものである。また、下アーム20aは、この他に、N端子22a、ターミナル24、ボンディングワイヤ25、信号端子26などを備えていてもよい。そして、これらの構成要素は、下アーム側ヒートシンク21,22の表面やN端子22aや信号端子26の一部がモールド樹脂40の外部に露出した状態でモールド樹脂40によって一体的にモールドされている。ただし、変形例1における半導体装置100は、第2接続部21aがO端子を兼ねる点で上述の実施形態における半導体装置100と異なる。
【0091】
このようにしても、上述の実施形態と同様の効果を奏することができる。つまり、このようにすることによって、モールド樹脂40でモールドされた上アーム10a(所謂1in1構造の半導体部材)と、モールド樹脂40でモールドされた下アーム20a(所謂1in1構造の半導体部材)とが接続された半導体装置とすることができる。そして、この半導体装置100に本発明の技術的特徴を適用することによって、1in1構造の半導体部材を電気的及び機械的に接続してなる半導体装置100であっても、過電流が流れた際に、第1接続部12aと第2接続部21aとに流れる電流を確実に遮断することができる。
【0092】
また、上述の実施形態においては、接触部12a1,21a1にて接続された第1接続部12aと第2接続部21aとは別に、O端子21bを設ける例を採用したが本発明はこれに限定されるものではない。図4に示すように、接触部12a1,21a1にて接続された第1接続部12aと第2接続部21aとが、上アーム10aと下アーム20aの出力端子(O端子)をなすものであってもよい。
【0093】
このようにすることによって、上アーム10aと下アーム20aの出力端子であるO端子(ここでは第1接続部12a及び第2接続部21a)の他に、上アーム10aと下アーム20aとを電気的及び機械的に接続する接続部を別途設ける必要がない。また、このようにすることで、工数も削減することができる。
【0094】
(変形例2)
また、変形例1における半導体装置100は、第1接続部12aの先端と第2接続部21aの先端とが接続されている例を採用したが、本発明はこれに限定されるものではない。図5に示す変形例2における半導体装置100のように、第1接続部12aと第2接続部21aとは、第2接続部21a(上述の実施形態におけるO端子に相当)の先端以外で接続されていてもよい。つまり、上述の実施形態のように、下アーム20aにO端子21bを設け、このO端子21bを第2接続部21aとして用いるようにしてもよい。なお、変形例2における半導体装置100と変形例1における半導体装置100とは、第1接続部12aと第2接続部21a以外の構成は同様である。このようにしても、変形例1と同様の効果を奏することができる。
【0095】
(変形例3)
また、変形例1においては、2つの1in1構造の半導体部材(上アーム10aと下アーム20a)を有する半導体装置100において、接触部12a1,21a1にて接続された第1接続部12aと第2接続部21aによって出力端子(O端子)を構成する例を採用したが、本発明はこれに限定されるものではない。図6に示す変形例3における半導体装置のように、2in1構造の半導体装置(上述の実施形態における半導体装置100)においても、接触部12a1,21a1にて接続された第1接続部12aと第2接続部21aによって出力端子(O端子)を構成してもよい。なお、図6においては、図面を簡略化するために、モールド樹脂40の図示は省略している。このようにしても、変形例1と同様の効果を奏することができる。
【0096】
(変形例4)
また、変形例3における半導体装置は、第1接続部12aの先端と第2接続部21aとの先端とが接続されている例を採用したが、本発明はこれに限定されるものではない。図7に示す変形例4における半導体装置のように、第1接続部12aと第2接続部21aとは、第2接続部21a(上述の実施形態におけるO端子に相当)の先端以外で接続されていてもよい。つまり、上述の実施形態のように、下アーム回路部20にO端子21bを設け、このO端子21bを第2接続部21aとして用いるようにしてもよい。なお、変形例4における半導体装置と変形例3における半導体装置とは、第1接続部12aと第2接続部21a以外の構成は同様である。また、図7においては、図面を簡略化するために、モールド樹脂40の図示は省略している。このようにしても、変形例3と同様の効果を奏することができる。
【0097】
(変形例5)
また、上述の実施形態や変形例1〜4においては、第1金属体12と第1接続部12aとは一体的に(一体物として)設けられており、第2金属体21と第2接続部21aとは一体的に(一体物として)設けられている例を採用したが、本発明はこれに限定されるものではない。図8に示す変形例5における半導体装置のように、第1金属体12と第1接続部12aとは別部材からなり、第2金属体21と第2接続部21aとは別部材からなるものであってもよい。なお、図8においては、図面を簡略化するために、モールド樹脂40の図示は省略している。
【0098】
上述の実施形態においては、図2(b)に示すように、第1金属体12と第1接続部12aや、第2金属体21と第2接続部21aは、異形条(断面の形状に段差(凹凸)がある金属条)で形成している。このように、異形条で形成すると、第1金属体12と第1接続部12aの厚み、第2金属体21と第2接続部21aの厚みに制約があるばかりか、コストも高くなってしまう。
【0099】
そこで、変形例5における半導体装置のように、第1金属体12と第1接続部12aとは別部材とするとともに、第2金属体21と第2接続部21aとを別部材にすると好ましい。この場合、別体の第1金属体12と第1接続部12aとを半田などの導電性接続部材で接続する。同様に、別体の第2金属体21と第2接続部21aとを半田などの導電性接続部材で接続する。
【0100】
このようにすることで、上述のように異形条で形成する場合よりも、第1金属体12と第1接続部12a、及び第2金属体21と第2接続部21aの寸法上の制限を軽減し、サイズを自由に設計しやすくすることができる。また、異形条で形成する場合よりも、コストを下げることができる。
【0101】
(変形例6)
また、上述の実施形態においては、第1接続部12aの対向部(接触部12a1と非接触部12a2)と第2接続部21aの対向部(接触部21a1と非接触部21a2)とを、並列方向に対して並列に配置することによって、モールド樹脂40が漏れだすことを抑制していた。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。
【0102】
図9に示す変形例6における半導体装置のように、非接触部12a2,21a2間に絶縁部材(絶縁シートなど)50を配置するようにしてもよい。なお、図9においては、図面を簡略化するために、モールド樹脂40の図示は省略している。
【0103】
この絶縁部材50は、非接触部12a2,21a2間におけるモールド樹脂40が漏れだす位置、つまり、成型後のモールド樹脂40の端部に位置するように設ける。さらに、絶縁部材50は、斥力による第1接続部12aと第2接続部21aとを離す(切断する)力をより一層働かせるために、非接触部12a2,21a2間におけるモールド樹脂40が漏れだす位置であり、且つ、非接触部12a2,21a2の根元側にのみ設けると好ましい。
【0104】
このようにすることによって、モールド樹脂40にてモールド成型する際に、第1接続部12aと第2接続部21aとの隙間からモールド樹脂40が漏れ出すことを抑制できる。また、このようにすることによって、第1接続部12aと第2接続部21aとを積層方向に配置することが可能となる。
【0105】
(変形例7)
第1接続部12aの接触部12a1と第2接続部21aの接触部21a1とは、ディップ半田付けにて電気的及び機械的に接続することが考えられる。
【0106】
そこで、図10に示す変形例7における半導体装置100のように、第1接続部12aの接触部12a1に上アーム側貫通孔(以下、単に貫通孔とも称する)12a3を設けるとともに、第2接続部21aの接触部21a1に下アーム側貫通孔(以下、単に貫通孔とも称する)21a3を設けるようにしてもよい。
【0107】
この第1接続部12a(接触部12a1)の貫通孔12a3は、接触部12a1,21a1同士が対向する方向(第1接続部12aの厚み方向)に第1接続部12aを貫通する穴である。第2接続部21a(接触部21a1)の貫通孔21a3は、接触部12a1,21a1同士が対向する方向(第2接続部21aの厚み方向)に第2接続部21aを貫通する穴である。また、第1接続部12a(接触部12a1)の貫通孔12a3と、第2接続部21a(接触部21a1)の貫通孔21a3とは、例えば同軸上に設けられている。
【0108】
さらに、貫通孔12a3と貫通孔21a3は、接触部12a1,21a1にのみ設けられるものである。つまり、第1接続部12aの非接触部12a2及び第2接続部21aの非接触部21a2には、貫通孔は設けられていない。
【0109】
このように、各接触部12a1,21a1に貫通孔12a3,21a3を設けることで、ディップ半田付けする際に、接触部12a1,21a1間に半田を入り込みやすくすることができる。
【0110】
また、このようにすることで、接触部12a1,21a1同士の接触面積を小さくすることができる。よって、過電流が流れた際に、第1接続部12aの接触部12a1と第2接続部21aの接触部21a1とを切断しやすくすることができる。
【0111】
また、非接触部12a2,21a2にも同様の貫通孔が設けられていた場合、非接触部12a2,21a2間の対向面積が小さくなって、非接触部12a2,21a2に働く斥力が低減する可能性がある。しかしながら、貫通孔12a3,21a3は、非接触部12a2,21a2には設けられていない。よって、非接触部12a2,21a2に働く斥力が低減することを抑制できる。
【0112】
(変形例8)
上述の実施形態における半導体装置100では、第1金属体12と第2金属体21とは同電位となるが、第1金属体12と第4金属体22や第2金属体21と第3金属体11は電位が異なる。よって、第1金属体12と第4金属体22や第2金属体21と第3金属体11とは、ある程度距離を離して配置すると好ましい。
【0113】
そこで、図11に示す変形例8における半導体装置のように、第1接続部12aに上アーム側屈曲部(以下、単に屈曲部とも称する)12a4を設けるとともに、第2接続部21aに下アーム側屈曲部(以下、単に屈曲部とも称する)21a4を設けるようにしてもよい。なお、図11においては、図面を簡略化するために、モールド樹脂40の図示は省略している。
【0114】
つまり、第1接続部12aは、第1金属体12と第4金属体22との対向領域外に配置された接触部12a1及び非接触部12a2に加えて、第1金属体12と第4金属体22との対向領域に配置され、並列方向に対して平行且つ斜めに配置された屈曲部12a4を含む。換言すると、第1接続部12aは、第1金属体12における第4金属体22と対向する側面から、並列方向に対して平行且つ斜めに取り出された屈曲部12a4を含む。よって、接触部12a1及び非接触部12a2は、この屈曲部12a4を介して第1金属体12に接続されている。
【0115】
同様に、第2接続部(21a)は、第2金属体21と第3金属体11との対向領域外に配置された接触部21a1及び非接触部21a2に加えて、第2金属体21と第3金属体11との対向領域に配置され、並列方向に対して平行且つ斜めに配置された屈曲部21a4を含む。換言すると、第2接続部21aは、第2金属体21における第3金属体11と対向する側面から、並列方向に対して平行且つ斜めに取り出された屈曲部21a4を含む。よって、接触部21a1及び非接触部21a2は、この屈曲部21a4を介して第2金属体21に接続されている。
【0116】
このようにすることによって、第1接続部12aと第4金属体22との固体絶縁距離、及び第2接続部21aと第3金属体11との固体絶縁距離を長くすることができる。つまり、電位が異なる部材同士の固体絶縁距離を長くすることなできるので好ましい。
【0117】
(変形例9)
また、接触部12a1,21a1、非接触部12a2,21a2は、過電流によって生じる斥力によって切断されやすい構成にすると好ましい。
【0118】
例えば、図12に示す変形例9における半導体装置のように、接触部12a1,21a1は、非接触部12a2,21a2よりも細くしてもよい。なお、図12においては、図面を簡略化するために、モールド樹脂40の図示は省略している。
【0119】
ここでは、接触部12a1,21a1と非接触部12a2,21a2とは、厚みは同じである。よって、接触部12a1,21a1は、非接触部12a2,21a2よりも幅(並列方向の長さ)が狭く形成されている。換言すると、接触部12a1,21a1は、非接触部12a2,21a2よりも面積が小さく形成されている。つまり、第1接続部12a及び第2接続部21aの中でも斥力を働かせるための非接触部12a2,21a2は比較的(接触部12a1,21a1より)幅が広く(面積を大きく)、過電流が流れた時にはオープンとなって欲しい接触部12a1,21a1は比較的(非接触部12a2,21a2より)幅が広く(面積を大きく)形成されている。換言すると、非接触部12a2,21a2を電流が流れる方向に垂直な方向から切断した断面の面積(断面積)は、接触部12a1,21a1を同一方向から切断した断面の面積(断面積)よりも広く形成されている。
【0120】
このようにすることで、過電流が流れたときに、第1接続部12aの接触部12a1と第2接続部21aの接触部21a1とを切断しやすくすることができる。
【0121】
(変形例10)
また、例えば、図13に示す変形例10における半導体装置のように、接触部12a1,21a1及び非接触部12a2,21a2は、第1接続部12aと第2接続部21aにおける他の部分よりも細くしてもよい。なお、図13においては、図面を簡略化するために、モールド樹脂40の図示は省略している。
【0122】
ここでは、第1接続部12aと第2接続部21aとは、厚みは同じである。よって、接触部12a1,21a1及び非接触部12a2,21a2は、第1接続部12aと第2接続部21aにおける他の部分よりも幅(並列方向の長さ)が狭く形成されている。
【0123】
換言すると、非接触部12a2,21a2を電流が流れる方向に垂直な方向から切断した断面の面積(断面積)と、接触部12a1,21a1を同一方向から切断した断面の面積(断面積)とは同じである。さらに、接触部12a1,21a1及び非接触部12a2,21a2の断面積は、第1接続部12aと第2接続部21aにおける他の部分を電流が流れる方向に垂直な方向から切断した断面の面積(断面積)よりも狭く形成されている。
【0124】
このようにすることで、接触部12a1,21a1及び非接触部12a2,21a2における電流密度を大きくすることができ、斥力を大きくすることができる。よって、過電流が流れたときに、第1接続部12aと第2接続部21aとを切断しやすくすることができる。
【0125】
(変形例11)
また、例えば、図14に示す変形例11における半導体装置のように、非接触部12a2,21a2は、少なくとも一部に切り込みを入れられた上アーム側切込部12a5,下アーム側切込部21a5を有するようにしてもよい。なお、図14においては、図面を簡略化するために、モールド樹脂40の図示は省略している。
【0126】
この上アーム側切込部12a5は、非接触部12a2の一部が第1接続部12aの厚み方向に切り込まれた部位である。なお、上アーム側切込部12a5は、第1接続部12aと第2接続部21aとが対向する方向に周辺よりも凹んだ凹部とも言い換えることができる。
【0127】
同様に、下アーム側切込部21a5は、非接触部21a2の一部が第2接続部21aの厚み方向に切り込まれた部位である。なお、下アーム側切込部21a5は、第1接続部12aと第2接続部21aとが対向する方向に周辺よりも凹んだ凹部とも言い換えることができる。
【0128】
また、ここでは、第1接続部12aと第2接続部21aとは、厚みは同じである。よって、非接触部12a2,21a2における上アーム側切込部12a5,下アーム側切込部21a5が形成された部分の断面積(第1接続部12aと第2接続部21aの厚み方向に切断した際の断面の面積)は、非接触部12a2,21a2における他の部分よりも小さく形成されている。つまり、上アーム側切込部12a5を電流が流れる方向に垂直な方向から切断した断面の面積(断面積)は、非接触部12a2における他の部分を同一方向から切断した断面の面積(断面積)よりも狭く形成されている。同様に、下アーム側切込部21a5を電流が流れる方向に垂直な方向から切断した断面の面積(断面積)は、非接触部21a2における他の部分を同一方向から切断した断面の面積(断面積)よりも狭く形成されている。
【0129】
このようにすることで、過電流が流れたときに、非接触部12a2,21a2における上アーム側切込部12a5,下アーム側切込部21a5で切断しやすくすることができる。
【0130】
(変形例12)
また、上述の実施形態及び変形例1〜11では、第1接続部12aの接触部12a1、非接触部12a2、及び第2接続部21aの接触部21a1、非接触部21a2が、第1金属体12と第4金属体22との対向領域、及び第2金属体21と第3金属体11との対向領域外に配置された例を採用した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。
【0131】
図15(a)に示す変形例12における半導体装置のように、第1接続部12aの接触部12a1、非接触部12a2が第1金属体12と第4金属体22との対向領域に配置されるようにしてもよい。同様に、第2接続部21aの接触部21a1、非接触部21a2が、第2金属体21と第3金属体11との対向領域に配置されるようにしてもよい。換言すると、第1接続部12aの接触部12a1、非接触部12a2、及び第2接続部21aの接触部21a1、非接触部21a2は、第1仮想平面と第2仮想平面に挟まれた領域に配置されるようにしてもよい。
【0132】
この場合、モールド樹脂40は、図15(b)に示すように、開口部60が設けられている。そして、接触部12a1,21a1及び非接触部12a2,21a2は、モールド樹脂40に設けられた開口部60に配置される。このように、接触部12a1,21a1及び非接触部12a2,21a2は、開口部60からモールド樹脂40の外部に露出するようにしてもよい。このようにすることによっても、上述の実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0133】
(変形例13)
また、図16に示す変形例13における半導体装置のように、接触部12a1,21a1間の間隔を非接触部12a2,21a2間の間隔よりも狭くするようにしてもよい。このようにすることによっても、過電流が流れたときに、第1接続部12aの接触部12a1と第2接続部21aの接触部21a1とを切断しやすくすることができる。
【0134】
なお、これまで説明した実施形態、変形例1〜13は、単独で実施することも可能であるが、適宜組み合わせて実施することも可能である。
【0135】
この変形例13は、上述の実施形態と組み合わせて実施することも可能である。つまり、図1に示す半導体装置において、接触部12a1,21a1間の間隔を非接触部12a2,21a2間の間隔よりも狭くするようにしてもよい。換言すると、図16に示す変形例13では、第1接続部12aと第2接続部21aとが積層方向(Y軸方向)に並んだ状態において、接触部12a1,21a1間の間隔を非接触部12a2,21a2間の間隔よりも狭くする例を採用した。しかしながら、第1接続部12aと第2接続部21aとが積層方向に直交する方向(X軸方向)に並んだ状態において、接触部12a1,21a1間の間隔を非接触部12a2,21a2間の間隔よりも狭くするようにしてもよい。このようにすることによって、絶縁シート50を設ける必要がない。
【0136】
なお、上述の実施形態、変形例1〜13は、単独で実施することも可能であるが、適宜組み合わせて実施することも可能である。
【符号の説明】
【0137】
10 上アーム回路部(第1半導体部材)、11 上アーム側ヒートシンク(第2金属体)、11a 外部リード(P端子)、12 上アーム側ヒートシンク(第1金属体)、12a 上アーム側上下アーム接続部(第1接続部)、12a1 上アーム側接触部(接触部)、12a2 上アーム側非接触部(非接触部)、13 半導体素子(第1半導体素子)、14 ターミナル、15 ボンディングワイヤ、16 信号端子、20 下アーム回路部(第2半導体部材)、21 下アーム側ヒートシンク(第2金属体)、21a 下アーム側上下アーム接続部(第2接続部)、21a1 下アーム側接触部(接触部)、21a2 下アーム側非接触部(非接触部)、21b 外部リード(O端子)、22 下アーム側ヒートシンク(第4金属体)、22a 外部リード(N端子)、23 半導体素子(第2半導体素子)、24 ターミナル、25 ボンディングワイヤ、26 信号端子、10a 上アーム(第1半導体部材)、20a 下アーム(第2半導体部材)、12a3 上アーム側貫通孔、21a3 下アーム側貫通孔、12a4 上アーム側屈曲部、21a4 下アーム側屈曲部、12a5 上アーム側切込部、21a5 下アーム側切込部、30 はんだ、40 モールド樹脂、50 絶縁シート、60 開口部、100 半導体装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両面に電極を備えた第1半導体素子(13)と、
前記第1半導体素子(13)の各電極に夫々接続され、当該第1半導体素子(13)の放熱部材として機能する一対の金属体(11,12)と、を有する第1半導体部材(10,10a)と、
両面に電極を備えた第2半導体素子(23)と、
前記第2半導体素子(23)の各電極に夫々接続され、当該第2半導体素子(23)の放熱部材として機能する一対の金属体(21,22)と、を有する第2半導体部材(20,20a)と、
前記第1半導体部材(10,10a)を一体的にモールドするとともに、前記第2半導体部材(20,20a)を一体的にモールドするモールド樹脂(40)と、を備え、
前記第1半導体部材(10,10a)の金属体(11,12)における一方の金属体である第1金属体と、前記第2半導体部材(20,20a)の金属体(21,22)における一方の金属体である第2金属体とが電気的に接続された半導体装置であって、
前記第1半導体部材(10,10a)の第1金属体に設けられた第1接続部(12a)と、
前記第2半導体部材(20,20a)の第2金属体に設けられた第2接続部(21a)と、を備え、
前記第1接続部(12a)と前記第2接続部(21a)とは、前記モールド樹脂(40)から露出した位置において互いに対向して配置された対向部を有し、
前記第1接続部(12a)と前記第2接続部(21a)における各対向部は、
互いに電気的及び機械的に接続された接触部(12a1,21a1)と、
互いに接触しておらず、互いに流れる電流の向きが逆方向となることで互いに斥力が働く非接触部(12a2,21a2)と、
を含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第1半導体部材(10a)と前記第2半導体部材(20a)とは、前記モールド樹脂(40)によって、別体としてモールドされていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1半導体部材(10)と前記第2半導体部材(20)とは、前記モールド樹脂(40)によって、一体的にモールドされていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記モールド樹脂(40)は、開口部(60)を有し、
前記接触部(12a1,21a1)及び前記非接触部(12a2,21a2)は、前記開口部(60)に配置されることで、前記モールド樹脂(40)から露出していることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記モールド樹脂(40)の端部に位置する前記非接触部(12a2,21a2)間には、絶縁部材(50)が配置されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記接触部(12a1,21a1)にて接続された前記第1接続部(12a)と前記第2接続部(21a)とは、前記第1半導体部材(10,10a)と前記第2半導体部材(20,20a)の出力端子をなすことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1接続部(12a)と前記第2接続部(21a)は、前記接触部(12a1,21a1)にのみ、当該接触部(12a1,21a1)が対向する方向に貫通する貫通孔(12a3,21a3)が形成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記非接触部(12a2,21a2)を電流が流れる方向に垂直な方向から切断した断面の面積は、前記接触部(12a1,21a1)を同一方向から切断した断面の面積よりも広いことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記非接触部(12a2,21a2)を電流が流れる方向に垂直な方向から切断した断面の面積と、前記接触部(12a1,21a1)を同一方向から切断した断面の面積とは同じであり、且つ、当該非接触部(12a2,21a2)の断面の面積及び当該接触部(12a1,21a1)の断面の面積は、前記第1接続部(12a)と前記第2接続部(21a)における他の部分を電流が流れる方向に垂直な方向から切断した断面の面積よりも狭いことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記非接触部(12a2,21a2)は、少なくとも一部に切り込みを入れられた部分(12a5,21a5)を有することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第1半導体部材(10,10a)と前記第2半導体部材(20,20a)は、前記第1半導体素子(13)と一対の金属体(11,12)との積層方向と、前記第2半導体素子(23)と一対の金属体(21,22)との積層方向とが平行となるように配置され、
前記第2接続部(21a)が設けられた前記第2金属体と、前記第1半導体部材(10,10a)の前記第1接続部(12a)が設けられていない第3金属体とが同一平面上に設けられ、
前記第1接続部(12a)が設けられた前記第1金属体と、前記第2半導体部材(20,20a)の前記第2接続部(21a)が設けられていない第4金属体とが同一平面上に設けられ、
前記第1接続部(12a)は、
前記第1金属体と前記第4金属体との対向領域外に配置された前記接触部(12a1)及び前記非接触部(12a2)に加えて、
前記第1金属体と前記第4金属体との対向領域に配置され、当該第1半導体部材(10,10a)と当該第2半導体部材(20,20a)の配置方向に対して平行且つ斜めに配置された屈曲部(12a4)を含み、
前記第2接続部(21a)は、
前記第2金属体と前記第3金属体との対向領域外に配置された前記接触部(21a1)及び前記非接触部(21a2)に加えて、
前記第2金属体と前記第3金属体との対向領域に配置され、当該第1半導体部材(10,10a)と当該第2半導体部材(20,20a)の配置方向に対して平行且つ斜めに配置された屈曲部(21a4)を含むことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第1金属体と前記第1接続部(12a)とは別部材からなり、前記第2金属体と前記第2接続部(21a)とは別部材からなることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記接触部(12a1,21a1)間の間隔は、前記非接触部(12a2,21a2)間の間隔よりも狭いことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−101993(P2013−101993A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243634(P2011−243634)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】