半導体製造装置
【課題】
プロセステーブル等、気密容器に収納される基板載置台に傾斜が発生しない様にした昇降機構を具備する半導体製造装置を提供する。
【解決手段】
基板処理室30と、該基板処理室内に設けられ基板25を保持する基板載置台31と、該基板載置台に連結され昇降可能な昇降ベース64と、該昇降ベースを昇降させる昇降駆動部66,67,68と、該昇降駆動部と前記昇降ベースを連結する連結部材69とを具備し、該連結部材は前記昇降ベースに少なくとも傾斜方向の自由度を有する様に連結された。
プロセステーブル等、気密容器に収納される基板載置台に傾斜が発生しない様にした昇降機構を具備する半導体製造装置を提供する。
【解決手段】
基板処理室30と、該基板処理室内に設けられ基板25を保持する基板載置台31と、該基板載置台に連結され昇降可能な昇降ベース64と、該昇降ベースを昇降させる昇降駆動部66,67,68と、該昇降駆動部と前記昇降ベースを連結する連結部材69とを具備し、該連結部材は前記昇降ベースに少なくとも傾斜方向の自由度を有する様に連結された。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコンウェーハ、ガラス基板等の基板の表面に薄膜の生成、エッチング等の処理を行い半導体デバイスを製造する半導体製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体製造装置、例えば基板を一枚ずつ処理する枚葉式の半導体製造装置では、基板の移載過程で基板の昇降動を伴う。従って、基板が載置される部位、例えば、処理室のテーブルは昇降可能となっており、処理室はテーブルを昇降させる為の昇降機構を具備している。
【0003】
図7、図8に於いて、昇降機構を具備した従来の半導体製造装置を説明する。
【0004】
図7中、1は処理室を示し、該処理室1には搬送室2がゲートバルブ3を介して気密に連設されている。前記処理室1にはガスバルブ4を有するガス供給ライン5が接続され、該ガス供給ライン5を介して所定流量で反応ガス或はパージガスが導入される様になっている。又、前記処理室1には、排気バルブ6、真空ポンプ7を有する排気ライン8が接続され、該排気ライン8により前記処理室1内が真空引され、或は基板処理中所定の処理圧に保持される様排気する様になっている。
【0005】
以下、前記処理室1について概略を説明する。
【0006】
気密容器である真空容器9の下側には、上固定ベース11が取付けられ、該上固定ベース11に所要本数(図示では4本)のガイドシャフト12を介して下固定ベース13が取付けられ、前記ガイドシャフト12に昇降ベース14がスライド軸受15を介して昇降自在に設けられている。前記昇降ベース14には前記ガイドシャフト12と平行に設けられたボール螺子16がナットブロック17を介して螺合し、前記ボール螺子16は減速機付昇降モータ18により回転され、該減速機付昇降モータ18により前記ボール螺子16を回転させることで、前記昇降ベース14が昇降する様になっている。
【0007】
該昇降ベース14に前記真空容器9の底部を貫通する支柱19が立設され、該支柱19の上端にはプロセステーブル22が取付けられている。前記真空容器9の下面と前記昇降ベース14の上面間には前記支柱19と同心のベローズ21が設けられ、前記支柱19と前記真空容器9の底部との貫通箇所を気密にシールしている。
【0008】
該真空容器9の底面には基板支持ピン23が少なくとも3本立設され、該基板支持ピン23は前記プロセステーブル22を貫通可能であり、該プロセステーブル22が降下状態で該プロセステーブル22の上面から上端が突出する様になっている。
【0009】
前記搬送室2の内部には基板搬送ロボット24が設けられ、該基板搬送ロボット24によって前記ゲートバルブ3を通して前記プロセステーブル22に基板25が移載される様になっている。
【0010】
基板25の処理について概略を説明する。
【0011】
前記減速機付昇降モータ18により前記ボール螺子16が回転され、前記ナットブロック17がボール螺子16に対して降下し、前記昇降ベース14、前記ナットブロック17、前記支柱19を介して前記プロセステーブル22が降下される。
【0012】
該プロセステーブル22の降下状態では、前記基板支持ピン23が突出しており、前記基板搬送ロボット24により基板25が真空容器9内に搬入され、前記基板支持ピン23上に前記基板25が載置される。前記基板搬送ロボット24が退出し、前記ゲートバルブ3が閉じられ、前記減速機付昇降モータ18が前記プロセステーブル22を上昇させ、前記基板25が前記プロセステーブル22上に載置される。
【0013】
前記基板25が加熱され、或は真空容器9内にプラズマが発生され、前記ガス供給ライン5より反応ガスが導入され、前記排気ライン8により前記真空容器9内が処理圧に保持され、前記基板25表面に所要の処理がなされる。
【0014】
処理後、前記真空容器9内がガスパージされ、前記減速機付昇降モータ18により前記プロセステーブル22が降下され、前記基板25が前記基板支持ピン23に支持される。前記ゲートバルブ3が開かれ、前記基板搬送ロボット24により前記基板25が搬出される。
【0015】
上記した様に、基板25を処理する工程で前記プロセステーブル22の昇降動作が伴い、基板処理、基板搬送の信頼性を向上させる為、高精度な繰返し精度が必要である。又、前記プロセステーブル22が収納される真空容器9内は大気圧と真空との圧力が変化し、一方前記昇降ベース14は大気雰囲気内に収納される。この為、前記真空容器9内が大気雰囲気の場合は、前記昇降ベース14には前記プロセステーブル22、前記昇降ベース14等構造物の自重による荷重F0が作用し(図9参照)、前記真空容器9内が真空状態の場合は、前記昇降ベース14には圧力差による上向きの荷重F1、及び前記プロセステーブル22、前記昇降ベース14等構造物の自重F0による荷重が作用する。
【0016】
又、前記F0と前記F1とを比較すると、一般的にはF1はF0に対して数倍となる。前記真空容器9を大気圧から真空(又は処理圧)に変化させると、前記支柱19を介し前記昇降ベース14の中央には上向きの大きな力が作用し、該昇降ベース14には前記ナットブロック17を支点とする大きな回転モーメントM(=S(F1−F0))が発生する。
【0017】
前記ガイドシャフト12と前記スライド軸受15間には、僅かではあるがクリアランスが存在し、前記回転モーメントMが作用することで、前記昇降ベース14にはクリアランス分だけ傾斜θが生じる。傾斜θは、前記昇降ベース14とプロセステーブル22間の高さをHとすると、該プロセステーブル22の水平方向の変位E(図11参照)となって現れる。従って、前記プロセステーブル22に対し変位E分だけの搬送ズレを生じ、又前記基板支持ピン23と前記プロセステーブル22間での干渉を引起す虞れがある。
【0018】
又、該プロセステーブル22の位置調整等の作業は、前記真空容器9が開放された大気圧状態で行われ、前記真空容器9が真空状態での、前記プロセステーブル22の位置ズレ、傾斜を特定することは困難である。この為、前記真空容器9が真空状態での前記プロセステーブル22の位置ズレ、傾斜を見込んで該プロセステーブル22の位置調整等を行うことは難しく、該プロセステーブル22の位置精度の向上には限界があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は斯かる実情に鑑み、プロセステーブル等、気密容器に収納される昇降体が気密容器に圧力の変動があった場合にも、圧力変動により昇降体に回転モーメント、傾斜が発生しない様にした昇降機構を具備する半導体製造装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、基板処理室と、該基板処理室内に設けられ基板を保持する基板載置台と、該基板載置台に連結され昇降可能な昇降ベースと、該昇降ベースを昇降させる昇降駆動部と、該昇降駆動部と前記昇降ベースを連結する連結部材とを具備し、該連結部材は前記昇降ベースに少なくとも傾斜方向の自由度を有する様に連結された半導体製造装置に係るものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、基板処理室と、該基板処理室内に設けられ基板を保持する基板載置台と、該基板載置台に連結され昇降可能な昇降ベースと、該昇降ベースを昇降させる昇降駆動部と、該昇降駆動部と前記昇降ベースを連結する連結部材とを具備し、該連結部材は前記昇降ベースに少なくとも傾斜方向の自由度を有する様に連結されたので、前記昇降ベースに上下方向の外力が作用しても、前記連結部材と昇降ベース間に回転モーメントが生じることなく、前記昇降ベースが傾斜することが防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照しつつ本発明を実施する為の最良の形態を説明する。
【0023】
先ず、本発明が実施される半導体製造装置の一例を図1に於いて説明する。
【0024】
本発明に係る半導体製造装置は、電界と磁界により高密度プラズマを生成できる変形マグネトロン型プラズマ源(Modified Magnetron Typed Plasma Source)を用いてウェーハ等の基板をプラズマ処理する基板処理炉27を具備している。
【0025】
該基板処理炉27は、気密性を確保した基板処理室30に基板25を設置し、シャワープレート36を介して反応ガス41を前記基板処理室30に導入し、該基板処理室30をある一定の圧力に保ち、放電用電極に高周波電力を供給して電界を形成すると共に磁界をかけてマグネトロン放電を起こす。放電用電極から放出された電子がドリフトしながらサイクロイド運動を続けて周回することにより長寿命となって電離生成率を高めるので高密度プラズマを生成できる。この様に反応ガスを励起分解させて基板表面を酸化し又は窒化等の拡散処理を行い、又は基板表面に薄膜を生成し、又は基板表面をエッチングする等、基板25へ各種のプラズマ処理を施すことができる。
【0026】
以下、図1に沿って具体的に説明する。
【0027】
第2の容器である下側容器28と、該下側容器28の上に被せられる第1の容器である上側容器29とから前記基板処理室30が形成されている。前記上側容器29はドーム型の酸化アルミニウム又は石英で形成されており、前記下側容器28はアルミニウムで形成されている。又後述するヒータ一体型の基板載置台であるサセプタ31を窒化アルミニウムや、セラミックス又は石英で構成することによって、処理の際に膜中に取り込まれる金属汚染を低減している。
【0028】
前記上側容器29の上部にはガス分散空間であるバッファ室32を形成するシャワーヘッド33が設けられ、該シャワーヘッド33の上壁にはガス導入用の導入口であるガス導入口34が設けられ、下壁はガスを噴出する噴出孔であるガス噴出孔35を有する前記シャワープレート36からなっている。前記ガス導入口34は、ガスを供給する供給管であるガス供給管37により開閉弁であるバルブ38、流量制御手段であるマスフローコントローラ39を介して反応ガスの供給源(図示せず)が接続されている。
【0029】
前記シャワーヘッド33から反応ガス41が前記基板処理室30に供給され、又、前記サセプタ31の周囲から前記基板処理室30の底方向へ基板処理後のガスが流れる様に前記下側容器28の側壁にガスを排気する排気口であるガス排気口42が設けられている。該ガス排気口42はガスを排気する排気管であるガス排気管43により圧力調整器44、開閉弁45を介して排気装置である真空ポンプ46に接続されている。
【0030】
供給される反応ガス41を励起させる放電手段として断面が筒状であり、好ましくは円筒状の第1の電極である筒状電極47が前記上側容器29の外周に設けられる。前記筒状電極47は前記基板処理室30内のプラズマ生成領域48を囲んでいる。前記筒状電極47にはインピーダンスの整合を行う整合器49を介して高周波電力を印加する高周波電源51が接続されている。
【0031】
又、断面が筒状であり、好ましくは円筒状の磁界形成手段(永久磁石)52を用いることができる。該磁界形成手段52は、前記筒状電極47の内周面に沿って円筒軸方向に磁力線を形成する様になっている。
【0032】
前記基板処理室30の底側中央には、基板であるウェーハ25を保持する為の基板保持手段として前記サセプタ31が配置され、該サセプタ31はウェーハ25を加熱できる様になっている。前記サセプタ31は、例えば窒化アルミニウムで構成され、内部に加熱手段としてのヒータ(図中省略)が一体的に埋込まれている。該ヒータは高周波電力が印加されてウェーハ25を500℃程度に迄加熱できる様になっている。
【0033】
又、前記サセプタ31の内部には、インピーダンスを可変する為の電極である第2の電極が装備されており、該第2の電極はインピーダンス可変機構53を介して接地されている。該インピーダンス可変機構53は、コイルや可変コンデンサから構成され、コイルのパターン数や可変コンデンサの容量値を制御することによって、上記電極及び前記サセプタ31を介してウェーハ25の電位を制御できる様になっている。
【0034】
前記筒状電極47及び前記磁界形成手段52の周囲には、前記筒状電極47及び前記磁界形成手段52で形成される電界や磁界を外部環境や他処理炉等の装置に悪影響を及ぼさない様に、電界や磁界を有効に遮蔽する遮蔽板54が設けられている。
【0035】
前記サセプタ31は前記下側容器28と絶縁され、前記サセプタ31を昇降させる昇降手段であるサセプタ昇降機構55が設けられている。又前記サセプタ31は貫通孔56を有し、前記下側容器28底面にはウェーハ25を突上げる為の基板突上手段である基板支持ピン57が少なくとも3箇所に設けられている。前記サセプタ昇降機構55により前記サセプタ31が下降させられた時には前記基板支持ピン57が前記サセプタ31と非接触な状態で前記貫通孔56を挿通可能となっている。
【0036】
又、前記下側容器28の側壁には仕切弁となるゲートバルブ58が設けられ、該ゲートバルブ58を介して図示しない搬送室が連設されており、前記ゲートバルブ58が開いている時には図中省略の搬送手段により前記基板処理室30へウェーハ25が搬入、又は搬出され、閉まっている時には前記基板処理室30を気密に閉じることができる。
【0037】
又、制御手段であるコントローラ59は前記高周波電源51、前記整合器49、前記バルブ38、前記マスフローコントローラ39、前記圧力調整器44、前記開閉弁45、前記真空ポンプ46、前記サセプタ昇降機構55、前記ゲートバルブ58、前記サセプタ31に埋込まれたヒータに高周波電力を印加する高周波電源と接続され、それぞれを制御している。
【0038】
以下、ウェーハ25表面を、又はウェーハ25上に生成された下地膜の表面に所定のプラズマ処理する方法について説明する。
【0039】
ウェーハ25は、前記基板処理室30の外部から搬送手段(図示せず)によって前記基板処理室30に搬入され、前記サセプタ31上に搬送される。この搬送動作の詳細は、先ず前記サセプタ31が下った状態になっており、前記基板支持ピン57の先端が前記サセプタ31の貫通孔56を通過して前記サセプタ31表面よりも所定の高さ分だけ突き出された状態で、前記下側容器28に設けられたゲートバルブ58が開き、図中省略の搬送手段によってウェーハ25を前記基板支持ピン57の先端に載置し、搬送手段は前記基板処理室30外へ退避すると、前記ゲートバルブ58が閉まり、前記サセプタ31が前記サセプタ昇降機構55により上昇すると、前記サセプタ31上面にウェーハ25を載置することができ、更にウェーハ25を処理する位置迄上昇する。
【0040】
前記サセプタ31に埋込まれたヒータは予め加熱されており、搬入されたウェーハ25を室温〜500℃の範囲内でウェーハ処理温度に加熱する。前記真空ポンプ46、及び圧力調整器44を用いて前記基板処理室30の圧力を0.1〜100Paの範囲内に維持する。
【0041】
ウェーハ25を処理温度に加熱し、前記ガス導入口34から前記シャワープレート36のガス噴出孔35を介して、反応ガス(例えば、N2 ,O2 ,NH3 ,NF3 ,PH3 )を前記ウェーハ25の上面(処理面)に向けて分散して導入する。この時のガス流量は100〜1000sccmの範囲である。同時に前記筒状電極47に前記高周波電源51から前記整合器49を介して高周波電力を印加する。印加する電力は、100〜500Wの範囲内の出力値を投入する。前記インピーダンス可変機構53は予め所望のインピーダンス値に制御しておく。
【0042】
前記磁界形成手段52の磁界の影響を受けてマグネトロン放電が発生し、ウェーハ25の上方空間に電荷をトラップしてプラズマ生成領域48に高密度プラズマが生成される。生成された高密度プラズマにより、前記サセプタ31上のウェーハ25の表面にプラズマ処理が施される。表面処理が終わったウェーハ25は、図示しない搬送手段を用いて、基板搬入と逆の手順で前記基板処理室30外へ搬送される。
【0043】
尚、前記コントローラ59により前記高周波電源51の電力ON・OFF、前記整合器49の調整、前記バルブ38の開閉、前記マスフローコントローラ39の流量、前記圧力調整器44の弁開度、前記開閉弁45の開閉、前記真空ポンプ46の起動・停止、前記サセプタ昇降機構55の昇降動作、前記ゲートバルブ58の開閉、前記サセプタ31のヒータに高周波電力を印加する高周波電源(図示せず)への電力ON・OFFをそれぞれを制御している。
【0044】
次に、前記サセプタ昇降機構55について、図2〜図5を参照して説明する。
【0045】
尚、図2〜図5中、図1中で示したものと同一のものには同符号を付してある。
【0046】
下側容器28の下側には、上固定ベース61が取付けられ、該上固定ベース61に所要本数(図示では4本)のガイドシャフト62が同一円周上に等間隔で配設され、該ガイドシャフト62を介して下固定ベース63が取付けられ、前記ガイドシャフト62に昇降ベース64がスライド軸受65を介して昇降自在に設けられている。
【0047】
前記下固定ベース63には減速機付昇降モータ68が取付けられ、該減速機付昇降モータ68からは出力軸に連結された螺子シャフト、例えばボール螺子66が前記ガイドシャフト62と平行に立設されている。前記昇降ベース64には逃げ孔70が穿設され、前記ボール螺子66は前記逃げ孔70を非接触で貫通している。前記減速機付昇降モータ68、前記ボール螺子66、ナットブロック67等は昇降駆動部を構成している。
【0048】
前記ボール螺子66にはナットブロック67が螺合し、該ナットブロック67からは連結部材である連結アーム69が水平方向に延出し、該連結アーム69の先端は連結具であるフローティングジョイント71を介して前記昇降ベース64の下面中央に連結されている。前記フローティングジョイント71は、例えば球体を介して前記連結アーム69と前記昇降ベース64とを連結するものであり、該昇降ベース64と前記連結アーム69とが任意な方向に傾斜可能、即ち任意な方向の傾斜自由度を有するものである。
【0049】
尚、該連結アーム69の傾斜方向は特定されるので、該連結アーム69と前記昇降ベース64とはピンを介して枢着し、前記連結アーム69に直角な中心線を中心に傾斜可能としてもよい。
【0050】
ここで、前記フローティングジョイント71による連結位置(作用点)は、前記昇降ベース64、支柱72、前記サセプタ31の昇降部の自重、前記基板処理室30が減圧状態での上向きの力を勘案した重心位置を通過する鉛直線(即ちF0とF1の合力、即ち前記昇降ベース64に作用する外力の作用線)上にあることが好ましい。
【0051】
前記ナットブロック67は前記連結アーム69が前記昇降ベース64に連結されることで回止めされ、前記連結アーム69と前記昇降ベース64間は前記フローティングジョイント71により相対的な傾斜が可能となっている。
【0052】
前記昇降ベース64に前記下側容器28の底部を貫通する支柱72が立設され、該支柱72の上端には前記サセプタ31が取付けられている。前記下側容器28の下面と前記昇降ベース64の上面間には前記支柱72と同心のベローズ73が設けられ、前記支柱72と前記下側容器28の底部との貫通箇所を気密にシールしている。
【0053】
該下側容器28の底面には前記基板支持ピン57が少なくとも3本立設され、該基板支持ピン57は前記サセプタ31を貫通可能であり、該サセプタ31が降下状態で該サセプタ31の上面から上端が突出する様になっている。
【0054】
前記下側容器28にゲートバルブ58を介して気密に連設された搬送室73の内部には基板搬送ロボット74が設けられ、該基板搬送ロボット74によって前記ゲートバルブ58を通して前記サセプタ31にウェーハ25が移載される様になっている。
【0055】
以下、ウェーハ25の処理に伴うサセプタ昇降機構55の作動について説明する。
【0056】
前記減速機付昇降モータ68により前記ボール螺子66が回転され、前記ナットブロック67が前記ボール螺子66に対して降下し、前記連結アーム69、前記フローティングジョイント71を介して前記昇降ベース64が下降し、前記支柱72を介して前記サセプタ31が降下される。
【0057】
該サセプタ31の降下状態では、前記基板支持ピン57が前記サセプタ31の上面より突出しており、前記基板搬送ロボット74によりウェーハ25が前記下側容器28内に搬入され、前記基板支持ピン57上に前記ウェーハ25が載置される。前記基板搬送ロボット74が前記基板処理室30から退出し、前記ゲートバルブ58が閉じられ、前記減速機付昇降モータ68が前記サセプタ31を上昇させ、前記ウェーハ25が前記サセプタ31上に載置される。
【0058】
前記ウェーハ25が前記サセプタ31により加熱され、前記基板処理室30にプラズマが生成され、前記ガス供給管37より反応ガス41が導入され、前記ガス排気管43により前記基板処理室30内が排気され、該基板処理室30が処理圧に保持され、前記ウェーハ25表面に所要の処理がなされる。
【0059】
処理後、前記基板処理室30がガスパージされ、前記減速機付昇降モータ68により前記サセプタ31が降下され、前記ウェーハ25が前記基板支持ピン57に支持される。前記ゲートバルブ58が開かれ、前記基板搬送ロボット74により前記ウェーハ25が搬出される。
【0060】
前記基板処理室30が大気圧の場合は、前記連結アーム69には前記フローティングジョイント71を介して前記サセプタ31、支柱72等の自重による荷重F0が作用する(図4参照)。又、前記基板処理室30が処理圧、或は真空等減圧状態では、前記基板処理室30と下側容器28外部の雰囲気圧力(例えば大気圧)との差圧分に起因する上向きの力F1が前記昇降ベース64に作用する。
【0061】
上記した様に、荷重F0と上向き力F1とを比較すると、一般的にはF1はF0に対して数倍となり、前記下側容器28を大気圧から真空(又は処理圧)に変化させると、前記支柱72を介し前記昇降ベース64には上向きの大きな力が作用し、該上向き力は前記フローティングジョイント71を介して前記連結アーム69、更にナットブロック67に伝達される。該ナットブロック67は上下方向の変位を拘束されているので、前記連結アーム69は前記ナットブロック67と前記ボール螺子66間のクリアランス分だけ傾斜する。又、前記連結アーム69の傾斜により前記昇降ベース64は上昇方向に0.1mm〜0.2mm程度の変位hが生じるが、実用上問題となることはない(図5参照)。
【0062】
前記フローティングジョイント71は前記昇降ベース64と前記連結アーム69とを回転自在に連結するので、前記昇降ベース64と前記連結アーム69との連結部で回転モーメントは発生しない。従って、前記昇降ベース64はフローティングジョイント71部分には下向きの反力が作用するが、回転力の反力は発生しないので、前記昇降ベース64は傾斜しない。
【0063】
図6は、上記した連結アーム69の変更例を示している。
【0064】
該連結アーム69は2股形状をしており、該連結アーム69は先端2箇所でフローティングジョイント71を介して前記昇降ベース64と連結される。該変更例でも、上記した実施の形態と同様な作用効果が得られる。該変更例では、昇降ベース64の中心部直下に構造物がある場合等、連結箇所を昇降ベース64の中心部直下に設けられない場合等に有効である。この場合、2箇所のフローティングジョイント71の合成作用点が、前記昇降ベース64に作用する外力の作用線上に一致していればよい。
【0065】
尚、上記実施の形態では、ガイドシャフト62を4本設けたが、重量バランスが保てる配置(例えば対称な配置)で、2本、3本等所要本数設けてもよい。又、上記実施の形態ではサセプタの昇降機構について述べたが、サセプタに限らず、昇降部に荷重が作用する場合に実施可能であることは言う迄もない。
【0066】
又、フローティングジョイントの他の例としては、連結アーム69の先端をピンを介して昇降ベース64に回転自在に連結する。或は、連結アーム69の先端を昇降ベース64に固着し、基端をナットブロック67に回転自在に連結する等が挙げられる。要は、ナットブロック67と昇降ベース64とが相対角度変位可能な構造となっていればよい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施の形態を示す要部断面図である。
【図2】本発明の実施の形態に於ける昇降機構の要部断面図である。
【図3】図2のA−A矢視図である。
【図4】前記昇降機構部分の説明図である。
【図5】前記昇降機構部分の説明図である。
【図6】昇降機構の変更例を示す部分図である。
【図7】従来例の要部断面図である。
【図8】図7のB−B矢視図である。
【図9】従来例の昇降機構部分の説明図である。
【図10】従来例の昇降機構部分の説明図である。
【図11】従来例の作用の説明図である。
【符号の説明】
【0068】
25 ウェーハ
27 基板処理炉
30 基板処理室
31 サセプタ
55 サセプタ昇降機構
62 ガイドシャフト
64 昇降ベース
65 スライド軸受
66 ボール螺子
67 ナットブロック
68 減速機付昇降モータ
69 連結アーム
71 フローティングジョイント
72 支柱
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコンウェーハ、ガラス基板等の基板の表面に薄膜の生成、エッチング等の処理を行い半導体デバイスを製造する半導体製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体製造装置、例えば基板を一枚ずつ処理する枚葉式の半導体製造装置では、基板の移載過程で基板の昇降動を伴う。従って、基板が載置される部位、例えば、処理室のテーブルは昇降可能となっており、処理室はテーブルを昇降させる為の昇降機構を具備している。
【0003】
図7、図8に於いて、昇降機構を具備した従来の半導体製造装置を説明する。
【0004】
図7中、1は処理室を示し、該処理室1には搬送室2がゲートバルブ3を介して気密に連設されている。前記処理室1にはガスバルブ4を有するガス供給ライン5が接続され、該ガス供給ライン5を介して所定流量で反応ガス或はパージガスが導入される様になっている。又、前記処理室1には、排気バルブ6、真空ポンプ7を有する排気ライン8が接続され、該排気ライン8により前記処理室1内が真空引され、或は基板処理中所定の処理圧に保持される様排気する様になっている。
【0005】
以下、前記処理室1について概略を説明する。
【0006】
気密容器である真空容器9の下側には、上固定ベース11が取付けられ、該上固定ベース11に所要本数(図示では4本)のガイドシャフト12を介して下固定ベース13が取付けられ、前記ガイドシャフト12に昇降ベース14がスライド軸受15を介して昇降自在に設けられている。前記昇降ベース14には前記ガイドシャフト12と平行に設けられたボール螺子16がナットブロック17を介して螺合し、前記ボール螺子16は減速機付昇降モータ18により回転され、該減速機付昇降モータ18により前記ボール螺子16を回転させることで、前記昇降ベース14が昇降する様になっている。
【0007】
該昇降ベース14に前記真空容器9の底部を貫通する支柱19が立設され、該支柱19の上端にはプロセステーブル22が取付けられている。前記真空容器9の下面と前記昇降ベース14の上面間には前記支柱19と同心のベローズ21が設けられ、前記支柱19と前記真空容器9の底部との貫通箇所を気密にシールしている。
【0008】
該真空容器9の底面には基板支持ピン23が少なくとも3本立設され、該基板支持ピン23は前記プロセステーブル22を貫通可能であり、該プロセステーブル22が降下状態で該プロセステーブル22の上面から上端が突出する様になっている。
【0009】
前記搬送室2の内部には基板搬送ロボット24が設けられ、該基板搬送ロボット24によって前記ゲートバルブ3を通して前記プロセステーブル22に基板25が移載される様になっている。
【0010】
基板25の処理について概略を説明する。
【0011】
前記減速機付昇降モータ18により前記ボール螺子16が回転され、前記ナットブロック17がボール螺子16に対して降下し、前記昇降ベース14、前記ナットブロック17、前記支柱19を介して前記プロセステーブル22が降下される。
【0012】
該プロセステーブル22の降下状態では、前記基板支持ピン23が突出しており、前記基板搬送ロボット24により基板25が真空容器9内に搬入され、前記基板支持ピン23上に前記基板25が載置される。前記基板搬送ロボット24が退出し、前記ゲートバルブ3が閉じられ、前記減速機付昇降モータ18が前記プロセステーブル22を上昇させ、前記基板25が前記プロセステーブル22上に載置される。
【0013】
前記基板25が加熱され、或は真空容器9内にプラズマが発生され、前記ガス供給ライン5より反応ガスが導入され、前記排気ライン8により前記真空容器9内が処理圧に保持され、前記基板25表面に所要の処理がなされる。
【0014】
処理後、前記真空容器9内がガスパージされ、前記減速機付昇降モータ18により前記プロセステーブル22が降下され、前記基板25が前記基板支持ピン23に支持される。前記ゲートバルブ3が開かれ、前記基板搬送ロボット24により前記基板25が搬出される。
【0015】
上記した様に、基板25を処理する工程で前記プロセステーブル22の昇降動作が伴い、基板処理、基板搬送の信頼性を向上させる為、高精度な繰返し精度が必要である。又、前記プロセステーブル22が収納される真空容器9内は大気圧と真空との圧力が変化し、一方前記昇降ベース14は大気雰囲気内に収納される。この為、前記真空容器9内が大気雰囲気の場合は、前記昇降ベース14には前記プロセステーブル22、前記昇降ベース14等構造物の自重による荷重F0が作用し(図9参照)、前記真空容器9内が真空状態の場合は、前記昇降ベース14には圧力差による上向きの荷重F1、及び前記プロセステーブル22、前記昇降ベース14等構造物の自重F0による荷重が作用する。
【0016】
又、前記F0と前記F1とを比較すると、一般的にはF1はF0に対して数倍となる。前記真空容器9を大気圧から真空(又は処理圧)に変化させると、前記支柱19を介し前記昇降ベース14の中央には上向きの大きな力が作用し、該昇降ベース14には前記ナットブロック17を支点とする大きな回転モーメントM(=S(F1−F0))が発生する。
【0017】
前記ガイドシャフト12と前記スライド軸受15間には、僅かではあるがクリアランスが存在し、前記回転モーメントMが作用することで、前記昇降ベース14にはクリアランス分だけ傾斜θが生じる。傾斜θは、前記昇降ベース14とプロセステーブル22間の高さをHとすると、該プロセステーブル22の水平方向の変位E(図11参照)となって現れる。従って、前記プロセステーブル22に対し変位E分だけの搬送ズレを生じ、又前記基板支持ピン23と前記プロセステーブル22間での干渉を引起す虞れがある。
【0018】
又、該プロセステーブル22の位置調整等の作業は、前記真空容器9が開放された大気圧状態で行われ、前記真空容器9が真空状態での、前記プロセステーブル22の位置ズレ、傾斜を特定することは困難である。この為、前記真空容器9が真空状態での前記プロセステーブル22の位置ズレ、傾斜を見込んで該プロセステーブル22の位置調整等を行うことは難しく、該プロセステーブル22の位置精度の向上には限界があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は斯かる実情に鑑み、プロセステーブル等、気密容器に収納される昇降体が気密容器に圧力の変動があった場合にも、圧力変動により昇降体に回転モーメント、傾斜が発生しない様にした昇降機構を具備する半導体製造装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、基板処理室と、該基板処理室内に設けられ基板を保持する基板載置台と、該基板載置台に連結され昇降可能な昇降ベースと、該昇降ベースを昇降させる昇降駆動部と、該昇降駆動部と前記昇降ベースを連結する連結部材とを具備し、該連結部材は前記昇降ベースに少なくとも傾斜方向の自由度を有する様に連結された半導体製造装置に係るものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、基板処理室と、該基板処理室内に設けられ基板を保持する基板載置台と、該基板載置台に連結され昇降可能な昇降ベースと、該昇降ベースを昇降させる昇降駆動部と、該昇降駆動部と前記昇降ベースを連結する連結部材とを具備し、該連結部材は前記昇降ベースに少なくとも傾斜方向の自由度を有する様に連結されたので、前記昇降ベースに上下方向の外力が作用しても、前記連結部材と昇降ベース間に回転モーメントが生じることなく、前記昇降ベースが傾斜することが防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照しつつ本発明を実施する為の最良の形態を説明する。
【0023】
先ず、本発明が実施される半導体製造装置の一例を図1に於いて説明する。
【0024】
本発明に係る半導体製造装置は、電界と磁界により高密度プラズマを生成できる変形マグネトロン型プラズマ源(Modified Magnetron Typed Plasma Source)を用いてウェーハ等の基板をプラズマ処理する基板処理炉27を具備している。
【0025】
該基板処理炉27は、気密性を確保した基板処理室30に基板25を設置し、シャワープレート36を介して反応ガス41を前記基板処理室30に導入し、該基板処理室30をある一定の圧力に保ち、放電用電極に高周波電力を供給して電界を形成すると共に磁界をかけてマグネトロン放電を起こす。放電用電極から放出された電子がドリフトしながらサイクロイド運動を続けて周回することにより長寿命となって電離生成率を高めるので高密度プラズマを生成できる。この様に反応ガスを励起分解させて基板表面を酸化し又は窒化等の拡散処理を行い、又は基板表面に薄膜を生成し、又は基板表面をエッチングする等、基板25へ各種のプラズマ処理を施すことができる。
【0026】
以下、図1に沿って具体的に説明する。
【0027】
第2の容器である下側容器28と、該下側容器28の上に被せられる第1の容器である上側容器29とから前記基板処理室30が形成されている。前記上側容器29はドーム型の酸化アルミニウム又は石英で形成されており、前記下側容器28はアルミニウムで形成されている。又後述するヒータ一体型の基板載置台であるサセプタ31を窒化アルミニウムや、セラミックス又は石英で構成することによって、処理の際に膜中に取り込まれる金属汚染を低減している。
【0028】
前記上側容器29の上部にはガス分散空間であるバッファ室32を形成するシャワーヘッド33が設けられ、該シャワーヘッド33の上壁にはガス導入用の導入口であるガス導入口34が設けられ、下壁はガスを噴出する噴出孔であるガス噴出孔35を有する前記シャワープレート36からなっている。前記ガス導入口34は、ガスを供給する供給管であるガス供給管37により開閉弁であるバルブ38、流量制御手段であるマスフローコントローラ39を介して反応ガスの供給源(図示せず)が接続されている。
【0029】
前記シャワーヘッド33から反応ガス41が前記基板処理室30に供給され、又、前記サセプタ31の周囲から前記基板処理室30の底方向へ基板処理後のガスが流れる様に前記下側容器28の側壁にガスを排気する排気口であるガス排気口42が設けられている。該ガス排気口42はガスを排気する排気管であるガス排気管43により圧力調整器44、開閉弁45を介して排気装置である真空ポンプ46に接続されている。
【0030】
供給される反応ガス41を励起させる放電手段として断面が筒状であり、好ましくは円筒状の第1の電極である筒状電極47が前記上側容器29の外周に設けられる。前記筒状電極47は前記基板処理室30内のプラズマ生成領域48を囲んでいる。前記筒状電極47にはインピーダンスの整合を行う整合器49を介して高周波電力を印加する高周波電源51が接続されている。
【0031】
又、断面が筒状であり、好ましくは円筒状の磁界形成手段(永久磁石)52を用いることができる。該磁界形成手段52は、前記筒状電極47の内周面に沿って円筒軸方向に磁力線を形成する様になっている。
【0032】
前記基板処理室30の底側中央には、基板であるウェーハ25を保持する為の基板保持手段として前記サセプタ31が配置され、該サセプタ31はウェーハ25を加熱できる様になっている。前記サセプタ31は、例えば窒化アルミニウムで構成され、内部に加熱手段としてのヒータ(図中省略)が一体的に埋込まれている。該ヒータは高周波電力が印加されてウェーハ25を500℃程度に迄加熱できる様になっている。
【0033】
又、前記サセプタ31の内部には、インピーダンスを可変する為の電極である第2の電極が装備されており、該第2の電極はインピーダンス可変機構53を介して接地されている。該インピーダンス可変機構53は、コイルや可変コンデンサから構成され、コイルのパターン数や可変コンデンサの容量値を制御することによって、上記電極及び前記サセプタ31を介してウェーハ25の電位を制御できる様になっている。
【0034】
前記筒状電極47及び前記磁界形成手段52の周囲には、前記筒状電極47及び前記磁界形成手段52で形成される電界や磁界を外部環境や他処理炉等の装置に悪影響を及ぼさない様に、電界や磁界を有効に遮蔽する遮蔽板54が設けられている。
【0035】
前記サセプタ31は前記下側容器28と絶縁され、前記サセプタ31を昇降させる昇降手段であるサセプタ昇降機構55が設けられている。又前記サセプタ31は貫通孔56を有し、前記下側容器28底面にはウェーハ25を突上げる為の基板突上手段である基板支持ピン57が少なくとも3箇所に設けられている。前記サセプタ昇降機構55により前記サセプタ31が下降させられた時には前記基板支持ピン57が前記サセプタ31と非接触な状態で前記貫通孔56を挿通可能となっている。
【0036】
又、前記下側容器28の側壁には仕切弁となるゲートバルブ58が設けられ、該ゲートバルブ58を介して図示しない搬送室が連設されており、前記ゲートバルブ58が開いている時には図中省略の搬送手段により前記基板処理室30へウェーハ25が搬入、又は搬出され、閉まっている時には前記基板処理室30を気密に閉じることができる。
【0037】
又、制御手段であるコントローラ59は前記高周波電源51、前記整合器49、前記バルブ38、前記マスフローコントローラ39、前記圧力調整器44、前記開閉弁45、前記真空ポンプ46、前記サセプタ昇降機構55、前記ゲートバルブ58、前記サセプタ31に埋込まれたヒータに高周波電力を印加する高周波電源と接続され、それぞれを制御している。
【0038】
以下、ウェーハ25表面を、又はウェーハ25上に生成された下地膜の表面に所定のプラズマ処理する方法について説明する。
【0039】
ウェーハ25は、前記基板処理室30の外部から搬送手段(図示せず)によって前記基板処理室30に搬入され、前記サセプタ31上に搬送される。この搬送動作の詳細は、先ず前記サセプタ31が下った状態になっており、前記基板支持ピン57の先端が前記サセプタ31の貫通孔56を通過して前記サセプタ31表面よりも所定の高さ分だけ突き出された状態で、前記下側容器28に設けられたゲートバルブ58が開き、図中省略の搬送手段によってウェーハ25を前記基板支持ピン57の先端に載置し、搬送手段は前記基板処理室30外へ退避すると、前記ゲートバルブ58が閉まり、前記サセプタ31が前記サセプタ昇降機構55により上昇すると、前記サセプタ31上面にウェーハ25を載置することができ、更にウェーハ25を処理する位置迄上昇する。
【0040】
前記サセプタ31に埋込まれたヒータは予め加熱されており、搬入されたウェーハ25を室温〜500℃の範囲内でウェーハ処理温度に加熱する。前記真空ポンプ46、及び圧力調整器44を用いて前記基板処理室30の圧力を0.1〜100Paの範囲内に維持する。
【0041】
ウェーハ25を処理温度に加熱し、前記ガス導入口34から前記シャワープレート36のガス噴出孔35を介して、反応ガス(例えば、N2 ,O2 ,NH3 ,NF3 ,PH3 )を前記ウェーハ25の上面(処理面)に向けて分散して導入する。この時のガス流量は100〜1000sccmの範囲である。同時に前記筒状電極47に前記高周波電源51から前記整合器49を介して高周波電力を印加する。印加する電力は、100〜500Wの範囲内の出力値を投入する。前記インピーダンス可変機構53は予め所望のインピーダンス値に制御しておく。
【0042】
前記磁界形成手段52の磁界の影響を受けてマグネトロン放電が発生し、ウェーハ25の上方空間に電荷をトラップしてプラズマ生成領域48に高密度プラズマが生成される。生成された高密度プラズマにより、前記サセプタ31上のウェーハ25の表面にプラズマ処理が施される。表面処理が終わったウェーハ25は、図示しない搬送手段を用いて、基板搬入と逆の手順で前記基板処理室30外へ搬送される。
【0043】
尚、前記コントローラ59により前記高周波電源51の電力ON・OFF、前記整合器49の調整、前記バルブ38の開閉、前記マスフローコントローラ39の流量、前記圧力調整器44の弁開度、前記開閉弁45の開閉、前記真空ポンプ46の起動・停止、前記サセプタ昇降機構55の昇降動作、前記ゲートバルブ58の開閉、前記サセプタ31のヒータに高周波電力を印加する高周波電源(図示せず)への電力ON・OFFをそれぞれを制御している。
【0044】
次に、前記サセプタ昇降機構55について、図2〜図5を参照して説明する。
【0045】
尚、図2〜図5中、図1中で示したものと同一のものには同符号を付してある。
【0046】
下側容器28の下側には、上固定ベース61が取付けられ、該上固定ベース61に所要本数(図示では4本)のガイドシャフト62が同一円周上に等間隔で配設され、該ガイドシャフト62を介して下固定ベース63が取付けられ、前記ガイドシャフト62に昇降ベース64がスライド軸受65を介して昇降自在に設けられている。
【0047】
前記下固定ベース63には減速機付昇降モータ68が取付けられ、該減速機付昇降モータ68からは出力軸に連結された螺子シャフト、例えばボール螺子66が前記ガイドシャフト62と平行に立設されている。前記昇降ベース64には逃げ孔70が穿設され、前記ボール螺子66は前記逃げ孔70を非接触で貫通している。前記減速機付昇降モータ68、前記ボール螺子66、ナットブロック67等は昇降駆動部を構成している。
【0048】
前記ボール螺子66にはナットブロック67が螺合し、該ナットブロック67からは連結部材である連結アーム69が水平方向に延出し、該連結アーム69の先端は連結具であるフローティングジョイント71を介して前記昇降ベース64の下面中央に連結されている。前記フローティングジョイント71は、例えば球体を介して前記連結アーム69と前記昇降ベース64とを連結するものであり、該昇降ベース64と前記連結アーム69とが任意な方向に傾斜可能、即ち任意な方向の傾斜自由度を有するものである。
【0049】
尚、該連結アーム69の傾斜方向は特定されるので、該連結アーム69と前記昇降ベース64とはピンを介して枢着し、前記連結アーム69に直角な中心線を中心に傾斜可能としてもよい。
【0050】
ここで、前記フローティングジョイント71による連結位置(作用点)は、前記昇降ベース64、支柱72、前記サセプタ31の昇降部の自重、前記基板処理室30が減圧状態での上向きの力を勘案した重心位置を通過する鉛直線(即ちF0とF1の合力、即ち前記昇降ベース64に作用する外力の作用線)上にあることが好ましい。
【0051】
前記ナットブロック67は前記連結アーム69が前記昇降ベース64に連結されることで回止めされ、前記連結アーム69と前記昇降ベース64間は前記フローティングジョイント71により相対的な傾斜が可能となっている。
【0052】
前記昇降ベース64に前記下側容器28の底部を貫通する支柱72が立設され、該支柱72の上端には前記サセプタ31が取付けられている。前記下側容器28の下面と前記昇降ベース64の上面間には前記支柱72と同心のベローズ73が設けられ、前記支柱72と前記下側容器28の底部との貫通箇所を気密にシールしている。
【0053】
該下側容器28の底面には前記基板支持ピン57が少なくとも3本立設され、該基板支持ピン57は前記サセプタ31を貫通可能であり、該サセプタ31が降下状態で該サセプタ31の上面から上端が突出する様になっている。
【0054】
前記下側容器28にゲートバルブ58を介して気密に連設された搬送室73の内部には基板搬送ロボット74が設けられ、該基板搬送ロボット74によって前記ゲートバルブ58を通して前記サセプタ31にウェーハ25が移載される様になっている。
【0055】
以下、ウェーハ25の処理に伴うサセプタ昇降機構55の作動について説明する。
【0056】
前記減速機付昇降モータ68により前記ボール螺子66が回転され、前記ナットブロック67が前記ボール螺子66に対して降下し、前記連結アーム69、前記フローティングジョイント71を介して前記昇降ベース64が下降し、前記支柱72を介して前記サセプタ31が降下される。
【0057】
該サセプタ31の降下状態では、前記基板支持ピン57が前記サセプタ31の上面より突出しており、前記基板搬送ロボット74によりウェーハ25が前記下側容器28内に搬入され、前記基板支持ピン57上に前記ウェーハ25が載置される。前記基板搬送ロボット74が前記基板処理室30から退出し、前記ゲートバルブ58が閉じられ、前記減速機付昇降モータ68が前記サセプタ31を上昇させ、前記ウェーハ25が前記サセプタ31上に載置される。
【0058】
前記ウェーハ25が前記サセプタ31により加熱され、前記基板処理室30にプラズマが生成され、前記ガス供給管37より反応ガス41が導入され、前記ガス排気管43により前記基板処理室30内が排気され、該基板処理室30が処理圧に保持され、前記ウェーハ25表面に所要の処理がなされる。
【0059】
処理後、前記基板処理室30がガスパージされ、前記減速機付昇降モータ68により前記サセプタ31が降下され、前記ウェーハ25が前記基板支持ピン57に支持される。前記ゲートバルブ58が開かれ、前記基板搬送ロボット74により前記ウェーハ25が搬出される。
【0060】
前記基板処理室30が大気圧の場合は、前記連結アーム69には前記フローティングジョイント71を介して前記サセプタ31、支柱72等の自重による荷重F0が作用する(図4参照)。又、前記基板処理室30が処理圧、或は真空等減圧状態では、前記基板処理室30と下側容器28外部の雰囲気圧力(例えば大気圧)との差圧分に起因する上向きの力F1が前記昇降ベース64に作用する。
【0061】
上記した様に、荷重F0と上向き力F1とを比較すると、一般的にはF1はF0に対して数倍となり、前記下側容器28を大気圧から真空(又は処理圧)に変化させると、前記支柱72を介し前記昇降ベース64には上向きの大きな力が作用し、該上向き力は前記フローティングジョイント71を介して前記連結アーム69、更にナットブロック67に伝達される。該ナットブロック67は上下方向の変位を拘束されているので、前記連結アーム69は前記ナットブロック67と前記ボール螺子66間のクリアランス分だけ傾斜する。又、前記連結アーム69の傾斜により前記昇降ベース64は上昇方向に0.1mm〜0.2mm程度の変位hが生じるが、実用上問題となることはない(図5参照)。
【0062】
前記フローティングジョイント71は前記昇降ベース64と前記連結アーム69とを回転自在に連結するので、前記昇降ベース64と前記連結アーム69との連結部で回転モーメントは発生しない。従って、前記昇降ベース64はフローティングジョイント71部分には下向きの反力が作用するが、回転力の反力は発生しないので、前記昇降ベース64は傾斜しない。
【0063】
図6は、上記した連結アーム69の変更例を示している。
【0064】
該連結アーム69は2股形状をしており、該連結アーム69は先端2箇所でフローティングジョイント71を介して前記昇降ベース64と連結される。該変更例でも、上記した実施の形態と同様な作用効果が得られる。該変更例では、昇降ベース64の中心部直下に構造物がある場合等、連結箇所を昇降ベース64の中心部直下に設けられない場合等に有効である。この場合、2箇所のフローティングジョイント71の合成作用点が、前記昇降ベース64に作用する外力の作用線上に一致していればよい。
【0065】
尚、上記実施の形態では、ガイドシャフト62を4本設けたが、重量バランスが保てる配置(例えば対称な配置)で、2本、3本等所要本数設けてもよい。又、上記実施の形態ではサセプタの昇降機構について述べたが、サセプタに限らず、昇降部に荷重が作用する場合に実施可能であることは言う迄もない。
【0066】
又、フローティングジョイントの他の例としては、連結アーム69の先端をピンを介して昇降ベース64に回転自在に連結する。或は、連結アーム69の先端を昇降ベース64に固着し、基端をナットブロック67に回転自在に連結する等が挙げられる。要は、ナットブロック67と昇降ベース64とが相対角度変位可能な構造となっていればよい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施の形態を示す要部断面図である。
【図2】本発明の実施の形態に於ける昇降機構の要部断面図である。
【図3】図2のA−A矢視図である。
【図4】前記昇降機構部分の説明図である。
【図5】前記昇降機構部分の説明図である。
【図6】昇降機構の変更例を示す部分図である。
【図7】従来例の要部断面図である。
【図8】図7のB−B矢視図である。
【図9】従来例の昇降機構部分の説明図である。
【図10】従来例の昇降機構部分の説明図である。
【図11】従来例の作用の説明図である。
【符号の説明】
【0068】
25 ウェーハ
27 基板処理炉
30 基板処理室
31 サセプタ
55 サセプタ昇降機構
62 ガイドシャフト
64 昇降ベース
65 スライド軸受
66 ボール螺子
67 ナットブロック
68 減速機付昇降モータ
69 連結アーム
71 フローティングジョイント
72 支柱
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理室と、該基板処理室内に設けられ基板を保持する基板載置台と、該基板載置台に連結され昇降可能な昇降ベースと、該昇降ベースを昇降させる昇降駆動部と、該昇降駆動部と前記昇降ベースを連結する連結部材とを具備し、該連結部材は前記昇降ベースに少なくとも傾斜方向の自由度を有する様に連結されたことを特徴とする半導体製造装置。
【請求項1】
基板処理室と、該基板処理室内に設けられ基板を保持する基板載置台と、該基板載置台に連結され昇降可能な昇降ベースと、該昇降ベースを昇降させる昇降駆動部と、該昇降駆動部と前記昇降ベースを連結する連結部材とを具備し、該連結部材は前記昇降ベースに少なくとも傾斜方向の自由度を有する様に連結されたことを特徴とする半導体製造装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−13238(P2006−13238A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−190095(P2004−190095)
【出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】
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