説明

半導体記憶装置

【課題】センスアンプ回路の特性を劣化させることがなく、かつ、出力電圧レンジを大きく取ることができる半導体記憶装置を提供する。
【解決手段】半導体記憶装置は、それぞれビット線BLx0,BLx1に接続された複数の磁気抵抗素子Rx0,Rx1と、それぞれビット線BL_Bx0,BL_Bx1に接続された複数のリファレンス抵抗Rmin,Rmaxと、センスアンプ回路10とを備える。磁気抵抗素子Rx0,Rx1は、2値のデータを蓄積する。リファレンス抵抗Rmin,Rmaxは、基準抵抗値Rrefを発生するために用いられる。センスアンプ回路10は、磁気抵抗素子Rx0,Rx1からデータを読み出すときに、上記各ビット線上を流れる電流IA〜IDをそれぞれ分流させ、各分流された電流を、各分流された電流が流れるビット線とは異なる対応するビット線を流れる電流と合流させるN型トランジスタ28a〜31a,28b〜31bを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抵抗体メモリ素子に対してデータを記憶保持するための半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気抵抗素子の抵抗値によってデータを記憶保持するMRAM(Magneto-resistive Random Access Memory)における従来例のセンスアンプ回路が特許文献1に開示されている。MRAM等を含む一般的なメモリ装置においては、メモリセルから読み出された電圧は非常に小さいので、それを増幅するためのセンスアンプ回路を必要とする。センスアンプ回路においては、読み出し対象である磁気抵抗素子の抵抗値と比較するための基準抵抗値を得るために、磁気抵抗素子の最大抵抗値Rmaxを有する抵抗体素子と、磁気抵抗素子の最小抵抗値Rminを有する抵抗体素子とを用いる。
【0003】
図10は、従来例のセンスアンプ回路の構成を示す回路図である。図10において、従来例のセンスアンプ回路は、負荷回路80と、差動アンプ81,82と、センスアンプ用トランジスタ83と、バススワップスイッチ84とを備えて構成される。センスアンプ用トランジスタ83を構成する各トランジスタのゲートにはセンスアンプ電圧VSAが印加され、従来例のセンスアンプ回路は、そのセンスアンプ電圧VSAによって決定されるほぼ一定のバイアス電圧を、トランジスタ36〜39及びビット線を介してリファレンス抵抗Rmax,Rmin及び読み出し対象である磁気抵抗素子Rx0,Rx1に印加する。差動アンプ81,82は、読み出し対象である磁気抵抗素子Rx0,Rx1の抵抗値に応じて差動アンプ81,82の各反転入力端子(−)に印加される電圧と、リファレンス抵抗Rmax,Rminの抵抗値により発生され、差動アンプ81,82の各非反転入力端子(+)に印加されるリファレンス電圧とを比較することによって、読み出し対象である磁気抵抗素子Rx0,Rx1に書き込まれたデータが「0」であるか「1」であるかを判別する。
【0004】
読み出し対象である磁気抵抗素子に書き込まれたデータを正確に判別するためには、各データ値に対応する最小抵抗値Rminと最大抵抗値Rmaxの中間値に対応するリファレンス電圧が要求されるが、TMR等の磁気抵抗素子では上記中間値を得ることが難しい。従来例のセンスアンプ回路は、リファレンス抵抗Rminとリファレンス抵抗Rmaxの両方を用い、かつ、図10における配線GLを設けることにより、差動アンプ81,82の各非反転入力端子(+)同士を短絡し、最小抵抗値Rminと最大抵抗値Rmaxの中間値に対応するリファレンス電圧を得る。
【0005】
【特許文献1】特開2004−164766号公報(第6図)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来例のセンスアンプ回路においては、最小抵抗値Rminと最大抵抗値Rmaxの中間値に対応するリファレンス電圧を発生するために、上記配線GLを必要とするので、半導体記憶装置におけるレイアウトが非対称となり、各差動アンプの入力オフセット等のアンバランスが生じる。そのため、寄生容量や寄生抵抗等により電気特性の安定性が損なわれ、その結果、全体のセンスアンプ回路の特性を劣化させる、という問題があった。
【0007】
また、リファレンス電圧を2つの磁気抵抗素子Rx0及びRx1で共用するため、差動アンプ81,82の代わりに、高感度のラッチ型のアンプを直接接続して用いることが困難で、出力電圧レンジを大きく取ることができない、という問題があった。
【0008】
本発明の目的は以上の問題点を解決し、センスアンプ回路の特性の劣化を低減し、かつ、出力電圧レンジを大きく取ることができる半導体記憶装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る半導体記憶装置は、ビット線に接続されかつ少なくとも2値のデータを蓄積するための複数の抵抗体メモリ素子と、ビット線に接続されかつ基準抵抗値を発生するための複数の基準抵抗体メモリ素子と、前記抵抗体メモリ素子から前記データを読み出すためのセンスアンプ回路とを備えた半導体記憶装置において、前記センスアンプ回路は、前記抵抗体メモリ素子からデータを読み出すときに、前記各ビット線上を流れる電流を分流させ、前記各分流された電流を、前記各分流された電流が流れるビット線とは異なる対応するビット線を流れる電流と合流させる電流経路変更手段を備えたことを特徴とする。
【0010】
上記半導体記憶装置において、前記電流経路変更手段は、前記抵抗体メモリ素子からデータを読み出すときに、前記ビット線に接続された前記抵抗体メモリ素子及び前記基準抵抗体メモリ素子に所定のバイアス電圧を印加することを特徴とする。
【0011】
また、上記半導体記憶装置において、前記基準抵抗体メモリ素子は、互いに抵抗値が異なる第1及び第2の基準抵抗体メモリ素子を含み、前記電流経路変更手段は、前記第1の基準抵抗体メモリ素子に流れる電流と、前記第2の基準抵抗体メモリ素子に流れる電流とをそれぞれ分流させ、前記各分流された第1の基準抵抗体メモリ素子に流れる電流と、前記各分流された対応する第2の基準抵抗体メモリ素子に流れる電流とをそれぞれ合流させることを特徴とする。ここで、前記第1及び第2の基準抵抗体メモリ素子の各抵抗値はそれぞれ、前記抵抗体メモリ素子の最小抵抗値及び最大抵抗値であることを特徴とする。
【0012】
さらに、上記半導体記憶装置において、前記センスアンプ回路は、前記合流された各電流にそれぞれ対応する各電圧のうち、前記基準抵抗体メモリ素子の抵抗値に対応する電圧と、前記抵抗体メモリ素子の抵抗値に対応する電圧との差を増幅して出力するラッチ型の増幅回路をさらに備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
従って、本発明に係る半導体記憶装置によれば、レイアウトの対称性を保ったままリファレンス電圧を発生することができるので、電気特性を安定させることができ、全体のセンスアンプ回路の特性の劣化を低減できる。
【0014】
また、リファレンス電圧を複数の磁気抵抗素子で共用する必要がないので、センスアンプ回路にラッチ型のアンプを用いることができ、従来に比べて出力電圧レンジを大きく取ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各実施の形態において、同様の構成要素については同一の符号を付している。
【0016】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る半導体記憶装置の構成を示す回路図である。図1において、本実施の形態に係る半導体記憶装置は、STT(Spin Torque Transfer)書き込み方式により2ビットデータを書き込まれるSTT−MRAM(Spin Torque Transfer Magneto-resistive Random Access Memory)等の半導体記憶装置である。
【0017】
図1に示した半導体記憶装置は、複数対のメモリセルMC0,MC1と、複数対のダミーメモリセルDMC0,DMC1と、センスアンプ回路10と、N型電解効果トランジスタ(以下、N型トランジスタという。)36〜39とを備える。説明を簡易にするために、図1においては、1対のメモリセルMC0,MC1及び1対のDMC0,DMC1のみが図示される。各メモリセルMC0,MC1はそれぞれ、データを蓄積するためのTMR(Tunnel Magnetic Resistance)素子等の磁気抵抗素子Rx0,Rx1と、各磁気抵抗素子Rx0,Rx1への電流の経路を開閉するためのアクセストランジスタATrRx0,ATrRx1とを含む。各ダミーメモリセルDMC0,DMC1はそれぞれ、固定の抵抗値Rmin及びRmaxを有する磁気抵抗素子Rmin,Rmax(以下、リファレンス抵抗Rmin,Rmaxという。)と、各リファレンス抵抗Rmin,Rmaxへの電流の経路を開閉するためのアクセストランジスタATrRmin,ATrRmaxとを含む。
【0018】
図1の半導体記憶装置において、2ビットのデータを記憶保持できるように、1対のメモリセルMC0及びMC1に対しては同じタイミングで書き込み又は読み出しが行われ、各メモリセルMC0,MC1は、2ビットのデータのうちそれぞれ1ビット目及び2ビット目のデータを記憶保持する。半導体記憶装置は、各メモリセルMC0及びMC1のアクセストランジスタATrRx0,ATrRx1を制御するためにワード線WLにハイレベル電圧を印加し、それとほぼ同時に、各メモリセルMC0,MC1への電流を制御するための行選択線CSLにハイレベル電圧を印加することにより、メモリセルMC0,MC1を書き込み又は読み出しの対象として選択する。メモリセルMC0,MC1の磁気抵抗素子Rx0,Rx1は、例えばデータ「0」又はデータ「1」に対応する最小抵抗値Rmin又は最大抵抗値Rmaxを保持する。また、ダミーメモリセルDMC0,DMC1は、各メモリセルMC0,MC1の磁気抵抗素子Rx0,Rx1に蓄積された各データに対応する読み出し電圧と比較するためのリファレンス電圧を生成するために用いられる。ダミーメモリセルDMC0,DMC1のリファレンス抵抗Rmin,Rmaxの抵抗値はそれぞれ、磁気抵抗素子Rx0,Rx1が蓄積する各データに対応する最小抵抗値Rminと最大抵抗値Rmaxに対応している。最小抵抗値Rminと最大抵抗値Rmaxとの関係は、次式(1)によって表される。
【0019】
[数1]
Rmax>Rmin (1)
【0020】
N型トランジスタ36〜39は、データの読み出し時、半導体記憶装置の図示しないビット線制御回路により、行選択線CSLにハイレベル電圧が印加されることによってオン状態及びオフ状態を制御される。N型トランジスタ36〜39がオン状態であるとき、各メモリセルMC0,MC1及び各ダミーメモリセルDMC0,DMC1はそれぞれ、読み出し線LIOF0及びビット線BLx0、読み出し線LIOF1及びビット線BLx1、読み出し線LIOB0及びビット線BL_Bx0、読み出し線LIOB1及びビット線BL_Bx1を介して、センスアンプ回路10と接続される。
【0021】
センスアンプ回路10は、N型トランジスタ28a〜31a,28b〜31bと、差動アンプ21〜26と、負荷回路20と、所定の基準電圧Vrefにより制御されるN型トランジスタ27とを備えて構成される。負荷回路20は、P型電解効果トランジスタ(以下、P型トランジスタという。)RL1〜RL5を備えて構成される。N型トランジスタ28a〜31a,28b〜31bは、磁気抵抗素子Rx0,Rx1及びリファレンス抵抗Rmin,Rmaxを流れる電流を分流させ、各分流された電流を、他の分流された電流と合流させることにより、電流経路を変更する(詳細は後述する)。N型トランジスタ28a,28bの各ドレイン端子はN型トランジスタ36を介してダミーメモリセルDMC0に接続され、N型トランジスタ29a,29bの各ドレイン端子はN型トランジスタ37を介してメモリセルMC0に接続され、N型トランジスタ30a,30bの各ドレイン端子はN型トランジスタ38を介してダミーメモリセルDMC1に接続され、N型トランジスタ31a,31bの各ドレイン端子はN型トランジスタ39を介してメモリセルMC1に接続される。N型トランジスタ28b,29aのソース端子は負荷回路20のP型トランジスタRL1に接続され、N型トランジスタ29b,30aのソース端子は負荷回路20のP型トランジスタRL2に接続され、N型トランジスタ30b,31aのソース端子は負荷回路20のP型トランジスタRL4に接続され、N型トランジスタ31b,28aのソース端子は負荷回路20のP型トランジスタRL5に接続される。また、各N型トランジスタ28a〜31a,28b〜31bのゲート端子はセンスアンプ電圧線VSAに接続される。各N型トランジスタ28a〜31a,28b〜31bは、センスアンプ電圧線VSAに印加される電圧VSAによりオン状態及びオフ状態を制御されるとともに、オン状態のときは、読み出し線LIOB0,LIOF0,LIOB1,LIOF1及びビット線BL_Bx0,BLx0,BL_Bx1,BLx1に一定のバイアス電圧を印加する。
【0022】
負荷回路20のP型トランジスタRL1〜RL5の各ソース端子は、電源電位Vddに接続される。P型トランジスタRL1のゲート端子及びドレイン端子は、N型トランジスタ28b,29aの各ソース端子の接続点及び差動アンプ21の非反転入力(+)端子に接続され、P型トランジスタRL2のゲート端子及びドレイン端子は、N型トランジスタ29b,30aの各ソース端子の接続点及び差動アンプ22の非反転入力(+)端子に接続され、P型トランジスタRL3のゲート端子及びドレイン端子は、差動アンプ21,22,24,25の反転入力端子(−)に接続されるとともに、N型トランジスタ27を介して接地電位に接続され、P型トランジスタRL4のゲート端子及びドレイン端子は、N型トランジスタ30b,31aの各ソース端子の接続点及び差動アンプ24の非反転入力(+)端子に接続され、P型トランジスタRL5のゲート端子及びドレイン端子は、N型トランジスタ31b,28aの各ソース端子の接続点及び差動アンプ25の非反転入力(+)端子に接続される。
【0023】
差動アンプ21,22,24,25の反転入力端子(−)は、N型トランジスタ27のソース端子に接続される。差動アンプ23の非反転入力端子(+)及び反転入力端子(−)はそれぞれ差動アンプ21及び22の各出力端子に接続され、その出力端子からは、メモリセルMC0から読み出したデータに対応する出力電圧Vout0が出力される。差動アンプ23の非反転入力端子(+)及び反転入力端子(−)はそれぞれ差動アンプ24及び25の各出力端子に接続され、その出力端子からは、メモリセルMC1から読み出したデータに対応する出力電圧Vout1が出力される。
【0024】
上記のように構成された半導体記憶装置において、以下、メモリセルMC0,MC1の各磁気抵抗素子Rx0,Rx1に蓄積されたデータを、センスアンプ回路10を介して読み出す場合について説明する。
【0025】
まず、行選択線CSLがハイレベル電圧(イネーブル)に制御されることにより、N型トランジスタ36〜39がオン状態となり、図示しないプリチャージ回路により、読み出し線LIOF0,LIOF1,LIOB0,LIOB1及びビット線BLx0,BLx1,BL_Bx0,BL_Bx1がロウレベル電圧にプリチャージされ、読み出しサイクルが開始する。センスアンプ回路10が、それぞれ所望のメモリセルMC0,MC1及びダミーメモリセルDMC0,DMC1と接続される。次に、センスアンプ電圧線VSAをハイレベル電圧(イネーブル)に制御することにより、N型トランジスタ28a〜31a,28b〜31bがオン状態となる。さらに、ワード線WL及びダミーワード線DWLをハイレベル電圧(イネーブル)に制御することにより、各アクセストランジスタATrRmin,ATrRx0,ATrRmax,ATrRx1がオン状態となる。このとき、各磁気抵抗素子Rx0,Rx1及びリファレンス抵抗Rmin,Rmaxに印加される電圧は、N型トランジスタ28a〜31a,28b〜31bにより、センスアンプ線VSAに印加される電圧によって決まる所定のバイアス電圧Vbiasにクランプされるため、各抵抗素子Rmin,Rx0,Rmax,Rx1を流れる電流IA,IB,IC,IDは、それぞれ次式(2)〜(5)で表される。
【0026】
[数2]
IA=Vbias/Rmin (2)
【0027】
[数3]
IB=Vbias/Rx0 (3)
【0028】
[数4]
IC=Vbias/Rmax (4)
【0029】
[数5]
ID=Vbias/Rx1 (5)
【0030】
上記電流IAは、N型トランジスタ28a,28bにより2分割され、N型トランジスタ28a,28bのソース端子−ドレイン端子間には、それぞれIA/2の電流が流れる。同様に、上記電流IBは、N型トランジスタ29a,29bにより2分割され、N型トランジスタ29a,29bのソース端子−ドレイン端子間には、それぞれIB/2の電流が流れる。上記電流ICは、N型トランジスタ30a,30bにより2分割され、N型トランジスタ30a,30bのソース端子−ドレイン端子間には、それぞれIC/2の電流が流れる。上記電流IDは、N型トランジスタ31a,31bにより2分割され、N型トランジスタ31a,31bのソース端子−ドレイン端子間には、それぞれID/2の電流が流れる。
【0031】
従って、磁気抵抗素子Rx0の抵抗値が最小抵抗値Rminであるとき、負荷回路20のP型トランジスタRL1,RL2のソース−ドレイン間に流れる電流I1,I2は、それぞれ次式(6)及び(7)で表すことができ、電流I2は、次式(8)で表される最小抵抗値Rmin及び最大抵抗値Rmaxの中間値である抵抗値Rrefを有する抵抗を接続した場合と同じ値となり、差動アンプ22には、最小抵抗値Rminと最大抵抗値Rmaxの中間値に対応するリファレンス電圧が入力される。差動アンプ21,22は、電流I1及びI2と、N型トランジスタ27のゲート端子に入力される基準電圧Vrefにより決定される定電流Iconstとの各電流差による電圧差をそれぞれ差動アンプ23の各入力端子に出力し、差動アンプ23は、両電圧差の差を増幅することによって、1ビット目のデータに対応する出力電圧Vout0を出力する。
【0032】
[数6]
I1=IA/2+IB/2=Vbias/Rmin (6)
【0033】
[数7]
I2=IB/2+IC/2
=Vbias/(2・Rmin・Rmax/(Rmin+Rmax)) (7)
【0034】
[数8]
Rref=2・Rmin・Rmax/(Rmin+Rmax) (8)
【0035】
一方、磁気抵抗素子Rx0の抵抗値が最大抵抗値Rmaxであるとき、負荷回路20のP型トランジスタRL1,RL2のソース−ドレイン間に流れる電流I1,I2は、それぞれ次式(9)及び(10)で表すことができ、電流I1は、上記式(8)で表される最小抵抗値Rmin及び最大抵抗値Rmaxの中間値である抵抗値Rrefを有する抵抗を接続した場合と同じ値となり、差動アンプ21には、最小抵抗値Rminと最大抵抗値Rmaxの中間値に対応するリファレンス電圧が入力される。磁気抵抗素子Rx0の抵抗値が最小抵抗値Rminであるときと同様に、差動アンプ21〜23は、1ビット目のデータに対応する出力電圧Vout0を出力する。
【0036】
[数9]
I1=IA/2+IB/2
=Vbias/(2・Rmin・Rmax/(Rmin+Rmax)) (9)
【0037】
[数10]
I2=IB/2+IC/2=Vbias/Rmax (10)
【0038】
また、磁気抵抗素子Rx1の抵抗値が最小抵抗値Rminであるとき、負荷回路20のP型トランジスタRL4,RL5のソース−ドレイン間に流れる電流I3,I4は、それぞれ次式(11)及び(12)で表すことができ、電流I3は、上記式(8)で表される最小抵抗値Rmin及び最大抵抗値Rmaxの中間値である抵抗値Rrefを有する抵抗を接続した場合と同じ値となり、差動アンプ24には、最小抵抗値Rminと最大抵抗値Rmaxの中間値に対応するリファレンス電圧が入力される。差動アンプ24,25は、電流I3及びI4と、負荷回路20のP型トランジスタRL3により発生される定電流Iconstとの各電流差による電圧差を差動アンプ26に入力し、差動アンプ26は、両電圧差の差を増幅することによって、2ビット目のデータに対応する出力電圧Vout1を出力する。
【0039】
[数11]
I3=IC/2+ID/2
=Vbias/(2・Rmin・Rmax/(Rmin+Rmax)) (11)
【0040】
[数12]
I4=ID/2+IA/2=Vbias/Rmin (12)
【0041】
一方、磁気抵抗素子Rx1の抵抗値が最大抵抗値Rmaxであるとき、負荷回路20のP型トランジスタRL4,RL5のソース−ドレイン間に流れる電流I3,I4は、それぞれ次式(13)及び(14)で表すことができ、電流I4は、上記式(8)で表される最小抵抗値Rmin及び最大抵抗値Rmaxの中間値である抵抗値Rrefを有する抵抗を接続した場合と同じ値となり、差動アンプ25には、最小抵抗値Rminと最大抵抗値Rmaxの中間値に対応するリファレンス電圧が入力される。磁気抵抗素子Rx1の抵抗値が最小抵抗値Rminであるときと同様に、差動アンプ24〜26は、2ビット目のデータに対応する出力電圧Vout1を出力する。
【0042】
[数13]
I3=IC/2+ID/2=Vbias/Rmax (13)
【0043】
[数14]
I4=ID/2+IA/2
=Vbias/(2・Rmin・Rmax/(Rmin+Rmax)) (14)
【0044】
従って、以上説明したように、本実施の形態に係る半導体記憶装置によれば、レイアウトの対称性を保ったまま、最小抵抗値Rmin及び最大抵抗値Rmaxの中間値に対応するリファレンス電圧を発生することができるので、差動アンプ21〜26の入力ノードにアンバランスが生じない。そのため、寄生容量又は寄生抵抗による電気特性の差が生じにくいので、全体のセンスアンプ回路の特性の劣化を低減できる。
【0045】
実施の形態2.
図2は、実施の形態2に係る半導体記憶装置の構成を示す回路図である。図2において、図1に示した実施の形態1に係る半導体記憶素のセンスアンプ回路10に代えてセンスアンプ回路10Aを備えた点において、実施の形態1に係る半導体記憶装置とは異なる。センスアンプ回路10Aは、図1のセンスアンプ回路10の負荷回路20、差動アンプ21〜26及びN型トランジスタ27に代えて、P型トランジスタ40〜51及びインバータ52を備えた点において、実施の形態1に係る半導体記憶装置のセンスアンプ回路10とは異なる。それ以外の点においては、実施の形態1に係る半導体装置と同様であり、同一符号を付した構成要素についての詳細な説明は省略する。
【0046】
図2に示した半導体記憶装置において、N型トランジスタ28b及び29aの各ソース端子の接続点はP型トランジスタ46のドレイン端子に接続され、N型トランジスタ29b及び30aの各ソース端子の接続点はP型トランジスタ47のドレイン端子に接続され、N型トランジスタ30b及び31aの各ソース端子の接続点はP型トランジスタ48のドレイン端子に接続され、N型トランジスタ31b及び28aの各ソース端子の接続点はP型トランジスタ49のドレイン端子に接続される。P型トランジスタ46,47の各ソース端子はP型トランジスタ44のドレイン端子に接続され、それらの各ゲート端子はそれぞれP型トランジスタ47及び46のドレイン端子に接続される。P型トランジスタ48,49の各ソース端子はP型トランジスタ45のドレイン端子に接続され、それらの各ゲート端子は、それぞれP型トランジスタ49及び48のドレイン端子に接続される。P型トランジスタ44,45の各ソース端子は電源電位Vddに接続され、それらの各ゲート端子はインバータ52を介してセンスアンプイネーブル線SAEに接続される。
【0047】
P型トランジスタ50はP型トランジスタ46,47の各ドレイン端子間に接続され、P型トランジスタ51はP型トランジスタ48,49の各ドレイン端子間に接続される。P型トランジスタ50,51の各ゲート端子はセンスアンプイネーブル線SAEに接続される。また、P型トランジスタ40〜43の各ソース端子は電源電位Vddに接続され、それらの各ドレイン端子はそれぞれP型トランジスタ46〜49のドレイン端子に接続され、それらの各ゲート端子は基準電圧線Vrefに接続される。P型トランジスタ40〜43は、基準電圧線Vrefに印加される電圧に応じた所定の基準電圧をP型トランジスタ46〜49のドレイン端子に印加する。インバータ52の入力端はセンスアンプイネーブル線SAEに接続され、その出力端はP型トランジスタ44及び45の各ゲート端子に接続される。
【0048】
上記のように構成された半導体記憶装置において、メモリセルMC0,MC1の各磁気抵抗素子Rx0,Rx1に蓄積されたデータを、センスアンプ回路10を介して読み出す場合について説明する。なお、行選択線CSL、ワード線WL、ダミーワード線DWLがハイレベル電圧(イネーブル)に制御され、それぞれ上記式(2)〜(5)で表される電流IA,IB,IC,IDが各磁気抵抗素子Rmin,Rx0,Rmax,Rx1に流れるまでは、図1に示した実施の形態1に係るセンスアンプ回路10と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0049】
初期状態において、センスアンプイネーブル線SAEがロウレベル電圧(ディスエーブル)に制御されているので、トランジスタ44,45はオフ状態である。ワード線WL及びダミーワード線DWLがハイレベル電圧(イネーブル)となった後、センスアンプイネーブル線SAEがハイレベル電圧(イネーブル)に制御され、トランジスタ44,45がオン状態となる。これとほぼ同時にイコライズ用のP型トランジスタ50,51がオフ状態となる。トランジスタ44,45がオン状態となることにより各読み出し線LIOF0,LIOF1,LIOB0,LIOB1及び各ビット線BLx0,BLx1,BL_Bx0,BL_Bx1の電位は上昇するが、N型トランジスタ28a〜31a,28b〜31bにより、センスアンプ線VSAに印加される電圧よって決まる定電圧Vbiasにクランプされる。従って、このとき、N型トランジスタ28a,28bの各ソース端子−ドレイン端子間には、それぞれIA/2の電流が流れる。同様に、N型トランジスタ29a,29bの各ソース端子−ドレイン端子間には、IB/2の電流が流れ、N型トランジスタ30a,30bの各ソース端子−ドレイン端子間には、IC/2の電流が流れ、N型トランジスタ31a,31bの各ソース端子−ドレイン端子間には、ID/2の電流が流れる。
【0050】
メモリセルMC0,MC1の磁気抵抗素子Rx0,Rx1の各抵抗値が最小抵抗値Rmin又は最大抵抗値Rmaxであるときの各電流I1〜I4については、実施の形態1と同様であるので、説明を省略する。
【0051】
従って、P型トランジスタ46のドレイン端子には、基準電圧Vref及び磁気抵抗素子Rx0の抵抗値に対応する電圧Vout0が印加され、P型トランジスタ48のドレイン端子には、基準電圧Vref及び読み出し対象であるメモリセルMC1の磁気抵抗素子Rx1の抵抗値に対応する電圧Vout1が印加され、P型トランジスタ47,49のドレイン端子には、基準電圧Vref及びリファレンス抵抗Rmin及びRmaxの抵抗値に対応する電圧Vout_B0,Vout_B1が印加される。電圧Vout0及び電圧Vout_B0の電圧差がP型トランジスタ46,47により構成されるラッチ型のアンプにより増幅され、電圧Vout1及び電圧Vout_B1の電圧差がP型トランジスタ48,49により構成されるラッチ型のアンプにより増幅される。
【0052】
図3は、図2の半導体記憶装置の各部の信号を示す動作波形図である。図3において、VWLは所望のメモリセルが接続されるワード線に印加される電圧を示し、VSAEはセンスアンプイネーブル線SAEに印加される電圧を示し、VBLは所望のメモリセルが接続されるビット線に印加される電圧を示し、VoutはP型トランジスタ44,46,47,50又はP型トランジスタ45,48,49,51によって構成されるラッチ型のアンプの出力電圧Vout0又はVout1を示し、Vout_Bは上記ラッチ型のアンプの出力電圧Vout_B0又はVout_B1を示す。
【0053】
ワード線電圧VWLがハイレベル電圧(イネーブル)に制御された後、センスアンプイネーブル線電圧VSAEがハイレベル電圧(イネーブル)に制御されると、ビット線電圧VBLも上昇し、所定のバイアス電圧Vbiasでクランプされる。例えば、磁気抵抗素子Rx0が最小抵抗値Rminであるとき、電流I1は電流I2よりも大きくなるため、P型トランジスタ46のドレイン端子電圧Vout0は、P型トランジスタ47のドレイン端子電圧Vout_B0よりも高くなる。
【0054】
従って、以上説明したように、本実施の形態に係る半導体記憶装置によれば、リファレンス電圧を各メモリセルMC0,MC1の磁気抵抗素子Rx0,Rx1で共用しないので、ラッチ型のアンプを直接接続して用いることができ、図1に示した実施の形態1のように差動アンプを用いた場合よりも出力電圧レンジを大きく取ることができる。
【0055】
実施の形態3.
図4は、実施の形態3に係る半導体記憶装置の構成を示す回路図である。図4において、図2に示した実施の形態2の半導体記憶素のセンスアンプ回路10Aに代えてセンスアンプ回路10Bを備えた点において、実施の形態2に係る半導体記憶装置とは異なる。センスアンプ回路10Bは、図2のセンスアンプ回路10AのN型トランジスタ28a〜31a,28b〜31bと、N型トランジスタ36〜39との間に、スイッチング回路60を備えた点、及び、基準電圧線Vrefにより制御されるP型トランジスタ40〜43を除いた点において、実施の形態2に係る半導体記憶装置のセンスアンプ回路10Aとは異なる。それ以外の点においては、実施の形態2に係る半導体装置と同様であり、同一符号を付した構成要素についての詳細な説明は省略する。
【0056】
スイッチング回路60は、N型トランジスタ61a〜64a,61b〜64b,61c〜64cを備えて構成される。N型トランジスタ61a,61b,61aは、それぞれN型トランジスタ30b,28a,28bと、N型トランジスタ36との間に接続される。N型トランジスタ62a,62b,62cは、それぞれN型トランジスタ31b,29a,29bと、N型トランジスタ37との間に接続される。N型トランジスタ63a,63b,63cは、それぞれN型トランジスタ28b,30a,30bと、N型トランジスタ38との間に接続される。N型トランジスタ64a,64b,64cは、それぞれN型トランジスタ29b,31a,31bと、N型トランジスタ39との間に接続される。
【0057】
また、N型トランジスタ61a,62c,63a,64cは、A0線に印加される電圧によりオン状態及びオフ状態を制御され、N型トランジスタ61c,62a,63c,64aは、A0_B線に印加される電圧によりオン状態及びオフ状態を制御される。N型トランジスタ61b,62b,63b,64bは、電源電位Vddにより常にオン状態に制御される。なお、A0線及びA0_B線には、互いにレベルが反転された電圧が印加されるため、スイッチング回路60において、N型トランジスタ61a,62c,63a,64cと、N型トランジスタ61c,62a,63c,64aとは互いに相補的にオン状態及びオフ状態を制御される。
【0058】
上記構成を備えたセンスアンプ回路10Bにおいて、A0線にハイレベル電圧が印加され、A0_B線にロウレベル電圧が印加されているとき、N型トランジスタ61a及び61bがオン状態となり、N型トランジスタ61cがオフ状態に制御されるため、N型トランジスタ36のソース端子−ドレイン端子を流れる電流IAは、N型トランジスタ61a及び61bが存在する経路に分流される。同様の理由から、N型トランジスタ37のソース端子−ドレイン端子を流れる電流IBは、N型トランジスタ62b及び62cが存在する経路に分流され、N型トランジスタ38のソース端子−ドレイン端子を流れる電流ICは、N型トランジスタ63a及び63bが存在する経路に分流され、N型トランジスタ39のソース端子−ドレイン端子を流れる電流IDは、N型トランジスタ64b及び64cが存在する経路に分流される。従って、P型トランジスタ46〜49のソース端子−ドレイン端子間を流れる電流I1〜I4は、次式(15)〜(18)で表すことができ、電流I1及びI3は、上記式(8)で表される最小抵抗値Rmin及び最大抵抗値Rmaxの中間値である抵抗値Rrefを有する抵抗を接続した場合と同じ値となる。
【0059】
[数15]
I1=IA/2+IC/2
=Vbias/(2・Rmin・Rmax/(Rmin+Rmax)) (15)
【0060】
[数16]
I2=IB/2+IB/2=IB (16)
【0061】
[数17]
I3=IA/2+IC/2
=Vbias/(2・Rmin・Rmax/(Rmin+Rmax)) (17)
【0062】
[数18]
I4=ID/2+ID/2=ID (18)
【0063】
ここで、半導体記憶装置において、メモリセルアレイがフォールデッドビット線構成である場合について考える。例えば、半導体記憶装置のメモリセルアレイが図8に示すように構成されるとき、ビット線BLx0と偶数番目のワード線WLeに接続されたメモリセルMC0に対しては、リファレンスビット線BL_Bx0と奇数番目のダミーワード線DWLoに接続されたダミーメモリセルDMC0がリファレンス電圧を生成するために用いられるが、ビット線BL_Bx0と奇数番目のワード線WLoに接続されたメモリセルMC2に対しては、リファレンスビット線BLx0と偶数番目のダミーワード線DWLeに接続されたダミーメモリセルDMC2がリファレンス電圧を生成するために用いられる。従って、読み出し対象であるメモリセルが奇数番目のワード線WLoに接続しているか、偶数番目のワード線WLeに接続しているかかによって、ビット線とリファレンスビット線の接続関係が逆になる。図4に示した半導体記憶装置においては、A0線とA0_B線に印加する電圧レベルを逆に制御することによって、上記のような場合に対応する。
【0064】
図5は、読み出し対象のメモリセルとして、図8におけるメモリセルMC2及びMC3が選択された場合の半導体記憶装置の構成を示す回路図である。この場合、A0線にロウレベル電圧を印加し、A0_B線にハイレベル電圧を印加することにより、N型トランジスタ61b及び61cがオン状態に制御され、N型トランジスタ61aがオフ状態に制御される。そのため、N型トランジスタ36のソース端子−ドレイン端子を流れる電流IAは、N型トランジスタ61b及び61cが存在する経路に分流される。同様の理由から、N型トランジスタ37のソース端子−ドレイン端子を流れる電流は、N型トランジスタ62a及び62bが存在する経路に分流され、N型トランジスタ38のソース端子−ドレイン端子を流れる電流は、N型トランジスタ63b及び63cが存在する経路に分流され、N型トランジスタ39のソース端子−ドレイン端子を流れる電流は、N型トランジスタ64a及び64bが存在する経路に分流される。従って、P型トランジスタ46〜49のソース端子−ドレイン端子間を流れる電流I1〜I4は、次式(19)〜(22)で表すことができ、電流I2及びI4は、上記式(8)で表される最小抵抗値Rmin及び最大抵抗値Rmaxの中間値である抵抗値Rrefを有する抵抗を接続した場合と同じ値となる。
【0065】
[数19]
I1=IA/2+IA/2=IA (19)
【0066】
[数20]
I2=IB/2+ID/2
=Vbias/(2・Rmin・Rmax/(Rmin+Rmax)) (20)
【0067】
[数21]
I3=IC/2+IC/2=IC (21)
【0068】
[数22]
I4=IB/2+ID/2
=Vbias/(2・Rmin・Rmax/(Rmin+Rmax)) (22)
【0069】
以上の構成によれば、図2に示した実施の形態2に係る半導体記憶装置のように、リファレンス電圧を基準電圧線Vrefによって制御する必要が無いため、リファレンス電圧の精度を保つために定期的に調整しなければならない電圧の数を低減でき、実施の形態2に係る半導体記憶装置に比べて読み出し精度を高くすることができる。
【0070】
なお、本実施の形態において、図9に示すように、センスアンプ回路10Bは、P型トランジスタ44と各P型トランジスタ46,47の間、及び、P型トランジスタ45と各P型トランジスタ48,49の間に、それぞれ所定の負荷を与えるP型トランジスタを含む負荷回路20Aを備えていてもよい。
【0071】
実施の形態4.
図6は、実施の形態4に係る半導体記憶装置の構成を示す回路図である。図6において、図4に示した実施の形態3に係る半導体記憶素のセンスアンプ回路10Bに代えてセンスアンプ回路10Cを備えた点において、実施の形態3に係る半導体記憶装置とは異なる。センスアンプ回路10Cは、図4のセンスアンプ回路10Bのスイッチング回路60に代えてスイッチング回路70を備えた点において、実施の形態3に係る半導体記憶装置のセンスアンプ回路10Bとは異なる。それ以外の点においては、実施の形態3に係る半導体装置と同様であり、同一符号を付した構成要素についての詳細な説明は省略する。
【0072】
スイッチング回路70は、N型トランジスタ70a〜73a,70b〜73b,70c〜73c,70d〜73dを備えて構成される。N型トランジスタ70a,70b,70c,70dは、それぞれN型トランジスタ29a,29b,28a,30aと、N型トランジスタ36との間に接続される。N型トランジスタ71a,71b,71c,71dは、それぞれN型トランジスタ28a,30a,29a,29bと、N型トランジスタ37との間に接続される。N型トランジスタ72a,72b,72c,72dは、それぞれN型トランジスタ31a,31b,28b,30bと、N型トランジスタ38との間に接続される。N型トランジスタ73a,73b,73c,73dは、それぞれN型トランジスタ28b,30b,31a,31bと、N型トランジスタ39との間に接続される。
【0073】
また、N型トランジスタ70c〜73c,70d〜73dはA0線に印加される電圧によりオン状態及びオフ状態を制御され、N型トランジスタ70a〜73a,70b〜73bはA0_B線に印加される電圧によりオン状態及びオフ状態を制御される。A0線及びA0_B線には、互いにレベルが反転された電圧が印加されるため、スイッチング回路70において、N型トランジスタ70a〜73a,70b〜73bと、N型トランジスタ70c〜73c,70d〜73dとは互いに相補的にオン状態及びオフ状態を制御される。
【0074】
上記構成を備えたセンスアンプ回路10Cにおいて、A0線にハイレベル電圧が印加され、A0_B線にロウレベル電圧が印加されているとき、N型トランジスタ70c及び70dがオン状態となり、N型トランジスタ70a及び70bがオフ状態に制御されるため、N型トランジスタ36のソース端子−ドレイン端子間を流れる電流IAは、N型トランジスタ70c及び70dが存在する経路に分流される。同様の理由から、N型トランジスタ37のソース端子−ドレイン端子間を流れる電流IBは、N型トランジスタ71c及び71dが存在する経路に分流され、N型トランジスタ38のソース端子−ドレイン端子間を流れる電流ICは、N型トランジスタ72c及び72dが存在する経路に分流され、N型トランジスタ39のソース端子−ドレイン端子間を流れる電流IDは、N型トランジスタ73c及び73dが存在する経路に分流される。従って、P型トランジスタ46〜49の各ソース端子−ドレイン端子間を流れる電流I1〜I4は、以下の式(23)〜(26)で表すことができ、電流I1及びI3は、上記式(8)で表される最小抵抗値Rmin及び最大抵抗値Rmaxの中間値である抵抗値Rrefを有する抵抗を接続した場合と同じ値となる。
【0075】
[数23]
I1=IA/2+IC/2
=Vbias/(2・Rmin・Rmax/(Rmin+Rmax)) (23)
【0076】
[数24]
I2=IB/2+IB/2=IB (24)
【0077】
[数25]
I3=IA/2+IC/2
=Vbias/(2・Rmin・Rmax/(Rmin+Rmax)) (25)
【0078】
[数26]
I4=ID/2+ID/2=ID (26)
【0079】
図7は、読み出し対象のメモリセルとして、図8におけるメモリセルMC2及びMC3が選択された場合の半導体記憶装置の構成を示す回路図である。A0線にロウレベル電圧が印加され、A0_B線にハイレベル電圧が印加されているとき、N型トランジスタ70c及び70dがオフ状態に制御され、N型トランジスタ70a及び70bがオン状態に制御されるため、N型トランジスタ36のソース端子−ドレイン端子を流れる電流IAは、N型トランジスタ70a及び70bが存在する経路に分流される。同様の理由から、N型トランジスタ37のソース端子−ドレイン端子を流れる電流は、N型トランジスタ71a及び71bが存在する経路に分流され、N型トランジスタ38のソース端子−ドレイン端子を流れる電流は、N型トランジスタ72a及び72bが存在する経路に分流され、N型トランジスタ39のソース端子−ドレイン端子を流れる電流は、N型トランジスタ73a及び73bが存在する経路に分流される。従って、P型トランジスタ46〜49のソース端子−ドレイン端子間を流れる電流I1〜I4は、以下の式(27)〜(30)で表すことが出来る。
【0080】
[数27]
I1=IB/2+ID/2
=Vbias/(2・Rmin・Rmax/(Rmin+Rmax)) (27)
【0081】
[数28]
I2=IA/2+IA/2=IA (28)
【0082】
[数29]
I3=IB/2+ID/2
=Vbias/(2・Rmin・Rmax/(Rmin+Rmax)) (29)
【0083】
[数30]
I4=IC/2+IC/2=IC (30)
【0084】
以上の構成によれば、図2に示した実施の形態2に係る半導体記憶装置のように、リファレンス電圧を基準電圧線Vrefによって制御する必要が無いため、リファレンス電圧の精度を保つために定期的に調整しなければならない電圧の数を低減でき、図2に示した実施の形態2に係る半導体記憶装置に比べて読み出し精度を高くすることができるとともに、図4に示した実施の形態3に係る半導体装置に比べてレイアウトの対称性が増すため、全体のセンスアンプ回路の特性の劣化をさらに低減できる。
【0085】
また、上記実施の形態1〜4において、磁気抵抗素子によりデータを記録保持したが、本発明はこの構成に限らず、磁気抵抗素子に代えてPCM(Phase Change Memory:相変化メモリ)等の他の抵抗体メモリ素子を用いても良い。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明に係る半導体記憶装置によれば、レイアウトの対称性を保ったままリファレンス電圧を発生することができるので、電気特性を安定させることができ、全体のセンスアンプ回路の特性の劣化を低減できる。
【0087】
また、リファレンス電圧を複数の磁気抵抗素子で共用する必要がないので、センスアンプ回路にラッチ型のアンプを用いることができ、従来に比べて出力電圧レンジを大きく取ることができる。
【0088】
本発明に係るセンスアンプ回路は、例えば、MRAM全般、特にSTT−MRAMに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の実施の形態1に係る半導体記憶装置の構成を示す回路図である。
【図2】本発明の実施の形態2に係る半導体記憶装置の構成を示す回路図である。
【図3】図2の半導体記憶装置の各部の信号を示す動作波形図である。
【図4】本発明の実施の形態3に係る半導体記憶装置のメモリセルMC0及びMC1選択時の構成を示す回路図である。
【図5】本発明の実施の形態3に係る半導体記憶装置のメモリセルMC2及びMC3選択時の構成を示す回路図である。
【図6】本発明の実施の形態4に係る半導体記憶装置のメモリセルMC0及びMC1選択時の構成を示す回路図である。
【図7】本発明の実施の形態4に係る半導体記憶装置のメモリセルMC2及びMC3選択時の構成を示す回路図である。
【図8】本発明の実施の形態3及び4に係る半導体記憶装置のメモリセルアレイの構成を示す回路図である。
【図9】本発明の実施の形態3の変形例に係る半導体記憶装置のメモリセルMC0及びMC1選択時の構成を示す回路図である。
【図10】従来例に係る半導体記憶装置の構成を示す回路図である。
【符号の説明】
【0090】
10,10A,10B,10C…センスアンプ回路、
20,20A…負荷回路、
60,70…スイッチ回路、
DMC0,DMC1,DMC2,DMC3…ダミーメモリセル、
MC0,MC1,MC2,MC3…メモリセル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビット線に接続されかつ少なくとも2値のデータを蓄積するための複数の抵抗体メモリ素子と、ビット線に接続されかつ基準抵抗値を発生するための複数の基準抵抗体メモリ素子と、前記抵抗体メモリ素子から前記データを読み出すためのセンスアンプ回路とを備えた半導体記憶装置において、
前記センスアンプ回路は、前記抵抗体メモリ素子からデータを読み出すときに、前記各ビット線上を流れる電流を分流させ、前記各分流された電流を、前記各分流された電流が流れるビット線とは異なる対応するビット線を流れる電流と合流させる電流経路変更手段を備えたことを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項2】
前記電流経路変更手段は、前記抵抗体メモリ素子からデータを読み出すときに、前記ビット線に接続された前記抵抗体メモリ素子及び前記基準抵抗体メモリ素子に所定のバイアス電圧を印加することを特徴とする請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記基準抵抗体メモリ素子は、互いに抵抗値が異なる第1及び第2の基準抵抗体メモリ素子を含み、
前記電流経路変更手段は、前記第1の基準抵抗体メモリ素子に流れる電流と、前記第2の基準抵抗体メモリ素子に流れる電流とをそれぞれ分流させ、前記各分流された第1の基準抵抗体メモリ素子に流れる電流と、前記各分流された対応する第2の基準抵抗体メモリ素子に流れる電流とをそれぞれ合流させることを特徴とする請求項1又は2記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記第1及び第2の基準抵抗体メモリ素子の各抵抗値はそれぞれ、前記抵抗体メモリ素子の最小抵抗値及び最大抵抗値であることを特徴とする請求項3記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記センスアンプ回路は、前記合流された各電流にそれぞれ対応する各電圧のうち、前記基準抵抗体メモリ素子の抵抗値に対応する電圧と、前記抵抗体メモリ素子の抵抗値に対応する電圧との差を増幅して出力するラッチ型の増幅回路をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至4のうちのいずれか1つに記載の半導体記憶装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−135119(P2008−135119A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−320520(P2006−320520)
【出願日】平成18年11月28日(2006.11.28)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【出願人】(505045621)グランディス インコーポレイテッド (37)
【氏名又は名称原語表記】GRANDIS,INC.
【Fターム(参考)】