説明

半導体集積回路の故障解析方法、故障解析装置、及び故障解析プログラム

【課題】半導体検査装置から得られた半導体集積回路の異常信号と関連する回路を精度よく抽出する半導体集積回路の故障解析方法、故障解析装置、及び故障解析プログラムを提供する。
【解決手段】半導体検査装置より得た半導体集積回路の解析データに含まれる異常信号データについて解析データにおける装置座標系の座標を求める信号検出工程と、半導体集積回路の複数の基準点について装置座標系の座標と半導体集積回路の設計データにおける設計座標系の座標との対応を求め、装置座標系と設計座標系との座標変換式を求める座標変換工程と、座標変換式による装置座標系の座標と設計座標系の座標との位置誤差を求める誤差算出工程と、座標変換式と位置誤差とを用いて、装置座標系における異常信号の座標から、設計データにおける異常信号に関連する回路を抽出する回路抽出工程と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路の故障解析方法、故障解析装置、及び故障解析プログラムに関する。特に、半導体検査装置から取得した異常信号の画像データから関連する回路を抽出する故障解析方法、故障解析装置、及び故障解析プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体集積回路の故障解析では、例えば観察画像を取得する半導体検査装置としては、エミッション顕微鏡、OBIRCH装置、時間分解エミッション顕微鏡などが用いられている。これらの装置では、不良観察画像として取得される画像を用いて、半導体集積回路の故障箇所などの不良を解析することができる。
【0003】
特許文献1には、半導体デバイスの観察画像を用い、その不良を解析する半導体不良解析方法であって、半導体デバイスの観察画像として、不良についての検査を行って得られた、不良に起因する反応情報を含む不良観察画像を取得する検査情報取得ステップと、半導体デバイスのレイアウト情報を取得するレイアウト情報取得ステップと、不良観察画像を参照し、反応情報に対応して解析領域を設定する領域設定ステップと、半導体デバイスのレイアウトに含まれる複数のネットについて解析領域を通過するネットを抽出するネット情報解析ステップと、領域設定ステップ及びネット情報解析ステップによる半導体デバイスの不良の解析結果についての情報を表示手段に表示させる情報表示ステップとを備えた半導体不良解析方法、不良解析装置、及び不良解析プログラムが記載されている。解析領域の設定においては、検査時に半導体デバイスを載置するステージの位置精度を考慮して、不良観察画像での反応領域に対して広めに設定する(段落0035)。観察画像とレイアウトとの位置合わせは、観察画像の3点とそれに対応するレイアウトの3点を指定して、それらの座標から位置合わせする。必要に応じて4点以上の点を指定して位置合わせする(段落0078)。さらに、パターン画像の回転、位置の微調整、ズームなどの位置あわせの微調整を手動で行うための操作ボタンを設けることが記載されている(段落0080)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−5497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以下の分析は本発明において与えられる。半導体検査装置から取得する異常信号は、一般に画像(観察像)として得られる。LSI構造の微細化によって観察像および観察像内の異常信号の設計データ上の位置を視認するのが困難になっている。さらに、LSIの構造上、裏面からしか観察像が得られないこともあり、その場合、赤外光などにより観察は可能だが、パターンなどの構造が鮮明に得られないため、異常信号の設計データ上の位置を画像から特定することが困難である。
【0006】
特許文献1によれば、観察像と設計データとの対応する3点の座標を用いることで、観察像と設計データとの位置を合わせることができる。しかし実際には、サンプルである故障LSIを装置のステージにセットしたときのサンプルの傾き、サンプルの観察面の凹凸、解析装置のステージの位置誤差がある。そのため、異常信号の設計データ上の位置を求めるときには、誤差が生じる。しかし例えば裏面解析では、観察像のパターンが鮮明でないために、位置合わせの誤差が生じたとしても、その誤差を補正するのは非常に困難である。これを回避するために、特許文献1では、異常信号を広めに設定する(段落0035)。しかし異常信号を位置誤差よりも十分に広く設定すれば、確実に故障回路を抽出することができるが、故障とは関係ない回路(擬似故障回路)も数多く抽出されてしまう。擬似故障を多く含むリストの中から、真の故障回路を絞り込まなければならない。一方、異常信号を位置誤差よりも狭く設定すれば、真の故障回路を見落とすことがある。
【0007】
この位置誤差の量は、サンプル面の傾き、ステージの位置誤差などが原因で、観測のたびに、すなわち故障サンプル毎に変わってしまう。そのため、故障回路を精度良く絞り込むためには、観測のたびに変わる位置誤差の量を的確に見積もらなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの側面による半導体集積回路の故障解析方法は、半導体検査装置より得た半導体集積回路の解析データに含まれる異常信号データについて前記解析データにおける装置座標系の座標を求める信号検出工程と、前記半導体集積回路の複数の基準点について前記装置座標系の座標と前記半導体集積回路の設計データにおける設計座標系の座標との対応を求め、装置座標系と設計座標系との座標変換式を求める座標変換工程と、前記座標変換式による前記装置座標系の座標と前記設計座標系の座標との位置誤差を求める誤差算出工程と、前記座標変換式と前記位置誤差とを用いて、前記装置座標系における前記異常信号の座標から、前記設計データにおける前記異常信号に関連する回路を抽出する回路抽出工程と、を有する。
【0009】
また、本発明の他の側面による半導体集積回路の故障解析装置は、半導体検査装置より得た半導体集積回路の解析データに含まれる異常信号データについて前記解析データにおける装置座標系の座標を求める信号検出部と、前記半導体集積回路の複数の基準点について前記装置座標系の座標と前記半導体集積回路の設計データにおける設計座標系の座標との対応を求め、装置座標系と設計座標系との座標変換式を求める座標変換部と、前記座標変換式による前記装置座標系の座標と前記設計座標系の座標との位置誤差を求める誤差算出部と、前記座標変換式と前記位置誤差とを用いて、前記装置座標系における前記異常信号の座標から、前記設計データにおける前記異常信号に関連する回路を抽出する回路抽出部と、を有する。
【0010】
本発明のさらに他の側面による故障解析プログラムは、上記故障解析方法をコンピュータに実行させる。また、本発明のさらに別の側面による故障解析プログラムは、コンピュータを上記故障解析装置として機能させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、装置座標系と設計座標系の座標変換式を求め、その座標変換式による位置誤差を求め、さらに上記座標変換式と上記位置誤差とを用いて異常信号に関連する回路を抽出するので、異常信号と関連する回路を精度よく抽出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態による半導体集積回路の故障解析方法の概略処理フロー図である。
【図2】本発明の一実施例による半導体集積回路の故障解析方法の詳細処理フロー図である。
【図3】エミッション顕微鏡により異常信号として観測された発光像の画像データである。
【図4】本発明の一実施例における基準点の指定例である。
【図5】本発明の一実施例における別な基準点の指定例である。
【図6】本発明の一実施例において装置座標系における座標と設計座標系における座標を、移動量と回転量と傾斜量と伸縮量とを用いて座標変換を行う例である。
【図7】本発明の一実施例における設計データ上の基準点の一例である。
【図8】本発明の一実施例における位置誤差を説明する図面である。
【図9】本発明の一実施例による故障解析装置のブロック図である。
【図10】本発明の一実施例において、解析データにおける異常信号を設計データと重ねて表示した一例を示す図面である。
【図11】本発明の一実施例において、解析データにおける異常信号を設計データと重ねて表示した別の例を示す図面である。
【図12】本発明の実施に用いることのできるコンピュータの構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態について、必要に応じて図面を参照して説明する。なお、実施形態の説明において引用する図面及び図面の符号は実施形態の一例として示すものであり、それにより本発明による実施形態のバリエーションを制限するものではない。
【0014】
本発明の一実施形態による半導体集積回路の故障解析方法は、例えば、図1、図9に示すように、半導体検査装置1より得た半導体集積回路の解析データ2に含まれる異常信号11データについて解析データ2における装置座標系の座標を求める信号検出工程S1と、半導体集積回路の複数の基準点について装置座標系の座標と半導体集積回路の設計データにおける設計座標系の座標との対応を求め、装置座標系と設計座標系との座標変換式を求める座標変換工程S2と、座標変換式による装置座標系の座標と設計座標系の座標との位置誤差を求める誤差算出工程S3と、座標変換式と位置誤差とを用いて、装置座標系における異常信号11の座標から、設計データにおける異常信号に関連する回路を抽出する回路抽出工程S4と、を有する。すなわち、座標変換式と座標変換式による位置誤差とを求め、その座標変換式と位置誤差とを用いて異常信号に関連する回路を抽出しているので、故障LSIに対して半導体検査装置により観測された異常信号に対して異常信号の原因となる故障回路を特定することができる。特に観測のたびに変化する位置合わせの誤差量を定量的に求めて異常信号を誤差量だけ広く取った領域を通る回路を抽出すれば、検出する擬似故障回路の数を抑えながら、真の故障回路を抽出することができる。
【0015】
また、本発明の一実施形態による半導体集積回路の故障解析方法は、例えば、図2に示すように、座標変換工程S2が、複数の基準点を指定する基準点指定工程S2Aを含み、回路抽出工程S4が、前記座標変換式と前記位置誤差とを用いて設計座標系における異常信号の範囲を求める信号座標算出工程S4Aを含む。
【0016】
また、本発明の一実施形態による半導体集積回路の故障解析方法は、座標変換工程S2において、それぞれ装置座標系と設計座標系との複数の座標について最小二乗法を用いて座標変換式を算出する。最小二乗法を用いるので、位置合わせには、人為的な要素が入らず、精度よく座標変換を行うことができる。また、観察面が傾いているために観察像が歪んでいるときでも、位置合わせ誤差を最小にすることができる。
【0017】
また、本発明の一実施形態による半導体集積回路の故障解析方法は、誤差算出工程S3において、複数の座標について、座標変換式による平均二乗誤差を求め、平均二乗誤差から位置誤差を求める。平均二乗誤差そのものを位置誤差としてもよいし、平均二乗誤差に係数を掛けたり、足したりして位置誤差を求めてもよい。いずれにせよ、位置誤差を平均二乗誤差を用いて求めれば、人為的な要素が入らず、過不足ない位置誤差を求めることができる。特に、観察のたびに変化する位置合わせの誤差量を定量的に求めて、異常信号を誤差量だけひろく取った領域を通る回路を抽出することで、抽出される擬似故障回路の数を抑えながら、真の故障回路を抽出することができる。
【0018】
また、本発明の一実施形態による半導体集積回路の故障解析方法は、座標変換工程において、座標変換式を求めるために最低限必要な数を超える数の基準点について座標の対応を求め、座標の対応を求めた基準点の中から任意の数の基準点を用いて座標変換式を仮に求め、仮に求めた座標変換式を用いたときの各基準点の位置誤差の和を変換誤差として求め、変換誤差が最小になる座標変換式を最終的な座標変換式とする。基準点の取り方によって、位置精度が変わる場合もあるので、座標変換式を解くために必要な最低限必要な数を超える数の基準点の座標を求め、それら求めた基準点の中から、任意の数の基準点を用いて座標変換式を仮に求めることができる。この任意の数の基準点には少なくとも座標変換式を解くために必要な数の基準点が含まれる。どの基準点を用いるかによって仮の座標変換式が複数存在する場合があるが、その場合は、各座標変換式を用いて変換誤差を求め、最も変換誤差の少ない座標変換式を最終的な座標変換式とすることにより、基準点の取り方の違いによる誤差ばらつきの大きさを低減することができる。特に、観察面に起伏があるために観察像が歪をもっているときでも、位置合わせ誤差を最小にすることができる。また、観察のたびに変化する位置合わせの誤差量を定量的に求めて、異常信号を誤差量だけ広く取った領域を通る回路を抽出することで、抽出される擬似故障回路の数を抑えながら、真の故障回路を抽出することができる。
【0019】
また、本発明の一実施形態による半導体集積回路の故障解析方法は、座標変換式が射影変換による座標変換式(例えば数式(4))であり、座標変換工程S2において、4以上の基準点についての装置座標系と設計座標系との座標から射影変換のパラメータを算出する。射影変換により座標変換を行う場合は、数式(4)の通り、求めなければならないパラメータが8個(a、b、a、b、c、a、b、c)あるので、基準点は少なくとも4つ必要である。これにより、観察面が傾いているために、サンプルの矩形領域が解析像の任意の凸型四辺形領域となるような像の歪を有する場合であっても、位置合わせ誤差を最小にすることができる。また、観察のたびに変化する位置合わせの誤差量を定量的に求めて、異常信号を誤差量だけ広く取った領域を通る回路を抽出することで、抽出される擬似故障回路の数を抑えながら、真の故障回路を抽出することができる。
【0020】
また、本発明の一実施形態による半導体集積回路の故障解析方法は、例えば図6に示すように、座標変換式が移動量(xo、yo)と、回転量θと、傾斜量βと、伸縮量(λx、λy)とを用いた座標変換式であり、座標変換工程S2において、3以上の基準点についての装置座標系と設計座標系との座標から、移動量(xo、yo)と、回転量θと、傾斜量βと、伸縮量λx、λyとを算出する。上記のとおり、求めるパラメータが6個あるので、基準点は、少なくとも3つ必要である。これにより、観察面が傾いているために、サンプルの矩形領域が解析像の平行四辺形となるような像の歪を有する場合であっても、位置合わせ誤差を最小にすることができる。また、観察のたびに変化する位置合わせ誤差を定量的に求めて、異常信号を誤差量だけ広く取った領域を通る回路を抽出することで、抽出される擬似故障回路の数を抑えながら、真の故障回路を抽出することができる。
【0021】
さらに、本発明の一実施形態による半導体集積回路の故障解析装置10は、例えば図9に示すように、半導体検査装置1より得た半導体集積回路の解析データ2に含まれる異常信号11データについて解析データ2における装置座標系の座標を求める信号検出部3と、半導体集積回路の複数の基準点について装置座標系の座標と前記半導体集積回路の設計データ4における設計座標系の座標との対応を求め、装置座標系と設計座標系との座標変換式を求める座標変換部5と、座標変換式による装置座標系の座標と設計座標系の座標との位置誤差を求める誤差算出部6と、座標変換式と位置誤差とを用いて、装置座標系における異常信号11の座標から、設計データ4における異常信号11に関連する回路を抽出する回路抽出部7と、を有する。座標変換式を求める座標変換部5と、座標変換部が求めた座標変換式を用いて位置誤差を求める誤差算出部と、座標変換部が求めた座標変換式と、誤差算出部が求めた位置誤差と、を用いて異常信号に関連する回路を抽出するので、精度のよい回路抽出を行うことが可能である。
【0022】
また、本発明の一実施形態による半導体集積回路の故障解析装置10は、例えば図9に示すように、解析データ2の画像データと設計データ4の画像データとを表示する表示部8をさらに含み、座標変換部5が、複数の基準点を指定する基準点指定部5Aを含み、回路抽出部7が、座標変換式と位置誤差とを用いて設計座標系における異常信号の範囲13を求める信号座標算出部7Aを含む。
【0023】
また、本発明の一実施形態による半導体集積回路の故障解析装置10は、基準点指定部5Aが、表示部8が表示した解析データ2と設計データ4との画像データを用いて装置座標系と設計座標系との基準点の座標を入力させる。例えば、表示部が図4のように解析データと設計データを並べて表示し、同一箇所を基準点として入力させたり、図5に示すように、設計データと解析データを重ねて表示し、基準点を指定することができる。
【0024】
また、本発明の一実施形態による半導体集積回路の故障解析装置10は、例えば、図10、図11に示すように、表示部8が、異常信号11を含む解析データ2の画像データと、信号座標算出部7Aが求めた異常信号の範囲13の画像を含む設計データ4の画像データと、を重ねて表示する。
【0025】
また、本発明の一実施形態による半導体集積回路の故障解析装置10は、座標変換部5が、それぞれ装置座標系と設計座標系との複数の座標について最小二乗法を用いて座標変換式を算出する。座標変換部が座標変換式のパラメータを最小二乗法を用いて求めているので精度のよい座標変換式を求めることができる。特に、観察面が傾いているために観察像が歪んでいるときでも、位置合わせ誤差を最小にすることができる。
【0026】
また、本発明の一実施形態による半導体集積回路の故障解析装置10は、誤差算出部6が、複数の座標について、座標変換式による平均二乗誤差(一例として数式(2)参照)を求め、平均二乗誤差から前記位置誤差を求める。平均二乗誤差から位置誤差を求めているので、作業者のスキルに依存せず過不足のない位置誤差を求めることができる。また、位置誤差は平均二乗誤差そのものを位置誤差としてもよいし、平均二乗誤差に定数を掛けたり、足したりして位置誤差を求めてもよい。特に、誤差算出部が観察のたびに変化する位置合わせの誤差量を定量的に求めて、異常信号を誤差量だけひろく取った領域を通る回路を抽出することで、抽出される擬似故障回路の数を抑えながら、真の故障回路を抽出することができる。
【0027】
また、本発明の一実施形態による半導体集積回路の故障解析装置10は、座標変換部5が、座標変換式を求めるために最低限必要な数を超える数の基準点について座標の対応(例えば、図8のQ1〜Q4とP1〜P4との座標の対応)を求め、座標の対応を求めた基準点の中から任意の数の基準点を用いて座標変換式を仮に求め、仮に求めた座標変換式を用いたときの各基準点の位置誤差の和を変換誤差として求め、変換誤差が最小になる座標変換式を最終的な座標変換式とする。基準点の取り方によっても座標変換式の精度は変わってくるので、上記構成によれば、複数通りの基準点の取り方について座標変換式を取りに求め、その中から、誤差が最小になる座標変換式を最終的な座標変換式とすることができる。特に、観察面に起伏があるために観察像が歪をもっているときでも、位置合わせ誤差を最小にすることができる。また、観察のたびに変化する位置合わせの誤差量を定量的に求めて、異常信号を誤差量だけ広く取った領域を通る回路を抽出することで、抽出される擬似故障回路の数を抑えながら、真の故障回路を抽出することができる。
【0028】
また、本発明の一実施形態による半導体集積回路の故障解析装置10は、座標変換式が射影変換による座標変換式(一例として数式(3)、(4)参照)であり、座標変換部5が、4以上の基準点についての装置座標系と設計座標系との座標から射影変換のパラメータを算出する。射影変換による座標変換式に、8個のパラメータ(a0,b0、a1、b1、c1、a2、b2、c2)が必要である場合には、4以上の基準点についての装置座標系と設計座標系の座標からパラメータを求める。これにより、観察面が傾いているために、サンプルの矩形領域が解析像の任意の凸型四辺形領域となるような像の歪を有する場合であっても、位置合わせ誤差を最小にすることができる。
【0029】
また、本発明の一実施形態による半導体集積回路の故障解析装置10は、図6に示すように、座標変換式が移動量(x0、y0)と、回転量θと、傾斜量βと、伸縮量(λx、λy)とを用いた座標変換式であり、座標変換部5が、3以上の基準点についての装置座標系と設計座標系との座標から、移動量と、回転量と、傾斜量と、伸縮量とを算出する。3組以上の基準点の座標から、移動量(x0、y0)、回転量θ、傾斜量β、伸縮量(λx、λy)の6つのパラメータを求める。これにより、観察面が傾いているために、サンプルの矩形領域が解析像の平行四辺形となるような像の歪を有する場合であっても、位置合わせ誤差を最小にすることができる。
【0030】
また、本発明の一実施形態による半導体集積回路の故障解析プログラム25は、上記故障解析方法(図1、図2)をコンピュータ30(図12)に実行させる。すなわち、エンジニアリングワークステーションやパーソナルコンピュータ等の図12のような汎用的なコンピュータに、本発明による故障解析プログラム25をインストールすることにより、コンピュータに図1、図2に記載した故障解析方法を実行させることができる。
【0031】
また、本発明の一実施形態による半導体集積回路の故障解析プログラム25は、コンピュータ30(図12)を故障解析装置10(図9)として機能させる。なお、図9において、解析データ2が半導体検査装置1の検査結果によるものであれば、半導体検査装置1自体は、故障解析装置10に含めなくともよいし、半導体検査装置1を故障解析装置10に含めるのならば故障解析プログラム25が半導体検査装置1についても制御するものであってもよい。以下、実施例について、図面を参照して詳しく説明する。
【実施例1】
【0032】
図2は、実施例1による半導体集積回路の故障解析方法の詳細処理フロー図である。図2において、ステップS1は、故障したLSIに対して半導体検査装置から得た異常信号について、半導体検査装置上の座標(装置座標系)を取得する信号検出工程である。ステップS2Aは、次のステップS2座標変換工程前処理としても、座標変換のための基準点を指定する基準点指定工程である。ステップS2は、装置座標系と設計データ上の座標(設計座標系)との位置関係を座標変換式として算出する座標変換工程である。ステップS3は、装置座標系と設計座標系との位置誤差を算出する誤差算出工程である。位置誤差の算出は、ステップS2で求めた座標変換式を用いて基準点の装置座標系の座標を設計座標系の座標に変換し、その精度をステップS2Aで直接指定した基準点の設計座標系の座標と比較することにより位置誤差を求める。ステップS4Aは、異常信号の設計座標を算出する信号座標算出工程である。このステップS4Aは、次のステップS4の回路抽出工程の前処理となる工程である。ステップS4Aでは、ステップS1で求めた異常信号の装置座標系の座標をステップS2で求めた座標変換式とステップS3で求めた位置誤差を用いて異常信号の設計座標系の座標とその位置誤差範囲を求める。ステップS4は、ステップS4Aで求めた異常信号の設計座標系の座標とその位置誤差範囲を用いて異常信号に関連する回路を抽出する回路抽出工程である。
【0033】
ステップS1で用いられる半導体検査装置には、エミッション発光を異常信号として検出するエミッション解析装置、OBIRCH反応を異常信号として検出するOBIRCH解析装置の他、LSIに対して、電気信号、赤外線、可視光、紫外線、レーザー、X線、電子、イオン、超音波、振動などを与え、電気信号、赤外線、可視光、紫外線、レーザー、X線、電子、イオン、超音波、振動などを異常信号として検出できる半導体検査装置であれば、どのようなものであってもよい。
【0034】
図3は、半導体検査装置で検出される異常信号の例として、エミッション顕微鏡により異常信号11として観測された発光像の画像データを示す。図3に示すように、半導体検査装置では、検査対象とする半導体集積回路の観察像と観察像内に現れる異常信号を画像テータとして検出することができる。ステップS1では、その異常信号11の解析像における装置座標系の座標を求めておく。
【0035】
次に、ステップS2A基準点指定工程では、半導体検査装置から得られる半導体集積回路の観察像の他、解析対象とする半導体集積回路の回路レイアウト設計データから設計データの画像データを表示する。観察像と設計データは、別々に表示してもよいし、図4に示すように並べて表示してもよいし、図5に示すように重ねて表示しても良い。さらに、ステップS2A基準点指定工程では、解析対象とする半導体集積回路内の一箇所を基準点(実基準点)とし、その実基準点に対応する設計データ上の座標を基準点(設計基準点)として、実基準点の装置座標と設計基準点の設計座標とを複数の基準点について指定する。基準点の指定方法の一例を図4に示す。図4では、観察像(解析データ)と設計データとを並べて表示させ、両者が同一箇所であると視認できる箇所を基準点として指定する。図4では、観察像上の1点を実基準点として指定し、設計データ上の実基準点に対応する1点を設計基準点として指定する。このようにして得られた基準点の組を複数指定する。図5は、図4との別の基準点の指定方法を示す例である。図5では、解析対象とする半導体集積回路について半導体検査装置で取得した観察像画像データと設計データとを重ね合わせて表示して、重ね合わせて表示された画像上の任意の1点について、実基準点と設計基準点の座標とを抽出する。一般的には、観察像には像の歪があるため、設計データの画像データと、すべての箇所で一致することはないが、重ね合わせて両者が一致する点を基準点として指定することができる。このようにして複数の基準点について、対応する装置座標系の座標と設計座標系の座標とを取得する。
【0036】
次に、ステップS2座標変換工程では、ステップS2A基準点指定工程で指定された複数の基準点の組(装置座標系における基準点と設計座標系における基準点)から、装置座標系と設計座標系についての位置関係を座標変換式として求める。さらに、ステップS3誤差算出工程では、基準点の設計座標系の座標(ステップS2Aで求めた座標)と、座標変換式を使って求めた設計座標系の座標と、について位置誤差を求める。解析対象である半導体集積回路をサンプルとして半導体検査装置のステージにセットしたときのサンプルの傾き、サンプルの観察面の凹凸、半導体検査装置のステージの位置誤差などが原因となって、基準点指定工程(ステップS2A)で指定された基準点の座標には、誤差が含まれる。この誤差を小さくするためにこの実施例では、基準点指定工程で指定された複数の基準点の組に対して、座標変換工程では、装置座標系と設計座標系の位置関係を座標変換式として求める。この座標変換式のパラメータは最小二乗法により求めている。さらに、この座標変換式を使って求めた基準点の座標とあらかじめ指定した基準点の座標の位置関係から複数の基準点の組に対する平均二乗誤差を求めて位置誤差とする。
【0037】
装置座標系と設計座標系との座標変換の一例を図6に示す。装置座標系(x、y)を設計座標系(X、Y)に変換するために、3組以上の基準点(xi、yi)と(Xi、Yi)から作成される方程式から、移動量:x0、y0、回転量:θ、傾斜量:β、伸縮量:λx、λyを最小二乗法により求める。座標変換式を一般的な形で記載すると数式(1)のようになる。
【0038】
【数1】

【0039】
ステップS3誤差算出工程では、座標変換式を使って求めた基準点の装置座標系と設計座標系の位置関係から求めた基準点の組に対する平均二乗誤差を求める。座標変換式が数式(1)で表されるときの、平均二乗誤差は、数式(2)で表される。基準点の装置座標系での座標を座標変換式に代入した求めた設計座標系の座標と、ステップS2Aで指定した基準点の設計座標系の座標とについて差分を取る。さらに複数の基準点について、平均二乗和を求めることで、平均二乗誤差を求める。
【0040】
【数2】

【0041】
次に、ステップS4Aの信号座標算出工程では、座標変換工程で取得した座標変換式と誤差算出工程で取得した位置誤差を用いて、信号検出工程で取得した異常信号の設計座標と位置誤差を算出する。
【0042】
さらに、ステップS4の回路抽出工程では、信号座標算出工程で取得した異常信号の設計座標を位置誤差の量だけ広げた領域(異常信号領域)を通る回路を設計データから抽出する。この抽出した回路が異常信号と関連する回路になる。
【実施例2】
【0043】
実施例1とは、異なる別な半導体集積回路の故障解析方法について実施例2として、図面を参照して説明する。図7は設計データ上の基準点の一例である。基準点指定工程では、4組以上の基準点の組を指定する。LSIチップの端などの視認しやすい箇所を基準点とすれば、実基準点と設計基準点との対応を容易に取ることができる。座標変換工程では、基準点の組から、最小二乗法により射影変換のパラメータを算出することで装置座標系と設計座標系との座標変換式を求める。射影変換による座標変換式の一例を数式(3)に示す。
【0044】
【数3】

【0045】
最小二乗法により、4組以上の基準点について観察像における座標(xi、yi)と設計データにおける座標(Xi、Yi)とから座標変換式における8個のパラメータ(a、b、a、b、c、a、b、c)を求める。誤差算出工程では、座標変換式から求めた基準点の組に対する平均二乗誤差を求める。具体的には、数式(4)の座標変換式を数式(2)に代入して平均二乗誤差を求める。
【0046】
【数4】

【実施例3】
【0047】
半導体集積回路のさらに別な故障解析方法について実施例3として図面を参照して説明する。座標変換工程では、複数の基準点の組の中から、座標変換式の導出に最小限必要な組数以上の基準点(対象基準点)を用いて、装置座標系と設計座標系の座標変換式を求める。誤差算出工程では、位置関係から求めた対象基準点に対して、設計座標系上の基準点の座標と装置座標系の基準点を座標変換式を用いて計算で求めた設計座標系上の座標との位置誤差を求め、各対象基準点の位置誤差の和を変換誤差とする。
【0048】
例えば図6を用いて説明した移動量と、回転量と、傾斜量と、伸縮量とをパラメータとした座標変換式では、6個の変換パラメータを求めるために、3組以上の基準点を指定する必要がある。例えば6組の基準点を指定したとする。3組の基準点を採用すると平均二乗誤差はゼロであるから、6組の基準点に対して、4組、5組、6組となる基準点の組を取り出す。4組となる組み合わせ数は15、5組となる組み合わせ数は6、6組となる組み合わせ数は1であり、全部で22組の組み合わせが考えられる。これら22組に対して、それぞれ座標変換式を求める。さらに求まった座標変換式から、実基準点が座標変換された設計座標系上の点と設計基準点との距離を計算する。座標変換式を求めるのに直接使用した全ての対象基準点に対する距離の和を変換誤差とする。変換誤差がもっとも小さい座標変換式を最終的な座標変換式として採用する。
【0049】
図8に、観察像(解析データ)上で指定した基準点の装置座標系の座標(Q1〜Q4)と、設計データ上で指定した基準点の設計座標系の座標(P1〜P4)と、座標変換式を用いて装置座標系の座標P1から変換した設計座標系の座標(P1A)と、の関係を示す。観察像の歪や基準点の設定誤差がなく、座標変換式が完全なものであれば、装置座標系の座標(実座標Q1)を座標変換式を用いて変換した座標(P1A)と設計座標系の基準点の座標(設計基準点P1)は完全に一致する。しかし、観測像のゆがみ等の理由により、完全には、一致しない。P1とP1Aとの間には距離がある。各基準点についてこの距離の和を合計し変換誤差とし、さらに、変換誤差が最も少ない座標変換式を最終的な座標変換式とすることにより、より座標精度の高い解析を行うことができる。
【0050】
ここで、求まった座標変換式から、実基準点が座標変換された設計座標系上の点と設計基準点とについて、位置誤差を求めればよく、上記変換誤差は単純な距離の和に限定するものではない。例えば、異常信号からの距離など、半導体集積回路上の位置に応じて、誤差(例えば図8のP1とP1A)の距離を重み付けし、重み付けされた誤差の和を変換誤差としてもよい。
【実施例4】
【0051】
次に、半導体集積回路の故障解析装置の実施例について実施例4として説明する。図9は、実施例4の半導体集積回路の故障解析装置10の構成を示すブロック図である。図9において、半導体検査装置1は、解析対象とする半導体集積回路の観察像と観察像の中に含まれる異常信号を解析データ2として出力する。解析データ2は半導体検査装置1が出力する画像データである。なお、故障解析装置10において、解析データ2が入力できれば、半導体検査装置1自体は、故障解析装置10に含まれなくてもよい。設計データ4は解析対象とする半導体集積回路の回路設計レイアウトデータである。信号検出部3は、設計データ4と、解析データ2から異常信号の座標を検出する。基準点指定部5Aは、複数の基準点を設定し、その解析データ2と設計データ4における座標データを求める。座標変換部5は、解析データ2における基準点座標と設計データ4における基準点座標から解析データにおける座標を設計データにおける座標に変換する座標変換式を求める。誤差算出部6は、座標変換部5が求めた座標変換式を用いて、解析データの座標を設計データの座標に変換した場合の位置誤差を求める。信号座標算出部7Aは、信号検出部3が求めた異常信号の装置座標系(解析データ2)における座標を座標変換部5が求めた座標変換式と、誤差算出部6を求めた位置誤差とを用いて設計座標系の座標と、その位置誤差(範囲)を求める。回路抽出部7は、信号座標算出部7Aが求めた設計座標系における異常信号の座標とその位置誤差を考慮した範囲を元に異常信号に関連する回路を抽出する。表示部8は、解析データに含まれる観察像や異常信号画像、設計データの画像データ、装置座標系と設計座標系における基準点の位置等を表示する。
【0052】
なお、図9に示す実施例4の故障解析装置の構成により、すでに説明した実施例1乃至3の故障解析方法を実行することができる。また、表示部8は、図10、図11に示すように解析データと設計データを重ねて表示し、解析データにおける異常信号11の他、座標変換式を使って求めた設計データ上における異常信号の座標を異常信号領域として表示し、さらにこれに位置誤差を加えた設計データにおける異常信号の範囲を誤差考慮領域13として表示する。なお、異常信号の範囲がXY座標で求められる場合には、図10に示すように誤差考慮領域13は矩形になり、異常信号の範囲が円又は楕円の領域としても求まる場合には、図11のように誤差考慮領域13は、円又は楕円の領域となる。なお、誤差考慮領域の範囲は、誤差量だけ広く取ればよく、その形状を矩形や楕円に限定するものではない。
【実施例5】
【0053】
上記実施例1乃至実施例3の半導体集積回路の故障解析方法、実施例4の故障解析装置は、図12に示すコンピュータ30にインストールされる故障解析プログラム25によっても実施することができる。
【0054】
図12においてコンピュータ30は、CPU21とプログラムを実行するための指示を入力する入力部22と、出力部23、記憶部24、半導体検査装置1から得られる解析データ2、設計データ4を取得するための外部データ取得部26とを備えている。記憶部24は、キャッシュや半導体メモリのような主記憶装置以外に、ハードディスクやCD、DVDなどの磁気記憶媒体、光記憶媒体のような補助記憶装置を含んでもよい。
【0055】
記憶部24には、実施例1乃至3で説明した信号検出工程、基準点指定工程、座標変換工程、誤差算出工程、信号座標算出工程、回路抽出工程をCPUに実行させる故障解析プログラム25が格納されている。また、外部から取得した解析データ2、設計データ4も、記憶部24に格納される。
【0056】
出力部23では、解析データ2、設計データ4、およびそれらを重ね合わせて表示する。また位置誤差の量だけ異常信号を広げた領域を表示する。そして、入力部22と、CPU21と、記憶部24と、外部データ取得部26と、出力部23は、それぞれバスラインで接続されている。
【0057】
また、上記半導体集積回路の故障解析プログラム25がインストールされたコンピュータ30は、信号検出部3、基準点指定部5A、座標変換部5、誤差算出部6、信号座標算出部7A、回路抽出部7を有する故障解析装置10として機能する。このコンピュータは、ディスプレイ等の出力部23、キーボード、マウス等の入力部22、DVDやCD−ROM等の補助記憶装置、インターネット接続等の外部インタフェース機能を備えた一般的なエンジニアリングワークステーションやパーソナルコンピュータでもよい。また、上記半導体集積回路の故障解析プログラムは、半導体メモリ、磁気記憶装置、光記憶装置等の記憶媒体や、インターネットを介して上記コンピュータにインストールすることができる。
【0058】
以上、実施例について説明したが、本発明は上記実施例の構成にのみ制限されるものでなく、本発明の範囲内で当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、半導体集積回路の故障解析に広く用いることができる。本発明を用いることによって、半導体集積回路の不良を容易に回路に遡って解析することができ、半導体集積回路の品質、歩留まりを高めることができる。
【符号の説明】
【0060】
1:半導体検査装置
2:解析データ
3:信号検出部
4:設計データ
5:座標変換部
5A:基準点指定部
6:誤差算出部
7:回路抽出部
7A:信号座標算出部
8:表示部
10:故障解析装置
11:異常信号(検出信号)
12:異常信号領域(検出信号領域)
13:誤差考慮領域(異常信号の範囲)
21:CPU
22:入力部
23:出力部
24:記憶部
25:故障解析プログラム
26:外部データ取得部
30:コンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体検査装置より得た半導体集積回路の解析データに含まれる異常信号データについて前記解析データにおける装置座標系の座標を求める信号検出工程と、
前記半導体集積回路の複数の基準点について前記装置座標系の座標と前記半導体集積回路の設計データにおける設計座標系の座標との対応を求め、装置座標系と設計座標系との座標変換式を求める座標変換工程と、
前記座標変換式による前記装置座標系の座標と前記設計座標系の座標との位置誤差を求める誤差算出工程と、
前記座標変換式と前記位置誤差とを用いて、前記装置座標系における前記異常信号の座標から、前記設計データにおける前記異常信号に関連する回路を抽出する回路抽出工程と、を有することを特徴とする半導体集積回路の故障解析方法。
【請求項2】
前記座標変換工程が、前記複数の基準点を指定する基準点指定工程を含み、
前記回路抽出工程が、前記座標変換式と前記位置誤差とを用いて前記設計座標系における異常信号の範囲を求める信号座標算出工程を含むことを特徴とする請求項1記載の故障解析方法。
【請求項3】
前記座標変換工程において、それぞれ前記装置座標系と前記設計座標系との複数の座標について最小二乗法を用いて前記座標変換式を算出することを特徴とする請求項1又は2記載の故障解析方法。
【請求項4】
前記誤差算出工程において、複数の座標について、前記座標変換式による平均二乗誤差を求め、前記平均二乗誤差から前記位置誤差を求めることを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項記載の故障解析方法。
【請求項5】
前記座標変換工程において、座標変換式を求めるために最低限必要な数を超える数の前記基準点について前記座標の対応を求め、座標の対応を求めた基準点の中から任意の数の基準点を用いて座標変換式を仮に求め、前記仮に求めた座標変換式を用いたときの各基準点の位置誤差の和を変換誤差として求め、変換誤差が最小になる座標変換式を最終的な座標変換式とすることを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項記載の故障解析方法。
【請求項6】
前記座標変換式が射影変換による座標変換式であり、前記座標変換工程において、4以上の前記基準点についての前記装置座標系と設計座標系との座標から前記射影変換のパラメータを算出することを特徴とする請求項1乃至5いずれか1項記載の故障解析方法。
【請求項7】
前記座標変換式が移動量と、回転量と、傾斜量と、伸縮量とを用いた座標変換式であり、前記座標変換工程において、前記3以上の基準点についての前記装置座標系と設計座標系との座標から、前記移動量と、回転量と、傾斜量と、伸縮量とを算出することを特徴とする請求項1乃至5いずれか1項記載の故障解析方法。
【請求項8】
半導体検査装置より得た半導体集積回路の解析データに含まれる異常信号データについて前記解析データにおける装置座標系の座標を求める信号検出部と、
前記半導体集積回路の複数の基準点について前記装置座標系の座標と前記半導体集積回路の設計データにおける設計座標系の座標との対応を求め、装置座標系と設計座標系との座標変換式を求める座標変換部と、
前記座標変換式による前記装置座標系の座標と前記設計座標系の座標との位置誤差を求める誤差算出部と、
前記座標変換式と前記位置誤差とを用いて、前記装置座標系における前記異常信号の座標から、前記設計データにおける前記異常信号に関連する回路を抽出する回路抽出部と、を有することを特徴とする半導体集積回路の故障解析装置。
【請求項9】
前記解析データの画像データと前記設計データの画像データとを表示する表示部をさらに含み、
前記座標変換部が、前記複数の基準点を指定する基準点指定部を含み、
前記回路抽出部が、前記座標変換式と前記位置誤差とを用いて前記設計座標系における異常信号の範囲を求める信号座標算出部を含むことを特徴とする請求項8記載の故障解析装置。
【請求項10】
前記基準点指定部が、前記表示部が表示した前記解析データと設計データとの画像データを用いて前記装置座標系と設計座標系との前記基準点の座標を入力させることを特徴とする請求項9記載の故障解析装置。
【請求項11】
前記表示部が、前記異常信号を含む前記解析データの画像データと、前記信号座標算出部が求めた異常信号の範囲の画像を含む前記設計データの画像データと、を重ねて表示することを特徴とする請求項9又は10記載の故障解析装置。
【請求項12】
前記座標変換部が、それぞれ前記装置座標系と前記設計座標系との複数の座標について最小二乗法を用いて前記座標変換式を算出することを特徴とする請求項8乃至11いずれか1項記載の故障解析装置。
【請求項13】
前記誤差算出部が、複数の座標について、前記座標変換式による平均二乗誤差を求め、前記平均二乗誤差から前記位置誤差を求めることを特徴とする請求項8乃至12いずれか1項記載の故障解析装置。
【請求項14】
前記座標変換部が、座標変換式を求めるために最低限必要な数を超える数の前記基準点について前記座標の対応を求め、座標の対応を求めた基準点の中から任意の数の基準点を用いて座標変換式を仮に求め、前記仮に求めた座標変換式を用いたときの各基準点の位置誤差の和を変換誤差として求め、変換誤差が最小になる座標変換式を最終的な座標変換式とすることを特徴とする請求項8乃至13いずれか1項記載の故障解析装置。
【請求項15】
前記座標変換式が射影変換による座標変換式であり、前記座標変換部が、4以上の前記基準点についての前記装置座標系と設計座標系との座標から前記射影変換のパラメータを算出することを特徴とする請求項8乃至14いずれか1項記載の故障解析装置。
【請求項16】
前記座標変換式が移動量と、回転量と、傾斜量と、伸縮量とを用いた座標変換式であり、前記座標変換部が、前記3以上の基準点についての前記装置座標系と設計座標系との座標から、前記移動量と、回転量と、傾斜量と、伸縮量とを算出することを特徴とする請求項8乃至15いずれか1項記載の故障解析装置。
【請求項17】
請求項1乃至7いずれか1項記載の故障解析方法をコンピュータに実行させることを特徴とする故障解析プログラム。
【請求項18】
コンピュータを請求項8乃至16いずれか1項記載の故障解析装置として機能させることを特徴とする故障解析プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2010−190738(P2010−190738A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−35576(P2009−35576)
【出願日】平成21年2月18日(2009.2.18)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】