説明

半導体駆動装置及び電気自動車用駆動装置

【課題】インダクタンス手段を設けることなく、素子特性のばらつきによる電流のアンバランスを低減することができる半導体駆動装置の提供。
【解決手段】本発明は、並列接続された複数の半導体素子を同期して駆動する半導体駆動装置50において、前記複数の半導体素子Q2A,Q2Bのそれぞれの閾値電圧の差異に基づいて、前記複数の半導体素子Q2A,Q2Bがオン/オフするタイミングを相対的に調整する調整手段56を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、並列接続された複数の半導体素子を同期して駆動する半導体駆動装置及び電気自動車用駆動装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、並列接続された複数の半導体素子を同期して駆動する半導体駆動装置において、各半導体素子のエミッタ側にインダクタンス手段を設けることによって、オン時に閾値電圧の低い素子のゲート−エミッタ間の電圧を低下させて、素子特性のばらつきによる電流のアンバランスを低減する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−41909号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述の特許文献1に記載の構成では、各半導体素子のエミッタ側にインダクタンス手段を設ける必要があり、また、インダクタンス手段に起因して制御のタイミングが遅れてしまうという問題がある。
【0004】
そこで、本発明は、かかるインダクタンス手段を設けることなく、素子特性のばらつきによる電流のアンバランスを低減することができる半導体駆動装置及び電気自動車用駆動装置等の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、第1の発明は、並列接続された複数の半導体素子を同期して駆動する半導体駆動装置において、
前記複数の半導体素子のそれぞれの閾値電圧の差異に基づいて、前記複数の半導体素子がオン/オフするタイミングを相対的に調整する調整手段を備えることを特徴とする。
【0006】
第2の発明は、並列接続された複数の半導体素子を同期して駆動する半導体駆動装置において、
前記複数の半導体素子のそれぞれの電気特性に関する情報を記憶する電気特性情報記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された各半導体素子の電気特性情報に基づいて、前記複数の半導体素子がオン/オフするタイミングを相対的に調整する調整手段を備えることを特徴とする。
【0007】
第3の発明は、第2の発明に係る半導体駆動装置において、
前記電気特性情報は、前記半導体素子の閾値電圧に関する情報であることを特徴とする。
【0008】
第4の発明は、第1〜3のうちのいずれかの発明に係る半導体駆動装置において、
前記複数の半導体素子にオン信号を同時に供給し始めた場合に前記複数の半導体素子のうちの最も遅く導通状態となる半導体素子を基準半導体素子としたとき、
前記調整手段は、前記基準半導体素子が導通状態となるタイミングに他の半導体素子が導通状態となるタイミングが近づくように、該他の半導体素子に対してオン信号を供給し始めるタイミングを、基準半導体素子に対してオン信号を供給し始めるタイミングに対して相対的に遅らせることを特徴とする。
【0009】
第5の発明は、第4の発明に係る半導体駆動装置において、
前記調整手段は、前記基準半導体素子の導通状態が解除されるタイミングに他の半導体素子の導通状態が解除されるタイミングが近づくように、該他の半導体素子に対してオフ信号を供給し始めるタイミングを、基準半導体素子に対してオフ信号を供給し始めるタイミングに対して相対的に早めることを特徴とする。
【0010】
第6の発明は、第4の発明に係る半導体駆動装置において、
前記調整手段は、前記基準半導体素子が導通状態となるタイミングに他の半導体素子が導通状態となるタイミングが一致するように、該他の半導体素子に対してオン信号を供給し始めるタイミングを、基準半導体素子に対してオン信号を供給し始めるタイミングに対して相対的に遅らせることを特徴とする。
【0011】
第7の発明は、第6の発明に係る半導体駆動装置において、
前記調整手段は、前記基準半導体素子の導通状態が解除されるタイミングに他の半導体素子の導通状態が解除されるタイミングが一致するように、該他の半導体素子に対してオフ信号を供給し始めるタイミングを、基準半導体素子に対してオフ信号を供給し始めるタイミングに対して相対的に早めることを特徴とする。
【0012】
第8の発明は、第1〜3のうちのいずれかの発明に係る半導体駆動装置において、
前記調整手段は、前記複数の半導体素子のそれぞれの発熱量の差が減少するように、前記複数の半導体素子がオン/オフするタイミングを相対的に調整することを特徴とする。
【0013】
第9の発明は、第1〜8のうちのいずれかの発明に係る半導体駆動装置において、
前記複数の半導体素子のそれぞれは、IGBTとフライホイルダイオードからなることを特徴とする。
【0014】
第10の発明は、第9の発明に係る半導体駆動装置において、
前記調整手段は、前記複数のIGBTに供給される駆動信号のオンパルス幅を相対的に調整することで、前記複数のIGBTがオン/オフするタイミングを相対的に調整することを特徴とする。
【0015】
第11の発明は、第1〜10のうちのいずれかの発明に係る半導体駆動装置において、
前記複数の半導体素子は、電圧変換器で用いられることを特徴とする。
【0016】
第12の発明は、昇圧コンバータに関し、第1〜10のうちのいずれかの発明に係る半導体駆動装置により制御される前記複数の半導体素子と、リアクトルと、平滑コンデンサとを備えることを特徴とする。
【0017】
第13の発明は、インバータに関し、第1〜10のうちのいずれかの発明に係る半導体駆動装置により制御される前記複数の半導体素子を備えることを特徴とする。
【0018】
第14の発明は、電気自動車用駆動装置に関し、バッテリと、前記バッテリに接続された第12の発明に係る昇圧コンバータと、前記昇圧コンバータに接続された第13の発明に係るインバータと、前記インバータに接続された交流モータとを備えることを特徴とする。
【0019】
第15の発明は、並列接続された複数の半導体素子を同期して駆動する半導体駆動装置の製造方法であって、
前記複数の半導体素子のそれぞれの電気特性に関する電気特性情報を前記半導体駆動装置のメモリに格納する段階と、
前記メモリに格納された各半導体素子の電気特性情報に基づいて各半導体素子に供給される駆動信号の供給パターンを変化させる回路又はプログラムを実装する段階とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、インダクタンス手段を設けることなく、素子特性のばらつきによる電流のアンバランスを低減することができる半導体駆動装置及び電気自動車用駆動装置等が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
【0022】
図1は、本発明による電気自動車用駆動装置1の一実施例の概略構成を示す図である。電気自動車用駆動装置1は、バッテリ10の電力を用いて走行用モータ40を駆動することにより車両を駆動させる装置である。尚、電気自動車は、電力を用いて走行用モータ40を駆動して走行するものであれば、その方式や構成の詳細は任意である。電気自動車は、典型的には、動力源がエンジンと走行用モータ40であるハイブリッド自動車(HV),動力源が走行用モータ40のみである電気自動車を含む。
【0023】
電気自動車用駆動装置1は、図1に示すように、バッテリ10、DC/DCコンバータ20、インバータ30、走行用モータ40、及び、制御装置50を備える。
【0024】
バッテリ10は、電力を蓄積して直流電圧を出力する任意の蓄電装置であり、ニッケル水素バッテリ、リチウムイオンバッテリや電気2重層キャパシタ等の容量性負荷から構成されてもよい。
【0025】
DC/DCコンバータ20は、双方向のDC/DCコンバータ(可逆チョッパ方式の昇圧DC/DCコンバータ)であり、例えば14Vから42Vへの昇圧変換、及び、42Vから14Vへの降圧変換が可能である。DC/DCコンバータ20は、スイッチング素子Q1,Q2,ダイオードD1,D2、リアクトルL1を含む。
【0026】
スイッチング素子Q1,Q2は、本例ではIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)であるが、MOSFET(metal oxide semiconductor field−effect transistor)のような他のスイッチング素子が用いられてもよい。DC/DCコンバータ20は、マルチフェーズ(本例では2相)タイプのDC/DCコンバータであり、スイッチング素子Q1は、2つの並列接続されたスイッチング素子Q1A及びQ1Bとからなり、スイッチング素子Q2は、2つの並列接続されたスイッチング素子Q2A及びQ2Bとからなる。
【0027】
スイッチング素子Q1,Q2は、インバータ30の電源ラインとアースラインとの間に直列に接続される。上アームのスイッチング素子Q1のコレクタは電源ラインに接続され、下アームのスイッチング素子Q2のエミッタはアースラインに接続される。スイッチング素子Q1,Q2の中間点、即ちスイッチング素子Q1のエミッタとスイッチング素子Q2のコレクタの接続点にはリアクトルL1の一端が接続される。このリアクトルL1の他端は、電源ラインを介してバッテリ10の正極に接続される。また、スイッチング素子Q2のエミッタは、アースラインを介してバッテリ10の負極に接続される。また、各スイッチング素子Q1,Q2のコレクタ−エミッタ間には、エミッタ側からコレクタ側に電流を流すようにダイオード(フライホイルダイオード)D1,D2が配置される。ダイオードD1は、2つの並列接続されたダイオードD1A及びD1Bとからなり、ダイオードD2は、2つの並列接続されたダイオードD2A及びD2Bとからなる。また、リアクトルL1の他端とアースラインとの間には平滑用コンデンサC1が接続され、スイッチング素子Q1のコレクタとアースラインとの間には平滑用コンデンサC2が接続される。
【0028】
インバータ30は、電源ラインとアースラインとの間に互いに並列に配置されるU相、V相、W相の各アームから構成される。U相アームはスイッチング素子(本例ではIGBT)Q3,Q4の直列接続からなり、V相アームはスイッチング素子(本例ではIGBT)Q5,Q6の直列接続からなり、W相アームはスイッチング素子(本例ではIGBT)Q7,Q8の直列接続からなる。また、各スイッチング素子Q3〜Q8のコレクタ−エミッタ間には、それぞれ、エミッタ側からコレクタ側に電流を流すようにダイオードD3〜D8が配置される。
【0029】
走行用モータ40は、3相の永久磁石モータであり、U,V,W相の3つのコイルの一端が中点で共通接続されている。U相コイルの他端は、スイッチング素子Q3,Q4の中間点に接続され、V相コイルの他端は、スイッチング素子Q5,Q6の中間点に接続され、W相コイルの他端は、スイッチング素子Q7,Q8の中間点に接続される。
【0030】
制御装置50は、DC/DCコンバータ20及びインバータ30を制御する。制御装置50は、例えばCPU,ROM、メインメモリなどを含み、制御装置50の各種機能は、ROM等に記録された制御プログラムがメインメモリに読み出されてCPUにより実行されることによって実現される。但し、制御装置50の一部又は全部は、ハードウェアのみにより実現されてもよい。また、制御装置50は、物理的に複数の装置により構成されてもよい。
【0031】
次に、上述の電気自動車用駆動装置1における基本動作としての力行動作と回生動作について概説する。
【0032】
[力行動作]
DC/DCコンバータ20は、制御装置50による制御下で、バッテリ10の出力電圧を昇圧変換して、インバータ30に供給する。具体的には、制御装置50は、上アームのスイッチング素子Q1をオフ状態として、下アームのスイッチング素子Q2をオン/オフさせることにより、バッテリ10の出力電圧を昇圧してインバータ30に供給する。より具体的には、スイッチング素子Q2がオン状態になると、スイッチング素子Q2を介してリアクトルL1に電流が流れ、バッテリ10からの直流電力がリアクトルL1に蓄積される。そして、スイッチング素子Q2がオフ状態となると、リアクトルL1に蓄積された直流電圧がダイオードD1を介してインバータ30側に出力される。
【0033】
この昇圧動作時、制御装置50は、下アームのスイッチング素子Q2を構成するスイッチング素子Q2A及びQ2Bを同期駆動させる(実質的に同時にオン/オフさせる)が、後に詳説する如く、スイッチング素子Q2A及びQ2Bの電気的特性の相違を補償すべく、スイッチング素子Q2A及びQ2Bがオン/オフするタイミングを相対的に調整する。
【0034】
インバータ30は、制御装置50による制御下で、スイッチング素子Q3〜Q8をオン/オフすることにより、DC/DCコンバータ20から供給される直流電力を交流電力に変換し、変換した交流電力を走行用モータ40に供給する。これにより、走行用モータ40が回転駆動される。
【0035】
尚、上記説明では、上アームのスイッチング素子Q1をオフ状態としているが、スイッチング素子Q2がオン状態のときにスイッチング素子Q1がオフ状態となりスイッチング素子Q2がオフ状態のときにスイッチング素子Q1がオン状態となるように、上アームのスイッチング素子Q1及び下アームのスイッチング素子Q2を交互にオン/オフさせてもよい。この場合でも、昇圧動作時においては、上アームのスイッチング素子Q1及び下アームのダイオードD2には電流は流れない。
【0036】
[回生動作]
電気自動車の制御時や減速時において、走行用モータ40は、発電機として動作し、交流電力を発生してインバータ30に出力する。
【0037】
インバータ30は、制御装置50による制御下で、スイッチング素子Q3〜Q8をオン/オフすることにより、走行用モータ40で発電された交流電力を直流電力に変換し変換した直流電力をDC/DCコンバータ20に供給する。
【0038】
DC/DCコンバータ20は、制御装置50による制御下で、インバータ30からの直流電圧を降圧変換してバッテリ10を充電する。具体的には、制御装置50は、下アームのスイッチング素子Q2をオフ状態として、上アームのスイッチング素子Q1をオン/オフさせることにより、インバータ30からの出力電圧を降圧してバッテリ10に供給する。より具体的には、スイッチング素子Q1がオン状態になると、スイッチング素子Q1を介してリアクトルL1に電流が流れ、インバータ30からの直流電力がリアクトルL1に蓄積される。そして、スイッチング素子Q1がオフ状態となると、リアクトルL1の起電力によりダイオードD2を介して電流が還流し、これによりリアクトルL1に蓄積された直流電圧がバッテリ10に供給され、バッテリ10が充電される。
【0039】
この降圧動作時、制御装置50は、上アームのスイッチング素子Q1を構成するスイッチング素子Q1A及びQ1Bを同期駆動させる(実質的に同時にオン/オフさせる)が、後に詳説する如く、スイッチング素子Q1A及びQ1Bの電気的特性の相違を補償すべく、スイッチング素子Q1A及びQ1Bがオン/オフするタイミングを相対的に調整する。
【0040】
尚、上記説明では、下アームのスイッチング素子Q2をオフ状態としているが、スイッチング素子Q1がオン状態のときにスイッチング素子Q2がオフ状態となりスイッチング素子Q1がオフ状態のときにスイッチング素子Q2がオン状態となるように、上アームのスイッチング素子Q1及び下アームのスイッチング素子Q2を交互にオン/オフさせてもよい。この場合でも、降圧動作時においては、下アームのスイッチング素子Q2及び上アームのダイオードD1には電流は流れない。
【0041】
ところで、上記の構成では、DC/DCコンバータ20は、スイッチング素子Q1が、2つの並列接続されたスイッチング素子Q1A及びQ1Bとからなり、スイッチング素子Q2が、2つの並列接続されたスイッチング素子Q2A及びQ2Bとからなる。このように並列接続された2つ以上のスイッチング素子を同期駆動する場合、各スイッチング素子の電気的特性の相違に起因して、各スイッチング素子間で電流のアンバランスが生じ、ひいては各スイッチング素子間で発熱量の差(発熱アンバランス)が生じる。
【0042】
この点、従来では、このような並列接続されたスイッチング素子間の発熱バランスを抑えるために、電気的特性の揃ったスイッチング素子同士を選別して組み立てを行っており、製造コストの面で問題があった。或いは、従来では、発熱バランスを設計的に見積もり、最悪のアンバランスになっても、保証温度内で収まるようなスイッチング素子の設計となっていた。かかる設計においては、アンバランスが小さいものは不必要に大きいマージンがあることとなり、コストの増大をもたらす点で問題があった。
【0043】
そこで、本実施例では、制御装置50は、以下で詳説する如く、並列接続された各スイッチング素子の電気的特性の相違を補償すべく、各スイッチング素子がオン/オフするタイミングを相対的に調整する機能を備える。以下では、一例として、スイッチング素子Q1A及びQ1Bがオン/オフするタイミングを相対的に調整する例について説明するが、スイッチング素子Q2A及びQ2Bがオン/オフするタイミングを相対的に調整する場合についても同様である。
【0044】
図2は、各スイッチング素子間の特性差を補償するタイミング調整機能を実現するための制御装置50の要部構成の一例を示す構成図である。制御装置50は、図2に示すように、指示されたデューティ比に従った駆動信号(PWM信号)を生成するPWM生成部52と、駆動信号に応じてスイッチング素子Q1A及びQ1Bの各ゲートに電圧を印加するドライブIC54と、PWM生成部52で生成された駆動信号を補正してオン/オフタイミングを調整するタイミング調整部56と、スイッチング素子Q1A及びQ1Bの各電気的特性を記憶する特性記憶部58とを備える。尚、タイミング調整部56や特性記憶部58の機能の一部又は全部は、ドライブIC54内に組み込まれてもよい。
【0045】
特性記憶部58には、スイッチング素子Q1A及びQ1Bの各電気的特性に関する特性情報が予め格納される。スイッチング素子Q1A及びQ1Bの各特性情報は、スイッチング素子Q1A及びQ1Bの各特性試験結果に基づいて作成され格納されてよい。特性記憶部58に格納されるスイッチング素子Q1A及びQ1Bの各特性情報は、スイッチング素子Q1A及びQ1Bのそれぞれのオン/オフタイミングの相違を直接的又は間接的に表す情報であればよく、典型的には、スイッチング素子Q1A及びQ1Bのそれぞれの閾値電圧である。本例では、スイッチング素子Q1A及びQ1Bのそれぞれの閾値電圧に関する情報が特性情報として格納されることとし、スイッチング素子Q1A及びQ1Bのそれぞれの閾値電圧を、それぞれ、閾値電圧Vth(A)及び閾値電圧Vth(B)とも称する。ここでは、前提として、スイッチング素子Q1A及びQ1Bの各電気的特性に有意な相違があるものとする。即ちVth(A)≠Vth(B)であり、Vth(A)>Vth(B)(例えばVth(A)=7[V]、Vth(B)=6[V])とする。
【0046】
タイミング調整部56は、特性記憶部58に記憶されたスイッチング素子Q1A及びQ1Bの各特性情報に基づいて、スイッチング素子Q1Bがオン/オフするタイミングを調整する。タイミング調整部56は、スイッチング素子Q1Bに対する駆動信号の立ち上がりエッジ/立ち下りエッジのタイミング(位相)を調整することにより、スイッチング素子Q1Bがオン/オフするタイミングを調整する。
【0047】
この際、タイミング調整部56は、スイッチング素子Q1A及びQ1Bが略同一のタイミングでオンするように、スイッチング素子Q1Bがオンするタイミングを調整する。具体的には、タイミング調整部56は、スイッチング素子Q1Aがオンするタイミングに、スイッチング素子Q1Bがオンするタイミングが近づくように、スイッチング素子Q1Aに対する駆動信号の立ち上がりエッジのタイミング(即ちオン信号を供給し始めるタイミング)に対して、スイッチング素子Q1Bに対する駆動信号の立ち上がりエッジのタイミング(即ちオン信号を供給し始めるタイミング)を遅くする。より好ましくは、タイミング調整部56は、スイッチング素子Q1Aがオンするタイミングに、スイッチング素子Q1Bがオンするタイミングが一致するように、スイッチング素子Q1Aに対する駆動信号の立ち上がりエッジのタイミングに対して、スイッチング素子Q1Bに対する駆動信号の立ち上がりエッジのタイミングを遅くする。
【0048】
同様に、タイミング調整部56は、スイッチング素子Q1A及びQ1Bが略同一のタイミングでオフするように、スイッチング素子Q1Bがオフするタイミングを調整する。具体的には、タイミング調整部56は、スイッチング素子Q1Aがオフするタイミングに、スイッチング素子Q1Bがオフするタイミングが近づくように、スイッチング素子Q1Aに対する駆動信号の立ち下がりエッジのタイミング(即ちオフ信号を供給し始めるタイミング)に対して、スイッチング素子Q1Bに対する駆動信号の立ち下がりエッジのタイミング(即ちオフ信号を供給し始めるタイミング)を早くする。より好ましくは、タイミング調整部56は、スイッチング素子Q1Aがオフするタイミングに、スイッチング素子Q1Bがオフするタイミングが一致するように、スイッチング素子Q1Aに対する駆動信号の立ち下がりエッジのタイミングに対して、スイッチング素子Q1Bに対する駆動信号の立ち下がりエッジのタイミングを早くする。
【0049】
ここで、タイミング調整部56によるタイミング調整機能の詳細及び具体例について説明する。
【0050】
図3は、対照例に示す図であり、タイミング調整部56が存在しない場合におけるスイッチング素子Q1A及びQ1Bのオン/オフ状態の変化態様を概略的に示す図である。即ち、図3には、同一の駆動信号が供給されたときのスイッチング素子Q1A及びQ1Bのオン/オフ状態の変化態様が示されている。図3においては、(A)は、駆動信号の時系列波形を示し、(B)は、スイッチング素子Q1Aのゲート−エミッタ間の電圧の時系列波形を概略的に示し、(C)は、スイッチング素子Q1Bのゲート−エミッタ間の電圧の時系列波形を概略的に示す。
【0051】
図3に示すように、時刻t0にて同時にスイッチング素子Q1A及びQ1Bにオン信号が供給されると(即ち時刻t0に駆動信号の立ち上がりエッジが生じると)、スイッチング素子Q1A及びQ1Bのゲート電圧は同時に増加し始めて同様に増加していくが、スイッチング素子Q1Aの方がスイッチング素子Q1Bよりも閾値電圧が大きいので、スイッチング素子Q1Aの方がスイッチング素子Q1Bよりも遅くオンする。即ち、スイッチング素子Q1Bは時刻t1でオンするのに対して、スイッチング素子Q1Aは時刻t1よりもΔt1だけ遅れた時刻t2にオンする。同様に、時刻t3にて同時にスイッチング素子Q1A及びQ1Bにオフ信号が供給されると(即ち時刻t3に駆動信号の立ち下がりエッジが生じると)、スイッチング素子Q1A及びQ1Bのゲート電圧は同様に減少していくが、スイッチング素子Q1Aの方がスイッチング素子Q1Bよりも閾値電圧が大きいので、スイッチング素子Q1Aの方がスイッチング素子Q1Bよりも早くオフする。即ち、スイッチング素子Q1Bは時刻t5でオフするのに対して、スイッチング素子Q1Aは時刻t5よりもΔt2だけ早い時刻t4にオフする。従って、一回のオンパルスが供給される際に、スイッチング素子Q1Aは、スイッチング素子Q1Bと異なるタイミングでオン/オフし、それに応じて電流量及び発熱量のアンバランスが生ずる。
【0052】
図4は、本実施例におけるスイッチング素子Q1A及びQ1Bのオン/オフ状態の変化態様を概略的に示す図である。図4においては、(A)は、スイッチング素子Q1Aに対する駆動信号の時系列波形を示し、(B)は、スイッチング素子Q1Aのゲート−エミッタ間の電圧の時系列波形を概略的に示し、(C)は、スイッチング素子Q1Bに対する駆動信号の時系列波形、即ちタイミング調整部56により補正された駆動信号の時系列波形を示し、(D)は、スイッチング素子Q1Bのゲート−エミッタ間の電圧の時系列波形を概略的に示す。
【0053】
図4に示す例では、タイミング調整部56は、スイッチング素子Q1Aがオンするタイミングに、スイッチング素子Q1Bがオンするタイミングが一致するように、スイッチング素子Q1Bに対する駆動信号の立ち上がりエッジを、スイッチング素子Q1Aに対する駆動信号の立ち上がりエッジよりもΔt1だけ遅らせている。また、同様に、タイミング調整部56は、スイッチング素子Q1Aがオフするタイミングに、スイッチング素子Q1Bがオフするタイミングが一致するように、スイッチング素子Q1Bに対する駆動信号の立ち下がりエッジを、スイッチング素子Q1Aに対する駆動信号の立ち下がりエッジよりもΔt2だけ早まらせている。尚、このタイミング補正量Δt1及びΔt2は、上述のスイッチング素子Q1A及びQ1Bの各特性情報から導出されるが(例えばタイミング補正量Δt1及びΔt2と、閾値電圧Vth(A)と閾値電圧Vth(B)との差との関係を予め定義したマップや、タイミング補正量Δt1及びΔt2と、閾値電圧Vth(A)及び閾値電圧Vth(B)との関係を予め定義したマップから導出されるが)、スイッチング素子Q1A及びQ1Bの各特性情報として、タイミング補正量Δt1及びΔt2が格納されてもよい。
【0054】
図4に示すように、本実施例では、時刻t6にてスイッチング素子Q1Aにオン信号が供給され(即ち時刻t6に駆動信号の立ち上がりエッジが生じ)、その後、Δt1遅れた時刻t7にてスイッチング素子Q1Bにオン信号が供給される(即ち時刻t7に駆動信号の立ち上がりエッジが生じる)。従って、スイッチング素子Q1A及びスイッチング素子Q1Bのそれぞれのゲート−エミッタ間の電圧は、時刻t8にて同時にそれぞれの閾値電圧Vth(A)、Vth(B)に達してオンする。また、本実施例では、時刻t9にてスイッチング素子Q1Bにオフ信号が供給され(即ち時刻t9に駆動信号の立ち下がりエッジが生じ)、その後、Δt2遅れた時刻t10にてスイッチング素子Q1Aにオフ信号が供給される(即ち時刻t10に駆動信号の立ち下がりエッジが生じる)。従って、スイッチング素子Q1A及びスイッチング素子Q1Bのそれぞれのゲート−エミッタ間の電圧は、時刻t11にて同時にそれぞれの閾値電圧Vth(A)、Vth(B)に降下してオフする。従って、一回のオンパルスが供給される際に、スイッチング素子Q1Aは、スイッチング素子Q1Bと同一のタイミングでオン/オフし、電流量及び発熱量のアンバランスが防止される。
【0055】
以上説明した本実施例によれば、とりわけ、以下のような優れた効果が奏される。
【0056】
上述の如く、電気的特性に有意差がある2個以上のスイッチング素子を並列接続して同期駆動した場合でも、電気的特性の相違に応じて各スイッチング素子のオン/オフタイミングが相対的に調整されるので、各スイッチング素子間での電流量及び発熱量のアンバランスを防止することができる。この結果、電気的特性の揃ったスイッチング素子同士を選別して組み立てる必要が無くなり、また、不必要に大きいマージンを有するスイッチング素子が生じうる設計を行う必要が無くなり、製造コスト及び製品コストを低減することができる。
【0057】
図5は、本実施例による制御装置50の製造方法の要部を示すフローチャートである。ステップ100では、上述のタイミング調整機能を実現するハードウェア構成(及び/又はソフトウェア構成)を実装する。ステップ110では、制御装置50により同期駆動される、並列接続される各スイッチング素子(例えばスイッチング素子Q1A及びスイッチング素子Q1B)の特性データを入手する。特性データは、各スイッチング素子のメーカーから入手してもよいし、試験を行って入手してもよい。ステップ120では、入手した特性データに基づいて、上述の特性情報を、特性記憶部58を構成するメモリに格納(書き込み)する。ステップ130では、制御装置50により各スイッチング素子を駆動させて動作状態を確認する。この際、例えば各スイッチング素子のオン/オフタイミングが一致しているか否かを確認し、ずれがある場合には、特性記憶部58に格納される特性情報を適宜修正してもよい。
【0058】
図6は、タイミング調整機能を実現するための制御装置50の要部構成のその他の一例を示す構成図である。図6に示す例では、タイミング調整部56は、スイッチング素子Q1Aがオン/オフするタイミングを調整する点で、図2に示した例と異なり、調整の考え方は同様である。即ち、スイッチング素子Q1A及びQ1Bの各特性情報からVth(A)>Vth(B)であるとすると、タイミング調整部56は、以下のような調整を行う。即ち、タイミング調整部56は、スイッチング素子Q1Aがオンするタイミングに、スイッチング素子Q1Bがオンするタイミングが近づくように、スイッチング素子Q1Bに対する駆動信号の立ち上がりエッジのタイミング(即ちオン信号を供給し始めるタイミング)に対して、スイッチング素子Q1Aに対する駆動信号の立ち上がりエッジのタイミング(即ちオン信号を供給し始めるタイミング)を早くする。より好ましくは、タイミング調整部56は、スイッチング素子Q1Aがオンするタイミングに、スイッチング素子Q1Bがオンするタイミングが一致するように、スイッチング素子Q1Bに対する駆動信号の立ち上がりエッジのタイミングに対して、スイッチング素子Q1Aに対する駆動信号の立ち上がりエッジのタイミングを早くする。同様に、タイミング調整部56は、スイッチング素子Q1Aがオフするタイミングに、スイッチング素子Q1Bがオフするタイミングが近づくように、スイッチング素子Q1Bに対する駆動信号の立ち下がりエッジのタイミング(即ちオフ信号を供給し始めるタイミング)に対して、スイッチング素子Q1Aに対する駆動信号の立ち下がりエッジのタイミング(即ちオフ信号を供給し始めるタイミング)を遅くする。より好ましくは、タイミング調整部56は、スイッチング素子Q1Aがオフするタイミングに、スイッチング素子Q1Bがオフするタイミングが一致するように、スイッチング素子Q1Bに対する駆動信号の立ち下がりエッジのタイミングに対して、スイッチング素子Q1Aに対する駆動信号の立ち下がりエッジのタイミングを遅くする。
【0059】
図7は、タイミング調整機能を実現するための制御装置50の要部構成の更なるその他の一例を示す構成図である。図7に示す例では、タイミング調整部56は、スイッチング素子Q1A及びスイッチング素子Q1Bのそれぞれについてオン/オフタイミングを調整する点で、図2に示した例と異なり、調整の考え方は同様である。図7に示す例では、例えば基準となる基準閾値電圧Tth(ref)を設定しておき、当該基準閾値電圧Tth(ref)でオン/オフする仮想的なスイッチング素子と略同一のタイミングでスイッチング素子Q1A及びQ1Bがオン/オフするように、スイッチング素子Q1A及びQ1Bのオン/オフタイミングが調整される。
【0060】
図8は、図1に示したインバータ30の代替例を示し、この代替例のインバータ30は、マルチフェーズ(本例では2相)タイプのインバータである。尚、フェーズ数は任意である。
【0061】
図8に示す代替例では、U相アームにおいて、スイッチング素子Q3は、2つの並列接続されたスイッチング素子Q3A及びQ3Bとからなり、スイッチング素子Q4は、2つの並列接続されたスイッチング素子Q4A及びQ4Bとからなり、ダイオードD3は、2つの並列接続されたダイオードD3A及びD3Bとからなり、ダイオードD4は、2つの並列接続されたダイオードD4A及びD4Bとからなる。同様に、V相アームにおいて、スイッチング素子Q5は、2つの並列接続されたスイッチング素子Q5A及びQ5Bとからなり、スイッチング素子Q6は、2つの並列接続されたスイッチング素子Q6A及びQ6Bとからなり、ダイオードD5は、2つの並列接続されたダイオードD5A及びD5Bとからなり、ダイオードD6は、2つの並列接続されたダイオードD6A及びD6Bとからなる。同様に、W相アームにおいて、スイッチング素子Q7は、2つの並列接続されたスイッチング素子Q7A及びQ7Bとからなり、スイッチング素子Q8は、2つの並列接続されたスイッチング素子Q8A及びQ8Bとからなり、ダイオードD7は、2つの並列接続されたダイオードD7A及びD7Bとからなり、ダイオードD8は、2つの並列接続されたダイオードD8A及びD8Bとからなる。
【0062】
図8に示す代替例では、制御装置50のタイミング調整部56は、U相アームにおいて、2つの並列接続されたスイッチング素子Q3A及びQ3Bがオン/オフするタイミングを相対的に調整し、2つの並列接続されたスイッチング素子Q4A及びQ4Bがオン/オフするタイミングを相対的に調整する。また、制御装置50のタイミング調整部56は、V相アームにおいて、2つの並列接続されたスイッチング素子Q5A及びQ5Bがオン/オフするタイミングを相対的に調整し、2つの並列接続されたスイッチング素子Q6A及びQ6Bがオン/オフするタイミングを相対的に調整する。また、制御装置50のタイミング調整部56は、W相アームにおいて、2つの並列接続されたスイッチング素子Q7A及びQ7Bがオン/オフするタイミングを相対的に調整し、2つの並列接続されたスイッチング素子Q8A及びQ8Bがオン/オフするタイミングを相対的に調整する。調整方法については、上述のDC/DCコンバータ20に対してと同様の考え方であってよく、詳細な説明は省略する。
【0063】
尚、以上の実施例においては、添付の特許請求の範囲における「半導体駆動装置」は、制御装置50により実現され、同特許請求の範囲における「調整手段」は、制御装置50のタイミング調整部56により実現され、同特許請求の範囲における「電気特性情報記憶手段」は、特性記憶部58により実現されている。
【0064】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0065】
例えば、上述の実施例では、並列接続されるスイッチング素子の個数(即ちフェーズ数)は2であったが、3以上の場合も適用可能である。3個以上のスイッチング素子が並列接続されて同期駆動される場合、最も閾値電圧が高いスイッチング素子を基準として、他のスイッチング素子がオン/オフするタイミングを調整してもよいし、最も閾値電圧が低いスイッチング素子を基準として、他のスイッチング素子がオン/オフするタイミングを調整してもよいし、或いは、その他の中間の閾値電圧のスイッチング素子を基準として、他のスイッチング素子がオン/オフするタイミングを調整してもよい。或いは、理想的な閾値電圧の仮想スイッチング素子を基準として、全てのスイッチング素子についてそれぞれのオン/オフタイミングを調整してもよい。
【0066】
また、上述の実施例は、電気自動車用駆動装置1に関するものであったが、本発明は、電気自動車以外にも適用可能である。本発明は、例えば、図9に示すように2電源システムにおけるDC/DCコンバータ20の駆動制御に適用されてもよい。要するに、本発明は、2個以上のスイッチング素子が並列接続されて同期駆動される回路を有する限り、任意の構成に適用可能である。尚、図9に示す2電源システム2では、バッテリ90は、例えば定格電圧が14Vの低電圧系のバッテリであり、発電機により代替されてもよいし、発電機を含んでもよい。また、負荷70は、低圧系の負荷であり、例えば各種ランプや、メータ類、各種ECU(電子制御ユニット)である。バッテリ80は、例えば42Vの定格電圧の高圧系電源であり、鉛バッテリ、リチウムイオンバッテリや電気2重層キャパシタ等の容量性負荷から構成されてもよい。負荷60は、高圧系の負荷であり、42Vで動作してエンジンを始動させるスターターや、その他、動作時に一時的に大電流が流れる負荷を含み、例えば、ブロアモータ、デフォッガ、ブレーキアクチュエータ、パワーステアリング装置(アシストモータ)等を含む。かかる2電源システム2においては、DC/DCコンバータ20の力行動作(昇圧動作)は、バッテリ80の充電時や高圧系の負荷60の動作時に実現され、DC/DCコンバータ20の回生動作(降圧動作)は、バッテリ90の充電時や低圧系の負荷70の動作時に実現されてもよい。
【0067】
また、上述の実施例において、例えばスイッチング素子Q1A及びQ1Bとして、駆動信号(パルス)の立ち上がりエッジでオンする特性のスイッチング素子を例示しているが、駆動信号(パルス)の立ち下がりエッジでオンする特性のスイッチング素子が使用されてもよい。
【0068】
また、上述の実施例では、並列接続されて同期駆動される各スイッチング素子の閾値電圧の差(オン/オフタイミングの差)を補償するように、各スイッチング素子のオン/オフタイミングを相対的に調整しているが、1回のオン動作あたりの各スイッチング素子の発熱量ないし電流量の差を補償するように、各スイッチング素子のオン/オフタイミングを相対的に調整してもよい。即ち、上述の実施例では、スイッチング素子の発熱量がスイッチング素子のオン/オフタイミングに主に依存することを考慮して、各スイッチング素子のオン/オフタイミングが同一となるように調整されているが、スイッチング素子の発熱量が他の因子にも依存しうること考慮して、各スイッチング素子の発熱量(温度)が同一となるように、各スイッチング素子のオン/オフタイミングを相対的に調整してもよい。従って、この場合、調整後の各スイッチング素子のオン/オフタイミングは必ずしも一致しない。尚、この場合、特性情報は、例えばオン時間に対する発熱特性を表す情報であってよい。
【0069】
また、上述の実施例では、好ましい実施例として、並列接続されて同期駆動される各スイッチング素子のオンタイミング及びオフタイミングの双方を一致ないし近接させているが、並列接続されて同期駆動される各スイッチング素子のオンタイミングのみを一致ないし近接させることとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明による電気自動車用駆動装置1の一実施例の概略構成を示す図である。
【図2】タイミング調整機能を実現するための制御装置50の要部構成の一例を示す構成図である。
【図3】対照例として、タイミング調整部56が存在しない場合におけるスイッチング素子Q1A及びQ1Bのオン/オフ状態の変化態様を概略的に示す図である。
【図4】本実施例におけるスイッチング素子Q1A及びQ1Bのオン/オフ状態の変化態様を概略的に示す図である。
【図5】本実施例による制御装置50の製造方法の要部を示すフローチャートである。
【図6】タイミング調整機能を実現するための制御装置50の要部構成のその他の一例を示す構成図である。
【図7】タイミング調整機能を実現するための制御装置50の要部構成の更なるその他の一例を示す構成図である。
【図8】図1に示したインバータ30の代替例を示す図である。
【図9】本発明が適用可能な2電源システムの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0071】
1 電気自動車用駆動装置
2 2電源システム
10 バッテリ
20 DC/DCコンバータ
30 インバータ
40 走行用モータ
50 制御装置
52 PWM生成部
54 ドライブIC
56 タイミング調整部
58 特性記憶部
60 高圧系の負荷
70 低圧系の負荷
80 高圧系のバッテリ
90 低圧系のバッテリ
Q1〜Q8 スイッチング素子
D1〜D8 ダイオード
C1、C2 平滑用コンデンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列接続された複数の半導体素子を同期して駆動する半導体駆動装置において、
前記複数の半導体素子のそれぞれの閾値電圧の差異に基づいて、前記複数の半導体素子がオン/オフするタイミングを相対的に調整する調整手段を備えることを特徴とする、半導体駆動装置。
【請求項2】
並列接続された複数の半導体素子を同期して駆動する半導体駆動装置において、
前記複数の半導体素子のそれぞれの電気特性に関する情報を記憶する電気特性情報記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された各半導体素子の電気特性情報に基づいて、前記複数の半導体素子がオン/オフするタイミングを相対的に調整する調整手段を備えることを特徴とする、半導体駆動装置。
【請求項3】
前記電気特性情報は、前記半導体素子の閾値電圧に関する情報であることを特徴とする、請求項2に記載の半導体駆動装置。
【請求項4】
前記複数の半導体素子にオン信号を同時に供給し始めた場合に前記複数の半導体素子のうちの最も遅く導通状態となる半導体素子を基準半導体素子としたとき、
前記調整手段は、前記基準半導体素子が導通状態となるタイミングに他の半導体素子が導通状態となるタイミングが近づくように、該他の半導体素子に対してオン信号を供給し始めるタイミングを、基準半導体素子に対してオン信号を供給し始めるタイミングに対して相対的に遅らせることを特徴とする、請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載の半導体駆動装置。
【請求項5】
前記調整手段は、前記基準半導体素子の導通状態が解除されるタイミングに他の半導体素子の導通状態が解除されるタイミングが近づくように、該他の半導体素子に対してオフ信号を供給し始めるタイミングを、基準半導体素子に対してオフ信号を供給し始めるタイミングに対して相対的に早めることを特徴とする、請求項4に記載の半導体駆動装置。
【請求項6】
前記調整手段は、前記基準半導体素子が導通状態となるタイミングに他の半導体素子が導通状態となるタイミングが一致するように、該他の半導体素子に対してオン信号を供給し始めるタイミングを、基準半導体素子に対してオン信号を供給し始めるタイミングに対して相対的に遅らせることを特徴とする、請求項4に記載の半導体駆動装置。
【請求項7】
前記調整手段は、前記基準半導体素子の導通状態が解除されるタイミングに他の半導体素子の導通状態が解除されるタイミングが一致するように、該他の半導体素子に対してオフ信号を供給し始めるタイミングを、基準半導体素子に対してオフ信号を供給し始めるタイミングに対して相対的に早めることを特徴とする、請求項6に記載の半導体駆動装置。
【請求項8】
前記調整手段は、前記複数の半導体素子のそれぞれの発熱量の差が減少するように、前記複数の半導体素子がオン/オフするタイミングを相対的に調整することを特徴とする、請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載の半導体駆動装置。
【請求項9】
前記複数の半導体素子のそれぞれは、IGBTとフライホイルダイオードからなることを特徴とする、請求項1〜8のうちのいずれか1項に記載の半導体駆動装置。
【請求項10】
前記調整手段は、前記複数のIGBTに供給される駆動信号のオンパルス幅を相対的に調整することで、前記複数のIGBTがオン/オフするタイミングを相対的に調整することを特徴とする、請求項9に記載の半導体駆動装置。
【請求項11】
前記複数の半導体素子は、電圧変換器で用いられることを特徴とする、請求項1〜10のうちのいずれか1項に記載の半導体駆動装置。
【請求項12】
請求項1〜10のうちのいずれか1項に記載の半導体駆動装置により制御される前記複数の半導体素子と、リアクトルと、平滑コンデンサとを備えることを特徴とする昇圧コンバータ。
【請求項13】
請求項1〜10のうちのいずれか1項に記載の半導体駆動装置により制御される前記複数の半導体素子を備えることを特徴とするインバータ。
【請求項14】
バッテリと、前記バッテリに接続された請求項12に記載の昇圧コンバータと、前記昇圧コンバータに接続された請求項13に記載のインバータと、前記インバータに接続された交流モータとを備えることを特徴とする、電気自動車用駆動装置。
【請求項15】
並列接続された複数の半導体素子を同期して駆動する半導体駆動装置の製造方法であって、
前記複数の半導体素子のそれぞれの電気特性に関する電気特性情報を前記半導体駆動装置のメモリに格納する段階と、
前記メモリに格納された各半導体素子の電気特性情報に基づいて各半導体素子に供給される駆動信号の供給パターンを変化させる回路又はプログラムを実装する段階とを備えることを特徴とする、半導体駆動装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−225531(P2009−225531A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−66133(P2008−66133)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】