説明

単電池および組電池

【課題】結露水に起因した正負極端子間での短絡を防止するとともに、バスバーを正負極端子に溶接するときの入熱に起因した絶縁シール部材の熱変形を防止する。
【解決手段】単電池は、電池蓋102の貫通孔102hに取り付けられた正負極端子141,151と、正負極端子141,151と貫通孔102hとの間に介在されて、正負極端子141,151と電池蓋102とを絶縁するガスケット130とを備え、正負極端子141,151には、単電池同士を電気的に接続するためのバスバー110が溶接される外部端子部142,152が設けられ、ガスケット130は、電池蓋102の貫通孔102hから外方に向かって突出する正負極端子141,151の外部端子部142,152の外周面を密着して覆う覆い部130cを有し、覆い部130cの先端は、外部端子部142,152のバスバー当接面142a,152aよりも電池蓋側に位置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単電池および複数の単電池を電気的に接続した組電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ハイブリッド電気自動車や純粋な電気自動車等の動力源として大容量(Wh)の二次電池が開発されており、その中でもエネルギー密度(Wh/kg)の高い角形のリチウムイオン二次電池が注目されている。
【0003】
角形のリチウムイオン二次電池においては、正極電極および負極電極をセパレータを介在させて捲回することで扁平形状の捲回電極群が形成される。捲回電極群は、電池蓋の貫通孔に絶縁シール部材を介して装着された正極端子および負極端子に電気的に接続される。捲回電極群は、電池容器の電池缶に収容され、電池缶の開口部は電池蓋で封止溶接される。二次電池は、捲回電極群を収容した電池容器の注液孔から電解液が注入された後、注液栓が挿入されてレーザ溶接により封止溶接されることで形成される。
【0004】
複数の上記角形の二次電池(単電池)の正極端子と負極端子とをバスバーなどの導電部材により電気的に接続することで組電池が形成される。特許文献1には、バスバーを溶接するのに適した円盤形状の外部端子を備えた二次電池が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−142026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
たとえば、二次電池と外気との間で温度差が生じる使用環境において、外気に含まれる水蒸気が電池容器において結露して水滴となることがある。結露により水滴が電池容器に付着すると、結露水により端子と電池容器との間が導通され、電池容器を介して正負極端子間で短絡が生じることがある。特許文献1に記載の二次電池では、電池容器に付着する結露水による短絡に対しての考慮がなされておらず、結露水に起因した正負極端子間での短絡のおそれがある。
【0007】
また、特許文献1に記載の二次電池では、バスバーを端子に溶接する際に発生する熱が、端子と電池蓋との間に介在される絶縁シール部材に与える影響については考慮されておらず、溶接入熱により絶縁シール部材が変形してしまうおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、正極電極および負極電極をセパレータを介在させて捲回した捲回電極群と、捲回電極群を収容する電池缶と電池缶を封止する電池蓋とから構成される電池容器と、正負極電極のそれぞれに電気的に接続され、電池蓋に設けられた一対の貫通孔のそれぞれに取り付けられた正極端子および負極端子と、正極端子および負極端子のそれぞれと貫通孔との間に介在されて、正極端子および負極端子のそれぞれと電池蓋とを絶縁する絶縁シール部材とを備え、正負極端子のそれぞれには、単電池同士を電気的に接続するためのバスバーが溶接されるバスバー溶接部が設けられ、絶縁シール部材は、電池蓋の貫通孔から外方に向かって突出する正負極端子のそれぞれの外周面を密着して覆う覆い部を有し、覆い部の先端は、バスバー溶接部の頂面よりも電池蓋側に位置していることを特徴とする単電池である。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の単電池において、覆い部の先端から電池蓋までの寸法は、正負極端子と電池容器との間の導通を防止するための沿面距離と、バスバーをバスバー溶接部に溶接するときの入熱とを考慮して決定されることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載の単電池において、正負極端子のそれぞれは、円柱形状のバスバー溶接部の一端から電池蓋側に向かって突設されて電池蓋の貫通孔を貫通する円柱形状の貫通部を備え、正負極端子のそれぞれは、貫通部の外径寸法がバスバー溶接部の外径寸法よりも小さくなるように形成され、絶縁シール部材は、貫通部と電池蓋の貫通孔との間に配置される円筒状の筒部と、筒部の一端から外方に延在し、バスバー溶接部の一端面と電池蓋との間に配置される円環状の鍔部とを有し、覆い部は、鍔部の外縁から立ち上がる円筒状に形成されていることを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項1または2に記載の単電池において、正負極端子のそれぞれは、矩形柱形状のバスバー溶接部の一端から電池蓋側に向かって突設されて電池蓋の貫通孔を貫通する円柱形状の貫通部を備え、正負極端子のそれぞれは、貫通部の外径寸法がバスバー溶接部の外形寸法よりも小さくなるように形成され、絶縁シール部材は、貫通部と電池蓋の貫通孔との間に配置される円筒状の筒部と、筒部の一端から外方に延在し、バスバー溶接部の一端面と電池蓋との間に配置される環状の鍔部とを有し、覆い部は、鍔部の外縁から立ち上がる矩形筒状に形成されていることを特徴とする。
請求項5に係る発明は、請求項3または4に記載の単電池において、正極電極に接続される電極接続部と、正極端子に固着される端子接続部とを有する正極集電体と、負極電極に接続される電極接続部と、負極端子に固着される端子接続部とを有する負極集電体と、正負極集電体の端子接続部のそれぞれと電池蓋との間に介在されて、正負極集電体のそれぞれと電池蓋とを絶縁する絶縁部材とを備え、正負極端子のそれぞれは、貫通部の一端から捲回電極群側に向かって突設された円筒状の突部とを備え、正負極端子のそれぞれは、突部が端子接続部にかしめられることで、正負極集電体のそれぞれに固着されていることを特徴とする。
請求項6に係る発明は、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の単電池を複数備え、複数の単電池同士がバスバーにより電気的に接続された組電池であって、覆い部の先端から電池蓋までの寸法は、バスバーと正負極端子との間に形成される溶接金属と、覆い部との間の最短距離を考慮して決定されることを特徴とする組電池である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、結露水に起因した正負極端子間での短絡を防止するとともに、バスバーを正負極端子に溶接するときの入熱に起因した絶縁シール部材の熱変形を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る組電池の斜視図。
【図2】図1の組電池を構成する単電池の外観を示す斜視図。
【図3】図2の単電池の構成を示す分解斜視図。
【図4】図3の捲回電極群を示す斜視図。
【図5】(a)は図2のV−V線切断断面図、(b)は図5(a)のA部拡大図。
【図6】図3の正極端子を示す破断斜視図。
【図7】(a)はバスバーの溶接位置を示す平面模式図、(b)は図1の組電池を構成する単電池の正極端子とバスバーとの接続構造を示す概念図。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る組電池の斜視図。
【図9】図8の組電池を構成する単電池の正極端子とバスバーとの接続構造を示す概念図。
【図10】本発明の変形例に係る組電池を構成する単電池の正極端子とバスバーとの接続構造を示す概念図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明をハイブリッド自動車や純粋な電気自動車に搭載される蓄電装置に組み込まれる組電池であって、角形リチウムイオン二次電池(以下単電池と記す)を複数備えた組電池に適用した実施の形態について説明する。
―第1の実施の形態―
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る組電池の斜視図である。図1に示すように、組電池は、複数の単電池100A〜100Cを備えている。単電池100A〜100Cは、扁平な直方体形状であって、側面のうちで広い面積を有する幅広面101a同士が対向するように並べて配置されている。図示するように、単電池100A,100Cは、正極端子141が図中左側に配され、単電池100Bは、負極端子151が図中左側に配されている。すなわち、並置された複数の単電池100A〜100Cは、各単電池100A〜100Cのそれぞれの電池蓋102に取り付けられた正極端子141および負極端子151の位置が逆転するように、向きが反転して配置されている。
【0012】
図1に示すように、単電池100Aの図中左側の正極端子141と単電池100Bの図中左側の負極端子151とは、バスバー110によって電気的に接続される。同様に、単電池100Bの図中右側の正極端子141と単電池100Cの図中右側の負極端子151とは、バスバー110によって電気的に接続される。
【0013】
単電池同士を電気的に接続するバスバー110は、厚さ1〜2mm程度の金属製の矩形平板状導電部材であって、正極端子141に設けられた円柱形状の位置決め凸部144が挿通される位置決め孔110h1と、負極端子151に設けられた円柱形状の位置決め凸部154が挿通される位置決め孔110h2とが設けられている。
【0014】
本実施の形態では、位置決め孔110h1は円形状の貫通孔とされ、位置決め孔110h2は長孔形状とされている。位置決め孔110h1に位置決め凸部144を挿通させ、位置決め孔110h2に位置決め凸部154を挿通させることで、バスバー110を容易に位置決めできる。バスバー110は、後述する正負極端子141,151のバスバー当接面142a,152a上に載置され、バスバー当接面142a,152aとバスバー110の下面とが当接する。バスバー110と正負極端子141,151とは、バスバー110の表面に対して垂直にレーザを照射することで、レーザ溶接される。レーザ溶接の位置については後述する。
【0015】
図1に示す単電池100Aの図中右側の負極端子151と、単電池100Cの図中左側の正極端子141には、不図示の他の電池に電気的に直列または並列に不図示の導電部材により接続されるか、不図示の電力取り出し用の端子に不図示の導電部材により接続される。
【0016】
組電池を構成する単電池について説明する。各単電池100A〜100Cはそれぞれ同じ構造であるため、以下、代表して単電池100Aについて説明する。図2は単電池100Aを示す外観斜視図であり、図3は単電池100Aの構成を示す分解斜視図である。
【0017】
図2に示すように、単電池100Aは、電池缶101と電池蓋102とから構成される電池容器を備えている。電池缶101および電池蓋102の材質は、アルミニウムまたはアルミニウム合金などである。図3に示すように、電池缶101には捲回電極群170が収容されている。電池缶101は、一対の幅広面101aと一対の幅狭面101bと底面101cとを有し、上面が開口された矩形箱状に形成されている。捲回電極群170は絶縁ケース108に覆われた状態で電池缶101に収容されている。絶縁ケース108の材質は、ポリプロピレン等の絶縁性を有する樹脂である。これにより、電池缶101の内面と、捲回電極群170とは電気的に絶縁されている。
【0018】
図2および図3に示すように、電池蓋102は、矩形平板状であって、電池缶101の開口を塞ぐように溶接されている。つまり、電池蓋102は、電池缶101を封止している。電池蓋102には、捲回電極群170の正極電極174および負極電極175のそれぞれに正極集電体180および負極集電体190を介して電気的に接続された正極端子141および負極端子151が配設されている。
【0019】
正極端子141が正極集電体180を介して捲回電極群170の正極電極174に電気的に接続され、負極端子151が負極集電体190を介して捲回電極群170の負極電極175に電気的に接続されているため、正極端子141および負極端子151を介して外部負荷に電力が供給され、あるいは、正極端子141および負極端子151を介して外部発電電力が捲回電極群170に供給されて充電される。
【0020】
図3に示すように、電池蓋102には、電池容器内に電解液を注入するための注液孔106aが穿設されている。注液孔106aは、電解液注入後に注液栓106bによって封止される。電解液としては、たとえば、エチレンカーボネート等の炭酸エステル系の有機溶媒に6フッ化リン酸リチウム(LiPF)等のリチウム塩が溶解された非水電解液を用いることができる。
【0021】
図2に示すように、電池蓋102には、ガス排出弁103が設けられている。ガス排出弁103は、プレス加工によって電池蓋102を部分的に薄肉化することで形成されている。ガス排出弁103には、開裂時に大きな開口が形成されるように開裂溝が形成されている。ガス排出弁103は、単電池が過充電等の異常により発熱してガスが発生し、電池容器内の圧力が上昇して所定圧力に達したときに開裂して、内部からガスを排出することで電池容器内の圧力を低減させる。
【0022】
図4を参照して、捲回電極群170について説明する。図4は捲回電極群170を示す斜視図である。蓄電要素である捲回電極群170は、図4に示すように、長尺状の正極電極174および負極電極175をセパレータ173を介在させて捲回軸W周りに扁平形状に捲回することで積層構造とされている。
【0023】
正極電極174は、正極箔171と、正極活物質に結着材(バインダ)を配合した正極活物質合剤が正極箔171の両面に塗工されて形成された正極活物質合剤層176とを有する。負極電極175は、負極箔172と、負極活物質に結着材(バインダ)を配合した負極活物質合剤が負極箔172の両面に塗工されて形成された負極活物質合剤層177とを有する。正極活物質と負極活物質との間では、充放電が行われる。
【0024】
正極箔171は、厚さ20〜30μm程度のアルミニウム合金箔であり、負極箔172は、厚さ15〜20μm程度の銅合金箔である。セパレータ173の素材は多孔質のポリエチレン樹脂である。正極活物質は、マンガン酸リチウム等のリチウム含有遷移金属複酸化物であり、負極活物質は、リチウムイオンを可逆に吸蔵、放出可能な黒鉛等の炭素材である。
【0025】
捲回電極群170の幅方向(捲回方向に直交する捲回軸W方向)の両端部は、一方が正極活物質合剤層176が形成されていない未塗工部(正極箔171の露出部)が積層された部分とされ、他方が負極活物質合剤層177が形成されていない未塗工部(負極箔172の露出部)が積層された部分とされている。正極側未塗工部の積層体および負極側未塗工部の積層体は、それぞれ予め押し潰され、それぞれ後述の電池蓋組立体107の正極集電体180および負極集電体190(図3参照)と超音波接合により接続される。
【0026】
図3に示すように、電池蓋組立体107は、電池蓋102と、電池蓋102に設けられた一対の貫通孔102hのそれぞれに取り付けられた正極端子141および負極端子151と、正極集電体180および負極集電体190と、一対のガスケット130と、一対の絶縁部材160とを含んで構成されている。
【0027】
正極端子141および正極集電体180の材質はアルミニウム合金である。正極端子141は、正極集電体180に電気的に接続される。負極端子151および負極集電体190の材質は銅合金である。負極端子151は、負極集電体190に電気的に接続される。絶縁部材160およびガスケット130の材質は、ポリブチレンテレフタレートやポリフェニレンサルファイド、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂等の絶縁性を有する樹脂である。
【0028】
図5(a)は図2のV−V線切断断面図であり、図5(b)は図5(a)のA部拡大図である。図5では正極側の構成を示しているが、正極側と負極側とは、同様の形状、構成であるため、便宜上、かっこ書きで負極側の構成要素の参照番号を付している。なお、図5(a)ではバスバー110を二点鎖線で図示している。
【0029】
図5(a)に示すように、電池蓋102には、一対の円形状の貫通孔102hと、電池缶101の内側に向かって突出する一対の円形凸部102cが設けられている。貫通孔102hには、後述するガスケット130を介して正負極端子141,151の貫通部143,153が挿通される。円形凸部102cは、後述する絶縁部材160の円形凹部167に嵌合される。円形凸部102cは、電池蓋102の外表面から内側に向かってプレス加工されることで有底円筒形状に形成されている。
【0030】
図3に示すように、正極集電体180は、電池蓋102の内面に沿って配置される矩形平板状の端子接続部181と、端子接続部181の長辺側部から略直角に曲がって、電池缶101の幅広面101aに沿いながら電池缶101の底面101cに向かって延在する平面板182と、平面板182の下端に設けた連結部186により接続される接合部183とを備えている。接合部183は、超音波接合により捲回電極群170の正極電極174に電気的に接続される部分であり、正極電極174との接合面183aを有している。端子接続部181には、後述する正極端子141の突部145が挿通される円形状の貫通孔184が設けられている。図5(a)に示すように、端子接続部181には、正極端子141がカシメおよび溶接により固着されている。
【0031】
同様に、図3に示すように、負極集電体190は、電池蓋102の内面に沿って配置される矩形平板状の端子接続部191と、端子接続部191の長辺側部から略直角に曲がって、電池缶101の幅広面101aに沿いながら電池缶101の底面101cに向かって延在する平面板192と、平面板192の下端に設けた連結部196により接続される接合部193とを備えている。接合部193は、超音波接合により捲回電極群170の負極電極175に電気的に接続される部分であり、負極電極175との接合面193aを有している。端子接続部191には、後述する負極端子151の突部155が挿通される円形状の貫通孔194が設けられている。図5(a)に示すように、端子接続部191には、負極端子151がカシメおよび溶接により固着されている。
【0032】
図5(a)に示すように、正負極集電体180,190の端子接続部181,191のそれぞれと、電池蓋102との間には絶縁部材160が配置されている。絶縁部材160は、正負極集電体180,190の端子接続部181,191のそれぞれと電池蓋102との間に介在されるベース部161と、ベース部161の電池蓋102長手方向の一端部から捲回電極群170側に向かって突出するように形成された位置規制部166と、ベース部161の電池蓋102長手方向の他端部から捲回電極群170側に向かって突出するように形成された係合壁164とを有している。
【0033】
絶縁性を有する絶縁部材160のベース部161が、正負極集電体180,190の端子接続部181,191のそれぞれと電池蓋102との間に介在されているため、正負極集電体180,190のそれぞれと電池蓋102とは電気的に絶縁されている。
【0034】
位置規制部166は、捲回電極群170に当接される位置規制面166aを有している。捲回電極群170は、この位置規制面166aに面接触した状態で、正負極集電体180,190に超音波接合される。
【0035】
絶縁部材160には、ベース部161と、係合壁164と、位置規制部166とによって凹部162が形成されている。正負極集電体180,190の端子接続部181,191は、それぞれ絶縁部材160の凹部162に嵌合されている。
【0036】
図3に示すように、絶縁部材160のベース部161には、後述する正負極端子141,151の貫通部143,153(図5(a)参照)が挿通される円形状の貫通孔161hが設けられている。図5(a)に示すように、位置規制部166には、電池蓋102の円形凸部102cに対向する位置において、電池蓋102側が開口するように円形凹部167が設けられている。円形凹部167は、平面視円形状の底面と、底面から垂直に立ち上がる内周面とを有している。
【0037】
図5(a)に示すように、電池蓋102の円形凸部102cは、絶縁部材160の円形凹部167に嵌合されている。円形凹部167に円形凸部102cが嵌合されると、円形凹部167の内周面に円形凸部102cの外周面が当接する。
【0038】
図6は正極端子141を示す破断斜視図である。なお、図6では正極端子141を示しているが、正極端子141と負極端子151とは材質のみが異なり、同様の形状であるため、便宜上、かっこ書きで負極端子151の構成要素の参照番号を付している。
【0039】
図6に示すように、正極端子141は、円柱形状の外部端子部142と、外部端子部142の一端から電池蓋102側に向かって突設されて、上記した電池蓋102の貫通孔102hおよび絶縁部材160の貫通孔161hを貫通する円柱形状の貫通部143と、貫通部143の一端から捲回電極群170側に向かって突設された円筒状の突部145とを備えている。正極端子141は、貫通部143の外径寸法が外部端子部142の外径寸法よりも小さく、突部145の外径寸法が貫通部143の外径寸法よりも小さくなるように形成されている。
【0040】
図5(a)に示すように、外部端子部142は、バスバー110が溶接される部分であって、その頂面はバスバー110が当接されるバスバー当接面142aとされている。外部端子部142には、バスバー当接面142aから外方に突出するように、円柱形状の位置決め凸部144が設けられている。位置決め凸部144は、バスバー110の位置決めを容易に行うために設けられるものであり、省略することもできる。バスバー110は、バスバー当接面142aに当接された状態で、レーザ溶接される。
【0041】
正極端子141の貫通部143は、ガスケット130が装着された状態で、電池蓋102の貫通孔102hに挿通される。外部端子部142の円環状端面は、後述するガスケット130の鍔部130bに当接される面であり、この円環状端面には、図6に示すように円環状の第1突起142bおよび第2突起142cが設けられている。
【0042】
同様に、図6に示すように、負極端子151は、円柱形状の外部端子部152と、外部端子部152の一端から電池蓋102側に向かって突設されて、上記した電池蓋102の貫通孔102hおよび絶縁部材160の貫通孔161hを貫通する円柱形状の貫通部153と、貫通部153の一端から捲回電極群170側に向かって突設された円筒状の突部155とを備えている。負極端子151は、貫通部153の外径寸法が外部端子部152の外径寸法よりも小さく、突部155の外径寸法が貫通部153の外径寸法よりも小さくなるように形成されている。
【0043】
図5(a)に示すように、外部端子部152は、バスバー110が溶接される部分であって、その頂面はバスバー110が当接されるバスバー当接面152aとされている。外部端子部152には、バスバー当接面152aから外方に突出するように、円柱形状の位置決め凸部154が設けられている。位置決め凸部154は、バスバー110の位置決めを容易に行うために設けられるものであり、省略することもできる。バスバー110は、バスバー当接面152aに当接された状態で、レーザ溶接される。
【0044】
負極端子151の貫通部153は、ガスケット130が装着された状態で、電池蓋102の貫通孔102hに挿通される。外部端子部152の円環状端面は、後述するガスケット130の鍔部130bに当接される面であり、この円環状端面には、図6に示すように円環状の第1突起152bおよび第2突起152cが設けられている。
【0045】
図5(a)に示すように、ガスケット130は、円筒状の筒部130aと、筒部130aの上端から外方に延在する円環状の鍔部130bと、鍔部130bの外縁から上方に立ち上がる円筒状の覆い部130cとを有している。
【0046】
正極端子141の円筒状の突部145は、正極集電体180の端子接続部181に形成された貫通孔184に挿通される。外部端子部142の下端面と電池蓋102の外表面とでガスケット130の鍔部130bが挟まれ、貫通部143の下端面が端子接続部181に当接された状態で、円筒状の突部145の先端が正極集電体180の端子接続部181にかしめられる。
【0047】
その結果、図5(a)に示すように、正極集電体180の端子接続部181はカシメ部145sと貫通部143の下端面によって挟持され、絶縁部材160、電池蓋102およびガスケット130の鍔部130bは端子接続部181と外部端子部142の下端面とによって挟持されている。カシメ部145sと端子接続部181とは、かしめ固定された後、レーザによりスポット溶接される。
【0048】
同様に、負極端子151の円筒状の突部155は、負極集電体190の端子接続部191に形成された貫通孔194に挿通される。外部端子部152の下端面と電池蓋102の外表面とでガスケット130の鍔部130bが挟まれ、貫通部153の下端面が端子接続部191に当接された状態で、円筒状の突部155の先端が負極集電体190の端子接続部191にかしめられる。
【0049】
その結果、図5(a)に示すように、負極集電体190の端子接続部191はカシメ部155sと貫通部153の下端面によって挟持され、絶縁部材160、電池蓋102およびガスケット130の鍔部130bは端子接続部191と外部端子部152の下端面とによって挟持されている。カシメ部155sと端子接続部191とは、かしめ固定された後、レーザによりスポット溶接される。
【0050】
このように、正極端子141は、正極集電体180の端子接続部181にカシメおよび溶接により固着され、負極端子151は、負極集電体190の端子接続部191にカシメおよび溶接により固着されている。これにより、正極集電体180と正極端子141とが電気的に接続され、負極集電体190と負極端子151とが電気的に接続される。
【0051】
図5(a)に示すように、ガスケット130の筒部130aは、正負極端子141,151の貫通部143,153のそれぞれと、電池蓋102の貫通孔102hとの間に介在するように配置されている。ガスケット130の鍔部130bは、第1突起142b,152bおよび第2突起142c,152cに押圧され、所定量圧縮された状態で、電池蓋102の外表面と正負極端子141,151の外部端子部142,152の円環状端面との間に介在するように配置されている。
【0052】
これにより、正負極端子141,151のそれぞれと電池蓋102との間が封止され、電池容器の気密性が確保されている。ガスケット130は上記したように絶縁性を有しているため、正負極端子141,151のそれぞれと電池蓋102とは電気的に絶縁されている。
【0053】
円環状の第1突起142b,152bおよび第2突起142c,152cにより、ガスケット130の鍔部130bの全周に亘って、鍔部130bを圧縮しているため、圧縮量に偏りがあっても、ガスケット130の鍔部130bと第1突起142b,152bおよび第2突起142c,152cとの接触を全周に亘って維持して、電池容器の気密性の安定度を確保できる。
【0054】
図5(b)に示すように、正負極端子141,151の外部端子部142,152のそれぞれは、電池蓋102の貫通孔102hから外方に向かって突出している。ガスケット130の覆い部130cは、外部端子部142,152のそれぞれの電池蓋側外周面を覆うように、外部端子部142,152に密着している。図5(b)に示すように覆い部130cの先端は、バスバー当接面142a,152aよりも電池蓋102側に位置している。
【0055】
ガスケット130の覆い部130cの先端から電池蓋102の外表面までの設計寸法L11は、正負極端子141,151と電池蓋102との間の導通を防止するための沿面距離から得られる最小寸法L12と、バスバー110と外部端子部142,152との間に形成される溶接金属とガスケット130との間の最短距離から得られる離間寸法L13とを考慮して決定される。
【0056】
覆い部130cの先端から電池蓋102の外表面までの最小寸法L12は、絶縁性を確保すること、すなわち正負極端子141,151と電池容器との間の導通を防止するための沿面距離を観点に決定される。たとえば、最小寸法L12は、DIN規格などの各種安全規格に示される電圧と沿面距離との関係値を参考に決定することができる。本実施の形態では、単電池の直流電圧を5Vとし、規格資料(DIN VDE 0110b:1972−02)より沿面距離を求めた。沿面距離は、規格表の最低直流電圧を15V、用途を絶縁グループDとして、2.3mmが参考値として得られる。最小寸法L12は、参考値として得られた沿面距離を考慮して決定される。
【0057】
覆い部130cの先端は、バスバー110を溶接するときの入熱によりガスケット130が熱変形しないように、所定距離だけバスバー当接面142a,152aから離間させる。外部端子部142,152の頂面であるバスバー当接面142a,152aからガスケット130の覆い部130cの先端までの離間寸法L13は、バスバー110を正負極端子141,151の外部端子部142,152にレーザ溶接するときの入熱からガスケット130を保護することを観点に決定される。
【0058】
離間寸法L13は、正負極端子141,151の大きさ、バスバー110の材質、バスバー110の厚み、溶接速度、溶接エネルギー、溶接面積、溶接位置、および、ガスケット130の材質(耐熱性)等を考慮して決定することができる。本実施の形態では、レーザ溶接により形成される溶接金属と、ガスケット130の覆い部130cとの間の最短距離を考慮して離間寸法L13を決定した。
【0059】
図7(a)はバスバー110の溶接位置を示す平面模式図である。図7(b)は組電池を構成する単電池の正極端子141とバスバー110との接続構造を示す概念図であり、図7(a)のB−B線切断断面を模式的に示している。なお、図7(b)では正極側の接続構造を示しているが、負極側も同様の構成であるため、便宜上、かっこ書きで負極側の構成要素の参照番号を付しており、負極側については、図7(a)のC−C線切断面を模式的に示している。
【0060】
図7(a)および図7(b)を参照して、バスバー110の溶接位置、ならびに、溶接金属とガスケット130との間の最短距離L10を説明する。図7(a)および図7(b)に示すように、正負極端子141,151の位置決め凸部144,154と、バスバー110の位置決め孔110h1,110h2の内周面とは突き合わせ溶接されている。レーザは、バスバー110の表面に垂直に、上方からバスバー110に照射される。
【0061】
図7(a)および図7(b)に示すように、正極側では、正極端子141の位置決め凸部144の先端側からレーザが照射され、位置決め凸部144の全周に亘ってレーザ溶接され、溶接金属w11が形成される。負極側では、負極端子151の位置決め凸部154の先端側からレーザが照射され、位置決め凸部154の周の一部においてレーザ溶接され、溶接金属w12が形成される。なお、溶接金属w11,w12の溶け込み深さh1は、外部端子部142,152のバスバー当接面142a,152aまでは達していない。
【0062】
図7(b)に示す溶接金属w11,w12とガスケット130との間の最短距離L10は、2mm以上とすることが望ましい。離間寸法L13は、最短距離L10が2mm以上となるように考慮して決定される。離間寸法L13が得られると、電池蓋102の外表面からバスバー当接面142a,152aまでの寸法L14から離間寸法L13を差し引くことで、覆い部130cの先端から電池蓋102までの最大寸法L15が決定される(L15=L14−L13)。
【0063】
以上のとおり、正負極端子141,151と電池容器との間の導通を防止するための沿面距離を考慮して最小寸法L12が決定され、バスバー110を外部端子部142,152に溶接するときの入熱を考慮して最大寸法L15が決定される。最小寸法L12と、最大寸法L15とが決定されると、最小寸法L12以上、かつ、最大寸法L15以下となるように、ガスケット130の覆い部130cの先端から電池蓋102の外表面までの設計寸法L11が決定される(L12≦L11≦L15)。
【0064】
上述した本実施の形態によれば、以下のような作用効果を奏することができる。
電池蓋102の貫通孔102hから外方に向かって突出する正負極端子141,151の外部端子部142,152のそれぞれの外周面を密着して覆う覆い部130cをガスケット130に設けた。覆い部130cの先端から電池蓋102までの寸法は、正負極端子141,151と電池蓋102との間の導通を防止するための沿面距離と、バスバー110を外部端子部142,152に溶接するときの入熱とを考慮して決定し、覆い部130cの先端が、外部端子部142,152のバスバー当接面142a,152aよりも電池蓋102側に位置するようにガスケット130を形成した。これにより、結露等により電池蓋102に水滴が付着しても正負極端子141,151と電池蓋102との絶縁性を確保することができるとともに、バスバー110を溶接するときの入熱に起因したガスケット130の熱変形を防止できる。
【0065】
これに対して、特許文献1に記載の従来技術では、円盤形状の外部端子部に、外部端子部を密着して覆う覆い部がガスケットに設けられていない。したがって、従来技術では、電池と外気との間で温度差が生じる使用環境において、外気に含まれる水蒸気が電池容器において結露して水滴となり、結露水により端子と電池容器との間が導通されて、電池容器を介して正負極端子間で短絡が生じるおそれがある。
【0066】
なお、ガス排出弁103から噴出したガスや電解液のガス排出経路上に正負極端子141,151がある場合には、ガス排出弁103から噴出した電解液が、ガス排出経路上の他の単電池の電池容器に付着することもあるが、本実施の形態によれば、正負極端子141,151と電池容器との間の導通が覆い部130cにより防止されるため、ガス排出弁103の開裂時にも正負極端子141,151と電池蓋102との絶縁性を確保することができる。
【0067】
―第2の実施の形態―
図8および図9を参照して第2の実施の形態に係る二次電池(単電池)および組電池について説明する。図8は本発明の第2の実施の形態に係る組電池の斜視図である。図9は、組電池を構成する単電池の正極端子241とバスバー210との接続構造を示す概念図であり、図8のIX−IX線切断断面を模式的に示している。図9では正極側の接続構造を示しているが、負極側も同様の構成であるため、便宜上、かっこ書きで負極側の構成要素の参照番号も付している。図中、第1の実施の形態と同一もしくは相当部分には同一符号を付し、相違点を主に説明する。
【0068】
第2の実施の形態では、正負極端子241,251の外部端子部242,252の形状、ならびに、外部端子部242,252の外周面を覆うガスケット230の覆い部230cの形状および鍔部230bの形状が第1実施形態と異なるが、その他の構成は第1実施形態と同一である。なお、第2の実施の形態では、外部端子部242,252に位置決め凸部が設けられておらず、バスバー210には位置決め孔が設けられていない。
【0069】
図8に示すように、第2の実施の形態に係る組電池を構成する各単電池200A〜200Cの正負極端子241,251のそれぞれには矩形柱形状の外部端子部242,252が設けられている。外部端子部242,252は、バスバー210が溶接される部分であって、その頂面はバスバー210の下面が当接されるバスバー当接面242a,252aとされている。
【0070】
図9に示すように、外部端子部242,252の下端からは、第1の実施の形態と同様に、円柱形状の貫通部143,153が突設され、貫通部143,153の下端からは円筒状の突部145,155が突設されている。正負極端子241,251のそれぞれは、貫通部143,153の外径寸法が外部端子部242,252の外形寸法(幅寸法および長さ寸法)よりも小さく、突部145,155の外径寸法が貫通部143,153の外径寸法よりも小さくなるように形成されている。正負極端子241,251のそれぞれは、突部145,155が端子接続部181,191にかしめられることで正負極集電体180,190のそれぞれに固着されている(不図示)。
【0071】
ガスケット230の鍔部230bは、外形が平面視矩形状の環状に形成され、円筒状の筒部130aの上端から外方に延在し、外部端子部242,252の下端面と電池蓋102との間に配置されている。ガスケット230の覆い部230cは、鍔部230bの外縁から立ち上がる矩形筒状に形成され、外部端子部242,252の外周面を密着して覆っている。
【0072】
図8に示すように、バスバー210と正負極端子241,251とは、レーザがバスバー210の表面に垂直に上方から照射されることで、レーザにより重ね貫通溶接される。正極端子241にバスバー210が溶接されると、平面視で相互に平行な一対の溶接金属w21が形成される。同様に、負極端子251にバスバー210が溶接されると、平面視で相互に平行な一対の溶接金属w22が形成される。
【0073】
図9に示すように、溶接金属w21,w22は、中央部でバスバー当接面242a,252aまで達し、溶接金属w21,w22が正負極端子241,251とバスバー210との間の導通経路を形成している。溶接金属w21,w22の溶け込み深さは、正負極端子241,251の中心に向かうにしたがって深くなっている。
【0074】
溶接金属w21,w22とガスケット230との間の最短距離L20は、2mm以上とすることが望ましい。外部端子部242,252の頂面であるバスバー当接面242a,252aからガスケット230の覆い部230cの先端までの離間寸法L23は、最短距離L20が2mm以上となるように考慮して決定される。離間寸法L23が得られると、電池蓋102の外表面からバスバー当接面242a,252aまでの寸法L24から離間寸法L23を差し引くことで、覆い部230cの先端から電池蓋102までの最大寸法L25が決定される(L25=L24−L23)。
【0075】
覆い部230cの先端から電池蓋102の外表面までの最小寸法L22は、第1の実施の形態と同様に、正負極端子241,251と電池容器との間の導通を防止するための沿面距離を考慮して決定される。
【0076】
以上のとおり、正負極端子241,251と電池容器との間の導通を防止するための沿面距離を考慮して最小寸法L22が決定され、バスバー210を外部端子部242,252に溶接するときの入熱を考慮して最大寸法L25が決定される。最小寸法L22と、最大寸法L25とが決定されると、最小寸法L22以上、かつ、最大寸法L25以下となるように、ガスケット230の覆い部230cの先端から電池蓋102の外表面までの設計寸法L21が決定される(L22≦L21≦L25)。
【0077】
第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様に、結露等により電池蓋102に水滴が付着しても正負極端子241,251と電池蓋102との絶縁性を確保することができるとともに、バスバー210を溶接するときの入熱に起因したガスケット230の熱変形を防止できる。
【0078】
さらに、第2の実施の形態では、外部端子部242,252が矩形柱形状に形成され、バスバー当接面242a,252aが平面視矩形状に形成されている。したがって、第2の実施の形態では、第1の実施の形態に比べて、バスバー210とバスバー当接面242a,252aとの接触面積が大きく、導通経路となる溶接金属の形成領域を第1の実施の形態よりも広く確保することができるため、正負極端子241,251のそれぞれとバスバー210との間の電気抵抗を低くすることができる。
【0079】
なお、次のような変形も本発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施形態と組み合わせることも可能である。
[変形例]
【0080】
(1)第1の実施の形態では、位置決め凸部144,154を設けて、位置決め凸部144,154の外周面と、バスバー110の位置決め孔110h1,110h2の内周面とをレーザにより突合せ溶接し、第2の実施の形態では、レーザによりバスバー210と外部端子部242,252とを重ね貫通溶接したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、図10に示すように、側方からレーザを照射して、バスバー310の下面と外部端子部342,352のバスバー当接面342a,352aとをレーザにより突き合わせ溶接してもよい。図10は、本発明の変形例に係る組電池を構成する単電池の正極端子341とバスバー310との接続構造を示す概念図である。図10では、正極側の接続構造を示しているが、負極側も同様の構成であるため、便宜上、かっこ書きで負極側の構成要素の参照番号を付している。
【0081】
図10に示すように、溶接金属w31,w32は、バスバー当接面342a,352aに沿って形成される。溶接金属w31,w32とガスケット130との間の最短距離L30は、2mm以上とすることが望ましい。外部端子部342,352の頂面であるバスバー当接面342a,352aからガスケット130の覆い部130cの先端までの離間寸法L33は、最短距離L30が2mm以上となるように決定される。離間寸法L33が得られると、電池蓋102の外表面からバスバー当接面342a,352aまでの寸法L34から離間寸法L33を差し引くことで、覆い部330cの先端から電池蓋102までの最大寸法L35が決定される(L35=L34−L33)。
【0082】
覆い部130cの先端から電池蓋102の外表面までの最小寸法L32は、第1の実施の形態と同様に、正負極端子341,351と電池容器との間の導通を防止するための沿面距離を考慮して決定される。ガスケット330の覆い部330cの先端から電池蓋102の外表面までの設計寸法L31は、最小寸法L32以上、かつ、最大寸法L35以下となるように決定される(L32≦L31≦L35)。
【0083】
(2)第1の実施の形態では、バスバー当接面142a,152aから外方に突出するように位置決め凸部144,154を設けたが、本発明はこれに限定されない。たとえば、図10に示すように、バスバー当接面342a,352aから電池蓋102側に向かって窪むように平面視円形状の位置決め凹部344,354を設けてもよい。この場合、バスバー310には、正負極端子341,351の位置決め凹部344,354に挿入される位置決め凸部310cが形成される。
【0084】
(3)位置決め凸部144,154および位置決め凹部344,354の形状は、平面視円形状である場合に限定されない。
【0085】
(4)正負極端子141,151のそれぞれに位置決め凸部144,154を形成したが、正負極端子141,151のいずれか一方のみに位置決め凸部を設けてもよい。正負極端子341,351のそれぞれに位置決め凹部344,354を形成したが、正負極端子341,351のいずれか一方のみに位置決め凹部を設けてもよい。正負極端子の一方に位置決め凸部を設け、他方に位置決め凹部を設けてもよい。
【0086】
(5)リチウムイオン単電池を二次電池の一例として説明したが、ニッケル水素電池などその他の二次電池にも本発明を適用できる。
【0087】
(6)正極端子141,241,341、正極集電体180および正極箔171の材質は、アルミニウム合金に限定されることなく、アルミニウムとしてもよい。負極端子151,251,351、負極集電体190および負極箔172の材質は、銅合金に限定されることなく、銅としてもよい。
【0088】
(7)上記した実施の形態では、ハイブリッド電気自動車や純粋な電気自動車に搭載される組電池について説明したが本発明はこれに限定されない。他の電動車両、たとえばハイブリッド電車などの鉄道車両、バスなどの乗合自動車、トラックなどの貨物自動車、バッテリ式フォークリフトトラックなどの産業車両などの蓄電装置に利用可能な組電池に本発明を適用してもよい。
【0089】
(8)上記した実施の形態では、バスバー110,210,310と正負極端子141,151,241,251,341,351とをレーザ溶接により接続したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、電子ビーム溶接により、バスバー110,210,310と正負極端子141,151,241,251,341,351とを接続してもよい。
【0090】
本発明は、上記した実施の形態に限定されるものでなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で自由に変更、改良が可能である。
【符号の説明】
【0091】
100A〜100C 単電池、101 電池缶、102 電池蓋、102h 貫通孔、103 ガス排出弁、110 バスバー、130 ガスケット、130a 筒部、130b 鍔部、130c 覆い部、141 正極端子、142 外部端子部、142a バスバー当接面、143 貫通部、145 突部、145s カシメ部、151 負極端子、152 外部端子部、152a バスバー当接面、153 貫通部、155 突部、155s カシメ部、160 絶縁部材、161 ベース部、161h 貫通孔、170 捲回電極群、173 セパレータ、174 正極電極、175 負極電極、180 正極集電体、181 端子接続部、183 接合部、190 負極集電体、191 端子接続部、193 接合部、200A〜200C 単電池、210 バスバー、230 ガスケット、230b 鍔部、230c 覆い部、241 正極端子、242 外部端子部、242a バスバー当接面、251 負極端子、252 外部端子部、252a バスバー当接面、310 バスバー、330 ガスケット、330c 覆い部、341 正極端子、342 外部端子部、342a バスバー当接面、351 負極端子、352 外部端子部、352a バスバー当接面


【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極電極および負極電極をセパレータを介在させて捲回した捲回電極群と、
前記捲回電極群を収容する電池缶と前記電池缶を封止する電池蓋とから構成される電池容器と、
前記正負極電極のそれぞれに電気的に接続され、前記電池蓋に設けられた一対の貫通孔のそれぞれに取り付けられた正極端子および負極端子と、
前記正極端子および前記負極端子のそれぞれと前記貫通孔との間に介在されて、前記正極端子および前記負極端子のそれぞれと前記電池蓋とを絶縁する絶縁シール部材とを備え、
前記正負極端子のそれぞれには、単電池同士を電気的に接続するためのバスバーが溶接されるバスバー溶接部が設けられ、
前記絶縁シール部材は、前記電池蓋の貫通孔から外方に向かって突出する前記正負極端子のそれぞれの外周面を密着して覆う覆い部を有し、
前記覆い部の先端は、前記バスバー溶接部の頂面よりも電池蓋側に位置していることを特徴とする単電池。
【請求項2】
請求項1に記載の単電池において、
前記覆い部の先端から前記電池蓋までの寸法は、前記正負極端子と前記電池容器との間の導通を防止するための沿面距離と、前記バスバーを前記バスバー溶接部に溶接するときの入熱とを考慮して決定されることを特徴とする単電池。
【請求項3】
請求項1または2に記載の単電池において、
前記正負極端子のそれぞれは、円柱形状の前記バスバー溶接部の一端から前記電池蓋側に向かって突設されて前記電池蓋の貫通孔を貫通する円柱形状の貫通部を備え、
前記正負極端子のそれぞれは、前記貫通部の外径寸法が前記バスバー溶接部の外径寸法よりも小さくなるように形成され、
前記絶縁シール部材は、前記貫通部と前記電池蓋の貫通孔との間に配置される円筒状の筒部と、前記筒部の一端から外方に延在し、前記バスバー溶接部の一端面と前記電池蓋との間に配置される円環状の鍔部とを有し、
前記覆い部は、前記鍔部の外縁から立ち上がる円筒状に形成されていることを特徴とする単電池。
【請求項4】
請求項1または2に記載の単電池において、
前記正負極端子のそれぞれは、矩形柱形状の前記バスバー溶接部の一端から前記電池蓋側に向かって突設されて前記電池蓋の貫通孔を貫通する円柱形状の貫通部を備え、
前記正負極端子のそれぞれは、前記貫通部の外径寸法が前記バスバー溶接部の外形寸法よりも小さくなるように形成され、
前記絶縁シール部材は、前記貫通部と前記電池蓋の貫通孔との間に配置される円筒状の筒部と、前記筒部の一端から外方に延在し、前記バスバー溶接部の一端面と前記電池蓋との間に配置される環状の鍔部とを有し、
前記覆い部は、前記鍔部の外縁から立ち上がる矩形筒状に形成されていることを特徴とする単電池。
【請求項5】
請求項3または4に記載の単電池において、
前記正極電極に接続される電極接続部と、前記正極端子に固着される端子接続部とを有する正極集電体と、
前記負極電極に接続される電極接続部と、前記負極端子に固着される端子接続部とを有する負極集電体と、
前記正負極集電体の端子接続部のそれぞれと前記電池蓋との間に介在されて、前記正負極集電体のそれぞれと前記電池蓋とを絶縁する絶縁部材とを備え、
前記正負極端子のそれぞれは、前記貫通部の一端から前記捲回電極群側に向かって突設された円筒状の突部とを備え、
前記正負極端子のそれぞれは、前記突部が前記端子接続部にかしめられることで、前記正負極集電体のそれぞれに固着されていることを特徴とする単電池。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の単電池を複数備え、前記複数の単電池同士がバスバーにより電気的に接続された組電池であって、
前記覆い部の先端から前記電池蓋までの寸法は、前記バスバーと前記正負極端子との間に形成される溶接金属と、前記覆い部との間の最短距離を考慮して決定されることを特徴とする組電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−93287(P2013−93287A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236135(P2011−236135)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(505083999)日立ビークルエナジー株式会社 (438)
【Fターム(参考)】