説明

印刷装置、印刷方法、プログラム、及びコンピュータシステム

【課題】被印刷体の所定方向での印刷開始位置を高精度で且つ効率的に決定する。
【解決手段】前記検知手段を前記移動方向の一端側へ位置させ、前記検知手段が前記被印刷体を検知する検知位置まで前記被印刷体を所定方向へ前記搬送手段によって搬送させ、前記被印刷体の右上端と左上端のうち前記検知手段の位置している側とは反対側の上端が、前記検知位置において一定量以上先行しているとき、前記検知手段を前記移動方向の一端側とは反対の他端側へ位置させ、前記被印刷体を前記検知位置から前記所定方向とは反対方向へ前記搬送手段によって搬送させた後に、前記検知手段が前記被印刷体を検知する検知位置まで前記被印刷体を前記所定方向へ搬送させ、更に前記被印刷体を前記検知位置から前記所定方向へ所定量だけ搬送させる印刷装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置、印刷方法、プログラム、及びコンピュータシステムに関する。特に、本発明は、被印刷体を検知するための移動可能な検知手段、被印刷体を前記検知手段の移動方向と交差する方向へ搬送するための搬送手段、を備えた印刷装置と、この印刷装置の印刷方法と、この印刷装置を制御するためのプログラムと、この印刷装置を有するコンピュータシステムと、に関する。
【背景技術】
【0002】
紙、布、フィルム等の各種の被印刷体に画像を印刷する印刷装置として、インクを断続的に吐出して印刷を行うインクジェットプリンタが知られている。このようなインクジェットプリンタでは、被印刷体を印刷ヘッドに向かう方向へ搬送させて位置決めする行程と、印刷ヘッドを被印刷体の搬送方向と交差する主走査方向へ移動させながらインクを吐出する行程とを交互に繰り返し、印刷を行っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
被印刷体を印刷ヘッドに向かう方向へ搬送させるとき、被印刷体の右上端と左上端のどちらかの上端が先行した状態で搬送されると、つまり被印刷体が搬送方向において傾いていると、被印刷体上における実際の印刷位置が本来の印刷位置からずれてしまい、画質の良否に影響を与えてしまうことになる。特に、縁なし印刷を行う場合、被印刷体の搬送方向における傾きに起因して、被印刷体の上端に余白ができてしまうと、被印刷体を無駄にしてしまう問題を生じる可能性がある。一方で、縁なし印刷を行う場合、被印刷体の全体を覆うべく印刷範囲のマージンを拡大すると、被印刷体の上端に余白ができにくくなる反面、インクの消費量が増大してしまう問題を生じる可能性がある。
【0004】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、被印刷体の印刷開始位置を高精度で且つ効率的に決定することが可能な印刷装置、印刷方法、プログラム、及びコンピュータシステムを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
主たる本発明は、被印刷体を検知するための移動可能な検知手段と、被印刷体を前記検知手段の移動方向と交差する方向へ搬送するための搬送手段と、を備えた印刷装置であって、前記検知手段を前記移動方向の一端側へ位置させ、前記検知手段が前記被印刷体を検知する検知位置まで前記被印刷体を所定方向へ前記搬送手段によって搬送させ、前記被印刷体の右上端と左上端のうち前記検知手段の位置している側とは反対側の上端が、前記検知位置において一定量以上先行しているとき、前記検知手段を前記移動方向の一端側とは反対の他端側へ位置させ、前記被印刷体を前記検知位置から前記所定方向とは反対方向へ前記搬送手段によって搬送させた後に、前記検知手段が前記被印刷体を検知する検知位置まで前記被印刷体を前記所定方向へ搬送させ、更に前記被印刷体を前記検知位置から前記所定方向へ所定量だけ搬送させる、ことを特徴とする印刷装置である。
【0006】
本発明の上記以外の目的、及び、その特徴とするところは、本明細書及び添付図面の記載により明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明のコンピュータシステムの構成例を示すブロック図である。
【図2】図1に示すカラーインクジェットプリンタ20の主要構成の一例を示す概略斜視図である。
【図3】キャリッジ28に設けられた反射型光学センサ29の一例を説明するための模式図である。
【図4】カラーインクジェットプリンタ20におけるキャリッジ28周辺の構成の一例を示す図である。
【図5】リニア式エンコーダ11の説明図である。
【図6】リニア式エンコーダ11の2種類の出力信号の波形を示すタイミングチャートである。
【図7】カラーインクジェットプリンタ20の電気的構成の一例を示すブロック図である。
【図8】印刷ヘッド36の下面におけるノズルの配列を説明するための図である。
【図9】本実施形態の印刷方法を説明するためのフローチャートである。
【図10】図9の続きを示すフローチャートである。
【図11】副走査方向における印刷用紙Pの左上端が右上端より先行している場合の印刷ヘッド36、反射型光学センサ29、印刷用紙Pの位置関係を説明するための模式図である。
【図12】副走査方向における印刷用紙Pの右上端が左上端より距離h未満先行している場合の印刷ヘッド36、反射型光学センサ29、印刷用紙Pの位置関係を説明するための模式図である。
【図13】図12(d)を詳細に説明するための模式図である。
【図14】副走査方向における印刷用紙Pの右上端が左上端より距離h以上先行している場合の印刷ヘッド36、反射型光学センサ29、印刷用紙Pの位置関係を説明するための模式図である。
【図15】図14(f)(g)を詳細に説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0009】
被印刷体を検知するための移動可能な検知手段と、被印刷体を前記検知手段の移動方向と交差する方向へ搬送するための搬送手段と、を備えた印刷装置であって、
前記検知手段を前記移動方向の一端側へ位置させ、
前記検知手段が前記被印刷体を検知する検知位置まで前記被印刷体を所定方向へ前記搬送手段によって搬送させ、
前記被印刷体の右上端と左上端のうち前記検知手段の位置している側とは反対側の上端が、前記検知位置において一定量以上先行しているとき、前記検知手段を前記移動方向の一端側とは反対の他端側へ位置させ、前記被印刷体を前記検知位置から前記所定方向とは反対方向へ前記搬送手段によって搬送させた後に、前記検知手段が前記被印刷体を検知する検知位置まで前記被印刷体を前記所定方向へ搬送させ、更に前記被印刷体を前記検知位置から前記所定方向へ所定量だけ搬送させる、
ことを特徴とする印刷装置。
【0010】
前記印刷装置によれば、被印刷体の右上端または左上端のうち検知手段の位置している側とは反対側の上端が前記検知位置において一定量以上先行しているときに限り、検知手段を一端側から他端側へ位置させ、被印刷体を前記検知位置から所定方向とは反対方向へ搬送させた後に、検知手段が被印刷体を検知する検知位置まで被印刷体を所定方向へ搬送させ、更に被印刷体をこの検知位置から所定方向へ所定量だけ搬送させることとした。これにより、被印刷体の所定方向における印刷開始位置を高精度で且つ効率的に決定することが可能となる。つまり、縁なし印刷を行う場合に被印刷体の上端に余白ができたりインクの消費量が増大したりすることがなくなる。
【0011】
また、かかる印刷装置において、前記被印刷体の右上端と左上端のうち前記検知手段の位置している側の上端が、前記検知位置において先行しているとき、前記被印刷体を前記検知位置から前記所定方向へ前記所定量だけ前記搬送手段によって搬送させることとしてもよい。
【0012】
また、かかる印刷装置において、前記被印刷体の右上端と左上端のうち前記検知手段の位置している側とは反対側の上端が、前記検知位置において前記一定量未満先行しているとき、前記被印刷体を前記検知位置から前記所定方向へ前記所定量だけ前記搬送手段によって搬送させることとしてもよい。
【0013】
前記印刷装置によれば、被印刷体の右上端または左上端のうち検知手段の位置している側とは反対側の上端が前記検知位置において一定量未満先行しているだけの場合には、被印刷体を前記検知位置からそのまま所定方向へ所定量だけ搬送させることとしたので、被印刷体の所定方向における印刷開始位置を高精度で且つ効率的に決定することが可能となる。
【0014】
また、かかる印刷装置において、前記被印刷体の搬送方向と交差する主走査方向へ移動してインクを吐出することによって前記被印刷体に印刷を行うための印刷ヘッドを、備えたこととしてもよい。
前記印刷装置によれば、被印刷体の搬送方向と交差する主走査方向へ移動可能な印刷ヘッドを有している場合において、被印刷体の所定方向における印刷開始位置を高精度で且つ効率的に決定することができる。
【0015】
また、かかる印刷装置において、前記検知手段は、前記主走査方向へ移動するための移動部材に前記印刷ヘッドとともに設けられていることとしてもよい。
前記印刷装置によれば、移動部材に印刷ヘッドとともに設けられている検知手段を用いて、被印刷体の所定方向における印刷開始位置を高精度で且つ効率的に決定することができる。
【0016】
また、かかる印刷装置において、前記移動方向の一端側に位置している前記検知手段が前記被印刷体を検知する検知位置まで前記被印刷体を前記所定方向へ搬送させた後、前記検知手段を前記移動方向の一端側から他端側へ移動させて前記被印刷体の有無を検知することによって、前記被印刷体の右上端と左上端のどちらの上端が前記検知位置において先行しているのかを求めることとしてもよい。
前記印刷装置によれば、移動方向の一端側に位置している検知手段が被印刷体を検知する検知位置まで被印刷体を所定方向へ搬送させた後、移動方向の一端側から他端側へ移動して被印刷体の有無を検知する検知手段を用いて、被印刷体の所定方向における印刷開始位置を高精度で且つ効率的に決定することができる。
【0017】
また、かかる印刷装置において、前記検知手段を前記移動方向の一端側から他端側へ移動させるとき、前記検知手段が前記被印刷体を検知しにくくすることとしてもよい。
前記印刷装置によれば、検知手段が被印刷体を検知しにくくなる側へ設定することによって、被印刷体の右上端と左上端のうち検知手段の位置している側と反対側の上端が一定量未満だけ先行している場合に、被印刷体を所定方向とは反対方向へ搬送しないようにしたので、被印刷体の所定方向における印刷開始位置をより効率的に決定することができる。
【0018】
また、かかる印刷装置において、前記検知手段を前記移動方向の一端側から他端側へ移動させる過程で、前記検知手段が前記被印刷体を検知しないとき、前記被印刷体の右上端と左上端のうち前記検知手段の前記移動方向における一端側の上端が前記検知位置において先行しているか、または、前記被印刷体の右上端と左上端のうち前記検知手段の前記移動方向における他端側の上端が一定量未満先行していることとし、前記検知手段が前記被印刷体を検知したとき、前記被印刷体の右上端と左上端のうち前記検知手段の前記移動方向における他端側の上端が一定量以上先行していることとしてもよい。
前記印刷装置によれば、検知手段が被印刷体を検知しないとき、被印刷体の右上端と左上端のうち検知手段の移動方向における一端側の上端が検知位置において先行しているか、または、被印刷体の右上端と左上端のうち検知手段の移動方向における他端側の上端が一定量未満しか先行していないことになるので、被印刷体を所定方向とは反対方向へ搬送しないようにして、被印刷体の所定方向における印刷開始位置をより効率的に決定することができる。
【0019】
また、かかる印刷装置において、前記検知手段は、光を発するための発光部材と、前記発光部材が発する光を受光するための受光部材とを有し、前記受光部材の出力値に基づいて前記被印刷体を検知することとしてもよい。
前記印刷装置によれば、発光部材及び受光部材を有する検知手段を用いて、被印刷体の所定方向における印刷開始位置を高精度で且つ効率的に決定することができる。
【0020】
また、かかる印刷装置において、前記印刷ヘッドは、前記被印刷体の全表面を対象として印刷を行うこととしてもよい。
前記印刷装置によれば、被印刷体の全表面に印刷を行う場合に、被印刷体の所定方向における印刷開始位置を高精度で且つ効率的に決定することができる。
【0021】
また、被印刷体を検知するための移動可能な検知手段と、被印刷体を前記検知手段の移動方向と交差する方向へ搬送するための搬送手段と、を備えた印刷装置であって、前記検知手段を前記移動方向の一端側へ位置させ、前記検知手段が前記被印刷体を検知する検知位置まで前記被印刷体を所定方向へ前記搬送手段によって搬送させ、前記被印刷体の右上端と左上端のうち前記検知手段の位置している側の上端が、前記検知位置において先行しているとき、前記被印刷体を前記検知位置から前記所定方向へ所定量だけ前記搬送手段によって搬送させ、前記被印刷体の右上端と左上端のうち前記検知手段の位置している側とは反対側の上端が、前記検知位置において一定量以上先行しているとき、前記検知手段を前記移動方向の一端側とは反対の他端側へ位置させ、前記被印刷体を前記検知位置から前記所定方向とは反対方向へ前記搬送手段によって搬送させた後に、前記検知手段が前記被印刷体を検知する検知位置まで前記被印刷体を前記所定方向へ搬送させ、更に前記被印刷体を前記検知位置から前記所定方向へ前記所定量だけ搬送させ、前記被印刷体の右上端と左上端のうち前記検知手段の位置している側とは反対側の上端が、前記検知位置において前記一定量未満先行しているとき、前記被印刷体を前記検知位置から前記所定方向へ前記所定量だけ前記搬送手段によって搬送させ、印刷ヘッドを前記被印刷体の搬送方向と交差する主走査方向へ移動してインクを吐出することによって前記被印刷体に印刷を行い、前記主走査方向へ移動するための移動部材に前記検知手段を前記印刷ヘッドとともに設け、前記移動方向の一端側に位置している前記検知手段が前記被印刷体を検知する検知位置まで前記被印刷体を前記所定方向へ搬送させた後、前記検知手段を前記移動方向の一端側から他端側へ移動させて前記被印刷体の有無を検知することによって、前記被印刷体の右上端と左上端のどちらの上端が前記検知位置において先行しているのかを求め、前記検知手段を前記移動方向の一端側から他端側へ移動させる際に、前記検知手段が前記被印刷体を検知しにくくすることによって、前記検知手段が前記被印刷体を検知しないとき、前記被印刷体の右上端と左上端のうち前記検知手段の前記移動方向における一端側の上端が前記検知位置において先行しているか、または、前記被印刷体の右上端と左上端のうち前記検知手段の前記移動方向における他端側の上端が一定量未満先行していることとし、前記検知手段が前記被印刷体を検知したとき、前記被印刷体の右上端と左上端のうち前記検知手段の前記移動方向における他端側の上端が一定量以上先行していることとし、前記被印刷体の全表面を対象として印刷を行う、ことを特徴とする印刷装置も実現可能である。
【0022】
また、被印刷体を検知するための移動可能なセンサと、被印刷体を前記センサの移動方向と交差する方向へ搬送するための搬送ローラと、を備えた印刷装置の印刷方法であって、
前記センサを前記移動方向の一端側へ位置させるステップと、
前記センサが前記被印刷体を検知する検知位置まで前記被印刷体を所定方向へ前記搬送ローラによって搬送させるステップと、
前記被印刷体の右上端と左上端のうち前記センサの位置している側とは反対側の上端が、前記検知位置において一定量以上先行しているとき、前記センサを前記移動方向の一端側とは反対の他端側へ位置させ、前記被印刷体を前記検知位置から前記所定方向とは反対方向へ前記搬送ローラによって搬送させた後に、前記センサが前記被印刷体を検知する検知位置まで前記被印刷体を前記所定方向へ搬送させ、更に前記被印刷体を前記検知位置から前記所定方向へ所定量だけ搬送させるステップと、
を備えたことを特徴とする印刷方法。
前記印刷方法によれば、被印刷体の所定方向における印刷開始位置を高精度で且つ効率的に決定することが可能となる。
【0023】
また、被印刷体を検知するための移動可能な検知手段と、被印刷体を前記検知手段の移動方向と交差する方向へ搬送するための搬送手段と、を備えた印刷装置に、
前記検知手段を前記移動方向の一端側へ位置させる機能と、
前記検知手段が前記被印刷体を検知する検知位置まで前記被印刷体を所定方向へ前記搬送手段によって搬送させる機能と、
前記被印刷体の右上端と左上端のうち前記検知手段の位置している側とは反対側の上端が、前記検知位置において一定量以上先行しているとき、前記検知手段を前記移動方向の一端側とは反対の他端側へ位置させ、前記被印刷体を前記検知位置から前記所定方向とは反対方向へ前記搬送手段によって搬送させた後に、前記検知手段が前記被印刷体を検知する検知位置まで前記被印刷体を前記所定方向へ搬送させ、更に前記被印刷体を前記検知位置から前記所定方向へ所定量だけ搬送させる機能と、
を実現させることを特徴とするプログラム。
前記プログラムによれば、被印刷体の所定方向における印刷開始位置を高精度で且つ効率的に決定するように制御することが可能となる。
【0024】
また、被印刷体を検知するための移動可能な検知手段、被印刷体を前記検知手段の移動方向と交差する方向へ搬送するための搬送手段、を有する印刷装置と、前記印刷装置と接続されるコンピュータ本体と、を備えたコンピュータシステムであって、
前記検知手段を前記移動方向の一端側へ位置させ、
前記検知手段が前記被印刷体を検知する検知位置まで前記被印刷体を所定方向へ前記搬送手段によって搬送させ、
前記被印刷体の右上端と左上端のうち前記検知手段の位置している側とは反対側の上端が、前記検知位置において一定量以上先行しているとき、前記検知手段を前記移動方向の一端側とは反対の他端側へ位置させ、前記被印刷体を前記検知位置から前記所定方向とは反対方向へ前記搬送手段によって搬送させた後に、前記検知手段が前記被印刷体を検知する検知位置まで前記被印刷体を前記所定方向へ搬送させ、更に前記被印刷体を前記検知位置から前記所定方向へ所定量だけ搬送させる、
ことを特徴とするコンピュータシステムも実現可能である。
【0025】
また、被印刷体を検知するための移動可能なセンサと、被印刷体を前記センサの移動方向と交差する方向へ搬送するための搬送ローラと、を備えた印刷装置であって、
前記センサを前記移動方向の一端側へ位置させ、
前記センサが前記被印刷体を検知する検知位置まで前記被印刷体を所定方向へ前記搬送ローラによって搬送させ、
前記被印刷体の右上端と左上端のうち前記センサの位置している側とは反対側の上端が、前記検知位置において一定量以上先行しているとき、前記センサを前記移動方向の一端側とは反対の他端側へ位置させ、前記被印刷体を前記検知位置から前記所定方向とは反対方向へ前記搬送ローラによって搬送させた後に、前記センサが前記被印刷体を検知する検知位置まで前記被印刷体を前記所定方向へ搬送させ、更に前記被印刷体を前記検知位置から前記所定方向へ所定量だけ搬送させる、
ことを特徴とする印刷装置も実現可能である。
【0026】
===装置の全体構成例===
図1を参照しつつ、印字装置としてカラーインクジェットプリンタを例にとって、その概要について説明する。図1は、本発明のコンピュータシステムの構成例を示すブロック図である。図1において、カラーインクジェットプリンタ20は印刷装置であり、また、カラーインクジェットプリンタ20と、コンピュータ90と、表示装置(CRT21や不図示のLCD等)と、入力装置(不図示のキーボードやマウス等)と、ドライブ装置(不図示のフレキシブルドライブ装置やCD−ROMドライブ装置等)とから、コンピュータシステムが構築される。
【0027】
コンピュータ90は、CRT21を表示駆動するためのビデオドライバ91と、カラーインクジェットプリンタ20を印刷駆動するためのプリンタドライバ96と、これらのビデオドライバ91及びプリンタドライバ96を駆動制御するためのアプリケーションプログラム95と、を有するものである。ビデオドライバ91は、アプリケーションプログラム95からの表示命令に従って、処理対象となる画像データを適宜処理した後にCRT21に供給している。CRT21は、ビデオドライバ91から供給された画像データに応じた画像を表示する。また、プリンタドライバ96は、アプリケーションプログラム95からの印刷命令に従って、処理対象となる画像データを適宜処理した後に印刷データPDとしてカラーインクジェットプリンタ20に供給している。
【0028】
プリンタドライバ96は、解像度変換モジュール97と、色変換モジュール98と、ハーフトーンモジュール99と、ラスタライザ100と、ユーザインターフェース表示モジュール101と、UIプリンタインターフェースモジュール102と、色変換ルックアップテーブルLUTと、を備えたものである。
【0029】
解像度変換モジュール97は、アプリケーションプログラム95に基づいて形成されたカラー画像データの解像度を、印刷用の解像度に変換するためのものである。なお、解像度変換モジュール97による変換後のカラー画像データは、RGBの3つの色成分からなるものである。そこで、色変換モジュール98は、色変換ルックアップテーブルLUTを参照することによって、解像度変換モジュール97から出力されるRGBのカラー画像データを、各画素単位で、カラーインクジェットプリンタ20が利用可能な複数のインク色の多階調データに変換する。なお、色変換モジュール98による変換後の多階調データは、例えば256階調の階調値を有している。ハーフトーンモジュール99は、色変換モジュール98から出力される多階調データにハーフトーン処理を行って、ハーフトーン画像データを生成するものである。ラスタライザ100は、ハーフトーンモジュール99から出力されるハーフトーン画像データを、カラーインクジェットプリンタ20に供給するためのデータ順に配列し、上記の印刷データPDとしてカラーインクジェットプリンタ20に供給している。なお、印刷データPDは、印刷ヘッドが主走査方向へ移動する際のドットの形成状態を示すラスタデータと、被印刷体が主走査方向と交差する副走査方向へ逐次移動するための搬送量を示すデータと、を有している。
【0030】
ユーザインターフェース表示モジュール101は、印刷に関係する様々なウィンドウを表示する機能と、これらのウィンドウ内においてユーザからの入力指示を受け取る機能とを有している。
【0031】
UIプリンタインターフェースモジュール102は、ユーザインターフェース表示モジュール101とカラーインクジェットプリンタ20との間に介在し、双方向のインターフェースを行うものである。つまり、UIプリンタインターフェースモジュール102は、ユーザがユーザインターフェース表示モジュール101に指示をすると、ユーザインターフェース表示モジュール101からの命令を解読して得られる各種コマンドCOMをカラーインクジェットプリンタ20へ供給する方向のインターフェースを行う。一方、UIプリンタインターフェースモジュール102は、カラーインクジェットプリンタ20からの各種コマンドCOMをユーザインターフェース表示モジュール101へ供給する方向のインターフェースも行う。
【0032】
以上より、プリンタドライバ96は、カラーインクジェットプリンタ20に印刷データPDを供給する機能と、カラーインクジェットプリンタ20との間で各種コマンドCOMを入出力する機能とを実現するものである。なお、プリンタドライバ96の機能を実現するためのプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体として、フレキシブルディスク、CD−ROM、光磁気ディスク、ICカード、ROMカートリッジ、パンチカード、バーコード等の符号が印刷された印刷物、コンピュータの内部記憶装置、外部記憶装置等の様々な媒体に記録された状態で、コンピュータ90に供給される。また、プリンタドライバ96の機能を実現するためのプログラムを、インターネット上に公開されるWWW(World Wide Web)サーバ等からコンピュータ90へダウンロードするようにしてもよい。
【0033】
図2は、図1に示すカラーインクジェットプリンタ20の主要構成の一例を示す概略斜視図である。カラーインクジェットプリンタ20は、用紙スタッカ22と、不図示のステップモータで駆動される紙送りローラ24と、プラテン26と、移動部材としてのキャリッジ28と、キャリッジモータ30と、キャリッジモータ30の駆動力を伝達するための牽引ベルト32と、キャリッジ28を案内するためのガイドレール34と、を備えている。更に、キャリッジ28は、ドットを形成するための多数のノズルを有する印刷ヘッド36と、後述する発光部材及び受光部材としての反射型光学センサ29とを備えている。
【0034】
キャリッジ28は、キャリッジモータ30の駆動力が伝達される牽引ベルト32に牽引され、ガイドレール34に沿って図2に示す主走査方向へ移動する。また、印刷用紙Pは、用紙スタッカ22から取り出された後に搬送手段の一例としての紙送りローラ(「搬送ローラ」ともいう)24で巻き取られ、プラテン26の表面上を、図2に示す主走査方向と垂直な副走査方向へ搬送される。なお、紙送りローラ24は、用紙スタッカ22からプラテン26上へ印刷用紙Pを給紙するための動作と、プラテン26上から印刷用紙Pを排紙するための動作とを行う際に、駆動される。
【0035】
===反射型光学センサの構成例===
図3は、キャリッジ28に設けられた反射型光学センサ29の一例を説明するための模式図である。反射型光学センサ29は、光を発する発光ダイオード等の発光部材38と、発光部材が発する光を受光するフォトトランジスタ等の受光部材40とを有している。なお、発光部材38は、上記の発光ダイオードに限定されるものではなく、光を発することによって本発明を実現するための要素を構成できる部材であれば如何なる部材を採用してもよい。また、受光部材40は、上記のフォトトランジスタに限定されるものではなく、発光部材38からの光を受光することによって本発明を実現するための要素を構成できる部材であれば如何なる部材を採用してもよい。
【0036】
発光部材38が発した指向性を有する入射光は、入射方向に印刷用紙Pがある場合はこの印刷用紙Pに照射され、一方、入射方向に印刷用紙Pがない場合はプラテン26に照射される。印刷用紙Pまたはプラテン26に照射された入射光は反射される。このときの反射光は、受光部材40で受光され、反射光の大きさに応じた出力値としての電気信号に変換される。つまり、印刷用紙Pとプラテン26の反射光の大きさは異なるので、受光部材40から得られる電気信号の大きさに応じて、反射型光学センサ29の入射方向に印刷用紙Pがあるかどうかを判別することが可能となる。受光部材40から得られる電気信号の大きさは、後述する電気信号測定部66において測定される。
【0037】
なお、本実施形態では、反射型光学センサ29は、発光部材38と受光部材40を一体としたものであるが、これに限定されるものではない。つまり、発光部材38と受光部材を個別の部材として反射型光学センサ29を構成し、この反射型光学センサ29をキャリッジ28に設ける構成としてもよい。
【0038】
また、本実施形態では、受光部材40から得られる反射光の大きさに応じた電気信号を測定するものであるが、これに限定されるものではない。つまり、受光部材40が受光した反射光の大きさを電気信号以外の形で測定可能な手段を設けてもよい。
【0039】
===キャリッジ周辺の構成例===
図4は、カラーインクジェットプリンタ20におけるキャリッジ28周辺の構成の一例を示す図である。カラーインクジェットプリンタ20は、印刷用紙Pを搬送するための紙送りモータ(以下、PFモータという)31と、印刷用紙Pにインクを吐出するための印刷ヘッド36が設けられ、主走査方向へ移動するキャリッジ28と、キャリッジ28を駆動するためのキャリッジモータ(以下、CRモータという)30と、キャリッジ28に設けられたリニア式エンコーダ11と、所定間隔のスリットが形成されたリニアスケール12と、印刷用紙Pを支持するプラテン26と、PFモータ31の駆動力が伝達されて印刷用紙Pを副走査方向へ搬送するための紙送りローラ24と、紙送りローラ24の回転量を検出するためのロータリー式エンコーダ13(図7参照)と、CRモータ30の回転軸に設けられたプーリ25と、プーリ25に張架された牽引ベルト32と、を備えている。
【0040】
図5は、リニア式エンコーダ11の説明図である。
リニア式エンコーダ11は、キャリッジ28の位置を検出するためのものであり、リニアスケール12と検出部14とを有する。
リニアスケール12は、所定の間隔(例えば、1/180インチ(1インチ=2.54cm))毎にスリットが設けられており、カラーインクジェットプリンタ20側に固定されている。
【0041】
検出部14は、リニアスケール12と対向して設けられており、キャリッジ28側に設けられている。検出部14は、発光ダイオード11aと、コリメータレンズ11bと、検出処理部11cとを有しており、検出処理部11cは、複数(例えば、4個)のフォトダイオード11dと、信号処理回路11eと、2個のコンパレータ11fA、11fBとを備えている。
【0042】
発光ダイオード11aは、アノード側の抵抗を介して電圧Vccが印加されると光を発し、この光はコリメータレンズ11bに入射される。コリメータレンズ11bは、発光ダイオード11aから発せられた光を平行光とし、リニアスケール12に平行光を照射する。リニアスケール12に設けられたスリットを通過した平行光は、不図示の固定スリットを通過して、各フォトダイオード11dに入射する。フォトダイオード11dは、入射した光を電気信号に変換する。各フォトダイオード11dから出力される電気信号は、コンパレータ11fA、11fBにおいて比較され、比較結果がパルスとして出力される。そして、コンパレータ11fA、11fBから出力されるパルスENC−A及びパルスENC−Bが、リニア式エンコーダ11の出力となる。
【0043】
図6は、リニア式エンコーダ11の2種類の出力信号の波形を示すタイミングチャートである。図6(a)は、CRモータ30が正転しているときにおける出力信号の波形のタイミングチャートである。図6(b)は、CRモータ30が反転しているときにおける出力信号の波形のタイミングチャートである。
【0044】
図6(a)及び図6(b)に示す通り、CRモータ30の正転時および反転時のいずれの場合であっても、パルスENC−AとパルスENC−Bとは、位相が90度ずれている。CRモータ30が正転しているとき、すなわち、キャリッジ28が主走査方向に移動しているときは、図6(a)に示す通り、パルスENC−Aは、パルスENC−Bよりも90度だけ位相が進んでいる。一方、CRモータ30が反転しているときは、図6(b)に示す通り、パルスENC−Aは、パルスENC−Bよりも90度だけ位相が遅れている。各パルスの1周期Tは、キャリッジ28がリニアスケール12のスリットの間隔(例えば、1/180インチ(1インチ=2.54cm))を移動する時間に等しい。
【0045】
キャリッジ28の位置の検出は、以下のように行う。まず、パルスENC−A又はENC−Bについて、立ち上がりエッジ又は立ち下がりエッジを検出し、検出されたエッジの個数をカウントする。このカウント数に基づいて、キャリッジ28の位置を演算する。カウント数は、CRモータ30が正転しているときに一つのエッジが検出されると『+1』を加算し、CRモータ30が反転しているときに一つのエッジが検出されると『−1』を加算する。パルスENCの周期はリニアスケール12のスリット間隔に等しいので、カウント数にスリット間隔を乗算すれば、カウント数が『0』のときのキャリッジ28の位置からの移動量を求めることができる。つまり、この場合におけるリニア式エンコーダ11の解像度は、リニアスケール12のスリット間隔となる。また、パルスENC−AとパルスENC−Bの両方を用いて、キャリッジ30の位置を検出しても良い。パルスENC−AとパルスENC−Bの各々の周期はリニアスケール12のスリット間隔に等しく、かつ、パルスENC−AとパルスENC−Bとは位相が90度ずれているので、各パルスの立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジを検出し、検出されたエッジの個数をカウントすれば、カウント数『1』は、リニアスケール12のスリット間隔の1/4に対応する。よって、カウント数にスリット間隔の1/4を乗算すれば、カウント数が『0』のときのキャリッジ28の位置から移動量を求めることができる。つまり、この場合におけるリニア式エンコーダ11の解像度は、リニアスケール12のスリット間隔の1/4となる。
【0046】
なお、ロータリー式エンコーダ13では、カラーインクジェットプリンタ20側に設けられたリニアスケール12の代わりに紙送りローラ24の回転に応じて回転する不図示の回転円板を用いる点以外の構成は、リニア式エンコーダ11とほぼ同様である。
【0047】
===カラーインクジェットプリンタの電気的構成例===
図7は、カラーインクジェットプリンタ20の電気的構成の一例を示すブロック図である。カラーインクジェットプリンタ20において、バッファメモリ50は、コンピュータ90から供給された信号を一時的に格納するためのものである。イメージバッファ52は、バッファメモリ50が格納した信号のうち印刷データPDが供給されるものである。システムコントローラ54は、バッファメモリ50が格納した信号のうちカラーインクジェットプリンタ20の動作を制御するための各種コマンドCOMが供給されるものである。
【0048】
メインメモリ56は、コンピュータ90とバッファメモリ50との間のインターフェースに関わらずカラーインクジェットプリンタ20の動作を制御するためのプログラムデータ、カラーインクジェットプリンタ20の動作を制御する際に参照するためのテーブルデータ等が予め格納されているものであり、システムコントローラ54と接続されている。なお、メインメモリ56には、不揮発性メモリ(データを製造工程で焼き付け固定するマスクROM、データを紫外線で消去可能なEPROM、データを電気的に書き換え可能なEEPROM等)または揮発性メモリ(バックアップ電源でデータを保持可能なSRAM等)の何れを採用してもよいが、不揮発性メモリを採用した方がデータ保持を保証する点で好ましい。
【0049】
EEPROM58は、インクの残量等、印刷動作を行うその都度変化する情報を書き換えて格納するものであり、システムコントローラ54と接続されている。
【0050】
更に、システムコントローラ54には、作業データを格納するRAM57と、CRモータ30を駆動するための主走査駆動回路61と、PFモータ31を駆動するための副走査駆動回路62と、印刷ヘッド36を駆動するためのヘッド駆動回路63と、反射型光学センサ29を構成する発光部材38及び受光部材40を制御するための反射型光学センサ制御回路65と、リニア式エンコーダ11と、ロータリー式エンコーダ13とが接続されている。なお、反射型光学センサ制御回路65は、受光部材40から得られる反射光の大きさに応じた電気信号を測定するための電気信号測定部66を有している。
【0051】
これより、システムコントローラ54は、バッファメモリ50から供給される各種コマンドCOMを解読し、解読結果として得られる制御信号を、主走査駆動回路61、副走査駆動回路62、ヘッド駆動回路63等に対して適宜供給する。特に、ヘッド駆動回路63は、システムコントローラ54から供給される制御信号に従って、イメージバッファ52から印刷データPDを構成する各色成分を読み出し、この各色成分に応じて印刷ヘッド36を構成する各色(ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン)のノズルアレイを駆動する。
【0052】
===印刷ヘッドのノズル配置例===
図8は、印刷ヘッド36の下面におけるノズルの配列を説明するための図である。印刷ヘッド36の下面には、ブラックノズル列Kと、カラーノズル列としてのイエローノズル列Y、マゼンタノズル列M、シアンノズル列Cとが形成されている。
【0053】
ブラックノズル列Kは180個のノズル#1〜#180(白丸)を有している。180個のノズル#1〜#180(白丸)は、図2に示す副走査方向に沿って、一直線上に一定の間隔(ノズルピッチk・D)でそれぞれ整列している。また、イエローノズル列Yは60個のノズル#1〜#60(白三角)を有し、マゼンタノズル列Mは60個のノズル#1〜#60(白四角)を有し、シアンノズル列Cは60個のノズル#1〜#60(白菱形)を有している。180個のノズル#1〜#60(白三角、白四角、白菱形)は、図2に示す副走査方向に沿って、一直線上に一定の間隔(ノズルピッチk・D)でそれぞれ整列している。ここで、Dは、副走査方向における最小のドットピッチ(つまり、印刷用紙Pに形成されるドットの最高解像度での間隔)であり、例えば解像度が1440dpiであれば1/1440インチ(約17.65μm)である。また、kは、1以上の整数である。
【0054】
例えば、各ノズルには、各ノズルを駆動してインク滴を吐出させるための駆動素子として不図示のピエゾ素子が設けられている。
【0055】
なお、印刷時には、印刷用紙Pが間欠的に所定の搬送量で副走査方向へ搬送され、この間欠的な搬送の間にキャリッジ28が主走査方向へ移動して各ノズルからインク滴が吐出される。
【0056】
===本実施形態の印刷方法===
次に、図9、図10、図11、図12、図13、図14及び図15を用いて本実施形態の印刷方法について説明する。図9及び図10は本実施形態の印刷方法を説明するためのフローチャートである。図11は、副走査方向における印刷用紙Pの左上端が右上端より先行している場合の印刷ヘッド36、反射型光学センサ29、印刷用紙Pの位置関係を説明するための模式図である。図12は、副走査方向における印刷用紙Pの右上端が左上端より距離h未満先行している場合の印刷ヘッド36、反射型光学センサ29、印刷用紙Pの位置関係を説明するための模式図である。図13は、図12(d)を詳細に説明するための模式図である。図14は、副走査方向における印刷用紙Pの右上端が左上端より距離h以上先行している場合の印刷ヘッド36、反射型光学センサ29、印刷用紙Pの位置関係を説明するための模式図である。図15は、図14(f)(g)を詳細に説明するための模式図である。なお、図11乃至図15において、印刷ヘッド36の紙面上側の白丸はブラックノズル#1及びイエローノズル#1を示し、印刷ヘッド36の紙面下側の白丸はブラックノズル#180及びシアンノズル#60を示している。また、印刷用紙Pは、印刷を行うときは図8に示すブラックノズル#180及びシアンノズル#60側から副走査方向に沿って搬送されるものとし、反射型光学センサ29は、主走査方向において、所定のノズル(例えばブラックノズル#180)の横側に配置されているものとする。
【0057】
先ず、電源が投入されると、システムコントローラ54は、メインメモリ56から読み出された初期化プログラムデータの解読結果に従って、主走査駆動回路61、副走査駆動回路62、ヘッド駆動回路63に初期化のための制御信号を供給する。これにより、キャリッジ28は、CRモータ30の駆動力が伝達されて予め定められた初期位置で停止する。すなわち、印刷ヘッド36も、同じ初期位置で停止する(図11(a)及び図12(a)参照)。
【0058】
印刷ヘッド36が初期位置で停止している状態において、アプリケーションプログラム95がユーザから所定画像を縁なし印刷するための指示を受け取ると、アプリケーションプログラム95では、所定画像を縁なし印刷するための印刷命令を出力してビデオドライバ91及びプリンタドライバ96を制御する。これにより、プリンタドライバ96は、アプリケーションプログラム95からユーザが指示する画像データを受け取り、印刷データPD及び各種コマンドCOMの形でカラーインクジェットプリンタ20に供給する。カラーインクジェットプリンタ20では、印刷データPD及び各種コマンドCOMに応じて、主走査駆動回路61、副走査駆動回路62、ヘッド駆動回路63、反射型光学センサ制御回路65に縁なし印刷するための制御信号を供給し、以下のシーケンスを実行することになる(S2)。
【0059】
副走査駆動回路62では、副走査方向において印刷用紙Pが反射型光学センサ29の停止位置の手前で停止するようにPFモータ31を駆動する。これにより、印刷用紙Pは、反射型光学センサ29から照射を受けない位置で停止する(図11(a)及び図12(a)参照)。なお、PFモータ31の回転量は、副走査方向における印刷用紙Pの上端の傾きが最大である場合を想定しても、印刷用紙Pが反射型光学センサ29から照射を受けることのない回転量であるものとする(S4)。
【0060】
反射型光学センサ制御回路65では、反射型光学センサ29を動作状態とする。すなわち、発光部材38が光を発し、受光部材40が発光部材38からの光を受光して電気信号に変換する動作状態とする(S6)。
【0061】
システムコントローラ54では、ステップS4において印刷用紙Pが反射型光学センサ29の手前で停止しているときの上端の位置を確定するために、印刷用紙Pが副走査方向へ搬送される際の上端の位置情報PFを『0』としてRAM57に書き込み、また、印刷用紙Pが副走査方向とは反対方向へ搬送される際の上端の位置情報BFを『0』としてRAM57の別アドレスに書き込む(S7)。
【0062】
主走査駆動回路61では、主走査方向において印刷ヘッド36が印刷用紙Pの左端側の所定位置で停止するようにCRモータ30を駆動する。これにより、印刷ヘッド36は、初期位置から印刷用紙Pの左端の所定位置まで移動して停止する(図11(b)及び図12(b)参照)。なお、印刷用紙Pの左端の所定位置とは、印刷用紙Pの左端より僅かに右側の位置である(S8)。
【0063】
反射型光学センサ制御回路65が有する電気信号測定部66では、印刷ヘッド36が印刷用紙Pの左端の所定位置で停止しているときの、受光部材40から得られる電気信号の大きさを測定する。電気信号測定部66による測定結果は、システムコントローラ54に供給される。なお、電気信号測定部66による測定結果は、通常の測定精度において、プラテン26を照射する電気信号の大きさのときは論理値"H"となり、印刷用紙Pを照射する電気信号の大きさのときは論理値"L"となるように、電気信号測定部66内部の論理が組まれているものとする(S10)。
【0064】
電気信号測定部66による測定結果が論理値"L"であるとき(S10:NO)、システムコントローラ54では、副走査方向における印刷用紙Pの左上端が右上端より先行した状態で、印刷用紙Pを照射しているものと判別し、PFモータ31をステップ駆動するための制御信号を副走査駆動回路62に供給する。
【0065】
副走査駆動回路62では、印刷用紙Pが副走査方向とは反対方向へ所定量単位で搬送されるようにPFモータ31を駆動する。なお、このときの所定量とは、副走査方向における最小ドットピッチの整数倍n(nは1以上の整数)であるものとする。例えば、解像度が1440dpiであるとき、所定量はn/1440インチとなる。これにより、印刷用紙Pは、副走査方向とは反対方向へ所定量だけ搬送される(S14)。
【0066】
システムコントローラ54では、印刷用紙Pが副走査方向とは反対方向へ所定量(例えばn/1440インチとする)だけ搬送されたことに基づいて、印刷用紙Pの上端の位置情報BFを『0−n/1440』=『−n/1440』としてRAM57に書き込む。つまり、印刷用紙Pは、理論上、ステップS4の停止位置からn/1440インチ単位で副走査方向とは反対方向へ順次搬送されることになる(S16)。
【0067】
ステップS14、S16で印刷用紙Pが副走査方向とは反対方向へ搬送されると、反射型光学センサ制御回路65が有する電気信号測定部66では、印刷ヘッド36が印刷用紙Pの左端の所定位置で停止しているときの、受光部材40から得られる電気信号の大きさを再度測定する。このときの電気信号測定部66による測定結果が論理値"L"であるとき、システムコントローラ54では、RAM57における印刷用紙Pの上端の位置情報BFが『−m/1440』に達しているかどうかを判別する(S12)。
【0068】
RAM57における印刷用紙Pの上端の位置情報BFが『−m/1440』(m>n)に達していないとき(S12:NO)、ステップS14以降を再度実行するが、RAM57における印刷用紙Pの上端の位置情報BFが『−m/1440』に達しているとき(S12:YES)、システムコントローラ54では、印刷用紙PがステップS4の停止位置からm/1440インチだけ副走査方向とは反対方向へ搬送されているはずであるにも関わらず、印刷用紙Pが照射されているということは、印刷用紙Pの搬送機構が故障して紙づまり等を生じているものと判別する。これにより、反射型光学センサ制御回路65では、反射型光学センサ29を発光及び受光を行わない停止状態とする(S18)。更に、システムコントローラ54では、印刷用紙Pの搬送機構が故障していることをユーザに告知するためのエラー信号を、カラーインクジェットプリンタ20が有する不図示の表示器、スピーカ等に供給して、一連の処理を終了する(S20)。
【0069】
ステップS10において、電気信号測定部66による測定結果が論理値"H"であるとき(S10:YES)、システムコントローラ54では、プラテン26上を照射しているものと判別する。このとき、ステップS14、S16を実行してRAM57における印刷用紙Pの上端の位置情報BFを書き換えている場合のみ『0』を再度書き込む(S22)。
【0070】
更に、システムコントローラ54では、PFモータ31をステップ駆動するための制御信号を副走査駆動回路62に供給する。副走査駆動回路62では、印刷用紙Pが副走査方向へ所定量単位で搬送されるようにPFモータ31を駆動する。なお、このときの所定量とは、副走査方向における最小ドットピッチであるものとする。例えば、解像度が1440dpiであるとき、所定量は1/1440インチ(約17.65μm)となる。これにより、印刷用紙Pは、副走査方向へ所定量だけ搬送される(S24)。
【0071】
システムコントローラ54では、印刷用紙Pが副走査方向へ所定量(例えば1/1440インチとする)だけ搬送されたことに基づいて、印刷用紙Pの上端の位置情報PFを『0+1/1440』=『1/1440』としてRAM57に書き込む。つまり、印刷用紙Pは、理論上、ステップS10の停止位置から1/1440インチ単位で副走査方向へ順次搬送されることになる(S26)。
【0072】
反射型光学センサ制御回路65が有する電気信号測定部66では、印刷ヘッド36が印刷用紙Pの左端の所定位置で停止しているときの、受光部材40から得られる電気信号の大きさを再度測定する。電気信号測定部66による測定結果は、システムコントローラ54に供給される(S28)。
【0073】
電気信号測定部66による測定結果が論理値"H"であるとき(S28:NO)、システムコントローラ54では、印刷用紙Pを照射していないものとして、RAM57における印刷用紙Pの上端の位置情報PFが『s/1440』(s>1)に達しているかどうかを判別する(S30)。
【0074】
RAM57における印刷用紙Pの上端の位置情報PFが『s/1440』に達していないとき(S30:NO)、ステップS24以降を再度実行するが、RAM57における印刷用紙Pの上端の位置情報PFが『s/1440』に達しているとき(S30:YES)、システムコントローラ54では、印刷用紙PがステップS10の停止位置からs/1440インチだけ副走査方向へ搬送されているはずであるにも関わらず、プラテン26が照射されているということは、発光部材38の発光量が適正量でなくなっているか、或いは、印刷用紙Pの搬送機構が故障して印刷用紙Pが副走査方向へ搬送されなくなっているものと判別する。これにより、反射型光学センサ制御回路65では、反射型光学センサ29を発光及び受光を行わない停止状態とする(S32)。更に、システムコントローラ54では、発光部材38の発光量が適正量でなくなっているか、或いは、印刷用紙Pの搬送機構が故障していることをユーザに告知するためのエラー信号を、カラーインクジェットプリンタ20が有する不図示の表示器、スピーカ等に供給して、一連の処理を終了する(S34)。
【0075】
ステップS28において、電気信号測定部66による測定結果が論理値"L"であるとき(S28:YES)、システムコントローラ54では、副走査方向における印刷用紙Pの左上端が照射されたものと判別する。このとき、システムコントローラ54では、ステップS10を否定する処理を実行している場合は、副走査方向における印刷用紙Pの左上端が右上端よりも先行しているものと判別し(図11(c)参照)、ステップS10を一度も否定せずに肯定する処理を実行している場合は、副走査方向における印刷用紙Pの右上端が左上端より先行しているものと判別する(図12(c)参照)。また、印刷用紙Pの上端の位置情報PFとして『0』をRAM57に書き込む(S36)。
【0076】
システムコントローラ54では、CRモータ30を駆動するための制御信号を主走査駆動回路61に供給する。また、システムコントローラ54では、電気信号測定部66が印刷用紙Pへの照射を検知しにくくなるような制御信号を反射型光学センサ制御回路65に供給する。なお、電気信号測定部66が印刷用紙Pへの照射を検知しにくくなるような手法としては、発光部材38の発光量を低下させる、受光部材40の受光感度を低下させる、電気信号測定部66が印刷用紙Pへの照射を判定するための閾値を変更させる等の手法が考えられる。しかしながら、電気信号測定部66が結果として印刷用紙Pへの照射を検知しにくくなるのであれば、上記以外の如何なる手法を採用してもよい。例えば、上記の受光感度も閾値もそのままで、印刷用紙Pを副走査方向とは反対方向へ所定量(例えば距離h)搬送させる手法を採用してもよい。これにより、印刷ヘッド36は、キャリッジ28の移動に伴って、主走査方向において印刷用紙Pの左端の所定位置から右端の所定位置へ向けて移動を開始する(図11(d)及び図12(d)参照)。なお、印刷用紙Pの右端の所定位置とは、印刷用紙Pの右端より僅かに左側の位置である。同時に、電気信号測定部66は、印刷用紙Pへの照射を検知しにくい状態で、受光部材40から得られる電気信号の大きさの測定を開始する(S38)。そして、電気信号測定部66による測定結果は、システムコントローラ54に供給される(S40)。
【0077】
詳述すると、電気信号測定部66が印刷用紙Pへの照射を検知しにくくなるということは、電気信号測定部66が印刷用紙Pへの照射を検知しにくくなる度合いに応じて、印刷ヘッド36は副走査方向へ見かけ上移動した状態で、主走査方向において印刷用紙Pの左側の所定位置から右側の所定位置へ向けて移動を開始することと等価となる。
【0078】
例えば、ステップ38において、副走査方向における印刷用紙Pの右上端が左上端より距離h1(<距離h)だけ先行しているとき、印刷ヘッド36が主走査方向において左側の所定位置から右側の所定位置まで移動しても、電気信号測定部66は論理値"H"を出力し、印刷用紙Pへの照射を検出することはない。つまり、システムコントローラ54では、副走査方向における印刷用紙Pの右上端が左上端より先行する距離h1は小さくて縁なし印刷に影響を与えないものとして、副走査方向における印刷用紙Pの左上端が右上端より先行している場合と同様の処理を実行することになる(図13(a)参照)。
【0079】
一方、ステップ38において、副走査方向における印刷用紙Pの右上端が左上端より距離h2(>距離h)だけ先行しているとき、印刷ヘッド36が主走査方向において印刷用紙Pの左側の所定位置から右側の所定位置まで移動したときの途中のポイントで、電気信号測定部66は論理値"L"を出力し、印刷用紙Pへの照射を検出することになる。つまり、システムコントローラ54では、副走査方向における印刷用紙Pの右上端が左上端より先行する距離h2は大きくて縁なし印刷に影響を与えるものとして、副走査方向における印刷用紙Pの左上端が右上端より先行している場合と異なる処理を実行することになる(図13(b)参照)。
【0080】
システムコントローラ54では、電気信号測定部66による測定結果が論理値"H"であるとき(S40:YES)、印刷ヘッド36が主走査方向において印刷用紙Pの左側の所定位置から右側の所定位置へ移動するまで、ステップS40の判断を継続する(S42)。
【0081】
電気信号測定部66による測定結果が印刷用紙Pの左側の所定位置から右側の所定位置まで論理値"H"であったとき(S42:YES)、システムコントローラ54では、印刷用紙Pの搬送状態について、副走査方向における印刷用紙Pの左上端が右上端より先行しているか、副走査方向における印刷用紙Pの右上端が左上端より距離h1だけ先行しているか、どちらかであるものと判別する。そして、主走査駆動回路61では、印刷ヘッド36が印刷用紙Pの右側の所定位置から左側の所定位置まで移動するようにCRモータ30を駆動する(図11(e)及び図12(e)参照)。これにより、印刷ヘッド36は、印刷用紙Pの左側の所定位置で停止する(S44)。
反射型光学センサ制御回路65では、反射型光学センサ29を発光及び受光を行わない停止状態とする(S46)。
【0082】
システムコントローラ54では、PFモータ31を駆動するための制御信号を副走査駆動回路62に供給する。副走査駆動回路62では、印刷用紙Pの左上端が印刷ヘッド36の先頭位置(ブラックノズル#1及びイエローノズル#1の位置)となるようにPFモータ31を駆動する。これにより、印刷用紙Pは、印刷ヘッド36を構成するブラックノズル列Kの#1〜#180の距離x(=179kD)だけ副走査方向へ搬送され、印刷用紙Pの左上端が主走査方向における印刷ヘッド36の先頭位置と同一線上に位置することになる。つまり、副走査方向における印刷用紙Pの印刷開始位置が決定する(図11(f)及び図12(f)参照)。そして、ユーザが指定する所定画像の縁なし印刷が実行される。なお、距離xを短くして、印刷用紙Pの左上端の上側にもインクを吐出させて縁なし印刷を確実に行うようにしてもよい(S48)。なお、上記のステップS44を省略し、主走査方向における最初の印刷のみ、印刷ヘッド36を印刷用紙Pの右側から左側へ移動させて行うこととしてもよい。また、図11(f)および図12(f)における印刷用紙Pの搬送距離はxに限定されるものではない。例えば、印刷用紙Pは、各種印刷モードに応じて、印刷用紙Pの左上端がブラックノズル列#1〜#180の何れかの位置となるように搬送されることとしてもよい。
【0083】
ところで、印刷ヘッド36が主走査方向において印刷用紙Pの左側の所定位置から右側の所定位置まで移動したときの途中のポイントで、電気信号測定部66による測定結果が論理値"L"となったとき(S40:NO)、システムコントローラ54では、印刷用紙Pの搬送状態について、副走査方向における印刷用紙Pの右上端が左上端より距離h2(>距離h)だけ先行しているものと判別する。つまり、縁なし印刷に影響を与えるものと判別する。このとき、主走査駆動回路61では、印刷ヘッド36が印刷用紙Pの左側の所定位置まで戻るようにCRモータ30を駆動する。これにより、印刷ヘッド36は、主走査方向において印刷用紙Pの左側の所定位置から右側の所定位置まで移動した際の上記途中のポイントから左側の所定位置まで移動して停止する。なお、印刷ヘッド36は、上記途中のポイントから左側の所定位置へ移動せず、印刷用紙Pの右測端を見極めることとしてもよい。
【0084】
システムコントローラ54では、CRモータ30を駆動するための制御信号を主走査駆動回路61に供給する。また、システムコントローラ54では、電気信号測定部66が印刷用紙Pへの照射を通常の測定精度で検知するための制御信号を反射型光学センサ制御回路65に供給する。これにより、印刷ヘッド36は、キャリッジ28の移動に伴って、主走査方向において印刷用紙Pの左側の所定位置から右側の所定位置へ向かって移動を開始する(図14(f)参照)。同時に、電気信号測定部66は、通常の測定精度で、受光部材40から得られる電気信号の大きさの測定を開始する。そして、電気信号測定部66による測定結果は、システムコントローラ54に供給される(S102)。
【0085】
電気信号測定部66による測定結果が論理値"L"であるとき(S104:NO)、システムコントローラ54では、印刷用紙Pが照射されているものと判別する。更に、システムコントローラ54では、印刷ヘッド36が印刷用紙Pの右側の所定位置まで移動していないものと判別すると(S106:NO)、ステップ102及びステップS104を再度実行する。つまり、システムコントローラ54では、電気信号測定部66による測定結果が論理値"L"から論理値"H"へ変化したとき、キャリッジ28の移動に伴って印刷用紙Pが照射される状態からプラテン26が照射される状態へ変化したものとして、印刷ヘッド36が印刷用紙Pの右測端に位置しているものと判別する(図15参照)。
【0086】
電気信号測定部66による測定結果が論理値"H"であるとき(S104:YES)、または、印刷ヘッド36が印刷用紙Pの右側の所定位置まで移動したものと判別すると(S106:YES)、主走査駆動回路61では、CRモータ30の駆動を停止する。これにより、印刷ヘッド36は、ステップS104またはステップS106を肯定した位置において停止する(S108)。
【0087】
主走査駆動回路61では、主走査方向において印刷ヘッド36がステップS104またはステップS106を肯定した停止位置から距離u1だけ左側へ移動するようにCRモータ30を駆動する。なお、距離u1とは、副走査方向における印刷用紙Pの右上端が左上端より最大限先行している場合の、主走査方向における印刷用紙Pの右上端と反射型光学センサ29との距離u2より長い距離であるものとする。これにより、印刷ヘッド36は、主走査方向において反射型光学センサ29が印刷用紙Pの右上端より左側となる位置まで移動して停止する(図14(g)及び図15参照)。つまり、その後、印刷用紙Pの上端を検知することが可能となる(S110)。
【0088】
システムコントローラ54では、反射型光学センサ29が印刷用紙Pを照射しているものと判別しているので、PFモータ31を駆動するための制御信号を副走査駆動回路62に供給する。副走査駆動回路62では、印刷用紙Pが副走査方向とは反対方向へ所定量単位で搬送されるようにPFモータ31を駆動する。なお、このときの所定量とは、副走査方向における最小ドットピッチの整数倍n(nは1以上の整数)であるものとする。例えば、解像度が1440dpiであるとき、所定量はn/1440インチとなる。これにより、印刷用紙Pは、副走査方向とは反対方向へ所定量だけ搬送される(S112)。
【0089】
システムコントローラ54では、印刷用紙Pが副走査方向とは反対方向へ所定量(例えばn/1440インチとする)だけ搬送されたことに基づいて、印刷用紙Pの上端の位置情報BFを『0−n/1440』=『−n/1440』としてRAM57に書き込む。つまり、印刷用紙Pは、理論上、ステップS110の停止位置からn/1440インチ単位で副走査方向とは反対方向へ順次搬送されることになる(S114)。
【0090】
ステップS112、S114で印刷用紙Pが副走査方向とは反対方向へ搬送されると、反射型光学センサ制御回路65が有する電気信号測定部66では、印刷ヘッド36がステップS110の停止位置で停止しているときの、受光部材40から得られる電気信号の大きさを測定する(S116)。このときの電気信号測定部66による測定結果が論理値"L"であるとき(S116:NO)、システムコントローラ54では、RAM57における印刷用紙Pの上端の位置情報BFが『−m/1440』に達しているかどうかを判別する(S118)。
【0091】
RAM57における印刷用紙Pの上端の位置情報BFが『−m/1440』(m>n)に達していないとき(S118:NO)、ステップS112以降を再度実行するが、RAM57における印刷用紙Pの上端の位置情報BFが『−m/1440』に達しているとき(S118:YES)、システムコントローラ54では、印刷用紙PがステップS110の停止位置からm/1440インチだけ副走査方向とは反対方向へ搬送されているはずであるにも関わらず、印刷用紙Pが照射されているということは、印刷用紙Pの搬送機構が故障して紙づまり等を生じているものと判別する。これにより、反射型光学センサ制御回路65では、反射型光学センサ29を発光及び受光を行わない停止状態とする(S120)。更に、システムコントローラ54では、印刷用紙Pの搬送機構が故障していることをユーザに告知するためのエラー信号を、カラーインクジェットプリンタ20が有する不図示の表示器、スピーカ等に供給して、一連の処理を終了する(S122)。
【0092】
ステップS116において、電気信号測定部66による測定結果が論理値"H"であるとき(S116:YES)、システムコントローラ54では、反射型光学センサ29がプラテン26上を照射しているものと判別する(図14(h)参照)。
【0093】
更に、システムコントローラ54では、PFモータ31をステップ駆動するための制御信号を副走査駆動回路62に供給する。副走査駆動回路62では、印刷用紙Pが副走査方向へ所定量単位で搬送されるようにPFモータ31を駆動する。なお、このときの所定量とは、副走査方向における最小ドットピッチであるものとする。例えば、解像度が1440dpiであるとき、所定量は1/1440インチ(約17.65μm)となる。これにより、印刷用紙Pは、副走査方向へ所定量だけ搬送される(S124)。
【0094】
システムコントローラ54では、印刷用紙Pが副走査方向へ所定量(例えば1/1440インチとする)だけ搬送されたことに基づいて、印刷用紙Pの上端の位置情報PFを『0+1/1440』=『1/1440』としてRAM57に書き込む。つまり、印刷用紙Pは、理論上、ステップS116を肯定する停止位置から1/1440インチ単位で副走査方向へ順次搬送されることになる(S126)。
【0095】
反射型光学センサ制御回路65が有する電気信号測定部66では、印刷ヘッド36がステップS110の所定位置で停止しているときの、受光部材40から得られる電気信号の大きさを再度測定する。電気信号測定部66による測定結果は、システムコントローラ54に供給される(S128)。
【0096】
電気信号測定部66による測定結果が論理値"H"であるとき(S128:NO)、システムコントローラ54では、印刷用紙Pを照射していないものとして、RAM57における印刷用紙Pの上端の位置情報PFが『s/1440』(s>1)に達しているかどうかを判別する(S130)。
【0097】
RAM57における印刷用紙Pの上端の位置情報PFが『s/1440』に達していないとき(S130:NO)、ステップS124以降を再度実行するが、RAM57における印刷用紙Pの上端の位置情報PFが『s/1440』に達しているとき(S130:YES)、システムコントローラ54では、印刷用紙PがステップS116を肯定した停止位置からs/1440インチだけ副走査方向へ搬送されているはずであるにも関わらず、プラテン26が照射されているということは、発光部材38の発光量が適正量でなくなっているか、或いは、印刷用紙Pの搬送機構が故障して印刷用紙Pが副走査方向へ搬送されなくなっているものと判別する。これにより、反射型光学センサ制御回路65では、反射型光学センサ29を発光及び受光を行わない停止状態とする(S132)。更に、システムコントローラ54では、発光部材38の発光量が適正量でなくなっているか、或いは、印刷用紙Pの搬送機構が故障していることをユーザに告知するためのエラー信号を、カラーインクジェットプリンタ20が有する不図示の表示器、スピーカ等に供給して、一連の処理を終了する(S134)。
【0098】
ステップ128において、電気信号測定部66による測定結果が論理値"L"であるとき(S128:YES)、システムコントローラ54では、副走査方向における印刷用紙Pの右上端が照射されているものと判別する(図14(i)参照)。
【0099】
システムコントローラ54では、CRモータ30を駆動するための制御信号を主走査駆動回路61に供給する。これにより、印刷ヘッド36は、主走査方向において、ステップS110の停止位置から印刷用紙Pの左側の所定位置まで移動し、その後、印刷用紙Pの左側の所定位置から右側の所定位置まで移動して停止する(図14(j)(k)参照)。つまり、主走査方向における印刷ヘッド36の印刷開始位置が決定する(S136、S138)。なお、印刷ヘッド36は、右側の所定位置に戻らなくてもよい。
【0100】
主走査駆動回路61では、CRモータ30の駆動を停止する(S140)。更に、反射型光学センサ制御回路65では、反射型光学センサ29を発光及び受光を行わない停止状態とする(S142)。
【0101】
システムコントローラ54では、PFモータ31を駆動するための制御信号を副走査駆動回路62に供給する。副走査駆動回路62では、印刷用紙Pの右上端が印刷ヘッド36の先頭位置(ブラックノズル#1及びイエローノズル#1の位置)となるようにPFモータ31を駆動する。これにより、印刷用紙Pは、印刷ヘッド36を構成するブラックノズル列Kの#1〜#180の距離x(=179kD)だけ副走査方向へ搬送され、印刷用紙Pの右上端が主走査方向における印刷ヘッド36の先頭位置と同一線上に位置することになる。つまり、副走査方向における印刷用紙Pの印刷開始位置が決定する(図14(l)参照)。そして、ユーザが指定する所定画像の縁なし印刷が実行される。なお、距離xを短くして、印刷用紙Pの左上端の上側からインクを吐出させて縁なし印刷を確実に行うようにしてもよい(S144)。なお、図14(l)における印刷用紙Pの搬送距離はxに限定されるものではない。例えば、印刷用紙Pは、各種印刷モードに応じて、印刷用紙Pの右上端がブラックノズル列#1〜#180の何れかの位置となるように搬送されることとしてもよい。
【0102】
ところで、印刷用紙Pを印刷ヘッド36の主走査方向と交差する副走査方向へ搬送する印刷装置において、印刷用紙Pの右上端と左上端のどちらか一方が先行して搬送された場合、印刷用紙P上における実際の印刷開始位置が本来の印刷開始位置からずれてしまうことになり好ましくない。特に、縁なし印刷を行う場合には、印刷用紙Pの搬送方向における傾きに起因して印刷用紙Pの上端に余白ができてしまうと、印刷用紙Pを無駄にしてしまう問題を生じる可能性がある。一方で、縁なし印刷を行う場合に、印刷用紙Pの全体を覆うように印刷領域のマージンを拡大すると、印刷用紙Pの上端に余白ができにくくなるものの、インクの消費量が増大してしまう問題を生じる可能性がある。
【0103】
そこで、印刷用紙Pの右上端と左上端のうち反射型光学センサ29の位置している側の上端が検知位置において先行しているときには、印刷用紙Pを前記検知位置からそのまま所定方向へ所定量だけ搬送させることとした。一方、印刷用紙Pの右上端または左上端のうち反射型光学センサ29の位置している側とは反対側の上端が前記検知位置において一定量以上先行しているときに限り、反射型光学センサ29を一端側から他端側へ位置させ、印刷用紙Pを前記検知位置から所定方向とは反対方向へ搬送させた後に、電気信号測定部66が印刷用紙Pを検知する検知位置まで印刷用紙Pを所定方向へ搬送させ、更に印刷用紙Pをこの検知位置から所定方向へ所定量だけ搬送させることとした。これにより、印刷用紙Pの所定方向における印刷開始位置を高精度で且つ効率的に決定することが可能となり、縁なし印刷を行う場合に印刷用紙Pの上端に余白ができたりインクの消費量が増大したりすることがなくなる。
【0104】
また、印刷用紙Pの右上端と左上端のうち反射型光学センサ29の位置している側とは反対側の上端が、前記検知位置において前記一定量未満先行しているとき、印刷用紙Pを前記検知位置から前記所定方向へ前記所定量だけ搬送させることとしてもよい。
これにより、印刷用紙Pの右上端または左上端のうち反射型光学センサ29の位置している側とは反対側の上端が前記検知位置において一定量未満先行しているだけの場合には、印刷用紙Pを前記検知位置からそのまま所定方向へ所定量だけ搬送させることとしたので、印刷用紙Pの所定方向における印刷開始位置を高精度で且つ効率的に決定することが可能となる。
【0105】
また、印刷用紙Pの搬送方向と交差する主走査方向へ移動してインクを吐出することによって印刷用紙Pに印刷を行うための印刷ヘッド36を、備えたこととしてもよい。
これにより、印刷用紙Pの搬送方向と交差する主走査方向へ移動可能な印刷ヘッド36を有している場合に、印刷用紙36の所定方向における印刷開始位置を高精度で且つ効率的に決定することができる。
【0106】
また、反射型光学センサ29は、前記主走査方向へ移動するためのキャリッジ28に印刷ヘッド36とともに設けられていることとしてもよい。
これにより、キャリッジ28に印刷ヘッド36とともに設けられている反射型光学センサ29を用いて、印刷用紙Pの所定方向における印刷開始位置を高精度で且つ効率的に決定することができる。
【0107】
また、移動方向の一端側に位置している反射型光学センサ29が印刷用紙Pを検知する検知位置まで印刷用紙Pを前記所定方向へ搬送させた後、反射型光学センサ29を前記移動方向の一端側から他端側へ移動させて印刷用紙Pの有無を検知することによって、印刷用紙Pの右上端と左上端のどちらの上端が前記検知位置において先行しているのかを求めることとしてもよい。
これにより、移動方向の一端側に位置している反射型光学センサ29が印刷用紙Pを検知する検知位置まで印刷用紙Pを所定方向へ搬送させた後、移動方向の一端側から他端側へ移動して印刷用紙Pの有無を検知する反射型光学センサ29を用いて、印刷用紙Pの所定方向における印刷開始位置を高精度で且つ効率的に決定することができる。
【0108】
また、反射型光学センサ29を前記移動方向の一端側から他端側へ移動させるとき、反射型光学センサ29が印刷用紙Pを検知しにくくすることとしてもよい。
これにより、反射型光学センサ29が印刷用紙Pを検知しにくくすることによって、印刷用紙Pの右上端と左上端のうち反射型光学センサ29の位置している側と反対側の上端が一定量未満だけ先行している場合に、印刷用紙Pを所定方向とは反対方向へ搬送しないようにしたので、印刷用紙Pの所定方向における印刷開始位置をより効率的に決定することができる。
【0109】
また、反射型光学センサ29を前記移動方向の一端側から他端側へ移動させる過程で、反射型光学センサ29が印刷用紙Pを検知しないとき、印刷用紙Pの右上端と左上端のうち反射型光学センサ29の前記移動方向における一端側の上端が前記検知位置において先行しているか、または、印刷用紙Pの右上端と左上端のうち反射型光学センサ29の前記移動方向における他端側の上端が一定量未満先行していることとし、反射型光学センサ29が印刷用紙Pを検知したとき、印刷用紙Pの右上端と左上端のうち反射型光学センサ29の前記移動方向における他端側の上端が一定量以上先行していることとしてもよい。
これにより、反射型光学センサ29が印刷用紙Pを検知しないとき、印刷用紙Pの右上端と左上端のうち反射型光学センサ29の移動方向における一端側の上端が検知位置において先行しているか、または、印刷用紙Pの右上端と左上端のうち反射型光学センサ29の移動方向における他端側の上端が一定量未満しか先行していないことになるので、印刷用紙Pを所定方向とは反対方向へ搬送しないようにして、印刷用紙Pの所定方向における印刷開始位置をより効率的に決定することができる。
【0110】
また、反射型光学センサ29は、光を発するための発光部材38と、発光部材38が発する光を受光するための受光部材40とを有し、受光部材40の出力値に基づいて印刷用紙Pを検知することとしてもよい。
これにより、発光部材38及び受光部材40を有する反射型光学センサ29を用いて、印刷用紙Pの所定方向における印刷開始位置を高精度で且つ効率的に決定することができる。
【0111】
また、印刷ヘッド36は、印刷用紙Pの全表面を対象として印刷を行うこととしてもよい。
これにより、被印刷体の全表面に印刷を行う場合に、被印刷体の所定方向における印刷開始位置を高精度で且つ効率的に決定することができる。
【0112】
===その他の実施の形態===
以上、一実施形態に基づき本発明に係る印刷装置、印刷方法、プログラム、及びコンピュータシステムについて説明したが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
【0113】
カラーインクジェットプリンタ20の初期状態において、反射型光学センサ29を移動方向の一端側へ位置させることとしてもよい。これにより、副走査方向における印刷用紙Pの印刷開始位置を決定する際の動作を簡略化することが可能となる。また、反射型光学センサ29が主走査方向を移動しながら印刷用紙Pが副走査方向を搬送されるようにし、印刷用紙Pの上端を検知することとしてもよい。
【0114】
上記の実施形態において、被印刷体として印刷用紙Pを適用しているが、これに限定されるものではない。つまり、本発明では、被印刷体としてフィルム、布、金属薄板等を適用することも可能である。
【0115】
また、カラーインクジェットプリンタ20に対して、コンピュータ本体、表示装置、入力装置、フレキシブルディスクドライブ装置、及びCD−ROMドライブ装置がそれぞれ有する機能または機構の一部を持たせてもよい。例えば、カラーインクジェットプリンタ20が、画像処理を行う画像処理部、各種の表示を行う表示部、及びデジタルカメラ等により撮影された画像データを記録した記録メディアを着脱するための記録メディア着脱部を備える構成としてもよい。
【0116】
上記の実施形態において、カラーインクジェットプリンタ20を適用しているが、これに限定されるものではない。つまり、本発明は、モノクロインクジェットプリンタ、インクジェット方式以外のプリンタ等に適用することも可能である。更に、本発明は、ファクシミリ装置、複写機等の印刷装置に適用することも可能である。
【0117】
上記の実施形態において、発光部材38及び受光部材40は、キャリッジ28に印刷ヘッド36と共に設けられているが、これに限定されるものではない。つまり、発光部材38及び受光部材40とキャリッジ28とを別体として主走査方向へ同期して移動可能な構成としてもよい。また、発光部材38及び受光部材40は、反射型光学センサに限定されることなく、被印刷体が光路に介在するような透過型光学センサ、ラインセンサ、エリアセンサ等であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明によれば、被印刷体の所定方向における印刷開始位置を高精度で且つ効率的に決定することが可能となる。
【符号の説明】
【0119】
11 リニア式エンコーダ 12 リニアスケール
13 ロータリー式エンコーダ 14 検出部
20 カラーインクジェットプリンタ 21 CRT
22 用紙スタッカ 24 紙送りローラ
25 プーリ 26 プラテン
28 キャリッジ 29 反射型光学センサ
30 キャリッジモータ 31 紙送りモータ
32 牽引ベルト 34 ガイドレール
36 印刷ヘッド 38 発光部材
40 受光部材 50 バッファメモリ
52 イメージバッファ 54 システムコントローラ
56 メインメモリ 57 RAM
58 EEPROM 61 主走査駆動回路
62 副走査駆動回路 63 ヘッド駆動回路
65 反射型光学センサ制御回路 66 電気信号測定部
90 コンピュータ 91 ビデオドライバ
95 アプリケーションプログラム 96 プリンタドライバ
97 解像度変換モジュール 98 色変換モジュール
99 ハーフトーンモジュール 100 ラスタライザ
101 ユーザインターフェース表示モジュール
102 UIプリンタインターフェースモジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被印刷体を検知するための移動可能な検知手段と、被印刷体を前記検知手段の移動方向と交差する方向へ搬送するための搬送手段と、を備えた印刷装置であって、
前記検知手段を前記移動方向の一端側へ位置させ、
前記検知手段が前記被印刷体を検知する検知位置まで前記被印刷体を所定方向へ前記搬送手段によって搬送させ、
前記被印刷体の右上端と左上端のうち前記検知手段の位置している側とは反対側の上端が、前記検知位置において一定量以上先行しているとき、前記検知手段を前記移動方向の一端側とは反対の他端側へ位置させ、前記被印刷体を前記検知位置から前記所定方向とは反対方向へ前記搬送手段によって搬送させた後に、前記検知手段が前記被印刷体を検知する検知位置まで前記被印刷体を前記所定方向へ搬送させ、更に前記被印刷体を前記検知位置から前記所定方向へ所定量だけ搬送させる、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷装置において、
前記被印刷体の右上端と左上端のうち前記検知手段の位置している側の上端が、前記検知位置において先行しているとき、前記被印刷体を前記検知位置から前記所定方向へ前記所定量だけ前記搬送手段によって搬送させる。
【請求項3】
請求項2に記載の印刷装置において、
前記被印刷体の右上端と左上端のうち前記検知手段の位置している側とは反対側の上端が、前記検知位置において前記一定量未満先行しているとき、前記被印刷体を前記検知位置から前記所定方向へ前記所定量だけ前記搬送手段によって搬送させる。
【請求項4】
請求項1に記載の印刷装置において、
前記被印刷体の搬送方向と交差する主走査方向へ移動してインクを吐出することによって前記被印刷体に印刷を行うための印刷ヘッドを、備えている。
【請求項5】
請求項4に記載の印刷装置において、
前記検知手段は、前記主走査方向へ移動するための移動部材に前記印刷ヘッドとともに設けられている。
【請求項6】
請求項1に記載の印刷装置において、
前記移動方向の一端側に位置している前記検知手段が前記被印刷体を検知する検知位置まで前記被印刷体を前記所定方向へ搬送させた後、前記検知手段を前記移動方向の一端側から他端側へ移動させて前記被印刷体の有無を検知することによって、前記被印刷体の右上端と左上端のどちらの上端が前記検知位置において先行しているのかを求めることを特徴とする印刷装置。
【請求項7】
請求項6記載の印刷装置において、
前記検知手段を前記移動方向の一端側から他端側へ移動させるとき、前記検知手段が前記被印刷体を検知しにくくする。
【請求項8】
請求項7記載の印刷装置において、
前記検知手段を前記移動方向の一端側から他端側へ移動させる過程で、前記検知手段が前記被印刷体を検知しないとき、前記被印刷体の右上端と左上端のうち前記検知手段の前記移動方向における一端側の上端が前記検知位置において先行しているか、または、前記被印刷体の右上端と左上端のうち前記検知手段の前記移動方向における他端側の上端が一定量未満先行していることとし、前記検知手段が前記被印刷体を検知したとき、前記被印刷体の右上端と左上端のうち前記検知手段の前記移動方向における他端側の上端が一定量以上先行していることとする。
【請求項9】
請求項1に記載の印刷装置において、
前記検知手段は、光を発するための発光部材と、前記発光部材が発する光を受光するための受光部材とを有し、前記受光部材の出力値に基づいて前記被印刷体を検知する。
【請求項10】
請求項3に記載の印刷装置において、
前記印刷ヘッドは、前記被印刷体の全表面を対象として印刷を行う。
【請求項11】
被印刷体を検知するための移動可能な検知手段と、被印刷体を前記検知手段の移動方向と交差する方向へ搬送するための搬送手段と、を備えた印刷装置であって、
前記検知手段を前記移動方向の一端側へ位置させ、
前記検知手段が前記被印刷体を検知する検知位置まで前記被印刷体を所定方向へ前記搬送手段によって搬送させ、
前記被印刷体の右上端と左上端のうち前記検知手段の位置している側の上端が、前記検知位置において先行しているとき、前記被印刷体を前記検知位置から前記所定方向へ所定量だけ前記搬送手段によって搬送させ、
前記被印刷体の右上端と左上端のうち前記検知手段の位置している側とは反対側の上端が、前記検知位置において一定量以上先行しているとき、前記検知手段を前記移動方向の一端側とは反対の他端側へ位置させ、前記被印刷体を前記検知位置から前記所定方向とは反対方向へ前記搬送手段によって搬送させた後に、前記検知手段が前記被印刷体を検知する検知位置まで前記被印刷体を前記所定方向へ搬送させ、更に前記被印刷体を前記検知位置から前記所定方向へ前記所定量だけ搬送させ、
前記被印刷体の右上端と左上端のうち前記検知手段の位置している側とは反対側の上端が、前記検知位置において前記一定量未満先行しているとき、前記被印刷体を前記検知位置から前記所定方向へ前記所定量だけ前記搬送手段によって搬送させ、
印刷ヘッドを前記被印刷体の搬送方向と交差する主走査方向へ移動してインクを吐出することによって前記被印刷体に印刷を行い、
前記主走査方向へ移動するための移動部材に前記検知手段を前記印刷ヘッドとともに設け、
前記移動方向の一端側に位置している前記検知手段が前記被印刷体を検知する検知位置まで前記被印刷体を前記所定方向へ搬送させた後、前記検知手段を前記移動方向の一端側から他端側へ移動させて前記被印刷体の有無を検知することによって、前記被印刷体の右上端と左上端のどちらの上端が前記検知位置において先行しているのかを求め、
前記検知手段を前記移動方向の一端側から他端側へ移動させる際に、前記検知手段が前記被印刷体を検知しにくくすることによって、前記検知手段が前記被印刷体を検知しないとき、前記被印刷体の右上端と左上端のうち前記検知手段の前記移動方向における一端側の上端が前記検知位置において先行しているか、または、前記被印刷体の右上端と左上端のうち前記検知手段の前記移動方向における他端側の上端が一定量未満先行していることとし、前記検知手段が前記被印刷体を検知したとき、前記被印刷体の右上端と左上端のうち前記検知手段の前記移動方向における他端側の上端が一定量以上先行していることとし、
前記被印刷体の全表面を対象として印刷を行う、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項12】
被印刷体を検知するための移動可能なセンサと、被印刷体を前記センサの移動方向と交差する方向へ搬送するための搬送ローラと、を備えた印刷装置の印刷方法であって、
前記センサを前記移動方向の一端側へ位置させるステップと、
前記センサが前記被印刷体を検知する検知位置まで前記被印刷体を所定方向へ前記搬送ローラによって搬送させるステップと、
前記被印刷体の右上端と左上端のうち前記センサの位置している側とは反対側の上端が、前記検知位置において一定量以上先行しているとき、前記センサを前記移動方向の一端側とは反対の他端側へ位置させ、前記被印刷体を前記検知位置から前記所定方向とは反対方向へ前記搬送ローラによって搬送させた後に、前記センサが前記被印刷体を検知する検知位置まで前記被印刷体を前記所定方向へ搬送させ、更に前記被印刷体を前記検知位置から前記所定方向へ所定量だけ搬送させるステップと、
を備えたことを特徴とする印刷方法。
【請求項13】
被印刷体を検知するための移動可能な検知手段と、被印刷体を前記検知手段の移動方向と交差する方向へ搬送するための搬送手段と、を備えた印刷装置に、
前記検知手段を前記移動方向の一端側へ位置させる機能と、
前記検知手段が前記被印刷体を検知する検知位置まで前記被印刷体を所定方向へ前記搬送手段によって搬送させる機能と、
前記被印刷体の右上端と左上端のうち前記検知手段の位置している側とは反対側の上端が、前記検知位置において一定量以上先行しているとき、前記検知手段を前記移動方向の一端側とは反対の他端側へ位置させ、前記被印刷体を前記検知位置から前記所定方向とは反対方向へ前記搬送手段によって搬送させた後に、前記検知手段が前記被印刷体を検知する検知位置まで前記被印刷体を前記所定方向へ搬送させ、更に前記被印刷体を前記検知位置から前記所定方向へ所定量だけ搬送させる機能と、
を実現させることを特徴とするプログラム。
【請求項14】
被印刷体を検知するための移動可能な検知手段、被印刷体を前記検知手段の移動方向と交差する方向へ搬送するための搬送手段、を有する印刷装置と、前記印刷装置と接続されるコンピュータ本体と、を備えたコンピュータシステムであって、
前記検知手段を前記移動方向の一端側へ位置させ、
前記検知手段が前記被印刷体を検知する検知位置まで前記被印刷体を所定方向へ前記搬送手段によって搬送させ、
前記被印刷体の右上端と左上端のうち前記検知手段の位置している側とは反対側の上端が、前記検知位置において一定量以上先行しているとき、前記検知手段を前記移動方向の一端側とは反対の他端側へ位置させ、前記被印刷体を前記検知位置から前記所定方向とは反対方向へ前記搬送手段によって搬送させた後に、前記検知手段が前記被印刷体を検知する検知位置まで前記被印刷体を前記所定方向へ搬送させ、更に前記被印刷体を前記検知位置から前記所定方向へ所定量だけ搬送させる、
ことを特徴とするコンピュータシステム。
【請求項15】
被印刷体を検知するための移動可能なセンサと、被印刷体を前記センサの移動方向と交差する方向へ搬送するための搬送ローラと、を備えた印刷装置であって、
前記センサを前記移動方向の一端側へ位置させ、
前記センサが前記被印刷体を検知する検知位置まで前記被印刷体を所定方向へ前記搬送ローラによって搬送させ、
前記被印刷体の右上端と左上端のうち前記センサの位置している側とは反対側の上端が、前記検知位置において一定量以上先行しているとき、前記センサを前記移動方向の一端側とは反対の他端側へ位置させ、前記被印刷体を前記検知位置から前記所定方向とは反対方向へ前記搬送ローラによって搬送させた後に、前記センサが前記被印刷体を検知する検知位置まで前記被印刷体を前記所定方向へ搬送させ、更に前記被印刷体を前記検知位置から前記所定方向へ所定量だけ搬送させる、
ことを特徴とする印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−234267(P2009−234267A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−136821(P2009−136821)
【出願日】平成21年6月8日(2009.6.8)
【分割の表示】特願2004−519226(P2004−519226)の分割
【原出願日】平成15年7月1日(2003.7.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】